説明

凍結医療器具

【課題】外套管内にガス漏れが発生した場合に、プローブが外套管の先端より飛び出したり、高圧ガスが被検体内へ噴出するのを防止した凍結医療器具を提供する。
【解決手段】患部に穿刺した外套管2内に挿入したプローブ1に凍結ガスと解凍ガスを交互に供給して、患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、患部を壊死させる凍結療法に使用する凍結医療器具であって、外套管内で発生したガス漏れによる高圧ガスによりプローブが外套管の先端より飛び出すのを防止する抜け止め手段3を外套管の先端部に設けたもので、凍結治療中に何らかの理由で外套管内にガス漏れが発生した場合、高圧ガスによりプローブが外套管より患部側へ高速で飛び出そうとするのを抜け止め手段が阻止するため、凍結治療の安全性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温治療を行う凍結医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年例えばアルゴンガス等の超低温流体を使用して、患者の患部を治療する凍結療法が実施されている。
この凍結療法により例えば肺癌等を治療する場合、先端が肺癌組織に達するよう、医療器具のプローブを患者の体内へ穿刺し、この状態でまずプローブにアルゴンガスのような極低温の凍結ガスを供給して肺癌組織を凍結させ、その後プローブにヘリウムガスのような解凍ガスを供給して凍結した肺癌組織を解凍することにより、肺癌組織を壊死させて肺癌の治療を行うもので、この凍結療法は非特許文献1に記載されている。
【0003】
また医療器具を使用して治療を行う凍結療法が非特許文献2等に記載されている。
前記非特許文献2に記載の凍結療法は、第10ページの右欄から第11ページに「穿刺方法と凍結療法の実際」として記載されているように、先端が鋭利な二重管(コアキシャルニードル)を患者の体表面に当てがった状態で、二重管の中心軸に沿って長く細い誘導針を挿入し、誘導針を患部まで穿刺する。
その後誘導針に沿って二重管を患部まで進行させ、さらに腫瘍に貫通させたら、誘導針を抜いて、代りに凍結端子(プローブ)を二重管内の中空軸に沿って挿通装填する。
そして凍結端子に凍結ガスである高圧アルゴンガスと解凍ガスである高圧ヘリウムガスを交互に供給して、短時間で患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、患部を壊死させる方法である。
【非特許文献1】雑誌「医学のあゆみ」(Vol.206No.3,2003.7.19)。川村他著「肺癌の凍結融解壊死療法」(P229〜P231)。
【非特許文献2】雑誌「低温医学」(30巻、2004)。中塚、川村他著「CT透視を用いた肺悪性腫瘍に対する経皮的凍結療法の実際」(P9〜P15)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1や2に記載された凍結療法に使用されている医療器具は、ステンレス等の金属管よりなるプローブ内に凍結ガスと解凍ガスを交互に送り込んで、患部を壊死させる構造となっており、患部へ穿刺した外套管(二重管)内にプローブを挿入して、プローブに接続したガス供給管よりプローブ内に凍結ガスと解凍ガスを交互に供給する構成となっている。
このため凍結治療中にプローブとガス供給管を接続するコネクタが外れる等の理由で高圧ガスが外套管内に噴出することが稀にある。
外套管内に高圧ガスが噴出すると、外套管の先端側に挿入されているプローブを押圧するため、高圧ガスの圧力によりプローブが外套管の先端より患部へ飛び出したり、外套管内に漏洩した高圧ガスが外套管先端の誘導孔から患者の体内に噴出することがあり、安全性に問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、外套管内にガス漏れが発生した場合に、プローブが外套管の先端より飛び出したり、高圧ガスが患者の体内へ噴出するのを防止した凍結医療器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の凍結医療器具は、患部に穿刺した外套管内に挿入したプローブに凍結ガスと解凍ガスを交互に供給して、患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、患部を壊死させる凍結療法に使用する凍結医療器具であって、外套管内で発生したガス漏れによる高圧ガスによりプローブが外套管の先端より飛び出すのを防止する抜け止め手段を外套管の先端部に設けたものである。
