凍結濃縮型排水処理装置
【課題】 再利用水の水質を確保するとともに、コスト低減を図ることができる凍結濃縮型排水処理装置を提供する。
【解決手段】 排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部3と、氷生成部3から氷を搬送する搬送部4と、搬送された氷を溶かし回収水を生成する回収部6と、搬送部4に搬送される氷に排水および処理水の一方または両方をかける散水部5と、が設けられたことを特徴とする。
【解決手段】 排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部3と、氷生成部3から氷を搬送する搬送部4と、搬送された氷を溶かし回収水を生成する回収部6と、搬送部4に搬送される氷に排水および処理水の一方または両方をかける散水部5と、が設けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、排水から灌漑に利用可能な水を得る、あるいは中水として利用するのに好適な凍結濃縮型排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砂漠地帯を緑化するためには大量の灌漑水を確保することが必要であり、さらに、灌漑水を確保するためにかかる費用を安く抑える必要がある。
【0003】
このような緑化に用いられる灌漑水や比較的清浄な水を確保する方法としては、例えば、都市地域から排出される排水や海水から灌漑水を得る凍結濃縮法や、蒸発濃縮法や、膜濃縮法などが知られている。
これらの方法のうち、凍結濃縮法に関して連続的に灌漑水等を得る方法や、比較的低コストで灌漑水等を得る方法などが提案されている(例えば、特許文献1から3参照。)。
また、凍結濃縮方法に利用可能な氷を連続的に製造する装置の技術が提案されている(例えば、特許文献4および5参照。)。
【特許文献1】特開平11−30413号公報
【特許文献2】特開平6−277655号公報
【特許文献3】特開2002−130879号公報
【特許文献4】実開昭58−114478号公報
【特許文献5】特開平1−95263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、凍結濃縮法を用いて排水等から灌漑水等を得る排水再利用システムでは、生成した氷に付着した排水などの付着水を氷から分離させる分離効率が、得られた灌漑水等の水質向上に大きな影響を与えている。
【0005】
そのため、付着水を氷から分離させる遠心分離法などが知られているが、付着水の分離に用いられるエネルギが大きく、得られた再利用水を灌漑水等として市場投入するにはコスト高になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、再利用水の水質を確保するとともに、コスト低減を図ることができる凍結濃縮型排水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の凍結濃縮型排水処理装置は、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部と、該氷生成部から前記氷を搬送する搬送部と、搬送された前記氷を溶かし回収水を生成する回収部と、前記搬送部に搬送される前記氷に前記排水および前記回収水の一方または両方をかける散水部と、が設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけることにより、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後氷を回収部において溶かすことにより、濃縮排水を洗い流さない場合と比較して、回収水(再利用水)の水質向上を図ることができる。
さらに、遠心分離法等を用いて氷に付着した濃縮排水を取り除く方法と比較して、散水部から排水および回収水の一方または両方を氷にかけるだけなので、回収水の水質を確保するために使用するエネルギの削減を図ることができる。
【0009】
上記発明においては、前記散水部から前記氷にかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方は、前記氷生成部に供給されることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷により冷却される。一方、排水および回収水の一方または両方をかけられたことにより、解けた温度の低い融解水も上述の排水および回収水の一方または両方とともに氷生成部に供給される。そのため、氷生成部において氷を生成するために要するエネルギの削減を図ることができる。
