説明

冷凍装置

【課題】複数の利用ユニットを備える冷凍装置において、個々の利用ユニットの過熱度を適正化してシステムの効率を改善することである。
【解決手段】室内ユニット4a,4bは、室内液ガス熱交換器51が、室内熱交換器23で熱交換された後の冷媒と室内膨張弁41で減圧される前の冷媒との熱交換を冷房時に行う。室内ガス管温度センサ52が、室内熱交換器23から室内液ガス熱交換器51に供給されて室内液ガス熱交換器51で熱交換された後の冷媒の温度を検知する。室内制御装置47は、冷房時に、室内ガス管温度センサ52によって検知される温度に基づいて冷媒量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置、特に複数の利用ユニットを備える冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置には、例えば特許文献1(特開2011−47552号公報)に記載されているように、一つの熱源ユニットに対して多数の利用ユニットが接続される構成を持つものがある。このような冷凍装置は例えばビルディングで用いられ、ビルディングの屋上などに熱源ユニットが集中して設けられ、ビルディングの各部屋に利用ユニットが配置される。このような冷凍装置の各利用ユニットは、室内熱交換器を有している。
【0003】
ところで、室内熱交換器には、冷媒と室内空気とが向かい合わせに流れつつ熱交換が行われる対向流式の室内熱交換器や、冷媒と室内空気とが同じ向きに流れながら熱交換が行われる並流式の室内熱交換器など幾つかの方式がある。
【0004】
冷房と暖房のいずれにも用いられる室内熱交換器は、暖房時に対向流式で熱交換が行われるように接続されると、そのままの接続では、冷房時には並流式で熱交換を行わなければならなくなる。以下の説明では、このように暖房時に対向流式になって冷房時に並流式になる熱交換器を暖房対向の熱交換器という。逆に、冷房時に対向流式になって暖房時に並流式になる熱交換器を冷房対向の熱交換器という。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような暖房対向の熱交換器と冷房対向の熱交換器が一つの冷凍装置に混在すると、冷凍装置の熱源ユニットに液ガス熱交換器などを設けて装置全体として過熱度の適正化を図ろうとしても、一部の利用ユニットの過熱度を調整することが難しい。そのため、装置全体の効率の改善には、装置全体の過熱度の適正化ができないことに起因する限界がある。
【0006】
本発明の課題は、複数の利用ユニットを備える冷凍装置において、個々の利用ユニットの過熱度を適正化してシステムの効率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、熱源ユニットと複数の利用ユニットとを備え、熱源ユニットと複数の利用ユニットとの間で冷媒を循環させる冷凍装置であって、複数の利用ユニットのうちの少なくとも一つの特定利用ユニットは、熱源ユニットから供給される冷媒を冷房時に減圧する利用側減圧器と、利用側減圧器で減圧された後の冷媒の蒸発による熱交換を冷房時に行う利用側第1熱交換器と、利用側第1熱交換器で熱交換された後の冷媒と利用側減圧器で減圧される前の冷媒との熱交換を冷房時に行う利用側第2熱交換器と、冷房時に、利用側第1熱交換器から利用側第2熱交換器に供給されて利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒の温度に基づいて冷媒量を制御する制御部と、を有するものである。
【0008】
第1観点に係る冷凍装置では、複数の利用側第1熱交換器の一部に十分な過熱がつけ難い場合でも、その利用側第1熱交換器に流れる冷媒についての熱交換を行う利用側第2熱交換器によって適当な過熱をつけることができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る冷凍装置は、第1観点に係る冷凍装置において、利用側第1熱交換器は、利用側減圧器で減圧された後の冷媒の蒸発による熱交換を冷房時に行う場合に、冷媒と室内空気とが並流となるものである。
【0010】
第2観点に係る冷凍装置では、利用側第2熱交換器で過熱をつけることによって、冷凍サイクルにおける低圧を低下させずにすみ、冷房時に並流式になるために低下する冷房時の効率を改善することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る冷凍装置は、第1観点又は第2観点に係る冷凍装置において、制御部は、利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒に所定の過熱度をつけるため、利用側減圧器により冷媒量を制御するものである。
【0012】
第3観点に係る冷凍装置では、冷媒量の制御に利用側減圧器を用いるので、利用側第2熱交換器を取り付けたにもかかわらず、新たに付加する構成を少なくして利用側第2熱交換器の冷媒量を制御して所定の過熱度をつけられるため、コストの上昇を抑えることができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る冷凍装置は、第1観点から第3観点のうちのいずれかの冷凍装置において、利用側第2熱交換器は、冷房時に、利用側第1熱交換器から利用側第2熱交換器に供給されて利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒が出る熱源ユニット側出口を持ち、特定利用ユニットは、利用側第2熱交換器の熱源ユニット側出口に取り付けられ、利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒の温度を測定する温度センサをさらに有し、利用側第2熱交換器と温度センサはユニット化されているものである。
