説明

再生装置

【課題】記録媒体に記録された動画のハイライトシーンの抽出をより確実に行うことができる再生装置を提供する。
【解決手段】光ディスク100に記録され、音声データ及び映像データを有する動画を再生する再生装置において、前記音声データ及び映像データを用いて、動画の特徴映像であるハイライトシーンを特定して、特定されたハイライトシーンに関する情報を抽出するようにデータ処理部3を構成してあり、データ処理部3により抽出された情報に応じてハイライトシーンを再生するようにしてある。この結果、音声データのみでは特定ができないハイライトシーンについても映像データを用いることにより特定して抽出することが可能となり、ハイライトシーンをより確実に抽出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画の特徴映像を抽出して再生することが可能な再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disk Drive)、又はBD(Blu−ray Disc)等の記録媒体に記録された動画のハイライトシーン(特徴映像)を抽出することが可能なように構成された装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたダビング装置は、動画の内容、具体的には音声レベルを基準音声レベルと比較して、基準音声レベルを超える動画中の場面を含む範囲をダビング部分として特定し、特定したダビング部分を動画として抽出してダビングするように構成してある。この結果、特別な編集作業を行うことなくハイライトシーンを集めた記録媒体を容易に作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−174185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係るダビング装置においては、音声レベルに基づいて動画のハイライトシーンを抽出しているが、ハイライトシーンにおいて音声レベルが常に基準音声レベルを超えているとは限らないから、音声レベルのみでは全てのハイライトシーンを抽出できないという虞があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、記録媒体に記録された動画のハイライトシーンの抽出をより確実に行うことができる再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る再生装置は、記録媒体に記録され、音声データ及び映像データを有する動画を再生する再生装置において、前記音声データ及び映像データを用いて、前記動画の特徴映像を特定する特定手段と、該特定手段により特定された特徴映像に関する情報を抽出する抽出手段とを備え、該抽出手段により抽出された情報に応じて、特徴映像を再生するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、記録媒体に記録された動画の音声データ及び映像データを用いて前記動画の特徴映像を特定して、特定された特徴映像の情報を抽出するように構成してあるから、音声データのみでは特定ができない特徴映像についても映像データを用いることにより特定して抽出することが可能となる。
【0009】
本発明に係る再生装置は、前記特定手段は、前記動画の音声データの音声レベル、又は映像データの輝度若しくは輝度の変化率が各別に設定された基準値よりも大であるという条件を満足する動画の部分を前記特徴映像であると特定することを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、動画の音声データの音声レベル、又は映像データの輝度若しくは輝度の変化率が各別に設定された基準値よりも大であるという条件を満足する動画の部分を特徴映像であると特定するように特定手段を構成している。音声データの音声レベルに加えて、映像データの輝度又は輝度の変化率を用いて特定しているから、明るさ又は明るさの変化が大である動画の部分を特徴映像として抽出することができる。
【0011】
本発明に係る再生装置は、前記輝度は前記動画のフレーム当たりの平均輝度であることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、輝度として動画のフレーム当たりの平均輝度を用いている。フレーム当たりの平均輝度を用いることにより、フレームが全体的に明るくなった動画の部分を特徴映像として抽出することができる。また、平均輝度の変化率を用いることにより、フレームの明るさが急に明るい方向又は暗い方向に全体的に変化した動画の部分を特徴映像として抽出することができる。
