説明

冷却トレイ

【課題】合成樹脂製の蓄冷剤容器の変形を抑制して、蓄冷剤容器と金属板との密着性を好適に確保することのできる冷却トレイを提供する。
【解決手段】中空箱状をなす合成樹脂製の蓄冷剤容器1内に蓄冷剤を封入してなる冷却トレイの蓄冷剤容器1の上壁10内には、上面の一部を外部に露出させた状態で金属板Mが埋設されている。上壁10には上面周縁部分を覆う上面支持部11bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば冷蔵庫や冷凍庫の冷凍室内に収納して使用される冷却トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄冷剤を封入した冷却トレイを冷蔵庫や冷凍庫の冷凍室に収納するとともに、その冷却トレイに食品を載置することにより、冷凍室内における食品冷凍の急速化を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の冷却トレイは、内部に蓄冷剤Tが封入された合成樹脂製又は金属製の蓄冷剤容器100と、その蓄冷剤容器100上に配置される金属板Mとから構成されている(図3(a)参照)。こうした冷却トレイが収納された冷凍室では、冷却トレイの金属板M上に食品が載置されると、その食品は冷凍室内に供給される冷気に加えて冷却トレイ内の蓄冷剤Tによっても熱を奪われるため、急速に温度が低下して冷凍状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−083629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷却トレイの蓄冷剤容器100は成形の容易性やコストの観点から、金属よりも合成樹脂により形成することが好ましい。しかしながら、合成樹脂製の蓄冷剤容器は金属製の蓄冷剤容器と比較して変形しやいという欠点があり、蓄冷剤容器100の変形に起因して蓄冷剤容器100と金属板Mとの密着性が低下するという問題があった。具体的には、蓄冷剤Tの凍結膨張時に蓄冷剤容器100の内圧が高まることにより、蓄冷剤容器100は中央部分ほど外方へ膨らむように膨張変形する(図3(b)参照)。このとき、金属板Mの周縁部分と蓄冷剤容器100との間に剥がれが生じて、蓄冷剤容器100と金属板Mとの間の密着性が低下する。そして、蓄冷剤容器100と金属板Mとの密着性が低下すると、金属板M上に載置された食品の熱を蓄冷剤容器100内の蓄冷剤Tに十分に伝えることができず、冷却トレイの冷却能力の低下をもたらす。
【0005】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄冷剤の凍結膨張に起因して生じる合成樹脂製の蓄冷剤容器の変形を抑制して、蓄冷剤容器と金属板との密着性を好適に確保することのできる冷却トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の冷却トレイは、中空箱状をなす合成樹脂製の蓄冷剤容器内に蓄冷剤を封入してなる冷却トレイであって、前記蓄冷剤容器の上壁に、上面の一部を外部に露出させた状態で金属板を埋設するとともに、該金属板の上面周縁部分を覆う上面支持部を前記上壁に設けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、従来、蓄冷剤容器上に配置していた金属板を蓄冷剤容器内に埋設することによって、合成樹脂により形成される蓄冷剤容器の上壁を補強している。これにより、蓄冷剤の凍結膨張時における内圧の高まりによって蓄冷剤容器を変形させようとする力が作用した場合にも、上壁の変形を抑制することができ、上壁と金属板との密着性を確保することができる。また、上壁には金属板の上面周縁部分を覆う上面支持部が設けられていることから、蓄冷剤容器からの金属板の剥がれを防止できる。
【0008】
請求項2に記載の冷却トレイは、請求項1に記載の発明において、前記蓄冷剤容器において、前記金属板の下面を覆う下面支持部を前記上壁に設け、該下面支持部と下壁との間には、先端が前記下面支持部に固定されるとともに基端が下壁に固定される規制部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、規制部が蓄冷剤容器の上壁の下面支持部と下壁との間を支える柱となって、上壁の下面支持部と下壁との間の間隔を一定に保つことができる。これにより、上壁の下面支持部と下壁との間の間隔を広げようとする変形(膨張変形)や、同間隔を狭めようとする変形(反り)といった蓄冷剤容器の変形を抑制することができる。
【0010】
請求項3に記載の冷却トレイは、請求項2に記載の発明において、前記規制部の先端は、前記下面支持部における前記上面支持部の下側に位置する部位に対して固定されていることを特徴とする。
【0011】
