冷蔵庫
【課題】青果物の栄養素増加保存を目的とした、冷蔵庫を提供するものである。
【解決手段】冷蔵庫内の野菜室温度に設定された少なくとも一貯蔵室にLED素子を用いた光源13を設置し、光源13により青色光と緑色光を照射させ、青果物全体で栄養素増加を促進させることにより、栄養価を高めた高品質な青果物の保存ができるとともに、保存対象食品が連想しやすいものにすることにより、使用者が貯蔵室内の温度状況を一目で確認することが可能となるとともに、貯蔵室の温度状況に適した食品の収納を促すことができ、使用者の満足感を高めることができるものである。
【解決手段】冷蔵庫内の野菜室温度に設定された少なくとも一貯蔵室にLED素子を用いた光源13を設置し、光源13により青色光と緑色光を照射させ、青果物全体で栄養素増加を促進させることにより、栄養価を高めた高品質な青果物の保存ができるとともに、保存対象食品が連想しやすいものにすることにより、使用者が貯蔵室内の温度状況を一目で確認することが可能となるとともに、貯蔵室の温度状況に適した食品の収納を促すことができ、使用者の満足感を高めることができるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫における、野菜類などの食品保存に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安価で且つ長寿命のLEDを用いて、植物を人工的に栽培する植物工場も増加の傾向で、その技術を冷蔵庫に応用し、背面上方から赤色、青色LEDや紫外線LEDで野菜を照射し、野菜の鮮度を保持する、あるいは保存中に栄養成分量を増加させるなど貯蔵性をよくする技術が知られている。一方では、近年、お客様の多様化したニーズを満たすため、食品の保存性を向上させるのみでなく、人間工学的な観点から3原色LEDや3原色LCDを庫内灯として使用し、扉を開けた時の庫内温度を庫内灯の色によって表示させ、使い勝手性を進化させるものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20は特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の各貯蔵室の基準温度と基準色の関係を説明するための説明図である。図21は同従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を示すフローチャートである。
【0004】
図20に示すように、温度が低いほど寒色度の強い色を割り当て、高いほど暖色度の強い色を割り当てることによって、温度を視覚的に認識することが可能となる。
【0005】
次に、図21を参照しながら、従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を説明する。
【0006】
まず冷蔵室の扉が開いたか否かを判定し、開いたときは3原色LED(発光ダイオード)からなる色光源をもつ庫内灯を点灯させる。そして、庫内灯を点灯させた後は、反復記号Iを0に設定して、それを1つインクリメントする度に冷蔵室に設けたサーミスタからなる温度センサーで検知した温度Tsに応じて、庫内灯の色を制御し、I=10になるまでこれを繰り返す。冷蔵室の場合であるので、色の制御は温度Tsが0℃<Ts<10℃の範囲において複数の温度帯を予め区画しておき、各温度帯に特定の色を割り当てる。このとき、特定の温度帯の色には明暗の区別も行なう。また、高い温度帯には暖色系の色を、低い温度帯には寒色系の色を割り当てる。
【0007】
I=10になった時点で、扉の開いている時間が1分以上2分未満のときは、そのとき特定の色で表示している庫内灯の明るさを暗く(減灯)し、再度反復記号Iを0に設定して、I=10になるまで温度センサーで検知した温度Tsに応じて、庫内灯の色を制御する。扉の開いている時間が2分以上になったときは庫内灯を点滅させる。
【0008】
庫内灯では、赤、青、緑の3原色の光の組み合わせにより、1つの色を表現する。この3原色を組み合わせると、多数の色を表すことができる。また、庫内灯の取り付位置は、冷蔵室の冷気ダクト吐出口近傍の壁面、他の壁面、天井等とし、その場所に埋没させる。
【0009】
このような構成をとることにより、温度センサーが検知した温度によって、色を変化させる3原色LEDや3原色LCDを庫内灯の色光源に使用するので、扉を開けたときの庫内温度を庫内灯の色によって表示することができ、且つ温度センサーが検知した温度と色表示との関係を任意に設定することができるので扉を開けている時の温度変化をユーザに強力にアピールすることができる。
【0010】
このように特許文献1では、庫内温度に合わせて庫内灯の色を任意に設定し、使い勝手を向上したものである。
【特許文献1】特開2004−286333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の冷蔵庫では、3原色の光を用いて、扉を開けたときに庫内灯の色を庫内温度に応じて変化させ、数値で庫内温度を表示するよりもユーザが漠然と持つ色彩の感情効果に強い印象を与え感覚的に容易に温度上昇を認識でき使い勝手は向上するが、感覚的な色調と食品に有効な色調は一致しておらず、暗所保存が適している肉、魚等には可視光の照射は品質上好ましくなく、一方特定の光波長を照射することで保存性を向上できる野菜に対してもユーザが感覚的に好む色調を点灯し使い勝手の向上は図ったものの、保存性向上も図ることができていないという問題を有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、野菜室をイメージしやすい色調で且つ、野菜の保存性を向上させる特有の波長の光を照射することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射するのである。
【0014】
これにより、青果物の表面に光を浸透させることと、青果物の内部へ光を浸透させることを同時に実現することが可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させ、野菜全体でのビタミンC生合成をおこなうことが可能となり、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることで、より品質の高い冷蔵庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射するものである。
【0017】
これにより、青果物の表面に光を浸透させることと、青果物の内部へ光を浸透させることを同時に実現すること可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させることができる。
【0018】
例えば、青果物の表面に光を浸透させる波長として青色光を用いた場合は、野菜表面で吸収されビタミンC生成を促し、青果物の内部へ光を浸透させる波長として緑色光を用いた場合は、野菜の内部まで浸透し、野菜内部でのビタミンC生成を促すことができる。
【0019】
また、色調としては、明るいグリーン系であることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージでき、かつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので、照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光を青色光とするものである。
【0021】
これによって、青色光による青果物の光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるのを利用して、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能であるためであり、冷蔵庫内においてもこの生態防御反応を上手に励起して栄養素を増加させることができるものである。
【0022】
さらに、青色光は照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も実証されているため、青果物の表面における生態防御反応を加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得られるため非常に有効である。
【0023】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光を緑色光とするものである。
【0025】
これによって、野菜内部に光受容体をもつ緑色光を照射することで野菜内部まで光を浸透させ、内部での生態防御反応を促すことができる。
【0026】
また、緑色光は可視光の中で特に青果物への副作用が少ない波長であるため、内部での光合成を促す程度の比較的強い照度で照射しても青果物の品質を劣化させることなくビタミン量を増加させることができ有効である。
【0027】
このように、緑色光は野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進される。
【0028】
請求項4に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを同時に照射し、前記光源の前記青果物に対する照度が5〜500Lxであるものである。
【0029】
これによって、野菜はビタミンC生成に必要な照度を確保した上で、強光での野菜の蒸散や屈光性による品質劣化を防ぐことができる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、前記光源の前記青果物に対する照度は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光よりも前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光の方が明るいものである。
【0031】
これによって、野菜の表面で作用し、且つ光吸収体が野菜に多く存在している青色光に対して、野菜内部で作用し、光吸収体が野菜の内部に存在する緑色光の照度を高くすることで、野菜表面および内部にて効率よくビタミンCの生成を行なうことができる。
【0032】
請求項6に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを間欠照射するものである。
【0033】
これによって、連続点灯照射よりも間欠照射の方が野菜に対する刺激量が多く、光合成によるビタミンC生成に加え、野菜の防御反応でのビタミンC生成を促すことができる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射である。
【0035】
これによって、全く光が照射されず、暗い状態を維持する消灯間隔があれば、その消灯間隔の後の光の照射によってより確実に生態防御反応を励起することが可能となるので、消灯間隔があればこの消灯間隔が終了した後に単色で照射を行う場合であっても、光源の照射によって野菜に対する光の明暗を確実に有することができ、生態防御反応を促すことができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを前記青果物に直接照射するよう配置されているものである。
【0037】
これによって、介在物を介することによる野菜のビタミンC生成に効果のある特定波長の変化や照度低下を防ぎ、直接野菜に照射して、ビタミンCの生合成を促すことができる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫を左右に縦に切断した場合の断面を示す縦断面図であり、図2Aは同実施の形態の冷蔵庫におけるパプリカの保存中におけるビタミンC量の変化を説明するための説明図であり、図2Bは光源の照射の制御フロー図である。
【0040】
図1において、本体1はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱22とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱23とで構成された空間に発泡断熱体24を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱体24は、たとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
【0041】
また、発泡前の内箱22と外箱23とで構成される空間には真空断熱材25が外箱側に図示しない接着部材を用いて密着貼付けされている。また、真空断熱材25は本体1の璧厚内に配設するために薄い平面形状のものが必要となる。さらに、ホットメルトなどの接着部材は接着部に空気が混入しないように真空断熱材25の貼付け面に全面塗布されている。真空断熱材25は発泡断熱体24と一体に発泡されて本体1を構成しており、発泡断熱体24と比べて5倍〜20倍の断熱性能を有する真空断熱材25により性能向上させるものである。
【0042】
本体1は複数の断熱区画に区分されており、上部を回転扉式、下部を引出し式とする構成をとってある。上から冷蔵室2、並べて設けた引出し式の切り替え室6および製氷室5、引出し式の野菜室4、引出し式の冷凍室3となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケット31を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉7、切り替え室引出し扉8、製氷室引出し扉9、野菜室引出し扉10、冷凍室引出し扉11である。
【0043】
冷蔵室回転扉7には扉ポケット34が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚が設けられてある。また冷蔵室2の最下部には貯蔵ケース35が設けてある。
【0044】
冷蔵室2は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されているが、収納物によって、使用者が自由に上記のような温度設定を切り替えることを可能としている場合もある。また、ワインや根野菜等の保鮮のために、例えば10℃前後の若干高めの温度設定とする場合もある。
【0045】
また、貯蔵ケース35は、肉魚や肉魚類加工食品、乳製品などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。野菜室4は冷蔵室2と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
【0046】
切り替え室6はユーザの設定により温度設定を変更可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所定の温度設定にすることができ、冷蔵室回転式扉7上のスイッチ14を操作することにより、切り替え室内の温度調節が行われ、切り替え室6内の温度は検知手段17により検知されている。また、製氷室5は独立の氷保存室であり、図示しない自動製氷装置を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度帯であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度帯よりも比較的高い冷凍温度設定も可能である。
【0047】
冷凍室3は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
【0048】
本体1は背面下部を窪ませた機械室12を設けてある。また機械室12の上方背壁面に第二の機械室36を設けた。
【0049】
冷凍サイクルは機械室12に配設した圧縮機16と図示しない凝縮器と減圧器であるキャピラリと蒸発器20とを環状に接続して構成されている。蒸発器20は冷却ファン21で強制対流熱交換させている。図示しない凝縮器はファンを用いて強制空冷してもよいし、外箱23の内側に熱伝達よく貼り付けられた自然空冷タイプであってもよいし、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための配管を組み合わせてもよい。
【0050】
また電動三方弁などの流路制御手段を用いて、区画構成や温度設定の構成に応じた複数の蒸発器を使い分けたり、複数のキャピラリを切り替えたり、圧縮機16の停止中にガスカットなどしてもよい。
【0051】
冷凍サイクルを動作させる制御基板37は第二の機械室36に取外し可能なカバーで密閉して配置されている。さらに機械室12も背面カバー15で取外し可能に略密閉されている。
【0052】
また、冷凍サイクルの構成機器である蒸発器20は冷却ファン21と共に、中段に位置する野菜室4の背面部に設けられている。これにより最下段の貯蔵室である冷凍室3の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能である。
【0053】
なお、中段の野菜室4と最下段の冷凍室3は逆の構成となれば、野菜室4の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能となる。
【0054】
切り替え室6内の天面には光源13が、点灯時に切り替え室6内部を照らすよう設置されている。食品の出し入れに際して、引き出し式扉8の開閉時に使用者が引き出し式扉8を開けると、光源13から照射される光が室外に漏れるので、冷蔵庫の使用者が光やその光の色調を認識することが可能である。また、本実施の形態では、光源13には複数個の発光源を備えており、これら発光源の各々が異なる色調の光を発するとともに、それら発光源の点灯や消灯の動作は制御基盤37を通じて行われる。
【0055】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0056】
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板37からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機16の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器にて放熱して凝縮液化し、キャピラリで減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器20に至る。
【0057】
冷却ファン21の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器20内の冷媒は蒸発気化する。低温の冷気を図示しないダンパーなどで分配することで各室の冷却を行う。また複数の蒸発器や減圧器を用いる場合は流路制御手段により必要な蒸発器20へ冷媒が供給される。蒸発器20を出た冷媒は圧縮機16へと吸い込まれる。このようにサイクル運転を繰り返すことで庫内の冷却が行われる。
【0058】
切り替え室6では、使用者の目的や好みに応じて冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで、数段階に切り替えが可能である。本実施の形態では、切り替え室6の温度区分を4〜7℃の野菜室温度、1℃〜3℃の冷蔵温度、−15℃〜20℃の冷凍温度、その中間温度である−2℃〜−5℃のパーシャル温度、0℃のチルド温度に切り換えることができ、使用者が操作パネル14より温度切り替えを行うと、同時に光源13より温度帯毎に予め設定されていた色調の光が発光源13より照射されるように設定されている。
【0059】
また、本実施の形態では光源13を主に青果物に対する有効な機能を発揮することを目的として設置するために、0℃以下のマイナス温度帯では一般的に青果物を活性化する効果が得られないため、0℃以下のマイナス温度帯では光源13が点灯しないようにし、貯蔵室の温度帯に応じて光源13の強制停止を行うような強制停止手段を備えるものとした。
【0060】
発光源13にはLED素子を用い、緑色、青色、UV−Aのそれぞれの波長領域の光を放射する素子を同一基盤に設置し、それらの点灯を制御することにより数色の切り替えが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態では、野菜や果物を保存する際に青果物の表面に光を浸透させる波長として中心波長が470nmの青色光を用い、青果物の内部へ光を浸透させる波長として中心波長が520nmの緑色光を用いた。また、青色光は青色LED、緑色光は緑色LEDを用いた。このときの被対象物(青果物)に照射する青色LED,緑色LEDを備えた発光源13からの照射強度は5〜500Lxの範囲とするのが適切である。
【0062】
この照射強度については、照射強度が5Lxに満たない場合は、光照射でのビタミンの増加は生じにくい。また、それに加えて、照射強度が5Lxに満たない程度に弱い場合には、消費者である使用者が扉開閉時に点灯を認識しにくい照度となるので、実際に冷蔵庫に搭載した場合における商品的な効果アピールといった訴求効果や、実際に使用した場合に実用的に視覚を通して認識するビタミン増加等の体感的な効果が得られにくい。
【0063】
一方、500Lxを超える場合は光量が強すぎて、逆に青果物の蒸散が促進されて鮮度が低下する可能性があり、また照射した光が場合によっては屈曲したり変色したりするといった機能上の品質劣化が生じやすい。また、扉開閉時においても、光量が強すぎると消費者である使用者が冷蔵庫としての清涼感を抱きにくい傾向となる。
【0064】
これらを踏まえると、光源13の光量としては20〜100Lxの照度範囲が、機能面においてはビタミン増加を図れるとともに、青果物の蒸散を促進しない有効な範囲となり、かつ官能的には扉開閉時に使用者が光源からの光の照射による機能効果を体感できるとともに、清涼感を抱ける照度範囲としてより好ましい。
【0065】
また、緑色光の照射強度の方が青色光の照射強度よりも強い方が望ましく、本実施の形態では緑色LEDの照度は青色LEDに対する照度比率が約3〜10倍程度になるように構成した。
【0066】
なお、実際の製品において、この照射比率の強弱を確認する際には照度計によって収納空間そのものの照度の強弱を確認することができる。具体的には、同時に2色の照射を行う場合には、制御基板等の切り替えを変えて1色ずつ照射するようにしてそれぞれの照度を測ると各波長すなわち各色における照度の強弱を確認することができる。
【0067】
これは、緑色光は青果物への副作用が少ない波長の光のため、青果物でのビタミン量を増加させるためには青果物内部に浸透させる緑色光の照度を強くすると青果物の品質を劣化させることなくビタミン量を増加させることができ有効である。実験によると、光の照度は緑色光が青色光の3倍から10倍程度の範囲に設定すると効果的であることが判明した。すなわち、3倍に満たない程度では青果物内部でのビタミン量増加の効果が十分でなく、10倍を超えるレベルでは青果物表面でのビタミン量増加の効果が期待しにくく、いずれにしても総合的なビタミン量増加の効果が得られにくいものとなる。
【0068】
また点灯は緑色LED、青色LEDを同時に20〜50Hzの範囲の中のいずれかの周波数でフラッシング照射(間欠照射)するよう、制御基盤37にて制御したものであり、具体的には40Hz前後の35〜45Hzで点滅すなわちフラッシングを行うものである。
【0069】
これは、間欠照射であるフラッシングを20Hz以下のゆっくりとした点滅によってはっきりと目視で使用者が確認できるようにした場合には、使用者に対してピカピカと点滅することでよく目立つために注意喚起としては有効な手段であるが、一般的に光が点滅していると何らかの異常を知らせるといった警告のように感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりするといった問題が生じる。
【0070】
一方で、野菜に対しては、連続点灯照射よりも間欠照射の方が野菜に対する刺激量が多く、光合成によるビタミンC生成に加え、野菜の防御反応でのビタミンC生成を促すことができる。これについては実際の実験結果を踏まえて説明を行う。
【0071】
このように20〜50Hzでフラッシング照射すなわち間欠照射した場合には、速い速度での点滅であるため、20H以下のはっきりと異常を知らせるような警告に感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりすることを抑えることができ、特に40Hz以上の速度では家庭用のはっきりと確認使用者である人間の肉眼では光源13からの間欠照射を目視で確認することはできず、連続照射しているように見える。
【0072】
よって、本実施の形態では間欠照射を目視ではっきりと確認することはできない範囲のフラッシング間隔である20〜50Hzとした上で、青果物に対してはより刺激が強く有効な50Hz以下望ましくは40Hz以下の間欠照射を行うことで、使用者には心理的にストレスを与えずむしろ清涼感を与えるような照射を実現した上で、青果物に対しては十分に刺激を与えることで生態防御反応を刺激して栄養素を増加させるといった有効な効果が得られるものとした。
【0073】
例えば、本実施の形態のように上記の20Hz〜50Hzの中心波長である40Hzで点滅照射し、人間が目視で確認した場合には、チラチラと光が揺れている程度の点滅は確認できるものの、例えば20Hz以下の周波数のようなはっきりとした点滅ではないため、使用者は点滅光による警告のような感じを受けたり、心理的な圧迫感を受けたりすることが非常に少ないため、使用者への心理的なストレスを与えることなく、青果物に対しては十分な刺激を与えることが可能となる。
【0074】
このような20Hz〜50Hzの周波数は、言い換えると日本や、中国や欧州各国といった諸外国においての電源周波数である50Hz以下の周波数で点滅照射を行うこととなる。
【0075】
よって、電源周波数以下の周波数を用いることで、一般的に普及している電源周波数で使用する照明装置やLEDを用いた上で、それらよりも低い周波数で点滅照射を行うことで、光源13の信頼性を高めることが可能である。
【0076】
上記のような、フラッシング照射の青果物に対する有効な効果について以下に説明を行う。
【0077】
図2Aは本実施の形態の冷蔵庫の切り替え室6に保存したパプリカのビタミンC量の変化を説明するための説明図である。
【0078】
このときの切り換え室の設定は野菜室設定(約5℃)で、照度約20LxのLED照射タイミングを20Hz,30Hz,40Hz、連続点灯下及び非照射(暗所)下で5日間保存したパプリカの保存前のビタミンC量に対する変化量を求めた。
【0079】
その結果、暗所は初期よりもやや保持率が低下するが、光照射下で保存したものは連続照射、フラッシング照射のいずれの場合においてもビタミンC量が増加していた。また、連続照射よりも、フラッシング照射(間欠照射)下での保存の方がビタミンC保持率高い傾向にあった。
【0080】
これは、青果物の光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるのを利用して、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能であるためであり、本実験で実際の冷蔵庫内においてもこの生態防御反応を上手に励起して栄養素を増加させることができたことを実証するものである。
【0081】
また、青果物の光合成には赤色光と青色光が有効であることが知られているが、一方では、これら波長域の光は黄化や屈光という品質劣化も誘引するため、悪影響を及ぼさない照度でのビタミンC量の増加は微増であるが、本実施の形態では青果物の表面に光を浸透させる波長として青色光を用いた。
【0082】
これは、青色光は、照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も実証されているため、生態防御反応に加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得られるため非常に有効である。
【0083】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0084】
それに比べ、緑色光は野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進されることとなる。
【0085】
このように、本実施の形態では野菜表面で吸収されやすい青色の波長で野菜表面付近のビタミンC生成を促し、さらに野菜表面の静菌効果を得ることでより鮮度を高めた上で、青果物の内部へ光を浸透させやすい緑色の波長で、野菜の内部まで光を浸透させ、野菜内部での生態防御反応を促進してビタミンC生成を促すことが可能となる。
【0086】
さらには、これらの光源13をフラッシング照射することで、野菜に与えるストレスが増加し、生態防御反応の励起を強め、結果抗酸化物質であるビタミンC量の生成がさらに促進されることとなる。
【0087】
また、ビタミンCと同様に生態防御反応で生成される抗酸化物質である、ビタミンA、ポリフェノール、カロチン、ユピキノン等に対しても同様の効果が期待できる。
【0088】
また、照射装置である光源13として青色LEDと緑色LEDとを同時にフラッシング照射することで、野菜に対して光の明暗が明確になることによって、より確実に生態防御反応を励起を強めることが可能となる。
【0089】
また、青色LED、緑色LEDを照射すると、色調としては明るいグリーン系であることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージできかつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0090】
このように、本実施の形態では、異なる2つの波長を同時に照射する場合に、色の3原色である赤・青・黄の中の少なくとも1色を同じ色を使用した色の波長を用いている。すなわち青色LEDでは色の3原色のうちの青色を使用しており、緑色LEDでは色の3原色のうちの青色と黄色を混ぜてできる緑色を使用しているので、どちらも同じ青色を使用していることで、これらの異なる2つの波長を同時に照射することで目視においては色が混ざりあって見える場合でも、より同系色の色を照射することで統一感があり、使用者に違和感のない印象を与えることが可能である。
【0091】
言い換えると、異なる2つの波長を同時に照射する場合に、色の3原色である赤・青・黄のすべてを使用せず、これらの中の2色を基に生成できる色調を使用することが好ましい。
【0092】
こういった組合わせの際に、内部への浸透力が高い緑色の周波数を1色は使うことが望ましく、もう1色の組み合わせとして青色にくわえ、野菜外部に刺激を与えるといった目的では赤色や橙色もしくは無色の紫外光といった組み合わせでも効果を発揮するが、上記記載のように青と緑の清涼感を使用者に与える際には、緑色に赤色やオレンジ色を組合わせると使用者への清涼感を与えるのは官能的に難しくなるので、本実施の形態においては有色の組み合わせとしては緑色と青色の組み合わせとした。
【0093】
このように、光によって青果物に対して栄養素を増加するといった機能的な効果を奏するとともに、色調のイメージによって、使用者に対して清潔感や効果的に冷却されているような好ましい印象を感じることができ、冷蔵庫に対して使用者の満足度を高めることができる。
【0094】
なお、光の波長については特に限定するものではないが、紫外光を含む光を放射する光源13を使用した場合には、紫外光が貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内に浮遊または壁面や食品表面に付着している微生物の遺伝子に対して働きかけ、微生物の増殖機能を不活性化させることができる。これにより貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内部の衛生性が保たれるとともに、食品については微生物によって生じる変色や腐敗臭、食品表面のネト発生を遅らせることが可能となる。このように紫外光を含む光源13を設けることにより、食品の保存性を高めた衛生的な保存が行える。
【0095】
さらに、きのこ類や魚類には、ビタミンDの前駆物質を多く含むものがあり、それらに紫外線が照射されることで分子が励起され、ビタミンDへ変換される。よって、紫外光を含む光源13を貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内に設けることで、貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内の特定の食品のビタミンD含有量を高めながら保存することができる。
【0096】
また、光源13の種類については豆電球や発光ダイオード、蛍光ランプ、紫外ランプ等が挙げられるが、特に指定するものではなく、如何なる光源13でも適用可能である。中でも発光ダイオードはランプ自身による発熱が殆どなく、ランニングコストや耐久性の面においても優れており、汎用性が高い。
【0097】
また、同一貯蔵室内における複数の光源13の設置は一箇所に限定するものではなく、個々の光源13が同一貯蔵室内の異なる場所に設置されていても構わないものであり、この場合には使用者が複数の異なる色を体感することができるため、より使用者が光源からの光の照射による有効な効果を体感することを促すことができる。
【0098】
