再生装置、及び再生方法
【課題】不要な処理による電力消費の削減と、データ記録再生装置としての信頼性の向上【解決手段】
オーバーライト記録の際の消し残り部分が存在する場合は、その区間を検出し、検出された場合は、基準識別データを固定した上で再生リトライを行なうようにして、消し残りデータが誤って有効データとされたり、正規のデータが欠落することを防止する。
オーバーライト記録の際の消し残り部分が存在する場合は、その区間を検出し、検出された場合は、基準識別データを固定した上で再生リトライを行なうようにして、消し残りデータが誤って有効データとされたり、正規のデータが欠落することを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータストリーマと称されるデータ記録再生装置などにおける適用に好適な再生装置、再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気テープを記録媒体とするデータ記録方式において広く採用されているヘリカルスキャン記録方式では、回転ヘッドに磁気テープを巻き付け、テープ進行方向に対して斜め方向にヘッド走査を行なうことで、図16に示すように磁気テープTには斜め方向にトラックTKが形成される。
【0003】
このようなデータ記録方式において、いわゆるノントラッキング方式として知られているものがある。
このノントラッキング方式とは、再生時には図16にPa,Pbとして示すように記録時より高密度スキャンを行なうことにより、トラック上を正確にトレースしなくてもトラックTK上の全データを読み込むことができるようにし、さらに読み込んだデータはデータとともに記録されているアドレスを用いて並び変えていくことで、正確な再生データストリームを再構成することができるようにしたものである。
【0004】
図17にノントラッキング方式における磁気テープ上のトラックTKの構成を示す。
図17(a)に示すように、1トラックは108ブロックで構成される。1ブロックは288ビットである。
トラックのうち中央の92ブロックがメインデータ領域とされ、その両側に9ブロックの内側2重記録領域、及び7ブロックの外側2重記録領域が形成されている。
【0005】
内側2重記録領域では、その位置から外側方向に92ブロック離れたメインデータ領域内のブロックと同一内容のデータが記録され、また外側2重記録領域では、その位置から内側方向に92ブロック離れたメインデータ領域内のブロックと同一内容のデータが記録されている。
具体的には、図17(a)におけるデータ領域DA1内で斜線を付した先頭7ブロックと同一内容のデータが、外側2重記録領域にも記録され、また、データ領域DA2内で斜線を付した終端9ブロックと同一内容のデータが、内側2重記録領域にも記録されるものとなる。
【0006】
この内側2重記録領域と外側2重記録領域は、トラックとヘッドの相対関係においてトラックの始端及び終端における信号読取の信頼性を向上させるために設けられている。つまり、テープの揺動でヘッドの当たり位置がずれても、互いに補い合うようにされ、メインデータ領域内に記録されているブロックとしてのデータについて、トラック始端側もしくは終端側における読取不能のブロック(データ内容)が発生しないようにしている。例えばトラックとヘッドの当たり開始位置(走査開始位置)がずれてデータ領域DA1内の先頭数ブロックが読み込めないような場合があっても、そのデータは外側2重記録領域から読み込むことができる。
【0007】
92ブロックのメインデータ領域については、中央の2ブロックがサブコード(AUX)、その両側の各1ブロックがIBG(Inter-block Gap)、さらにその両側の各4ブロックが制御コード(CTL)の領域とされる。そして、さらにその両側において40ブロックづつのデータ領域DA1,DA2が形成される。
【0008】
1ブロック内の信号フォーマットは図17(b)のようになる。
まず先頭11ビットがシンクパターンとされ、続いて13ビットでアドレスADRSが記録される。このアドレスADRSは6ビットのトラックアドレスと7ビットのブロックアドレスにより構成されている。
各ブロックにはこのようにトラックアドレスとブロックアドレスが記録されていることにより、再生時には適正なブロック順序でデータストリームを再構成することができる。
【0009】
ノントラッキング方式の場合、再生ヘッドは必ずしもトラックTK上を正確にトレースしないため、図16に示したように高密度スキャンを行なうことで各トラックについて全ブロックを読み出すことができるようにしている。しかし、この場合各ブロックの読出順序はランダムなものとなる。読み出されたブロックデータは一旦RAMに蓄えられるが、このとき、RAM上ではトラックアドレスとブロックアドレスを用いて書き込みアドレスを生成し各ブロックデータを書き込んでいく。従って、或るトラックについて全ブロックが読み取れた段階では、RAM上ではそのトラックの全てのデータが並んでいるものとなる。従ってRAMから順番にブロックデータを読み出せば適正なデータストリームが再構成されたことになる。
【0010】
アドレスADRSに続いて各12ビットで4ワードのP,Qパリティ(POD,QOD,PEV,QEV)が記録される。
そしてパリティワードに続いて各12ビットで16ワードのデータ(DT1 〜DT16)が記録される。
16ワードのデータ(DT1 〜DT16)に続いて、各12ビットで2つのCRC(Cyclic Redundancy Check code)ワードが記録される。また、このCRCワードには、オーバーライトプロテクトコード(以下、OWPコードという)が記録される。
【0011】
ノントラッキング方式では、記録領域のずれを許容しているため、トラックの両端付近に古いデータの消し残りが存在することがある。また、記録時のドロップアウトやヘッドの目詰まりなどにより、オーバライト時に消去されなかった消し残り部分が発生することもある。再生時にはこのような消し残りデータはCRCはセーフとなるため、正しいデータと誤認されてしまう。そこで、記録動作の切れ目ごとに更新されるコードとしてOWPコードが記録される。
【0012】
再生時には、再生スキャンするトラックについて読み出される各ブロックからOWPコードを抽出していき、多数決で基準のOWPコードを設定する。
1トラック内で或る部分に消し残りが発生していた場合、その消し残りブロックから抽出されるOWPコードは、オーバーライトしたブロックから抽出されるOWPコードとは異なるものとなる。
ところが、1トラックを再生した場合、一部に消し残りがあっても、殆どは正しくオーバーライトされたブロックが読み取れるため、OWPコードとして多数決を取ることにより、その多数側のOWPコードが正しくオーバーライトされたときに設定されたOWPコードと判別することができる。
そして、そのOWPコードを基準OWPコードと設定し、以降、その一連の記録に対する再生においては、OWPコードが異なるブロックのデータは消し残りデータであると判断して、無効とすることができ、誤ったデータを出力してしまうことを防止できる。
【0013】
なお、OWPコードは同じ2ワードを並べて24ビットのCRCと排他的論理和(Exclusive-OR)をとってから記録するようにしている。従って再生時には、再生データから生成したCRCとの排他的論理を取ることで、OWPコードを復元することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、コンピュータプログラムなどのデータを磁気テープに記録することを考えると、記録時にデータの欠落や誤ったデータを記録してしまうことを回避しなければならない。このためチェックアフターライトという、記録時に記録したデータを記録直後にチェックすることを行なっている。
これは、例えば回転ドラムに配されるヘッドとしてヘッドA1 ,B1 と、これらに180°対向した位置にヘッドA2 ,B2 を設ける。そしてヘッドA1 ,B1 によりトラックとしてデータを記録していくとともに、ヘッドA2 ,B2 で記録したトラックのデータの再生を行なってデータが正しく記録されているかをチェックするようにしている。
ヘッドA2 ,B2 はヘッドA1 ,B1 に対して磁気テープ上で数トラックのトラック差をもって、記録されたトラックのトレースを行なうことになる。
【0015】
ここで、ヘッドA1 ,B1 で記録を行なう際、トラックアドレス(ADA−V)は0〜31の繰り返し値で、ドラム1回転につきインクリメントされて、図17(b)の各ブロックのアドレスADRS内に記録される。
例えば図18(a)のようにテープT上に過去に記録したデータファイルが存在する場合、そのデータファイルを構成する各トラックについては、図18(b)のように『0』〜『31』のトラックアドレス(ADA−V)が繰り返し記録される。トラックアドレス(ADA−V)は上述したように記録時及び再生時にデータを一時的に蓄えるRAMのアドレスと兼用されており、つまり、RAMが32トラック分の容量を備える場合に、トラックアドレス(ADA−V)は0〜31の値が設定されることになる。
【0016】
例えば、過去に記録したデータファイルに続いて、図18(a)に記録開始として示す位置から新たなデータファイルの記録が開始されるとする。
この場合に、過去に記録されたデータファイルの記録停止時の最終トラックのトラックアドレス(ADA−V)が『16』であったとすると、新たなデータファイルの記録についてはトラックアドレス(ADA−V)の値は『17』から開始されることになる。そして、各トラック毎にトラックアドレス(ADA−V)は『18』『19』・・・・・・『31』『0』『1』・・・・と更新されていく。
【0017】
ここで、ヘッドA1 ,B1 による記録が開始された場合は、数トラック分のトラック差でトレースを行なうヘッドA2 ,B2 については、最初は過去のデータファイルのトラックをトレースすることになる。従ってこの時点でヘッドA2 ,B2 によりトレースされるデータは、今回の記録動作でヘッドA1 ,B1 によって記録されているトラックのデータとは全く相関性のないデータであり、ヘッドA2 ,B2 に読み取られたデータは、データチェックのためには不要なものとなる。
【0018】
ところが、実際には、今回の記録によるトラックがどこから始まっているかは再生データからは判断できないため、ヘッドA2 ,B2 に読み取られたデータによるデータチェック処理は、今回のデータファイルとして実際に記録が開始された先頭のトラックに達する前も実行していなければならない。
そして、過去に記録したトラックからのデータによるデータチェック処理は、電力消費の無駄を発生させ、また場合によっては不適正なチェック動作が実行されてしまうという問題があった。
【0019】
また、上述したようにテープTに一連のデータファイルを記録する場合、OWPコードを付加しており、例えば図19(a)のようにファイルXとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPX として記録されている。またファイルYとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPY として記録されている。
【0020】
例えばファイルXの再生時には、基準OWPコードがOWPX にセットされ、読み出される各ブロックについてのOWPコードと比較されて、基準OWPコードと一致していた場合が有効データとされる。もしこのとき図中破線Pとして示す方向に再生走査がなされてファイルYのブロックが読み込まれても、そのブロックはOWPY とされており基準OWPコード(=OWPX )と異なるため、ファイルXの有効データとはされない。
その後ファイルYの再生に進むと、OWPY となるOWPコードの方が多数読み込まれることになるため基準OWPコードがOWPY に変更され、ファイルYのブロックが有効データとされる。
【0021】
ここで、図19(b)に示すようにファイルXが記録されていたテープ位置に対してデータファイルZをオーバーライトしたとする。この場合のOWPコードはOWPZ であったとする。
ところが、ヘッドの目ずまりなどの何らかの原因で一部消し残りが発生し、図19(b)の斜線部REC−ERとして示すように過去のファイルXのデータが部分的に残されていたとする。
【0022】
これを再生すると、再生ヘッドによってテープTから読み出されるデータは、図19(c)のようにファイルZを構成するデータDZ の途中で、ファイルXを構成していた消し残りデータDX が含まれることになる。データDX となるブロクのOWPコードは図19(d)のようにOWPX である。
【0023】
の再生時には、まず基準OWPコードはOWPZ にセットされ、データDZ となるブロックのOWPコード(OWPZ )と比較されるため、図19(f)に示すように、その一致によりデータDZ が有効再生出力とされる。
ところが消し残り部分(REC−ER)の再生に進むと、OWPX が多数読み出されるため、図19(e)のように基準OWPコードがOWPX に変更されてしまう。そして基準OWPコードの変更後は読み出される消し残りのデータDX を有効データとして処理してしまう。消し残り部分の再生の後は、再びOWPZ が多数読み出されるため基準OWPコードが再びOWPZ にセットされ、読み出されてくるデータDZ が有効再生出力とされる。
以上のような動作のため、ファイルZの再生については図19(f)のように、図中ED1 の期間で不要なデータが有効データとされてしまうとともに、図中ED2 の期間で読み出される正規のデータが欠落してしまうことがあり、信頼性を低下させる大きな問題となっていた。
【0024】
