説明

写真処理装置

【課題】ペーパーPを搬送する露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15と該搬送ローラ12乃至15により搬送されるペーパーPの乳剤面上に露光を行うことで潜像を形成する露光エンジン3とが内部に収容された筐体2(プリンタ装置本体)を有するプリンタ装置A1と、上記ペーパーPに露光を行いながら上記潜像が形成された当該ペーパーPを現像処理するプロセッサ装置A2とを備えた写真処理装置1において、ペーパーPを現像処理する際に発生する振動がプロセッサ装置A2から筐体2へと伝わることによる画像の画質低下を防ぐ。
【解決手段】露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15をケース部材31内に直接取付けるとともに、該ケース部材31と上記筐体2との間に防振ゴム32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材を搬送しながら該感光材の画像形成面上に画像を形成する写真処理装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光材を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送中の上記感光材の画像形成面に対して、上記搬送経路上に設定された所定の露光位置にて露光を行うことで潜像を形成する露光装置とが内部に収容された筐体(以下、この筐体のことをプリンタ部本体と呼ぶ)を有するプリンタ部と、上記潜像が形成された上記感光材を現像処理する現像処理部とを備えた写真処理装置(特許文献1参照)は知られている。
【0003】
このような写真処理装置では、上記搬送機構は、上記感光材を上記露光位置まで搬送する露光前搬送機構と、上記露光位置における露光処理中の感光材を搬送方向下流側へと搬送する露光中搬送機構と、露光後の感光材を上記現像処理部へと搬送する露光後搬送機構と、現像処理部内の感光材を搬送する現像部搬送機構とからなる。上記各搬送機構は搬送方向上流側から下流側に向かって互いに所定の間隔を空けて設けられた複数のローラ対からなり、上記感光材は該各ローラ対により搬送方向下流側に向かって狭持搬送される。
【0004】
そして、上記感光材は、上記露光位置において画像データに基づく露光が施された後に、上記露光後搬送機構により現像処理部へと搬送されて現像処理が行われる。通常、該現像処理部において上記感光材を現像処理する際に振動が発生するが、該振動に起因する画像の画質低下を防止するために、上記露光装置と上記露光中搬送機構とは一体化されて一つのユニットとされ、該ユニットと、上記プリンタ部本体(筐体)との間には振動を吸収するための防振材が設けられている。すなわち、上記露光装置と露光中搬送機構とを一体化することで、上記現像処理部からの振動により発生する露光装置と感光材間との間の相対運動を抑制し、且つ上記ユニットとプリンタ部本体(筐体)との間に防振材を設けることで上記現像処理部から該プリンタ部本体(筐体)を介して露光装置及び露光中搬送機構に伝搬する振動を抑制して感光材画像形成面上に形成された画像の画質低下を防いでいる。
【特許文献1】特開平2003−98646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年ユーザーニーズが多様化する中で感光材長さ(以下、上記感光材の画像形成面上における露光済みの領域に対応して切断分離される感光材の搬送方向の長さのことを感光材長さと呼ぶ)が従来に比べて長いものも処理できるような写真処理装置が求められている。
【0006】
そこで、上述した従来の写真処理装置において感光材長さが従来よりも長い感光材、例えば感光材長さが露光位置から現像処理部までの長さよりも長い感光材に露光を行うことを考えた場合、感光材への露光処理と並行して現像処理部において当該感光材の現像処理を行う必要がある。そして、上記感光材は、該感光材が現像処理部内に進入してから上記露光位置における露光処理が終了するまでの間常に、上記露光後搬送機構を構成する全てのローラ対により狭持搬送される状態となるので、感光材長さが短い場合に比べて該露光後搬送機構から感光材へと伝わる振動が画質に及ぼす影響が増大する。すなわち、感光材長さが短い場合、露光処理中の感光材は露光後搬送機構を構成する全ローラ対のうちの一部のローラ対によってのみ狭持搬送されるが、上述のように感光材長さが長い場合、露光後搬送機構を構成する全ローラ対により狭持搬送されるので、該ローラ対から感光材へと伝わる振動は感光材長さが短い場合に比べて増大する。