説明

冷凍システム

【課題】室外機に対し、並列に、複数のチラー装置を接続した場合に、水配管を一系統で接続しても、多系統で接続しても、電気配線等の工事を含んで現場で簡便に設置作業を行うことができる冷凍システムを提供する。
【解決手段】室外機10に対し、一系統の冷媒配管28を介して、水用のフロースイッチ32a,32b,32cを有した複数のチラー装置11a,11b,11cを並列に接続した冷凍システム1aにおいて、チラー装置11aが、複数系統に分かれて水配管14で接続され、各水用のフロースイッチ32a,32b,32cの一つでも動作したときに室外機10を停止する第一の機能と、チラー装置11a,11b,11cが、一系統の水配管14で接続され、各水用のフロースイッチ32a,32b,32cのすべてが動作したときに室外機10を停止する第二の機能とを備え、室外機10の室外制御部20に、第一の機能と第二の機能とを択一的に選択可能に第三の機能を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機に対し、水用のフロースイッチを有した複数のチラー装置を並列に接続した冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、室外機に対し、冷媒配管を介してチラー装置を接続した冷凍システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このチラー装置には、例えばプレート式熱交換器が搭載され、このプレート式熱交換器には水配管が接続され、この水配管にポンプによって供給される水が冷媒により冷却或いは加熱されて冷水または温水が生成される。
この種のものでは、水の流れを検出すると共にこの検出結果に基づいてポンプの異常を検出するフロースイッチを水配管に設け、フロースイッチによってポンプの異常を検出した場合、室外機及び、ポンプの駆動を停止する制御を行っている。
【0003】
ところで、設置の状況によっては室外機に対し一つではなく、並列に、複数のチラー装置が接続される場合がある。この場合、水配管を一系統で接続するか、多系統に分けて接続するかは、有利な接続方法が選択される。
【特許文献1】特開2004−251486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水配管を一系統で接続する場合には、すべてのフロースイッチが動作したときに室外機を停止し、多系統に分けて接続する場合には、一つでもフロースイッチが動作したときに室外機を停止する制御としなければならない。
そして、水配管をいずれの接続状態とするかは、工場出荷時には判断できず、電気配線等の工事を含んで現場合わせの作業となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、室外機に対し、並列に、複数のチラー装置を接続した場合に、水配管を一系統で接続しても、多系統で接続しても、電気配線等の工事を含んで現場で簡便に設置作業を行うことができる冷凍システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、室外機に対し、一系統の冷媒配管を介して、水用のフロースイッチを有した複数のチラー装置を並列に接続した冷凍システムにおいて、前記チラー装置が、複数系統に分かれて水配管で接続され、前記各水用のフロースイッチの一つでも動作したときに前記室外機を停止する第一の機能と、前記チラー装置が、一系統の水配管で接続され、前記各水用のフロースイッチのすべてが動作したときに前記室外機を停止する第二の機能とを備え、前記室外機の制御部に、第一の機能と第二の機能とを択一的に選択可能に第三の機能を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、室外機の制御部に設けた第三の機能を用いることにより、冷凍システムが水配管を一系統備えるか、あるいは、複数形等備えるかに応じて、容易に第一の機能と第二の機能とを切り替えることができる。このため、水配管を設置した後の現場において、水配管が一系統が複数系統かに応じて、作業者は、第三の機能を利用して第一の機能を適用するか第二の機能を適用するかを容易に選択でき、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。
【0007】
