説明

冷蔵庫

【課題】レール装置にかかる負荷量が増大することで、長期間の引出扉201の開閉動作により、レール装置が変形し、引出扉201を前後にスムーズに移動できなくなるというおそれがある。
【解決手段】引出扉201とともに容器206を前後に移動可能とする移動レールと、移動レールと引出扉201を固定する扉フレーム205とを備え、引出扉201を最前方に引き出したときに、扉フレーム205と移動レールとの固定部は、開口部より前方に位置し、扉フレーム205の後端は開口部より後方に位置する構成とすることで、扉フレーム205に十分な長さを確保するとともに、扉フレーム205と移動レールとの固定部にかかる応力を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に引出式の貯蔵室を形成する引き出し構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫は、奥まで無駄なく貯蔵できる、使い勝手がよい等の観点から、冷蔵庫の下段に引き出し式の貯蔵室を備えることが多い。このような引き出し式の貯蔵室は、貯蔵室を出し入れする際の円滑性、貯蔵室への食品の出し入れの容易性、および、貯蔵室を形成する容器の着脱の容易性などが求められている。
【0003】
そこで、引き出し式の貯蔵室の使い勝手を向上させる技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図14は、従来の冷蔵庫100の側断面を示す図である。
【0005】
図14に示す従来の冷蔵庫100は、断熱箱体101内に、冷蔵室102、温度変更が可能な切換室106、切換室106に併設された製氷室(図示せず)、野菜室103、および冷凍室104を貯蔵室として備えている。
【0006】
断熱箱体101は、外箱112と内箱110と、外箱112および内箱110の間に充填された断熱材111と、で形成されている。
【0007】
野菜室103の構成要素である容器306は、野菜室103の引出扉201に接続された2つのレール装置202に支持されている。
【0008】
また、冷凍室104の構成要素である容器306は、冷凍室104の引出扉201に接続された2つのレール装置202に支持されている。
【0009】
野菜室103および冷凍室104はそれぞれこのような構成であることにより、断熱箱体101に対して出し入れ可能な引き出し式の貯蔵室となっている。
【0010】
ここで、従来の冷蔵庫において前面開口を閉塞するための引出扉201について説明する。
【0011】
図15は、引出扉を奥側から示す斜視図である。
【0012】
図15に示すように、引出扉201には、扉フレーム305が引出扉201に対して垂直突出状に取り付けられている。扉フレーム305は、引出扉201に取り付けられ、移動レールと固定レールを備えたレール装置202がスライド可能に係合し、引出扉201を垂直方向に起立させた状態のまま水平方向に引き出し押し戻すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−177653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが近年、冷蔵庫の構成要素の配置等を工夫することなどにより実収納可能な内容積を増加させる傾向にある。
【0015】
従来の引き出し式の貯蔵室が備える容器は、扉フレーム305を介してレール装置202に載置しており、容器306の内容積の増加により容器306に収納される収納物が増大すると、レール装置202への負荷も大きくなる。このため、引出扉201を開放する際に、レール装置202に大きな負荷がかかる。
【0016】
特に、扉フレーム305と引出扉201との取り付け部分である扉フレーム305の前端に、下向きにかかる応力が増大する。さらに、その反力として、扉フレーム305とレール装置202との固定部である扉フレーム305の後端に、上向きにかかる応力が増大する。
【0017】
そして、レール装置202にかかる負荷量が増大することで、長期間の引出扉201の開閉動作により、レール装置202が変形し、引出扉201を前後にスムーズに移動できなくなるというおそれがある。このため、引出扉201が野菜室103または冷凍室104の開口部を閉塞しても、開口部に対して引出扉201が歪んで閉塞されたり、開口部を引出扉201のシール部(図示しない)でシールできないことが起こり、貯蔵室内の冷気が漏れて所定温度に冷却できないという課題がある。
【0018】
本願発明は、上記従来の課題を解決するもので、引き出し式の貯蔵室を備える冷蔵庫であって、引き出し式の貯蔵室に広い実収納容積を確保することができ、扉フレームにかかる荷重を分散し、レール装置の変形による引出扉の歪みを低減して、引出扉の不平衡によるシール部の隙を抑制し冷却性能を向上させた冷蔵庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記従来の課題を解決するために、本願発明の冷蔵庫は、内箱と外箱と前記内箱と前記外箱との間に充填した断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の内方に形成され前面に開口部を備えた貯蔵室と、前記貯蔵室の内部に設けられ上面が開口する容器と、前記開口部を開閉自在に閉塞する引出扉と、前記引出扉とともに前記容器を前後に移動可能とする移動レールと、前記移動レールと前記引出扉を固定する扉支持部材とを備え、前記引出扉を最前方に引き出したときに、前記扉支持部材と前記移動レールとの固定部は前記開口部より前方に位置し、前記扉支持部材の後端は前記開口部より後方に位置するものである。
【0020】
これによれば、扉支持部材に十分な長さを確保するとともに、扉支持部材と移動レールとの固定部にかかる応力を抑制することで、レール装置の変形を抑制し、引出扉の歪みを低減して冷却性能の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の冷蔵庫は引出式の貯蔵室において広い実収納空間を確保しつつ、レール装置の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図
【図2】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の断面図
【図3】本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の引出扉と扉フレームを示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の扉フレームを示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍室における内箱とレール装置の取付部を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室における内箱とレール装置の取付部を示す断面図