そして該感光材へと伝わった振動は露光処理中の上記露光位置にある感光材(以下、感光材露光部と呼ぶ)へと伝搬して画像の露光ムラなどを引き起こす結果画質低下を招くこととなるので、感光材長さが短い場合に比べて上記露光後搬送機構自体の振動を極力抑える必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の写真処理装置では、露光処理後の感光材を現像処理部へと搬送する露光後搬送機構は上記プリンタ部本体(筐体)に直接取付けられているため、現像処理時に発生する振動が現像処理部から上記プリンタ部本体(筐体)を介して上記露光後搬送機構に伝わり、その結果上述のように画質低下を招くこととなる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感光材を搬送する搬送機構と該搬送機構により搬送中の上記感光材の画像形成面上に露光を行うことで潜像を形成する露光装置とが内部に収容された筐体(プリンタ部本体)を有するプリンタ部と、上記感光材に露光が行われている最中に、当該感光材の潜像が形成された部分を現像処理する現像処理部とを備えた写真処理装置において、現像処理部からプリンタ部本体(筐体)を介して上記露光装置及び上記搬送機構に伝搬する振動を抑制し、これにより上記感光材画像形成面上に形成される画像の画質を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、感光材に露光を行う露光装置並びに感光材を搬送する搬送機構のうち少なくとも露光中搬送機構及び露光後搬送機構をユニット化して一以上のユニットにするとともに、上記露光装置及び上記搬送機構を収容する筐体と上記ユニットとの間に防振手段を設けるようにした。
【0010】
具体的には、請求項1の発明では、感光材を搬送する搬送機構と該搬送機構により搬送中の上記感光材の画像形成面上に露光を行うことで潜像を形成する露光装置とが内部に収容された筐体を有するプリンタ部と、上記感光材に露光が行われている最中に、当該感光材の潜像が形成された部分を現像処理する現像処理部とを備えた写真処理装置を対象とする。
【0011】
そして、上記搬送機構は、露光処理前の上記感光材を搬送する露光前搬送機構と、上記露光前搬送機構よりも搬送方向下流側に配設され、露光処理中の上記感光材を搬送する露光中搬送機構と、上記露光中搬送機構よりも更に搬送方向下流側に配設され、露光処理後の上記感光材を上記現像処理部へと搬送する露光後搬送機構と、上記露光後搬送機構により上記現像処理部内へと導かれた上記感光材を搬送する現像部搬送機構とからなり、上記露光装置並びに上記搬送機構のうち少なくとも上記露光中搬送機構及び上記露光後搬送機構はユニット化されて一以上のユニットからなる露光搬送ユニットを構成し、上記露光搬送ユニットと上記筐体との間には、上記筐体から該露光搬送ユニットへ伝わる振動を吸収するための防振手段が設けられてなるように構成されている。
【0012】
この構成により、上記現像処理部において上記感光材を現像処理する際に発生する振動が、現像処理部から上記筐体により構成されるプリンタ部本体を介して上記露光装置、露光中搬送機構、及び露光後搬送機構に伝搬することを防止することができる。従って、感光材の画像形成面上に形成される画像の画質を低下させることもない。すなわち、防振手段を設けない場合には、現像処理部において発生した振動は上記プリンタ部本体(筐体)を介して上記露光装置に直接伝搬する。そして該振動は露光装置内の光源に伝わって上記画像形成面上の光の照射位置を振動させる結果、画像(潜像)の露光ムラ等を引き起こす。また、上記露光中搬送機構及び露光後搬送機構に伝播した振動は、該各搬送機構を介して感光材露光部へと伝播するので上記感光材画像形成面上における上記光源からの光の照射位置を振動させ、その結果画像の露光ムラの原因となる。しかしながら、本発明によれば、上記現像処理部からプリンタ部本体(筐体)を介して上記露光装置、上記露光中搬送機構及び上記露光後搬送機構へと伝わる振動を上記防振手段により吸収することができるので、画像の露光ムラ等に伴う画像の画質低下を防止することができる。
【0013】
また、上記露光装置、上記露光中搬送機構及び上記露光後搬送機構はユニット化されているため上記プリンタ部本体(筐体)からユニットごと分離することができ、従って上記露光装置及び搬送機構のプリンタ部本体(筐体)への組付構造等に左右されずに容易に防振手段を設けることができる。また、例えば、ユニット化された上記露光搬送ユニットを一以上のユニットからなるように構成した場合、各ユニットの持つ振動特性(固有振動数等)に応じてユニットごとに防振手段を施すことができるので一層効果的に振動を吸収することが可能となる。
