説明

冷却装置およびこれを用いた発熱体収容装置

【課題】本発明は冷却装置およびこれを用いた発熱体収容装置に関するもので、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、過度の冷却を防止することを目的とするものである。
【解決手段】蒸発器(8a,8b)と凝縮器(9a,9b)を冷媒配管により環状に連結した自然循環式ループ型サーモサイフォン(10a、10b)を備え、蒸発器(8a,8b)への通風のための第一の流入口(内気流入口16)および第一の流出口(内気流出口17)と凝縮器(9a,9b)への通風のための第二の流入口(外気流入口18)および第二の流出口(外気流出口19)を備え、蒸発器カバー11と凝縮器カバー12の間には蒸発器側風路14と凝縮器側風路15を仕切るための仕切部材(仕切り板13)を備え、外気流入口18と外気流出口19の間に1つ以上の曲折部を設け、必要以上の外気が凝縮器に通風されにくい構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置およびこれを用いた発熱体収容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱体収容装置、例えば、通信装置の基地局は、雨風から通信機を保護するために、この通信機を本体ケース内に収納させている。
【0003】
そして、この通信機の動作に伴う発熱は、本体ケース内に設けた冷却装置によって行っている。
【0004】
冷却装置としては、例えば、コンプレッサを用いた強制循環式のヒートポンプを設け、その蒸発器で通信機の熱を吸収し、蒸発器により本体ケース外に熱を放出することで、通信機の冷却を行っていた。
【0005】
しかしながら、強制循環式のヒートポンプではコンプレッサの運転に伴う電力消費が大きくなるので、そこに自然循環式ループ型サーモサイフォン(例えば下記特許文献1)を用いられることがある。
【0006】
つまり、本体ケースを機能動作部収納室と冷却部収納室に分離し、前記機能動作部収納室内に通信機と第一の送風ファンを収納させ、前記本体ケース内の前記冷却部収納室内には第二の送風ファンを収納させる。
【0007】
そして、その状態で、前記機能動作部収納室内に自然循環式ループ型サーモサイフォンの蒸発器を配置し、前記冷却部収納室内に自然循環式ループ型サーモサイフォンの凝縮器を配置するのである。
【0008】
ただし、自然循環式ループ型サーモサイフォンの場合、冷媒が蒸発器および凝縮器への通風により自然に循環するため、過渡に冷却するケースがあり、冷却能力を制御するために蒸発器と凝縮器を連結する配管の途中に流量制御用のバルブ(例えば下記特許文献2)等を用いる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−259889号公報
【特許文献2】特開平7−120178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の自然循環式ループ型サーモサイフォンを用いたものでは、前記機能動作部収納室内において第一の送風ファンを駆動させることで通信機の熱を自然循環式ループ型サーモサイフォンの蒸発器に与えてその内部の冷媒をガス化させる。
【0011】
蒸発した冷媒は、蒸発器と凝縮器を連結する配管内を上昇し、冷却部収納室内の凝縮器に到達する。
【0012】
この凝縮器には第二の送風ファンから送風されているので、ここでガス化した冷媒を外気で冷却して液化させ、凝縮器と蒸発器を連結する配管内を下方の蒸発器へと下降させ、そこで通信機の冷却を行うものである。
【0013】
冷媒の循環が自然循環のため、機能動作部収納室内に収容されている通信機の発熱量や外気温度の状況によって、必要に応じて第一の送風ファンおよび第二の送風ファンの回転数を制御し、冷却能力を制御している。しかし、本体ケース外から前記冷却部収納室に吹き込む風が強いと、第二の送風ファンによる必要通風量以上の外気が通風され、この風で冷却部収納室内の凝縮器の冷却が進んでしまう。その結果として前記機能動作部収納室内の通信機が過度に冷却されるケースがあるため、状況に応じて、冷媒配管に設けたバルブにより冷媒の循環量を制御する。
【0014】
さて、このように過渡な冷却を防止するためのバルブを設けた場合、バルブ全開時においてもバルブの圧力損失の影響により、バルブを設けていない場合に対して、能力が低下する場合がある。
【0015】
そして、その能力低下を補うために蒸発器、凝縮器のサイズを大きくし、冷却装置の大型化が必要になることがある。
【0016】