【図8】本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置と容器とを示す断面図
【図9】(A)本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置と容器の配置を示した要部拡大図(B)同冷蔵庫のレール装置と容器の配置を示した要部拡大図(C)同冷蔵庫のレール装置と容器の配置を示した要部拡大図
【図10】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の容器の斜視図
【図11】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の引出扉を引き出した状態の要部側面図
【図12】(A)本発明の実施の形態2における冷蔵庫の引出扉を引き出した状態の要部側面図(B)同冷蔵庫の引出扉を閉じた状態の要部側面図
【図13】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の引出扉を引き出した状態の野菜室における断面図
【図14】従来の冷蔵庫の断面図
【図15】従来の冷蔵庫の引出扉とレール装置とを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の発明は、内箱と外箱と前記内箱と前記外箱との間に充填した断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の内方に形成され前面に開口部を備えた貯蔵室と、前記貯蔵室の内部に設けられ上面が開口する容器と、前記開口部を開閉自在に閉塞する引出扉と、前記引出扉とともに前記容器を前後に移動可能とする移動レールと、前記移動レールと前記引出扉を固定する扉支持部材とを備え、前記引出扉を最前方に引き出したときに、前記扉支持部材と前記移動レールとの固定部は前記開口部より前方に位置し、前記扉支持部材の後端は前記開口部より後方に位置するものである。
【0024】
これによれば、扉支持部材に十分な長さを確保し、容器からの荷重を移動レール全体に分散できるとともに、扉支持部材と移動レールとの固定部にかかる応力を抑制することで、レール装置の変形を抑制し、引出扉の歪みを低減して冷却性能の向上を図ることが可能となる。さらに、レール部材を覆うことで、レール部材で手や指が傷つくことや、移動レールと開口部との間に指などが挟まることを防止できるので、安全性が向上する。また、レール部材が見えにくくなるので外観意匠の向上が図れる。
【0025】
第2の発明は、特に、第1の発明の固定部は、前記移動レールに設けられた突起部と、前記扉支持部材の長手方向における中央より後方に設けられた係止部とすることにより、引出扉を引き出す際に力のかかる引出扉上部と固定部との距離を短くすることができるので、固定部にかかる応力を抑制しつつ、扉支持部材と移動レールとをガタツキなく確実に固定するとともに、扉支持部材と移動レールとの取り付け、取り外し性を向上することができる。
【0026】
第3の発明は、特に、第2の発明の係止部は、前記容器の後端より前方に位置することにより、扉支持部材と移動レールとの固定部にかかる応力を、容器の剛性により抑制することができ、レール装置の変形の抑制が可能となる。
【0027】
第4の発明は、特に、第4の発明の係止部は、扉支持部材は、切り欠き部を備え、前記切り欠き部を折り曲げることで、前記係止部を覆うことによって、簡単な構成で、係止部を覆うことで、係止部で手や指が傷つくことを防止できるので、安全性が向上する。また、係止部が見えにくくなるので外観意匠の向上が図れる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態にかかる冷蔵庫100は、観音開き式の扉を上部に備える冷蔵庫100であり、冷蔵庫100の内方と外方とを断熱状態で隔てる断熱箱体101内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
【0031】
冷蔵庫100の内の複数に区画された貯蔵室は、その機能(冷却温度)によって冷蔵室102、製氷室105、庫内の温度が変更できる切換室106、野菜室103、および冷凍室104等と区別して称されることがある。
【0032】
冷蔵庫100の最上部に位置する冷蔵室102の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した回転式の断熱扉107が設けられ、棚状の収納空間となっている。
【0033】
また、冷蔵室102の下方に配置される製氷室105、切換室106、野菜室103、および冷凍室104は引出式の収納空間となされている。
【0034】
断熱箱体101は、金属製の外箱112と樹脂製の内箱110との間に例えば硬質発泡ウレタンなどの断熱材111を充填して形成される少なくとも一面が開口した直方体の箱体である。この断熱箱体101は、外方の雰囲気(大気)から断熱箱体101の内方に流入しようとする熱を遮断する機能を有している。
【0035】
冷蔵室102は、冷蔵保存のために収容物が凍らない程度の低い温度に維持される貯蔵室である。具体的な温度の下限としては、通常1〜5℃で設定されている。
【0036】
野菜室103は、断熱箱体101の最下部に配置され、主として野菜の冷蔵を目的とした貯蔵室である。また、野菜室103は、冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定となされている。具体な温度の下限としては、2℃〜7℃である。なお、低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
【0037】
冷凍室104は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室である。具体的には、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。
【0038】
製氷室105は、内方に製氷機(図示せず)を設け製氷機で氷を作りその氷を保存する貯蔵室である。設定温度は冷凍室104とほぼ同等である。
【0039】
