説明

冷蔵庫の製造方法

【課題】製造工数を増加させることなく冷却器の温度を正確に検知できる冷蔵庫の製造方法を提供する。
【解決手段】U字状の湾曲部21aを有して複数段に蛇行した冷媒管21に所定間隔でフィン22を固着した冷却器20と、冷却器20の温度を検知する温度センサ25と、温度センサ25を保持するとともに冷媒管21に係着して温度センサ25を冷媒管21に密着させるセンサ保持部51と、上下方向に延びて温度センサ25のリード線25aを覆うとともに湾曲部21aに取り付けられるカバー部52とを備えた冷蔵庫1の製造方法において、センサ保持部51とカバー部52とを細線状の連結部55により連結した保持部材50を冷却器20に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器の温度を検知する温度センサを備えた冷蔵庫の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷蔵庫は特許文献1に開示されている。この冷蔵庫は複数の貯蔵室が上下に並設され、貯蔵室の背後には仕切り板と樹脂製の内箱とによって形成された冷気通路が設けられる。冷気通路内の上部には冷却器が配される。冷却器は複数段に蛇行する冷媒管に所定間隔でフィンを固着して形成され、冷凍サイクルを運転する圧縮機に接続して低温に維持される。
【0003】
冷気通路内には冷却器の上方に送風機が配される。これにより、冷却器からの冷気の自然対流による送風機の稼動部分周辺の着霜、水分凍結、潤滑油粘度上昇等の信頼性低下を防ぐことができる。また、除霜ヒータが輻射や伝導等の熱の伝達効率を考慮して冷却器の下方に配される。
【0004】
また、冷却器の上部には保持部材により保持された温度センサが設けられる。保持部材は冷却器の端面に配されるフィンに一面が当接し、他面に弾性部が突設される。弾性部が冷媒管のU字状に湾曲した湾曲部に圧接して保持部材が固定され、温度センサがフィンに密着して配置される。
【0005】
圧縮機が駆動されると、冷気通路を流通する空気と冷却器とが熱交換して冷気が生成される。冷却器と熱交換した冷気は各貯蔵室に送出され、各貯蔵室が冷却される。
【0006】
また、冷却器に着霜すると目詰まりによって冷却能力が低下するため、所定の時期に冷却器の除霜運転が行われる。除霜運転が開始されると圧縮機が停止され、除霜ヒータが駆動される。除霜ヒータの輻射熱によって冷却器は下方から昇温され、温度センサの検知温度が着霜を溶解する所定の停止温度(例えば、10℃)に到達すると除霜ヒータが停止される。これにより、冷却器の下部から上部まで停止温度以上の温度になり、冷却器が除霜される。
【0007】
上記従来の冷蔵庫によると、温度センサから延びるリード線は冷気通路内を流通する冷気により揺動する。このため、温度センサよりも上方及び下方に冷媒管が配された場合にリード線が薄板状のフィンと接触する場合がある。また、製造工程において冷却器を溶接により取り付けた後に冷却器の前方を覆う仕切り板を取付ける際等にリード線を仕切り板とフィンの間に挟み込む場合がある。
【0008】
上記問題を解決するために、特願2009−209932には冷却器の温度センサを保持する保持部材にリード線を覆うカバー部を設けた冷蔵庫が述べられている。図14はこの冷蔵庫の冷却器を示す正面図である。
【0009】
冷却器20は冷媒が流通する冷媒管21に所定間隔で薄板状のフィン22が固着される。冷媒管21は左右方向に延び、左右端でU字状に湾曲した湾曲部21aを介して前後方向及び上下方向に蛇行してそれぞれ複数列及び複数段に形成される。冷却器20の左端の上下方向の中間にはフィン22を省いた空間部20aが形成される。冷却器20の上方には気液を分離するアキュームレータ23が配される。
【0010】
冷却器20の温度を検知する温度センサ25は冷却器20の左端に配された保持部材50により取り付けられる。保持部材50は樹脂成形品から成り、センサ保持部51とカバー部52とを有している。センサ保持部51は保持部材50の下部に設けられて水平に延び、前面を覆われて上下の壁面を有した断面コ字型に形成される。
【0011】
