冷却装置
【課題】サーモサイフォンを用いて冷媒が自然対流する自然循環回路において、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトな冷却装置を提供する。
【解決手段】二次冷却装置40は、気相二次冷媒を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒を気化する蒸発器EPを備える。二次冷却装置40は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備える複数の自然循環回路48が設けられる。蒸発器EPには、各自然循環回路48の蒸発経路52が上下に離間して層状に設けられる。蒸発経路52は、二次冷媒が流通する蒸発管の外周にフィンを螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器で構成される。
【解決手段】二次冷却装置40は、気相二次冷媒を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒を気化する蒸発器EPを備える。二次冷却装置40は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備える複数の自然循環回路48が設けられる。蒸発器EPには、各自然循環回路48の蒸発経路52が上下に離間して層状に設けられる。蒸発経路52は、二次冷媒が流通する蒸発管の外周にフィンを螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器で構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換部と蒸発器との間の温度勾配を利用して、冷媒を自然対流させる自然循環回路を備えた冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒を自然対流させるサーモサイフォンを用いた冷却装置が、冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備に採用されている(例えば、特許文献1参照)。サーモサイフォンを用いた冷却装置は、図20に示すように、気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする凝縮器64と、この凝縮器64の下方に配置されて、液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器66とを有し、液化冷媒を凝縮器64から蒸発器66へ液配管68を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器66から凝縮器64へガス配管70を介して流通させる自然循環回路72が構成される。
【0003】
前記凝縮器64および蒸発器66では、内部に設けた冷媒経路64a,66aを流通する冷媒が外気や水等の他の媒体と熱交換することで、冷媒が凝縮または蒸発するようになっている。すなわち、冷却装置の冷却効率は、冷媒と他の媒体との間で交換される熱量に依存するので、冷却装置では、凝縮器64および蒸発器66に蛇行状の冷媒経路64a,66aを設けることで、冷媒経路64a,66aと他の媒体との接触面積(以下、熱交換面積という)を大きくしている。
【0004】
また、前記蒸発器66の形態としては、複数の平行な平板状のフィンを貫通する直線配管と、該直線配管の端部に溶接されるU字状に折れ曲ったベンド部とから、冷媒経路66aを蛇行状に形成した所謂フィンアンドチューブ型の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1参照)。このフィンアンドチューブ型の熱交換器は、配管密度を比較的容易に向上させ得る特徴があることから、空冷式の熱交換器として広く採用されている。また、蒸発器の別形態として、冷媒が流通する蒸発管の外周囲にフィンを螺旋状に巻き付けると共に蛇行状に折り曲げたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−96463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記冷却装置では、所要の冷却効率が得られる熱交換面積を確保するために必要な配管長を設定すると、冷媒経路64a,66aが長くなって該経路64a,66aにおける冷媒の流通抵抗が大きくなると共に、長くなる冷媒経路64a,66aをコンパクトにするのに冷媒経路64a,66aの屈曲部分が多くなるので、冷媒の流通抵抗が更に大きくなる。また冷却装置の如くサーモサイフォンを用いた方式では、凝縮器64と蒸発器66との間の温度勾配を利用して冷媒を自然対流する構成であるから、冷媒をポンプ等で強制循環させる方式と比べて冷媒の循環力が弱く、僅かな圧力損失や冷媒に対する流れ抵抗によって、冷媒の円滑な流動が大きく妨げられる。そして、冷媒経路64a,66aにおいて、冷媒の流動が円滑に行なわれなくなると、蒸発器66を含む自然循環回路72内での冷媒の循環が悪くなったり、冷媒が逆流したりして冷熱の運搬能力が低下し、対象を効率よく冷却できない問題が生じる。そこで、前記冷却装置では、冷却効率を低下させないために、冷媒の循環量に応じて冷媒経路64a,66aの断面積を大きく設定して冷媒の流通抵抗を減少させることで、僅かな圧力損失に大きな影響を受ける冷媒の流動状態を安定させる必要がある。しかし、冷媒経路64a,66aを構成する配管が大径化することで、冷媒経路を形成する上での制約が大きくなると共に、凝縮器64や蒸発器66の大型化を招き、コストの上昇に繋がってしまう。
【0007】
ここで、前記フィンアンドチューブ型の熱交換器は、配管の密度を上げることができる反面、直線配管とベンド部とを溶接するため、冷媒の流通経路内に複数の溶接部が存在し、冷媒漏れに対する信頼性が低い難点がある。しかも、フィンアンドチューブ型の熱交換器では、熱交換効率を向上するべく平板状の各フィンの間隔を狭くすると、平板状の各フィンが隣り合う全ての直線配管に接続されているため、隣り合う直線配管の間のフィンにも霜が成長し易く、配管間の隙間が霜で塞がれて空気の流れを阻害する問題を招き易い構造であった。
【0008】
これに対し、前記スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、フィンアンドチューブ型の熱交換器とは異なり、その製造過程で配管同士の溶接や配管の拡管加工を行なう必要がなく、製造工程が大きく簡素化されると共に、冷媒の流通経路内に配管の溶接部が存在しないから冷媒漏れに対する信頼性も高い利点がある。またスパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、蒸発管にフィンを螺旋状に巻き付ける構造であるため、熱交換効率を向上するべくフィンの螺旋ピッチを狭くしても、隣り合う直線配管のフィンが相互に接触していないため、該フィンに霜が成長したとしても配管間の隙間は塞がれ難く、着霜による目詰りが発生し難い構造である
【0009】
しかしながら、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、フィンを巻きつけた後に蒸発管を曲げ加工するため、前述したように冷媒の流通抵抗を減少させるために蒸発管を大径化すると、最小曲げ半径が大きくなり、配管密度が疎な状態となるので、蒸発器のコンパクト化が困難であった。このため、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同程度まで蒸発管の配管密度を上げることは難しく、サーモサイフォンを用いた冷却装置の蒸発器としては、フィンアンドチューブ型の熱交換器に対してコスト、冷媒漏れに対する信頼性、および霜による目詰り抑制等の点で優れているスパイラルフィンチューブ型の熱交換器を採用していないのが現状である。
【0010】
前述したような冷却装置による冷却効率を向上するための構成や、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、熱交換器を大型化することで採用が可能となる。しかしながら、冷却装置が用いられる冷蔵庫では、その商品上の価値として庫内容積を大きくすることが挙げられ、これを確保するためには庫内熱交換器(蒸発器)をコンパクトに設計することが肝要であり、安易に熱交換器を大型化することは難しい。むしろ、潜在的には庫内熱交換器(蒸発器)を更にコンパクトに設計することが求められている。すなわち、限られた空間で効率よく熱交換を行なうための冷却装置が希求されているのが実状である。
【0011】
すなわち本発明は、従来の技術に係る冷却装置に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、サーモサイフォンを用いて冷媒が自然対流する自然循環回路において、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトな冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、内部の蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から前記蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路と、複数の自然循環回路の蒸発管の集合で構成される蒸発器とを備えると共に、各自然循環回路を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記各蒸発管は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管が接続されると共に、前記蒸発管における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管が接続され、
前記複数の蒸発管は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、夫々の自然循環回路が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。そして、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路を冷却装置に設けることで、必要とされる凝縮経路および蒸発経路を熱交換部および蒸発器に配置することができ、回路全体として必要とされる熱交換面積が担保される。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、各自然循環回路は互いに独立しているので、冷媒の偏流が生じ難く、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
また、蒸発管群を流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での熱交換効率を低下させることなく熱交換面積の小さな小径の蒸発管を採用することができ、蒸発器のコストを低減し得ると共によりコンパクト化を図り得る。更に、複数の蒸発管を相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置する構成により、これら複数の蒸発管が熱交換効率の高い蒸発器として機能する。
【0014】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、内部の蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から前記蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路は、複数の蒸発管の集合で構成される蒸発器と、該複数の蒸発管と同数の凝縮経路とを備えると共に、該自然循環回路を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記凝縮経路の流出端に接続する液配管を、当該凝縮経路の流入端に連結したガス配管が接続している蒸発管と別の蒸発管に接続すると共に、蒸発管の流出端に接続するガス配管を、当該蒸発管の流入端に連結した液配管が接続している凝縮経路と別の凝縮経路に接続して、全体として1つの自然循環回路を構成し、
前記各蒸発管は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管が接続されると共に、前記蒸発管における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管が接続され、
前記複数の蒸発管は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、経路や配管の分岐を伴わず全体として1つの自然循環回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。すなわち、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の凝縮経路および蒸発経路を適宜に配置することができる。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路を設けても、経路や配管の分岐を伴わずに全体として1つの自然循環回路となっているので、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路に対して冷媒がバランスよく流通して、冷媒の偏流が生じず、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
また、蒸発器を構成する蒸発管群を流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での熱交換効率を低下させることなく熱交換面積の小さな小径の蒸発管を採用することができ、蒸発器のコストを低減し得ると共によりコンパクト化を図り得る。更に、複数の蒸発管を相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置する構成により、これら複数の蒸発管が熱交換効率の高い蒸発器として機能する。
【0016】
請求項3の発明では、前記蒸発経路の液配管が接続する流入端は、ガス配管が接続する流出端より下方に位置していることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、蒸発経路の流入端を流出端より下方に位置させることで、蒸発器で蒸発する冷媒の循環を速やかに行なうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、前記各蒸発管は、前記直線部分が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部によって蒸発管群を流通する空気の流れ方向において階段状に形成され、該階段状に形成された複数の蒸発管は、各段が上下の関係となるよう層状に配置されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、直線部分が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部によって蒸発管を階段状に形成することで、各蒸発管における熱交換長を、同一平面上で蛇行するよう形成した場合に比べて長くすることができ、同一能力の蒸発器を少ない本数の蒸発管で構成してコストを低減し得る。
【0018】
請求項5に係る発明では、前記蒸発管の外周囲に伝熱促進部材が配設されると共に、蛇行状に折り曲げられている該蒸発管における隣り合う直線部分の伝熱促進部材は相互に離間するよう構成され、
前記複数の蒸発管は、前記伝熱促進部材が相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器を採用することで、蒸発器のコストを低減し得ると共に、冷媒漏れに対する信頼性を向上することができ、更には熱交換効率の向上を図りつつ霜による目詰りの発生を抑制し得る。なお、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の懸念事項として、配管密度を上げ難い点が挙げられるが、冷媒として用いられる二酸化炭素の優れた伝熱性能が、配管密度の低い状態で形成された配管群の冷媒側の伝熱性能を補償するため、蒸発器として適切に機能しうる。
【0019】
請求項6に係る発明では、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路に対して、前記自然循環回路が前記熱交換部を介して熱的に接続されることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、所謂二次ループ式冷凍回路を構成した設備における二次側として自然循環回路を用いることで、所望の冷却効率を損なうことなく、設備全体をコンパクトで安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る冷却装置によれば、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施例1に係る冷却装置を冷却設備の二次回路として備えた冷蔵庫を示す側断面図である。
【図2】実施例1の冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図3】実施例1に係る蒸発経路を示す要部正面図である。
【図4】実施例1に係る蒸発経路を示す平面図である。
【図5】実施例1に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図6】本発明の好適な実施例2に係る冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図7】変更例に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図8】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図9】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図10】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図11】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図12】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図13】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図14】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図15】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図16】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図17】伝熱促進部材を設けない変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図18】伝熱促進部材を設けない変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図19】別の変更例に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図20】従来の技術に係る冷却装置の自然循環回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