そこで本発明は、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そして、この目的を達成するために本発明は、1つもしくは複数の蒸発器と1つもしくは複数の凝縮器を備え、前記蒸発器と前記凝縮器を冷媒配管により環状に連結した自然循環式ループ型サーモサイフォンを備え、前記蒸発器は蒸発器カバーにより覆い、前記蒸発器カバーには前記蒸発器への通風のための第一の流入口および第一の流出口を備え、前記凝縮器は凝縮器カバーにより覆い、前記凝縮器カバーには前記凝縮器への通風のための第二の流入口および第二の流出口を備え、前記蒸発器カバーと前記凝縮器カバーの間には蒸発器側風路と凝縮器側風路を仕切るための仕切部材を備え、前記第二の流入口から前記第二の流出口に至るまでの風路に1つ以上の曲折部が設けられた構成とし、これにより所期の目的を達成するこのである。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明は、前記第二の流入口から前記第二の流出口に至るまでの風路に1つ以上の曲折部が設けられた構成としたことにより、強風時などにおいても必要以上の外気が冷却部収納室の凝縮器に通風されにくくなるため、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1を示す冷却装置とそれを用いた発熱体収容装置の斜視透視図
【図2】本発明の実施の形態1を示す冷却装置とそれを用いた発熱体収容装置の構成図
【図3】本発明の実施の形態2を示す冷却装置の斜視透視図
【図4】本発明の実施の形態2を示す冷却装置とそれを用いた発熱体収容装置の構成図
【図5】本発明の実施の形態3を示す冷却装置の斜視透視図
【図6】本発明の実施の形態3を示す冷却装置とそれを用いた発熱体収容装置の構成図
【図7】本発明の実施の形態4を示す冷却装置の斜視透視図
【図8】本発明の実施の形態5を示す冷却装置の斜視透視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の請求項1記載の冷却装置は、1つもしくは複数の蒸発器と1つもしくは複数の凝縮器を備え、前記蒸発器と前記凝縮器を冷媒配管により環状に連結した自然循環式ループ型サーモサイフォンを備え、前記蒸発器は蒸発器カバーにより覆い、前記蒸発器カバーには前記蒸発器への通風のための第一の流入口および第一の流出口を備え、前記凝縮器は凝縮器カバーにより覆い、前記凝縮器カバーには前記凝縮器への通風のための第二の流入口および第二の流出口を備え、前記蒸発器カバーと前記凝縮器カバーの間には蒸発器側風路と凝縮器側風路を仕切るための仕切部材を備え、前記第二の流入口から前記第二の流出口に至るまでの風路に1つ以上の曲折部が設けられた構成としたものである。
【0021】
これにより前記第二の流入口から前記第二の流出口への流れる風は強風などの影響を受けにくくなるため、必要以上の通風が行われにくくなり、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0022】
また、凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を同一面に設け、前記第二の流入口の上方に前記第二の流出口を設けた構成としたものである。
【0023】
これにより、前記第二の流入口と前記第二の流出口にかかる外風の影響は相殺され、強風などの影響を受けにくくなるため、必要以上の通風が行われにくくなり、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0024】
また、凝縮器を通過した空気が第二の流出口のある上方へ向かうように前記凝縮器を配置した構成としたものである。
【0025】
これにより、凝縮器を通過することで風向きを第二の流出口のある上方へ変更することができるため、風路容積を小さくすることができ、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0026】
また、凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を同一面に設け、前記第二の流入口の下方に前記第二の流出口を設けた構成としたものである。
【0027】
これにより、前記凝縮器を通過した外気が屋外に排気される際、仕切板表面を通過することで、仕切板を介して蒸発器風路側からの熱を吸熱することができるため、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0028】
また、凝縮器を通過した空気が第二の流出口のある下方へ向かうように前記凝縮器を配置した構成としたものである。
【0029】
これにより、凝縮器を通過することで風向きを第二の流出口のある下方へ変更することができるため、風路容積を小さくすることができ、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0030】
また、凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を互いに隣接する面にそれぞれ設け、凝縮器側風路を略L字状の構成としたものである。
【0031】
これにより、前記第二の流入口から前記第二の流出口への流れる風は強風などの影響を受けにくくなるため、必要以上の通風が行われにくくなり、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0032】
