説明

冷凍サイクル装置

【課題】インジェクションさせる冷媒の熱交換量を確保することによって、インジェクション動作時における吐出温度の低下を抑制し、かつ、インジェクション量を確保して能力低下を抑制することができる冷凍サイクル装置を得る。
【解決手段】第1内部熱交換器5から流出した第1中圧冷媒を、圧縮機1のインジェクションポート13を介して、圧縮機1の後段圧縮部12へインジェクションさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮過程にインジェクションを実施する機構を有する圧縮機を備えた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍装置として、超臨界域で作動する冷媒を使用した多段圧縮式の圧縮機を備え、二酸化炭素を冷媒とし、主回路から分岐した冷媒を圧縮機の中間へインジェクションするものがある(例えば、特許文献1参照)。この冷凍装置は、二段圧縮式の圧縮機と、放熱器と、蒸発器と、放熱器から蒸発器に送られる冷媒を減圧する膨張弁と、インジェクション管と、内部熱交換器と、吸入加熱熱交換器とを備えている。ここで、インジェクション管は、冷媒を減圧する後段側インジェクション弁を有しており、放熱器から膨張弁へ向けて送られる冷媒を分岐させ、後段側の圧縮部に戻す冷媒配管である。また、内部熱交換器は、放熱器から膨張弁へ向けて送られる冷媒とインジェクション管を流れる冷媒との熱交換器を実施するものである。また、吸入加熱熱交換器は、内部熱交換器から膨張弁に送られる冷媒を冷却するものである。
【0003】
この冷凍装置は、内部熱交換器による中間圧インジェクションを実施することによって、冷凍サイクルの中間圧が臨界圧力付近まで上昇するような場合であっても、後段側の圧縮要素から吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構の消費動力を減らし、運転効率の向上を図れるようにしている。しかも、内部熱交換器から膨張弁に送られる冷媒の温度が高いという問題、及び、二酸化炭素等のような超臨界域で作動する冷媒を使用する場合における冷媒の温度変化に対するエントロピー変化が大きいという特性を考慮して、内部熱交換器から膨張弁に送られる冷媒を冷却する吸入加熱熱交換器を設けるようにし、かつ、冷凍サイクルにおいて最も温度が低い低圧冷媒を冷却源として使用し、膨張弁による膨張ロスを減らし、冷凍サイクルの成績係数及び運転効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204244号公報(第4−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成の場合、インジェクション管を流れる冷媒を膨張する後段側インジェクション弁で膨張ロスが発生してしまうという問題点があった。また、圧縮機において、吐出と吸入の圧力差が小さく、また、中間圧力の飽和温度と放熱器出口の温度との差が小さい場合、内部熱交換器の熱交換量が小さくなるため冷媒を十分に加熱できず、インジェクション時における吐出温度が下がり過ぎてしまい、十分なインジェクション量を確保できず能力が低下する恐れがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、インジェクション回路においてエジェクターによって膨張動力を回収し、また、インジェクションさせる冷媒の熱交換量を確保することによって、インジェクション動作時における吐出温度の低下を抑制し、かつ、インジェクション量を確保して能力低下を抑制することができる冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒の圧縮過程に中圧冷媒をインジェクションする機構を有する圧縮機、該圧縮機からの吐出冷媒を放熱させて熱交換を実施する放熱器、該放熱器から流出した高圧冷媒を冷却する第1内部熱交換器、該第1内部熱交換器から流出した高圧冷媒を冷却する第2内部熱交換器、該第2内部熱交換器から流出した冷媒を膨張させて低圧冷媒とする第1膨張装置、及び、該低圧冷媒に吸熱させて熱交換を実施する蒸発器を順に冷媒配管によって接続して構成された主冷媒回路と、前記放熱器と前記第1膨張装置との間の冷媒配管から分岐し、エジェクター及び前記第1内部熱交換器を介して、前記圧縮機の圧縮過程に中圧冷媒をインジェクションするインジェクション回路と、前記エジェクターの流入部側の冷媒配管から分岐し、冷媒を膨張させる第2膨張装置を介して、前記エジェクターの吸引部に冷媒を吸引させる吸引回路と、を備え、前記第1内部熱交換器は、前記放熱器から前記第1膨張装置へ向かって流れる高圧冷媒と、前記エジェクターから流出する中圧冷媒との熱交換を実施し、前記第2内部熱交換器は、前記放熱器から前記第1膨張装置へ向かって流れる高圧冷媒と、前記第2膨張装置から前記エジェクターの前記吸引部へ向かって流れる冷媒との熱交換を実施するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インジェクション回路における第1内部熱交換器の熱交換量に加え、吸引回路における第2内部熱交換器の熱交換量が付加されるので内部熱交換器全体の熱交換量が増加するので、蒸発器における冷凍能力が向上し、圧縮機へインジェクションされる冷媒の乾き度が高くなり、インジェクション流量を増加させても、圧縮機の吐出温度が下がりにくくなるので、冷凍サイクル装置の能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aにおけるエジェクター7の構成図である。