昨今では、冷蔵庫や冷凍庫等の冷却装置を備えた設備において、冷媒としてのフロンの使用が地球温暖化防止の観点から制限されている。特に、業務用冷凍機器等の大型な設備では、フロンの使用量が多いことから、その使用量の削減またはノンフロン化への要望が非常に大きい。そこで、ノンフロン化を推進する上で有利な回路構成である二次ループ式冷凍回路が注目されている。二次ループ式冷凍回路は、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路とサーモサイフォンを用いて冷媒を自然対流させる二次側の回路との独立した2つの回路をカスケード熱交換器を介して接続したものであって、各回路に循環させる冷媒としてフロン以外の熱媒体を用いることができる。しかしながら、従来の二次ループ式冷凍回路は、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点を有しており、従来のフロンを用いた設備に対して大きさおよび価格的な競争力がなく、ノンフロン化の促進への妨げになっている。そこで、発明者は、所望の冷却効率を損なうことなく、コンパクトで安価な構成の本発明に係る冷却装置を発明した。例えば、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来のフロンを用いた設備と同等の大きさおよびコストで二次ループ式冷凍回路を備えた設備を設計することが可能となり、前記欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、本発明に係る冷却装置は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。このように、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来の二次ループ式冷凍回路の大型である欠点や高価である欠点を解消し、一般に普及し得る技術とすることができる非常に有意義な発明である。
【0023】
次に、本発明に係る冷却装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫を例に挙げ、この冷蔵庫の冷却設備として、本発明に係る冷却装置を二次側の回路に用いた所謂二次ループ冷凍回路を採用した場合について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に示すように、冷蔵庫10は、収納室14を内部画成した断熱構造の箱体(断熱箱体)12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設され、この開口部12aは、図示しないヒンジにより箱体12の前部に開閉可能に支持された断熱扉22で塞がれる。
【0025】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却設備32の一部および該冷却設備32を制御する制御用電装箱(図示せず)が配設される機械室20が画成される。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。
【0026】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した切欠口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの切欠口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(図1参照)。
【0027】
図2は、二次側の回路として実施例1に係る二次冷却装置(冷却装置)40を備える冷却設備32を示す概略回路図である。図2に示す如く、冷却設備32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置40とを、カスケード熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。カスケード熱交換器HEは、機械室20に設置され、一次冷却装置34を構成する一次熱交換部36と、この一次熱交換部36と別系統に形成されて、二次冷却装置40を構成する二次熱交換部(熱交換部)42とを備えている。すなわち、一次冷却装置34および二次冷却装置40には、独立した冷媒が循環する回路が夫々形成され、二次冷却装置40を循環する二次冷媒(冷媒)としては、粘性が低くかつ熱伝達率が高い特性を有し、更に毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用される。これに対し、一次冷却装置34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等のHC系の冷媒またはアンモニアなどが採用され、実施例1ではイソブタンやプロパンが用いられている。すなわち、冷却設備32は、冷媒としてフロンを使用する必要はない。なお、カスケード熱交換器HEとしては、例えばプレート式、二重管式およびその発展型またはそれに類するものが採用される。
【0028】
前記一次冷却装置34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化するカスケード熱交換器HEの一次熱交換部36とを冷媒配管38で接続して構成される(図2参照)。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。一次冷却装置34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次熱交換部36において所要の冷却を行なうようになっている(図2参照)。
【0029】
前記二次冷却装置40は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する配管の集合で構成される蒸発器EPとを備え、二次熱交換部42と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図2参照)。また二次冷却装置40は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備え、液配管44を介して二次熱交換部42から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路48が設けられる。そして、実施例1の二次冷却装置40には、互いに独立した複数(図示の例では3回路であるが2以上であればよい)の自然循環回路48が並列に構築される。なお、二次熱交換部42は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28(箱体12の内部)に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部42より下方に蒸発器EPが配置される。
【0030】
前記二次熱交換部42には、凝縮経路50が、並列して複数(実施例1では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発経路52が、並列して複数(実施例1では3本)設けられている。図2では、凝縮経路50をガス配管46に接続する流入端50aから液配管44に接続する流出端50bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発経路52を液配管44に接続する流入端52aからガス配管46に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路50は蛇行させても、直線状に形成してもよい。但し、後述するように蒸発経路52は蛇行するように折曲形成されている。ここで、二次冷却装置40では、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44および複数のガス配管46が同数となる。各自然循環回路48において、液配管44は、上端(始端)を二次熱交換部42における凝縮経路50の流出端50bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流入端52aに接続される。各自然循環回路48において、ガス配管46は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部42における凝縮経路50の流入端50aに接続される。なお、符号54は、各自然循環回路48に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートである。
【0031】
前記二次冷却装置40では、各自然循環回路48において、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部42、液配管44、蒸発器EPおよびガス配管46を自然対流して二次熱交換部42に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。
【0032】
前記蒸発経路52は、図3に示すように、二次冷媒が流通する蒸発管56の外周にフィン(伝熱促進部材)58を螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55で構成され、前記蒸発管56を直線部分56aと折曲げ部分56bとからなる蛇行状に折り曲げ加工することで形成される(図4参照)。また、隣り合う直線部分56a,56aの間隔は、各直線部分56a,56aに配設されているフィン58,58同士が相互に接触しない寸法に設定されて、フィン58,58同士が離間するよう構成される。蒸発管56は、1つの平面(以後、設置平面と称す)上に全ての直線部分56aと折曲げ部分56bとが位置するように折り曲げ形成されると共に、該設置平面は水平面に対して所定角度で傾斜するよう設定される(図5参照)。そして、傾斜下端側に位置する直線部分56aに液配管44が接続されると共に、傾斜上端側に位置する直線部分56aにガス配管46が接続されており、蒸発経路52(蒸発管56)における流入端52aは、流出端52bより下方に位置するようになっている。また、各直線部分56aは、図4に示す如く、前記送風ファン30を駆動した際に生ずる蒸発器EP(蒸発管56群)を流通する空気の流れに対し、交差する横方向に延在すると共に、前記設置平面の傾斜上端側が空気の流れ方向上流側に位置し、傾斜下端側が空気の流れ方向下流側に位置するよう設定される(図5参照)。すなわち、蒸発管56を構成する複数の直線部分56aは、蒸発器EPを流通する空気の流れ方向下流側から上流側に順に移行するよう配置されている。従って、蒸発管56に液配管44から流入した液冷媒(冷媒)は、図4に示す如く、空気の流れ方向最下流側の直線部分56aから順次上流側の直線部分56aへ折曲げ部分56bを介して流入することを繰返し、最終的に空気の流れ方向最上流側の直線部分56aからガス配管46へ流出するようになっている。
【0033】
前記各蒸発管56は、図5に示す如く、該蒸発管56の配置平面を上下に離間して平行な関係で層状に配置してある。また、上下に位置する蒸発管56,56のフィン58,58は、相互に離間するよう設定されている。実施例1では、各蒸発経路52における冷媒の流入端52aおよび流出端52bが、上下方向に整列する位置関係で配置される。
【0034】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る二次冷却装置40を備えた冷却設備32の作用について説明する。冷却設備32では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置40の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次冷却装置34について説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張弁EVで減圧され、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36において二次熱交換部42を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次冷却装置34は、カスケード熱交換器HEにおいて、一次熱交換部36により二次熱交換部42を強制冷却するように機能している。そして、一次熱交換部36で蒸発した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0035】
前記二次冷却装置40では、二次熱交換部42が一次熱交換部36により冷却されているから、各自然循環回路48において二次熱交換部42の各凝縮経路50を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部42の各凝縮経路50に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置40では、二次熱交換部42を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、各自然循環回路48において、液相二次冷媒を、二次熱交換部42の下部に接続した液配管44を介して、複数の蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発経路52を流通する過程で、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ還流し、二次冷却装置40ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、各自然循環回路48において、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0036】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された蒸発器EPに吹付けることで、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。この場合において、各自然循環回路48における蒸発経路52では、液配管44に接続する直線部分56aが空気の流れ方向最下流側に位置すると共に、ガス配管46に接続する直線部分56aが空気の流れ方向最上流側に位置するよう構成されているから、流出端52b側において温度の高い空気と冷媒とが熱交換して気化することで二次冷媒の循環が促進され、蒸発器EPでの熱交換が効率的に行なわれる。しかも、二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPでのより効率的な熱交換が達成される。すなわち、蒸発器EPを流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器EPでの熱交換効率を向上することができる。従って、熱交換器55の蒸発管56として熱交換面積の小さな小径のものを採用しても蒸発器EPでの熱交換効率が低下するのを抑制することができ、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EP自体のコンパクト化を図り得る。また、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55の採用により配管密度が低下しても、二次冷媒として用いられる二酸化炭素の優れた伝熱性能が、配管密度の低下による伝熱性能の低下を補い、蒸発器EPとして適切に機能しうる。更に、蒸発経路52における冷媒の流出端52bは、流入端52aより高い位置に臨んでいるから、気化した二次冷媒の循環を速やかに行なうことができる。
【0037】
前記二次冷却装置40では、夫々の自然循環回路48が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路50と蒸発経路52とが液配管44およびガス配管46で接続されている。このように、各自然循環回路48は、互いに独立しているから、凝縮経路50,50同士および蒸発経路52,52同士または凝縮経路50と蒸発経路52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路50および各蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0038】
また、二次冷却装置40に作用する外気温の変動等の外因によって、各自然循環回路48を循環する二次冷媒が凝縮経路50や蒸発経路52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、各自然循環回路48は、互いに独立したサーモサイフォンが構成されているので、各凝縮経路50および各蒸発経路52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置40の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路48において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。そして、二次熱交換部42および蒸発器EPにおいて要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路48を二次冷却装置40に設けることで、必要とされる凝縮経路50および蒸発経路52を二次熱交換部42および蒸発器EPに配置することができ、装置全体として必要とされる熱交換面積が担保される。
【0039】
前記二次冷却装置40では、二次熱交換部42および蒸発器EPの夫々に凝縮経路50および蒸発経路52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路50および蒸発経路52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路50および各蒸発経路52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また各自然循環回路48は、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。更に、各自然循環回路48では、凝縮経路50と蒸発経路52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路50と蒸発経路52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部42と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置40をコンパクトにできる。また、各自然循環回路48において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管44およびガス配管46として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0040】
このように、各凝縮経路50および各蒸発経路52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部42や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路48の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置40全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管を細径化することで、これらの配管44,46,56において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管44,46,56が細径化したことだけでなく、各配管44,46,56の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。そして、前記収納室14内の冷却室28に配設される前記蒸発器EPをコンパクト化することで、該蒸発器EPを配設するために要する設置スペースを削減(冷却室28の小型化)し得る一方、収納室14における物品を収納し得る内容積を大きくすることができ、冷蔵庫の商品価値を向上し得る。
