説明

冷凍装置の熱源ユニット

【課題】可変容量圧縮機の台数を必要充分な数に抑制しつつ、高いCOPを得ること。
【解決手段】冷媒回路内の圧縮機手段のうち、一台をインバータ制御可能なインバータ圧縮機2Aで構成するとともに、他の一台を定容量圧縮機2Cで構成し、定容量圧縮機2Cを空調用の圧縮機構に特化する。可変容量圧縮機2Aおよび定容量圧縮機2Cの吸込側を連通管6f、6gで連通する。連通管6f、6gの開度Θは、開閉弁EV6で制御する。空調用の圧縮機構に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段HPを設ける。制御手段81は、空調サーモ信号がONの場合にバイパス管6f、6gを開放するとともに少なくとも可変容量圧縮機2Aを稼動させ、且つ高圧圧力センサ75の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定するとともに、判定した要求負荷に基づいて圧縮機手段の組み合わせと出力とを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に特許文献1に開示された冷凍装置を提案している。
【0003】
同冷凍装置は、食品等を貯蔵する冷蔵庫や冷凍庫、或いはショーケース等の冷蔵・冷凍機能の他、室内の空調(冷暖房)機能も具備したものである。この種の冷凍装置は、例えば、空調用の空調熱交換器と冷蔵・冷凍用の冷蔵・冷凍熱交換器などの2系統の利用側熱交換器と接続され、コンビニエンスストア等に設置されている。
【0004】
ところで、この種の冷凍装置では、複数の利用側熱交換器の動作状況に応じて圧縮機容量を幅広く変化させるために、複数の圧縮機(圧縮機手段)を組み合わせて冷媒回路の圧縮機構を構成している。例えば、特許文献1の構成では、3つの圧縮機手段を組み合わせて複数の圧縮機構を構成するとともに、該圧縮機構の吸入側に四路切換弁を設け、該四路切換弁における4つのポートの連通状態を切り換えて、空調用の圧縮機構を構成する圧縮機手段と、冷蔵・冷凍用の圧縮機構を構成する圧縮機手段とを3つの圧縮機手段から適宜選択するようにしている。これにより、圧縮機手段を3つとも冷蔵・冷凍用に用いたり、2つと1つを冷蔵・冷凍用と空調用に分けて用いたりするなど、温度条件等に応じて3つの圧縮機手段を様々なパターンで自由に組み合わせて運転することが可能となる。
【0005】
しかしながら、3つの圧縮機手段と2系統の利用側熱交換器とを備えた冷凍装置において、圧縮機手段を種々のパターンで自由に組み合わせて使用できるようにするためには、圧縮機手段の吸入側配管のハード構成や、運転状態に応じたソフト構成が複雑になり、好ましくない。
【0006】
そこで、本件出願人は、3台の圧縮機手段のうち、一台を空調用に特化し、一台を冷蔵・冷凍用に特化して、残余の一台を運転負荷に応じて空調用または冷蔵・冷凍用の補助に用いる構成を提案している(特許文献2)。かかる構成であれば、吸入側配管の構成を簡単にすることができる。また、圧縮機手段の運転パターンも少なくできるので、制御を簡単にすることも可能となる。
【0007】
冷蔵・冷凍用系統の圧縮機構は、通常、インバータ制御可能な可変容量圧縮機(インバータ圧縮機)で構成されており、前記空調用系統の圧縮機構は、定容量圧縮機(ノンインバータ圧縮機)で構成されている。可変容量圧縮機は、電動機がインバータ制御されて容量が段階的または連続的に可変となる圧縮機である。これに対して、定容量圧縮機は、電動機が常に一定回転数で駆動する圧縮機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−114062号公報
【特許文献2】特許第4360203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した圧縮機構の性能を高め、消費電力を低減するためには、圧縮機手段を可変容量圧縮機で構成することが好ましい。可変容量圧縮機を用いれば、通常は、部分負荷運転時の消費電力を必要最小限度に低下させ、成績係数(Coefficient Of Performance: COP)を向上することが可能になるからである。
【0010】
しかしながら、圧縮機構を構成する複数の圧縮機手段のうち、一台を空調用に特化した構成では、全ての圧縮機を可変容量圧縮機で構成しても、必ずしもCOPが向上するわけではない。
【0011】
例えば、暖房と冷蔵・冷凍の双方が必要な運転状況において、比較的要求負荷の低い場合には、一台の可変容量圧縮機で賄うことのできる出力を複数台の可変容量圧縮機で出力することになる。とりわけ近年の可変容量圧縮機の性能向上に伴い、一台の可変容量圧縮機で賄うことのできる部分負荷運転領域が広くなってきている。にも拘わらず、一台を空調用に特化した上で、全ての圧縮機手段を可変容量圧縮機で構成している場合には、一台の可変容量圧縮機で充分賄うことのできる部分負荷運転領域であっても、複数の可変容量圧縮機を稼動させることが必要になり、消費電力が余剰になる。そのため、単純に複数の圧縮機手段を全て可変容量圧縮機で構成しても、能力過剰となって、結果的に不経済なシステム構成になってしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、可変容量圧縮機の台数を必要充分な数に抑制しつつ、高いCOPを得ることのできる冷凍装置の熱源ユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、空調用の第1利用側熱交換器、および冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器に接続されて使用される冷媒回路と、前記冷媒回路内に並列に接続される、少なくとも2台の圧縮機手段とを備え、前記圧縮機手段のうち、一台をインバータ制御可能な可変容量圧縮機で構成するとともに、他の一台を定容量圧縮機で構成し、前記定容量圧縮機を空調用の圧縮機構に特化した冷凍装置の熱源ユニットであって、前記2台の圧縮機手段の吸込側を連通する連通管と、前記連通管を所定の開度で開閉可能な開閉弁と、室内温度に基づいて、暖房運転の要否を示すサーモ信号を出力する空調サーモ信号出力部と、暖房運転時に空調用の圧縮機構に圧縮されて前記第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段と、前記開閉弁の開閉制御と前記圧縮機手段の運転とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記空調サーモ信号がONの場合に前記連通管を開放するとともに少なくとも前記可変容量圧縮機を稼動させ、且つ前記暖房要求負荷検出手段の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定するとともに、判定した要求負荷に基づいて前記圧縮機手段の組み合わせと出力とを設定するように構成されていることを特徴とする冷凍装置の熱源ユニットである。この態様では、圧縮機構の稼動時において、暖房が必要な時に、連通管が開放され、可変容量圧縮機が稼動するので、比較的運転負荷が低い領域では、定容量圧縮機を稼動する前に、一台の可変容量圧縮機を暖房用と冷蔵・冷凍用に併用し、負荷を賄うことができる。そのため、定容量圧縮機を空調用に特化した構成であっても、部分負荷側の運転領域での消費電力を大幅に低減し、格段にCOPを向上することができる。しかも、部分負荷側の運転領域では、一台の可変容量圧縮機を暖房用と冷蔵・冷凍用に併用することができるので、消費電力を必要充分に最適化することができる。このため、一台の可変容量圧縮機で圧縮機構を構成した場合であっても、極めてCOPの高い運転状態で、暖房機能を奏することができる。なお、「冷蔵・冷凍」は、主として「冷蔵」および「冷凍」を示す概念であるが、「冷蔵」だけ、または「冷凍」だけであってもよい。さらに、空調サーモ信号がOFFであるときには、開閉弁を閉じることにより、従来の冷凍装置と同様に、可変容量圧縮機を冷蔵・冷凍用に特化させることができるので、簡素なハード構成ならびにソフト構成で、高いCOPで冷蔵・冷凍機能を効率よく実行することができる。加えて、暖房運転時に空調用の圧縮機構に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段を設け、制御手段が、この暖房要求負荷検出手段の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定しているので、暖房運転が種々の態様で実行されていても、制御手段は、空調側の温度状態を直截に反映した圧縮冷媒の状態に基づいて要求負荷を判定することができる結果、判定された要求負荷は、応答性が高く精緻なものとなる。かかる要求負荷に基づいて圧縮機構を制御するので、制御手段は、圧縮機手段を適切に組み合わせることができるとともに、定容量圧縮機のON/OFF動作や、可変容量圧縮機の出力(周波数)を最適化することが可能になる。暖房要求負荷検出手段は、例えば、断熱圧縮行程後の冷媒の圧力を検出する圧力センサであってもよく、或いは、断熱圧縮行程後の冷媒の凝縮温度を検出する温度センサであってもよい。
【0014】
好ましい態様において、庫内の温度に基づいて、冷蔵・冷凍運転の要否を示す冷蔵・冷凍サーモ信号を出力する冷蔵・冷凍サーモ信号出力部と、前記冷媒回路における冷蔵・冷凍用系統の要求負荷を代表する状態値を検出する冷蔵・冷凍要求負荷検出手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記空調サーモ信号がONであり、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がONのときに、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定されたしきい値以下の運転領域では、前記可変容量圧縮機のみを稼動させるものである。この態様では、一台の可変容量圧縮機で賄うことのできる部分負荷運転領域では、一台の圧縮機手段のみで冷蔵・冷凍と暖房が可能になるので、COPを飛躍的に高めることができる。また、要求負荷が低い運転領域では、可変容量圧縮機を優先的に稼動させて消費電力を必要充分に最適化することができるという利点がある。
【0015】
好ましい態様において、前記冷媒回路は、前記制御手段の制御に基づいて開閉することにより、所定の運転モードにおいて、利用側の熱交換器から還流した凝縮冷媒を膨張させる室外膨張弁と、前記所定の運転モードにおいて、前記室外膨張弁からの膨張冷媒を蒸発させて前記圧縮機手段の吸込側に流す室外熱交換器とをさらに備えている。この態様では、暖房の要求負荷が高い運転領域において、利用側の熱交換器だけでは賄いきれない出力を室外熱交換器によって補うことが可能になる。
【0016】
好ましい態様において、前記開閉弁は、流量を調整可能な機能を有し、前記制御手段は、前記所定の運転モードにおいて、前記状態値に基づいて暖房能力の過不足を判定するとともに、判定した暖房能力に基づいて、前記開閉弁の開度を調整するものである。この態様では、暖房用に断熱圧縮された冷媒の状態値に基づいて、暖房能力の過不足を判定しているので、当該暖房能力を高い応答性で精緻に判定することができるとともに、室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として冷媒を前記圧縮機構の吸込側に循環させている場合において開閉弁を制御して冷媒循環量を調整することにより、高い応答性で、適切な暖房能力の調整を図ることができる。従って、消費電力を低減し、COPを向上することが可能となる。
【0017】
好ましい態様において、前記冷媒回路は、前記制御手段の制御に基づいて、冷媒の循環経路を切り換える切換機構を備えており、前記切換機構は、前記室外熱交換器をバイパスするように冷媒を前記冷媒回路に循環させる熱回収循環経路、前記室外熱交換器を排熱用の凝縮器として機能するように冷媒を前記冷媒回路に循環させる排熱循環経路、ならびに前記室外熱交換器を暖房促進用の蒸発器として機能するように冷媒を前記冷媒回路に循環させる熱交換器循環経路の間で冷媒の循環経路を択一的に切り換えるものである。この態様では、空調が必要な場合に、要求負荷に応じて適切な運転モードを選択し、COPの最適化を図ることができる。
【0018】
好ましい態様において、前記制御手段は、所定の部分負荷運転領域において、前記暖房能力が過剰であるときは、前記開閉弁を全閉にして当該冷媒が前記排熱循環経路を循環するように前記切換機構を制御するものである。この態様では、能力過剰になった空調の温度調整を迅速に実現することができる。通常、空調用の第1利用側熱交換器と冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器とを備えた冷凍装置においては、蒸発器として機能する第2利用側熱交換器で蒸発した冷媒が吸収した熱を回収し、暖房時に凝縮器として機能する第1利用側熱交換器に熱を循環させて暖房用に利用する熱回収運転が広く行われている。しかし、寒さの厳しい冬季での暖房運転の際には、第2利用側熱交換器に対する要求負荷がそれほど高くないため、回収される熱も比較的低い熱量になっている。そのため、熱回収運転を実行している運転モードから、熱交換器循環経路を利用する運転モードに切り換え、圧縮機手段の稼動台数を増やして室外熱交換器を蒸発器として利用することが少なからずある。その場合、室内の温度が急速に上昇し、暖房能力が過剰となることが多い。この点、本態様では、暖房用に断熱圧縮された冷媒の状態値を制御パラメータとしている。この冷媒の状態値は、空調側の温度状態を直截に反映しているので、制御手段は、極めて高い応答性をもって暖房能力の過不足を制御することができる。しかも、所定の部分負荷運転領域で暖房能力が過剰であるときは、運転モードが排熱循環経路を利用する運転モードに切り替わるので、室外熱交換器から余剰熱を室外に排出することができ、室内の温度を迅速に調整することができる。従って、従来の装置では達成し得なかった高い応答性で、好適な空調機能を奏することが可能となる。
【0019】
好ましい態様において、前記圧縮機手段と並列に前記媒体回路に接続され、前記制御手段によって、空調用と冷蔵・冷凍用の何れかの圧縮機構を構成する補助用の定容量圧縮機をさらに備えている。この態様では、一台の可変容量圧縮機のみでは賄い切れない運転領域において、従来は、3台の圧縮機手段を使用していた運転領域においても、前記定容量圧縮機と前記補助用の定容量圧縮機の何れか一方のみを前記可変容量圧縮機と組み合わせて、2台で要求負荷を賄うことが可能になる。このため、所定の中負荷運転領域において、稼動する圧縮機構の台数を低減し、COPを大幅に向上することが可能になる。
【0020】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機が単独で稼働している時に、冷蔵・冷凍用の要求負荷が前記しきい値よりも高く、且つ暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高い場合には、前記可変容量圧縮機に加えて前記補助用の定容量圧縮機だけを暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動し、前記定容量圧縮機を停止するものである。この態様では、空調と、冷蔵・冷凍との双方で出力が不足している場合には、まず、補助用の定容量圧縮機を稼動することにより、段階的に暖房能力を上げて、暖房能力のオーバーシュートを避けるようにしている。
【0021】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機と前記補助用の定容量圧縮機とが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、前記定容量圧縮機が停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷が前記しきい値以下であり、且つ暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高いときは、前記可変容量圧縮機とともに前記定容量圧縮機を稼動するとともに、前記補助用の定容量圧縮機を停止するものである。この態様では、必要な出力を確保しつつ、圧縮機の稼働台数の増加を抑制し、COPを向上することができる。すなわち、可変容量圧縮機と補助用の定容量圧縮機が稼動している場合には、これら可変容量圧縮機と補助用の定容量圧縮機とは、何れも暖房用と冷蔵・冷凍用に併用されている。そのような運転状況で暖房能力が不足している場合には、まず、空調用に特化された定容量圧縮機を稼動することにより、充分な暖房能力を確保することができる一方、開閉弁の制御や、可変容量圧縮機の容量制御により、冷蔵・冷凍能力を維持することが可能になるので、必ずしも補助用の定容量圧縮機を稼動する必要がない。そのため、補助用の定容量圧縮機を停止しても、出力が激減することはないので、同じ稼動負荷で暖房用と冷蔵・冷凍用の出力を最適化することができるという利点がある。しかも、圧縮機の稼動台数を同数に維持したまま、暖房能力を向上させることができるので、暖房能力が急激に過剰になる恐れもなくなり、いわゆるオーバーシュートを防止することができる。加えて、空調用に特化された定容量圧縮機を稼動することにより、可変容量圧縮機の出力も低減することができるので、COPの向上にも寄与することができる。
【0022】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機と前記補助用の定容量圧縮機とが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、前記定容量圧縮機が停止している場合に、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定された前記しきい値よりも高いときは、前記定容量圧縮機を稼動するとともに、前記補助用の定容量圧縮機を冷蔵・冷凍用の圧縮機構として稼動するものである。この態様では、補助用の定容量圧縮機が優先的に冷蔵・冷凍用の圧縮機構を応援することになるので、冷蔵・冷凍の対象となる冷蔵庫または冷凍庫の商品を優先的に適温に保持することができる。
【0023】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機と前記定容量圧縮機とが稼動し、前記補助用の定容量圧縮機が停止している場合に、暖房能力が過剰であるときは、前記定容量圧縮機を停止するとともに、前記補助用の定容量圧縮機を暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動するものである。この態様では、比較的暖房に対する要求負荷が高い運転領域において、暖房能力が過剰になった場合には、緩慢に暖房能力を低減し、室温の下げ過ぎを防止することとしている。すなわち、可変容量圧縮機と定容量圧縮機とが稼動している場合、空調側は、比較的高負荷状態にあるので、暖房能力を下げることにより、急激に室温が低くなる恐れもある。そこで、可変容量圧縮機と定容量圧縮機とが稼動している場合に暖房能力が過剰になった場合には、可変容量圧縮機と補助用の定容量圧縮機とを稼動させる運転モードに切り換えて、段階的に暖房能力を低減することとしているのである。
