説明

凍結温度の監視

【課題】正確な温度監視機能を有する、凍結形成術カテーテルを提供すること。
【解決手段】身体内の病変部を凍結治療する装置及び方法である。凍結療法装置12と共に使用される温度監視装置310は、凍結療法装置12と、凍結療法装置12に結合された1つ以上の管状部材314と、管状部材314に結合された温度監視部材320とを有することができる。温度監視部材320は、引込み可能な針と、赤外線センサと、超音波発信器と、又は複数のスパイク38を有するステント36とを備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、凍結療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、凍結原因の壊死を生じさせるときに使用される凍結バルーン療法カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
剥離技術又は装置を使用して多数の医学状態を治療することができる。剥離技術の結果、全体として、対象領域にて異常な組織は壊死する。異常な組織を剥離する結果、医学状態を効率的に治療することができる。例えば、心房細動は、左心房及び肺静脈の異常な電気的活動の結果であり、左心房及び(又は)肺静脈内の異常な組織を剥離することで治療できる。
【0003】
心房細動は、心臓内の異常な電気的活動の結果である重大な医学状態である。この異常な活動は、洞−房(SA)節、房静脈(AV)節、ヒス束又は心臓組織のその他の領域を含む心臓の領域にて生ずる。更に、心房細動は、心臓内の隔離した病巣中心内の異常な活動に起因することがある。これらの病巣は、肺静脈、特に、上肺静脈内にて発現する可能性があると考えられている。
【0004】
異常な電気的活動を有する病巣を剥離することを望んで肺静脈を標的とすべく剥離カテーテルを使用する最小侵襲性技術が述べられている。この技術は、典型的に、異常な電気的活動を有する病巣又はその他の領域内に病変部を生じさせるべくエネルギを付与することを特徴とする。
【0005】
幾つかの剥離装置は、レッシュ(Lesh)らに対する米国特許第6,024,740号に開示された装置を含んで、剥離のため無線周波数(RF)エネルギを利用する。該RFエネルギ装置は、熱によって対象領域を剥離するために使用することができる。しかし、剥離のためRFエネルギを使用することは、治療後、対象領域におけるコラーゲンの蓄積のような厄介な治癒的応答を招来する。更に、心房内のRF剥離は、心房の出力を低下させる可能性がある。このため、治癒的応答性が改善された剥離装置及び方法が必要とされている。
【0006】
剥離のため冷却エネルギを使用する剥離式治療法が開発されている。凍結形成術(cryoplasty)又は凍結バルーン療法と称されるこの方法は、病変部を冷却して影響を受けた領域の一部分を凍結されるため使用することができる。例えば、凍結バルーン療法は、さもなければ、再狭窄症又は反動(recoil)を生じるであろう血管内の病変部を凍結させるために使用することができる。
【0007】
再狭窄症を防止し且つ遅らせ、また、反動に対処するときのその潜在的有用性に加えて、凍結バルーン療法は、剥離技術のため使用することができる。例えば、凍結バルーン療法は、機能不全弁、弁の病気、僧帽弁の逆流の治療、心房細動、冒の逆流、冒食道の逆流、GURD、食道の病気の拡張蛇行静脈の治療、胃癌又は子宮癌等を含む癌の治療のとき効果的である。
【0008】
凍結バルーン療法の使用は、身体内で凍結原因の細胞の壊死を生じさせることを含む。標的領域が心臓又は肺の脈管構造内に配置されているとき、所望の組織のみを壊死させるため凍結バルーン療法カテーテルを正確に制御することが重要である。健常な組織への損傷を最小にしつつ、標的組織を壊死させるため正確な温度調節が必要とされよう。更に、心臓内肉柱のような不均一な表面を有する標的領域にて正確に温度監視することは有用である。このため、正確な温度監視機能を有する、凍結形成術カテーテルが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,024,740号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
正確な温度監視機能を有する、凍結形成術カテーテルを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した必要性の幾つかを具体化することのできる凍結療法カテーテルの改良に関する。より具体的には、本発明は、凍結バルーン療法カテーテルと共に使用される温度監視装置を備えている。温度監視装置は、凍結療法カテーテルに結合することができ、また、例えば、凍結バルーン療法又は凍結形成術のような医学的方法を行いつつ、温度を測定するために使用することができる。温度監視装置は、該装置に結合された温度監視部材を有する管状部材を備えることができる。