なお、本実施の形態の冷蔵庫では、切り替え室6の扉8開放による温度上昇時に通常と異なる色調の光を放射させて使用者に注意喚起を図ることも可能である。この場合には、フラッシング照射の間隔を目視できるような範囲として使用者に注意喚起を図ることが望ましい。これは一般に扉開放が長時間に渡り行われ、貯蔵室内の温度が上昇した場合、貯蔵室内部の食品に悪影響を及ぼしやすくなる。特に、マイナス温度では、扉の長期開放による雰囲気温度の上昇により凍結された食品中の水分が気化し、それらが再び冷却された際に食品周囲へ着霜が生じることがあり、その場合食品の品質において外観、風味、食感などの面で低下がみられる。扉が長期に渡り開放される場合としては、食品の搬入や搬出時、または閉め忘れた場合などが挙げられ、特に閉め忘れられた場合には開放時間が長期に及ぶことが多い。
【0099】
貯蔵室内の温度上昇時に光源13の放射する色調を特定のものに切り替えるかもしくはフラッシング照射の間隔を目視できるような範囲として使用者に注意喚起を図ることにより、扉の長期開放を使用者に認識させるもので、貯蔵室内の食品または氷等の品質を守ることができる。又、扉の長期開放後の温度復帰にかかる電力消費の増大を未然に防止することが可能となるため、消費エネルギー量の低減効果が得られる。
【0100】
なお、使用者に貯蔵室内の温度上昇を認識させる光源13の色については特に指定するものではないが、色彩工学的には赤色系統が注意や警告、危険な印象を与えるとともに、多くの使用者の目にはっきりと認識されやすい色であることから好ましいと考える。
【0101】
また、光源13の色を黄色系統とした場合、目立つ色彩であるため認識されやすくなるとともに、黄色は健常者、色覚障害者ともに同一の色として認識することができるため、両者が同じように使うことのできる、使い勝手の良好な冷蔵庫を提供することができる。
【0102】
また、このような光源13の入力は、検知手段17の反応によりおこなわれる。検知手段17には、温度センサーを用い、一定温度の検知後に入力をおこなうものとしたが、たとえば検知手段17がドアスイッチである場合は、扉開放を検知したのちの一定時間後に入力をおこなうとしてもよく、特に指定するものではない。
【0103】
本実施の形態では、図2Bに示すように、まず野菜室温度が弱設定であるかどうかを確認し、弱設定(2〜4℃)の場合には40Hzの周波数にて光源の点滅照射を行い、弱設定(2〜4℃)以外の例えばより低温の設定である強設定(0℃〜2℃)といった場合には光源の照射を行わない。
【0104】
次に、野菜室の温度設定が変更された場合には、どの温度帯の設定であるかどうかを確認し、同様に弱設定(2〜4℃)の場合には40Hzの周波数にて光源の点滅照射を継続して行い、弱設定(2〜4℃)以外の例えばより低温の設定である強設定(0℃〜2℃)といった場合には光源の照射を行わないといった制御を行う。
【0105】
これによって、野菜室4内の温度設定の中でより高温の弱設定(2〜4℃)の場合には、一般的な野菜の保存に最適でありかつ生態防御反応を励起しやすいため、このような生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものである。これによって、野菜室内の温度設定がより低温の0℃〜2℃といった強設定の場合には比較的低温であるために、野菜の細胞の動きが鈍く生態防御反応を励起しにくいために光源13の照射を停止することで、より効果が得られる温度帯に焦点をあてて効率よく光源13の点灯照射を行うことができ、生態防御反応の特性を利用してより効果的な温度帯に焦点をあてて栄養素を増加させることが可能である。
【0106】
本実施の形態の冷蔵庫において、切り替え室6は、冷蔵室2の下方に位置するとともに、野菜室4と冷凍室3の上方に位置しているものである。このようなレイアウトにすることにより、平均身長の女性が腰をかがめずに切り替え室6の扉8の開閉を行うことができ、また食品の出し入れについても腰をかがめず、楽な姿勢で行うことができるので、使い勝手性が向上する。また、使用頻度の高い野菜室4についても、平均身長の女性が腰をかがめずに扉10開閉を行うことができるとともに、重量感のある野菜についてもしゃがまずに出し入れを行うことができるので、従来の使い勝手性を損なうことがない。また、このように楽な姿勢での使用が可能なレイアウトにすることにより、使用者の肉体的な負担を軽減することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では各貯蔵室の扉の形態について、使い勝手性を考慮して冷蔵室2については回転式、その他については引き出し式としたが、これらは特に限定するものではない。
【0108】
なお、本実施の形態では、照射装置である光源13として青色LEDと緑色LEDとを同時にフラッシング照射するものとしたが、これらの異なる色調の光がそれぞれ独立して間欠照射するものであってもよい。すなわち光源13は、青果物の表面に光を浸透させる波長の光と青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射であればよい。これは、野菜に対して光の明暗が明確にするために、すくなくともどちらも同時に照射していないタイミングである光源13の消灯間隔があれば、この消灯間隔が終了した後に単色で照射を行う場合であっても、光源の照射によって野菜に対する光の明暗を確実に有することができ、言い換えると全く光が照射されず、暗い状態を維持する消灯間隔があれば、その消灯間隔の後の光の照射によってより確実に生態防御反応を励起することが可能となる。
【0109】
こういった異なる色調の光がそれぞれ独立して間欠照射する場合には、例えば同じ周波数でどちらも同時に照射していないタイミングである光源13の消灯間隔を経て交互に照射するものでもよく、色調によって異なる周波数で点滅するものでもよい。特に色調によって異なる周波数で間欠照射する場合にはより強い効果を得たい側の光の周波数を高めることでより有効な効果を得ることが可能である。
【0110】
このように、本実施の形態におけるフラッシング照射は生態防御反応を励起することが目的であるため、一定の間隔で明暗をつければ良く、少なくとも光源13から光が照射されない消灯間隔を有していれば、照射の間隔に大きく左右されずフラッシングによる生態防御反応が得られるものである。
【0111】
また、本実施の形態のように連続照射ではなくフラッシング照射することによって光源13の消費するエネルギーをより低減することができ、省エネルギーの冷蔵庫を実現することが可能となる。
【0112】
また、消灯間隔は有さないが複数の色調の光が交互に点灯する構成や、一つの色調の光が連続点灯であった上で、他の色調の光が間欠照射をする構成など、要するに上記の保存性,栄養価増強の目的に叶う複数の光源を用いて総合的な色調や照度の断続変化で何らかのフラッシング状態を再現できるような照射制御であれば、ベストモードには至らなくても本実施の形態における一定の効果を奏することができる選択肢となり得る。
【0113】
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫の切り替え室6では、青色光で表面に、緑色光で内部へ光を浸透させることが可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させ、野菜全体でのビタミンCの増加をおこなうことが可能となり、照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができ、より品質の高い冷蔵庫を提供することができる。
【0114】
また、本実施の形態では、冷蔵から冷凍までなどの幅広い温度帯の切替機能を有する切り替え室6内を対象に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば野菜室4内などに設けて、青果物の鮮度を向上させながら栄養素を増加させることももちろん可能である。
【0115】
また、本実施の形態では、光源13の詳細な構造については説明していないが、光源からの光が透過する光透過部材からなるカバーを備えることが望ましく、低温で密閉された冷蔵庫内に生じやすい結露が直接光源13に付着することを防ぎ、光源13の劣化や故障を防止することができる。
【0116】
また、本実施の形態では、光源13を貯蔵室の天面側に配置するものとしたが、光源からの光が透過する光透過部材からなる収納容器であれば例えば背面側や底面,側面などに光源13を配置して光透過部材からなる収納容器を介して照射することも可能であり、この場合には貯蔵室内の貯蔵空間である収納容器外に光源13が位置するので、貯蔵空間内の野菜などの食品収納に起因する高湿度の雰囲気に曝されず、より光源付近に付着する結露を防止することができるとともに、使用者が光源に触れることを防止することができるので、より故障を防止し安全性を高めることが可能である。
【0117】
また、光源13をたとえば反射板などの部材で拡散反射させて、照射方向や照射範囲の選択,調整が可能となるような構成をとれば、効果の最適化を図る設計上の自由度が増し、光源13の取り付け位置やLEDの取り付け,照射方向を選択できる。光源13に透光性のカバーを用いて、このカバー自体で光の方向や拡散をコントロールすることも有効である。
【0118】
なお、本実施の形態では生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものとしたが、例えば栄養素アップのボタンを扉表面に備え、野菜室4の温度設定に関らず使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射を行うことも可能であり、この場合には、例えば扉表面に栄養素アップを示すボタンが備えられていることで、より使用者が栄養素アップの機能を認識することが可能であるとともに、使用者の必要に合わせた任意のタイミングで光源13の点灯照射によって栄養素の増加を行うことが可能であるので、より使用者の使い勝手を向上させることが可能である。
【0119】
また、本実施の形態では生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものに、さらに使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射を行うといった構成を組合せることも可能であり、この場合には、通常は生態防御反応を励起しやすい温度設定に焦点を絞って光源13の照射を行うことに加え、使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射によって栄養素の増加を行うことが可能となり、さらに使用者の使い勝手を向上させた高機能の冷蔵庫を提供することが可能となる。
【0120】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫を示す正面図であり、図4は本発明の実施の形態2の冷蔵庫の縦断面図である。
【0121】
なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0122】
図に示すように、冷蔵庫100は、3つの扉111a,111b,111cを備える冷蔵庫であり、貯蔵箱170により形成される貯蔵室は、三つに区画されている。
【0123】
冷蔵庫100は、区画された貯蔵室として、上部より冷蔵室110と、野菜室120と、冷凍室130とを備えている。同図において、矩形の破線がそれぞれの貯蔵室の開口を表しており、貯蔵の対象である食品は、棚状に区画された貯蔵箱170内に前方より搬入され、また、搬出されるものとなっている。
【0124】
また、冷蔵庫100は、貯蔵箱170を密閉可能、かつ、開閉可能な扉111を備えている。具体的には、冷蔵庫100は、冷蔵室110を開閉可能な扉111a、および野菜室120を開閉可能な扉111bと、冷凍室130を開閉可能な扉111cとを備えており、扉111a,111b,111cは、ヒンジにより開閉可能に貯蔵箱170に取り付けられている。
【0125】
貯蔵箱170は、外方と内方とを断熱する機能を備えており、同図楕円内に示すように、ABSなどの樹脂で真空成型された内箱171と、プリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱172と、内箱171と外箱172との間に配置される断熱材173で構成されている。また、扉111も同様に内板と外板と断熱材173とで構成されている。
【0126】
図に示すように、冷蔵庫100は、光源200と、光源200のカバー部材である透過性の材料からなる仕切手段210と、抗菌装置220とを備えている。また、冷蔵庫100は、食品容器121と、蓋122とを野菜室120の内方に備えている。
【0127】
抗菌装置220は野菜室120内の空気からオゾンを発生させるオゾン発生装置であり、主に青果物の表面に付着した菌の増殖を抑制することで、野菜室内に収納された青果物の鮮度をより向上させるものである。
【0128】
光源200は、点灯時に食品容器121内部を照らすよう設置されている。食品の出し入れに際して、扉の開閉時に使用者が扉を開けると、光源200から照射される光が室外に漏れるので、冷蔵庫の使用者が光やその光の色調を認識することが可能である。また、本実施の形態では、光源200には複数個の発光源を備えており、各々が異なる色調の光を発するとともに、それら発光源の点灯や消灯の動作は制御基盤を通じて行われ、光源200は間欠照射であるフラッシング照射を行うものである。
【0129】
この光源200の照射方法や色調については実施の形態1で説明した技術内容と同様のものであり、点灯は緑色LED、青色LEDを20〜60Hzでフラッシング照射(間欠照射)するよう制御基盤にて制御している。
【0130】
また、抗菌装置220は一定時間毎に動作するものであり、扉が開いている場合には抗菌装置220は停止させるものとする。
【0131】
また、場合によっては抗菌装置220は使用者が任意のタイミングで動作させることが可能となるように抗菌ボタンを扉表面に備えることで、より抗菌装置を備えた冷蔵庫であることが使用者にアピールできることに加え、必要な時にのみ抗菌機能を発揮させることが可能となるので、より使い勝手のよい冷蔵庫を提供することが可能となる。
【0132】
このように、本実施の形態では、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させる目的で光源200を備えるとともに、野菜室120内に収納された青果物の鮮度を向上させる目的で抗菌装置220を備えたものである。
【0133】
また光源200は、冷蔵室110と野菜室120とを仕切る断熱壁115の下面側に野菜室120の内方側に埋設されている。
【0134】
このように光源を断熱壁115に埋設することで、食品容器121を取り出す際に食品が光源200に接触することを抑制し、スムーズな開閉動作を実現することが可能となる。
【0135】
また、光源200を貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口213近傍に備えることで、光源200に結露水が付着した場合でも、吐出口213からの通風経路上に光源200が位置することで、効率よく結露を消滅させることが可能となる。また、光源200が点灯した場合に多少の温度上昇があった場合でも、吐出口213からの冷気によって光源200周辺の温度上昇を抑制することができ、野菜等への温度影響を抑えて、より保鮮性を向上させることが可能となる。
【0136】
また、光源200を青色LED、緑色LEDを照射する。
【0137】
これによって、青色LEDから照射する青色光によって、青果物の表面に光を浸透させ、さらに青色光の照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も得られるため、野菜表面の生態防御反応により栄養素増加に加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得ることができる。
【0138】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0139】
また、緑色LEDから照射される緑色光は、野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進されることとなる。
【0140】
このように、本実施の形態では野菜表面で吸収されやすい青色の波長で野菜表面付近のビタミンC生成を促し、さらに野菜表面の静菌効果を得ることでより鮮度を高めた上で、青果物の内部へ光を浸透させやすい緑色の波長で、野菜の内部まで光を浸透させ、野菜内部での生態防御反応を促進してビタミンC生成を促すことが可能となる。
【0141】
さらに、光源200を青色LED、緑色LEDを同時に照射ことによって、色調としては明るいグリーン系となることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージできかつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0142】
このように本実施の形態では、光源200として発光ダイオードであるLEDを用いたので、一般的なランプと比較してより省エネルギでさらに温度上昇を抑えることができる。
【0143】
また、光源200をフラッシング照射(間欠照射)させることでさらに点灯時間が短くなるために、より省エネルギでかつ温度上昇の少ない光源200を備えることが可能となる。
【0144】
なお、本実施の形態では、光源200として発光ダイオードであるLEDを用いたが、特にこれに限定されるわけではなく、異なる波長の光を放出することが可能な光源を複合的に備えるものを光源であればかまわないが、発熱量が多い光源を備える場合には、本実施の形態のように光源200を貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口213近傍に備えるといった構成等によって貯蔵室への温度影響を低減する手段を搭載することが望ましい。
【0145】
さらに、冷蔵庫100は、冷却手段である冷却器を備えている。本実施の形態の場合、冷却手段は、2つの冷却器を備える冷却サイクルで構成されている。具体的には、冷蔵室110の奥面部の裏側に第一の冷却器112を備えている。冷蔵室110の奥面部は冷却器112からの熱伝導によって冷却される。冷蔵室110内の空気は、この冷却された奥面部により冷却される。
【0146】
また、第二の冷却器112は、冷凍室130の奥面の裏側に備えられている。冷凍室130内は、第二の冷却器112を強制的に通過されて冷やされた冷気によって冷却されるようになっており、食品などを冷却した冷気は再び第二の冷却器112に戻るものとなっている。
【0147】
第二の冷却器112から放出される冷気は、冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給される。野菜室120は、ダンパーの開閉制御により供給される冷気の量が制御され、冷蔵室110の温度帯と冷凍室130の温度帯との間の温度帯に維持される。具体的には4℃以下0℃以上の範囲内の温度に維持されるように制御される。
【0148】
また、野菜室120の背面の上方部に備えられた冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給された冷気は野菜室120の背面の底面部に備えられた冷気吸入口214を介して第二の冷却器112へと戻っていく。
【0149】
このように、野菜室120に流入する冷気は他の貯蔵室を通過した冷気ではなく、冷却器112から直接流入する冷気であるため、例えば冷蔵室のような比較的温度が高く雑菌の繁殖しやすい貯蔵室の冷気風路とは独立していることで、よりクレーンで抗菌性の高い冷気が野菜室内に流入することになる。
【0150】
さらに、このように、野菜室120の冷気が底面部に備えられた冷気吸入口214から排出されていくため、空気よりも重いために下方側に溜まり易いオゾンを速やかに排出することが可能となり、野菜室120内のオゾン濃度の増加を抑制することができる。
【0151】
さらに、空気よりも重いために下方側に溜まり易いオゾンを含む冷気が冷気吸入口214から排出されることで、冷却器112が背面に備えられた冷凍室130の冷気にも抗菌効果の高いオゾンが循環するため、冷凍室の抗菌性も高めることが可能となる。
【0152】
このように、冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給された冷気は冷気吸入口214を介して第二の冷却器112へと戻っていく野菜室120内の風路内において、抗菌装置220は上流側に位置している。言い換えると、抗菌装置220は冷気吸入口214よりも冷気吐出口213に近い側に備えられている。
【0153】
これによって、野菜室120内の風路におけるより上流側に抗菌装置220が配置されていることで、抗菌装置220であるオゾン発生装置から噴霧されたオゾンを野菜室内120に流入した冷気に乗せて均一に野菜室120内に拡散させることが可能となり、より収納された青果物の鮮度を向上させることが可能となる。
【0154】
また、抗菌装置220であるオゾン発生装置から噴霧されたオゾンは噴霧開口部211,212を介して野菜室内に噴霧されるため、噴霧開口部211,212を複数備えることでよりオゾンの拡散性を高めることができる。また、噴霧開口部211,212は図4に示すように少なくとも野菜室120の前後方向に対する中心に対しての両側である前方側と後方側とに離れて配置されていることで、さらに抗菌機能を有するオゾンの拡散性を向上させている。よって、こういった噴霧開口部211,212を複数備えるといった構成は抗菌材料の拡散手段として機能するものである。
【0155】
さらに、抗菌材料の拡散手段として、野菜室120の左右方向の中心線に対しての両側である右側と左側とに離れて抗菌材料の噴霧開口部を配置すると、抗菌材料であるオゾンの拡散性を向上させることが可能となる。
【0156】
また、噴霧開口部211,212が天面側に配置されて下方側に開口しているとともに冷気吐出口213は野菜室120の天面側に配置されて水平方向側に開口していることで、空気より重いために下方へ向かう傾向があるオゾンを冷気吐出口213からほぼ水平方向に噴出される冷気に乗せて水平方向へ拡散させることができ、その後オゾンは自重によって下方向へと拡散していくので、オゾン濃度の偏りを防止してより均一に分布させることができるので、野菜室120内の抗菌性をより高めることが可能となる。
【0157】
よって、このように抗菌装置220からの抗菌材料であるオゾンが噴霧される噴霧開口部211,212の噴霧方向と貯蔵室内に吐出される冷気の開口部である冷気吐出口213の噴霧方向を同じ方向とせずに交差する方向とすることも、抗菌材料の拡散手段として機能するものであって、抗菌材料の拡散性を高めることができる。またこの噴霧開口部211,212の噴霧方向と貯蔵室内に吐出される冷気の開口部である冷気吐出口213の噴霧方向とが交差する方向は直角である90°を含んで±30°程度までの所定の角度とすることが望ましい。別の表現をすると、冷気吐出口213から噴霧された冷気が直接霧開口部211,212へと流れるように冷気吐出口213を備えると拡散手段として有効に機能するものである。
【0158】
食品容器121は、貯蔵室である野菜室120内に配置され引き出し可能で上方に開口する開口部127を有する箱体である。
【0159】
蓋122は、食品容器121の開口部127を閉塞する板状の部材であり、通過孔124と、調整孔125とを備えている。また、蓋122は、光源200が放出する光の内、必要な波長の光を十分に透過できる材質で構成されている。蓋122は、食品容器121内の湿度を調節する機能を備えるものであり、具体的には、食品容器121内に貯蔵される野菜から蒸散される湿気をある程度食品容器121内に維持しながら、食品容器121内で前記湿気が結露しない程度に湿度を調節する。
【0160】
以上のように、本願発明にかかる冷蔵庫100は、光源200から発光する光の力で貯蔵する食品の保鮮性を高めることができるため、人体への害のないより安全な方法で食品を長期保存することが可能となる。
【0161】
さらに、光源200をフラッシング照射すなわち間欠照射する場合に、使用者である人間の肉眼では光源200からの間欠照射を目視で確認することはできず、連続照射しているように見えるような間欠照射を行うことで、一般的に光が点滅していると何らかの異常を知らせるといった警告のように感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりするといった問題が生じることなく、人体への心理的な害のない安全な照射方法を実現した上で、フラッシング照射により野菜に与えるストレスを増加させ、生態防御反応の励起を強め、結果抗酸化物質であるビタミンC量の生成がさらに促進されることが可能となる。
【0162】
以上のように、本実施の形態では、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させる目的で光源200を備えるとともに、野菜室120内に収納された青果物の鮮度を向上させる目的で抗菌装置220を備えたものであり、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させた上でさらにその鮮度を高めることが可能となり、野菜室の機能を格段に高めることができるといった格段の効果を奏するものである。
【0163】
なお、本実施の形態では野菜室120には食品容器121を備えているが、本願発明はこれに限定されるわけではなく、食品容器121やその蓋がない野菜室120に直接食品を保存するものでもかまわない。
【0164】
また、貯蔵室170を固定的な断熱壁115により区画したが、特に断熱壁で区画する必要がない場合には、断熱材に限定しない仕切壁で区画しても良い。
【0165】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の正面図であり、図6は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の縦断面図であり、図7は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の斜視図である。
【0166】
本実施の形態では、上記実施の形態2で示した冷蔵庫100の野菜室120内における構造に関する別の形態を開示しているものであり、実施の形態1および2で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0167】
図において、光源200は、冷蔵室110と野菜室120とを仕切る断熱壁115の下面側に野菜室120の内方側に埋設されており、野菜室の横方向(左右方向)における中心線AA´状に配置されており、野菜室の前後方向においては、中心よりも後方側に配置されている。
【0168】
また、野菜室120内には食品容器121として、下段容器121aと、下段容器121a内の上方部に配置された上段容器121bとが備えられており、下段容器121aおよび上段容器121bが収納された状態においては蓋141が閉塞されており、容器内からの水分の蒸散を防いでおり、下段容器121aおよび上段容器121bが引き出された状態では蓋141は下段容器121aおよび上段容器121bの上方には位置せず冷蔵庫100の本体側に残っているため、蓋141が食品の出し入れの際に邪魔になることはない。
【0169】
また、光源200は上段容器121bの直上部には配置されておらず、下段容器121aへ直接届くように下段容器121aの開口部の直上部に配置されている。すなわち、下段容器121a内に収納された青果物に対しては光源200からの光が介在物を介さずに直接照射され、上段容器121bに収納された青果物については光透過性の材料からなる上段容器121bを介して間接的に光が照射されることとなる。
【0170】
また、光源200の点灯は緑色LED、青色LEDを同時にフラッシング照射(間欠照射)するものである。
【0171】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0172】
これまで説明した実施の形態での効果に加え、本実施の形態では、光源200を照射する空間を使い分けて、下段容器121aと上段容器121bによって区画するものである。
【0173】
光源200からの照射によって下段容器121aに収納された青果物は光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるので、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能である。
【0174】
また、上段容器121bは扉を閉めた状態では上方側に備えられた蓋140で閉塞されており、下段容器121aと比較して高湿空間に維持することが可能であるので、より高湿度で鮮度が向上するフルーツや葉野菜等を収納するといった方法で、野菜室120の収納空間を使い分けしてより使い勝手のよい冷蔵庫を実現することが可能である。
【0175】
また、この上段容器121bは光透過性の材料で構成することによって、光源200の照射による栄養素向上や静菌作用を得ることができる。また、この上段容器121b内には下段容器121aを介して間接的に冷気が流入することで、冷却器からの低温の冷気が直接流入するのを防ぎ、より高湿度を好む青果物を収納することが望ましく、また低温状態においては鮮度が劣化するバナナやナスといった低温に弱い青果物を収納するとこれらの低温障害を防ぐことができ、より鮮度を向上させることが可能となる。
【0176】
よって、下段容器121a内の貯蔵空間には冷気吐出口13から流入した冷気が直接流入するとともに光源200からの光も直接照射される環境となり、一方上段容器121b内の貯蔵空間には下段容器121a内を介した高湿の冷気が流入するとともに光源200からの光も上段容器121bを介して間接的に照射される環境となるので、これらの貯蔵空間は異なった貯蔵環境となる。
【0177】
このように、流入する冷気のタイプや光からの照射強度の異なる複数の容器を備えることで、野菜室120内を上手に使い分けてその区画に適した収納物を収納することが可能となり、より効果的に野菜室内の青果物の栄養素を増加させかつ鮮度を向上させることが可能となる。
【0178】
また、光源を断熱壁115に埋設することで、引き出し式扉の開閉の際に食品が光源200に接触することを抑制し、スムーズな開閉動作を実現することが可能となる。
【0179】
なお、本実施の形態では図7(a)に示すように上段容器121bがLEDと対向しない位置に配置したものとしたが、図7(b)に示すように、上段容器121b内に直接LEDが照射されるような構成とすることも可能である。
【0180】
この場合には、上段容器121bは光源200の直接照射によってより効果的に栄養素向上や静菌作用を得ることができることに加え、この上段容器121b内には下段容器121aを介して間接的に冷気が流入することで、冷却器からの低温の冷気が直接流入するのを防ぎ、より高湿度を好む青果物を収納することが望ましく、また低温状態においては鮮度が劣化するバナナやナスといった低温に弱い青果物を収納するとこれらの低温障害を防ぐことができ、より鮮度を向上させることが可能となる。
【0181】
よって、上段容器121b内の青果物に焦点をあてて栄養素の向上を行うことができる。
【0182】
また、この場合にも下段容器121aおよび上段容器121bが収納された状態においては蓋141が閉塞されており、容器内からの水分の蒸散を防いでおり、下段容器121aおよび上段容器121bが引き出された状態では蓋141は下段容器121aおよび上段容器121bの上方には位置せず冷蔵庫100の本体側に残っているため、蓋141が食品の出し入れの際に邪魔になることはない。
【0183】
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の水収集手段近傍の縦断面図である。図9は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の機能ブロック図であり、図10は静電霧化装置214で発生されたミストでの除菌イメージ図である。
【0184】
本実施の形態では実施の形態1から3で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0185】
図において野菜室天面の仕切り部472に、霧化装置411と霧化装置411に水分を供給する水収集板と青色光と緑色光を庫内に照射させるための光源437と光を庫内全体に拡散させるための拡散板438があり、野菜室405の中に、野菜室温度検知手段239と、野菜室湿度検知手段440が構成されている。
【0186】
抗菌装置は野菜室に備えられた霧化装置411であり、主にラジカルを含むミストが青果物に付着することによって、青果物の表面に付着した菌の増殖を抑制することで、野菜室内に収納された青果物の鮮度をより向上させるものである。
【0187】
また、本実施の形態では抗菌装置である霧化装置411を外部から水を補給することなく貯蔵室内の水分を結露させる部材に結露した水分を用いてミストを発生させる霧化装置411を備えた。
【0188】
水分を結露させる部材である水収集板423は、冷蔵庫の冷却手段を用いて露点以下になるように冷却することで、庫内温度との温度差が生じ庫内の水分が水収集板に結露させるものであるなる。また、制御手段442は、水収集板温度検知手段430と野菜室温度検知手段439と野菜室湿度検知手段440とドア開閉検知手段441の各検知結果に基づき霧化装置である静電霧化装置414と加熱手段424と冷却手段443と送風手段425を制御する。