【0041】
ここで、液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管の細径化によるコストの低減について具体的に説明する。
例えば、耐圧性能Pを有する配管の肉厚tは、以下の式で求められる。なお、σは材料の許容応力であり、Dは配管の外径である。
t=PD/2(σ+P)…(イ)
長さLの配管重量Mは、以下の式で求められる。なお、Cは材料の比重であり、Diは配管の内径である。
M=πLC(D2−Di2)/4…(ロ)
また、Di=D−2tと表わすことができるので、これを(ロ)式に代入すると、以下の式が導き出される。
M=πLC(Dt−t2)…(ハ)
そして(ハ)式に(イ)式を代入すると、以下の式が導き出される。
M=(1−P/2(σ+P))×πLCPD2/2(σ+P)…(ニ)
前記(ニ)式は、耐圧性能Pを有する配管の重量を示している。(ニ)式において、D以外の条件は不変とすると、π、L、C、P、σの条件は定数として扱うことができる。よって、耐圧性能Pを有する配管重量(配管の外径D)は、以下の式で表わすことができる。
M={(1−P/2(σ+P))×πLCP/2(σ+P)}×D2…(ホ)
(ホ)式における{ }内は前述の如く定数であるから、M=AD2と表わすことができる。
そして、耐圧性能Pを有する外径D1の配管の配管重量MD1は、AD12であり、耐圧性能Pを有する外径D2の配管の配管重量MD2は、AD22である。
更に、配管重量MD1と配管重量MD2との比は、以下のように表わされる。
MD2/MD1=D22/D12…(ヘ)
【0042】
前記(ヘ)式に具体的な数字を当てはめて説明する。一般的な冷却装置では、蒸発管の外径は9.52mmに設定されることが多い。これに対して、実施例1の冷却装置であれば、条件によっても変わるが外径6.35mmの蒸発管を用いることができる。これらの条件を前記(へ)式に当てはめると、以下のようになる。
MDφ6.35/MDφ9.52=(6.35)2/(9.52)2=0.44
また、実施例1の冷却装置において、外径4.76mmの蒸発管を用いた場合は、以下のようになる。
MDφ4.76/MDφ9.52=(4.76)2/(9.52)2=0.25
すなわち、配管の重量比は、配管の材料価格の比であるともいえるから、実施例1の二次冷却装置40によれば、従来の冷却装置と比較して配管が細径化することにより大幅なコスト削減を達成し得ることは明らかである。
【0043】
前述したように自然循環回路48を複数とすることで、冷媒が流通する配管径を細くすることができるから、前記蒸発経路52として蒸発管56の外周囲にフィン58を螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55を採用しても、蒸発器EPが大型化するのは抑制できる。すなわち、蒸発管56の最小曲げ半径を小さくすることで、寸法をコンパクトにし得ると共に、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同等の配管密度とすることができる。そして、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器においては、製造過程で配管同士の溶接や配管の拡管加工を行なう必要がなく、製造工程が大きく簡素化されて製造コストを低廉に抑えることができる。また、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、フィンアンドチューブ型の熱交換器のように直線状の配管に対してUベンド部が溶接されないシームレス構造となっているから、流通する冷媒の漏出に対する信頼性が向上する。すなわち、各自然循環回路48における配管径を小さくすることが可能となることで、蒸発管56の最小曲げ半径を小さくしたコンパクトな構成で、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同程度まで蒸発管56の配管密度を上げた、スパイラルフィンチューブ型のように隣り合う直線部分のフィン58が相互に接触しない構成の熱交換器55を採用することができる。
【0044】
前述した如く、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、フィンアンドチューブ型の熱交換器に比して着霜による目詰りが発生し難い構成であるから、図示しない除霜用ヒータ等の除霜手段による除霜運転を行なう頻度を少なくすることができる。これにより、頻繁な除霜運転に起因する収納室14内の温度上昇を抑制し得る。しかも、複数の自然循環回路48の蒸発経路52を構成するスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、図5に示す如く、上下に離間して平行な層状に配置してあるから、蒸発器EPを薄型化して冷却室28に占める割合を小さくし、省スペース化を図り得る。また、上下に層状に配置される熱交換器55,55のフィン58,58も相互に離間しているから、熱交換器55,55の間での着霜による目詰りも発生し難い。
【0045】
前記冷却設備32は、一次冷却装置34と二次冷却装置40とをカスケード熱交換器HEで接続し、このカスケード熱交換器HEにおいて、一次冷却装置34の一次冷媒と二次冷却装置40の二次冷媒とが蒸発および凝縮作用下に熱交換を行なう。すなわち、顕熱のみによる熱交換と比べて、非常に高い熱伝達率を持つので、一次冷却装置34と二次冷却装置40との間の伝熱面積を小さくすることができる。また、一次冷媒および二次冷媒は共に、潜熱により熱の輸送を行なうため、比較的少量で、多くの熱量を伝達することができるから、カスケード熱交換器HEにおける熱交換量を低下させることなく、一次冷却装置34および二次冷却装置40の熱容積を小さくすることが可能となる。従って、一次冷却装置34の一次冷媒量および二次冷却装置40の二次冷媒量を何れも低減でき、コストダウンや、一次冷却装置34および二次冷却装置40の小型化による冷却設備32の省スペース化を図り得る。
【0046】
前記一次冷却装置34に必要とされる一次冷媒量が少ないから、法冷等で規定された冷媒の使用上限量以下とすることができ、一次冷媒として使用する冷媒の種類についての選択肢の幅が広がる。また機械室20は、凝縮器CDおよび圧縮機CMを空冷する都合上、空気を入替えられる開放された空間とされる。このような機械室20に一次冷却装置34を配設してあるから、一次冷媒が万が一漏出したとしても、機械室20に留まるおそれはない。更に、機械室20は、台板24により閉鎖空間である収納室14と気密的に区切られているから、漏出した一次冷媒が収納室14に流入することはなく、収納室14に収納した物品に由来するアンモニアや硫化水素等の腐食性ガスが、機械室20に流入することもない。しかも、冷却設備32を一次冷却装置34と二次冷却装置40との二次ループ式冷凍回路で構成することで、安全性に優れている二酸化炭素を二次冷媒として選択することが可能となる。すなわち、二次冷却装置40では、蒸発器EPが収納室14(冷却室28)に臨むが、例えば二次冷媒が収納室14に漏出したとしても、使用者に対する安全を担保し得る。
【0047】
前記一次冷却装置34および二次冷却装置40は、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36と二次熱交換部42とで熱的に接続されているが、冷媒の循環経路として互いに独立している。冷却設備32を停止(圧縮機CM:停止)した際に、一次冷却装置34には凝縮器CDから高温の液相一次冷媒が一次熱交換部36に流入する。これによりカスケード熱交換器HEは昇温されるものの、二次冷却装置40は独立しているから、蒸発器EPは昇温されることはなく、冷却設備32を停止した際の収納室14の温度上昇が緩やかになる。すなわち、冷却設備32により収納室14を所要の設定温度まで冷却することで、冷却設備32を停止した後、冷却設備32を再度駆動するまでの時間を長くすることができる。よって、冷却設備32の稼働率が低下するので、消費電力量の削減に繋がる。
【0048】
このように、実施例1の二次冷却装置40を二次ループ式冷凍回路からなる冷却設備32に適用することで、従来のフロンを用いた冷却設備と同等の大きさおよびコストで当該冷却設備32を設計することが可能となり、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、実施例1に係る二次冷却装置40は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。
【実施例2】
【0049】
図6は、二次側の回路として実施例2に係る二次冷却装置(冷却装置)60を備える冷却設備32を示す概略回路図である。なお、実施例2の冷却設備32は、実施例1で説明した冷蔵庫10に設置される。
【0050】
図6に示す如く、実施例2に係る冷却設備32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置(冷却装置)60とを、カスケード熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。なお、一次冷却装置34の構成は、実施例1と同一であるので詳細説明は省略し、同一部材には同じ符号を付すものとする。また二次冷却装置60については、実施例1と同一部材には同じ符号を付すものとする。
【0051】
前記二次冷却装置60は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備え、二次熱交換部42と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図6参照)。また二次冷却装置60は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備え、液配管44を介して二次熱交換部42から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路62が設けられる。二次熱交換部42は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部42より下方に蒸発器EPが配置される。なお、符号54は、自然循環回路62に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートであって、実施例2の二次冷却装置60では、自然循環回路62が単一であるから、冷媒チャージポート54および安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備が1組で足りる。
【0052】
前記二次熱交換部42には、凝縮経路50(特に区別する場合は、符号50にα,β,γ…を追加する。)が、並列して複数(実施例2では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発経路52が、並列して複数(実施例2では3本であって、特に区別する場合は、符号52にα,β,γ…を追加する。)設けられている。図6では、凝縮経路50をガス配管46に接続する流入端50aから液配管44に接続する流出端50bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発経路52を液配管44に接続する流入端52aからガス配管46に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路47を蛇行させても、直線状に形成してもよい。
【0053】
ここで、二次冷却装置60では、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44(特に区別する場合は、符号44にα,β,γ…を追加する。)および複数のガス配管46(特に区別する場合は、符号46にα,β,γ…を追加する。)が同数に設定されている。液配管44は、上端(始端)を二次熱交換部42における凝縮経路50の流出端50bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流入端52aに接続される。そして、ガス配管46は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部42における凝縮経路50の流入端50aに接続される。
【0054】
前記二次冷却装置60では、凝縮経路50の流出端50bに接続する液配管44を、当該凝縮経路50の流入端50aに連結したガス配管46が接続している蒸発経路52と別の蒸発経路52に接続するよう構成される。また二次冷却装置60では、蒸発経路52の流出端52bに接続するガス配管46を、当該蒸発経路52の流入端52aに連結した液配管44が接続している凝縮経路50と別の凝縮経路50に接続して、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44および複数のガス配管46によって、全体として1つの自然循環回路62が構成される。そして、二次冷却装置60には、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部42、液配管44、蒸発器EPおよびガス配管46を自然対流して二次熱交換部42に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。
【0055】
前記二次冷却装置60に構成される自然循環回路62について、図6を参照してより具体的に説明する。実施例2の二次冷却装置60では、二次熱交換部42に冷媒経路として3本の凝縮経路50α,50β,50γが設けられ、蒸発器EPに冷媒経路として3本の蒸発経路52α,52β,52γが設けられている。第1凝縮経路50αの流出端50bには、第1液配管44αの始端が接続され、該第1液配管44αの終端が第1蒸発経路52αの流入端52aに接続され、第1凝縮経路50αから第1液配管44αを介して第1蒸発経路52αに二次液化冷媒が供給される。第1蒸発経路52αの流出端52bには、第1ガス配管46αの始端が接続され、該第1ガス配管46αの終端が第2凝縮経路50βの流入端50aに接続され、第1蒸発経路52αから第1ガス配管46αを介して第2凝縮経路50βに二次気化冷媒が戻される。第2凝縮経路50βの流出端50bには、第2液配管44βの始端が接続され、該第2液配管44βの終端が第2蒸発経路52βの流入端52aに接続され、第2凝縮経路50βから第2液配管44βを介して第2蒸発経路52βに二次液化冷媒が供給される。第2蒸発経路52βの流出端52bには、第2ガス配管46βの始端が接続され、該第2ガス配管46βの終端が第3凝縮経路50γの流入端50aに接続され、第2蒸発経路52βから第2ガス配管46βを介して第3凝縮経路50γに二次気化冷媒が戻される。第3凝縮経路50γの流出端50bには、第3液配管44γの始端が接続され、該第3液配管44γの終端が第3蒸発経路52γの流入端52aに接続され、第3凝縮経路50γから第3液配管44γを介して第3蒸発経路52γに二次液化冷媒が供給される。第3蒸発経路52γの流出端52bには、第3ガス配管46γの始端が接続され、該第3ガス配管46γの終端が第1凝縮経路50αの流入端50aに接続され、第3蒸発経路52γから第3ガス配管46γを介して第1凝縮経路50αに二次気化冷媒が戻され、二次冷媒が自然循環回路62内を一巡する。
【0056】
実施例2の二次冷却装置60における各蒸発経路52は、実施例1と同じく、図3〜図5に示すスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55で構成される。
【0057】
〔実施例2の作用〕
次に、実施例2に係る二次冷却装置60を備えた冷却設備32の作用について説明する。冷却設備32では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置60の夫々で冷媒の循環が開始される。なお、一次冷却装置34の作用は、段落[0032]で説明しているので省略する。
【0058】
前記二次冷却装置60では、二次熱交換部42が一次熱交換部36により冷却されているから、二次熱交換部42の各凝縮経路50を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部42の各凝縮経路50に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置60では、二次熱交換部42を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次熱交換部42の下部に接続した液配管44を介して、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発経路52を流通する過程で、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ還流し、二次冷却装置60ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0059】
前記二次冷却装置60に構成した自然循環回路62では、複数の凝縮経路50とこの凝縮経路50と同数の蒸発経路52とを互い違いに接続することで、1本の凝縮経路50と1本の蒸発経路52とに交互に二次冷媒を流通させる1つのサーモサイフォンを形成してある。すなわち、自然循環回路62によれば、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、1つの回路の中に複数の凝縮経路50および複数の蒸発経路52を設けることができる。このように、自然循環回路62が全体として1つの冷媒の経路で構成されているから、凝縮経路50,50同士および蒸発経路52,52同士または凝縮経路50と蒸発経路52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路50および各蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0060】
また、二次冷却装置60に作用する外気温の変動等の外因によって、自然循環回路62を循環する二次冷媒が凝縮経路50や蒸発経路52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、自然循環回路62は、1つのサーモサイフォンから構成されているので、各凝縮経路50および各蒸発経路52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置60の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路62において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。従って、二次熱交換部42および蒸発器EPに凝縮経路50および蒸発経路52を複数設けることができ、凝縮経路50および蒸発経路52を屈曲や分岐することなく、熱交換面積を稼ぐことができる。
【0061】