上面の一部を外部に露出させた状態で金属板を上壁に埋設する構成とした場合、蓄冷剤の凍結膨張時に発生する上壁を変形させようとする力は、上面支持部から下面支持部の周縁部分に至る、金属板の周縁部分を包囲する部位に集中する傾向がある。上記構成では、下面支持部における上面支持部の下側に位置する部位に規制部を形成し、同部位と規制部とを一体化することによって、金属板の周縁部分を包囲する部位の強度を高めている。これにより、蓄冷剤の凍結膨張時における蓄冷剤容器の変形をより効果的に抑制することができる。また、上壁における金属板の周縁部分を包囲する部位の変形は、上壁からの金属板の剥がれを引き起こす原因となる。そのため、上記構成によれば、上壁における金属板の周縁部分を包囲する部位の変形を抑制することによって、上壁からの金属板の剥がれをより効果的に防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の冷却トレイは、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記上壁に前記金属板の下面を覆う下面支持部と、該下面支持部の外側であって該下面支持部よりも上方に膨出する膨出部とを設けたことを特徴とする。
【0013】
蓄冷剤の凍結膨張時における蓄冷剤容器の変形を抑制する方法として、予め蓄冷剤容器内に凍結膨張時の膨張分を許容する膨張代としての空間部分を設ける方法、つまり、蓄冷剤容器に対する液体状態の蓄冷剤の充填率を100%未満とする方法が考えられる。しかしながら、こうした方法を採用した場合、蓄冷剤の凍結時に蓄冷剤容器の上壁と蓄冷剤との間に非接触部分(空間部分)が生じ、上壁と蓄冷剤との間の熱伝導性が低下してしまうおそれがある。
【0014】
これに対して、上記構成では、上壁の一部に膨出部分を形成している。そのため、液体状態の蓄冷剤を、膨出部内に膨張代となる空間部分を残しつつ、且つ液面が下面支持部よりも高い位置に位置するように封入することを可能にしている。このように蓄冷剤を封入した場合には、蓄冷剤の凍結時において、上壁と蓄冷剤との間に生じる非接触部分(空間部分)は膨出部内に形成されることとなり、金属板の下方に位置する下面支持部と蓄冷剤とを全面的に接触させることができる。したがって、蓄冷剤容器内に膨張代を設けることによる蓄冷剤容器の変形抑制効果を得つつも、金属板、下面支持部、及び蓄冷剤間の熱伝導性を好適に確保することができる。
【0015】
請求項5に記載の冷却トレイは、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記蓄冷剤容器は、母材として(A)JISK6922−1に規定されるメルトフローレートが0.01〜10.0g/10minである高密度ポリエチレン樹脂を含有し、さらに(B)エチレン−α−オレフィン共重合体及び(C)球状フィラーを含有する樹脂材料により形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の冷却トレイは、請求項5に記載の発明において、前記樹脂材料は、前記(A)高密度ポリエチレン樹脂を25〜60質量%、前記(B)エチレン−α−オレフィン共重合体を10〜25質量%、前記(C)球状フィラーを30〜50質量%含有することを特徴とする。
【0017】
請求項5及び6に記載の発明の構成によれば、蓄冷剤容器をブロー成形した後の冷却時に生じる、合成樹脂の収縮に基づく蓄冷剤容器の変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷却トレイによれば、蓄冷剤容器を合成樹脂により形成しつつも、蓄冷剤の凍結膨張に起因して生じる蓄冷剤容器の変形を抑制して、蓄冷剤容器と金属板との密着性を好適に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は冷却トレイの斜視図、(b)は冷却トレイの部分断面図。
【図2】図1(a)のX−X線断面図。
【図3】(a)は従来の冷却トレイの断面図、(b)は膨張変形状態の冷却トレイの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の冷却トレイを図面に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、合成樹脂製の蓄冷剤容器1は上壁10、下壁20、及び4枚の周壁30を有する中空の長四角箱状に形成されている。そして、蓄冷剤容器1の内部には蓄冷剤Tを封入するための収容空間Sが形成されている。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、蓄冷剤容器1の上壁10には、中央部分を形成する平面部11と、周縁部分を形成する枠状の膨出部12とが設けられている。平面部11には、その上面中央部分を外部に露出させた状態で金属板Mが埋設されている。具体的には、金属板Mは、平面部11の下面支持部11aによって下面全体が覆われるとともに、平面部11の上面支持部11bによって上面の周縁部分が覆われ、さらに平面部11の側縁支持部11cによって側縁が覆われた状態となっている。そして、上面支持部11bは、金属板Mを上面側から支えることによって下面支持部11aからの金属板Mの剥がれを防止する。