本発明は、データ再生装置としての信頼性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このため、所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生動作時に、各ブロックから読み出されてくる識別データから基準識別データ値を設定し、読み出される各ブロックのデータについて、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別する。ここで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった場合に、それ以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻るか否かを判別し、読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻った場合には、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった区間を含む再生動作を再実行させるようにする。
【0026】
再生時においては、オーバーライト記録の際の消し残り部分の影響で基準OWPコードが変更されて不要なデータが有効とされたり、正規のデータが欠落するような場合があるが、その可能性のある区間、つまり消し残りなどの記録欠陥区間は部分的に或る区間でOWPコードが変更されたことにより検出できる。
そこで、このような場合は、基準OWPコードを固定した上で再生リトライを行なうことで、消し残りデータを排除し、正規のデータを正しく再生することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、再生時において、オーバーライト記録の際の消し残り部分の影響で基準識別データ(基準OWPコード)が変更されて不要なデータが有効とされたり、正規のデータが欠落するような場合があるが、その可能性のある区間を検出し、検出された場合は、基準識別データを固定した上で再生リトライを行なうようにしている。これにより、消し残りデータが誤って有効データとされたり、正規のデータが正しく再生できないといったことが解消され、正確なデータ再生を実行できるという効果があり、記録再生動作の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態となる記録再生装置について説明する。この記録再生装置は磁気テープを記録媒体としてコンピュータ用のデータなどを記録再生するデータストリーマとされるものでる。データストリーマとしての構成を図1に示し、このデータストリーマと接続される外部機器(ホストコンピュータなど)の構成を図2に示す。
【0029】
まず、データストリーマ10の構成を図1を参照して説明する。
図1において、インターフェース12はコンピュータ等の外部の機器と接続される。そしてこのインターフェース12は、外部機器から供給されるデータをデータ処理回路13に供給する。
このデータ処理回路13はデータ処理用のメモリ14が接続され、外部から供給されるデータを記録用のデータに変換する処理を行うと共に、再生データを出力用のデータに変換する処理が行われる。また、外部から供給されるデータを所定ブロックに分割し、各ブロック毎にブロック番号のデータとエラー訂正符号を付加する処理が行われる。これらのデータ処理回路13は、このストリーマの各部の動作を制御するマイクロコンピュータである中央制御装置(CPU)21の制御に基づいて行われる。
【0030】
そして、データ処理回路13で記録用に処理された記録データを変調回路15にて記録用の変調処理を行って記録信号とし、この記録信号をRFアンプ16、17に供給する。この場合、RFアンプ16とRFアンプ17には1トラック分の記録データ毎に交互に供給する(1トラック分のデータは複数ブロックで構成される)。
RFアンプ16にはロータリートランス18を介して回転ヘッドドラム(図示せず)内の磁気ヘッドA1、A2が接続してあり、RFアンプ16で増幅処理された記録RF信号を磁気ヘッドA1に供給して磁気テープに記録させる。
また、RFアンプ17にはロータリートランス18を介して回転ヘッドドラム内の磁気ヘッドB1、B2が接続してあり、RFアンプ17で増幅処理された記録RF信号を磁気ヘッドB1に供給して磁気テープに記録させる。
【0031】
磁気ヘッドA1、A2の再生信号は、ロータリートランス18を介してRFアンプに供給するようにされており、このRFアンプ16で増幅された再生信号RF信号は検出回路19で検波され、再生データとそのクロック成分が検出されてデータ処理回路13に供給される。
【0032】
同様に磁気ヘッドB1、B2の再生信号はロータリートランス18を介してRFアンプ17に供給するようにされており、このRFアンプ17で増幅された再生RF信号は検波回路20で検波され、再生データとそのクロック成分が検出されてデータ処理回路13に供給される。
【0033】
そしてデータ処理回路13では、再生データをデータメモリ14を使用して1トラックづつのデータに復元する合成処理を行うと共に、再生データに付加されたエラー訂正符号を使用してエラー検出及びエラー訂正処理を行う。
以上の処理により各トラックのデータが完全なデータとなった段階で、インターフェース12にクロックと共に供給し、接続された外部の機器側に再生データを伝送される。
【0034】
の場合には磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とを使用した記録時に、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とを使用して記録された信号を記録直後に再生するようにしてあり、この場合にデータ処理回路13に供給される再生データは、この再生データに含まれる訂正符号を使用して各ブロック毎にエラー検出を行う。そして、検出したエラーの有無のデータを各ブロック毎のアドレスデータを付加してインターフェース12から外部機器に供給する。
【0035】
また、本例の中央制御装置21には制御プログラムなどが記録されたRAM22が接続される。そして、この中央制御装置21からの指令に基づいて、回転ヘッドドラム用モータ24をドラムモータ駆動回路23の制御で所定速度に回転駆動させる。この場合、回転ヘッドドラムの回転状態は周波数発生器(FG;Frequency Generator )25で検出される。
また、この記録再生装置に装着される磁気テープのドラムへの巻き付けなどを行うコントロールモータ27を、中央制御装置21からの指令に基づいたコントロールモータ駆動回路26の制御で駆動させる。また磁気テープの巻き付け状態などがセンサ28で検出される。
【0036】
本例の回転ヘッドドラムの磁気ヘッドの配置を図3に示す。図3に示すように、回転ヘッドドラム11には所定箇所に近接して磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とが配置されている。この場合、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とはアジマス角を一方と他方に変えてあり、1トラック分だけ磁気ヘッドA1、B1の取り付け高さを変えてある。
この磁気ヘッドA1、B1は記録・再生兼用のヘッドである。
【0037】
磁気ヘッドA1、B1と回転角で180°離れた位置には2個の再生専用の磁気ヘッドA2、B2が近接して配置してある。この2個の磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2についても、アジマス角を一方と他方に変えてある。つまり磁気ヘッドA1とA2が一方のアジマス角、磁気ヘッドB1とB2は他方のアジマス角とされる。また磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とは、1トラック分だけ取り付け高さを変えてある。
【0038】
そして、一方の組の磁気ヘッドA1、B1に対する他方の組の磁気ヘッドA2、B2の取り付け高さを数トラック分(ここでは6トラックとする)だけずらしてある。
この回転ヘッドドラム1には磁気テープTを約100°の角度範囲巻き付けてある。
【0039】
このように4個の磁気ヘッドを配置したことで、この回転ヘッドドラム11を1回転させることで各磁気ヘッドで図4に示す走査が行われる。すなわち、回転ヘッドドラム11が1回転して磁気ヘッドA1が図4にA1として示す軌跡でトラック上を走査したとき、磁気ヘッドB1はテープ走行方向に対して1トラック遅れた隣のトラックを走査する軌跡B1が得られ、磁気ヘッドA2の軌跡A2は磁気ヘッドA1の軌跡A1から6トラック遅れた軌跡となり、磁気ヘッドB2の軌跡B2は磁気ヘッドB1の軌跡B1から6トラック遅れた軌跡となる。
【0040】
なお、本例の場合には磁気テープを往復使用できるシステムとする。即ち磁気テープを装着したカセットの表面を上にして装着したとき、磁気テープの上段の一方向への記録及び再生ができ、磁気テープを装着したカセットの裏面を上にして装着したとき、磁気テープの下段の他方向への記録及び再生ができるようにする。図4などでは、テープパターンとしては片方向の記録及び再生パターンだけを示してある。
【0041】
また本例の場合には、ノントラッキング方式であるため、再生時に磁気ヘッドの走査軌跡を記録トラックと一致させるトラッキング制御は行わない。
【0042】
次に、このような構成のデータストリーマと接続される外部機器の構成を図2に示す。図1でその構成を説明したデータストリーマ10は、データ変換装置30を介してホストコンピュータ40と接続される。
【0043】
ホストコンピュータ40は、メインの演算処理部である中央制御装置41と、演算処理に使用するデータを格納するメモリ42と、ハードディスクなどを使用した大容量データ記憶部であるディスクユニット43とを備え、ディスクユニット43はインターフェース44を介して各部とデータの伝送を行うバスラインと接続される。
このバスラインとしては、データ用のバスラインと、この伝送されるデータのアドレスデータを伝送するためのバスラインとが用意されている。そして、このそれぞれのバスラインにはデータ変換装置30と接続するためのインターフェース45が接続してある。
【0044】
ホストコンピュータ40のインターフェース45からデータ変換装置30に送出されたデータは、データ変換装置30内でデータストリーマ10が受信できる構成のデータに変換され、データストリーマ10内のインターフェース12に伝送される。
また、データストリーマ10内のインターフェース12からデータ変換装置30に送出されたデータは、データ変換装置30内でホストコンピュータ40が受信できる構成のデータに変換され、ホストコンピュータ40内のインターフェース44に伝送される。
【0045】
次に、本例のデータストリーマを使用してホストコンピュータ40から供給されるデータを磁気テープに記録する場合の処理について説明する。
図5は本例の記録タイミングを示す図で、回転ヘッドドラム11が最初に1回転する期間では図5(c)(d)に示すように、まず磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP1、P2で隣接した2トラックを再生する。但し、記録開始時には記録トラックが無い部分、もしくは過去に記録したファイルとなる部分を再生することになる。
そして、図5(a)に示すように、磁気ヘッドA1が磁気テープTを走査するタイミングR1で1トラック分の記録が行われる。このとき、別の記録用磁気ヘッドB1では図5(b)に示すように、磁気テープTを走査するタイミングでも記録が行われない。
【0046】
回転ヘッドドラム11が次に1回転する期間では図5(c)(d)に示すように、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP3、P4で隣接した2トラックを再生する。そして、図5(b)に示すように、磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングR2で1トラック分の記録が行われる。このとき、別の記録用磁気ヘッドA1では図5(a)に示すように、磁気テープTを走査するタイミングでも記録が行われない。
【0047】
このようにして、回転ヘッドドラム11が1回転する毎に1トラックづつ記録される。このとき、アジマス角の異なる磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とを交互に使用して記録するので、一方の記録アジマス角のトラックと他方の記録アジマス角のトラックとが交互に形成される。
【0048】
そして、この記録中の磁気ヘッドA1、B1とは別の磁気ヘッドA2、B2で再生を行っているので、記録された信号が直ちに再生される。
本例では図4で示すように、磁気ヘッドA2、B2で走査するトラックが磁気ヘッドA1、B1で走査するトラックより6トラック遅れたトラックであるので、記録を開始してから6トラック記録が進んだ時点で、その記録された信号が、磁気ヘッドA2、B2により再生されるようになり、以後6トラックづつ遅れて記録信号が再生される。この再生信号により、いわゆるチェックアフターライト処理が行われる。
【0049】
つまり、この記録中の再生信号より検出した再生データをデータ処理回路13に供給して、この再生データに含まれる訂正符号を使用してブロック毎にエラー検出を行う。
そして、エラーが検出されたときには、記録エラーが発生したブロックのアドレスデータであるトラック番号及びブロック番号のデータを、データ処理回路13からインターフェース12を介してデータ変換装置30に伝送する。
データ変換装置30側では、この記録エラー発生した箇所のアドレスデータを記憶しておく。
【0050】