温度監視部材は、管状部材の管腔内に摺動可能に配置された引込み可能な針を備えることができる。これと代替的に、温度監視部材は、赤外線光センサと、超音波発信器と、又は、複数の熱スパイクを有する凍結療法装置を取り囲むシースとを備えるものとしてもよい。更に、1つ以上の管状部材を凍結療法装置の周りに配列することができる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
凍結療法装置と共に使用される温度監視装置において、
凍結療法装置と、
凍結療法装置に結合された管状部材と、
管状部材に結合された温度監視部材とを備える、温度監視装置。
(項目2)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、4列にて凍結療法装置に結合される、温度監視装置。
(項目3)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、8列にて凍結療法装置に結合される、温度監視装置。
(項目4)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、円形の列にて凍結療法装置に結合される、温度監視装置。
(項目5)
項目1に記載の温度監視装置において、管状部材が、基端と、末端と、貫通して伸びる管腔とを更に備える、温度監視装置。
(項目6)
項目5に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、管状部材の管腔内に摺動可能に配置された引込み可能な針を備える、温度監視装置。
(項目7)
項目6に記載の温度監視装置において、引込み可能な針が、マーカバンドを更に備える、温度監視装置。
(項目8)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、赤外線センサを備える、温度監視装置。
(項目9)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、超音波発信器を備える、温度監視装置。
(項目10)
項目1に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、複数の熱スパイクを有する膨張可能なステントを備える、温度監視装置。
(項目11)
項目10に記載の温度監視装置において、ステントが、ニッケル−チタン合金を備える、温度監視装置。
(項目12)
凍結療法装置と共に使用される温度監視装置において、
凍結療法装置と、
凍結療法装置に結合されて、その各々が温度監視部材に結合され且つ1列に配置された複数の管状部材とを備え、
温度監視部材が、凍結形成術装置が対象領域を冷却する間、対象領域における温度を測定することができる、凍結療法装置。
(項目13)
項目12に記載の温度監視装置において、管状部材が、基端と、末端と、貫通して伸びる管腔とを更に備える、温度監視装置。
(項目14)
項目13に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、管状部材の管腔内に摺動可能に配置された引込み可能な針を備える、温度監視装置。
(項目15)
項目14に記載の温度監視装置において、引込み可能な針が、マーカバンドを更に備える、温度監視装置。
(項目16)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、赤外線センサを備える、温度監視装置。
(項目17)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、超音波発信器を備える、温度監視装置。
(項目18)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、4列に配置される、温度監視装置。
(項目19)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、8列に配置される、温度監視装置。
(項目20)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、円形列に配置される、温度監視装置。
(項目21)
項目12に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、複数の熱スパイクを有する膨張可能なステントを備える、温度監視装置。
(項目22)
項目21に記載の温度監視装置において、ステントが、ニッケル−チタン合金を備える、温度監視装置。
(項目23)
凍結形成術を行う間、対象領域の温度を監視する方法において、