【0014】
第4観点に係る冷凍装置では、利用側第2熱交換器と温度センサがユニット化されているので、既に設置されている冷凍装置に対して利用側第2熱交換器と温度センサを後から配管の繋ぎ換え工事のみで取り付けられる。
【発明の効果】
【0015】
第1観点に係る冷凍装置では、利用側第1熱交換器に流れる冷媒についての熱交換を行う利用側第2熱交換器によってそれぞれの利用側第1熱交換器に適当な過熱をつけることができ、個々の利用ユニットの過熱度を適正化して冷凍装置全体の効率を改善することができる。
【0016】
第2観点に係る冷凍装置では、冷房時に冷媒と室内空気とが並流になる利用側第1熱交換器の効率が改善されるので、冷凍装置全体の効率の改善量が大きくなる。
【0017】
第3観点に係る冷凍装置では、コストの上昇を抑えて冷凍装置の効率の改善ができる。
【0018】
第4観点に係る冷凍装置では、ユニット化された利用側第2熱交換器と温度センサとを複数の利用側第1熱交換器のうちの一部への取り付けが簡単になり、冷凍装置の全体の効率の改善が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態に係る冷凍装置を含む空気調和装置の冷媒配管系統を示す図。
【図2】図1の空気調和装置の制御系統を示すブロック図。
【図3】室内ユニットの動作を説明するためのグラフ。
【図4】変形例に係る空気調和装置の制御系統を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置を含む空気調和装置の冷媒配管系統を示している。空気調和装置1は、冷媒配管方式の分散型の空気調和装置であって、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって建物内の各室の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、熱源ユニットとしての室外ユニット2と、利用ユニットとしての複数台(図1では、室内ユニット4a、室内ユニット4bおよび室内ユニット4cの3台)の室内ユニット4と、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する冷媒連絡管としての第1冷媒連絡管6および第2冷媒連絡管7とを備えている。
【0021】
空気調和装置1の冷凍装置10は、室外ユニット2と、室内ユニット4と、冷媒連絡管6、7とが接続されることによって構成されている。そして、冷凍装置10内には冷媒が封入されており、後述のように、冷媒が圧縮され、冷却され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。冷媒としては、例えば、R410A、R407C、R22、R134a、二酸化炭素、などから選択されたものが用いられる。冷凍装置10は、冷媒回路を構成する圧縮機21と切換機構22と室外熱交換器23とレシーバ24と室外第1膨張弁25と室外液ガス熱交換器27と室外第2膨張弁62とアキュムレータ29と室内液ガス熱交換器51と室内膨張弁41と室内熱交換器42とを備える。
【0022】
(2)空気調和装置の詳細構成
(2−1)室内ユニット
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、又は、室内の壁面に壁掛け等により設置される。室内ユニット4として、図1には室内ユニット4a,4b,4cの3台が示されている。室内ユニット4a,4bはほぼ同じ構成であるが、室内ユニット4cは、追加ユニット50を有していないところが室内ユニット4a,4bとは異なる。そこで、先ず室内ユニット4cの構成を説明して、その後に、室内ユニット4a,4bと室内ユニット4cとの相違点について説明する。
【0023】
(2−1−1)室内ユニット4c
室内ユニット4cは、冷凍装置10の一部を構成する室内側主冷媒回路10cを有している。室内側主冷媒回路10cは、主として、減圧器である室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42とを有している。
【0024】
室内膨張弁41は、冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁41は、その一端が第1冷媒連絡管6に接続され、その他端が室内熱交換器42に接続されている。
【0025】
室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器42は、その一端が室内膨張弁41に接続され、その他端が第2冷媒連絡管7に接続されている。
【0026】
室内ユニット4cは、ユニット内に室内空気を吸入して、再び室内に供給するための室内ファン43を備えており、室内空気と室内熱交換器42を流れる冷媒との間で熱交換をさせる。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、DCファンモータ等からなる室内ファン用モータ43aによって回転駆動される。室内ファン43では、室内熱交換器42に送風するために室内ファン用モータ43aにより例えば遠心ファンや多翼ファン等が駆動される。
【0027】