ここで、上記発明の冷凍システムにおいて、前記室外機の制御部と、前記複数のチラー装置の各制御部とを通信線で接続し、前記第三の機能により、第一の機能または第二の機能のいずれかが選択されたとき、前記室外機の制御部が、通信線を介して、選択された前記機能を実行するようにしてもよい。
この構成によれば、作業者が室外機の制御部に設けられた第三の機能を利用して、第一の機能または第二の機能を選択したとき、室外機の制御部とチラー装置の制御部とを接続する既存の通信線を介して制御信号がチラー装置の各制御部に送信され、この制御信号に基づいて、各チラー制御部は、第一の機能又は第二の機能に応じた動作を実行することになる。従って、第一の機能又は第二の機能を実行させるために、室外機の制御部とチラー装置の制御部との間に新たな通信線を設けるための電気配線等の工事が不要になり、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、室外機の制御部に設けた第三の機能を用いることにより、作業者は、冷凍システムが水配管を一系統備えるか、あるいは、複数形等備えるかに応じて、容易に第一の機能と第二の機能とを切り替えることができるため、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、複数系統の水配管14を備える冷凍システム1aの構成を模式的に示す図である。
この図に示すように、冷凍システム1aは、室外機10を備え、この室外機10に対して一系統の冷媒配管28を介して3台のチラー装置11a,11b,11cが並列に接続されている。また、冷凍システム1aは、第一系統水配管12及び第二系統水配管13という2系統の水配管14を備えている。なお、図1では、チラー装置11a,11b,11cが冷水を生成している状態の冷媒回路となっており、以下の説明もこの状態における冷凍システム1aについて説明する。
【0010】
図1に示すように、室外機10は、冷媒を気体と液体に分離し、気体のみを導出するアキュムレータ15と、このアキュムレータ15から吸入した冷媒を高温高圧にして導出する圧縮機16と、この圧縮機16に接続され、冷水を生成する運転と温水を生成する運転とによって冷媒回路を変更する四方弁17と、圧縮機16が導出した冷媒と空気との間で熱交換し、冷媒を液化して導出する室外熱交換器18とを備えている。この他、室外機10は、現在の動作モードや、生成する冷水の温度として設定されている設定温度等の各種情報を表示するための表示部19を備えている。
また、室外機10は、室外機10が備える各機器を制御する室外制御部20を備えている。この室外制御部20は、後述するチラー制御部21a,21b,21cと通信線22を介して通信可能に接続されており、これら制御部が連携し、例えば、圧縮機16の駆動のレベルの調整等、冷凍システム1a全体を制御する構成となっている。
【0011】
一方、チラー装置11aは、弁の開閉によって自身への冷媒の導入又は遮断を制御する開閉弁252aと、室外熱交換器18が導出した冷媒を減圧し低温低圧の液体にする膨張弁26aと、この膨張弁26aが導出した冷媒が導入されるプレート式熱交換器27aとを備えている。このプレート式熱交換器27aには、冷媒配管28と、水配管14が接続されており、冷媒配管28を流れる冷媒と水配管14を流れる水媒体との間で熱交換が行われ冷水(温水生成時には温水)が生成される。水配管14は、プレート式熱交換器27aに流入する水媒体が流れる流入側水配管14aと、プレート式熱交換器27aから流出した水媒体が流れる流出側水配管14bとを備えている。また、チラー装置11aの外部において、流入側水配管14aには、水配管14内に水媒体を流動させるための第一ポンプ30が設けられている。なお、水配管14の態様については後に詳述する。
プレート式熱交換器27aの水媒体の出口付近の流出側水配管14bには、水媒体の温度を検出するための水媒体温度センサ31aが設けられている。さらに、プレート式熱交換器27aの水媒体の出口付近の流出側水配管14bには、流出側水配管14b内を水媒体が流れているか否かを検出するためのフロースイッチ32aが設けられている。
【0012】
また、チラー装置11aは、チラー装置11aが備える各機器を制御するチラー制御部21aを備えている。このチラー制御部21aは、上述した第一ポンプ30と通信可能に接続されており、チラー制御部21aの制御の下、又は、チラー制御部21aと通信線22を介して接続された室外制御部20の制御の下、第一ポンプ30の駆動の開始、停止が実行される。