【0189】
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
【0190】
まず、野菜室温度検知手段439と野菜室湿度検知手段440により野菜室405の露点温度を予測することができる。そこで、水収集板表面温度を露点温度以下になるように調整する。例えば、(表1)のように水収集板表面温度を調整する。
【0191】
【表1】
【0192】
例えば、野菜室温度が5℃で野菜室の湿度が90%なら、露点温度は3.5℃であり、この温度以下なら水収集板423に庫内の水蒸気は結露する。結露した水は、水収集板423もしくはカバー432に沿って霧化装置411(静電霧化装置414)の静電霧化部に送水される。
【0193】
次に静電霧化装置414により噴霧されたミストが、野菜が収納されている容器433内に噴霧される。噴霧されたミストはオゾンやOHラジカルなどを保持しており、プラスに帯電した野菜や果物表面に付着し、ミストが野菜表面を抗菌、除菌、殺菌することができると同時に野菜表面に付着する有害物質を酸化分解することができる。またミストの水分が野菜や果物の微細な孔にミストが入りこみ、野菜に吸水されることとなる。
【0194】
発生されたミストには、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これは強い酸化力を保持している。これらオゾンやラジカルによって細菌の組織の中でも細菌細胞膜タンパクの一部が酸化分解され溶菌されることで、結果細菌は不活化する。このように細菌自体を瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、細菌細胞膜を破壊することで、結果的に細菌の不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲で細菌の不活性化を行うことができる。そのため、発生したミストが野菜室内や野菜表面を抗菌、除菌、殺菌することができると同時に野菜表面に付着する有害物質を酸化分解することができる。
【0195】
よって、本実施の形態においては、霧化装置は微細な水分を供給するミスト噴霧装置であると同時に、細菌やウイルスの増殖を抑制する抗菌装置として機能しているものである。
【0196】
図10は静電霧化装置214で発生されたミストでの除菌イメージ図であり、図11は、冷蔵庫の野菜室を想定したBOXにて細菌の代表菌種である大腸菌の除菌効果を確認した結果を示す。
【0197】
試験条件はBOX容量を約70L、BOX内温度約5℃、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態の静電霧化装置をBOX内に設置し稼働率30分ON−30分OFFで稼動させた。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、上記BOX条件より静電霧化装置の代わりに超音波霧化装置にてミストを噴霧したもので同一試験を行った。
【0198】
図に示すように、本実施の形態においては超音波霧化装置では除菌率30%未満あるのに対し、静電霧化装置にて霧化した場合、3日で95%以上、7日では99%以上の高い抗菌効果を有していることが判明した。
【0199】
次に図12は静電霧化装置で発生されたラジカルを含んだミストでのカビ抑制のイメージ図である。カビは通常胞子が発芽し菌糸を伸ばして成長する。図に示すように発生されたミストに含まれるオゾンやラジカルにて発芽した菌糸が除去されるため、カビがそれ以上菌糸を伸長できず不活化され、結果カビは成長を抑制される。このようにカビそのものを瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、カビの菌糸を破壊することで結果的に細菌の不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲でカビの成長を抑制することができる。
【0200】
次に図13に冷蔵庫の野菜室を想定したBOXにてカビ代表菌種であるクロカビの除菌効果を確認した結果を示す。
【0201】
試験条件はBOX容量を約70L、BOX内温度約5℃、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態2の静電霧化装置214をBOX内に設置した。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、静電霧化装置214を除いたもので同一試験を行った。尚、供試カビは初発浮遊カビ数が1000個以上/100L・Airになるように噴霧した。菌数の測定はエアーサンプラー吸引法にて測定した。
【0202】
図に示すように、本実施の形態の静電霧化装置を60分稼動後対照条件に対し99%除菌効果が得られており、野菜や庫内表面だけでなく、冷蔵庫庫内に浮遊する菌に対しても除菌効果が確認できた。
【0203】
次に図14は静電霧化装置で発生されたミストでの抗ウイルスのイメージ図である。通常ウイルスはウイルス表面に存在するスパイクというタンパク質が唾などの栄養分に寄生し繁殖する。図に示すように発生されたラジカルを含む超微細なミストがウイルスの周りに取り付きスパイク(タンパク質)を分解するため、ウイルスが栄養素に寄生することができず、不活化され繁殖を抑制する。このようにウイルスそのものを瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、ウイルスの表面のタンパク質を破壊することで結果的にウイルスの不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲でカビの成長を抑制することができる。
【0204】
次に図15に本実施の形態の静電霧化装置の抗ウイルス効果をBOX試験にて確認した結果を示す。
【0205】
試験条件はBOX容量を約30L、BOX内温度は室温、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態2の静電霧化装置をBOX内に設置し稼働率30分ON−30分OFFで稼動させた。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、静電霧化装置214を除いたもので同一試験を行った。ウイルスの不活化は50%組織培養感染量(TCID50)の対数値で比較した。TCID50の対数値が小さいほどウイルス不活化率は高く、LogTCID50値は2以上の差があれば有意差があるといえる。
【0206】
本試験結果から、本実施の形態2の静電霧化装置を2時間稼動させた場合、初期および対照(ブランク)に対しLogTCID50/mlで2以上の差があることから、ウイルス不活化効果があることが確認できた。
【0207】
また、図示はしないが、乾燥に強く冷蔵庫庫内にも人の手を介して生息する黄色ブドウ球菌に対しても大腸菌と同様の除菌効果が得られている。また、O−157やMRSA、インフルエンザウイルスなどの病原菌にたいしても同様に高い除菌効果が得られていることから細菌、カビ、ウイルスなど幅広い菌種に対して高い除菌効果を有することが明らかとなった。
【0208】
以上のように、本実施の形態においては、静電霧化装置により野菜室にミストとして確実に野菜表面に付着させることにより野菜に保湿性を高め、保鮮性を向上させることができる。また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより庫内および食品表面および庫内空気中のカビ、細菌、酵母、ウイルスなどの除菌、庫内の脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
【0209】
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
【0210】
一方、光源437は野菜室405に保存されている野菜や果物にフラッシング照射される。光源437とは、中心波長が470nmの青色光を含む光と中心波長が520nmの緑色光を含む光の2波長の光を同時照射する例えば青色LED,緑色LEDなどで、十分である。この時照射される照度は野菜などの対象物表面で20〜100Lxの照度とすることが、ビタミン増加および扉開閉時に消費者が清涼感を抱ける照度となって好ましい。また、フラッシングタイミングは20〜40Hzが好ましい。
【0211】
ミストを吸水した野菜や果物に青色光と緑色光をフラッシング照射(間欠照射)すると、野菜や果物は、吸水した水と光を利用して光合成を行い、ビタミンCの生成が促進される。
【0212】
また、光のフラッシング及び静電霧化によって発生するOHラジカルは野菜や果物のストレスとなり、生態防御反応を誘引する。その結果、抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンA、カロチン、ポリフェノール、ユピキノンなどの栄養素の生成が促進され、栄養価の高い野菜や果物となる。
【0213】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので水収集板等の水分供給装置を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となる。
【0214】
よって、実施の形態2で具体的に説明したオゾン発生装置の別形態の装置として置き換えて設置することが可能である。その場合には、水収集板を必要とせず、もちろん水収集板を冷却する必要もないので、抗菌装置としての静電霧化装置は庫内の任意の箇所に取り付けることが可能であることはいうまでもない。
【0215】
以上のように、本実施の形態では、容器433の保存中の野菜や果物に対し、静電霧化装置414にて微細ミストを適量噴霧し、さらに光源437が青色光と緑色光をフラッシング照射することにより、野菜や果物の正常な光合成を促進させると共に、野菜や果物の生態防御反応を励起させることで、保存中の野菜や果物を萎れさせることなく、ビタミンなどの栄養素を増加させ、栄養価が高く品質のよい保存ができる。
【0216】
(実施の形態5)
図16は本発明の実施の形態5における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図である。図17は本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図である。図18は本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図17のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
【0217】
本実施の形態では実施の形態1から4で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0218】
特に、本実施の形態5では上記実施の形態4の抗菌装置である霧化装置の別の形態を中心に説明するものであって、光源等については説明を行わないが、実施の形態1から4で説明した光源等と同様の技術を適用することができる。
【0219】
図において、冷蔵庫500の冷蔵庫本体である断熱箱体501は、主に鋼板を用いた外箱502と、ABSなどの樹脂で成型された内箱503と、外箱502と内箱503との間の空間に発泡充填される硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材とで構成され、周囲と断熱され、仕切り壁によって複数の貯蔵室に断熱区画されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室504、その冷蔵室504の下部に第四の貯蔵室としての切換室505と第五の貯蔵室としての製氷室506が横並びに設けられ、その切換室505と製氷室506の下部に第二の貯蔵室としての野菜室507、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室508が配置される構成となっている。
【0220】
冷蔵室504は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室507は冷蔵室504と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室508は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
【0221】
切換室505は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室505は製氷室506に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
【0222】
なお、本実施の形態では、切換室505を、冷蔵と冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室504と野菜室507、冷凍は冷凍室508に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でも構わない。
【0223】
製氷室506は、冷蔵室504内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
【0224】
断熱箱体501の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室501aを形成して、機械室501aに、圧縮機509、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機509を配設する機械室501aは、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。
【0225】
手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体501の最上部の貯蔵室後方領域に機械室501aを設けて圧縮機509を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体501の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
【0226】
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体501の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機509を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
【0227】
野菜室507と冷凍室508の背面には冷気を生成する冷却室510が設けられ、風路541と区画されており、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路541と、各貯蔵室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁511が構成されている。また、冷凍室吐出風路541と冷却室510とを隔離するための仕切り板561を備えている。冷却室510内には、冷却器512が配設されており、冷却器512の上部空間には強制対流方式により冷却器512で冷却した冷気を冷蔵室504、切換室505、製氷室506、野菜室507、冷凍室508に送風する冷却ファン513が配置される。
【0228】
また、冷却器512の下部空間には冷却時に冷却器512やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ514が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン515、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ516が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿517が構成されている。
【0229】
野菜室507には、野菜室507の引き出し扉518に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器519と、下段収納容器519に載置された上段収納容器520が配置されている。
【0230】
引き出し扉518が閉ざされた状態で主に上段収納容器520を略密閉するための蓋体522が野菜室上部の第一の仕切壁523及び内箱503に保持されている。引き出し扉518が閉ざされた状態で蓋体522と上段収納容器520の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器520の背面の左右下辺と下段収納容器519の境界部は、上段収納容器520が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
【0231】
蓋体522と第一の仕切り壁523の間には、奥面仕切り壁511に構成された野菜室用吐出口524から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器519と第二の仕切り壁525との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面の奥面仕切り壁511の下部には、野菜室507内を冷却し熱交換された冷気が冷却器512に戻るための野菜室用吸込み口526が設けられている。
【0232】
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
【0233】
奥面仕切り壁511は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面551と、風路541や冷却室510を隔離し、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材552で構成されている。ここで、奥面仕切り壁511の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部511aを設け、その箇所に抗菌装置である静電霧化装置531が設置されている。
【0234】
静電霧化装置531は、主に霧化部539、電圧印加部533、外郭ケース537で構成され、外郭ケース537の一部には、噴霧口532と湿度供給口538が構成されている。霧化部539は、霧化先端部である霧化電極535が設置され、霧化電極535はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン534に固定されて接続している。
【0235】
霧化部539は、霧化電極535が設置され、霧化電極535はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極接続部材であり、霧化電極535は冷却ピン534の一端のほぼ中心部に固定され、電気的にも電圧印加部533から配線されている一端を含め接続している。
【0236】
この電極接続部材である冷却ピン534は、例えば、直径10mm程度、長さが15mm程度の円柱形状で構成されており、直径1mm程度、長さが5mm程度であり、霧化電極535に比べて50倍以上1000倍以下、好ましくは100倍以上500倍以下の大きな熱容量を有するものである。このように、冷却ピン534の熱容量は霧化電極535の熱容量に対して50倍以上好ましくは100倍以上の熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、この熱容量の上限値として、冷却ピン534の熱容量は霧化電極535の熱容量に対して500倍以下好ましくは1000倍以下の熱容量を有することとしている。この上限値については、熱容量が大きすぎると冷却ピン534を冷やすために大きなエネルギを要することとなり、省エネルギで冷却ピンの冷却を行うことが困難となるが、このような上限値内に抑えることで、冷却手段からの熱変動負荷が変わった場合に霧化電極に大きな影響を緩和した上で、省エネルギで安定して霧化電極の冷却を行うことが可能となる。さらに、上記のような上限値内に抑えることで、冷却ピン534を介して霧化電極が冷却されるのに要するタイムラグを適正な範囲内に収めることができ、霧化電極の冷却すなわち霧化装置への水分供給を行う際の立ち上がりが遅くなることを防止し、安定した霧化電極の冷却を行うことが可能となる。
【0237】
また、素材はアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン534の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材552で覆われていることが望ましい。
【0238】
また、長期的に霧化電極535と冷却ピン534の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極535と冷却ピン534を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極535を冷却ピン534に圧入等により固定してもよい。
【0239】
さらに、冷却ピン534は、貯蔵室と冷却器512もしくは風路を断熱するための断熱材552内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、冷却ピン534の長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
【0240】
なお、貯蔵室(野菜室507)に設置された静電霧化装置531が高湿環境下にあり、その湿度が冷却ピン534に影響する可能性があるので、冷却ピン534は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択した方が好ましい。
【0241】
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534の形状を円柱としたので、断熱材552の凹部511aに嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくても静電霧化装531を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間無く冷却ピン534を取り付けることができる。また、冷却ピン534の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置に静電霧化装置531を備えることができる。
【0242】
さらに、冷却ピン534の中心軸上に霧化先端部である霧化電極535を取り付けることにより、冷却ピン534を取り付ける時、回転させても対向電極536と霧化電極535の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
【0243】
伝熱冷却部材である冷却ピン534が外郭ケース537に固定され、冷却ピン534自体は外郭から突起した凸部534aを有して構成されている。この冷却ピン534は霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状で、凸部534aが奥面仕切り壁511の凹部511aよりもさらに深い最深凹部511bに嵌めあわされている。
【0244】
よって、伝熱冷却部材である冷却ピン534の背面側には凹部511aよりもさらに深い最深凹部511bが備えられており、断熱材552の冷却室510側、すなわち風路541側は断熱材552が野菜室507の背面側の奥面仕切り壁511における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材552を熱緩和部材として、背面から冷却室510の冷気が熱緩和部材である断熱材552を介して冷却ピン534を冷却するように設置されている。
【0245】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の冷却は、冷却室510で生成された冷気を用いており、冷却ピン534は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導だけで霧化先端部である霧化電極535の結露に必要な冷却を行うことができ、結露生成を行うことが可能となる。
【0246】
このように簡単な構造でミストを噴霧する抗菌装置を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
【0247】
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン534は霧化先端部である霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状をしているので、霧化部539の中で凸部534a側の端部534bが冷却手段に最も近接するため、冷却ピン534の中でも霧化電極535から最も遠い端部534b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
【0248】
また、霧化電極535に対向している位置で貯蔵室(野菜室507)側にドーナツ円盤状の対向電極536が、霧化電極535の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口532が構成されている。
【0249】
さらに、霧化部539の近傍に電圧印加部533が構成され、高電圧を発生する電圧印加部533の負電位側が霧化電極535と、正電位側が対向電極536とそれぞれ電気的に接続されている。
【0250】
霧化電極535近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極535先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫500は、一般に10年以上の長期間に渡って運転することになるので、霧化電極535の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
【0251】
対向電極536は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
【0252】
電圧印加部533は、冷蔵庫本体の制御手段546と通信、制御され、冷蔵庫500もしくは静電霧化装置531からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
【0253】
本実施の形態では、電圧印加部533を静電霧化装置531内に設置しており、貯蔵室(野菜室507)内の低温高湿雰囲気なるため、電圧印加部533の基板表面上には、防湿のためのボールド材やコーティング材を塗布している。
【0254】
ただし、電圧印加部533を貯蔵室外の高温部に設置した場合には、コーティングを行わなくてもよい。
【0255】
なお、静電霧化装置531を固定している奥面仕切り壁表面551には、貯蔵室(野菜室507)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段554が奥面仕切り壁表面551と断熱材552の間に設置されている。
【0256】
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫500について、以下その動作、作用を説明する。
【0257】
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機509の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体501)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体501)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体501)の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機509への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器512に至る。
【0258】
ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン513の動作により搬送する冷凍室吐出風路541などの各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器512内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室510内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温の冷気は冷却ファン513から冷蔵室504、切換室505、製氷室506、野菜室507、冷凍室508に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室507は、冷気の配分や加熱手段554などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段を持たないものが多い。
【0259】
野菜室507は、冷蔵室504を冷却した後、その空気を冷却器512に循環させるための冷蔵室戻り風路540の途中に構成された野菜室用吐出口524から野菜室507に吐出し、上段収納容器520や下段収納容器519の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込み口526から再び冷却器512に戻る。
【0260】
奥面仕切り壁511の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材552が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン534の後方は最深凹部511bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。本実施の形態の冷蔵庫500においては、この程度の厚みが冷却ピン534と冷却手段との間に位置する熱緩和部材として適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁511は凹部511aが構成され、この凹部511aの最背面の最深凹部511bに冷却ピン534の凸部534aが突出した形状の静電霧化装置531が嵌めこまれて、取り付けられている。
【0261】
冷却ピン534背面にある冷凍室吐出風路541には、冷却システムの運転により冷却器512で生成し、冷却ファン513により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン534が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン534は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン534を介して霧化先端部である霧化電極535も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
【0262】
ここで、野菜室507の温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、霧化先端部である霧化電極535は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極535には水が生成し、水滴が付着する。
【0263】
水滴が付着した霧化先端部である霧化電極535に負電圧、対向電極536を正電圧側として、電圧印加部533によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化先端部である霧化電極535の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
【0264】
具体的には、霧化電極535を基準電位側(0V)、対向電極536を高電圧側(+7kV)とすると、霧化電極535先端に付着した結露水は、霧化電極535と対向電極536間の空気絶縁層が破壊され、静電気力で放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極536がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極536に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室(野菜室507)に向けて、微細ミストが噴霧される。
【0265】
なお、霧化電極535に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極535と対向電極536間に電流が流れない。
【0266】
また、霧化先端部である霧化電極535を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却することで間接的に霧化電極535を冷却することができ、伝熱冷却部材である冷却ピン534が霧化電極535よりも大きな熱容量を有するようにすることで、霧化先端部である霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極535を冷却することができ、また、蓄冷の役割を果たすことにより霧化電極535の急激な温度変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0267】