また、室内ユニット4cには、各種のセンサが設けられている。具体的には、サーミスタからなる室内液管温度センサ44や室内ガス管温度センサ45が設けられ、室内熱交換器42に近接する冷媒配管の温度から冷媒の温度を測定する。室内液管温度センサ44は、冷房運転時における蒸発温度に対応する冷媒温度を検出する。また、室内温度センサ46が設けられており、この室内温度センサ46は熱交換が行われる前の室内ユニット4に吸入される室内空気の温度を検出する。さらに、室内ユニット4cは、室内ユニット4cを構成する各部の動作を制御する室内制御装置47を有している。室内制御装置47は、室内ユニット4cの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4aを個別に操作するためのリモートコントローラ(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、後述する空調室外機2の室外制御装置30との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行ったりする。
【0028】
(2−1−2)室内ユニット4a,4b
室内ユニット4a,4bの2台のいずれの室内ユニット4も同じ構成であるため、ここでは、室内ユニット4aの構成のみを説明する。室内ユニット4aは、空調室内機40と追加ユニット50とからなり、冷凍装置10の一部を構成する室内側主冷媒回路10aを有している。つまり、室内ユニット4aが上述の室内ユニット4cと異なるのは、追加ユニット50が追加されている点である。そのため、以下の室内ユニット4aの説明では、上述の室内ユニット4cとの構成上の相違部分を中心に説明する。
【0029】
室内ユニット4cの室内熱交換器42は冷房対向の熱交換器であるのに対し、室内ユニット4a,4bの室内熱交換器42は暖房対向の熱交換器である。そのため、室内ユニット4a,4bの室内熱交換器42は、冷房時の効率が低下し易く、特に冷凍サイクルの低圧を上げるように制御したい場合に、過熱をつけるためのみに低圧を低下させて運転する必要が生じ、効率が低下する。このような理由による効率の低下を防止するために、追加ユニット50が追加されている。
【0030】
そのため、室内側主冷媒回路10aは、主として、減圧器である室内膨張弁41と、利用側熱交換器としての室内熱交換器42と、室内液ガス熱交換器51とを含んでいる。
【0031】
室内液ガス熱交換器51は、第1冷媒連絡管6に接続される液側冷媒管とその液側冷媒管に沿うガス側冷媒管とを接触させる二重管構造を持つ配管熱交換器であり、そのガス側冷媒管は第2冷媒連絡管7に接続される。室内液ガス熱交換器51は、その液側冷媒管の一端a1が第1冷媒連絡管6に接続され、その液側冷媒管の他端a2が室内膨張弁41の一端に接続され、そのガス側冷媒管の一端b2が室内熱交換器42の他端b1に接続され、そのガス側冷媒管の他端b3が第2冷媒連絡管7に接続されている。図示を省略するが、暖房時には、室内液ガス熱交換器51の液側冷媒管の一端a1と液側冷媒管の他端a2とがバイパスされ、室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管の一端b2とガス側冷媒管の他端b3とがバイパスされる。それにより、暖房時には、第1冷媒連絡管6と室内膨張弁41とが直接接続され、室内熱交換器42と第2冷媒連絡管7とが直接接続される。
【0032】
室内膨張弁41は、冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁41は、その一端が室内液ガス熱交換器51の液側冷媒管の他端a2に接続され、その他端が室内熱交換器42に接続されている。
【0033】
室内熱交換器42は、その一端a3が室内膨張弁41に接続され、その他端b1が室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管の一端b2に接続されている。
【0034】
また、室内ユニット4aには、室内ユニット4cと同じ室内液管温度センサ44や室内ガス管温度センサ45が設けられ、室内温度センサ46が設けられている。室内ユニット4aは、追加ユニット50を取り付けられたことにより室内ガス管温度センサ52をさらに備えることとなり、室内ユニット4aにおいては、室内ガス管温度センサ45の役割を室内ガス管温度センサ52が代替する。そのため、室内制御装置47には、室内ガス管温度センサ45の替わりに室内ガス管温度センサ52が接続される。
【0035】
(2−2)室外ユニット
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、第1冷媒連絡管6及び第2冷媒連絡管7を介して室内ユニット4a、4b,4cに接続されている。室外ユニット2は、冷凍装置10の一部を構成する室外側主冷媒回路10dと室外側主冷媒回路10dから分岐する過冷却用冷媒流路61とを有している。
【0036】
(2−2−1)室外側主冷媒回路
室外側主冷媒回路10dは、主として、圧縮機21と、切換機構22と、室外熱交換器23と、室外第1膨張弁25と、室外液ガス熱交換器27と、液側閉鎖弁28aと、ガス側閉鎖弁28bと、アキュムレータ29とを有している。この室外側主冷媒回路10dは、主として、圧縮機21と、切換機構22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、レシーバ24と、第2遮断機構又は熱源側膨張機構としての室外第1膨張弁25と、温度調節機構としての室外液ガス熱交換器27と、第1遮断機構としての液側閉鎖弁28aと、ガス側閉鎖弁28bとを有している。
【0037】
圧縮機21は、圧縮機用モータ21aによって駆動される密閉式圧縮機である。圧縮機用モータ21aが例えばインバータにより回転数が制御され、圧縮機21は、運転容量を可変することができるよう構成されている。
【0038】
