説明

冷却装置

【課題】偏平状の被冷却体を効率良く冷却することができるとともに、複数の偏平状の被冷却体を順番に一時的に冷却する場合の取り扱いも容易に行う。
【解決手段】扁平状の被冷却体1の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた冷却パネルPの一対が、両冷却面3a間に被冷却体1の冷却対象部位を挟み込む冷却作用姿勢と両冷却面3aを離間させた冷却解除姿勢とに切り替え自在に連結されているとともに、両冷却パネルPには、それの冷却面3aに冷熱を発生させる冷熱発生手段Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、設定温度以下で顕像化し且つ設定温度を越えたら以上で消像化する潜像画像が印刷された画像形成体(例えば、証明書類や有価証券類)等の偏平状の被冷却体を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却装置としては従来から種々のものが提案されているが、一般的なものとしては、被冷却体を出し入れ可能に収納する開閉操作自在な断熱扉を備えた冷蔵庫本体の庫内に、被冷却体を収納する冷却室と庫内温度を設定温度に維持するための冷熱を発生する冷凍機の蒸発器等を配置する機器配置室とを連通状態で区画形成した冷蔵庫が存在する(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−10645号公報
【特許文献2】特開平5−18615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の汎用型の冷蔵庫では、冷凍機の蒸発器で庫内空気を冷却し、この冷却された庫内空気を冷却室に循環流動させて該冷却室に収納された被冷却体を冷却するものであるから、全体が大掛かりで重量化するとともに、複数の偏平状の被冷却体を順番に一時的に冷却する場合の取り扱いが不便であった。
【0005】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、偏平状の被冷却体を効率良く冷却することができるとともに、複数の偏平状の被冷却体を順番に一時的に冷却する場合の取り扱いも容易に行うことのできる冷却装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1の特徴構成は、扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた冷却パネルの一対が、前記両冷却面間に被冷却体の冷却対象部位を挟み込む冷却作用姿勢と前記両冷却面を離間させた冷却解除姿勢とに切り替え自在に構成されているとともに、前記両冷却パネルには、それの冷却面に冷熱を発生させる冷熱発生手段が設けられている点にある。
【0007】
上記構成によれば、偏平状の被冷却体を冷却する場合、冷却解除姿勢にある両冷却パネルの冷却面の一方に被冷却体の冷却対象部位を配置して、両冷却パネルを冷却作用姿勢に切り替え操作すると、両冷却パネルの冷却面が被冷却体の表裏の偏平面に面接当する状態で挟み込むため、各冷却パネルの冷却面が被冷却体の表面の冷却対象部位に密着し易くなり、各冷却面から放射される冷熱で被冷却体を効率良く冷却することができる。
【0008】
しかも、前記扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた両冷却パネルの姿勢を切り替え操作するだけであるから、複数の偏平状の被冷却体を順番に一時的に冷却する場合でも、従来の冷蔵庫に比して取り扱いの容易化、能率化を図ることができる。
【0009】
本発明による第2の特徴構成は、前記両冷却パネルの冷却面が、前記被冷却体との当接に伴って撓み変形可能に構成されているとともに、前記冷却作用姿勢にあるとき、前記両冷却面間に被冷却体を包み込む状態で挟み込むように構成されている点にある。
【0010】