切換室106は、冷蔵庫100に取り付けたれた操作盤により、用途に応じ冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで切り換えることができる。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図であり、図1におけるA−A線で切断した状態を示している。
【0041】
図2に示すように、異なる温度帯の貯蔵室を区画するために、各貯蔵室の間に仕切壁108が設置されている。冷蔵庫100に備えられる貯蔵室のうち引出式の貯蔵室には、前面開口を閉塞する引出扉201と、引出扉201と断熱箱体101とを伸縮自在に接続す
るとともに貯蔵室の内部に備えた容器206を前後に移動可能とするレール装置202とが設けられている。
【0042】
引出扉201は、貯蔵室の開口を開閉自在に閉塞することができる断熱性を備えた板状の部材であり、奥側周縁にパッキン207を備えている。パッキン207は、引出扉201が貯蔵室の開口を閉塞した状態で断熱箱体101等と密着し、冷気が漏れるのを防いでいる。また、引出扉201の正面上部には、貯蔵室を手前に引き出すときに手を掛ける手掛部201aを備えている。
【0043】
引出扉201には、本発明における扉支持部材である扉フレーム205が引出扉201に対して垂直突出状に取り付けられている。そして、扉フレーム205は、レール装置202に取り付けられている。さらに、扉フレーム205は容器206の底部両端を保持している。すなわち、容器206は、扉フレーム205を介して、レール装置202に取り付けられている。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置を示す斜視図である。
【0045】
図3に示すように、レール装置202は、三段に重ねられた三つのレールを有し、第2レール(ミドルレール221)が第1レール(キャビネットレール222)に対して移動可能であり、かつ、第3レール(トップレール203)が第2レール(ミドルレール221)に対して移動可能であることにより、全体として伸縮可能である。
【0046】
キャビネットレール222は、内箱110の側面または底面に固定された「固定レール」であり、トップレール203とミドルレール221とが、固定レールに対し移動可能に設けられた「移動レール」である。
【0047】
キャビネットレール222には、平板状のレール取付部223が一体に形成されている。
【0048】
トップレール203の上面には、扉フレーム205と固定するための鉤形状部231と固定穴232とが設けられている。鉤形状部231は本発明における突起部であり、トップレール203の長手方向における中央より後方に設けられている。鉤形状部231は、トップレール203の上面の一部を略コの字状に切り欠き、その切欠きを切り起して形成されており、トップレール203の上面に対して略垂直に立ち上がる垂直部231aと垂直部231aの先端に設けられトップレール203の上面に対して略水平に、前方に曲げられた水平部231bとから形成されている。水平部231bの長さは、垂直部231aの高さより長くなるように構成されている。
【0049】
固定穴232は、トップレール203の前端から固定穴232の強度の確保上必要な長さを確保し、かつ/または、扉フレーム205に設けられた丸穴と対応するように設けられたネジ穴である。
【0050】
次に、引出扉201と扉フレーム205について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における引出扉と扉フレームとを接続した状態を示す斜視図である。
【0051】
図4に示すように、引出扉201には、奥側面のほぼ全面を覆う内側板211側に、扉フレーム205が固定されている。内側板211は、引出扉201を構成する部材の一つであり、真空成形により形成される板状の部材である。
【0052】
内側板211は主に樹脂によって成型されているため、内側板211に直接ビスで固定
しても、扉フレーム205にかかる荷重に耐え得る強度が確保できない。そこで、扉フレーム205を確実に固定する手段として、扉フレーム205を、内側板211を介して、引出扉201内の断熱材に埋設した補強板(図示せず)にビス等により固定されている。
【0053】
補強板は、内側板211の上下方向に延在し、主に鉄などの金属材料によって形成される。補強板は、左右の扉フレーム205に対応して、独立して2枚、設けられている。
【0054】
また、内側板211は、扉フレーム205との取付部の外側に、内面より後方に突出する側方リブ302を備えている。側方リブ302は、少なくとも、側方リブ302の長手方向における中央より下方の高さは一定となるように形成されている。さらに、側方リブ302の長手方向における中央より下方の高さは、引出扉201に固定された扉フレーム205の拡大部281の幅(前後方向長さ)以上の高さを有することがより望ましい。
【0055】
さらに、側方リブ302の長手方向における中央より下方の幅も、一定となるように形成されているのが望ましい。また、両側に設けられた側方リブ302の下端は、それぞれ下方リブ303で接続されている。下方リブ303は、内側板211と扉フレーム205との取付部より下方で、内面より後方に突出するように設けられており、その高さは側方リブ302の下端の高さと略同一である。
【0056】
また、内側板211には容器固定手段301が設けられている。容器固定手段301は金属製の部材で、前述の補強板に、内側板211を介してビス等により固定されている。容器固定手段301の上方は内側板211との間に隙間を備えており、この隙間に容器206の一部を差し込むことで、容器206を固定できる。
【0057】
図5を用いて、扉フレーム205についてさらに詳しく説明する。図5は、本発明の実施の形態1における引出扉と扉フレームとを接続した状態を示す斜視図である。
【0058】
扉フレーム205は、トップレール203の上面を覆う上面部282と、トップレール203の庫外側の側面を覆う側面部283とを備えている。上面部282、側面部283の全長はトップレール203の全長より長いことが望ましい。
【0059】
上面部282の庫内側の端部は略直角に切り起され、側面部283と略並行となる本体部284が形成されている。本体部284の前端部には、本体部284より上方に突出した拡大部281を備えている。拡大部281の前端には、端縁が引出扉201の内側板211に沿うように折り曲げられた折曲部241を備えている。折曲部241は、折曲部241の上端が引出扉201の高さ方向の中央より下方に位置するように引出扉201に取り付けられる。また、トップレール203の基端部より上方の引出扉201の部分に取り付けられる。
【0060】