このように霧化先端部である霧化電極535を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却することで間接的に霧化電極535を冷却することができ、伝熱冷却部材が霧化電極535よりも大きな熱容量を有するようにすることで、冷却手段の温度変化が霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化先端部である霧化電極535を冷却することができ、霧化電極535の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0268】
このように、霧化電極535に対向する位置に対向電極536を備え、霧化電極535と対向電極536間に高圧電位差を発生させる電圧印加部533を有することで、霧化電極535近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部539の精度を向上させることができ、信頼性の高い静電霧化装置531を提供することができる。
【0269】
さらに、伝熱冷却部材である冷却ピン534は熱緩和部材(断熱材552)を介して冷却されるので、上記のように霧化電極535を冷却ピン534で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である断熱材552を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極535が極度に冷却されることを防ぐことができる。
【0270】
霧化電極535の温度が1K下がれば、その先端の水生成スピードは約10%程度上昇する。しかし、霧化電極535が極度に冷却されると結露スピードが急激になり、それに伴い結露量が多大となり霧化部539の負荷の増大による静電霧化装置531への入力の増大および霧化部539の凍結、霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部539の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
【0271】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の形状は、組み立て性を考慮すると円柱状が望ましい。正確には、直方体や正多角形体でもよいが、円柱の方が断熱材552の凹部511aに嵌め込むとき、静電霧化装置531を傾けながら取り付けることができる。逆に、多角形の場合は、円柱より位置決めがしやすい。
【0272】
さらに、冷却ピン534の中心軸上に霧化電極535を取り付けることより、冷却ピン534を取り付ける時、回転させても対向電極536と霧化電極535の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
【0273】
また、霧化先端部である霧化電極535を伝熱冷却部材(冷却ピン534)と熱緩和部材(断熱材552)とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化先端部である霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極535の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0274】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の冷却は、冷却室510で生成された冷気を用いており、冷却ピン534を熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
【0275】
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン534は、霧化先端部である霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状をしているので、霧化部539の中で凸部534a側の端部534bが冷却手段に最も近接するため、伝熱冷却部材である冷却ピン534の中でも霧化先端部である霧化電極535から最も遠い端部534b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
【0276】
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部539を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
【0277】
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン534の霧化先端部である霧化電極535から最も距離の離れた遠い部分である端部534bから冷却することで、冷却ピン534の大きな熱容量を冷却した上で、冷却ピン534によって霧化電極535が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
【0278】
また、霧化部539が取り付けられている奥面仕切り壁511は、貯蔵室(野菜室507)側の一部に凹部511aがあり、この凹部511aに凸部534aを有した霧化部539が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室(野菜室507)の奥面仕切り壁511を構成する断熱材552を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材552の厚みを調整することで、霧化先端部である霧化電極535が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部539をより簡単な構成にすることができる。
【0279】
また、凹部511aに冷却ピン534からなる凸部534aを有した霧化部539を挿入することで、霧化部539をガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室である野菜室507側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
【0280】
また、貯蔵室である野菜室507の奥面仕切り壁511を挟んだ外側に霧化部539が出っ張らないので、冷凍室吐出風路541の風路断面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
【0281】
また、野菜室507の一部に凹部511aがあり、そこに霧化部539が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材である冷却ピン534を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので、外郭ケース537内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0282】
また、電極接続部材である冷却ピン534は、ある程度の熱容量を確保できており、冷却風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化先端部である霧化電極535の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化先端部である霧化電極535の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
【0283】
さらに、良熱伝導性の冷却ピン534と断熱材552を組み合わせることにより、損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに冷却ピン534と霧化電極535の接合部の熱抵抗を抑えているので、霧化電極535と冷却ピン534の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
【0284】
また、貯蔵室(野菜室507)が高湿環境下にあり、その湿度が伝熱冷却部材である冷却ピン534に影響する可能性があるので、冷却ピン534は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行っているので、さび等が発生せず、表面熱抵抗の増加が抑制され、安定した熱伝導が確保できる。
【0285】
さらに、霧化先端部である霧化電極535表面がニッケルメッキや金メッキや白金メッキを用いているので、霧化電極535先端の放電による磨耗が抑制され、これにより、霧化電極535先端の形状が維持できるので、長期に噴霧することが可能となり、また、その先端の液滴形状も安定する。
【0286】
霧化電極535から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、外郭ケース537に設けられた湿度供給口538より、新たに高湿な空気が外郭ケース537内の霧化電極535部に流入するため、連続して噴霧することができる。
【0287】
霧化電極535で発生した微細ミストは、主に下段収納容器519内に噴霧されるが、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器520にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室507内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
【0288】
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
【0289】
ここで、霧化電極535に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極535と対向電極536間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫500の制御手段546で検知することにより電圧印加部533の高圧をON/OFFすることもできる。
【0290】
また、本実施の形態において、電圧印加部533は貯蔵室(野菜室507)内の比較的低温で高湿の位置に設置されており、電圧印加部533はポッチング材やコーティング材による防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。
【0291】
なお、電圧印加部533を貯蔵室外に設置し場合は、上記対応を行わなくてもよい。
【0292】
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室(野菜室507等)と、貯蔵室(野菜室507)内にミストを噴霧させる静電霧化装置531(霧化部539)を備え、静電霧化装置531の霧化部539は、高電圧を発生する電圧印加部533に電気的に接続されミストが噴霧される霧化先端部(霧化電極535)と、霧化電極535に対向する位置に配された対向電極536と、霧化先端部(霧化電極535)に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)と、霧化電極535を空気中の水分が結露する温度である露点以下にするため伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却する冷却手段を有し、冷却手段が伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却することで間接的に霧化先端部(霧化電極535)を露点以下に冷却し、霧化先端部(霧化電極535)に空気中の水分を結露させて貯蔵室(野菜室507)にミストとして噴霧することにより、貯蔵室(野菜室507)内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化先端部(霧化電極535)に結露させることができ、対向電極136との間の高電圧のコロナ放電によってナノレベルの微細ミストが生成され、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
【0293】
また、霧化電極535と対向電極536と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内に微細ミストをより精度良く噴霧することができる。
【0294】
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
【0295】
また、噴霧されたミストは直接、野菜室507の収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、より野菜等の青果物表面に対する抗菌性を向上させることが可能となる。
【0296】
さらに、霧化電極535に貯蔵室(野菜室507)内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することからミスト噴霧用の水を供給するための除霜ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路、貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプなどの送水手段等も使用しておらず、複雑な構成を要することなく、簡単な構成で貯蔵室(野菜室507)へ微細ミストを供給することができる。
【0297】
このように簡単な構成で安定的に貯蔵室(野菜室507)へ微細ミストを供給することができるので、冷蔵庫500の故障の可能性を大幅に低減することができ、信頼性をより高めた上で冷蔵庫500の品質を向上させることができる。
【0298】
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
【0299】
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、超音波の周波数発信に伴う共振等の騒音、振動に対する考慮をしなくてもよい。
【0300】
さらに、貯水タンクが不必要であるので、貯水タンクを使用した場合に必要な欠水による超音波素子破壊の対応のための水位センサなどを設けなくてよく、より簡単な構成で冷蔵庫に霧化装置を備えることが可能となる。
【0301】
さらに、電圧印加部533が収納されている部分についても奥面仕切り壁511に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室(野菜室507)内の温度影響を少なくすることができる。
【0302】
また、本実施の形態では、各貯蔵室504,505,506,507,508を冷却するための冷却器512と、冷却器512を備えた冷却室510と貯蔵室(野菜室507)を断熱区画するための奥面仕切り壁511を備え、静電霧化装置531を奥面仕切り壁511に取り付けたことにより、貯蔵室(野菜室507)内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
【0303】
また、本実施の形態では、静電霧化装置531の霧化先端部である霧化電極535に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)は、熱伝導性のよい金属片であって、伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却する冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導を用いることにより、熱緩和部材である奥面仕切り壁511の断熱材552の壁厚を調整することにより伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の温度を簡単に設定することができ、また、熱緩和部材である断熱材552を挟むことにより冷温冷気の漏れがないので外郭ケース537などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
【0304】
また、本実施の形態では、静電霧化装置531(の霧化部539)が取り付けられている奥面仕切り壁511は、貯蔵室(野菜室507)側の一部に凹部511aがあり、そこに静電霧化装置531の霧化先端部である霧化電極535に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材(冷却ピン534)を確実に冷やすとともに、静電霧化装置531におけるそれ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので外郭ケース537内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0305】
なお、本実施の形態における静電霧化装置531は、霧化先端部である霧化電極535と対向電極536との間に高電圧を印加するため、微細ミスト発生時にオゾンも発生するが、静電霧化装置531のON・OFF運転により、貯蔵室(野菜室507)内のオゾン濃度を調整することが出来る。オゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
【0306】
なお、本実施の形態では、霧化電極535を基準電位側(0V)とし、対向電極536に正電位(+7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させたが、対向電極536を基準電位側(0V)とし、霧化電極535に負電位(−7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室(野菜室107)に近い対向電極535が基準電位側になるので、冷蔵庫の使用者の手が対向電極536に近づいても感電等を起こさない。また、霧化電極535を−7kVの負電位にした場合、貯蔵室(野菜室507)側を基準電位側とすれば、特に対向電極536を設けなくてもよい場合もある。
【0307】
この場合は、例えば、断熱された貯蔵室(野菜室507)の中に導電性の収納容器を備え、その導電性の収納容器が収納容器の保持部材(導電性)と電気的に接続され、且つ保持部材と脱着可能な構成とし、保持部材を基準電位部と接続しアース(0V)にするのである。
【0308】
これにより、霧化部539と収納容器および保持部材が常に電位差を保つため安定的な電界が構成されることにより、安定的に霧化部539から噴霧でき、また、収納容器全体が基準電位になっているので、噴霧されるミストを収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
【0309】
このように、特に対向電極536を設けなくても、貯蔵室(野菜室507)側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極535と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
【0310】
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
【0311】
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路541としたが、製氷室506の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置531の設置可能場所が拡大する。
【0312】
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却する冷却手段は、冷蔵庫500の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫500の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン534を任意の温度に冷却することができ、霧化電極535を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
【0313】
なお、本実施の形態では、静電霧化装置531の霧化電極535周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極135近傍で生成された結露水を霧化電極135周囲に保持することができるので、霧化電極135に適時に供給することができる。
【0314】
なお、本実施の形態において、静電霧化装置531(の霧化部539)でミストが噴霧される貯蔵室を野菜室507としたが、冷蔵室504や切換室505などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
【0315】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので冷却ピン534を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となる。
【0316】
このようにミストを噴霧せずオゾン発生装置もしくはマイナスイオン発生装置として静電霧化装置を利用する場合には、実施の形態2で具体的に説明したオゾン発生装置の別形態の装置として置き換えて設置することが可能である。その場合には、冷却ピンを必要とせず、もちろん冷却ピンを冷却する必要もないので、抗菌装置としての静電霧化装置は庫内の任意の箇所に取り付けることが可能であることはいうまでもなく、また冷却ピンを備えた場合であっても、冷却ピンを霧化電極として利用するのではなく霧化装置の位置決めとして利用するのも有効であり、この場合には適切な任意の庫内壁に取り付けることが可能となり、断熱壁に取り付ける場合のガタがすくなく高い精度で庫内壁に取り付けることが可能となり、ミストを噴霧する冷蔵庫と同じ霧化装置を共用することが可能となる。
【0317】
(実施の形態6)
図19は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の断面図である。
【0318】
本実施の形態では、実施の形態1から5で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から5で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
【0319】
特に、本実施の形態6では上記実施の形態5の抗菌装置である霧化装置の別の形態を中心に説明するものであって、光源等については説明を行わないが、実施の形態1から4で説明した光源等と同様の技術を適用することができる。
【0320】
図に示すように、本発明の実施の形態は、冷蔵庫600の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室604、その冷蔵室604の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室701が構成され、変温室701のさらに下部に冷凍室608が構成されている。
【0321】
変温室701は、冷蔵室604と変温室701の温度帯を区切るための仕切り板621と、変温室701の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室701の奥面の仕切り板321と、扉618で区画され、仕切り板721の一部に変温室吐出口725が設けられている。
【0322】
冷蔵室604と変温室701の奥面には冷蔵室仕切り板723が備えられ、この仕切りは変温室701奥面まで構成され、隔てて冷蔵室風路724が構成され、その一端には変温室吸込口726を構成されている。その中に高温側蒸発器704が備えられ、高温側蒸発器704の上方には冷蔵室用ファン722が設置され、冷蔵室に冷気を送付している。
【0323】
また、変温室701の奥面の仕切り板721の一部には変温室701に抗菌装置である静電霧化装置631が構成されている。
【0324】
変温室701の背面の仕切り板621は、主にABSなどの樹脂と発砲スチロールなどの断熱材で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置631が設置されている。
【0325】
静電霧化装置631を固定している仕切り板721には、静電霧化装置631に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン634の温度調整と、霧化先端部である霧化電極635を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ658が霧化部639近傍に設置されている。
【0326】
この伝熱接続部材である冷却ピン634が外郭ケース637に固定され、冷却ピン634自体は外郭から突起した凸部634aを有して構成されている。この冷却ピン634は霧化電極635と逆側に凸部634aを有する形状で、凸部634aが仕切り板721の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
【0327】
このとき、伝熱接続部材である冷却ピン634の背面側は、高温側蒸発器704に近接した配置となっている。
【0328】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0329】
三方弁が高温側キャピラリ710へ流路が開の時、冷蔵室604と変温室701の冷却を行う。このとき、冷蔵室604もしくは変温室701内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉、冷蔵室用722ファンの動作が決定されており、これにより冷蔵室604、変温室701の温度を一定に保っている。
【0330】
ここで、変温室701は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
【0331】
そこで、変温室701の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置631を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
【0332】
ここで変温室701の奥面の仕切り板721の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置631が設置されており、特に、冷却ピン634の後方は高温側蒸発器704と近接している。
【0333】
冷却ピン634背面にある高温側蒸発器704には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン634が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン634は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン634を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
【0334】
ここで、三方弁708が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室604と変温室701が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁708が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、冷蔵室用ファン722を動作させ、高温側蒸発器に付着した霜を融解、除霜することが可能であり、そのとき、変温室701は比較的高湿空間になる。
【0335】
よって、冷却ピン634の背面の高温側蒸発器704の温度が上昇しても霧化することが可能となる。
【0336】
ここで、変温室701の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置631の霧化先端部である霧化電極635は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極635には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
【0337】
この微細ミストは、静電霧化装置631の外郭ケース637に構成されている噴霧口632を通過し、変温室701に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室701全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室701にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
【0338】
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置631が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
【0339】
また、冷蔵室用ファン322の動作と静電霧化装置631の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
【0340】
また、静電霧化装置631の冷却ピン634近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
【0341】
以上のように、本実施の形態は、抗菌装置として静電霧化装置631を備え、ラジカルを含んだミストを噴霧することで菌の増殖を防ぐものであるが、このような抗菌機能を有するのは高圧印加により発生するラジカルであるので、脱臭装置としてはミストが必須条件ではないが、ラジカルを含んだミストを抗菌装置とすることで、一般的には耐久時間が非常に短く消滅しやすいラジカルがミストに覆われて浮遊するために、ラジカルが存在する耐久時間が大幅に長くなることが大きな特徴である。また、ミストの場合には気体とは違って液体であるミスト粒子が野菜表面に付着することで、より除菌効果を高めることが可能である。
【0342】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので冷却ピン534を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となることは実施の形態5において説明した通りである。
【産業上の利用可能性】
【0343】
本発明の冷蔵庫は、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることで、より品質の高い冷蔵庫を提供できるので、特に青果物を長期にわたって保存するための冷蔵庫に適している。
【図面の簡単な説明】
【0344】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
【図2A】本発明の実施の形態1の冷蔵庫におけるパプリカの保存中におけるビタミンC量の変化を説明するための説明図
【図2B】本発明の実施の形態1の冷蔵庫における光源の照射の制御フロー図
【図3】本発明の実施の形態2における冷蔵庫を示す正面図
【図4】本発明の実施の形態2の冷蔵庫の縦断面図
【図5】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の正面図
【図6】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の縦断面図
【図7】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の斜視図
【図8】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の水収集手段近傍の断面図
【図9】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の機能ブロック図
【図10】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の除菌イメージ図
【図11】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでの細菌の除菌効果を示した図
【図12】本発明の実施の形態4における冷蔵庫のカビ抑制イメージ図
【図13】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでのカビの除菌効果を示した図
【図14】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の抗ウイルスイメージ図
【図15】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでの抗ウイルス効果を示した図
【図16】本発明の実施の形態5における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図
【図17】本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図
【図18】本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図17のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図
【図19】本発明の実施の形態6における冷蔵庫の断面図