【0014】
請求項2の発明では、請求項1記載の写真処理装置において、上記露光搬送ユニットは、上記露光装置及び上記露光中搬送機構を含む露光中搬送ユニットと、上記露光後搬送機構を含む露光後搬送ユニットとからなり、上記露光中搬送ユニットと上記筐体との間、及び上記露光後搬送ユニットと上記筐体との間にはそれぞれ上記防振手段が設けられてなるように構成されている。
【0015】
この構成により、露光装置と露光中搬送機構とをユニット化して一のユニットとすることで、該露光装置及び露光中搬送機構に伝搬する振動に起因して発生する露光装置及び露光中搬送機構間の相対運動を無くすことができる。従って、露光装置と露光中搬送機構により搬送される露光処理中の上記感光材との間に発生する相対運動を抑制することができ、従って画像の露光ムラ等に伴う画質低下を防ぐことができる。
【0016】
また、上記露光装置及び露光中搬送機構は、感光材に露光を行う露光位置を形成するものであるから、現像処理部からの振動が該露光装置及び該露光中搬送機構に伝わらないように重点的に振動対策を講じる必要があるが、本発明によれば、上記露光装置及び露光中搬送機構は露光中搬送ユニットとして一ユニット化されているので、該露光中搬送ユニットとプリンタ部本体(筐体)と間に、より一層防振効果の高い振動手段を設けることができ、その結果画像の画質低下を確実に防止することが可能となる。
【0017】
請求項3の発明では、請求項1記載の写真処理装置において、上記露光搬送ユニットは、上記露光装置、上記露光中搬送機構、及び上記露光後搬送機構を含む一のユニットからなるように構成されている。
【0018】
この構成により、現像処理部からの振動により発生する上記露光装置、上記露光中搬送機構、及び上記露光後搬送機構間の互いの相対運動を無くすことができるので、該相対運動により感光材に発生する振動を抑制することができる。従って、上記感光材の画像形成面上に形成された画像の画質低下をより一層効果的に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、感光材に露光が行われている最中に、当該感光材の潜像が形成された部分を現像処理する本発明の写真処理装置によると、感光材に露光を行う露光装置並びに感光材を搬送する搬送機構のうち少なくとも露光中搬送機構及び露光後搬送機構をユニット化して一以上のユニットからなるようにするとともに、上記露光装置及び上記搬送機構を収容する筐体からなるプリンタ部本体と上記ユニットとの間に防振手段を設けることで、上記現像処理部において感光材を現像処理する際に発生する振動が、該現像処理部からプリンタ部本体(筐体)を介して上記露光装置、露光中搬送機構、及び露光後搬送機構に伝搬することを防止することができる。これにより上記感光材画像形成面上に形成された画像の画質低下を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る写真処理装置1の構成を示す断面図である。この写真処理装置1は、現像済みの写真フィルムに形成されているコマ画像をスキャニングし、画像データを取得するためのフィルムスキャナー(図示省略)と、デジタルカメラ用の記憶メディア、その他の記録媒体に格納されている画像データを読み取るためのメディア読取部(図示省略)と、読み取った画像データを基にペーパーPの乳剤面上(画像形成面に相当)に露光を行うことで潜像を形成する機能を有するプリンタ部としてのプリンタ装置A1と、ペーパーPに露光が行われている最中に、当該ペーパーPの潜像が形成された部分を現像処理する現像処理部としてのプロセッサ装置A2とを備えている。
【0021】
<プリンタ装置の構成>
プリンタ装置A1は、ペーパーPを所定の搬送経路に沿って搬送しながら、該搬送経路途中に設定された露光位置24にて、露光エンジン3から出射されるレーザー光をペーパーPの乳剤面上に照射することで潜像(画像)を形成する画像記録部25が内部に収容された筐体からなるプリンタ装置本体2を備えている。
【0022】
露光エンジン3は、公知の構造からなるもので、レーザー光源(レーザーダイオード等)から出力されるレーザー光を画像データに基づいて光変調し、この光変調されたレーザー光をペーパーPに照射することで画像露光を行う。画像露光を行う際には、ペーパーPは、露光中搬送ローラ12,13により所定速度(一定速度)で搬送される。上記レーザー光は、ペーパーPの搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に走査されるため、ペーパーP上には1ラインごとに潜像が焼付露光される。