【0022】
また、平面部11の周囲に位置する枠状の膨出部12は、平面部11よりも上方に膨出するように形成されている。図2に示すように、膨出部12の内部にも収容空間Sが形成されるとともに、この膨出部12内の収容空間Sは、下面支持部11aよりも上方にまで達するように形成されている。
【0023】
図1(b)及び図2に示すように、蓄冷剤容器1の下壁20には、上壁10側へ向かって膨出する円錐台状の第1規制部21が複数、設けられている。第1規制部21は、その先端面21aが上壁10の下面支持部11aに融着されて下面支持部11aと一体に形成されている。本実施形態においては、第1規制部21は下面支持部11aの四隅と長辺側の中央部両側の計6箇所に設けられるとともに、その先端面21aが下面支持部11aにおける上面支持部11bの下側に位置する部位に融着されるように設けられている。ここでは、第1規制部21の先端面21aの少なくとも一部が下面支持部11aにおける上面支持部11bの下側に位置する部位に融着していることとする。
【0024】
第1規制部21は、膨張変形や反りといった蓄冷剤容器1の変形を抑制する。蓄冷剤容器1が膨張変形した状態とは、換言すれば、蓄冷剤容器1の上壁10と下壁20との間隔が部分的又は全体的に広がった状態ということができる。こうした蓄冷剤容器1の膨張変形は、例えば、蓄冷剤Tの凍結膨張時に収容空間Sの内圧が高まって、上壁10及び下壁20を外方へ膨らませようとする力が作用することにより引き起こされる。ここで、第1規制部21は、上壁10及び下壁20を外方へ膨らませようとする力に抗して上壁10と下壁20との間の間隔を一定に保つことで上壁10及び下壁20の変形を規制して、蓄冷剤容器1の膨張変形を抑制する。
【0025】
また、蓄冷剤容器1が反った状態とは、換言すれば、蓄冷剤容器1の上壁10と下壁20との間隔が部分的に狭まった状態ということができる。こうした蓄冷剤容器1の反りは、例えば、成形後における蓄冷剤容器1の冷却時に合成樹脂が収縮して、上壁10及び下壁20を内方へ引き寄せる力が作用することにより引き起こされる。とくに、上壁10に金属板Mを埋設した場合には、金属板Mに支えられて収縮が抑制される合成樹脂(金属板M周辺に位置する合成樹脂)と、その他の部位に位置する収縮が抑制されない合成樹脂との間に収縮度合の差が生じる。そして、この収縮度合の差が蓄冷剤容器1の反りや歪みを引き起こす大きな要因となる。ここで、第1規制部21は、上壁10及び下壁20を内方へ引き寄せる力に抗して上壁10と下壁20との間の間隔を一定に保つことで上壁10及び下壁20の変形を規制して、蓄冷剤容器1の反りを抑制する。
【0026】
また、図1(b)及び図2に示すように、下壁20の中央部には、上壁10側へ向かって膨出するとともに長手方向に延びる突条状の第2規制部22が設けられている。この第2規制部22は、下壁20の湾曲やねじれを抑制する。
【0027】
図1に示すように、蓄冷剤容器1の周壁30には収容空間S内に蓄冷剤Tを注入するための注入口31が設けられている。注入口31は収容空間S内に蓄冷剤Tを注入した後に封止される。なお、蓄冷剤容器1はインサートブロー成形により、上壁10に金属板Mを埋設した状態で金属板Mと一体に成形される。
【0028】
本実施形態の蓄冷剤容器1を形成する合成樹脂としては、冷却トレイに一般に用いられる公知のもの、例えばポリエチレン、及びポリプロピレンを用いることができるが、特に、母材として(A)高密度ポリエチレン樹脂を含有し、(B)エチレン−α−オレフィン共重合体及び(C)球状フィラーを含有する樹脂材料を用いることが好ましい。蓄冷剤容器1を形成する合成樹脂として上記樹脂材料を用いた場合には、成形後における合成樹脂の収縮に基づく蓄冷剤容器1の変形を抑制することができる。また、蓄冷剤容器1の熱伝導性、及び凍結・解凍の繰り返しに対する耐久性が向上する。なお、ここでいう高密度ポリエチレン樹脂とは、JISK6922−1の分類に準じた高密度ポリエチレンを意味する。
【0029】
