説明

冷却箱

堅牢で、可撓性のシート状物質の製造プロセスは、a)ワックス付けしたウェブを形成するためにワックス状組成物をウェブに付ける工程と、b)ワックス付けしたウェブを、少なくとも1つのローラーを経て、冷却装置へ導く工程と、c)ワックス付けしたウェブを冷却する工程と、d)ワックス付けしたウェブを、更なる処理のためにワックス付けしたウェブを回収する回収ステーションに導く工程とを含む。ワックス組成物は、約10〜60wt%のワックス状化合物及び約90〜40wt%の希釈剤を含む。ワックス状化合物は、A)多価脂肪族アルコールと脂肪酸とのモノエステル、B)多価脂肪族アルコールと脂肪酸とのジエステル、並びにC)前記モノエステル及びジエステルの混合物からなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2008年11月21日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された「人体の表面に接触して使用される製造物品用のコーティング組成物及びコーティングされた基材」と題された同時係属特許出願中の米国特許出願第61/116,785号(Atty.Docket PPC−5323USPSP)に関連する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、可撓性でシート状の基材用のコーティング組成物、人体の表面に接触して使用される製造物品用のコーティングされた可撓性でシート状の基材、及びワックス状組成物を可撓性でシート状の基材に付加するプロセスに関する。本発明は、可撓性でシート状の基材用のコーティング組成物、使い捨て吸収性物品の製造に使用されるコーティングされた可撓性でシート状基材に特に有用であり、具体的には、タンポンの製造に使用されるコーティングされた可撓性でシート状基材に適している。
【0003】
意図する標的にワックス状組成物を供給する方法には、これらには限定されないが、経口的、局所的及び経皮的方法を含む幾つかの方法がある。使い捨て吸収性物品は、膣管、会陰部及び関連部分への局所的供給のビヒクルとして使用され得ると同時に、排出体液が製品により捕捉されるので、ワックス状組成物に接触する排出体液の処置部位としても使用され得る。
【0004】
ワックス状の材料は若干粘着性である傾向があり、特にこのようなワックス状材料でコーティング又は含浸されたシートの取り扱いに関して、生産中に困難が生じる。シート及びそのワックス状の物質は機械部品に付着し機械を汚す傾向があり、その結果として、機械の停止時間と保守に基づくプロセスの中断と時間損失を招く。
【0005】
英国特許第2287481号は、ワックスを含浸した布材料を製造するためのプロセスの開示を目的としている。このプロセスでは、布ウェブは液体ワックス浴に通される。次いで、ウェブは離れた冷却ローラーに導かれる。ウェブが冷却ローラーに移動する際に、ファンがウェブの上面に沿って冷却空気流を送る。ウェブは冷却ローラーで更に冷却される。冷媒をそこへ循環させ、すべての冷却ローラーを冷却する。次いで、冷却されたウェブは、巻き取りステーションにおいて巻き取られる。
【0006】
Yangの米国特許第6,316,019号は、薬剤的に活性な化合物を含有する溶液の基材への付着を含むタンポンの製造プロセスを開示している。溶液は、約35℃未満の温度で液体であり、使い捨て吸収性物品に40℃未満の温度で付けられる。これは当該技術分野における進歩であるが、相当な量の薬学的に活性な化合物を基材に加えて、堅牢で、可撓性のあるコーティングされた材料を形成する能力は限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題の克服、及びこのようなワックス状材料によりコーティング又は含浸されたシートを製造するための、効率的で操作中にトラブルが発生しないプロセスの提供を目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このようなワックス状材料によりコーティング又は含浸されたシートを製造するための、効率的で操作中にトラブルが発生しないプロセスを見出した。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、堅牢で、可撓性のシート状物質の製造プロセスは、a)ワックス付けしたウェブを形成するために、ワックス組成物をウェブに付け工程と、b)ワックス付けしたウェブを、少なくとも1つのローラーを経て、冷却装置へ導く工程と、c)ワックス付けしたウェブを冷却する工程と、d)ワックス付けしたウェブを、更なる処理のためにワックス付けしたウェブを回収する回収ステーションに導く工程と含む。
【0010】