【図20】従来の冷蔵庫の各貯蔵室の基準温度と基準色の関係を説明するための説明図
【図21】同従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を示すフローチャート
【符号の説明】
【0345】
1 本体
6 切り替え室
13 光源
237 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫における、野菜類などの食品保存に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安価で且つ長寿命のLEDを用いて、植物を人工的に栽培する植物工場も増加の傾向で、その技術を冷蔵庫に応用し、背面上方から赤色、青色LEDや紫外線LEDで野菜を照射し、野菜の鮮度を保持する、あるいは保存中に栄養成分量を増加させるなど貯蔵性をよくする技術が知られている。一方では、近年、お客様の多様化したニーズを満たすため、食品の保存性を向上させるのみでなく、人間工学的な観点から3原色LEDや3原色LCDを庫内灯として使用し、扉を開けた時の庫内温度を庫内灯の色によって表示させ、使い勝手性を進化させるものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図20は特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の各貯蔵室の基準温度と基準色の関係を説明するための説明図である。図21は同従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を示すフローチャートである。
【0004】
図20に示すように、温度が低いほど寒色度の強い色を割り当て、高いほど暖色度の強い色を割り当てることによって、温度を視覚的に認識することが可能となる。
【0005】
次に、図21を参照しながら、従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を説明する。
【0006】
まず冷蔵室の扉が開いたか否かを判定し、開いたときは3原色LED(発光ダイオード)からなる色光源をもつ庫内灯を点灯させる。そして、庫内灯を点灯させた後は、反復記号Iを0に設定して、それを1つインクリメントする度に冷蔵室に設けたサーミスタからなる温度センサーで検知した温度Tsに応じて、庫内灯の色を制御し、I=10になるまでこれを繰り返す。冷蔵室の場合であるので、色の制御は温度Tsが0℃<Ts<10℃の範囲において複数の温度帯を予め区画しておき、各温度帯に特定の色を割り当てる。このとき、特定の温度帯の色には明暗の区別も行なう。また、高い温度帯には暖色系の色を、低い温度帯には寒色系の色を割り当てる。
【0007】
I=10になった時点で、扉の開いている時間が1分以上2分未満のときは、そのとき特定の色で表示している庫内灯の明るさを暗く(減灯)し、再度反復記号Iを0に設定して、I=10になるまで温度センサーで検知した温度Tsに応じて、庫内灯の色を制御する。扉の開いている時間が2分以上になったときは庫内灯を点滅させる。
【0008】
庫内灯では、赤、青、緑の3原色の光の組み合わせにより、1つの色を表現する。この3原色を組み合わせると、多数の色を表すことができる。また、庫内灯の取り付位置は、冷蔵室の冷気ダクト吐出口近傍の壁面、他の壁面、天井等とし、その場所に埋没させる。
【0009】
このような構成をとることにより、温度センサーが検知した温度によって、色を変化させる3原色LEDや3原色LCDを庫内灯の色光源に使用するので、扉を開けたときの庫内温度を庫内灯の色によって表示することができ、且つ温度センサーが検知した温度と色表示との関係を任意に設定することができるので扉を開けている時の温度変化をユーザに強力にアピールすることができる。
【0010】
このように特許文献1では、庫内温度に合わせて庫内灯の色を任意に設定し、使い勝手を向上したものである。
【特許文献1】特開2004−286333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の冷蔵庫では、3原色の光を用いて、扉を開けたときに庫内灯の色を庫内温度に応じて変化させ、数値で庫内温度を表示するよりもユーザが漠然と持つ色彩の感情効果に強い印象を与え感覚的に容易に温度上昇を認識でき使い勝手は向上するが、感覚的な色調と食品に有効な色調は一致しておらず、暗所保存が適している肉、魚等には可視光の照射は品質上好ましくなく、一方特定の光波長を照射することで保存性を向上できる野菜に対してもユーザが感覚的に好む色調を点灯し使い勝手の向上は図ったものの、保存性向上も図ることができていないという問題を有していた。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、野菜室をイメージしやすい色調で且つ、野菜の保存性を向上させる特有の波長の光を照射することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射するのである。
【0014】
これにより、青果物の表面に光を浸透させることと、青果物の内部へ光を浸透させることを同時に実現することが可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させ、野菜全体でのビタミンC生合成をおこなうことが可能となり、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることで、より品質の高い冷蔵庫を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射するものである。
【0017】
これにより、青果物の表面に光を浸透させることと、青果物の内部へ光を浸透させることを同時に実現すること可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させることができる。
【0018】
例えば、青果物の表面に光を浸透させる波長として青色光を用いた場合は、野菜表面で吸収されビタミンC生成を促し、青果物の内部へ光を浸透させる波長として緑色光を用いた場合は、野菜の内部まで浸透し、野菜内部でのビタミンC生成を促すことができる。
【0019】
また、色調としては、明るいグリーン系であることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージでき、かつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので、照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光を青色光とするものである。
【0021】
これによって、青色光による青果物の光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるのを利用して、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能であるためであり、冷蔵庫内においてもこの生態防御反応を上手に励起して栄養素を増加させることができるものである。
【0022】
さらに、青色光は照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も実証されているため、青果物の表面における生態防御反応を加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得られるため非常に有効である。
【0023】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光を緑色光とするものである。
【0025】
これによって、野菜内部に光受容体をもつ緑色光を照射することで野菜内部まで光を浸透させ、内部での生態防御反応を促すことができる。
【0026】
また、緑色光は可視光の中で特に青果物への副作用が少ない波長であるため、内部での光合成を促す程度の比較的強い照度で照射しても青果物の品質を劣化させることなくビタミン量を増加させることができ有効である。
【0027】
このように、緑色光は野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進される。
【0028】
請求項4に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを同時に照射し、前記光源の前記青果物に対する照度が5〜500Lxであるものである。
【0029】
これによって、野菜はビタミンC生成に必要な照度を確保した上で、強光での野菜の蒸散や屈光性による品質劣化を防ぐことができる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、前記光源の前記青果物に対する照度は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光よりも前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光の方が明るいものである。
【0031】
これによって、野菜の表面で作用し、且つ光吸収体が野菜に多く存在している青色光に対して、野菜内部で作用し、光吸収体が野菜の内部に存在する緑色光の照度を高くすることで、野菜表面および内部にて効率よくビタミンCの生成を行なうことができる。
【0032】
請求項6に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを間欠照射するものである。
【0033】
これによって、連続点灯照射よりも間欠照射の方が野菜に対する刺激量が多く、光合成によるビタミンC生成に加え、野菜の防御反応でのビタミンC生成を促すことができる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射である。
【0035】
これによって、全く光が照射されず、暗い状態を維持する消灯間隔があれば、その消灯間隔の後の光の照射によってより確実に生態防御反応を励起することが可能となるので、消灯間隔があればこの消灯間隔が終了した後に単色で照射を行う場合であっても、光源の照射によって野菜に対する光の明暗を確実に有することができ、生態防御反応を促すことができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、前記光源が、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを前記青果物に直接照射するよう配置されているものである。
【0037】
これによって、介在物を介することによる野菜のビタミンC生成に効果のある特定波長の変化や照度低下を防ぎ、直接野菜に照射して、ビタミンCの生合成を促すことができる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫を左右に縦に切断した場合の断面を示す縦断面図であり、図2Aは同実施の形態の冷蔵庫におけるパプリカの保存中におけるビタミンC量の変化を説明するための説明図であり、図2Bは光源の照射の制御フロー図である。
【0040】
図1において、本体1はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱22とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱23とで構成された空間に発泡断熱体24を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱体24は、たとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
【0041】
また、発泡前の内箱22と外箱23とで構成される空間には真空断熱材25が外箱側に図示しない接着部材を用いて密着貼付けされている。また、真空断熱材25は本体1の璧厚内に配設するために薄い平面形状のものが必要となる。さらに、ホットメルトなどの接着部材は接着部に空気が混入しないように真空断熱材25の貼付け面に全面塗布されている。真空断熱材25は発泡断熱体24と一体に発泡されて本体1を構成しており、発泡断熱体24と比べて5倍〜20倍の断熱性能を有する真空断熱材25により性能向上させるものである。
【0042】
本体1は複数の断熱区画に区分されており、上部を回転扉式、下部を引出し式とする構成をとってある。上から冷蔵室2、並べて設けた引出し式の切り替え室6および製氷室5、引出し式の野菜室4、引出し式の冷凍室3となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケット31を介して設けられている。上から冷蔵室回転扉7、切り替え室引出し扉8、製氷室引出し扉9、野菜室引出し扉10、冷凍室引出し扉11である。
【0043】
冷蔵室回転扉7には扉ポケット34が収納スペースとして設けられており、庫内には複数の収納棚が設けられてある。また冷蔵室2の最下部には貯蔵ケース35が設けてある。
【0044】
冷蔵室2は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されているが、収納物によって、使用者が自由に上記のような温度設定を切り替えることを可能としている場合もある。また、ワインや根野菜等の保鮮のために、例えば10℃前後の若干高めの温度設定とする場合もある。
【0045】
また、貯蔵ケース35は、肉魚や肉魚類加工食品、乳製品などの保鮮性向上のため比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定される。野菜室4は冷蔵室2と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
【0046】
切り替え室6はユーザの設定により温度設定を変更可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所定の温度設定にすることができ、冷蔵室回転式扉7上のスイッチ14を操作することにより、切り替え室内の温度調節が行われ、切り替え室6内の温度は検知手段17により検知されている。また、製氷室5は独立の氷保存室であり、図示しない自動製氷装置を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度帯であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度帯よりも比較的高い冷凍温度設定も可能である。
【0047】
冷凍室3は冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
【0048】
本体1は背面下部を窪ませた機械室12を設けてある。また機械室12の上方背壁面に第二の機械室36を設けた。
【0049】
冷凍サイクルは機械室12に配設した圧縮機16と図示しない凝縮器と減圧器であるキャピラリと蒸発器20とを環状に接続して構成されている。蒸発器20は冷却ファン21で強制対流熱交換させている。図示しない凝縮器はファンを用いて強制空冷してもよいし、外箱23の内側に熱伝達よく貼り付けられた自然空冷タイプであってもよいし、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための配管を組み合わせてもよい。
【0050】
また電動三方弁などの流路制御手段を用いて、区画構成や温度設定の構成に応じた複数の蒸発器を使い分けたり、複数のキャピラリを切り替えたり、圧縮機16の停止中にガスカットなどしてもよい。
【0051】
冷凍サイクルを動作させる制御基板37は第二の機械室36に取外し可能なカバーで密閉して配置されている。さらに機械室12も背面カバー15で取外し可能に略密閉されている。
【0052】
また、冷凍サイクルの構成機器である蒸発器20は冷却ファン21と共に、中段に位置する野菜室4の背面部に設けられている。これにより最下段の貯蔵室である冷凍室3の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能である。
【0053】
なお、中段の野菜室4と最下段の冷凍室3は逆の構成となれば、野菜室4の内容積と奥行きを最大限に大きくすることが可能となる。
【0054】
切り替え室6内の天面には光源13が、点灯時に切り替え室6内部を照らすよう設置されている。食品の出し入れに際して、引き出し式扉8の開閉時に使用者が引き出し式扉8を開けると、光源13から照射される光が室外に漏れるので、冷蔵庫の使用者が光やその光の色調を認識することが可能である。また、本実施の形態では、光源13には複数個の発光源を備えており、これら発光源の各々が異なる色調の光を発するとともに、それら発光源の点灯や消灯の動作は制御基盤37を通じて行われる。
【0055】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0056】
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板37からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機16の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器にて放熱して凝縮液化し、キャピラリで減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器20に至る。
【0057】
冷却ファン21の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器20内の冷媒は蒸発気化する。低温の冷気を図示しないダンパーなどで分配することで各室の冷却を行う。また複数の蒸発器や減圧器を用いる場合は流路制御手段により必要な蒸発器20へ冷媒が供給される。蒸発器20を出た冷媒は圧縮機16へと吸い込まれる。このようにサイクル運転を繰り返すことで庫内の冷却が行われる。
【0058】
切り替え室6では、使用者の目的や好みに応じて冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで、数段階に切り替えが可能である。本実施の形態では、切り替え室6の温度区分を4〜7℃の野菜室温度、1℃〜3℃の冷蔵温度、−15℃〜20℃の冷凍温度、その中間温度である−2℃〜−5℃のパーシャル温度、0℃のチルド温度に切り換えることができ、使用者が操作パネル14より温度切り替えを行うと、同時に光源13より温度帯毎に予め設定されていた色調の光が発光源13より照射されるように設定されている。
【0059】
また、本実施の形態では光源13を主に青果物に対する有効な機能を発揮することを目的として設置するために、0℃以下のマイナス温度帯では一般的に青果物を活性化する効果が得られないため、0℃以下のマイナス温度帯では光源13が点灯しないようにし、貯蔵室の温度帯に応じて光源13の強制停止を行うような強制停止手段を備えるものとした。
【0060】
発光源13にはLED素子を用い、緑色、青色、UV−Aのそれぞれの波長領域の光を放射する素子を同一基盤に設置し、それらの点灯を制御することにより数色の切り替えが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態では、野菜や果物を保存する際に青果物の表面に光を浸透させる波長として中心波長が470nmの青色光を用い、青果物の内部へ光を浸透させる波長として中心波長が520nmの緑色光を用いた。また、青色光は青色LED、緑色光は緑色LEDを用いた。このときの被対象物(青果物)に照射する青色LED,緑色LEDを備えた発光源13からの照射強度は5〜500Lxの範囲とするのが適切である。
【0062】
この照射強度については、照射強度が5Lxに満たない場合は、光照射でのビタミンの増加は生じにくい。また、それに加えて、照射強度が5Lxに満たない程度に弱い場合には、消費者である使用者が扉開閉時に点灯を認識しにくい照度となるので、実際に冷蔵庫に搭載した場合における商品的な効果アピールといった訴求効果や、実際に使用した場合に実用的に視覚を通して認識するビタミン増加等の体感的な効果が得られにくい。
【0063】
一方、500Lxを超える場合は光量が強すぎて、逆に青果物の蒸散が促進されて鮮度が低下する可能性があり、また照射した光が場合によっては屈曲したり変色したりするといった機能上の品質劣化が生じやすい。また、扉開閉時においても、光量が強すぎると消費者である使用者が冷蔵庫としての清涼感を抱きにくい傾向となる。
【0064】
これらを踏まえると、光源13の光量としては20〜100Lxの照度範囲が、機能面においてはビタミン増加を図れるとともに、青果物の蒸散を促進しない有効な範囲となり、かつ官能的には扉開閉時に使用者が光源からの光の照射による機能効果を体感できるとともに、清涼感を抱ける照度範囲としてより好ましい。
【0065】
また、緑色光の照射強度の方が青色光の照射強度よりも強い方が望ましく、本実施の形態では緑色LEDの照度は青色LEDに対する照度比率が約3〜10倍程度になるように構成した。
【0066】
なお、実際の製品において、この照射比率の強弱を確認する際には照度計によって収納空間そのものの照度の強弱を確認することができる。具体的には、同時に2色の照射を行う場合には、制御基板等の切り替えを変えて1色ずつ照射するようにしてそれぞれの照度を測ると各波長すなわち各色における照度の強弱を確認することができる。
【0067】
これは、緑色光は青果物への副作用が少ない波長の光のため、青果物でのビタミン量を増加させるためには青果物内部に浸透させる緑色光の照度を強くすると青果物の品質を劣化させることなくビタミン量を増加させることができ有効である。実験によると、光の照度は緑色光が青色光の3倍から10倍程度の範囲に設定すると効果的であることが判明した。すなわち、3倍に満たない程度では青果物内部でのビタミン量増加の効果が十分でなく、10倍を超えるレベルでは青果物表面でのビタミン量増加の効果が期待しにくく、いずれにしても総合的なビタミン量増加の効果が得られにくいものとなる。
【0068】
また点灯は緑色LED、青色LEDを同時に20〜50Hzの範囲の中のいずれかの周波数でフラッシング照射(間欠照射)するよう、制御基盤37にて制御したものであり、具体的には40Hz前後の35〜45Hzで点滅すなわちフラッシングを行うものである。
【0069】
これは、間欠照射であるフラッシングを20Hz以下のゆっくりとした点滅によってはっきりと目視で使用者が確認できるようにした場合には、使用者に対してピカピカと点滅することでよく目立つために注意喚起としては有効な手段であるが、一般的に光が点滅していると何らかの異常を知らせるといった警告のように感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりするといった問題が生じる。
【0070】
一方で、野菜に対しては、連続点灯照射よりも間欠照射の方が野菜に対する刺激量が多く、光合成によるビタミンC生成に加え、野菜の防御反応でのビタミンC生成を促すことができる。これについては実際の実験結果を踏まえて説明を行う。
【0071】
このように20〜50Hzでフラッシング照射すなわち間欠照射した場合には、速い速度での点滅であるため、20H以下のはっきりと異常を知らせるような警告に感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりすることを抑えることができ、特に40Hz以上の速度では家庭用のはっきりと確認使用者である人間の肉眼では光源13からの間欠照射を目視で確認することはできず、連続照射しているように見える。
【0072】
よって、本実施の形態では間欠照射を目視ではっきりと確認することはできない範囲のフラッシング間隔である20〜50Hzとした上で、青果物に対してはより刺激が強く有効な50Hz以下望ましくは40Hz以下の間欠照射を行うことで、使用者には心理的にストレスを与えずむしろ清涼感を与えるような照射を実現した上で、青果物に対しては十分に刺激を与えることで生態防御反応を刺激して栄養素を増加させるといった有効な効果が得られるものとした。
【0073】
例えば、本実施の形態のように上記の20Hz〜50Hzの中心波長である40Hzで点滅照射し、人間が目視で確認した場合には、チラチラと光が揺れている程度の点滅は確認できるものの、例えば20Hz以下の周波数のようなはっきりとした点滅ではないため、使用者は点滅光による警告のような感じを受けたり、心理的な圧迫感を受けたりすることが非常に少ないため、使用者への心理的なストレスを与えることなく、青果物に対しては十分な刺激を与えることが可能となる。
【0074】
このような20Hz〜50Hzの周波数は、言い換えると日本や、中国や欧州各国といった諸外国においての電源周波数である50Hz以下の周波数で点滅照射を行うこととなる。
【0075】
よって、電源周波数以下の周波数を用いることで、一般的に普及している電源周波数で使用する照明装置やLEDを用いた上で、それらよりも低い周波数で点滅照射を行うことで、光源13の信頼性を高めることが可能である。
【0076】
上記のような、フラッシング照射の青果物に対する有効な効果について以下に説明を行う。
【0077】
図2Aは本実施の形態の冷蔵庫の切り替え室6に保存したパプリカのビタミンC量の変化を説明するための説明図である。
【0078】
このときの切り換え室の設定は野菜室設定(約5℃)で、照度約20LxのLED照射タイミングを20Hz,30Hz,40Hz、連続点灯下及び非照射(暗所)下で5日間保存したパプリカの保存前のビタミンC量に対する変化量を求めた。
【0079】
その結果、暗所は初期よりもやや保持率が低下するが、光照射下で保存したものは連続照射、フラッシング照射のいずれの場合においてもビタミンC量が増加していた。また、連続照射よりも、フラッシング照射(間欠照射)下での保存の方がビタミンC保持率高い傾向にあった。
【0080】
これは、青果物の光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるのを利用して、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能であるためであり、本実験で実際の冷蔵庫内においてもこの生態防御反応を上手に励起して栄養素を増加させることができたことを実証するものである。
【0081】
また、青果物の光合成には赤色光と青色光が有効であることが知られているが、一方では、これら波長域の光は黄化や屈光という品質劣化も誘引するため、悪影響を及ぼさない照度でのビタミンC量の増加は微増であるが、本実施の形態では青果物の表面に光を浸透させる波長として青色光を用いた。
【0082】
これは、青色光は、照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も実証されているため、生態防御反応に加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得られるため非常に有効である。
【0083】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0084】
それに比べ、緑色光は野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進されることとなる。
【0085】
このように、本実施の形態では野菜表面で吸収されやすい青色の波長で野菜表面付近のビタミンC生成を促し、さらに野菜表面の静菌効果を得ることでより鮮度を高めた上で、青果物の内部へ光を浸透させやすい緑色の波長で、野菜の内部まで光を浸透させ、野菜内部での生態防御反応を促進してビタミンC生成を促すことが可能となる。
【0086】
さらには、これらの光源13をフラッシング照射することで、野菜に与えるストレスが増加し、生態防御反応の励起を強め、結果抗酸化物質であるビタミンC量の生成がさらに促進されることとなる。
【0087】
また、ビタミンCと同様に生態防御反応で生成される抗酸化物質である、ビタミンA、ポリフェノール、カロチン、ユピキノン等に対しても同様の効果が期待できる。
【0088】
また、照射装置である光源13として青色LEDと緑色LEDとを同時にフラッシング照射することで、野菜に対して光の明暗が明確になることによって、より確実に生態防御反応を励起を強めることが可能となる。
【0089】
また、青色LED、緑色LEDを照射すると、色調としては明るいグリーン系であることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージできかつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0090】
このように、本実施の形態では、異なる2つの波長を同時に照射する場合に、色の3原色である赤・青・黄の中の少なくとも1色を同じ色を使用した色の波長を用いている。すなわち青色LEDでは色の3原色のうちの青色を使用しており、緑色LEDでは色の3原色のうちの青色と黄色を混ぜてできる緑色を使用しているので、どちらも同じ青色を使用していることで、これらの異なる2つの波長を同時に照射することで目視においては色が混ざりあって見える場合でも、より同系色の色を照射することで統一感があり、使用者に違和感のない印象を与えることが可能である。
【0091】
言い換えると、異なる2つの波長を同時に照射する場合に、色の3原色である赤・青・黄のすべてを使用せず、これらの中の2色を基に生成できる色調を使用することが好ましい。
【0092】
こういった組合わせの際に、内部への浸透力が高い緑色の周波数を1色は使うことが望ましく、もう1色の組み合わせとして青色にくわえ、野菜外部に刺激を与えるといった目的では赤色や橙色もしくは無色の紫外光といった組み合わせでも効果を発揮するが、上記記載のように青と緑の清涼感を使用者に与える際には、緑色に赤色やオレンジ色を組合わせると使用者への清涼感を与えるのは官能的に難しくなるので、本実施の形態においては有色の組み合わせとしては緑色と青色の組み合わせとした。
【0093】
このように、光によって青果物に対して栄養素を増加するといった機能的な効果を奏するとともに、色調のイメージによって、使用者に対して清潔感や効果的に冷却されているような好ましい印象を感じることができ、冷蔵庫に対して使用者の満足度を高めることができる。
【0094】
なお、光の波長については特に限定するものではないが、紫外光を含む光を放射する光源13を使用した場合には、紫外光が貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内に浮遊または壁面や食品表面に付着している微生物の遺伝子に対して働きかけ、微生物の増殖機能を不活性化させることができる。これにより貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内部の衛生性が保たれるとともに、食品については微生物によって生じる変色や腐敗臭、食品表面のネト発生を遅らせることが可能となる。このように紫外光を含む光源13を設けることにより、食品の保存性を高めた衛生的な保存が行える。
【0095】
さらに、きのこ類や魚類には、ビタミンDの前駆物質を多く含むものがあり、それらに紫外線が照射されることで分子が励起され、ビタミンDへ変換される。よって、紫外光を含む光源13を貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内に設けることで、貯蔵室(本実施の形態では切り替え室6)内の特定の食品のビタミンD含有量を高めながら保存することができる。
【0096】
また、光源13の種類については豆電球や発光ダイオード、蛍光ランプ、紫外ランプ等が挙げられるが、特に指定するものではなく、如何なる光源13でも適用可能である。中でも発光ダイオードはランプ自身による発熱が殆どなく、ランニングコストや耐久性の面においても優れており、汎用性が高い。
【0097】
また、同一貯蔵室内における複数の光源13の設置は一箇所に限定するものではなく、個々の光源13が同一貯蔵室内の異なる場所に設置されていても構わないものであり、この場合には使用者が複数の異なる色を体感することができるため、より使用者が光源からの光の照射による有効な効果を体感することを促すことができる。
【0098】
なお、本実施の形態の冷蔵庫では、切り替え室6の扉8開放による温度上昇時に通常と異なる色調の光を放射させて使用者に注意喚起を図ることも可能である。この場合には、フラッシング照射の間隔を目視できるような範囲として使用者に注意喚起を図ることが望ましい。これは一般に扉開放が長時間に渡り行われ、貯蔵室内の温度が上昇した場合、貯蔵室内部の食品に悪影響を及ぼしやすくなる。特に、マイナス温度では、扉の長期開放による雰囲気温度の上昇により凍結された食品中の水分が気化し、それらが再び冷却された際に食品周囲へ着霜が生じることがあり、その場合食品の品質において外観、風味、食感などの面で低下がみられる。扉が長期に渡り開放される場合としては、食品の搬入や搬出時、または閉め忘れた場合などが挙げられ、特に閉め忘れられた場合には開放時間が長期に及ぶことが多い。
【0099】
貯蔵室内の温度上昇時に光源13の放射する色調を特定のものに切り替えるかもしくはフラッシング照射の間隔を目視できるような範囲として使用者に注意喚起を図ることにより、扉の長期開放を使用者に認識させるもので、貯蔵室内の食品または氷等の品質を守ることができる。又、扉の長期開放後の温度復帰にかかる電力消費の増大を未然に防止することが可能となるため、消費エネルギー量の低減効果が得られる。
