説明

円筒形高密度磁場発生装置

【課題】本発明は、円筒形高密度磁場発生装置に関し、従来の磁場発生装置においては、高い密度の磁束を得られなかったことが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】断面形状が扇形の永久磁石2,3で、かつ、該永久磁石が周方向に隣接されて一つの円筒形状に組み合わされ、その円筒形状の中央部分に空洞部4が形成されて一方向の磁力線が形成されている円筒形高密度磁場発生装置1とすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水などの流体物を活性化させる円筒形高密度磁場発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水、生活用水、植物育成水、水耕栽培水、家畜用飲料水、食品加工水、工業用洗浄水などの水を活性化させる装置として、特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【0003】
即ち、図8(A),(B)に示すように、永久磁石11,12と反磁性金属板13,14とを図示のように配置して、その間に通水管を挿通させて、この通水管を流れる流体15を活性化させる方法が知られている。前記通水管内を水が通過することにより、図9に示すような、磁束16の向きおよび流体15の向きと直交方向に生じる起電流を前記反磁性金属板に導き、これにより電子を前記通水管内の流体15に作用させるとともに、前記永久磁石11,12の磁力により処理するものである。
【0004】
上記のような構成により、前記流体15において、物理的効果として密度が小さく分子配列が規則正しくなり美味となる。また、熱伝導性が向上して洗浄効果が高まる。電気化学的効果として、双極性が高まり、アニオン系界面活性作用に類する作用を呈し、疎水性物質のエマルジョン化を可能にする。還元力があり、水道の閉塞防止効果をもたらすものである。生物的効果として、細胞への水の吸収が活発になり、新陳代謝を促す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−138173号公報
【特許文献2】特開2002−86153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の磁場発生装置においては、一対の躯形状に形成された永久磁石を所要の距離を置いて対向して配置する構造であるので、磁束密度において高密度にするには一定の限界があり、単に磁石自身をネオジム磁石等の強力な磁石を採用しても、構造上一定の限界がある。水などを活性化させるには、より高密度な磁束密度にする必要があるが、それに応えるものは見当たらないのが現状である。本発明に係る円筒形高密度磁場発生装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る円筒形高密度磁場発生装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、断面形状が扇形の永久磁石で、かつ、該永久磁石が周方向に隣接されて一つの円筒形状に組み合わされ、その円筒形状の中央部分に空洞部が形成されて一方向の磁力線が形成されていることである。
【0008】
前記扇形の永久磁石は、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に沿って着磁した縦方向着磁永久磁石と、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に交差する方向に沿って着磁した横方向着磁永久磁石との2種類であることである。
【0009】
また、前記縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石とを一つの円筒形状に組み合わせたものを外側から被覆する非透磁性の外筒が設けられていることである。
更に、前記横方向着磁永久磁石は、二個一組になった横方向着磁永久磁石が円筒形状の中心を隔てて一対にして対向配置にされていることである。
また、前記横方向着磁永久磁石は、縦方向着磁永久磁石の外側の極と異極に着磁された横方向着磁永久磁石の側面が前記縦方向着磁永久磁石の側面に接するようにして配置されていることである。
【0010】
前記縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石とは、その断面扇形の弧の中心角度が30°以上であって、互いに隙間無く円筒形に組み合わされていることであり、更に、前記縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石は、ともにネオジム磁石であることを含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の円筒形高密度磁場発生装置によれば、扇形の永久磁石を円筒形状に組み合わせたものであり、円筒形状の中央部に形成される空洞部に、永久磁石から強力な磁力が発生して、高い磁束密度が得られるので、該円筒形状の空洞部に通水管を通して流体を流すことで、従来例に比較して飛躍的に水の活性化がなされるという優れた効果を奏するものである。
【0012】
更に、前記扇形の永久磁石は、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に沿って着磁した縦方向着磁永久磁石と、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に交差する方向に沿って着磁した横方向着磁永久磁石との2種類にすることで、一方向の磁束密度を高密度にすることができる。