拡大部281を折曲部241と扉フレーム205との間に設けることで、扉フレーム205と引出扉201との固定部の大きさを高さ方向に大きくすることとなり、引出扉201に対して下部に取り付けられているレール装置202と引出扉201との取付部の強度不足を補うことができる。すなわち、引出扉201、特に引出扉201の上端部を持って引き出したり押し戻したりしたときに発生する応力が、扉フレーム205の前端部に集中するのを緩和することができる。
【0061】
本体部284の上端には、上面部282に対して略水平となるように折り曲げて形成されたフランジ部285を備えている。フランジ部285の前方、および/または、後方には、フランジの一部を切り欠いたフランジ切欠部285aが設けられている。このフランジ切欠部285aに容器206の一部を差し込むことで、容器206を固定できる。
【0062】
上面部282には、トップレール203と固定するための矩形穴286と丸穴287とが設けられている。矩形穴286は本発明における係止部であり、扉フレーム205の長手方向における中央より後方に設けられている。特に、本体部284の長手方向における中央より後方に設けられていることが望ましい。矩形穴286は、トップレール203に設けられた鉤形状部231が嵌め込まれるのに十分な大きさを有している。
【0063】
丸穴287は、上面部282の前端から丸穴287の強度の確保上必要な長さを確保し、かつ/または、トップレール203に設けられた固定穴232と対応するように設けられた穴である。
【0064】
矩形穴286に対応する位置の本体部284には、本体切欠部288が形成されている。本体切欠部288は、本体部284の一部を略コの字状に切り欠き、その切欠きを切り起して、本体部284に対して略垂直に、庫外側に曲げて形成されている。このため、本体部284の本体切欠部288が形成された箇所には、本体穴部289が形成されることとなる。
【0065】
ここで、扉フレーム205とトップレール203との固定方法について説明する。まず、トップレール203に設けられた鉤形状部231を扉フレーム205の矩形穴286に引っ掛ける。すなわち、鉤形状部231の垂直部231aを矩形穴286から、扉フレーム205の上面部282上方に貫通させ、扉フレーム205をトップレール203に対し相対的に前方にずらすことで、鉤形状部231の水平部231bを矩形穴286の前端部上面に移動させる。次に、扉フレーム205の上面部282上方から、扉フレーム205の丸穴287を介して、トップレール203に設けられた固定穴232に、ネジをねじ込む。
【0066】
これにより、扉フレーム205とトップレール203とは、鉤形状部231と矩形穴286とで固定される第一固定部と、矩形穴286と丸穴287とネジとで固定される第二固定部の2箇所により確実に固定される。少なくとも一方の固定部を、突起部と係止部とからなる引っ掛ける方式とすることで、扉フレーム205のトップレール203への取り付け、取り外しが容易になる。なお、第二固定部に上向きに作用する力に確実に抗する点からは、第二固定部を引っ掛ける方式とすることが望ましい。
【0067】
また、本実施の形態では、矩形穴286および上面部282の上面に突出した鉤形状部231の水平部231bを覆うように、本体切欠部288が形成されている。これにより、簡単な構成で、矩形穴286や鉤形状部231で手や指が傷つくことを防止でき、安全性が向上する。また、第一固定部が見えにくくなるので外観意匠の向上が図れる。
【0068】
冷蔵庫の内箱110とレール装置202の取付について、引出式の貯蔵室のうち冷凍室104を例に説明する。図6は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍室における内箱とレール装置の取付部を示す断面図である。
【0069】
まず、レール装置202についてさらに詳しく説明する。
【0070】
キャビネットレール222の長手方向に垂直な断面形状は、左右対称ではなく、高さの高い方の側面が、内箱110の内側面に固定されている。
【0071】
ミドルレール221は、断面がIの字状であり、左右に突出したフランジを長手方向の上下に有する形状である。この上下のフランジのうちの下のフランジは、キャビネットレール222に長手方向に移動可能に保持されている。
【0072】
トップレール203は、断面がコの字状の断面形状であり、ミドルレール221の上のフランジを長手方向に移動可能に保持している。
【0073】
キャビネットレール222とトップレール203のそれぞれは、回転支持部材保持部146により複数の回転支持部材145を保持しており、この回転支持部材145によりミドルレール221を移動可能に保持している。なお、回転支持部材145としては、ベアリングを用いることができる。
【0074】
より詳細に説明すると、ミドルレール221の上下のフランジのうち、下のフランジを中心とする部分をキャビネットレール222が複数の回転支持部材145を介して三方向から保持している。
【0075】
また、ミドルレール221の上フランジを中心とする部分をトップレール203が複数の回転支持部材145を介して三方向から保持している。
【0076】
キャビネットレール222、ミドルレール221およびトップレール203がこのように組み合わされていることにより、ミドルレール221は、キャビネットレール222上をその長手方向に移動可能である。さらに、トップレール203は、ミドルレール221上をその長手方向に移動可能である。つまり、トップレール203は、ミドルレール221を介してキャビネットレール222上をその長手方向に移動可能である。
【0077】
また、ミドルレール221およびトップレール203は、複数の回転支持部材145が回転することによりスムーズに移動することができる。
【0078】
トップレール203、ミドルレール221、キャビネットレール222、回転支持部材145は、予め組み込んだ状態で、内箱110に取り付けられる。
【0079】
次に、レール装置202の内箱110への取付について説明する。
【0080】
図6に示すように、キャビネットレール222に一体に形成されたレール取付部223を内箱110の側部に面で当接するように配設し、内箱110の側部にビス400によって固定する。
【0081】
このとき、取り付け面となる内箱110は主に樹脂によって成型されているため、内箱110に直接ビスを固定しても、レール装置202にかかる荷重に耐え得る強度が確保できない。そこで、レール装置202を確実に固定する手段として、レール取付部223を、内箱110を介して、断熱材111内に埋設したレール保持部材270に取り付ける。
【0082】