センサ保持部51には後方に突出する腕部(不図示)に係合爪(不図示)が設けられる。係合爪は腕部の前後に形成され、前方の係合爪が温度センサ25の周面に係合するとともに後方の係合爪が空間部20aの冷媒管21に係合する。これにより、温度センサ25が冷媒管21に密着する。
【0012】
カバー部52は前面を覆われてセンサ保持部51の上下の壁面に連続する左右の壁面を有した断面コ字型に形成され、センサ保持部51から鉛直上方に延びる。従って、保持部材50はセンサ保持部51及びカバー部52の前面及び側壁が連続した正面視略L字型に形成される。
【0013】
カバー部52には右側壁から後方に延びる延設部(不図示)が設けられる。延設部には温度ヒューズ27が取り付けられる。温度ヒューズ27は温度センサ25の故障等によって冷却器20が異常高温となった際に除霜ヒータ(不図示)を遮電する。また、延設部には前方の冷媒管21の湾曲部21aが嵌合する長孔状の孔部(不図示)が設けられる。これにより、保持部材50はカバー部52の孔部が湾曲部21aに嵌合するとともにセンサ保持部51の係合爪が冷媒管21に係合して所定位置に位置決めされる。
【0014】
温度センサ25から延びるリード線25aはカバー部52の内面側に係止され、冷却器20の上方に導かれる。これにより、冷気の流通によるリード線25aの揺動や組立て時のリード線25aの挟み込みを防止し、リード線25aの断線や絶縁不良を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−55054号公報(第5頁−第6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来の冷蔵庫によると、保持部材50がセンサ保持部51とカバー部52とを連続した前面及び側壁により一体に形成される。このため、センサ保持部51とカバー部52との連結部分の剛性が高くなっている。冷却器20は蛇行した冷媒管21を有するため、製造工程において前後方向及び上下方向に隣接する冷媒管21が互いに離れる場合がある。
【0017】
この時、湾曲部21aが嵌合するカバー部52は冷媒管21の離隔によってセンサ保持部51を牽引し、センサ保持部51の係合爪が冷媒管21から脱落する。その結果、温度センサ25が冷媒管21から離れ、温度センサ25による冷却器20の検知温度が不正確になる問題があった。これにより、冷却器20の除霜期間が長くなり、冷蔵庫の冷却効率が低下する。
【0018】
一方、センサ保持部51とカバー部52とを別部材により形成して冷媒管21に取り付けると冷媒管21と温度センサ25との離隔を防止できるが、製造工数が増加する問題がある。
【0019】
本発明は、製造工数を増加させることなく冷却器の温度を正確に検知できる冷蔵庫の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、U字状の湾曲部を有して複数段に蛇行した冷媒管に所定間隔でフィンを固着した冷却器と、前記冷却器の温度を検知する温度センサと、前記温度センサを保持するとともに前記冷媒管に係着して前記温度センサを前記冷媒管に密着させるセンサ保持部と、上下方向に延びて前記温度センサのリード線を覆うとともに前記湾曲部に取り付けられるカバー部とを備えた冷蔵庫の製造方法において、前記センサ保持部と前記カバー部とを細線状の連結部により連結した保持部材を前記冷却器に取り付けたことを特徴としている。
【0021】
この構成によると、温度センサをセンサ保持部により保持して温度センサのリード線をカバー部に配した保持部材が冷却器に取り付けられる。センサ保持部は冷媒管に係着され、温度センサが冷媒管に密着して冷却器の温度を検知する。温度センサの検知温度によって冷却器の除霜等が制御される。カバー部は細線状の連結部を介してセンサ保持部から上下方向に延び、冷媒管に取り付けられる。リード線はカバー部により覆われ、冷気の流通によるリード線の揺動が防止される。製造工程中に隣接する冷媒管が前後方向または上下方向に離隔した際に、カバー部が連結部を介してセンサ保持部を牽引する。この時、連結部が変形または破断し、センサ保持部と冷媒管との係合状態が維持される。
【0022】