前記二次冷却装置60では、カスケード熱交換器HEおよび蒸発器EPの夫々に凝縮経路50および蒸発経路52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路50および蒸発経路52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路50および各蒸発経路52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また、二次冷却装置60は、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、自然循環回路62を全体として1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。自然循環回路62では、凝縮経路50と蒸発経路52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路50と蒸発経路52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部42と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置60をコンパクトにできる。また、自然循環回路62において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管44およびガス配管46として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0062】
このように、各凝縮経路50および各蒸発経路52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部42や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路62の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置60全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管を細径化することで、これらの配管44,46,56において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管44,46,56が細径化したことだけでなく、各配管44,46,56の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。更に、実施例2の冷却設備32であっても、段落[0036],[0041]〜[0048]で説明した作用効果を奏する。
【0063】
実施例2の二次冷却装置60は、単一の自然循環回路62で構成されているので、冷媒チャージポート54や圧力の過剰な上昇を防ぐ安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備を1つ設けるだけでよい。すなわち、実施例1の二次冷却装置40の如く、独立した複数の自然循環回路48を備える構成と比較して、二次冷媒の偏流の防止や配管径の細径化等のメリットを維持しつつ、付帯設備がコンパクトになり、コストを低減し得る。また、実施例2の二次冷却装置60は、製造工程やメンテナンスにおける冷媒の充填作業を、単一の自然循環回路62に対し行なうだけなので、作業性およびメンテナンス性を向上し得る。
【0064】
(変更例)
本願は前述した各実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例では、複数の蒸発経路における冷媒の流入端および流出端を、上下方向に整列する位置関係で配置した場合で説明したが、図7に示すように、各蒸発経路52における冷媒の流入端52aおよび流出端52bが、空気の流れ方向に偏倚するよう配置してもよい。
2.実施例では、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の蒸発管を、同一平面(設置平面)上で蛇行状に配置した場合で説明したが、直線部分や折曲げ部分が同一平面上に配置されない構成であってもよい。例えば、図19に示す如く、各蒸発管56を、階段状の平面上で蛇行状に配置することで、該蒸発管56を、全体として蒸発管群を流通する空気の流れ方向で階段状に形成する。より具体的には、蒸発管56は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向の上流側に設定された平面上で蛇行状に折り曲げて形成された上段部56Aと、下流側で上段部56Aより一段下がった位置に設定された平面上で蛇行状に折り曲げて形成された下段部56Bと、上段部56Aにおける空気の流れ方向の下流端部と下段部56Bにおける空気の流れ方向の上流端部とを接続する段差部56Cとからなり、上段部56Aの前記下流端部より下段部56Bの前記上流端部が上流側に延出して、全体としてZ字状に形成される。そして、これら階段状に形成された複数の蒸発管56が、各段を上下に離間するように層状に配置される。すなわち、上側に位置する蒸発管56における上段部56Aと、下側に位置する蒸発管56における上段部56Aとが上下に離間して層状に配置され、上側に位置する蒸発管56における下段部56Bと、下側に位置する蒸発管56における下段部56Bとが上下に離間して層状に配置される。
このように各蒸発管56を、直線部分56a,56aが上下に重なるように配置した段差部56Cによって階段状(Z字状)に形成することで、各蒸発管56における熱交換長を、蒸発管群を流通する空気の流れ方向に同じ長さの1つの平面上で蛇行状に折り曲げた場合より長くすることができる。すなわち、同一能力の蒸発器EPを、少ない本数の蒸発管56で構成することができ、部品点数および組立て工数を減らして製造コストを低減し得る。また、各蒸発管56は、蒸発経路52における流入端52a側から流出端52b側に上りとなる階段状に形成され、かつ上段部56Aおよび下段部56Bを構成する直線部分56aが冷媒の流入端52a側から流出端52b側に向けて順に上方に偏倚する(上段部56Aおよび下段部56Bが形成される平面が流入端52a側から流出端52b側に向けて上方傾斜する傾斜面となっている)よう形成されており、該蒸発管56で蒸発する冷媒の循環が速やかに行なわれる。
図19に示す変更例では、下側に位置する蒸発管56における上段部56Aの下側に、蒸発管56が存在しない空間が形成されるが、この空間の部分は、図1に示すように冷却室28に蒸発器EPを配置した場合に、前記送風ファン30により冷却室28に吸引された空気の流通量が少ない部分である。すなわち、蒸発管56を階段状に形成したことで空間が生じたとしても、冷却室28を流れる空気による熱交換が大きく低下するものではない。なお、蒸発管56の段数は2段に限らず3段以上であってもよく、また上段部56Aと下段部56Bとを接続する段差部56Cは鉛直等、直線部分56a,56aの少なくとも一部が上下に重なる関係となっていればよい。
3.実施例では、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の蒸発管を、同一平面(設置平面)上で蛇行状に配置した場合で説明したが、直線部分や折曲げ部分が同一平面上に配置されない構成であってもよい。例えば、蒸発管を階段状(例えばクランク状)の平面上で蛇行状に配置して熱交換器を構成し、各熱交換器における各段が上下に離間して層状に配置されるものであってもよい。なお、同一平面上に配置しない構成であっても、直線部分が冷媒の流入端側から流出端側に向けて順に上方に偏倚するように配置するのが好ましい。
4.実施例では、熱交換器として蒸発管の外周囲にフィンを螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型のものを採用した場合で説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば図8〜図16に示す構成を採用し得る。
図8は、蒸発管56の外周囲に螺旋状に巻き付けた突起状の伝熱促進部材74の軸方向(蒸発管56の長手方向)の厚みを大きくし、かつ伝熱促進部材74の螺旋ピッチを狭く設定したものである。
また図9は、図8の変更例に比べて伝熱促進部材74の軸方向の厚みを小さくし、かつ伝熱促進部材74の螺旋ピッチを広く設定したものである。
図10は、蒸発管56の外周囲に多数のスパインフィン(伝熱促進部材)76を螺旋状に突設したもの(所謂、スパインフィンチューブ)である。
図11は、蒸発管56の外周囲に、多数の突起状の伝熱促進部材78を螺旋を描くように突設したものである。なお、図11の変更例に係る伝熱促進部材78における螺旋ピッチや、軸方向の厚み等は任意に設定が可能である。
図12は、蒸発管56の長手方向に離間して複数の板状の伝熱促進部材80を並列に配設したものである。図12の変更例に示す伝熱促進部材80の形状としては、図12(a)の円形、図12(b)の四角形、図12(c)の八角形、図12(d)の上下左右に突部を有して全体として十字形となる多角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図13は、蒸発管56の長手方向に離間して、複数(2本以上で全ての蒸発管より少ない数)の蒸発管56に共通に接触するように板状の伝熱促進部材82を並列に配設したものである。図13の変更例に示す伝熱促進部材82の形状としては、図13(a)の四角形、図13(b)の小判形、図13(c)の矩形状に板体の左右端部に突部を有する多角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図14は、蒸発管56の長手方向に離間して複数の環状の伝熱促進部材84を並列に配設したものであって、軸方向の厚みを大きくすると共に軸方向の離間間隔を広く設定したものである。図14の変更例に示す伝熱促進部材84の形状としては、図14(a)の円形、図14(b)の四角形、図14(c)の八角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図15は、蒸発管56の外周囲に複数の突起86aを円形状に突設した伝熱促進部材86を、長手方向に離間して複数並列に配設したものである。なお、図15に示す変更例の伝熱促進部材86の軸方向の離間寸法や軸方向の厚み等は任意に設定が可能である。また各突起86aの形状についても、複数の突起86aから構成される伝熱促進部材86が、全体として図14(b),(c)等に示す変更例の伝熱促進部材84の外形形状と同一となるようなものであってもよい。
図16は、図14の変更例に比べて伝熱促進部材88の軸方向の厚みを大きくし、かつ伝熱促進部材88の螺旋ピッチを狭く設定したものである。なお、図16に示す変更例の伝熱促進部材88の形状については、図14の変更例と同様に各種形状のものを採用可能である。また、各伝熱促進部材88が、図15の変更例のように複数の突起から構成されるものであってもよい。
5.実施例では、熱交換器としてスパイラルフィンチューブ型のものを採用したが、蒸発器を流通する空気の流れに対する蒸発管の配置および二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での効率的な熱交換が達成されることから、蒸発管(管体)に各種の伝熱促進部材を配設していない、蒸発管(管体)のみからなる熱交換器を採用することができる。そして、このように蒸発管(管体)のみからなる熱交換器を採用することで、複数の熱交換器の離間間隔を小さくすることができ、蒸発器をよりコンパクトにすることが可能となる。
なお、伝熱促進部材を配設しない蒸発管としては、例えば図17および図18の構成を採用することができる。
図17は、蒸発管56の断面形状を多角形状として表面積を大きくするようにしたものであって、図17(a)の八角形や、図17(b)の十字形等、その他各種の断面形状を採用することができる。
図18は、蒸発管56の表面に伝熱を促進する溝を形成したものであって、図18(a)および(b)に示すように周上で連続する溝90を軸方向に離間して形成したものや、図18(c)〜(e)に示すように、相互に連続しない多数の溝92を周方向および軸方向に離間して形成したものを採用することができる。なお、図18に示す変更例の溝の形状は、図示したものに限らず、任意の形状を採用し得る。
6.冷却設備の一次冷却装置として、吸収式やその他の冷凍回路も採用することができる。また、本発明に係る冷却装置は、熱交換部をファンによる送風等によって冷却する空冷式であってもよい。
7.カスケード熱交換器は、一次熱交換部と二次熱交換部とを別体で構成したり、他の方式の熱交換器であってもよい。
8.実施例では、一次冷却装置において液化冷媒を減圧する手段として膨張弁を用いたが、これに限られず、キャピラリーチューブまたはその他の減圧手段を採用し得る。
9.実施例では、二次ループ式冷凍回路を備える冷却設備の二次側に本発明に係る冷却装置を用いる例を挙げている。前述の如く、二次ループ式冷凍回路を備えた冷却設備の欠点を解消し得ることから、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することは非常に有用である。しかし、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することに限定されず、単体で冷却装置として用いることも可能である。
10.本発明の冷却装置は、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調設備等にも適用し得る。
【符号の説明】
【0065】
34 一次冷却装置(一次側の回路),42 二次熱交換部(熱交換部),44 液配管
46 ガス配管,48 自然循環回路,50 凝縮経路,52 蒸発経路
52a 流入端,52b 流出端,55 熱交換器,56 蒸発管,56a 直線部分
56C 段差部,58 フィン(伝熱促進部材),62 自然循環回路
74,78,80,82,84,86,88 伝熱促進部材
76 スパインフィン(伝熱促進部材),EP 蒸発器
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換部と蒸発器との間の温度勾配を利用して、冷媒を自然対流させる自然循環回路を備えた冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒を自然対流させるサーモサイフォンを用いた冷却装置が、冷蔵庫等の貯蔵設備や空調設備に採用されている(例えば、特許文献1参照)。サーモサイフォンを用いた冷却装置は、図20に示すように、気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする凝縮器64と、この凝縮器64の下方に配置されて、液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする蒸発器66とを有し、液化冷媒を凝縮器64から蒸発器66へ液配管68を介して流下させると共に、気化冷媒を蒸発器66から凝縮器64へガス配管70を介して流通させる自然循環回路72が構成される。
【0003】
前記凝縮器64および蒸発器66では、内部に設けた冷媒経路64a,66aを流通する冷媒が外気や水等の他の媒体と熱交換することで、冷媒が凝縮または蒸発するようになっている。すなわち、冷却装置の冷却効率は、冷媒と他の媒体との間で交換される熱量に依存するので、冷却装置では、凝縮器64および蒸発器66に蛇行状の冷媒経路64a,66aを設けることで、冷媒経路64a,66aと他の媒体との接触面積(以下、熱交換面積という)を大きくしている。
【0004】
また、前記蒸発器66の形態としては、複数の平行な平板状のフィンを貫通する直線配管と、該直線配管の端部に溶接されるU字状に折れ曲ったベンド部とから、冷媒経路66aを蛇行状に形成した所謂フィンアンドチューブ型の熱交換器が採用されている(例えば、特許文献1参照)。このフィンアンドチューブ型の熱交換器は、配管密度を比較的容易に向上させ得る特徴があることから、空冷式の熱交換器として広く採用されている。また、蒸発器の別形態として、冷媒が流通する蒸発管の外周囲にフィンを螺旋状に巻き付けると共に蛇行状に折り曲げたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−96463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記冷却装置では、所要の冷却効率が得られる熱交換面積を確保するために必要な配管長を設定すると、冷媒経路64a,66aが長くなって該経路64a,66aにおける冷媒の流通抵抗が大きくなると共に、長くなる冷媒経路64a,66aをコンパクトにするのに冷媒経路64a,66aの屈曲部分が多くなるので、冷媒の流通抵抗が更に大きくなる。また冷却装置の如くサーモサイフォンを用いた方式では、凝縮器64と蒸発器66との間の温度勾配を利用して冷媒を自然対流する構成であるから、冷媒をポンプ等で強制循環させる方式と比べて冷媒の循環力が弱く、僅かな圧力損失や冷媒に対する流れ抵抗によって、冷媒の円滑な流動が大きく妨げられる。そして、冷媒経路64a,66aにおいて、冷媒の流動が円滑に行なわれなくなると、蒸発器66を含む自然循環回路72内での冷媒の循環が悪くなったり、冷媒が逆流したりして冷熱の運搬能力が低下し、対象を効率よく冷却できない問題が生じる。そこで、前記冷却装置では、冷却効率を低下させないために、冷媒の循環量に応じて冷媒経路64a,66aの断面積を大きく設定して冷媒の流通抵抗を減少させることで、僅かな圧力損失に大きな影響を受ける冷媒の流動状態を安定させる必要がある。しかし、冷媒経路64a,66aを構成する配管が大径化することで、冷媒経路を形成する上での制約が大きくなると共に、凝縮器64や蒸発器66の大型化を招き、コストの上昇に繋がってしまう。
【0007】
ここで、前記フィンアンドチューブ型の熱交換器は、配管の密度を上げることができる反面、直線配管とベンド部とを溶接するため、冷媒の流通経路内に複数の溶接部が存在し、冷媒漏れに対する信頼性が低い難点がある。しかも、フィンアンドチューブ型の熱交換器では、熱交換効率を向上するべく平板状の各フィンの間隔を狭くすると、平板状の各フィンが隣り合う全ての直線配管に接続されているため、隣り合う直線配管の間のフィンにも霜が成長し易く、配管間の隙間が霜で塞がれて空気の流れを阻害する問題を招き易い構造であった。
【0008】
これに対し、前記スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、フィンアンドチューブ型の熱交換器とは異なり、その製造過程で配管同士の溶接や配管の拡管加工を行なう必要がなく、製造工程が大きく簡素化されると共に、冷媒の流通経路内に配管の溶接部が存在しないから冷媒漏れに対する信頼性も高い利点がある。またスパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、蒸発管にフィンを螺旋状に巻き付ける構造であるため、熱交換効率を向上するべくフィンの螺旋ピッチを狭くしても、隣り合う直線配管のフィンが相互に接触していないため、該フィンに霜が成長したとしても配管間の隙間は塞がれ難く、着霜による目詰りが発生し難い構造である
【0009】
しかしながら、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、フィンを巻きつけた後に蒸発管を曲げ加工するため、前述したように冷媒の流通抵抗を減少させるために蒸発管を大径化すると、最小曲げ半径が大きくなり、配管密度が疎な状態となるので、蒸発器のコンパクト化が困難であった。このため、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同程度まで蒸発管の配管密度を上げることは難しく、サーモサイフォンを用いた冷却装置の蒸発器としては、フィンアンドチューブ型の熱交換器に対してコスト、冷媒漏れに対する信頼性、および霜による目詰り抑制等の点で優れているスパイラルフィンチューブ型の熱交換器を採用していないのが現状である。