レール保持部材270は主に鉄などの金属材料によって形成される。また、レール保持部材270を、あらかじめ内箱110内面の所定位置に固定し、その後、発泡断熱材を内箱110と外箱112との間に充填しに断熱材111内に埋没させることにより、レール保持部材270の保持力をより向上させることが可能となる。
【0083】
レール保持部材270は、レール取付部223とビス400で固定されるレール保持部270aと、レール装置202の内倒れを防止する内倒れ防止手段270bを一体に形成してある。内倒れ防止手段270bはレール保持部270aの下部に形成された横フランジ部である。
【0084】
より具体的には、内倒れ防止手段270bは、断熱材111側から内箱110に密着す
るように形成された縦フランジ部であるレール保持部270aの下部から内箱110を離れて外箱112の方向へ折れ曲って形成され、さらに先端部分は下向きに折れ曲って形成されている。そして充填された断熱材111に内倒れ防止手段270bの横フランジ部が面で断熱材111を受け、さらに横フランジ部が断熱材内に食らい込むので、レール保持部材270の強度を確保できる。これにより、レール取付部223が冷凍室の庫内側へ倒れ込むのを防止し、さらにレール装置202が庫内側方向への倒れを防止することができ、引出扉201の開閉をスムーズに行なうことができる。
【0085】
なお、横フランジ部の内倒れ防止手段270bはレール保持部270aの上部から折れ曲って一体に形成されてもよく、さらに上部と下部の両方に内倒れ防止手段270bを形成してもよい。これによって、レール保持部270aに対して上部と下部の横フランジ部が面で断熱材111を受け、さらに上下の横フランジ部が断熱材内に食らい込むので、さらにレール保持部材270の強度を確保できる。
【0086】
また、冷凍室104の底面壁となる仕切壁108は、両側部に底面段差部108aが形成され、底面段差部108aは仕切壁108の基準面となる中央部よりも一段高く奥行き方向に向かって形成されている。
【0087】
そして、底面段差部108a上にレール装置202が配設されている。またレール装置202が固定される内箱110の側壁面部には側面段差部110aが形成されている。側面段差部110aは冷凍室104内の上部側壁面部よりも外箱112側へ凹んで形成され壁厚が薄くなっている。
【0088】
したがって、レール装置202を底面段差部108aに載置して側面段差部110aにビス止め固定するので、収納空間内に飛び出すレール装置202を抑制することができ、冷凍室104内に容器206の全幅寸法を大きくでき、無効空間を低減することができる。
【0089】
また、底面段差部108aに載置してレール装置202を組立てるので作業性を向上できる。さらに、底面段差部108aの部分は仕切壁108の壁厚が大きくなるので、冷凍室104内にある金属製のレール装置202が冷やされて、下部にある野菜室103の天面となる仕切壁108が結露するのを防止することができる。
【0090】
次に、冷蔵庫の内箱110とレール装置202の取付について、引出式の貯蔵室のうち野菜室103を例に説明する。図7は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室における内箱とレール装置の取付部を示す断面図である。
【0091】
図7に示すように、最下部に形成された野菜室103のレール保持部材280は断熱材111内に配置され、レール保持部280aと内倒れ防止手段280bとを備えている。レール保持部280aは、略L字状の縦フランジ部と横フランジ部とで形成され、内箱110の側面部と底面部に密着している。内倒れ防止手段280bは、レール保持部280aの底面部となる横フランジ部に一体形成され、また内箱110から離れる方向で、下方に向かう下フランジ部となって形成されている。
【0092】
内倒れ防止手段280bが下方に向かう下フランジ部となって、断熱材111内に埋設されているので、レール取付部223に野菜室庫内側へ倒れ込む方向にモーメントが働いても下フランジ部の内倒れ防止手段280bが、その下部に充填された断熱材111によって阻止されるので、倒れこみを防止し、レール保持部材280の強度をさらに確保でき、野菜室103のレール装置202の庫内側方向への倒れを防止することができる。
【0093】
また、野菜室103の底面壁401は、両側部に底面段差部401aが形成され、底面段差部401aは底面壁401の基準面となる中央部よりも一段高く、奥行き方向に向かって形成されている。
【0094】
そして、底面段差部401a上にレール装置202が配設されている。またレール装置202が固定される内箱110の側壁面部には側面段差部110aが形成されている。側面段差部110aは野菜室103内の上部側壁面部よりも外箱112側へ凹んで形成され壁厚が薄くなっている。
【0095】
そして、レール取付部223は側面段差部110aを間に挟んで金属製のレール保持部材280とビス400で側面固定される。
【0096】
したがって、レール装置202を底面段差部401aに載置して側面段差部110aにビス止め固定するので、収納空間内に飛び出すレール装置202を抑制することができ、野菜室103内に容器206の全幅寸法を大きくでき、無効空間を低減することができる。
【0097】
また、底面段差部401aに載置してレール装置202を組立てるので作業性を向上できる。さらに、底面段差部401aの部分は底面壁401の壁厚が大きくなるので、断熱性を確保できる。
【0098】
また、最下段の野菜室103の引出扉201は上段の冷凍室104の引出扉201よりも下方にあり、利用者が引出扉201を引出した時に、位置的に最下段にある野菜室103の引出扉201に体重をかけやすい位置にあり、収納量の負荷以外に外部の負荷量もかかる虞があり、レール保持部材280を略L字状のレール保持部280aと下フランジ部となる内倒れ防止手段280bとを一体に形成したので、最下段の引出扉201のレール装置202の倒れ込み防止として、より強固に保つことができる。
【0099】
冷凍室104、野菜室103ともに側面段差部110aによって側面の壁厚が薄くなっているので、真空断熱材(図示しない)をレール装置202が配設される部分に対応させて、具体的には冷凍室104と野菜室103のレール装置202間よりも高さ寸法が大きい真空断熱材を外箱112に貼り付けることで断熱性を確保することもできる。
【0100】
容器206とレール装置202との配置関係についてより詳細に説明する。
【0101】
図8は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置の間に容器を配置した状態を奥側から示す断面図である。
【0102】