凍結療法装置と、凍結療法装置に結合されて、温度監視部材を有する管状部材とを備える温度監視装置を提供するステップと、
温度監視装置を対象領域まで前進させるステップと、
対象領域を凍結療法装置にて冷却するステップと、
温度監視部材により対象領域における温度を測定するステップとを備える、対象領域の温度を監視する方法。
(項目24)
項目23に記載の方法において、管状部材が、基端と、末端と、貫通して伸びる管腔とを更に備える、方法。
(項目25)
項目24に記載の方法において、温度監視部材が、管状部材の管腔内に摺動可能に配置された引込み可能な針を備える、方法。
(項目26)
項目25に記載の方法において、引込み可能な針が、マーカバンドを更に備える、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法において、温度監視部材により温度を測定するステップが、対象領域に引込み可能な針にて進入するステップを含む、方法。
(項目28)
項目23に記載の方法において、温度監視部材が赤外線センサを備える、方法。
(項目29)
項目28に記載の方法において、温度監視部材により温度を測定するステップが、対象領域における赤外線エネルギを検出するステップを含む、方法。
(項目30)
項目23に記載の方法において、温度監視部材が超音波発信器を備える、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法において、温度監視部材により温度を測定するステップが、対象領域を超音波エネルギにて照射するステップを含む、方法。
(項目32)
項目23に記載の方法において、温度監視部材が、複数の熱スパイクを有する膨張可能なステントを備える、方法。
(項目33)
項目32に記載の方法において、温度測定部材により温度を測定するステップが、対象領域に熱スパイクにて進入するステップを含む、方法。
(項目34)
項目32に記載の方法において、ステントが、ニッケル−チタン合金を備える、方法。
(項目35)
凍結療法装置と共に使用される温度監視装置において、
凍結療法装置と、
凍結療法装置に結合された管状部材と、
管状部材に結合されて、長手方向軸線に沿って凍結療法装置から伸びるある長さと、ある幅とを有する温度監視部材とを備え、
温度監視部材の長さが、幅よりも長い長手方向軸線に沿って凍結療法装置から離れるように伸びる、温度監視装置。
(項目36)
項目35に記載の温度監視装置において、温度監視部材が、凍結療法装置からある角度にて伸びる、温度監視装置。
(項目37)
項目36に記載の温度監視装置において、角度が約90°である、温度監視装置。
(項目38)
項目36に記載の温度監視装置において、角度が鋭角である、温度監視装置。
(項目39)
項目36に記載の温度監視装置において、角度が鈍角である、温度監視装置。
(項目40)
凍結療法装置と共に使用される温度監視装置において、
凍結療法装置と、
凍結療法装置に結合されて、その少なくとも一部分が凍結療法装置内に配置された温度監視部材とを備える、温度監視装置。
(項目41)
凍結療法装置と共に使用される温度監視装置において、
末端を有する細長い軸と、
軸の末端内に配置された冷却チャンバと、
軸に結合されて、その少なくとも一部分が冷却チャンバ内に配置された温度監視部材とを備える、温度監視装置。
(項目42)
項目41に記載の温度監視装置において、冷却チャンバが、外側冷却チャンバと、内側冷却チャンバとを有する、温度監視装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】引込み可能な針を有する凍結療法装置の平面図である。
【図2】赤外線センサを有する代替的な凍結療法装置の図である。
【図3】管状部材の4列の配置を示す断面図である。
【図4】管状部材の8列の配置を示す断面図である。
【図5】超音波発信器を有する凍結療法装置の第二の代替的な実施の形態を示す図である。
【図6】図5に示した管状部材の配置の詳細図である。
【図7】複数の熱スパイクを有する凍結療法装置の第三の代替的な実施の形態を示す図である。
【図8】凍結療法装置の第四の代替的な実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、幾つかの図面の全体を通じて同様の要素を同様の参照番号で表示する図面を参照しつつ、読むべきである。詳細な説明及び図面は、特定の実施の形態を示すものであり、限定的であることを意図するものではない。
図1は、本発明の1つの実施の形態による凍結療法装置12と共に使用される温度監視装置10の平面概略図である。温度監視装置10は、該装置に結合された温度監視部材20を有する管状部材14を備えることができる。温度監視部材20は、例えば、凍結療法、凍結バルーン療法又は凍結形成術のような医学的方法を行いつつ、温度を測定するために使用することができる。
