説明

冷凍サイクル装置

【課題】冷凍サイクル装置で冷媒貯留器から放出される冷媒をできる限りガス化させる。
【解決手段】第1冷媒経路18から第1熱交換器14に対して高温高圧の冷媒が供給されると、第1熱交換器14は凝縮器として機能する。冷媒は第3冷媒経路26から圧縮機16に戻される。第1冷媒経路18が遮断されると、第2冷媒経路25から第2熱交換器15aに対して高温高圧の冷媒が供給される。第2熱交換器15aは凝縮器として機能する。循環経路で冷媒が過剰に存在すると、第1冷媒経路18から冷媒貯留器71に冷媒が格納される。循環経路で冷媒が不足すると、冷媒貯留器71から第3冷媒経路26に冷媒が放出される。放出される冷媒は補助熱交換器59の働きで確実にガス化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば空気調和機に用いられる冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、複数台の室外機と複数台の室内機とを備える空気調和機は広く知られる。冷房運転時には室外熱交換器は凝縮器として機能する。室内熱交換器は蒸発器として機能する。冷媒は室内熱交換器から低圧ガス管に流れ込む。暖房運転時には高圧ガス管から室内熱交換器に高温高圧の冷媒が供給される。凝縮された冷媒は室外熱交換器に流れ込む。膨張弁と室外熱交換器とは液管で相互に接続される。
【0003】
こうした空気調和機では運転にあたって冷媒量の調整が要求される。冷媒量の調整にあたって液管と低圧ガス管との間に冷媒貯留器が挿入される。循環経路内で過剰な冷媒が認識されると、冷媒貯留器は冷媒を溜め込む。循環経路内で冷媒が不足すると、冷媒貯留器は循環経路に向けて冷媒を放出する。冷媒の貯留や放出は凝縮器の過冷却度に基づき制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−185295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷媒貯留器と低圧ガス管との間には減圧手段すなわちキャピラリチューブが挿入される。冷媒貯留器から流れ出る液冷媒はキャピラリチューブの働きで減圧する。こうして低圧ガス管には気液2相冷媒が流入する。この気液2相冷媒で液冷媒の割合が多いと、圧縮機に液冷媒が導入されてしまう。冷媒貯留器から放出される冷媒は可能な限りガス冷媒であることが望まれる。
【0006】
本発明のいくつかの態様によれば、冷媒貯留器から放出される冷媒を可能な限りガス化することができる冷凍サイクル装置は提供されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
冷凍サイクル装置の一形態は、圧縮機および第1の膨張弁の間に第1熱交換器を有し、流路切替手段により前記第1熱交換器への高温高圧の冷媒の供給および遮断がなされる第1冷媒経路と、前記圧縮機および前記第1熱交換器の間で前記第1冷媒経路から第1分岐点で分岐して、前記流路切替手段による前記第1冷媒経路への高温高圧の冷媒の遮断時に前記圧縮機および前記第1の膨張弁の間で第2熱交換器に高温高圧の冷媒を供給する第2冷媒経路と、前記圧縮機および前記第2熱交換器の間で前記第2冷媒経路から第2分岐点で分岐して、前記第1冷媒経路から前記第1熱交換器に冷媒が供給される際に、前記第2熱交換器から流出する冷媒を前記圧縮機の吸い込み側に導く第3冷媒経路と、前記第1分岐点および前記第1熱交換器の間で前記第1冷媒経路から分岐して前記圧縮機の前記吸い込み側に接続され、前記第1冷媒経路の前記流路切替手段による前記遮断時に前記第1冷媒経路から冷媒の流入を許容し、前記第1冷媒経路から前記第1熱交換器に冷媒が供給される際に前記第1冷媒経路から前記第3冷媒経路への冷媒の流入を遮断する第4冷媒経路と、前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路に接続される流入経路、および、前記第3冷媒経路に接続される流出経路を有する冷媒貯留器と、前記流出経路に組み入れられる減圧器と、前記減圧器および前記第3冷媒経路の間で前記流出経路に連結され、前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路を流通する冷媒と熱交換することにより前記流出経路内の前記冷媒をガス化させる補助熱交換器とを備える。
【0008】
こうした冷凍サイクル装置では、第1冷媒経路から第1熱交換器に対して高温高圧の冷媒が供給されると、第1熱交換器は凝縮器として機能する。低圧の気液2相冷媒は第2熱交換器に供給される。こうして第2熱交換器では空気が冷却される。冷媒は第3冷媒経路から圧縮機に戻される。第1冷媒経路および第3冷媒経路で冷媒の循環経路は確立される。
【0009】
第1冷媒経路が遮断されると、第2冷媒経路から第2熱交換器に対して高温高圧の冷媒が供給される。第2熱交換器は凝縮器として機能する。第2熱交換器では空気が暖められる。冷媒は第1冷媒経路および第4冷媒経路から圧縮機に戻される。第2冷媒経路、第1冷媒経路および第4冷媒経路で冷媒の循環経路が確立される。こうして第1冷媒経路および第2冷媒経路の切り替えに応じて第2熱交換器では冷房および暖房は実現される。
【0010】
循環経路で冷媒が過剰に存在すると、第1冷媒経路から冷媒貯留器に冷媒が格納される。循環中の冷媒の量は減少する。その結果、熱交換器の液溜まりは解消される。熱交換能力の低下は回避される。循環経路で冷媒が不足すると、冷媒貯留器から第3冷媒経路に冷媒が放出される。循環経路では十分な量の冷媒が確保される。熱交換能力の低下は回避される。このとき、冷媒の放出にあたって流出経路から補助熱交換器に向かって減圧された冷媒が流入する。補助熱交換器の作用で冷媒のガス化は促進される。こうしてガス化した冷媒が第3冷媒経路に流れ込む。したがって、圧縮機では液冷媒の吸い込みは確実に防止されることができる。
【0011】
冷凍サイクル装置は、前記第1熱交換器および前記補助熱交換器の間で前記第1冷媒経路から分岐し、前記補助熱交換器の上流で前記流出経路に接続される分岐路と、前記分岐路に組み込まれて、前記分岐路を流通する冷媒を減圧する補助膨張弁とをさらに備えてもよい。こうして流出経路には十分な量の冷媒が流入する。その結果、補助熱交換器では効率的に熱エネルギの移動は実現されることができる。
【0012】
冷凍サイクル装置は、1つまたは複数の第2の膨張弁と、前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路から分岐し、個々の前記第2の膨張弁に個別に接続される第1並列冷媒経路と、前記第1分岐点および前記第2分岐点の間で前記第2冷媒経路から分岐し、個々の前記第2の膨張弁に個別に接続される第2並列冷媒経路と、個々の前記第2並列冷媒経路に個別に組み込まれる並列第2熱交換器と、前記バイパス経路および前記並列第2熱交換器の間で前記第2冷媒経路から分岐し、前記第3冷媒経路に接続される第3並列冷媒経路とをさらに備えてもよい。
【0013】
こうした冷凍サイクル装置では第2熱交換器に並列に1つまたは複数の並列第2熱交換器が組み込まれる。個々の第2熱交換器および並列第2熱交換器で冷房および暖房は実現されることができる。しかも、第2熱交換器で第2冷媒経路および第3冷媒経路が切り替えられ、個々の並列第2熱交換器ごとに並列第2冷媒経路および並列第3冷媒経路が切り替えられると、第2熱交換器および並列第2熱交換器で冷房および暖房は混在することができる。
【0014】
冷凍サイクル装置は、前記第2熱交換器および前記並列第2熱交換器のうち少なくとも1台が蒸発器として機能する際に、前記蒸発器の過熱度が所定値以上であると前記冷媒貯留器から前記第3冷媒経路に向けて前記冷媒を放出する制御信号を生成する制御回路をさらに備えてもよい。
【0015】