切換機構22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器42を室外熱交換器23において冷却された冷媒の蒸発器として機能させる。このために、切換機構22は、圧縮機21の吐出側の冷媒配管と室外熱交換器23の一端とを接続するとともに、圧縮機吸入側配管29a(アキュムレータ29を含む)とガス側閉鎖弁28bとを接続する(図1の切換機構22の実線を参照)。また、切換機構22は、暖房運転時には、室内熱交換器42を圧縮機21によって圧縮される冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器42において冷却された冷媒の蒸発器として機能させる。このために、切換機構22は、圧縮機21の吐出側の冷媒配管とガス側閉鎖弁28bとを接続するとともに、圧縮機吸入側配管29aと室外熱交換器23の一端とを接続する(図1の切換機構22の破線を参照)。切換機構22は、例えば四路切換弁である。
【0039】
室外熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとから構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、その一端が切換機構22に接続されており、その他端が室外第1膨張弁25に接続されている。
【0040】
室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン26を有している。この室外ファン26は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、例えば、DCファンモータ等からなるモータ26aによって駆動されるプロペラファン等である。
【0041】
室外第1膨張弁25は、冷凍装置10において冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室外第1膨張弁25は、室外側主冷媒回路10d内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、冷房運転を行う際の冷凍装置10における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側であってレシーバ24の上流側に配置され、冷媒の通過を遮断することも可能である。室外第1膨張弁25は、その一端が室外熱交換器23に接続され、その他端が室外液ガス熱交換器27を介して液側閉鎖弁28aに接続され、室内熱交換器42の液側に接続されている。
【0042】
レシーバ24は、室外第1膨張弁25と液側閉鎖弁28aとの間に接続されており、冷房運転と暖房運転との冷媒循環量差や室内ユニット4の運転負荷の変動等に応じて冷凍装置10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
【0043】
室外液ガス熱交換器27は、レシーバ24と液側閉鎖弁28aとの間に接続されている。室外液ガス熱交換器27は、熱源側熱交換器において凝縮された冷媒が流れる冷媒管と後述の分岐管64とを接触させる二重管構造を持つ配管熱交換器である。室外液ガス熱交換器27は、冷凍装置10を室外熱交換器23から室内ユニット4に向かって流れる冷媒と、過冷却用冷媒流路61を室外第2膨張弁62から圧縮機吸入側配管29aへと流れる冷媒との間で熱交換を行わせる。この熱交換によって、室外液ガス熱交換器27は、冷房運転時に室外熱交換器23において凝縮された冷媒をさらに冷却し、室内ユニット4へと向かう冷媒の過冷却度を大きくする。
【0044】
アキュムレータ29は、切換機構22と圧縮機21との間の圧縮機吸入側配管29aに配置されている。
【0045】
(2−2−2)過冷却用冷媒流路
室外第2膨張弁62は、過冷却用冷媒流路61において冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。室外第2膨張弁62は、その一端が室外液ガス熱交換器27に接続され、その他端が過冷却用冷媒流路61に接続されている。この過冷却用冷媒流路61は、室外第2膨張弁62から室外液ガス熱交換器27を経て、切換機構22とアキュムレータ29との間の圧縮機吸入側配管29aへ向かう冷媒管で構成されている。
【0046】
室外液ガス熱交換器27には、冷却源としての分岐管64が設けられている。なお、冷凍装置10から過冷却用冷媒流路61を除いた部分が主冷媒回路である。過冷却用冷媒流路61は、室外液ガス熱交換器27とレシーバ24との間で分岐される冷媒を圧縮機21の吸入側に戻すように主冷媒回路に接続されている。過冷却用冷媒流路61で分岐された冷媒は、減圧された後に、室外液ガス熱交換器27に導入される。そして、過冷却用冷媒流路61で分岐された冷媒は、室外熱交換器23から第1冷媒連絡管6を通じて室内膨張弁41に送られる冷媒と熱交換させた後に、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0047】
さらに詳細に見ると、過冷却用冷媒流路61は、分岐管64と合流管65と室外第2膨張弁62を有している。分岐管64は、室外第1膨張弁25から室内膨張弁41に送られる冷媒の一部を室外熱交換器23と室外液ガス熱交換器27との間の位置から分岐するように接続されている。合流管65は、室外液ガス熱交換器27の過冷却用冷媒流路側の出口から圧縮機21の吸入側に戻すように圧縮機21の吸入側に接続されている。室外第2膨張弁62は、電動膨張弁からなり、過冷却用冷媒流路61を流れる冷媒の流量を調節するための連通管膨張機構として機能する。これにより、室外熱交換器23から室内膨張弁41に送られる冷媒は、室外液ガス熱交換器27において、室外第2膨張弁62によって減圧された後の過冷却用冷媒流路61を流れる冷媒によって冷却される。すなわち、室外液ガス熱交換器27は、室外第2膨張弁62の開度調節によって能力制御が行われることになる。
【0048】
また、過冷却用冷媒流路61は、後述のように、冷凍装置10のうち液側閉鎖弁28aと室外第1膨張弁25との間の部分と圧縮機21の吸入側の部分とを接続する連通管としても機能するようになっている。