また、チラー制御部21aと上述した水媒体温度センサ31aとは通信可能に接続されており、チラー制御部21aは、水媒体温度センサ31aの出力値に基づいてプレート式熱交換器27aから流出する水媒体の温度を検出する。特に、チラー制御部21aは、検出した水媒体の温度と水媒体の凍結の想定温度とを比較することにより、水媒体が凍結している可能性があるか否かを検出することができる。なお、本実施形態では、水媒体温度センサ31aが、プレート式熱交換器27aの出口側に設けられている。ここで、プレート式熱交換器27aによって過度に冷却された水媒体の凍結は、プレート式熱交換器27aから流出する側の水媒体から順次始まっていくが、水媒体温度センサ31aが、プレート式熱交換器27aの出口側に設けられているため、水媒体の凍結を迅速に検出することができる構成となっている。
また、チラー制御部21aと上述したフロースイッチ32aとは通信可能に接続されており、チラー制御部21aは、フロースイッチ32aから入力された信号に基づいて、水配管14内を水媒体が流れているか否かを検出することができる。
【0013】
本実施形態に係るチラー制御部21aは、フロースイッチ32aの出力値に基づいて第一ポンプ30に異常が発生したことを検出することができる。具体的には、第一ポンプ30の駆動が指示されている場合であって水媒体が凍結していない場合は、水媒体が水配管14内を凍ることなく流れているはずなので、フロースイッチ32aによって水媒体が流れていることが検出されるはずである。上記の場合においてフロースイッチ32aによって水媒体が流れていないことが検出された場合、故障その他の理由で第一ポンプ30に異常が発生していることにより、正常に水媒体が流れていない可能性が高い。これを踏まえ、チラー制御部21aは、第一ポンプ30に駆動を指示した場合であって、水媒体温度センサ31aによって水媒体の凍結が検出されておらず、かつ、フロースイッチ32aによって水配管14内を水媒体が流れていないことが検出された場合は、第一ポンプ30に異常が発生していると判定する。
なお、以下の説明においては、「チラー装置11aのフロースイッチ32aが第一ポンプ30の異常を検出する」とは、第一ポンプ30に対して駆動の命令がなされている場合において、チラー装置11aの水媒体温度センサ31aによって水媒体の凍結が検出されていないにも関らず、フロースイッチ32aによって水媒体が流れていないことが検出されている状態のことを言う。
【0014】
チラー装置11bは、チラー装置11aと略同一の構成を有しており、チラー制御部21bと、開閉弁252bと、膨張弁26bと、プレート式熱交換器27bと、水媒体温度センサ31bと、フロースイッチ32bと、を備えている。
チラー装置11cは、チラー装置11aと略同一の構成を有しており、チラー制御部21cと、開閉弁252cと、膨張弁26cと、プレート式熱交換器27cと、水媒体温度センサ31cと、フロースイッチ32cと、を備えている。
【0015】
ここで、本実施形態に係る冷凍システム1aは、図1に示すように、水配管14として第一系統水配管12及び第二系統水配管13の二系統が存在し、第一系統水配管12には、チラー装置11a及びチラー装置11bがこの第一系統水配管12に対して並列に接続され、第二系統水配管13には、チラー装置11cが接続されている。第一系統水配管12には、上述した第一ポンプ30が設けられており、第二系統水配管13には、第二ポンプ35が設けられている。
このように複数系統の水配管14を備える冷凍システム1aでは、チラー装置11a,11b,11cのいずれかのフロースイッチ32a,32b,32cが第一ポンプ30又は第二ポンプ35の異常を検出したときには、室外機10の駆動及び全ての第一,第二ポンプ30,35の駆動が停止されることが求められる。これは、以下の理由による。
【0016】
すなわち、仮に、第二系統水配管13に接続されているチラー装置11cのフロースイッチ32cが、第二ポンプ35の異常を検出した場合、室外機10の駆動の停止、及び、第二ポンプ35の駆動の停止が実行されなければならない。なぜなら、第二ポンプ35の異常が検出されているときは、これに起因して第二系統水配管13内を正常に水媒体が流動していない可能性があり、この状態で室外機10の駆動及び第二ポンプ35の駆動を続けた場合、プレート式熱交換器27cにおける水媒体の過度の冷却による凍結や、水媒体の凍結に起因する第二ポンプ35や第二系統水配管13等の破損を招く可能性があるためである。従って、チラー装置11cのフロースイッチ32cが第二ポンプ35の異常を検出した場合は、室外機10の停止、及び、第二ポンプ35の駆動を停止することにより、第二ポンプ35等のさらなる破損を防止すると共に、作業者による第二ポンプ35の異常の原因究明を待つ必要がある。