そして、このときにホストコンピュータ40から供給される1単位のデータの記録が終了すると、データ変換装置30では記録エラーが発生した箇所のデータをホストコンピュータから再度伝送させるように、ホストコンピュータ40にリクエスト信号を送る。そして、このリクエスト信号によりホストコンピュータ40から出力されるデータをデータ変換装置30を介してデータストリーマ10に伝送させ、再度磁気テープに記録させる処理を行う。このときにも図5に示すように、記録された信号を直後に再生して記録エラーの有無をチェックし、記録エラーを検出したときには更に同じデータの記録を繰り返させる。
【0051】
このように記録が行われることで、例えば図6に示すように、1単位のデータD1を磁気テープの所定箇所に記録した際に、この記録されたデータD1の中で記録エラーが発生した部分のデータが、このデータD1を記録された箇所の後にデータD1’、或はD1”として再度記録される。
なお、再記録されるデータD1’,D1”のデータ量が少ない場合などは、記録エラーが発生したブロックのデータだけでなく、その近傍のデータについても再度記録し、データD1’,データD1”が少なくとも数トラック程度のデータとして記録されるようにする。
【0052】
以上のような記録処理が行われることで、データストリーマ10に供給されるデータは確実に磁気テープに記録され、データの確実な保存ができる。さらに本例では、記録後に再生した信号は訂正符号によるエラー検出だけを行うので、記録データと再生データとの照合などの処理をすることなく簡単に記録エラーの有無が判り、簡単な構成の回路で確実な記録ができるように構成できる。
【0053】
なお、図6に示すように、記録エラーが発生した箇所のデータは磁気テープ上の他の箇所に記録されることになるが、再生時にはデータ変換装置30或はホストコンピュータ40の制御により、データの再生箇所の制御を対応して行うことで連続した1単位のデータとして再生させることができる。
【0054】
次に、本例のデータストリーマ10を使用して磁気テープから記録データを再生してホストコンピュータ40に供給する場合の処理について説明する。
図7は本例の再生タイミングを示す図で、回転ヘッドドラム11が最初に1回転する期間では図7(c)(d)に示すように、まず磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP11,P12で隣接した2トラックを再生する。
そして図7(a)(b)に示すように、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングP13,P14で隣接した2トラックを再生する。タイミングP13,P14の方がタイミングP11,P12で再生するトラックよりも6トラックだけ先行している。
【0055】
回転ヘッドドラム11が次に1回転する期間でも同様に、図7(c)(d)に示すように、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP15,P16で隣接した2トラックを再生し、続いて図5(a)(b)に示すように、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングP17,P18で隣接した2トラックを再生する。
【0056】
以下、この1回転毎に4個すべてのヘッドA1,A2,B1,B2を使用した再生を繰り返し行う。
【0057】
そして、再生RF信号より検出した再生データは、データ処理回路13に接続されたデータメモリ14に書き込まれる。
ここで、データメモリ14の構成について説明すると、本例のメモリ14は図8に示すように0V〜31Vの32トラック分の記録エリアが用意され、トラック番号0Vのエリアからトラック番号31Vのエリアまで順に書き込まれた後、トラック番号0Vのエリアに戻って書き込まれ、32トラック分の記憶エリアが循環的に使用される。1トラック分のエリアには108ブロックに対応して0BK〜107BKのエリアが設定されている。
【0058】
例えば或るタイミングで磁気ヘッドA1でトラック番号2Vの記録信号を再生したとき、このときの再生データはトラック番号2Vのエリア内の対応したブロック位置に記憶される。例えば、ブロック番号3のデータであったら、トラック番号2Vでブロック番号3BKのエリアに記憶される。
そして、このタイミングで磁気ヘッドA2が再生するトラックは6トラック遅れたトラック番号8Vの記録信号となり、この再生データがトラック番号8Vのエリア内の対応したブロック位置に記憶される。トラック番号8Vのエリアに磁気ヘッドA1で再生したデータが既に記憶されている場合でも、磁気ヘッドA2で再生したデータを書き込ませて記憶データを更新させる。
【0059】
図17で説明したように、各ブロックにはトラックアドレス(トラック番号)とブロックアドレス(ブロック番号)が記録されているが、つまり、このトラックアドレスとブロックアドレスがその再生されたブロックの、図8のメモリエリアにおける書込アドレスとなる。
したがって、各ブロックはどのような順番で再生されたとしても、それぞれデータメモリ14上に取り込まれ、1トラックを構成する各ブロックが記憶された時点で、データメモリ14から読み出されることで正しい順序に並び替えられることになる。
【0060】
記録時にも各トラック単位でデータが一旦データメモリ14に書き込まれることになるが、このときに各トラックは0V〜31Vの内の或るトラックアドレス(ADA−V)が割り当てられて記憶される。つまり、0V〜31は各トラック単位のデータのデータメモリ14への書込アドレスである。
この書込アドレスは1トラック単位のデータ毎にインクリメントされ、データメモリ14がリング状に使用される。そして、読出アドレス(REC−V)によって順次読み出されて記録ヘッド1A、1Bに供給されるが、ブロック内に記録されるトラックアドレス及びブロックアドレスは、データメモリ14内でのアドレスに相当するように与えられることになる。
【0061】
図9のように再生処理を行うことで、磁気テープの各トラックに記録されたデータが記録時の4倍の密度で再生されることになり、再生時の再生ヘッドの走査密度が十分に高く、磁気テープに記録されたデータを完全に再生することが可能になる。
以下、このことを実際の再生状態の一例を示して説明すると、例えば図9に示すように、磁気テープTにトラックTA1,TB1,TA2,TB2‥‥‥とデータが記録されたトラックが形成されている。この場合、トラックTA1,TA2,‥‥‥は磁気ヘッドA1,A2で再生できる記録アジマス角で、トラックTB1,TB2‥‥‥は磁気ヘッドB1,B2で再生できる記録アジマス角であるとする。
【0062】
ここで、磁気ヘッドA1,A2で再生できる記録アジマス角のトラックTA2に注目して説明する。
まず、最初に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s1で走査し、続いてドラムの1回転後に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s2で走査したとする。以下、1回転づつ後に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s3、s4‥‥‥と走査する。このとき、各軌跡s1、s2、s3、s4は1トラックのピッチだけずれている。
【0063】
最初に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s1で走査してからドラムが6回転した後に、磁気ヘッドA2が軌跡s1とほぼ同じ軌跡s1’で走査し、続いてドラムの1回転後に磁気ヘッドA2がテープ上の軌跡s2’で走査したとする。以下、1回転づつ後に磁気ヘッドA2がテープ上に軌跡s3’、s4’‥‥‥と走査する。
なお、s1〜s4及びs1’〜s4’の軌跡は図9に示すように、トラックに対し若干傾斜しているとする。
【0064】
このような走査が行われることで、各軌跡s1、s2、s3、s4の走査で図10(a)(b)(c)(d)に示すRF信号が再生される。
すなわち、図10(a)に示すように、軌跡s1の走査の最初にトラックTA2の信号が少しだけ再生され、残りの部分でトラックTA1の信号が再生される。また、図10(b)に示すように、軌跡s2の走査の最初のトラックTA2の信号が再生され、後半に少しだけトラックTA1の信号が再生される。また、図10(c)に示すように、軌跡s3の走査の最初にトラックTA3の信号が少しだけ再生され、残りの部分でトラックTA2の信号が再生される。さらに、図10(d)に示すように、軌跡s4の走査の最初にトラックTA3の信号が再生され、後半に少しだけトラックTA2信号が再生される。
【0065】
ここで、実際には図17で説明したように、1トラックを構成するデータは108ブロックに分割されているが、説明の簡略化のために1トラック=24ブロックと仮定してデータ再生状態を説明する。
すると、軌跡s1の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(e)に示すようにブロック番号『1』〜ブロック番号『5』となり、軌跡s2の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(f)に示すようにブロック番号『4』〜ブロック番号『13』となり、軌跡s3の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(g)に示すようにブロック番号『12』〜ブロック番号『19』となり、軌跡s4の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(h)に示すようにブロック番号『21』〜ブロック番号『24』となる。
【0066】
なお、ここで軌跡s2の走査のときに、図10(f)に示すようにブロック番号『7』のデータが再生エラーの発生により欠落したとする。また、図10(g)(h)からわかるように、ブロック番号『20』のデータは何れの走査でも再生されなかったとする。
【0067】
データ処理回路13に接続されたデータメモリ14のトラックTA2の記憶エリアでの各ブロックのデータの記憶状態は、最初に軌跡s1の走査により再生したデータとして図10(i)に示すように、ブロック番号『1』〜ブロック番号『5』のデータが記憶される。
以下、走査が進むにつれて再生できたブロック番号のデータが書き込まれることで、図10(j)(k)(l)に順に示すように、各ブロック番号のデータが順に揃っていく。この軌跡s1〜軌跡s4の走査が終了した時点では、図10(l)に示すようにブロック番号『7』のデータとブロック番号『20』のデータが欠落している。
【0068】
ここで本例においては、再度磁気ヘッドA2で図9に示すような軌跡s1’、s2’、s3’、s4’の走査が行われて、この軌跡s1’、s2’、s3’、s4’の走査でブロック番号7のデータとブロック番号20のデータが再生され、図10(m)に示すようにトラックTA2を構成する全てのブロックのデータが最終的に得られることになる。
【0069】
以上のような本例において、記録時のトラックアドレス(=データメモリ14への書込アドレス)ADA−Vの設定について説明する。
上述したように記録時には、データメモリ14に対して書込アドレスADA−Vは1トラック単位(ドラム1回転)となる周期でインクリメントされ、トラックデータがデータメモリ14に書き込まれていく。そして読出アドレスREC−Vによってトラックデータが順次読み出されてヘッドA1,B1に供給され、磁気テープに記録されていく。
ここで本例では、記録時に書込アドレスADA−V及び上述したチェックアフターライト動作について図13に示す制御が実行される。
【0070】
ホストコンピュータ40側からデータストリーマ10にデータが供給されて記録動作が開始される場合(F101)、まず書込アドレスADA−Vが強制的に0Vに設定される(F102)。例えば図11(a)のように書込アドレスADA−VがnVである状態であったとしても、これが図11(b)のように書込アドレスADA−V=0Vの位置にポインタがセットされる。そして、記録処理が開始される(F103)。つまり、この0Vとなるエリアから順にトラック単位のデータがデータメモリ14に記憶されていき、さらに読出アドレスREC−Vによって読み出されてヘッドA1,B1に供給され、磁気テープに記録されていくことになる。
【0071】
ここで、記録時にはヘッドA2,B2によって、磁気テープからトラックデータが再生され、上述したようにチェックアフターライト処理が実行されることになるが、本実施例の場合、再生したブロックデータ内に記録されているトラックアドレスADA−Vを確認する処理を行なう(F104)。
そして、トラックアドレスADA−V=0Vとなるブロックが再生されるまで待ち、ADA−V=0Vとなるブロックのデータが再生された時点で、チェックアフターライト処理を開始するようにしている(F105)。
【0072】
以上の処理について図12を用いて説明する。
記録開始時点で最初のトラックについてはトラックアドレスADA−Vが0Vに設定されることで、図12(a)の記録開始位置から現在の記録を開始した場合、磁気テープに記録される各トラック内のブロックに示されるトラックアドレスADA−Vは、図12(b)のようになる。つまり、現在の記録にかかる先頭トラックではトラックアドレスADA−V=0Vとされ、以降1トラックづつトラックアドレスADA−Vが1V,2V,3V・・・・・ 31V,0V,1V・・・・とされていくことになる。
【0073】
ここで、ヘッドA1,B1による記録が開始された時点では、6トラック分のトラック差でトレースを行なうヘッドA2,B2については、最初は過去のデータファイルのトラックをトレースすることになる。この場合、今回の記録動作でヘッドA1,B1によって記録されているトラックのトレースではないため、ヘッドA2,B2に読み取られたデータは、データチェックのためには不要なものとなる。