【0049】
液側閉鎖弁28a及びガス側閉鎖弁28bは、外部の機器・配管(具体的には、第1冷媒連絡管6及び第2冷媒連絡管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁28aは、室外液ガス熱交換器27に接続され、ガス側閉鎖弁28bは、切換機構22に接続され、これらによって冷媒の通過を遮断することができる。
【0050】
(2−2−3)室外制御装置と各種センサ
室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外制御装置30を有している。そして、室外制御装置30は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ26aを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4a,4b,4cの室内制御装置47との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内制御装置47と室外制御装置30と室内制御装置47間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御装置8が構成されている。
【0051】
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。圧縮機21の吐出側の冷媒配管には、圧縮機吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機吐出温度を検出する吐出温度センサ32とが設けられている。圧縮機吸入側配管29aには、圧縮機21に吸入されるガス冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34と、圧縮機吸入圧力を検出する吸入圧力センサ33とが設けられている。室外液ガス熱交換器27の主冷媒回路側の出口には、冷媒の温度(すなわち、液管温度)を検出する液管温度センサ35が設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸込口側には、内部に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度)を検出する室外温度センサ36が設けられている。室外液ガス熱交換器27から、切換機構22とアキュムレータ29との間の低圧冷媒配管へ向かう、過冷却用冷媒流路61の合流管65には、室外液ガス熱交換器27の過冷却用冷媒流路側の出口を流れる冷媒の温度を検出するためのバイパス温度センサ63が設けられている。これら、吐出温度センサ32、吸入温度センサ34、液管温度センサ35、室外温度センサ36及びバイパス温度センサ63は、サーミスタからなる。
【0052】
(2−3)冷媒連絡管
冷媒連絡管6、7は、室外ユニット2および室内ユニット4を設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。第1冷媒連絡管6は、室外ユニット2及び室内ユニット4a,4b,4cに接続されており、冷房運転時には、室外液ガス熱交換器27において過冷却度が大きくなった液冷媒を室内膨張弁41および室内熱交換器42に送り、暖房運転時には、室内熱交換器42において凝縮した液冷媒を室外ユニット2の室外熱交換器23に送る冷媒管である。第2冷媒連絡管7は、室外ユニット2及び室内ユニット4a,4b,4cに接続されており、冷房運転時には、室内熱交換器42において蒸発したガス冷媒を室外ユニット2の圧縮機21に送り、暖房運転時には、圧縮機21において圧縮されたガス冷媒を室内ユニット4a,4b,4cの室内熱交換器42に送る冷媒管である。
【0053】
(2−4)制御装置
図2に、空気調和装置1の制御ブロック図を示す。空気調和装置1の各種運転制御を行う制御手段としての制御装置8は、図2に示すように伝送線8aを介して結ばれる室外制御装置30および室内制御装置47によって構成されている。制御装置8は、各種センサ31〜36,44〜46,52,63の検出信号を受け、これらの検出信号等に基づいて各種機器21,22,25、26,41,43,62を制御する。
【0054】
(3)空気調和装置の動作
次に、本実施形態に係る空気調和装置1の基本的な動作について説明する。なお、以下に説明する各種運転における制御は制御装置8によって行われる。
【0055】
(3−1)冷房運転
冷房運転時は、切換機構22が図1の実線で示される状態、すなわち、室内ユニット4cにおいては、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側閉鎖弁28b及び第2冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42のガス側に接続された状態となっている。室内ユニット4a,4bにあっては、さらに室内液ガス熱交換器51を介して圧縮機21の吸入側が室内熱交換器42のガス側に接続された状態となる。冷房運転時、室外第1膨張弁25は全開状態にされ、液側閉鎖弁28a及びガス側閉鎖弁28bは開状態にされている。室内ユニット4cの室内膨張弁41は、室内熱交換器42の出口(すなわち、室内熱交換器42のガス側)における冷媒の過熱度が過熱度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている。一方、室内ユニット4a,4bの各室内膨張弁41は、室内液ガス熱交換器51の出口(すなわち、第2冷媒連絡管7に接続されているガス側冷媒管の他端b3)における冷媒の過熱度が過熱度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている。室内ユニット4cの室内熱交換器42の出口における冷媒の過熱度は、室内ガス管温度センサ45により検出される冷媒温度値から室内液管温度センサ44により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出される。また、室内ユニット4a,4bの室内液ガス熱交換器51の出口における冷媒の過熱度は、室内ガス管温度センサ52により検出される冷媒温度値から室内液管温度センサ44により検出される冷媒温度値(蒸発温度に対応)を差し引くことによって検出される。