【図3】図1における冷凍サイクル装置50aから第2内部熱交換器6及び吸引回路23を除き、エジェクター7の代わりに第2膨張弁3bを配置した冷凍サイクル装置50の構成図である。
【図4】図1における冷凍サイクル装置50aから第2内部熱交換器6及び吸引回路23を除き、エジェクター7の代わりに第2膨張弁3bを配置した冷凍サイクル装置50の冷凍サイクルのモリエル線図である。
【図5】温度差ΔThicと、第1内部熱交換器5における熱交換量との関係図である。
【図6】インジェクション流量Ginjと、第2膨張弁3bにおける膨張損失との関係図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aの冷凍サイクルのモリエル線図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aにおける吐出温度の制御動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置50bの構成図である。
【図10】本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bの冷凍サイクルのモリエル線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
(冷凍サイクル装置50aの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aの構成図であり、図2は、同冷凍サイクル装置50aにおけるエジェクター7の構成図である。
図1で示されるように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aは、圧縮機1、放熱器2、第1膨張弁3a、第2膨張弁3b、蒸発器4、第1内部熱交換器5、第2内部熱交換器6、エジェクター7、及び、制御装置31を備えている。圧縮機1、放熱器2、第1内部熱交換器5、第2内部熱交換器6、第1膨張弁3a、蒸発器4、そして、再び圧縮機1の順に冷媒配管によって環状に接続された主冷媒回路21が構成されている。また、放熱器2と第1内部熱交換器5とを接続する冷媒配管上の第1分岐点35から、第2膨張弁3bへ流れる冷媒配管とエジェクター7へ流れる冷媒配管との分岐点である第2分岐点36を経由して、エジェクター7の液冷媒流入部7d(図2において後述)へ接続され、このエジェクター7から、さらに、第1内部熱交換器5を経由して、圧縮機1のインジェクションポート13へ接続されてインジェクション回路22が構成されている。さらに、第2分岐点36から、第2膨張弁3b及び第2内部熱交換器6を経由して、エジェクター7のガス冷媒吸引部7e(図2において後述)へ接続されて吸引回路23が構成されている。本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aの冷凍サイクルは、上記の主冷媒回路21、インジェクション回路22及び吸引回路23によって構成されている。
【0011】
圧縮機1は、蒸発器4から流出したガス冷媒を圧縮する前段圧縮部11、及び、この前段圧縮部11によって圧縮されたガス冷媒をさらに圧縮する後段圧縮部12を備えた二段圧縮機である。前述のインジェクションポート13は、この前段圧縮部11から後段圧縮部12へ送られる冷媒流路に設けられており、圧縮過程に冷媒のインジェクションを実施するためのものである。後段圧縮部12は、前段圧縮部11から送られてきたガス冷媒と、インジェクション回路22を経由してインジェクションポート13を介してインジェクションされた冷媒との混合冷媒を圧縮する。また、圧縮機1の吐出側の冷媒配管には、吐出冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温度検出手段41、及び、吐出冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段42が設置されている。
【0012】
放熱器2は、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒と、空気又は水等との間で熱交換を実施し、高温高圧の冷媒を放熱させ、高圧の液冷媒とするものである。放熱器2の熱交換の対象が空気である場合、この放熱器2には放熱器用ファン2aが設けられており、放熱器用ファン2aの回転駆動によって放熱器2に空気が送り込まれ、高温高圧の冷媒との熱交換が実施される。図1においては、冷媒が空気と熱交換される場合の例を示しており、放熱器2には放熱器用ファン2aが設けられていることが示されている。この放熱器2から流出した高圧冷媒は、第1分岐点35を経由して、第1内部熱交換器5、及び、インジェクション回路22に送られる。
【0013】
第1内部熱交換器5は、放熱器2と第2内部熱交換器6との間を流れる高圧冷媒と、インジェクション回路22において、エジェクター7とインジェクションポート13との間を流れる中間圧力の第1中圧冷媒との熱交換を実施するものであり、高圧冷媒を冷却すると共に、第1中圧冷媒を加熱する作用を有する。
【0014】
第2内部熱交換器6は、第1内部熱交換器5と第1膨張弁3aとの間を流れる高圧冷媒と、吸引回路23において、第2膨張弁3bと、エジェクター7のガス冷媒吸引部7eとの間を流れ、第1中圧冷媒の圧力よりも低く、圧縮機1の吸入圧力よりも高い中間圧力の第2中圧冷媒との熱交換を実施するものであり、高圧冷媒を冷却すると共に、第2中圧冷媒を加熱する作用を有する。