【0010】
前述したような冷却装置による冷却効率を向上するための構成や、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器は、熱交換器を大型化することで採用が可能となる。しかしながら、冷却装置が用いられる冷蔵庫では、その商品上の価値として庫内容積を大きくすることが挙げられ、これを確保するためには庫内熱交換器(蒸発器)をコンパクトに設計することが肝要であり、安易に熱交換器を大型化することは難しい。むしろ、潜在的には庫内熱交換器(蒸発器)を更にコンパクトに設計することが求められている。すなわち、限られた空間で効率よく熱交換を行なうための冷却装置が希求されているのが実状である。
【0011】
すなわち本発明は、従来の技術に係る冷却装置に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、サーモサイフォンを用いて冷媒が自然対流する自然循環回路において、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトな冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、内部の蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から前記蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路と、複数の自然循環回路の蒸発管の集合で構成される蒸発器とを備えると共に、各自然循環回路を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記各蒸発管は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管が接続されると共に、前記蒸発管における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管が接続され、
前記複数の蒸発管は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、夫々の自然循環回路が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。そして、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路を冷却装置に設けることで、必要とされる凝縮経路および蒸発経路を熱交換部および蒸発器に配置することができ、回路全体として必要とされる熱交換面積が担保される。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、各自然循環回路は互いに独立しているので、冷媒の偏流が生じ難く、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
また、蒸発管群を流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での熱交換効率を低下させることなく熱交換面積の小さな小径の蒸発管を採用することができ、蒸発器のコストを低減し得ると共によりコンパクト化を図り得る。更に、複数の蒸発管を相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置する構成により、これら複数の蒸発管が熱交換効率の高い蒸発器として機能する。
【0014】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項2に係る発明の冷却装置は、
凝縮経路を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部と、この熱交換部の下方に配置され、内部の蒸発経路を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管とを有し、液化冷媒を熱交換部の凝縮経路から前記蒸発経路へ液配管を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路から熱交換部の凝縮経路へガス配管を介して流通させる自然循環回路を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路は、複数の蒸発管の集合で構成される蒸発器と、該複数の蒸発管と同数の凝縮経路とを備えると共に、該自然循環回路を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記凝縮経路の流出端に接続する液配管を、当該凝縮経路の流入端に連結したガス配管が接続している蒸発管と別の蒸発管に接続すると共に、蒸発管の流出端に接続するガス配管を、当該蒸発管の流入端に連結した液配管が接続している凝縮経路と別の凝縮経路に接続して、全体として1つの自然循環回路を構成し、
前記各蒸発管は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管が接続されると共に、前記蒸発管における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管が接続され、
前記複数の蒸発管は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、経路や配管の分岐を伴わず全体として1つの自然循環回路を構成するように、凝縮経路と蒸発経路とが液配管およびガス配管で接続されている。すなわち、熱交換部および蒸発器において要求される熱交換面積に応じた数の凝縮経路および蒸発経路を適宜に配置することができる。これにより、凝縮経路および蒸発経路の1本当たりに必要とされる熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路および各蒸発経路の必要長さを抑えることができる。各凝縮経路および各蒸発経路の長さが短くなることから、経路の長さに由来する流通抵抗が小さくなると共に、蛇行させる回数を減らして経路の屈曲部分に由来する流通抵抗を減らすことも可能となる。この結果、従来では流通抵抗が大きくなり過ぎて不可能であった従来と比して小さい断面積で各凝縮経路および各蒸発経路を設定でき、各凝縮経路および各蒸発経路に流通させる冷媒量を減少させることができる。このように、各凝縮経路および各蒸発経路の長さや断面積を減じることが可能であるので、熱交換部や蒸発器をコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、回路の圧力上昇を緩和する膨張タンクの容量等の付帯設備も小さくなるので、全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。しかも、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路を設けても、経路や配管の分岐を伴わずに全体として1つの自然循環回路となっているので、複数の凝縮経路および複数の蒸発経路に対して冷媒がバランスよく流通して、冷媒の偏流が生じず、冷媒を円滑に自然対流させることができる。
また、蒸発器を構成する蒸発管群を流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での熱交換効率を低下させることなく熱交換面積の小さな小径の蒸発管を採用することができ、蒸発器のコストを低減し得ると共によりコンパクト化を図り得る。更に、複数の蒸発管を相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置する構成により、これら複数の蒸発管が熱交換効率の高い蒸発器として機能する。
【0016】
請求項3の発明では、前記蒸発経路の液配管が接続する流入端は、ガス配管が接続する流出端より下方に位置していることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、蒸発経路の流入端を流出端より下方に位置させることで、蒸発器で蒸発する冷媒の循環を速やかに行なうことができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、前記各蒸発管は、前記直線部分が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部によって蒸発管群を流通する空気の流れ方向において階段状に形成され、該階段状に形成された複数の蒸発管は、各段が上下の関係となるよう層状に配置されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、直線部分が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部によって蒸発管を階段状に形成することで、各蒸発管における熱交換長を、同一平面上で蛇行するよう形成した場合に比べて長くすることができ、同一能力の蒸発器を少ない本数の蒸発管で構成してコストを低減し得る。
【0018】
請求項5に係る発明では、前記蒸発管の外周囲に伝熱促進部材が配設されると共に、蛇行状に折り曲げられている該蒸発管における隣り合う直線部分の伝熱促進部材は相互に離間するよう構成され、
前記複数の蒸発管は、前記伝熱促進部材が相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置されることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器を採用することで、蒸発器のコストを低減し得ると共に、冷媒漏れに対する信頼性を向上することができ、更には熱交換効率の向上を図りつつ霜による目詰りの発生を抑制し得る。なお、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の懸念事項として、配管密度を上げ難い点が挙げられるが、冷媒として用いられる二酸化炭素の優れた伝熱性能が、配管密度の低い状態で形成された配管群の冷媒側の伝熱性能を補償するため、蒸発器として適切に機能しうる。
【0019】
請求項6に係る発明では、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路に対して、前記自然循環回路が前記熱交換部を介して熱的に接続されることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、所謂二次ループ式冷凍回路を構成した設備における二次側として自然循環回路を用いることで、所望の冷却効率を損なうことなく、設備全体をコンパクトで安価な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る冷却装置によれば、所望の冷却効率を維持したまま、冷媒の流通抵抗、該回路内の冷媒充填量および各経路の断面積の増加を招くことなく、安価でコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施例1に係る冷却装置を冷却設備の二次回路として備えた冷蔵庫を示す側断面図である。
【図2】実施例1の冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図3】実施例1に係る蒸発経路を示す要部正面図である。
【図4】実施例1に係る蒸発経路を示す平面図である。
【図5】実施例1に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図6】本発明の好適な実施例2に係る冷却装置を二次回路として備えた冷却設備の要部を示す概略回路図である。
【図7】変更例に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図8】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図9】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図10】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図11】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図12】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図13】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図14】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図15】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図16】伝熱促進部材を設けた変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図17】伝熱促進部材を設けない変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図18】伝熱促進部材を設けない変更例に係る蒸発管を示す概略斜視図である。
【図19】別の変更例に係る蒸発器を示す概略側面図である。
【図20】従来の技術に係る冷却装置の自然循環回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
昨今では、冷蔵庫や冷凍庫等の冷却装置を備えた設備において、冷媒としてのフロンの使用が地球温暖化防止の観点から制限されている。特に、業務用冷凍機器等の大型な設備では、フロンの使用量が多いことから、その使用量の削減またはノンフロン化への要望が非常に大きい。そこで、ノンフロン化を推進する上で有利な回路構成である二次ループ式冷凍回路が注目されている。二次ループ式冷凍回路は、冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路とサーモサイフォンを用いて冷媒を自然対流させる二次側の回路との独立した2つの回路をカスケード熱交換器を介して接続したものであって、各回路に循環させる冷媒としてフロン以外の熱媒体を用いることができる。しかしながら、従来の二次ループ式冷凍回路は、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点を有しており、従来のフロンを用いた設備に対して大きさおよび価格的な競争力がなく、ノンフロン化の促進への妨げになっている。そこで、発明者は、所望の冷却効率を損なうことなく、コンパクトで安価な構成の本発明に係る冷却装置を発明した。例えば、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来のフロンを用いた設備と同等の大きさおよびコストで二次ループ式冷凍回路を備えた設備を設計することが可能となり、前記欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、本発明に係る冷却装置は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。このように、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することで、従来の二次ループ式冷凍回路の大型である欠点や高価である欠点を解消し、一般に普及し得る技術とすることができる非常に有意義な発明である。
【0023】
次に、本発明に係る冷却装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。実施例では、店舗等の業務用途に用いられ、野菜や肉等の物品を多量に収納し得る大型の冷蔵庫を例に挙げ、この冷蔵庫の冷却設備として、本発明に係る冷却装置を二次側の回路に用いた所謂二次ループ冷凍回路を採用した場合について説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に示すように、冷蔵庫10は、収納室14を内部画成した断熱構造の箱体(断熱箱体)12と、この箱体12の上方に設けられ、金属パネル18により外壁を構成したキャビネット16とを備えている。箱体12には、前側に開放して物品の出し入れ口となる開口部12aが収納室14に連通して開設され、この開口部12aは、図示しないヒンジにより箱体12の前部に開閉可能に支持された断熱扉22で塞がれる。
【0025】
前記キャビネット16の内部には、収納室14を冷却するための冷却設備32の一部および該冷却設備32を制御する制御用電装箱(図示せず)が配設される機械室20が画成される。機械室20の底部には、箱体12の天板12bに載置されて、該機械室20に配設する機器の共通基板となる台板24が設置されている。そして、キャビネット16の外壁をなす金属パネル18には、機械室20に連通する空気流通孔(図示せず)が適宜部位に開設され、この空気流通孔を介して機械室20内の雰囲気と外気とが入替わるようになっている。
【0026】
前記収納室14の上部には、箱体12における天板12bの下面から所定間隔離間して冷却ダクト26が配設され、この冷却ダクト26と、箱体12の天板12bに開設した切欠口12cを介して収納室14側に臨む台板24との間に冷却室28が画成される。この冷却室28は、冷却ダクト26の底部前側に形成した吸込口26aおよび後側に形成した冷気吹出口26bを介して収納室14に連通している。吸込口26aには送風ファン30が配設され、該送風ファン30を駆動することで、吸込口26aから収納室14の空気を冷却室28に取込み、冷気吹出口26bから冷却室28の冷気が収納室14に送出される。天板12bの切欠口12cは、台板24で気密的に塞がれて、収納室14(冷却室28)と機械室20とは、台板24で区切られて互いに独立した空間となっている(図1参照)。
【0027】
図2は、二次側の回路として実施例1に係る二次冷却装置(冷却装置)40を備える冷却設備32を示す概略回路図である。図2に示す如く、冷却設備32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置40とを、カスケード熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。カスケード熱交換器HEは、機械室20に設置され、一次冷却装置34を構成する一次熱交換部36と、この一次熱交換部36と別系統に形成されて、二次冷却装置40を構成する二次熱交換部(熱交換部)42とを備えている。すなわち、一次冷却装置34および二次冷却装置40には、独立した冷媒が循環する回路が夫々形成され、二次冷却装置40を循環する二次冷媒(冷媒)としては、粘性が低くかつ熱伝達率が高い特性を有し、更に毒性、可燃性および腐食性を有していない安全性の高い二酸化炭素が採用される。これに対し、一次冷却装置34を循環する一次冷媒としては、蒸発熱や飽和圧等の冷媒としての特性に優れているブタンやプロパン等のHC系の冷媒またはアンモニアなどが採用され、実施例1ではイソブタンやプロパンが用いられている。すなわち、冷却設備32は、冷媒としてフロンを使用する必要はない。なお、カスケード熱交換器HEとしては、例えばプレート式、二重管式およびその発展型またはそれに類するものが採用される。
【0028】