言い換えると、氷に付着した濃縮排水を除去する際に失われた冷熱を、次の氷の生成に用いることができる。
【0011】
上記発明においては、前記搬送部における前記氷を載せる面には、前記散水部からかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方が流入する排水孔が設けられていることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、氷にかけられた排水および回収水の一方または両方や、氷から洗い流された濃縮排水や、氷が解けた溶解水などが排水孔に流入し、これら排水等を氷から容易に分離することができる。
【0013】
上記発明においては、前記搬送部により搬送された前記氷を前記回収部に搬送するとともに、前記搬送部から前記氷を受け取る際に前記氷の上下を反転させる反転搬送部と、該反転搬送部に搬送される前記氷に、前記排水および前記回収水の一方または両方をかける洗浄部と、が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、散水部により排水および回収水の一方または両方がかけられた方向とは異なる方向から排水および回収水の一方または両方を氷にかけることができる。そのため、氷に付着した付着水をより確実に洗い流すことができる。
【0015】
上記発明においては、前記氷が前記回収部に入る前に、前記氷に付着した付着水を取り除く脱水部が設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、排水が含まれる付着水が氷から取り除かれるため、回収部には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0017】
上記発明においては、前記氷生成部には、排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部と、前記排水の過冷却状態を解除して氷と濃縮排水とを生成する過冷却解除部と、前記氷と前記濃縮排水が貯留される氷貯留タンクと、が設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、過冷却状態の排水を冷却部において連続的に生成し、排水の過冷却状態を解除することで、氷を連続的に生成することができる。生成された氷は、同時に生成された濃縮排水とともに氷貯留タンクに貯留された後、搬送部により回収部に搬送されるため、回収水を得ることができる。
ソリッドアイスを生成するスタティック型の氷生成部と比較すると、氷を連続的に生成できるため、低いコストで回収水を得ることができる。
【0019】
上記発明においては、前記搬送部は、少なくとも略水平に延びる水平部と傾斜する傾斜部とを有し、前記水平部は前記氷貯留タンクに貯留された前記濃縮排水の水面下に配置され、前記傾斜部は前記濃縮排水の水面下から前記氷貯留タンク外に向かって延びるように配置されていることが望ましい。
【0020】
本発明によれば、搬送部を駆動することにより、水平部上の濃縮排水に浮かぶ氷を傾斜部に集め、氷を傾斜部の上に載せて濃縮排水から取り出し、回収部に搬送することができる。水平部を設けない場合と比較して、氷を傾斜部に集めることができることから、多くの氷を傾斜部の上に載せることができる。
【0021】
上記発明においては、前記氷生成部には、排水が貯留される排水タンクと、前記排水と接触し、回転しながら円筒面上に氷を形成させる製氷ドラムと、前記円筒面上から氷を剥ぎ取り、剥ぎ取った氷を前記搬送部に載せる剥ぎ取り部と、が設けられていることが望ましい。
【0022】
本発明によれば、製氷ドラムの円筒面上に形成された氷は、剥ぎ取り部により剥ぎ取られ、搬送部により回収部へ搬送される。
排水を過冷却状態にした後に、過冷却状態を解除して氷を生成する方法と比較して、濃縮排水が氷に含まれにくく、回収水の水質の向上を図りやすい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の凍結濃縮型排水処理装置によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけて、氷に付着した濃縮排水を洗い流すことにより、回収水(再利用水)の水質を確保するとともに、コスト低減を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る排水処理装置ついて図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る排水処理装置の構成を説明する模式図である。