また、複数の凝縮器を備え、凝縮器カバー内に前記凝縮器カバー内を複数の凝縮器区画に分割する分割部材を備え、前記複数の凝縮器区画に前記凝縮器を配置した構成としたものである。
【0033】
これにより、それぞれの凝縮器に外気が通風されるため、冷却能力が向上することになり、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0034】
また、凝縮器を通過した空気の流れが仕切板の方向へ向かうように前記凝縮器を配置した構成としたものである。
【0035】
これにより、前記凝縮器を通過した外気が屋外に排気される際、仕切板表面を通過することで、仕切板を介して蒸発器風路側からの熱を吸熱することができるため、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0036】
また、蒸発器への通風を行うための第一の送風ファンを蒸発器カバー内に備え、凝縮器への通風を行うための第二の送風ファンを凝縮器カバー内に備えた構成としたものである。
【0037】
これにより、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0038】
また、機能動作部収納室と冷却部収納室を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記機能動作部収納室内に収納された機能動作部を備え、前記機能動作部収納室内に上記記載の冷却装置の蒸発器を配置した構成としたものである。
【0039】
これにより、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却が行われることを防止することができる。
【0040】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1および図2は本発明を、発熱体収容装置の一例として、例えば、通信装置の基地局に採用したものを示すもので、本体ケース1は下方の機能動作部収納室2と、情報の冷却部収納室3を有する。
【0042】
また、機能動作部収納室2内には、機能動作部として通信機4と第一送風ファン5が収納され、さらに、冷却部収納室3内には第二送風ファン6が収納されている。
【0043】
冷却装置7は、蒸発器8aと凝縮器9a、蒸発器8bと凝縮器9bをそれぞれ冷媒配管により環状に連結した複数の自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bを備えている。蒸発器8a、8bは、蒸発器カバー11により覆われ、凝縮器9a、9bは凝縮器カバー12により覆われている。そして、蒸発器カバー11と凝縮器カバー12との間には、仕切板13を設け、蒸発器側風路14と凝縮器側風路15が形成されている。
【0044】
この状態において、蒸発器側風路14を流れる第一の流入口(以降、内気流入口16)と第一の流出口(以降、内気流出口17)は、蒸発器8a、8bの風上側および風下側の蒸発器カバー11に設けられている。第二の流入口(以降、外気流入口18)と第二の流出口(以降、外気流出口19)は、同一面である凝縮器カバー12の正面に設けられ、凝縮器側風路15の入口・出口となっている。外気流出口19は、外気流入口18の上方に設けられ、外気流入口18と外気流出口19との間には、外気流入口18から凝縮器9a、9bまで外気を導き、凝縮器9a、9bを通過した外気を外気流出口19まで導くためのガイド板20を設けている。このように、凝縮器側風路15は、外気流入口18から外気流出口19まで直線でなく、曲折部を有した略U字の経路を形成している。すなわち、このガイド板20は、凝縮器カバー12の前面側の開口を二分して、外気流入口18と外気流出口19を形成している。そして、ガイド板20の背面側端部は、凝縮器カバー12の背面との間に空間を設けて、凝縮器側風路15の一部を形成している。
【0045】
以上の構成において、通信機4の冷却について説明する。通信機4を動かして機能動作部収納室2内の温度が上昇したときには、機能動作部収納室2内の第一送風ファン5と、冷却部収納室3内の第二送風ファン6をともに駆動する。
【0046】
すると、機能動作部収納室2内では第一送風ファン5による空気の循環が行われ、その風に通信機4の熱が奪われる。
【0047】
そして、この温度上昇した風は、次に自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの蒸発器8a、8bを通過することで、その内部の冷媒をガス化させる。一方、この冷媒のガス化により機能動作部収納室2内の空気(以降、内気)は冷却され、これにより通信機4の効果的な冷却が行われる。
【0048】
蒸発器8a、8bでガス化した冷媒は、冷媒配管を上昇し、凝縮器9a、9bに到達する。
【0049】