【0024】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機と前記定容量圧縮機とが稼動し、前記補助用の定容量圧縮機が停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷と、暖房用の要求負荷とが、何れも前記しきい値以下のときは、運転モードを前記熱交換器循環経路に維持した状態で、前記定容量圧縮機を停止し、前記可変容量圧縮機のみを稼動する。この態様では、高負荷での運転状況下において、暖房の要求負荷の上昇に備えつつ、COPの向上を図ることができる。すなわち、可変容量圧縮機と前記定容量圧縮機とが稼動している運転状況では、暖房能力を下げることによって、再び、能力不足が生じやすくなることが想定されるので、熱交換器循環経路を維持して、高負荷の要求に備える一方、圧縮機構の運転モードをINV単独運転モードに切り換えることによって、COPの向上を図ることとしているのである。
【0025】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機と前記定容量圧縮機とが稼働している場合に、暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高いときは、前記補助用の定容量圧縮機を空調用の圧縮機構として稼動するものである。この態様では、空調の高い要求負荷に速やかに応答することが可能となる。既に定容量圧縮機が稼動しているにも拘わらず、依然、暖房能力が不足するような運転状態では、真冬で気温が低く、室内がなかなか暖まらない状況にあると考えられる。そこで、本態様では、前記可変容量圧縮機と前記定容量圧縮機とが稼働している場合に、暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高いときは、補助用の定容量圧縮機を空調用の圧縮機構として稼動することにより、空調の高い要求負荷に速やかに応答することとしているのである。
【0026】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ前記空調サーモ信号がONになっている場合においては、前記開閉弁を全開にし、前記可変容量圧縮機を空調用の圧縮機構として稼動するものである。この態様では、暖房のみが要請される運転状態においても、可変容量圧縮機を優先的に稼動し、COPを向上することが可能になる。
【0027】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記室外熱交換器が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ前記空調サーモ信号がONになっている場合において、前記可変容量圧縮機が最大負荷の時に暖房用の要求負荷が前記所定のしきい値よりも高いときは、前記定容量圧縮機を前記補助用の定容量圧縮機よりも優先して空調用の圧縮機構として稼動するものである。この態様では、暖房のみが要請されている運転状態において、二台の定容量圧縮機の内、一台を稼動すべき運転状況のときには、空調用に特化された定容量圧縮機を優先的に稼動することにより、冷蔵・冷凍運転の能力不足が生じた場合に、直ちに補助用の定容量圧縮機を稼動し、冷蔵・冷凍運転に備えることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、一台の可変容量圧縮機を広範な運転領域で活用して、最適な消費電力特性を得ることができるとともに、定容量圧縮機の稼動を要する運転領域を高負荷側に縮減することができるので、インバータ圧縮機の台数を必要充分な数に抑制しつつ、飛躍的にCOPを向上させることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱源ユニットの回路図である。
【図2】図1の熱源ユニットにおいて、冷凍運転時の冷媒の流れを示す回路図である。
【図3】図1の熱源ユニットにおいて、暖房運転時の冷媒の流れを示す回路図である。
【図4】図1の熱源ユニットにおいて、第1暖房&冷蔵・冷凍運転時の冷媒の流れを示す回路図である。
【図5】図1の熱源ユニットにおいて、第2暖房&冷蔵・冷凍運転時の冷媒の流れを示す回路図である。
【図6】図1の熱源ユニットにおいて、第3暖房&冷蔵・冷凍運転時の冷媒の流れを示す回路図である。
【図7】空調サーモON信号と冷蔵・冷凍サーモ信号がONの場合の運転領域と消費電力の関係の一例を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態に係る熱源ユニットの制御フローの要部を示すフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの一態様を示すフローチャートである。
【図10】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図11】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図12】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図13】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図14】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図15】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図16】図8のフローチャートにおけるLP1&HP圧縮機制御サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図17】図8のフローチャートにおけるHP圧縮機制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】図8のフローチャートにおけるLP1圧縮機制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0031】
図1を参照して、本実施形態に係る熱源ユニット1Aは、冷凍装置1の室外ユニットを構成するものである。該冷凍装置1は、コンビニエンスストアに設けられ、冷蔵庫や冷凍庫を含むショーケースの冷蔵・冷凍と店内の空調(冷暖房)とを行うものである。
【0032】
冷凍装置1は、本実施形態に係る熱源ユニット1Aと、図略の室内ユニットと、冷蔵ユニットと、冷凍ユニットとを備えている。室内ユニットは、例えば、売場などに設置される。室内ユニットは、第1利用側熱交換器を備えており、この熱交換器を暖房時には、凝縮器として機能させ、冷房時には、蒸発器として機能させることにより、暖房運転と冷房運転とを切り換えて行うように構成されている。また、冷蔵ユニットは、冷蔵用のショーケースに設置されて該ショーケースの庫内空気を冷却する。冷凍ユニットは、冷凍用のショーケースに設置されて該ショーケースの庫内空気を冷却する。冷蔵ユニットおよび冷凍ユニットは、それぞれ第2利用側熱交換器を備えている。第2利用側熱交換器は、熱源ユニット1Aから循環した冷媒を蒸発させて吸熱する蒸発器として機能する。
【0033】
冷凍装置1の熱源ユニット1Aは、冷蔵・冷凍用の第1系統側回路と、空調用の第2系統側回路とを備えている。熱源ユニット1Aの各回路は、冷房サイクルと暖房サイクルとに切り換わるように構成されている。各回路は、熱源側熱交換器である室外熱交換器4と接続されている。なお、室外熱交換器4は、例えば、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、熱源ファンである室外ファン4Fが近接して配置されている。
【0034】
熱源ユニット1Aは、インバータ圧縮機2Aと、第1ノンインバータ圧縮機2Bと、第2ノンインバータ圧縮機2Cとを備えている。
【0035】
各圧縮機2A、2B、2Cは、例えば、密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機で構成されている。また、各圧縮機2A、2B、2Cのうち、インバータ圧縮機2Aは、電動機がインバータ制御されて容量が段階的又は連続的に可変となる可変容量圧縮機である。他方、第1ノンインバータ圧縮機2Bおよび第2ノンインバータ圧縮機2Cは、電動機が常に一定回転数で駆動する定容量圧縮機である。
【0036】
各圧縮機2A、2B、2Cは、後述する制御条件に基づいて、冷蔵・冷凍用の第1系統側回路の圧縮機構と、空調用の第2系統側回路の圧縮機構とを選択的に構成する。但し、本実施形態において、第2ノンインバータ圧縮機2Cは、空調用に特化されている。他方、インバータ圧縮機2Aは、主として冷蔵・冷凍用に用いられる他、空調用に用いられる場合もある。また、第1ノンインバータ圧縮機2Bは、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cの何れか(または双方の)稼働時に、当該稼働中の圧縮機2A(2C)の何れか一方を補助するように構成されている。
【0037】
かかる切換機能等を奏するために、熱源ユニット1Aには、第1四路切換弁3Aと、第2四路切換弁3Bと、第3四路切換弁3Cと、開閉弁EV6とを備えている。次に各圧縮機2A、2B、2Cとこれら切換弁3A〜3C、開閉弁EV6との関係について説明する。
【0038】
インバータ圧縮機2A、第1ノンインバータ圧縮機2Bおよび第2ノンインバータ圧縮機2Cの各吐出管5a、5b、5cは、1つの高圧ガス管8に接続され、該高圧ガス管8が第1四路切換弁3Aの1つのポートに接続されている。インバータ圧縮機2Aの吐出管5a、第1ノンインバータ圧縮機2Bの吐出管5b、および第2ノンインバータ圧縮機2Cの吐出管5cには、それぞれ逆止弁7a、7b、7cが設けられている。
【0039】
室外熱交換器4のガス側端部は、室外ガス管9によって第1四路切換弁3Aの別の1つのポートに接続されている。室外熱交換器4の液側端部には、液ラインである液管10の一端が接続されている。該液管10の途中には、レシーバ14が設けられ、液管10の他端は、第1連絡液管11と第2連絡液管12とに分岐されている。第1連絡液管11は、第2利用側熱交換器に接続され、冷蔵・冷凍用の液管を構成している。また、第2連絡液管12は、第1利用側熱交換器に接続され、空調用の液管を構成している。
【0040】
第1四路切換弁3Aの別の1つのポートには、連絡ガス管17が接続されている。連絡ガス管17は、第1利用側熱交換器と接続され、空調用のガス管を構成している。第1四路切換弁3Aの別の1つのポートは、接続管18によって第2四路切換弁3Bの1つのポートに接続されている。該第2四路切換弁3Bの1つのポートは、補助ガス管19によって第2ノンインバータ圧縮機2Cの吐出管5cに接続されている。また、第2四路切換弁3Bの別の1つのポートは、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cが接続されている。なお、第2四路切換弁3Bの別の1つのポートは、閉塞された閉鎖ポートに構成されている。つまり、第2四路切換弁3Bは、三路切換弁であってもよい。
【0041】
第1四路切換弁3Aは、第1の状態(図2の状態)と第2の状態(図1、図3〜図6の状態)とに切り換えられる。第1の状態では、高圧ガス管8と室外ガス管9とが連通されるとともに、連絡ガス管17と接続管18とが連通される。また、第2の状態では、接続管18と室外ガス管9とが連通されるとともに、連絡ガス管17と高圧ガス管8とが連通される。第1の状態は、冷房用または空調停止時の状態であり、この第1の状態では、高圧ガス管8から吐出された高圧ガスが室外熱交換器4に送給され、室外熱交換器4で凝縮して液管10から連絡液管11に送給される。第2の状態は、暖房用の状態であり、この第2の状態では、高圧ガス管8から吐出された高圧ガスが直ちに空調用の連絡ガス管17に送給される一方、室外熱交換器4からの気化ガスを接続管18から吸入管6cを経て空調用の圧縮機構に送給する。
【0042】
第2四路切換弁3Bは、第1の状態(図1〜図4、図6の状態)と第2の状態(図5の状態)とに切り換えられる。第1の状態では、接続管18と第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cとが連通されるとともに、補助ガス管19と閉鎖ポートとが接続される。第2の状態では、接続管18と補助ガス管19とが連通されるとともに、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cと閉鎖ポートとが接続される。第1の状態は、室外熱交換器4で蒸発された気化ガスを圧縮機2A〜2Cの吸入側に送給するための状態である。他方、第2の状態は、暖房過剰な運転状態の際に、冷蔵・冷凍用の圧縮機構を構成する圧縮機から一部の高圧ガスを室外熱交換器4に送給して放熱するための状態である。
【0043】
インバータ圧縮機2Aの吸入管6aは、第2利用側熱交換器の低圧ガス管15に接続されている。第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cは、第1、第2四路切換弁3A、3Bを介して第2系統側回路の連絡ガス管17または室外ガス管9に接続されている。連絡ガス管17は、利用側の熱交換器に連通する空調用のガス管と接続される。また、第1ノンインバータ圧縮機2Bの吸入管6bは、後述の第3四路切換弁3Cを介してインバータ圧縮機2Aの吸入管6aまたは第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cに接続される。
【0044】
具体的には、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aには分岐管6dが接続され、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cには分岐管6eが接続されている。そして、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aの分岐管6dが逆止弁7dを介して第3四路切換弁3Cの第1ポートP1に接続され、第1ノンインバータ圧縮機2Bの吸入管6bが第3四路切換弁3Cの第2ポートP2に接続され、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cに接続された分岐管6eが逆止弁7eを介して第3四路切換弁3Cの第3ポートP3に接続されている。また、第3四路切換弁3Cの第4ポートP4には、後述するレシーバ14からのガス抜き管28の分岐管28aが接続されている。分岐管6d、6eに設けられている逆止弁は、第3四路切換弁3Cへ向かう冷媒流れのみを許容するものである。
【0045】
さらに、分岐管6dには、バイパス管6fが接続され、分岐管6eには、バイパス管6gが接続されている。バイパス管6fとバイパス管6gとは、開閉弁EV6を介して接続されている。開閉弁EV6は、開度Θを調整可能な電磁弁で構成されており、任意の開度Θでバイパス管6fとバイパス管6gとを連通することができるようになっている。
【0046】
第3四路切換弁3Cは、第1の状態(図1〜図6の状態)と第2の状態(図示せず)とに切り換えられる。第1の状態(図1に示す状態)では、第1ポートP1と第2ポートP2とが連通し、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aと第1ノンインバータ圧縮機2Bの吸入管6bとが連通されるとともに、第3ポートP3と第4ポートP4とが連通し、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cとガス抜き管28の分岐管28aとが連通される。第2の状態では、第1ポートP1と第4ポートP4とが連通し、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aとガス抜き管28の分岐管28aとが連通するともに、第2ポートP2と第3ポートP3とが連通し、第1ノンインバータ圧縮機2Bの吸入管6bと第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cとが連通される。第1の状態では、第1ノンインバータ圧縮機2Bがインバータ圧縮機2Aを補助する状態となる。第2の状態では、第1ノンインバータ圧縮機2Bが第2ノンインバータ圧縮機2Cを補助する状態となる。
【0047】
第1連絡液管11と第2連絡液管12と低圧ガス管15と連絡ガス管17とは、熱源ユニット1Aから外部に延長されており、熱源ユニット1A内にはこれらに対応して閉鎖弁20A〜20Dが設けられている。さらに、第2連絡液管12は、レシーバ14の下部からの分岐側端部に逆止弁7fが設けられ、レシーバ14から閉鎖弁20Bに向かって冷媒が流れるように構成されている。
【0048】
液管10には、レシーバ14をバイパスする補助液管25が接続されている。該補助液管25には、室外膨張弁26が設けられている。室外膨張弁26は、主として暖房時の膨張機構として機能するものであり、暖房運転時に冷媒が室外膨張弁26を流れるようになっている。また、補助液管25には、レシーバ14の下部と室外膨張弁26との間に配置され、レシーバ14から室外膨張弁26に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁7kが接続されている。また室外膨張弁26とレシーバ14との間には、均圧管25aが接続されている。均圧管25aは、暖房時に液冷媒を室外膨張弁26に流す際、冷媒の圧力を均等にするためのものである。均圧管25aには、室外膨張弁26からレシーバ14に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁7gが設けられている。
【0049】
液管10における室外熱交換器4とレシーバ14との間には、レシーバ14に向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁7hが設けられている。該逆止弁7hは、液管10における補助液管25の接続部とレシーバ14との間に位置している。
【0050】
液管10には、分岐液管36が接続されている。分岐液管36は、前記逆止弁7hの下流側とレシーバ14の間で分岐して、第2液管12における閉鎖弁20Bと逆止弁7fとの間に接続されている。該分岐液管36には、第2液管12からレシーバ14へ向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁7iが設けられている。
【0051】
レシーバ14の上部とインバータ圧縮機2Aの吐出管5aとの間には、ガス抜き管28が接続されている。該ガス抜き管28には、レシーバ14から吐出管5aに向かう冷媒流れのみを許容する逆止弁7jが設けられている。また、上述したように、このガス抜き管28の分岐管28aは、第3四路切換弁3Cの第4ポートP4に接続されている。
【0052】
高圧ガス管8には、オイルセパレータ30が設けられている。該オイルセパレータ30には、油戻し管31の一端が接続されている。該油戻し管31は、他端が第1油戻し管31aと第2油戻し管31bとに分岐している。第1油戻し管31aは、電磁弁SV0が設けられ、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aに接続されている。また、第2油戻し管31bは、電磁弁SV4が設けられ、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cの分岐管6eに接続されている。
