説明

冤罪防止プログラム、携帯端末、及び冤罪防止システム

【課題】冤罪立証における高い証拠能力を確保する。
【解決手段】携帯端末12で作成した操作履歴情報及び動作履歴情報をセンタサーバ14へ送信する。このため、センタサーバ14側で履歴情報を管理することができる。また、携帯端末12表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末12本体の動作履歴を示す動作履歴情報を作成する。このため、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冤罪防止プログラム、携帯端末、及び冤罪防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、痴漢冤罪を立証する手段としては、監視カメラ等による画像及び周囲の証言に頼る他なく、これらが存在しない場合に痴漢冤罪を立証することは極めて困難であった。また、監視カメラを設置したとしても、混在した車内等で乗客一人一人の細かい動作まで記録することは困難であった。このため、冤罪立証に利用できる何らかの証拠を確保する手段が望まれていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの手首に複数の被測定手段を設け、複数の被測定手段間の距離の測定結果に基づいて、ユーザの掌の位置及び向きを算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−181429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、単にユーザの掌の向きや位置を取得するのみであり、実際の冤罪立証における証拠能力としては弱かった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冤罪立証における高い証拠能力を確保することが可能な冤罪防止プログラム、携帯端末、及び冤罪防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る冤罪防止プログラムは、サーバに通信回線を介して接続されたコンピュータに実行させるための冤罪防止プログラムであって、携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成するステップと、作成された前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信するステップと、を前記コンピュータに実行させるための冤罪防止プログラムである。
【0008】
また、本発明に係る携帯端末は、サーバに通信回線を介して接続された携帯端末であって、携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成する履歴作成手段と、作成された前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信する通信手段と、を備えた携帯端末である。
【0009】
また、本発明に係る冤罪防止システムは、サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された携帯端末と、を備えた冤罪防止システムであって、前記携帯端末は、携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成する履歴作成手段と、前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信する第1通信手段と、を備え、前記サーバは、前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を受信する第2通信手段と、前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報を記憶する記憶手段と、を備えた冤罪防止システムである。
【0010】
また、本発明に係る冤罪防止システムは、サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された携帯端末と、を備えた冤罪防止システムであって、前記携帯端末は、携帯端末表面への被接触体による接触領域を検知する第5検知手段と、前記接触領域と検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する第3記憶手段と、携帯端末本体の動きを検知する第6検知手段と、前記動きを示す動作情報と検知日時とを対応づけた動作ログを記憶する第4記憶手段と、前記接触ログ及び前記動作ログの少なくとも一方を前記サーバへ送信する第5通信手段と、を備え、前記サーバは、前記接触ログ及び前記動作ログの少なくとも一方を受信する第6通信手段と、前記動作ログに基づいて前記携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報を作成する動作履歴作成手段、及び前記接触ログに基づいて前記携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報を作成する操作履歴作成手段の少なくとも一方を備えた履歴作成手段と、前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を記憶する第5記憶手段と、を備えた、冤罪防止システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施の形態1に係る冤罪防止システムの構成図である。
【図2】図2は、携帯端末のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、携帯端末を示す模式図である。
【図4】図4は、携帯端末を示す模式図である。
【図5】図5は、初期設定情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る携帯端末の制御部で実行する冤罪防止処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、割り込み処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、サーバの制御部で実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、履歴表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、操作表示部に表示された動作履歴の一例を示す模式図である。
【図11】図11は、操作表示部に表示された動作軌跡の一例を示す模式図である。
【図12】図12は、実施の形態2に係る冤罪防止システムの構成図である。
【図13】図13は、実施の形態2に係る携帯端末の制御部で実行する冤罪防止処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、割り込み処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、サーバの制御部で実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、サーバの制御部で実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は、実施の形態3に係る冤罪防止システムの構成図である。
【図18】図18は、実施の形態3に係る携帯端末の制御部で実行する冤罪防止処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】図19は、割り込み処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる冤罪防止プログラム、携帯端末、及び冤罪防止システムの一の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる携帯端末及び冤罪防止システムの構成図である。図1に示すように、冤罪防止システム10は、センタサーバ14と、センタサーバ14に通信回線40を介して接続された携帯端末12とを備えている。なお、図1には、1台の携帯端末12のみを示したが、センタサーバ14には、通信回線40を介して複数の携帯端末12が接続されている。
【0015】
携帯端末12は、ユーザが少なくとも片手または両手で把持することの可能な大きさの端末である。携帯端末12は、操作表示部16、撮像部18、通信部20、端末動作検知部22、接触領域検知部24、報知部26、生体情報検知部27、及び制御部28を備えている。
【0016】
操作表示部16は、ユーザからの各種操作指示を受け付けると共に、各種画像を表示する入出力デバイスである。操作表示部16としては、タッチパネル等が挙げられる。なお、操作表示部16は、画像を表示する表示部16Aと、ユーザが各種操作指示を行うための操作部16Bと、を別体として設けた構成であってもよい。また、この場合の表示部16Aが、画像表示と共に操作指示を受け付けるタッチパネル等であってもよい。
【0017】
撮像部18は、被写体を撮像することによって画像データを得るデバイスである。撮像部18としては、CCD(Charge Coupled Device)を有するデジタルカメラが挙げられる。通信部20は、アンテナ等であり、通信回線40を介してセンタサーバ14と各種データを通信する。報知部26は、各種の音を出力し、スピーカー等が挙げられる。
【0018】
端末動作検知部22は、携帯端末12本体の動きを検知するセンサである。具体的には、端末動作検知部22は、携帯端末12にかかる重力、振動、動き、及び衝撃等を検知する。この端末動作検知部22としては、加速度センサが挙げられる。加速度センサとしては、人の動きに適した低G加速度センサ(約20G以下の測定範囲を有する加速度センサ)を用いることが好ましい。また、端末動作検知部22としては、検出軸数が3軸である3軸加速度センサを用いることが好ましい。なお、加速度センサには、機械式、光学式、半導体式があるが、小型である事等から半導体式を用いることが好ましい。また、半導体式の加速度センサには、静電容量型、ピエゾ抵抗型、ガス温度分布型等が挙げられる。
【0019】
接触領域検知部24は、携帯端末12の外表面に対する被接触体による接触領域を検知する。この接触領域とは、携帯端末12の外表面における被接触体の接触位置を示している。
【0020】
接触領域検知部24としては、被接触体による接触領域を検知可能なデバイスであればよく、圧力検知、赤外線検知、静電検知等の何れの方法を用いてもよく、公知のセンサが挙げられる。例えば、この接触領域検知部24としては、操作表示部16をタッチパネルで構成し、このタッチパネルを接触領域検知部24として用いてもよい。また、携帯端末12に、各種操作指示を行うときにユーザによって押圧されるボタン状の操作部16Bが複数設けられている場合には、この複数の操作部16Bを接触領域検知部24として用いてもよい。また、携帯端末12の筐体(詳細後述)の外表面の一部または全領域に渡って、所定間隔ごとに公知の接触検知センサを設け、これらを接触領域検知部24として用いてもよい。さらには、この操作表示部16、操作ボタン、携帯端末12の筐体に設けられた接触検知センサの少なくとも2種以上を組み合わせて、接触領域検知部24として用いてもよい。
【0021】
なお、本実施の形態では、接触領域検知部24は、携帯端末12本体の単一面のみではなく、複数の面(異なる2面以上)に設けられている。すなわち、携帯端末12が6面を有する板状である場合には、該6面のうちの少なくとも2面以上に接触領域検知部24が設けられている。
【0022】