こうして冷媒貯留器から冷媒が放出されると、当該蒸発器で冷媒の不足は解消される。その結果、蒸発器の熱交換能力は高められることができる。蒸発器では空気は効率的に冷却される。蒸発器で冷房が実現される際に蒸発器で過熱度が所定値以上であると、当該蒸発器の熱交換能力は低下してしまう。
【0016】
冷凍サイクル装置は、全ての前記第2熱交換器および前記並列第2熱交換器が凝縮器として機能する際に、前記第1熱交換器の過熱度が所定値以上であると前記冷媒貯留器から前記第3冷媒経路に向けて前記冷媒を放出する制御信号を生成する制御回路をさらに備えてもよい。
【0017】
こうして冷媒貯留器から冷媒が放出されると、第1熱交換器で冷媒の不足は解消される。その結果、第1熱交換器の熱交換能力は高められることができる。第1熱交換器で大きな熱エネルギが冷媒に付与されることができる。第2熱交換器や並列第2熱交換器で効率的に熱エネルギは放出されることができる。第2熱交換器や並列第2熱交換器で効率的な暖房は実現されることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、冷媒貯留器から放出される冷媒を完全にガス化することができる冷凍サイクル装置は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍サイクル装置すなわち空気調和機の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】空気調和機の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1に対応し、全ての室内機で冷房運転が実施される際に冷媒の流れを示すブロック図である。
【図4】図1に対応し、全ての室内機で暖房運転が実施される際に冷媒の流れを示すブロック図である。
【図5】図1に対応し、室外機が凝縮器として機能する際に冷暖同時運転を実現する冷媒の流れを示すブロック図である。
【図6】図1に対応し、室外機が蒸発器として機能する際に冷暖同時運転を実現する冷媒の流れを示すブロック図である。
【図7】冷媒貯留ユニットの制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図8】第1放出格納制御を概略的に示すフローチャートである。
【図9】第2放出格納制御を概略的に示すフローチャートである。
【図10】第3放出格納制御を概略的に示すフローチャートである。
【図11】第4放出格納制御を概略的に示すフローチャートである。
【図12】補助膨張弁の制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態に係る冷凍サイクル装置すなわち空気調和機の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の第1実施形態に係る冷凍サイクル装置すなわち空気調和機11の構成を概略的に示す。空気調和機11は1台の室外機12と2台の室内機13a、13bとを備える。室内機13a、13bは室外機12に相互に並列に接続される。室内機13a、13bは1室内に設置されてもよく複数室内に個別に設置されてもよい。この空気調和機11では、室内機13a、13bごとに個別に運転および休止が選択されることができる。同時に、この空気調和機11では、後述されるように、冷房運転中の室内機13a(13b)と暖房運転中の室内機13b(13a)とが混在することができる。その他、図1から明らかなように、空気調和機11は2台以上の室内機13a、13b…を備えてもよい。室内機13a、13b…は同様に室外機12に相互に並列に接続されればよい。
【0022】
空気調和機11は第1熱交換器すなわち室外熱交換器14を備える。室外熱交換器14は室外機12に組み込まれる。空気調和機11は複数台の室内熱交換器15a、15bを備える。ここでは、便宜上、1台目の室内熱交換器15aを第2熱交換器とし、2台目の室内熱交換器15bを1台目の並列第2熱交換器とする。空気調和機11には複数台の並列第2熱交換器すなわち3台目以降の室内熱交換器が組み込まれてもよい。全ての室内熱交換器15a、15bは同一の構造を有すればよい。室内熱交換器15a、15bは個別に個々の室内機13a、13bに組み込まれる。室外熱交換器14および室内熱交換器15a、15bは、通過する冷媒と周囲の空気との間で熱エネルギの交換を実現する。
【0023】
空気調和機11は圧縮機16を備える。圧縮機16は室外機12に組み込まれる。圧縮機16はガス冷媒を圧縮する。圧縮機16から高圧のガス冷媒は吐出される。
【0024】
空気調和機11は個々の室内熱交換器15a、15bごとに膨張弁17a、17bを備える。膨張弁17a、17bは個々の室内機13a、13bにそれぞれ個別に組み込まれる。圧縮機16と膨張弁17aとの間には第1冷媒経路18が形成される。第1冷媒経路18には室外熱交換器14が組み込まれる。
【0025】
ここでは、第1冷媒経路18から第1中間経路19が分岐する。第1冷媒経路18と第1中間経路19との分岐点21は室外熱交換器14と膨張弁17aとの間に配置される。第1中間経路19には第1並列冷媒経路22が接続される。第1並列冷媒経路22は分岐点23で第1中間経路19から分岐する。第1並列冷媒経路22は膨張弁17bに接続される。こうして膨張弁17bは膨張弁17aに並列に室外熱交換器14に接続される。空気調和機11に室内機すなわち膨張弁が追加されるたびに、膨張弁はさらなる第1並列冷媒経路(図示されず)で第1中間経路19に個別に接続されればよい。こうして第1並列冷媒経路は第1冷媒経路18から分岐し個々の膨張弁に個別に接続される。
【0026】
圧縮機16と室外熱交換器14との間で第1冷媒経路18から分岐点24で第2冷媒経路25が分岐する。分岐した第2冷媒経路25は膨張弁17aに接続される。第2冷媒経路25に室内熱交換器15aが組み込まれる。
【0027】
第2冷媒経路25から第3冷媒経路26が分岐する。第2冷媒経路25と第3冷媒経路26との分岐点27は圧縮機16と室内熱交換器15aとの間、すなわち、第1冷媒経路18および第2冷媒経路25の分岐点24と室内熱交換器15aとの間に配置される。第3冷媒経路26は圧縮機16の吸い込み側に接続される。
【0028】
ここでは、第2冷媒経路25から第2中間経路28が分岐する。第2冷媒経路25と第2中間経路28との分岐点29は第1冷媒経路18および第2冷媒経路25の分岐点24と第2冷媒経路25および第3冷媒経路26の分岐点27との間に配置される。第2中間経路28には第2並列冷媒経路31が接続される。第2並列冷媒経路31は分岐点32で第2中間経路28から分岐する。第2並列冷媒経路31は膨張弁17bに接続される。第2並列冷媒経路31に室内熱交換器15bが組み込まれる。空気調和機11に室内機すなわち膨張弁が追加されるたびに、膨張弁はさらなる第2並列冷媒経路(図示されず)で第2中間経路28に個別に接続されればよい。こうして第2並列冷媒経路は第2冷媒経路25から分岐し個々の膨張弁に個別に接続される。
【0029】
第3冷媒経路26から第3中間経路33が分岐する。第3冷媒経路26と第3中間経路33との分岐点34は第2冷媒経路25および第3冷媒経路26の分岐点27と圧縮機16との間に配置される。第3中間経路33には第3並列冷媒経路35が接続される。第3並列冷媒経路35は分岐点36で第3中間経路33から分岐する。分岐する第3並列冷媒経路35は室内熱交換器15bと分岐点32との間で第2並列冷媒経路31の分岐点37に接続される。空気調和機11に室内機すなわち膨張弁が追加されるたびに、さらなる第3並列冷媒経路(図示されず)は第2並列冷媒経路と第3中間経路33とを個別に接続すればよい。こうして第3並列冷媒経路は第2並列冷媒経路から分岐し第3冷媒経路26に接続される。
【0030】