【0015】
第1膨張弁3aは、第2内部熱交換器6から流出した高圧冷媒を膨張して減圧させて、気液二相冷媒とするものであり、例えば、開度が可変な電子式膨張弁によって構成されている。この第1膨張弁3aの開度は、制御装置31によって制御され、蒸発器4による過熱度、圧縮機1の吐出温度及び吐出圧力等の制御に利用される。
【0016】
蒸発器4は、第1膨張弁3aから流出した気液二相冷媒と、空気又は水等との間で熱交換を実施し、気液二相冷媒に吸熱及び蒸発させ、低温低圧のガス冷媒とするものである。蒸発器4の熱交換の対象が空気である場合、この蒸発器4には蒸発器用ファン4aが設けられており、蒸発器用ファン4aの回転駆動によって蒸発器4に空気が送り込まれ、気液二相冷媒との熱交換が実施される。図1においては、気液二相冷媒が空気と熱交換される場合の例を示しており、蒸発器4には蒸発器用ファン4aが設けられていることが示されている。この蒸発器4から流出したガス冷媒は、圧縮機1に送られる。
【0017】
第2膨張弁3bは、第1分岐点35から分岐されてインジェクション回路22に流入し、第2分岐点36を介して、吸引回路23に流入した高圧冷媒を膨張して減圧させて、気液二相冷媒とするものであり、例えば、開度が可変な電子式膨張弁によって構成されている。この第2膨張弁3bの開度は、制御装置31によって制御され、吸引回路23の冷媒流量等の制御に利用される。
【0018】
エジェクター7は、図2で示されるように、ノズル部7a、混合部7b及びディフューザー部7cによって構成されている。エジェクター7は、液冷媒流入部7dから流入した駆動流である高圧の液冷媒を、ノズル部7aにおいて、膨張及び減圧させて気液二相冷媒として流通速度を加速させる。次に、エジェクター7は、第2内部熱交換器6から流出したガス状態の第2中圧冷媒を吸引流としてガス冷媒吸引部7eから吸引し、混合部7bにおいて、ノズル部7aによって流通速度が加速された気液二相冷媒と、ガス冷媒吸引部7eから吸引されたガス冷媒とを混合させる。そして、エジェクター7は、混合部7bにおける気液二相状態の混合冷媒の流通速度を、ディフューザー部7cにおいて減速させることによって、混合冷媒の圧力を回復させて流出する。この圧力回復が、ノズル部7aにおける膨張過程で捨てているエネルギーである膨張動力の回収分となる。なお、このエジェクター7のノズル部7aにおける流路を、ニードル等によって拡大又は縮小させることによって、エジェクター7の駆動流の流量を可変にすることができる。エジェクター7から流出した気液二相冷媒は、第1内部熱交換器5に送られる。
【0019】
インジェクション回路22へ流入した高圧の液冷媒は、エジェクター7へ駆動流として流入し、このエジェクター7において、吸引回路23から吸引流として吸引された気液二相冷媒と混合されて、エジェクター7から流出し、さらに、第1内部熱交換器5において加熱され、乾き度の高い気液二相冷媒となる。この乾き度の高い気液二相冷媒は、インジェクションポート13から圧縮機1内部へインジェクションされることによって、圧縮機1から吐出される冷媒量が増加し、放熱器2及び蒸発器4における冷媒の熱交換量が増加する。
【0020】
吸引回路23へ流入した高圧の液冷媒は、第2膨張弁3bによって膨張及び減圧され、気液二相冷媒(第2中圧冷媒)となる。この気液二相冷媒は、エジェクター7から流出する第1中圧冷媒よりも温度が低いため、第1内部熱交換器5において冷却された高圧冷媒の温度よりも低い。したがって、第2膨張弁3bによって減圧された第2中圧冷媒は、第2内部熱交換器6において加熱され、ガス冷媒となって、エジェクター7のガス冷媒吸引部7eから吸引流として吸引され昇圧される。
【0021】
制御装置31は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置全体を制御するものであり、具体的には、圧縮機1の回転数、第1膨張弁3a及び第2膨張弁3bの開度、並びに、エジェクター7のノズル部7aの開度を制御する。また、制御装置31は、吐出温度検出手段41及び吐出圧力検出手段42に接続されており、吐出温度検出手段41から吐出冷媒の温度情報、そして、吐出圧力検出手段42から吐出冷媒の圧力情報を受信する。
【0022】
なお、第1膨張弁3a及び第2膨張弁3bは、それぞれ本発明の「第1膨張装置」及び「第2膨張装置」に相当する。
【0023】
(従来のインジェクション動作を含む冷凍サイクルの動作)
図3は、図1における冷凍サイクル装置50aから第2内部熱交換器6及び吸引回路23を除き、エジェクター7の代わりに第2膨張弁3bを配置した冷凍サイクル装置50の構成図であり、図4は、同冷凍サイクル装置50の冷凍サイクルのモリエル線図である。図3における点P1〜点P10は、図4における点P1〜点P10に対応する。
【0024】
まず、図3を参照しながら冷凍サイクル装置50の構成について、図1で示される本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aと相違する点を中心に説明する。
図3で示されるように、主冷媒回路21は、圧縮機1、放熱器2、第1内部熱交換器5、第1膨張弁3a、蒸発器4、そして再び圧縮機1の順に冷媒配管によって環状に接続されて構成されている。インジェクション回路22は、放熱器2と第1内部熱交換器5とを接続する冷媒配管上の第1分岐点35から、第2膨張弁3b及び第1内部熱交換器5を経由して、圧縮機1のインジェクションポート13へ接続されて構成されている。