ワックス組成物は、約10〜60wt%のワックス状化合物及び約90〜40wt%の希釈剤を含む。ワックス状化合物は、A)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステルであって、前記モノエステルはその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、モノエステル、B)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのジエステルであって、前記ジエステルはその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、ジエステル、並びに、C)前記モノエステル及びジエステルの混合物、からなる群から選択される。コーティングは、約35℃〜約100℃の温度で安定な液体混合物を形成し、少なくとも約30℃の液化温度を有し、60℃の温度で測定した場合に基材の平らな表面と約35°未満の接触角を有する。1つの好ましい実施形態では、冷却装置は、好ましくは約−100℃未満の温度、より好ましくは約−120℃未満の温度、最も好ましくは約−150℃未満の温度を有する液化ガスを含む冷却源を有する。
【0011】
ワックス状組成物をウェブに付け、ワックス付けしたウェブを形成する工程は、ウェブを約45℃〜約75℃の温度を有する液体に接触させる工程を含んでよい。
【0012】
ワックス付けしたウェブは、約0℃未満、より好ましくは約−20℃未満の表面温度に冷却してよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に有用な液体コーティング組成物の循環システムの概略図。
【図2】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の1つの実施形態の概略図。
【図3】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の別の実施形態の概略図。
【図4】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の別の実施形態の概略図。
【図5】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の別の実施形態の概略図。
【図6】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の別の実施形態の概略図。
【図7】本発明によるコーティングされた基材を急速に冷却するために有用な冷却装置の別の実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び請求項において使用される場合、用語「コーティング組成物」及びその変形用語は、可撓性のシート状基材に液体状で付けられ、冷却及び/又は硬化され室温において固体状になり得る組成物を含む。この用語及びその変形用語は、コーティング及び含浸プロセスに関する。
【0015】
本明細書及び請求項において使用される場合、用語「液化温度」は、示差走査熱量計により測定される最初の固体から液体への熱吸収ピークに相当する温度である。DSC(示差走査熱量測定)は、熱分析の方法である。これは、試料及び対照の温度を上げるために必要となる熱量の差を測定する。DSC(Universal Analysis 200ソフトウェアV4.4Aを備えたTA Instruments Model Q 200、密閉蓋付のアルミニウム製の試料皿)を使用して、製剤の固体から液体への相転移を調べる。液体状態の製剤を、事前に計量したアルミニウム製のDSC試料皿に加える。試料の最終重量を記録し、試料皿を密閉蓋でシールした。試料の重量は、6〜10ミリグラムの範囲である。
【0016】
各試料のDSC測定は、加熱/冷却/加熱のシリーズで行なわれる。試料は25℃からスタートし、10度/分の一定速度で最高80℃まで熱を加える。次いで、試料を−20℃まで冷却し、80℃まで再加熱する。冷却及び加熱速度はともに10度/分である。液化温度は、第1ヒートサイクルの最大又はDSCチャートの第1ピークとして定義され、測定される。
【0017】
本発明によれば、ワックス状構成成分を含む加熱されたコーティング組成物を、動いている可撓性のシート状基材に付ける。次いで湿潤基材を冷却し、堅牢で、可撓性のシート状物質を与えるためにコーティング組成物を固化する。
【0018】
特に、コーティング組成物は、少なくとも1種の液体を加熱されたコーティング供給タンク10に供給することにより調製される。好ましくは、液体をそれが基材に付けられる温度に近い温度で供給し、液体をシステム、例えば、ポンプ12、導管14、コーティングトレー16などを介して循環させ、システムをコーティング温度まで上げる。加熱されたコーティング供給タンクに少なくとも1つのワックス状組成物を加え液化する間、及び液体混合物を、例えば攪拌棒18により攪拌する間、コーティングシステムを巡る循環は一時的に中断されてもよい。ワックス状組成物の添加が完了し、タンクが動作温度に到達した後は、システム全体を動作温度に保つために循環を再開してよい。
【0019】
また本発明は、ワックス状構成成分及び希釈剤を含む液体コーティング組成物に関し、この液体組成物は、約35℃〜約100℃の温度で安定な液体混合物を形成し、少なくとも約30℃の液化温度を有し、60℃の温度で測定した場合に基材の平らな表面と35°未満の接触角を有する。
【0020】
本発明が提供する1つの長所は、コーティングされた基材が驚くほど堅牢であることである。本発明者らは、得られるコーティングは処理中に基材からはがれ落ちることもなく、基材から顕著にこすれ落ちることもないことを見出した。これは、人体の表面に接触して使用される製造物品を形成するためのコーティングされた基材の、経済的な高速度処理を可能とする。