第2冷媒経路25および第3冷媒経路26の分岐点27と第2冷媒経路25および第2中間経路28の分岐点29との間で第2冷媒経路25には暖房時開放弁38が組み込まれる。暖房時開放弁38は例えば電磁開閉弁から構成されればよい。暖房時開放弁38は開弁時に第2冷媒経路25での冷媒の流通を許容する一方で閉弁時には第2冷媒経路25での冷媒の流通を遮断する。
【0031】
同様に、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31の分岐点32と第2並列冷媒経路31および第3並列冷媒経路35の分岐点37との間で第2並列冷媒経路31には暖房時開放弁39が組み込まれる。暖房時開放弁39は同様に例えば電磁開閉弁から構成されればよい。暖房時開放弁39は開弁時に第2並列冷媒経路31での冷媒の流通を許容する一方で閉弁時には第2並列冷媒経路31での冷媒の流通を遮断する。暖房時開放弁39は、空気調和機11に室内機すなわち膨張弁が追加されるたびに、膨張弁ごとにさらなる第2並列冷媒経路に組み込まれればよい。
【0032】
第2冷媒経路25および第3冷媒経路26の分岐点27と第3冷媒経路26および第3中間経路33の分岐点34との間で第3冷媒経路26には冷房時開放弁41が組み込まれる。冷房時開放弁41は例えば電磁開閉弁から構成されればよい。冷房時開放弁41は開弁時に第3冷媒経路26での冷媒の流通を許容する一方で閉弁時には第3冷媒経路26での冷媒の流通を遮断する。ここで、分岐点27、暖房時開放弁38および冷房時開放弁41は室内機13aに組み込まれてもよく分岐ユニットとして室外機12および室内機13a、13bとは別体に構成されてもよい。
【0033】
同様に、第2並列冷媒経路31および第3並列冷媒経路35の分岐点37と第3中間経路33および第3並列冷媒経路35の分岐点36との間で第3並列冷媒経路35には冷房時開放弁42が組み込まれる。冷房時開放弁42は例えば電磁開閉弁から構成されればよい。冷房時開放弁42は開弁時に第3並列冷媒経路35での冷媒の流通を許容する一方で閉弁時には第3並列冷媒経路35での冷媒の流通を遮断する。冷房時開放弁42は、空気調和機11に室内機すなわち膨張弁が追加されるたびに、膨張弁ごとにさらなる第3並列冷媒経路に組み込まれればよい。ここで、分岐点37、暖房時開放弁39および冷房時開放弁42は室内機13bに組み込まれてもよく分岐ユニットとして室外機12および室内機13a、13bとは別体に構成されてもよい。
【0034】
第1冷媒経路18および第2冷媒経路25の分岐点24と室外熱交換器14との間で第1冷媒経路18には四方弁43が挿入される。四方弁43は第1位置と第2位置との間で切り替えられる。第1位置の四方弁43は、第1口44aおよび第2口44bを相互に接続する経路と、第3口44cおよび第4口44dを相互に接続する経路とを確立する。第2位置の四方弁43は、第1口44aおよび第4口44dを相互に接続する経路と、第2口44bおよび第3口44cを相互に接続する経路とを確立する。
【0035】
第3口44cおよび第4口44dと第3冷媒経路26との間には第4冷媒経路45が形成される。第4冷媒経路45は第1流通路45aおよび第2流通路45bを備える。第1流通路45aは四方弁43の第3口44cと第3冷媒経路26とを接続する。第2流通路45bは四方弁43の第4口44dと第3冷媒経路26あるいは第1流通路45aとを接続する。第2流通路45bには例えばキャピラリチューブ46が挿入される。キャピラリチューブ46は冷媒の流通を制限する。第2流通路45bでは圧力差に応じて冷媒の流通は遮断されることができる。
【0036】
第4冷媒経路45と圧縮機16との間で第3冷媒経路26にはアキュムレータ47が組み込まれる。アキュムレータ47はガス冷媒と液冷媒とを分離し圧縮機16への液戻りを防止することができる。
【0037】
圧縮機16には2つの圧力センサ51、52が関連づけられる。1つ目の圧力センサ51は圧縮機16の吐出側の冷媒圧力を測定する。圧力センサ51は例えば第1冷媒経路18および第2冷媒経路25の分岐点24と第2冷媒経路25および第2中間経路28の分岐点29との間で第2冷媒経路25に取り付けられる。圧力センサ51は第2冷媒経路25内の冷媒の圧力を測定する。2つ目の圧力センサ52は圧縮機16の吸入側の冷媒圧力を測定する。圧力センサ52は例えば第4冷媒経路45と圧縮機16との間で第3冷媒経路26に取り付けられる。圧力センサ52は第3冷媒経路26内の冷媒の圧力を測定する。
【0038】
室外熱交換器14には2つの温度センサ53、54が関連づけられる。1つ目の温度センサ53は室外熱交換器14が凝縮器として機能する際に室外熱交換器14の出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ53は室外熱交換器14の出口で第1冷媒経路18に取り付けられる。2つ目の温度センサ54は室外熱交換器14が蒸発器として機能する際に室外熱交換器14の出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ54は室外熱交換器14の出口で第1冷媒経路18に取り付けられる。
【0039】
室内熱交換器15aには2つの温度センサ55、56が関連づけられる。1つ目の温度センサ55は室内熱交換器15aが凝縮器として機能する際に室内熱交換器15aの出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ55は室内熱交換器15aの出口で第2冷媒経路25に取り付けられる。2つ目の温度センサ56は室内熱交換器15aが蒸発器として機能する際に室内熱交換器15aの出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ56は室内熱交換器15aの出口で第2冷媒経路25に取り付けられる。
【0040】
同様に、室内熱交換器15bには2つの温度センサ57、58が関連づけられる。1つ目の温度センサ57は室内熱交換器15bが凝縮器として機能する際に室内熱交換器15bの出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ57は室内熱交換器15bの出口で第2並列冷媒経路31に取り付けられる。2つ目の温度センサ58は室内熱交換器15bが蒸発器として機能する際に室内熱交換器15bの出口で冷媒の温度を測定する。すなわち、温度センサ58は室内熱交換器15bの出口で第2並列冷媒経路31に取り付けられる。温度センサ57、58は、空気調和機11に室内機すなわち室内熱交換器が追加されるたびに、室内熱交換器ごとにさらなる第2並列冷媒経路に取り付けられればよい。
【0041】
空気調和機11は補助熱交換器すなわち過冷却熱交換器59を備える。過冷却熱交換器59は室外機12に組み込まれる。過冷却熱交換器59は室外熱交換器14と第1冷媒経路18および第1中間経路19の分岐点21との間で第1冷媒経路18に接続される。同時に、過冷却熱交換器59には蒸発冷媒路61が接続される。過冷却熱交換器59は、蒸発冷媒路61内の冷媒で第1冷媒経路18内の冷媒を過冷却する。蒸発冷媒路61は、室外熱交換器14と過冷却熱交換器59との間で第1冷媒経路18から分岐し、第3冷媒経路26および第3中間経路33の分岐点34と第3冷媒経路26および第4冷媒経路45の分岐点62との間で第3冷媒経路26に接続される。蒸発冷媒路61は第1冷媒経路18との分岐点63と第3冷媒経路26との間で過冷却熱交換器59に連結される。
【0042】
蒸発冷媒路61には第1補助膨張弁64が組み込まれる。第1補助膨張弁64は第1冷媒経路18および蒸発冷媒路61の分岐点63と過冷却熱交換器59との間に配置される。第1補助膨張弁64は過冷却熱交換器59で蒸発冷媒路61内の冷媒を減圧する。減圧された冷媒は第1冷媒経路18内の冷媒から過冷却熱交換器59で熱エネルギを奪う。こうして第1冷媒経路18内の冷媒は過冷却される。同時に、蒸発冷媒路61内の冷媒はガス化する。ガス化した冷媒は第3冷媒経路26に導入される。