【0056】
また、室外第2膨張弁62は、室外液ガス熱交換器27の過冷却用冷媒流路側の出口における冷媒の過熱度が過熱度目標値になるように開度調節される(以下、過熱度制御という)。室外液ガス熱交換器27の過冷却用冷媒流路側の出口における冷媒の過熱度は、吸入圧力センサ33により検出される圧縮機21の吸入圧力が蒸発温度に対応する飽和温度値に換算され、バイパス温度センサ63により検出される冷媒温度値からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって検出される。
【0057】
この冷凍装置10の状態で、圧縮機21、室外ファン26及び室内ファン43を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、切換機構22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン26によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、この高圧の液冷媒は、室外第1膨張弁25を通過して、レシーバ24に一時的に溜められた後に、室外液ガス熱交換器27に流入し、過冷却用冷媒流路61を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却されて過冷却状態になる。このとき、室外熱交換器23において凝縮した高圧の液冷媒の一部は、過冷却用冷媒流路61に分岐され、室外第2膨張弁62によって減圧された後に、圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、室外第2膨張弁62を通過する冷媒は、圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されることで、その一部が蒸発する。そして、過冷却用冷媒流路61の室外第2膨張弁62の出口から圧縮機21の吸入側に向かって流れる冷媒は、室外液ガス熱交換器27を通過して、主冷媒回路側の室外熱交換器23から室内ユニット4へ送られる高圧の液冷媒と熱交換を行う。
【0058】
そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁28a及び第1冷媒連絡管6を経由して、室内ユニット4に送られる。
【0059】
この室内ユニット4に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41によって圧縮機21の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器42に送られ、室内熱交換器42において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。このとき室内ユニット4a,4bでは、室内液ガス熱交換器51によって熱交換が行われる。図3は、室内ユニット4a,4bの室内熱交換器42と室内液ガス熱交換器51を流れる冷媒の温度と室内ファン43によって送風される空気の温度と計測位置との関係を示すグラフである。図3から分かるように、室内液ガス熱交換器51の液側冷媒管を一端b2から他端b3に向かって流れる冷媒は、室内液ガス熱交換器51の液側冷媒管を一端a1から他端a2に向かって流れる冷媒との熱交換によって温度が上昇し、室内液ガス熱交換器51から第2冷媒連絡管7に送られる冷媒には所定の過熱がつけられる。
【0060】
この低圧のガス冷媒は、第2冷媒連絡管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁28b及び切換機構22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。このように、空気調和装置1は、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器42を室外熱交換器23において凝縮された後にレシーバ24、第1冷媒連絡管6及び室内膨張弁41を通じて送られる冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を行う。
【0061】
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、切換機構22が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側閉鎖弁28b及び第2冷媒連絡管7を介して室内熱交換器42のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外第1膨張弁25は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁28a及びガス側閉鎖弁28bは、開状態にされている。室内膨張弁41は、室内熱交換器42の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている。室内熱交換器42の出口における冷媒の過冷却度は、吐出圧力センサ31により検出される圧縮機21の吐出圧力が凝縮温度に対応する飽和温度値に換算され、この冷媒の飽和温度値から室内液管温度センサ44により検出される冷媒温度値が差し引かれることによって検出される。