この凝縮器9a、9bでは第二送風ファン6により、外気が本体ケース1に設けた通気口21、外気流入口18を通り凝縮器カバー12内に導入され、これが凝縮器9a、9bに吹きつけられ、これによりガス化した冷媒は冷却されて液化する。
【0050】
そして、この液化した冷媒は、次に冷媒配管を下降して再び蒸発器8a、8bに到達する。つまり、冷媒の自然循環が行われるようになっている。
【0051】
凝縮器9a、9bを通過した外気は、その後、略U字状の凝縮器側風路15を通過し、外気流入口18と同一面に設けられた外気流出口19から屋外に排気される。
【0052】
冷却能力は、蒸発器8a、8bへの通風量および凝縮器9a、9bの通風量を第一送風ファン5および第二送風ファン6の回転数を変化させることにより制御される。
【0053】
外気温度が高い場合や通信機4の発熱量が多く、機能動作部収納室2内が高温の場合、第一送風ファン5および第二送風ファン6の回転数は高回転で運転され、冷媒の循環量も増大し高い冷却能力が発揮される。しかし、冷媒回路にはバルブ等の冷媒の循環を阻害する要因がないため、冷却能力の低下や蒸発器8a、8bおよび凝縮器9a、9bを大型化することがなく、必要以上に製品サイズを大型化することなく、高い冷却能力を発揮することができる。
【0054】
そして、外気温度が低い場合や通信機4の発熱量が少ない場合は、第一送風ファン5および第二送風ファン6の回転数を低下させ、冷却能力を下げることになる。
【0055】
冬季など外気温度が極端に低く、また通信機4の発熱量もほとんどなく、通信機4の冷却がほとんど不要の場合、第二送風ファン6の運転を停止し、その冷却能力を下げることになる。ただし、機能動作部収納室2内においては、通信機4の局所的な温度上昇を避けるために、第一送風ファン5は運転している。
【0056】
さて、本体ケース1が設置されている環境において、強風が吹いている場合の動作を説明する。すなわち、外気流入口18および外気流出口19のある面に向かって風が吹いている場合、外気流入口18に向かって強風が吹き付けられるが、同時に外気流出口19にも強風が吹きつけられる。そのため、外風の影響は相殺され凝縮器9a、9bに通風される通風量は、外風の影響を受けず、第二送風ファン6による通風量とほぼ等しい風量となる。また、第二送風ファン6が停止している場合は、凝縮器9a、9bに通風される通風量はほとんどなくなる。そのため、自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの冷媒の流れが必要以上に循環されることなく、この結果として通信機4が過度に冷却され、その結果として通信機4は、安定して動作することができる。
【0057】
(実施の形態2)
図3および図4において、図1および図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図3および図4において、凝縮器9a、9bは、液側となる下側端部(または気体側となる上側端部)を凝縮器カバー12の背面側(外気流入口18および外気流出口19と対向する面)に位置するように配置する。そして、逆の上側端部(または下側端部)をガイド板20の背面側端部近傍に設ける。(すなわち、図4に示すように、ガイド板20の下側に凝縮器9a、9bを設ける場合には、凝縮器9a、9bの下側端部を凝縮器カバー12の背面側に配置し、凝縮器9a、9bの上側端部をガイド板20の背面側端部近傍に設ける。一方、図示しないが、ガイド板20の上側に凝縮器9a、9bを設ける場合には、凝縮器9a、9bの上側端部を凝縮器カバー12の背面側に配置し、凝縮器9a、9bの下側端部をガイド板20の背面側端部近傍に設ける。)。
【0059】
そして、外気流入口18と外気流出口19との間に設けたガイド板20によって、外気流入口18および外気流出口19が設けられた面から凝縮器9aまで設けられ、略U字の凝縮器側風路15が形成されている。
【0060】
以上の構成において、本体ケース1に設けられた通気口21から凝縮器カバー12内に導入された外気は、凝縮器9a、9bを通過する際、外気流出口19のある上向きに流れが偏向されるため、凝縮器側風路15内に風向を偏向する部分を設ける必要がなく、必要以上に製品サイズを大型化することがなくなる。
【0061】
凝縮器9a、9bを通過し、風向が偏向された外気は、その後、ガイド板20により外気流入口18と同一面に設けられた外気流出口19へ導かれ、屋外へ排気される。
【0062】
(実施の形態3)
図5および図6において、図1、図2、図3および図4と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
図5および図6において、凝縮器側風路15を流れる外気の外気流入口18と外気流出口19は同一面である凝縮器カバー12の正面に設けられ、外気流出口19は外気流入口18の下方に設けられている。凝縮器9a、9bは、凝縮器9a、9bを通過した外気が外気流出口19が設けられている下向きに流れるように、凝縮器カバー12内に設けられている。外気流入口18と外気流出口19との間には外気流入口18から凝縮器9a、9bまで外気を導き、凝縮器9a、9bを通過した外気を外気流出口19まで導くためのガイド板20が設けられ、略U字の凝縮器側風路15が形成されている。