管状部材14は、基端16及び末端18を有している。管状部材14は、例えば凍結療法装置12の長さに沿って又は凍結療法装置12の外面に近接して、凍結療法装置12に結合することができる。管状部材14は、非限定的に、金属、ステンレス鋼、ニッケル合金、ニッケルーチタニウム合金、熱可塑性樹脂、高性能エンジニアリング樹脂、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテル−エーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリスルフォン、ナイロン、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、その組み合わせ又はその他の適宜な材料を含む材料から成るものとすることができる。
【0014】
凍結療法装置12は、ラホンタイン(Lafontaine)に対する米国特許第5,868,735号及びラホンタインに対する米国特許出願第09/849,892号に開示された類似の装置(凍結療法装置、凍結形成術カテーテル等)と実質的に同様であり、上記の特許及び特許出願の開示の全体は参考として引用し本明細書に含めてある。簡単に説明すれば、凍結療法装置12は、その末端に配置された凍結形成術装置(例えば、凍結形成術バルーン)を有する軸を備えることができる。該軸は、膨張管と、ドレーン管とを備え、また、外側シースと軸との間に環状管腔を画成する外側シースを更に備えることができる。環状管腔は、その内部に真空圧を維持し得るように封止することができる。凍結形成術装置は、単一のバルーン又は多数のバルーン(すなわち、第一のバルーン及びその内部の第二のバルーン)を有することができる。
【0015】
使用時、冷却剤は膨張管腔を通って凍結形成術装置内に流れることができる。次に、凍結形成術装置を使用して対象領域と熱伝導を行うことができる。冷却剤は、熱伝導後、ドレーン管を介して凍結形成術装置から除去することができる。
【0016】
温度監視部材20は、管状部材14の管腔24内に摺動可能に配置された引込み可能な熱電対化した(すなわち熱電対の形態の)針22を備えることができる。この実施例によれば、管状部材14の内径は、管腔24内に配置された温度監視部材20を有するように適宜な寸法とされている。熱電対化した引込み可能な針22は、臨床医が定量化可能な仕方にて温度を測定する温度感知手段を含むことが理解される。これと代替的に、引込み可能な針22は、該針に結合された温度センサを備えることができる。引込み可能な針22は、鋭角な末端の先端26と、少なくとも1つのマーカバンド28とを有することができる。末端の先端26は、医療方法を行う間、組織に進入し且つ(又は)切り込み得るようにすることができる。
【0017】
図1から、温度監視部材20(及び以下に説明するその他のもの)は、長手方向軸線に沿ってある長さを有し且つ、長手方向軸線に沿って凍結療法装置12から離れるように延在していることが理解できる。更に、温度監視部材20と凍結療法装置12との間にある角度を画成することができる。この角度は、90°、鋭角又は鈍角とすることができる。凍結療法装置から伸びる温度監視部材20の長さは、その幅(長手方向軸線に対し垂直な軸線に沿って測定)よりも長いことも図1から理解できる。
【0018】
マーカバンド24は、医療法を行う間、蛍光透視スクリーンに比較的明るい像を生じさせることができる。この比較的明るい像は、マーカバンド24のユーザが温度監視部材20の位置を決定することを助ける。マーカバンド24は、非限定的に、放射線不透過性フィラーが装填された金、白金及びプラスチック材料を含む多数の放射線不透過性材料を備えることができる。温度監視部材20は、追加的なマーカバンドを更に備え、又は異なる位置に配置された1つのマーカバンドを備えることができる。例えば、マーカバンド24は、温度監視部材20の末端の先端22から一定の距離に第一のマーカバンド(例えば、マーカバンド24)を備えることができる。第一のマーカバンドが末端の先端22からの距離にほぼ等しい距離にて近接して温度監視部材20上に第二のマーカバンドを設けることができる。
【0019】
管状部材14の基端16は、マニホルド30に接続することができる。マニホルド30は、温度監視部材20を制御する手段を備えている。より具体的には、マニホルド30は、例えば、熱電対化した針20によって測定された温度を定量化する手段を備えることができる。温度を定量化する手段は、アナログ温度表示部又はディスプレイ、デジタル温度表示部又はディスプレイ、温度を測定するためコンピュータ利用システムに結合するコネクタ、その他のデータを処理するコンピュータ利用システム及びその結合体を含むことができる。
【0020】