【0043】
第1冷媒経路18には第2補助膨張弁65が組み込まれる。第2補助膨張弁65は第1冷媒経路18および蒸発冷媒路61の分岐点63と室外熱交換器14との間に配置される。第2補助膨張弁65は第1冷媒経路18内の冷媒を減圧することができる。第2補助膨張弁65は、室外熱交換器14が凝縮器として機能する際には圧縮機16の吐出側の冷媒圧力と過冷却熱交換器59内の冷媒圧力との圧力差を調整する。室外熱交換器14が蒸発器として機能する際には第2補助膨張弁65は室外熱交換器14の過熱度を調整する。
【0044】
過冷却熱交換器59には4つの温度センサ66、67、68、69が関連づけられる。1つ目および2つ目の温度センサ66、67は第1冷媒経路18に取り付けられる。1つ目の温度センサ66は室外熱交換器14が凝縮器として働く際に過冷却熱交換器59の入口に配置される。1つ目の温度センサ66は過冷却熱交換器59の入口で冷媒の温度を測定する。2つ目の温度センサ67は室外熱交換器14が凝縮器として働く際に過冷却熱交換器59の出口に配置される。2つ目の温度センサ67は過冷却熱交換器59の出口で冷媒の温度を測定する。3つ目および4つ目の温度センサ68、69は蒸発冷媒路61に取り付けられる。3つ目の温度センサ68は過冷却熱交換器59の入口に配置される。3つ目の温度センサ68は過冷却熱交換器59の入口で冷媒の温度を測定する。4つ目の温度センサ69は過冷却熱交換器59の出口に配置される。4つ目の温度センサ69は過冷却熱交換器59の出口で冷媒の温度を測定する。
【0045】
空気調和機11は冷媒貯留器71を備える。冷媒貯留器71は室外機12に組み込まれる。冷媒貯留器71内には貯留空間72が形成される。貯留空間72では重力の働きでガス冷媒と液冷媒とが分離する。液冷媒は下方に溜まる。
【0046】
冷媒貯留器71は流入経路73で第1冷媒経路18に接続される。流入経路73は第1冷媒経路18および第1中間経路19の分岐点21と過冷却熱交換器59との間で第1冷媒経路18に接続される。流入経路73には第1開閉弁74と逆止弁75とが組み込まれる。第1開閉弁74には例えば電磁開閉弁が用いられればよい。第1開閉弁74が開弁すると、第1冷媒経路18の圧力と貯留空間72内の圧力との圧力差に応じて第1冷媒経路18から貯留空間72に液冷媒が流れ込む。逆止弁75は貯留空間72から第1冷媒経路18に向かって冷媒の逆流を阻止する。
【0047】
冷媒貯留器71は流出経路76で蒸発冷媒路61に合流する。流出経路76と蒸発冷媒路61との合流点77は第1補助膨張弁64と過冷却熱交換器59との間すなわち過冷却熱交換器59の上流に配置される。蒸発冷媒路61は流出経路76と第3冷媒経路26と間で流出経路の役割を担う。したがって、流出経路76および蒸発冷媒路61の合流点77と第1冷媒経路18との間で蒸発冷媒路61は分岐路として認識される。流出経路76にはストレーナ78、第2開閉弁79および減圧器81が組み込まれる。第2開閉弁79には例えば電磁開閉弁が用いられる。減圧器81には例えばキャピラリチューブが用いられればよい。第2開閉弁79が開弁すると、貯留空間72内の圧力と第3冷媒経路26の圧力との圧力差に応じて貯留空間72から第3冷媒経路26に冷媒が流れ出す。このとき、減圧器81の働きで冷媒は減圧される。ストレーナ78は冷媒中の異物を除去する。
【0048】
冷媒貯留器71にはガス抜き用の補助経路82が接続される。補助経路82はできる限り貯留空間72の上部で開口する。補助経路82は第3冷媒経路26に接続される。補助経路82にはストレーナ83および第3開閉弁84が組み込まれる。第3開閉弁84には例えば電磁開閉弁が用いられる。第3開閉弁84が開弁すると、流入経路73から取り込まれる液冷媒に代わって、補助経路82を通じて貯留空間72からガス冷媒が第3冷媒経路26に逃されることができる。
【0049】
図2は空気調和機11の制御系を概略的に示す。空気調和機11は制御回路86を備える。この制御回路86は例えば室外機12に組み込まれる。制御回路86には室外機12内の圧縮機16、四方弁43、第1補助膨張弁64、第2補助膨張弁65、第1開閉弁74、第2開閉弁79および第3開閉弁84がそれぞれ接続される。制御回路86は圧縮機16、四方弁43、第1補助膨張弁64、第2補助膨張弁65、第1開閉弁74、第2開閉弁79および第3開閉弁84にそれぞれ制御信号を供給する。制御信号に応じて圧縮機16のオンオフや回転数は制御される。制御信号に応じて四方弁43は第1位置および第2位置の間で切り替えられる。制御信号に応じて第1補助膨張弁64および第2補助膨張弁65の開度は制御される。開度は例えば内蔵のステッピングモータのパルス数で設定されればよい。制御信号に応じて第1開閉弁74、第2開閉弁79および第3開閉弁84では開弁および閉弁が切り替えられる。
【0050】
加えて、制御回路86には室内機15aの膨張弁17a、暖房時開放弁38および冷房時開放弁41が接続され室内機15bの膨張弁17b、暖房時開放弁39および冷房時開放弁42が接続される。制御回路86は膨張弁17a、暖房時開放弁38、冷房時開放弁41、膨張弁17b、暖房時開放弁39および冷房時開放弁42にそれぞれ制御信号を供給する。制御信号に応じて膨張弁17a、17bの開度は制御される。開度は例えば内蔵のステッピングモータのパルス数で設定されればよい。制御信号に応じて暖房時開放弁38、冷房時開放弁41、暖房時開放弁39および冷房時開放弁42では開弁および閉弁が切り替えられる。
【0051】
さらに、制御回路86には室外機12の開度センサ87、圧力センサ51、52および温度センサ53、54、66〜69が接続される。開度センサ87は第2補助膨張弁65の開度を測定する。開度センサ87は制御回路86に開度情報信号を供給する。開度情報信号は第2補助膨張弁65の開度を特定する。圧力センサ51、52は制御回路86に圧力情報信号を供給する。圧力情報信号は冷媒の圧力値を特定する。制御回路86は圧力センサ51の圧力情報信号に基づき高圧飽和温度を算出する。高圧飽和温度は、室外熱交換器14が凝縮器として働く際に室外熱交換器14内の冷媒温度に相当する。同様に、制御回路86は圧力センサ52の圧力情報信号に基づき低圧飽和温度を算出する。低圧飽和温度は、室外熱交換器14が蒸発器として働く際に室外熱交換器14内の冷媒温度に相当する。温度センサ53、54、65〜69は制御回路86に温度情報信号を供給する。温度情報信号は冷媒の温度値を特定する。
【0052】
さらにまた、制御回路86には室内機13aの開度センサ88および温度センサ55、56並びに室内機13bの開度センサ89および温度センサ57、58が接続される。温度センサ55、56、57、58は制御回路86に温度情報信号を供給する。温度情報信号は冷媒の温度値を特定する。開度センサ88、89はそれぞれ対応の膨張弁17a、17bの開度を測定する。開度センサ88、89は制御回路86に開度情報信号を供給する。開度情報信号は膨張弁17a、17bの開度を特定する。
【0053】
次に、空気調和機11の動作を簡単に説明する。ここでは、本実施形態に則って空気調和機11に2台の室内機13a、13bが組み込まれた場合を詳述するものの、前述のように空気調和機11には3台以上の室内機13a、13b…が組み込まれることができる。したがって、以下では、説明の便宜上、3台以上の室内機13a、13b…も想定し、2台の室内機13a、13bであっても「全て」の室内機13a、13bというものとする。
【0054】
いま、全ての室内機13a、13bで冷房運転が実施される場面を想定する。図3に示されるように、制御回路86は第1位置に四方弁43をセットする。その結果、圧縮機16から膨張弁17aまで第1冷媒経路18が開通する。加えて、圧縮機16から膨張弁17bまで第1冷媒経路18、第1中間経路19および第1並列冷媒経路22が開通する。第4冷媒経路45には第1冷媒経路18から冷媒は流入しない。
