説明

冷陰極蛍光ランプ

【課題】長尺化、細径化したガラス管の機械的強度を増し、リード線のガラスとの溶着や熱膨張率に起因する割れの発生を抑え、電極部に発生する熱を外部に放出する。
【解決手段】ガラス管2の内部で両端付近に設けた電極4とこれをガラス管2の両端を封止するガラスビード3を貫通して外部に導くリード線5とよりなるCFL1において、ガラス管は外径Φが0.18mm≦Φ≦4.0mmのコバールガラス、リード線は外径Φが0.25≦Φ≦0.6mmのモリブデン製とする。液晶表示画面の大型化、薄型化に対応したCFLが得られ、必要とする明るさが得られる電流を流してもCFLが熱くなりすぎず、機械的強度も十分で、リード線はビードをガラス管に溶着する時に加熱するので、酸化されないようその表面にはニッケル、白金、金等の金属でメッキし、ガラスビ−ドに封止する際のガスバ−ナ−加熱による酸化防止作用を得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷陰極蛍光ランプに関するものであり、詳細にはコンピュータ等の液晶の表示面を照明する外径が0.18〜4.0mm程度の冷陰極蛍光ランプの構成に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置(以下LCD)のバック照明用の冷陰極蛍光ランプはLCDの大型化、薄型化に伴い、長尺化、細径化が進んでいる。又、環境問題から、環境にやさしい鉛レス、ガラスレス化も求められている。冷陰極蛍光ランプは、長尺化、細径化による機械的強度の低下を補うために、又鉛レス化のために、軟質ガラス(鉛ガラス)から軟質ガラスに変わりつつある。硬質ガラスとして、比較的コストの安いコバ−ルガラス(半硬質)が、最近多く使われる様になっている。
【0003】従来例は、この種の冷陰極蛍光ランプの構成の例を要部で示すものが図2であり、内面に図示しない蛍光体が塗布されたガラス管91の両端部には、このガラス管91内の排気及び水銀や希ガスの封入を行なった状態でリード線92を貫通させたガラスビード93が溶着され、冷陰極蛍光ランプ90が形成されている。
【0004】このときに、前記リード線92のガラスビード93を貫通する部分は軟質ガラス(鉛ガラス)との接合性を高めるためにジュメット線92aで形成され、電極と外部とを接続している。
【0005】リード線はガラスビードを貫通してガラス管の内外を繋げているが、この時にガラス管の内外が気密でなければならないことと、熱でガラス部に割れが生じないようにガラスビードとガラス管とリード線の溶着性が良く、且つ熱膨張率が同じ程度になるように、同じ系統の材質が用いられることが多い。
【0006】外部に設けた図示しない電源よりこのリード線を通じてガラス管内部の電極94に電気を印加すると、両電極間で放電が起こり、ガラス管内に封入されている水銀が励起され、発生した紫外線をガラス管の内面に塗布した蛍光物質に衝突させて可視光を外部に放射させることは公知の冷陰極蛍光ランプと同じ動作であるので詳しく述べることはしない。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】最近の傾向として、液晶画面の大型化、薄型化により、照明用の冷陰極蛍光ランプが長尺化、細径化しガラス管の機械的強度アップが求められてきておると共に、使用後の廃棄に当たり環境保護の観点からガラス管には鉛を含んだ屈折率が高く、光の分散性が良く、表面の光沢が大きいため光学用に多く用いられてきた鉛ガラスから半硬質ガラスのコバールガラスが用いられるように変わりつつある。
【0008】ガラス管の材質の変更に伴い、ガラスとの溶着や熱膨張率に起因する割れの発生を抑えるためにリード線の材質も変わってきており、コバールガラス用には鉄、ニッケル、コバルト合金のコバール線が用いられてきている。
【0009】更には、これらの冷陰極蛍光ランプが用いられるコンピュータの厚みを薄くする要求が強く、冷陰極蛍光ランプ90もガラス管の外径が小さい方へ変わってきており、一方で明るさが求められるので冷陰極蛍光ランプのリード線に流す電流は大きくなって来ている。
【0010】しかしながら、前記した従来の冷陰極蛍光ランプ90ではガラス管の外径は小さくなってきているのと、照明をより明るくするために電流は大きくなってきているので、冷陰極蛍光ランプ内で電極部に発生する熱をリード線を通して外部に放出することが出来にくくなり、電極付近のガラス管の温度が高くなってしまい、時には、冷陰極蛍光ランプの近くに設けられている光を導くアクリル製のライトガイドや冷陰極蛍光ランプの反射板等に熱的影響を及ぼす恐れがあった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、水銀と希ガスを封入したガラス管の内面に蛍光物質を塗布し、該ガラス管の内部で両端付近に設けた電極とその電極よりガラス管の両端を封止するガラスビードを貫通して外部に導かれているリード線とよりなる冷陰極蛍光ランプにおいて、ガラス管はコバールガラスよりなり、リード線はモリブデン製であり、該コバルトコバールガラスの外径Φが0.18mm≦Φ≦4.0mmであり、モリブデン線の外径Φが0.25≦Φ≦0.6mmであることを特徴とする冷陰極蛍光ランプを提供することで課題を解決するものである。
【0012】また、前記リード線はモリブデン製であるが、ビードをガラス管に溶着する時に、加熱するのでリード線が酸化されないようその表面にはニッケル、白金、金等少なくとも一つの金属にてメッキがしてありモリブデン線をガラスビ−ドに封止する際のガスバ−ナ−加熱による酸化防止作用を得ることも特徴とする冷陰極蛍光ランプを提供することで課題を解決するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に本発明を図1に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に示すものは本発明に係わる冷陰極蛍光ランプ1(以下CFLと称する)であり、このCFL1はコバールガラス製のガラス管2とその両端部でガラス管2を封止ているガラスビード3とこのガラスビード3を貫通してガラス管内部の電極4と外部とを繋げているモリブデン製のリード線5とガラス管の内面に塗布された図示しない蛍光物質及びガラス管内に封入されている水銀や希ガス等から構成されている。
【0014】このCFLの動作は従来例のCFLと同一で、リード線5に外部に設けた図示しない電源より電気を供給し、この電気がリード線を通じて電極に印加され、両電極間で放電が起こり、ガラス管内に封入されている水銀が励起され、発生した紫外線をガラス管の内面に塗布した蛍光物質に衝突させて可視光を外部に放射させている。
【0015】このときにガラス管2はコバールガラスを用いている。これは従来のCFLでは、光学特性が良いので鉛ガラスを用いてきたが、長尺化に伴うガラス管2の機械的強度を補うためと廃棄時の環境問題を考慮して鉛を含まないガラスを用いることにしたからである。そして硬質ガラスの中で比較的低価格のコバールガラスが選ばれてきた。
【0016】このガラス管2との溶着性を考え、従来はコバール線をリード線として用いてきたが、熱伝導率が小さいので、CFL内部での発熱を外部に十分に放熱することが出来なかった。その結果、CFLが高温になってしまうこともあったので、コバール線よりも熱伝導率が約2倍の大きさのモリブデン線を用いている。
【0017】ガラスとしてはコバールガラスもモリブデンガラスも熱膨張係数がほぼ同じなので、コバールガラスにモリブデン線を用いても熱による割れは発生しないことは容易に理解できる。
【0018】本発明では、このように、CFL点灯中の電極発熱温度を外部に逃がし易くするために、コバ−ルガラスの封入リ−ド線として、熱膨張率が適し、且つ、熱伝導率がコバ−ル線より大きい金属線であるモリブデン線を提供するものである。一般的に、モリブデン線は、モリブデンガラスの封止リ−ド線として使われているが、コストが高い。以下に各金属の膨張係数(10−7/℃)、熱伝導率(W−1−1)を表1、表2として示す。
【表1】