【0074】
そこで、ヘッドA1,B1から再生したブロックデータ内に記録されているトラックアドレスADA−Vを確認し、これが0Vとなるまで待つ。トラックアドレスADA−V=0Vとなるブロックは、即ち今回の記録動作にかかる最初のトラックのデータである。従って、ADA−V=0Vとなるブロックのデータが再生された時点で、チェックアフターライト処理を開始するようにすることで、それまでの無駄なチェック処理を排除することができ、これによって無駄な処理での消費電力を解消することができ、また不適正なチェック動作の実行も防止できる。
【0075】
なお、この例では記録動作にかかる最初のトラックアドレスを0Vに設定するようにしたが、これは0Vでなくてもよく、0〜31のうちの所定の値を設定しておけばよい。
いずれにしても、データメモリ14の容量により、記録できるトラック数がトラック0〜トラックnである場合に、設定される固定値とは0〜nのうちのいづれかの値が予め選択されて設定されていればよい。
【0076】
次に本例における再生時の処理、特にOWPコードによる有効データの判別動作に関する処理を説明する。
図19で説明したように磁気テープTに一連のデータファイルを記録する場合、OWPコードが付加され、例えば図14(a)のようにファイルXとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPX として記録されている。またファイルYとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPY として記録されている。
ここで、図14(a)のテープ位置に対してOWPコードがOWPZ とされるデータファイルZをオーバーライトしたとし、このときヘッドの目ずまりなどの何らかの原因で一部消し残りが発生し、図14(b)の斜線部REC−ERとして示すように過去のファイルXのデータが部分的に残されていたとする。
【0077】
このようなファイルZを再生した場合、読み出されるデータとしては図14(c)のようにファイルZを構成するデータDZ の途中で、ファイルXを構成していた消し残りデータDX が含まれることになる。また、読み出されるOWPコードとしては、図14(d)のように消し残り部分でOWPX となってしまう。
このため、図19で説明したようにファイルZの再生については、従来では消し残りのファイルXのデータが有効データとされてしまうとともに、ファイルZの正規のデータが欠落してしまうことが発生する。
【0078】
そこで本例では、再生中に図15の処理を行なうようにしている。
再生動作命令によって再生動作を開始した場合、ステップF201として所定期間、データを再生するとともに、識別データとして各ブロックに記録されているOWPコードを読み込んでいく。そして、取り込んだOWPコードの値のうちの大多数となっている値を、基準識別データID1としてセットする(F202) 。
これにより例えば図14(b)のファイルZに対する再生動作であるならば、基準識別データID1=OWPZ としてセットされることになる。
【0079】
基準識別データID1が設定されたら、以降、各ブロックからデータとともに再生されてくる識別データは、ブロック毎又はトラック毎にステップF203において基準識別データID1と比較される。
そして、再生されてくる識別データの値が基準識別データID1と一致している場合は、そのブロックから再生されたデータは有効データと判断されて再生出力されることになる(F205)。
【0080】
ところが、再生されてくる識別データの値の大多数が基準識別データID1と一致していない状態となった場合には、ステップF204において、その不一致な値としての大多数の値を、仮基準識別データID2としてセットする。
再生されてくる識別データの値の大多数が基準識別データID1と一致していない状態となるのは、再生が例えば図14(a)のファイルXの部分からファイルYの部分に移行したような場合、もしくは、再生が図14(b)の場合において斜線部REC−ERとして示す消し残り部分に達したような場合である。
【0081】
仮基準識別データID2を設定した場合は、ステップF206において、以降の再生動作により読み出されてくる識別データを確認し、その識別データの大多数が基準識別データID1と一致する状態に戻るか否かを判別する。
またステップF211では、読み出されてくる識別データの大多数が基準識別データID1と一致する状態には戻らず、大多数が仮基準識別データID2と一致する値となる状態が継続されるか否かを監視することになる。
【0082】
仮基準識別データID2を設定した後において、読み出されてくる識別データの殆どが仮基準識別データID2と一致する状態が所定期間以上継続した場合は、再生動作が例えば図14(a)のファイルXの部分からファイルYの部分に移行したような場合であると判断できる。
つまり、仮基準識別データID2と一致する識別データが読み出されたブロックのデータは有効データとして出力すべきものとなる。
【0083】
このためステップF211からF212に進んで、仮基準識別データID2の値を新たな基準識別データID1として設定する。即ち基準識別データID1を更新する。そして、それまでに読み出されていたブロックのデータ、つまり識別データが仮基準識別データID2と一致していたブロックのデータを、有効データとして再生出力する(F213)。そしてステップF203に戻り、以降再生されるデータについて、識別データと新たな基準識別データID1との比較に基づいて有効データか否かを判別していくことになる。
【0084】
一方、ステップF206において、仮基準識別データID2を設定した後において、読み出されてくる識別データの殆どが再び基準識別データID1と一致する状態に戻ったことが判別された場合は、それまで仮基準識別データID2が読み出されていた区間は、例えば図14(b)の斜線部REC−ERのような微小欠陥区間であると判断できる。
このような場合は、基準識別データID1を更新してしまうと、欠陥部分のデータが有効データとされてしまうことになる。
【0085】
そこで、ステップF207に進んで微小欠陥区間と判断された場合は、少なくともその微小欠陥区間が始まる前の位置までテープの巻戻を行ない、さらに、基準識別データID1の値を固定(更新禁止)の状態にして再生動作を再開する(F208)。そして、基準識別データID1とは異なる値の識別データが読み取られる微小欠陥区間におけるブロックのデータについては、それを無効データとして出力する(F209,F210) 。
【0086】
そして微小欠陥区間を過ぎると、本来のデータファイルのデータがよみだされてくるが、この場合、読み出される識別データの大多数が基準識別データID1と一致した値となる状態に戻る。このときはステップF209からF203に戻って以降の処理を続ける。
【0087】
なお、ステップF211で否定結果が得られる場合、つまり、識別データの大多数が基準識別データID1,仮基準識別データID2のいづれでも無いような状態となったときは、ステップF214で新たな欠陥区間が生じているとして所要の処理を行なうことになる。
【0088】
この図15による動作を図14(b)のファイルZの再生の場合に当てはめて説明する。
最初に基準識別データID1=OWPZ とされる。
消し残り部分REC−ERの再生時点で識別データの大多数の値が基準識別データID1とは異なるOWPX となり、その後読み出される識別データ=OWPZ の状態に戻ったことによって欠陥区間(REC−ER)が検出されたら、或る程度巻き戻した時点で基準OWP値をOWPZ に固定する(図14(e))。そして、巻き戻した位置から再度再生動作を実行する。すると、図14(f)のように、消し残り部分REC−ERの再生データについては、OWPデータはOWPX であるため、無効データと判別され、また消し残り部分REC−ERを過ぎた地点からは、OWPデータはOWPZ となるため、有効データとなり、ファイルZのデータが無効データと誤認されて欠落してしまうことはなくなる。
【0089】
この動作により、たとえ記録時に消し残り部分が発生していても適正なデータ出力を行なうことができ、信頼性を向上させることができる。なお、消し残り部分で記録されなかったファイルZのデータは、記録時のチェックアフターライト処理に応じて記録エラーが確認され、図6で説明したように他の位置にその記録できなかったデータが記録されることになるため、再生時にはファイルZの全データを間違いなく読み出して出力することができる。
【0090】
なお、実施の形態としては本発明をコンピュータ用のデータを記録し再生するデータストリーマに適用したが、本発明はオーディオ信号などの他のデータを再生する再生装置としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態のデータストリーマのブロック図である。
【図2】実施の形態のシステム構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の回転ヘッドドラムの説明図である。
【図4】実施の形態のヘッドのトレース状態の説明図である。
【図5】実施の形態の記録処理のタイミングの説明図である。
【図6】実施の形態の記録状態の説明図である。
【図7】実施の形態の再生処理のタイミングの説明図である。
【図8】実施の形態のメモリのエリア構成の説明図である。
【図9】実施の形態の再生時のヘッドの軌跡の説明図である。
【図10】実施の形態のデータ再生状態の説明図である。
【図11】実施の形態の記録時のトラックアドレス設定動作の説明図である。
【図12】実施の形態の記録時のトラックアドレス設定状態の説明図である。
【図13】実施の形態の記録時の処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態の基準OWPコードを固定した再生リトライ動作の説明図である。
【図15】実施の形態の基準OWPコードを固定した再生リトライ動作を含む処理のフローチャートである。
【図16】ノントラッキング方式の記録再生状態の説明図である。
【図17】ノントラッキング方式のトラックデータフォーマットの説明図である。
【図18】ノントラッキング方式でのトラックアドレス状態の説明図である。
【図19】OWPコードが付加された場合の消し残り部分の影響で発生するデータエラーの説明図である。
【符号の説明】
【0092】
10 データストリーマ、11 回転ヘッドドラム、12 インターフェース、13 データ処理回路、14 データメモリ、21 中央制御装置(CPU)、30 データ変換装置、40 ホストコンピュータ、A1,A2,B1,B2 ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータストリーマと称されるデータ記録再生装置などにおける適用に好適な再生装置、再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気テープを記録媒体とするデータ記録方式において広く採用されているヘリカルスキャン記録方式では、回転ヘッドに磁気テープを巻き付け、テープ進行方向に対して斜め方向にヘッド走査を行なうことで、図16に示すように磁気テープTには斜め方向にトラックTKが形成される。
【0003】
このようなデータ記録方式において、いわゆるノントラッキング方式として知られているものがある。
このノントラッキング方式とは、再生時には図16にPa,Pbとして示すように記録時より高密度スキャンを行なうことにより、トラック上を正確にトレースしなくてもトラックTK上の全データを読み込むことができるようにし、さらに読み込んだデータはデータとともに記録されているアドレスを用いて並び変えていくことで、正確な再生データストリームを再構成することができるようにしたものである。
【0004】
図17にノントラッキング方式における磁気テープ上のトラックTKの構成を示す。
図17(a)に示すように、1トラックは108ブロックで構成される。1ブロックは288ビットである。
トラックのうち中央の92ブロックがメインデータ領域とされ、その両側に9ブロックの内側2重記録領域、及び7ブロックの外側2重記録領域が形成されている。
【0005】
内側2重記録領域では、その位置から外側方向に92ブロック離れたメインデータ領域内のブロックと同一内容のデータが記録され、また外側2重記録領域では、その位置から内側方向に92ブロック離れたメインデータ領域内のブロックと同一内容のデータが記録されている。
具体的には、図17(a)におけるデータ領域DA1内で斜線を付した先頭7ブロックと同一内容のデータが、外側2重記録領域にも記録され、また、データ領域DA2内で斜線を付した終端9ブロックと同一内容のデータが、内側2重記録領域にも記録されるものとなる。
【0006】
この内側2重記録領域と外側2重記録領域は、トラックとヘッドの相対関係においてトラックの始端及び終端における信号読取の信頼性を向上させるために設けられている。つまり、テープの揺動でヘッドの当たり位置がずれても、互いに補い合うようにされ、メインデータ領域内に記録されているブロックとしてのデータについて、トラック始端側もしくは終端側における読取不能のブロック(データ内容)が発生しないようにしている。例えばトラックとヘッドの当たり開始位置(走査開始位置)がずれてデータ領域DA1内の先頭数ブロックが読み込めないような場合があっても、そのデータは外側2重記録領域から読み込むことができる。
【0007】
92ブロックのメインデータ領域については、中央の2ブロックがサブコード(AUX)、その両側の各1ブロックがIBG(Inter-block Gap)、さらにその両側の各4ブロックが制御コード(CTL)の領域とされる。そして、さらにその両側において40ブロックづつのデータ領域DA1,DA2が形成される。