一方、第一系統水配管12に接続されているチラー装置11a,11bのフロースイッチ32a,32bのうち、いずれか一方が第一ポンプ30の異常を検出した場合であっても、室外機10、及び、第一ポンプ30の駆動を停止することなく、安全性を確保できる。なぜなら、この場合、第一ポンプ30の異常を検出していない方のフロースイッチによって第一ポンプ30が正常に駆動していることが担保されているため、状態としては、第一系統水配管12内を正常に水媒体が循環しているものの、異常を検出したフロースイッチ自体が誤作動を起こしている状態が考えられるからである。従って、チラー装置11a,11bのように1の水配管に対し複数のチラー装置が並列に接続されている場合は、チラー装置のいずれかのフロースイッチがポンプの異常を検出した場合であっても室外機10やポンプを止める必要はなく、全てのチラー装置のフロースイッチがポンプの異常を検出した場合に室外機10及びポンプを止める必要がある。
【0017】
このように、冷凍システム1aにおいては、フロースイッチ32cが第二ポンプ35の異常を検出したときには室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止する必要があるが、フロースイッチ32a,32bのうちいずれか一方が第一ポンプ30の異常を検出したときには室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止する必要はない。ここで、冷凍システム1aは、水配管14を複数系統有しているため、水配管14が一系統しかない場合と比較し、水配管14の接続状態が複雑である。このため、冷凍システム1aの管理者や作業者等がどのフロースイッチがポンプの異常を検出したときには室外機やポンプを停止する必要があり、また、どのフロースイッチがポンプの異常を検出したときには室外機10やポンプを停止しなくてもよいのか、を完全には把握していない場合もある。このような冷凍システム1aにおいては、フロースイッチ32a,32b,32cのいずれかが第一ポンプ30又は第二ポンプ35の異常を検出した際、例えば、どのフロースイッチ32a,32b,32cがポンプの異常を検出したかに応じて室外機10を停止したり停止しなかったりする処理を行うよりも、一旦、全ての室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止することによって以降の不具合の発生を防止し、そして、作業者によって水配管14の接続状態の確認や、ポンプの異常の解消が行われてから、作業者の指示に基づいて室外機10及び必要なポンプの駆動を行う方が、安全性を確保できる。このことは、冷凍システム1aに限らず、室外機に対し並列に複数のチラー装置を備える冷凍システムであって、水配管が複数系統存在する冷凍システムについても、同様である。
【0018】
これを鑑み、本実施形態では、室外機に対し冷媒配管を介して複数のチラー装置を並列に接続し、かつ、水配管を複数系統備えている冷凍システムに対し第一の機能を適用することが可能となっている。この第一の機能は、冷凍システムの複数のチラー装置が備えるフロースイッチのうち、いずれかのフロースイッチがポンプの異常を検出したときに、室外機及びポンプの駆動を停止する機能である。従って、本実施形態に係る冷凍システム1aにこの第一の機能を適用した場合、チラー装置11a,11b,11cのフロースイッチ32a,32b,32cのうち、いずれかのフロースイッチが第一ポンプ30又は第二ポンプ35の異常を検出したときに、室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止することになり、上述したように、最も安全に冷凍システム1aを駆動することができる。
【0019】
次いで、第一の機能を適用した冷凍システム1aの動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