排水処理装置(凍結型排水処理装置)1は、図1に示すように、排水が一時的に貯留される原水タンク2と、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部3と、生成された氷を搬送する搬送部4と、氷に付着した付着水を洗い流す散水部5と、氷から回収水を生成する回収部6とが設けられている。
【0025】
原水タンク2は、都市部から排出された排水が供給されるタンクであって、排水処理装置1において処理する前に一時的に排水を貯留するものである。
原水タンク2には、排水に含まれる固形物などを取り除く原水フィルタ7が配置され、原水フィルタ7を透過した排水は原水ポンプ8に導かれる。
【0026】
氷生成部3は、排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部9と、排水の過冷却状態を解除する過冷却解除部10と、氷と濃縮排水とが貯留される循環タンク(氷貯留タンク)11と、が設けられている。
【0027】
図2は、図1における冷却部の構成の一部を説明する模式図である。
冷却部9には、図1及び図2に示すように、熱交換部12と、ブライン部13と、が設けられている。
【0028】
熱交換部12は、ブライン部13から供給されたブラインと、原水ポンプ8から供給された排水などとの間で熱交換を行うものである。
熱交換部12には、図1に示すように、原水ポンプ8から排水が供給され、循環ポンプ19から濃縮排水が供給されている。一方、熱交換部12から過冷却解除部10に過冷却状態にまで冷却された排水および濃縮排水が供給されている。
また、熱交換部12には、図2に示すように、ブラインポンプ16からブラインが供給され、熱交換部12からブラインチラー14に排水等と熱交換した後のブラインが供給されている。
【0029】
ブライン部13は、図2に示すように、熱交換部12に冷却されたブラインを供給するものである。
ブライン部13には、ブラインを冷却するブラインチラー14と、ブラインを一時的に貯留するブラインタンク15と、ブラインを送出するブラインポンプ16とが設けられている。
【0030】
ブラインチラー14には、熱交換部12から熱交換後のブラインが供給され、ブラインポンプ16から送出されたブラインの一部が供給されている。ブラインチラー14からブラインタンク15には、冷却後のブラインが供給されている。
ブラインタンク15には冷却後のブラインが一時的に貯留され、ブラインタンク15からブラインポンプ16に冷却されたブラインが導かれている。
ブラインポンプ16は、ブラインタンク15に貯留されている冷却されたブラインを熱交換部12およびブラインチラー14に供給するものである。
【0031】
過冷却解除部10は、熱交換部12から供給された排水等の過冷却状態を解除し、氷と濃縮排水(濃縮された排水)を生成するものである。
過冷却解除部10には、排水等を一時的に貯留する貯留部17と、排水等を攪拌して過冷却状態を解除する攪拌部18と、が設けられている。
【0032】
貯留部17は、熱交換部12から供給された過冷却状態の排水等を受ける容器である。貯留部17の内部には攪拌部18が設けられている。
攪拌部18は、過冷却状態の排水等を攪拌して過冷却状態を解除し、排水等から清浄な水からなる氷を生成するとともに、結果的に塩類などが濃縮された濃縮排水を生成するものである。攪拌部18には、過冷却状態の排水等を攪拌するプロペラ部と、プロペラ部を回転駆動させる駆動部とが設けられている。
【0033】
循環タンク11は、過冷却解除部10の下方に配置され、過冷却解除部10により生成された氷と濃縮排水とが一時的に貯留されるものである。
循環タンク11には、濃縮排水を熱交換部12に供給させる循環ポンプ19が接続されている。循環ポンプ19と熱交換部12との間には、熱交換部12へ流入する氷を捕集する氷核フィルタ20が配置されている。さらに、循環ポンプ19と氷核フィルタ20との間には、一定の濃度以上に濃縮された濃縮排水を排出するドレン部21が設けられている。
【0034】
循環タンク11の内部には、過冷却解除部10から氷および濃縮排水が供給され、氷および濃縮排水が存在する領域(図1の右側領域)と、濃縮排水のみが存在する領域(図1の左側領域)とを形成する仕切り板22が設けられている。仕切り板22は、上端が濃縮排水の水面上に突出し、下端は濃縮排水が流通可能に循環タンク11の底面から離間して配置されている。
【0035】
搬送部4は、図1に示すように、生成された氷を循環タンク11から回収部6に搬送するものである。本実施形態では、搬送部4をベルトコンベアに適用して説明する。なお、搬送部4は、上述のようにベルトコンベアであってもよいし、その他の搬送機器であってもよく、特に限定するものではない。