【0013】
本発明に係る再生装置は、前記抽出手段は、前記特定手段により特定された特徴映像の開始点及び終了点の時間情報、並びに/又は前記開始点及び終了点の映像データを抽出するように構成してあり、前記抽出手段により抽出された時間情報及び/又は映像データに応じて、特徴映像の動画及び/又は静止画を再生するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、前記特定手段により特定された特徴映像の開始点及び終了点の時間情報、並びに/又は前記開始点及び終了点の映像データを抽出手段により抽出して、抽出された時間情報及び/又は映像データに応じて、特徴映像の動画及び/又は静止画を再生するように構成してある。これにより、抽出された時間情報に応じて特徴映像を動画として再生することができると共に、抽出された映像データを用いて特徴映像の静止画を再生してスライドショーの如く表示させることができる。
【0015】
本発明に係る再生装置は、前記音声データに基づいて特定された第1の特徴映像と前記映像データに基づいて特定された第2の特徴映像の範囲が重複する場合、前記抽出手段は、前記第1の特徴映像及び第2の特徴映像の時間的に前の開始点から時間的に後の終了点までの範囲を特徴映像として抽出することを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、音声データ及び映像データを各別に用いて特定された第1の特徴映像及び第2の特徴映像が重複する場合、第1の特徴映像及び第2の特徴映像の時間的に前の開始点から時間的に後の終了点までの範囲を特徴映像として抽出するようにしてあるから、同じ場面が重複して再生されることがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体に記録された動画のハイライトシーン(特徴映像)の抽出をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る再生装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】音声データに基づく動画のハイライトシーンの特定方法の説明図である。
【図3】ハイライトシーンの特定に用いるピクチャの抽出方法の説明図である。
【図4】映像データに基づく動画のハイライトシーンの特定方法の説明図である。
【図5】複数のハイライトシーンが重複した時のハイライトシーンの抽出の考え方を示す説明図である。
【図6】本実施の形態に係る再生装置における動画の再生処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る再生装置における動画の再生処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】動画のハイライトシーン抽出の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】動画のハイライトシーン抽出の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】映像データに基づく動画のハイライトシーンの他の特定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、携帯型の光ディスクプレーヤを例に詳述する。図1は、本実施の形態に係る再生装置の主要構成を示すブロック図である。
【0020】
図中1は、記録媒体であるDVD、BD等の光ディスク100の再生を行う光ディスクドライブである。光ディスクドライブ1は、光ディスク100を載置するトレイ、光ディスク100からデータを読み出す光ピックアップ、該光ピックアップを駆動する駆動部、光ディスク100を回転駆動する回転駆動部等を備えてなる。
【0021】
光ディスクドライブ1には、該光ディスクドライブ1を制御するATA(Advanced Technology Attachment)コントローラ2が接続してあり、ATAコントローラ2には、データ処理部3が接続してある。光ディスクドライブ1が光ディスク100から読み出したデータはATAコントローラ2に与えられ、ATAコントローラ2は、与えられたデータをデータ処理部3に出力する。データ処理部3は、与えられたデータの変換処理を行って動画の映像データ及び音声データに変換し、映像データ及び音声データに基づいて、後述するように処理対象の動画の特徴映像であるハイライトシーンを特定する処理及び特定されたハイライトシーンに関する情報を抽出する処理を行う。
【0022】