【0023】
また、上記プリンタ装置本体2内には、ペーパーPを収容するマガジン4,5が、上記プリンタ装置本体2に連結固定されたマガジン台22,23にそれぞれ着脱可能に取付けられている。
【0024】
マガジン4,5内には長尺状のペーパーPがペーパーローラ6,7回りにロール状に巻かれた状態で収容されている。各マガジン4,5にはペーパーPを該マガジン4,5の外側に排出するための排出口4a,5aが設けられていて、ペーパーローラ6,7が回転することによりペーパーPはマガジン外へと排出される。該マガジン4,5の外側における上記排出口4a,5a近傍には、ペーパーPの搬送方向を変更して上記露光位置24へとペーパーPを導くアドバンスローラ8が設けられている。尚、上記ペーパーローラ6,7及び上記アドバンスローラ8が露光前搬送機構に相当するものである。
【0025】
アドバンスローラ8よりも搬送方向下流側には、露光位置24において露光処理中にあるペーパーPを更に搬送方向下流側へと搬送する露光中搬送機構としての上流側露光中搬送ローラ12及び下流側露光中搬送ローラ13が、上記露光位置24を挟むようにして設けられている。
【0026】
また、上記露光中搬送ローラ12,13よりも更に搬送下流側には、上記露光位置24における露光が完了した露光済みペーパーPをプロセッサ装置A2へと搬送する露光後搬送機構としての上流側露光後搬送ローラ14及び下流側露光後搬送ローラ15が設けられている。
【0027】
上記アドバンスローラ8と上記上流側露光中搬送ローラ12との間にはペーパーPの先端位置を検出してペーパーPの位置を判断するためのペーパーセンサー9と、該ペーパーセンサー9よりも搬送方向下流側に配設され、ペーパーPを所定の長さに切断するカッター11とが設けられている。上記カッター11は、上下に移動可能に取付けられた駆動側カッター11aと本体部2に取付固定された固定側カッター11bとから構成されていて、駆動側カッター11aと固定側カッター11bとの間にペーパーPを挟み込むことにより該ペーパーPを切断分離する。
【0028】
また、上記露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15は、ケース部材31に直接取付けられて該ケース部材31を含む露光搬送ユニット30を構成している。尚、上記カッター11及びセンサー9も同様にケース部材31に取付けられて上記露光搬送ユニット30を構成している。そして、上記露光搬送ユニット30と上記プリンタ装置本体2との間にはゴム材からなる防振ゴム32(防振手段に相当)が設けられており、該防振ゴム32によりプリンタ装置本体2から露光搬送ユニット30へと伝わる振動を吸収している。
【0029】
また、上記ケース部材31内における上記搬送方向下流側の端部には、ペーパー長さ(以下、ペーパーPの乳剤面上における露光済みの領域に対応して切断分離されるペーパーPの搬送方向の長さのことをペーパー長さと呼ぶ)が所定長さ以上のペーパーPをたるませることにより形成されるループ26のループ形成量Lを確保するためのループ形成用空間Sが設けられている。ループ形成用空間Sの下端部には、受光素子19aと発光素子19bとからなるループ検出センサー19が設けられていて、ループ26が所定のループ形成量L(たるみ量)になったか否かを検出してる。
【0030】
<プロセッサ装置の構成>
次に上記プロセッサ装置A2について説明する。プロセッサ装置A2は、後述する現像処理タンク101や搬送ラック102を内部に収容する筐体からなるプロセッサ装置本体110を備えている。
【0031】
上記プロセッサ装置本体110は、連結口2aを介して該プロセッサ装置本体110内と上記プリンタ装置本体2内とが連通するように該プリンタ装置本体2の搬送方向下流側端に取付固定されている。連結口2aの搬送方向下流側には現像前搬送ローラ107が設けられていてペーパーPを現像処理タンク101へと導く。
【0032】
現像処理タンク101は、発色現像液が貯留される発色現像処理タンク101aと漂白定着液が貯留される漂白定着処理タンク101bと安定化液が貯留される安定化処理タンク101cとからなり、ペーパーPは、各タンク内に設けられた搬送ラック102により上記各タンク内を順次通過して所定の処理が行われる。すなわち、発色現像処理タンク101aにおいては、露光によって生じたハロゲン化銀の潜像を現像し銀画像と色素画像を形成し、漂白定着処理タンク101bにおいては、発色現像により形成された銀画像を取り除くために、銀画像をハロゲン化銀に戻すことで不要なハロゲン化銀を溶かし出している。また、安定化処理タンク101cにおいては、色素画像を安定化するとともに乾燥ムラの発生を防止している。尚、上記搬送ラック102の構成は公知であり、例えば、本出願人による特開平11−102055号公報に開示される構成を採用することができる。