【0053】
また、分岐管36の上記逆止弁7hよりも上流側には、電磁弁SV6が接続されている。電磁弁SV6は、暖房運転の際に閉じることにより、液管10を流通する冷媒の流れを制御するストップバルブを構成する。
【0054】
インバータ圧縮機2Aのドーム油溜まりと第1ノンインバータ圧縮機2Bの吸入管6bとの間には、第1均油管32が接続されている。第1ノンインバータ圧縮機2Bのドームと第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cとの間には、第2均油管33が接続されている。第2ノンインバータ圧縮機2Cのドームとインバータ圧縮機2Aの吸入管6aとの間には、第3均油管34が接続されている。第1均油管32、第2均油管33、および第3均油管34には、それぞれ、開閉機構として電磁弁SV1、SV2、SV3が設けられている。
【0055】
熱源ユニット1Aには、各種センサおよび各種スイッチが設けられている。
【0056】
まず、高圧ガス管8には、高圧冷媒圧力を検出する圧力検出手段である高圧圧力センサ75が接続されている。高圧圧力センサ75は、暖房運転時に、圧縮機構を構成する何れかの圧縮機に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値として、高圧の冷媒圧力HPを検出する暖房要求負荷検出手段を構成し、本実施形態において、空調用の圧縮機構に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段を構成するものである。
【0057】
また、インバータ圧縮機2Aの吸入管6aから低圧ガス管15までの経路(例えば、連通管6h)には、第1圧力センサ71と温度センサTi1が接続されている。第1圧力センサ71は、本実施形態において、熱源ユニット1Aの冷媒回路における冷蔵・冷凍用の要求負荷を代表する状態値として、低圧冷媒圧力LP1を検出する冷蔵・冷凍要求負荷検出手段を構成するものである。また、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cには、第2圧力センサ72と温度センサTi2が接続されている。
【0058】
さらに、具体的には図示していないが、熱源ユニット1Aには、冷媒回路の制御に必要な種々の圧力センサや温度センサが周知の構成と同様に設けられている。また、インバータ圧縮機2A、第1ノンインバータ圧縮機2Bおよび第2ノンインバータ圧縮機2Cの各吐出管5a、5b、5cには、それぞれ、高圧冷媒圧力が所定値になると開く圧力スイッチ64a、64b、64cが設けられている。
【0059】
室外熱交換器4には、室外熱交換器4における冷媒温度である蒸発温度又は凝縮温度を検出する温度検出手段である室外熱交換センサ69が設けられている。また、熱源ユニット1Aには、室外空気温度を検出する温度検出手段である外気温センサ70が設けられている。
【0060】
また、図略の室内ユニットには、室内温度を検出する温度センサが配置されており、図略の冷蔵庫や冷凍庫には、それぞれ庫内の温度を検出する温度センサが配置されている。
【0061】
各種センサおよび各種スイッチの出力信号は、コントローラ80に入力される。この制御部81は、冷凍装置1の熱源ユニット1A全体を制御する制御部81と、制御部81に指令信号を出力する判定部82とを備えている。
【0062】
制御部81は、マイクロプロセッサと、各種メモリ、ならびにインターフェースを備えており、メモリに記憶されたプログラムと、インターフェースに接続された図略の操作スイッチ等の出力と、判定部82からの指令信号とに基づいて、熱源ユニット1Aの運転を制御し、後述する運転モードを切り換えて制御するように構成されている。そして、該制御部81は、運転時に、インバータ圧縮機2Aの起動、停止および容量制御や、第1ノンインバータ圧縮機2Bおよび第2ノンインバータ圧縮機2Cの起動および停止、さらには室外膨張弁26および室内膨張弁42の開度調節などに関して制御を行うとともに、第1、第2、第3四路切換弁3A、3B、3Cの切り換えや、開閉弁EV6の開度Θの設定、油戻し管31a、31b、均油管32、33、34および電磁弁SV0、SV1、SV2、SV3、SV4、SV6についての開閉操作なども行う。また、制御部81は、高圧圧力センサ75の出力値に基づいて、当該冷媒の圧力、すなわち、圧縮機構によって断熱圧縮された高温高圧の冷媒の圧力に相当する飽和温度Tcを算出するためのパラメータとプログラムとを記憶している。さらに、制御部81には、第1圧力センサ71または高圧圧力センサ75の出力値に基づいて、インバータ圧縮機2Aの周波数を決定するための制御マップと、高圧圧力センサ75の出力値に基づいて、開閉弁EV6の開度Θを決定するための制御マップがメモリに記憶されている。
【0063】
判定部82は、比較回路やインターフェースを備え、暖房運転の要否や冷蔵・冷凍運転の要否を指令信号として出力するモジュールである。判定部82は、図略の室内機に配置された温度センサが検出した室内温度に基づいて、指令信号としての空調サーモ信号を出力する空調サーモ信号出力部と、図略の冷蔵庫に配置された温度センサが検出した庫内温度に基づいて、冷蔵・冷凍サーモ信号を出力する冷蔵・冷凍サーモ信号出力部とを構成している。以下の説明では、サーモ信号がONの場合には、「サーモON信号」ともいい、サーモ信号がOFFの場合には、「サーモOFF信号」ともいう。
【0064】
次に、室外熱交換器の利用に関する運転モード(表1)と、圧縮機構の構成に関する運転モード(表2)を説明する。
【0065】
まず、表1に示すように、本実施形態では、室外熱交換器の利用モードに関し、空調運転が停止される冷蔵・冷凍運転モードと、冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFとなり、暖房のみが行われる暖房運転モードと、第2利用側熱交換器の放熱を回収して暖房と冷蔵・冷凍運転とを並行する第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードと、室外熱交換器から空調時の余剰熱を放出する第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードと、室外熱交換器を暖房に援用する第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードとを実行することができるようになっている。なお、表1においては、第1、第2四路切換弁3A、2B、ならびに室外膨張弁26の組み合わせに関し、第1、第2四路切換弁3A、2Bの第1の状態(図2の状態)をOFFと表示し、第2の状態(図5の状態)をONと表示しており、以下の説明においても、同じ表記を踏襲する場合がある。
【0066】
【表1】

【0067】
まず、冷蔵・冷凍運転モードについて説明する。
【0068】
表1および図2を参照して、冷蔵・冷凍運転モードは、冷蔵・冷凍サーモON信号が出力され、且つ空調サーモOFF信号が出力されているときの運転モードであり、冷蔵・冷凍のみ必要な状況で利用される。また、冷蔵・冷凍運転モードでは、第1、第2四路切換弁3A、2Bは、何れもOFFの状態になっており、室外膨張弁26は、閉じている。他方、電磁弁SV6は、開いている。これら切換弁3A、3B、室外膨張弁26、並びに電磁弁SV6の設定により、冷蔵・冷凍運転モードでは、冷媒は、図2に示す冷蔵・冷凍循環経路を循環する。具体的には、冷蔵・冷凍用の圧縮機構を構成する何れかの圧縮機(図2では、インバータ圧縮機2A)が稼動すると、圧縮された冷媒は、室外ガス管9から室外熱交換器4に流れ、ここで凝縮され、液化する。液化した冷媒は、室外熱交換器4から液管10を通って分岐液管36に流れ、さらに電磁弁SV6からレシーバ14を経由し、さらに、第1連絡液管11と第2連絡液管12とをそれぞれ経由して、第2利用側熱交換器に循環する。第2利用側熱交換器では、液化した冷媒が膨張弁によって膨張されて蒸発するので、冷媒は、庫内を循環するように構成された熱媒体から熱を奪い、熱媒体を介して庫内を冷蔵・冷凍する。その後、第2利用側熱交換器で吸熱した冷媒は、低圧ガス管15を経由して圧縮機構に循環する。このようなサイクルを繰り返すことにより、冷蔵・冷凍運転モードでは、空調用の第1利用側熱交換器をバイパスして、空調を停止した状態で冷蔵・冷凍することができるようになっている。
【0069】
次に、表1および図3を参照して、暖房運転モードでは、冷蔵・冷凍サーモOFF信号が出力され、且つ空調サーモON信号が出力されているときの運転モードであり、主として空調(暖房)のみ必要な状況で利用される。また、暖房運転モードでは、第1四路切換弁3Aは、ONの状態になっており、第2四路切換弁3Bは、OFFの状態になっており、室外膨張弁26は、開いている。他方、電磁弁SV6は、閉じている。これら切換弁3A、3B、室外膨張弁26、並びに電磁弁SV6の設定により、暖房運転モードでは、冷媒は、図3に示す第1熱交換器循環経路を循環する。具体的には、何れかの圧縮機(図3では、インバータ圧縮機2A)が稼動すると、高温高圧に断熱圧縮された冷媒は、連絡ガス管17から第1利用側熱交換器に流れ、この第1利用側熱交換器で凝縮される。この凝縮時に放出される熱により、室内が加温される。その後、液化した冷媒は、第1利用側熱交換器から空調用の第2連絡液管12に戻され、分岐液管36には、第2液管12からレシーバ14を経由して、補助液管25を流れ、室外膨張弁26により減圧、膨張された後、室外熱交換器4に流れて蒸発する。蒸発した冷媒は、室外ガス管9から接続管18を経由して圧縮機構の吸入側に循環する。詳しくは、後述するように、接続管18の一端は、第2四路切換弁3Bに接続されており、第2四路切換弁3Bは、図3に示す第1の状態(OFFの状態)において、接続管18を第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cと接続しているのであるが、第2ノンインバータ圧縮機2Cの吸入管6cは、バイパス管6gと接続されており、さらに開閉弁EV6を経由してバイパス管6fと接続され、このバイパス管6fが分岐管6dと接続されているので、暖房後に室外熱交換器4を通って吸入管6cに還流した冷媒は、何れの圧縮機2A〜2Cによっても吸入可能になっている。このようなサイクルを繰り返すことにより、暖房運転モードでは、冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器をバイパスし、冷蔵・冷凍を停止しつつ、暖房することができるようになっている。なお、本実施形態では、室外膨張弁26の開度を調整することにより、暖房運転時のスーパーヒートを5℃に制御している。
【0070】
次に、第1〜第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードは、冷蔵・冷凍サーモON信号が出力され、且つ空調サーモON信号が出力されているときの運転モードである。第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードは、比較的暖房負荷の低い熱回収運転時、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードは、暖房過剰時の排熱運転時、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードは、暖房の負荷が高い熱交換器併用時の運転モードである。
【0071】
次に、第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードについて説明する。
【0072】
表1および図4を参照して、第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、第1四路切換弁3Aは、ONの状態になっており、第2四路切換弁3Bは、OFFの状態になっており、室外膨張弁26並びに電磁弁SV6は、閉じている。これら切換弁3A、3B、室外膨張弁26、並びに電磁弁SV6の設定により、第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、冷媒は、図4に示す熱回収循環経路を循環する。具体的には、何れかの圧縮機(図4では、インバータ圧縮機2A)が稼動すると、高温高圧に断熱圧縮された冷媒は、連絡ガス管17から第1利用側熱交換器に流れ、この第1利用側熱交換器で凝縮される。この凝縮時に放出される熱により、室内が加温される。その後、液化した冷媒は、第1利用側熱交換器から空調用の第2連絡液管12に戻され、分岐液管36には、第2液管12からレシーバ14に還流する。他方、レシーバ14の下側から吐出される冷媒は、第1液管11を通って、図略の膨張弁を経由し、第2利用側熱交換器に流れて蒸発する。これにより、冷媒は、庫内を循環するように構成された熱媒体から熱を奪い、熱媒体を介して冷蔵・冷凍する。その後、第2利用側熱交換器で吸熱した冷媒は、低圧ガス管15を経由して圧縮機構に循環する。このようなサイクルを繰り返すことにより、第1暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、室外熱交換器4をバイパスする一方、第1利用側熱交換器での暖房能力(凝縮熱量)と第2利用側熱交換器の冷蔵・冷凍能力(蒸発熱量)とをバランスさせて、好適な熱回収運転を実行できるように構成されている。
【0073】
次に、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードについて説明する。
【0074】
表1および図5を参照して、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、第1、第2四路切換弁3A、2Bは、何れもONの状態になっており、室外膨張弁26は、調整可能に開いている。他方、電磁弁SV6は、閉じている。これら切換弁3A、3B、室外膨張弁26、並びに電磁弁SV6の設定により、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、冷媒は、図5に示す排熱循環経路を循環する。具体的には、何れかの圧縮機(図5では、インバータ圧縮機2A)が稼動すると、高温高圧に断熱圧縮された冷媒は、一部が連絡ガス管17から第1利用側熱交換器に流れ、一旦、レシーバ14に戻された後、第1暖房&冷蔵・冷凍運転の場合と同様に、第2利用側熱交換器を経由して圧縮機構に循環する。他方、高圧ガス管8に吐出された残余の冷媒は、補助ガス管19から第2四路切換弁3B、接続管18、第1四路切換弁3Aを経由して室外ガス管9に流れ、室外熱交換器4に到達する。このため、高圧に断熱圧縮された冷媒は、室外熱交換器4によって凝縮されるので、この凝縮過程で液化し、放熱する。その後、室外熱交換器4によって液化した冷媒は、レシーバ14に循環する。このようなサイクルを繰り返すことにより、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、室外熱交換器4を経由して一部の熱を放出し、過剰になった第1利用側熱交換器での暖房能力(凝縮熱量)を低減させるように構成されている。
【0075】
次に、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードについて説明する。
【0076】
表1および図6を参照して、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、第1四路切換弁3Aは、ONの状態になっており、第2四路切換弁3Bは、OFFの状態になっており、室外膨張弁26は、開いている。他方、電磁弁SV6は、閉じている。これら切換弁3A、3B、室外膨張弁26、並びに電磁弁SV6の設定により、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、冷媒は、図6に示す第2熱交換器循環経路を循環する。具体的には、何れかの圧縮機(図6では、インバータ圧縮機2A)が稼動すると、高温高圧に断熱圧縮された冷媒は、連絡ガス管17から第1利用側熱交換器に流れ、第2暖房&冷蔵・冷凍運転と同様に、一旦、レシーバ14に戻された後、一部が第2利用側熱交換器を経由して再びレシーバ14に循環する。他方、第3暖房&冷蔵・冷凍運転では、レシーバ14に還流した冷媒の一部が補助液管25から室外膨張弁26を経由して減圧、膨張され、その後、室外熱交換器4に流れることによって蒸発する。そのため、蒸発した冷媒は、室外熱交換器4で吸熱し、温度上昇した状態で室外ガス管9から接続管18を経由して圧縮機構の吸入側に循環する。このようなサイクルを繰り返すことにより、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードでは、室外熱交換器4を蒸発器として機能させることにより、第1利用側熱交換器で不足している暖房能力(凝縮熱量)を向上させるように構成されている。
【0077】
ところで、暖房と冷蔵・冷凍を並行して行う場合、通常は、図6に示す第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードで稼動する場合が多い。その理由は、暖房が必要な冬季、特に、外気が大幅に冷えている環境では、暖房能力に要する第1利用側熱交換器での暖房能力は、相当高いものである必要がある一方、冷蔵・冷凍能力に要する第2利用側熱交換器での蒸発圧力は、比較的低いからである。そのため、熱回収のバランスが崩れて暖房能力が不足しがちであるので、運転モードとしては、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードが多用されることになる。他方、暖房能力を高める方法としては、圧縮機構での断熱圧縮能力を向上することが考えられるが、単純に圧縮機構を構成する圧縮機の稼動台数を増加させた場合には、室外熱交換器を利用していることと相俟って、温度上昇が急激な特性になってしまい、能力過剰(いわゆるオーバーシュート)が生じやすくなってしまうという問題がある。そこで、本実施形態においては、COPの向上を図るばかりでなく、暖房能力のオーバーシュートを抑制することのできる圧縮機構の運転モードを設定することができるようになっている。
【0078】
次に、本実施形態における圧縮機構の運転モードについて説明する。
【0079】
表2に示すように、本実施形態では、圧縮機構を構成する圧縮機の組み合わせに関し、インバータ圧縮機2Aのみが単独で運転されるINV単独運転モードと、インバータ圧縮機2Aと第1ノンインバータ圧縮機2Bとが圧縮機構を構成するNON1併用運転モードと、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが圧縮機構を構成するNON2併用運転モードと、全圧縮機が作動する全稼動運転モードとをとることができ、さらに、全稼動運転モードにおいては、第3四路切換弁3Cが図1に示す第1の状態(表2中のOFF)で運転される冷蔵・冷凍優先運転モードと、第3四路切換弁3Cが図略の第2の状態(表2中のON)で運転される空調優先運転モードとをとることができるようになっている。
【0080】
【表2】

【0081】
表2から明らかなように、本実施形態では、空調(暖房)、冷蔵・冷凍に関し、何れの運転モードにおいてもインバータ圧縮機2Aを稼動し、COPの向上を図っている。