上記樹脂材料に含有される(A)高密度ポリエチレン樹脂は、JISK6922−1に規定されるメルトフローレート:MFR(温度190℃、荷重21.18N)が0.01〜10.0g/10minであることが好ましく、0.03〜1.0g/10minであることがより好ましく、0.03〜0.3g/10minであることがさらに好ましい。高密度ポリエチレン樹脂のMFRが0.01g/10min未満である場合には、例えば、ブロー成形を行った際に、押出し機への負荷が大きくなりすぎて、パリソンの形成が難しくなる、又はパリソンの肉厚が厚くなりすぎる。また、高密度ポリエチレン樹脂のMFRが10.0g/10minを超えると、粘度が低すぎてパリソンの形成自体ができなくなる。上記樹脂材料における高密度ポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは25〜60質量%である。高密度ポリエチレン樹脂の含有量が25質量%未満である場合には、製品使用時に凍結・解凍を繰り返すことによって亀裂等の破損が生じやすくなる。また、高密度ポリエチレン樹脂の含有量が60質量%を超えると、ブロー成形後の収縮が大きくなることから、成形後の過度の変形や金属板の剥がれが生じやすくなる。
【0030】
上記樹脂材料に含有される(B)エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ヘプテン共重合体、及びエチレン−オクテン共重合体が挙げられる。これらのエチレン−α−オレフィン共重合体のうちの一種のみを含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。上記樹脂材料におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、好ましくは10〜25質量%である。エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が10質量%未満である場合には、製品使用時に凍結・解凍を繰り返すことによって亀裂等の破損が生じやすくなる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量が25質量%を超えると、製品の剛性が低下して凍結時の蓄冷剤容器1の変形が大きくなる。
【0031】
上記樹脂材料に含有される(C)球状フィラーとしては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、金属粉末、黒鉛が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられる。金属酸化物としては、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。金属炭酸塩としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、及び炭酸亜鉛が挙げられる。金属粉末としては、例えば亜鉛、マグネシウム、及びアルミニウムが挙げられる。これらの球状フィラーのうちの一種のみを含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0032】
上記樹脂材料における球状フィラーの含有量は、好ましくは30〜50質量%である。球状フィラーの含有量が30質量%未満である場合には、ブロー成形後の収縮が大きくなることから、成形後の過度の変形や金属板の剥がれが生じやすくなる。また、球状フィラーの含有量が50質量%を超えると、製品使用時に凍結・解凍を繰り返すことによって亀裂等の破損が生じやすくなる。ここで、本明細書における球状フィラーの「球状」とは、真球状のみを意味するものではなく、概して略球状であること意味する。
【0033】
なお、上記樹脂材料には、インサートブロー成形後の冷却時における合成樹脂の収縮に基づく蓄冷剤容器1の変形を抑制するという作用を損なわない範囲において、上記各成分以外の成分、例えば可塑剤、酸化防止剤、加水分解抑制剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、及び難燃剤を目的に応じて適宜配合することができる。それらの成分は各用途における常法に従って所定量が配合される。
【0034】
また、蓄冷剤容器1内に埋設される金属板Mの材料としては、冷却トレイに一般に用いられる公知のもの、例えばアルミニウム、銅、鉄、及びステンレス鋼を用いることができる。これらのなかでも熱伝導性の観点から、アルミニウム又は銅を用いることが好ましい。
【0035】
以上のように構成された蓄冷剤容器1内には蓄冷剤Tが液体の状態で注入される。このとき、図2に示すように、蓄冷剤Tは液体の状態において収容空間S内に凍結時の膨張代S1が形成されるように充填される。そして、液体の状態の蓄冷剤Tの液面T1は、膨張代S1を形成しつつ、下面支持部11a(の下面)よりも高い位置に位置するように設定される。蓄冷剤Tとしては、冷却トレイに一般に用いられる公知のもの(例えば、特開平4−23883号公報に記載される蓄冷剤)を用いることができる。
【0036】
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の冷却トレイは、蓄冷剤容器1の上壁10内に上面の一部を外部に露出させた状態で金属板が埋設されている。これにより、蓄冷剤Tの凍結膨張時に、蓄冷剤容器1を変形させようとする力が作用した場合にも、上壁10の変形が抑制されて上壁10と金属板Mとの密着性を好適に確保することができる。