【0006】
前記構成により、凍結治療中に何らかの理由で外套管内にガス漏れが発生した場合、外套管内に漏れ出した高圧ガスによりプローブが外套管の先端部に開口された誘導孔より患部側へ高速で飛び出そうとするのを外套管の先端部に設けた抜け止め手段が阻止するため、凍結治療の安全性が向上する。
またプローブに対し外套管の重量を十分に重くすることにより、プローブに加えられた飛び出し方向の運動エネルギを外套管が十分に吸収することができるため、プローブの飛び出しを確実に防止することができる。
【0007】
本発明の凍結医療器具は、患部に穿刺した外套管内に挿入したプローブに凍結ガスと解凍ガスを交互に供給して、患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、患部を壊死させる凍結療法に使用する凍結医療器具であって、プローブを患部へ誘導する誘導針を挿通するための誘導孔が形成された外套管と、外套管内に挿脱自在に収容され、かつ基端部がコネクタを介して高圧ガス供給源に接続されたプローブと、外套管内で発生したガス漏れによる高圧ガスによりプローブが外套管の先端より飛び出すのを防止するため外套管の先端部に設けられた抜け止め手段と、コネクタの離脱を電気的に検知することにより、外套管内のガス漏れを検知するガス漏れ検知手段と、ガス漏れ検知手段が検知したガス漏れ信号によりプローブへのガスの供給を停止する制御手段とから構成したものである。
【0008】
前記構成により、凍結治療中に何らかの理由で外套管内にガス漏れが発生した場合、外套管内に漏れ出した高圧ガスによりプローブが外套管の先端部に開口された誘導孔より患部側へ高速で飛び出そうとするのを外套管の先端部に設けた抜け止め手段が阻止するため、凍結治療の安全性が向上すると共に、プローブに対し外套管の重量を十分に重くすることにより、プローブに加えられた飛び出し方向の運動エネルギを外套管が十分に吸収することができるため、プローブの飛び出しを確実に防止することができる。
またガス漏れ検知手段14が検知すると、制御手段がガスの供給を瞬時に停止して、外套管内に漏れた高圧ガスが外套管の基端側開口部より噴出するのを防止することができるため、プローブの飛び出し防止と併せて二重に安全が図れるようになる。
【0009】
本発明の凍結医療器具は、抜け止め手段を、外套管の先端側内周面に膨出形成され、かつプローブの外径より内径が小径な小径部と、プローブの先端部が密着自在な封止面とから構成したものである。
【0010】
前記構成により、外套管内に漏れ出した高圧ガスによりプローブの先端が封止面に圧着されて、封止面とプローブの先端側が密着されるため、プローブによる封止作用により外套管内に漏れた高圧ガスが誘導孔より患者の体内へ噴出するのを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の凍結医療器具によれば、凍結治療中に何らかの理由で外套管内にガス漏れが発生した場合、外套管内に漏れ出した高圧ガスによりプローブが外套管の先端部に開口された誘導孔より患部側へ高速で飛び出そうとするのを外套管の先端部に設けた抜け止め手段が阻止するため、凍結治療の安全性が向上すると共に、外套管内に漏れ出した高圧ガスによりプローブの先端が封止面に圧着されて、封止面とプローブの先端側外周面が密着されるため、プローブによる封止作用により外套管内に漏れた高圧ガスが誘導孔より患者の体内へ噴出するのを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は、凍結医療器具の全体的な構成図、図2はプローブを外套管に挿入した状態の断面図、図3は図2のA円内の拡大図である。
図1に示す凍結医療器具は、プローブ1と、プローブ1を挿入する外套管2と、プローブ1へ高圧ガスを供給するガス供給手段10と、プローブ1とガス供給手段10を接続するガス供給管7と、プローブ1を患部へ誘導する誘導針(図示せず)とからなる。
プローブ1は外径が例えば3mm以下のステンレス管により形成されていて、内部に高圧ガスの往路1aと復路1bが形成されており、先端側は鋭利な錐状または紡錘形となっていて、この先端部が外套管2の先端部2aに開口された誘導孔2bより患部へ先端部が露出するようになっている。
【0013】
プローブ1内の往路1aは、プローブ1の中心軸を通る細い金属管1cにより形成されていて、金属管1cの一端側は、プローブ1の先端側内部に設けられた熱交換器4に接続されている。