上記構成によれば、冷却解除姿勢にある両冷却パネルの冷却面の一方に被冷却体の冷却対象部位を配置して、両冷却パネルを冷却作用姿勢に切り替え操作したとき、各冷却パネルの冷却面が被冷却体との当接に伴って撓み変形しながら当該被冷却体を包み込み、且つ、各冷却パネルの冷却面が被冷却体の表面の冷却対象部位に密着し易くなるため、各冷却面から放射される冷熱で被冷却体を効率良く冷却することができる。
【0011】
本発明による第3の特徴構成は、前記両冷却パネルが揺動開閉自在にヒンジ部で枢支連結されているとともに、他方の冷却パネルを一方の冷却パネルから離間させた冷却解除姿勢に保持する保持手段が設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記両冷却パネルを揺動操作で冷却作用姿勢と冷却解除姿勢とに簡便に切り替えることができるとともに、一方の冷却パネルの冷却面に被冷却体の冷却対象部位を載置する際、他方の冷却パネルは前記保持手段によって冷却解除姿勢に保持されているので、取り扱いの容易化、能率化を促進することができる。
【0013】
本発明による第4の特徴構成は、前記冷熱発生手段が、冷媒流体の流路を構成する弾性変形可能な軟質材料製の管状部材から構成されているとともに、前記両冷却パネルには、前記冷却面を形成する部位が撓み変形可能に構成されているパネルケースと、前記管状部材を配設経路に沿って保持する配設溝を備え、且つ、前記配設溝に保持された管状部材が冷却パネルの冷却面形成部位の内側面に接触する状態でパネルケースに内装可能な断熱基材とが備えられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、前記冷熱発生手段の管状部材をパネルケース内に組付ける際、熱損失を抑制するための断熱基材に形成された配設溝に沿って管状部材を確実、容易に配設することができるとともに、前記管状部材を冷却パネルの冷却面形成部位の内側面に接触させて熱授受効率の向上を図りながらも、この管状部材が弾性変形可能な軟質材料製であるため、前記冷却面を形成する部位の撓み変形を阻害することを抑制することができ、各冷却パネルの冷却面を被冷却体の表面の冷却対象部位に密着させて冷却効率を高めることができる。
【0015】
本発明による第5の特徴構成は、前記断熱基材の配設溝に保持された管状部材が、それの一部を偏平状基材の表面側に突出させた状態で配設されているとともに、前記管状部材の突出部位に接触状態で被覆する熱伝導性に優れた可撓性の放冷用被覆材が、前記冷却パネルの冷却面形成部位の内側面に接触する状態で断熱基材の表面に設けられている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記管状部材の少なくとも一部が断熱基材の表面側に突出することによって、断熱基材の表面側での放冷表面積を増加することができるとともに、この管状部材の突出部位に接触する状態で該管状部材を被覆する熱伝導性に優れた放冷用被覆材を、前記断熱基材の表面に設けることにより、管状部材の突出部位との直接接触によって授受した冷熱を、放冷用被覆材を介して冷却パネルの冷却面形成部位に効率良く伝播することができる。
【0017】
本発明による第6の特徴構成は、前記被冷却体が、設定温度以下で顕像化し且つ設定温度を越えたら消像化する潜像画像が印刷された画像形成体である点にある。
【0018】
上記構成によれば、扁平状の被冷却体の一例である画像形成体に印刷された潜像画像を確認する際、冷却解除姿勢にある両冷却パネルの冷却面の一方に画像形成体の冷却対象部位を配置し、両冷却パネルを冷却作用姿勢に切り替え操作して、両冷却パネルの冷却面が画像形成体の表裏の偏平面に面接当する状態で挟み込むことにより、各冷却面から放射される冷熱で画像形成体を効率良く冷却することができ、潜像画像の顕像化の時間短縮を図ることができる。
特に、前記画像形成体が証明書類や有価証券類等の場合には、その真偽判定に要する時間の短縮化と取り扱いの容易化を図ることができる。
【0019】