図8に示すように、容器206は、野菜やペットボトルに充填された飲料、冷凍食品などを収容するための容器であり、上面が開口した樹脂製の箱体である。容器206は、下部の両端部に内方に向く段部262が形成されるように幅が狭い狭幅部261を備えている。そして容器206は、狭幅部261が2本のトップレール203の間に配置され、段部262が扉フレーム205の上面に載置されることで、扉フレーム205、トップレール203に支持される。
【0103】
このように、トップレール203が引出扉201の下部の両角に設けられているため、容器206の内、幅を狭くしなければならない狭幅部261をできる限り短く抑えることが可能となる。従って、容器206は、収納容積ができる限り広くなるような形状を採用することが可能となる。
【0104】
図9は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫のレール装置と容器の配置を示した要部拡大図である。
【0105】
本実施の形態では、図9の(A)に示すように、容器206は、下部の両端部に内方に向く段部262が形成されるように幅が狭い狭幅部261を備えるものとしたが、図9の(B)や図9の(C)に示すように、容器206の側面はほぼストレート形状とし、容器206は段部262を設けないで、レール装置202は、容器206の底部の左右両端の側方で支持したり(図9の(B)参照)、あるいは、容器206の底部の左右両端の下方で支持したり(図9の(C)参照)してもよい。
【0106】
なお、図9では、レール装置202と容器206の位置関係を示すものであって、扉フレーム205は、省略して図示していない。
【0107】
図10は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の容器の斜視図である。
【0108】
図10に示すように、容器206は開口部の周囲には外側に凸となるフランジ部を備えている。すなわち、前面の上端部には前面フランジ部206a、両側面の上端部には側面フランジ部206b、背面の上端部には背面フランジ部206cがそれぞれ連続するように設けられている。フランジ部は前面、側面、背面のそれぞれの側壁を折り返すように形成されており、その内部は中空であることが軽量化の面で望ましい。このフランジ部を設けることにより、容器206の開口部の強度を増すことができる。
【0109】
容器206の両側面の下部に備えられた段部262には、容器206と一体成形され、下方に凸となる突起部206dが前方、および/または、後方に設けられている。これらの突起部206dは、扉フレーム205に形成された切欠き形状のフランジ切欠部285aに挿入される。
【0110】
このように、容器206の前面フランジ部206aを引出扉201の容器固定手段301に固定し、突起部206dを扉フレーム205のフランジ切欠部285aに固定することで、引出扉201に対して下部に取り付けられているレール装置202と引出扉201との取付部の強度不足を補い、スムーズな引出扉の開閉を行うことが可能となる。
【0111】
すなわち、引っ張り力の支点となる位置を引出扉201よりも後方とすることで、取付部にかかるモーメントが小さくなるため、トップレール203の取付部またはレール固定部の取付部を破損から保護することが可能となる。
【0112】
また、容器206の底部には、底部から内側に凸となる底面リブ206eが設けられている。底面リブ206eは、容器206の奥行き方向における中心より前方、つまり、容器206を野菜室103や冷凍室104内に取り付けた後においては引出扉201側に設けられている。底面リブ206eは容器206の両側面を亘って幅方向に設けられている。
【0113】
底面リブ206eにより容器206は、前方に配置された第1収納部263と後方に配置された第2収納部264の2つの領域に区画される。第1収納部263の深さは第2収納部264の深さより深くなるように構成されている。
【0114】
以上のように、レール装置202が内箱110に固定され、引出扉201に固定される扉フレーム205が、レール装置202のトップレール203に接続されることにより、引出扉201は、レール装置202の機能により、容器206とともに断熱箱体101から引き出されたり押し戻されたりすることが可能となる。
【0115】
扉フレーム205、レール装置202、容器206と貯蔵室(野菜室103、または、冷凍室104)の開口部との配置関係について説明する。
【0116】
図11は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の引出扉を最前方に引き出した状態の要部側面図である。
【0117】
引出扉201を最前方に引き出した状態、すなわち、野菜室103や冷凍室104を全開にした状態では、容器206の背面の端部は、野菜室103、冷凍室104の開口部より前方に位置する。つまり、引出扉201の最大引き出し距離は、容器206が完全に開放する長さとなる。このため、容器206の奥への食品の収納、および、奥からの食品の取り出しが容易である。また、容器206が上部の断熱扉107や引出扉201に干渉しないため、容器206の取付、取外しを容易に行うことができる。
【0118】
引出扉201を最前方に引き出した状態では、扉フレーム205は、その後端Aは、野菜室103、冷凍室104の開口部より後方に位置するように構成されている。また、第一固定部である鉤形状部231と矩形穴286とは、開口部より前方に位置するように構成されている。
【0119】
また、矩形穴286および上面部282の上面に突出した鉤形状部231の水平部231bを覆う本体切欠部288を構成することで形成られた本体穴部289は、容器206の後端より前方に位置する。さらに望ましくは、容器206の底面リブ206eより後方に位置している。これにより、本体穴部289の奥には、容器206、または、第2収納部264の側面が位置することなり、本体穴部289に、側方から手指などを挿入したとしても、容器206の側面に当たり、それ以上、指などが入ることがない。このため、その状態で、引出扉201を閉じたとしても、手指などを挟むことがない。また、本体穴部289が目立ちにくくなるので外観意匠の向上が図れる。
【0120】
以上のように本実施の形態では、引出扉201と扉フレーム205の本体部284との間に拡大部281を設けること、扉フレーム205に折曲部241を設け、折曲部241を、トップレール203の基端部より上方の引出扉201に取り付けること、容器206を、引出扉201の容器固定手段301と扉フレーム205のフランジ切欠部285aに固定することで、容器206が引出扉201と扉フレーム205の位置を規制することにより、引出扉201を持って引き出したり押し戻したりした場合であっても、応力がトップレール203の取付部に集中することはなく、折曲部241や扉フレーム205を介して接続されている部分に分散するため、全体として引出扉201とトップレール203との取付強度を向上することが可能となる。