【0100】
なお、使用者に貯蔵室内の温度上昇を認識させる光源13の色については特に指定するものではないが、色彩工学的には赤色系統が注意や警告、危険な印象を与えるとともに、多くの使用者の目にはっきりと認識されやすい色であることから好ましいと考える。
【0101】
また、光源13の色を黄色系統とした場合、目立つ色彩であるため認識されやすくなるとともに、黄色は健常者、色覚障害者ともに同一の色として認識することができるため、両者が同じように使うことのできる、使い勝手の良好な冷蔵庫を提供することができる。
【0102】
また、このような光源13の入力は、検知手段17の反応によりおこなわれる。検知手段17には、温度センサーを用い、一定温度の検知後に入力をおこなうものとしたが、たとえば検知手段17がドアスイッチである場合は、扉開放を検知したのちの一定時間後に入力をおこなうとしてもよく、特に指定するものではない。
【0103】
本実施の形態では、図2Bに示すように、まず野菜室温度が弱設定であるかどうかを確認し、弱設定(2〜4℃)の場合には40Hzの周波数にて光源の点滅照射を行い、弱設定(2〜4℃)以外の例えばより低温の設定である強設定(0℃〜2℃)といった場合には光源の照射を行わない。
【0104】
次に、野菜室の温度設定が変更された場合には、どの温度帯の設定であるかどうかを確認し、同様に弱設定(2〜4℃)の場合には40Hzの周波数にて光源の点滅照射を継続して行い、弱設定(2〜4℃)以外の例えばより低温の設定である強設定(0℃〜2℃)といった場合には光源の照射を行わないといった制御を行う。
【0105】
これによって、野菜室4内の温度設定の中でより高温の弱設定(2〜4℃)の場合には、一般的な野菜の保存に最適でありかつ生態防御反応を励起しやすいため、このような生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものである。これによって、野菜室内の温度設定がより低温の0℃〜2℃といった強設定の場合には比較的低温であるために、野菜の細胞の動きが鈍く生態防御反応を励起しにくいために光源13の照射を停止することで、より効果が得られる温度帯に焦点をあてて効率よく光源13の点灯照射を行うことができ、生態防御反応の特性を利用してより効果的な温度帯に焦点をあてて栄養素を増加させることが可能である。
【0106】
本実施の形態の冷蔵庫において、切り替え室6は、冷蔵室2の下方に位置するとともに、野菜室4と冷凍室3の上方に位置しているものである。このようなレイアウトにすることにより、平均身長の女性が腰をかがめずに切り替え室6の扉8の開閉を行うことができ、また食品の出し入れについても腰をかがめず、楽な姿勢で行うことができるので、使い勝手性が向上する。また、使用頻度の高い野菜室4についても、平均身長の女性が腰をかがめずに扉10開閉を行うことができるとともに、重量感のある野菜についてもしゃがまずに出し入れを行うことができるので、従来の使い勝手性を損なうことがない。また、このように楽な姿勢での使用が可能なレイアウトにすることにより、使用者の肉体的な負担を軽減することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では各貯蔵室の扉の形態について、使い勝手性を考慮して冷蔵室2については回転式、その他については引き出し式としたが、これらは特に限定するものではない。
【0108】
なお、本実施の形態では、照射装置である光源13として青色LEDと緑色LEDとを同時にフラッシング照射するものとしたが、これらの異なる色調の光がそれぞれ独立して間欠照射するものであってもよい。すなわち光源13は、青果物の表面に光を浸透させる波長の光と青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射であればよい。これは、野菜に対して光の明暗が明確にするために、すくなくともどちらも同時に照射していないタイミングである光源13の消灯間隔があれば、この消灯間隔が終了した後に単色で照射を行う場合であっても、光源の照射によって野菜に対する光の明暗を確実に有することができ、言い換えると全く光が照射されず、暗い状態を維持する消灯間隔があれば、その消灯間隔の後の光の照射によってより確実に生態防御反応を励起することが可能となる。
【0109】
こういった異なる色調の光がそれぞれ独立して間欠照射する場合には、例えば同じ周波数でどちらも同時に照射していないタイミングである光源13の消灯間隔を経て交互に照射するものでもよく、色調によって異なる周波数で点滅するものでもよい。特に色調によって異なる周波数で間欠照射する場合にはより強い効果を得たい側の光の周波数を高めることでより有効な効果を得ることが可能である。
【0110】
このように、本実施の形態におけるフラッシング照射は生態防御反応を励起することが目的であるため、一定の間隔で明暗をつければ良く、少なくとも光源13から光が照射されない消灯間隔を有していれば、照射の間隔に大きく左右されずフラッシングによる生態防御反応が得られるものである。
【0111】
また、本実施の形態のように連続照射ではなくフラッシング照射することによって光源13の消費するエネルギーをより低減することができ、省エネルギーの冷蔵庫を実現することが可能となる。
【0112】
また、消灯間隔は有さないが複数の色調の光が交互に点灯する構成や、一つの色調の光が連続点灯であった上で、他の色調の光が間欠照射をする構成など、要するに上記の保存性,栄養価増強の目的に叶う複数の光源を用いて総合的な色調や照度の断続変化で何らかのフラッシング状態を再現できるような照射制御であれば、ベストモードには至らなくても本実施の形態における一定の効果を奏することができる選択肢となり得る。
【0113】
以上のように、本実施の形態の冷蔵庫の切り替え室6では、青色光で表面に、緑色光で内部へ光を浸透させることが可能となり、従来の野菜表面への照射に加え、内部まで光を浸透させ、野菜全体でのビタミンCの増加をおこなうことが可能となり、照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができ、より品質の高い冷蔵庫を提供することができる。
【0114】
また、本実施の形態では、冷蔵から冷凍までなどの幅広い温度帯の切替機能を有する切り替え室6内を対象に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば野菜室4内などに設けて、青果物の鮮度を向上させながら栄養素を増加させることももちろん可能である。
【0115】
また、本実施の形態では、光源13の詳細な構造については説明していないが、光源からの光が透過する光透過部材からなるカバーを備えることが望ましく、低温で密閉された冷蔵庫内に生じやすい結露が直接光源13に付着することを防ぎ、光源13の劣化や故障を防止することができる。
【0116】
また、本実施の形態では、光源13を貯蔵室の天面側に配置するものとしたが、光源からの光が透過する光透過部材からなる収納容器であれば例えば背面側や底面,側面などに光源13を配置して光透過部材からなる収納容器を介して照射することも可能であり、この場合には貯蔵室内の貯蔵空間である収納容器外に光源13が位置するので、貯蔵空間内の野菜などの食品収納に起因する高湿度の雰囲気に曝されず、より光源付近に付着する結露を防止することができるとともに、使用者が光源に触れることを防止することができるので、より故障を防止し安全性を高めることが可能である。
【0117】
また、光源13をたとえば反射板などの部材で拡散反射させて、照射方向や照射範囲の選択,調整が可能となるような構成をとれば、効果の最適化を図る設計上の自由度が増し、光源13の取り付け位置やLEDの取り付け,照射方向を選択できる。光源13に透光性のカバーを用いて、このカバー自体で光の方向や拡散をコントロールすることも有効である。
【0118】
なお、本実施の形態では生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものとしたが、例えば栄養素アップのボタンを扉表面に備え、野菜室4の温度設定に関らず使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射を行うことも可能であり、この場合には、例えば扉表面に栄養素アップを示すボタンが備えられていることで、より使用者が栄養素アップの機能を認識することが可能であるとともに、使用者の必要に合わせた任意のタイミングで光源13の点灯照射によって栄養素の増加を行うことが可能であるので、より使用者の使い勝手を向上させることが可能である。
【0119】
また、本実施の形態では生態防御反応を励起しやすい温度設定の場合にのみ光源13の点灯照射を行うものに、さらに使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射を行うといった構成を組合せることも可能であり、この場合には、通常は生態防御反応を励起しやすい温度設定に焦点を絞って光源13の照射を行うことに加え、使用者の任意のタイミングで光源13の点灯照射によって栄養素の増加を行うことが可能となり、さらに使用者の使い勝手を向上させた高機能の冷蔵庫を提供することが可能となる。
【0120】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫を示す正面図であり、図4は本発明の実施の形態2の冷蔵庫の縦断面図である。
【0121】
なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0122】
図に示すように、冷蔵庫100は、3つの扉111a,111b,111cを備える冷蔵庫であり、貯蔵箱170により形成される貯蔵室は、三つに区画されている。
【0123】
冷蔵庫100は、区画された貯蔵室として、上部より冷蔵室110と、野菜室120と、冷凍室130とを備えている。同図において、矩形の破線がそれぞれの貯蔵室の開口を表しており、貯蔵の対象である食品は、棚状に区画された貯蔵箱170内に前方より搬入され、また、搬出されるものとなっている。
【0124】
また、冷蔵庫100は、貯蔵箱170を密閉可能、かつ、開閉可能な扉111を備えている。具体的には、冷蔵庫100は、冷蔵室110を開閉可能な扉111a、および野菜室120を開閉可能な扉111bと、冷凍室130を開閉可能な扉111cとを備えており、扉111a,111b,111cは、ヒンジにより開閉可能に貯蔵箱170に取り付けられている。
【0125】
貯蔵箱170は、外方と内方とを断熱する機能を備えており、同図楕円内に示すように、ABSなどの樹脂で真空成型された内箱171と、プリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱172と、内箱171と外箱172との間に配置される断熱材173で構成されている。また、扉111も同様に内板と外板と断熱材173とで構成されている。
【0126】
図に示すように、冷蔵庫100は、光源200と、光源200のカバー部材である透過性の材料からなる仕切手段210と、抗菌装置220とを備えている。また、冷蔵庫100は、食品容器121と、蓋122とを野菜室120の内方に備えている。
【0127】
抗菌装置220は野菜室120内の空気からオゾンを発生させるオゾン発生装置であり、主に青果物の表面に付着した菌の増殖を抑制することで、野菜室内に収納された青果物の鮮度をより向上させるものである。
【0128】
光源200は、点灯時に食品容器121内部を照らすよう設置されている。食品の出し入れに際して、扉の開閉時に使用者が扉を開けると、光源200から照射される光が室外に漏れるので、冷蔵庫の使用者が光やその光の色調を認識することが可能である。また、本実施の形態では、光源200には複数個の発光源を備えており、各々が異なる色調の光を発するとともに、それら発光源の点灯や消灯の動作は制御基盤を通じて行われ、光源200は間欠照射であるフラッシング照射を行うものである。
【0129】
この光源200の照射方法や色調については実施の形態1で説明した技術内容と同様のものであり、点灯は緑色LED、青色LEDを20〜60Hzでフラッシング照射(間欠照射)するよう制御基盤にて制御している。
【0130】
また、抗菌装置220は一定時間毎に動作するものであり、扉が開いている場合には抗菌装置220は停止させるものとする。
【0131】
また、場合によっては抗菌装置220は使用者が任意のタイミングで動作させることが可能となるように抗菌ボタンを扉表面に備えることで、より抗菌装置を備えた冷蔵庫であることが使用者にアピールできることに加え、必要な時にのみ抗菌機能を発揮させることが可能となるので、より使い勝手のよい冷蔵庫を提供することが可能となる。
【0132】
このように、本実施の形態では、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させる目的で光源200を備えるとともに、野菜室120内に収納された青果物の鮮度を向上させる目的で抗菌装置220を備えたものである。
【0133】
また光源200は、冷蔵室110と野菜室120とを仕切る断熱壁115の下面側に野菜室120の内方側に埋設されている。
【0134】
このように光源を断熱壁115に埋設することで、食品容器121を取り出す際に食品が光源200に接触することを抑制し、スムーズな開閉動作を実現することが可能となる。
【0135】
また、光源200を貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口213近傍に備えることで、光源200に結露水が付着した場合でも、吐出口213からの通風経路上に光源200が位置することで、効率よく結露を消滅させることが可能となる。また、光源200が点灯した場合に多少の温度上昇があった場合でも、吐出口213からの冷気によって光源200周辺の温度上昇を抑制することができ、野菜等への温度影響を抑えて、より保鮮性を向上させることが可能となる。
【0136】
また、光源200を青色LED、緑色LEDを照射する。
【0137】
これによって、青色LEDから照射する青色光によって、青果物の表面に光を浸透させ、さらに青色光の照射によって微生物の菌の増殖を抑える静菌作用が得られるといった効果も得られるため、野菜表面の生態防御反応により栄養素増加に加えてさらに野菜表面の菌の増殖を抑える静菌効果も得ることができる。
【0138】
さらに、視覚的に青色光は人間に対して清涼感を与える色であるため、よりクリーンで鮮度の高い野菜が保存されていることを官能的に使用者が体感することができる。
【0139】
また、緑色LEDから照射される緑色光は、野菜の生長に影響を及ぼさない光であるから、ビタミン増加に見合う強い照度の光を照射しても活発に光合成が行われることによる野菜内の水分の蒸散といった青果物の品質劣化は生じず、品質は暗所に保存した場合と同じである。また、他の波長域の光が野菜表面で反射されるのに対し、緑色は野菜内部まで浸透することから、パプリカなどの肉厚の青果物に緑色光を照射すると、内部での光合成によるビタミンC生成が促進されることとなる。
【0140】
このように、本実施の形態では野菜表面で吸収されやすい青色の波長で野菜表面付近のビタミンC生成を促し、さらに野菜表面の静菌効果を得ることでより鮮度を高めた上で、青果物の内部へ光を浸透させやすい緑色の波長で、野菜の内部まで光を浸透させ、野菜内部での生態防御反応を促進してビタミンC生成を促すことが可能となる。
【0141】
さらに、光源200を青色LED、緑色LEDを同時に照射ことによって、色調としては明るいグリーン系となることから、ユーザも庫内灯の照明にて野菜をイメージできかつクリーンなイメージを与えることのできる色調なので照射による保存性の向上を行うと共に、保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることができる。
【0142】
このように本実施の形態では、光源200として発光ダイオードであるLEDを用いたので、一般的なランプと比較してより省エネルギでさらに温度上昇を抑えることができる。
【0143】
また、光源200をフラッシング照射(間欠照射)させることでさらに点灯時間が短くなるために、より省エネルギでかつ温度上昇の少ない光源200を備えることが可能となる。
【0144】
なお、本実施の形態では、光源200として発光ダイオードであるLEDを用いたが、特にこれに限定されるわけではなく、異なる波長の光を放出することが可能な光源を複合的に備えるものを光源であればかまわないが、発熱量が多い光源を備える場合には、本実施の形態のように光源200を貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口213近傍に備えるといった構成等によって貯蔵室への温度影響を低減する手段を搭載することが望ましい。
【0145】
さらに、冷蔵庫100は、冷却手段である冷却器を備えている。本実施の形態の場合、冷却手段は、2つの冷却器を備える冷却サイクルで構成されている。具体的には、冷蔵室110の奥面部の裏側に第一の冷却器112を備えている。冷蔵室110の奥面部は冷却器112からの熱伝導によって冷却される。冷蔵室110内の空気は、この冷却された奥面部により冷却される。
【0146】
また、第二の冷却器112は、冷凍室130の奥面の裏側に備えられている。冷凍室130内は、第二の冷却器112を強制的に通過されて冷やされた冷気によって冷却されるようになっており、食品などを冷却した冷気は再び第二の冷却器112に戻るものとなっている。
【0147】
第二の冷却器112から放出される冷気は、冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給される。野菜室120は、ダンパーの開閉制御により供給される冷気の量が制御され、冷蔵室110の温度帯と冷凍室130の温度帯との間の温度帯に維持される。具体的には4℃以下0℃以上の範囲内の温度に維持されるように制御される。
【0148】
また、野菜室120の背面の上方部に備えられた冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給された冷気は野菜室120の背面の底面部に備えられた冷気吸入口214を介して第二の冷却器112へと戻っていく。
【0149】
このように、野菜室120に流入する冷気は他の貯蔵室を通過した冷気ではなく、冷却器112から直接流入する冷気であるため、例えば冷蔵室のような比較的温度が高く雑菌の繁殖しやすい貯蔵室の冷気風路とは独立していることで、よりクレーンで抗菌性の高い冷気が野菜室内に流入することになる。
【0150】
さらに、このように、野菜室120の冷気が底面部に備えられた冷気吸入口214から排出されていくため、空気よりも重いために下方側に溜まり易いオゾンを速やかに排出することが可能となり、野菜室120内のオゾン濃度の増加を抑制することができる。
【0151】
さらに、空気よりも重いために下方側に溜まり易いオゾンを含む冷気が冷気吸入口214から排出されることで、冷却器112が背面に備えられた冷凍室130の冷気にも抗菌効果の高いオゾンが循環するため、冷凍室の抗菌性も高めることが可能となる。
【0152】
このように、冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給された冷気は冷気吸入口214を介して第二の冷却器112へと戻っていく野菜室120内の風路内において、抗菌装置220は上流側に位置している。言い換えると、抗菌装置220は冷気吸入口214よりも冷気吐出口213に近い側に備えられている。
【0153】
これによって、野菜室120内の風路におけるより上流側に抗菌装置220が配置されていることで、抗菌装置220であるオゾン発生装置から噴霧されたオゾンを野菜室内120に流入した冷気に乗せて均一に野菜室120内に拡散させることが可能となり、より収納された青果物の鮮度を向上させることが可能となる。
【0154】
また、抗菌装置220であるオゾン発生装置から噴霧されたオゾンは噴霧開口部211,212を介して野菜室内に噴霧されるため、噴霧開口部211,212を複数備えることでよりオゾンの拡散性を高めることができる。また、噴霧開口部211,212は図4に示すように少なくとも野菜室120の前後方向に対する中心に対しての両側である前方側と後方側とに離れて配置されていることで、さらに抗菌機能を有するオゾンの拡散性を向上させている。よって、こういった噴霧開口部211,212を複数備えるといった構成は抗菌材料の拡散手段として機能するものである。
【0155】
さらに、抗菌材料の拡散手段として、野菜室120の左右方向の中心線に対しての両側である右側と左側とに離れて抗菌材料の噴霧開口部を配置すると、抗菌材料であるオゾンの拡散性を向上させることが可能となる。
【0156】
また、噴霧開口部211,212が天面側に配置されて下方側に開口しているとともに冷気吐出口213は野菜室120の天面側に配置されて水平方向側に開口していることで、空気より重いために下方へ向かう傾向があるオゾンを冷気吐出口213からほぼ水平方向に噴出される冷気に乗せて水平方向へ拡散させることができ、その後オゾンは自重によって下方向へと拡散していくので、オゾン濃度の偏りを防止してより均一に分布させることができるので、野菜室120内の抗菌性をより高めることが可能となる。
【0157】
よって、このように抗菌装置220からの抗菌材料であるオゾンが噴霧される噴霧開口部211,212の噴霧方向と貯蔵室内に吐出される冷気の開口部である冷気吐出口213の噴霧方向を同じ方向とせずに交差する方向とすることも、抗菌材料の拡散手段として機能するものであって、抗菌材料の拡散性を高めることができる。またこの噴霧開口部211,212の噴霧方向と貯蔵室内に吐出される冷気の開口部である冷気吐出口213の噴霧方向とが交差する方向は直角である90°を含んで±30°程度までの所定の角度とすることが望ましい。別の表現をすると、冷気吐出口213から噴霧された冷気が直接霧開口部211,212へと流れるように冷気吐出口213を備えると拡散手段として有効に機能するものである。
【0158】
食品容器121は、貯蔵室である野菜室120内に配置され引き出し可能で上方に開口する開口部127を有する箱体である。
【0159】
蓋122は、食品容器121の開口部127を閉塞する板状の部材であり、通過孔124と、調整孔125とを備えている。また、蓋122は、光源200が放出する光の内、必要な波長の光を十分に透過できる材質で構成されている。蓋122は、食品容器121内の湿度を調節する機能を備えるものであり、具体的には、食品容器121内に貯蔵される野菜から蒸散される湿気をある程度食品容器121内に維持しながら、食品容器121内で前記湿気が結露しない程度に湿度を調節する。
【0160】
以上のように、本願発明にかかる冷蔵庫100は、光源200から発光する光の力で貯蔵する食品の保鮮性を高めることができるため、人体への害のないより安全な方法で食品を長期保存することが可能となる。
【0161】
さらに、光源200をフラッシング照射すなわち間欠照射する場合に、使用者である人間の肉眼では光源200からの間欠照射を目視で確認することはできず、連続照射しているように見えるような間欠照射を行うことで、一般的に光が点滅していると何らかの異常を知らせるといった警告のように感じたり、点滅を見続けることによって心理的な圧迫感を与えたり、視覚的な刺激からイライラするといった怒りを誘発したりするといった問題が生じることなく、人体への心理的な害のない安全な照射方法を実現した上で、フラッシング照射により野菜に与えるストレスを増加させ、生態防御反応の励起を強め、結果抗酸化物質であるビタミンC量の生成がさらに促進されることが可能となる。
【0162】
以上のように、本実施の形態では、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させる目的で光源200を備えるとともに、野菜室120内に収納された青果物の鮮度を向上させる目的で抗菌装置220を備えたものであり、野菜室120内に収納された青果物の栄養素を増加させた上でさらにその鮮度を高めることが可能となり、野菜室の機能を格段に高めることができるといった格段の効果を奏するものである。
【0163】
なお、本実施の形態では野菜室120には食品容器121を備えているが、本願発明はこれに限定されるわけではなく、食品容器121やその蓋がない野菜室120に直接食品を保存するものでもかまわない。
【0164】
また、貯蔵室170を固定的な断熱壁115により区画したが、特に断熱壁で区画する必要がない場合には、断熱材に限定しない仕切壁で区画しても良い。
【0165】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の正面図であり、図6は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の縦断面図であり、図7は実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の斜視図である。
【0166】
本実施の形態では、上記実施の形態2で示した冷蔵庫100の野菜室120内における構造に関する別の形態を開示しているものであり、実施の形態1および2で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0167】
図において、光源200は、冷蔵室110と野菜室120とを仕切る断熱壁115の下面側に野菜室120の内方側に埋設されており、野菜室の横方向(左右方向)における中心線AA´状に配置されており、野菜室の前後方向においては、中心よりも後方側に配置されている。
【0168】
また、野菜室120内には食品容器121として、下段容器121aと、下段容器121a内の上方部に配置された上段容器121bとが備えられており、下段容器121aおよび上段容器121bが収納された状態においては蓋141が閉塞されており、容器内からの水分の蒸散を防いでおり、下段容器121aおよび上段容器121bが引き出された状態では蓋141は下段容器121aおよび上段容器121bの上方には位置せず冷蔵庫100の本体側に残っているため、蓋141が食品の出し入れの際に邪魔になることはない。
【0169】
また、光源200は上段容器121bの直上部には配置されておらず、下段容器121aへ直接届くように下段容器121aの開口部の直上部に配置されている。すなわち、下段容器121a内に収納された青果物に対しては光源200からの光が介在物を介さずに直接照射され、上段容器121bに収納された青果物については光透過性の材料からなる上段容器121bを介して間接的に光が照射されることとなる。
【0170】
また、光源200の点灯は緑色LED、青色LEDを同時にフラッシング照射(間欠照射)するものである。
【0171】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0172】
これまで説明した実施の形態での効果に加え、本実施の形態では、光源200を照射する空間を使い分けて、下段容器121aと上段容器121bによって区画するものである。
【0173】
光源200からの照射によって下段容器121aに収納された青果物は光合成及び生態防御反応によって抗酸化物質であるビタミンCが生成されるので、青果物の栄養素を上手く増加させることが可能である。
【0174】
また、上段容器121bは扉を閉めた状態では上方側に備えられた蓋140で閉塞されており、下段容器121aと比較して高湿空間に維持することが可能であるので、より高湿度で鮮度が向上するフルーツや葉野菜等を収納するといった方法で、野菜室120の収納空間を使い分けしてより使い勝手のよい冷蔵庫を実現することが可能である。
【0175】
また、この上段容器121bは光透過性の材料で構成することによって、光源200の照射による栄養素向上や静菌作用を得ることができる。また、この上段容器121b内には下段容器121aを介して間接的に冷気が流入することで、冷却器からの低温の冷気が直接流入するのを防ぎ、より高湿度を好む青果物を収納することが望ましく、また低温状態においては鮮度が劣化するバナナやナスといった低温に弱い青果物を収納するとこれらの低温障害を防ぐことができ、より鮮度を向上させることが可能となる。
【0176】
よって、下段容器121a内の貯蔵空間には冷気吐出口13から流入した冷気が直接流入するとともに光源200からの光も直接照射される環境となり、一方上段容器121b内の貯蔵空間には下段容器121a内を介した高湿の冷気が流入するとともに光源200からの光も上段容器121bを介して間接的に照射される環境となるので、これらの貯蔵空間は異なった貯蔵環境となる。
【0177】
このように、流入する冷気のタイプや光からの照射強度の異なる複数の容器を備えることで、野菜室120内を上手に使い分けてその区画に適した収納物を収納することが可能となり、より効果的に野菜室内の青果物の栄養素を増加させかつ鮮度を向上させることが可能となる。
【0178】
また、光源を断熱壁115に埋設することで、引き出し式扉の開閉の際に食品が光源200に接触することを抑制し、スムーズな開閉動作を実現することが可能となる。
【0179】
なお、本実施の形態では図7(a)に示すように上段容器121bがLEDと対向しない位置に配置したものとしたが、図7(b)に示すように、上段容器121b内に直接LEDが照射されるような構成とすることも可能である。
【0180】
この場合には、上段容器121bは光源200の直接照射によってより効果的に栄養素向上や静菌作用を得ることができることに加え、この上段容器121b内には下段容器121aを介して間接的に冷気が流入することで、冷却器からの低温の冷気が直接流入するのを防ぎ、より高湿度を好む青果物を収納することが望ましく、また低温状態においては鮮度が劣化するバナナやナスといった低温に弱い青果物を収納するとこれらの低温障害を防ぐことができ、より鮮度を向上させることが可能となる。
【0181】
よって、上段容器121b内の青果物に焦点をあてて栄養素の向上を行うことができる。
【0182】
また、この場合にも下段容器121aおよび上段容器121bが収納された状態においては蓋141が閉塞されており、容器内からの水分の蒸散を防いでおり、下段容器121aおよび上段容器121bが引き出された状態では蓋141は下段容器121aおよび上段容器121bの上方には位置せず冷蔵庫100の本体側に残っているため、蓋141が食品の出し入れの際に邪魔になることはない。
【0183】
(実施の形態4)
図8は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の水収集手段近傍の縦断面図である。図9は本発明の実施の形態4における冷蔵庫の機能ブロック図であり、図10は静電霧化装置214で発生されたミストでの除菌イメージ図である。
【0184】
本実施の形態では実施の形態1から3で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0185】
図において野菜室天面の仕切り部472に、霧化装置411と霧化装置411に水分を供給する水収集板と青色光と緑色光を庫内に照射させるための光源437と光を庫内全体に拡散させるための拡散板438があり、野菜室405の中に、野菜室温度検知手段239と、野菜室湿度検知手段440が構成されている。
【0186】
抗菌装置は野菜室に備えられた霧化装置411であり、主にラジカルを含むミストが青果物に付着することによって、青果物の表面に付着した菌の増殖を抑制することで、野菜室内に収納された青果物の鮮度をより向上させるものである。
【0187】
また、本実施の形態では抗菌装置である霧化装置411を外部から水を補給することなく貯蔵室内の水分を結露させる部材に結露した水分を用いてミストを発生させる霧化装置411を備えた。
【0188】
水分を結露させる部材である水収集板423は、冷蔵庫の冷却手段を用いて露点以下になるように冷却することで、庫内温度との温度差が生じ庫内の水分が水収集板に結露させるものであるなる。また、制御手段442は、水収集板温度検知手段430と野菜室温度検知手段439と野菜室湿度検知手段440とドア開閉検知手段441の各検知結果に基づき霧化装置である静電霧化装置414と加熱手段424と冷却手段443と送風手段425を制御する。
【0189】
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫について、以下その動作・作用を説明する。
【0190】
まず、野菜室温度検知手段439と野菜室湿度検知手段440により野菜室405の露点温度を予測することができる。そこで、水収集板表面温度を露点温度以下になるように調整する。例えば、(表1)のように水収集板表面温度を調整する。
【0191】
【表1】
【0192】
例えば、野菜室温度が5℃で野菜室の湿度が90%なら、露点温度は3.5℃であり、この温度以下なら水収集板423に庫内の水蒸気は結露する。結露した水は、水収集板423もしくはカバー432に沿って霧化装置411(静電霧化装置414)の静電霧化部に送水される。
【0193】
次に静電霧化装置414により噴霧されたミストが、野菜が収納されている容器433内に噴霧される。噴霧されたミストはオゾンやOHラジカルなどを保持しており、プラスに帯電した野菜や果物表面に付着し、ミストが野菜表面を抗菌、除菌、殺菌することができると同時に野菜表面に付着する有害物質を酸化分解することができる。またミストの水分が野菜や果物の微細な孔にミストが入りこみ、野菜に吸水されることとなる。