前記一次冷却装置34は、気相一次冷媒を圧縮する圧縮機CMと、圧縮した一次冷媒を液化する凝縮器CDと、液相一次冷媒の圧力を低下させる膨張弁EVと、液相一次冷媒を気化するカスケード熱交換器HEの一次熱交換部36とを冷媒配管38で接続して構成される(図2参照)。圧縮機CMおよび凝縮器CDは、機械室20において台板24上に共通的に配設され、凝縮器CDを強制冷却する凝縮器ファンFMも、該凝縮器CDに対向して台板24上に配設されている。一次冷却装置34では、圧縮機CMによる一次冷媒の圧縮により、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張弁EV、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36および圧縮機CMの順に、一次冷媒が強制循環され、各機器の作用下に一次熱交換部36において所要の冷却を行なうようになっている(図2参照)。
【0029】
前記二次冷却装置40は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する配管の集合で構成される蒸発器EPとを備え、二次熱交換部42と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図2参照)。また二次冷却装置40は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備え、液配管44を介して二次熱交換部42から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路48が設けられる。そして、実施例1の二次冷却装置40には、互いに独立した複数(図示の例では3回路であるが2以上であればよい)の自然循環回路48が並列に構築される。なお、二次熱交換部42は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28(箱体12の内部)に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部42より下方に蒸発器EPが配置される。
【0030】
前記二次熱交換部42には、凝縮経路50が、並列して複数(実施例1では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発経路52が、並列して複数(実施例1では3本)設けられている。図2では、凝縮経路50をガス配管46に接続する流入端50aから液配管44に接続する流出端50bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発経路52を液配管44に接続する流入端52aからガス配管46に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路50は蛇行させても、直線状に形成してもよい。但し、後述するように蒸発経路52は蛇行するように折曲形成されている。ここで、二次冷却装置40では、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44および複数のガス配管46が同数となる。各自然循環回路48において、液配管44は、上端(始端)を二次熱交換部42における凝縮経路50の流出端50bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流入端52aに接続される。各自然循環回路48において、ガス配管46は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部42における凝縮経路50の流入端50aに接続される。なお、符号54は、各自然循環回路48に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートである。
【0031】
前記二次冷却装置40では、各自然循環回路48において、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部42、液配管44、蒸発器EPおよびガス配管46を自然対流して二次熱交換部42に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。
【0032】
前記蒸発経路52は、図3に示すように、二次冷媒が流通する蒸発管56の外周にフィン(伝熱促進部材)58を螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55で構成され、前記蒸発管56を直線部分56aと折曲げ部分56bとからなる蛇行状に折り曲げ加工することで形成される(図4参照)。また、隣り合う直線部分56a,56aの間隔は、各直線部分56a,56aに配設されているフィン58,58同士が相互に接触しない寸法に設定されて、フィン58,58同士が離間するよう構成される。蒸発管56は、1つの平面(以後、設置平面と称す)上に全ての直線部分56aと折曲げ部分56bとが位置するように折り曲げ形成されると共に、該設置平面は水平面に対して所定角度で傾斜するよう設定される(図5参照)。そして、傾斜下端側に位置する直線部分56aに液配管44が接続されると共に、傾斜上端側に位置する直線部分56aにガス配管46が接続されており、蒸発経路52(蒸発管56)における流入端52aは、流出端52bより下方に位置するようになっている。また、各直線部分56aは、図4に示す如く、前記送風ファン30を駆動した際に生ずる蒸発器EP(蒸発管56群)を流通する空気の流れに対し、交差する横方向に延在すると共に、前記設置平面の傾斜上端側が空気の流れ方向上流側に位置し、傾斜下端側が空気の流れ方向下流側に位置するよう設定される(図5参照)。すなわち、蒸発管56を構成する複数の直線部分56aは、蒸発器EPを流通する空気の流れ方向下流側から上流側に順に移行するよう配置されている。従って、蒸発管56に液配管44から流入した液冷媒(冷媒)は、図4に示す如く、空気の流れ方向最下流側の直線部分56aから順次上流側の直線部分56aへ折曲げ部分56bを介して流入することを繰返し、最終的に空気の流れ方向最上流側の直線部分56aからガス配管46へ流出するようになっている。
【0033】
前記各蒸発管56は、図5に示す如く、該蒸発管56の配置平面を上下に離間して平行な関係で層状に配置してある。また、上下に位置する蒸発管56,56のフィン58,58は、相互に離間するよう設定されている。実施例1では、各蒸発経路52における冷媒の流入端52aおよび流出端52bが、上下方向に整列する位置関係で配置される。
【0034】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係る二次冷却装置40を備えた冷却設備32の作用について説明する。冷却設備32では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置40の夫々で冷媒の循環が開始される。先ず、一次冷却装置34について説明すると、圧縮機CMおよび凝縮器ファンFMが駆動され、圧縮機CMで気相一次冷媒が圧縮されて、この一次冷媒を冷媒配管38を介して凝縮器CDに供給して、凝縮器ファンFMによる強制冷却により凝縮液化することで液相とする。液相一次冷媒は、膨張弁EVで減圧され、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36において二次熱交換部42を流通する二次冷媒から熱を奪って(吸熱)一挙に膨張気化する。このように一次冷却装置34は、カスケード熱交換器HEにおいて、一次熱交換部36により二次熱交換部42を強制冷却するように機能している。そして、一次熱交換部36で蒸発した気相一次冷媒は、冷媒配管38を経て圧縮機CMに帰還する強制循環サイクルを繰返す。
【0035】
前記二次冷却装置40では、二次熱交換部42が一次熱交換部36により冷却されているから、各自然循環回路48において二次熱交換部42の各凝縮経路50を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部42の各凝縮経路50に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置40では、二次熱交換部42を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、各自然循環回路48において、液相二次冷媒を、二次熱交換部42の下部に接続した液配管44を介して、複数の蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発経路52を流通する過程で、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ還流し、二次冷却装置40ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、各自然循環回路48において、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0036】
前記送風ファン30により吸込口26aから冷却室28に吸引された収納室14の空気を、冷却された蒸発器EPに吹付けることで、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPと熱交換した空気が冷気となる。そして冷気を、冷却室28から冷気吹出口26bを介して収納室14に送出することで、収納室14が冷却される。冷気は、収納室14の内部を循環して、吸込口26aを介して再び冷却室28内に戻るサイクルを反復する。この場合において、各自然循環回路48における蒸発経路52では、液配管44に接続する直線部分56aが空気の流れ方向最下流側に位置すると共に、ガス配管46に接続する直線部分56aが空気の流れ方向最上流側に位置するよう構成されているから、流出端52b側において温度の高い空気と冷媒とが熱交換して気化することで二次冷媒の循環が促進され、蒸発器EPでの熱交換が効率的に行なわれる。しかも、二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPでのより効率的な熱交換が達成される。すなわち、蒸発器EPを流通する空気の流れ方向下流側から上流側に冷媒が流動するよう構成すると共に、二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器EPでの熱交換効率を向上することができる。従って、熱交換器55の蒸発管56として熱交換面積の小さな小径のものを採用しても蒸発器EPでの熱交換効率が低下するのを抑制することができ、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EP自体のコンパクト化を図り得る。また、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55の採用により配管密度が低下しても、二次冷媒として用いられる二酸化炭素の優れた伝熱性能が、配管密度の低下による伝熱性能の低下を補い、蒸発器EPとして適切に機能しうる。更に、蒸発経路52における冷媒の流出端52bは、流入端52aより高い位置に臨んでいるから、気化した二次冷媒の循環を速やかに行なうことができる。
【0037】
前記二次冷却装置40では、夫々の自然循環回路48が、経路や配管の分岐を伴わず互いに独立して1つの回路を構成するように、凝縮経路50と蒸発経路52とが液配管44およびガス配管46で接続されている。このように、各自然循環回路48は、互いに独立しているから、凝縮経路50,50同士および蒸発経路52,52同士または凝縮経路50と蒸発経路52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路50および各蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0038】
また、二次冷却装置40に作用する外気温の変動等の外因によって、各自然循環回路48を循環する二次冷媒が凝縮経路50や蒸発経路52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、各自然循環回路48は、互いに独立したサーモサイフォンが構成されているので、各凝縮経路50および各蒸発経路52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置40の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路48において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。そして、二次熱交換部42および蒸発器EPにおいて要求される熱交換面積に応じた数の自然循環回路48を二次冷却装置40に設けることで、必要とされる凝縮経路50および蒸発経路52を二次熱交換部42および蒸発器EPに配置することができ、装置全体として必要とされる熱交換面積が担保される。
【0039】
前記二次冷却装置40では、二次熱交換部42および蒸発器EPの夫々に凝縮経路50および蒸発経路52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路50および蒸発経路52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路50および各蒸発経路52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また各自然循環回路48は、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。更に、各自然循環回路48では、凝縮経路50と蒸発経路52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路50と蒸発経路52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部42と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置40をコンパクトにできる。また、各自然循環回路48において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管44およびガス配管46として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0040】
このように、各凝縮経路50および各蒸発経路52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部42や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路48の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置40全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管を細径化することで、これらの配管44,46,56において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管44,46,56が細径化したことだけでなく、各配管44,46,56の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。そして、前記収納室14内の冷却室28に配設される前記蒸発器EPをコンパクト化することで、該蒸発器EPを配設するために要する設置スペースを削減(冷却室28の小型化)し得る一方、収納室14における物品を収納し得る内容積を大きくすることができ、冷蔵庫の商品価値を向上し得る。
【0041】
ここで、液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管の細径化によるコストの低減について具体的に説明する。
例えば、耐圧性能Pを有する配管の肉厚tは、以下の式で求められる。なお、σは材料の許容応力であり、Dは配管の外径である。
t=PD/2(σ+P)…(イ)
長さLの配管重量Mは、以下の式で求められる。なお、Cは材料の比重であり、Diは配管の内径である。
M=πLC(D2−Di2)/4…(ロ)
また、Di=D−2tと表わすことができるので、これを(ロ)式に代入すると、以下の式が導き出される。
M=πLC(Dt−t2)…(ハ)
そして(ハ)式に(イ)式を代入すると、以下の式が導き出される。
M=(1−P/2(σ+P))×πLCPD2/2(σ+P)…(ニ)
前記(ニ)式は、耐圧性能Pを有する配管の重量を示している。(ニ)式において、D以外の条件は不変とすると、π、L、C、P、σの条件は定数として扱うことができる。よって、耐圧性能Pを有する配管重量(配管の外径D)は、以下の式で表わすことができる。
M={(1−P/2(σ+P))×πLCP/2(σ+P)}×D2…(ホ)
(ホ)式における{ }内は前述の如く定数であるから、M=AD2と表わすことができる。
そして、耐圧性能Pを有する外径D1の配管の配管重量MD1は、AD12であり、耐圧性能Pを有する外径D2の配管の配管重量MD2は、AD22である。
更に、配管重量MD1と配管重量MD2との比は、以下のように表わされる。
MD2/MD1=D22/D12…(ヘ)
【0042】
前記(ヘ)式に具体的な数字を当てはめて説明する。一般的な冷却装置では、蒸発管の外径は9.52mmに設定されることが多い。これに対して、実施例1の冷却装置であれば、条件によっても変わるが外径6.35mmの蒸発管を用いることができる。これらの条件を前記(へ)式に当てはめると、以下のようになる。
MDφ6.35/MDφ9.52=(6.35)2/(9.52)2=0.44
また、実施例1の冷却装置において、外径4.76mmの蒸発管を用いた場合は、以下のようになる。
MDφ4.76/MDφ9.52=(4.76)2/(9.52)2=0.25
すなわち、配管の重量比は、配管の材料価格の比であるともいえるから、実施例1の二次冷却装置40によれば、従来の冷却装置と比較して配管が細径化することにより大幅なコスト削減を達成し得ることは明らかである。
【0043】
前述したように自然循環回路48を複数とすることで、冷媒が流通する配管径を細くすることができるから、前記蒸発経路52として蒸発管56の外周囲にフィン58を螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55を採用しても、蒸発器EPが大型化するのは抑制できる。すなわち、蒸発管56の最小曲げ半径を小さくすることで、寸法をコンパクトにし得ると共に、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同等の配管密度とすることができる。そして、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器においては、製造過程で配管同士の溶接や配管の拡管加工を行なう必要がなく、製造工程が大きく簡素化されて製造コストを低廉に抑えることができる。また、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、フィンアンドチューブ型の熱交換器のように直線状の配管に対してUベンド部が溶接されないシームレス構造となっているから、流通する冷媒の漏出に対する信頼性が向上する。すなわち、各自然循環回路48における配管径を小さくすることが可能となることで、蒸発管56の最小曲げ半径を小さくしたコンパクトな構成で、フィンアンドチューブ型の熱交換器と同程度まで蒸発管56の配管密度を上げた、スパイラルフィンチューブ型のように隣り合う直線部分のフィン58が相互に接触しない構成の熱交換器55を採用することができる。
【0044】