【0055】
同時に、制御回路86は暖房時開放弁38、39を閉じ冷房時開放弁41、42を開放する。その結果、膨張弁17aから第2冷媒経路25を経て第3冷媒経路26に至る循環経路が確立される。同時に、膨張弁17bから第2並列冷媒経路31、第3並列冷媒経路35および第3中間経路33を経て第3冷媒経路26に至る循環経路が確立される。第4冷媒経路45では第3冷媒経路26からの冷媒は流入しない。
【0056】
制御回路86は圧縮機16の動作を制御する。圧縮機16と膨張弁17a、17bとの間で第1冷媒経路18、第1中間経路19および第1並列冷媒経路22に高温高圧の冷媒が流通する。同時に、圧縮機16と暖房時開放弁38、39との間で第2冷媒経路25、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31に高温高圧の冷媒が流通する。こうして室外熱交換器14に対して高温高圧の冷媒が供給される。室外熱交換器14は凝縮器として機能する。凝縮された液冷媒は膨張弁17a、17bで減圧された後、室内熱交換器15a、15bを通過する。室内熱交換器15a、15bは蒸発器として機能する。その結果、室内の空気は冷却される。
【0057】
第1冷媒経路18の冷媒の一部は分岐点63から蒸発冷媒路61に流入する。冷媒は第1補助膨張弁64で減圧される。減圧された冷媒は過冷却熱交換器59に導入される。過冷却熱交換器59で熱エネルギが交換される。第1冷媒経路18内の冷媒は過冷却される。
【0058】
続いて、全ての室内機13a、13bで暖房運転が実施される場面を想定する。図4に示されるように、制御回路86は第2位置に四方弁43をセットする。その結果、圧縮機16と室外熱交換器14との間で第1冷媒経路18は遮断される。同時に、第1冷媒経路18と第4冷媒経路45とが相互に接続される。
【0059】
加えて、制御回路86は暖房時開放弁38、39を開放し冷房時開放弁41、42を閉じる。その結果、第2冷媒経路25と第3冷媒経路26との間で冷媒の流通は遮断され、第2並列冷媒経路31と第3並列冷媒経路35との間で冷媒の流通は遮断される。分岐点22から第2冷媒経路25を経て膨張弁17aに至る冷媒経路が確立されるとともに、分岐点24から第2冷媒経路25、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31を経て膨張弁17bに至る循環経路が確立される。
【0060】
圧縮機16から高温高圧の冷媒が吐出されると、圧縮機16と膨張弁17a、17bとの間で第2冷媒経路25、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31に高温高圧の冷媒が流通する。同時に、圧縮機16とキャピラリチューブ46との間で第1冷媒経路18および第4冷媒経路45に高温高圧の冷媒が流通する。こうして室内熱交換器15a、15bに対して高温高圧の冷媒が供給される。室内熱交換器15a、15bは凝縮器として機能する。その結果、室内の空気は暖められる。凝縮された冷媒は膨張弁17a、17bで減圧された後、室外熱交換器14を通過する。室外熱交換器14は蒸発器として機能する。第4冷媒経路45は第1冷媒経路18から冷媒の流入を許容する。このとき、第1補助膨張弁64は全閉される。蒸発冷媒路61に第1冷媒経路18から冷媒は流入しない。
【0061】
続いて、室外熱交換器14が凝縮器として機能する際に室内機13aで冷房運転が実施され室内機13bで暖房運転が実施される場面を想定する。図5に示されるように、制御回路86は第1位置に四方弁43をセットする。同時に、制御回路86は暖房時開放弁38および冷房時開放弁42を閉じ冷房時開放弁41および暖房時開放弁39を開放する。その結果、圧縮機16と膨張弁17aとの間では第1冷媒経路18で循環経路が確立される。その一方で、圧縮機16と膨張弁17bとの間では第2冷媒経路25、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31で循環経路が確立される。室内熱交換器15bで凝縮された冷媒は第1並列冷媒経路22、第1中間経路19および第1冷媒経路18を経て室内熱交換器15aに供給される。こうして1台の室外機12に対して冷房運転の室内機13aおよび暖房運転の室内機13bは混在することができる。こうした冷暖同時運転は、例えば1つの建物内で生活空間を暖めコンピュータのサーバ室を冷やすといった場面での利用が想定される。このとき、第2冷媒経路25および第2中間経路28の分岐点29は圧縮機16と暖房時開放弁38との間に配置されることから、暖房時開放弁38の働きで膨張弁17aに向かって第1冷媒経路18で高温高圧の冷媒が遮断されても、膨張弁17bには確実に第2冷媒経路25から高温高圧の冷媒が供給されることができる。
【0062】
第1冷媒経路18の冷媒の一部は分岐点63から蒸発冷媒路61に流入する。冷媒は第1補助膨張弁64で減圧される。減圧された冷媒は過冷却熱交換器59に導入される。過冷却熱交換器59で熱エネルギが交換される。第1冷媒経路18内の冷媒は過冷却される。
【0063】
さらに、室外熱交換器14が蒸発器として機能する際に室内機13aで冷房運転が実施され室内機13bで暖房運転が実施される場面を想定する。図6に示されるように、制御回路86は第2位置に四方弁43をセットする。同時に、制御回路86は暖房時開放弁38および冷房時開放弁42を閉じ冷房時開放弁41および暖房時開放弁39を開放する。その結果、圧縮機16と膨張弁17bとの間では第2冷媒経路25、第2中間経路28および第2並列冷媒経路31で循環経路が確立される。室内熱交換器15bで凝縮された冷媒は第1並列冷媒経路22、第1中間経路19および第1冷媒経路18を経て室外熱交換器14に供給される。同時に、室内熱交換器15bで凝縮された冷媒は第1並列冷媒経路22、第1中間経路19および第1冷媒経路18を経て室内熱交換器15aに供給される。こうして1台の室外機12に対して冷房運転の室内機13aおよび暖房運転の室内機13bは混在することができる。このとき、第1補助膨張弁64は全閉される。蒸発冷媒路61に第1冷媒経路18から冷媒は流入しない。
【0064】
四方弁43の切り替えにあたって制御回路86は室内機13a(または13b)の冷房負荷と室内機13b(または13a)の暖房負荷とを比較する。暖房負荷に比べて冷房負荷が大きければ、制御回路86は第1位置に四方弁43をセットする。このとき、室外熱交換器14は凝縮器として働く。反対に、冷房負荷に比べて暖房負荷が大きければ、制御回路86は第2位置に四方弁43をセットする。このとき、室外熱交換器14は蒸発器として働く。特に、空気調和機11に3台以上の室内機13a、13b…が組み込まれる場合には、冷房運転中の室内機13a、13b…の冷房負荷全体と暖房運転中の室内機13a、13b…の暖房負荷全体とが比較されればよい。
【0065】
次に、図7のフローチャートを参照しつつ冷媒貯留器71の動作を説明する。図7に示されるように、ステップS1で、制御回路86は暖房運転の有無を判断する。「運転中」の室内機13a、13bで暖房運転中のものが含まれない、言い換えると、全ての「運転中」の室内機13a、13bで冷房運転中であることが判断されると、制御回路81の処理動作はステップS2に移行する。ステップS2で制御回路81は「第1放出格納制御」を実施する。制御回路81は冷媒の放出および格納に基づき循環経路内の冷媒量を調整する。この「第1放出格納制御」の実施にあたって制御回路86は循環経路内の冷媒量を監視する。空気調和機11全体で循環経路内の冷媒量が過剰であると判断されると、制御回路86は循環経路から冷媒貯留器71に冷媒を格納する。冷媒の格納に応じて熱交換器で冷媒の液溜まりは解消される。熱交換器内に液冷媒が溜まると、液冷媒の貯留部分で熱交換面積が減少してしまう。その結果、熱交換器の熱交換能力は低下する。反対に、空気調和機11全体で循環経路内の冷媒量が不足すると判断されると、制御回路86は冷媒貯留器71から循環経路に冷媒を放出する。冷媒が不足してしまうと、熱交換器の熱交換能力は低下してしまう。「第1放出格納制御」が終了すると、制御回路86の処理動作はステップS1に戻る。