本発明による第7の特徴構成は、扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた冷却パネルの一対が、前記被冷却体の表裏の偏平面が前記両冷却面に対面する状態で該被冷却体の出し入れを許容する冷却通路を形成する対向間隔で配設されているとともに、前記両冷却パネルの冷却面に冷熱を発生させる冷熱発生手段が設けられている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記冷却通路を通して偏平状の被冷却体を差し入れたとき、各冷却パネルの冷却面に対して被冷却体の表裏の偏平面が対面するため、各冷却パネルの冷却面を被冷却体の冷却対象部位の表面に近接配置させ易くなり、各冷却面から放射される冷熱で被冷却体を効率良く冷却することができる。
【0021】
しかも、前記扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた両冷却パネルが冷却通路を形成する対向間隔で配設されているので、前記両冷却パネル間の冷却通路に対して冷却体を出し入れ操作するだけ良く、複数の偏平状の被冷却体を順番に一時的に冷却する場合でも、従来の冷蔵庫に比して取り扱いの容易化、能率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の冷却装置の第1実施形態を示す配管系統の側面図
【図2】両冷却パネルの冷却作用姿勢と冷却解除姿勢を示す斜視図
【図3】冷却パネルの分解斜視図
【図4】冷却作用姿勢にある両冷却パネルの要部の拡大断面図
【図5】本発明の冷却装置の第2実施形態を示す冷却作用姿勢での両冷却パネルの要部の拡大断面図
【図6】本発明の冷却装置の第3実施形態を示す冷却作用姿勢での両冷却パネルの要部の拡大断面図
【図7】本発明の冷却装置の第4実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
図1〜図4は、設定温度(例えば、0℃)以下で顕像化し且つ設定温度を越えたら消像化する潜像画像が印刷された画像形成体(例えば、証明書類や有価証券類)等の偏平状の被冷却体1を冷却する冷却装置を示し、扁平状の被冷却体1の冷却対象部位である片面全体の表面積よりも大きな表面積の冷却面3aを備えた冷却パネルPの一対が、前記両冷却面3a間に被冷却体1全体を挟み込む冷却作用姿勢と前記両冷却面3aを離間させた冷却解除姿勢とに揺動切り替え自在にヒンジ部2を介して連結されている。
【0024】
前記両冷却パネルPには、冷却パネルPの冷却面3aに冷熱を発生させる冷熱発生手段Aが設けられているとともに、前記冷熱発生手段Aに冷媒流体を循環供給する冷媒流体供給手段Bと、一方の冷却パネルPを他方の冷却パネルPから離間させた冷却解除姿勢に保持する保持手段Cとが設けられている。
【0025】
前記冷却パネルPは、少なくとも前記冷却面3aが熱伝導性に優れた材料の一例である薄板のアルミニウム合金から構成されている矩形状のパネルケース3と、該パネルケース3内に装着可能な矩形板状に成形された弾性変形可能な弾性発泡樹脂の一例であるウレタンフォーム製の可撓性のある断熱基材4とを主要構成として備え、前記断熱基材4の冷却面3a側となる表面4aには、前記冷熱発生手段Aの構成部材で、冷媒流体の流路を構成する弾性変形可能な軟質材料製の管状部材の一例である軟質合成樹脂製の冷媒ホース5が、それの一部を断熱基材4の表面4a側に突出させた状態で配設されている。
【0026】
前記パネルケース3は、前記冷却面3aを構成する撓み変形可能な矩形状の冷却用平面板3bとそれの4辺に一体的に連続形成される側板3cからなるアルミニウム合金製の第1分割ケース3Aと、当該第1分割ケース3Aの冷却用平面板3bに相対向する矩形状の平面板3dとそれの4辺に一体的に連続形成される側板3eからなるアルミニウム合金製の第2分割ケース3Aとからなり、前記第1分割ケース3Aが第2分割ケース3Aに内嵌装着可能に構成されているとともに、前記第1分割ケース3Aの側板3cの外側面と第2分割ケース3Aの側板3eの内側面との嵌合接合面間には、第1分割ケース3Aから第2分割ケース3Aへの冷熱の伝播を抑制するための断熱材6が介装されている。