前述した如く、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、フィンアンドチューブ型の熱交換器に比して着霜による目詰りが発生し難い構成であるから、図示しない除霜用ヒータ等の除霜手段による除霜運転を行なう頻度を少なくすることができる。これにより、頻繁な除霜運転に起因する収納室14内の温度上昇を抑制し得る。しかも、複数の自然循環回路48の蒸発経路52を構成するスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55は、図5に示す如く、上下に離間して平行な層状に配置してあるから、蒸発器EPを薄型化して冷却室28に占める割合を小さくし、省スペース化を図り得る。また、上下に層状に配置される熱交換器55,55のフィン58,58も相互に離間しているから、熱交換器55,55の間での着霜による目詰りも発生し難い。
【0045】
前記冷却設備32は、一次冷却装置34と二次冷却装置40とをカスケード熱交換器HEで接続し、このカスケード熱交換器HEにおいて、一次冷却装置34の一次冷媒と二次冷却装置40の二次冷媒とが蒸発および凝縮作用下に熱交換を行なう。すなわち、顕熱のみによる熱交換と比べて、非常に高い熱伝達率を持つので、一次冷却装置34と二次冷却装置40との間の伝熱面積を小さくすることができる。また、一次冷媒および二次冷媒は共に、潜熱により熱の輸送を行なうため、比較的少量で、多くの熱量を伝達することができるから、カスケード熱交換器HEにおける熱交換量を低下させることなく、一次冷却装置34および二次冷却装置40の熱容積を小さくすることが可能となる。従って、一次冷却装置34の一次冷媒量および二次冷却装置40の二次冷媒量を何れも低減でき、コストダウンや、一次冷却装置34および二次冷却装置40の小型化による冷却設備32の省スペース化を図り得る。
【0046】
前記一次冷却装置34に必要とされる一次冷媒量が少ないから、法冷等で規定された冷媒の使用上限量以下とすることができ、一次冷媒として使用する冷媒の種類についての選択肢の幅が広がる。また機械室20は、凝縮器CDおよび圧縮機CMを空冷する都合上、空気を入替えられる開放された空間とされる。このような機械室20に一次冷却装置34を配設してあるから、一次冷媒が万が一漏出したとしても、機械室20に留まるおそれはない。更に、機械室20は、台板24により閉鎖空間である収納室14と気密的に区切られているから、漏出した一次冷媒が収納室14に流入することはなく、収納室14に収納した物品に由来するアンモニアや硫化水素等の腐食性ガスが、機械室20に流入することもない。しかも、冷却設備32を一次冷却装置34と二次冷却装置40との二次ループ式冷凍回路で構成することで、安全性に優れている二酸化炭素を二次冷媒として選択することが可能となる。すなわち、二次冷却装置40では、蒸発器EPが収納室14(冷却室28)に臨むが、例えば二次冷媒が収納室14に漏出したとしても、使用者に対する安全を担保し得る。
【0047】
前記一次冷却装置34および二次冷却装置40は、カスケード熱交換器HEの一次熱交換部36と二次熱交換部42とで熱的に接続されているが、冷媒の循環経路として互いに独立している。冷却設備32を停止(圧縮機CM:停止)した際に、一次冷却装置34には凝縮器CDから高温の液相一次冷媒が一次熱交換部36に流入する。これによりカスケード熱交換器HEは昇温されるものの、二次冷却装置40は独立しているから、蒸発器EPは昇温されることはなく、冷却設備32を停止した際の収納室14の温度上昇が緩やかになる。すなわち、冷却設備32により収納室14を所要の設定温度まで冷却することで、冷却設備32を停止した後、冷却設備32を再度駆動するまでの時間を長くすることができる。よって、冷却設備32の稼働率が低下するので、消費電力量の削減に繋がる。
【0048】
このように、実施例1の二次冷却装置40を二次ループ式冷凍回路からなる冷却設備32に適用することで、従来のフロンを用いた冷却設備と同等の大きさおよびコストで当該冷却設備32を設計することが可能となり、冷媒としてフロンを使用した機械圧縮式の冷凍回路と比較して、装置全体が大型化して大きな設置面積を要すると共にコストの上昇を伴う欠点が解消されて市場での競争力を獲得することができる。すなわち、実施例1に係る二次冷却装置40は、地球温暖化防止の観点から重要視されている二次ループ式冷凍回路によるノンフロン化技術の普及を推進する上で、有効な技術的な位置付けを有している。
【実施例2】
【0049】
図6は、二次側の回路として実施例2に係る二次冷却装置(冷却装置)60を備える冷却設備32を示す概略回路図である。なお、実施例2の冷却設備32は、実施例1で説明した冷蔵庫10に設置される。
【0050】
図6に示す如く、実施例2に係る冷却設備32は、冷媒を強制循環する機械圧縮式の一次冷却装置(一次側の回路)34と、冷媒が自然対流するサーモサイフォンからなる二次冷却装置(冷却装置)60とを、カスケード熱交換器HEを介して熱交換するように熱的に接続(カスケード接続)した二次ループ冷凍回路が採用される。なお、一次冷却装置34の構成は、実施例1と同一であるので詳細説明は省略し、同一部材には同じ符号を付すものとする。また二次冷却装置60については、実施例1と同一部材には同じ符号を付すものとする。
【0051】
前記二次冷却装置60は、気相二次冷媒(気化冷媒)を液化するカスケード熱交換器HEの二次熱交換部42と、液相二次冷媒(液化冷媒)を気化する蒸発器EPとを備え、二次熱交換部42と蒸発器EPとが1対1の関係で対応している(図6参照)。また二次冷却装置60は、二次熱交換部42と蒸発器EPとを接続する液配管44およびガス配管46を備え、液配管44を介して二次熱交換部42から蒸発器EPへ重力の作用下に液相二次冷媒を供給し、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ気相二次冷媒を還流させる自然循環回路62が設けられる。二次熱交換部42は、機械室20に配設される一方、蒸発器EPは、当該機械室20の下方に位置する冷却室28に配設され、台板24を挟んで二次熱交換部42より下方に蒸発器EPが配置される。なお、符号54は、自然循環回路62に冷媒を充填するために設けられた冷媒チャージポートであって、実施例2の二次冷却装置60では、自然循環回路62が単一であるから、冷媒チャージポート54および安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備が1組で足りる。
【0052】
前記二次熱交換部42には、凝縮経路50(特に区別する場合は、符号50にα,β,γ…を追加する。)が、並列して複数(実施例2では3本)設けられている。また蒸発器EPには、蒸発経路52が、並列して複数(実施例2では3本であって、特に区別する場合は、符号52にα,β,γ…を追加する。)設けられている。図6では、凝縮経路50をガス配管46に接続する流入端50aから液配管44に接続する流出端50bまで直線的な経路で表わすと共に、蒸発経路52を液配管44に接続する流入端52aからガス配管46に接続する流出端52bまで直線的な経路で表わしているが、凝縮経路47を蛇行させても、直線状に形成してもよい。
【0053】
ここで、二次冷却装置60では、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44(特に区別する場合は、符号44にα,β,γ…を追加する。)および複数のガス配管46(特に区別する場合は、符号46にα,β,γ…を追加する。)が同数に設定されている。液配管44は、上端(始端)を二次熱交換部42における凝縮経路50の流出端50bに接続して台板24を貫通して配管され、冷却室28側に位置する下端(終端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流入端52aに接続される。そして、ガス配管46は、冷却室28側に位置する下端(始端)が蒸発器EPにおける蒸発経路52の流出端52bに接続して台板24を貫通して配管され、機械室20側に位置する上端(終端)が二次熱交換部42における凝縮経路50の流入端50aに接続される。
【0054】
前記二次冷却装置60では、凝縮経路50の流出端50bに接続する液配管44を、当該凝縮経路50の流入端50aに連結したガス配管46が接続している蒸発経路52と別の蒸発経路52に接続するよう構成される。また二次冷却装置60では、蒸発経路52の流出端52bに接続するガス配管46を、当該蒸発経路52の流入端52aに連結した液配管44が接続している凝縮経路50と別の凝縮経路50に接続して、複数の凝縮経路50、複数の蒸発経路52、複数の液配管44および複数のガス配管46によって、全体として1つの自然循環回路62が構成される。そして、二次冷却装置60には、強制冷却される一次熱交換部36との熱交換により冷却される二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に温度勾配が形成され、二次冷媒が二次熱交換部42、液配管44、蒸発器EPおよびガス配管46を自然対流して二次熱交換部42に再び戻る冷媒の循環サイクルが形成される。
【0055】
前記二次冷却装置60に構成される自然循環回路62について、図6を参照してより具体的に説明する。実施例2の二次冷却装置60では、二次熱交換部42に冷媒経路として3本の凝縮経路50α,50β,50γが設けられ、蒸発器EPに冷媒経路として3本の蒸発経路52α,52β,52γが設けられている。第1凝縮経路50αの流出端50bには、第1液配管44αの始端が接続され、該第1液配管44αの終端が第1蒸発経路52αの流入端52aに接続され、第1凝縮経路50αから第1液配管44αを介して第1蒸発経路52αに二次液化冷媒が供給される。第1蒸発経路52αの流出端52bには、第1ガス配管46αの始端が接続され、該第1ガス配管46αの終端が第2凝縮経路50βの流入端50aに接続され、第1蒸発経路52αから第1ガス配管46αを介して第2凝縮経路50βに二次気化冷媒が戻される。第2凝縮経路50βの流出端50bには、第2液配管44βの始端が接続され、該第2液配管44βの終端が第2蒸発経路52βの流入端52aに接続され、第2凝縮経路50βから第2液配管44βを介して第2蒸発経路52βに二次液化冷媒が供給される。第2蒸発経路52βの流出端52bには、第2ガス配管46βの始端が接続され、該第2ガス配管46βの終端が第3凝縮経路50γの流入端50aに接続され、第2蒸発経路52βから第2ガス配管46βを介して第3凝縮経路50γに二次気化冷媒が戻される。第3凝縮経路50γの流出端50bには、第3液配管44γの始端が接続され、該第3液配管44γの終端が第3蒸発経路52γの流入端52aに接続され、第3凝縮経路50γから第3液配管44γを介して第3蒸発経路52γに二次液化冷媒が供給される。第3蒸発経路52γの流出端52bには、第3ガス配管46γの始端が接続され、該第3ガス配管46γの終端が第1凝縮経路50αの流入端50aに接続され、第3蒸発経路52γから第3ガス配管46γを介して第1凝縮経路50αに二次気化冷媒が戻され、二次冷媒が自然循環回路62内を一巡する。
【0056】
実施例2の二次冷却装置60における各蒸発経路52は、実施例1と同じく、図3〜図5に示すスパイラルフィンチューブ型の熱交換器55で構成される。
【0057】
〔実施例2の作用〕
次に、実施例2に係る二次冷却装置60を備えた冷却設備32の作用について説明する。冷却設備32では、冷却運転を開始すると、一次冷却装置34および二次冷却装置60の夫々で冷媒の循環が開始される。なお、一次冷却装置34の作用は、段落[0032]で説明しているので省略する。
【0058】
前記二次冷却装置60では、二次熱交換部42が一次熱交換部36により冷却されているから、二次熱交換部42の各凝縮経路50を流通する過程で気相二次冷媒が放熱して凝縮し、気相から液相に状態変化することで比重が増加するので、重力の作用下に二次熱交換部42の各凝縮経路50に沿って液相二次冷媒が流下する。二次冷却装置60では、二次熱交換部42を機械室20に配置する一方、蒸発器EPを機械室20の下方に位置する冷却室28に配設することで、二次熱交換部42と蒸発器EPとの間に落差を設けてある。すなわち、液相二次冷媒を、二次熱交換部42の下部に接続した液配管44を介して、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPへ向けて重力の作用下に自然流下させることができる。液相二次冷媒は、蒸発器EPの各蒸発経路52を流通する過程で、蒸発管56の集合で構成される蒸発器EPの周囲雰囲気から熱を奪って蒸発して気相に移行する。気相二次冷媒は、ガス配管46を介して蒸発器EPから二次熱交換部42へ還流し、二次冷却装置60ではポンプやモータ等の動力を用いることなく、簡単な構成で二次冷媒が自然循環するサイクルが繰返される。
【0059】
前記二次冷却装置60に構成した自然循環回路62では、複数の凝縮経路50とこの凝縮経路50と同数の蒸発経路52とを互い違いに接続することで、1本の凝縮経路50と1本の蒸発経路52とに交互に二次冷媒を流通させる1つのサーモサイフォンを形成してある。すなわち、自然循環回路62によれば、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、1つの回路の中に複数の凝縮経路50および複数の蒸発経路52を設けることができる。このように、自然循環回路62が全体として1つの冷媒の経路で構成されているから、凝縮経路50,50同士および蒸発経路52,52同士または凝縮経路50と蒸発経路52との間で二次冷媒が偏在することを抑制でき、各凝縮経路50および各蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させることができる。
【0060】
また、二次冷却装置60に作用する外気温の変動等の外因によって、自然循環回路62を循環する二次冷媒が凝縮経路50や蒸発経路52の何れかに偏在する場合もある。しかるに、自然循環回路62は、1つのサーモサイフォンから構成されているので、各凝縮経路50および各蒸発経路52における二次冷媒の量が一致するように、二次冷媒のバランスが自然に調節される。従って、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、二次冷媒の偏在自体が起きにくく、例え二次冷媒の偏在が生じても当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の量を一致させるよう調節力が作用するので、二次冷媒のバランスを調節するために弁等の調節手段を設ける必要がなく、二次冷却装置60の構成を簡易にできる。しかも、自然循環回路62において、二次冷媒が円滑に自然対流するから、蒸発器EPにおける冷却効率を向上することができる。従って、二次熱交換部42および蒸発器EPに凝縮経路50および蒸発経路52を複数設けることができ、凝縮経路50および蒸発経路52を屈曲や分岐することなく、熱交換面積を稼ぐことができる。
【0061】
前記二次冷却装置60では、カスケード熱交換器HEおよび蒸発器EPの夫々に凝縮経路50および蒸発経路52を複数配置することができる。すなわち、1本当たりの凝縮経路50および蒸発経路52に要求される熱交換面積が小さくなり、各凝縮経路50および各蒸発経路52の配管長を短くすることが可能となる。これにより、各凝縮経路50および各蒸発経路52において、必要とされる配管長を稼ぐために蛇行させる回数を少なくでき、流通抵抗となる屈曲部分を減らせるから、当該凝縮経路50および蒸発経路52を流通する二次冷媒の圧力損失を小さくすることができる。また、二次冷却装置60は、液配管44、ガス配管46、凝縮経路50および蒸発経路52を分岐させることなく、自然循環回路62を全体として1つの冷媒の経路で構成しているから、配管等の分岐部に起因する圧力損失が発生しない。自然循環回路62では、凝縮経路50と蒸発経路52との間で自然対流に必要とされる二次冷媒のヘッド差を小さくできるので、凝縮経路50と蒸発経路52との間で要求される落差が小さくなり、二次熱交換部42と蒸発器EPとの上下の配置間隔を狭くすることが可能となり、二次冷却装置60をコンパクトにできる。また、自然循環回路62において、二次冷媒の圧力損失が小さいので、液配管44およびガス配管46として従来と比較して細い管径を選定しても、同一量の二次冷媒を回路内に循環させることができ、回路全体として充填する二次冷媒の量を削減することが可能となる。
【0062】
このように、各凝縮経路50および各蒸発経路52の長さや断面積を減じることが可能であるので、二次熱交換部42や蒸発器EPをコンパクトにできると共に、循環する冷媒量を低減することで、自然循環回路62の圧力上昇を緩和する膨張タンク(図示せず)の容量等の付帯設備も小さくなるので、二次冷却装置60全体としてコンパクトにすることができ、コストダウンも可能となる。また液配管44、ガス配管46および蒸発管56等の配管を細径化することで、これらの配管44,46,56において耐圧性能を確保するために必要な肉厚を減ずることが可能となる。すなわち、各配管44,46,56が細径化したことだけでなく、各配管44,46,56の肉厚が減少することとの相乗によって、配管重量を一層削減することができ、コストを更に低減し得る。更に、実施例2の冷却設備32であっても、段落[0036],[0041]〜[0048]で説明した作用効果を奏する。
【0063】
実施例2の二次冷却装置60は、単一の自然循環回路62で構成されているので、冷媒チャージポート54や圧力の過剰な上昇を防ぐ安全弁や膨張タンク(何れも図示せず)等の付帯設備を1つ設けるだけでよい。すなわち、実施例1の二次冷却装置40の如く、独立した複数の自然循環回路48を備える構成と比較して、二次冷媒の偏流の防止や配管径の細径化等のメリットを維持しつつ、付帯設備がコンパクトになり、コストを低減し得る。また、実施例2の二次冷却装置60は、製造工程やメンテナンスにおける冷媒の充填作業を、単一の自然循環回路62に対し行なうだけなので、作業性およびメンテナンス性を向上し得る。
【0064】
(変更例)
本願は前述した各実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例では、複数の蒸発経路における冷媒の流入端および流出端を、上下方向に整列する位置関係で配置した場合で説明したが、図7に示すように、各蒸発経路52における冷媒の流入端52aおよび流出端52bが、空気の流れ方向に偏倚するよう配置してもよい。
2.実施例では、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の蒸発管を、同一平面(設置平面)上で蛇行状に配置した場合で説明したが、直線部分や折曲げ部分が同一平面上に配置されない構成であってもよい。例えば、図19に示す如く、各蒸発管56を、階段状の平面上で蛇行状に配置することで、該蒸発管56を、全体として蒸発管群を流通する空気の流れ方向で階段状に形成する。より具体的には、蒸発管56は、蒸発管群を流通する空気の流れ方向の上流側に設定された平面上で蛇行状に折り曲げて形成された上段部56Aと、下流側で上段部56Aより一段下がった位置に設定された平面上で蛇行状に折り曲げて形成された下段部56Bと、上段部56Aにおける空気の流れ方向の下流端部と下段部56Bにおける空気の流れ方向の上流端部とを接続する段差部56Cとからなり、上段部56Aの前記下流端部より下段部56Bの前記上流端部が上流側に延出して、全体としてZ字状に形成される。そして、これら階段状に形成された複数の蒸発管56が、各段を上下に離間するように層状に配置される。すなわち、上側に位置する蒸発管56における上段部56Aと、下側に位置する蒸発管56における上段部56Aとが上下に離間して層状に配置され、上側に位置する蒸発管56における下段部56Bと、下側に位置する蒸発管56における下段部56Bとが上下に離間して層状に配置される。
