説明

冷却器における霜取り構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空気冷却器や除湿装置に使用される冷却器に付着する霜を確実除去するための構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来の空気冷却器は、なるべく蒸発器のフィンの部分に霜が付着しないように図に示すように圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器と循環接続される蒸発器としての冷媒管1に空気の流れ対して平行となるように被冷却空気の入口から出口に向けて段階的にフィン2のピッチを狭くするように構成すると共に、各フィンの層の後端部にパイプヒータ等の加熱手段3を施設し、さらにフィンのピッチが最小間隔となる最初のフィンの層の間にデフロストセンサー4を設置し、該センサー4により検知温度が所定の温度(例えば20℃)に到達したときにデフロストを中止するように制御されたものが発明され知られている。
【0003】しかしながら、かかる従来の冷却器における除霜構造のものでは、空気の冷却により付着する霜は、フィンのピッチが最小間隔となるフィンの層の最初の前端部から中間部にかけて付着し、後端部はあまり霜が付着しないという状況にあり、フィンの層の後端部の霜が加熱手段の熱により溶解してしまい、前端部の霜が溶解し切れないうちにデフロストセンサーが作動して霜取り作業を中止するという不都合がある。その結果、不完全な霜取り作業後に冷却器を作動させても短時間の内に空気通路が霜で閉塞されてしまい、長時間の冷却器の作動には不向きであるという問題がある。そこで、本発明はかかる従来技術の欠点に鑑みなされたもので、冷却器のフィンに着霜した霜を完全に除去するまではデフロストセンサーが作動しないような冷却器の霜取り構造を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器と循環接続された蒸発器の冷媒管に被冷却空気の入口から出口に向けて段階的にフィンのピッチを狭くするように複数のフィン層が構成され、フィンの間にフィンの幅より少し長めのデフロストセンサーを設置すると共にフィン層の後端部に除霜用のパイプヒータ等の加熱手段を施設した冷却器において、最小ピッチのフィンからなる最初の層の後端部を除いた他の層の後端部に加熱手段を施設し、デフロストセンサーを最小間隔ピッチのフィンからなる最初の層のフィンの幅方向に該フィンに沿って設置した冷却器における霜取り構造により本目的を達成する。
【0005】
【作用】本発明にかかる冷却器では、フィンのピッチが段階的に狭くなるように構成されていることから、冷却器に流入した空気は、最初のフィンの層で少し冷却され最小ピッチのフィンの層で急激に冷却される。その結果含んでいた水分は霜となってフィン表面に付着する。最初の最小ピッチのフィン層を通過した空気は、ある程度除湿されている関係から、フィン表面にあまり霜が付着することなく冷却されて出口から流出する。このように空気を冷却することにより最小ピッチの最初のフィンの層に前端部から中間部にかけて大量に霜が付着した状態をなる。その結果、冷却器の負荷が大きくなるために冷却器が停止し、除霜装置が作動する。すなわちパイプヒータ等の加熱手段が作動して、該ヒータと接触している冷却用フィンを加熱する。このとき最小ピッチのフィンの最初の層の後端部には加熱手段が施設されておらず、最小ピッチのフィンの最初の層の前端部に付着した霜は、加熱手段の影響を受けて融解するが、後端部のフィンにはあまり加熱手段の熱エネルギーが伝わらず、僅かに付着した霜は、その前後でほぼ同時に融解することになり、デフロストセンサーは完全に霜が融解した状態で終了信号を発信することになる。
【0006】以下に本発明を図示された実施例に従って詳細に説明する。図において1は圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器と循環接続された冷凍サイクルの蒸発器であり、該蒸発器1には冷却器の空気入口から空気出口に向けて段階的にフィン層のフィンのピッチが狭くなるようにフィン2が取付けられており、本実施例では最小ピッチのフィン2の層cは複数段となるように構成されている。各フィン2の層a,b,cのフィンの層の下部にはフィンに接触するようにパイプヒータからなる加熱手段3が施設されており、さらに最小間隔ピッチのフィンの層cの最初の層c1のフィン2,2の間にはフィン2の幅より少し長めのデフロストセンサー4が装着されている。尚、前述フィンの層cの最初の層c1の後端部(空気出口側)には、加熱手段3を施設しないように構成している。5は、冷却器の空気出口側に装着された空気排出用のファンであり、冷却器内を空気がスムーズに流れるように空気の流れを誘導している。