【0082】
図7を参照して、本実施形態のように、第2ノンインバータ圧縮機2Cを空調用に特化した場合、従来は、まず、第2ノンインバータ圧縮機2Cを最初に作動することとしていた。そのため、図7に示すように、空調サーモON信号と冷蔵・冷凍サーモON信号とが重なった場合、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが、必ず並列運転されることになる。このため、運転初期の高負荷状態(運転領域D)では、比較的効率よく暖房と冷蔵・冷凍を実施することができたのであるが、2台の圧縮機では、能力過剰になる部分負荷運転領域A〜Cでは、COPが必ずしも高くはならなかった。また、単純に全ての圧縮機をインバータ圧縮機とした場合でも、比較例に示すように、2台で賄うことのできる運転領域(例えば、運転領域B、C)では、必ず3台の圧縮機を運転しなければならず、能力過剰に陥っていた。そのため、ハード構成や制御面では、簡素化ができるものの、COPを高めることは困難であった。
【0083】
さらに、図7では、空調サーモON信号と冷蔵・冷凍サーモON信号とが重なった場合を示しているが、これとは異なり、冷蔵・冷凍を停止して、図3に示す暖房運転を実行する場合には、専ら定容量圧縮機である第2ノンインバータ圧縮機2Cが作動されるため、COPの向上は困難となっていた。
【0084】
これに対して本実施形態では、上述したように、インバータ圧縮機2Aとノンインバータ圧縮機2Cとにそれぞれバイパス管6f、6gを設け、両バイパス管6f、6gを開閉弁EV6で接続しているので、比較的運転負荷が低い領域では、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動する前に、インバータ圧縮機2Aを稼動して空調用と冷蔵・冷凍用に併用し、負荷を賄うことができる。この結果、暖房運転時に冷蔵・冷凍運転が必要な場合であっても、運転負荷が部分負荷領域である場合には、稼動する圧縮機を1台または2台に低減することができ、格段にCOPを向上することができるのである。
【0085】
図8を参照して、以下に具体的な制御について説明する。以下の説明並びに図8以下の表記では、「低圧の冷媒圧力LP1、高圧の冷媒圧力HPを参照する制御」という趣旨で、後述するサブルーチンをそれぞれ「LP1&HP圧縮機制御サブルーチン」「HP圧縮機制御サブルーチン」「LP1圧縮機制御サブルーチン」と命名する。
【0086】
まず、制御部81は、運転開始時に装置の初期化を実行する(ステップS1)。この段階では、第1四路切換弁3Aは、ON(図1、図6に示す第1の状態)、第2、第3四路切換弁3B、3Cは、それぞれ第1の状態に切り換えられ、開閉弁EV6は全閉(Θ=0)の状態に制御される。また、室外膨張弁26は、過熱度が5℃程度になるように開いて、スーパーヒート制御がされている。また、運転モードに関し、暖房時の初期状態においては、第1四路切換弁3AがONに設定される一方、第2四路切換弁3BがOFFに設定され、室外膨張弁26は、開かれる。この設定により、運転モードは、図6に示す第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わる。つまり、本実施形態では、開閉弁EV6の開閉制御が前提となるため、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わる場合について説明する。なお、以下の説明では、第3四路切換弁3Cが図1に示す第1の状態のときをOFFとし、図略の第2の状態のときをONという。
【0087】
次いで、制御部81は、判定部82からの冷蔵・冷凍サーモ信号および空調サーモ信号の出力判定を実行する(ステップS2)。
【0088】
まず、判定部82が冷蔵・冷凍サーモON信号および空調サーモON信号を出力している場合、制御部81は、LP1&HP圧縮機制御サブルーチンを実行する(ステップS10)。
【0089】
ステップS2の判定において、判定部82が冷蔵・冷凍サーモOFF信号または空調サーモOFF信号を出力している場合、制御部81は、例えば、判定部82が冷蔵・冷凍サーモOFF信号を出力し、且つ空調サーモON信号を出力しているか否かを判定する(ステップS3)。仮に判定部82が冷蔵・冷凍サーモOFF信号を出力し、且つ空調サーモON信号を出力している運転状態である場合、制御部81は、表1で説明した運転モード切換処理を実行し、その後、開閉弁EV6を全開(Θ=100%)にし(ステップS4)、HP圧縮機制御サブルーチン(ステップS20)を実行する。HP圧縮機制御サブルーチンでの運転モード切換処理では、第1四路切換弁3AがONに設定される一方、第2四路切換弁3BがOFFに設定され、室外膨張弁26は、開かれる。この設定により、運転モードは、図3に示す暖房運転モードに切り替わる。
【0090】
また、ステップS3の判定において、NOの場合、制御部81は、さらに、判定部82が冷蔵・冷凍サーモON信号を出力し、且つ空調サーモOFF信号を出力しているか否かを判定する(ステップS5)。仮に判定部82が冷蔵・冷凍サーモON信号を出力し、且つ空調サーモOFF信号を出力している運転状態である場合、制御部81は、表1で説明した運転モードの切換処理を実行し、その後、開閉弁EV6を全閉(Θ=0%)にし(ステップS6)、LP1圧縮機制御サブルーチン(ステップS30)を実行する。LP1圧縮機制御サブルーチンを実行する際の運転モード切換処理では、第1、第2四路切換弁3A、3Bが何れもOFFに設定され、室外膨張弁26は、閉じられる。この設定により、運転モードは、図2に示す冷蔵・冷凍運転モードに切り替わる。
【0091】
さらに、ステップS5の判定において、NOの場合、判定部82が冷蔵・冷凍サーモOFF信号および空調サーモOFF信号を出力している運転状態であるので、その場合には、制御部81は、表1で説明した運転モードの切換処理を実行し、開閉弁EV6を全閉(Θ=0%)にし(ステップS7)、全圧縮機2A〜2Cを停止して(ステップS8)、ステップS2に移行する。このときの運転モード切換処理では、第1、第2四路切換弁3A、3B、が何れもOFFに初期化され、室外膨張弁26は、閉じられる。この設定により、運転モードは、図1に示す初期状態に切り替わる。
【0092】
次に、各サブルーチンについて説明する。
【0093】
上述したように、圧縮機の運転モードには、インバータ圧縮機2Aが単独で稼動するINV単独運転モード、インバータ圧縮機2Aに第1ノンインバータ圧縮機2Bが併用されるNON1併用運転モード、インバータ圧縮機2Aに第2ノンインバータ圧縮機2Cが併用されるNON2併用運転モード、全ての圧縮機2A〜2Cが稼動する全稼動運転モードがあり、全稼動運転モードはさらに、第3四路切換弁3CがOFF(図1に示す状態)に設定される冷蔵・冷凍優先運転モードと、第3四路切換弁3CがONに設定される空調優先運転モードとに分類される。
【0094】
LP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10は、初期状態では、インバータ圧縮機2Aが単独で稼動される仕様になっており、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の検出値に基づいて判定される要求負荷に応じて、種々の運転モードに切り換えられるようになっている。以下の説明では、LP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始されるときの運転モードに場合分けして、それぞれの動作を説明する。
[第1ケース]
まず、第1ケースは、INV単独運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例である。
【0095】
図9を参照して、第1ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS101を実行する。ステップS101では、第1圧力センサ71の検出した低圧の冷媒圧力LP1の値に基づいて、インバータ圧縮機2Aの周波数が設定される。この設定では、基準となる目標値が4.8KPaに設定され、第1圧力センサ71の検出値がこの目標値よりも大きい場合には、周波数を予め設定されている最大値に至るまで、所定のステップで増加させる一方、検出値が目標値よりも小さい場合には、周波数を予め設定されている最小値に至るまで、所定のステップで低減させるようになっている。
【0096】
次に、制御部81は、ステップS102を実行する。ステップS102では、高圧圧力センサ75の検出した高圧の冷媒圧力HPの値に基づいて、開閉弁EV6の開度が設定される。この設定では、制御部81は、高圧圧力センサ75の出力値に基づいて、その圧力に相当する飽和温度Tcを算出し、当該飽和温度Tcが45℃になるように、開閉弁の開度Θを設定する。すなわち、演算された飽和温度Tcが目標値としての45℃以下の場合(以下の説明では、暖房能力不足ともいう)には、冷媒循環量が増加するように開度Θを所定のステップで増加させる一方、検出値に基づく飽和温度Tcが目標値としての45℃よりも高い場合には、冷媒循環量が減少するように開度Θを所定のステップで低減させる。
【0097】
次いで制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS103)。このステップS103の判定において、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS103において、YESの場合)、制御部81は、ステップS101で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最大周波数に達しているか否かを判定する(ステップS102)。仮に最大周波数に達している場合には、ステップS105を実行する。このステップS105では、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減し、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、第3四路切換弁3CがONの場合には、第3四路切換弁3CをOFF(図1に示している状態)にする。ステップS105を実行することにより、運転モードは、INV単独運転モードからNON1併用運転モードに切り替わる。
【0098】
ステップS105が実行された場合、または、ステップS102で、NOの場合、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0099】
次に、ステップS103において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0100】
仮にステップS106において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が不足している一方、空調の暖房能力は、過剰になっていることになる。この運転状態においては、制御部81は、ステップS101で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最大周波数に達しているか否かを判定する(ステップS107)。仮に最大周波数に達している場合には、ステップS108を実行する。このステップS108では、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減し、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、第3四路切換弁3CがONの場合には、第3四路切換弁3CをOFF(図1に示している状態)にする。ステップS108を実行することにより、運転モードは、INV単独運転モードからNON1併用運転モードに切り替わる。
【0101】
ステップS108を実行した場合、制御部81は、さらにステップS109を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。具体的には、第2四路切換弁3BをON(図5の状態)にし、電磁弁SV6および開閉弁EV6を閉じる一方、室外膨張弁26を調整可能に開く。この結果、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わり、冷媒の循環経路は、図5に示す排熱循環経路に切り替わる。この運転モードの切り換えにより、余剰熱が排出され、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することが可能になる。
【0102】
ステップS109を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0103】
次に、ステップS106において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0104】
仮にステップS110において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力は、不足していることになる。そこで、制御部81は、ステップS101で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最小周波数に達しているか否かを判定する(ステップS111)。仮に最小周波数に達している場合には、その周波数を維持し(ステップS112)、最小周波数に達していない場合(ステップS111においてNOの場合)には、現状の周波数をそのまま維持する。換言すれば、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力が不足している運転状態の場合には、インバータ圧縮機2Aの出力は、開閉弁EV6の開度で調整することとしている。
【0105】
次いで、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動する(ステップS113)。この設定により、運転モードは、表2で示したNON2併用運転モードに切り替わる。ステップS113を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0106】
次に、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS110において、NOであった場合、圧縮機の出力は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。その場合、制御部81は、そのまま第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードを継続するか、或いは、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換えて、暖房能力を下げるかを判定するために、インバータ圧縮機2Aの周波数を判定する(ステップS114)。仮にインバータ圧縮機2Aが最小周波数で稼動している場合(ステップS114において、YESの場合)、運転状態は、暖房能力過剰になってきていると判断される。その場合、制御部81は、ステップS115を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。具体的には、第2四路切換弁3BをON(図5の状態)にし、電磁弁SV6および開閉弁EV6を閉じる一方、室外膨張弁26を調整可能に開く。この結果、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わり、冷媒の循環経路は、図5に示す排熱循環経路に切り替わる。この運転モードの切り換えにより、余剰熱が排出され、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することが可能になる。
【0107】
ステップS115を実行した場合、または、ステップS114でNOの場合、制御は、メインルーチンに復帰する。
[第2ケース]
次に、第2ケースについて、図10および図11を参照しながら説明する。
【0108】
例えば、冷蔵・冷凍の要求負荷が比較的高い運転環境で冷凍装置が使用される場合には、全ての運転状態でインバータ圧縮機2Aとともに第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動するように構成してもよい。そこで、第2ケースでは、全ての運転領域で、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動する態様を採用している。
【0109】
図10を参照して、第2ケースは、全ての負荷運転領域において、NON1併用運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例である。また、第3四路切換弁3Cは、第2ケースでは、OFFであり、インバータ圧縮機2Aを第1ノンインバータ圧縮機2Bが補助している状態になっている。
【0110】
その状態で、制御部81は、まず、ステップS121、S122を実行する。ステップS121、S122は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0111】
次に、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS123)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS123において、YESの場合)、制御部81は、NON1併用運転モードに切り替わったタイミングから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS124)。仮に経過している場合には、まず、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に設定する(ステップS125)。ステップS123でYESの運転状態の場合、比較的冷蔵・冷凍側も空調側も負荷が高い状況ではあるが、第2ケースでは、最初から2台の圧縮機(すなわち、インバータ圧縮機2Aと第1ノンインバータ圧縮機2B)が稼動しており、しかも、第3四路切換弁3CがOFFになって、インバータ圧縮機2Aを第1ノンインバータ圧縮機2Bが補助しているので、比較的短時間で要求負荷が変化する可能性が高い。そのため、インバータ圧縮機2Aを初期段階は第1圧力センサ71の検出値に基づいて制御する一方、所定タイミングが経過した後は、最小周波数にインバータ圧縮機2Aの周波数を低減することにより、COPの向上を図っているのである。
【0112】
ステップS125を実行した場合、または、ステップS124において、NOの場合、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0113】
次に、ステップS123において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS126)。
【0114】