【0064】
以上の構成において、通信機4の冷却を行った内気は、内気流入口16より蒸発器カバー11内に導入され、その後、蒸発器8a、8bを通過することで冷却される。
【0065】
一方、外気流入口18より凝縮器カバー12内に導かれた外気は、凝縮器9a、9bを通過する際、外気流出口19のある下向きに流れが偏向され、その後、仕切板13とガイド板20に沿って外気流出口19へ導かれる。
【0066】
凝縮器9a、9bを通過する際、外気流出口19のある下向きに流れが偏向されるため、凝縮器側風路15内に風向を偏向する部分を設ける必要がなく、必要以上に製品サイズを大型化することがなくなる。
【0067】
蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、仕切板13を上面とする風路を通過する。このとき、仕切板13の上方には凝縮器9a、9bを通過した後の外気が通風されている。そのため、蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、さらに仕切板13を介して外気と熱交換を行い、冷却されることになる。従って、蒸発器8a、8bおよび凝縮器9a、9bを大型化することがなく、必要以上に製品サイズを大型化することなく、高い冷却能力を発揮することができる。
【0068】
仕切板13を介して熱交換を行った後の外気は、その後、外気流入口18と同一面に設けられた外気流出口19へ導かれ、屋外へ排気される。
【0069】
外気流入口18と外気流出口19は同一面に設けられているため、外風の影響は相殺され凝縮器9a、9bに通風される通風量は、外風の影響を受けにくくなる。そのため、自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの冷媒の流れが必要以上に循環されることなく、この結果として通信機4が過度に冷却され、その結果として通信機4は安定して動作することになる。
【0070】
(実施の形態4)
図7において、図1、図2、図3、図4、図5および図6と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0071】
図7において、蒸発器側風路14を流れる内気流入口16と内気流出口17は蒸発器8a、8bの風上側および風下側の蒸発器カバー11に設けられている。
【0072】
凝縮器側風路15を流れる外気の外気流入口18は凝縮器カバー12の正面に設けられ、外気流出口19a、19bは、凝縮器カバー12の正面と隣接する両側面にそれぞれ設けられており、凝縮器側風路15は略L字上の風路が形成されている。
【0073】
凝縮器9a、9bは、凝縮器9a、9bを通過した外気が仕切板13のある下向きに流れるように、凝縮器カバー12内に設けられている。
【0074】
以上の構成において、通信機4の冷却を行った内気は、内気流入口16より蒸発器カバー11内に導入され、その後、蒸発器8a、8bを通過することで冷却される。
【0075】
一方、外気流入口18より凝縮器カバー12内に導かれた外気は、凝縮器9a、9bを通過する際、仕切板13のある下向きに流れが偏向されることになる。その後、凝縮器カバー12と仕切板13によって形成された略L字上の風路を通り、凝縮器カバー12の両側面に形成された外気流出口19a、19bへ導かれる。
【0076】
蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、仕切板13を上面とする風路を通過する。このとき、仕切板13の上方には凝縮器9a、9bを通過した後の外気が通風されている。そのため、蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、さらに仕切板13を介して外気と熱交換を行い冷却されることになる。従って、蒸発器8a、8bおよび凝縮器9a、9bを大型化することがなく、必要以上に製品サイズを大型化することなく、高い冷却能力を発揮することができる。
【0077】
仕切板13を介して熱交換を行った後の外気は、その後、凝縮器カバー12の両側面に設けられた外気流出口19a、19bへ導かれ、屋外へ排気される。
【0078】
外気流入口18と外気流出口19a、19bは、略L字状の風路の両端に配置し、略L字状の凝縮器側風路15を形成する。この構成により、外気流入口18に向かって強風が吹いた場合でも、外気は凝縮器側風路15を通過しにくくなる。また、外気流出口19aまたは外気流出口19bに向かって強風が吹いた場合、外気は、凝縮器側風路15に沿って曲がった後、凝縮器9a、9bを経由して外気流入口18から流出するよりも、直線状に位置する反対側の外気流出口19b(または外気流出口19a)から流出するほうが流れやすくなる。すなわち、凝縮器9a、9bを外気が通過しにくくなり、凝縮器9a、9bに通風される通風量は、外風の影響を受けにくくなる。従って、自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの冷媒の流れが必要以上に循環されることなく、この結果として通信機4が過度に冷却され、その結果として通信機4は安定して動作することになる。