熱交換器4よりプローブ1の先端部内へ突出された往路1aの先端には、先端ノズル1dが形成されていて、この先端ノズル1dより噴出された凍結ガスによりプローブ1の先端側が極低温に冷却され、また解凍ガスにより加熱されるようになっている。
【0014】
往路1aの先端ノズル1dより噴出された高圧ガスは、プローブ1内に形成された復路1bより熱交換器4を経てプローブ1の基端側へ流通するようになっていて、熱交換器4を通過する際、往路1aを流通する高圧ガスと熱交換されることにより、エネルギーの有効利用が図られている。
プローブ1の基端側には、ガス供給管7を接続するためのコネクタ5が設けられている。
コネクタ5は耐極低温性を有する電気絶縁材料により短筒状に形成されていて、外径が外套管2の内径よりやや小径に形成されている。
コネクタ5の中心部には、往路1aを形成する金属管1cの一端が気密に嵌着された吸気口5aが開口されており、金属管1cの周辺部には、復路1bを流通してきた高圧ガスをプローブ1外へ排出する排気口5bが1個ないし複数個開口されている。
【0015】
プローブ1を挿入するための外套管2は、プローブ1と同様な例えばステンレス管により形成されていて、内径はプローブ1の外径より僅かに大径となっており、プローブ1より十分な質量を得るためプローブ1の肉厚より厚肉となっていて、プローブ1の例えば100倍の重量に形成されている。
外套管2の先端部2aは、誘導孔2bを誘導針にガイドさせてプローブ1を被検体に穿刺する際の作業が容易となるよう先端側が図2に示すように順次薄肉に形成されていて、先端部2aは鋭利な錐状となっており、外套管2の先端側内周面には、抜け止め手段3が形成されている。
【0016】
抜け止め手段3は、プローブ1側に設けられたコネクタ5とガス供給管7に設けられた後述するコネクタ6が何らかの原因で離脱した際、ガス供給管7より外套管2内に噴出される高圧ガスによりプローブ1が外套管2の先端部に開口された誘導孔2b内より飛び出すのを防止するもので、図3に示すように外套管2の先端側内周面に膨出する小径部3aが円周方向に稜線状に形成されている。
小径部3aの内径はプローブ1の外径より小径となっていて、小径部3aの最小径部より外套管2の基端部側は、プローブ1の先端側角部が密着するよう緩い円弧状の傾斜面よりなる封止部3bとなっており、小径部3aの最小径部より外套管2の先端側は、鋭利な先端部3aに連接する傾斜面3cとなっている。
【0017】
一方外套管2の基端側は、プローブ1より長く形成されていて、外套管2の基端側開口部から外套管2内にプローブ1が挿入できるようになっており、プローブ1は繰り返し使用するのに対して、外套管2は注射針と同様に一度使用したら廃棄する使い捨て仕様となっている。
またプローブ1のコネクタ5には、プローブ1にガス供給管7を介してガス供給手段10を接続するコネクタ6が着脱自在に嵌合されている。
コネクタ6はコネクタ5と同様な耐極低温性及び電気絶縁性を有する材料により、コネクタ5よりやや大径な筒状に形成されていて、コネクタ5の端面に形成された嵌合凹部5cに嵌合自在な嵌合凸部6aが形成されており、外套管2の基端側開口部に密嵌できるようになっている。
【0018】
コネクタ5の嵌合凹部5cとコネクタ6の嵌合凸部6aには、嵌合位置を位置決めする例えば二面幅のような位置決め手段(図示せず)が形成されていて、この位置決め手段によりコネクタ6側に設けられた給気口6b及び排気口6cがコネクタ5側の給気口5a及び排気口5bに気密に接続できるようになっている。
コネクタ6に形成された給気口6bは、チューブのような可撓管よりなるガス供給管7を介してガス供給手段10の切換え弁8に接続されており、排気口6cには、可撓管よりなるガス排出管9が接続されている。
【0019】
ガス供給手段10は図1に示すように、高圧アルゴンガスよりなる凍結ガスを供給する凍結ガス供給源10aと、高圧ヘリウムガスよりなる解凍ガスを供給する解凍ガス供給源10bを備えていて、これら凍結ガス供給源10a及び解凍ガス供給源10bは、電磁弁等よりなる開閉弁12、13を介して切換え弁8に接続されている。
切換え弁8は、図示しない制御手段により一定の周期で切換えられるようになっており、これによってガス供給管7を介してプローブ1に、凍結ガスと解凍ガスが交互に供給できるようになっている。
【0020】
一方外套管2内に収容されたプローブ1とガス供給管7を接続するコネクタ5,6の間には、ガス漏れを検知するガス漏れ検知手段14の接点14aが設けられている。