【0025】
次に、図3及び図4を参照しながら、主冷媒回路21における冷凍サイクルの動作について説明する。
圧縮機1に流入した冷媒(P1)は、前段圧縮部11によって圧縮されて(P2)、後段圧縮部12に送られる。後段圧縮部12に送られた冷媒は、インジェクション回路22からインジェクションポート13を介して流入してくる中圧冷媒と合流し(P13)、その後、後段圧縮部12によって圧縮され、圧縮機1より吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒(P3)は、放熱器2に流入する。この放熱器2に流入した冷媒は、空気又は水等と熱交換が実施されて放熱し、放熱器2から流出する。放熱器2から流出した冷媒(P4)は、第1内部熱交換器5へ向かう冷媒、及び、第1分岐点35からインジェクション回路22に流入して第2膨張弁3bへ向かう冷媒に分岐する。第1内部熱交換器5に流入した冷媒は、インジェクション回路22を流れる中圧冷媒に対して放熱することによって冷却され、第1内部熱交換器5から流出する。第1内部熱交換器5から流出した冷媒(P5)は、第1膨張弁3aによって膨張及び減圧され(P7)、蒸発器4に流入する。蒸発器4に流入した冷媒は、空気又は水等と熱交換が実施されて、吸熱して蒸発し、蒸発器4から流出する。蒸発器4から流出した冷媒(P1)は、再び、圧縮機1に流入して圧縮される。
【0026】
次に、インジェクション回路22における冷凍サイクルの動作について説明する。
主冷媒回路21において放熱器2から流出した冷媒(P4)の一部は、第1分岐点35から分岐してインジェクション回路22に流入し、第2膨張弁3bに流入する。第2膨張弁3bに流入した冷媒は、膨張及び減圧され(P9)、中圧冷媒となって第1内部熱交換器5に流入する。第1内部熱交換器5に流入した中圧冷媒は、主冷媒回路21における放熱器2から流出した高圧冷媒から吸熱することによって、加熱され、第1内部熱交換器5から流出する。第1内部熱交換器5から流出した冷媒(P10)は、圧縮機1のインジェクションポート13を介して、圧縮機1の後段圧縮部12へ流入(インジェクション)する。
【0027】
以上のように、インジェクション回路22によって圧縮機1へ中圧冷媒のインジェクションが実施されることによって、圧縮機1から吐出される冷媒量が増加し、かつ、放熱器2における熱交換量が増加するので、蒸発器4における冷凍能力が向上し、冷凍サイクル装置50の運転効率も向上する。このとき、インジェクションポート13を介して圧縮機1にインジェクションされる冷媒流量(インジェクション流量Ginj)に比例して、放熱器2の能力が向上する。
【0028】
図5は、温度差ΔThicと、第1内部熱交換器5における熱交換量との関係図であり、図6は、インジェクション流量Ginjと、第2膨張弁3bにおける膨張損失との関係図である。
図5で示されるように、第1内部熱交換器5における熱交換量は、図3及び図4における点P4と点P9との温度差ΔThicに比例するため、この温度差ΔThicが小さいほど、第1内部熱交換器5から流出した点P10の冷媒の乾き度が低くなる。このとき、同じインジェクション流量Ginjでも、点P10における冷媒の乾き度が低いと、圧縮機1における吐出温度が低下し、圧縮機1において規定されていると吐出温度の下限値未満となって、所定流量を圧縮機1へインジェクションできなくなり、蒸発器4における所定の冷凍能力が得られなくなる。
【0029】
また、前述の図4で示されるように、第2膨張弁3bにおける減圧動作は、断熱変化(点P4→点P9)が理想であるが、実際は、第2膨張弁3b内の摩擦によって膨張損失が発生し、点P4から点P8に状態変化する。この膨張損失は、点P8と点P9とのエンタルピー差と、インジェクション流量Ginjとの積で表され、図6で示されるように、インジェクション流量Ginjが大きいほど、膨張損失も大きくなってしまう。
【0030】
(冷凍サイクル装置50aのインジェクション動作を含む冷凍サイクルの動作)
図7は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aの冷凍サイクルのモリエル線図である。以下、図1及び図7を参照しながら、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aの冷凍サイクルの動作について説明する。図1における点P1〜点P14は、図7における点P1〜点P14に対応する。
【0031】
最初に、図1及び図7を参照しながら、主冷媒回路21における冷凍サイクルの動作について説明する。
圧縮機1に流入した冷媒(P1)は、前段圧縮部11によって圧縮されて(P2)、後段圧縮部12に送られる。後段圧縮部12に送られた冷媒は、インジェクション回路22からインジェクションポート13を介して流入してくる第1中圧冷媒と合流し(P13)、その後、後段圧縮部12によって圧縮され、圧縮機1より吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒(P3)は、放熱器2に流入する。この放熱器2に流入した冷媒は、空気又は水等と熱交換が実施されて放熱し、放熱器2から流出する。放熱器2から流出した冷媒(P4)は、第1内部熱交換器5へ向かう冷媒、及び、第1分岐点35からインジェクション回路22に流入する冷媒に分岐する。第1内部熱交換器5に流入した冷媒は、インジェクション回路22を流れる第1中圧冷媒に対して放熱することによって冷却され、第1内部熱交換器5から流出する。第1内部熱交換器5から流出した冷媒(P5)は、第2内部熱交換器6に流入する。第2内部熱交換器6に流入した冷媒は、吸引回路23を流れる第2中圧冷媒に対して放熱することによって、さらに冷却され、第2内部熱交換器6から流出する。第2内部熱交換器6から流出した冷媒(P6)は、第1膨張弁3aによって膨張及び減圧され(P7)、蒸発器4に流入する。蒸発器4に流入した冷媒は、空気又は水等と熱交換が実施されて、吸熱して蒸発し、蒸発器4から流出する。蒸発器4から流出した冷媒(P1)は、再び、圧縮機1に流入して圧縮される。