【0027】
前記両冷却パネルPの冷却用平面板3bは、被冷却体1の挟み込み操作に連れて内方側に撓み変形可能に構成されているため、各冷却パネルPの冷却用平面板3bの冷却面が被冷却体1の冷却対象部位である表面全体に密着し易くなり、各冷却面から放射される冷熱で被冷却体1を効率良く冷却することができる。
【0028】
前記冷媒ホース5の突出部位となる露出管状部5aの外周面全域に接触する状態で該冷媒ホース5の熱交換部(冷媒ホース5をもって構成される放冷部)を被覆する熱伝導性に優れた放冷用被覆材の一例であるアルミ箔7が、前記断熱基材4の表面4aの全域に密着状態で設けられているとともに、前記アルミ箔7のうち、冷媒ホース5の露出管状部5aの頂部に相当する部位が、前記冷却パネルPの冷却面形成部位となる冷却用平面板3bの内側面に接触するように構成されている。
【0029】
前記断熱基材4の表面4aには、図3、図4に示すように、前記冷媒ホース5の熱交換部での配設パターンに対応する渦巻き状の配設形状で、且つ、前記冷媒ホース5の外径よりも浅く、半径よりも深い配設溝9が形成されているとともに、前記配設溝9の開口幅が、冷媒ホース5の外径よりも短い寸法に構成されている。
【0030】
そのため、前記冷媒ホース5の熱交換部を断熱基材4の配設溝9に装着する場合には、この断熱基材4の弾性復元力及び冷媒ホース5の弾性復元力に抗して配設溝9の開口を押し広げながら装着することになり、装着状態では冷媒ホース5の外周面が配設溝9の内周面に密着して挾持保持されている。
【0031】
そして、前記冷媒ホース5の少なくとも一部が断熱基材4の表面4a側に突出することによって、断熱基材4の表面4a側での放冷表面積を増加することができるとともに、この冷媒ホース5の突出部位である露出管状部5aに接触する状態で該露出管状部5aを被覆する熱伝導性に優れたアルミ箔7を、前記断熱基材4の表面4aに設けることにより、冷媒ホース5の露出管状部5aとの直接接触によって授受した冷熱を、アルミ箔7を介して冷却パネルPの冷却面形成部位に効率良く伝播することができる。
【0032】
さらに、前記冷媒ホース5を冷却パネルPの冷却面形成部位となる冷却用平面板3bの内側面に接触させて熱授受効率の向上を図りながらも、この冷媒ホース5が弾性変形可能な軟質樹脂材料製であるため、前記冷却面を形成する冷却用平面板3bの撓み変形を阻害することを抑制することができるから、各冷却パネルPの冷却面を被冷却体1の冷却対象部位である表面全体に密着させて冷却効率を高めることができる。
【0033】
また、前記断熱基材4の裏面には、当該断熱基材4と同じ大きさでシート状又はマット状に形成された断熱性に優れた発泡樹脂の一例である発泡ポリエチレン製の断熱発泡体12が設けられ、この断熱発泡体12の裏面全体には、防水層を構成するアルミ蒸着フイルム13がラミネート加工により形成されている。
【0034】
前記冷媒ホース5には、図1〜図3に示すように、冷媒流体の流入用接続口部14と流出用接続口部15とが備えられているとともに、前記冷媒ホース5が、前記流入用接続口部14から流入した熱媒流体を断熱基材4の外周縁側から中心側に向かって渦巻き状に流動案内する往行用管状体である往行用ホース体5Aと、当該往行用ホース体5Aに連続して熱媒流体を断熱基材4の中心側から外周縁側に向かって渦巻き状に流動案内したのち前記流出用接続口部15に導く復行用管状体である復行用ホース体5Bとから構成されている。
【0035】
前記断熱基材4の配設溝9は、前記冷媒ホース5の往行用ホース体5Aを渦巻き状に複数回(当該実施形態では四回)巻回するための矩形相似形の往行用環状溝部9Aと、前記冷媒ホース5の復行用ホース体5Bを渦巻き状に複数回(当該実施形態では四回)巻回するための矩形相似形の復行用環状溝部9Bと、複数巻回の往行用環状溝部9A及び複数巻回の復行用環状溝部9Bを一連の流路形成溝に連通接続する接続溝部9Cとから構成されている。
【0036】