【0121】
これは、トップレール203が引出扉201の下部に取り付けられている本実施の形態のような場合には、特に有効である。仮に、レール装置202を引出扉201の上下方向中央部付近に取り付けた場合において必要となる最低限の強度を確保した扉フレーム205を用いて、本実施の形態の位置と同様に、レール装置202を引出扉201の上下方向中央部より下方に配置した状態で、引出扉201を前後に開閉操作を行った場合、扉フレーム205の引出扉201との固定部側の強度不足により、扉フレーム205、若しくは内側板211に変形が起こり、結果として、引出扉201に備えられているパッキン207が断熱箱体101から離れ、隙が発生し、冷蔵庫内に着霜等の品質不良へと繋がる可能性もある。
【0122】
引出扉201とトップレール203との取付部が引出扉201の下部に有ると、引出扉201の上部を持って引き出したり押し戻したりした場合、取付部にかかるモーメントが
比較的大きくなるが、本実施の形態は、取付部よりも上方に突出した拡大部281を設けた扉フレーム205が取り付けられ、また、取付部よりも上方に容器固定手段301が設けられている。このため、引っ張り力の支点となる位置を上方とでき、取付部にかかるモーメントが小さくなるので、トップレール203の取付部を破損から保護することが可能となる。
【0123】
さらに、扉フレーム205の後端Aは、引出扉201を最前方に引き出した状態でも、野菜室103、冷凍室104の開口部より後方に位置するように、トップレール203のほぼ全長を覆うように構成されているため、容器206およびその中の収納物の荷重をトップレール203全体に分散させることができる。
【0124】
さらに、引出扉201が引き出される際には、引出扉201の上端に斜め前方への力が作用するため、前方に位置する第二固定部には、下向きにかかる力が作用する。一方、その反力として、後方に位置する第一固定部には、上向きにかかる力が増大する。
【0125】
しかし、本実施の形態では、第一固定部は、開口部より前方に位置するように構成されているので、引出扉201の上端と第一固定部との距離が短くなるため、第一固定部に作用するモーメントを低減できるので、第一固定部に上向きに作用するモーメントに確実に抗することができ、扉フレーム205やトップレール203の変形を抑制することができる。また、第一固定部は、扉フレーム205の長手方向における中央より後方に設けられているので、第一固定部に作用するモーメントを低減できるとともに、前端に設けられた第二固定部との距離を十分とれることで、扉フレーム205とトップレール203とをガタツキなく確実に固定できる。
【0126】
さらに、トップレール203のほぼ全長を覆うことで、トップレール203で手指が傷つくことを防止できる。また、扉フレーム205の後端Aは開口部より後方に位置することで、トップレール203の後端と開口部との間に指などが挟まることを防止できるので、安全性が向上する。さらに、トップレール203が見えにくくなるので外観意匠の向上が図れる。
【0127】
また、第一固定部は、容器206の後端より前方に位置するように構成されているので、第一固定部にかかる応力を容器206の剛性により抑制することができ、レール装置202の変形を抑制することができる。
【0128】
さらに、引出扉201は、内面の両側に側方リブ302を備えているので、引出扉201の縦方向の変形を抑制し、引出扉201の歪みを低減することができる。これにより、パッキン207が断熱箱体101から離れて、隙が発生することを防止でき、冷却性能の向上が可能となる。
【0129】
特に、側方リブ302は、長手方向における中央より下方の高さが一定であるので、引出扉201の高さ方向における中央より下方に取り付けられた扉フレーム205に干渉することなく、引出扉の剛性を向上できる。あるいは、側方リブ302は、長手方向における中央より下方の幅が一定であるので、扉フレーム205に干渉することなく、引出扉の剛性を向上できる。
【0130】
また、側方リブ302は、少なくとも、側方リブ302の長手方向における中央より下方の高さが、引出扉201の内面と容器206の上端との間に形成される隙間以上となる高さを備えている。これにより、引出扉201とともに容器206を引き出した際に、引出扉201と容器206の前面との間に溜まった冷気が、野菜室103や冷凍室104の外へ流出することを低減でき、冷却性能の向上が可能となる。
【0131】
さらに、側方リブ302の長手方向における中央より下方の高さが、折曲部241の上端より上方の引出扉201の内面と容器206の前面との間に形成される隙間以上の高さとなっていれば、側方リブ302と扉フレーム205の拡大部281とで、引出扉201と容器206の前面との間に溜まった冷気の流出を低減でき、冷却性能の向上が可能となるとともに、拡大部281と容器206との間に指などが挟まることを防止できるので安全性が向上する。
【0132】
また、側方リブ302の長手方向における中央より下方の高さが、引出扉201に固定された扉フレーム205の拡大部281の幅以上の高さとなっていれば、扉フレーム205の拡大部281の側面を覆うことができるので、拡大部281で手や指が傷つくことを防止でき安全性が高まるとともに、拡大部281が見えにくくなるので意匠性の向上が図れ、より望ましい。
【0133】
以上のように、本実施の形態では、レール装置202の変形の抑制、引出扉201の歪みの低減によって、引出扉201のパッキン207のシール性を確保して、冷却性能の向上を図ることが可能となる。
【0134】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の要部側面図である。図12の(A)では、引出扉201を引き出した状態を、図12の(B)では、引出扉201を閉じた状態を、それぞれ示している。図13は、野菜室103を上方からみた断面図であり、引出扉201を閉じた状態を示している。なお、図12、図13では、図を簡単にするため、容器206は、省略して図示していない。
【0135】
本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なる点のみを説明し、同様の構成、動作、作用については、説明を省略する。
【0136】
図12に示すように、本発明の実施の形態では、最下段の貯蔵室である野菜室103の背面側に機械室501が設けられている。機械室501は、内箱110によって野菜室103とは別の空間として区画されている。
