説明

冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させる方法

本発明は、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させるための、プロパモカルブ及びその誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させるためのプロパモカルブ及びその誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
温度は、作物の成育に影響を及ぼす主要な要因のうちの1つである。冷温(0℃に至るまで下がる)及び霜(温度は0℃未満)は、発芽及び作物成長の速度を低下させ得るし、また、作物の発育並びに作物の生産物の量及び質に対して実質的な影響を及ぼす。冷温感受性作物各種は、5℃未満の温度においてさえ、損傷を受け及び/又は発育が実質的に遅れる。0℃を僅かに下回る温度であっても、これらの作物各種は、部分的な又は完全な死に至り得る。例えば、開花のころに晩霜が繰り返えされると、例えば仁果及び核果の各種(例えば、リンゴ、ナシ、マルメロ、モモ、ネクタリン、アンズ、西洋スモモ、ダムソン、アーモンド又はサクラの木)において、実質的な収量の損失となる。冷害又は霜害を受けた作物は、例えば葉、花及び芽などにおいて、枯れ込み症状を呈する。霜害を受けた花は、果実を全く付けないか、又は、奇形の果実若しくは表皮に損傷を受けた果実を付ける。そのような果実は、たとえ販売できたとしても、売るのは極めて困難である。重度の冷害及び霜害は、作物全体を枯死させる。
【0003】
従って、冷害及び霜害は、農業部門についての重要な損失要因である。冷害及び霜害を回避するための既存の可能性は、それらが複雑であること又は得られた結果ががしばしば再現不能であるという事実によって、どちらかと言えば不充分である。本発明に関連して言及しなければならない可能性は、冷温抵抗性作物品種及び霜抵抗性作物品種の育種である。温室内で冷温感受性作物から出発し、次に、それらをできるだけ遅くに移植し、プラスチック製フィルムの下で栽培し、スタンド内で空気を循環させ、暖かい空気を吹き込み、スタンド内にヒーターを配置し、及び、灌漑による防霜を行う。
【0004】
WO 2007/104660には、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させるために、ミトコンドリア呼吸鎖をb/ci複合体のレベルで阻害する化合物(特に、活性なストロビルリン化合物)を使用することが記載されている。
【0005】
DE 4437945には、ビタミンEを含んでいる作物強化製品が記載されており、それら製品は、植物毒性を示す農薬及び別の非生物的ストレスによる作物障害作用を低減させるといわれている。これらの組成物は、グリセロールのような凍害防御物質も付加的に含有し得る。場合により存在させてもよい凍害防御物質は、冷害又は霜害を防止する効果を有するものとしては記載されていない。
【0006】
J.Lalk及びK.Dorfflingは、「Physiol.Crop. 63, 287−292 (1985)」の中で、アブシジン酸が硬化冬コムギ(hardened winter wheat)の冷温に対する霜抵抗性を向上させることができると記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/104660号
【特許文献2】独国特許出願公開第4437945号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Physiol.Crop. 63, 287−292 (1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させる化合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させるためにプロパモカルブ又はその誘導体を使用することによって達成された。
【0011】
プロパモカルブは、下記式(I):
【0012】
【化1】

で表される既知殺菌活性化合物である。
【0013】
プロパモカルブは、英国特許GB−1212708に記載されており、活性は、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)の防除に関して報告されている。この文献においては、耐霜性については言及されていない。
【0014】
プロパモカルブの誘導体は、下記化合物によって例証される:
(a) プロパモカルブ−塩酸塩、又は、プロパモカルブ−HCl: これは、化学名「[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルバミン酸プロピル塩酸塩」を有する既知化合物であり、そして、下記式(Ia)で表される:
【0015】
【化2】

【0016】
(b) プロパモカルブ−ホセチレート、又は、ジメチル−(プロポキシカルボニルアミノ)プロピル]アンモニウム O−エチルホスホネート: これは、下記式(Ib)で表される:
【0017】
【化3】

【0018】
(c) プロパモカルブのリン酸誘導体、例えば、
ジメチル−[3−(プロポキシ−カルボニルアミノ)プロピル]−アンモニウムホスフェート、及び、ジメチル−[3−(プロポキシカルボニル−アミノ)プロピル]アンモニウムホスフェート;
(d) プロパモカルブの殺菌活性を示す全ての有機酸塩及び無機酸塩。
【0019】
本発明によれば、温度が下がったときに作物が被り得る低温ストレス(cold stress)は、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類を施用することによって、防止することができるか又は効果的に低減させることができる。
【0020】