【0079】
(実施の形態5)
図8において、図1、図2、図3、図4、図5、図6および図7と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0080】
図8において、蒸発器側風路14を流れる内気流入口16と内気流出口17は蒸発器8a、8bの風上側および風下側の蒸発器カバー11に設けられている。
【0081】
凝縮器カバー12の中央には、凝縮器カバー12内をそれぞれ独立した2区画に分割するための分割板22が、凝縮器カバー12の両側面の中間に凝縮器カバー12の両側面と平行に設けられている。
【0082】
凝縮器側風路15を流れる外気の外気流入口18は、凝縮器カバー12の正面に凝縮器カバー12内の2区画に連通するように設けられている。外気流出口19a、19bは、凝縮器カバー12の正面と隣接する両側面にそれぞれ設けられており、凝縮器側風路15は略L字上の風路が形成されている。
【0083】
凝縮器9a、9bは、凝縮器カバー12内の2区画それぞれに、凝縮器9a、9bを通過した外気が仕切板13のある下向きに流れるように設けられている。
【0084】
また、蒸発器側風路14の蒸発器8bと内気流出口17の間には第一送風ファン5が収納されており、凝縮器側風路15aの凝縮器9aと外気流出口19aの間、および凝縮器側風路15bの凝縮器9bと外気流出口19bの間には、第二送風ファン6a、6bが収納されている。
【0085】
以上の構成において、通信機4の冷却を行った内気は、内気流入口16より蒸発器カバー11内に導入され、その後、蒸発器8a、8bを通過することで冷却される。
【0086】
一方、外気流入口18より凝縮器カバー12内の2区画に導かれた外気は、凝縮器9a、9bのそれぞれを通過する際、仕切板13のある下向きに流れが偏向されることになる。その後、凝縮器カバー12と仕切板13によって形成された略L字上の凝縮器側風路15a、15bを通り、凝縮器カバー12の両側面に形成された外気流出口19a、19bへ導かれる。
【0087】
蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、仕切板13を上面とする風路を通過する。このとき、仕切板13の上方には凝縮器9a、9bを通過した後の外気が通風されているため、蒸発器8a、8bを通過した後の内気は、さらに仕切板13を介して外気と熱交換を行って冷却されることになる。そのため、蒸発器8a、8bおよび凝縮器9a、9bを大型化することがなく、必要以上に製品サイズを大型化することなく、高い冷却能力を発揮することができる。
【0088】
また、凝縮器9a、9bを凝縮器カバー12内の互いに独立した区画にそれぞれ配置することにより、凝縮器9a、9bが並列配置となる。すなわち、それぞれに外気が並行して流れることになるため、自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの合計能力は、凝縮器9a、9bを直列に配置した場合よりも高い冷却能力を得ることができる。従って、蒸発器8a、8bおよび凝縮器9a、9bを大型化することがなく、必要以上に製品サイズを大型化することなく、高い冷却能力を発揮することができる。
【0089】
仕切板13を介して熱交換を行った後の外気は、その後、凝縮器カバー12の両側面に設けられた外気流出口19a、19bへ導かれ、屋外へ排気される。
【0090】
また、第一送風ファン5および第二送風ファン6を、それぞれ冷却装置7の蒸発器カバー11および凝縮器カバー12内に収容することで、必要以上に製品サイズを大型化することなく高い冷却能力を発揮することができる。そして、発熱体収容装置としても第一送風ファン5およぶ第二送風ファン6の設置スペースを省略することができ、必要以上に大型化することがなくなる。
【0091】
外気流入口18と外気流出口19a、19bは、略L字状の風路の両端に配置し、略L字状の凝縮器側風路15a、1bを形成する。この構成により、外気流入口18および外気流出口19a、19bに向かって強風が吹いた場合、外気は、凝縮器側風路15を通過しにくくなり、凝縮器9a、9bに通風される通風量は、外風の影響を受けにくくなる。従って、自然循環式ループ型サーモサイフォン10a、10bの冷媒の流れが必要以上に循環されることなく、この結果として通信機4が過度に冷却され、その結果として通信機4は安定して動作することになる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように本発明は、1つもしくは複数の蒸発器と1つもしくは複数の凝縮器を備え、前記蒸発器と前記凝縮器を冷媒配管により環状に連結した自然循環式ループ型サーモサイフォンを備え、前記蒸発器は蒸発器カバーにより覆い、前記蒸発器カバーには前記蒸発器への通風のための第一の流入口および第二の流出口を備え、前記凝縮器は凝縮器カバーにより覆い、前記凝縮器カバーには前記凝縮器への通風のための第二の流入口および第二の流出口を備え、前記蒸発器カバーと前記凝縮器カバーの間には蒸発器側風路と凝縮器側風路を仕切るための仕切部材を備えた冷却装置において、前記第二の流入口と前記第二の流出口が直線上に配置されていない構成としたものであるので、冷却能力の低下や、製品サイズの大型化をすることなく、強風時などにおいても過度の冷却を防止することができる。