また本発明は上記構成の冷蔵庫の製造方法において、前記冷却器の除霜を行う除霜ヒータと、前記冷却器が所定温度よりも高温になった際に前記除霜ヒータを遮電する温度ヒューズとを備え、前記カバー部により前記温度ヒューズを保持したことを特徴としている。この構成によると、カバー部により温度ヒューズを保持した保持部材が冷却器に取り付けられる。除霜ヒータの駆動によって冷却器が除霜され、冷却器が異常高温になるとカバー部に保持された温度ヒューズにより除霜ヒータが遮電される。
【0023】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫の製造方法において、前記カバー部は一壁面を前後方向に延出した延設部を有し、前記延設部が前記湾曲部に嵌合する長孔状の孔部と、前記冷媒管に係合する係合部とを有することを特徴としている。この構成によると、延設部に設けた孔部に冷媒管の湾曲部を挿通し、係合部を冷媒管に係合してカバー部が冷却器に固定される。
【0024】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫の製造方法において、前記連結部を蛇行して形成したことを特徴としている。この構成によると、隣接する冷媒管が前後方向または上下方向に離隔した際に、連結部が容易に変形する。
【0025】
また本発明は、上記構成の冷蔵庫の製造方法において、前記センサ保持部の上面及び下面に前記フィンを近設したことを特徴としている。この構成によると、冷媒管に係着されたセンサ保持部が回動した際に上面及び下面がフィンに当接して取付位置が保持される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、温度センサを保持するセンサ保持部とリード線を覆うカバー部とを細線状の連結部により連結した保持部材を冷却器に取り付けたので、センサ保持部とカバー部とを一体に冷却器に取り付けることができる。また、隣接する冷媒管が製造工程中に前後方向または上下方向に離隔した際に連結部が変形または破断し、センサ保持部と冷媒管との係合状態が維持される。従って、製造工数を増加させず、冷媒管から温度センサが離れることを防止して冷却器の温度を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態の冷蔵庫を示す側面断面図
【図2】本発明の実施形態の冷蔵庫の冷凍室周辺を示す正面図
【図3】本発明の実施形態の冷蔵庫の温度センサの取付け状態を示す斜視図
【図4】本発明の実施形態の冷蔵庫の温度センサの取付け状態を示す左側面図
【図5】本発明の実施形態の冷蔵庫の保持部材を示す斜視図
【図6】本発明の実施形態の冷蔵庫の保持部材を示す正面図
【図7】本発明の実施形態の冷蔵庫の保持部材を示す背面図
【図8】本発明の実施形態の冷蔵庫の保持部材を示す左側面図
【図9】図8のA−A断面図
【図10】本発明の実施形態の冷蔵庫の保持部材の成形時の要部を示す斜視図
【図11】本発明の実施形態の冷蔵庫の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施形態の冷蔵庫の他の保持部材の成形時の要部を示す斜視図
【図13】本発明の実施形態の冷蔵庫の他の保持部材の成形時の要部を示す斜視図
【図14】従来の冷蔵庫の冷却器を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、前述の図14の従来例と同様の部分には同一の符号を付している。図1は一実施形態の冷蔵庫を示す側面断面図である。冷蔵庫1は上部に貯蔵物を冷蔵保存して扉2aにより前面を開閉される冷蔵室2が配される。冷蔵室2の下方には貯蔵物を冷凍保存して扉3aにより前面を開閉される冷凍室3が断熱壁6を介して配される。
【0029】
冷凍室3の下方には扉4aにより前面を開閉される野菜室4が断熱壁7を介して配される。野菜室4は冷蔵室2よりも高温の野菜に適した温度で野菜を冷蔵保存する。野菜室4の後方には冷凍サイクルを運転する圧縮機17を配した機械室5が設けられる。
【0030】
冷蔵室2及び冷凍室3の背後にはそれぞれ背面板12a、13aで仕切られた冷気通路12、13が設けられる。冷気通路12、13は断熱壁6に設けたダンパ16を介して連通する。冷気通路12には冷蔵室ファン14が設けられ、冷気通路13には冷凍室ファン15及び冷却器20が設けられる。