使用時、温度監視装置10は、対象領域まで前進させることができる。対象領域は、例えば、肺動脈を含む動脈、肺静脈を含む静脈、血管、心臓、心臓内肉柱、身体器官又は凍結形成術が有益であろうその他の領域とすることができる。対象領域を冷却するため凍結療法装置12を使用することができる一方、末端の先端26を対象領域の組織内に挿入することにより温度を定量化するため、温度監視部材20を使用することができる。1つの実施の形態において、末端の先端26は、対象領域の組織の表面に接触し又は組織内に進入し且つ(又は)切り込んで表面下の温度を測定することができる。熱伝導する間、末端の先端26の位置を決定するため、マーカバンド28を使用することができる。末端の先端26の位置を正確に決定することは、より正確に冷却することを許容し且つ、過冷却に起因する組織の損傷を防止することができる。これと代替的に、針は、該針が1から3mm等のような一定の深さまで組織に進入することを許容する、所定の深さのマーカバンド/ストッパを有するようにしてもよい。
【0021】
図2は、本発明の1つの実施の形態による1つの代替的な温度監視装置110の平面図である。温度監視装置110は、温度監視部材120が赤外線又は光センサ132を備える点を除いて、温度監視装置10と実質的に同様である。赤外線又は光センサ132の少なくとも一部分は、管状部材114の管腔内に、すなわち管状部材14の管腔24と同等物内に配置することができる。これと代替的に、赤外線又は光センサ132を管状部材214の末端218に近接する位置に配置してもよい。
【0022】
温度監視装置110は、対象領域にて赤外線センサ32により赤外線エネルギを検出することにより対象領域における温度を測定するために使用することができる。赤外線エネルギを定量化することは、熱及び(又は)温度を測定するステップを備えることができる。マニホルド30は、温度を定量化する手段を備えている。例えば、マニホルド30は、赤外線エネルギを定量化する手段を備えることができる。
【0023】
冷却の結果、凍結療法装置12及び(又は)治療箇所に隣接して氷又は氷ボールが形成される。その結果、代替的な温度監視部材を使用することができる。例えば、氷又は氷ボールの形成を監視し又はその他の方法で視覚化するため、光感知法を使用することができる。光感知法は、氷の色変化又は外観によって、氷ボールを視覚的に観察することができる。氷の形成を監視するため、上述したもの以外の方法及び当該技術分野にて既知の方法を使用することができる。
【0024】
図3及び図4には、図1の部分3/4−3/4に沿った管状部材14の配置及び追加的な管状部材14を示す概略平面図が図示されている。1つ以上の管状部材14を凍結療法装置12の周りに配列することができる。4つの管状部材14を凍結療法装置12の周りで図3に示すように4列に配置することができる。同様に、図4には、凍結療法装置12の間で且つ、該凍結療法装置12の周りで均一に隔てて8列に配置された8つの管状部材14が図示されている。図3及び図4には、管状部材14の配置が図示されているが、本発明の精神から逸脱せずに、本明細書に開示した管状部材、温度監視装置及び類似の構造体の任意のものを置換することが可能であることを理解すべきである。
【0025】
図5は、本発明の1つの実施の形態による1つの代替的な温度監視装置210の平面図である。温度監視装置210は、温度監視部材220が超音波発信器234を備える点を除いて、温度監視装置10と実質的に同様である。上記に開示したものと同様に、超音波発信器234の少なくとも一部分を管状部材214の管腔内に配置することができ、又は、超音波発信器234を管状部材214の末端218に配置することができる。
【0026】
温度監視装置210は、超音波発信器234から超音波エネルギを送信することにより対象領域における温度を測定するために使用することができる。マニホルド30は、超音波像、超音波エネルギ及びその他の超音波データを蓄積する手段を含む、温度の定量化手段を備えることができる。超音波像、超音波エネルギ及びその他の超音波データを分析すれば、温度を間接的に測定することが可能である。例えば、超音波像は、対象領域内の相変化を見るために使用することができる。相変化は、定量化可能な冷却レベルを示す。
【0027】
図6は、追加的な管状部材214を示す、図5の線6−6に沿った管状部材214の詳細図である。1つの実施の形態において、管状部材214は、凍結療法装置12の周りに配列することができる。一例としての実施の形態において、この列は、円形列としてよい。円形列は、ユーザが温度をより正確に測定し且つ、温度監視装置210の位置を決定することを可能にする。更に、管状部材214は、上記に開示したように、4列又は8列に配置してもよく、管状部材14、114も円形列に配置することができる。
【0028】
図7は、本発明の1つの実施の形態による1つの代替的な温度監視装置310の平面図である。温度監視装置310は、以下に説明する多数の改良点を有する温度監視装置10と実質的に同様である。