【0033】
各処理タンク101の深さは、各処理タンク101で必要とされる処理時間に対応して設定されている。従って、長い処理時間が必要とされる発色現像処理タンク101aは、他の処理タンクに比較して深さが深くなる。すなわち、搬送ラック102の上下方向の長さは、処理タンク内での処理時間に対応した長さとなる。
【0034】
上記現像処理タンク101の搬送方向下流側には、該現像処理タンク101における現像処理を終えたペーパーPをペーパー排出口106へと搬送する現像後搬送ローラ109が設けられている。また、現像後搬送ローラ109の近傍には、該現像後搬送ローラ109により形成された搬送経路に沿って、現像処理後のペーパーPを乾燥するための乾燥処理部105が設けられている。尚、上記現像前搬送ローラ107、上記搬送ラック102、及び上記現像後搬送ローラ109が現像部搬送機構に相当するものである。
【0035】
以上のような写真処理装置1において、プリントサイズ(ペーパーPの幅サイズに対応して決められた切断分離後のペーパーPのサイズ)に応じて選択された一方のマガジン4(又は5)から引出されたペーパーPは、上記アドバンスローラ8により搬送方向が変更されて上記露光位置24へ向かって搬送される。そして、露光位置24において上述のような画像露光が行われながら、所定のペーパー長さになるようにカッター11により切断される。そして、カッター11により切断されたペーパーPは、露光中搬送ローラ12,13によって搬送方向下流側へと送り出され、更に露光後搬送ローラ14,15によりプロセッサ装置A2へと送られる。上記連結口2aからプロセッサ装置A2内に進入したペーパーPは、上記現像前搬送ローラ107により現像処理タンク101へと導かれて上記所定の処理が施される。この処理時には振動が発生して、該振動がプロセッサ装置本体110を介してプリンタ装置本体2へと伝わりペーパーPの乳剤面上に形成された画像の画質を低下させる要因となるが、上記露光搬送ユニット30とプリンタ装置本体2との間に上記防振ゴム32を設けることで該画質低下を防いでいる。
【0036】
また、露光位置24からプロセッサ装置A2までの距離よりも、ペーパー長さが長いと露光中にプロセッサ装置A2に該ペーパーPが入ることになり、プロセッサ装置A2において発生する振動がペーパーP自身を介してペーパーPの露光部(露光処理中に露光位置24にあるペーパーPの露光部)に伝達されて露光ムラの原因となるため、ペーパー長さが上記所定長さ以上の場合には、下流側露光後搬送ローラ15の駆動を停止することで、ループ形成用空間S内においてペーパーPをループ状にたるませ、これにより露光ムラの発生を防止するようにしている。一方、ペーパー長さが所定長さよりも短いペーパーPは、上述のような露光ムラの問題が生じないため、上記収容空間部S内に収容されることなく、プロセッサ装置A2へと搬送されることとなる。上述の問題が生じないような搬送方向長さのペーパーPについても上記収容空間部S内に収容すると、装置全体としての処理速度が無駄に低下してしまうからである。
【0037】
現像処理を終えたペーパーPは現像後搬送ローラ109により更に下流側に搬送されるとともに、乾燥処理部105において乾燥処理された後にペーパー排出口106から排出される。
【0038】
以上の如く上記実施形態では、上記露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15は、ケース部材31に直接取付けられて該ケース部材31を含む露光搬送ユニット30を構成している。そして、露光搬送ユニット30と上記プリンタ装置本体2との間にプリンタ装置本体2から露光搬送ユニット30へ伝わる振動を吸収するための防振ゴム32が設けられている。これにより、上記プロセッサ装置A2においてペーパーPを現像処理する際に発生する振動が、プロセッサ装置A2からプリンタ装置本体2を介して露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13、及び露光後搬送ローラ14,15に伝搬することを防止することができる。従って、ペーパーPの乳剤面上に形成される画像の画質を低下させることもない。