説明

冊子取扱装置

【課題】
磁気通帳等の冊子類に磁気データを読書きする冊子取扱装置において、新たにクリーニング機構等を設けることなく、磁気ヘッド表面のクリーニングを行うことで、磁気情報データの読書き性能の低下を防止すると共に、人為的に行っていたメンテナンス作業を削減することにある。
【解決手段】
磁気通帳等の冊子類に磁気データを読書きする冊子取扱装置において、磁気ヘッドのホームポジションにて磁気ヘッド表面と接するような位置に配置された駆動ベルトの背面に、磁気ヘッドのクリーニング部材を設け、冊子媒体の搬送動作等で駆動ベルトが動く度にクリーニング部材で磁気ヘッド表面に付着した汚れをクリーニングすることで、磁気情報データの読書き性能の低下を防止できると共に、人為的に行っていたメンテナンス作業を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り扱う冊子媒体に磁気データを読書きする磁気ヘッドを有する冊子取扱装置に係り、特に磁気ヘッドのクリーニング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオテープレコーダ等のように回転磁気ヘッドを有するものは、ヘッド自身の回転運動を利用し、クリーニング部材を磁気ヘッド表面に押し当てるだけで効果的なクリーニングが可能であるが、カセットテープレコーダのように磁気ヘッドが固定されたものや前記冊子取扱装置のように磁気ヘッドが往復運動する装置では、クリーニング機構を持たないものが多く、それを装備したものは少ない。
【0003】
前記冊子取扱装置においてクリーニング機構が搭載されたものの従来例として、例えば、図3に示すものがある。往復動作する磁気ヘッド4の動きを利用して、磁気ヘッド4がホームポジション7に戻るとき、磁気ヘッド4の表面に接する位置に固定されたクリーニング部材11により磁気ヘッド4の表面をクリーニングするものがある。しかし、磁気ヘッド4の表面をクリーニング部材11が擦るのは一瞬であり、クリーニング性能に欠けるとともに、クリーニング部材11を配置するスペースも別途必要であった。なお、従来、この種の装置としては、特開平9−115116(特許文献1)等に開示のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平9−115116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来技術による冊子取扱装置のクリーニング機構では、クリーニング性能の信頼性に欠ける為、磁気ヘッド表面の汚れの蓄積により、良好な磁気情報データの読書きが長時間維持できず、装置の信頼性が低下するという問題と共に、その都度綿棒やクリーニング媒体等で有人によるメンテナンスを行わなければならない欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冊子取扱装置は、磁気通帳等の冊子媒体に磁気データを読書きする磁気ヘッドを有する冊子取扱装置であって、磁気ヘッドの表面は、そのホームポジションで常に駆動ベルトの背面と接しており、その接触面、即ち、駆動ベルトの背面には磁気ヘッド表面を清掃する為のクリーニング部材を有している。
【0007】
冊子媒体の取扱動作等によって駆動ベルトが動くことで、クリーニング部材が磁気ヘッド表面を擦り、磁気ヘッド表面を常にクリーニングすることを手段とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冊子取扱装置によれば、磁気通帳等の冊子媒体に磁気データを読書きする磁気ヘッドをクリーニングする為に、クリーニング用部材を新たに配置したり、クリーニング専用の機構を新たに設けることなく、磁気ヘッド表面のクリーニングすることができる為、磁気情報データの読書き性能の低下を防止できると共に、人為的に行っていたメンテナンス作業を削減することが可能になる。また、クリーニング部材を配置するスペースを別途必要としない為に、装置の小型化にも寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、具体的な一実施例を図面を用いて説明する。図1は磁気通帳等の冊子媒体に磁気データを読書きする磁気ヘッドを有する冊子取扱装置の基本的な構成図、図2は図1を基に本発明による冊子取扱装置の磁気ヘッドクリーニングの実施例を示す。
【0010】
実施例の冊子取扱装置には、搬送ガイド1によって保持される磁気通帳等の冊子媒体2を搬送する搬送ローラ3と冊子媒体2に磁気データを読書きする磁気ヘッド4がある。搬送ローラ3の同一軸上には駆動プーリ5が取り付けられ、互いにモータ(図示省略)により駆動される駆動ベルト6によって連結されている。
【0011】
その駆動ベルト6は、磁気ヘッド4のホームポジション位置にて磁気ヘッド4の表面と接する位置に配置され、駆動ベルト6の背面にはクリーニング部材10を有している。通常、ホームポジション7で静止している磁気ヘッド4は、案内シャフト8とモータ(図示省略)によって冊子媒体2の搬送方向(矢印12)とは垂直の方向(矢印13)に可動することができる。
【0012】
冊子媒体2が搬送ローラ3によって所定の位置に搬送停止されると、磁気ヘッド4は搬送媒体2の表面に貼り付けられた磁気ストライプ9に接触しながら動き、磁気データを読書きするが、このときに磁気ヘッド4の表面には汚れが付着する。
【0013】
ホームポジション7に戻った磁気ヘッド4の表面は、上述のように駆動ベルト6の背面のクリーニング部材10と接触している為、冊子媒体2の搬送等で駆動ベルト6が矢印14方向に動くと、クリーニング部材10により磁気ヘッド4の表面の汚れは除去される。
【0014】
このように、磁気ヘッド4の表面は常にクリーニングされるので、汚れの付着による磁気情報データの読書き性能の低下を防止でき、良好な磁気情報データの読書きを長時間維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
銀行端末装置の通帳プリンタにおける磁気通帳等の冊子媒体の磁気データを読書きする装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による冊子取扱装置の磁気ヘッドクリーニングの実施例である。
【図2】本発明による冊子取扱装置の磁気ヘッドクリーニングの実施例である。
【図3】従来技術による冊子取扱装置の磁気ヘッドクリーニングの実施例である。
【符号の説明】
【0017】
1・・・搬送ガイド、2・・・冊子媒体、3・・・搬送ローラ、4・・・磁気ヘッド、5・・・駆動プーリ、6・・・駆動ベルト、7・・・ホームポジション、8・・・案内シャフト、9・・・磁気ストライプ、10・・・クリーニング部材、11・・・クリーニング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気通帳等の冊子媒体に磁気データを読書きする為に往復動作をする磁気ヘッドを有する冊子取扱装置において、
モータにより駆動される駆動ベルトの背面に前記磁気ヘッドのクリーニング部材を有したものを、前記磁気ヘッドのホームポジションにて前記磁気ヘッド表面と接するような位置に配置し、前記駆動ベルトの動きにより、前記クリーニング部材で前記磁気ヘッド表面に付着した汚れをクリーニングすることを特徴とする冊子取扱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冊子取扱装置であって、
モータにより駆動される駆動ベルトは、磁気通帳等の冊子媒体を搬送する為の搬送ローラを駆動する駆動ベルトを兼ねていることを特徴とする冊子取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−18567(P2007−18567A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196962(P2005−196962)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)