【0036】
図3は、図1の搬送部の構成を説明する部分拡大図である。
搬送部4の略中央には、図1および図3に示すように、ベルトコンベアが水平方向に延びる水平部23が設けられている。搬送部4のベルトコンベアを構成するベルトには、排水孔24と、が設けられている。
【0037】
排水孔24は、散水部5から氷にかけられた排水および回収水の一方または両方と、氷に付着した付着水と、氷が解けた融解水が流入し、循環タンク11へ流れ落ちる貫通孔である。排水孔24は、千鳥状に配置されていてもよいし、それ以外のパターンに配置されていてもよく、特に限定するものではない。また、排水孔24の径は、氷が落下しない程度の大きさに制限されている。
【0038】
散水部5は、搬送部4により循環タンク11から引上げられた氷に付着する付着水(濃縮排水)を洗い流すものである。散水部5は、搬送部4の水平部23上方に配置されている。散水部5には、原水ポンプ8により送出された排水、または、ポンプ27よりバルブ34を介して送出された回収水の一部が供給されている。
散水部5としては、排水および回収水の一方または両方を散水するシャワーのような構造を採用することができる。
【0039】
回収部6は、搬送部4により搬送されてきた氷を溶かして回収水を得るものである。ここで、回収水とは、排水よりも塩類等の含有率が低く、灌漑水などのいわゆる中水として利用可能な水のことである。
【0040】
回収部6は、図1に示すように、氷回収タンク26と、回収ポンプ27と、ファンコイルユニット28と、が設けられている。
氷回収タンク26は、搬送部4により搬送された氷が貯留される容器である。氷回収タンク26の底には、氷が上に載せられるとともに、氷が溶けた回収水のみが透過する底面29が配置され、底面29の下方には回収水を回収ポンプ27側に集める傾斜面30が設けられている。
【0041】
回収ポンプ27は、氷回収タンク26において得られた回収水を外部またはファンコイルユニット28に向けて送出するものである。
回収ポンプ27とファンコイルユニット28との間には、回収ポンプ27から送出された回収水の流れを制御する三方弁31が配置されている。三方弁31には、氷回収タンク26に溜まった回収水の水位を検出するレベルセンサ32の出力が入力されている。三方弁31は、レベルセンサ32の出力に基づいて、回収水の流出方向を制御している。
【0042】
ファンコイルユニット28は、回収水と外部の空気との間で熱交換し、回収水の温度を上げるとともに、外部空気を冷却するものである。温度が高くなった回収水は、氷回収タンク26に戻され、氷回収タンク26内の氷を溶かすのに用いられる。
【0043】
次に、上記の構成からなる排水処理装置1による排水から回収水を回収する方法について説明する。
都市部などから排出された排水は、図1に示すように、原水タンク2に流入する。原水タンク2に流入した排水は、原水フィルタ7を透過して原水ポンプ8に導かれる。排水は原水フィルタ7を透過することにより、排水に含まれる固形物などが取り除かれる。原水タンク2に流入する排水は、約20℃の温度である。
原水ポンプ8に流入した排水は、熱交換部12および散水部5に向けて送出される。なお、熱交換部12および散水部5への排水の送出は流量制御バルブなどにより制御されている。
【0044】
原水ポンプ8から送出された排水、および、循環タンク11から循環されてきた濃縮排水(以下、排水等と表記する。)は、氷核フィルタ20を通過して熱交換部12に流入する。氷核フィルタ20を配置することにより、透過する排水等に含まれる氷を取り除くことができ、熱交換部12等の内部において氷が付着することを防止することができる。
熱交換部12に流入した排水等は過冷却状態にまで冷却され、過冷却解除部10に向けて流出する。
【0045】
熱交換部12は、図1および図2に示すように、ブラインチラー14により冷却されたブラインが供給され、ブラインと排水等との間で熱交換を行っている。これにより、排水等は過冷却状態にまで冷却される。
一方、熱交換を行った後のブラインは、ブラインチラー14に戻され再び冷却される。
【0046】
過冷却状態に冷却された排水等は、過冷却解除部10の貯留部17に流入する。貯留部17において過冷却状態の排水等は、攪拌部18により攪拌されて過冷却状態が解除される。
排水等は過冷却状態が解除されると、塩類等を含まない清浄水からなる氷を生成する。それと同時に、氷に含まれなかった塩類等が濃縮された濃縮排水が生成される。
【0047】
過冷却解除部10により生成された氷および濃縮排水は、貯留部17から下方に配置された循環タンク11に流入する。