室外機10の室外制御部20は、通信線22を介して通信可能に接続されているチラー制御部21a,21b,21cに制御信号を送信し、これらこれらチラー制御部21a,21b,21cが制御しているフロースイッチ32a,32b,32cのいずれかが第一ポンプ30又は第二ポンプ35の異常を検出したか否かを監視する(ステップSA1)。フロースイッチ32a,32b,32cのいずれかが第一ポンプ30又は第二ポンプ35の異常を検出した場合(ステップSA1:YES)、室外制御部20は、圧縮機16の駆動を制御することにより室外機10の運転を停止し(ステップSA2)、さらに、第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止する(ステップSA3)。次いで、室外制御部20は、フロースイッチ32a,32b,32cのうち、どのスイッチが異常を検出したかを表示部19に表示すると共に、室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止した旨の表示を表示部19にする(ステップSA4)。これにより、作業者は、室外機10及び第一,第二ポンプ30,35の駆動を停止していることを容易かつ迅速に認識できると共に、第一,第二ポンプ30,35のうちどのポンプに異常が発生しているかを容易かつ迅速に認識することができ、この認識に基づいて修理その他の作業を効率よく行うことができる。
【0020】
図3は、一系統の水配管14を備える冷凍システム1bの構成を模式的に示す図である。なお、図3において図1に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、冷凍システム1bは、冷凍システム1aと異なり、第三系統水配管37という一系統のみの水配管14を備えており、この第三系統水配管37に対し、チラー装置11a,11b,11cが並列に接続されている。この第三系統水配管37には、配管内において水媒体を流動するための第三ポンプ36が設けられている。
このように水配管14を一系統のみ備える冷凍システム1bにおいては、第三系統水配管37に接続されているチラー装置11a,11b,11cのフロースイッチ32a,32b,32cのうち全てではなくいずれかが第三ポンプ36の異常を検出した場合は、室外機10、及び、第三ポンプ36の駆動を停止しなくても、安全性を確保した状態で冷凍システム1bを運転することができる。なぜなら、この場合、第三ポンプ36の異常を検出していないフロースイッチによって第三ポンプ36が正常に駆動していることが担保されているため、状態としては、第三系統水配管37内を正常に水媒体が循環しているものの、異常を検出したフロースイッチ自体が誤作動を起こしている状態が考えられるからである。従って、上記のように一系統の水配管に対し複数のチラー装置が並列に接続されている場合は、チラー装置のいずれかのフロースイッチがポンプの異常を検出した場合であっても室外機10やポンプを止めることなく、安全性を確保した状態で冷凍システムを運転することができ、これにより冷凍システムの稼動性を高めることができる。一方、全てのチラー装置11a,11b,11cのフロースイッチ32a,32b,32c全てが第三ポンプ36の異常を検出した場合には、第三ポンプ36について実際に異常が発生している可能性が高いため、第三ポンプ36を止める必要がある。
【0021】
そして、冷凍システム1bでは、第三系統水配管37という一系統の水配管14を備えている。この場合、複数系統の水配管14を備える冷凍システム1aと比較して、水配管14の接続状態が単純であり、作業者等は、水配管14の接続状態を確実に把握することができる。従って、冷凍システム1bでは、フロースイッチ32a,32b,32cのうち、いずれかが第三ポンプ36の異常を検出した場合であっても、室外機10、及び、第一ポンプ30の駆動を停止することなく安全性を確保できる状態であることが確実に把握できる。このため、一系統の水配管14を備える冷凍システム1bにおいては、フロースイッチ32a,32b,32cのいずれかが第三ポンプ36の異常を検出した場合であっても、室外機10及び第三ポンプ36の駆動を停止する必要はない。
【0022】
ここで、室外機10に対し冷媒配管28を介して並列に複数のチラー装置が接続された冷凍システムであって、水配管が一系統存在する冷凍システムの他の例である冷凍システム1cについて図4を用いて説明する。なお、図4において図1,図3に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すように、冷凍システム1cは、第四系統水配管38という一系統のみの水配管14を備えており、この第四系統水配管38に対し、チラー装置11a,11b,11cが直列に接続されている。つまり、冷凍システム1cは、水配管14に対してチラー装置11a,11b,11cが直列に接続されている点で、水配管14に対しチラー装置11a,11b,11cが並列に接続されている冷凍システム1bと異なっている。このような構成を備える冷凍システム1cにおいても、冷凍システム1bと同様の理由により、フロースイッチ32a,32b,32cのうち、いずれかが第三ポンプ36の異常を検出した場合であっても、室外機10、及び、第一ポンプ30の駆動を停止することなく安全性を確保できる状態であることが確実に把握できる。このため、フロースイッチ32a,32b,32cのいずれかが第三ポンプ36の異常を検出した場合であっても、室外機10及び第三ポンプ36の駆動を停止する必要はない。