作物生産において、低温(low temperature)は、冷温(chilling temperature)及び霜、即ち、15℃未満の温度、好ましくは、15℃〜−15℃の範囲内の温度、特に好ましくは、10℃〜−10℃の範囲内の温度、及び、特に、10℃〜−5℃の範囲内の温度を意味するものと理解される。さらに、10℃〜0℃の温度範囲及び5℃〜0℃の温度範囲、並びに、0℃未満の温度範囲も、それぞれの作物に対して損傷を与え得る。従って、作物に損傷をもたらす温度は、関係している作物にも依存する。
【0021】
本発明に従って使用されるプロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類は、好ましくは、−15℃〜15℃の温度範囲、特に好ましくは、−10℃〜10℃の温度範囲、及び、特に、−5℃〜10℃の温度範囲に対する作物の耐性を向上させるために使用する。さらに、10℃〜0℃の温度範囲、5℃〜0℃の温度範囲及び0℃未満の温度範囲に対する作物の耐性を向上させることも、特に重要である。
【0022】
冷温感受性作物の場合、特に、それぞれ、冷温に対する当該作物の耐性を向上させるために、及び、温度が下がったときの当該作物の低温ストレスを低減させるために、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類を使用する。これは、一般に、0℃〜15℃の範囲内の温度、特に、0℃〜10℃の範囲内の温度に対する耐性を意味するものと理解される。
【0023】
霜感受性作物及び/又は冷温感受性作物は、例えば、トウモロコシ、ダイズ、イネ、テンサイ、ジャガイモ、サトウキビ、結果野菜(fruiting vegetable)(トマト、ピーマン、トウガラシ(chilli pepper)、ナス、キュウリ、ガーキン、メロン、カボチャ(squash)、カボチャ(pumpkin))、葉菜(レタス、エンダイブ、ホウレンソウ、アブラナ属各種)、インゲンマメ、エンドウマメ、ヒラマメ、ニンジン、キクニガナ、キャベツ、花卉及び観賞植物、バナナ、コーヒー及び柑橘類各種、仁果及び核果からなる群から選択される。仁果各種及び核果各種は、例えば、リンゴ、ナシ、マルメロ、モモ、アンズ、ネクタリン、サクラの木、西洋スモモ、ダムソン又はアーモンドであり、好ましくは、リンゴである。柑橘類各種は、例えば、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、クレメンタイン又はタンジェリンである。
【0024】
本発明の別の実施形態では、処理対象の作物は、トランスジェニック作物である。
【0025】
プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類は、−15℃〜0℃の範囲内の温度、特に好ましくは、−10℃〜0℃の範囲内の温度、特に、−5℃〜0℃の範囲内の温度に対する該作物の耐性を向上させるのにも特に適している。
【0026】
耐性は、特に、作物における冷害及び/又は霜害の低減又は防止を意味するものと理解される。
【0027】
本発明によれば、低温ストレスは、氷晶を形成することによる霜害に限定されず、損傷は、特に感受性作物においては、氷点よりも高い温度でも起こり得る。そのような作物の場合、例えば、10℃〜5℃又は10℃〜0℃の温度であっても、重大な損傷を引き起こし得る。本発明によれば、プロパモカルブ又はプロパモカルブの本発明による誘導体のうちの1種類を施用するにより、感受性作物の上記損傷も防止することが可能であるということが分かった。
【0028】
このようにして、例えば、トウモロコシ、ダイズ、イネ、テンサイ、ジャガイモ、サトウキビ、結果野菜(fruiting vegetable)(トマト、ピーマン、トウガラシ(chilli pepper)、ナス(eggcrop)、キュウリ、ガーキン、メロン、カボチャ(squash)、カボチャ(pumpkin))、葉菜(レタス、エンダイブ、ホウレンソウ、アブラナ属各種)、インゲンマメ、エンドウマメ、ヒラマメ、ニンジン、キクニガナ、キャベツ、花卉及び観賞植物、バナナ、コーヒー及び柑橘類各種(例えば、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、クレメンタイン又はタンジェリン)、仁果及び核果(例えば、リンゴ、ナシ、マルメロ、モモ、アンズ、ネクタリン、サクラの木、西洋スモモ、ダムソン又はアーモンド、好ましくは、リンゴ)を、低温ストレスに対して効果的に保護することができるか、又は、それらの冷害を防止することができる。
【0029】
本発明によれば、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類は、純粋な活性成分に基づいて、25〜1000g/haの施用量、特に好ましくは、50〜500g/haの施用量、特に、50〜250g/haの施用量で使用する。
【0030】
本発明によれば、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類は、別の活性化合物と一緒に、例えば、除草剤、殺虫剤、成長調節剤若しくは殺菌剤などと一緒に、又は、肥料と一緒に、施用することができる。
【0031】
プロパモカルブ若しくはその誘導体のうちの少なくとも1種類又はそれらを含んでいる組成物を1種類以上のさらなる活性化合物(特に、殺菌剤)と組み合わせる場合、多くの場合において、例えば、活性スペクトルを拡大すること又は抵抗性の発達を防止することなどが可能である。多くの場合、相乗効果が得られる。
【0032】
プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類は、典型的には、作物保護の分野で慣習的に使用されている製剤として使用する。そのような製剤は、例えば、以下の商品名で市販されている: Previcur Energy(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+ホセチル−Al); Infinito(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+フルオピコリド); Tattoo(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+マンゼブ); Tattoo(登録商標)C、Lyos(登録商標)、Casoar(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+クロロタロニル)、又は、Consento(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+フェンアミドン)。
【0033】
例えば、それらは、濃厚な溶液状、懸濁液状又はエマルション状で、水で希釈することができ、噴霧により施用することができる。当該使用形態は、施用対象の作物の種類又はその作物の部分に依存する。何れの場合にも、それらは、当該活性化合物及び補助剤が可能な限り微細に分配されることを可能とするようなものであるべきである。
【0034】
プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類に加えて、該製剤は、作物保護製品の製剤に慣習的に使用されている製剤補助剤、例えば、不活性な補助剤及び/又は界面活性物質(例えば、乳化剤、分散剤、湿潤剤など)も含有することができる。
【0035】
適切な界面活性物質は、芳香族スルホン酸(例えば、リグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びジブチルナフタレンスルホン酸など)及び脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキル、ラウリルエーテル及び脂肪アルコールスルフェート、並びに、硫酸化ヘキサデカノールの塩、硫酸化ヘプタデカノールの塩及び硫酸化オクタデカノールの塩、及び、脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレン若しくはナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、エトキシル化オクチルフェノール、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグノスルファイト廃液(lignosulfite waste liquor)、メチルセルロース又はシロキサンである。適切なシロキサンの例は、ポリエーテル/ポリメチルシロキサンコポリマーであり、これは、展着剤又は浸透剤とも称される。
【0036】
不活性な製剤補助剤は、本質的に以下のものである: 中沸点〜高沸点の鉱油留分、例えば、灯油及びディーゼル油、さらに、コールタール油、植物又は動物起源の油、脂肪族、環状及び芳香族の炭化水素、例えば、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン及びその誘導体、アルキル化ベンゼン及びその誘導体、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノール、ケトン類、例えば、シクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、アミン類、例えば、N−メチル−ピロリドン、及び、水。
【0037】
本発明に従って使用される化合物〔特に、化合物(I)又はその誘導体のうちの少なくとも1種類〕の水性使用形態は、乳剤(emulsion concentrate)、懸濁製剤、ペースト剤、水和剤又は顆粒水和剤などの貯蔵用製剤(storage formulation)から、水を添加することによって調製することができる。エマルション剤、ペースト剤又は油分散液剤を調製するために、本発明に従って使用される化合物〔特に、式(I)で表される化合物又はその誘導体のうちの少なくとも1種類〕を、そのままで、又は、油若しくは溶媒に溶解させた状態で、湿潤剤、固着剤、分散剤又は乳化剤を用いて、水中で均質にすることができる。当然、該使用形態は、上記貯蔵用製剤において使用されている補助剤を含有する。
【0038】
好ましい実施形態では、プロパモカルブ、その誘導体又はそれらの製剤は、水性散布混合物の形態で使用する。その水性散布混合物は、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類を、好ましくは50〜200ppmの量で含有する。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させる方法に関し、ここで、該方法は、その作物をプロパモカルブ及び又はその誘導体のうちの少なくとも1種類で処理することによる。
【0040】
本発明による方法は、上記で記載した作物の全てにおいて施用するために使用することができ、さらに、それらとは異なる作物種においても施用するために使用することができる。それらを施用する作物の部分に応じて、それらは、自体公知で且つ農業の実践において慣習的に使用される装置を用いて施用することができる。水性の散布用液又は散布混合物の形態での施用が好ましい。
【0041】
本発明の方法は、生きている作物において又は移植前の苗床の上に茎葉施用するのに適しており、播種前又は作付け前に土壌施用するのに適している(ここで、該土壌施用は、全面土壌処理、並びに、トウモロコシ、コムギ、ダイズ、ワタ及び別の作物の初期段階を冷温ストレスに対して保護する畝間施用を包含する)。
【0042】
施用は、流れ落ちるようになる時点まで噴霧することによって、又は、種子粉衣によって行う。作物の地上部の全てを処理するか、又は、花、葉若しくは果実などの作物の個々の部分のみを処理する。作物の処理すべき個々の部分の選択は、作物の種類又はその発育段階に依存する。遅い段階は、好ましくは、葉の処理によって保護することができる。一実施形態では、施用は種子に対して行う。さまざまな発育段階にある胚、実生、芽及び花並びに幼果を処理するのが好ましい。