【0032】
次に、インジェクション回路22における冷凍サイクルの動作について説明する。
主冷媒回路21において放熱器2から流出した冷媒(P4)の一部は、第1分岐点35から分岐してインジェクション回路22に流入する。インジェクション回路22に流入した冷媒は、さらに、第2分岐点36から、エジェクター7へ向かう冷媒、及び、吸引回路23に流入して第2膨張弁3bへ向かう冷媒に分岐する。エジェクター7に駆動流として流入した高圧冷媒は、ノズル部7aにおいて、膨張及び減圧されて、気液二相冷媒(P8)となる。この気液二相冷媒は、混合部7bにおいて、エジェクター7のガス冷媒吸引部7eから吸引された吸引流である第2中圧冷媒(P12)と混合される。この混合冷媒(P14)は、ディフューザー部7cにおいて、流通速度が減速させられることによって、圧力回復して膨張動力を回収し(P9)、エジェクター7から第1中圧冷媒として流出する。エジェクター7から流出した第1中圧冷媒は、第1内部熱交換器5に流入する。第1内部熱交換器5に流入した第1中圧冷媒は、主冷媒回路21における放熱器2から流出した高圧冷媒から吸熱することによって、加熱され、乾き度の高い冷媒となって、第1内部熱交換器5から流出する。第1内部熱交換器5から流出した第1中圧冷媒(P10)は、圧縮機1のインジェクションポート13を介して、圧縮機1の後段圧縮部12へインジェクションされる。
【0033】
次に、吸引回路23における冷凍サイクルの動作について説明する。
第2分岐点36から分岐して吸引回路23に流入した冷媒は、第2膨張弁3bによって膨張及び減圧され(P11)、第2中圧冷媒として第2内部熱交換器6に流入する。第2内部熱交換器6に流入した第2中圧冷媒は、主冷媒回路21における第1内部熱交換器5から流出した高圧冷媒からから吸熱することによって、加熱され、第2内部熱交換器6から流出する。第2内部熱交換器6から流出した第2中圧冷媒(P12)は、エジェクター7のガス冷媒吸引部7eから吸引流として、エジェクター7に吸引される。
【0034】
以上のように、インジェクション回路22における第1内部熱交換器5の熱交換量に加え、吸引回路23における第2内部熱交換器6の熱交換量が付加されるので内部熱交換器全体の熱交換量が増加するので、蒸発器4における冷凍能力が向上する。また、これによって、インジェクション回路22を流通し、インジェクションポート13を介して圧縮機1へインジェクションされる冷媒の乾き度が高くなり、インジェクション流量Ginjを増加させても、圧縮機1の吐出温度が下がりにくくなるので、冷凍サイクル装置50aの能力を向上させることができる。
さらに、高圧から中間圧力へ減圧する際に発生する摩擦損失である膨張動力をエジェクター7によって回収されることによって、冷凍サイクル装置50aの運転効率を向上させることができる。
【0035】
(吐出温度の制御動作)
図8は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aにおける吐出温度の制御動作を示すフローチャートである。以下、図8を参照しながら、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aにおける吐出温度の制御動作について説明する。
【0036】
(S1)
制御装置31は、エジェクター7のノズル部7a、及び、第2膨張弁3bの開度を閉状態とし、圧縮機1に対するインジェクションを実施しない冷凍サイクル運転(以下、通常運転という)を実施しているものとする。
【0037】
(S2)
制御装置31は、吐出温度検出手段41によって検出された吐出温度Tdが、所定温度Td1よりも大きいか否かを判定する。その判定の結果、吐出温度Tdが所定温度Td1よりも大きい場合、ステップS3へ進む。一方、吐出温度Tdが所定温度Td1以下である場合、ステップS1へ戻り、制御装置31は、通常運転を継続し、引き続き、吐出温度検出手段41によって検出された吐出温度Tdについて上記判定を実施する。
【0038】
(S3)
制御装置31は、第2膨張弁3bの開度を開状態とし、エジェクター7のノズル部7aの開度を所定量増加させる。
【0039】
(S4)
制御装置31は、吐出温度検出手段41によって検出された吐出温度Tdが、所定温度Td2(>Td1)よりも小さいか否かを判定する。その判定の結果、吐出温度Tdが所定温度Td2よりも小さい場合、制御装置31は、この吐出温度Tdが冷凍サイクル装置50aの運転上安全な温度であると判断し、ステップS5へ進む。一方、吐出温度Tdが所定温度Td2以上である場合、ステップS3へ戻る。
【0040】
(S5)
制御装置31は、現状の吐出温度Tdが冷凍サイクル装置50aの運転上安全な温度であると判断して、エジェクター7のノズル部7aの開度を固定してインジェクションによる運転を継続する。