【0023】
以上を鑑み、本実施形態では、室外機に対し冷媒配管を介して複数のチラー装置を並列に接続し、かつ、水配管を一系統備えている冷凍システムに対し第二の機能を適用することが可能となっている。この第二の機能は、冷凍システムの複数のチラー装置が備えるフロースイッチのうち、全てではなくいずれかのフロースイッチがポンプの異常を検出したときは、室外機及びポンプの駆動を停止せず、全てのフロースイッチがポンプの異常を検出したときに、室外機及びポンプの駆動を停止する機能である。上述したように、水配管が一系統のときは、複数のフロースイッチのうち、いずれかがポンプの異常を検出した場合であっても、室外機、及び、ポンプの駆動を停止することなく安全性を確保できる状態であることが作業者等が確実に把握できるため、第二の機能を有効に適用することができる。本実施形態に係る冷凍システム1bにこの第二の機能を適用した場合、チラー装置11a,11b,11cのフロースイッチ32a,32b,32cのうち、いずれかのフロースイッチによって第三ポンプ36の異常が検出されたときは、安全性を確保した状態で室外機10及び第三ポンプ36の駆動を続行し、全てのフロースイッチ32a,32b,32cが第三ポンプ36の異常を検出したときに、室外機10及び第三ポンプ36の駆動が停止する。
【0024】
次いで、第二の機能を適用した冷凍システム1bの動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
室外機10の室外制御部20は、通信線22を介して通信可能に接続されているチラー制御部21a,21b,21cに制御信号を送信し、これらこれらチラー制御部21a,21b,21cが制御しているフロースイッチ32a,32b,32cのいずれか又は全てが第三ポンプ36の異常を検出したか否かを監視する(ステップSB1)。フロースイッチ32a,32b,32cのいずれか又は全てが第三ポンプ36の異常を検出した場合(ステップSB1:YES)、室外制御部20は、フロースイッチ32a,32b,32cの全てが第三ポンプ36の異常を検出したか否かを判定する(ステップSB2)。全てのフロースイッチ32a,32b,32cが第三ポンプ36の異常を検出していない場合(ステップSB2:NO)、室外制御部20は、表示部19に、フロースイッチ32a,32b,32cのうち、どのフロースイッチが異常を検出したかを表示部19に表示すると共に、室外機10及び第三ポンプ36の駆動を維持している旨表示部19に表示する(ステップSB3)。これにより、作業者は、フロースイッチ32a,32b,32cのうち第三ポンプ36の異常を検出しているフロースイッチがあること、及び、その状態で室外機10及び第三ポンプ36が駆動していることを、容易かつ迅速に認識することができ、その認識に基づいてフロースイッチの作動の確認等の作業を行うことができる。表示部19への表示後、室外制御部20は、処理手順をステップSB1に戻す。従って、フロースイッチ32a,32b,32cのいずれかのフロースイッチが第三ポンプ36の異常を検出した場合であっても、全てのフロースイッチ32a,32b,32cが第三ポンプ36の異常を検出していない場合は、室外機10及び第三ポンプ36の駆動は停止しない。
【0025】
一方、全てのフロースイッチ32a,32b,32cが第三ポンプ36の異常を検出している場合(ステップSB2:YES)、室外制御部20は、圧縮機16の駆動を制御することにより室外機10の運転を停止し(ステップSB4)、さらに、第三ポンプ36の駆動を停止する(ステップSB5)。次いで、室外制御部20は、全てのフロースイッチ32a,32b,32cが異常を検出していること、及び、室外機10及び第三ポンプ36の駆動を停止したことを表示部19に表示する(ステップSB6)。これにより、作業者は、室外機10及び第三ポンプ36の駆動を停止していることを容易かつ迅速に認識できると共に、第三ポンプ36に異常が発生しているかを容易かつ迅速に認識することができ、この認識に基づいて作業を効率よく行うことができる。
