説明

冷陰極蛍光ランプ及びバックライトユニット

【課題】リード線表面の酸化に伴う各種弊害の発生を防止する。
【解決手段】気密に封止された内部空間5内に少なくとも希ガスが封入され、内壁面4に蛍光体層が形成されたガラス管2と、内部空間5内に配置された電極7と、一端が電極7に接合され、他端がガラス管2を貫通して外部に引き出されたリード線9とを有する冷陰極蛍光ランプ1であって、リード線9の表面に、ニッケル合金からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光ランプと、冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットとに関するものであり、特に、液晶表示装置への適用に適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
冷陰極蛍光ランプは、液晶テレビや液晶ディスプレイなどの液晶表示装置の光源として広く使われている。より具体的には、液晶表示装置は、液晶パネルを照明するためのバックライトユニットを備えており、該バックライトユニットの光源として冷陰極蛍光ランプが使われている。
【0003】
冷陰極蛍光ランプは、ガラス管と、ガラス管の両端に配置された一対の電極ユニットとを有する。また、ガラス管の内部空間内には、希ガス及び水銀が所定量封入されるとともに、ガラス管の内壁面には、蛍光体が塗布されている。
【0004】
電極ユニットは、筒状電極と、筒状電極の底面に溶接されたリード線とから構成されている。各電極ユニットの筒状電極は、ガラス管の内部空間内に配置され、リード線はビードガラスを貫通してガラス管の外部に引き出されている。リード線は、表面が半田で被覆されたデュメット線(「ジュメット線」と呼ばれることもある。)である。リード線の芯線であるデュメット線は、線状に加工された42合金(42Ni-fe)の表面が銅(Cu)で被覆された線材である。要するに、従来のリード線は、錫(Sn)を主成分とする半田によって被覆されたデュメット線であった。
【0005】
冷陰極蛍光ランプを用いた従来のバックライトユニットでは、ガラス管から引き出されている各リード線と電源回路とがコネクタ対を介して接続されていた。具体的には、リード線の端部に第1コネクタから引き出されている被覆電線が半田付けされ、リード線に接続された第1コネクタと電源回路に接続されている第2コネクタ(不図示)とが接続されていた。
【0006】
しかし、上記接続構造がバックライトユニットの組立自動化を阻害する大きな要因の一つとなっていた。そこで最近では、図4に示すように、バックライトユニットの反射板50上にソケット51を複数対設け、各ソケット51に冷陰極蛍光ランプ52のリード線(不図示)を嵌め込むソケットタイプの接続構造が採用されるようになった。尚、冷陰極蛍光ランプ52を挟んで反射板50と反対側には拡散板60が配置されている。また、各ソケット51が不図示の電源回路に接続されていることは言うまでもない。
【0007】
図5(a)は、図4に示されているソケット51の拡大図である。図5(a)では、5つのソケット51のみが図示されているが、図4に示されている他のソケット51も共通の構造を有する。ソケット51は、冷陰極蛍光ランプ52の端部を支持可能な半円筒状の嵌合溝54を備えた本体55と、本体55に内蔵された一対の板状電極56(詳細については図5(b)参照)と、本体55に対して着脱可能な押圧部材57とを有する。各板状電極56の上端は、対向方向内側に向けて湾曲しており、該湾曲部56aは嵌合溝54内に露出している。冷陰極蛍光ランプ52の端部を嵌合溝54に嵌め込むと、一対の板状電極56の対向する湾曲部56aの間にリード線53が配置される。押圧部材57は、各板状電極56と本体55との間の隙間に挿入される一対のアーム57aを備えている。押圧部材57のアーム57aが板状電極56と本体55との間に挿入されると、板状電極56が対向方向内側に向けて弾性変形し、リード線53が対向する湾曲部56a間に挟まれる。
【0008】
以上によって、リード線53と板状電極56とが接触し、電気的接続が確保される。尚、板状電極56が不図示の電気配線を介して不図示の電源回路と接続されていることは言うまでもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記ソケットタイプの接続構造を採用することによって、バックライトユニットの組立自動化は可能になった。しかし、ソケットタイプの接続構造を採用することによって新たな問題が生じた。すなわち、リード線に被覆電線が半田付けされる場合には、リード線表面は接続用の半田によって覆われ空気に触れていない。しかし、ソケットタイプの接続構造では、リード線表面が露出し、空気に触れている。しかも、リード線表面は、比較的酸化しやすい半田によって被覆されている。この結果、リード線表面が酸化する。リード線表面が酸化すると、電気抵抗が高まり、損失が増大する。また、リード線と板状電極との接続部が発熱する。