【0007】また本第1実施例では、蒸発器1を構成する冷媒管の冷媒の流れを原則的に冷却器の空気入口側から空気出口側に向けて流動するように配置している。デフロストセンサー4を一番霜が付着しやすいフィン2の層c1に装着したが、さらに蒸発器1を構成する冷媒管の近傍に設置するように構成している。また、デフロストセンサー4の除霜停止温度は10℃に設定されている。
【0008】以上述べたように本実施例にかかる冷却器の除霜構造では、冷媒が冷却器の空気入口から出口に向けて流動するように配置されている関係から、冷却器を構成するフィン2の温度がほぼ均一に入口から出口に向けて若干高くなるように構成されているために、冷却器を作動した時にほぼ均一にかつ空気入口側に着霜する傾向となる。着霜の結果冷却器の負荷が高まると、停止して霜取りを開始するが、本実施例ではフィン2の層c1の後端部を除いた他のフィンの層の後端部にパイプヒータ等の加熱手段が施設されている関係から該ヒータ3と接触したフィン2から熱が伝わり、フィン2に着霜した霜を融解する。ここで、フィン2に付着する霜は図2(b)に示すようにフィン2の層c1の前端部から中間部にかけてが多く、その後端部以降は一様で少なめの傾向にある。従って、フィンの層c1の後端部及び第2のフィンの層c2の前端部に熱があまり伝わらなくても、フィンの層c1の前端部とほぼ同時に霜の融解が終了することになる。その結果、デフロストセンサー4が検知した温度が例え10℃であっても、冷却器に付着した霜は全て除去された状態となっており、除霜を終了することになる。
【0009】次に図3に示すものは本発明の第2実施例であり、本実施例では蒸発器1を構成する冷媒管をデフロストセンサ−4を設置する高さと同一部分において、空気入口から空気出口に向けて冷媒が流れるように構成すると共に1本の冷媒管で上下のフィン層を連続的に流れるように構成したものである。
【0010】
【効果】以上述べたように本発明にかかる冷却器の霜取り構造は、デフロストセンサーが装着される最小のピッチとなるフィンの層における加熱手段の設置をその後端部だけ除くように構成しているので、フィンの層における除霜の終了時期がほぼ同時となり、完全な除霜状態で運転を開始させることができる。また、デフロストセンサーが設置されている部分の除霜がほぼ同時に終了する関係から、該センサーの除霜終了検知温度をこれまでのように高めに設定する必要がなく、不必要に冷却器を加熱することがない。さらに、冷媒管を流れる冷媒の流れを冷却器の入口側から出口に向けて流動するように構成したものでは、フィンの上下による霜の付着量の差が少なくなるために、均等に空気を冷却することができると共に均一に霜が付着することになり、デフロストセンサーによる除霜終了の検知をより正確なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例にかかる冷却器の側面図である。
【図2】 本発明の実施例にかかる冷却器の平面図及びフィンの位置とこれに付着する霜の状況を示すグラフである。
【図3】 本発明の第2実施例にかかる冷却器の側面図である。
【図4】 従来技術を示す冷却器の側面図である。
【符号の説明】
1 蒸発器
2 フィン
3 加熱手段
4 デフロストセンサー
5 送風ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器と循環接続された蒸発器の冷媒管に被冷却空気の入口から出口に向けて段階的にフィンのピッチを狭くするように複数のフィン層が構成され、フィンの間にフィンの幅より少し長めのデフロストセンサーを設置すると共にフィンの層の後端部に除霜用のパイプヒータ等の加熱手段を施設した冷却器において、最小ピッチのフィンからなる最初の層の後端部を除いた他の層の後端部に加熱手段を施設し、デフロストセンサーを最小間隔ピッチのフィンからなる最初の層のフィンの幅方向に該フィンに沿って設置したことを特徴とする冷却器における霜取り構造。
【請求項2】 蒸発器を構成する冷媒管を流れる冷媒が少なくともデフロストセンサーを設置する高さと同一部分において空気入口から空気出口に向けて流れるように配置したことを特徴とする請求項記載の冷却器における霜取り構造。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【特許番号】第2788716号
【登録日】平成10年(1998)6月5日
【発行日】平成10年(1998)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−36047
【出願日】平成7年(1995)2月1日
【公開番号】特開平8−210757
【公開日】平成8年(1996)8月20日
【審査請求日】平成8年(1996)11月18日
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【参考文献】
【文献】特開 昭60−101461(JP,A)
【文献】特開 平2−85677(JP,A)