【0031】
冷却器20は圧縮機17に接続して冷凍サイクルの低温側に配され、冷気通路13を流通する空気と熱交換して冷気を生成する。冷凍室ファン15は冷却器20の上方に配されるため、冷却器20からの冷気の自然対流による稼動部分周辺の着霜、水分凍結、潤滑油粘度上昇等の信頼性低下を防ぐことができる。
【0032】
冷蔵室2の背面板12aの上部には冷気の吐出口2bが開口する。冷凍室3の背面板13aの上部には冷気の吐出口3bが開口し、背面板13aの下部には冷却器20に面して冷気を冷気通路13に戻す戻り口3cが開口する。冷却器20の上方に冷凍室ファン15を配して戻り口3cが冷却器20の下部に面するので、冷却器20と空気とが熱交換する距離を長く確保して熱交換効率を向上させることができる。
【0033】
図2は冷凍室3の周辺の正面図を示している。冷却器20は冷媒が流通する冷媒管21に所定間隔で薄板状のフィン22が固着される。冷媒管21は左右方向に延び、左右端でU字状に湾曲した湾曲部21aを介して前後方向及び上下方向に蛇行してそれぞれ複数列及び複数段に形成される。本実施形態では冷媒管21は蛇行により前後2列、上下8段に形成され、下から7段目までフィン22が設けられる。
【0034】
冷却器20の上部には冷媒管21に接続して気液を分離するアキュームレータ23が設けられる。また、冷媒管21には冷却器20の温度を検知する温度センサ25が接して配される。冷気通路13の下部は左右方向に拡幅して冷却器20を配置する冷却器室13bが形成される。
【0035】
冷気通路13内には輻射や伝導等の熱の伝達効率を考慮して冷却器20よりも下方にガラス管ヒータから成る除霜ヒータ31が配される。除霜ヒータ31の通電によって冷却器20が除霜される。除霜ヒータ31の下方には除霜水を回収するドレンパン32が設けられる。ドレンパン32の下端から導出されるドレンパイプ32aによって除霜水が機械室5(図1参照)に配された蒸発皿(不図示)に導かれる。尚、除霜ヒータ31は温度センサ25の検知温度に基づいて停止される。
【0036】
冷気通路13の側方には冷蔵室2の底面に開口する流出口2cと野菜室4の上面に開口する流入口4bとを連結する連結通路18が設けられる。また、野菜室4の上面には冷気通路13の下端に開口する戻り口(不図示)が形成されている。
【0037】
図3及び図4は温度センサ25の取付け状態を示す斜視図及び左側面図である。温度センサ25は冷却器20の左端に配された保持部材50により冷却器20に取り付けられる。保持部材50を冷却器20の右端に配してもよい。保持部材50は樹脂成形品から成り、下部に配されたセンサ保持部51と、センサ保持部51から鉛直上方に延びるカバー部52とを有している。
【0038】
センサ保持部51により温度センサ25が保持され、カバー部52の後方に延びる延設部53によって温度ヒューズ27が保持される。温度ヒューズ27は冷媒管21に密着し、温度センサ25の故障等によって冷却器20が異常高温となった際に除霜ヒータ31(図2参照)を遮電する。
【0039】
冷却器20の上下方向の中間にはフィン22を省いた空間部20a(図2参照)が形成され、センサ保持部51は空間部20aの冷媒管21に取り付けられる。このため、センサ保持部51の直上及び直下には空間部20aに隣接する冷媒管21のフィン22が近設される。これにより、温度センサ25は冷却器20と熱交換する冷気の流路内に侵入して配置される。従って、温度センサ25の検知によって冷気の流路上に発生した霜が除霜されたか否かを正確に判別することができる。
【0040】
図5、図6、図7及び図8は保持部材50の斜視図、正面図、背面図及び左側面図を示している。また、図9は図8のA−A断面図を示している。保持部材50はセンサ保持部51とカバー部52とを細線状の連結部55により連結して一体に形成される。
【0041】
保持部材50の成形時には図10に示すように、センサ保持部51が連結部55を介してカバー部52の下方延長上に配される。そして、連結部55の下端部を折曲して図5に示すようにセンサ保持部51がカバー部52に対して右方向に延びて配される。これにより、保持部材50の成形を容易に行うことができる。