データ処理部3には、表示部であるLCD(Liquid Crystal Display)パネル10を制御するLCDコントローラ4と、データ処理部3において特定されたハイライトシーンの時間情報及び/又は映像データを記憶する記憶部5と、スピーカ7に出力する音声データを処理する音声データ処理部6とが接続してある。ATAコントローラ2、データ処理部3、LCDコントローラ4、記憶部5及び音声データ処理部6には、これら各構成部の作動状況を使用者の設定に基づいて制御する制御部8が接続してある。制御部8は、内部バスにより相互に接続されたCPU、ROM及びRAMを備えたマイクロコンピュータであり、ROMに記憶された制御プログラムに従うCPUの動作により再生装置の各構成部の制御を行うように構成してある。
【0023】
データ処理部3は、変換した動画の映像データをLCDコントローラ4に、前記動画の音声データを音声データ処理部6に夫々与える。また、データ処理部3は、後述するようにハイライトシーンであると特定した動画の時間情報(タイムコード等の経過時間、チャプタ番号等)及び映像データを記憶部5に与える。
【0024】
LCDコントローラ4は、制御部8により与えられる制御信号に応じて、データ処理部3により与えられた映像データに応じた動画及び/又は静止画をLCDパネル10に出力する。LCDパネル10はLCDコントローラ4により与えられた動画及び/又は静止画を表示する。また、音声データ処理部6は、制御部8により与えられる制御信号に応じて、データ処理部3により与えられた音声データをスピーカ7に適したデータに処理して、処理したデータをスピーカ7に出力する。スピーカ7は音声データ処理部6により与えられたデータに応じて音声を出力する。なお、制御部8には、使用者の操作を受付ける操作部9からの信号が与えられる。操作部9は、例えば、再生装置の機器本体に設けられたスイッチ、リモートコントローラ等であり、使用者の操作に応じた信号を制御部8に与える。操作部9は、再生モードに対する使用者の選択操作を受付け可能なように構成してある。本実施の形態においては、再生モードとして、通常再生、ハイライトシーンの動画のみを再生するハイライト動画再生、ハイライトシーンの静止画のみを再生するハイライト静止画再生の中から一つを選択設定可能なように構成してある。
【0025】
以上の光ディスクドライブ1、ATAコントローラ2、データ処理部3、LCDコントローラ4、記憶部5、音声データ処理部6、スピーカ7、制御部8、操作部9及びLCDパネル10を備えてなる再生装置は、音声データ及び映像データを各別に用いて、以下に述べる判定条件により動画のハイライトシーンを特定して、特定された動画をハイライトシーンとして抽出する。まず、音声データに基づいて動画のハイライトシーン(第1の特徴映像)を抽出する方法について説明する。図2は、音声データに基づく動画のハイライトシーンの特定方法の説明図である。図2の横軸は経過時間を、縦軸は動画の音声データの音声レベルを夫々示している。なお、特徴映像を特定する基準である基準値は図2中に破線にて示している。
【0026】
まず、データ処理部3は、DVD、BD等の光ディスク100から読み出された動画の音声データの音声レベルと予め設定された基準値とを比較して、動画の音声レベルが基準値よりも大であるという条件を満足する動画の時間軸上の部分をハイライトシーンであると特定する。具体的には、データ処理部3に与えられた動画の音声データが図2に示す音声データである場合、データ処理部3は、基準値よりも小の状態から大の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの開始点として、Ts1、Ts3、Ts5を検出する。また、基準値よりも大の状態から小の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの終了点として、Ts2、Ts4、Ts6を検出する。そして、これら各開始点Ts1、Ts3、Ts5及び終了点Ts2、Ts4、Ts6に挟まれた経過時間の範囲(例えば、Ts1〜Ts2の範囲)の動画がハイライトシーンとして特定される。そして、データ処理部3は、特定されたハイライトシーンの開始点及び終了点の経過時間、並びに/又は開始点及び終了点の映像データを動画のハイライトシーンに関する情報として抽出する。この抽出された情報に応じて、音が大きな動画の部分をハイライトシーンとして再生することが可能になる。
【0027】