ガス漏れ検知手段14の接点14aは、互いに嵌合するコネクタ5,6にそれぞれ設けられていて、コネクタ5とコネクタ6を互いに嵌合した状態では、各接点14aが電気的に短絡閉成されるようになっている。
【0021】
コネクタ6側の接点14aは、平行2線よりなる信号線15により変圧器17の2次コイル17aに接続されており、2次コイル17aの中点17bは接地されている。
そして変圧器17の2次コイル17a間にガス漏れ検知手段14が接続されていて、2次コイル17a間の電圧変化によりガス漏れを検知するようになっており、ガス漏れ検知手段14が検出したガス漏れ信号は制御手段へ送られると共に、ガス漏れ検知手段14より送られてきたガス漏れ信号により制御手段は、開閉弁12、13を瞬時に閉鎖して、プローブ1へ送られる凍結ガスや解凍ガスを遮断するようになっている。
【0022】
次に前記構成された凍結医療器具の作用を説明すると、凍結医療器具を使用して例えば肺癌等の患部を治療する場合、まず外套管2内に誘導針の先端側を挿入した状態で外套管2の先端を患者の体表面に当接し、この状態で先端が患部組織に達するように誘導針を患者の体内へ穿刺する。
次に誘導針をガイドにして外套管2を患者の体内へ穿刺するが、外套管2の先端部2aは図2に示すように鋭利な錐状となっているため、外套管2の穿刺作業が容易かつ短時間で行える。
【0023】
外套管2の先端が患部組織を貫通したら、外套管2内より誘導針を引き抜き、この状態で外套管2内に図2に示すようにプローブ1を挿入するが、このとき外套管2内に少量の蒸留水や生理食塩水を予め注入しておく。
これによって外套管2内の空気は外套管2外へ排出されると同時に、外套管2の内周面とプローブ1の外周面との間に水膜が形成されて両者間の摩擦が軽減されるため、外套管2内にプローブ1を容易に挿入することができるようになる。
また外套管2内に挿入したプローブ1の先端が、図2に示すように外套管2の先端側内周面に設けられた抜け止め手段3の小径部3aに達すると、プローブ1がそれ以上進まなくなるので、この状態でプローブ1の挿入を停止する。
プローブ1の挿入が完了したら、プローブ1の基端側に設けられたコネクタ5と、ガス供給管7側に設けられたコネクタ6を結合した状態で、コネクタ6を外套管2の基端側開口部へ密嵌して、凍結治療の準備を終了する。
【0024】
次に凍結治療を開始すると、制御手段により開閉弁12、13が開放された後、制御手段によりまず切換え弁8が凍結ガス供給源10a側へ切換えられるため、凍結ガス供給源10a側より凍結ガスがガス供給管7を介してプローブ1へ供給される。
プローブ1へ供給された凍結ガスは、プローブ1内の往路1aより熱交換器4を経て先端ノズル1dに達し、先端ノズル1dよりプローブ1の先端部へ噴出されるため、凍結ガスによりプローブ1及び外套管2の先端が極低温に冷却され、これによって患部が凍結される。
【0025】
その後制御手段により切換え弁8が解凍ガス供給源10b側へ切換えられると、解凍ガス供給源10bより解凍ガスがガス供給管7を介してプローブ1へ供給される。
プローブ1へ供給された解凍ガスは、プローブ1内の往路1aにより熱交換器4を経て先端ノズル1dに達し、先端ノズル1dよりプローブ1の先端部へ噴出されるため、解凍ガスによりプローブ1及び外套管2の先端部が加熱されて、患部の凍結が解凍される。
以下制御手段により一定周期で切換え弁8が切換えられることにより、プローブ1に凍結ガスと解凍ガスが交互に供給されるため、ジュールトムソン効果により患部の肺癌組織が壊死し、これを繰り返すことにより凍結療法による治療効果が得られるようになる。
【0026】
一方前記凍結治療法中にプローブ1とガス供給管7を接続するコネクタ5,6が離脱する等の理由で外套管2内にガス漏れが発生することがある。
プローブ1とガス供給管7を接続するコネクタ5,6は本来簡単に離脱しない構造となっているが、コネクタ5,6の結合が不十分であったり、長期間使用している間にコネクタ5,6の結合部が劣化した場合に、稀にコネクタ5,6が離脱することがある。
凍結治療中に外套管2内でガス漏れが発生すると、外套管2内に漏れ出した高圧ガスが外套管2内に挿入されたプローブ1の後部を瞬時に押圧するため、高圧ガスによりプローブ1が外套管2の先端部2aに開口された誘導孔2bより患部側へ高速で飛び出そうとする。
【0027】