【0042】
連結部55は細線状に形成することによって剛性が小さく、センサ保持部51とカバー部52との相対位置を容易に変えることができる。この時、連結部55の左右方向の幅W及び前後方向の肉厚tを1mmよりも小さくすると、輸送等によって保持部材50の取付け前に連結部55が破断する場合がある。このため、連結部55の幅W及び肉厚tは1mm〜1.3mmに形成される。
【0043】
センサ保持部51は前面板51eにより前面が覆われ、前面板51eから後方に延びる腕部51cが上下に並設される。両腕部51cの後端には係合爪51bが設けられる。上方の腕部51cには係合爪51bの前方に係合爪51aが設けられる。係合爪51aは円筒状の温度センサ25の周面に係合し、係合爪51aと前面板51eとの間に温度センサ25を挟持する。
【0044】
後方の係合爪51bは円筒状の冷媒管21(図3参照)の周面に係合し、上下の係合爪51bによって冷媒管21を挟持する。これにより、センサ保持部51が冷却器20に取り付けられる。この時、係合爪51bは冷媒管21を前方に付勢し、温度センサ25が冷媒管21に密着する。
【0045】
また、冷却器20の空間部20a(図2参照)の上下に配されたフィン22は前面部51eの上面及び下面に近設する。これにより、センサ保持部51が冷媒管21を軸として回動しても前面部51eの上面及び下面がフィン22に当接し、センサ保持部51の取り付け位置を保持することができる。
【0046】
カバー部52は前面板52eにより前面が覆われ、前面板52eの右端部から側面部52aが後方に延びる。側面部52aには前面板52eに対して所定距離離れて平行に形成されたリブ52bが突設される。前面板52e及びリブ52bの端部には側面部52aに略平行に延びる複数の支持部52cが設けられる。
【0047】
温度センサ25のリード線25aは前面板52e、側面部52a及び支持部52cにより囲まれた空間内に配され、支持部52cによって該空間からの脱落が防止される。これにより、リード線25aは冷気通路13を流通する冷気による揺動が防止される。従って、薄板状のフィン22との接触によるリード線25aの断線を防止することができる。また、カバー部52の上面は冷却器20の上端のフィン22と略同じ高さに配される。これにより、保持部材50の上方に導出されるリード線25aは揺動してもフィン22との接触が防止される。
【0048】
カバー部52の側面部52aにはリブ52bよりも後方に延びる延設部53が設けられる。延設部53には上下に延びて左方に突出するリブ53e、53fが前後に設けられる。リブ52bとリブ53eとの間には長孔状の孔部53aが開口し、リブ53e、53fの先端には前後方向に突出する係合部53dが形成される。また、孔部53aの上下には右方に突出する突起部53gが形成される。
【0049】
孔部53aには前列の冷媒管21の湾曲部21a(図3参照)が嵌合する。係合部53dは前後に隣接する冷媒管21の湾曲部21aの内周側に係合する。また、突起部53gがフィン22に当接する。これにより、カバー部52を位置決めして冷却器20に取り付けることができる。
【0050】
また、リブ53e、54fの間及びリブ53eの先端には互いに向き合う方向に突出する係合爪53bが形成される。係合爪53bは円筒状の温度ヒューズ27の周面に係合して温度ヒューズ27を挟持する。また、リブ53e、54fの間には係合爪53cが設けられる。係合爪53cは温度ヒューズ27のリード線27a(図4参照)を係止する。これにより、係合爪53cとリブ53fとの間にリード線27aを保持して延設部53の上方にリード線27aを導く。
【0051】
リード線27aは延設部53の側面及びリブ53fにより覆われ、冷気通路13を流通する冷気による揺動が防止される。従って、薄板状のフィン22との接触によるリード線27aの断線を防止することができる。尚、延設部53の側面及びリブ53fを上端のフィン22と略同じ高さまで延びて形成するとより望ましい。これにより、延設部53の上方のリード線27aが揺動してもフィン22との接触が防止される。
【0052】