仮にステップS126において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が不足している一方、空調の暖房能力は、過剰になっていることになる。ここで、制御部81は、ステップS124やステップS125と同様に、ステップS127、S128を実行する。その後、第2ケースでは、制御部81は、さらにステップS129を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。具体的には、第2四路切換弁3BをON(図5の状態)にし、電磁弁SV6および開閉弁EV6を閉じる一方、室外膨張弁26を調整可能に開く。この結果、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わり、冷媒の循環経路は、図5に示す排熱循環経路に切り替わる。この運転モードの切り換えにより、余剰熱が排出され、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することが可能になる。
【0115】
ステップS129を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0116】
次に、ステップS126において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS130)。
【0117】
仮にステップS141において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力は、不足していることになる。そこで、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動し、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モードの冷蔵・冷凍優先運転モードに切り換える(ステップS131)。暖房能力を向上するために、圧縮機の稼動台数を増やした場合には、急激に暖房能力が上昇し、暖房能力がオーバーシュートする恐れもあるので、第3四路開閉弁3CをOFFに維持し、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを冷蔵・冷凍用と空調用とに併用し続けることにより、一気に暖房能力の向上を図るのではなく、段階的に暖房能力を高めて、より好適な空気調和を図るためである。また、このように制御することにより、庫内の製品を確実に保護することも可能になる。
【0118】
ステップS131を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0119】
次に、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS130において、NOであった場合、その運転状態は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。
【0120】
その場合においても、第2ケースでは、制御部81は、ステップS132を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。具体的には、第2四路切換弁3BをON(図5の状態)にし、電磁弁SV6および開閉弁EV6を閉じる一方、室外膨張弁26を調整可能に開く。この結果、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わり、冷媒の循環経路は、図5に示す排熱循環経路に切り替わる。第2ケースでは、2台の圧縮機(インバータ圧縮機2A、第1ノンインバータ圧縮機2B)が既に稼動しているので、要求負荷が低くなった早い段階で運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換え、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することとしているのである。
【0121】
ステップS132を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0122】
なお、第2ケースでは、ステップS131を実行した場合、第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動することによって、低圧側の第1圧力センサ71からの出力をあわせて開閉弁EV6を制御することができなくなる。そのため、第2ケースでは、図11に示すように、第2ノンインバータ圧縮機2Cの稼働時には、第1圧力センサ71の出力が目標値の4.8KPaになるようにインバータ圧縮機2Aの周波数を設定する一方(ステップS141)、開閉弁EV6の開度を全開(Θ=100%)にし(ステップS142)、所定時間が経過するまでループを繰り返し(ステップS143)、所定時間が経過した後は、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減することとしている(ステップS144)。
【0123】
また、具体的なフローは、図示していないが、空調側の要求負荷が下がった時点で、第2ノンインバータ圧縮機2BをOFFにし、図10のフローに戻るようになっている。
[第3ケース]
次に、第3ケースについて、図12を参照しながら説明する。
【0124】
第3ケースは、NON1併用運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される点や、第3四路切換弁3Cを常時、OFF(図1の状態)にし、第1ノンインバータ圧縮機2Bがインバータ圧縮機2Aを補助することとしている点では、第2ケースと同じであるが、所定の部分負荷運転領域では、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止し、INV単独運転モードまたは、NON2併用運転モードに切り替わる点が相違している。
【0125】
図12を参照して、第3ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS151、S152を実行する。ステップS151、S152は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0126】
次に、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS153)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS153において、YESの場合)、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モードの冷蔵・冷凍優先モードに切り換える(ステップS154)。図10のステップS131の場合と同様に、暖房能力を向上するために、圧縮機の稼動台数を増やした場合には、急激に暖房能力が上昇し、暖房能力がオーバーシュートする恐れもあるので、第3四路開閉弁3CをOFFに維持し、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを冷蔵・冷凍用と空調用とに併用し続けることにより、一気に暖房能力の向上を図るのではなく、段階的に暖房能力を高めて、より好適な空気調和を図るためである。また、このように制御することにより、庫内の製品を確実に保護することも可能になる。
【0127】
ステップS154を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0128】
次に、ステップS153において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS155)。
【0129】
仮にステップS155において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が不足している一方、空調の暖房能力は、過剰になっていることになる。この場合、制御部81は、ステップS156を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。具体的には、第2四路切換弁3BをON(図5の状態)にし、電磁弁SV6および開閉弁EV6を閉じる一方、室外膨張弁26を調整可能に開く。この結果、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り替わり、冷媒の循環経路は、図5に示す排熱循環経路に切り替わる。この運転モードの切り換えにより、余剰熱が排出され、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することが可能になる。
【0130】
ステップS156を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0131】
次に、ステップS155において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS157)。
【0132】
仮にステップS157において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力は、不足していることになる。そこで、制御部81は、ステップS151で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最小周波数に達しているか否かを判定する(ステップS158)。仮に最小周波数に達している場合には、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止することが可能な運転状態になっていると考えられるので、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止する(ステップS159)。
【0133】
ステップS159を実行した場合、または、ステップS158においてNOの場合、制御部81は、不足している暖房能力を向上するため、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動する(ステップS160)。これにより圧縮機構の運転モードは、NON2併用運転モードとなる。
【0134】
暖房能力が不足している運転状況であっても、冷凍装置1が暖房運転と冷蔵・冷凍運転とを並行している場合には、まず、空調用に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動することにより、充分な暖房能力を確保することができる。一方、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下の運転状態(要求負荷)では、開閉弁EV6の制御や、インバータ圧縮機2Aの容量制御により、冷蔵・冷凍能力を維持することが可能になるので、必ずしも補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動する必要がない。そのため、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止しても、出力が激減することはないので、同じ稼動負荷で暖房用と冷蔵・冷凍用の出力を最適化することができるという利点がある。しかも、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止することにより、圧縮機の稼動台数を同数に維持したまま、暖房能力を向上させることができるので、暖房能力が急激に過剰になる恐れもなくなり、いわゆるオーバーシュートを防止することができる。加えて、空調用に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動することにより、冷蔵・冷凍用の圧縮機構としてのインバータ圧縮機2Aの出力も低減することができるので、COPの向上にも寄与することができる。
【0135】
ステップS160を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0136】
次に、第1圧力センサ71、72の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS157において、NOであった場合、その運転状態は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。
【0137】
その場合においても、制御部81は、第2ケースの場合と同様に、ステップS161を実行し、運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換える。第3ケースにおいても、2台の圧縮機(インバータ圧縮機2A、第1ノンインバータ圧縮機2B)が既に稼動しているので、要求負荷が低くなった早い段階で運転モードを図5に示す第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換え、空気調和能力を高めて快適な室内温度を維持することとしているのである。
【0138】
ステップS161を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
[第4ケース]
次に、第4ケースについて、図13を参照しながら説明する。第4ケースは、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが既に稼動しているNON2併用運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例である。また、第4ケースは、所定の負荷運転領域では、NON2併用運転モードからNON1併用運転モードに切り換えたり、或いは、第1ノンインバータ圧縮機2Bをさらに併用し、全稼動運転モードに切り換えたりする例である。また、第4ケースでは、第3四路切換弁3Cを原則としてOFF(図1の状態)にし、全稼動運転モードの冷蔵・冷凍優先運転モードを優先して選択する一方、空調側での暖房能力が不足する所定の場合には、第3四路切換弁3CをONにして、空調優先運転モードを選択することができるようになっている。
【0139】
図13を参照して、第4ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS171、S172を実行する。ステップS171、S172は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0140】
次に、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS173)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS173において、YESの場合)、運転状態は、空調、冷蔵・冷凍ともに比較的高負荷になっている。そこで、制御部81は、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小に低減し、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、第3四路切換弁3CをOFFにする(ステップS174)。ステップS174を実行した時点で、運転モードは、表2に示した全ての圧縮機を稼動する全稼動運転モードのうち、冷蔵・冷凍優先運転モードに切り替わる。
【0141】
ステップS174を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0142】
次に、ステップS173において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS175)。
【0143】
仮にステップS175において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が不足している一方、空調の暖房能力は、過剰になっていることになる。ここで、制御部81は、ステップS171で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最大周波数に達しているか否かを判定し(ステップS176)、仮に最大周波数に達している場合には、冷蔵・冷凍側の能力不足を補うため、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、第3四路切換弁3CをOFFにする(ステップS177)。
【0144】
ステップS177を実行した場合、または、ステップS176において、NOの場合、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止する(ステップS178)。従って、ステップS178を実行した時点で、運転モードは、NON1併用運転モードに切り替わる。圧縮機構の運転モードがNON2運転モードであった場合、空調側は、比較的高負荷状態にあるので、暖房能力を下げることにより、急激に室温が低くなる恐れもある。そこで、NON2運転モードで運転している第4ケースの場合に暖房能力が過剰になった場合には、暖房能力を急激に低減する第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換えるのではなく、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードのまま、圧縮機構の運転モードをNON1併用運転モードに切り換えて、段階的に暖房能力を低減することとしているのである。
【0145】
ステップS178を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0146】
次に、ステップS175において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS179)。
【0147】
仮にステップS179において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力は、不足していることになる。そこで、制御部81は、ステップS171で設定したインバータ圧縮機2Aの周波数が最小周波数に達しているか否かを判定する(ステップS180)。仮に最小周波数に達している場合には、制御部81は、インバータ圧縮機2Aの周波数をそのままに維持し(ステップS181)、それ以外の周波数であっても、その周波数をそのままに維持する。ステップS181を実行した場合、または、ステップS180においてNOの場合、制御部81は、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、さらに、第3四路切換弁3CをONにする(ステップS182)。この設定により、運転モードは、表2で示した空調優先運転モードに切り替わる。第4ケースの場合のように、既に第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動しているにも拘わらず、依然、暖房能力が不足するような運転状態では、真冬で気温が低く、室内がなかなか暖まらない状況にあると考えられる。そこで、本実施形態では、NON2併用運転モードにおいて、冷蔵・冷凍能力が充足している一方、空調の暖房能力が不足している場合には、直ちに圧縮機構の運転モードを全稼動運転モードの空調優先運転モードに切り換えて、空調の高い要求負荷に速やかに応答することとしているのである。
【0148】
ステップS182を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0149】