次に、映像データに基づいて動画のハイライトシーン(第2の特徴映像)を抽出する方法について説明する。まず、データ処理部3は、動画のハイライトシーンの特定に用いるピクチャを抽出する。図3は、ハイライトシーンの特定に用いるピクチャの抽出方法の説明図である。光ディスクから読み出されたデータは、MPEG方式のデータであり、図3(a)に示すように、Iピクチャ(基本となる画像データ)、Pピクチャ(過去の画像データとの差分情報)、Bピクチャ(過去と未来の2方向の画像データとの差分情報)とからなる。データ処理部3は、図3(b)に示すように、このMPEG方式の映像データの中からIピクチャのみを抽出する。Iピクチャの映像データは、例えば、輝度Y、色差Pb,Prの映像データを用いて表されている。データ処理部3は、抽出したIピクチャの映像データ(Y,Pb,Pr)のうち、輝度Yを用いて、ハイライトシーンの特定を行う。
【0028】
まず、データ処理部3は、以上のように抽出したIピクチャの輝度Yを用いて、フレーム当たりの平均輝度を求め、求めた平均輝度と予め設定された基準値とを比較する。図4は、映像データに基づく動画のハイライトシーンの特定方法の説明図である。図4の横軸は経過時間を、縦軸はフレーム当たりの平均輝度を夫々示している。特徴映像を特定する基準である基準値を図4中に破線にて示している。
【0029】
データ処理部3は、求めた平均輝度が基準値よりも大であるという条件を満足する動画の時間軸上の部分をハイライトシーンであると特定する。具体的には、データ処理部3において求めた平均輝度が図4に示す時間変化をする場合、データ処理部3は、基準値よりも小の状態から大の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの開始点として、Tp1、Tp3を検出する。また、基準値よりも大の状態から小の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの終了点として、Tp2、Tp4を検出する。これら各開始点Tp1、Tp3及び終了点Tp2、Tp4に挟まれた経過時間の範囲(例えば、Tp1〜Tp2の範囲)の動画がハイライトシーンとして特定される。そして、データ処理部3は、特定されたハイライトシーンの開始点及び終了点の経過時間、並びに/又は開始点及び終了点の映像データを動画のハイライトシーンに関する情報として抽出する。この抽出された情報に応じて、フレームが全体的に明るくなった動画の部分をハイライトシーンとして再生することが可能になる。
【0030】
データ処理部3は、以上のように特定されたハイライトシーンの開始点及び終了点の経過時間を記憶部5に与える。同時に、開始点及び終了点の映像データをフレーム単位で、即ち静止画として記憶部5に与える。なお、以上の本実施の形態においては、ハイライトシーンの開始点及び終了点の時間情報として、経過時間を用いているが、チャプタ番号等を用いてもよい。
【0031】
そして、以上のように、音声データ及び映像データを各別に用いて特定された複数のハイライトシーン(第1の特徴映像及び第2の特徴映像)の経過時間の範囲が重複する場合、重複を避けるべく、ハイライトシーンを抽出する。図5は、複数のハイライトシーンが重複した時のハイライトシーンの抽出の考え方を示す説明図である。図5(a)は音声データに基づいて抽出されたハイライトシーン(第1の特徴映像)を、図5(b)は映像データに基づいて抽出されたハイライトシーン(第2の特徴映像)を、図5(c)は特徴映像として抽出するハイライトシーンを夫々示している。音声データとして図2に示したデータを、映像データとして図4に示したデータを例に説明する。なお、ハイライトシーンをハッチングにて示している。
【0032】
図に示すように、音声データに基づいて抽出されたハイライトシーン(図5(a))の経過時間の範囲と映像データに基づいて抽出されたハイライトシーン(図5(b))の経過時間の範囲は一部が重複している(例えば、Ts1〜Ts2の範囲とTp1〜Tp2の範囲)。そこで、図5(c)に示すように、重複する複数のハイライトシーンの時間的に前のハイライトシーンの開始点から時間的に後のハイライトシーンの終了点までが連続するようにハイライトシーンを抽出する。前述の例の場合、音声データの開始点の経過時間Ts1から音声データの終了点の経過時間Ts2までとなる。これにより、同じ場面が重複して複数回再生されることを避けることができる。
【0033】
図6及び図7は、本実施の形態に係る再生装置における動画の再生処理の手順を示すフローチャートである。データ処理部3は、光ディスクドライブ1に挿入された光ディスク100内のデータを読込み(ステップS1)、読込んだデータを用いてハイライトシーンの抽出の処理を行う(ステップS2)。
【0034】