前記ヒンジ部2は、前記両パネルケース3の短辺側同士を水平軸芯周りで揺動開閉自在に枢支連結する一対の蝶番から構成されているとともに、各蝶番2を構成する枢支連結ピン2C周りで揺動自在に枢支連結された両連結板2A,2Bのうち、一方の連結板2Aは、一方のパネルケース3の側板3c,3eにビス8にて固定連結されているとともに、他方の連結板2Bは、他方のパネルケース3の側板3c,3eにビス8にて固定連結されている。
【0037】
前記保持手段Cは、机上等に載置されて固定操作側となるパネルケース3の平面板3dの外面にビス8等で固定される連結板部10Aと、開閉操作側となるパネルケース3の平面板3dの外面に当接して該パネルケース3を90度以上の設定開き角度(当該実施形態では105度に設定されている)で保持する背凭れ板部10Bと、該背凭れ板部10Bの上部側に連設されるクランク状の接地支え板部10Cとからなる開き支え部材10と、この開き支え部材10の背凭れ板部10Bと接地支え板部10Cとに亘って架設される補強板11とから構成されている。
【0038】
前記冷媒流体供給手段Bの可搬式の断熱容器17は、一般の保冷ボックスと同様、蓋部17A及び容器本体17Bの外壁材に断熱材を使用して収容氷の放冷を抑制するようにしたものであり、容器本体17Bの底部に設けた制御ケース18には、容器本体17Bの内部空間Sから収納氷で冷却された熱媒流体としての冷水Wを吐出するポンプ19、当該ポンプ19の駆動源となる電源電池20と、前記ポンプ19からの冷媒流体としての冷水Wを取り出すための取出側接続口部21と、一巡した冷媒流体としての冷水Wを容器本体17Bの内部空間S内に戻すための戻し側接続口部22とが設けられている。
【0039】
前記制御ケース18の取出側接続口部21に脱着自在に接続された往行用接続ホース23の先端部、及び、前記制御ケース18の戻し側接続口部22に脱着自在に接続された復行用接続ホース24の先端部には、前記冷媒ホース5の流入用接続口部14及び流出用接続口部15に対して脱着自在に接続される往行用接続具25及び復行用接続具26が設けられている。
【0040】
そして、前記断熱容器17に冷熱源としての氷Iを収容しておき、また、前記制御ケース18の取出側接続口部21から導出された往行用接続ホース23の先端側の往行用接続具25を、前記冷媒ホース5の流入用接続口部8に接続するとともに、前記制御ケース18の戻し側接続口部22から導出された復行用接続ホース23の先端側の復行用接続具26を、前記熱媒ホース2の流出用接続口部14に接続する。
【0041】
この状態で前記制御ケース10のポンプPを運転することにより、前記断熱容器11の内部空間Sに貯留されている冷水W(断熱容器11内での氷Iの融解水)を、往行用接続ホース16、冷媒ホース5の往行用ホース体5A、復行用ホース体5B、復行用接続ホース24を介して循環させて、断熱容器17の収容氷Iから冷媒ホース5の熱交換部に冷熱を送る状態にし、この冷熱により熱交換部でアルミ箔7を冷却することで、冷却の立ち上がり性能及び放冷効率の向上を図ることができるとともに、縦横方向での温度分布の均一化を図ることができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
図5に示すように、前記両冷却パネルPの冷却面形成部位を、被冷却体1の挟み込み操作時における被冷却体1との当接に伴って弾性変形可能な可撓性又は柔軟性のある冷却用平面部材から構成して、両冷却パネルPの冷却面3aが面接当した冷却作用姿勢において、前記被冷却体1を両冷却パネルPの冷却面3a間で覆い包むように構成してもよい。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0043】
〔第3実施形態〕
図6に示すように、前記断熱基材4の表面4aに、前記冷媒ホース5の熱交換部での配設パターンに対応する渦巻き状の配設形状で、且つ、前記冷媒ホース5の外径と同一深さの配設溝9が形成されるとともに、前記配設溝9の開口幅が、冷媒ホース5の外径と同一寸法に構成されている。