【0021】
本明細書及び添付の請求項において使用される場合、液体は決まった容積を有するが、容器により与えられる形を除き決まった形を有しない物質と定義される。本明細書において溶液は、液体、溶媒に溶解した物質(固体、液体又は気体)の均質な混合物と定義される。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「界面活性剤」は表面活性剤、すなわち表面の性質を改質する物質を指す。界面活性剤はしばしば、湿潤剤、洗剤、乳化剤、分散剤、浸透剤及び消泡剤として使用される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性であってよい。好ましくは、本発明に使用される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は一般的に人間の生体組織に対する刺激性がより低く、それゆえそれらは、このような組織に接する使用に際してより受け入れられ易い。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「親水性剤」は容易に水と会合する物質を指し、用語「親液性剤」はコロイド系において脂質を引き寄せる剤を指しており、分散した相が脂質であり分散媒を引きつけるコロイド系を記述している。剤の相対親水性及び親液性の1つの尺度はHLB、すなわち親水性−親液性バランスであり、高HLBは比較的親水性の剤を、低HLBは比較的親液性の剤を示している。好ましくは、親液性剤は、約10未満の、より好ましくは約8未満の、最も好ましくは約5未満のHLBを有する。
【0024】
本発明において使用される本発明において有用なワックス状組成物は、Brown−Skrobot及びBrown−Skrobotらの米国特許第5,389,374号、同第5,547,985号、同第5,641,503号、同第5,679,369号、及び同第5,705,182号に開示されているように、種々のバクテリアによる毒素の生成の抑制に有用であり、これらすべてが本明細書に援用される。これらの組成物は、多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステルであって、前記モノエステルはその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、モノエステル;多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのジエステルであって、前記ジエステルはその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有するジエステル;並びに、前記モノエステル及びジエステルの混合物、からなる群から選択される。好ましくは、活性組成物はグリセロールモノラウレートである。
【0025】
本発明における希釈剤は、ワックス状組成物と液体組成物が付けられる基材の両方に相溶性である。希釈剤は、単一構成成分系又は複数の構成成分系であってよい。単一構成成分の希釈剤は、ワックス状構成成分とのその相溶性に基づき選択されてよい。例えば、ワックス状構成成分としてGML(HLBが5.2)を使用する場合には、類似のHLBの希釈剤、好ましくは5.2+/−約2のHLBの希釈剤を選択してよい。親水性のオレフィン性ジオールなどの希釈剤を使用して、他の性質(水性液体による湿潤性など)を付与することが望ましい場合には、GMLに類似のHLB、例えば約3.2〜約7.2、を有する界面活性剤などの追加の希釈剤を組み込み、2成分希釈剤とすることができる。
【0026】
本発明のオレフィン性ジオールは、高度に親水性及び/又は水とよく混合する。このように、本溶液で処理された吸収構造体により吸収され得る水性体液は、オレフィン性ジオールの不在下で本発明のワックス状組成物により処理された構造体に対するより、このような構造体に対してより大きい親和性を有することになる。
【0027】
有用なジオールの代表的な非限定的リストは、C2〜8ジオール及びポリグリコールなどを含む。好ましくは、ジオールは、グリコール(C及びCジオール)及びポリグリコールからなる群から選択される。本明細書及び請求項において使用される場合、用語「ポリグリコール」は、2つ以上のグリコール分子の脱水により生成されるジヒドロキシエーテルを指す。有用なポリグリコールの代表的な非限定的リストには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、又はブチレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーが含まれる。前述のポリグリコールの中では、約600未満の分子量を有するポリエチレングリコール及び約4,000未満の分子量を有するポリプロピレングリコールが好ましい。
【0028】
他の希釈剤又は希釈剤構成成分には、脂肪酸エステル及びエトキシ化砂糖誘導体などの界面活性剤を挙げることができる。好ましい脂肪酸エステルには、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。有用なソルビタン脂肪酸エステルの代表的な非限定的リストには、ソルビタンモノオレエート(HLB、4.3)、ソルビタンモノステアレート(HLB、4.7)、ソルビタンモノパルミテート(HLB、6.7)、ソルビタンモノラウレート(HLB、8.6)、ソルビタントリステアレート(HLB、2.1)及びソルビタントリオレエート(HLB、1.8)が含まれる。前述のソルビタン脂肪酸エステルの中では、ソルビタンモノオレエートが最も好ましい。