【0008】
1ブロック内の信号フォーマットは図17(b)のようになる。
まず先頭11ビットがシンクパターンとされ、続いて13ビットでアドレスADRSが記録される。このアドレスADRSは6ビットのトラックアドレスと7ビットのブロックアドレスにより構成されている。
各ブロックにはこのようにトラックアドレスとブロックアドレスが記録されていることにより、再生時には適正なブロック順序でデータストリームを再構成することができる。
【0009】
ノントラッキング方式の場合、再生ヘッドは必ずしもトラックTK上を正確にトレースしないため、図16に示したように高密度スキャンを行なうことで各トラックについて全ブロックを読み出すことができるようにしている。しかし、この場合各ブロックの読出順序はランダムなものとなる。読み出されたブロックデータは一旦RAMに蓄えられるが、このとき、RAM上ではトラックアドレスとブロックアドレスを用いて書き込みアドレスを生成し各ブロックデータを書き込んでいく。従って、或るトラックについて全ブロックが読み取れた段階では、RAM上ではそのトラックの全てのデータが並んでいるものとなる。従ってRAMから順番にブロックデータを読み出せば適正なデータストリームが再構成されたことになる。
【0010】
アドレスADRSに続いて各12ビットで4ワードのP,Qパリティ(POD,QOD,PEV,QEV)が記録される。
そしてパリティワードに続いて各12ビットで16ワードのデータ(DT1 〜DT16)が記録される。
16ワードのデータ(DT1 〜DT16)に続いて、各12ビットで2つのCRC(Cyclic Redundancy Check code)ワードが記録される。また、このCRCワードには、オーバーライトプロテクトコード(以下、OWPコードという)が記録される。
【0011】
ノントラッキング方式では、記録領域のずれを許容しているため、トラックの両端付近に古いデータの消し残りが存在することがある。また、記録時のドロップアウトやヘッドの目詰まりなどにより、オーバライト時に消去されなかった消し残り部分が発生することもある。再生時にはこのような消し残りデータはCRCはセーフとなるため、正しいデータと誤認されてしまう。そこで、記録動作の切れ目ごとに更新されるコードとしてOWPコードが記録される。
【0012】
再生時には、再生スキャンするトラックについて読み出される各ブロックからOWPコードを抽出していき、多数決で基準のOWPコードを設定する。
1トラック内で或る部分に消し残りが発生していた場合、その消し残りブロックから抽出されるOWPコードは、オーバーライトしたブロックから抽出されるOWPコードとは異なるものとなる。
ところが、1トラックを再生した場合、一部に消し残りがあっても、殆どは正しくオーバーライトされたブロックが読み取れるため、OWPコードとして多数決を取ることにより、その多数側のOWPコードが正しくオーバーライトされたときに設定されたOWPコードと判別することができる。
そして、そのOWPコードを基準OWPコードと設定し、以降、その一連の記録に対する再生においては、OWPコードが異なるブロックのデータは消し残りデータであると判断して、無効とすることができ、誤ったデータを出力してしまうことを防止できる。
【0013】
なお、OWPコードは同じ2ワードを並べて24ビットのCRCと排他的論理和(Exclusive-OR)をとってから記録するようにしている。従って再生時には、再生データから生成したCRCとの排他的論理を取ることで、OWPコードを復元することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、コンピュータプログラムなどのデータを磁気テープに記録することを考えると、記録時にデータの欠落や誤ったデータを記録してしまうことを回避しなければならない。このためチェックアフターライトという、記録時に記録したデータを記録直後にチェックすることを行なっている。
これは、例えば回転ドラムに配されるヘッドとしてヘッドA1 ,B1 と、これらに180°対向した位置にヘッドA2 ,B2 を設ける。そしてヘッドA1 ,B1 によりトラックとしてデータを記録していくとともに、ヘッドA2 ,B2 で記録したトラックのデータの再生を行なってデータが正しく記録されているかをチェックするようにしている。
ヘッドA2 ,B2 はヘッドA1 ,B1 に対して磁気テープ上で数トラックのトラック差をもって、記録されたトラックのトレースを行なうことになる。
【0015】
ここで、ヘッドA1 ,B1 で記録を行なう際、トラックアドレス(ADA−V)は0〜31の繰り返し値で、ドラム1回転につきインクリメントされて、図17(b)の各ブロックのアドレスADRS内に記録される。
例えば図18(a)のようにテープT上に過去に記録したデータファイルが存在する場合、そのデータファイルを構成する各トラックについては、図18(b)のように『0』〜『31』のトラックアドレス(ADA−V)が繰り返し記録される。トラックアドレス(ADA−V)は上述したように記録時及び再生時にデータを一時的に蓄えるRAMのアドレスと兼用されており、つまり、RAMが32トラック分の容量を備える場合に、トラックアドレス(ADA−V)は0〜31の値が設定されることになる。
【0016】
例えば、過去に記録したデータファイルに続いて、図18(a)に記録開始として示す位置から新たなデータファイルの記録が開始されるとする。
この場合に、過去に記録されたデータファイルの記録停止時の最終トラックのトラックアドレス(ADA−V)が『16』であったとすると、新たなデータファイルの記録についてはトラックアドレス(ADA−V)の値は『17』から開始されることになる。そして、各トラック毎にトラックアドレス(ADA−V)は『18』『19』・・・・・・『31』『0』『1』・・・・と更新されていく。
【0017】
ここで、ヘッドA1 ,B1 による記録が開始された場合は、数トラック分のトラック差でトレースを行なうヘッドA2 ,B2 については、最初は過去のデータファイルのトラックをトレースすることになる。従ってこの時点でヘッドA2 ,B2 によりトレースされるデータは、今回の記録動作でヘッドA1 ,B1 によって記録されているトラックのデータとは全く相関性のないデータであり、ヘッドA2 ,B2 に読み取られたデータは、データチェックのためには不要なものとなる。
【0018】
ところが、実際には、今回の記録によるトラックがどこから始まっているかは再生データからは判断できないため、ヘッドA2 ,B2 に読み取られたデータによるデータチェック処理は、今回のデータファイルとして実際に記録が開始された先頭のトラックに達する前も実行していなければならない。
そして、過去に記録したトラックからのデータによるデータチェック処理は、電力消費の無駄を発生させ、また場合によっては不適正なチェック動作が実行されてしまうという問題があった。
【0019】
また、上述したようにテープTに一連のデータファイルを記録する場合、OWPコードを付加しており、例えば図19(a)のようにファイルXとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPX として記録されている。またファイルYとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPY として記録されている。
【0020】
例えばファイルXの再生時には、基準OWPコードがOWPX にセットされ、読み出される各ブロックについてのOWPコードと比較されて、基準OWPコードと一致していた場合が有効データとされる。もしこのとき図中破線Pとして示す方向に再生走査がなされてファイルYのブロックが読み込まれても、そのブロックはOWPY とされており基準OWPコード(=OWPX )と異なるため、ファイルXの有効データとはされない。
その後ファイルYの再生に進むと、OWPY となるOWPコードの方が多数読み込まれることになるため基準OWPコードがOWPY に変更され、ファイルYのブロックが有効データとされる。
【0021】
ここで、図19(b)に示すようにファイルXが記録されていたテープ位置に対してデータファイルZをオーバーライトしたとする。この場合のOWPコードはOWPZ であったとする。
ところが、ヘッドの目ずまりなどの何らかの原因で一部消し残りが発生し、図19(b)の斜線部REC−ERとして示すように過去のファイルXのデータが部分的に残されていたとする。
【0022】
これを再生すると、再生ヘッドによってテープTから読み出されるデータは、図19(c)のようにファイルZを構成するデータDZ の途中で、ファイルXを構成していた消し残りデータDX が含まれることになる。データDX となるブロクのOWPコードは図19(d)のようにOWPX である。
【0023】
の再生時には、まず基準OWPコードはOWPZ にセットされ、データDZ となるブロックのOWPコード(OWPZ )と比較されるため、図19(f)に示すように、その一致によりデータDZ が有効再生出力とされる。
ところが消し残り部分(REC−ER)の再生に進むと、OWPX が多数読み出されるため、図19(e)のように基準OWPコードがOWPX に変更されてしまう。そして基準OWPコードの変更後は読み出される消し残りのデータDX を有効データとして処理してしまう。消し残り部分の再生の後は、再びOWPZ が多数読み出されるため基準OWPコードが再びOWPZ にセットされ、読み出されてくるデータDZ が有効再生出力とされる。
以上のような動作のため、ファイルZの再生については図19(f)のように、図中ED1 の期間で不要なデータが有効データとされてしまうとともに、図中ED2 の期間で読み出される正規のデータが欠落してしまうことがあり、信頼性を低下させる大きな問題となっていた。
【0024】
本発明は、データ再生装置としての信頼性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このため、所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生動作時に、各ブロックから読み出されてくる識別データから基準識別データ値を設定し、読み出される各ブロックのデータについて、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別する。ここで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった場合に、それ以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻るか否かを判別し、読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻った場合には、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった区間を含む再生動作を再実行させるようにする。
【0026】
再生時においては、オーバーライト記録の際の消し残り部分の影響で基準OWPコードが変更されて不要なデータが有効とされたり、正規のデータが欠落するような場合があるが、その可能性のある区間、つまり消し残りなどの記録欠陥区間は部分的に或る区間でOWPコードが変更されたことにより検出できる。
そこで、このような場合は、基準OWPコードを固定した上で再生リトライを行なうことで、消し残りデータを排除し、正規のデータを正しく再生することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、再生時において、オーバーライト記録の際の消し残り部分の影響で基準識別データ(基準OWPコード)が変更されて不要なデータが有効とされたり、正規のデータが欠落するような場合があるが、その可能性のある区間を検出し、検出された場合は、基準識別データを固定した上で再生リトライを行なうようにしている。これにより、消し残りデータが誤って有効データとされたり、正規のデータが正しく再生できないといったことが解消され、正確なデータ再生を実行できるという効果があり、記録再生動作の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態となる記録再生装置について説明する。この記録再生装置は磁気テープを記録媒体としてコンピュータ用のデータなどを記録再生するデータストリーマとされるものでる。データストリーマとしての構成を図1に示し、このデータストリーマと接続される外部機器(ホストコンピュータなど)の構成を図2に示す。
【0029】
まず、データストリーマ10の構成を図1を参照して説明する。
図1において、インターフェース12はコンピュータ等の外部の機器と接続される。そしてこのインターフェース12は、外部機器から供給されるデータをデータ処理回路13に供給する。
このデータ処理回路13はデータ処理用のメモリ14が接続され、外部から供給されるデータを記録用のデータに変換する処理を行うと共に、再生データを出力用のデータに変換する処理が行われる。また、外部から供給されるデータを所定ブロックに分割し、各ブロック毎にブロック番号のデータとエラー訂正符号を付加する処理が行われる。これらのデータ処理回路13は、このストリーマの各部の動作を制御するマイクロコンピュータである中央制御装置(CPU)21の制御に基づいて行われる。
【0030】
そして、データ処理回路13で記録用に処理された記録データを変調回路15にて記録用の変調処理を行って記録信号とし、この記録信号をRFアンプ16、17に供給する。この場合、RFアンプ16とRFアンプ17には1トラック分の記録データ毎に交互に供給する(1トラック分のデータは複数ブロックで構成される)。