【0010】
本発明の目的は、ソケットタイプの接続構造を採用しつつ、リード線表面の酸化に伴う弊害を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷陰極蛍光ランプの一つは、気密に封止された内部空間内に少なくとも希ガスが封入され、内壁面に蛍光体層が形成されたガラス管と、前記内部空間内に配置された電極と、一端が前記電極に接合され、他端が前記ガラス管を貫通して外部に引き出されたリード線とを有する冷陰極蛍光ランプである。そして、前記リード線の表面に、ニッケル合金からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の冷陰極蛍光ランプの他の一つは、気密に封止された内部空間内に少なくとも希ガスが封入され、内壁面に蛍光体層が形成されたガラス管と、前記内部空間内に配置された電極と、一端が前記電極に接合され、他端が前記ガラス管を貫通して外部に引き出されたリード線とを有する冷陰極蛍光ランプである。そして、前記リード線がニッケル合金によって形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のバックライトユニットの一つは、冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットであって、電源回路と、冷陰極蛍光ランプのリード線を電源回路に接続させための電極とを有する。そして、前記電極に接続された前記冷陰極蛍光ランプのリード線の表面に、ニッケル合金からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のバックライトユニットの他の一つは、冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットであって、電源回路と、冷陰極蛍光ランプのリード線を電源回路に接続させための電極とを有する。そして、前記電極に接続された前記冷陰極蛍光ランプのリード線がニッケル合金によって形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のバックライトユニットは、弾性変形可能な一対の電極と、該電極を弾性変形させる押圧部材とを有し、冷陰極蛍光ランプのリード線は、押圧部材によって弾性変形させられた一対の電極の間に挟持されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冷陰極蛍光ランプのリード線表面は、酸化防止膜で被覆されている。よって、リード線が空気に触れる状態で使用された場合であっても、リード線表面の酸化によって電気抵抗が高まったり、接続部が発熱したりするといった不都合がない。
【0017】
本発明のバックライトユニットでは、一対の電極に挟まれている冷陰極蛍光ランプのリード線表面が酸化防止膜で被覆されている。よって、リード線表面の酸化によって電気抵抗が高まったり、接続部が発熱したりするといった不都合がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の冷陰極蛍光ランプの実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本例の冷陰極蛍光ランプ1の構造概略を示す断面図である。
【0019】
冷陰極蛍光ランプ1は、硼・珪酸ガラスによって形成されたガラス管2を有する。ガラス管2の両端は、封止ガラス(ビードガラス3)によって気密に封止されている。ガラス管2の外径は、1.5〜6.0mmの範囲内、好ましくは1.5〜5.0mmの範囲内である。ガラス管2の材料は、鉛ガラス、ソーダガラス、低鉛ガラスなどでもよい。
【0020】
ガラス管2の内壁面4には、そのほぼ全長に亙って不図示の蛍光体層が設けられている。蛍光体層を形成している蛍光体は、ハロリン酸塩蛍光体や希土類蛍光体などの既存又は新規の蛍光体から、冷陰極蛍光ランプ1の目的や用途に応じて適宜選択することができる。さらに、蛍光体層は、2種類以上の蛍光体が混合されてなる蛍光体によって形成することもできる。
【0021】
内壁面4で囲まれたガラス管2の内部空間5には、希ガス(アルゴン、又はアルゴンとキセノンやネオン等との混合ガス)及び水銀が所定量封入され、内部圧力は大気圧の数十分の一程度に減圧されている。
【0022】
ガラス管2の長手方向両端には、一対の電極ユニット6が設けられている。各電極ユニット6は、筒状の電極7と、電極7の底面8に接合されたリード線9とから構成されている。各電極ユニット6の電極7は、ガラス管2の内部空間5の長手方向端部よりもやや内側の位置に、互いの開口部10が対向する向きで配置されている。各リード線9は、その一端が対応する電極7の底面8に溶接され、他端がビードガラス3を貫通してガラス管2の外部に引き出されている。
【0023】