【0041】
(S6)
制御装置31は、インジェクションによる運転動作中に、吐出温度検出手段41によって検出された吐出温度Tdが、所定温度Td3よりも小さいか否かを判定する。その判定の結果、吐出温度Tdが所定温度Td3よりも小さい場合、制御装置31は、この吐出温度Tdが冷凍サイクル装置50aの運転上危険な温度であると判断し、ステップS1へ戻る。一方、吐出温度Tdが所定温度Td3(≦Td1)以上である場合、制御装置31は、この吐出温度Tdが冷凍サイクル装置50aの運転上安全な温度であると判断して、ステップS5へ戻る。
【0042】
以上のように、エジェクター7を用いたインジェクションによる動作及び通常運転による吐出温度の制御によって、冷凍サイクル装置50aにおける圧縮機1の吐出温度を運転上安全な温度に制御することができる。
【0043】
なお、上記のような、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aの動作において、制御装置31は、第2膨張弁3bの開度を、第2内部熱交換器6から流出する冷媒(図1及び図7における点P12)の過熱度が一定となるように制御するようにしてもよい。これによって、エジェクター7のガス冷媒吸引部7eから吸引流として吸引される冷媒は、常にガス冷媒となるので、エジェクター7の性能を低下させることなく冷凍サイクル装置50aの運転が可能となる。
【0044】
また、所定温度Td1、所定温度Td2及び所定温度Td3は、それぞれ本発明の「第1所定温度」、「第2所定温度」及び「第3所定温度」に相当する。
【0045】
(実施の形態1の効果)
以上の構成及び動作によって、インジェクション回路22における第1内部熱交換器5の熱交換量に加え、吸引回路23における第2内部熱交換器6の熱交換量が付加されるので内部熱交換器全体の熱交換量が増加するので、蒸発器4における冷凍能力が向上する。また、これによって、インジェクション回路22を流通し、インジェクションポート13を介して圧縮機1へインジェクションされる冷媒の乾き度が高くなり、インジェクション流量Ginjを増加させても、圧縮機1の吐出温度が下がりにくくなるので、冷凍サイクル装置50aの能力を向上させることができる。
【0046】
また、高圧から中間圧力へ減圧する際に発生する摩擦損失である膨張動力をエジェクター7によって回収されることによって、冷凍サイクル装置50aの運転効率を向上させることができる。
【0047】
また、エジェクター7における膨張動力回収効果は、エジェクター7の入口エンタルピーが大きいほど大きいため、主冷媒回路21からインジェクション回路22へ分岐する第1分岐点35の位置を放熱器2と第1内部熱交換器5との間にすることによって、前述した効果を得やすくなる。
【0048】
また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50aの冷凍サイクルを流通する冷媒として、例えば、二酸化炭素のように、圧縮機1から吐出される冷媒の圧力が、臨界圧力以上となる冷媒を用いた場合、第2内部熱交換器6を流通する第2中圧冷媒の飽和温度が低下しやすくなり、内部熱交換器全体の熱交換量が増加するため、冷凍サイクル装置50aの能力向上及び運転効率向上の効果が特に大きくなる。また、放熱器2に送り込まれる空気又は水等の温度が、例えば、臨界温度以上というように高い場合、エジェクター7の膨張動力回収効果が大きくなり、さらに、上記の効果が大きくなる。
【0049】
また、図8で示されるように、エジェクター7の開度を圧縮機1から吐出される冷媒の吐出温度を冷凍サイクル装置50aの運転上安全な温度となるように制御することによって、信頼性の高い運転を実現することができる。
【0050】
また、上記のように二酸化炭素のような、圧縮機1の吐出圧力が臨界圧力以上となる冷媒は、運転効率が最大となる高圧圧力(吐出圧力)が存在する。そして、その高圧圧力は、第1内部熱交換器5又は第2内部熱交換器6における熱交換量を変化させることによって調整することができる。したがって、制御装置31が第2内部熱交換器6を流れる冷媒流量を第2膨張弁3bによって制御することによって、高圧圧力を調整することができ、冷凍サイクル装置50aの運転効率を向上させることができる。
【0051】
なお、図1で示される冷凍サイクル装置50aについて、一つの圧縮機1の圧縮過程に中圧冷媒をインジェクションする動作を説明したが、これに限定されるものではなく、圧縮機を2個用いて、低段側圧縮機と高段側圧縮機とに分け、低段側圧縮機の吐出側(高段側圧縮機の吸入側)にインジェクション回路22を接続してインジェクションする構成としても、同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、図2で示されるエジェクター7のノズル部7aにおける流路をニードル等によって拡大又は縮小するものとして、駆動流の流量を可変にするものとしたが、これに限定されるものではなく、エジェクター7のノズル部7aの流路断面積は固定とし、エジェクター7の上流側に開度可変の膨張弁を用いて、インジェクション回路22を流れる冷媒流量を制御するものとしてもよい。
【0053】
また、冷凍サイクル装置50aの動作範囲が固定である場合は、第2膨張弁3bをキャピラリー等によって固定開度とし、若しくは、エジェクター7のノズル部7aの流路断面積を固定とし、あるいは、その両方というような構成としてもよい。
【0054】
実施の形態2.