なお、操作表示部16をタッチパネルで構成し、このタッチパネルを接触領域検知部24として用いる場合には、操作表示部16における接触位置を示す信号が接触領域検知部24(操作表示部16)から制御部28に出力するようにすればよい。また、操作部16Bを接触領域検知部24として用いる場合には、各操作部16Bの携帯端末12表面における位置を示す情報と、操作部16Bが押圧されたことを示す信号を、接触領域検知部24としての各操作部16Bから制御部28に出力するようにすればよい。また、携帯端末12の筐体に設けた接触検知センサを接触領域検知部24として用いる場合には、各接触検知センサの携帯端末12表面における位置を示す情報と、接触検知を示す信号を、接触領域検知部24としての各接触検知センサから制御部28に出力するようにすればよい。
【0023】
このため、同じ検知日時(年、月、日、分、秒)に、携帯端末12の該表面における互いに異なる複数の領域に被接触体が接触することで、複数の接触領域を示す接触領域情報が、接触領域検知部24による検知結果として制御部28へ出力される。
【0024】
生体情報検知部60は、携帯端末12を把持しているユーザの生体情報を検知するデバイスである。この生体情報としては、脈拍や発汗等が挙げられる。生体情報検知部60としては、脈拍や発汗を検知する公知のセンサが用いられる。
【0025】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、後述する冤罪防止プログラムや履歴表示プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部28は、携帯端末12に設けられた装置各部に電気的に接続されている。具体的には、制御部28は、通信部20、撮像部18、操作表示部16、端末動作検知部22、接触領域検知部24、報知部26、及び生体情報検知部60に信号授受可能に接続されている。
【0026】
この制御部28を、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部28は、図1に示すように、入力受付部17、表示制御部15、動作検知制御部23、領域検知制御部25、報知制御部27、生体情報受付部61、撮像制御部19、通信制御部21、暗号化部30、記憶部32、及び履歴作成部34を有する。
【0027】
通信制御部21は、通信部20及び通信回線40を介してセンタサーバ14との間でデータを送受信する。本実施の形態では、通信制御部21は、後述する操作履歴情報及び動作履歴情報を、通信部20及び通信回線40を介してセンタサーバ14へ送信する。
【0028】
撮像制御部19は、撮像部18を制御すると共に、撮像部18の撮像によって得られた画像データを受け付ける。また、撮像制御部19は、撮像部18から受け付けた画像データを、該画像データを受け付けた検知日時に対応づけて記憶部32に記憶する。
【0029】
なお、本実施の形態において、検知日時とは、検知した年、月、日、時間、秒を示す。
【0030】
入力受付部17は、操作表示部16からユーザによって入力された各種入力事項の入力を受け付ける。この入力事項としては、携帯端末12における各種設定事項が挙げられる。表示制御部15は、操作表示部16に各種画像を表示する。
【0031】
動作検知制御部23は、端末動作検知部22による検知結果である、携帯端末12の動作を示す動作情報(重力、振動、動き、衝撃)を受け付ける。また、動作検知制御部23は、端末動作検知部22から受け付けた検知結果(動作情報)を検知日時に対応づけた動作ログを記憶部32に記憶する。
【0032】
領域検知制御部25は、接触領域検知部24による検知結果である、携帯端末12の外表面に対する被接触体による接触領域を示す接触領域情報を受け付ける。また、領域検知制御部25は、接触領域検知部24から受け付けた検知結果(接触領域情報)を検知日時に対応づけた接触ログを記憶部32に記憶する。
【0033】
生体情報受付部61は、生体情報検知部60による検知結果である、生体情報を示す信号を受け付ける。また、生体情報受付部61は、生体情報検知部60から受け付けた検知結果(生体情報)を検知日時に対応づけた生体ログを記憶部32に記憶する。
【0034】
報知制御部27は、各種音声データの音を報知部26から出力する。
【0035】
暗号化部30は、上記動作ログ、上記接触ログ、及び上記生体ログや、後述する操作履歴情報及び動作履歴情報を暗号化して記憶部32に記憶する。このため、記憶部32には、これらの情報が暗号化されて記憶されている。すなわち、携帯端末12のユーザは、記憶部32に記憶されているデータ内容を変更(改竄)することは出来ない構成となっている。
【0036】
記憶部32は、各種情報を記憶し、動作記憶部32A、操作記憶部32B、生体情報記憶部32C、操作履歴情報記憶部32D、及び動作履歴情報記憶部32Eを有している。動作記憶部32Aは、端末動作検知部22の検知結果と検知日時とを対応づけた動作ログを記憶する。操作記憶部32Bは、接触領域検知部24の検知結果と検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する。生体情報記憶部32Cは、生体情報検知部60の検知結果と検知日時とを対応づけた生体ログを記憶する。操作履歴情報記憶部32Dは、操作履歴情報を記憶する。動作履歴情報記憶部32Eは、動作履歴情報を記憶する。なお、これらのログや履歴情報は、上述したように、暗号化部30によって暗号化された状態で記憶されている。
【0037】
履歴作成部34は、操作履歴作成部38及び動作履歴作成部36を有している。動作履歴作成部36は、端末動作検知部22の検知結果と検知日時とを対応づけた動作ログに基づいて、携帯端末12本体の動作履歴を示す動作履歴情報を作成する。この動作履歴情報とは、動作方向を示す方向情報と、動作距離を示す距離情報と、携帯端末12の角度を示す角度情報と、をこれらの情報に対応する検知日時に対応づけたテーブルである。
【0038】
いいかえれば、動作履歴情報とは、各検知日時に対応する、携帯端末12の、移動方向情報、距離情報、及び角度情報を示す。なお、上記移動方向は、重力方向をX軸としたときの、X軸方向(重力方向)、Y軸方向(水平方向)、Z軸方向(X軸及びY軸の双方に垂直な方向)の各々における角度によって示される。また、上記移動距離は、該X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々の角度によって示される移動方向を示すベクトルデータを積分した積分値である。また、上記角度は、操作表示部16の面が水平となるように携帯端末12を載置したときを原点(0,0,0)としたときの、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各々の角度によって示されるベクトルデータである。
【0039】
動作履歴作成部36は、端末動作検知部22の検知結果と検知日時とを対応づけた動作ログに基づいて、該検知結果としての重力、振動、動き、及び衝撃等から、公知の算出方法を用いて、携帯端末12の、方向情報、距離情報、及び角度情報を算出する。そして、算出した方向情報、距離情報、及び角度情報を、対応する検知日時に対応づけた、動作履歴情報を作成する。
【0040】
なお、この動作履歴情報は、生体情報検知部60で検知された生体情報を更に含んだものであってもよい。すなわち、動作履歴情報は、各検知日時に、更に、生体情報を対応づけて格納したテーブルであってもよい。
【0041】
この場合には、動作履歴作成部36は、検知日時に、携帯端末12の方向情報、距離情報、及び角度情報と、生体情報と、を対応づけた動作履歴情報を作成する。
【0042】
また、この動作履歴情報は、携帯端末12の動作軌跡を示す軌跡情報を更に含んだものであってもよい。この場合には、動作履歴作成部36は、各検知日時に対応する移動方向情報、距離情報、及び角度情報に基づいて、携帯端末12の動作軌跡を示す線画像としての軌跡情報を作成する。そして、動作履歴作成部36は、作成した軌跡情報を更に含む動作履歴情報を作成すればよい。
【0043】
また、この動作履歴情報は、携帯端末12の撮像部18による撮像によって得られた静止画像データや動画像データ等の画像データを更に含んでいてもよい。この場合には、動作履歴作成部36は、静止画像データを該静止画像データの得られた(撮像によって得られた)検知日時に対応づけることによって、静止画像データを含む動作履歴情報を作成すればよい。また、動作履歴作成部36は、動画像データを、該動画像データの撮像開始時刻に応じた検知日時に対応づけることによって、動画像データを含む動作履歴情報を作成すればよい。
【0044】
さらに、動作履歴作成部36は、撮像部18によって得られる画像データの特徴点を示す情報を予め記憶しておいて、該特徴点を有する画像データが撮像部18から得られたときに、該特徴点を示す情報を更に対応づけた動作履歴情報を作成してもよい。この特徴点としては、例えば、携帯端末12を把持するユーザの掌の形状、指の形状、指紋や皺、顔における目や鼻や口の形状や位置等の該ユーザを特定可能な特徴点が挙げられる。そして、動作履歴作成部36は、予め撮像部18からユーザの手や指や顔の画像データを取得し、各画像データの特徴点を抽出して、該ユーザを識別するためのユーザ識別情報に対応づけて記憶しておけばよい。そして、制御部28による後述する冤罪防止プログラムの実行中に撮像部18から画像データを取得したときに、動作履歴作成部36は、取得した画像データ、該画像データの特徴点に対応するユーザ識別情報を含む動作履歴情報を作成すればよい。
【0045】
さらに、動作履歴作成部36は、撮像部18によって得られた画像データから、被写体と撮像部18との距離を算出し、算出結果を更に含む、動作履歴情報を作成してもよい。この被写体と撮像部18との距離の算出方法には、公知の算出方法を用いればよい。
【0046】
動作履歴作成部36によって作成された動作履歴情報は、暗号化部30によって暗号化される。そして、暗号化された動作履歴情報は、動作履歴情報記憶部32Eに記憶される。
【0047】
なお動作履歴作成部36が、動作履歴情報として、方向情報、距離情報、及び角度情報を、対応する検知日時に対応づけた、動作履歴情報を作成するか、上記生体情報や上記軌跡情報をも含んだ動作履歴情報を作成するかは、後述する初期設定情報に設定されている設定条件に基づいて、制御部28が判断する。なお、この初期設定情報は、詳細は後述するが、ユーザによる操作表示部16の操作指示によって予め設定され、記憶部32に記憶されている。
【0048】
操作履歴作成部38は、接触領域検知部24の検知結果と検知日時とを対応づけた接触ログに基づいて操作履歴情報を作成する。
【0049】
操作履歴情報とは、携帯端末12の表面に対する、ユーザの手の接触領域の推移を示す情報である。具体的には、操作履歴情報は、携帯端末12表面におけるユーザの手や指による接触領域を示す手接触領域情報と、検知日時と、を対応づけたテーブルである。すなわち、操作履歴情報は、携帯端末12表面におけるユーザの手や指の位置の履歴を示す。
【0050】
操作履歴作成部38は、接触領域検知部24の検知結果と検知日時とを対応づけた接触ログに基づいて、操作履歴情報を作成する。
【0051】
具体的には、操作履歴作成部38は、接触領域検知部24の検知結果である接触領域情報と検知日時とを対応づけた接触ログを、そのまま操作履歴情報として用いることによって操作履歴情報を作成する。なお、操作履歴作成部38は、接触ログを操作履歴情報として用いることによって該操作履歴情報を作成してもよいが、操作履歴作成部38は、接触ログによって示される接触領域のうちの、ユーザの手(指及び掌を含む)の接触による手接触領域を抽出し、該手接触領域と検知日時とを対応づけることによって操作履歴情報を作成することが好ましい。
【0052】