しかし外套管2の先端部2a内周には、プローブ1の外径より内径が小径な小径部3aよりなる抜け止め手段3が形成されていて、プローブ1が外套管2内より飛び出すのを阻止すると同時に、外套管2はプローブ1に対し、例えば100倍の重量に形成されていて、プローブ1に加えられた飛び出し方向の運動エネルギを十分に吸収することができるため、プローブ1の飛び出しを確実に防止することができる。
また外套管2内に漏れ出した高圧ガスによりプローブ1の先端が小径部3aの最小径部より後端側に向けて形成された封止面3bに圧着されて、封止面3bとプローブ1の先端側外周面が密着されるため、プローブ1による封止作用により外套管2内に漏れた高圧ガスが誘導孔2bより患者の体内へ噴出するのを防止することもできる。
【0028】
一方凍結治療中にコネクタ5.6が離脱すると、いままで短絡閉成されていたガス漏れ検知手段14の接点14aが開成されるため、ガス漏れ検知手段14の変圧器17の2次側コイル17a間の電圧に変化が生じる。
この電圧変化をガス漏れ検知手段14が検知して、ガス漏れ信号を制御手段へ送るため、制御手段は開閉弁12,13を瞬時に遮断して、凍結ガス及び解凍ガスの供給を停止する。
これによって外套管2内のガス漏れを瞬時に停止することができるため、外套管2内に漏洩した高圧ガスが、コネクタ6を押し開けて外套管2の後方へ噴出するのを未然に防止することができる。
【0029】
すなわち凍結治療中に外套管2内にガス漏れが発生した場合、外套管2の先端部2aに設けられた抜け止め手段3により外套管2内よりプローブ1が患部側へ飛び出すのを防止すると同時に、凍結ガス及び解凍ガスの供給を停止するため二重に安全が図れるようになる。
なお前記実施の形態では、肺癌等の患部を治療する場合の凍結療法に適用した例について説明したが、凍結療法が有効な疾患に使用する凍結医療器具全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態になる凍結医療器具の全体的な構成図である。
【図2】本発明の実施の形態になる凍結医療器具のプローブを外套管に挿入した状態の断面図である。
【図3】図3は図2のA円内の拡大図である。
【符号の説明】
【0031】
1 プローブ
2 外套管
2a 先端部
2b 誘導孔
3 抜け止め手段
3a 小径部
3b 封止面
5 コネクタ
6 コネクタ
7 ガス供給管
10 ガス供給手段
14 ガス漏れ検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患部に穿刺した外套管内に挿入したプローブに凍結ガスと解凍ガスを交互に供給して、前記患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、前記患部を壊死させる凍結療法に使用する凍結医療器具であって、前記外套管内で発生したガス漏れによる高圧ガスにより前記プローブが前記外套管の先端より飛び出すのを防止する抜け止め手段を前記外套管の先端部に設けたことを特徴とする凍結医療器具。
【請求項2】
患部に穿刺した外套管内に挿入したプローブに凍結ガスと解凍ガスを交互に供給して、前記患部の凍結と解凍を繰り返すことにより、前記患部を壊死させる凍結療法に使用する凍結医療器具であって、前記プローブを前記患部へ誘導する誘導針を挿通するための誘導孔が形成された外套管と、前記外套管内に挿脱自在に収容され、かつ基端部がコネクタを介して高圧ガス供給源に接続されたプローブと、前記外套管内で発生したガス漏れによる高圧ガスにより前記プローブが前記外套管の先端より飛び出すのを防止するため前記外套管の先端部に設けられた抜け止め手段と、前記コネクタの離脱を電気的に検知することにより、前記外套管内のガス漏れを検知するガス漏れ検知手段と、前記ガス漏れ検知手段が検知したガス漏れ信号により前記プローブへのガスの供給を停止する制御手段とを具備したことを特徴とする凍結医療器具。
【請求項3】
前記抜け止め手段を、前記外套管の先端側内周面に膨出形成され、かつ前記プローブの外径より内径が小径な小径部と、前記プローブの先端部が密着自在な封止面とから形成してなる請求項1または2に記載の凍結医療器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−57746(P2010−57746A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227246(P2008−227246)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(595167292)株式会社デージーエス・コンピュータ (18)
【Fターム(参考)】