図2は、冷陰極蛍光ランプ1が備える電極ユニット6の拡大斜視図である。電極ユニット6を構成している筒状の電極7は、長手方向の一方に開口部10が形成され、他方が底面8によって閉塞された有底筒状(カップ状)の形態を有する。この電極7は、板状又は線状(ワイヤー状)の金属材料をプレス加工又はヘッダー加工して図示されている形態としたものである。
【0024】
電極7の底面8に溶接されているリード線9の表面には、酸化防止膜9bが形成されている。具体的には、図3に示すように、リード線9の芯線であるデュメット線9aの外周面が酸化防止膜9bで被覆されている。酸化防止膜9bの成膜材料は、半田に比べて酸化しにくい材料であって、本例では、ニッケル(Ni)合金が使用されている。尚、デュメット線9aの構造は従来と同様であり、42合金(42Ni-fe)12の表面が銅(Cu)13で被覆されている。
【0025】
また、リード線表面の酸化を防止するためには、デュメット線その他の芯線の表面に酸化防止膜を形成するのではなく、上記酸化防止膜の成膜材料によってリード線自体を形成してもよい。すなわち、芯線が酸化防止膜で被覆された多層構造のリード線ではなく、例えば、ニッケル合金によって形成された単層構造のリード線であってもよい。
【0026】
上記本発明の冷陰極蛍光ランプ1のリード線9を図5に示すソケット51に接続することによってバックライトユニットを実現することができる。リード線9をソケット51に接続する具体的方法は既に説明したとおりである。また、ソケット51に接続されたリード線9の表面が露出して空気と触れることも既に説明したとおりである。しかし、本発明の冷陰極蛍光ランプ1のリード線9の表面には、半田に比べて酸化しにくい材料からなる酸化防止膜9bが形成されている。よって、リード線9が空気に触れていても、リード線表面の酸化に伴う上記諸問題は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の冷陰極蛍光ランプの実施形態の一例を示す模式的断面図である。
【図2】図1に示す電極ユニットの拡大斜視図である。
【図3】図1に示す電極ユニットの拡大断面図である。
【図4】ソケットタイプの接続構造を備えたバックライトユニットの概略を示す模式図である。
【図5】図4に示すソケットの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 冷陰極蛍光ランプ
2 ガラス管
3 ビードガラス
4 内壁面
5 内部空間
6 電極ユニット
7 電極
8 底面
9 リード線
9a 芯線(デュメット線)
9b 酸化防止膜
10 開口部
12 42合金
13 銅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密に封止された内部空間内に少なくとも希ガスが封入され、内壁面に蛍光体層が形成されたガラス管と、前記内部空間内に配置された電極と、一端が前記電極に接合され、他端が前記ガラス管を貫通して外部に引き出されたリード線とを有する冷陰極蛍光ランプであって、
前記リード線の表面に、ニッケル合金からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
気密に封止された内部空間内に少なくとも希ガスが封入され、内壁面に蛍光体層が形成されたガラス管と、前記内部空間内に配置された電極と、一端が前記電極に接合され、他端が前記ガラス管を貫通して外部に引き出されたリード線とを有する冷陰極蛍光ランプであって、
前記リード線がニッケル合金によって形成されていることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットであって、
電源回路と、前記冷陰極蛍光ランプのリード線を前記電源回路に接続させための電極とを有し、該電極に接続された前記冷陰極蛍光ランプの前記リード線の表面には、ニッケル合金からなる酸化防止膜が形成されていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項4】
冷陰極蛍光ランプを光源とするバックライトユニットであって、
電源回路と、前記冷陰極蛍光ランプのリード線を前記電源回路に接続させための電極とを有し、該電極に接続された前記冷陰極蛍光ランプの前記リード線は、ニッケル合金によって形成されていることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項5】
弾性変形可能な一対の電極と、前記電極を弾性変形させる押圧部材とを有し、前記冷陰極蛍光ランプの前記リード線は、前記押圧部材によって弾性変形させられた前記一対の電極の間に挟持されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−210682(P2008−210682A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47169(P2007−47169)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】