この場合には、具体的には、携帯端末12に物(人の手以外)が接触したときと、人が携帯端末12を把持したときと、における接触領域検知部24から受け付ける信号の差を予め測定して記憶部32に記憶しておく。そして、この信号の差に基づいて、操作履歴作成部38は、接触ログから手接触領域を抽出すればよい。なお、この信号の差としては、例えば、同時(同一検知日時)に検知される領域の差等が挙げられる。さらに具体的には、例えば、被接触体として物(人の手以外)が携帯端末12に接触した場合には、携帯端末12における単一の面に設けられた接触領域検知部24から接触領域を示す信号が領域検知制御部25へ出力される。一方、被接触体として人の手が携帯端末12を把持した場合には、携帯端末12における少なくとも2面に設けられた接触領域検知部24から接触領域を示す信号が領域検知制御部25へ出力される。このため、例えば、操作履歴作成部38は、接触ログに示される各検知日時に対応する接触領域のうちの、少なくとも異なる2面に設けられた接触領域検知部24から受け付けた検知結果を含む接触領域を、手接触領域として抽出することによって、操作履歴情報を作成する。
【0053】
なお、操作履歴作成部38による操作履歴情報の作成方法は、このような方法に限られない。
【0054】
なお、この操作履歴情報は、携帯端末12を把持するユーザの手の状態(掌や指の形)を示す持方情報を含んでいてもよい。すなわち、操作履歴情報は、各検知日時に、更に、持方情報を対応づけたテーブルであってもよい。
【0055】
この場合には、例えば、操作履歴作成部38は、接触領域検知部24の検知結果である接触領域情報と、携帯端末12を把持するユーザの手の状態を示す持方情報と、を予め対応づけた持方情報テーブルに基づいて、該持方情報を作成する。なお、この持方情報テーブルは、予め、携帯端末12を人間が手によって把持したときに接触領域検知部24から受け付ける検知結果(接触領域情報)と、該検知結果が得られるときのユーザの手の状態を示す持方情報と、を予め測定して、記憶部32に記憶しておけばよい。そして、操作履歴作成部38は、この持方情報テーブルに格納されている接触領域情報に対応する持方情報を該テーブルから読み取ることによって、接触領域検知部24の検知結果に対応する持方情報を得ればよい。なお、操作履歴作成部38が持方情報を得る方法は、このようなテーブルを用いた方法に限られない。例えば、接触領域情報から持方情報を得るための演算式を予め求めておいて、この演算式を用いてもよい。
【0056】
また、操作履歴情報、携帯端末12を把持するユーザの手が片手または両手である事を示す持ち手情報(片手情報または両手情報)を、更に含んでいてもよい。すなわち、操作履歴情報は、各検知日時に、更に、片手情報または両手情報を対応づけて格納したテーブルであってもよい。
【0057】
この場合には、操作履歴作成部38は、接触領域情報と、片手情報または両手情報と、を対応づけた持ち手テーブルに基づいて、上記片手情報または両手情報を作成すればよい。なお、この持ち手テーブルは、下記のようにして予め作成して記憶部32に記憶しておけばよい。具体的には、携帯端末12をユーザが右手のみで把持したときに接触領域検知部24から受け付ける接触領域情報を予め測定し、該接触領域情報に右手情報を対応づけて記憶部32に記憶する。また、携帯端末12をユーザが左手のみで把持したときに接触領域検知部24から受け付ける接触領域情報を予め測定し、該接触領域情報に左手情報を対応づけて記憶部32に記憶する。さらに、携帯端末12をユーザが両手で把持したときに接触領域検知部24から受け付ける接触領域情報を予め測定し、該接触領域情報に両手情報を対応づけて記憶部32に記憶する。このようにして、持ち手テーブルを予め記憶部32に記憶しておく。
【0058】
例えば、携帯端末12をユーザが両手で把持したときに接触領域検知部24から受け付ける接触領域情報が、互いに異なる6か所以上の接触領域を示す接触領域情報であったとする。この場合には、互いに異なる6か所以上の接触領域を示す接触領域情報と、両手情報と、を対応づけて持ち手テーブルに格納する。このようにすれば、例えば、操作履歴作成部38は、接触領域検知部24から受け付けた接触領域が互いに異なる6か所以上の接触領域を示す接触領域情報であるときに、両手情報を含む操作履歴情報を作成する。
【0059】
なお、操作履歴作成部38による片手情報(右手情報、左手情報)や両手情報の取得は、このようなテーブルを用いた方法に限られない。例えば、接触領域情報から持ち手情報を得るための演算式を予め求めておいて、この演算式を用いてもよい。
【0060】
なお操作履歴作成部38が、操作履歴情報として、該手接触領域と検知日時とを対応づけた操作履歴情報を作成するか、上記持方情報や持ち手情報をも含んだ操作履歴情報を作成するか、は、後述する初期設定情報に設定されている設定条件に基づいて、制御部28が判断する。
【0061】
図2には、携帯端末12のハードウエア構成例を示すブロック図を示した。携帯端末12は、CPU62、ROM63、及びRAM64を含む制御部28と、報知部26と、通信部20と、撮像部18と、操作表示部16と、端末動作検知部22と、接触領域検知部24と、生体情報検知部60と、が、バス66を介して接続されたハードウエア構成となっている。
【0062】
このような携帯端末12としては、具体的には、図3及び図4に示すような構成が挙げられる。例えば、図3に示すように、携帯端末12は、筐体68の一方の面に、操作表示部16が設けられている。また、図3に示す例では、操作表示部16が接触領域検知部24としての機能も有している。この筐体68における操作表示部16の配置面と同じ面には、報知部26及び撮像部18が設けられている。なお、本実施の形態では、撮像部18は、携帯端末12の筐体68における操作表示部16と同じ面側に設けられている場合を説明するが、異なる面に設けられていてもよい。しかしながら、撮像部18と操作表示部16とは同じ面に設けられていることが好ましい。
【0063】
筐体68の内部には、端末動作検知部22、通信部20、及び制御部28(図3では図示省略)等が設けられている。生体情報検知部60は、携帯端末12において、携帯端末12を把持した手の脈拍や発汗等の生体情報を検知可能な位置に設けられている。一例として、生体情報検知部60は、筐体68における側面(操作表示部16の設けられている面とは異なり且つ該面に連続する面)に設けられている。
【0064】
また、携帯端末12としては、操作表示部16として、表示部16Aと操作部16Bとが異なる領域に設けられた構成であってもよい。この場合には、図4に示すように、携帯端末12は、各種画像を表示する表示部16Aと、ユーザが各種情報を入力するときに押圧指示するための複数のボタンを備えた操作部16Bと、から操作表示部16を構成した形態であってもよい。
【0065】
なお、上述したように、接触領域検知部24は、携帯端末12本体の単一面のみではなく、複数の面(異なる2面以上)に設けられている。図3及び図4には、一例として、筐体68における操作表示部16の設けられている面と、該面に連続する側面であって且つ互いに向かい合う2面に1箇所ずつと、操作表示部16の設けられている面に対向する面と、の各々に接触領域検知部24が設けられている場合を示した。
【0066】
図1に戻り、センタサーバ14は、通信部42、表示部44、及び制御部46を備えている。
【0067】
通信部42は、通信回線40を介して携帯端末12と各種データを通信する。表示部44は各種画像を表示する。
【0068】
制御部46は、CPU、後述するサーバ用冤罪防止プログラム等を記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部46は、センタサーバ14に設けられた装置各部に電気的に接続されている。具体的には、制御部46は、通信部42及び表示部44に信号授受可能に接続されている。
【0069】
この制御部46を、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部46は、図1に示すように、通信制御部43、表示制御部45、復号化部48、暗号化部50、及び記憶部52を有する。
【0070】
通信制御部43は、通信部42及び通信回線40を介して携帯端末12から上記操作履歴情報、及び動作履歴情報を受け付ける。また、通信制御部43は、後述する配信要求に応じて、操作履歴情報及び動作履歴情報を、通信部42及び通信回線40を介して配信要求を送信してきた端末(例えば携帯端末12)に配信する。
【0071】
表示制御部45は、表示部44に各種画像を表示する。本実施の形態では、表示制御部45は、表示部44に操作履歴や動作履歴を表示する。
【0072】
なお、携帯端末12とセンタサーバ14との間で送受信される各種データは、全て、暗号化部30または暗号化部50で暗号化されている。なお、暗号化部50は、暗号化部30と同じ暗号化キーを用いて暗号化を行う。復号化部48は、携帯端末12から受け付けた各種データを、復号化キーを用いて復号化する。なお、これらの暗号化キー及び復号化キーは、予め携帯端末12とセンタサーバ14との間で取り決められたものであり、予め携帯端末12及びセンタサーバ14に記憶されている。
【0073】
記憶部52は、携帯端末12から通信回線40及び通信部42を介して受け付けた操作履歴情報及び動作履歴情報等を記憶する。
【0074】
上記構成の冤罪防止システム10における携帯端末12には、後述する冤罪防止プログラムが実行される前に、初期設定情報が登録されている。
【0075】
この初期設定情報は、冤罪防止プログラム実行時において制御部28が参照に用いるための各種設定条件を含んでいる。そして、初期設定情報は、ユーザによる操作表示部16の操作指示によって、予め携帯端末12に登録され記憶部32に記憶されている。
【0076】
図5は、初期設定情報のデータ構造の一例を示す説明図である。図5には、初期設定情報に設定する各設定条件を示す項目として、開始動作、タッチパネル(操作表示部16)の指の位置、蓄積ログ、作成履歴、送信情報、及び送信条件が定められる。なお、図5には、一例を示したが、初期設定情報に登録される設定条件はこれらの項目に限られない。
【0077】
これらの初期設定情報は、下記処理によって記憶部32に記憶されるようにすればよい。例えば、制御部28の制御によって、これらの各項目の条件設定を行うための入力画面を操作表示部16に表示する。そして、操作表示部16がユーザによって操作指示されることによって各項目に対応する設定条件が登録される。これによって、初期設定情報が記憶部32に記憶される。
【0078】
図5中の、開始動作は、携帯端末12における詳細を後述する冤罪防止プログラムの開始指示を示す開始動作の種類を示す。図5に示す例では、この開始動作の設定値として、「モーション」及び「静止画撮影」の何れかが選択可能であることが示されている。また、「モーション」には、開始動作の具体的な内容を示す情報が登録される(図示省略)。「静止画撮影」については、セルフタイマー値が登録される。
【0079】
タッチパネルの指の位置は、冤罪防止プログラムの開始時、すなわち初期状態の携帯端末12に対する手(指を含む)の位置を示す。この指の位置の設定値としては、例えば、該項目の設定時において接触領域検知部24から受け付けた検知結果である接触領域情報が登録される。
【0080】
例えば、初期設定情報として、開始動作「モーション」に対応づけて、携帯端末12を8の字に動かすことを示す情報が登録されていたとする。また、タッチパネルの指の位置として、特定の接触領域情報が登録されていたとする。この場合には、制御部28は、携帯端末12が8の字に動かされたことを示す動作情報を端末動作検知部22から受け付け、また該特定の接触領域情報を接触領域検知部24から受け付けたときに、冤罪防止プログラムを実行する。
【0081】
一方、初期設定情報として、開始動作「静止画撮影」に対応づけて、セルフタイマー値“t秒”が登録されていたとする。この場合には、図示を省略する撮像ボタンがユーザによって操作指示されてからt秒後に静止画撮影を行うように撮像制御部19が撮像部18を制御し、撮像部18から静止画像の画像データを受け付けたときに、制御部28が冤罪防止プログラムを実行する。
【0082】