【0013】
前記横方向着磁永久磁石は、二個一組になった横方向着磁永久磁石が円筒形状の中心を隔てて一対にして対向配置にされていることにしたり、また、前記横方向着磁永久磁石は、縦方向着磁永久磁石の外側の極と異極に着磁された横方向着磁永久磁石の側面が前記縦方向着磁永久磁石の側面に接するようにして配置されていることにより、一方向の高密度の磁束が得られる。
【0014】
前記縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石とは、その断面扇形の弧の中心角度が30°以上であって、互いに隙間無く円筒形に組み合わされていることであり、更に、前記縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石は、ともにネオジム磁石であることとすることで、より一層の高密度な磁力が発生して、優れた磁場発生装置となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る円筒形高密度磁場発生装置1の円筒形状の概略構成を示す断面図(A)、縦方向着磁永久磁石2に係る扇形永久磁石の断面図(B)、横方向着磁永久磁石に係る扇形永久磁石3の断面図(C)である。
【図2】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が30°である場合の磁力線と磁束密度を示す説明図である。
【図3−A】円筒形高密度磁場発生装置1を縦方向着磁永久磁石2(角度30°)を12個隣接させて円筒形状にした場合の概略構成を示す断面図である。
【図3−B】同円筒形高密度磁場発生装置1で、縦方向着磁永久磁石2が12個で扇形の角度が30°である場合の磁力線と磁束密度を示す説明図である。
【図4−A】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が45°である場合の縦断面図である。
【図4−B】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が45°である場合の磁束密度を示す説明図である。
【図5】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が180°である場合の縦断面図である。
【図6】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が180°である場合の磁束密度を示す説明図である。
【図7】同本発明の円筒形高密度磁場発生装置1で、扇形の角度が30°(縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石の組み合わせと縦方向着磁永久磁石のみの場合の2種類)、45°、180°である場合と、従来例に係る磁場発生装置10との磁束密度を比較する特性曲線図である。
【図8】従来例に係る磁場発生装置10の構成を示す説明図である。
【図9】同従来例における磁束密度を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る円筒形高密度磁場発生装置1は、図1(A),(B),(C)に示すように、扇形永久磁石であって、縦方向着磁永久磁石2と横方向着磁永久磁石3とを円筒形に形成するものである。
【実施例1】
【0017】
本発明に係る円筒形高密度磁場発生装置1は、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に沿って着磁した縦方向着磁永久磁石2を形成する。即ち、図1(B)に示すように、扇形の中心点がある側をN極として外側をS極として着磁するものと、扇形の中心点がある側をS極として外側をN極として着磁するものを用意する。対向配置にして一方向に磁力線を発生させるためである。
【0018】
また、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に交差する方向(直交する場合と、鋭角または鈍角で斜めに交差する場合とを含む)に沿って着磁した横方向着磁永久磁石3を形成する。この横方向着磁永久磁石3は、1種類である。図示する扇形の永久磁石において、弧の中心角度θは、最良の角度として、θ=30°である。この永久磁石2,3は、ともにネオジム磁石であって、図示するものは、一例として耐熱性能を具備したN48Mと称するものである。
【0019】
前記縦方向着磁永久磁石2と横方向着磁永久磁石3とを一つの円筒形状に組み合わせたものを外側から被覆する非透磁性の外筒8がある。該外筒8は、鉄筒5と、パーマロイ6と、ステンレス製筒7とで構成されている。
【0020】
図1(A)に示すように、前記横方向着磁永久磁石3は、二個一組になった横方向着磁永久磁石3,3が円筒形状の中心(空洞4)を隔てて一対にして対向配置にされている。また、縦方向着磁永久磁石2も、4個ずつ、向かい合わせに配置されている。
【0021】
図2に示すように、横方向着磁永久磁石3は、縦方向着磁永久磁石2の外側の極(例えば、S極)と異極に着磁された当該横方向着磁永久磁石3の側面(N極)が、前記縦方向着磁永久磁石2の側面に接するようにして、互いに隙間無く円筒形に組み合わされて配置されている。このように配置することで、磁力線が空洞部4においてきれいな一方向の磁力線を形成するものである。
【0022】
図3−Aに示すように、前記縦方向着磁永久磁石2のみによって円筒形状にした場合の、磁束密度を比較すると、空洞部4における磁束密度の様子が図3−Bに示すようになり、図7に示すように、前記実施例1における横方向着磁永久磁石3がある場合に比べて、明らかに磁束密度が低くなる。このように、縦方向着磁永久磁石2と横方向着磁永久磁石3との組み合わせのほうが好ましいものである。