【0037】
また、上記構成を採用した場合には、蓄冷剤容器1上に金属板Mをただ単に接着する従来の構成と比較して、金属板Mと蓄冷剤容器1との間にゴミが入り難くなるという利点が得られる。さらに、蓄冷剤容器1上に金属板Mを配置する従来の構成では、安全性を向上させるために金属板Mの端部を丸める端部処理を行う必要があったが、本実施形態では、金属板Mの端部が上壁10に覆われているため、従来のような金属板Mの端部処理を行う必要がない。また、上記蓄冷剤容器1をインサートブロー成形により成形した場合には、金属板Mと上壁10との見切り部分を綺麗に形成することができる。
【0038】
(2)上壁10には上面周縁部分を覆う上面支持部11bが設けられている。これにより、蓄冷剤容器1からの金属板Mの剥がれを防止できる。
(3)上壁10には金属板Mの下面全体を覆う下面支持部11aが設けられている。そして、下壁20には上壁10側へ向かって膨出するとともに先端面21aが下面支持部11aに融着される第1規制部21が設けられている。この第1規制部21は、上壁10の下面支持部11aと下壁20との間を支える柱となって、下面支持部11aと下壁20との間の間隔を一定に保つように機能する。これにより、上壁10と下壁20との間の間隔が一定に保たれて、同間隔を広げようとする変形(膨張変形)や同間隔を狭めようとする変形(反り)といった蓄冷剤容器1の変形を抑制することができる。
【0039】
(4)第1規制部21は、下面支持部11aにおける上面支持部11bの下側に位置する部位に先端面21aが融着されるように形成されている。上面の一部を外部に露出させた状態で金属板Mを上壁10に埋設するように構成した場合、蓄冷剤Tの凍結膨張時に発生する上壁10を変形させようとする力は、金属板Mの周縁部分を包囲する部位である、下面支持部11aの周縁部分、側縁支持部11c、及び上面支持部11bに集中する傾向がある。上記構成では、下面支持部11aにおける上面支持部11bの下側に位置する部位に第1規制部21を形成し、同部位と第1規制部21とを一体化することによって、金属板Mの周縁部分を包囲する部位の強度を高めている。これにより、蓄冷剤Tの凍結膨張時における蓄冷剤容器1の変形をより効果的に抑制することができる。
【0040】
また、上壁10における金属板Mの周縁部分を包囲する部位の変形は、上壁10からの金属板Mの剥がれを引き起こす原因となる。そのため、上記構成によれば、上壁10における金属板Mの周縁部分を包囲する部位の変形を抑制することによって、上壁10からの金属板Mの剥がれをより効果的に防止することができる。
【0041】
(5)上壁10に対して、下面支持部11aよりも上方に膨出する膨出部12を形成している。そのため、膨出部12内に膨張代S1となる空間部分を残しつつ、且つ液面が下面支持部11aよりも高い位置に位置するように、液体状態の蓄冷剤Tを蓄冷剤容器1内に封入することが可能である。蓄冷剤Tをこのように封入した場合には、蓄冷剤Tの凍結時において、上壁10と蓄冷剤との間に生じる非接触部分(空間部分)は膨出部12内に形成されることとなり、金属板Mの下側に位置する下面支持部11aと蓄冷剤Tとを全面的に接触させることができる。したがって、蓄冷剤容器1内に膨張代S1を設けることによる蓄冷剤容器1の変形抑制効果を得つつも、金属板M、下面支持部11a、及び蓄冷剤T間の熱伝導性を好適に確保することができる。
【0042】
(6)蓄冷剤容器1は、母材として(A)JISK6922−1に規定されるメルトフローレートが0.01〜10.0g/10minである高密度ポリエチレン樹脂を含有し、さらに(B)エチレン−α−オレフィン共重合体及び(C)球状フィラーを含有する樹脂材料により形成されている。また、好ましくは、上記樹脂材料は(A)高密度ポリエチレン樹脂を25〜60質量%、(B)エチレン−α−オレフィン共重合体を10〜25質量%、(C)球状フィラーを30〜50質量%含有する。
【0043】
蓄冷剤容器1の変形を引き起こす要因の一つとして、蓄冷剤容器1を成形型から取り出した後の冷却時に生じる合成樹脂の収縮が挙げられる。とくに、上壁10に金属板Mを埋設した場合には、金属板Mに支えられて収縮が抑制される合成樹脂(金属板M周辺に位置する合成樹脂)と、その他の部位に位置する収縮が抑制されない合成樹脂との間に収縮度合の差が生じる。そして、この収縮度合いの差が蓄冷剤容器1の反りや歪みを引き起こす大きな要因となる。こうした現象は、上壁10の大部分を占めるような大きな面積を持つ金属板Mを上壁10に埋設した蓄冷剤容器1を、ブロー成形によって成形した場合に特に顕著となる。
【0044】