蓄積ログは、冤罪防止プログラム実行時に記憶部32に記録する動作ログや接触ログ等のログの種類を示す。このログの種類として、初期設定情報には、「動作ログ」、「接触ログ」、「生体ログ」、「動画」の内の少なくとも1つが登録されている。すなわち、これらの「動作ログ」、「接触ログ」、「生体ログ」、及び「動画」の内の、複数を蓄積ログとして登録可能となっている。なお、図5には、ログの種類として4種類を示したが、このような種類に限られない。
【0083】
作成履歴は、冤罪プログラム実行時に作成する履歴の種類を示している。この履歴の種類として、初期設定情報には、「動作履歴」、「生体情報含」、「軌跡情報含」、「操作履歴」、「持方情報含」、「持ち手情報含」の内の少なくとも1つが登録されている。
【0084】
初期設定情報に「動作履歴」が設定されている場合には、制御部28の動作履歴作成部36が、動作履歴情報を作成する。初期設定情報に「生体情報含」が設定されている場合には、動作履歴作成部36は、生体情報を含む動作履歴情報を作成する。初期設定情報に「軌跡情報含」が設定されている場合には、動作履歴作成部36は、軌跡情報を含む動作履歴情報を作成する。なお、「生体情報含」及び「軌跡情報含」の双方が設定されている場合には、動作履歴作成部36は、生体情報及び軌跡情報の双方を含む動作履歴情報を作成する。
【0085】
同様に、初期設定情報に「操作履歴」が設定されている場合には、制御部28の操作履歴作成部38は、操作履歴情報を作成する。なお、初期設定情報に、「動作履歴」と「操作履歴」の双方が設定されている場合には、制御部28の履歴作成部34は、動作履歴情報と操作履歴情報の双方を作成する。また、初期設定情報に「持方情報含」が設定されている場合には、操作履歴作成部38は、持方情報を含む操作履歴情報を作成する。初期設定情報に「持ち手情報含」が設定されている場合には、操作履歴作成部38は、持ち手情報を含む操作履歴情報を作成する。
【0086】
また、初期設定情報に、「動作履歴」、「生体情報含」、「軌跡情報含」、「操作履歴」、「持方情報含」、「持ち手情報含」の内の複数が設定されている場合には、履歴作成部34は、設定条件に応じた情報を含む履歴情報(動作履歴情報や操作履歴情報)を作成する。すなわち、これらの全てが設定されている場合には、履歴作成部34は、動作履歴作成部36で生体情報及び軌跡情報を含む動作履歴情報を作成し、操作履歴作成部38で持方情報及び持ち手情報を含む操作履歴情報を作成する。
【0087】
送信情報は、携帯端末12からセンタサーバ14へ送信するデータの内容を示す。この送信するデータの内容として、初期設定情報には、例えば、「ログ」、「動作履歴」、「操作履歴」、の内の少なくとも1つが登録されている。送信条件は、携帯端末12からセンタサーバ14へデータを送信するタイミングを示す。このタイミングとして、初期設定情報には、例えば、データの送信間隔(秒毎)、1回に送信するデータ量(Mb毎)の少なくとも1つが登録されている。
【0088】
例えば、初期設定情報に、送信情報として「ログ」が登録されている場合には、通信制御部21は、記憶部32に記憶されている生体ログ、接触ログ、動作ログの全てをセンタサーバ14へ送信する。また、初期設定情報に、送信情報として「動作履歴」が登録されている場合には、通信制御部21は、記憶部32に記憶されている動作履歴情報をセンタサーバ14へ送信する。同様に、初期設定情報に、送信情報として「操作履歴」が登録されている場合には、通信制御部21は、記憶部32に記憶されている操作履歴情報をセンタサーバ14へ送信する。
【0089】
次に、本実施の形態の携帯端末12における、冤罪防止処理の詳細を説明する。図6及び図7は、冤罪防止処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0090】
なお、図6及び図7では、初期設定情報に、開始動作「モーション」「8の字」、タッチパネル指の位置として特定の接触領域情報、蓄積ログとして「動作ログ」、「接触ログ」、「生体ログ」が登録されている場合を説明する。また、作成履歴として、「動作履歴」、「生体情報含」、「軌跡情報含」、「操作履歴」、「持方情報含」、「持ち手情報含」の全てが登録されているものとする。さらに、初期設定情報には、送信情報として「動作履歴」及び「操作履歴」が登録されており、送信条件としては、所定時間(T秒)毎にセンタサーバ14へデータ送信を行うことを示す条件が登録されている場合を説明する。
【0091】
携帯端末12の制御部28は、操作表示部16の操作指示によって冤罪防止プログラムの起動指示を入力受付部17で受け付けたときに、ROM63から冤罪防止プログラムを読取り、図6及び図7に示す処理ルーチンを実行する。
【0092】
なお、この冤罪防止プログラムの起動指示は、例えば、操作表示部16上に冤罪防止プログラム起動のための指示ボタンを表示する。そして、この指示ボタンがユーザによって操作指示されたときに、冤罪防止プログラムの起動指示を示す信号が操作表示部16から入力受付部17へ出力されるようにする。そして、入力受付部17では、この起動指示を示す信号を受け付けたときに、図6に示す処理ルーチンを実行すればよい。
【0093】
次に、入力受付部17が、開始指示が入力されたか否かを判断する(ステップS100)。ステップS100の判断は、記憶部32に記憶されている初期設定情報の開始動作として設定されている設定値に応じた指示がなされたか否かを判別することによって行う。
【0094】
具体的には、記憶部32に記憶されている初期設定情報に、開始動作「モーション」、開始動作の内容として「8の字動作」、及びタッチパネル指の位置として特定の接触領域情報が格納されている場合には、領域検知制御部25が接触領域検知部24から該接触領域情報を受け付け、且つ動作検知制御部23が端末動作検知部22から8の字の動作を示す信号を受け付けたときに、肯定判断すればよい(ステップS100:Yes)。なお、動作検知制御部23は、予め、携帯端末12を8の字に動かしたときに端末動作検知部22から入力される信号を示す情報に対応づけて、8の字を示す情報を記憶しておく。そして、動作検知制御部23は、該端末動作検知部22から入力された信号が8の字を示す情報に対応する信号であるときに、8の字を示す信号を受け付けたと判別すればよい。
【0095】
入力受付部17が開始指示無しを判断した場合には(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。一方、入力受付部17が開始指示有りを判断した場合には(ステップS100:Yes)、報知制御部27が報知部26から開始音を報知する(ステップS102)。
【0096】
次に、制御部28が記憶部32の各動作記憶部32A、及び操作記憶部32Bの各々に記憶されている各ログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)をクリアする(ステップS104)。ステップS104の処理によって、前回取得した動作ログや接触ログがクリアされて、これらのメモリ領域が初期状態となる。
【0097】
次に、制御部28が、ログ蓄積処理を開始する(ステップS106)。そして、入力受付部17が終了指示有と判断するまで(ステップS108:Yes)、ログ蓄積処理(ステップS106)を繰り返し実行する。
【0098】
このログ蓄積処理とは、初期設定情報の蓄積ログとして設定されている設定条件に応じたログを順次記憶する処理である。具体的には、本実施の形態では、制御部28は、端末動作検知部22、接触領域検知部24、生体情報検知部60の各々から入力されてくる検知結果を、各々の制御部である動作検知制御部23、領域検知制御部25、生体情報受付部61で受け付け、検知日時に対応づけた後に暗号化部30で暗号化して記憶部32に記憶する。
【0099】
このため、制御部28がログ蓄積処理を実行することによって、記憶部32の動作記憶部32A、操作記憶部32B、及び生体情報記憶部32Cの各々には、各端末動作検知部22、接触領域検知部24、生体情報検知部60の各々の検知結果を検知日時に対応づけた後に暗号化部30で暗号化した動作ログ、接触ログ、及び生体ログの各々が順次格納される。
【0100】
入力受付部17は、操作表示部16から予め定められた終了信号を受け付けたときに、終了指示有と判断する(ステップS108:Yes)。なお、入力受付部17は終了信号無と判断した場合には(ステップS108:No)、上記ステップS106へ戻る。
【0101】
次に、報知制御部27が、報知部26から終了音を報知する(ステップS110)。
【0102】
次に、操作履歴作成部38が操作履歴情報を作成する(ステップS112)。操作履歴情報の作成は、上述したように、操作記憶部32Bに記憶されている接触ログを読取り、操作履歴情報を作成する。なお、この接触ログの読取りは、操作記憶部32Bに記憶されている接触ログを復号化した後に行う。そして、暗号化部30は、操作履歴作成部38が作成した操作履歴情報を暗号化(ステップS114)した後に、操作履歴情報記憶部32Dに記憶する(ステップS116)。
【0103】
次に、動作履歴作成部36が動作履歴情報を作成する(ステップS118)。動作履歴情報の作成は、上述したように、動作記憶部32Aに記憶されている動作ログ及び生体ログを読取り、動作履歴情報を作成する。なお、この動作ログの読取りは、動作記憶部32Aに記憶されている動作ログを復号化した後に行う。同様に、生体ログの読取りは、生体情報記憶部32Cに記憶されている生体ログを復号化した後に行う。そして、暗号化部30は、動作履歴作成部36が作成した動作履歴情報を暗号化(ステップS120)した後に、動作履歴情報記憶部32Eに記憶(ステップS122)した後に本ルーチンを終了する。
【0104】
さらに、制御部28では、図7に示す割り込み処理を実行する。
【0105】
制御部28は、前回センタサーバ14にデータ送信を行ってからまたは冤罪防止プログラムが起動されてから所定時間(時間T)経過したか否かを判別する(ステップS200)。上述のように、初期設定情報として、送信条件T秒ごとにセンタサーバ14にデータ送信を示す情報が記憶部32に格納されていることから、制御部28は、このT秒が経過したか否かを判別する。
【0106】
そして、制御部28は、T秒経過していない場合(ステップS200:No)本ルーチンを終了する。一方、制御部28は、T秒経過した場合には肯定判断する(ステップS200:Yes)。制御部28がステップS200で肯定判断すると、通信制御部21が、記憶部32に記憶されている携帯端末12を一意に識別するための端末IDと、送信履歴情報及び動作履歴情報を、通信部20から通信回線40を介してセンタサーバ14へ送信する(ステップS202)。その後、本ルーチンを終了する。
【0107】
このため、制御部28が、図7に示す割り込み処理を実行することによって、携帯端末12の制御部28で作成した操作履歴情報及び動作履歴情報が、センタサーバ14へ送信される。
【0108】
なお、上記図6及び図7では、初期設定情報における、送信内容として、操作履歴情報及び動作履歴情報が設定されている場合を説明した。しかし、この送信内容として、動作ログ、接触ログ、及び生体ログ等のログが設定されている場合には、これらのログを、送信条件に設定されている条件で(例えばT秒ごと)に、センタサーバ14に送信することとなる。
【0109】
次に、センタサーバ14で実行される処理を説明する。
【0110】
センタサーバ14の制御部46では、所定時間毎に図8に示す処理ルーチンを実行する。通信制御部43は、通信部42及び通信回線40を介して携帯端末12から、端末IDと履歴情報を受け付けたか否かを判別する(ステップS400)。通信制御部43は、端末ID及び履歴情報を受け付けていない場合には(ステップS400:No)、本ルーチンを終了する。一方、通信制御部43は、端末ID及び履歴情報を受け付けた場合には(ステップS400:Yes)、受け付けた履歴情報(操作履歴情報及び動作履歴情報)を、端末IDに対応づけて記憶部52に記憶した後に、本ルーチンを終了する。
【0111】
次に、携帯端末12の制御部28で実行される履歴表示処理を説明する。図9は、履歴表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0112】