次に、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS179において、NOであった場合、その運転状態は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。
【0150】
その場合、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止し、インバータ圧縮機2Aの周波数を最大に設定する(ステップS183)。第4ケースの場合のように、NON2併用運転モードで要求負荷が下がった場合には、暖房能力を下げることによって、再び、能力不足が生じやすくなることが想定されるので、運転モードは、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに維持して、高負荷の要求に備える一方、圧縮機構の運転モードをINV単独運転モードに切り換えることによって、COPの向上を図ることとしているのである。
【0151】
ステップS183を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
[第5ケース]
次に、第5ケースについて、図14を参照しながら説明する。第5ケースは、全稼動運転モードのうち、第3四路切換弁3CがOFF(図1の状態)になっている冷蔵・冷凍優先運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例である。第5ケースでは、全ての運転領域において、第3四路切換弁3CをOFFのままに維持する態様をとっている。
【0152】
図14を参照して、第5ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS191、S192を実行する。ステップS191、S192は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0153】
次に、制御部81は、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS193)、所定時間経過後は、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に設定する(ステップS194)。
【0154】
ステップS194を実行した場合、またはステップS193でNOの場合、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS195)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS195において、YESの場合)、制御部81は、そのままメインルーチンに復帰する。
【0155】
次に、ステップS195において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS196)。
【0156】
仮にステップS196において、YESの場合、冷蔵・冷凍能力が不足している一方、空調の暖房能力は、過剰になっていることになる。但し、第5ケースの場合、空調、冷蔵・冷凍ともに比較的高負荷の運転領域にあることから、暖房能力が過剰になっていても、運転モードは、室外熱交換器4を使用する第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードのままに維持して能力不足に備える一方、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モード(冷蔵・冷凍優先運転モード)から稼働台数を減らして、COPの向上を図ることが好ましい。
【0157】
そこで、制御部81は、ステップS196において、YESの場合、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止し(ステップS197)、運転モードを冷蔵・冷凍優先運転モードからNON1併用運転モードに切り換えることとしている。
【0158】
ステップS197を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0159】
次に、ステップS196において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS198)。
【0160】
仮にステップS198において、YESの場合、制御部81は、メインルーチンに復帰する。
【0161】
次に、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS198において、NOであった場合、その運転状態は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。
【0162】
その場合、制御部81は、ステップS197と同様に、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止し(ステップS199)、運転モードを冷蔵・冷凍優先運転モードからNON1併用運転モードに切り換えることとしている。これにより、運転モードを第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに維持して能力不足に備える一方、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モード(冷蔵・冷凍優先運転モード)から稼働台数を減らして、COPの向上を図ることが可能になっている。
【0163】
ステップS199を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
[第6ケース]
次に、第6ケースについて、図15を参照しながら説明する。第6ケースは、図14の場合と同様に、全稼動運転モードの冷蔵・冷凍優先運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例である。但し、第6ケースでは、空調側での暖房能力が不足する所定の場合には、第3四路切換弁3CをONにして、空調優先運転モードを選択することとしている。
【0164】
図15を参照して、第6ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS1011、S1012を実行する。ステップS1011、S1012は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0165】
次に、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS1013)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS1013において、YESの場合)、制御部81は、第3四路切換弁設定処理サブルーチンを実行する(ステップS1014)。この第3四路切換弁設定処理サブルーチンでは、判定部82が判定する空調サーモOFF信号の成立条件や、第1圧力センサ71の検出値、外気温度や室内吸込温度との差分等に基づいて、第3四路切換弁3CのON/OFFを制御するモジュールであるが、その詳細については、特許文献2と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0166】
ステップS1014を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0167】
次に、ステップS1013において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS1015)。
【0168】
仮にステップS1015において、YESの場合、制御部81は、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止し(ステップS1016)、運転モードを冷蔵・冷凍優先運転モードからNON1併用運転モードに切り換えることとしている。これにより、運転モードを第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに維持して能力不足に備える一方、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モード(冷蔵・冷凍優先運転モード)から稼働台数を減らして、COPの向上を図ることが可能になっている。
【0169】
ステップS1016を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0170】
次に、ステップS1015において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS1017)。
【0171】
仮にステップS1017において、YESの場合、制御部81は、第3四路切換弁3CをON(第2の状態)に切り換える(ステップS1018)。これにより、圧縮機構の運転モードは、空調優先運転モードに切り替わるので、第1ノンインバータ圧縮機2Bが第2ノンインバータ圧縮機2Cとともに、空調用の圧縮機構を構成する。これにより、厳寒な環境下においても、2台の圧縮機によって高い暖房能力を発揮することができる。
【0172】
ステップS1018を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0173】
次に、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS1017において、NOであった場合、その運転状態は、暖房、冷蔵・冷凍ともに充足している。
【0174】
その場合、制御部81は、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止する(ステップS1019)。3台の圧縮機が稼動している運転状況では、比較的暖房の要求負荷が高い運転状況にあるので、暖房能力が充足していても、運転モードは、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに維持して、能力不足に備える一方、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モード(冷蔵・冷凍優先運転モード)からNON2併用運転モードに切り換えることにより、COPの向上を図っているのである。
【0175】
ステップS1019を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
[第7ケース]
次に、第7ケースについて、図16を参照しながら説明する。第7ケースは、空調優先運転モードでLP1&HP圧縮機制御サブルーチンS10の実行が開始される例であり、所定の負荷運転領域では、第3四路切換弁3CをOFF(図1の状態)にし、運転モードを空調優先運転モードから冷蔵・冷凍優先運転モードに切り換えることとしている。
【0176】
図16を参照して、第7ケースにおいて、制御部81は、まず、ステップS1021、S1022を実行する。ステップS1021、S1022は、それぞれ、図9のステップS101、S102に対応している。
【0177】
次に、制御部81は、高圧圧力センサ75、ならびに第1圧力センサ71の出力に基づいて、運転状況を判定する(ステップS1023)。仮に、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力不足の場合(ステップS1023において、YESの場合)、制御部81は、第3四路切換弁設定処理サブルーチンを実行する(ステップS1024)。この第3四路切換弁設定処理サブルーチンは、第6ケースのステップS1014と同じである。ステップS1024を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0178】
次に、ステップS1023において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高く、しかも、暖房能力過剰の場合であるか否かを判定する(ステップS1025)。
【0179】
仮にステップS1025において、YESの場合、制御部81は、第3四路切換弁3CをOFF(図1に示す第1の状態)に切り換え(ステップS1026)、圧縮機構の運転モードを空調優先運転モードから冷蔵・冷凍優先運転モードに切り換える。すなわち、空調優先運転モードでスタートする第7ケースにおいては、暖房能力が過剰になったとしても、暖房能力を一気に下げるのではなく、空調用の圧縮機の出力を減らして段階的に暖房能力を下げることにより、室内が急激に冷えるのを抑制することとしているのである。
【0180】
ステップS1026を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0181】
次に、ステップS1025において、NOの場合、制御部81は、さらに、第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下であり、しかも、暖房能力不足の場合であるか否かを判定する(ステップS1027)。
【0182】
仮にステップS1027において、YESの場合、制御は、そのままメインルーチンに復帰する。
【0183】
次に、第1圧力センサ71、72の出力に基づいて判定された運転状態が、ステップS1027において、NOであった場合、制御部81は、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止し(ステップS1028)、第3四路切換弁3CをOFF(図1に示す第1の状態)に切り換える(ステップS1029)。これにより、圧縮機構の運転モードは、全稼動運転モードの空調優先運転モードからNON2併用運転モードに切り換えられる。第7ケースのように、空調優先運転モードで冷凍装置1が稼動している運転状況では、暖房の要求負荷が比較的高いので、圧縮機の台数を減らすことができる場合であっても、第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードを維持し、しかも、空調に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動するNON2併用運転モードに切り換えることによって、急激な室温の低下を抑制することとしているのである。
【0184】
ステップS1029を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0185】
上述した各ケースにおいて、具体的なフローは省略しているが、本実施形態では、運転モードが第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換えられた後、室内の気温が下がった場合等には、適宜、運転モードを第3暖房&冷蔵・冷凍運転モードに切り換えるように構成されている。また、第1、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードが採用されている場合には、必ずしも開閉弁による暖房能力の制御を図ることはできないが、これら第1、第2暖房&冷蔵・冷凍運転モードが採用されている場合であっても、まず、インバータ圧縮機2Aを稼動し、INV単独運転モードで暖房と冷蔵・冷凍の双方を図ることは可能である。これにより、比較的負荷の軽い運転領域では、インバータ圧縮機2Aによって、COPを高めることができる。さらに、NON1併用運転モードが採用されている場合においても、気候等の変化により、暖房の負荷が低減した場合には、適宜、INV単独運転モードに切り換えて、COPの向上を図るように構成されている。
【0186】
次に、図8のフローチャートにおけるHP圧縮機制御サブルーチン(ステップS20)について説明する。図8に示したように、判定部82が冷蔵・冷凍サーモOFF信号を出力し、空調サーモON信号を出力する運転状態である場合、制御部81は、HP圧縮機制御サブルーチン(ステップS20)に先立って、運転モードを図3に示す暖房運転モードに切り換え、開閉弁EV6を全開(Θ=100%)にしているので(ステップS4)、インバータ圧縮機2Aの出力は、暖房用に好適に利用されることになる。
【0187】
図17を参照して、HP圧縮機制御サブルーチンS20が実行される運転状態において、本実施形態においては、まず、INV単独運転モードで運転が開始され、高圧圧力センサ75の検出値に基づいて、インバータ圧縮機2Aの周波数が設定される(ステップS201)。この設定では、制御部81は、高圧圧力センサ75の出力値に基づいて、その圧力に相当する飽和温度Tcを算出し、当該飽和温度Tcが45℃になるように、インバータ圧縮機2Aの周波数を設定する。すなわち、演算された飽和温度Tcが目標値としての45℃以下の場合には、周波数を所定のステップで増加させる一方、検出値に基づく飽和温度Tcが目標値としての45℃よりも高い場合には、冷媒循環量が減少するように周波数を予め設定されている最小値に至るまで、所定のステップで低減させるようになっている。
【0188】
次いで制御部81は、インバータ圧縮機2Aが最大周波数に達しており、且つ、暖房能力不足のか否かを判定する(ステップS202)。仮にこの判定でYESの場合、INV単独運転モードでは、暖房能力が不足しているので、制御部81は、まず、第2ノンインバータ圧縮機2Cが停止しているか否かを判定し(ステップS203)、停止している場合には、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減して、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動する(ステップS204)。
【0189】
すなわち、本実施形態のHP圧縮機制御サブルーチン(ステップS20)において、圧縮機の稼動順序は、インバータ圧縮機2Aが最初であり、次いで、第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動され、最後に第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動される。このような稼動順序に設定することにより、COPを低下させることなく、第1ノンインバータ圧縮機2Bを冷蔵・冷凍能力不足時の補助に備えておくことが可能となる。
【0190】
ステップS204を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0191】
他方、ステップS203で、NOの場合、すなわち、暖房の能力不足が生じている運転状態で既に第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動していた場合、さらに能力向上を図るため、制御部81は、第1ノンインバータ圧縮機2Bが停止しているか否かを判定する(ステップS205)。仮に第1ノンインバータ圧縮機2Bが停止していた場合、制御部81は、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減する(ステップS206)。次いで、制御部81は、第3四路切換弁3CをONにし(ステップS207)、第1ノンインバータ圧縮機2Bの出力を暖房用に切り換える。これにより、圧縮機構の運転モードを全稼動運転モードの空調優先運転モードに切り換え、最大出力を室内の暖房を図ることが可能になる。ステップS207を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0192】