上記樹脂材料を用いることにより、成形型から取り出した後の冷却時に生じる合成樹脂の収縮そのものを抑制することができる。また、上記樹脂材料は熱伝導性に優れることから合成樹脂の冷却が速やかに行われ、特に成形型の内部における合成樹脂の冷却が促進される。そのため、成形型内での冷却時間を同じとした場合、上記樹脂材料からなる蓄冷剤容器1は従来の樹脂材料からなる同容器と比較して、より冷却された状態(より低い温度)で成形型から取り出されることになる。よって、蓄冷剤容器1の変形を生じさせる原因となる、成形型から取り出した後の冷却による収縮を少なくすることができる。これらの作用によって、冷却時の合成樹脂の収縮に基づく蓄冷剤容器1の変形を抑制することができる。
【0045】
また、上記樹脂材料は熱伝導性に優れることから、蓄冷剤容器1の熱伝導性を高めることができる。これにより、冷却トレイの使用前に必要となる蓄冷剤Tの凍結時間が短くなるとともに、冷却トレイの冷却能力が高められる。さらに、蓄冷剤容器1は凍結・解凍を繰り返して使用されるが、上記樹脂材料を用いることにより、凍結・解凍の繰り返しに対する耐久性も向上する。
【0046】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0047】
・ 上面支持部11bは、金属板Mの上面周縁部全体を覆う構成に限られるものではなく、金属板Mの上面周縁部の一部を部分的に覆うように形成されていてもよい。
・ 金属板Mは少なくとも上面の一部が外部に露出していればよく、金属板Mの上面中央部が上面支持部11bによって部分的に覆われた状態であってもよい。たとえば、上記実施形態では、上面支持部11bを金属板Mの周縁部分のみを覆う枠状に形成していたが、この枠状部内に桟を設けてもよい。この場合には、枠状部内に形成される金属板Mの露出部分を、上記桟によって複数個の領域に区分することができる。
【0048】
・ 金属板Mの周縁部に貫通孔を設け、この貫通孔内に上面支持部11bと下面支持部11aとを接続する接続部分を形成してもよい。このように構成した場合には、上面支持部11b及び下面支持部11aに対する金属板Mの位置ずれや、金属板Mの剥がれを効果的に抑制することができる。また、上記構成を採用した場合には、上面支持部11bを、金属板Mの上面周縁部に点在する複数の島状に形成することも可能である。
【0049】
・ 第1規制部21の形状は特に限定されるものではなく、例えば角錐台状に形成してもよいし、下壁20の長手方向や短手方向に延びる突条状に形成してもよい。また、第1規制部21は、上記実施形態のような下方に開口する中空状に限らず、中実状に形成されてもよい。さらには、第1規制部21を下壁20と一体の部材として形成しなくともよく、別体として構成しつつ、上壁10及び下壁20に固定するように形成してもよい。
【0050】
・ 第1規制部21を設ける数は特に限定されるものではなく、5個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。さらに、第1規制部21を省略してもよい。
・ 第1規制部21を設ける位置は、上記実施形態のように特に限定されるものではなく、下面支持部11aにおける上面支持部11bの下方に位置する部位以外の部位に第1規制部21を設けてもよい。
【0051】
・ 蓄冷剤Tの封入状態は特に限定されるものではなく、例えば液体の状態において、下面支持部11aの下面よりも低い位置に液面が位置するように封入されていてもよい。
・ 膨出部12の形状、及び上壁10における形成位置は特に限定されるものではない。たとえば、膨出部12の形状を平面視U字状、L字状、I字状に形成して平面部11に隣接させてもよい。また、膨出部12を省略してもよい。
【0052】
・ 蓄冷剤容器1を形成する合成樹脂として、上記樹脂材料以外の合成樹脂を用いた場合には、蓄冷剤容器1の成形時において、成形型内にて合成樹脂を冷却した後(例えば、20℃程度まで冷却した後)に成形型から蓄冷剤容器1を取り出すようにすればよい。これにより、上記樹脂材料以外の合成樹脂を用いた場合にも、冷却時の合成樹脂の収縮に基づく蓄冷剤容器1の変形を抑制することができる。
【0053】
・ 本実施形態の冷却トレイを保冷材として、例えば保冷を要する物品の輸送や保管に用いる保冷容器(例えばクーラーボックス)内に収納して使用してもよい。
・ 上記実施形態では、金属板Mは平板状に形成したが、端縁を折り曲げて折り曲げ部を形成するようにしてもよい。こうした金属板Mの場合、折り曲げ部のみを上壁10に埋設して蓄冷剤容器1に設置することも可能である。たとえば、折り曲げ部の断面形状を円弧状(折り返し部分を形成)とすれば、上壁10に対する埋設状態の維持に好適である。
【0054】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ) 前記規制部は、前記蓄冷剤容器の下壁を前記上壁側へ向かって膨出させてなり、先端が前記下面支持部に融着されていることを特徴とする冷却トレイ。
【0055】