携帯端末12の制御部28は、操作表示部16の操作指示によって冤罪立証証拠の履歴表示を示す表示指示信号を入力受付部17で受け付けたときに、ROM63から履歴表示プログラムを読取り、図9に示す履歴表示プログラムを実行する。
【0113】
なお、この履歴表示の表示指示は、例えば、操作表示部16上に冤罪立証証拠の履歴表示を指示するための指示ボタンを表示する。そして、この指示ボタンがユーザによる操作表示部16の操作指示によって指示されたときに、該表示指示信号が操作表示部16から入力受付部17へ出力されるようにする。そして、入力受付部17では、この表示指示を示す信号を受け付けたときに図9に示す処理ルーチンを実行すればよい。
【0114】
表示制御部15は、記憶部32の操作履歴情報記憶部32D及び動作履歴情報記憶部32Eに記憶されている履歴情報(操作履歴情報及び動作履歴情報)を読取る(ステップS302)。そして、表示制御部15は、内部に予め記憶されている復号化キーを用いてこれらの履歴情報を復号化する(ステップS304)。さらに、表示制御部15は、復号化したこれらの操作履歴情報の操作履歴、及び動作履歴情報の動作履歴を、操作表示部16に表示した後に(ステップS306)、本ルーチンを終了する。
【0115】
図10には、動作履歴が操作表示部16に表示された状態を示す模式図を示した。
【0116】
上記図9に示す履歴表示プログラムが実行されることによって、図10に示すように、操作表示部16上には、検知日時、方向、距離、角度を示す動作履歴(図10中、履歴16A内参照)が表示される。また、動作履歴が、静止画像や動画像を含んでいる場合には、操作表示部16には、静止画像表示を指示するための指示ボタン16Bや、動画像表示を指示するための指示ボタン16Cが表示される。そして、これらのボタンの表示されている領域がユーザによって操作指示されることによって、操作表示部16には、動作履歴情報に含まれる静止画像や動画像が表示される。
【0117】
また、動作履歴情報が軌跡情報を含む場合には、動作軌跡表示を指示するための指示ボタン16Dが表示される。そして、操作表示部16における該指示ボタン16Dの表示されている領域がユーザによって操作指示されることによって、操作表示部16には、例えば、図11に示すような画像が表示される。
【0118】
例えば、図11に示すように操作表示部16には、冤罪防止プログラムによるログの記録開始時刻における位置17Aから、冤罪防止プログラム終了時における位置17Cまでの携帯端末12の移動の軌跡を示す動作軌跡17Bが表示される。なお、操作表示部16には、該動作軌跡を再度再生することを指示するための指示ボタン16Eや、前画面に戻ることを指示するための指示ボタン16Fを表示するようにしてもよい。そして、この指示ボタン16Eの表示されている領域がユーザの操作指示によって指示された場合には、開始位置17Aから終了位置17Cまでの動作軌跡17Bの変化を再生表示する。また、指示ボタン16Fの表示されている領域がユーザの操作指示によって指示された場合には、前回表示画面に切り替えればよい。これらの制御は、入力受付部17及び表示制御部15で行えばよい。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態の冤罪防止システム10及び携帯端末12によれば、携帯端末12で作成した操作履歴情報及び動作履歴情報をセンタサーバ14へ送信することから、センタサーバ14側で履歴情報を管理することができる。このため、ユーザが保持する携帯端末12側で履歴情報を管理する場合に比べて、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。
【0120】
また、本実施の形態では、携帯端末12において、動作履歴作成部36が動作履歴情報を作成し、操作履歴作成部38が、携帯端末12表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報を作成する。このため、単に掌の向きのみ等を管理する場合に比べて、携帯端末12自体の動作に加えて、携帯端末12に対するユーザの手の把持状態を示すログも記録することができる。このため、ユーザが保持する携帯端末12側で履歴情報を管理する場合に比べて、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。
【0121】
さらに、本実施の形態では、接触ログ、動作ログ、生体ログ、動作履歴情報、及び操作履歴情報を、暗号化して記憶する。このため、携帯端末12を操作するユーザがこれらのログや履歴を改ざんすることが困難となっている。このため、更に、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。
【0122】
なお、本実施の形態では、操作履歴情報及び動作履歴情報の双方をセンタサーバ14に送信する場合を説明したが、何れか一方のみをセンタサーバ14に送信する形態であってもよい。
【0123】
また、本実施の形態では、携帯端末12に生体情報検知部60を設けた構成とし、生体情報を含む履歴情報を作成する場合を説明したが、生体情報を含まない履歴情報としてもよい。
【0124】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、携帯端末12側で、記憶部32に記憶したログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)に基づいて操作履歴及び動作履歴を作成し、作成したこれらの履歴をセンタサーバ14へ送信する場合を説明した。本実施の形態では、携帯端末12側で取得したログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)をセンタサーバ14へ送信し、センタサーバ14側で操作履歴情報及び動作履歴情報を作成する場合を説明する。
【0125】
図12は、本実施の形態にかかる携帯端末及び冤罪防止システムの構成図である。図12に示すように、冤罪防止システム10Aは、センタサーバ14Aと、センタサーバ14Aに通信回線40を介して接続された携帯端末12Aとを備えている。
【0126】
なお、携帯端末12Aの構成は、制御部28Aが履歴作成部34を備えていない以外は、実施の形態1の携帯端末12と同じ構成である。また、センタサーバ14Aの構成は、制御部46Aが、更に履歴作成部54を備えた以外は、実施の形態1のセンタサーバ14と同じ構成である。
【0127】
センタサーバ14Aの制御部46Aに設けられた履歴作成部54は、操作履歴作成部58及び動作履歴作成部56を有している。動作履歴作成部56は、動作履歴作成部36と同様に、端末動作検知部22の検知結果と検知日時とを対応づけた動作ログに基づいて、携帯端末12A本体の動作履歴を示す動作履歴情報を作成する。動作履歴情報の作成方法は、動作履歴作成部36と同じであるためここでは説明を省略する。
【0128】
操作履歴作成部58は、操作履歴作成部38と同様に、接触領域検知部24の検知結果と検知日時とを対応づけた動作ログに基づいて、携帯端末12Aの表面に対する、ユーザの手の接触領域の推移を示す操作履歴情報を作成する。この操作履歴情報の作成方法は、操作履歴作成部38と同じであるためここでは説明を省略する。
【0129】
次に、本実施の形態の携帯端末12Aにおける、冤罪防止処理の詳細を説明する。図13及び図14は、冤罪防止処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0130】
携帯端末12Aの制御部28Aは、実施の形態1で図6を用いて説明したように、ステップS100〜ステップS110の処理を行う。なお、図6と異なる点は、報知制御部27が報知部26から報知音を報知(ステップS110)した後に、通信制御部21が以下の処理(ステップS111)を行った後に、本ルーチンを終了する点である。
【0131】
通信制御部21は、ステップS111において、通信部20から通信回線40を介して、携帯端末12Aの端末IDとログ蓄積処理終了を示す終了信号をセンタサーバ14へ送信する(ステップS111)。そして、本ルーチンを終了する。
【0132】
さらに、制御部28Aでは、図14に示す割り込み処理を実行する。
【0133】
制御部28Aは、前回センタサーバ14にログのデータ送信を行ってからまたは冤罪防止プログラムが起動されてから所定時間(時間T)経過したか否かを判別する(ステップS2000)。例えば、初期設定情報として、送信条件T秒ごとにセンタサーバ14にデータ送信を示す情報が記憶部32に格納されている場合には、制御部28Aは、このT秒が経過したか否かを判別する。
【0134】
そして、制御部28Aは、T秒経過していない場合(ステップS2000:No)本ルーチンを終了する。一方、制御部28Aは、T秒経過した場合には肯定判断する(ステップS2000:Yes)。ステップS2000で肯定判断すると、通信制御部21は、初期設定情報に登録されている設定条件に基づいて、記憶部32に記憶されている携帯端末12Aを一意に識別するための端末IDと、記憶部32に格納されている動作ログ、接触ログ、及び生体ログをセンタサーバ14へ送信(ステップS2020)した後に、本ルーチンを終了する。
【0135】
次に、センタサーバ14Aで実行される処理を説明する。
【0136】
センタサーバ14Aの制御部46Aでは、所定時間毎に図15に示す処理ルーチンを実行する。通信制御部43は、通信部42及び通信回線40を介して携帯端末12Aから、端末IDとログを受け付けたか否かを判別する(ステップS404)。そして、端末IDとログを受け付けていない場合には(ステップS404:No)本ルーチンを終了する。そして、端末IDとログを受け付けた場合には(ステップS404:Yes)、受け付けた端末IDとログを記憶部52に記憶する(ステップS406)。そして、次に、通信制御部43は、端末IDと終了信号を通信部42で受け付けたか否かを判断する(ステップS408)。そして、通信制御部43が該IDと該信号を受け付けていない場合には(ステップS408:No)上記ステップS400へ戻り、通信制御部43が該IDと該信号を受け付けると(ステップS408:Yes)ステップS410へ進む。
【0137】
次に、操作履歴作成部58が操作履歴情報を作成する(ステップS410)。操作履歴情報の作成は、上述したように、記憶部52に記憶されている接触ログに基づいて行う。なお、この接触ログの読取りは、記憶部52に記憶されている接触ログを復号化部48で復号化した後に行う。そして、暗号化部50が、操作履歴情報を暗号化した後に、記憶部52に記憶する(ステップS412、ステップS414)。
【0138】
次に、動作履歴作成部56が動作履歴情報を作成する(ステップS416)。動作履歴情報の作成は、上述したように、記憶部52に記憶されている動作ログに基づいて行う。なお、この動作ログの読取りは、記憶部52に記憶されている動作ログを復号化部48で復号化した後に行う。そして、暗号化部50が、動作履歴情報を暗号化した後に、記憶部52に記憶し(ステップS418、ステップS420)、本ルーチンを終了する。
【0139】
さらに、センタサーバ14Aの制御部46Aは、図16に示す配信処理を所定時間毎に行う。
【0140】
具体的には、通信制御部43が、通信部42及び通信回線40を介して携帯端末12Aから配信要求を受け付けたか否かを判断する(ステップS500)。通信制御部43が該配信要求の受け付け無しと判断すると(ステップS500:No)、本ルーチンを終了し、該配信要求の受け付け有りと判断すると(ステップS500:Yes)、ステップS502へ進む。
【0141】
次に、通信制御部43が、上記ステップS500で受け付けた配信要求に含まれる端末IDに対応する履歴情報(操作履歴情報及び動作履歴情報)を読取り、通信部42及び通信回線40を介して、該端末IDの携帯端末12へ暗号化した履歴を配信し(ステップS502)、本ルーチンを終了する。なお、この履歴情報は、暗号化された状態で記憶されているので、センタサーバ14Aから携帯端末12Aへ、暗号化された履歴情報が配信される。