次に、制御部8は、操作部9において設定された再生モードがハイライト動画再生であるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3において、ハイライト動画再生であると判定された場合(ステップS3:YES)、ランダム再生であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、ランダム再生であると判定された場合(ステップS4:YES)、ステップS2において抽出され、記憶部5に記憶してある経過時間(ハイライトシーンの開始点及び終了点の組合せからなる経過時間)の範囲に、換言するとハイライトシーンの動画に、再生順番をランダムに割当てる(ステップS5)。ステップS5において割当てられた順番にてハイライトシーンの動画を再生して(ステップS6)、ハイライトシーンの動画が全て再生された場合に動画の再生処理動作を終了する。一方、ステップS4において、ランダム再生ではないと判定された場合(ステップS4:NO)、ステップS2において抽出され、記憶部5に記憶してある経過時間に応じて、ハイライトシーンの動画を経過時間が早い方から順次再生して(ステップS7)、ハイライトシーンの動画が全て再生された場合に動画の再生処理動作を終了する。
【0035】
一方、ステップS3において、再生モードがハイライト動画再生ではないと判定された場合(ステップS3:NO)、再生モードがハイライト静止画再生であるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8において、ハイライト静止画再生であると判定された場合(ステップS8:YES)、ランダム再生であるか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9において、ランダム再生であると判定された場合(ステップS9:YES)、ステップS2において抽出され、記憶部5に映像データとして記憶してあるハイライトシーンの静止画に再生順番をランダムに割当てる(ステップS10)。ステップS10において割当てられた順番にて静止画を記憶部5から読出して再生して(ステップS11)、ハイライトシーンの静止画が全て再生された場合に動画の再生処理動作を終了する。一方、ステップS9において、ランダム再生ではないと判定された場合(ステップS9:NO)、ステップS2において抽出され、記憶部5に映像データとして記憶してあるハイライトシーンの静止画を経過時間が早い方から順次再生して(ステップS12)、ハイライトシーンの静止画が全て再生された場合に動画の再生処理動作を終了する。
【0036】
一方、ステップS8において、再生モードがハイライト静止画再生ではないと判定された場合(ステップS8:NO)、再生モードは通常再生であるとして、光ディスクを最初から連続再生して(ステップS13)、光ディスクの最後まで到達した場合に動画の再生処理動作を終了する。
【0037】
図8及び図9は、図6のステップS2における動画のハイライトシーン抽出の処理手順を示すフローチャートである。データ処理部3は、ステップS1において光ディスクから読込まれたデータ内の最初のIピクチャに対応する音声データの音声レベルを基準値と比較して、音声レベルが基準値よりも大であるか否かを判定する(ステップS21)。なお、データ処理部3は、音声レベル超過フラグ、輝度レベル超過フラグを予め0に設定した後、ステップS21の処理を行う。
【0038】
ステップS21において、音声レベルが基準値よりも大であると判定された場合(ステップS21:YES)、音声レベル超過フラグが0であるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22において、音声レベル超過フラグが0であると判定された場合(ステップS22:YES)、音声レベルが基準値よりも大である動画の開始点の時間情報として経過時間を記憶部5に記憶し、同時にそのときの動画のIピクチャの映像データを記憶部5に記憶する(ステップS23)。そして、音声レベル超過フラグを1にして(ステップS24)、ステップS28に進む。このステップS23において記憶された動画の経過時間が動画のハイライトシーンの開始点に対応する。ステップS22において、音声レベル超過フラグが1であると判定された場合(ステップS22:NO)、ステップS28に進む。
【0039】