【0029】
好ましいエトキシ化砂糖誘導体には、メチルグルコース誘導体が挙げられる。有用なメチルグルコース誘導体の代表的な非限定的リストには、メチルグルセス−10、メチルグルコース−20、メチルグルコース−20ジステアレート、メチルグルコースジオレエート(HLB、5)及びメチルグルコースセスキステアレート(HLB、6)、PEG−120メチルグルコースジオレエート及びPEG−20メチルグルコースセスキステアレートが含まれる。
【0030】
他の希釈剤又は希釈剤構成成分は、約3〜約10の、好ましくは約3〜約7.5のHLB値を有するモノ−、ジ−又はトリグリセリドを含んでもよく、これらは米国イリノイ州ノースフィールドのStephan CompanyからNEOBEE(登録商標)M−5カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドとして入手できるカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(HLB、5)、米国アリゾナ州チャンドラーのInternational Flora Technologies,LtdからFLORASUN 90として入手できるオレイン酸トリグリセリド(HLB、7)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
好ましくは、液体混合物は、約10〜約60wt%のワックス状構成成分及び約90〜約40wt%の希釈剤、より好ましくは約20〜約50wt%のワックス状構成成分及び約70〜約50wt%の希釈剤を含む。
【0032】
親水性及び親液性の希釈剤構成成分を含む希釈剤系は、下記の表1に示す範囲をとってよい。
【表1】

【0033】
本発明の液体組成物の調製の例を、ワックス状構成成分としてのグリセロールモノラウレートと複数の構成成分の希釈剤系を含む特定の系を参照にして以下に述べる。ワックス状構成成分が複数の場合でも又は希釈剤構成成分が1つだけの場合でも、他の液体組成物も同様に調製することができる。一般的に、希釈剤又は希釈剤系は、ワックス状構成成分が希釈剤と組み合わさって液化する温度に加熱される。構成成分が確実に十分均一になるように混合物を攪拌し、液体混合物が固化しない状態を保持し得る速さでワックス状構成成分を添加する。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、液体組成物はオレフィン性ジオールと界面活性剤とを、希釈剤を形成するために攪拌し約60℃まで加熱しながら、混ぜ合わせることにより調製することができる。攪拌を続けながらワックス状物質を希釈剤に加えてよく、加熱を継続してよい。グリセロールモノラウレート、PEG−400及びソルビタンモノオレエート(SPAN 80)の例では、グリセロールモノラウレートは、溶液の温度を52℃未満に低下させない速度で加えることができる。本発明者らは、この混合物が〜52℃で透明になり始め、55℃で完全に透明になることを見出した。溶液を約60℃に加熱することにより、コーティング組成物の完全な混合がほぼ保証できる。
【0035】
上記の説明に従い溶液を調製した後、溶液は基材に付けられる。有用な基材には、フィルム(例えば有孔又は無孔の)、布地(例えば織物、編物又は不織布)などが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムは比較的均質なフィルム、又はラミネーション、共押出及び他のフィルム成形法により形成される多層フィルムであってよい。フィルムは、ガスなどの流体、より好ましくは液体がフィルムを通り移動することを可能にする孔開であってよい。
【0036】
布地基材は、吸収性及び/又は非吸収性繊維を含んでよく、繊維は均質又は複数の構成成分であってよい。有用な繊維の代表的な非限定的リストには、セルロース、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタンなどが含まれるが、これらに限定されない。複数の構成成分の繊維は、2成分又はそれ以上でよく、鞘/芯構成、並列構成又は当業者が認識している他の構成を有してよい。
【0037】
有用な不織布の代表的な非限定的リストには、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、樹脂ボンド不織布、水流交絡不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布など、並びに有孔及び無孔フィルムが含まれる。
【0038】
コーティング組成物は、可撓性のシート状基材に当業者に公知の方法で付けられてよい。有用な付着方法の代表的な非限定的リストには、ディップ、液浸、ローラートランスファー、キスコーティング、スプレイ、ドクターブレード、グラビア、レリーフプリントなどが含まれる。
【0039】