【0194】
発生されたミストには、オゾンやOHラジカルなどを保持しており、これは強い酸化力を保持している。これらオゾンやラジカルによって細菌の組織の中でも細菌細胞膜タンパクの一部が酸化分解され溶菌されることで、結果細菌は不活化する。このように細菌自体を瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、細菌細胞膜を破壊することで、結果的に細菌の不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲で細菌の不活性化を行うことができる。そのため、発生したミストが野菜室内や野菜表面を抗菌、除菌、殺菌することができると同時に野菜表面に付着する有害物質を酸化分解することができる。
【0195】
よって、本実施の形態においては、霧化装置は微細な水分を供給するミスト噴霧装置であると同時に、細菌やウイルスの増殖を抑制する抗菌装置として機能しているものである。
【0196】
図10は静電霧化装置214で発生されたミストでの除菌イメージ図であり、図11は、冷蔵庫の野菜室を想定したBOXにて細菌の代表菌種である大腸菌の除菌効果を確認した結果を示す。
【0197】
試験条件はBOX容量を約70L、BOX内温度約5℃、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態の静電霧化装置をBOX内に設置し稼働率30分ON−30分OFFで稼動させた。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、上記BOX条件より静電霧化装置の代わりに超音波霧化装置にてミストを噴霧したもので同一試験を行った。
【0198】
図に示すように、本実施の形態においては超音波霧化装置では除菌率30%未満あるのに対し、静電霧化装置にて霧化した場合、3日で95%以上、7日では99%以上の高い抗菌効果を有していることが判明した。
【0199】
次に図12は静電霧化装置で発生されたラジカルを含んだミストでのカビ抑制のイメージ図である。カビは通常胞子が発芽し菌糸を伸ばして成長する。図に示すように発生されたミストに含まれるオゾンやラジカルにて発芽した菌糸が除去されるため、カビがそれ以上菌糸を伸長できず不活化され、結果カビは成長を抑制される。このようにカビそのものを瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、カビの菌糸を破壊することで結果的に細菌の不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲でカビの成長を抑制することができる。
【0200】
次に図13に冷蔵庫の野菜室を想定したBOXにてカビ代表菌種であるクロカビの除菌効果を確認した結果を示す。
【0201】
試験条件はBOX容量を約70L、BOX内温度約5℃、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態2の静電霧化装置214をBOX内に設置した。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、静電霧化装置214を除いたもので同一試験を行った。尚、供試カビは初発浮遊カビ数が1000個以上/100L・Airになるように噴霧した。菌数の測定はエアーサンプラー吸引法にて測定した。
【0202】
図に示すように、本実施の形態の静電霧化装置を60分稼動後対照条件に対し99%除菌効果が得られており、野菜や庫内表面だけでなく、冷蔵庫庫内に浮遊する菌に対しても除菌効果が確認できた。
【0203】
次に図14は静電霧化装置で発生されたミストでの抗ウイルスのイメージ図である。通常ウイルスはウイルス表面に存在するスパイクというタンパク質が唾などの栄養分に寄生し繁殖する。図に示すように発生されたラジカルを含む超微細なミストがウイルスの周りに取り付きスパイク(タンパク質)を分解するため、ウイルスが栄養素に寄生することができず、不活化され繁殖を抑制する。このようにウイルスそのものを瞬時に死滅させる程度まで強力なオゾンやOHラジカル量ではなく、ウイルスの表面のタンパク質を破壊することで結果的にウイルスの不活性化すなわち死滅を促す程度のオゾンやOHラジカル量を用いることで、上記のような野菜の保鮮性に対しては影響のない範囲でカビの成長を抑制することができる。
【0204】
次に図15に本実施の形態の静電霧化装置の抗ウイルス効果をBOX試験にて確認した結果を示す。
【0205】
試験条件はBOX容量を約30L、BOX内温度は室温、BOX内相対湿度は90%R.H以上と設定したうえで、本実機の形態2の静電霧化装置をBOX内に設置し稼働率30分ON−30分OFFで稼動させた。尚、対照としては従来の野菜室を想定し、静電霧化装置214を除いたもので同一試験を行った。ウイルスの不活化は50%組織培養感染量(TCID50)の対数値で比較した。TCID50の対数値が小さいほどウイルス不活化率は高く、LogTCID50値は2以上の差があれば有意差があるといえる。
【0206】
本試験結果から、本実施の形態2の静電霧化装置を2時間稼動させた場合、初期および対照(ブランク)に対しLogTCID50/mlで2以上の差があることから、ウイルス不活化効果があることが確認できた。
【0207】
また、図示はしないが、乾燥に強く冷蔵庫庫内にも人の手を介して生息する黄色ブドウ球菌に対しても大腸菌と同様の除菌効果が得られている。また、O−157やMRSA、インフルエンザウイルスなどの病原菌にたいしても同様に高い除菌効果が得られていることから細菌、カビ、ウイルスなど幅広い菌種に対して高い除菌効果を有することが明らかとなった。
【0208】
以上のように、本実施の形態においては、静電霧化装置により野菜室にミストとして確実に野菜表面に付着させることにより野菜に保湿性を高め、保鮮性を向上させることができる。また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより庫内および食品表面および庫内空気中のカビ、細菌、酵母、ウイルスなどの除菌、庫内の脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
【0209】
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材の劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
【0210】
一方、光源437は野菜室405に保存されている野菜や果物にフラッシング照射される。光源437とは、中心波長が470nmの青色光を含む光と中心波長が520nmの緑色光を含む光の2波長の光を同時照射する例えば青色LED,緑色LEDなどで、十分である。この時照射される照度は野菜などの対象物表面で20〜100Lxの照度とすることが、ビタミン増加および扉開閉時に消費者が清涼感を抱ける照度となって好ましい。また、フラッシングタイミングは20〜40Hzが好ましい。
【0211】
ミストを吸水した野菜や果物に青色光と緑色光をフラッシング照射(間欠照射)すると、野菜や果物は、吸水した水と光を利用して光合成を行い、ビタミンCの生成が促進される。
【0212】
また、光のフラッシング及び静電霧化によって発生するOHラジカルは野菜や果物のストレスとなり、生態防御反応を誘引する。その結果、抗酸化物質であるビタミンC、ビタミンA、カロチン、ポリフェノール、ユピキノンなどの栄養素の生成が促進され、栄養価の高い野菜や果物となる。
【0213】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので水収集板等の水分供給装置を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となる。
【0214】
よって、実施の形態2で具体的に説明したオゾン発生装置の別形態の装置として置き換えて設置することが可能である。その場合には、水収集板を必要とせず、もちろん水収集板を冷却する必要もないので、抗菌装置としての静電霧化装置は庫内の任意の箇所に取り付けることが可能であることはいうまでもない。
【0215】
以上のように、本実施の形態では、容器433の保存中の野菜や果物に対し、静電霧化装置414にて微細ミストを適量噴霧し、さらに光源437が青色光と緑色光をフラッシング照射することにより、野菜や果物の正常な光合成を促進させると共に、野菜や果物の生態防御反応を励起させることで、保存中の野菜や果物を萎れさせることなく、ビタミンなどの栄養素を増加させ、栄養価が高く品質のよい保存ができる。
【0216】
(実施の形態5)
図16は本発明の実施の形態5における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図である。図17は本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図である。図18は本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図17のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図である。
【0217】
本実施の形態では実施の形態1から4で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
【0218】
特に、本実施の形態5では上記実施の形態4の抗菌装置である霧化装置の別の形態を中心に説明するものであって、光源等については説明を行わないが、実施の形態1から4で説明した光源等と同様の技術を適用することができる。
【0219】
図において、冷蔵庫500の冷蔵庫本体である断熱箱体501は、主に鋼板を用いた外箱502と、ABSなどの樹脂で成型された内箱503と、外箱502と内箱503との間の空間に発泡充填される硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材とで構成され、周囲と断熱され、仕切り壁によって複数の貯蔵室に断熱区画されている。最上部に第一の貯蔵室としての冷蔵室504、その冷蔵室504の下部に第四の貯蔵室としての切換室505と第五の貯蔵室としての製氷室506が横並びに設けられ、その切換室505と製氷室506の下部に第二の貯蔵室としての野菜室507、そして最下部に第三の貯蔵室としての冷凍室508が配置される構成となっている。
【0220】
冷蔵室504は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃とし、野菜室507は冷蔵室504と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃としている。冷凍室508は冷凍温度帯に設定されており、冷凍保存のために通常−22℃〜−15℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
【0221】
切換室505は、1℃〜5℃で設定される冷蔵、2℃〜7℃で設定される野菜、通常−22℃〜−15℃で設定される冷凍の温度帯以外に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯の間で予め設定された温度帯に切り換えることができる。切換室505は製氷室506に並設された独立扉を備えた貯蔵室であり、引き出し式の扉を備えることが多い。
【0222】
なお、本実施の形態では、切換室505を、冷蔵と冷凍の温度帯までを含めた貯蔵室としているが、冷蔵は冷蔵室504と野菜室507、冷凍は冷凍室508に委ねて、冷蔵と冷凍の中間の上記温度帯のみの切り換えに特化した貯蔵室としても構わない。また、特定の温度帯に固定された貯蔵室でも構わない。
【0223】
製氷室506は、冷蔵室504内の貯水タンク(図示せず)から送られた水で室内上部に設けられた自動製氷機(図示せず)で氷を作り、室内下部に配置した貯氷容器(図示せず)に貯蔵する。
【0224】
断熱箱体501の天面部は冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状であり、この階段状の凹部に機械室501aを形成して、機械室501aに、圧縮機509、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側構成部品が収容されている。すなわち、圧縮機509を配設する機械室501aは、冷蔵室104内の最上部の後方領域に食い込んで形成されることになる。
【0225】
手が届きにくくデッドスペースとなっていた断熱箱体501の最上部の貯蔵室後方領域に機械室501aを設けて圧縮機509を配置することにより、従来の冷蔵庫で、使用者が使いやすい断熱箱体501の最下部にあった機械室のスペースを貯蔵室容量として有効に転化することができ、収納性や使い勝手を大きく改善することができる。
【0226】
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった断熱箱体501の最下部の貯蔵室後方領域に機械室を設けて圧縮機509を配置するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
【0227】
野菜室507と冷凍室508の背面には冷気を生成する冷却室510が設けられ、風路541と区画されており、その間には、断熱性を有する各室への冷気の搬送風路541と、各貯蔵室と断熱区画するために構成された奥面仕切り壁511が構成されている。また、冷凍室吐出風路541と冷却室510とを隔離するための仕切り板561を備えている。冷却室510内には、冷却器512が配設されており、冷却器512の上部空間には強制対流方式により冷却器512で冷却した冷気を冷蔵室504、切換室505、製氷室506、野菜室507、冷凍室508に送風する冷却ファン513が配置される。
【0228】
また、冷却器512の下部空間には冷却時に冷却器512やその周辺に付着する霜や氷を除霜するためのガラス管製のラジアントヒータ514が設けられ、さらにその下部には除霜時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン515、その最深部から庫外に貫通したドレンチューブ516が構成され、その下流側の庫外に蒸発皿517が構成されている。
【0229】
野菜室507には、野菜室507の引き出し扉518に取り付けられたフレームに載置された下段収納容器519と、下段収納容器519に載置された上段収納容器520が配置されている。
【0230】
引き出し扉518が閉ざされた状態で主に上段収納容器520を略密閉するための蓋体522が野菜室上部の第一の仕切壁523及び内箱503に保持されている。引き出し扉518が閉ざされた状態で蓋体522と上段収納容器520の上面の左右辺、奥辺が密接し、上面の前辺は略密接している。さらに、上段収納容器520の背面の左右下辺と下段収納容器519の境界部は、上段収納容器520が稼働する上で接触しない範囲で食品収納部の湿気が逃げないよう隙を詰めている。
【0231】
蓋体522と第一の仕切り壁523の間には、奥面仕切り壁511に構成された野菜室用吐出口524から吐出された冷気の風路が設けられている。また、下段収納容器519と第二の仕切り壁525との間にも空間が設けられ冷気風路を構成している。野菜室107の背面の奥面仕切り壁511の下部には、野菜室507内を冷却し熱交換された冷気が冷却器512に戻るための野菜室用吸込み口526が設けられている。
【0232】
なお、本実施の形態における、以下に述べる発明の要部に関する事項は、従来一般的であった扉に取り付けられたフレームと内箱に設けられたレールにより開閉するタイプの冷蔵庫に適用しても構わない。
【0233】
奥面仕切り壁511は、ABSなどの樹脂で構成された奥面仕切り壁表面551と、風路541や冷却室510を隔離し、貯蔵室の断熱性を確保するための発泡スチロールなどで構成された断熱材552で構成されている。ここで、奥面仕切り壁511の貯蔵室内側の壁面の一部に他の箇所より低温になるように凹部511aを設け、その箇所に抗菌装置である静電霧化装置531が設置されている。
【0234】
静電霧化装置531は、主に霧化部539、電圧印加部533、外郭ケース537で構成され、外郭ケース537の一部には、噴霧口532と湿度供給口538が構成されている。霧化部539は、霧化先端部である霧化電極535が設置され、霧化電極535はアルミニウムやステンレスなどの良熱伝導部材からなる伝熱冷却部材である冷却ピン534に固定されて接続している。
【0235】
霧化部539は、霧化電極535が設置され、霧化電極535はアルミニウムやステンレス、真鍮などの良熱伝導部材からなる電極接続部材であり、霧化電極535は冷却ピン534の一端のほぼ中心部に固定され、電気的にも電圧印加部533から配線されている一端を含め接続している。
【0236】
この電極接続部材である冷却ピン534は、例えば、直径10mm程度、長さが15mm程度の円柱形状で構成されており、直径1mm程度、長さが5mm程度であり、霧化電極535に比べて50倍以上1000倍以下、好ましくは100倍以上500倍以下の大きな熱容量を有するものである。このように、冷却ピン534の熱容量は霧化電極535の熱容量に対して50倍以上好ましくは100倍以上の熱容量を有することで、冷却手段の温度変化が霧化電極に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。また、この熱容量の上限値として、冷却ピン534の熱容量は霧化電極535の熱容量に対して500倍以下好ましくは1000倍以下の熱容量を有することとしている。この上限値については、熱容量が大きすぎると冷却ピン534を冷やすために大きなエネルギを要することとなり、省エネルギで冷却ピンの冷却を行うことが困難となるが、このような上限値内に抑えることで、冷却手段からの熱変動負荷が変わった場合に霧化電極に大きな影響を緩和した上で、省エネルギで安定して霧化電極の冷却を行うことが可能となる。さらに、上記のような上限値内に抑えることで、冷却ピン534を介して霧化電極が冷却されるのに要するタイムラグを適正な範囲内に収めることができ、霧化電極の冷却すなわち霧化装置への水分供給を行う際の立ち上がりが遅くなることを防止し、安定した霧化電極の冷却を行うことが可能となる。
【0237】
また、素材はアルミや銅などの高熱伝導部材が好ましく、冷却ピン534の一端からもう一端に冷熱を熱伝導で効率よく伝導させるため、その周囲は断熱材552で覆われていることが望ましい。
【0238】
また、長期的に霧化電極535と冷却ピン534の熱伝導の維持も必要であるので、接続部に湿度等の侵入を防止するためにエポキシ部材などを流しこみ、熱抵抗を抑え、さらに、霧化電極535と冷却ピン534を固定する。また、熱抵抗を低下させるために霧化電極535を冷却ピン534に圧入等により固定してもよい。
【0239】
さらに、冷却ピン534は、貯蔵室と冷却器512もしくは風路を断熱するための断熱材552内で冷温を熱伝導させる必要があるので、その長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、冷却ピン534の長さは5mm以上好ましくは10mm以上確保することが望ましい。ただし、その長さを30mm以上にした場合は、その効果は低下する。
【0240】
なお、貯蔵室(野菜室507)に設置された静電霧化装置531が高湿環境下にあり、その湿度が冷却ピン534に影響する可能性があるので、冷却ピン534は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行った材料を選択した方が好ましい。
【0241】
また、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534の形状を円柱としたので、断熱材552の凹部511aに嵌め込む際に、少し嵌め合い寸法がきつくても静電霧化装531を回転させながら圧入し取り付けることができるので、より隙間無く冷却ピン534を取り付けることができる。また、冷却ピン534の形状は直方体や正多角形体でもよく、これらの多角形の場合は、円柱と比較して位置決めがしやすく、正確な位置に静電霧化装置531を備えることができる。
【0242】
さらに、冷却ピン534の中心軸上に霧化先端部である霧化電極535を取り付けることにより、冷却ピン534を取り付ける時、回転させても対向電極536と霧化電極535の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
【0243】
伝熱冷却部材である冷却ピン534が外郭ケース537に固定され、冷却ピン534自体は外郭から突起した凸部534aを有して構成されている。この冷却ピン534は霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状で、凸部534aが奥面仕切り壁511の凹部511aよりもさらに深い最深凹部511bに嵌めあわされている。
【0244】
よって、伝熱冷却部材である冷却ピン534の背面側には凹部511aよりもさらに深い最深凹部511bが備えられており、断熱材552の冷却室510側、すなわち風路541側は断熱材552が野菜室507の背面側の奥面仕切り壁511における他の部分よりも薄くなっており、この薄い断熱材552を熱緩和部材として、背面から冷却室510の冷気が熱緩和部材である断熱材552を介して冷却ピン534を冷却するように設置されている。
【0245】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の冷却は、冷却室510で生成された冷気を用いており、冷却ピン534は熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導だけで霧化先端部である霧化電極535の結露に必要な冷却を行うことができ、結露生成を行うことが可能となる。
【0246】
このように簡単な構造でミストを噴霧する抗菌装置を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
【0247】
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン534は霧化先端部である霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状をしているので、霧化部539の中で凸部534a側の端部534bが冷却手段に最も近接するため、冷却ピン534の中でも霧化電極535から最も遠い端部534b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
【0248】
また、霧化電極535に対向している位置で貯蔵室(野菜室507)側にドーナツ円盤状の対向電極536が、霧化電極535の先端と一定距離を保つように取付けられ、その延長上に噴霧口532が構成されている。
【0249】
さらに、霧化部539の近傍に電圧印加部533が構成され、高電圧を発生する電圧印加部533の負電位側が霧化電極535と、正電位側が対向電極536とそれぞれ電気的に接続されている。
【0250】
霧化電極535近傍では、ミスト噴霧のため、常に放電が起こるため、霧化電極535先端では、磨耗を生じる可能性がある。冷蔵庫500は、一般に10年以上の長期間に渡って運転することになるので、霧化電極535の表面は、強靭な表面処理が必要であり、例えば、ニッケルメッキ、および金メッキや白金メッキを用いることが望ましい。
【0251】
対向電極536は、例えば、ステンレスで構成されていて、また、その長期信頼性を確保する必要があり、特に異物付着防止、汚れ防止するため、例えば白金メッキなどの表面処理をすることが望ましい。
【0252】
電圧印加部533は、冷蔵庫本体の制御手段546と通信、制御され、冷蔵庫500もしくは静電霧化装置531からの入力信号で高圧のON/OFFを行う。
【0253】
本実施の形態では、電圧印加部533を静電霧化装置531内に設置しており、貯蔵室(野菜室507)内の低温高湿雰囲気なるため、電圧印加部533の基板表面上には、防湿のためのボールド材やコーティング材を塗布している。
【0254】
ただし、電圧印加部533を貯蔵室外の高温部に設置した場合には、コーティングを行わなくてもよい。
【0255】
なお、静電霧化装置531を固定している奥面仕切り壁表面551には、貯蔵室(野菜室507)の温度調節をする、もしくは表面の結露を防止するためヒータ等の加熱手段554が奥面仕切り壁表面551と断熱材552の間に設置されている。
【0256】
以上のように構成された本実施の形態の冷蔵庫500について、以下その動作、作用を説明する。
【0257】
まず、冷凍サイクルの動作について説明する。庫内の設定された温度に応じて制御基板(図示せず)からの信号により冷凍サイクルが動作して冷却運転が行われる。圧縮機509の動作により吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器(図示せず)である程度凝縮液化し、さらに冷蔵庫本体(断熱箱体501)の側面や背面、また冷蔵庫本体(断熱箱体501)の前面間口に配設された冷媒配管(図示せず)などを経由し冷蔵庫本体(断熱箱体501)の結露を防止しながら凝縮液化し、キャピラリーチューブ(図示せず)に至る。その後、キャピラリーチューブでは圧縮機509への吸入管(図示せず)と熱交換しながら減圧されて低温低圧の液冷媒となって冷却器512に至る。
【0258】
ここで、低温低圧の液冷媒は、冷却ファン513の動作により搬送する冷凍室吐出風路541などの各貯蔵室内の空気と熱交換され、冷却器512内の冷媒は蒸発気化する。この時、冷却室510内で各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。低温の冷気は冷却ファン513から冷蔵室504、切換室505、製氷室506、野菜室507、冷凍室508に冷気を風路やダンパを用いて分流させ、それぞれの目的温度帯に冷却する。特に、野菜室507は、冷気の配分や加熱手段554などのON/OFF運転により2℃から7℃になるように調整され、一般的には庫内温度検知手段を持たないものが多い。
【0259】
野菜室507は、冷蔵室504を冷却した後、その空気を冷却器512に循環させるための冷蔵室戻り風路540の途中に構成された野菜室用吐出口524から野菜室507に吐出し、上段収納容器520や下段収納容器519の外周に流し間接的に冷却し、その後、野菜室用吸込み口526から再び冷却器512に戻る。
【0260】
奥面仕切り壁511の比較的高湿度環境である箇所の一部について、断熱材552が、他の箇所より壁厚が薄く、特に、冷却ピン534の後方は最深凹部511bがあり、断熱材の厚みは例えば2mm〜10mm程度で構成されている。本実施の形態の冷蔵庫500においては、この程度の厚みが冷却ピン534と冷却手段との間に位置する熱緩和部材として適切なものとなる。これにより、奥面仕切り壁511は凹部511aが構成され、この凹部511aの最背面の最深凹部511bに冷却ピン534の凸部534aが突出した形状の静電霧化装置531が嵌めこまれて、取り付けられている。
【0261】
冷却ピン534背面にある冷凍室吐出風路541には、冷却システムの運転により冷却器512で生成し、冷却ファン513により−15〜−25℃程度の冷気が流れ、風路表面からの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン534が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン534は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン534を介して霧化先端部である霧化電極535も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
【0262】
ここで、野菜室507の温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、霧化先端部である霧化電極535は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極535には水が生成し、水滴が付着する。
【0263】
水滴が付着した霧化先端部である霧化電極535に負電圧、対向電極536を正電圧側として、電圧印加部533によりこの電極間に高電圧(例えば4〜10kV)を印加させる。このとき電極間でコロナ放電が起こり、霧化先端部である霧化電極535の先端の水滴が、静電エネルギにより微細化され、さらに液滴が帯電しているためレイリー分裂により数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストと、それに付随してオゾンやOHラジカルなどが発生する。電極間に印加する電圧は、4〜10kVと非常に高電圧であるが、そのときの放電電流値は数μAレベルであり、入力としては0.5〜1.5Wと非常に低入力である。
【0264】
具体的には、霧化電極535を基準電位側(0V)、対向電極536を高電圧側(+7kV)とすると、霧化電極535先端に付着した結露水は、霧化電極535と対向電極536間の空気絶縁層が破壊され、静電気力で放電が起こる。このとき結露水は帯電し、微細な粒子となる。さらに対向電極536がプラス側のため帯電した微細ミストは引き寄せられ、液滴がさらに微粒化され、ラジカルを含んだ数nmレベルの目視できない電荷をもったナノレベルの微細ミストが対向電極536に引き寄せられ、その慣性力により、貯蔵室(野菜室507)に向けて、微細ミストが噴霧される。
【0265】
なお、霧化電極535に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極535と対向電極536間に電流が流れない。
【0266】
また、霧化先端部である霧化電極535を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却することで間接的に霧化電極535を冷却することができ、伝熱冷却部材である冷却ピン534が霧化電極535よりも大きな熱容量を有するようにすることで、霧化先端部である霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化電極535を冷却することができ、また、蓄冷の役割を果たすことにより霧化電極535の急激な温度変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0267】
このように霧化先端部である霧化電極535を直接冷却することなく、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却することで間接的に霧化電極535を冷却することができ、伝熱冷却部材が霧化電極535よりも大きな熱容量を有するようにすることで、冷却手段の温度変化が霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることを緩和し、霧化先端部である霧化電極535を冷却することができ、霧化電極535の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0268】
このように、霧化電極535に対向する位置に対向電極536を備え、霧化電極535と対向電極536間に高圧電位差を発生させる電圧印加部533を有することで、霧化電極535近傍の電界が安定に構築できることによって微粒化現象、噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内に噴霧する微細ミストの精度をより高めることができ、霧化部539の精度を向上させることができ、信頼性の高い静電霧化装置531を提供することができる。
【0269】
さらに、伝熱冷却部材である冷却ピン534は熱緩和部材(断熱材552)を介して冷却されるので、上記のように霧化電極535を冷却ピン534で間接的に冷却するものにさらに、熱緩和部材である断熱材552を介して二重構造で間接的に冷却することができ、霧化先端部である霧化電極535が極度に冷却されることを防ぐことができる。
【0270】
霧化電極535の温度が1K下がれば、その先端の水生成スピードは約10%程度上昇する。しかし、霧化電極535が極度に冷却されると結露スピードが急激になり、それに伴い結露量が多大となり霧化部539の負荷の増大による静電霧化装置531への入力の増大および霧化部539の凍結、霧化不良が懸念されるが、こういった霧化部539の負荷増大による不具合を防ぐことができ、適切な結露量を確保することができ、低入力で安定的なミスト噴霧を実現することができる。
【0271】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の形状は、組み立て性を考慮すると円柱状が望ましい。正確には、直方体や正多角形体でもよいが、円柱の方が断熱材552の凹部511aに嵌め込むとき、静電霧化装置531を傾けながら取り付けることができる。逆に、多角形の場合は、円柱より位置決めがしやすい。
【0272】
さらに、冷却ピン534の中心軸上に霧化電極535を取り付けることより、冷却ピン534を取り付ける時、回転させても対向電極536と霧化電極535の距離を一定に保つことができ、安定した放電距離を確保できる。