次に、ステップS202において、NOであった場合、制御部81は、インバータ圧縮機2Aが最小周波数になっており、且つ高圧圧力センサ75の出力が8.5KPa以下になっているか否かを判定する(ステップS208)。仮にこのステップS208でYESの場合、当該運転状態では、能力過剰になっている可能性があるので、定容量圧縮機が稼動している場合には、段階的に停止させることが好ましい。そこで、本実施形態では、まず、第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動しているか否かを判定し(ステップS209)、稼動している場合には、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止するとともに、インバータ圧縮機2Aの周波数を最大周波数に変更する(ステップS210)。また、第3四路切換弁3CをOFFにし(ステップS211)、冷蔵・冷凍が必要になった場合に備えることとしている。これにより、定容量圧縮機の稼動台数を減らして、COPを向上することが可能になる。
【0193】
ステップS211を実行した後、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0194】
次に、ステップS209において、NOであった場合、制御部81は、さらに、第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動しているか否かを判定する(ステップS212)。仮に第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動している場合には、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止する(ステップS212)とともに、インバータ圧縮機2Aの周波数を最大周波数に変更する(ステップS213)。これにより、定容量圧縮機の稼動台数を減らして、運転モードをINV単独運転モードに切り換えることにより、COPを向上することが可能になる。
【0195】
次に、図8のフローチャートにおけるLP1圧縮機制御サブルーチン(ステップS30)について説明する。図8に示したように、判定部82が冷蔵・冷凍サーモON信号を出力し、空調サーモOFF信号を出力する運転状態である場合、制御部81は、LP1圧縮機制御サブルーチン(ステップS30)に先立って、運転モードを図2に示す冷蔵・冷凍運転モードに切り換え、開閉弁EV6を全閉(Θ=0%)にしているので(ステップS6)、インバータ圧縮機2Aの出力は、冷蔵・冷凍用に特化されることになる。
【0196】
図18を参照して、LP1圧縮機制御サブルーチンS30が実行される運転状態において、本実施形態においては、まず、INV単独運転モードで運転が開始され、第1圧力センサ71の検出値に基づいて、インバータ圧縮機2Aの周波数が設定される。この設定では、基準となる目標値が4.8KPaに設定され、第1圧力センサ71の検出値がこの目標値よりも大きい場合には、周波数を予め設定されている最大値に至るまで、所定のステップで増加させる一方、検出値が目標値よりも小さい場合には、周波数を予め設定されている最小値に至るまで、所定のステップで低減させるようになっている。
【0197】
次いで制御部81は、インバータ圧縮機2Aが最大周波数に達しており、且つ、第1圧力センサ71の出力が4.8KPaよりも高いか否かを判定する(ステップS302)。仮にこの判定でYESの場合、INV単独運転モードでは、冷蔵・冷凍能力が不足しているので、制御部81は、まず、第1ノンインバータ圧縮機2Bが停止しているか否かを判定し(ステップS303)、停止している場合には、インバータ圧縮機2Aの周波数を最小周波数に低減して、第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動する(ステップS304)。
【0198】
本実施形態においては、第2ノンインバータ圧縮機2Cは、空調用に特化されており、LP1圧縮機制御サブルーチンS30では稼動することはない。従って、能力不足の場合には、専ら第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動することになる。また、LP1圧縮機制御サブルーチンS30では、基本的に第3四路切換弁は、OFFであるが、仮にLP1圧縮機制御サブルーチンS30に遷移したときの直前の運転モードにおいて、第3四路切換弁3CがONになっていた場合には、ステップS305において、第3四路切換弁3CをOFFにする。
【0199】
ステップS305を実行した後、または、ステップS303において、第1ノンインバータ圧縮機2Bが既に稼動していた場合、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0200】
次に、ステップS302において、NOであった場合、制御部81は、インバータ圧縮機2Aが最小周波数になっており、且つ第1圧力センサ71の出力が4.8KPa以下になっているか否かを判定する(ステップS306)。仮にこのステップS306でYESの場合、当該運転状態では、能力過剰になっている可能性があるので、第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動している場合には、停止させることが好ましい。そこで、本実施形態では、第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動しているか否かを判定し(ステップS307)、稼動している場合には、第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止するとともに、インバータ圧縮機2Aの周波数を最大周波数に変更する(ステップS308)。これにより、定容量圧縮機の稼動台数を減らして、COPを向上することが可能になる。
【0201】
ステップS308を実行した場合、または、ステップS306、或いはステップS307において、NOであった場合、制御は、メインルーチンに復帰する。
【0202】
以上説明したように、本実施形態によれば、空調用の第1利用側熱交換器、および冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器に接続されて使用される冷媒回路と、冷媒回路内に並列に接続される、少なくとも2台の圧縮機手段(インバータ圧縮機2Aおよび第2ノンインバータ圧縮機2C)とを備え、圧縮機手段のうち、一台をインバータ制御可能なインバータ圧縮機2Aで構成するとともに、他の一台を第2ノンインバータ圧縮機2Cで構成し、第2ノンインバータ圧縮機2Cを空調用の圧縮機構に特化した冷凍装置1の熱源ユニット1Aであって、2台の圧縮機手段(インバータ圧縮機2Aおよび第2ノンインバータ圧縮機2C)の吸込側を連通する連通管としてのバイパス管6f、6gと、バイパス管6f、6gを所定の開度Θで開閉可能な開閉弁EV6と、室内温度に基づいて、暖房運転の要否を示すサーモ信号を出力する空調サーモ信号出力部としての判定部82と、暖房運転時に空調用の圧縮機構に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段としての高圧圧力センサ75と、開閉弁EV6の開閉制御と圧縮機手段の運転とを制御する制御手段としての制御部81とを備え、制御部81は、空調サーモ信号がONの場合にバイパス管6f、6gを開放するとともに少なくともインバータ圧縮機2Aを稼動させ、且つ高圧圧力センサ75の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定するとともに、判定した要求負荷に基づいて圧縮機手段の組み合わせと出力とを設定するように構成されている。
【0203】
このため本実施形態では、圧縮機構の稼動時において、暖房が必要な時に、バイパス管6f、6gが開放され、インバータ圧縮機2Aが稼動するので、比較的運転負荷が低い領域では、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動する前に、一台のインバータ圧縮機2Aを空調(暖房)用と冷蔵・冷凍用に併用し、負荷を賄うことができる。そのため、第2ノンインバータ圧縮機2Cを空調用に特化した構成であっても、部分負荷側の運転領域での消費電力を大幅に低減し、格段にCOPを向上することができる。しかも、部分負荷側の運転領域では、一台のインバータ圧縮機2Aを暖房用と冷蔵・冷凍用に併用することができるので、消費電力を必要充分に最適化することができる。このため、一台のインバータ圧縮機2Aで圧縮機構を構成した場合であっても、極めてCOPの高い運転状態で、暖房機能を奏することができる。
【0204】
さらに、空調サーモ信号がOFFであるときには、開閉弁EV6を閉じることにより、従来の冷凍装置と同様に、インバータ圧縮機2Aを冷蔵・冷凍用に特化させることができるので、簡素なハード構成ならびにソフト構成で、高いCOPで冷蔵・冷凍機能を効率よく実行することができる。
【0205】
加えて、暖房運転時に空調用の圧縮機構に圧縮されて第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する高圧圧力センサ75を設け、制御部81が、この高圧圧力センサ75の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定しているので、暖房運転が種々の態様で実行されていても、制御部81は、空調側の温度状態を直截に反映した圧縮冷媒の状態に基づいて要求負荷を判定することができる結果、判定された要求負荷は、応答性が高く精緻なものとなる。かかる要求負荷に基づいて圧縮機構を制御するので、制御部81は、圧縮機手段を適切に組み合わせることができるとともに、第2ノンインバータ圧縮機2CのON/OFF動作や、インバータ圧縮機2Aの出力(周波数)を最適化することが可能になる。
【0206】
また本実施形態では、庫内の温度に基づいて、冷蔵・冷凍運転の要否を示す冷蔵・冷凍サーモ信号を出力する冷蔵・冷凍サーモ信号出力部としての判定部82と、冷媒回路における冷蔵・冷凍用系統の要求負荷を代表する状態値を検出する冷蔵・冷凍要求負荷検出手段としての圧力センサ71とをさらに備え、制御部81は、空調サーモ信号がONであり、且つ冷蔵・冷凍サーモ信号がONのときに、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定されたしきい値以下の運転領域では、インバータ圧縮機2Aのみを稼動させるものである。このため本実施形態では、一台のインバータ圧縮機2Aで賄うことのできる部分負荷運転領域では、一台の圧縮機手段のみで冷蔵・冷凍と暖房が可能になるので、COPを飛躍的に高めることができる。また、要求負荷が低い運転領域では、インバータ圧縮機2Aを優先的に稼動させて消費電力を必要充分に最適化することができるという利点がある。
【0207】
また本実施形態では、冷媒回路は、制御部81の制御に基づいて開閉することにより、所定の運転モードにおいて、利用側の熱交換器から還流した凝縮冷媒を膨張させる室外膨張弁26と、所定の運転モードにおいて、室外膨張弁26からの膨張冷媒を蒸発させて圧縮機手段の吸込側に流す室外熱交換器4とをさらに備えている。このため本実施形態では、暖房の要求負荷が高い運転領域において、利用側の熱交換器だけでは賄いきれない出力を室外熱交換器4によって補うことが可能になる。
【0208】
また本実施形態では、開閉弁EV6は、流量を調整可能な機能を有し、制御部81は、所定の運転モードにおいて、状態値に基づいて暖房能力の過不足を判定するとともに、判定した暖房能力に基づいて、開閉弁EV6の開度Θを調整するものである。このため本実施形態では、暖房用に断熱圧縮された冷媒の状態値に基づいて、暖房能力の過不足を判定しているので、当該暖房能力を高い応答性で精緻に判定することができるとともに、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として冷媒を圧縮機構の吸込側に循環させている場合において開閉弁EV6を制御して冷媒循環量を調整することにより、高い応答性で、適切な暖房能力の調整を図ることができる。従って、消費電力を低減し、COPを向上することが可能となる。
【0209】
また本実施形態では、冷媒回路は、制御部81の制御に基づいて、冷媒の循環経路を切り換える切換機構(第1、第2四路切換弁3A、3B、室外膨張弁26等)を備えており、切換機構は、室外熱交換器4をバイパスするように冷媒を冷媒回路に循環させる熱回収循環経路(図4に示した循環経路)、室外熱交換器4を排熱用の凝縮器として機能するように冷媒を冷媒回路に循環させる排熱循環経路(図5に示した循環経路)、ならびに室外熱交換器4を暖房促進用の蒸発器として機能するように冷媒を冷媒回路に循環させる第2熱交換器循環経路(図6に示した循環経路)の間で冷媒の循環経路を択一的に切り換えるものである。このため本実施形態では、空調が必要な場合に、要求負荷に応じて適切な運転モードを選択し、COPの最適化を図ることができる。
【0210】
また本実施形態では、制御部81は、所定の部分負荷運転領域において、暖房能力が過剰であるときは、開閉弁EV6を全閉にして当該冷媒が排熱循環経路(図5に示した循環経路)を循環するように切換機構を制御するものである。このため本実施形態では、能力過剰になった空調の温度調整を迅速に実現することができる。通常、空調用の第1利用側熱交換器と冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器とを備えた冷凍装置においては、蒸発器として機能する第2利用側熱交換器で蒸発した冷媒が吸収した熱を回収し、暖房時に凝縮器として機能する第1利用側熱交換器に熱を循環させて暖房用に利用する熱回収運転が広く行われている。しかし、寒さの厳しい冬季での暖房運転の際には、第2利用側熱交換器に対する要求負荷がそれほど高くないため、回収される熱も比較的低い熱量になっている。そのため、熱回収運転を実行している運転モードから、第2熱交換器循環経路を利用する運転モードに切り換え、圧縮機手段の稼動台数を増やして室外熱交換器4を蒸発器として利用することが少なからずある。その場合、室内の温度が急速に上昇し、暖房能力が過剰となることが多い。この点、本実施形態では、暖房用に断熱圧縮された冷媒の状態値を制御パラメータとしている。この冷媒の状態値は、空調側の温度状態を直截に反映しているので、制御部81は、極めて高い応答性をもって暖房能力の過不足を制御することができる。しかも、所定の部分負荷運転領域で暖房能力が過剰であるときは、運転モードが図5に示した排熱循環経路を利用する運転モードに切り替わるので、室外熱交換器4から余剰熱を室外に排出することができ、室内の温度を迅速に調整することができる。従って、従来の装置では達成し得なかった高い応答性で、好適な空調機能を奏することが可能となる。
【0211】
また本実施形態では、圧縮機手段と並列に媒体回路に接続され、制御部81によって、空調用と冷蔵・冷凍用の何れかの圧縮機構を構成する補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bをさらに備えている。このため本実施形態では、一台のインバータ圧縮機2Aのみでは賄い切れない運転領域において、従来は、3台の圧縮機手段を使用していた運転領域においても、第2ノンインバータ圧縮機2Cと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bの何れか一方のみをインバータ圧縮機2Aと組み合わせて、2台で要求負荷を賄うことが可能になる。このため、所定の中負荷運転領域において、稼動する圧縮機構の台数を低減し、COPを大幅に向上することが可能になる。
【0212】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aが単独で稼働している時に、冷蔵・冷凍用の要求負荷がしきい値よりも高く、且つ暖房用の要求負荷がしきい値よりも高い場合には、インバータ圧縮機2Aに加えて補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bだけを暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動し、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止するものである。このため本実施形態では、空調と、冷蔵・冷凍との双方で出力が不足している場合には、まず、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動することにより、段階的に暖房能力を上げて、暖房能力のオーバーシュートを避けるようにしている。
【0213】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bとが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、第2ノンインバータ圧縮機2Cが停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷がしきい値以下であり、且つ暖房用の要求負荷がしきい値よりも高いときは、インバータ圧縮機2Aとともに第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動するとともに、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止するものである。このため本実施形態では、必要な出力を確保しつつ、圧縮機の稼働台数の増加を抑制し、COPを向上することができる。すなわち、インバータ圧縮機2Aと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bが稼動している場合には、これらインバータ圧縮機2Aと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bとは、何れも暖房用と冷蔵・冷凍用に併用されている。そのような運転状況で暖房能力が不足している場合には、まず、空調用に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動することにより、充分な暖房能力を確保することができる一方、開閉弁EV6の制御や、インバータ圧縮機2Aの容量制御により、冷蔵・冷凍能力を維持することが可能になるので、必ずしも補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動する必要がない。そのため、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを停止しても、出力が激減することはないので、同じ稼動負荷で暖房用と冷蔵・冷凍用の出力を最適化することができるという利点がある。しかも、圧縮機の稼動台数を同数に維持したまま、暖房能力を向上させることができるので、暖房能力が急激に過剰になる恐れもなくなり、いわゆるオーバーシュートを防止することができる。加えて、空調用に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動することにより、インバータ圧縮機2Aの出力も低減することができるので、COPの向上にも寄与することができる。