【0023】
前記扇形の永久磁石である縦方向着磁永久磁石2と横方向着磁永久磁石3とは、その断面扇形の弧の中心角度が30°以上とすることが好ましいものである。例えば、図4−A乃至図4−Bに示すように、中心角度θ=45°にした場合にも、空洞部4に一方向の磁力線が発生する。なお、前記弧の中心角度θは、縦方向着磁永久磁石2と横方向着磁永久磁石3とにおいて必ずしも同じである必要は無い。
【0024】
なお、図5に示すように、縦方向着磁永久磁石2だけで中心角度θ=180°にすると、図6に示すように、磁力線が直接永久磁石に逃げてしまい、空洞部4には、磁束密度が疎の磁力線になる。よって、横方向着磁永久磁石3を対向配置の縦方向着磁永久磁石2の間に挟むことが、空洞部4に磁力線を集中させて、好ましい結果となる。
【0025】
図7に、縦方向着磁永久磁石2による中心角度θの相違による磁力の比較したものを示す。中心角度θ=30°の時に、最も磁束密度(テスラ)が大きくなっている。
【0026】
以上のようにして形成される円筒形高密度磁場発生装置1を使用して、前記空洞部4に水道管などの通水管を通し、その中に水を流すことで、従来例で説明した物理的効果、電気化学的効果、生物的効果等の効果が、高磁束密度の磁力によって一層顕著に発揮されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の円筒形高密度磁場発生装置1は、水道水に限らず、各種の流体に適用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 円筒形高密度磁場発生装置、
2 縦方向着磁永久磁石、
3 横方向着磁永久磁石、
4 空洞部、
10 従来例の磁場発生装置、
11,12 永久磁石、
13,14 反磁性金属板、
15 流体、
16 磁束、
17 鉄筒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が扇形の永久磁石で、かつ、該永久磁石が周方向に隣接されて一つの円筒形状に組み合わされ、その円筒形状の中央部分に空洞部が形成されて一方向の磁力線が形成されていること、
を特徴とする円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項2】
扇形の永久磁石は、円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に沿って着磁した縦方向着磁永久磁石と、
円筒形状の一部を形成する断面扇形で前記円筒形状の径方向に交差する方向に沿って着磁した横方向着磁永久磁石との2種類であること、
を特徴とする請求項1に記載の円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項3】
縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石とを一つの円筒形状に組み合わせたものを外側から被覆する非透磁性の外筒が設けられていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項4】
横方向着磁永久磁石は、二個一組になった横方向着磁永久磁石が円筒形状の中心を隔てて一対にして対向配置にされていること、
を特徴とする請求項2または3に記載の円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項5】
横方向着磁永久磁石は、縦方向着磁永久磁石の外側の極と異極に着磁された横方向着磁永久磁石の側面が前記縦方向着磁永久磁石の側面に接するようにして配置されていること、
を特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項6】
縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石とは、その断面扇形の弧の中心角度が30°以上であって、互いに隙間無く円筒形に組み合わされていること、
を特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の円筒形高密度磁場発生装置。
【請求項7】
縦方向着磁永久磁石と横方向着磁永久磁石は、ともにネオジム磁石であること、
を特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の円筒形高密度磁場発生装置。

【図1】
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【図3−A】
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【図4−A】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3−B】
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【図4−B】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−94760(P2013−94760A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242173(P2011−242173)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(399127072)株式会社エッチアールディ (3)
【Fターム(参考)】