【0043】
施用は、好ましくは、冷温又は霜の期間の前に行う。施用は、好ましくは、予期される冷温又は霜の始まりの少なくとも12時間前、特に好ましくは、少なくとも24時間前、特に、36時間〜20日前に行う。
【0044】
種子を処理する場合、一般に、該活性化合物は、種子100kg当たり1〜1000gの量で使用し、好ましくは、種子100kg当たり5〜100gの量で使用する。
【0045】
本発明は、さらに、低温に対する作物の耐性を向上させる方法、好ましくは、作物において冷害及び霜害を低減させるか又は防止する方法にも関し、ここで、該方法は、本発明に従って使用されるプロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類〔特に、式(I)で表される化合物〕を含んでいる水性組成物を、種子、作物又は作物の部分に施用することを含む。
【0046】
本発明に従って使用される化合物(特に、式(I)で表される化合物)、別の成分、上記水性組成物及び施用に関して上記で述べたことは、本発明において同様に当てはまる。
【0047】
冷温及び霜に対する作物の耐性は、上記で記載した活性化合物組合せを本発明に従って使用することによって、著しく増強される。特に、作物に対する冷害及び霜害は、本発明に従う使用によって、防止されるか又は少なくとも低減される。
【0048】
プロパモカルブ及びその誘導体のうちの1種類に基づいた製品を施用することに基づく霜害の低減は、露地における実際的な条件の下で評価することができる。レタスにおける増強された霜耐性は、完全に成育した作物内で、Previcur Energy(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+ホセチル−Al)を1ヘクタール当たり2.0〜2.5リットルの施用量で且つ7〜10日間の施用間隔で施用することによって達成される。霜耐性は、温度が0℃未満の夜を経た後で、損傷を受けた葉の割合(%)を評価することによって観察され得る。損傷を受けた葉は、霜の翌日における水っぽい外観又は霜の3日後における茶色への変色によって認識される。Previcur Energyは、未処理と比較して、霜害を有意に低減させる。
【0049】
ジャガイモにおいて、強された霜耐性は、Infinito(登録商標)(プロパモカルブ−HCl+フルオピコリド)を7〜10日間の施用間隔で1ヘクタール当たり1.4〜1.6リットルの施用量で施用することによって達成され得る。霜耐性は、温度が0℃未満の1番目の夜を経た後で観察され得る。霜により損傷を受けた葉は、霜の翌日における水っぽい外観及び霜の後2〜3日以内における褐色から黒色への変化によって認識される。Infinitoは、未処理と比較して、霜耐性を有意に低減させる。
【0050】
未処理:
霜害 100%(全ての葉及び茎が影響を受けた(effected));
収量 1ヘクタール当たり28.65トン;
Infinitoによる処理:
霜害 5%;
収量 1ヘクタール当たり38.64トン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させるための、プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類の使用。
【請求項2】
プロパモカルブ又はその誘導体が、プロパモカルブ、プロパモカルブ−HCl又はプロパモカルブホセチレートから選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
処理対象の作物が冷温感受性作物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
冷温感受性作物が、トウモロコシ、ダイズ、イネ、テンサイ、ジャガイモ、サトウキビ、トマト、ピーマン、トウガラシ(chilli pepper)、ナス、キュウリ、ガーキン、メロン、カボチャ(squash)、カボチャ(pumpkin)、レタス、エンダイブ、ホウレンソウ、アブラナ属各種、インゲンマメ、エンドウマメ、ヒラマメ、ニンジン、キクニガナ、キャベツ、花卉及び観賞植物、バナナ、コーヒー及び柑橘類各種、仁果及び核果から選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
仁果各種及び核果各種が、リンゴ、ナシ、マルメロ、モモ、アンズ、ネクタリン、サクラの木、西洋スモモ、ダムソン又はアーモンドから選択され、好ましくは、リンゴである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
柑橘類各種が、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、クレメンタイン又はタンジェリンから選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記作物がトランスジェニック作物である、請求項1〜3に記載の使用。
【請求項8】
プロパモカルブ又はその誘導体のうちの少なくとも1種類を、処理対象の作物に対して、25〜1000g/haの施用量で施用する、請求項1〜7に記載の使用。
【請求項9】
冷温及び/又は霜に対する作物の耐性を向上させる方法であって、その作物をプロパモカルブ及び又はその誘導体のうちの少なくとも1種類で処理することによる、前記方法。

【公表番号】特表2011−520438(P2011−520438A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508921(P2011−508921)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055839
【国際公開番号】WO2009/138458
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】