(ロ) 前記蓄冷剤は液体状態において、前記膨出部内に膨張代となる空間部分を残しつつ、且つ液面が前記下面支持部よりも高い位置に位置するように封入されていることを特徴とする冷却トレイ。
【0056】
(ハ) 蓄冷剤を封入して使用される中空箱状の合成樹脂製の蓄冷剤容器であって、その上壁に、上面の一部を外部に露出させた状態で金属板を埋設するとともに、該金属板の上面周縁部分を覆う上面支持部を前記上壁に設けたことを特徴とする蓄冷剤容器。
【0057】
(ニ) 中空箱状をなす合成樹脂製の蓄冷剤容器上に金属板を設置するとともに前記蓄冷剤容器内に蓄冷剤を封入してなる冷却トレイであって、前記金属板は、その端縁を折り曲げ形成した折り曲げ部を設け、前記蓄冷剤容器の上壁に前記折り曲げ部を埋設するとともに、前記上壁には前記金属板の折り曲げ部を把持して支持する支持部を設けたことを特徴とする冷却トレイ。
【実施例】
【0058】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
表1に示す組成の樹脂材料を用いて、図1に示す内部に金属板を埋設した蓄冷剤容器をインサートブロー成形により成形した。具体的には、上記樹脂材料を溶融した溶融樹脂からなる筒状のパリソンを挟むようにして、予め金属板を内部に配置したブロー成形型を型閉めするとともに、ブロー成形型で挟まれたパリソン内に空気を吹き込むことにより、金属板が埋設された中空箱状の蓄冷剤容器を成形した。蓄冷剤容器の外径寸法は、縦300mm、横200mm、厚さ25mm、壁厚2mm程度である。また、金属板は板厚2mmのアルミニウム製の金属板を用いた。
【0059】
そして、成形型内にて蓄冷剤容器を60秒間冷却した後、成形型から蓄冷剤容器を取り出し、室温にて蓄冷剤容器をさらに自然冷却することにより各実施例及び比較例の蓄冷剤容器を得た。ここで、成形型から取り出した直後の各蓄冷剤容器の温度を測定したところ、比較例1の蓄冷剤容器の温度が80℃であったのに対して、実施例1〜3及び比較例2の蓄冷剤容器の温度は30℃程度まで下がっていた。また、比較例3の蓄冷剤容器の温度は40℃程度であった。冷却後、各実施例及び比較例の蓄冷剤容器内に蓄冷剤を封入することにより、各実施例及び各比較例の冷却トレイを得た。得られた実施例及び比較例の冷却トレイについて、下記に示す方法に従い「成形後の変形性」、「蓄冷剤の凍結性」、「食品冷却性」、「耐久性」、「凍結後の変形性」の評価を行なった。また、表1に示す組成の樹脂材料を用いて樹脂板を別途成形し、その樹脂板について「熱伝導率」、「曲げ弾性率」、「シャルピー衝撃値」を測定した。
【0060】
[成形後の変形性の評価]
成形された蓄冷剤容器を成形型から取り出し、室温にて24時間放置した時点における蓄冷剤容器の変形度合を目視にて観察した。そして、以下の基準により成形後の変形性の評価を行なった。
【0061】
◎:変形がほとんど見られない。
○:若干の変形はみられるが、問題なく使用できる。
×:大きく変形し、蓄冷剤容器として使用することができない。
【0062】
[蓄冷剤の凍結性の評価]
各例の冷却トレイを−25℃の冷凍庫内に投入し、封入された液体状態の蓄冷剤が凍結するまでの時間を測定した。
【0063】
[食品冷却性の評価]
蓄冷剤を凍結させた状態の冷却トレイを冷凍庫の冷凍室(−25℃)内に設置した。そして、冷却トレイ上に食品(縦130mm、横60mm、厚み25mmの蒟蒻片)を載置し、食品が凍結するまでの時間を測定した。
【0064】
[耐久性の評価]
冷却トレイ(蓄冷剤)の凍結及び解凍(室温における自然解凍)を5回繰り返した後、蓄冷剤容器に破損(第1規制部の融着部分の剥がれ等)が生じているか否かを目視にて観察した。そして、以下の基準により耐久性の評価を行なった。
【0065】
○:破損は確認できなかった。
×:破損が確認された。
[凍結後の変形性の評価]
冷却トレイ(蓄冷剤)の凍結後の蓄冷剤容器の変形を目視にて観察した。そして、以下の基準により凍結後の変形性の評価を行なった。
【0066】
○:ほとんど変形はなかった。
×:著しい変形が確認された。
[熱伝導率]
表1に示す組成の樹脂材料を用いて、縦100mm、横100mm、厚さ2mmの樹脂板を作成した。そして、その樹脂板の熱伝導率について、熱線法を用いて熱伝導率を測定する測定器(QTM500、京都電子工業社製)を使用し、薄膜モードの測定条件にて測定した。
【0067】
[曲げ弾性率]
表1に示す組成の樹脂材料を用いて作成した試験片について、JISK6922−2に準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0068】
[シャルピー衝撃値]
表1に示す組成の樹脂材料を用いて作成した試験片について、JISK7111−1に準拠してシャルピー衝撃値(ノッチ付き)を測定した。
【0069】