【0062】
この冷凍装置10の状態で、圧縮機21、室外ファン26及び室内ファン43を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、切換機構22、ガス側閉鎖弁28b及び第2冷媒連絡管7を経由して、室内ユニット4に送られる。なお、暖房時には、室内ユニット4a,4bの室内液ガス熱交換器51がバイパスされるため、室内ユニット4a,4bの構成は室内ユニット4cと等価になっていることから、室内ユニット4cの構成に沿って室内ユニット4の動作を説明している。
【0063】
室内ユニット4に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、室内膨張弁41を通過する際に、室内膨張弁41の弁開度に応じて減圧される。
【0064】
この室内膨張弁41を通過した冷媒は、第1冷媒連絡管6を経由して室外ユニット2に送られ、液側閉鎖弁28a、室外液ガス熱交換器27、レシーバ24及び室外第1膨張弁25を経由してさらに減圧された後に、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン26によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、切換機構22を経由して、再び、圧縮機21に吸入される。
【0065】
以上の運転制御は、冷房運転及び暖房運転を含む通常運転を行う制御装置8(室内制御装置47と室外制御装置30とこれらの間を接続する伝送線8a)によって行われる。ただし、各室内ユニット4a,4b,4cに固有の制御は、専ら室内制御装置47によって行われ、室外ユニット2に固有の制御は、専ら室外制御装置30によって行われる。
【0066】
(4)冷凍装置の特徴
本実施形態に係る冷凍装置10は、室外ユニット2(熱源ユニット)と3台の室内ユニット4a,4b,4c(複数の利用ユニット)とを備え、室外ユニット2と3台の室内ユニット4a,4b,4cとの間で冷媒を循環させている。ここでは、室内ユニット4a,4bが特定利用ユニットであり、室内ユニット4cは特定利用ユニットではない。室内ユニット4a,4bは、それぞれ、室内膨張弁41(利用側減圧器)と、室内熱交換器42(利用側第1熱交換器)と、室内液ガス熱交換器51(利用側第2熱交換器)と、室内制御装置47(制御部)とを有している。
【0067】
室内膨張弁41は、室外ユニット2の液側閉鎖弁28aから第1冷媒連絡管6と室内液ガス熱交換器51を介して供給される冷媒を冷房時に減圧する。室内熱交換器42は、冷房時に、蒸発器として機能し、室内膨張弁41で減圧された後の冷媒の蒸発による熱交換を行う。室内液ガス熱交換器51は、冷房時に、室内熱交換器42で熱交換された後の冷媒と室内膨張弁41で減圧される前の冷媒との熱交換を行う。ここで、室内熱交換器42で熱交換された後の冷媒とは、室内熱交換器42のガス側の他端b1に接続されている室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管の一端b2から他端b2に流れる冷媒である。また、室内膨張弁41で減圧される前の冷媒とは、室内膨張弁41の一端に接続されている室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管の他端a2に向けてその一端a1から流れる冷媒である。室内制御装置47は、冷房時に、室内熱交換器42から室内液ガス熱交換器51に供給されて室内液ガス熱交換器51で熱交換された後の冷媒の温度に基づいて冷媒量を制御する。具体的には、室内ガス管温度センサ52により検出される冷媒温度値から室内液管温度センサ44により検出される冷媒温度値を差し引くことによって検出される過熱度が過熱度目標値で一定になるように室内制御装置47によって室内膨張弁41の開度調節がなされ、この開度調節により冷媒量が制御される。
【0068】
そのため、室内液ガス熱交換器51によって適当な過熱をつけることができる。例えば、図3に破線で示されているように、室内液ガス熱交換器51を通さない場合には、室内熱交換器42の他端b1で室内空気の吹き出し温度と冷媒の温度がほぼ同じになってしまうため、冷媒の低圧を低くすることでしか必要な過熱度をつけることができないような状況が現れる。このような状況であっても、室内液ガス熱交換器51を通すことを前提とすると、図3の実線で示されているように、冷媒の低圧を低くせずに適当な過熱をつけることができる。このように、室内液ガス熱交換器51によって、個々の室内ユニット4a,4bの過熱度を適正化して冷凍装置10の全体の効率を改善することができる。
【0069】
例えば、空気調和装置1が外気温度25℃のときに負荷率20%で運転されている状態で、冷房時に室内液ガス熱交換器51を使用すると、冷房時に室内液ガス熱交換器51を使用しない場合と比較してシステムのCOPが25%程度改善される例が確認されている。
【0070】
また、室内ガス管温度センサ52の検出結果によって、室内膨張弁41による冷媒量の制御で所定の過熱度をつけられるため、コストの上昇を抑えることができる。
【0071】
特に、室内ユニット4a,4bの室内熱交換器42が暖房対向であり、室内ユニット4cの室内熱交換器42が冷房対向であるため、室内ユニット4a,4bに室内液ガス熱交換器51が設けられている。それにより、冷房時に並流式になるために低下する室内ユニット4a,4bの室内熱交換器42の効率を改善することができ、冷凍装置10の全体の効率の改善量が大きくなる。
【0072】