【0066】
ステップS1で少なくとも1台で暖房運転が実施されていれば、制御回路86の処理動作はステップS3に移行する。ステップS3で、運転中の室内機13a、13bに冷房運転中のものが含まれるか否かが判断される。全ての「運転中」の室内機13a、13bで暖房運転中であれば、制御回路81の処理動作はステップS4に移行する。ステップS4で「第2放出格納制御」が実施される。同様に、制御回路86は冷媒の放出および格納に基づき循環経路内の冷媒量を調整する。「第2放出格納制御」が終了すると、制御回路86の処理動作はステップS1に戻る。
【0067】
その一方で、ステップS3で少なくとも1台で冷房運転が実施されていると判断されると、制御回路86の処理動作はステップS5に移行する。このとき、制御回路86は暖房運転中の室内機と冷房運転中の室内機との混在を判断する。ステップS5では室外熱交換器14が蒸発器として機能しているか否かが判断される。室外熱交換器14が凝縮器として機能していれば、制御回路86はステップS6で「第3放出格納制御」を実施する。同様に、制御回路86は冷媒の放出および格納に基づき循環経路内の冷媒量を調整する。「第3放出格納制御」が終了すると、制御回路86の処理動作はステップS1に戻る。室外熱交換器14が蒸発器として機能していれば、制御回路86はステップS7で「第4放出格納制御」を実施する。同様に、制御回路86は冷媒の放出および格納に基づき循環経路内の冷媒量を調整する。「第4放出格納制御」が終了すると、制御回路86の処理動作はステップS1に戻る。
【0068】
図8に示されるように、「第1放出格納制御」の実施にあたってステップT1で制御回路86は蒸発器として機能する室内熱交換器15a、15bの過熱度を特定する。過熱度の特定にあたって制御回路86は室内熱交換器15a、15bの出口温度から入口温度を差し引く。出口温度は温度センサ56、58の温度情報信号で特定される。入口温度は温度センサ55、57の温度情報信号で特定される。温度センサ56、58の温度値から温度センサ55、57の温度値が差し引かれることで、室内熱交換器15a、15bの過熱度は特定される。過熱度が例えば所定値以上(例えば10度以上)であれば、制御回路86はステップT2で当該室内機13a、13bの膨張弁17a、17bの開度を特定する。開度の特定にあたって制御回路86は開度センサ88、89から開度情報信号を取得する。膨張弁17a、17bが全開であれば、制御回路86はステップT3で冷媒貯留器71から冷媒を放出する。放出にあたって制御回路86は第2開閉弁79を開放する。その結果、流出経路76から蒸発冷媒路61に冷媒は流れ込む。流れ込みにあたって減圧器81は冷媒の圧力を低下させる。圧力低下後の冷媒が過冷却熱交換器59に流入すると、蒸発冷媒路61内の冷媒はガス化する。ガス化した冷媒は第3冷媒経路26に流れ込む。過冷却熱交換器59の働きで冷媒は確実にガス化される。圧縮機16で液冷媒の吸入は回避されることができる。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップT4で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。ステップT2で該当の膨張弁17a、17bの開度が全開以外であれば、制御回路86は処理を終了する。ここでは、室内熱交換器15a、15bのうちいずれか一方で過熱度が所定値以上であって対応する膨張弁17a、17bの開度が全開であれば、冷媒は放出される。
【0069】
ステップT1でいずれの蒸発器として機能する室内熱交換器15a、15bでも過熱度が所定値未満であれば、制御回路86はステップT5で過冷却熱交換器59の過冷却度を特定する。過冷却度の特定にあたって制御回路86は第1冷媒経路18で過冷却熱交換器59の出口温度から入口温度を差し引く。出口温度は温度センサ67の温度情報信号で特定される。入口温度は温度センサ66の温度情報信号で特定される。温度センサ67の温度値から温度センサ66の温度値が差し引かれると、過冷却熱交換器59の過冷却度は特定される。過冷却度が例えば所定値以下(例えば4度以下)であれば、前述と同様に、制御回路86はステップT6で冷媒を放出する。過冷却熱交換器59の働きで冷媒は確実にガス化される。圧縮機16で液冷媒の吸入は回避されることができる。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップT7で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。
【0070】
ステップT5で過冷却熱交換器59の過冷却度が所定値を超えていれば、制御回路86は室外熱交換器14の過冷却度を特定する。過冷却度の特定にあたって制御回路86は圧力センサ51から圧力情報信号を取得し温度センサ53から温度情報信号を取得する。制御回路86は圧力情報信号から高圧飽和温度を算出する。高圧飽和温度は、凝縮器として機能する室外熱交換器14内の冷媒温度に相当する。高圧飽和温度の温度値から温度情報信号の温度値が差し引かれることで、室外熱交換器14の過冷却度は特定される。過冷却度が例えば所定値以上(例えば7度以上)であれば、制御回路86はステップT9で冷媒貯留器71に冷媒を格納する。格納にあたって制御回路86は第1開閉弁74および第3開閉弁84を開放する。その結果、第1冷媒経路18から冷媒貯留器71に冷媒は流れ込む。このとき、貯留空間72内のガス冷媒は第3冷媒経路26に逃されることから、流入経路73から確実に冷媒は流れ込む。制御回路86は、格納の開始から10秒経過後にステップT10で冷媒の格納を終了する。処理は終了する。ステップT8で過冷却度が所定値未満であれば、処理は終了する。
【0071】
図9に示されるように、「第2放出格納制御」の実施にあたってステップV1で制御回路86は室外熱交換器14の過熱度を特定する。過熱度の特定にあたって制御回路86は圧力センサ52から圧力情報信号を取得し温度センサ54から温度情報信号を取得する。制御回路86は圧力情報信号から低圧飽和温度を算出する。温度情報信号の温度値から低圧飽和温度の温度値が差し引かれることで、蒸発器として機能する室外熱交換器14の過熱度は特定される。過熱度が例えば所定値以上(例えば10度以上)であれば、制御回路86はステップV2で第2補助膨張弁65の開度を特定する。開度の特定にあたって制御回路86は開度センサ87から開度情報信号を取得する。第2補助膨張弁65が全開であれば、前述と同様に、制御回路86はステップV3で冷媒貯留器71から冷媒を放出する。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップV4で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。ステップV2で第2補助膨張弁65の開度が全開以外であれば、制御回路86は処理を終了する。
【0072】
ステップV1で室外熱交換器14の過熱度が所定値未満であれば、ステップV5で制御回路86は凝縮器として機能する室内熱交換器15a、15bで過冷却度を特定する。過冷却度の特定にあたって制御回路86は圧力センサ51から圧力情報信号を取得し温度センサ55、57から温度情報信号を取得する。制御回路86は圧力情報信号から高圧飽和温度を算出する。高圧飽和温度の温度値から温度情報信号の温度値が差し引かれることで、凝縮器として機能する室内熱交換器15a、15bの過冷却度は特定される。過冷却度が例えば所定値以上(例えば7度以上)であれば、前述と同様に、制御回路86はステップV6で冷媒貯留器71に冷媒を格納する。制御回路81は、格納の開始から10秒経過後にステップV7で冷媒の格納を終了する。処理は終了する。ステップV5で過冷却度が所定値未満であれば、処理は終了する。ここでは、格納の判断にあたって制御回路81は過冷却度の平均値を使用する。