【0044】
そして、前記冷媒ホース5における断熱基材4の表面4a側に臨む頂部側部位5bに接触する状態で該冷媒ホース5を被覆する熱伝導性に優れた放冷用被覆材の一例であるアルミ箔7が、前記断熱基材4の表面4aに設けられている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0045】
〔第4実施形態〕
上述の実施形態では前記扁平状の被冷却体1の片面側の冷却対象部位よりも大きな表面積の冷却面を備えた冷却パネルPの一対を、両冷却面3a間に被冷却体1の冷却対象部位を挟み込む冷却作用姿勢と両冷却面3aを離間させた冷却解除姿勢とに切り替え自在に連結したが、図7に示すように、扁平状の被冷却体1の片面側の冷却対象部位よりも大きな表面積の冷却面3aを備えた冷却パネルPの一対を、前記被冷却体1の表裏の偏平面が前記両冷却面3aに対面する状態で、且つ、該冷却体1の出し入れを許容する冷却通路Wを形成する対向間隔で配設するとともに、前記両冷却パネルPの幅方向両側部を、前記冷却通路Wが前後方向に開口する冷却部全体が角筒状となる状態で左右一対の断熱機能を備えた繋ぎ側壁28で連結してもよい。
【0046】
前記両冷却パネルPの構造は上述の第1〜3実施形態で説明した構成の何れか一つと同一であるから、それの説明は省略する。
また、当該第4実施形態では、前記冷却部全体を、冷却通路Wが前後方向の両方向に開口する角筒状に構成したが、前記冷却部全体を、前記冷却通路Wが前後方向の一方にのみ開口する有底筒状に構成してもよく、更に、前記冷却部全体を、冷却通路Wが前後方向の両方向と左右方向の一側に開口する横断面コの字状に構成してもよい。
【0047】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、前記断熱容器17に収容した氷Iの融解水W(冷水)を直接に冷却パネルPの管状部材5に対し循環させる例を示したが、これに代え、冷却パネルPの管状部材5に対して循環させる冷媒流体W(例えば冷水)を断熱容器17内の収容物I(例えば、氷とその融解水)と熱交換させる容器側熱交換器を断熱容器17に設けた構造にし、これにより冷却パネルPの管状部材5に対する熱媒流体の循環系と断熱容器17の収容部とを物質的に縁を切った構成にしてもよい。
【0048】
(2)上述の各実施形態では、冷熱源として断熱容器18に氷Iを収容したが、冷物質は氷に限られるものではなく、ドライアイスや冷却固化させた潜熱蓄熱剤などであってもよい。
【0049】
(3)前記冷却パネルPの管状部材5と断熱容器18との間で循環流動させる冷媒流体Wは水に限られるものではなく、不凍液などの各種液体であってもよく、また、冷熱源としてドライアイスを断熱容器18に収容する場合などでは、炭酸ガスなどの気体を熱源流体として冷却パネルPの管状部材5と断熱容器18との間で循環流動させるようにしてもよい。
【0050】
(4)前記冷却パネルPの管状部材5の配設パターンは、上述の実施形態の配設パターンに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0051】
(5)前記冷熱発生手段Aに冷媒流体を循環供給する冷媒流体供給手段Bとしては、前記の各実施形態で示した構造に限らず、種々の変更が可能である。
例えば、前記冷熱発生手段A及び冷媒流体供給手段Bとして、圧縮機で圧送される冷媒が蒸発→圧縮→凝縮→膨張の4つの状態変化(冷凍サイクル)を繰り返す冷凍機、或いは、直流電流の通電により両端に吸熱と発熱が生じるペルティエ素子(サーモ・モジュール)を使用してもよい。
【0052】
(6)上述の第1実施形態では、前記両冷却パネルPの冷却用平面板3bを、被冷却体1の挟み込み操作に連れて内方側に撓み変形可能に構成したが、前記冷却用平面板3bを被冷却体1の挟み込み操作時に撓み変形しないように構成してもよい。
【0053】