【0142】
該履歴情報を配信された携帯端末12Aは、該履歴情報を通信部20を介して通信制御部21で受け付け、記憶部32に記憶する。そして、実施の形態1で説明したように、ユーザによる操作表示部16の操作指示に応じて、操作表示部16への表示が行われる。
【0143】
以上説明したように、本実施の形態の冤罪防止システム10A及び携帯端末12Aによれば、携帯端末12Aで作成したログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)を、センタサーバ14Aへ送信し、センタサーバ14A側で、操作履歴情報及び動作履歴情報を作成する。このため、更に、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。
【0144】
なお、本実施の形態では、上記ステップS100〜ステップS110の処理を実行することによって(図13参照)、実施の形態1と同様に、動作検知制御部23が動作ログを記憶部32に記憶し、領域検知制御部25が接触ログを記憶部32に記憶し、生体情報受付部61が生体ログを記憶部32に記憶しておいて(図13のステップS106参照)、所定時間経過するごとに、端末IDとこれらのログをセンタサーバ14へ送信する場合を説明した(図14参照)。
【0145】
しかしながら、このような形態に限られず、動作ログ、接触ログ、及び生体ログを記憶部32に記憶せずに直接センタサーバ14へ送信してもよい。具体的には、携帯端末12Aの制御部28Aが、端末動作検知部22、接触領域検知部24、及び生体情報検知部60の各々から検知結果(動作情報、接触情報、生体情報)を受け付けたときに、受け付けた検知結果を検知日時に対応づけたログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)を記憶部32に記憶することなく直接センタサーバ14に送信してもよい。
【0146】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、ユーザが把持する端末は、1種類の携帯端末12であり、携帯端末12が通信回線40を介してセンタサーバ14と通信する場合を説明した。本実施の形態では、一人のユーザが複数の端末を有し、各ユーザが保持している端末間でも更に通信を行う場合を説明する。
【0147】
図17は、本実施の形態にかかる携帯端末及び冤罪防止システムの構成図である。図17に示すように、冤罪防止システム10Cは、センタサーバ14と、センタサーバ14に通信回線40を介して接続された携帯端末12Cと、携帯端末12Cと無線通信可能な複数の子機端末13とを備えている。子機端末13は、携帯端末12Cと同様に、ユーザによって携帯可能に構成されている。具体的には、子機端末13は、ユーザが携帯端末12Cを把持する手と同一の手や、携帯端末12Cを把持する手とは異なる他方の手や、ユーザの身体の任意の部位に装着可能に構成されている。
【0148】
なお、センタサーバ14の構成は、実施の形態1のセンタサーバ14と同じ構成である。携帯端末12Cは、操作表示部16、撮像部18、通信部20、端末動作検知部22、接触領域検知部24、報知部26、生体情報検知部60、通信部20C、及び制御部28Cを備えている。なお、携帯端末12Cは、制御部28に代えて制御部28Cを備え、更に通信部20Cを備えた以外は、携帯端末12と同じ構成である。
【0149】
通信部20Cは、子機端末13と無線通信によるデータを送受信する。無線通信には、例えば、IrDA(Infrared Data Association)や、Bluetooth(登録商標)等を用いることができる。
【0150】
制御部28Cは、CPU、後述する冤罪防止プログラム等を記憶したROM、データ等を記憶するRAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部28Cは、携帯端末12Cに設けられた装置各部に電気的に接続されている。
【0151】
この制御部28Cを、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部28Cは、図17に示すように、入力受付部17、表示制御部15、動作検知制御部23、領域検知制御部25、報知制御部27、生体情報受付部61、撮像制御部19、通信制御部21、暗号化部30、通信制御部21C、記憶部33、及び履歴作成部34Cを有する。なお、実施の形態1と同じ機能を有する構成には同じ符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0152】
通信制御部21Cは、通信部20Cを介して各子機端末13と無線通信を行う。本実施の形態では、通信制御部21Cは、通信部20Cを介して各子機端末13から、動作ログ、接触ログ、及び生体ログを受け付ける。詳細には、通信制御部21Cは、各子機端末13を一意に識別するための子機端末IDに対応づけられたこれらのログを受け付ける。記憶部33は、各種情報を記憶し、動作記憶部33A、操作記憶部33B、生体情報記憶部33C、操作履歴情報記憶部33D、及び動作履歴情報記憶部33E、及び位置関係履歴記憶部33Fを有している。
【0153】
動作記憶部33Aは、携帯端末12Cの端末IDと、携帯端末12Cにおける端末動作検知部22の検知結果と、検知日時と、を対応づけた動作ログを記憶する。また、動作記憶部33Aは、各子機端末13を一意に識別する子機端末IDと、各子機端末13の端末動作検知部22Cの検知結果と、検知日時と、を対応づけた動作ログも記憶する。
【0154】
操作記憶部33Bは、携帯端末12Cの端末IDと、接触領域検知部24の検知結果と、検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する。さらに、操作記憶部33Bは、子機端末13の子機端末IDと、子機端末13の接触領域検知部24Cの検知結果と、検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する。
【0155】
生体情報記憶部33Cは、携帯端末12Cの端末IDと、生体情報検知部60の検知結果と検知日時とを対応づけた生体ログを記憶する。さらに、生体情報記憶部33Cは、子機端末13の子機端末IDと、子機端末13の生体情報検知部60Cの検知結果と、検知日時とを対応づけた生体ログを記憶する。
【0156】
操作履歴情報記憶部33Dは、操作履歴作成部38が作成した操作履歴情報を記憶する。動作履歴情報記憶部33Eは、動作履歴作成部36が作成した動作履歴情報を記憶する。位置関係履歴記憶部33Fは、後述する位置関係履歴作成部39が作成した位置関係履歴情報を記憶する。なお、これらのログや履歴情報は、上述したように、暗号化部30によって暗号化された状態で記憶されている。
【0157】
履歴作成部34Cは、操作履歴作成部38、動作履歴作成部36、及び位置関係履歴作成部39を有している。操作履歴作成部38及び動作履歴作成部36については実施の形態1で説明したためここでは説明を省略する。なお、実施の形態1では、操作履歴作成部38及び動作履歴作成部36は、各々携帯端末12の操作履歴情報及び動作履歴情報を作成する場合を説明したが、各子機端末13の操作履歴情報及び動作履歴情報についても同様にして作成してもよい。
【0158】
位置関係履歴作成部39は、携帯端末12Cの動作ログと、各子機端末13の動作ログと、に基づいて、携帯端末12と子機端末13の各々の移動軌跡を算出する。そして、算出した移動軌跡に基づいて、ユーザの右手及び左手の位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。
【0159】
なお、携帯端末12Cの制御部28Cには、予め、携帯端末12C及び各子機端末13の各々を、ユーザの右手及び左手の何れの手や腕または身体のどの部位(更に詳細にはどの部分に保持させるか)に装着するかを示す情報が記憶されているものとする。この情報は、例えば、予めユーザによる操作表示部16の操作指示によって入力されるようにすればよい。このため、記憶部33には、例えば、携帯端末12Cが右手によって把持されることを示す右手情報が携帯端末12Cの端末IDに対応づけて記憶され、子機端末13が左手によって把持されることを示す左手情報が子機端末13の子機端末IDに対応づけて記憶されている。また、子機端末13が複数ある場合には、各子機端末13の子機端末IDの各々に対応づけて、各子機端末13が装着される身体の部位を示す情報が記憶されているものとする。
【0160】
そして、位置関係履歴作成部39は、携帯端末12C及び子機端末13を把持する両手の位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。詳細には、位置関係履歴作成部39は、まず、各携帯端末12C及び子機端末13の動作ログから、各携帯端末12C及び子機端末13の各々の動作履歴情報(各検知日時に対応する、携帯端末12C及び子機端末13の、移動方向情報、距離情報、及び角度情報)を作成する。この作成は、動作履歴作成部36と同様にして行う。そして更に、位置関係履歴作成部39は、作成した携帯端末12C及び各子機端末13の各々動作履歴情報に基づいて、各検知時刻におけるユーザの右手と左手との位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。詳細には、位置関係履歴作成部39は、携帯端末12Cの端末ID及び各子機端末13の子機端末IDに対応づけられた右手情報または左手情報を読み取る。
【0161】
これによって、位置関係履歴作成部39は、ユーザの右手に把持されている端末(端末IDまたは子機端末ID)と、左手に把持されている端末(端末IDまたは子機端末ID)を認識する。次に、位置関係履歴作成部39は、右手に把持されている端末群と、左手に把持されている端末群と、の間の方向、距離、及び角度を、動作ログから算出する。すなわち、位置関係履歴作成部39は、右手と左手の位置関係を示すベクトルデータを算出する。そして、各検知日時毎に算出した方向、距離、及び角度を、各検知日時に対応づけて記憶する。これによって、位置関係履歴作成部39は、携帯端末12C及び子機端末13を把持する両手の位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。
【0162】
子機端末13は、端末動作検知部22C、接触領域検知部24C、生体情報検知部60C、通信部70、及び制御部28Dを備えている。
【0163】
端末動作検知部22Cは、子機端末13本体の動きを検知するセンサである。端末動作検知部22Cとしては、端末動作検知部22と同様のセンサが挙げられる。接触領域検知部24Cは、子機端末13の外表面に対する被接触体による接触領域を検知する。この接触領域とは、子機端末13の外表面に対する被接触体の接触位置及び接触面積を示している。この接触領域検知部24Cについても、接触領域検知部24と同様の構成が挙げられる。生体情報検知部60Cは、子機端末13を把持しているユーザの生体情報を検知するデバイスであり、生体情報検知部60と同様のものが挙げられる。なお、本実施の形態では、子機端末13及び携帯端末12Cの双方に生体情報検知部(60、60C)が設けられている場合を説明したが、同一ユーザによって保持されるこれらの端末(携帯端末12C及び1または複数の子機端末13)の少なくとも1つに生体情報検知部が設けられていればよい。
【0164】
通信部70は、携帯端末12Cと無線通信を行う。本実施の形態では、動作ログ、生体ログ、接触ログを、携帯端末12Cへ送信する。
【0165】