【0073】
図10に示されるように、「第3放出格納制御」の実施にあたって制御回路86はステップW1で前述と同様に蒸発器として機能する室内熱交換器15a(15b)の過熱度を特定する。過熱度が例えば所定値以上(例えば10度以上)であれば、制御回路86はステップW2で当該室内機13a(13b)の膨張弁17a(17b)の開度を特定する。膨張弁17a(17b)が全開であれば、前述と同様に、制御回路86はステップW3で冷媒貯留器71から冷媒を放出する。過冷却熱交換器59の働きで冷媒は確実にガス化される。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップW4で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。ステップW2で該当の膨張弁17a(17b)の開度が全開以外であれば、制御回路86は処理を終了する。
【0074】
ステップW1で過熱度が所定値を下回れば、制御回路86は前述と同様にステップW5で過冷却熱交換機59の過冷却度を特定する。過冷却度が例えば所定値以下(例えば4度以下)であれば、前述と同様に、制御回路86はステップW6で冷媒を放出する。過冷却熱交換器59の働きで冷媒は確実にガス化される。圧縮機16で液冷媒の吸入は回避されることができる。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップT7で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。
【0075】
ステップW5で過冷却熱交換器59の過冷却度が所定値を超えていれば、制御回路86はステップW8で前述と同様に凝縮器として機能する室内熱交換器15b(15a)の過冷却度を特定する。過冷却度が例えば所定値以上(例えば7度以上)であれば、前述と同様に、制御回路86はステップW9で冷媒貯留器71に冷媒を格納する。制御回路81は、格納の開始から10秒経過後にステップW10で冷媒の格納を終了する。処理は終了する。ステップW8で過冷却度が所定値未満であれば、処理は終了する。
【0076】
図11に示されるように、「第4放出格納制御」の実施にあたって制御回路86はステップX1で前述と同様に蒸発器として機能する室内熱交換器15a(15b)の過熱度を特定する。過熱度が例えば所定値以上(例えば10度以上)であれば、制御回路86はステップX2で当該室内機13a(13b)の膨張弁17a(17b)の開度を特定する。膨張弁17a(17b)が全開であれば、前述と同様に、制御回路86はステップX3で冷媒貯留器71から冷媒を放出する。過冷却熱交換器59の働きで冷媒は確実にガス化される。制御回路86は、放出の開始から10秒経過後にステップX4で冷媒の放出を終了する。処理は終了する。ステップX2で該当の膨張弁17a(17b)の開度が全開以外であれば、制御回路86は処理を終了する。
【0077】
ステップX1で室内熱交換器15a(15b)で過熱度が所定値未満であれば、ステップX5で制御回路86は前述と同様に室内熱交換器15b(15a)の過冷却度を特定する。過冷却度が例えば所定値以上(例えば7度以上)であれば、前述と同様に、制御回路86はステップX6で冷媒貯留器71に冷媒を格納する。制御回路81は、格納の開始から10秒経過後にステップX7で冷媒の格納を終了する。処理は終了する。ステップX5で過冷却度が所定値未満であれば、処理は終了する。
【0078】
空気調和機11では循環経路内で循環中の冷媒が不足すると、冷媒貯留器71から冷媒が放出される。その結果、冷媒量の不足は解消される。熱交換器の熱交換能力は確実に確保される。冷媒の放出にあたって冷媒は減圧器81を経て過冷却熱交換器59に流入する。その結果、放出される冷媒は確実にガス化する。圧縮機16では確実にガス冷媒の吸い込みは防止されることができる。
【0079】
加えて、空気調和機11では冷媒の放出の判断にあたって過冷却熱交換器59の過冷却度が参酌される。仮に室外熱交換器14が凝縮器として働く場合には、過冷却熱交換器59で第1冷媒経路18中の冷媒に対して十分に冷媒の熱交換が実現されないと、過冷却熱交換器59の過冷却度は低下する。このことは、相対する蒸発冷媒路61内の冷媒で熱交換能力が不足することを意味する。こうした場合に循環経路内の冷媒量が増加すると、蒸発冷媒路61内の冷媒の熱交換能力は増大する。その結果、過冷却熱交換器59で十分な熱交換能力が確保される。室内機13a、13bで効率的な冷房運転や暖房運転は実現されることができる。
【0080】
次に、第1補助膨張弁64の制御方法を簡単に説明する。第1補助膨張弁64の制御にあたって制御回路86は規定の時間間隔で温度センサ68の温度値T1と温度センサ69の温度値T2との温度差(T2−T1)を監視する。図12に示されるように、ステップY1で制御回路は温度差(T2−T1)を特定する。制御回路86は温度センサ68および温度センサ69から温度情報信号を取得する。制御回路86は温度センサ69の温度値T2から温度センサ68の温度値T1を差し引く。温度差(T2−T1)が所定の下限値TH1以下(例えば4度以下)であれば、制御回路86は第1補助膨張弁64の開度を下げる。例えば任意のパルス数(=1段階)でステッピングモータの回転数(角度)が制御されればよい。その結果、蒸発冷媒路61で冷媒の流量は減少し、過冷却熱交換器59で冷媒は完全にガス化しきることができる。温度差(T2−T1)が下限値TH1以下であると、冷媒が十分にガス化せず、液冷媒が圧縮機16に吸引されるおそれがあるからである。開度が変更された後、制御回路86の処理はステップY1に戻る。
【0081】
ステップY1で温度差(T2−T1)が下限値T1を上回ると、制御回路86はステップY3で上限値TH2(例えば4.5度)と温度差(T2−T1)とを比較する。液冷媒が圧縮機16に吸引されるおそれがない限り、蒸発冷媒路61で冷媒の流量を増加させたいことから、温度差(TH2−TH1)が上限値TH2以上であれば、制御回路86はステップY4で第1補助膨張弁64の開度を上げる。例えば任意のパルス数(=1段階)でステッピングモータの回転数(角度)が制御される。その結果、蒸発冷媒路61で冷媒の流量は増加する。冷媒の過熱度は抑制される。開度が変更された後、制御回路86の処理はステップY1に戻る。
【0082】
ステップY3で温度差(T2−T1)が上限値T1を下回ると、制御回路86はステップY5で第1補助膨張弁64の開度を維持する。こうして温度差(T2−T1)が下限値TH1と上限値TH2との間に維持される。圧縮機16は良好に作動し続けることができる。
【0083】
なお、制御回路86は第2補助膨張弁65の動作を制御する。制御にあたって制御回路86から第2補助膨張弁65に制御信号が供給される。制御回路86は、室外熱交換器14が凝縮器として機能する際には、圧縮機16の吐出側の冷媒圧力と過冷却熱交換器59内の冷媒圧力との圧力差に基づき第2補助膨張弁65を制御する。このとき、制御回路86は圧力センサ51から圧力情報信号を受信し温度センサ66から温度情報信号を受信する。制御回路86は温度情報信号に基づき過冷却熱交換器59の入口の冷媒圧力を算出する。室外熱交換器14が蒸発器として機能する際には制御回路86は室外熱交換器14の過熱度に応じて第2補助膨張弁65を制御する。このとき、制御回路86は温度センサ53、54から温度情報信号を取得する。
【0084】