なお、表1中の「成分」欄における(A)〜(C)の表記は本願請求項記載の各成分に対応する物質を示し、(a)、(c)の表記は、比較例においてA成分及びC成分の代替成分として用いた物質を示す。また、表1中における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。
【0070】
表1に示す樹脂材料の各成分は以下のとおりである。
高密度ポリエチレン樹脂:東ソー社製、ニポロンハード8600A(JISK6922−1に規定されるMFRが0.03)
低密度ポリエチレン樹脂:東ソー社製、ペトロセン173(JISK6922−1に規定されるMFRが0.3)
エチレン−プロピレンゴム:三井化学社製、タフマーA−0550S
エチレン−オクテンゴム:ダウ社製、エンゲージ8200
炭酸カルシウム(球状):淡南化学社製、ライトンS−4
酸化マグネシウム(球状):協和化学工業社製、パイロキスマ5301K
タルク(板状):日本タルク社製、ミクロエースK−1
【0071】
【表1】

表1に示すように、蓄冷剤容器を形成する合成樹脂として、母材として高密度ポリエチレン樹脂を含有し、さらにエチレン−α−オレフィン共重合体及び球状フィラーを含有する樹脂材料を用いた各実施例では、成形後の変形性、蓄冷剤の凍結性、食品冷却性、耐久性、及び凍結後の変形性の各評価が優れていた。一方、蓄冷剤容器を形成する合成樹脂として、高密度ポリエチレン樹脂のみを用いた比較例1では、成形後における蓄冷剤容器の変形が著しく、蓄冷剤容器として使用することができなかった。そのため、比較例1については、蓄冷剤の凍結性、食品冷却性、耐久性、及び凍結後の変形性の評価を行うことができなかった。
【0072】
また、球状フィラーに代えて板状のタルクを添加した樹脂材料を用いた比較例2では、凍結時の蓄冷剤の体積膨張によって第1規制部21と上壁10との融着部分が剥がれてしまったことから、各実施例と比較して耐久性の評価が低い結果となった。また、母材として低密度ポリエチレン樹脂を含有し、さらに球状フィラーのみを含有する樹脂材料を用いた比較例3では、凍結時の蓄冷剤の体積膨張による蓄冷剤容器の膨れが大きく、座りの悪い(平面上に載置した際の安定性が悪い)冷却トレイとなってしまったことから、各実施例と比較して凍結後の変形性の評価が低い結果となった。
【符号の説明】
【0073】
M…金属板、S…収容空間、S1…膨張代、T…蓄冷剤、T1…蓄冷剤の液面、1…蓄冷剤容器、10…上壁、11…平面部、11a…下面支持部、11b…上面支持部、11c…側縁支持部、12…膨出部、20…下壁、21…第1規制部、21a…第1規制部の上面、22…第2規制部、30…周壁、31…注入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空箱状をなす合成樹脂製の蓄冷剤容器内に蓄冷剤を封入してなる冷却トレイであって、
前記蓄冷剤容器の上壁に、上面の一部を外部に露出させた状態で金属板を埋設するとともに、該金属板の上面周縁部分を覆う上面支持部を前記上壁に設けたことを特徴とする冷却トレイ。
【請求項2】
前記蓄冷剤容器において、前記金属板の下面を覆う下面支持部を前記上壁に設け、該下面支持部と下壁との間には、先端が前記下面支持部に固定されるとともに基端が下壁に固定される規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却トレイ。
【請求項3】
前記規制部の先端は、前記下面支持部における前記上面支持部の下側に位置する部位に対して固定されていることを特徴とする請求項2に記載の冷却トレイ。
【請求項4】
前記上壁に前記金属板の下面を覆う下面支持部と、該下面支持部の外側であって該下面支持部よりも上方に膨出する膨出部とを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の冷却トレイ。
【請求項5】
前記蓄冷剤容器は、母材として(A)JISK6922−1に規定されるメルトフローレートが0.01〜10.0g/10minである高密度ポリエチレン樹脂を含有し、さらに(B)エチレン−α−オレフィン共重合体及び(C)球状フィラーを含有する樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の冷却トレイ。
【請求項6】
前記樹脂材料は、前記(A)高密度ポリエチレン樹脂を25〜60質量%、前記(B)エチレン−α−オレフィン共重合体を10〜25質量%、前記(C)球状フィラーを30〜50質量%含有することを特徴とする請求項5に記載の冷却トレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190959(P2011−190959A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56174(P2010−56174)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)