制御部28Dは、CPU、ROM、RAM、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。制御部28Dは、子機端末13に設けられた装置各部に電気的に接続されている。この制御部28Dを、ハードウエアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、制御部28Dは、図17に示すように、動作検知制御部23C、領域検知制御部25C、生体情報受付部61C、通信制御部70C、暗号化部30C、及び記憶部72を有する。
【0166】
通信制御部70Cは、通信部70を介して、携帯端末12Cへ各種ログ(動作ログ、生体ログ、接触ログ)を送信する。
【0167】
動作検知制御部23Cは、端末動作検知部22Cによる検知結果である、子機端末13の動作を示す信号(重力、振動、動き、衝撃)を受け付ける。また、動作検知制御部23Cは、端末動作検知部22Cから受け付けた検知結果を検知日時に対応づけた動作ログを記憶部72に記憶する。
【0168】
領域検知制御部25Cは、接触領域検知部24Cによる検知結果である、子機端末13の外表面に対する被接触体による接触領域を示す信号を受け付ける。また、領域検知制御部25Cは、接触領域検知部24Cから受け付けた検知結果を検知日時に対応づけた接触ログを記憶部72に記憶する。
【0169】
生体情報受付部61Cは、生体情報検知部60Cによる検知結果である、生体情報を示す信号を受け付ける。また、生体情報受付部61Cは、生体情報検知部60Cから受け付けた検知結果を検知日時に対応づけた生体ログを記憶部72に記憶する。
【0170】
暗号化部30Cは、上記動作ログ、上記接触ログ、及び上記生体ログを暗号化して記憶部72に記憶する。なお、この暗号化に用いるキーは、暗号化部30で用いるキーと同じである。記憶部72は、生体ログ、動作ログ、接触ログ等の各種データを記憶する。
【0171】
次に、本実施の形態の携帯端末12Cにおける、冤罪防止処理の詳細を説明する。図18は、冤罪防止処理の手順を示すフローチャートである。なお、図18に示す冤罪防止処理の全体の流れを示すフローチャート中、実施の形態1で説明した冤罪防止処理(図6)と同じ処理については同じ符号(ステップ番号)を付与し、詳細な説明を省略する。また、初期設定情報は、実施の形態1と同様であるものとして説明する。
【0172】
携帯端末12Cの制御部28Cは、操作表示部16の操作指示によって冤罪防止プログラムの起動指示を入力受付部17で受け付けたときに、ROMから冤罪防止プログラムを読取り、図18に示す処理ルーチンを実行する。
【0173】
次に、入力受付部17が、開始指示が入力されたか否かを判断する(ステップS100)。入力受付部17が開始指示無しを判断した場合には(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。一方、入力受付部17が開始指示有を判断した場合には(ステップS100:Yes)、報知制御部27が報知部26から開始音を報知する(ステップS102)。
【0174】
次に、制御部28Cが記憶部33の、動作記憶部33A、操作記憶部33B、生体情報記憶部33C、操作履歴情報記憶部33D、動作履歴情報記憶部33E、位置関係履歴記憶部33Fの各々に記憶されている情報をクリアする(ステップS600)。ステップS600の処理によって、前回取得したログや前回作成した履歴がクリアされて、これらのメモリ領域が初期状態となる。このため、このステップS600の処理によって、位置関係履歴記憶部33Fに記憶されている位置関係情報もクリア(消去)されて位置関係も初期化された状態となる。
【0175】
また、ステップS600の処理によって、後述する位置関係履歴作成部39による位置関係履歴情報作成時に、ユーザの右手と左手との位置関係の開始位置がリセットされる。
【0176】
次に、制御部28Cの通信制御部21Cが、ログ蓄積の開始指示を各子機端末13へ出力する(ステップS602)。子機端末13では、該開始指示を、通信部70を介して通信制御部70Cで受け付ける。そして、子機端末13の制御部28Cでは、端末動作検知部22C、接触領域検知部24C、及び生体情報検知部60Cからの検知結果の受け付け、及び暗号化した後の記憶部72へのログ(接触ログ、生体ログ、動作ログ)記憶を開始する。
【0177】
次に、制御部28Cが、ログ蓄積処理を開始する(ステップS604)。そして、入力受付部17が終了指示有と判断するまで(ステップS606:Yes)、ログ蓄積処理(ステップS604)を繰り返し実行する。
【0178】
このログ蓄積処理とは、実施の形態1と同様に、初期設定情報の蓄積ログとして設定されている設定条件に応じたログを順次記憶する処理である。具体的には、本実施の形態では、制御部28Cは、端末動作検知部22、接触領域検知部24、生体情報検知部60の各々から入力されてくる検知結果を、各々の制御部である動作検知制御部23、領域検知制御部25、生体情報受付部61で受け付け、検知日時に対応づけた後に暗号化して記憶部33に記憶する。なおこの時に、携帯端末12Cの端末IDに対応づけてこれらのログを記憶する。
【0179】
このため、制御部28Cがログ蓄積処理を実行することによって、記憶部33の動作記憶部33A、操作記憶部33B、及び生体情報記憶部33Cの各々には、各端末動作検知部22、接触領域検知部24、生体情報検知部60の各々の検知結果を検知日時に対応づけた後に暗号化部30で暗号化した動作ログ、接触ログ、及び生体ログの各々が、携帯端末12Cの端末IDに対応づけて順次格納される。
【0180】
入力受付部17は、操作表示部16から予め定められた終了信号を受け付けたときに、終了指示有と判断する(ステップS606:Yes)。なお、入力受付部17は終了信号無と判断した場合には(ステップS606:No)、上記ステップS604へ戻る。
【0181】
次に制御部28Cの通信制御部21Cが、ログ蓄積の終了指示を各子機端末13へ出力する(ステップS607)。子機端末13では、該終了指示を、通信部70を介して通信制御部70Cで受け付ける。そして、子機端末13の制御部28Dでは、端末動作検知部22C、接触領域検知部24C、及び生体情報検知部60Cからの検知結果の受け付け、及び暗号化した後の記憶部72へのログ(接触ログ、生体ログ、動作ログ)記憶を終了する。
【0182】
次に、報知制御部27が、報知部26から終了音を報知する(ステップS608)。
【0183】
次に、通信制御部21Cが各子機端末13に対して、ログの送信要求を出力する(ステップ610)。子機端末13では、通信制御部70Cが通信部70を介してログの送信要求を受け付け、記憶部72に記憶されているログ(接触ログ、生体ログ、動作ログ)を該子機端末13の子機端末IDに対応づけて携帯端末12Cへ出力する。
【0184】
次に、通信制御部21Cが、携帯端末12Cと無線通信する子機端末13として登録されている全ての子機端末13からログを受け付けたか否かを判別する(ステップS612)。そして、全ての子機端末13からログを受け付けるまで否定判断を繰り返してステップS610へ戻る(ステップS612:No)。そして、通信制御部21Cは、全ての子機端末13からログを受け付けると肯定判断する(ステップS612:Yes)。
【0185】
なお、通信制御部21Cは、予め携帯端末12Cと無線通信する子機端末13として登録されている子機端末13の各々の子機端末IDを記憶しておく。そして、通信制御部21Cは、上記ステップS602及びステップS610では、この登録されている全ての子機端末IDの子機端末13へ上記指示や要求を出力する。そして、さらに、通信制御部21Cは、上記ステップS612の判断において、該登録されている全ての子機端末IDに対応するログを受け付けたときに、肯定判断すればよい。
【0186】
次に、操作履歴作成部38が操作履歴情報を作成する(ステップS614)。操作履歴情報の作成は、上述したように、操作記憶部33Bに記憶されている接触ログを読取り、操作履歴情報を作成する。なお、この接触ログの読取りは、操作記憶部33Bに記憶されている接触ログを復号化した後に行う。そして、暗号化部30は、操作履歴作成部38が作成した操作履歴情報を暗号化(ステップS616)した後に、操作履歴情報記憶部33Dに記憶する(ステップS618)。
【0187】
なお、本実施の形態では、上記ステップS614の操作履歴情報の作成において、携帯端末12Cの端末IDに対応する接触ログのみから操作履歴情報を作成してもよいが、子機端末13の子機端末IDの各々に対応する接触ログからも操作履歴情報を作成してもよい。この場合には、端末IDに対応する接触ログから作成した操作履歴情報を、端末IDに対応づけて操作履歴情報記憶部33Dに記憶し、子機端末IDに対応する接触ログから作成した操作履歴情報を、子機端末IDに対応づけて操作履歴情報記憶部33Dに記憶すればよい。
【0188】
次に、動作履歴作成部36が動作履歴情報を作成する(ステップS620)。動作履歴情報の作成は、上述したように、動作記憶部33Aに記憶されている動作ログ及び生体ログを読取り、動作履歴情報を作成する。なお、この動作ログの読取りは、動作記憶部33Aに記憶されている動作ログを復号化した後に行う。同様に、生体ログの読取りは、生体情報記憶部33Cに記憶されている生体ログを復号化した後に行う。そして、暗号化部30は、動作履歴作成部36が作成した動作履歴情報を暗号化(ステップS622)した後に、動作履歴情報記憶部33Eに記憶(ステップS624)する。
【0189】
なお、本実施の形態では、上記ステップS620の動作履歴情報の作成において、携帯端末12Cの端末IDに対応する動作ログや生体ログのみから動作履歴情報を作成してもよいが、子機端末13の子機端末IDの各々に対応する動作ログや生体ログからも動作履歴情報を作成してもよい。この場合には、端末IDに対応する動作ログや生体ログから作成した動作履歴情報を、端末IDに対応づけて動作履歴情報記憶部33Eに記憶し、子機端末IDに対応する動作ログや生体ログから作成した動作履歴情報を、子機端末IDに対応づけて動作履歴情報記憶部33Eに記憶すればよい。
【0190】
次に、位置関係履歴作成部39が位置関係履歴情報を作成する(ステップS626)。位置関係履歴情報の作成は、上述したように、動作記憶部33Aに記憶されている、携帯端末12Cの動作ログ及び子機端末13の動作ログや、各端末ID及び子機端末IDに対応づけられた右手情報または左手情報に基づいて、ユーザの右手及び左手の位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。
【0191】
なお、位置関係履歴作成部39は、子機端末13の子機端末ID及び携帯端末12Cの端末IDに対応する生体ログに示される生体情報を、更に検知日時に対応づけた位置関係履歴情報を作成してもよい。
【0192】
次に、暗号化部30は、位置関係履歴作成部39が作成した位置関係履歴情報を暗号化(ステップS628)した後に、位置関係履歴記憶部33Fに記憶(ステップS630)する。そして、本ルーチンを終了する。
【0193】
さらに、制御部28Cでは、図19に示す割り込み処理を実行する。
【0194】
制御部28Cは、前回センタサーバ14にデータ送信を行ってからまたは冤罪防止プログラムが起動されてから所定時間(時間T)経過したか否かを判別する(ステップS700)。
【0195】
そして、制御部28Cは、T秒経過していない場合(ステップS700:No)本ルーチンを終了する。一方、制御部28Cは、T秒経過した場合には肯定判断する(ステップS700:Yes)。制御部28CがステップS700で肯定判断すると、通信制御部21が、記憶部33に記憶されている携帯端末12Cを一意に識別するための端末IDと、送信履歴情報、動作履歴情報、及び位置関係履歴情報を、通信部20から通信回線40を介してセンタサーバ14へ送信する(ステップS702)。その後、本ルーチンを終了する。
【0196】
次に、センタサーバ14では、実施の形態1と同様に、受け付けた履歴情報である送信履歴情報、動作履歴情報、及び位置関係履歴情報を、記憶部52に記憶し、携帯端末12Cから配信要求を受け付けたときに、携帯端末12Cへ配信する。なお、携帯端末12Cとセンタサーバ14、及び携帯端末12Cと子機端末13との間で送受信される各データは、上述のように、同じ暗号化キーを用いて暗号化されている。