図13は本発明の第2実施形態に係る冷凍サイクル装置すなわち空気調和機11aの構成を概略的に示す。この空気調和機11aは2台の室外機12a、12bと2台の室内機13a、13bとを備える。室外機12a、12bは室外機12と同一の構造を有する。その他、第1実施形態に係る空気調和機11と均等な構成には同一の参照符号が付される。図13から明らかなように、空気調和機11は2台以上の室外機12a、12b…を備えてもよく2台以上の室内機13a、13b…を備えてもよい。室外機12a、12b…は室内機13a、13b…に対して相互に並列に接続されればよく、室内機13a、13b…は室外機12a、12b…に対して相互に並列に接続されればよい。
【0085】
室外機12a、12bの第1冷媒経路18は相互に接続される。すなわち、室外機12bの第1冷媒経路18は第1中間経路19に接続される。第1中間経路19はさらなる室外機やさらなる室内機に共通の接続経路として機能する。
【0086】
室外機12a、12bの第2冷媒経路25は相互に接続される。すなわち、室外機12bの第2冷媒経路25は第2中間経路28に接続される。第2中間経路28はさらなる室外機やさらなる室内機に共通の接続経路として機能する。
【0087】
室外機12a、12bの第3冷媒経路26は相互に接続される。すなわち、室外機12bの第3冷媒経路26は第3中間経路33に接続される。第3中間経路33はさらなる室外機やさらなる室内機に共通の接続経路として機能する。
【0088】
室外機12a、12bの冷媒貯留器71は室外機12aの制御回路86に基づき制御される。制御回路86は図8〜11のフローチャートに従って処理を実行する。冷媒の格納にあたって制御回路86は室外機12a、12bの第1開閉弁74および第3開閉弁84を開放する。格納の判断にあたって制御回路81は運転中の全室外熱交換器14の過冷却度の平均値を使用する。格納の停止にあたって制御回路86は室外機12a、12bの第1開閉弁74および第3開閉弁84を閉弁する。冷媒の放出にあたって制御回路86は室外機12a、12bの第2開閉弁79を開放する。複数の室外熱交換器14のうち1台でも過熱度が所定の条件を満たせば制御回路81は冷媒を放出する。放出の停止にあたって制御回路86は室外機12a、12bの第2開閉弁79を閉弁する。
【0089】
なお、空気調和機11、11aで3台以上の室内機13a、13b…が組み込まれる場合には、全ての室内機13a、13b…で冷房運転が実施されると、「第1放出格納制御」にあたって複数の室内熱交換器15a、15b…のうち1台でも過熱度が所定値以上であって対応する膨張弁17a、17b…が全開であれば、冷媒は放出される。同様に、全ての室内機13a、13b…で暖房運転が実施されると、「第2放出格納制御」にあたって全ての室内熱交換器15a、15b…の過冷却度から平均値が算出される。冷房運転および暖房運転が混在すると、「第3放出格納制御」にあたって、蒸発器として機能する室内熱交換器15a、15b…のうち1台でも過熱度が所定値以上であって対応する膨張弁17a、17b…が全開であれば、冷媒は放出され、凝縮器として機能する室内熱交換器15a、15b…の過冷却度の平均値が所定値以上であれば、冷媒は格納される。
【符号の説明】
【0090】
11 冷凍サイクル装置(空気調和機)、14 第1熱交換器、15a 第2熱交換器、15b 並列第2熱交換器、16 圧縮機、17a 第1の膨張弁、17b 第2の膨張弁、18 第1冷媒経路、22 第1並列冷媒経路、24 第1分岐点、25 第2冷媒経路、26 第3冷媒経路、27 第2分岐点、31 第2並列冷媒経路、35 第3並列冷媒経路、38 開閉弁、45 第4冷媒経路、59 補助熱交換器(過冷却熱交換器)、61 一部で流出経路を担う蒸発冷媒路、64 補助膨張弁(第1補助膨張弁)、71 冷媒貯留器、73 流入経路、76 流出経路、81 減圧器、86 制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機および第1の膨張弁の間に第1熱交換器を有し、流路切替手段により前記第1熱交換器への高温高圧の冷媒の供給および遮断がなされる第1冷媒経路と、
前記圧縮機および前記第1熱交換器の間で前記第1冷媒経路から第1分岐点で分岐して、前記流路切替手段による前記第1冷媒経路への高温高圧の冷媒の遮断時に前記圧縮機および前記第1の膨張弁の間で第2熱交換器に高温高圧の冷媒を供給する第2冷媒経路と、
前記圧縮機および前記第2熱交換器の間で前記第2冷媒経路から第2分岐点で分岐して、前記第1冷媒経路から前記第1熱交換器に冷媒が供給される際に、前記第2熱交換器から流出する冷媒を前記圧縮機の吸い込み側に導く第3冷媒経路と、
前記第1分岐点および前記第1熱交換器の間で前記第1冷媒経路から分岐して前記圧縮機の前記吸い込み側に接続され、前記第1冷媒経路の前記流路切替手段による前記遮断時に前記第1冷媒経路から冷媒の流入を許容し、前記第1冷媒経路から前記第1熱交換器に冷媒が供給される際に前記第1冷媒経路から前記第3冷媒経路への冷媒の流入を遮断する第4冷媒経路と、
前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路に接続される流入経路、および、前記第3冷媒経路に接続される流出経路を有する冷媒貯留器と、
前記流出経路に組み入れられる減圧器と、
前記減圧器および前記第3冷媒経路の間で前記流出経路に連結され、前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路を流通する冷媒と熱交換することにより前記流出経路内の前記冷媒をガス化させる補助熱交換器と
を備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍サイクル装置において、
前記第1熱交換器および前記補助熱交換器の間で前記第1冷媒経路から分岐し、前記補助熱交換器の上流で前記流出経路に接続される分岐路と、
前記分岐路に組み込まれて、前記分岐路を流通する冷媒を減圧する補助膨張弁と
をさらに備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置において、
1つまたは複数の第2の膨張弁と、
前記第1熱交換器および前記第1の膨張弁の間で前記第1冷媒経路から分岐し、個々の前記第2の膨張弁に個別に接続される第1並列冷媒経路と、
前記第1分岐点および前記第2分岐点の間で前記第2冷媒経路から分岐し、個々の前記第2の膨張弁に個別に接続される第2並列冷媒経路と、
個々の前記第2並列冷媒経路に個別に組み込まれる並列第2熱交換器と、
前記第2冷媒経路および前記並列第2熱交換器の間で前記第2並列冷媒経路から分岐し、前記第3冷媒経路に接続される第3並列冷媒経路と
をさらに備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項4】
請求項3に記載の冷凍サイクル装置において、
前記第2熱交換器および前記並列第2熱交換器のうち少なくとも1台が蒸発器として機能する際に、前記蒸発器の過熱度が所定値以上であると前記冷媒貯留器から前記第3冷媒経路に向けて前記冷媒を放出する制御信号を生成する制御回路を
さらに備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の冷凍サイクル装置において、
全ての前記第2熱交換器および前記並列第2熱交換器が凝縮器として機能する際に、前記第1熱交換器の過熱度が所定値以上であると前記冷媒貯留器から前記第3冷媒経路に向けて前記冷媒を放出する制御信号を生成する制御回路を
さらに備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−207826(P2012−207826A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72358(P2011−72358)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)