RFアンプ16にはロータリートランス18を介して回転ヘッドドラム(図示せず)内の磁気ヘッドA1、A2が接続してあり、RFアンプ16で増幅処理された記録RF信号を磁気ヘッドA1に供給して磁気テープに記録させる。
また、RFアンプ17にはロータリートランス18を介して回転ヘッドドラム内の磁気ヘッドB1、B2が接続してあり、RFアンプ17で増幅処理された記録RF信号を磁気ヘッドB1に供給して磁気テープに記録させる。
【0031】
磁気ヘッドA1、A2の再生信号は、ロータリートランス18を介してRFアンプに供給するようにされており、このRFアンプ16で増幅された再生信号RF信号は検出回路19で検波され、再生データとそのクロック成分が検出されてデータ処理回路13に供給される。
【0032】
同様に磁気ヘッドB1、B2の再生信号はロータリートランス18を介してRFアンプ17に供給するようにされており、このRFアンプ17で増幅された再生RF信号は検波回路20で検波され、再生データとそのクロック成分が検出されてデータ処理回路13に供給される。
【0033】
そしてデータ処理回路13では、再生データをデータメモリ14を使用して1トラックづつのデータに復元する合成処理を行うと共に、再生データに付加されたエラー訂正符号を使用してエラー検出及びエラー訂正処理を行う。
以上の処理により各トラックのデータが完全なデータとなった段階で、インターフェース12にクロックと共に供給し、接続された外部の機器側に再生データを伝送される。
【0034】
の場合には磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とを使用した記録時に、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とを使用して記録された信号を記録直後に再生するようにしてあり、この場合にデータ処理回路13に供給される再生データは、この再生データに含まれる訂正符号を使用して各ブロック毎にエラー検出を行う。そして、検出したエラーの有無のデータを各ブロック毎のアドレスデータを付加してインターフェース12から外部機器に供給する。
【0035】
また、本例の中央制御装置21には制御プログラムなどが記録されたRAM22が接続される。そして、この中央制御装置21からの指令に基づいて、回転ヘッドドラム用モータ24をドラムモータ駆動回路23の制御で所定速度に回転駆動させる。この場合、回転ヘッドドラムの回転状態は周波数発生器(FG;Frequency Generator )25で検出される。
また、この記録再生装置に装着される磁気テープのドラムへの巻き付けなどを行うコントロールモータ27を、中央制御装置21からの指令に基づいたコントロールモータ駆動回路26の制御で駆動させる。また磁気テープの巻き付け状態などがセンサ28で検出される。
【0036】
本例の回転ヘッドドラムの磁気ヘッドの配置を図3に示す。図3に示すように、回転ヘッドドラム11には所定箇所に近接して磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とが配置されている。この場合、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とはアジマス角を一方と他方に変えてあり、1トラック分だけ磁気ヘッドA1、B1の取り付け高さを変えてある。
この磁気ヘッドA1、B1は記録・再生兼用のヘッドである。
【0037】
磁気ヘッドA1、B1と回転角で180°離れた位置には2個の再生専用の磁気ヘッドA2、B2が近接して配置してある。この2個の磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2についても、アジマス角を一方と他方に変えてある。つまり磁気ヘッドA1とA2が一方のアジマス角、磁気ヘッドB1とB2は他方のアジマス角とされる。また磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とは、1トラック分だけ取り付け高さを変えてある。
【0038】
そして、一方の組の磁気ヘッドA1、B1に対する他方の組の磁気ヘッドA2、B2の取り付け高さを数トラック分(ここでは6トラックとする)だけずらしてある。
この回転ヘッドドラム1には磁気テープTを約100°の角度範囲巻き付けてある。
【0039】
このように4個の磁気ヘッドを配置したことで、この回転ヘッドドラム11を1回転させることで各磁気ヘッドで図4に示す走査が行われる。すなわち、回転ヘッドドラム11が1回転して磁気ヘッドA1が図4にA1として示す軌跡でトラック上を走査したとき、磁気ヘッドB1はテープ走行方向に対して1トラック遅れた隣のトラックを走査する軌跡B1が得られ、磁気ヘッドA2の軌跡A2は磁気ヘッドA1の軌跡A1から6トラック遅れた軌跡となり、磁気ヘッドB2の軌跡B2は磁気ヘッドB1の軌跡B1から6トラック遅れた軌跡となる。
【0040】
なお、本例の場合には磁気テープを往復使用できるシステムとする。即ち磁気テープを装着したカセットの表面を上にして装着したとき、磁気テープの上段の一方向への記録及び再生ができ、磁気テープを装着したカセットの裏面を上にして装着したとき、磁気テープの下段の他方向への記録及び再生ができるようにする。図4などでは、テープパターンとしては片方向の記録及び再生パターンだけを示してある。
【0041】
また本例の場合には、ノントラッキング方式であるため、再生時に磁気ヘッドの走査軌跡を記録トラックと一致させるトラッキング制御は行わない。
【0042】
次に、このような構成のデータストリーマと接続される外部機器の構成を図2に示す。図1でその構成を説明したデータストリーマ10は、データ変換装置30を介してホストコンピュータ40と接続される。
【0043】
ホストコンピュータ40は、メインの演算処理部である中央制御装置41と、演算処理に使用するデータを格納するメモリ42と、ハードディスクなどを使用した大容量データ記憶部であるディスクユニット43とを備え、ディスクユニット43はインターフェース44を介して各部とデータの伝送を行うバスラインと接続される。
このバスラインとしては、データ用のバスラインと、この伝送されるデータのアドレスデータを伝送するためのバスラインとが用意されている。そして、このそれぞれのバスラインにはデータ変換装置30と接続するためのインターフェース45が接続してある。
【0044】
ホストコンピュータ40のインターフェース45からデータ変換装置30に送出されたデータは、データ変換装置30内でデータストリーマ10が受信できる構成のデータに変換され、データストリーマ10内のインターフェース12に伝送される。
また、データストリーマ10内のインターフェース12からデータ変換装置30に送出されたデータは、データ変換装置30内でホストコンピュータ40が受信できる構成のデータに変換され、ホストコンピュータ40内のインターフェース44に伝送される。
【0045】
次に、本例のデータストリーマを使用してホストコンピュータ40から供給されるデータを磁気テープに記録する場合の処理について説明する。
図5は本例の記録タイミングを示す図で、回転ヘッドドラム11が最初に1回転する期間では図5(c)(d)に示すように、まず磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP1、P2で隣接した2トラックを再生する。但し、記録開始時には記録トラックが無い部分、もしくは過去に記録したファイルとなる部分を再生することになる。
そして、図5(a)に示すように、磁気ヘッドA1が磁気テープTを走査するタイミングR1で1トラック分の記録が行われる。このとき、別の記録用磁気ヘッドB1では図5(b)に示すように、磁気テープTを走査するタイミングでも記録が行われない。
【0046】
回転ヘッドドラム11が次に1回転する期間では図5(c)(d)に示すように、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP3、P4で隣接した2トラックを再生する。そして、図5(b)に示すように、磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングR2で1トラック分の記録が行われる。このとき、別の記録用磁気ヘッドA1では図5(a)に示すように、磁気テープTを走査するタイミングでも記録が行われない。
【0047】
このようにして、回転ヘッドドラム11が1回転する毎に1トラックづつ記録される。このとき、アジマス角の異なる磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1とを交互に使用して記録するので、一方の記録アジマス角のトラックと他方の記録アジマス角のトラックとが交互に形成される。
【0048】
そして、この記録中の磁気ヘッドA1、B1とは別の磁気ヘッドA2、B2で再生を行っているので、記録された信号が直ちに再生される。
本例では図4で示すように、磁気ヘッドA2、B2で走査するトラックが磁気ヘッドA1、B1で走査するトラックより6トラック遅れたトラックであるので、記録を開始してから6トラック記録が進んだ時点で、その記録された信号が、磁気ヘッドA2、B2により再生されるようになり、以後6トラックづつ遅れて記録信号が再生される。この再生信号により、いわゆるチェックアフターライト処理が行われる。
【0049】
つまり、この記録中の再生信号より検出した再生データをデータ処理回路13に供給して、この再生データに含まれる訂正符号を使用してブロック毎にエラー検出を行う。
そして、エラーが検出されたときには、記録エラーが発生したブロックのアドレスデータであるトラック番号及びブロック番号のデータを、データ処理回路13からインターフェース12を介してデータ変換装置30に伝送する。
データ変換装置30側では、この記録エラー発生した箇所のアドレスデータを記憶しておく。
【0050】
そして、このときにホストコンピュータ40から供給される1単位のデータの記録が終了すると、データ変換装置30では記録エラーが発生した箇所のデータをホストコンピュータから再度伝送させるように、ホストコンピュータ40にリクエスト信号を送る。そして、このリクエスト信号によりホストコンピュータ40から出力されるデータをデータ変換装置30を介してデータストリーマ10に伝送させ、再度磁気テープに記録させる処理を行う。このときにも図5に示すように、記録された信号を直後に再生して記録エラーの有無をチェックし、記録エラーを検出したときには更に同じデータの記録を繰り返させる。
【0051】
このように記録が行われることで、例えば図6に示すように、1単位のデータD1を磁気テープの所定箇所に記録した際に、この記録されたデータD1の中で記録エラーが発生した部分のデータが、このデータD1を記録された箇所の後にデータD1’、或はD1”として再度記録される。
なお、再記録されるデータD1’,D1”のデータ量が少ない場合などは、記録エラーが発生したブロックのデータだけでなく、その近傍のデータについても再度記録し、データD1’,データD1”が少なくとも数トラック程度のデータとして記録されるようにする。
【0052】
以上のような記録処理が行われることで、データストリーマ10に供給されるデータは確実に磁気テープに記録され、データの確実な保存ができる。さらに本例では、記録後に再生した信号は訂正符号によるエラー検出だけを行うので、記録データと再生データとの照合などの処理をすることなく簡単に記録エラーの有無が判り、簡単な構成の回路で確実な記録ができるように構成できる。
【0053】
なお、図6に示すように、記録エラーが発生した箇所のデータは磁気テープ上の他の箇所に記録されることになるが、再生時にはデータ変換装置30或はホストコンピュータ40の制御により、データの再生箇所の制御を対応して行うことで連続した1単位のデータとして再生させることができる。
【0054】
次に、本例のデータストリーマ10を使用して磁気テープから記録データを再生してホストコンピュータ40に供給する場合の処理について説明する。
図7は本例の再生タイミングを示す図で、回転ヘッドドラム11が最初に1回転する期間では図7(c)(d)に示すように、まず磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP11,P12で隣接した2トラックを再生する。
そして図7(a)(b)に示すように、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングP13,P14で隣接した2トラックを再生する。タイミングP13,P14の方がタイミングP11,P12で再生するトラックよりも6トラックだけ先行している。
【0055】
回転ヘッドドラム11が次に1回転する期間でも同様に、図7(c)(d)に示すように、磁気ヘッドA2と磁気ヘッドB2とが磁気テープTを走査するタイミングP15,P16で隣接した2トラックを再生し、続いて図5(a)(b)に示すように、磁気ヘッドA1と磁気ヘッドB1が磁気テープTを走査するタイミングP17,P18で隣接した2トラックを再生する。
【0056】
以下、この1回転毎に4個すべてのヘッドA1,A2,B1,B2を使用した再生を繰り返し行う。
【0057】
そして、再生RF信号より検出した再生データは、データ処理回路13に接続されたデータメモリ14に書き込まれる。
ここで、データメモリ14の構成について説明すると、本例のメモリ14は図8に示すように0V〜31Vの32トラック分の記録エリアが用意され、トラック番号0Vのエリアからトラック番号31Vのエリアまで順に書き込まれた後、トラック番号0Vのエリアに戻って書き込まれ、32トラック分の記憶エリアが循環的に使用される。1トラック分のエリアには108ブロックに対応して0BK〜107BKのエリアが設定されている。