【0197】
以上説明したように、本実施の形態の冤罪防止システム10C及び携帯端末12Cによれば、携帯端末12Cと子機端末13との動作ログから、携帯端末12C及び子機端末13を把持する両手の位置関係を示す位置関係履歴情報を作成する。このため、さらに、冤罪立証における高い証拠能力を確保することができる。
【0198】
なお、本実施の形態では、子機端末13が携帯端末12Cからログ蓄積の開始指示を受け付けたときに、子機端末13の制御部28Cにおいて、ログ(接触ログ、生体ログ、動作ログ)の記憶部72への記憶を開始し(図18のステップS602参照)、携帯端末12Cから子機端末13へログの送信要求を出力したときに(図18のステップS610)、子機端末13が子機端末13の記憶部72に記憶されているログ(接触ログ、生体ログ、動作ログ)を携帯端末12Cへ出力する場合を説明した。
【0199】
しかしながら、このような形態に限られず、子機端末13は、動作ログ、接触ログ、及び生体ログを記憶部72に記憶せずに、直接携帯端末12Cへ出力してもよい。具体的には、子機端末13の制御部28Cが、端末動作検知部22C、接触領域検知部24C、及び生体情報検知部60Cの各々から検知結果(動作情報、接触情報、生体情報)を受け付けたときに、受け付けた検知結果を検知日時に対応づけたログ(動作ログ、接触ログ、生体ログ)を記憶部72に記憶することなく直接携帯端末12Cに送信してもよい。
【0200】
なお、上記に説明した実施の形態1、2、3の携帯端末12、携帯端末12A、携帯端末12Cで実行される冤罪防止プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0201】
また、実施の形態1、2、3の携帯端末12、携帯端末12A、携帯端末12Cで実行される冤罪防止プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施の形態1、2、3の携帯端末12、携帯端末12A、携帯端末12Cで実行される冤罪防止プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0202】
また、実施の形態1、2、3の携帯端末12、携帯端末12A、携帯端末12Cで実行される冤罪防止プログラムを、ROM63(図2参照)等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0203】
また、実施の形態1、2、3の携帯端末12、携帯端末12A、携帯端末12Cで実行される冤罪防止プログラムは、上述した各機能部(暗号化部、記憶部、履歴作成部等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウエアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から冤罪防止プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM64(図2参照)等の主記憶装置上にロードされ、各機能部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0204】
10、10A、10C 冤罪防止システム
12、12A、12C 携帯端末
13 子機端末
14、14A センタサーバ
16 操作表示部
18 撮像部
20、20C、42、70 通信部
22、22C 端末動作検知部
24、24C 接触領域検知部
60、60C 生体情報検知部
28 制御部
30 暗号化部
32 記憶部
34、54 履歴作成部
38、58 操作履歴作成部
36、56 動作履歴作成部
39 位置関係履歴作成部
43 通信制御部
54 履歴作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに通信回線を介して接続されたコンピュータに実行させるための冤罪防止プログラムであって、
携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成するステップと、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信するステップと、
を前記コンピュータに実行させるための冤罪防止プログラム。
【請求項2】
サーバに通信回線を介して接続された携帯端末であって、
携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成する履歴作成手段と、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信する通信手段と、
を備えた携帯端末。
【請求項3】
前記携帯端末表面への被接触体による接触領域を検知する第1検知手段と、
前記接触領域と検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する第1記憶手段と、
を更に備え、
前記履歴作成手段は、前記接触ログに基づいて前記操作履歴情報を作成する、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記接触ログを暗号化する暗号化手段を更に備え、
前記第1記憶手段は、暗号化された前記接触ログを記憶する請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記履歴作成手段は、前記接触ログに含まれる接触領域の内、ユーザの手の接触による手接触領域を抽出し、該手接触領域と前記検知日時とを対応づけることによって前記操作履歴情報を作成する、請求項3または請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記履歴作成手段は、前記接触ログに基づいて、各検知日時に対応する前記携帯端末を把持する手の状態を示す持方情報を作成し、該持方情報を含む前記操作履歴情報を作成する請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記履歴作成手段は、前記接触ログに基づいて、各検知日時に対応する前記携帯端末を把持する手が片手または両手である事を示す持ち手情報を作成し、該持ち手情報を含む前記操作履歴情報を作成する請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記携帯端末本体の動きを検知する第2検知手段と、
前記動きを示す動作情報と検知日時とを対応づけた動作ログを記憶する第2記憶手段と、
を更に備え、
前記履歴作成手段は、前記動作ログに基づいて前記動作履歴情報を作成する、請求項2〜請求項7の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項9】
前記暗号化手段は、前記動作ログを更に暗号化し、
前記第2記憶手段は、暗号化された前記動作ログを記憶する請求項8に記載の携帯端末。
【請求項10】
前記第2検知手段は、前記携帯端末本体の加速度を検出する加速度センサである請求項8または請求項9に記載の携帯端末。
【請求項11】
前記履歴作成手段は、前記動作ログに基づいて、携帯端末本体の移動軌跡を示す軌跡情報を作成し、該軌跡情報を含む前記動作履歴情報を作成する請求項8〜請求項10の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項12】
撮像手段を更に備え、
前記履歴作成手段は、前記撮像手段によって得られた画像データを含む前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を作成する、請求項2〜請求項11の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項13】
画像を表示する表示手段を更に備え、
前記撮像手段は、携帯端末本体における前記表示手段と同じ面に設けられた請求項12に記載の携帯端末。
【請求項14】
生体情報を取得する取得手段を更に備え、
前記履歴作成手段は、前記生体情報を含む前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を作成する、請求項2〜請求項13の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項15】
サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された携帯端末と、を備えた冤罪防止システムであって、
前記携帯端末は、
携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報、及び携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報の少なくとも一方を作成する履歴作成手段と、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を、前記サーバに送信する第1通信手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を受信する第2通信手段と、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報を記憶する記憶手段と、
を備えた冤罪防止システム。
【請求項16】
前記携帯端末と無線通信する子機端末を更に備え、
前記子機端末は、
前記子機端末本体の動きを検知する第3検知手段と、
該動きを示す動作情報と検知日時とを対応づけた第1動作ログを記憶する第3記憶手段と、
該子機端末を識別するための子機識別情報と該第1動作ログとを対応づけて前記携帯端末に送信する第3通信手段と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記子機識別情報と前記第1動作ログとを受信する第4通信手段と、
携帯端末本体の動きを検知する第4検知手段と、
を更に備え、
前記履歴作成手段は、前記携帯端末本体の動きを示す動作情報と検知日時とを対応づけた第2動作ログと、前記第1動作ログと、に基づいて、前記携帯端末及び前記子機端末を把持するユーザの右手と左手の位置関係を示す位置関係情報を作成する、請求項15に記載の冤罪防止システム。
【請求項17】
サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された携帯端末と、を備えた冤罪防止システムであって、
前記携帯端末は、
携帯端末表面への被接触体による接触領域を検知する第5検知手段と、
前記接触領域と検知日時とを対応づけた接触ログを記憶する第3記憶手段と、
携帯端末本体の動きを検知する第6検知手段と、
前記動きを示す動作情報と検知日時とを対応づけた動作ログを記憶する第4記憶手段と、
前記接触ログ及び前記動作ログの少なくとも一方を前記サーバへ送信する第5通信手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記接触ログ及び前記動作ログの少なくとも一方を受信する第6通信手段と、
前記動作ログに基づいて前記携帯端末本体の動作履歴を示す動作履歴情報を作成する動作履歴作成手段、及び前記接触ログに基づいて前記携帯端末表面に対する手の接触領域の推移を示す操作履歴情報を作成する操作履歴作成手段の少なくとも一方を備えた履歴作成手段と、
前記操作履歴情報及び前記動作履歴情報の少なくとも一方を記憶する第5記憶手段と、
を備えた、
冤罪防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−216994(P2012−216994A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80759(P2011−80759)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】