【0029】
管状部材314は、凍結療法装置12を取り巻くシースを備えている。温度監視部材320は、管状部材314の末端318に配置されたステント36を備えている。ステント36は、複数の熱スパイク38を更に備えている。ステント36は、形状記憶合金(例えば、ニッケル−チタニウム合金)から成っている。これと代替的に、ステント36は、金属及びポリマーを含む、上記に掲げられたものと同様の材料から成るものとしてもよい。
【0030】
熱スパイク38は、対象領域における温度を測定することができる。この実施の形態によれば、ユーザが温度を定量化し得るように熱スパイク38をマニホルド30に結合することができる。マニホルド30は、上記に掲げたものを含む、温度を定量化する手段を備えることができる。
【0031】
更に、対象領域への熱伝導を促進するため熱スパイク38を使用することができる。例えば、心臓内肉柱は、凍結療法装置12が心臓を均一に冷却することを許容しない。その結果、熱伝導は不均一で且つ、不完全なものとなる。熱スパイク38は、対象領域の表面に到達し、接触し且つ、進入することができる。例えば、熱スパイク38は、心臓内肉柱に接触し、従って、これら領域への熱伝導を促進することができる。
【0032】
1つの実施の形態において、ステント36は、体温にて収縮し且つ、冷却したとき膨張するものとすることができる。体温にて収縮した状態は、ステント36の外径を最小にし、このことは、温度監視装置310を対象領域まで送り込むのを容易にすることができる。冷却、例えば、凍結療法装置12により開始した冷却は、ステント36を膨張させ、熱スパイク38を対象領域に近接して動かすことができる。
【0033】
図8には、別の代替的な温度監視装置410が図示されている。装置410は、基本的に上述したようにマニホルド30に結合された凍結療法装置412を有している。更に、管状部材414は、凍結療法装置412に結合することができる。例えば、管状部材414を凍結療法装置12内に又は凍結療法装置12の軸部分内に少なくとも部分的に配置することができる。凍結療法装置12内に配置されたとき、管状部材414は、装置12の内壁と実質的に同軸状となり又は該内壁に近接する。
【0034】
温度監視部材420は、管状部材441内に配置し且つ、凍結療法装置12内に伸びるようにすることができる。1つの代替的な実施の形態において、管状部材441を使用せずに、温度監視部材420を凍結療法装置12内に配置することができる。例えば、温度監視部材420は、凍結療法装置12の軸内に配置することができる。
【0035】
温度監視部材420は、エミッター440及び検出器442を有する光画像化装置434を備えている。エミッター440は、凍結療法装置からエネルギ(例えば、光、赤外線エネルギ、超音波エネルギ等)を放出し得るようにされ且つそのような形態とされている。検出器442は、エネルギを検出することによりデータを収集し得るようにされている。本発明の精神から逸脱せずに、多数の異なる構成のエミッター及び(又は)検出器を使用することができる。
【0036】
凍結療法装置412は、形態及び機能の点にて凍結療法装置12と基本的に同一であるが、内側冷却チャンバ444及び外側冷却チャンバ446を更に有している。二重チャンバ冷却装置(装置412のような)は、追加的な安全上又は冷却上の有利な効果を提供することができる。例えば、内側冷却チャンバ444が故障したならば、外側冷却チャンバ446は、冷却剤の体内への損失を防止することができる。二重チャンバ冷却装置412は、本明細書に記載されたその他の実施の形態の任意のものと置換することが可能であることが理解できる。
【0037】
本明細書がカバーする本発明の多数の有利な効果を上記の説明に記載した。しかし、この開示は、多くの点にて、単に一例にしか過ぎないことが理解されよう。細部、特に、形状、寸法及びステップの配置の点にて本発明の範囲を越えずに変更を加えることが可能である。勿論、本発明の範囲は、特許請求の範囲にて使用した文言によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−226225(P2009−226225A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135513(P2009−135513)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【分割の表示】特願2003−552151(P2003−552151)の分割
【原出願日】平成14年12月13日(2002.12.13)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】