【0273】
また、霧化先端部である霧化電極535を伝熱冷却部材(冷却ピン534)と熱緩和部材(断熱材552)とを介して二重構造で間接的に冷却することで、冷却手段の温度変化が霧化先端部である霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和することができるので、霧化電極535の負荷変動を抑え、安定した噴霧量のミスト噴霧を実現することができる。
【0274】
また、伝熱冷却部材である冷却ピン534の冷却は、冷却室510で生成された冷気を用いており、冷却ピン534を熱伝導性のよい金属片で形成したので、冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導だけで必要な冷却を行うことができる。
【0275】
また、この時、本実施の形態の伝熱冷却部材である冷却ピン534は、霧化先端部である霧化電極535と逆側に凸部534aを有する形状をしているので、霧化部539の中で凸部534a側の端部534bが冷却手段に最も近接するため、伝熱冷却部材である冷却ピン534の中でも霧化先端部である霧化電極535から最も遠い端部534b側から冷却手段である冷気によって冷却されることとなる。
【0276】
このように簡単な構造で冷却手段を構成することができるので、故障が少なく信頼性が高い霧化部539を実現することができる。また、冷凍サイクルの冷却源を利用して伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の冷却を行うことができるので、省エネルギで霧化を行うことができる。
【0277】
このように冷却手段によって冷却する際に、伝熱冷却部材である冷却ピン534の霧化先端部である霧化電極535から最も距離の離れた遠い部分である端部534bから冷却することで、冷却ピン534の大きな熱容量を冷却した上で、冷却ピン534によって霧化電極535が冷却されることで、冷却手段の温度変化が霧化電極535に直接的に大きな影響を与えることをさらに緩和し、より変動負荷の小さく安定的なミスト噴霧を実現することができる。
【0278】
また、霧化部539が取り付けられている奥面仕切り壁511は、貯蔵室(野菜室507)側の一部に凹部511aがあり、この凹部511aに凸部534aを有した霧化部539が挿入されることによって、熱緩和部材として貯蔵室(野菜室507)の奥面仕切り壁511を構成する断熱材552を用いることができ、特別な熱緩和部材を備えることなく断熱材552の厚みを調整することで、霧化先端部である霧化電極535が適度に冷却されるような熱緩和部材を備えることができ、霧化部539をより簡単な構成にすることができる。
【0279】
また、凹部511aに冷却ピン534からなる凸部534aを有した霧化部539を挿入することで、霧化部539をガタツキなく確実に仕切り壁に取り付けることができると共に、貯蔵室である野菜室507側への出っ張りを抑えることができ、人の手にも触れにくいので安全性を向上させることができる。
【0280】
また、貯蔵室である野菜室507の奥面仕切り壁511を挟んだ外側に霧化部539が出っ張らないので、冷凍室吐出風路541の風路断面積に影響を与えず、風路抵抗を増加させることによる冷却量の低下を防ぐことができる。
【0281】
また、野菜室507の一部に凹部511aがあり、そこに霧化部539が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材である冷却ピン534を確実に冷やすとともに、それ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので、外郭ケース537内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0282】
また、電極接続部材である冷却ピン534は、ある程度の熱容量を確保できており、冷却風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導の応答を緩和することができるので、霧化先端部である霧化電極535の温度変動を抑制することができ、また蓄冷部材としての働きを有することになるので、霧化先端部である霧化電極535の結露発生の時間を確保し、凍結も防止することができる。
【0283】
さらに、良熱伝導性の冷却ピン534と断熱材552を組み合わせることにより、損失なく良好に冷熱を伝導することができ、さらに冷却ピン534と霧化電極535の接合部の熱抵抗を抑えているので、霧化電極535と冷却ピン534の温度変動が良好に追従する。また、接合に関しても湿度が侵入することができないので、長期的に熱接合性が維持される。
【0284】
また、貯蔵室(野菜室507)が高湿環境下にあり、その湿度が伝熱冷却部材である冷却ピン534に影響する可能性があるので、冷却ピン534は耐腐食性、耐錆性の性能を持った金属材料、もしくはアルマイト処理などの表面処理、コーティングを行っているので、さび等が発生せず、表面熱抵抗の増加が抑制され、安定した熱伝導が確保できる。
【0285】
さらに、霧化先端部である霧化電極535表面がニッケルメッキや金メッキや白金メッキを用いているので、霧化電極535先端の放電による磨耗が抑制され、これにより、霧化電極535先端の形状が維持できるので、長期に噴霧することが可能となり、また、その先端の液滴形状も安定する。
【0286】
霧化電極535から微細ミストが噴霧されるとき、イオン風が発生する。このとき、外郭ケース537に設けられた湿度供給口538より、新たに高湿な空気が外郭ケース537内の霧化電極535部に流入するため、連続して噴霧することができる。
【0287】
霧化電極535で発生した微細ミストは、主に下段収納容器519内に噴霧されるが、非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、上段収納容器520にも微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びている。一方、野菜室507内には青果物である野菜の中でも緑の菜っ葉ものや果物等も保存されており、これらの青果物は蒸散あるいは保存中の蒸散によってより萎れやすいものである。野菜室内に保存されている野菜や果物の中には、通常、購入帰路時での蒸散あるいは保存中の蒸散によってやや萎れかけた状態のものが含まれており、プラスの電荷をもつ。よって、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
【0288】
また、野菜表面に付着したナノレベルの微細ミストは、OHラジカルと微量ではあるがオゾンなどを多く含んでおり、殺菌、抗菌、除菌などに効果がある他、酸化分解による農薬除去や抗酸化によるビタミンC量などの栄養素の増加を野菜に促す。
【0289】
ここで、霧化電極535に水がないときは、放電距離が離れ、空気の絶縁層を破壊することができず、放電現象が起こらない。これにより霧化電極535と対向電極536間に電流が流れない。この現象を冷蔵庫500の制御手段546で検知することにより電圧印加部533の高圧をON/OFFすることもできる。
【0290】
また、本実施の形態において、電圧印加部533は貯蔵室(野菜室507)内の比較的低温で高湿の位置に設置されており、電圧印加部533はポッチング材やコーティング材による防湿・防水構造をとることにより回路の保護を行っている。
【0291】
なお、電圧印加部533を貯蔵室外に設置し場合は、上記対応を行わなくてもよい。
【0292】
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室(野菜室507等)と、貯蔵室(野菜室507)内にミストを噴霧させる静電霧化装置531(霧化部539)を備え、静電霧化装置531の霧化部539は、高電圧を発生する電圧印加部533に電気的に接続されミストが噴霧される霧化先端部(霧化電極535)と、霧化電極535に対向する位置に配された対向電極536と、霧化先端部(霧化電極535)に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)と、霧化電極535を空気中の水分が結露する温度である露点以下にするため伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却する冷却手段を有し、冷却手段が伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却することで間接的に霧化先端部(霧化電極535)を露点以下に冷却し、霧化先端部(霧化電極535)に空気中の水分を結露させて貯蔵室(野菜室507)にミストとして噴霧することにより、貯蔵室(野菜室507)内の余剰な水蒸気から容易に、確実に霧化先端部(霧化電極535)に結露させることができ、対向電極136との間の高電圧のコロナ放電によってナノレベルの微細ミストが生成され、霧化されて噴霧された微細ミストが野菜等の青果物の表面に均一に付着し、青果物からの蒸散を抑制し、保鮮性を向上させることができる。また、青果物表面の細胞間隙や気孔等から、組織内に浸透し、萎んだ細胞内に水分が供給され、シャキッとした状態に復帰させることができる。
【0293】
また、霧化電極535と対向電極536と間で放電させるので、電界が安定に構築できることによって噴霧方向が定まり、収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内に微細ミストをより精度良く噴霧することができる。
【0294】
また、ミスト発生時に同時に発生するオゾンやOHラジカルにより脱臭、食品表面の有害物質除去、防汚などの効果を高めることができる。
【0295】
また、噴霧されたミストは直接、野菜室507の収納容器(下段収納容器519、上段収納容器520)内の食品に噴霧することができ、ミストと野菜の電位を利用して野菜表面にミストを付着させることができるので、より野菜等の青果物表面に対する抗菌性を向上させることが可能となる。
【0296】
さらに、霧化電極535に貯蔵室(野菜室507)内の余剰な水蒸気を結露させ、水滴を付着させ、ミストを噴霧することからミスト噴霧用の水を供給するための除霜ホースや浄化フィルター、もしくは水道直結の水供給経路、貯水タンクなどが不要であり、また、ポンプなどの送水手段等も使用しておらず、複雑な構成を要することなく、簡単な構成で貯蔵室(野菜室507)へ微細ミストを供給することができる。
【0297】
このように簡単な構成で安定的に貯蔵室(野菜室507)へ微細ミストを供給することができるので、冷蔵庫500の故障の可能性を大幅に低減することができ、信頼性をより高めた上で冷蔵庫500の品質を向上させることができる。
【0298】
さらに、水道水ではなく結露水を用いるためミネラル成分や不純物がないため、保水材を用いたときの劣化や目詰まりによる保水性の劣化を防ぐことができる。
【0299】
さらに、超音波振動による超音波霧化ではないので、超音波の周波数発信に伴う共振等の騒音、振動に対する考慮をしなくてもよい。
【0300】
さらに、貯水タンクが不必要であるので、貯水タンクを使用した場合に必要な欠水による超音波素子破壊の対応のための水位センサなどを設けなくてよく、より簡単な構成で冷蔵庫に霧化装置を備えることが可能となる。
【0301】
さらに、電圧印加部533が収納されている部分についても奥面仕切り壁511に埋め込まれて、冷却されているので基板の温度上昇を抑えることができる。これにより、貯蔵室(野菜室507)内の温度影響を少なくすることができる。
【0302】
また、本実施の形態では、各貯蔵室504,505,506,507,508を冷却するための冷却器512と、冷却器512を備えた冷却室510と貯蔵室(野菜室507)を断熱区画するための奥面仕切り壁511を備え、静電霧化装置531を奥面仕切り壁511に取り付けたことにより、貯蔵室(野菜室507)内の間隙に設置することで収納容積を減少することがなく、また、奥面に取り付けられていることで容易に人の手に触れることができないので安全性も向上する。
【0303】
また、本実施の形態では、静電霧化装置531の霧化先端部である霧化電極535に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)は、熱伝導性のよい金属片であって、伝熱冷却部材(冷却ピン534)を冷却する冷却手段は、冷却器512で生成された冷気が流れる風路(冷凍室吐出風路541)からの熱伝導を用いることにより、熱緩和部材である奥面仕切り壁511の断熱材552の壁厚を調整することにより伝熱冷却部材である冷却ピン534および霧化先端部である霧化電極535の温度を簡単に設定することができ、また、熱緩和部材である断熱材552を挟むことにより冷温冷気の漏れがないので外郭ケース537などの着霜や結露などの信頼性低下を防止することができる。
【0304】
また、本実施の形態では、静電霧化装置531(の霧化部539)が取り付けられている奥面仕切り壁511は、貯蔵室(野菜室507)側の一部に凹部511aがあり、そこに静電霧化装置531の霧化先端部である霧化電極535に接続された伝熱冷却部材(冷却ピン534)が挿入されていることにより、青果物や食品などを収納する収納量に影響することがなく、また、伝熱冷却部材(冷却ピン534)を確実に冷やすとともに、静電霧化装置531におけるそれ以外の部分については、断熱性が確保できる壁厚が確保できるので外郭ケース537内の結露を防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0305】
なお、本実施の形態における静電霧化装置531は、霧化先端部である霧化電極535と対向電極536との間に高電圧を印加するため、微細ミスト発生時にオゾンも発生するが、静電霧化装置531のON・OFF運転により、貯蔵室(野菜室507)内のオゾン濃度を調整することが出来る。オゾン濃度を適度に調整することにより、オゾン過多による野菜の黄化などの劣化を防止し、かつ、野菜表面の殺菌、抗菌作用を高めることが出来る。
【0306】
なお、本実施の形態では、霧化電極535を基準電位側(0V)とし、対向電極536に正電位(+7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させたが、対向電極536を基準電位側(0V)とし、霧化電極535に負電位(−7kV)を印加して、両電極間に高圧電位差を発生させてもよい。この場合、貯蔵室(野菜室107)に近い対向電極535が基準電位側になるので、冷蔵庫の使用者の手が対向電極536に近づいても感電等を起こさない。また、霧化電極535を−7kVの負電位にした場合、貯蔵室(野菜室507)側を基準電位側とすれば、特に対向電極536を設けなくてもよい場合もある。
【0307】
この場合は、例えば、断熱された貯蔵室(野菜室507)の中に導電性の収納容器を備え、その導電性の収納容器が収納容器の保持部材(導電性)と電気的に接続され、且つ保持部材と脱着可能な構成とし、保持部材を基準電位部と接続しアース(0V)にするのである。
【0308】
これにより、霧化部539と収納容器および保持部材が常に電位差を保つため安定的な電界が構成されることにより、安定的に霧化部539から噴霧でき、また、収納容器全体が基準電位になっているので、噴霧されるミストを収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
【0309】
このように、特に対向電極536を設けなくても、貯蔵室(野菜室507)側の一部にアースされた保持部材を備えることで、霧化電極535と電位差を発生させて、ミスト噴霧を行うことができ、より簡単な構成で安定的な電界が構成されることにより安定的に霧化部から噴霧できる。
【0310】
また、収納容器側に保持部材を取り付けると、収納容器全体が基準電位になっているので噴霧されるミストが収納容器全体に拡散することができる。さらに、周辺の物体への帯電も防止することができる。
【0311】
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却するための風路を、冷凍室吐出風路541としたが、製氷室506の吐出風路や、冷凍室戻り風路などの低温風路でも構わない。これにより、静電霧化装置531の設置可能場所が拡大する。
【0312】
なお、本実施の形態では、伝熱冷却部材である冷却ピン534を冷却する冷却手段は、冷蔵庫500の冷凍サイクルで生成された冷却源を用いて冷却された冷気としたが、冷蔵庫500の冷却源からの冷気もしくは冷温を用いた冷却管からの熱伝達を用いるものであってもよい。これにより、この冷却管の温度を調節することで、伝熱冷却部材である冷却ピン534を任意の温度に冷却することができ、霧化電極535を冷却する際の温度管理を行いやすくなる。
【0313】
なお、本実施の形態では、静電霧化装置531の霧化電極535周囲には、保水材を設けなかったが、保水材を配設してもよい。これにより、霧化電極135近傍で生成された結露水を霧化電極135周囲に保持することができるので、霧化電極135に適時に供給することができる。
【0314】
なお、本実施の形態において、静電霧化装置531(の霧化部539)でミストが噴霧される貯蔵室を野菜室507としたが、冷蔵室504や切換室505などの他の温度帯の貯蔵室でもよく、この場合、様々な用途に展開が可能となる。
【0315】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので冷却ピン534を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となる。
【0316】
このようにミストを噴霧せずオゾン発生装置もしくはマイナスイオン発生装置として静電霧化装置を利用する場合には、実施の形態2で具体的に説明したオゾン発生装置の別形態の装置として置き換えて設置することが可能である。その場合には、冷却ピンを必要とせず、もちろん冷却ピンを冷却する必要もないので、抗菌装置としての静電霧化装置は庫内の任意の箇所に取り付けることが可能であることはいうまでもなく、また冷却ピンを備えた場合であっても、冷却ピンを霧化電極として利用するのではなく霧化装置の位置決めとして利用するのも有効であり、この場合には適切な任意の庫内壁に取り付けることが可能となり、断熱壁に取り付ける場合のガタがすくなく高い精度で庫内壁に取り付けることが可能となり、ミストを噴霧する冷蔵庫と同じ霧化装置を共用することが可能となる。
【0317】
(実施の形態6)
図19は本発明の実施の形態6における冷蔵庫の断面図である。
【0318】
本実施の形態では、実施の形態1から5で詳細に説明した構成と異なる部分についてのみ詳細な説明を行い、実施の形態1から5で詳細に説明した構成と同じ部分もしくは、同じ技術思想が適用できる部分については、説明を省略する。
【0319】
特に、本実施の形態6では上記実施の形態5の抗菌装置である霧化装置の別の形態を中心に説明するものであって、光源等については説明を行わないが、実施の形態1から4で説明した光源等と同様の技術を適用することができる。
【0320】
図に示すように、本発明の実施の形態は、冷蔵庫600の最上部には第一の貯蔵室としての冷蔵室604、その冷蔵室604の下部に5℃前後の野菜室温度にも可変できる変温室701が構成され、変温室701のさらに下部に冷凍室608が構成されている。
【0321】
変温室701は、冷蔵室604と変温室701の温度帯を区切るための仕切り板621と、変温室701の温度帯を区切るために断熱性を確保した第二の仕切り壁と、変温室701の奥面の仕切り板321と、扉618で区画され、仕切り板721の一部に変温室吐出口725が設けられている。
【0322】
冷蔵室604と変温室701の奥面には冷蔵室仕切り板723が備えられ、この仕切りは変温室701奥面まで構成され、隔てて冷蔵室風路724が構成され、その一端には変温室吸込口726を構成されている。その中に高温側蒸発器704が備えられ、高温側蒸発器704の上方には冷蔵室用ファン722が設置され、冷蔵室に冷気を送付している。
【0323】
また、変温室701の奥面の仕切り板721の一部には変温室701に抗菌装置である静電霧化装置631が構成されている。
【0324】
変温室701の背面の仕切り板621は、主にABSなどの樹脂と発砲スチロールなどの断熱材で構成され、その内箱の一部に霧化装置である静電霧化装置631が設置されている。
【0325】
静電霧化装置631を固定している仕切り板721には、静電霧化装置631に備えられた伝熱接続部材である冷却ピン634の温度調整と、霧化先端部である霧化電極635を含めた周辺部の過剰結露を防止するための冷却ピンヒータ658が霧化部639近傍に設置されている。
【0326】
この伝熱接続部材である冷却ピン634が外郭ケース637に固定され、冷却ピン634自体は外郭から突起した凸部634aを有して構成されている。この冷却ピン634は霧化電極635と逆側に凸部634aを有する形状で、凸部634aが仕切り板721の一部に凹部が構成され、嵌めあわされている。
【0327】
このとき、伝熱接続部材である冷却ピン634の背面側は、高温側蒸発器704に近接した配置となっている。
【0328】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0329】
三方弁が高温側キャピラリ710へ流路が開の時、冷蔵室604と変温室701の冷却を行う。このとき、冷蔵室604もしくは変温室701内に設置された温度検知手段により、三方弁の開閉、冷蔵室用722ファンの動作が決定されており、これにより冷蔵室604、変温室701の温度を一定に保っている。
【0330】
ここで、変温室701は任意の温度が設定できる部屋であり、−2℃程度のパーシャル温度帯から5℃程度の野菜室および12℃前後のワイン室まで切り替えることが可能である。よって、青果物などの保存するための野菜室として使用される場合がある。
【0331】
そこで、変温室701の温度設定が野菜保存温度程度、例えば、2℃以上の設定になっている場合、静電霧化装置631を動作させ、収納物の保鮮度を向上させる。
【0332】
ここで変温室701の奥面の仕切り板721の比較的高湿度環境である箇所の一部に静電霧化装置631が設置されており、特に、冷却ピン634の後方は高温側蒸発器704と近接している。
【0333】
冷却ピン634背面にある高温側蒸発器704には、冷却システムの運転によりその冷媒管もしくはフィンなどの熱伝導部材は−15〜−25℃程度の温度となり、それらからの熱伝導で伝熱冷却部材である冷却ピン634が例えば0〜−10℃程度に冷却される。このとき、冷却ピン634は、良熱伝導部材であるため、冷熱を非常に伝えやすく、冷却ピン634を介して霧化先端部である霧化電極135も0〜−10℃程度に間接的に冷却される。
【0334】
ここで、三方弁708が高温側キャピラリの流路を開の状態になるように設定された場合、冷蔵室604と変温室701が冷却モードとなり変温室は低湿状態になる。また、三方弁708が高温側キャピラリの流路を閉の状態になるように設定された場合、変温室は比較的高湿になるとともに、冷蔵室用ファン722を動作させ、高温側蒸発器に付着した霜を融解、除霜することが可能であり、そのとき、変温室701は比較的高湿空間になる。
【0335】
よって、冷却ピン634の背面の高温側蒸発器704の温度が上昇しても霧化することが可能となる。
【0336】
ここで、変温室701の温度設定が野菜室設定の場合、温度は2℃から7℃で、かつ野菜などからの蒸散により比較的高湿状態であるので、静電霧化装置631の霧化先端部である霧化電極635は露点温度以下となれば、先端を含め、霧化電極635には水が生成し、水滴が付着し、高圧印加によりラジカルを有した微細ミストを発生することが可能となる。
【0337】
この微細ミストは、静電霧化装置631の外郭ケース637に構成されている噴霧口632を通過し、変温室701に噴霧されるが非常に小さい微粒子のため拡散性が強く、変温室701全体微細ミストは到達する。噴霧される微細ミストは、高圧放電で生成されたため、マイナスの電荷を帯びているので、変温室701にはプラスの電荷をもつ青果物である野菜が収納されているので、霧化されたミストは、野菜の表面に集まりやすく、これにより保鮮性が向上する。
【0338】
ただし、噴霧可能であれば、上記温度に限定されることはない。例えば、変温室が−2℃程度のパーシャル温度や、0℃程度の氷温、1℃前後のチルド温度帯に設定されていても、静電霧化装置631が噴霧可能と判定できれば、噴霧することにより、生鮮食料品表面に微細ミストが付着することにより除菌性が向上するのでより長期間保存することが可能になる。
【0339】
また、冷蔵室用ファン322の動作と静電霧化装置631の動作を連動させることにより効率のよいミスト噴霧を実現できる。
【0340】
また、静電霧化装置631の冷却ピン634近傍に温度調整用のヒータを配置することにより、霧化電極の温度制御、霧化先端部の水量調整を可能にするのでより安定した霧化状態を実現できる。
【0341】
以上のように、本実施の形態は、抗菌装置として静電霧化装置631を備え、ラジカルを含んだミストを噴霧することで菌の増殖を防ぐものであるが、このような抗菌機能を有するのは高圧印加により発生するラジカルであるので、脱臭装置としてはミストが必須条件ではないが、ラジカルを含んだミストを抗菌装置とすることで、一般的には耐久時間が非常に短く消滅しやすいラジカルがミストに覆われて浮遊するために、ラジカルが存在する耐久時間が大幅に長くなることが大きな特徴である。また、ミストの場合には気体とは違って液体であるミスト粒子が野菜表面に付着することで、より除菌効果を高めることが可能である。
【0342】
なお、本実施の形態では、抗菌装置としてミストを噴霧する霧化装置を備えたものとしたが、本実施の形態と同じ静電霧化装置を備えたもので冷却ピン534を備えずに放電した場合には、静電霧化装置は液体であるミストは噴霧せず、気体であるオゾンおよびマイナスイオンを発生させることができる抗菌装置となることは実施の形態5において説明した通りである。
【産業上の利用可能性】
【0343】
本発明の冷蔵庫は、青果物への光の照射による青果物の保存性の向上を行うと共に、青果物の保存性の向上を行っていることをユーザへ視覚的に示すことで使い勝手の向上も図ることで、より品質の高い冷蔵庫を提供できるので、特に青果物を長期にわたって保存するための冷蔵庫に適している。
【図面の簡単な説明】
【0344】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
【図2A】本発明の実施の形態1の冷蔵庫におけるパプリカの保存中におけるビタミンC量の変化を説明するための説明図
【図2B】本発明の実施の形態1の冷蔵庫における光源の照射の制御フロー図
【図3】本発明の実施の形態2における冷蔵庫を示す正面図
【図4】本発明の実施の形態2の冷蔵庫の縦断面図
【図5】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の正面図
【図6】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の縦断面図
【図7】実施の形態3における冷蔵庫の野菜室の斜視図
【図8】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の水収集手段近傍の断面図
【図9】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の機能ブロック図
【図10】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の除菌イメージ図
【図11】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでの細菌の除菌効果を示した図
【図12】本発明の実施の形態4における冷蔵庫のカビ抑制イメージ図
【図13】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでのカビの除菌効果を示した図
【図14】本発明の実施の形態4における冷蔵庫の抗ウイルスイメージ図
【図15】本発明の実施の形態4における冷蔵庫を想定したBOXでの抗ウイルス効果を示した図
【図16】本発明の実施の形態5における冷蔵庫を左右に切断した場合の断面を示す縦断面図
【図17】本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室の奥面を示す要部正面図
【図18】本発明の実施の形態5の冷蔵庫における野菜室に備えた静電霧化装置の周辺部を図17のA−A線で切断し切断面を矢印方向から見た断面図
【図19】本発明の実施の形態6における冷蔵庫の断面図
【図20】従来の冷蔵庫の各貯蔵室の基準温度と基準色の関係を説明するための説明図
【図21】同従来の冷蔵庫の冷蔵室の庫内灯の制御を示すフローチャート
【符号の説明】
【0345】
1 本体
6 切り替え室
13 光源
237 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射する冷蔵庫。
【請求項2】
前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光を青色光とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光を緑色光とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを同時に照射し、前記光源の前記青果物に対する照度が5〜500Lxである請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記光源の前記青果物に対する照度は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光よりも前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光の方が明るい請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを間欠照射する請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射である請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを前記青果物に直接照射するよう配置されている請求項1から7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項1】
冷蔵庫の庫内の青果物を収納する貯蔵室と、前記貯蔵室内の空間へ光の照射を行なう複数の光源とを有し、前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と、前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを組み合わせて照射する冷蔵庫。
【請求項2】
前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光を青色光とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光を緑色光とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを同時に照射し、前記光源の前記青果物に対する照度が5〜500Lxである請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記光源の前記青果物に対する照度は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光よりも前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光の方が明るい請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを間欠照射する請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光のいずれもが照射されない消灯間隔を有する間欠照射である請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記光源は、前記青果物の表面に光を浸透させる波長の光と前記青果物の内部へ光を浸透させる波長の光とを前記青果物に直接照射するよう配置されている請求項1から7のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【図2A】
【図2B】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2B】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−78300(P2010−78300A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267016(P2008−267016)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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