一方、ステップS21において、音声レベルが基準値よりも大ではないと判定された場合(ステップS21:NO)、音声レベル超過フラグが1であるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において、音声レベル超過フラグが1であると判定された場合(ステップS25:YES)、音声レベルが基準値よりも小である動画の経過時間、換言すると音声レベルが基準値よりも大である動画の終了点の経過時間を記憶部5に記憶し、同時にそのときの動画のIピクチャの映像データを記憶部5に記憶する(ステップS26)。そして、音声レベル超過フラグを0にして(ステップS27)、ステップS28に進む。ステップS26において記憶された動画の経過時間が動画のハイライトシーンの終了点に対応する。一方、音声レベル超過フラグが0であると判定された場合(ステップS25:NO)、ステップS28に進む。
【0040】
ステップS28において、光ディスクの最後まで到達したか否か、換言すると音声データに対するハイライトシーンの検出が終了したか否かを判定する(ステップS28)。音声データに対するハイライトシーンの検出が終了したと判定された場合(ステップS28:YES)、ステップS29に進む。一方、音声データに対するハイライトシーンの検出が終了していないと判定された場合(ステップS28:NO)、ステップS21に戻って、次のIピクチャに対応する音声データに対して、一連の動作を繰り返す。
【0041】
次に、ステップS29において、読込まれた映像データの輝度を用いて求めたフレーム当たりの平均輝度を基準値と比較して、平均輝度が基準値よりも大であるか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29において、平均輝度が基準値よりも大であると判定された場合(ステップS29:YES)、輝度レベル超過フラグが0であるか否かを判定する(ステップS30)。ステップS30において、輝度レベル超過フラグが0であると判定された場合(ステップS30:YES)、平均輝度が基準値よりも大である動画の開始点の時間情報として経過時間を記憶部5に記憶し、同時にその動画のIピクチャの映像データを記憶部5に記憶する(ステップS31)。そして、輝度レベル超過フラグを1にして(ステップS32)、ステップS36に進む。このステップS31において検出された動画の経過時間が動画のハイライトシーンの開始点に対応する。ステップS30において、輝度レベル超過フラグが1であると判定された場合(ステップS30:NO)、ステップS36に進む。
【0042】
一方、ステップS29において、平均輝度が基準値よりも大ではないと判定された場合(ステップS29:NO)、輝度レベル超過フラグが1であるか否かを判定する(ステップS33)。ステップS33において、輝度レベル超過フラグが1であると判定された場合(ステップS33:YES)、平均輝度が基準値よりも小に変化した動画の経過時間、換言すると平均輝度が基準値よりも大である動画の終了点の経過時間を記憶部5に記憶する(ステップS34)。そして、輝度レベル超過フラグを0にして(ステップS35)、ステップS36に進む。ステップS34において記憶された動画の経過時間が動画のハイライトシーンの終了点に対応する。一方、ステップS33において、輝度レベル超過フラグが0であると判定された場合(ステップS33:NO)、ステップS36に進む。
【0043】
ステップS36において、光ディスクの最後まで到達したか否か、換言すると映像データに対するハイライトシーンの検出が終了したか否かを判定する(ステップS36)。映像データに対するハイライトシーンの検出が終了したと判定された場合(ステップS36:YES)、ステップS37に進む。一方、映像データに対するハイライトシーンの検出が終了していないと判定された場合(ステップS36:NO)、ステップS29に戻って、次のIピクチャに対応する映像データに対して、一連の動作を繰り返す。
【0044】
ステップS37において、動画のハイライトシーンを決定して(ステップS37)、動画のハイライトシーン抽出の処理動作を終了する。ステップS37におけるハイライトシーンの決定は、図5において説明したように、重複部分をなくすようになされる。
【0045】
以上のように構成された再生装置においては、記録媒体である光ディスク100に記録された動画の音声データ及び映像データを用いて、動画の特徴映像であるハイライトシーンを特定して、特定されたハイライトシーンを抽出するように構成してあるから、音声データのみでは特定ができないハイライトシーンについても映像データを用いることにより特定して抽出することが可能となり、ハイライトシーンをより確実に抽出することができる。
【0046】
そして、音声データの音声レベルに加えて、映像データの輝度を用いて明るさが基準値よりも大となる動画の部分をハイライトシーンとして特定しているから、より確実にハイライトシーンを抽出することができる。
【0047】