冷蔵庫1は製造工程において、温度センサ25及び温度ヒューズ27が取り付けられた保持部材50が冷却器20に取り付けられる。この時、センサ保持部51及びカバー部52が連結部55によって一体に形成されるため保持部材50を容易に取り付けることができる。
【0053】
冷却器20は蛇行した冷媒管21を有するため、製造工程において前後方向及び上下方向に隣接する冷媒管21が互いに離れる場合がある。湾曲部21aが嵌合するカバー部52は冷媒管21の離隔によってセンサ保持部51を牽引する。
【0054】
この時、細線状の連結部55が変形し、センサ保持部51の係合爪51bが冷媒管21から脱落することが防止される。また、センサ保持部51が強く牽引されると細線状の連結部55が破断する。この場合も同様に、冷媒管21からの係合爪51bの脱落が防止される。従って、温度センサ25が冷媒管21から離れず、冷却器20の温度を正確に検知して除霜することができる。
【0055】
図11は冷蔵庫1の構成を示すブロック図である。冷蔵庫1は各部を制御する制御部40を有している。制御部40には圧縮機17、冷蔵室ファン14、冷凍室ファン15、除霜ヒータ31、温度センサ25、温度ヒューズ27、室内温度センサ41、記憶部42、タイマー43が接続される。
【0056】
室内温度センサ41は冷凍室3の室内温度を検知し、検知結果に基づいて圧縮機17が駆動される。記憶部42はRAM及びROM等から成り、冷蔵庫1の動作プログラムを格納するとともに制御部40による演算の一時記憶を行う。タイマー43は冷蔵庫1の動作時間や圧縮機17の動作時間等を計時する。
【0057】
上記構成の冷蔵庫1において、圧縮機17の駆動により冷凍サイクルが運転され、冷媒管21を冷媒が流通して冷却器20が低温に維持される。冷凍室ファン15の駆動によって冷気通路13を流通する空気は冷却器20と熱交換し、吐出口3bから冷凍室3に冷気が吐出される。吐出口3bから吐出された冷気は冷凍室3内を流通し、戻り口3cを介して冷却器20に戻る。これにより、冷凍室3が冷却される。
【0058】
ダンパ16を開いて冷蔵室ファン14を駆動すると、冷気通路13を流通する冷気が冷気通路12に流入する。冷気通路12を流通する冷気は吐出口2bから冷蔵室2に吐出される。吐出口2bから吐出された冷気は冷蔵室2内を流通し、流出口2cから流出する。流出口2cから流出した冷気は連結通路18を流通し、流入口4bを介して野菜室4に流入する。流入口4bから流入した冷気は野菜室4内を流通し、戻り口(不図示)を介して冷却器20に戻る。これにより、冷蔵室2及び野菜室4が冷却される。
【0059】
圧縮機17の駆動によって低温となる冷却器20には着霜するため所定の時期に除霜運転が行われる。除霜運転が開始されると除霜ヒータ31が駆動される。温度センサ25により冷却器20の温度が検知され、温度センサ25の検知温度が氷点に対して十分高い温度(例えば10℃)になると除霜ヒータ31が停止される。これにより、冷却器20が除霜される。
【0060】
また、温度センサ25の故障等によって冷却器20が所定温度よりも高温の異常高温になると温度ヒューズ27によって除霜ヒータ31が遮電される。
【0061】
本実施形態によると、温度センサ25を保持するセンサ保持部51とリード線25aを覆うカバー部52とを細線状の連結部55により連結した保持部材50を冷却器20に取り付けたので、センサ保持部51とカバー部52とを一体に冷却器20に取り付けることができる。また、隣接する冷媒管21が製造工程中に前後方向または上下方向に離隔した際に連結部55が変形または破断し、センサ保持部51と冷媒管21との係合状態が維持される。従って、製造工数を増加させず、冷媒管21から温度センサ25が離れることを防止して冷却器20の温度を正確に検知することができる。
【0062】
尚、図12、図13に示すように、連結部55を蛇行して形成してもよい。これにより、連結部55が更に容易に変形することができ、センサ保持部51と冷媒管21との係合状態をより確実に維持することができる。
【0063】
また、冷却器20が所定温度よりも高温になった際に除霜ヒータ31を遮電する温度ヒューズ27をカバー部52により保持したので、温度センサ25及び温度ヒューズ27を同時に冷却器20に取り付けることができる。