氷および濃縮排水は、循環タンク11の仕切り板22に仕切られた一方の領域(図1の右側領域)に流入する。氷は仕切り板22により仕切られた一方の領域のみに留まり、濃縮排水は一方の領域から他方の領域(図1の左側領域)にも流入する。
【0048】
循環タンク11に貯留された濃縮排水は、循環ポンプ19により氷核フィルタ20を介して再び熱交換部12に送出される。
循環タンク11内に貯留された濃縮排水の濃度が所定濃度より高くなった場合には、濃縮排水は、循環ポンプ19と氷核フィルタ20との間に配置された三方弁である排出弁33から外部に排出される。
【0049】
循環タンク11内の氷は、搬送部4により濃縮排水からすくい上げられる。搬送部4によりすくい上げられた氷の周りに付着した濃縮排水は、重力により下方に落下し、排水孔24から循環タンク11に落下する。
その後、氷は搬送部4の水平部23に到達し、上方に配置された散水部5から排水および回収水の一方または両方がかけられる。排水および回収水の一方または両方は、氷の周りに付着した濃縮排水を洗い流し、洗い流された濃縮排水とともに排水孔24から循環タンク11に落下する。
一方、散水部5から散水される排水は、熱交換部12により冷却される前の排水であり、氷と比較して温度が高い。そのため、この排水は氷の一部を溶かし、氷に付着した濃縮排水をより確実に洗い流し、濃縮排水の除去率の向上を図ることができる。
【0050】
また、氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷および濃縮排水により冷却され、循環タンク11に流入する。その後、熱交換部12により過冷却状態に冷却される。
【0051】
水平部23において付着した濃縮排水を洗い流された氷は、さらに搬送部4により搬送され、氷に付着した付着水を水切りした後に、氷回収タンク26内に落とされる。
氷は、氷回収タンク26内の底面29上に堆積され、ファンコイルユニット28を通過し、温度の高くなった回収水がかけられる。これにより氷は溶けて回収水となり、底面29を透過して回収水ポンプ27に流入する。
【0052】
回収水ポンプ27は、三方弁31に向けて回収水を送出する。三方弁31は、氷回収タンク26内の回収水の水面が所定位置より下の場合には、回収水をファンコイルユニット28に向けて流す。
ファンコイルユニット28に流入した回収水は外部の空気との間で熱交換を行い、外部の空気を冷却する。冷却された空気は、室内の空調などに用いられる。一方、熱交換後の回収水は、外部の空気の熱により温度が高くなる。温度が高くなった回収水は氷回収タンク26に導かれ、氷を溶かすのに用いられる。
【0053】
一方、氷回収タンク26内の回収水の水面レベルが所定位置に到達すると、三方弁31は、回収水を外部に向けて流す。
【0054】
上記の構成によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけることにより、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後氷を回収部6の氷回収タンク26において溶かすことにより、濃縮排水を洗い流さない場合と比較して、回収水の水質向上を図ることができる。
さらに、遠心分離法等を用いて氷に付着した濃縮排水を取り除く方法と比較して、散水部5から排水および回収水の一方または両方を氷にかけるだけなので、回収水の水質を確保するために使用するエネルギの削減を図ることができる。つまり、回収水の水質を確保するとともに、回収水を得るのに要するコストを低減することができる。
氷に付着した濃縮排水を洗い流すことにより、回収水における塩素濃度、化学的酸素要求量(COD)を低くすることができる。
【0055】
過冷却状態の排水等を冷却部9の熱交換部12において連続的に生成し、排水等の過冷却状態を解除することで、氷を連続的に生成することができる。生成された氷は、同時に生成された濃縮排水とともに循環タンク11に貯留された後、搬送部4により回収部6の氷回収タンク26に搬送されるため、回収水を得ることができる。
このように氷を連続的に生成できるため、ソリッドアイスを生成するスタティック型の氷生成部と比較すると、低いコストで回収水を得ることができる。
【0056】
氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷により冷却される。一方、排水および回収水の一方または両方をかけられたことにより、解けた温度の低い融解水も上述の排水および回収水の一方または両方とともに氷生成部3の熱交換部12に供給される。そのため、氷生成部3において氷を生成するために要するエネルギの削減を図ることができる。