【0058】
例えば或るタイミングで磁気ヘッドA1でトラック番号2Vの記録信号を再生したとき、このときの再生データはトラック番号2Vのエリア内の対応したブロック位置に記憶される。例えば、ブロック番号3のデータであったら、トラック番号2Vでブロック番号3BKのエリアに記憶される。
そして、このタイミングで磁気ヘッドA2が再生するトラックは6トラック遅れたトラック番号8Vの記録信号となり、この再生データがトラック番号8Vのエリア内の対応したブロック位置に記憶される。トラック番号8Vのエリアに磁気ヘッドA1で再生したデータが既に記憶されている場合でも、磁気ヘッドA2で再生したデータを書き込ませて記憶データを更新させる。
【0059】
図17で説明したように、各ブロックにはトラックアドレス(トラック番号)とブロックアドレス(ブロック番号)が記録されているが、つまり、このトラックアドレスとブロックアドレスがその再生されたブロックの、図8のメモリエリアにおける書込アドレスとなる。
したがって、各ブロックはどのような順番で再生されたとしても、それぞれデータメモリ14上に取り込まれ、1トラックを構成する各ブロックが記憶された時点で、データメモリ14から読み出されることで正しい順序に並び替えられることになる。
【0060】
記録時にも各トラック単位でデータが一旦データメモリ14に書き込まれることになるが、このときに各トラックは0V〜31Vの内の或るトラックアドレス(ADA−V)が割り当てられて記憶される。つまり、0V〜31は各トラック単位のデータのデータメモリ14への書込アドレスである。
この書込アドレスは1トラック単位のデータ毎にインクリメントされ、データメモリ14がリング状に使用される。そして、読出アドレス(REC−V)によって順次読み出されて記録ヘッド1A、1Bに供給されるが、ブロック内に記録されるトラックアドレス及びブロックアドレスは、データメモリ14内でのアドレスに相当するように与えられることになる。
【0061】
図9のように再生処理を行うことで、磁気テープの各トラックに記録されたデータが記録時の4倍の密度で再生されることになり、再生時の再生ヘッドの走査密度が十分に高く、磁気テープに記録されたデータを完全に再生することが可能になる。
以下、このことを実際の再生状態の一例を示して説明すると、例えば図9に示すように、磁気テープTにトラックTA1,TB1,TA2,TB2‥‥‥とデータが記録されたトラックが形成されている。この場合、トラックTA1,TA2,‥‥‥は磁気ヘッドA1,A2で再生できる記録アジマス角で、トラックTB1,TB2‥‥‥は磁気ヘッドB1,B2で再生できる記録アジマス角であるとする。
【0062】
ここで、磁気ヘッドA1,A2で再生できる記録アジマス角のトラックTA2に注目して説明する。
まず、最初に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s1で走査し、続いてドラムの1回転後に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s2で走査したとする。以下、1回転づつ後に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s3、s4‥‥‥と走査する。このとき、各軌跡s1、s2、s3、s4は1トラックのピッチだけずれている。
【0063】
最初に磁気ヘッドA1がテープ上を軌跡s1で走査してからドラムが6回転した後に、磁気ヘッドA2が軌跡s1とほぼ同じ軌跡s1’で走査し、続いてドラムの1回転後に磁気ヘッドA2がテープ上の軌跡s2’で走査したとする。以下、1回転づつ後に磁気ヘッドA2がテープ上に軌跡s3’、s4’‥‥‥と走査する。
なお、s1〜s4及びs1’〜s4’の軌跡は図9に示すように、トラックに対し若干傾斜しているとする。
【0064】
このような走査が行われることで、各軌跡s1、s2、s3、s4の走査で図10(a)(b)(c)(d)に示すRF信号が再生される。
すなわち、図10(a)に示すように、軌跡s1の走査の最初にトラックTA2の信号が少しだけ再生され、残りの部分でトラックTA1の信号が再生される。また、図10(b)に示すように、軌跡s2の走査の最初のトラックTA2の信号が再生され、後半に少しだけトラックTA1の信号が再生される。また、図10(c)に示すように、軌跡s3の走査の最初にトラックTA3の信号が少しだけ再生され、残りの部分でトラックTA2の信号が再生される。さらに、図10(d)に示すように、軌跡s4の走査の最初にトラックTA3の信号が再生され、後半に少しだけトラックTA2信号が再生される。
【0065】
ここで、実際には図17で説明したように、1トラックを構成するデータは108ブロックに分割されているが、説明の簡略化のために1トラック=24ブロックと仮定してデータ再生状態を説明する。
すると、軌跡s1の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(e)に示すようにブロック番号『1』〜ブロック番号『5』となり、軌跡s2の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(f)に示すようにブロック番号『4』〜ブロック番号『13』となり、軌跡s3の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(g)に示すようにブロック番号『12』〜ブロック番号『19』となり、軌跡s4の走査で検出されるトラックTA2のデータのブロック番号が、図10(h)に示すようにブロック番号『21』〜ブロック番号『24』となる。
【0066】
なお、ここで軌跡s2の走査のときに、図10(f)に示すようにブロック番号『7』のデータが再生エラーの発生により欠落したとする。また、図10(g)(h)からわかるように、ブロック番号『20』のデータは何れの走査でも再生されなかったとする。
【0067】
データ処理回路13に接続されたデータメモリ14のトラックTA2の記憶エリアでの各ブロックのデータの記憶状態は、最初に軌跡s1の走査により再生したデータとして図10(i)に示すように、ブロック番号『1』〜ブロック番号『5』のデータが記憶される。
以下、走査が進むにつれて再生できたブロック番号のデータが書き込まれることで、図10(j)(k)(l)に順に示すように、各ブロック番号のデータが順に揃っていく。この軌跡s1〜軌跡s4の走査が終了した時点では、図10(l)に示すようにブロック番号『7』のデータとブロック番号『20』のデータが欠落している。
【0068】
ここで本例においては、再度磁気ヘッドA2で図9に示すような軌跡s1’、s2’、s3’、s4’の走査が行われて、この軌跡s1’、s2’、s3’、s4’の走査でブロック番号7のデータとブロック番号20のデータが再生され、図10(m)に示すようにトラックTA2を構成する全てのブロックのデータが最終的に得られることになる。
【0069】
以上のような本例において、記録時のトラックアドレス(=データメモリ14への書込アドレス)ADA−Vの設定について説明する。
上述したように記録時には、データメモリ14に対して書込アドレスADA−Vは1トラック単位(ドラム1回転)となる周期でインクリメントされ、トラックデータがデータメモリ14に書き込まれていく。そして読出アドレスREC−Vによってトラックデータが順次読み出されてヘッドA1,B1に供給され、磁気テープに記録されていく。
ここで本例では、記録時に書込アドレスADA−V及び上述したチェックアフターライト動作について図13に示す制御が実行される。
【0070】
ホストコンピュータ40側からデータストリーマ10にデータが供給されて記録動作が開始される場合(F101)、まず書込アドレスADA−Vが強制的に0Vに設定される(F102)。例えば図11(a)のように書込アドレスADA−VがnVである状態であったとしても、これが図11(b)のように書込アドレスADA−V=0Vの位置にポインタがセットされる。そして、記録処理が開始される(F103)。つまり、この0Vとなるエリアから順にトラック単位のデータがデータメモリ14に記憶されていき、さらに読出アドレスREC−Vによって読み出されてヘッドA1,B1に供給され、磁気テープに記録されていくことになる。
【0071】
ここで、記録時にはヘッドA2,B2によって、磁気テープからトラックデータが再生され、上述したようにチェックアフターライト処理が実行されることになるが、本実施例の場合、再生したブロックデータ内に記録されているトラックアドレスADA−Vを確認する処理を行なう(F104)。
そして、トラックアドレスADA−V=0Vとなるブロックが再生されるまで待ち、ADA−V=0Vとなるブロックのデータが再生された時点で、チェックアフターライト処理を開始するようにしている(F105)。
【0072】
以上の処理について図12を用いて説明する。
記録開始時点で最初のトラックについてはトラックアドレスADA−Vが0Vに設定されることで、図12(a)の記録開始位置から現在の記録を開始した場合、磁気テープに記録される各トラック内のブロックに示されるトラックアドレスADA−Vは、図12(b)のようになる。つまり、現在の記録にかかる先頭トラックではトラックアドレスADA−V=0Vとされ、以降1トラックづつトラックアドレスADA−Vが1V,2V,3V・・・・・ 31V,0V,1V・・・・とされていくことになる。
【0073】
ここで、ヘッドA1,B1による記録が開始された時点では、6トラック分のトラック差でトレースを行なうヘッドA2,B2については、最初は過去のデータファイルのトラックをトレースすることになる。この場合、今回の記録動作でヘッドA1,B1によって記録されているトラックのトレースではないため、ヘッドA2,B2に読み取られたデータは、データチェックのためには不要なものとなる。
【0074】
そこで、ヘッドA1,B1から再生したブロックデータ内に記録されているトラックアドレスADA−Vを確認し、これが0Vとなるまで待つ。トラックアドレスADA−V=0Vとなるブロックは、即ち今回の記録動作にかかる最初のトラックのデータである。従って、ADA−V=0Vとなるブロックのデータが再生された時点で、チェックアフターライト処理を開始するようにすることで、それまでの無駄なチェック処理を排除することができ、これによって無駄な処理での消費電力を解消することができ、また不適正なチェック動作の実行も防止できる。
【0075】
なお、この例では記録動作にかかる最初のトラックアドレスを0Vに設定するようにしたが、これは0Vでなくてもよく、0〜31のうちの所定の値を設定しておけばよい。
いずれにしても、データメモリ14の容量により、記録できるトラック数がトラック0〜トラックnである場合に、設定される固定値とは0〜nのうちのいづれかの値が予め選択されて設定されていればよい。
【0076】
次に本例における再生時の処理、特にOWPコードによる有効データの判別動作に関する処理を説明する。
図19で説明したように磁気テープTに一連のデータファイルを記録する場合、OWPコードが付加され、例えば図14(a)のようにファイルXとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPX として記録されている。またファイルYとなるトラックについては、各ブロックにOWPコードがOWPY として記録されている。
ここで、図14(a)のテープ位置に対してOWPコードがOWPZ とされるデータファイルZをオーバーライトしたとし、このときヘッドの目ずまりなどの何らかの原因で一部消し残りが発生し、図14(b)の斜線部REC−ERとして示すように過去のファイルXのデータが部分的に残されていたとする。
【0077】
このようなファイルZを再生した場合、読み出されるデータとしては図14(c)のようにファイルZを構成するデータDZ の途中で、ファイルXを構成していた消し残りデータDX が含まれることになる。また、読み出されるOWPコードとしては、図14(d)のように消し残り部分でOWPX となってしまう。
このため、図19で説明したようにファイルZの再生については、従来では消し残りのファイルXのデータが有効データとされてしまうとともに、ファイルZの正規のデータが欠落してしまうことが発生する。
【0078】
そこで本例では、再生中に図15の処理を行なうようにしている。
再生動作命令によって再生動作を開始した場合、ステップF201として所定期間、データを再生するとともに、識別データとして各ブロックに記録されているOWPコードを読み込んでいく。そして、取り込んだOWPコードの値のうちの大多数となっている値を、基準識別データID1としてセットする(F202) 。
これにより例えば図14(b)のファイルZに対する再生動作であるならば、基準識別データID1=OWPZ としてセットされることになる。
【0079】
基準識別データID1が設定されたら、以降、各ブロックからデータとともに再生されてくる識別データは、ブロック毎又はトラック毎にステップF203において基準識別データID1と比較される。
そして、再生されてくる識別データの値が基準識別データID1と一致している場合は、そのブロックから再生されたデータは有効データと判断されて再生出力されることになる(F205)。
【0080】
ところが、再生されてくる識別データの値の大多数が基準識別データID1と一致していない状態となった場合には、ステップF204において、その不一致な値としての大多数の値を、仮基準識別データID2としてセットする。
再生されてくる識別データの値の大多数が基準識別データID1と一致していない状態となるのは、再生が例えば図14(a)のファイルXの部分からファイルYの部分に移行したような場合、もしくは、再生が図14(b)の場合において斜線部REC−ERとして示す消し残り部分に達したような場合である。