フレーム当たりの平均輝度を用いてハイライトシーンの特定を行っているから、フレームが全体的に明るくなった動画の部分をハイライトシーンとして抽出することができ、より確実にハイライトシーンを抽出することができる。
【0048】
また、データ処理部3により特定されたハイライトシーンの開始点及び終了点の時間情報、並びに/又は前記開始点及び終了点の映像データをデータ処理部3により抽出して、抽出された動画の経過時間等の時間情報及び/又は映像データに応じて、ハイライトシーンの動画及び/又は静止画を再生するように構成してある。これにより、データ処理部3により抽出され、記憶部5に記憶された動画の経過時間等の時間情報に応じてハイライトシーンを動画として再生することができると共に、データ処理部3により抽出され、記憶部5に記憶された動画の映像データを用いて静止画を再生してスライドショーの如く表示させることができ、より使用者の利便に資する。特に携帯型の光ディスクプレーヤの場合、外出時にのみ使用が限定される傾向があるが、ハイライトシーンの静止画を表示させることにより、自宅等においてもデジタルフォトフレームのような活用が可能となり、謂わば、インテリアとして活用することも可能となる。
【0049】
また、音声データ及び映像データを各別に用いて特定された第1の特徴映像及び第2の特徴映像が重複する場合、第1の特徴映像及び第2の特徴映像の時間的に前の開始点から時間的に後の終了点までの範囲をハイライトシーンとして抽出するようにしてある。この結果、同じ場面が重複して再生されることがないから、使用者に煩わしさを感じさせずに済む。
【0050】
以上の実施の形態においては、映像データに基づいてハイライトシーンを特定する場合に、フレーム当たりの平均輝度を用いているが、これに限定されず、フレーム当たりの平均輝度に代えて又はフレーム当たりの平均輝度に加えて、該平均輝度のフレーム間の変化率を用いることができる。この場合、まず、データ処理部3は、前述したように求めた平均輝度を用いて平均輝度のフレーム間の変化率を求め、求めた平均輝度のフレーム間の変化率と予め設定された基準値とを比較する。図10は、映像データに基づく動画のハイライトシーンの他の特定方法の説明図である。図10の横軸は経過時間を、縦軸は輝度変化率(フレーム当たりの平均輝度のフレーム間の変化率)を夫々示している。特徴映像を特定する基準である基準値を図10中に破線にて示している。
【0051】
データ処理部3は、求めた平均輝度のフレーム間の変化率の絶対値が基準値よりも大であるか否かによりハイライトシーンであるか否かを判定する。具体的には、データ処理部3において求めた平均輝度のフレーム間の変化率が図8に示す時間変化をする場合、データ処理部3は、平均輝度のフレーム間の変化率の絶対値が基準値よりも小の状態から大の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの開始点として、Tp5、Tp7を検出する。また、平均輝度の変化率の絶対値が基準値よりも大の状態から小の状態に変化する経過時間、換言するとハイライトシーンの終了点として、Tp6、Tp8を検出する。これら各開始点Tp5、Tp7及び終了点Tp6、Tp8に挟まれた経過時間の範囲(例えば、Tp5〜Tp6の範囲)が動画のハイライトシーンとなる。これにより、フレームの明るさが急に明るい方向又は暗い方向に全体的に変化した動画の部分がハイライトシーンとして抽出されることになる。この結果、音が大きくなることなく、明るさが急に変化、特に暗転するようなハイライトシーンを、より確実にハイライトシーンとして抽出することができる。
【0052】
以上の実施の形態においては、抽出したハイライトシーンの再生モードとして、ハイライトシーンの動画のみを再生するハイライト動画再生とハイライトシーンの静止画のみを再生するハイライト静止画再生の2つの再生モードを設定し、操作部9においてどちらか一方の再生モードを選択するように構成してあるが、これに限定されない。例えば、これら2つに加えて、ハイライトシーンの動画及び静止画の両方を再生する再生モードを設定して、ハイライトシーンの動画の再生、静止画の再生、ハイライトシーンの動画及び静止画の再生のうち一つを使用者による操作部9の操作に応じて選択可能なように構成してもよい。また、再生モードがハイライト静止画再生である場合、音声の有無を使用者により選択可能なように操作部9を構成する方がより望ましい。
【0053】
また、以上の実施の形態においては、映像データに基づいてハイライトシーンを特定する場合に、Iピクチャのフレーム当たりの平均輝度を用いているが、これに限定されない。Iピクチャに代えて又は加えて、他のピクチャを用いてもよい。また、平均輝度ではなく、フレームの明るさを代表する代表値であればよい。