【0137】
図2に示したように、冷蔵庫100の天面部を冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けた形状とし、この階段状の凹部に圧縮機、水分除去を行うドライヤ(図示せず)等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されている場合には、機械室501には、蒸発器やその周辺に付着する霜や氷を除霜した時に生じる除霜水を受けるためのドレンパン(図示せず)が収納されている。
【0138】
また、別の実施の形態として、冷蔵庫100の天面部に圧縮機を設けない、従来一般的な構成の冷蔵庫のように、機械室501内に圧縮機、凝縮器、ドライヤ等の冷凍サイクルの高圧側の構成部品が収納されていても構わない。
【0139】
図12の(A)に示すように、固定レールであるキャビネットレール222の後端は、機械室501の前面より前方に固定されている。しかし、図12の(B)、図13に示すように、引出扉201を閉じた状態では、移動レールであるミドルレール221、トップレール203、および、扉フレーム205の後端は、機械室501の両側面にまで達する。
【0140】
さらに、図13に示すように、機械室501は、背面方向に向かって幅広となるように構成されている。つまり、機械室501の両側面には、背面方向に向かって幅が狭くなる
ような略V字状の隙間部502が設けられている。また、隙間部502は、機械室501の側面に、上下方向において、略同一の隙間を形成している。
【0141】
本実施の形態によれば、扉フレーム205の後端は、引出扉201を閉じた状態では、機械室501の両側面に位置するほど、扉フレーム205は十分な長さを有している。このため、容器206およびその中の収納物の荷重をトップレール203全体に分散させることができ、レール装置202の変形を抑制できる。
【0142】
また、機械室501の両側面に隙間部502を設けたこと、キャビネットレール222の後端は、機械室501の両側面の前面より前方までに位置することから、キャビネットレール222を固定する際に、キャビネットレール222の後端と機械室501との間に、作業をするのに十分な間隔を確保することができ、取付の作業性を向上できる。
【0143】
さらに、隙間部502は、上下方向に略同一の隙間を形成しているので、容器206の背面側を上から下に流れる冷却冷気の風路となり、効率よく野菜室103内を冷却できる。
【0144】
なお、以上の実施の形態では、最下段に位置する貯蔵室は、野菜室103であるとして説明したが、冷凍室104であっても、同様の効果が得られることは明らかである。また、冷却冷気の流れは、容器の背面側を上から下に流れるものとして説明したが、下から上で流れるものであっても、同様の効果が得られることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上のように、本願発明にかかる冷蔵庫は、広い実収納空間を確保することができるので、引き出し式の貯蔵室を備える冷蔵庫に利用可能であり、さらに、引き出しを備えたユニットキッチンなど高品位・意匠デザイン性が求められる分野にも展開が可能である。
【符号の説明】
【0146】
100 冷蔵庫
101 断熱箱体
102 冷蔵室
103 野菜室(貯蔵室)
104 冷凍室(貯蔵室)
105 製氷室
106 切換室
107 断熱扉
108 仕切壁
108a 底面段差部
110 内箱
110a 側面段差部
111 断熱材
112 外箱
145 回転支持部材
146 回転支持部材保持部
201 引出扉
201a 手掛部
202 レール装置
203 トップレール(移動レール)
205、305 扉フレーム
206、306 容器
206a 前面フランジ部
206b 側面フランジ部
206c 背面フランジ部
206d 突起部
206e 底面リブ
207 パッキン
211 内側板
221 ミドルレール(移動レール)
222 キャビネットレール(固定レール)
223 レール取付部
231 鉤形状部
231a 垂直部
231b 水平部
232 固定穴
241 折曲部
261 狭幅部
262 段部
263 第1収納部
264 第2収納部
270、280 レール保持部材
270a、280a レール保持部
270b、280b 内倒れ防止手段
281 拡大部
282 上面部
283 側面部
284 本体部
285 フランジ部
285a フランジ切欠部
286 矩形穴
287 丸穴
288 本体切欠部
289 本体穴部
301 容器固定手段
302 側方リブ
303 下方リブ
401 底面壁
401a 底面段差部
501 機械室
502 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内箱と外箱と前記内箱と前記外箱との間に充填した断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の内方に形成され前面に開口部を備えた貯蔵室と、前記貯蔵室の内部に設けられ上面が開口する容器と、前記開口部を開閉自在に閉塞する引出扉と、前記引出扉とともに前記容器を前後に移動可能とする移動レールと、前記移動レールと前記引出扉を固定する扉支持部材とを備え、前記引出扉を最前方に引き出したときに、前記扉支持部材と前記移動レールとの固定部は前記開口部より前方に位置し、前記扉支持部材の後端は前記開口部より後方に位置することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記固定部は、前記移動レールに設けられた突起部と、前記扉支持部材の長手方向における中央より後方に設けられた係止部とであることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記係止部は、前記容器の後端より前方に位置することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記扉支持部材は、切り欠き部を備え、前記切り欠き部を折り曲げることで、前記係止部を覆うことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。

【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−68353(P2013−68353A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206928(P2011−206928)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)