さらに、室内液ガス熱交換器51と室内ガス管温度センサ52(請求項4の温度センサ)とは、追加ユニット50としてユニット化されている。室内ガス管温度センサ52は、室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管の他端b3(熱源ユニット側出口)に取り付けられている。室内ユニット4a,4bは、追加ユニット50が取り付けられる前は、空調室内機40のみの構成であったものである。その効率を改善するために、後から、配管の繋ぎ換え工事のみで追加ユニット50を取り付けて、室内ガス管温度センサ45に代えて室内ガス管温度センサ52を室内制御装置47に取り付けるだけで簡単に改良が行える。
【0073】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記の実施形態に係る室内ユニット4aでは、冷房時に、室内熱交換器42を出た冷媒の全てを室内液ガス熱交換器51のガス側冷媒管に通す場合を説明した。しかし、図4の空気調和装置1Aのように、室内液ガス熱交換器51に通す冷媒とそのまま直接第2冷媒連絡管7に送る冷媒に分岐して、室内ガス管温度センサ52を室内液ガス熱交換器51の他端b3に取り付けるようにしてもよい。それにより、図4の室内ユニット4bとは異なる過熱度の制御を図4の室内ユニット4aに行なわせることができ、過熱度の制御の仕方にバリエーションを持たせることができる。
【0074】
(5−2)変形例B
上記の実施形態では、室内制御装置47が制御部として機能する場合について説明したが、制御部は室内ユニット4にある必要はなく、例えば室外制御装置30に行なわせることもでき、制御装置8に行なわせることもできる。
【0075】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、室内ユニット4a,4bにおいて、暖房時に、室内液ガス熱交換器51をバイパスさせる場合について説明したが、暖房時の少しの効率の低下を許容するのであれば、必ずしもバイパスさせる必要はない。室内液ガス熱交換器51を取り付けることによる効率の改善に主眼が置かれる場合にバイパスさせない構成とすることもでき、その場合にはバイパスをさせるために必要な部材を省くことができ、安価に追加ユニット50を構成することができる。
【0076】
(5−4)変形例D
上記実施形態では、熱源ユニットとして室外熱交換器23によって室外空気と冷媒との間で熱交換を行わせる室外ユニット2について説明したが、熱源ユニットはこのようなタイプのものに限られるものではなく、冷媒と水との間で熱交換を行わせるものなど他のタイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,1A 空気調和装置
2 室外ユニット
8 制御装置
4 室内ユニット
30 室外制御装置
41 室内膨張弁
42 室内熱交換器
43 室内ファン
44 室内液管温度センサ
45 室内ガス管温度センサ
46 室内温度センサ
47 室内制御装置
50 追加ユニット
51 室内液ガス熱交換器
52 室内ガス管温度センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2011−47552号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源ユニット(2)と複数の利用ユニット(4)とを備え、前記熱源ユニットと複数の前記利用ユニットとの間で冷媒を循環させる冷凍装置(10)であって、
複数の前記利用ユニットのうちの少なくとも一つの特定利用ユニット(4a,4b)は、
前記熱源ユニットから供給される冷媒を冷房時に減圧する利用側減圧器(41)と、
前記利用側減圧器で減圧された後の冷媒の蒸発による熱交換を冷房時に行う利用側第1熱交換器(42)と、
前記利用側第1熱交換器で熱交換された後の冷媒と前記利用側減圧器で減圧される前の冷媒との熱交換を冷房時に行う利用側第2熱交換器(51)と、
冷房時に、前記利用側第1熱交換器から前記利用側第2熱交換器に供給されて前記利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒の温度に基づいて冷媒量を制御する制御部(47,30,8)と、
を有する、冷凍装置。
【請求項2】
前記利用側第1熱交換器は、前記利用側減圧器で減圧された後の冷媒の蒸発による熱交換を冷房時に行う場合に、冷媒と室内空気とが並流となる、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒に所定の過熱度をつけるため、前記利用側減圧器により冷媒量を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記利用側第2熱交換器は、冷房時に、前記利用側第1熱交換器から前記利用側第2熱交換器に供給されて前記利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒が出る熱源ユニット側出口を持ち、
前記特定利用ユニットは、前記利用側第2熱交換器の前記熱源ユニット側出口に取り付けられ、前記利用側第2熱交換器で熱交換された後の冷媒の温度を測定する温度センサ(52)をさらに有し、
前記利用側第2熱交換器と前記温度センサはユニット化されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104620(P2013−104620A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249138(P2011−249138)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】