【0054】
また、ハイライトシーンを特定するときに用いる基準値は、使用者が操作部9により変更可能なように構成してもよい。
【0055】
また、光ディスクに記録されたデータにおいてアングル切替がある場合、同じ経過時間の異なるアングルの映像を順次再生するように構成してもよい。例えば、右、中央、左の異なるアングルの同じ経過時間のIピクチャがあるとき、右からのアングル、左からのアングル、最後に中央のアングルの静止画を順次再生する。これにより、立体的な表現が可能となる。この場合においても、映像データの輝度に基づいてハイライトシーンを抽出することが可能であると共に、アングルが異なっていても音声データはほぼ同一経過時間であるから、音声データの音声レベルに基づいてハイライトシーンを抽出することが可能である。
【0056】
また、以上の実施の形態においては、音声データに基づいてハイライトシーンの特定を行った後に、映像データに基づいてハイライトシーンの特定を行っているが、これに限定されず、映像データ、音声データの順に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0057】
また、以上の実施の形態においては、携帯型の光ディスクプレーヤを例に説明したが、これに限定されず、MPEG方式の映像データを有する動画を再生可能な再生装置であればよい。携帯型に限定されないし、記録媒体は光ディスクに限定されない。インターネット等からダウンロードしてHDDに記録された動画、使用者が録画した動画でもよい。この場合、再生装置はLCDパネルを必ずしも備えている必要はなく、別途設けられた画像表示装置に出力可能なように構成してあればよい。
【0058】
また、以上の実施の形態においては、表示部としてLCDパネル10を用いているが、これに限定されず、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等、他の表示部でも良い。
【0059】
更に、本発明は、その他、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 光ディスクドライブ
3 データ処理部(特定手段、抽出手段)
4 LCDコントローラ
5 記憶部
6 音声データ処理部
8 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録され、音声データ及び映像データを有する動画を再生する再生装置において、
前記音声データ及び映像データを用いて、前記動画の特徴映像を特定する特定手段と、該特定手段により特定された特徴映像に関する情報を抽出する抽出手段とを備え、該抽出手段により抽出された情報に応じて、特徴映像を再生するようにしてあることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記動画の音声データの音声レベル、又は映像データの輝度若しくは輝度の変化率が各別に設定された基準値よりも大であるという条件を満足する動画の部分を前記特徴映像であると特定することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記輝度は前記動画のフレーム当たりの平均輝度であることを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記特定手段により特定された特徴映像の開始点及び終了点の時間情報、並びに/又は前記開始点及び終了点の映像データを抽出するように構成してあり、
前記抽出手段により抽出された時間情報及び/又は映像データに応じて、特徴映像の動画及び/又は静止画を再生するようにしてあることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の再生装置。
【請求項5】
前記音声データに基づいて特定された第1の特徴映像と前記映像データに基づいて特定された第2の特徴映像の範囲が重複する場合、前記抽出手段は、前記第1の特徴映像及び第2の特徴映像の時間的に前の開始点から時間的に後の終了点までの範囲を特徴映像として抽出することを特徴とする請求項4に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−124934(P2011−124934A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283074(P2009−283074)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】