【0026】
本実施形態では、室外機10の室外制御部20が、水配管14を一系統備えるか、それとも、複数系統備えるかに応じて第一の機能と第二の機能とを切り替える第三の機能を備えている。具体的には、室外制御部20が備える回路基板上に、ディップスイッチ等のスイッチ20aが設けられており、作業者は、このスイッチ20aを操作することにより、冷凍システムが水配管14を一系統備えるか、それとも、複数系統備えるかに応じて第一の機能を適用するか第二の機能を適用するかを択一的に容易に選択することができる構成となっている。室外制御部20は、図2に示す第一の機能を実行する第一のプログラムと、図5に示す第二の機能を実行する第二のプログラムとを備えており、スイッチ20aによって第一の機能が選択されたときは第一のプログラムが実行され、スイッチ20aによって第二の機能が選択されたときは第二のプログラムが実行される。
ここで、水配管14を一系統とするか複数系統とするかは、冷凍システムの各機器の工場出荷時には判断できず、現場合わせの作業となるが、本実施形態によれば、現場において実際に水配管14が設置された後、その設置された水配管14が一系統化複数系統かに応じて、作業者は、第三の機能を利用して容易に第一の機能と第二の機能とを切り替えることができるため、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。
例えば、冷凍システム1aのように水配管が複数系統の場合、作業者は、スイッチ20aを操作して第一の機能を選択する。すると、室外制御部20及びこの室外制御部20に接続されているチラー制御部21a,21b,21cは、図2のフローチャートに示した第一の機能に係る動作を実行する。また例えば、冷凍システム1bや冷凍システム1cのように設置された水配管14が一系統のとき、作業者は、スイッチ20aを操作して第二の機能を選択する。すると、室外制御部20及びこの室外制御部20に接続されているチラー制御部21a,21b,21cは、図5のフローチャートに示した第二の機能に係る動作を実行する。
【0027】
さらに、室外機10の室外制御部20は、チラー装置11a,11b,11cのチラー制御部21a,21b,21cと連携して冷凍システム全体の制御を実行するものであり、上述したように、通信線22を介して通信可能に接続されている。本実施形態では、室外制御部20に第三の機能を設けているため、この第三の機能を用いて、作業者が第一の機能もしくは第二の機能を択一的に選択した場合、この既存の通信線22を介して制御信号が各チラー装置11a,11b,11cのチラー制御部21a,21b,21cに送信され、この制御信号に基づいて、各チラー制御部21a,21b,21cは、第一の機能又は第二の機能に応じた動作を実行することになる。従って、第一の機能又は第二の機能を実行させるために、室外制御部20とチラー制御部21a,21b,21cとの間に新たな通信線を設けるための電気配線等の工事が不要となり、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。また、室外機10の室外制御部20に設けた第三の機能を利用して第一の機能と第二の機能とを切り替えることができるため、冷凍システムの構成を変更した場合(例えば、一系統の水配管14から複数系統の水配管14にした場合)や、新たに冷凍システムを構築する場合であっても、作業者は、室外制御部20に設けた第三の機能を利用することのみによって容易に第一の機能と第二の機能とを切り替えることができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、複数系統の水配管14を備える冷凍システム1aに適用されフロースイッチ32a,32b,32cのうちいずれかのフロースイッチが動作したときに室外機10を停止する第一の機能と、一系統の水配管14を備える冷凍システム1bに適用されフロースイッチ32a,32b,32cの全てのフロースイッチが動作したときに室外機10を停止する第二の機能と、を備えると共に、この第一の機能と、第二の機能とを択一的に選択可能な第三の機能を室外機10の室外制御部20に設けている。このため、作業者は、第三の機能を用いて、水配管14の設置後に現場において、水配管14が複数系統か又は一系統かに応じて、第一の機能を適用するか第二の機能を適用するかを択一的に容易に選択できる。