【表2】


【0019】従って、コバールガラス製のガラス管にモリブデン製のリード線を用いることは何ら支障がなく、放熱が十分になされるので、CFLが高温になることもなくなった。ガラス管の外径Φに合わせてリード線の太さを選択する必要があり、ガラス管の外径Φが0.18〜4.0mmの場合リード線の外径Φは、0.25〜0.6mmが妥当である。
【0020】ガラス管の外径Φ=2mmのCFLで外径Φ=0.3mmのリード線としてモリブデン線とコバール線とを用いた場合の比較をした実験結果を表3に記載する。
【表3】


【0021】なお、ガラスビードにリード線を貫通させた状態でガラス管に熱溶着させるので、リード線が酸化されることがある。酸化されるとリード線とガラスビードとの封着部がポーラスとなり、リークを起こす恐れがあるので、モリブデン線の表面にニッケル、白金、金等でメッキをしておくと加熱による酸化が防げる。
【0022】上記の材料を用いることで、最近の液晶表示画面の大型化、薄型化に対応したガラス管の外径Φが0.18〜4.0mm、リード線の外径Φが0.25〜0.6mmのCFLが得られ、必要とする明るさが得られる電流を流してもCFLが熱くなりすぎることがなく、機械的強度も十分なCFLが使用出来るようになった。
【0023】
【発明の効果】環境問題にやさしく、且つ低価格なコバールガラスを用いて、熱伝導率が高く、且つ熱膨張率がコバールとほぼ同じモリブデン線をリード線に用いるので、CFLの温度が上昇することを抑えることが出来、外径が細く、長尺のCFLを製造することが出来る。また、モリブデン線が、ガラスビ−ドに封止する際のガスバ−ナ−加熱による、酸化を防止するために、ニッケル、白金、金等の金属でメッキすることにより、酸化によるリード線とガラスビードとの封着部がポーラスとなり、リークを起こす恐れもない。
【0024】更に上記の材料を用いガラス管の外径が0.18〜4.0mm、リード線の外径が0.25〜0.6mmとしたことで、液晶表示画面の大型化、薄型化に対応したCFLが得られ、必要とする明るさが得られる電流を流してもCFLが熱くなりすぎることがなく、機械的強度も十分なCFLが使用出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCFLの実施形態を示す図である。
【図2】従来のCFLの実施形態を示す図である。
【符号】
冷陰極蛍光ランプ(CFL)…90、1
ガラス管…91、2
リ−ド線…92、5
ジュメット線…92a
ガラスビ−ド…93、3
電極…94、4
Φ…コバ−ルガラス外径
Φ…モリブデン線外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】水銀と希ガスを封入したガラス管の内面に蛍光物質を塗布し、該ガラス管の内部で両端付近に設けた電極とその電極よりガラス管の両端を封止するガラスビードを貫通して外部に導かれているリード線とよりなる冷陰極蛍光ランプにおいて、ガラス管及びガラスビードはコバールガラスよりなり、リード線はモリブデン製であり、該コバルトコバールガラスの外径Φが0.18mm≦Φ≦4.0mmであり、モリブデン線の外径Φが0.25≦Φ≦〜0.6mmであることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】前記リード線はモリブデン製であって、その表面にはニッケル、白金、金のうち少なくとも一つがメッキしてあることを特徴とする請求項1の冷陰極蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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