コーティング組成物は、上述の加熱されたコーティング供給タンクのコーティングステーションに供給される。湿潤状態の基材がコーティング装置を離れる場合には、2つのローラーにより吊るされた状態で運ばれてよい。これにより幾らかは湿潤基材の初期空冷が行われ、コーティング組成物の基材からその周辺への移動が低減する。基材の1表面のみがコーティングされる場合には、基材のコーティングされていない表面を担持することが有益であり得る。基材の両面が含浸ないしは別の方法でコーティングされる場合には、ローラーを加熱し、先と同様にコーティング組成物の損失を最小限に抑えるために、コーティングを液体状態に保ってよい。また、コーティング装置と冷却装置間のこのような運搬ローラーを取り除くことが望ましいことがある。
【0040】
冷却装置100は、入口104及び出口106、基材運搬要素108、並びに温度制御の手段を有する筺体102を含む。コーティングされた基材110を出し入れする入口及び出口は、筺体内部とその周辺との温度交換を減らすために最小の間隙となる寸法とされる。運搬要素108は、コーティング組成物の損失を最小限に抑えるように配列され、構成されるローラーであってよい。再度、可能であれば、ローラーは通常、基材のコーティングされていない表面に乗せてよい。温度制御手段は、冷却源112、1つ以上の温度センサー(図示されていない)及びフィードバックループ、制御回路、計器、バルブなど(これらも図示されていない)を、冷却装置内の温度を一定に保つために含んでよい。冷却装置は、約−120℃未満、好ましくは約−180℃未満の温度で冷却源を有するように維持することが好ましい。これにより、冷却装置内に約−120℃未満に冷却したガスを供給することができる。冷却装置は、循環及び/又は換気要素を有することができる。冷却源は、任意の好適な冷却剤であってもよい。有用な冷却源の代表的な非限定的リストには、FREON(登録商標)、アンモニア、液体窒素などの液化ガスが含まれる。
【0041】
冷却装置100の幾つかの異なる実施形態を図2〜7に示す。図2を参照すると、筺体102の最上部に位置する入口104及び出口106を有する単純でコンパクトな冷却装置100が示されている。ローラー108は、コーティングされた基材110のコーティングされていない表面に接触するように配列されており、両ローラーともに基材を筺体102に導き、内部へ導入している。出口106から出た後でのみ、ローラー108は、可撓性でシート状基材のコーティングされた表面に接触する。液体窒素用の散布器などの冷却源112は、入口104に近接して設置される。コーティングされた基材110は約−20℃未満に冷却された後、図面の114に概略を示したステーションにおいて更に処理され得る堅牢で可撓性のシート状物質となる。
【0042】
図3を参照すると、別の垂直型冷却装置100が示されている。この実施形態では、入口104は筺体102の最上部に位置するが、一方出口106は底部に位置している。再度、出口106の近傍までは、ローラー108は、コーティングされた基材110のコーティングされていない表面に接触するように配列されている。複数の冷却源112が、入口104に近接して及び筺体102のほぼ中ほどに設置されている。
【0043】
図4は、図3の垂直型冷却装置100の別の実施形態を示す。この実施形態には、冷却源112の下方に設置された収集溝116が組み込まれている。収集溝116は、液体窒素などの液体冷却源が出口106に近づく時にコーティングされた基材の上に直接落ちることを防いでいる。
【0044】
図5は、図4の垂直型冷却装置の改良を示す。この実施形態では、出口106は、冷却装置100の底部のローラー108から上方向に角度が付けられている。これは冷たいガスが筺体102内に、より閉じ込められて留まることを可能にする。冷却源として液体窒素を使用する例では、この改良はすべての過剰液体を閉じ込めるのに役立ち、筺体102中でこれが蒸発し、冷却プロセスに加えることを可能とする。
【0045】
図6は、図2の冷却装置に類似の改良されたコンパクトな冷却装置を示す。しかし、収集溝116は、冷却源112の下方に設置されている。更にこの実施形態は、筺体102の底部にあるローラー108が基材のコーティングされた表面に、コーティング損失の大きな危険を伴うことなく接触できるように、コーティングされた基材110の十分な冷却を提供する。
【0046】
図7は、冷却装置の更なる他の改良を示す。この実施形態では、コーティングされていない基材118は、筺体102の下部を横切り、例えばキスコータ120によりコーティング組成物を付ける前に、予備冷却される。次いで、湿潤基材110は、他の点では図5の冷却装置と類似の冷却装置100の中に運ばれる。
【0047】
上に述べたように、冷却装置100を出た後、堅牢で可撓性のシート状物質は、図面の114に概略を示したステーションにおいて更に処理され得る。この更なる処理は、貯蔵及び/又は輸送のための切断及びスプール上への巻き取りを含んでよい。追加の更なる処理は、タンポンの製造に使用される、コーティングされた可撓性のシート状基材に特に適した、使い捨ての吸収性物品などの製造物品を形成するために他の要素と組み合わせることを含んでよい。
【0048】
本発明は本明細書においてこれまで述べてきた、構成体及び詳細が変化することのある、実施形態に限定されない。
【0049】
〔実施の態様〕