【0214】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bとが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、第2ノンインバータ圧縮機2Cが停止している場合に、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定されたしきい値よりも高いときは、第2ノンインバータ圧縮機2Cを稼動するとともに、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを冷蔵・冷凍用の圧縮機構として稼動するものである。このため本実施形態では、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bが優先的に冷蔵・冷凍用の圧縮機構を応援することになるので、冷蔵・冷凍の対象となる冷蔵庫または冷凍庫の商品を優先的に適温に保持することができる。
【0215】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼動し、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bが停止している場合に、暖房能力が過剰であるときは、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止するとともに、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動するものである。このため本実施形態では、比較的暖房に対する要求負荷が高い運転領域において、暖房能力が過剰になった場合には、緩慢に暖房能力を低減し、室温の下げ過ぎを防止することとしている。すなわち、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼動している場合、空調側は、比較的高負荷状態にあるので、暖房能力を下げることにより、急激に室温が低くなる恐れもある。そこで、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼動している場合に暖房能力が過剰になった場合には、インバータ圧縮機2Aと補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bとを稼動させる運転モードに切り換えて、段階的に暖房能力を低減することとしているのである。
【0216】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼動し、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bが停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷と、暖房用の要求負荷とが、何れもしきい値以下のときは、運転モードを第2熱交換器循環経路(図6に示した循環経路)に維持した状態で、第2ノンインバータ圧縮機2Cを停止し、インバータ圧縮機2Aのみを稼動する。このため本実施形態では、高負荷での運転状況下において、暖房の要求負荷の上昇に備えつつ、COPの向上を図ることができる。すなわち、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼動している運転状況では、暖房能力を下げることによって、再び、能力不足が生じやすくなることが想定されるので、第2熱交換器循環経路を維持して、高負荷の要求に備える一方、圧縮機構の運転モードをINV単独運転モードに切り換えることによって、COPの向上を図ることとしているのである。
【0217】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ空調サーモ信号および冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼働している場合に、暖房用の要求負荷がしきい値よりも高いときは、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを空調用の圧縮機構として稼動するものである。このため本実施形態では、空調の高い要求負荷に速やかに応答することが可能となる。既に第2ノンインバータ圧縮機2Cが稼動しているにも拘わらず、依然、暖房能力が不足するような運転状態では、真冬で気温が低く、室内がなかなか暖まらない状況にあると考えられる。そこで、本実施形態では、インバータ圧縮機2Aと第2ノンインバータ圧縮機2Cとが稼働している場合に、暖房用の要求負荷がしきい値よりも高いときは、補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを空調用の圧縮機構として稼動することにより、空調の高い要求負荷に速やかに応答することとしているのである。
【0218】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ空調サーモ信号がONになっている場合においては、開閉弁EV6を全開にし、インバータ圧縮機2Aを空調用の圧縮機構として稼動するものである。このため本実施形態では、暖房のみが要請される運転状態においても、インバータ圧縮機2Aを優先的に稼動し、COPを向上することが可能になる。
【0219】
また本実施形態では、制御部81は、室外熱交換器4が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ空調サーモ信号がONになっている場合において、インバータ圧縮機2Aが最大負荷の時に暖房用の要求負荷が所定のしきい値よりも高いときは、第2ノンインバータ圧縮機2Cを補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bよりも優先して空調用の圧縮機構として稼動するものである。このため本実施形態では、暖房のみが要請されている運転状態において、二台の第2ノンインバータ圧縮機2Cの内、一台を稼動すべき運転状況のときには、空調用に特化された第2ノンインバータ圧縮機2Cを優先的に稼動することにより、冷蔵・冷凍運転の能力不足が生じた場合に、直ちに補助用の第1ノンインバータ圧縮機2Bを稼動し、冷蔵・冷凍運転に備えることが可能になる。
【0220】
以上説明したように、本実施形態によれば、一台のインバータ圧縮機2Aを広範な運転領域で活用して、最適な消費電力特性を得ることができるとともに、第2ノンインバータ圧縮機2Cの稼動を要する運転領域を高負荷側に縮減することができるので、インバータ圧縮機2Aの台数を必要充分な数に抑制しつつ、飛躍的にCOPを向上させることができるという顕著な効果を奏する。
【0221】
上述した実施形態は、本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0222】
例えば、第1、第2ノンインバータ圧縮機2B、2Cを1台の圧縮機で構成してもよいし、インバータ圧縮機2Aを複数の圧縮機で構成してもよい。
【0223】
また、第3四路切換弁3Cの代わりに複数の電磁弁などを組み合わせる構成にしてもよい。
【0224】
また、実施形態では空調と冷蔵と冷凍とを行う冷凍装置について説明したが、空調と冷蔵を行うシステムにするなど、装置の全体構成を適宜変更してもよい。
【0225】
このように、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0226】
1 冷凍装置
1A 熱源ユニット
2A インバータ圧縮機(可変容量圧縮機の一例)
2B 第1ノンインバータ圧縮機(補助用の定容量圧縮機の一例)
2C 第2ノンインバータ圧縮機(定容量圧縮機の一例)
6f バイパス管(連通路の一例)
6g バイパス管(連通路の一例)
80 コントローラ(制御手段の一例)
EV6 開閉弁
71 第1圧力センサ(冷蔵・冷凍要求負荷検出手段の一例)
72 第2圧力センサ(暖房要求負荷検出手段の一例)
Θ 開度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用の第1利用側熱交換器、および冷蔵・冷凍用の第2利用側熱交換器に接続されて使用される冷媒回路と、前記冷媒回路内に並列に接続される、少なくとも2台の圧縮機手段(2A, 2C)とを備え、前記圧縮機手段(2A, 2C)のうち、一台をインバータ制御可能な可変容量圧縮機(2A)で構成するとともに、他の一台を定容量圧縮機(2C)で構成し、前記定容量圧縮機(2C)を空調用の圧縮機構に特化した冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)であって、
前記2台の圧縮機手段(2A, 2C)の吸込側を連通する連通管(6f, 6g)と、
前記連通管(6f, 6g)を所定の開度(Θ)で開閉可能な開閉弁(EV6)と、
室内温度に基づいて、暖房運転の要否を示すサーモ信号を出力する空調サーモ信号出力部(82)と、
暖房運転時に空調用の圧縮機構に圧縮されて前記第1利用側熱交換器に向かって循環する冷媒の状態値を検出する暖房要求負荷検出手段(75)と、
前記開閉弁(EV6)の開閉制御と前記圧縮機手段(2A, 2C)の運転とを制御する制御手段(81)と
を備え、
前記制御手段(81)は、前記空調サーモ信号がONの場合に前記連通管(6f, 6g)を開放するとともに少なくとも前記可変容量圧縮機(2A)を稼動させ、且つ前記暖房要求負荷検出手段(75)の検出した状態値に基づいて暖房用の要求負荷を判定するとともに、判定した要求負荷に基づいて前記圧縮機手段(2A, 2C)の組み合わせと出力とを設定するように構成されている
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項2】
請求項1記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
庫内の温度に基づいて、冷蔵・冷凍運転の要否を示す冷蔵・冷凍サーモ信号を出力する冷蔵・冷凍サーモ信号出力部(82)と、
前記冷媒回路における冷蔵・冷凍用系統の要求負荷を代表する状態値を検出する冷蔵・冷凍要求負荷検出手段(71)と
をさらに備え、
前記制御手段(81)は、前記空調サーモ信号がONであり、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がONのときに、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定されたしきい値以下の運転領域では、前記可変容量圧縮機(2A)のみを稼動させるものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項3】
請求項2記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記冷媒回路は、
前記制御手段(81)の制御に基づいて開閉することにより、所定の運転モードにおいて、利用側の熱交換器から還流した凝縮冷媒を膨張させる室外膨張弁(26)と、
前記所定の運転モードにおいて、前記室外膨張弁(26)からの膨張冷媒を蒸発させて前記圧縮機手段(2A, 2C)の吸込側に流す室外熱交換器(4)と
をさらに備えている
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項4】
請求項3記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記開閉弁(EV6)は、流量を調整可能な機能を有し、
前記制御手段(81)は、前記所定の運転モードにおいて、前記状態値に基づいて暖房能力の過不足を判定するとともに、判定した暖房能力に基づいて、前記開閉弁(EV6)の開度(Θ)を調整するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項5】
請求項3または4記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記冷媒回路は、前記制御手段(81)の制御に基づいて、冷媒の循環経路を切り換える切換機構(3A, 3B)を備えており、
前記切換機構(3A, 3B)は、前記室外熱交換器(4)をバイパスするように冷媒を前記冷媒回路に循環させる熱回収循環経路、前記室外熱交換器(4)を排熱用の凝縮器として機能するように冷媒を前記冷媒回路に循環させる排熱循環経路、ならびに前記室外熱交換器(4)を暖房促進用の蒸発器として機能するように冷媒を前記冷媒回路に循環させる熱交換器循環経路の間で冷媒の循環経路を択一的に切り換えるものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項6】
請求項5記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、所定の部分負荷運転領域において、前記暖房能力が過剰であるときは、前記開閉弁(EV6)を全閉にして当該冷媒が前記排熱循環経路を循環するように前記切換機構(3A, 3B)を制御するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項7】
請求項3から6の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記圧縮機手段(2A, 2C)と並列に前記媒体回路に接続され、前記制御手段(81)によって、空調用と冷蔵・冷凍用の何れかの圧縮機構を構成する補助用の定容量圧縮機(2B)をさらに備えている
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項8】
請求項7記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)が単独で稼働している時に、冷蔵・冷凍用の要求負荷が前記しきい値よりも高く、且つ暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高い場合には、前記可変容量圧縮機(2A)に加えて前記補助用の定容量圧縮機(2B)だけを暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動し、前記定容量圧縮機(2C)を停止するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項9】
請求項7または8記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)と前記補助用の定容量圧縮機(2B)とが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、前記定容量圧縮機(2C)が停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷が前記しきい値以下であり、且つ暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高いときは、前記可変容量圧縮機(2A)とともに前記定容量圧縮機(2C)を稼動するとともに、前記補助用の定容量圧縮機(2B)を停止するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項10】
請求項7から9の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)と前記補助用の定容量圧縮機(2B)とが暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼働し、前記定容量圧縮機(2C)が停止している場合に、暖房用および冷蔵・冷凍用の要求負荷が何れもそれぞれに予め設定された前記しきい値よりも高いときは、前記定容量圧縮機(2C)を稼動するとともに、前記補助用の定容量圧縮機(2B)を冷蔵・冷凍用の圧縮機構として稼動するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項11】
請求項7から10の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)と前記定容量圧縮機(2C)とが稼動し、前記補助用の定容量圧縮機(2B)が停止している場合に、暖房能力が過剰であるときは、前記定容量圧縮機(2C)を停止するとともに、前記補助用の定容量圧縮機(2B)を暖房用と冷蔵・冷凍用とに併用される圧縮機構として稼動するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項12】
請求項7から11の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)と前記定容量圧縮機(2C)とが稼動し、前記補助用の定容量圧縮機(2B)が停止している場合に、冷蔵・冷凍用の要求負荷と、暖房用の要求負荷とが、何れも前記しきい値以下のときは、運転モードを前記熱交換器循環経路に維持した状態で、前記定容量圧縮機(2C)を停止し、前記可変容量圧縮機(2A)のみを稼動する
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項13】
請求項7から請求項12の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記空調サーモ信号および前記冷蔵・冷凍サーモ信号が何れもONの場合において、前記可変容量圧縮機(2A)と前記定容量圧縮機(2C)とが稼働している場合に、暖房用の要求負荷が前記しきい値よりも高いときは、前記補助用の定容量圧縮機(2B)を空調用の圧縮機構として稼動するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項14】
請求項7から13の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ前記空調サーモ信号がONになっている場合においては、前記開閉弁(EV6)を全開にし、前記可変容量圧縮機(2A)を空調用の圧縮機構として稼動するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。
【請求項15】
請求項7から14の何れか1項に記載の冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)において、
前記制御手段(81)は、前記室外熱交換器(4)が暖房促進用の蒸発器として機能しており、且つ前記冷蔵・冷凍サーモ信号がOFFであり、且つ前記空調サーモ信号がONになっている場合において、前記可変容量圧縮機(2A)が最大負荷の時に暖房用の要求負荷が前記所定のしきい値よりも高いときは、前記定容量圧縮機(2C)を前記補助用の定容量圧縮機(2B)よりも優先して空調用の圧縮機構として稼動するものである
ことを特徴とする冷凍装置(1)の熱源ユニット(1A)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−68360(P2013−68360A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207197(P2011−207197)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)