このように各蒸発管56を、直線部分56a,56aが上下に重なるように配置した段差部56Cによって階段状(Z字状)に形成することで、各蒸発管56における熱交換長を、蒸発管群を流通する空気の流れ方向に同じ長さの1つの平面上で蛇行状に折り曲げた場合より長くすることができる。すなわち、同一能力の蒸発器EPを、少ない本数の蒸発管56で構成することができ、部品点数および組立て工数を減らして製造コストを低減し得る。また、各蒸発管56は、蒸発経路52における流入端52a側から流出端52b側に上りとなる階段状に形成され、かつ上段部56Aおよび下段部56Bを構成する直線部分56aが冷媒の流入端52a側から流出端52b側に向けて順に上方に偏倚する(上段部56Aおよび下段部56Bが形成される平面が流入端52a側から流出端52b側に向けて上方傾斜する傾斜面となっている)よう形成されており、該蒸発管56で蒸発する冷媒の循環が速やかに行なわれる。
図19に示す変更例では、下側に位置する蒸発管56における上段部56Aの下側に、蒸発管56が存在しない空間が形成されるが、この空間の部分は、図1に示すように冷却室28に蒸発器EPを配置した場合に、前記送風ファン30により冷却室28に吸引された空気の流通量が少ない部分である。すなわち、蒸発管56を階段状に形成したことで空間が生じたとしても、冷却室28を流れる空気による熱交換が大きく低下するものではない。なお、蒸発管56の段数は2段に限らず3段以上であってもよく、また上段部56Aと下段部56Bとを接続する段差部56Cは鉛直等、直線部分56a,56aの少なくとも一部が上下に重なる関係となっていればよい。
3.実施例では、スパイラルフィンチューブ型の熱交換器の蒸発管を、同一平面(設置平面)上で蛇行状に配置した場合で説明したが、直線部分や折曲げ部分が同一平面上に配置されない構成であってもよい。例えば、蒸発管を階段状(例えばクランク状)の平面上で蛇行状に配置して熱交換器を構成し、各熱交換器における各段が上下に離間して層状に配置されるものであってもよい。なお、同一平面上に配置しない構成であっても、直線部分が冷媒の流入端側から流出端側に向けて順に上方に偏倚するように配置するのが好ましい。
4.実施例では、熱交換器として蒸発管の外周囲にフィンを螺旋状に巻き付けたスパイラルフィンチューブ型のものを採用した場合で説明したが、この構成に限定されるものではなく、例えば図8〜図16に示す構成を採用し得る。
図8は、蒸発管56の外周囲に螺旋状に巻き付けた突起状の伝熱促進部材74の軸方向(蒸発管56の長手方向)の厚みを大きくし、かつ伝熱促進部材74の螺旋ピッチを狭く設定したものである。
また図9は、図8の変更例に比べて伝熱促進部材74の軸方向の厚みを小さくし、かつ伝熱促進部材74の螺旋ピッチを広く設定したものである。
図10は、蒸発管56の外周囲に多数のスパインフィン(伝熱促進部材)76を螺旋状に突設したもの(所謂、スパインフィンチューブ)である。
図11は、蒸発管56の外周囲に、多数の突起状の伝熱促進部材78を螺旋を描くように突設したものである。なお、図11の変更例に係る伝熱促進部材78における螺旋ピッチや、軸方向の厚み等は任意に設定が可能である。
図12は、蒸発管56の長手方向に離間して複数の板状の伝熱促進部材80を並列に配設したものである。図12の変更例に示す伝熱促進部材80の形状としては、図12(a)の円形、図12(b)の四角形、図12(c)の八角形、図12(d)の上下左右に突部を有して全体として十字形となる多角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図13は、蒸発管56の長手方向に離間して、複数(2本以上で全ての蒸発管より少ない数)の蒸発管56に共通に接触するように板状の伝熱促進部材82を並列に配設したものである。図13の変更例に示す伝熱促進部材82の形状としては、図13(a)の四角形、図13(b)の小判形、図13(c)の矩形状に板体の左右端部に突部を有する多角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図14は、蒸発管56の長手方向に離間して複数の環状の伝熱促進部材84を並列に配設したものであって、軸方向の厚みを大きくすると共に軸方向の離間間隔を広く設定したものである。図14の変更例に示す伝熱促進部材84の形状としては、図14(a)の円形、図14(b)の四角形、図14(c)の八角形であってもよく、その他各種形状を採用し得る。
図15は、蒸発管56の外周囲に複数の突起86aを円形状に突設した伝熱促進部材86を、長手方向に離間して複数並列に配設したものである。なお、図15に示す変更例の伝熱促進部材86の軸方向の離間寸法や軸方向の厚み等は任意に設定が可能である。また各突起86aの形状についても、複数の突起86aから構成される伝熱促進部材86が、全体として図14(b),(c)等に示す変更例の伝熱促進部材84の外形形状と同一となるようなものであってもよい。
図16は、図14の変更例に比べて伝熱促進部材88の軸方向の厚みを大きくし、かつ伝熱促進部材88の螺旋ピッチを狭く設定したものである。なお、図16に示す変更例の伝熱促進部材88の形状については、図14の変更例と同様に各種形状のものを採用可能である。また、各伝熱促進部材88が、図15の変更例のように複数の突起から構成されるものであってもよい。
5.実施例では、熱交換器としてスパイラルフィンチューブ型のものを採用したが、蒸発器を流通する空気の流れに対する蒸発管の配置および二次冷媒として伝熱性能に優れた二酸化炭素を用いることで、蒸発器での効率的な熱交換が達成されることから、蒸発管(管体)に各種の伝熱促進部材を配設していない、蒸発管(管体)のみからなる熱交換器を採用することができる。そして、このように蒸発管(管体)のみからなる熱交換器を採用することで、複数の熱交換器の離間間隔を小さくすることができ、蒸発器をよりコンパクトにすることが可能となる。
なお、伝熱促進部材を配設しない蒸発管としては、例えば図17および図18の構成を採用することができる。
図17は、蒸発管56の断面形状を多角形状として表面積を大きくするようにしたものであって、図17(a)の八角形や、図17(b)の十字形等、その他各種の断面形状を採用することができる。
図18は、蒸発管56の表面に伝熱を促進する溝を形成したものであって、図18(a)および(b)に示すように周上で連続する溝90を軸方向に離間して形成したものや、図18(c)〜(e)に示すように、相互に連続しない多数の溝92を周方向および軸方向に離間して形成したものを採用することができる。なお、図18に示す変更例の溝の形状は、図示したものに限らず、任意の形状を採用し得る。
6.冷却設備の一次冷却装置として、吸収式やその他の冷凍回路も採用することができる。また、本発明に係る冷却装置は、熱交換部をファンによる送風等によって冷却する空冷式であってもよい。
7.カスケード熱交換器は、一次熱交換部と二次熱交換部とを別体で構成したり、他の方式の熱交換器であってもよい。
8.実施例では、一次冷却装置において液化冷媒を減圧する手段として膨張弁を用いたが、これに限られず、キャピラリーチューブまたはその他の減圧手段を採用し得る。
9.実施例では、二次ループ式冷凍回路を備える冷却設備の二次側に本発明に係る冷却装置を用いる例を挙げている。前述の如く、二次ループ式冷凍回路を備えた冷却設備の欠点を解消し得ることから、本発明に係る冷却装置を二次ループ式冷凍回路に適用することは非常に有用である。しかし、本発明に係る冷却装置は、二次ループ式冷凍回路に適用することに限定されず、単体で冷却装置として用いることも可能である。
10.本発明の冷却装置は、冷凍庫、冷凍・冷蔵庫、ショーケースおよびプレハブ庫等の所謂貯蔵庫、その他空調設備等にも適用し得る。
【符号の説明】
【0065】
34 一次冷却装置(一次側の回路),42 二次熱交換部(熱交換部),44 液配管
46 ガス配管,48 自然循環回路,50 凝縮経路,52 蒸発経路
52a 流入端,52b 流出端,55 熱交換器,56 蒸発管,56a 直線部分
56C 段差部,58 フィン(伝熱促進部材),62 自然循環回路
74,78,80,82,84,86,88 伝熱促進部材
76 スパインフィン(伝熱促進部材),EP 蒸発器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮経路(50)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(42)と、この熱交換部(42)の下方に配置され、内部の蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管(56)とを有し、液化冷媒を熱交換部(42)の凝縮経路(50)から前記蒸発経路(52)へ液配管(44)を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路(52)から熱交換部(42)の凝縮経路(50)へガス配管(46)を介して流通させる自然循環回路(48)を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路(48)と、複数の自然循環回路(48)の蒸発管(56)の集合で構成される蒸発器(EP)とを備えると共に、各自然循環回路(48)を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記各蒸発管(56)は、蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分(56a)が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管(44)が接続されると共に、前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管(46)が接続され、
前記複数の蒸発管(56)は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
凝縮経路(50)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(42)と、この熱交換部(42)の下方に配置され、内部の蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管(56)とを有し、液化冷媒を熱交換部(42)の凝縮経路(50)から前記蒸発経路(52)へ液配管(44)を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路(52)から熱交換部(42)の凝縮経路(50)へガス配管(46)を介して流通させる自然循環回路(62)を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路(62)は、複数の蒸発管(56)の集合で構成される蒸発器(EP)と、該複数の蒸発管(56)と同数の凝縮経路(50)とを備えると共に、該自然循環回路(62)を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記凝縮経路(50)の流出端(50b)に接続する液配管(44)を、当該凝縮経路(50)の流入端(50a)に連結したガス配管(46)が接続している蒸発管(56)と別の蒸発管(56)に接続すると共に、蒸発管(56)の流出端(52b)に接続するガス配管(46)を、当該蒸発管(56)の流入端(52a)に連結した液配管(44)が接続している凝縮経路(50)と別の凝縮経路(50)に接続して、全体として1つの自然循環回路(62)を構成し、
前記各蒸発管(56)は、蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分(56a)が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管(44)が接続されると共に、前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管(46)が接続され、
前記複数の蒸発管(56)は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記蒸発経路(52)の液配管(44)が接続する流入端(52a)は、ガス配管(46)が接続する流出端(52b)より下方に位置している請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記各蒸発管(56)は、前記直線部分(56a)が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部(56C)によって蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向において階段状に形成され、該階段状に形成された複数の蒸発管(56)は、各段が上下の関係となるよう層状に配置される請求項1〜3の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記蒸発管(56)の外周囲に伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)が配設されると共に、蛇行状に折り曲げられている該蒸発管(56)における隣り合う直線部分(56a)の伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)は相互に離間するよう構成され、
前記複数の蒸発管(56)は、前記伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)が相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される請求項1〜4の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路(34)に対して、前記自然循環回路(48,62)が前記熱交換部(42)を介して熱的に接続される請求項1〜5の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項1】
凝縮経路(50)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(42)と、この熱交換部(42)の下方に配置され、内部の蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管(56)とを有し、液化冷媒を熱交換部(42)の凝縮経路(50)から前記蒸発経路(52)へ液配管(44)を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路(52)から熱交換部(42)の凝縮経路(50)へガス配管(46)を介して流通させる自然循環回路(48)を設けた冷却装置において、
互いに独立した複数の自然循環回路(48)と、複数の自然循環回路(48)の蒸発管(56)の集合で構成される蒸発器(EP)とを備えると共に、各自然循環回路(48)を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記各蒸発管(56)は、蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分(56a)が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管(44)が接続されると共に、前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管(46)が接続され、
前記複数の蒸発管(56)は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
凝縮経路(50)を流通する気化冷媒を凝縮して液化冷媒とする熱交換部(42)と、この熱交換部(42)の下方に配置され、内部の蒸発経路(52)を流通する液化冷媒を蒸発させて気化冷媒とする管状の蒸発管(56)とを有し、液化冷媒を熱交換部(42)の凝縮経路(50)から前記蒸発経路(52)へ液配管(44)を介して流下させると共に、気化冷媒を前記蒸発経路(52)から熱交換部(42)の凝縮経路(50)へガス配管(46)を介して流通させる自然循環回路(62)を設けた冷却装置において、
前記自然循環回路(62)は、複数の蒸発管(56)の集合で構成される蒸発器(EP)と、該複数の蒸発管(56)と同数の凝縮経路(50)とを備えると共に、該自然循環回路(62)を循環する冷媒として二酸化炭素を用い、
前記凝縮経路(50)の流出端(50b)に接続する液配管(44)を、当該凝縮経路(50)の流入端(50a)に連結したガス配管(46)が接続している蒸発管(56)と別の蒸発管(56)に接続すると共に、蒸発管(56)の流出端(52b)に接続するガス配管(46)を、当該蒸発管(56)の流入端(52a)に連結した液配管(44)が接続している凝縮経路(50)と別の凝縮経路(50)に接続して、全体として1つの自然循環回路(62)を構成し、
前記各蒸発管(56)は、蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向と交差する横方向に直線部分(56a)が延在するよう蛇行状に折り曲げて形成され、
前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向下流側の部位に前記液配管(44)が接続されると共に、前記蒸発管(56)における前記空気の流れ方向上流側の部位に前記ガス配管(46)が接続され、
前記複数の蒸発管(56)は、相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記蒸発経路(52)の液配管(44)が接続する流入端(52a)は、ガス配管(46)が接続する流出端(52b)より下方に位置している請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記各蒸発管(56)は、前記直線部分(56a)が少なくとも一部を上下に重なるよう配置された段差部(56C)によって蒸発管(56)群を流通する空気の流れ方向において階段状に形成され、該階段状に形成された複数の蒸発管(56)は、各段が上下の関係となるよう層状に配置される請求項1〜3の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記蒸発管(56)の外周囲に伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)が配設されると共に、蛇行状に折り曲げられている該蒸発管(56)における隣り合う直線部分(56a)の伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)は相互に離間するよう構成され、
前記複数の蒸発管(56)は、前記伝熱促進部材(58,74,76,78,80,82,84,86,88)が相互に離間する状態で上下の関係で層状に配置される請求項1〜4の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
冷媒を強制循環させる機械圧縮式の一次側の回路(34)に対して、前記自然循環回路(48,62)が前記熱交換部(42)を介して熱的に接続される請求項1〜5の何れか一項に記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−78309(P2010−78309A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161054(P2009−161054)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
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