【0093】
従って、各種発熱体収容装置の冷却装置として広く活用が期待される。
【符号の説明】
【0094】
1 本体ケース
2 機能動作部収納室
3 冷却部収納室
4 通信機
5 第一送風ファン
6 第二送風ファン
6a、6b 第二送風ファン
7 冷却装置
8a、8b 蒸発器
9a、9b 凝縮器
10a、10b 自然循環式ループ型サーモサイフォン
11 蒸発器カバー
12 凝縮器カバー
13 仕切板
14 蒸発器側風路
15 凝縮器側風路
15a、15b 凝縮器側風路
16 内気流入口
17 内気流出口
18 外気流入口
19 外気流出口
19a、19b 外気流出口
20 ガイド板
21 通気口
22 分割板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つもしくは複数の蒸発器と1つもしくは複数の凝縮器を備え、前記蒸発器と前記凝縮器を冷媒配管により環状に連結した自然循環式ループ型サーモサイフォンを備え、前記蒸発器は蒸発器カバーにより覆い、前記蒸発器カバーには前記蒸発器への通風のための第一の流入口および第一の流出口を備え、前記凝縮器は凝縮器カバーにより覆い、前記凝縮器カバーには前記凝縮器への通風のための第二の流入口および第二の流出口を備え、前記蒸発器カバーと前記凝縮器カバーの間には蒸発器側風路と凝縮器側風路を仕切るための仕切部材を備えた冷却装置において、前記第二の流入口から前記第二の流出口に至るまでの風路に1つ以上の曲折部が設けられたことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を同一面に設け、前記第二の流入口の上方に前記第二の流出口を設けたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
凝縮器を通過した空気が第二の流出口のある上方へ向かうように前記凝縮器を配置したことを特徴とする請求項2記載の冷却装置。
【請求項4】
凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を同一面に設け、前記第二の流入口の下方に前記第二の流出口を設けたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項5】
凝縮器を通過した空気が第二の流出口のある下方へ向かうように前記凝縮器を配置したことを特徴とする請求項4記載の冷却装置。
【請求項6】
凝縮器への通風のための第二の流入口と第二の流出口を互いに隣接する面にそれぞれ設け、凝縮器側風路を略L字状としたことを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項7】
複数の凝縮器を備え、凝縮器カバー内に前記凝縮器カバー内を複数の凝縮器区画に分割する分割部材を備え、前記複数の凝縮器区画に前記凝縮器を配置したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項8】
凝縮器を通過した空気の流れが仕切板の方向へ向かうように前記凝縮器を配置したことを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項9】
蒸発器への通風を行うための第一の送風ファンを蒸発器カバー内に備え、凝縮器への通風を行うための第二の送風ファンを凝縮器カバー内に備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項10】
機能動作部収納室と冷却部収納室を有する本体ケースと、
この本体ケース内の前記機能動作部収納室内に収納された機能動作部と
請求項1〜9いずれか一つに記載の冷却装置を備え、
前記機能動作部収納室内に前記蒸発器を配置し、前記冷却部収納室内に前記凝縮器を配置した発熱体収容装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−198000(P2012−198000A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63819(P2011−63819)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)