すなわち、防振ゴム32を設けない場合、プロセッサ装置A2において発生した振動はプリンタ装置本体2を介して直接上記露光装置24へと伝搬する。そして該振動は該露光装置24内の光源に伝わって上記乳剤面上の光の照射位置を振動させる結果、画像(潜像)の露光ムラ等を引き起こす。また、上記露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15に伝播した振動は、該各搬送ローラ12乃至15を介してペーパーPの露光部へと伝播するので、上記ペーパーPの乳剤面上における上記光源からの光の照射位置が定まらず画像の露光ムラ等の原因となる。しかしながら、本実施形態では、上記プロセッサ装置A2からプリンタ装置本体2を介して上記露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13及び上記露光後搬送ローラ14,15へと伝わる振動を上記防振ゴム32により吸収することができ、従って画像の露光ムラ等に伴う画像の画質低下を防止することができる。
【0039】
また、露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13及び露光後搬送ローラ14,15はユニット化されているため、上記プリンタ装置本体2からユニットごと分離することができ、従って上記露光エンジン3及び上記各搬送ローラ12乃至15のプリンタ装置本体2への組付構造等に左右されずに容易に防振ゴム32を設けることができる。
【0040】
また、上述のように露光搬送ユニット30は、露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13、及び露光後搬送ローラ14,15を一つのユニット内に含んでいる。これにより、現像処理時に上記プロセッサ装置本体110からプリンタ装置本体2を介して伝搬する振動により発生する、上記露光エンジン3、露光中搬送ローラ12,13、及び上記露光後搬送ローラ14,15間の相対運動を無くすことができ、従って該相対運動によりペーパーPに発生する振動を抑制することができる。よって、上記ペーパーPの乳剤面上に形成された画像の画質低下をより一層効果的に防ぐことができる。
【0041】
尚、上記実施形態では防振ゴム32はプリンタ装置本体2内の床側面(下側面)に設けられているが、後述する実施形態2に係る写真処理装置1(図2参照)のように、更に防振ゴム32cを上記プリンタ装置本体2内のプロセッサ装置側の面に設けてもよい。この構成によれば、プロセッサ装置本体110からプリンタ装置本体2に伝わる振動をより確実に遮断することができる。従って上記画質低下を防ぐことができる。
(実施形態2)
図2は実施形態2に係る写真処理装置1の構成を示す断面図であり、露光搬送ユニット30の構成が実施形態1とは異なってなるものである。尚、図1と同じ部分については、同じ符号を付してその詳細な説明は適宜省略する。
【0042】
すなわち、実施形態2に係る写真処理装置1では、上記露光搬送ユニット30は、上記露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13を含む露光中搬送ユニット35と、上記露光後搬送ローラ14,15を含む露光後搬送ユニット36とからなるように構成されている。これによると、上記露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13は露光中搬送ユニット35として一ユニット化されているので、該露光中搬送ユニット35とプリンタ装置本体2と間に設けられた防振ゴム32bを、上記露光後搬送ユニット36とプリンタ装置本体2との間に設けられた防振ゴム32aよりも防振効果の高いものとすることができる。すなわち、通常上記露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13は、ペーパーPに露光を行う露光位置24を形成するものであるから重点的に振動対策を講じる必要があるが、この構成により、プロセッサ装置A2から露光エンジン3及び該露光中搬送ローラ12,13に伝搬する振動をより一層低減することができ、その結果画像の画質低下を確実に防止することが可能となる。
【0043】