【0064】
また、カバー部52の一壁面を前後方向に延出した延設部53が湾曲部21aに嵌合する長孔状の孔部53aと、冷媒管21に係合する係合部53dとを有するので、カバー部52を冷却器20に対して容易に位置決めし、リード線25aの位置ずれを防止することができる。また、カバー部52が温度ヒューズ27を保持する場合は、温度ヒューズ27と冷媒管21との密着状態を維持することができる。
【0065】
また、センサ保持部51の上面及び下面にフィン22を近設したので、製造工程中にセンサ保持部51が冷媒管21を軸として回動しても上面及び下面がフィン22に当接する。従って、センサ保持部51と冷媒管21との係合状態をより確実に維持することができる。
【0066】
本実施形態において、カバー部52をセンサ保持部51から下方に延びて形成してもよい。また、温度センサ25の検知温度に基づいて除霜運転の終了時期を判別しているが、温度センサ25の検知温度に基づいて冷凍サイクルを駆動制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によると、冷却器の温度を検知する温度センサを備えた冷蔵庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 冷蔵庫
2 冷蔵室
3 冷凍室
3c 戻り口
4 野菜室
5 機械室
12、13 冷気通路
13b 冷却機室
14 冷蔵室ファン
15 冷凍室ファン
16 ダンパ
17 圧縮機
18 連結通路
20 冷却器
20a 空間部
21 冷媒管
21a 湾曲部
22 フィン
23 アキュームレータ
25 温度センサ
25a リード線
27 温度ヒューズ
27a リード線
31 除霜ヒータ
32 ドレンパン
40 制御部
41 室内温度センサ
42 記憶部
43 タイマー
50 保持部材
51 センサ保持部
51a、51b 係合爪
51c 腕部
51e 前面板
52 カバー部
52a 側面部
52b、53e、53f リブ
52c 支持部
52e 前面板
53 延設部
53a 孔部
53b、53c 係合爪
53d 係合部
53g 突起部
55 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U字状の湾曲部を有して複数段に蛇行した冷媒管に所定間隔でフィンを固着した冷却器と、前記冷却器の温度を検知する温度センサと、前記温度センサを保持するとともに前記冷媒管に係着して前記温度センサを前記冷媒管に密着させるセンサ保持部と、上下方向に延びて前記温度センサのリード線を覆うとともに前記湾曲部に取り付けられるカバー部とを備えた冷蔵庫の製造方法において、前記センサ保持部と前記カバー部とを細線状の連結部により連結した保持部材を前記冷却器に取り付けたことを特徴とする冷蔵庫の製造方法。
【請求項2】
前記冷却器の除霜を行う除霜ヒータと、前記冷却器が所定温度よりも高温になった際に前記除霜ヒータを遮電する温度ヒューズとを備え、前記カバー部により前記温度ヒューズを保持したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫の製造方法。
【請求項3】
前記カバー部は一壁面を前後方向に延出した延設部を有し、前記延設部が前記湾曲部に嵌合する長孔状の孔部と、前記冷媒管に係合する係合部とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫の製造方法。
【請求項4】
前記連結部を蛇行して形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫の製造方法。
【請求項5】
前記センサ保持部の上面及び下面に前記フィンを近設したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−257070(P2011−257070A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132215(P2010−132215)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】