本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bについて、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aの構成及び動作と相違する点を中心に説明する。
(冷凍サイクル装置50bの構成)
図9は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置50bの構成図である。
図9で示されるように、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bは、圧縮機1、放熱器2、第1膨張弁3a、第2膨張弁3b、蒸発器4、第1内部熱交換器5、第2内部熱交換器6、エジェクター7、吸入加熱熱交換器8、及び、制御装置31を備えている。圧縮機1、放熱器2、第1内部熱交換器5、第2内部熱交換器6、吸入加熱熱交換器8、第1膨張弁3a、蒸発器4、吸入加熱熱交換器8、そして、再び圧縮機1の順に冷媒配管によって環状に接続された主冷媒回路21が構成されている。また、インジェクション回路22及び吸引回路23の構成は、図1で示される実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aと同様である。本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bの冷凍サイクルは、上記の主冷媒回路21、インジェクション回路22及び吸引回路23によって構成されている。
【0055】
吸入加熱熱交換器8は、第2内部熱交換器6と第1膨張弁3aとの間を流れる高圧冷媒と、蒸発器4と圧縮機1との間を流れる低圧冷媒との熱交換を実施するものであり、高圧冷媒を冷却すると共に、低圧冷媒を加熱する作用を有する。
【0056】
第1膨張弁3aは、吸入加熱熱交換器8から流出した高圧冷媒を膨張して減圧させて、気液二相冷媒とするものであり、例えば、開度が可変な電子式膨張弁によって構成されている。この第1膨張弁3aの開度は、制御装置31によって制御され、圧縮機1の吐出温度及び吐出圧力等の制御に利用される。
【0057】
蒸発器4は、第1膨張弁3aから流出した気液二相冷媒と、空気又は水等との間で熱交換を実施し、気液二相冷媒に吸熱及び蒸発させ、低温低圧のガス冷媒とするものである。蒸発器4の熱交換の対象が空気である場合、この蒸発器4には蒸発器用ファン4aが設けられており、蒸発器用ファン4aの回転駆動によって蒸発器4に空気が送り込まれ、気液二相冷媒との熱交換が実施される。図9においては、気液二相冷媒が空気と熱交換される場合の例を示しており、蒸発器4には蒸発器用ファン4aが設けられていることが示されている。この蒸発器4から流出したガス冷媒は、吸入加熱熱交換器8に送られる。
【0058】
その他の構成は、図1で示される冷凍サイクル装置50aと同様である。
【0059】
(冷凍サイクル装置50bのインジェクション動作を含む冷凍サイクルの動作)
図10は、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bの冷凍サイクルのモリエル線図である。以下、図9及び図10を参照しながら、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bの冷凍サイクルの動作について説明する。図9における点P1〜点P14、点P6a及び点P7aに対応する。
【0060】
最初に、図9及び図10を参照しながら、主冷媒回路21における冷凍サイクルの動作について説明する。
圧縮機1から吐出した冷媒が、第2内部熱交換器6から流出するまでの動作は、図7で示される実施の形態1における冷凍サイクルの動作と同様である。第2内部熱交換器6から流出した冷媒(P6)は、吸入加熱熱交換器8に流入する。吸入加熱熱交換器8に流入した冷媒は、蒸発器4と圧縮機1との間を流れる低圧冷媒に対して放熱することによって、さらに冷却され、吸入加熱熱交換器8から流出する。吸入加熱熱交換器8から流出した冷媒(P6a)は、第1膨張弁3aによって膨張及び減圧され(P7)、蒸発器4に流入する。蒸発器4に流入した低圧冷媒は、空気又は水等と熱交換が実施されて、吸熱して蒸発し、蒸発器4から流出する。蒸発器4から流出した低圧冷媒(P7a)は、吸入加熱熱交換器8に流入する。吸入加熱熱交換器8に流入した低圧冷媒は、第2内部熱交換器6と第1膨張弁3aとの間を流れる高圧冷媒から吸熱することによって、加熱されて、吸入加熱熱交換器8から流出する。吸入加熱熱交換器8から流出した冷媒(P1)は、再び、圧縮機1に流入して圧縮される。
【0061】
また、インジェクション回路22及び吸引回路23における冷凍サイクルの動作は、図7で示される実施の形態1における冷凍サイクルの動作と同様である。
【0062】
また、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bにおいても、図8で示される実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aと同様に、圧縮機1の吐出温度を制御動作を実施してもよい。これによって、エジェクター7を用いたインジェクションによる動作及び通常運転による吐出温度の制御によって、冷凍サイクル装置50bにおける圧縮機1の吐出温度を運転上安全な温度に制御することができる。
【0063】
(実施の形態2の効果)
以上の構成及び動作のように、吸入加熱熱交換器8において、蒸発器4から流出した低圧冷媒が、第2内部熱交換器6から流出した高圧冷媒によって加熱されることによって、圧縮機1へ流入する冷媒をガス化又は乾き度を高くすることができるため、圧縮機1への液バックを抑制し、冷凍サイクル装置50bの信頼性を向上させることができる。