また、露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13は露光中搬送ユニット35として一ユニット化されているので露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13に伝搬する振動に起因して発生する露光エンジン3及び露光中搬送ローラ12,13の相対運動を無くすことができる。従って、露光中搬送ローラ12,13により搬送される露光処理中のペーパーPと露光エンジン3との間に発生する相対運動を抑制することができ、従って画像の露光ムラ等に伴う画質低下を防ぐことができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち上記実施形態では、防振手段としてゴム材からなる防振ゴム32を使用しているが、防振効果を有するものであればどのようなものであってもよい。すなわち、例えばコイルスプリングや上記本体部2からの振動を検知して能動的に上記各ユニットの姿勢を制御するような防振装置等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、感光材を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送中の上記感光材の画像形成面上に露光を行うことで潜像を形成する露光装置とが内部に収容された筐体を有するプリンタ部と、上記感光材に露光が行われている最中に、当該感光材の潜像が形成された部分を現像処理する現像処理部とを備えた写真処理装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態1に係る写真処理装置の構成を示す断面図である。
【図2】実施形態2に係る写真処理装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
P ペーパー
A1 プリンタ装置(プリンタ部)
A2 プロセッサ装置(現像処理部)
1 写真処理装置
2 プリンタ装置本体(筐体)
3 露光エンジン(露光装置)
6 ペーパーローラ(露光前搬送機構)
7 ペーパーローラ(露光前搬送機構)
8 アドバンスローラ(露光前搬送機構)
12 上流側露光中搬送ローラ(露光中搬送機構)
13 下流側露光中搬送ローラ(露光中搬送機構)
14 上流側露光後搬送ローラ(露光後搬送機構)
15 下流側露光後搬送ローラ(露光後搬送機構)
30 露光搬送ユニット
32 防振ゴム(防振手段)
35 露光中搬送ユニット
36 露光後搬送ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材を搬送する搬送機構と該搬送機構により搬送中の上記感光材の画像形成面上に露光を行うことで潜像を形成する露光装置とが内部に収容された筐体を有するプリンタ部と、上記感光材に露光が行われている最中に、当該感光材の潜像が形成された部分を現像処理する現像処理部とを備えた写真処理装置であって、
上記搬送機構は、
露光処理前の上記感光材を搬送する露光前搬送機構と、
上記露光前搬送機構よりも搬送方向下流側に配設され、露光処理中の上記感光材を搬送する露光中搬送機構と、
上記露光中搬送機構よりも更に搬送方向下流側に配設され、露光処理後の上記感光材を上記現像処理部へと搬送する露光後搬送機構と、
上記露光後搬送機構により上記現像処理部内へと導かれた上記感光材を搬送する現像部搬送機構と、
からなり、
上記露光装置並びに上記搬送機構のうち少なくとも上記露光中搬送機構及び上記露光後搬送機構はユニット化されて一以上のユニットからなる露光搬送ユニットを構成し、
上記露光搬送ユニットと上記筐体との間には、上記筐体から該露光搬送ユニットへ伝わる振動を吸収するための防振手段が設けられていることを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の写真処理装置において、
上記露光搬送ユニットは、上記露光装置及び上記露光中搬送機構を含む露光中搬送ユニットと、上記露光後搬送機構を含む露光後搬送ユニットとからなり、上記露光中搬送ユニットと上記筐体との間、及び上記露光後搬送ユニットと上記筐体との間にはそれぞれ上記防振手段が設けられていることを特徴とする写真処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の写真処理装置において、
上記露光搬送ユニットは、上記露光装置、上記露光中搬送機構、及び上記露光後搬送機構を含む一のユニットからなることを特徴とする写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−240706(P2007−240706A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60748(P2006−60748)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】