(7)上述の第1実施形態では、冷却パネルPの片面全体を冷却面3aに構成したが、被冷却体1の冷却対象部位と同じ又はほぼ同じ面積の部位を冷却面に構成してもよく、また、冷却パネルPを、被冷却体1の冷却対象部位と同じ又はほぼ同じ面積の大きさに構成してもよい。
【0054】
(8)上述の第1実施形態では、前記両冷却パネルPを、両冷却面3a間に被冷却体1全体を挟み込む冷却作用姿勢と両冷却面3aを離間させた冷却解除姿勢とに揺動切り替え自在にヒンジ部2を介して連結したが、両冷却パネルPを、平行四連リンク機構や不等辺リンク機構等で連結してもよい。
また、前記両冷却パネルPを着脱可能に係合連結してもよく、さらに、前記両冷却パネルPを分離状態で使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
A 冷熱発生手段
C 保持手段
P 冷却パネル
1 被冷却体
2 ヒンジ部
3 パネルケース
3a 冷却面
4 断熱基材
5 管状部材(冷媒ホース)
7 放冷用被覆材(アルミ箔)
9 配設溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた冷却パネルの一対が、前記両冷却面間に被冷却体の冷却対象部位を挟み込む冷却作用姿勢と前記両冷却面を離間させた冷却解除姿勢とに切り替え自在に構成されているとともに、前記両冷却パネルには、それの冷却面に冷熱を発生させる冷熱発生手段が設けられている冷却装置。
【請求項2】
前記両冷却パネルの冷却面が、前記被冷却体との当接に伴って撓み変形可能に構成されているとともに、前記冷却作用姿勢にあるとき、前記両冷却面間に被冷却体を包み込む状態で挟み込むように構成されている請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記両冷却パネルが揺動開閉自在にヒンジ部で枢支連結されているとともに、一方の冷却パネルを他方の冷却パネルから離間させた冷却解除姿勢に保持する保持手段が設けられている請求項1又は2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷熱発生手段が、冷媒流体の流路を構成する弾性変形可能な軟質の管状部材から構成されているとともに、前記両冷却パネルには、前記冷却面を形成する部位が撓み変形可能に構成されているパネルケースと、前記管状部材を配設経路に沿って保持する配設溝を備え、且つ、前記配設溝に保持された管状部材が冷却パネルの冷却面形成部位の内側面に接触する状態でパネルケースに内装可能な断熱基材とが備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記断熱基材の配設溝に保持された管状部材が、それの一部を偏平状基材の表面側に突出させた状態で配設されているとともに、前記管状部材の突出部位に接触状態で被覆する熱伝導性に優れた可撓性の放冷用被覆材が、前記冷却パネルの冷却面形成部位の内側面に接触する状態で断熱基材の表面に設けられている請求項4記載の冷却装置。
【請求項6】
前記被冷却体が、設定温度以下で顕像化し且つ設定温度を越えたら消像化する潜像画像が印刷された画像形成体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
扁平状の被冷却体の冷却対象部位を冷却可能な冷却面を備えた冷却パネルの一対が、前記被冷却体の表裏の偏平面が前記両冷却面に対面する状態で該被冷却体の出し入れを許容する冷却通路を形成する対向間隔で配設されているとともに、前記両冷却パネルの冷却面に冷熱を発生させる冷熱発生手段が設けられている冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−169519(P2011−169519A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33934(P2010−33934)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(591096336)株式会社錦織 (4)
【Fターム(参考)】