【0081】
仮基準識別データID2を設定した場合は、ステップF206において、以降の再生動作により読み出されてくる識別データを確認し、その識別データの大多数が基準識別データID1と一致する状態に戻るか否かを判別する。
またステップF211では、読み出されてくる識別データの大多数が基準識別データID1と一致する状態には戻らず、大多数が仮基準識別データID2と一致する値となる状態が継続されるか否かを監視することになる。
【0082】
仮基準識別データID2を設定した後において、読み出されてくる識別データの殆どが仮基準識別データID2と一致する状態が所定期間以上継続した場合は、再生動作が例えば図14(a)のファイルXの部分からファイルYの部分に移行したような場合であると判断できる。
つまり、仮基準識別データID2と一致する識別データが読み出されたブロックのデータは有効データとして出力すべきものとなる。
【0083】
このためステップF211からF212に進んで、仮基準識別データID2の値を新たな基準識別データID1として設定する。即ち基準識別データID1を更新する。そして、それまでに読み出されていたブロックのデータ、つまり識別データが仮基準識別データID2と一致していたブロックのデータを、有効データとして再生出力する(F213)。そしてステップF203に戻り、以降再生されるデータについて、識別データと新たな基準識別データID1との比較に基づいて有効データか否かを判別していくことになる。
【0084】
一方、ステップF206において、仮基準識別データID2を設定した後において、読み出されてくる識別データの殆どが再び基準識別データID1と一致する状態に戻ったことが判別された場合は、それまで仮基準識別データID2が読み出されていた区間は、例えば図14(b)の斜線部REC−ERのような微小欠陥区間であると判断できる。
このような場合は、基準識別データID1を更新してしまうと、欠陥部分のデータが有効データとされてしまうことになる。
【0085】
そこで、ステップF207に進んで微小欠陥区間と判断された場合は、少なくともその微小欠陥区間が始まる前の位置までテープの巻戻を行ない、さらに、基準識別データID1の値を固定(更新禁止)の状態にして再生動作を再開する(F208)。そして、基準識別データID1とは異なる値の識別データが読み取られる微小欠陥区間におけるブロックのデータについては、それを無効データとして出力する(F209,F210) 。
【0086】
そして微小欠陥区間を過ぎると、本来のデータファイルのデータがよみだされてくるが、この場合、読み出される識別データの大多数が基準識別データID1と一致した値となる状態に戻る。このときはステップF209からF203に戻って以降の処理を続ける。
【0087】
なお、ステップF211で否定結果が得られる場合、つまり、識別データの大多数が基準識別データID1,仮基準識別データID2のいづれでも無いような状態となったときは、ステップF214で新たな欠陥区間が生じているとして所要の処理を行なうことになる。
【0088】
この図15による動作を図14(b)のファイルZの再生の場合に当てはめて説明する。
最初に基準識別データID1=OWPZ とされる。
消し残り部分REC−ERの再生時点で識別データの大多数の値が基準識別データID1とは異なるOWPX となり、その後読み出される識別データ=OWPZ の状態に戻ったことによって欠陥区間(REC−ER)が検出されたら、或る程度巻き戻した時点で基準OWP値をOWPZ に固定する(図14(e))。そして、巻き戻した位置から再度再生動作を実行する。すると、図14(f)のように、消し残り部分REC−ERの再生データについては、OWPデータはOWPX であるため、無効データと判別され、また消し残り部分REC−ERを過ぎた地点からは、OWPデータはOWPZ となるため、有効データとなり、ファイルZのデータが無効データと誤認されて欠落してしまうことはなくなる。
【0089】
この動作により、たとえ記録時に消し残り部分が発生していても適正なデータ出力を行なうことができ、信頼性を向上させることができる。なお、消し残り部分で記録されなかったファイルZのデータは、記録時のチェックアフターライト処理に応じて記録エラーが確認され、図6で説明したように他の位置にその記録できなかったデータが記録されることになるため、再生時にはファイルZの全データを間違いなく読み出して出力することができる。
【0090】
なお、実施の形態としては本発明をコンピュータ用のデータを記録し再生するデータストリーマに適用したが、本発明はオーディオ信号などの他のデータを再生する再生装置としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施の形態のデータストリーマのブロック図である。
【図2】実施の形態のシステム構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の回転ヘッドドラムの説明図である。
【図4】実施の形態のヘッドのトレース状態の説明図である。
【図5】実施の形態の記録処理のタイミングの説明図である。
【図6】実施の形態の記録状態の説明図である。
【図7】実施の形態の再生処理のタイミングの説明図である。
【図8】実施の形態のメモリのエリア構成の説明図である。
【図9】実施の形態の再生時のヘッドの軌跡の説明図である。
【図10】実施の形態のデータ再生状態の説明図である。
【図11】実施の形態の記録時のトラックアドレス設定動作の説明図である。
【図12】実施の形態の記録時のトラックアドレス設定状態の説明図である。
【図13】実施の形態の記録時の処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態の基準OWPコードを固定した再生リトライ動作の説明図である。
【図15】実施の形態の基準OWPコードを固定した再生リトライ動作を含む処理のフローチャートである。
【図16】ノントラッキング方式の記録再生状態の説明図である。
【図17】ノントラッキング方式のトラックデータフォーマットの説明図である。
【図18】ノントラッキング方式でのトラックアドレス状態の説明図である。
【図19】OWPコードが付加された場合の消し残り部分の影響で発生するデータエラーの説明図である。
【符号の説明】
【0092】
10 データストリーマ、11 回転ヘッドドラム、12 インターフェース、13 データ処理回路、14 データメモリ、21 中央制御装置(CPU)、30 データ変換装置、40 ホストコンピュータ、A1,A2,B1,B2 ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生装置として、
再生時に、各ブロックから読み出されてくる識別データから、その時点での基準識別データ値を設定するとともに、読み出される各ブロックのデータについては、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別するデータ有効判別手段と、
或る区間内において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と異なる値となり、しかもその区間以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致することが検出された場合は、基準識別データ値の更新を禁止したうえで当該区間を含む再生動作を再実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、読み出されてくる識別データの大多数が、基準識別データ値とは異なる値となった場合に、その大多数の識別データの値を仮基準識別データとして設定するとともに、仮基準識別データ設定後において、読み出されてくる識別データの大多数が基準識別データ値と一致する状態が検出された場合に、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、識別データの大多数が基準識別データ値とは異なる値となっている区間を含む再生動作を再実行させることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、仮基準識別データ設定後において、読み出されてくる識別データの大多数が仮基準識別データと一致する状態が所定期間以上継続された場合は、前記データ有効判別手段における基準識別データ値を、仮基準識別データの値に更新することを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生方法として、少なくとも、
各ブロックから読み出されてくる識別データから基準識別データ値を設定する処理と、
読み出される各ブロックのデータについて、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別する処理と、
読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった場合に、それ以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻るか否かを判別する処理と、
読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻った場合に、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった区間を含む再生動作を再実行させる処理と、
が実行されることを特徴とする再生方法。
【請求項1】
所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生装置として、
再生時に、各ブロックから読み出されてくる識別データから、その時点での基準識別データ値を設定するとともに、読み出される各ブロックのデータについては、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別するデータ有効判別手段と、
或る区間内において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と異なる値となり、しかもその区間以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致することが検出された場合は、基準識別データ値の更新を禁止したうえで当該区間を含む再生動作を再実行させる制御手段と、
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、読み出されてくる識別データの大多数が、基準識別データ値とは異なる値となった場合に、その大多数の識別データの値を仮基準識別データとして設定するとともに、仮基準識別データ設定後において、読み出されてくる識別データの大多数が基準識別データ値と一致する状態が検出された場合に、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、識別データの大多数が基準識別データ値とは異なる値となっている区間を含む再生動作を再実行させることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、仮基準識別データ設定後において、読み出されてくる識別データの大多数が仮基準識別データと一致する状態が所定期間以上継続された場合は、前記データ有効判別手段における基準識別データ値を、仮基準識別データの値に更新することを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
所定データ量の各ブロックにより1つのトラックが形成されてデータ記録が行なわれているとともに、各ブロックには、少なくともそのブロックが含まれる一連の記録を示す識別データが記録されている磁気記録媒体に対する再生方法として、少なくとも、
各ブロックから読み出されてくる識別データから基準識別データ値を設定する処理と、
読み出される各ブロックのデータについて、そのブロックから読み出された識別データの値が、基準識別データ値と一致していることに応じて有効データとして判別する処理と、
読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった場合に、それ以降において読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻るか否かを判別する処理と、
読み出されてくる識別データの値がそれまでの基準識別データ値と一致する状態に戻った場合に、基準識別データ値の更新を禁止したうえで、読み出されてくる識別データの値が基準識別データ値と異なる値となった区間を含む再生動作を再実行させる処理と、
が実行されることを特徴とする再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−4628(P2006−4628A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265053(P2005−265053)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【分割の表示】特願平7−257270の分割
【原出願日】平成7年9月11日(1995.9.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【分割の表示】特願平7−257270の分割
【原出願日】平成7年9月11日(1995.9.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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