【0064】
その他、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置50bは、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置50aと同様の効果を有するのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 圧縮機、2 放熱器、2a 放熱器用ファン、3a 第1膨張弁、3b 第2膨張弁、4 蒸発器、4a 蒸発器用ファン、5 第1内部熱交換器、6 第2内部熱交換器、7 エジェクター、7a ノズル部、7b 混合部、7c ディフューザー部、7d 液冷媒流入部、7e ガス冷媒吸引部、8 吸入加熱熱交換器、11 前段圧縮部、12 後段圧縮部、13 インジェクションポート、21 主冷媒回路、22 インジェクション回路、23 吸引回路、31 制御装置、35 第1分岐点、36 第2分岐点、41 吐出温度検出手段、42 吐出圧力検出手段、50、50a、50b 冷凍サイクル装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機構を備え、前段の圧縮機構から流出した冷媒を後段の圧縮機構で圧縮し、冷媒の圧縮過程に中圧冷媒をインジェクションする機構を有する圧縮機、該圧縮機からの吐出冷媒を放熱させて熱交換を実施する放熱器、該放熱器から流出した高圧冷媒を冷却する第1内部熱交換器、該第1内部熱交換器から流出した高圧冷媒を冷却する第2内部熱交換器、該第2内部熱交換器から流出した冷媒を膨張させて低圧冷媒とする第1膨張装置、及び、該低圧冷媒に吸熱させて熱交換を実施する蒸発器を順に冷媒配管によって接続して構成された主冷媒回路と、
前記放熱器と前記第1膨張装置との間の冷媒配管から分岐し、エジェクター及び前記第1内部熱交換器を介して、前記圧縮機の圧縮過程に中圧冷媒をインジェクションするインジェクション回路と、
前記エジェクターの流入部側の冷媒配管から分岐し、冷媒を膨張させる第2膨張装置を介して、前記エジェクターの吸引部に冷媒を吸引させる吸引回路と、
を備え、
前記第1内部熱交換器は、前記放熱器から前記第1膨張装置へ向かって流れる高圧冷媒と、前記エジェクターから流出する中圧冷媒との熱交換を実施し、
前記第2内部熱交換器は、前記放熱器から前記第1膨張装置へ向かって流れる高圧冷媒と、前記第2膨張装置から前記エジェクターの前記吸引部へ向かって流れる冷媒との熱交換を実施する
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記インジェクション回路は、前記放熱器と前記第1内部熱交換器との間から分岐して設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第2内部熱交換器から前記第1膨張装置へ向かって流れる高圧冷媒と、前記蒸発器から前記圧縮機へ向かって流れる低圧冷媒との間で熱交換を実施する吸入加熱熱交換器を備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記圧縮機から吐出された冷媒の温度である吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、
前記エジェクター及び前記第2膨張装置の開度を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記吐出温度検出手段によって検出された吐出温度である検出吐出温度が、第1所定温度より大きい場合、前記エジェクター及び前記第2膨張装置を開状態として、前記インジェクション回路を介して前記圧縮機に対するインジェクション動作を実施し、
前記検出吐出温度が、前記第1所定温度と第2所定温度との間になるように、前記エジェクターの開度を制御する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記検出吐出温度が前記第2所定温度よりも高い場合、前記エジェクターの開度を増加させる
ことを特徴とする請求項4記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記インジェクション動作を実施している場合、前記検出吐出温度が前記第1所定温度以下である第3所定温度よりも小さくなった場合、前記エジェクター及び前記第2膨張装置を閉状態にして、前記インジェクション動作を停止する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第2内部熱交換器から流出する冷媒の過熱度が一定となるように、前記第2膨張装置の開度を制御する
ことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
冷媒は、前記圧縮機から吐出されたとき超臨界域で作動するものである
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
冷媒は、二酸化炭素である
ことを特徴とする請求項8記載の冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−149844(P2012−149844A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9711(P2011−9711)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)