(1) 堅牢で、可撓性のシート状物質の製造プロセスであって、
a)ワックス付けしたウェブを形成するために、前記ウェブを35℃超〜約100℃の温度を有する液体に接触させワックス状組成物を前記ウェブに付ける工程であって、前記ワックス状組成物が、
i)約10〜60wt%のワックス状化合物であって、
A)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステルであって、前記モノエステルがその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、モノエステル、
B)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのジエステルであって、前記ジエステルがその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、ジエステル、並びに
C)前記モノエステル及びジエステルの混合物、からなる群から選択される、約10〜60wt%のワックス状化合物と、
ii)約90〜40wt%の希釈剤と、を含み、
コーティングが、約35℃〜約100℃の温度で安定な液体混合物を形成し、少なくとも約30℃の液化温度を有し、60℃の温度で測定した場合に前記基材の平らな表面と約35°未満の接触角を有している、工程と、
b)前記ワックス付けしたウェブを、少なくとも1つのローラーを経て、約−120℃未満の温度を有する冷却源を有する冷却装置へ導く工程と、
c)前記ワックス付けしたウェブを冷却する工程と、
d)前記ワックス付けしたウェブを、更なる処理のために前記ワックス付けしたウェブを回収する回収ステーションに導く工程と、を含む、プロセス。
(2) ワックス状組成物を前記ウェブに付け、ワックス付けしたウェブを形成する前記工程が、前記ウェブを約45℃〜約75℃の温度を有する液体に接触させる工程を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記冷却源が約−150℃未満の温度を有する、実施態様1に記載のプロセス。
(4) 前記ワックス付けしたウェブが、約−20℃未満の温度に冷却される、実施態様1に記載のプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堅牢で、可撓性のシート状物質の製造プロセスであって、
a)ワックス付けしたウェブを形成するために、前記ウェブを35℃超〜約100℃の温度を有する液体に接触させワックス状組成物を前記ウェブに付ける工程であって、前記ワックス状組成物が、
i)約10〜60wt%のワックス状化合物であって、
A)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステルであって、前記モノエステルがその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、モノエステル、
B)多価脂肪族アルコールと8〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸とのジエステルであって、前記ジエステルがその脂肪族アルコール残基に会合している少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、ジエステル、並びに
C)前記モノエステル及びジエステルの混合物、からなる群から選択される、約10〜60wt%のワックス状化合物と、
ii)約90〜40wt%の希釈剤と、を含み、
コーティングが、約35℃〜約100℃の温度で安定な液体混合物を形成し、少なくとも約30℃の液化温度を有し、60℃の温度で測定した場合に前記基材の平らな表面と約35°未満の接触角を有している、工程と、
b)前記ワックス付けしたウェブを、少なくとも1つのローラーを経て、約−120℃未満の温度を有する冷却源を有する冷却装置へ導く工程と、
c)前記ワックス付けしたウェブを冷却する工程と、
d)前記ワックス付けしたウェブを、更なる処理のために前記ワックス付けしたウェブを回収する回収ステーションに導く工程と、を含む、プロセス。
【請求項2】
ワックス状組成物を前記ウェブに付け、ワックス付けしたウェブを形成する前記工程が、前記ウェブを約45℃〜約75℃の温度を有する液体に接触させる工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記冷却源が約−150℃未満の温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ワックス付けしたウェブが、約−20℃未満の温度に冷却される、請求項1に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−510001(P2012−510001A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537611(P2011−537611)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065104
【国際公開番号】WO2010/059798
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】