ここで、水配管14を一系統とするか複数系統とするかは、冷凍システムの各機器の工場出荷時には判断できず、現場合わせの作業となるが、本実施形態によれば、第三機能を利用して、現場において水配管が一系統か複数系統かに応じて、第一の機能と、第二の機能とを切り替えることができるため、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、室外制御部20に第三の機能を設けているため、この第三の機能を用いて、作業者が第一の機能もしくは第二の機能を択一的に選択した場合、この既存の通信線22を介して制御信号が各チラー装置11a,11b,11cのチラー制御部21a,21b,21cに送信され、この制御信号に基づいて、各チラー制御部21a,21b,21cは、第一の機能又は第二の機能に応じた動作を実行することになる。従って、第一の機能又は第二の機能を実行させるために、室外制御部20とチラー制御部21a,21b,21cとの間に新たな通信線を設けるための電気配線等の工事が不要となり、冷凍システムの設置作業を簡便に行うことができる。また、室外機10の室外制御部20に設けた第三の機能を利用して第一の機能と第二の機能とを切り替えることができるため、冷凍システムの構成を変更した場合(例えば、一系統の水配管14から複数系統の水配管14にした場合)や、新たに冷凍システムを構築する場合であっても、作業者は、室外制御部20に設けた第三の機能を利用することのみによって容易に第一の機能と第二の機能とを切り替えることができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、回路基板上に設けたディップスイッチによって第一の機能と第二の機能とを切り替え可能としたが、切り替え方はこれに限らない。例えば、室外機10が動作モード設定等の各種設定を行うための操作部を備えている場合は、この操作部を操作することによって第一の機能と第二の機能とを切り替え可能としてもよく、また、室外制御部20をパーソナルコンピュータ等の端末と通信可能に接続し、この接続した端末を操作することによって第一の機能と第二の機能とを切り替えることができるようにしてもよい。
また、冷凍システムの例として、冷凍システム1a,1b,1cを示して説明したが、冷凍システムの構成は、これに限らず、冷凍システムの設置条件や求められる機能において様々な構成を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】水配管を複数系統備える冷凍システムの構成を示す図である。
【図2】冷凍システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】水配管を一系統備える冷凍システムの構成を示す図である。
【図4】水配管を一系統備える冷凍システムの別の例の構成を示す図である。
【図5】冷凍システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1a,1b,1c 冷凍システム
10 室外機
11a,11b,11c チラー装置
12 第一系統水配管
13 第二系統水配管
14 水配管
20 室外制御部
20a スイッチ
21a,21b,21c チラー制御部
22 通信線
28 冷媒配管
32a,32b,32c フロースイッチ
37 第三系統水配管
38 第四系統水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機に対し、一系統の冷媒配管を介して、水用のフロースイッチを有した複数のチラー装置を並列に接続した冷凍システムにおいて、
前記チラー装置が、複数系統に分かれて水配管で接続され、前記各水用のフロースイッチの一つでも動作したときに前記室外機を停止する第一の機能と、前記チラー装置が、一系統の水配管で接続され、前記各水用のフロースイッチのすべてが動作したときに前記室外機を停止する第二の機能とを備え、
前記室外機の制御部に、第一の機能と第二の機能とを択一的に選択可能に第三の機能を備えたことを特徴とする冷凍システム。
【請求項2】
前記室外機の制御部と、前記複数のチラー装置の各制御部とを通信線で接続し、前記第三の機能により、第一の機能または第二の機能のいずれかが選択されたとき、前記室外機の制御部が、通信線を介して、選択された前記機能を実行することを特徴とする請求項1に記載の冷凍システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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