言い換えると、氷に付着した濃縮排水を除去する際に氷から失われた冷熱を、次の氷の生成に用いることができる。
【0057】
搬送部4に排水孔24を設けることにより、氷にかけられた排水および回収水の一方または両方や、氷から洗い流された濃縮排水や、氷が解けた溶解水などが排水孔に流入し、これら排水等を氷から容易に分離することができる。
【0058】
また、上述の実施形態のように、搬送部4を連続して稼動させてもよいし、熱交換部12から流出する排水等の温度に基づいて、搬送部4を制御してもよく、特に限定するものではない。
具体的には、排水等の温度が、氷が急激に生成する条件(例えば、過冷却度が1℃以上の条件)に、搬送部4を稼動させ、それ以外の条件では搬送部4を停止させる制御を行ってもよい。
このような制御を行うことで、搬送部4の無駄な動きを抑制することができ、回収水を得るために要するコストを低減できる。また、氷の生成量が少ない場合に搬送部4を稼動させると、搬送中に氷が溶けてしまいロスが大きくなる。上述のような制御を行うことで、このようなロスを減らすことができる。
【0059】
また、搬送部4と回収部6との間に生成された氷の重量を測定する計量部を設けて、生成された氷の重量に基づいてブライン部13のブライン温度を制御してもよい。
具体的には、氷の生成量が少ない場合には、ブライン温度を下げて氷の生成量を増やし、氷の生成量が多い場合には、ブライン温度を上げて氷の生成量を減らす制御を行う。
このような制御を行うことで、一定の氷生成量を維持しつつ、過冷却解除部10以外の場所で過冷却解除が起こりにくくすることができる。さらに、循環タンク11から循環する濃縮排水の濃縮度が高くなって、凝固点が低くなっても、同じ速度で氷の生成を続けることができる。
【0060】
また、循環タンク11から循環される濃縮排水の流量に基づいて、熱交換部12へ供給されるブラインの流量を制御してもよい。
具体的には、循環される濃縮排水の流量が低下した場合、ブライン部13におけるブラインの循環流量を一気に増やし、循環される濃縮排水の流量が回復したら、ブライン部13から熱交換部12に供給されるブライン流量を元に戻す。
このような制御を行うことにより、熱交換部12内で氷が生成されて循環される濃縮排水の流量が低下しても、ブラインの供給量を減らすことで、熱交換部12内の氷を溶かすことができる。
【0061】
また、回収部6に電気伝導度計(EC計)を設けて、回収水の電気伝導度に基づいて散水部5から氷にかけられる排水および回収水の一方または両方の流量を制御してもよく、特に限定するものではない。具体的には、回収水の電気伝導度が高くなると、氷にかけられる排水および回収水の一方または両方の流量を増やし、氷に付着する濃縮排水の除去率を高め、回収水に含まれる塩類の割合を低下させる。
あるいは、搬送部4による氷の搬送時間を長くし、氷に付着する濃縮排水の除去率を高め、回収水に含まれる塩類の割合を低下させてもよい。
【0062】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図4から図6を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図4から図6を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図4は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
排水処理装置101の搬送部4と回収部6との間には、図4に示すように、脱水部102が設けられている。
脱水部102は、搬送部4により搬送されてきた氷に付着した付着水を吸収することにより、氷から取り除くものである。脱水部102には、スポンジ等の吸水部材が設けられたベルト部103と、ベルト部103が巻かれた一対のローラ部104と、吸水部材に吸い取られた排水等を搾り出す脱水ドラム105と、が設けられている。
【0064】
図5は、図4の脱水ドラムの構成を説明する部分拡大図である。
ローラ部104は、搬送部4と氷回収タンク26との間に略水平に離れて配置され、ベルト部103が巻かれている。脱水ドラム105は、ローラ部104に巻かれたベルト部103のうち、下側のベルト部103に配置されている。脱水ドラム105は、図5に示すように、一対のローラから構成され、一対のローラの間にベルト部103を通すことにより、ベルト部103の吸水部材を絞るように配置されている。
【0065】
次に、上記の構成からなる排水処理装置101による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において生成された氷が搬送部4により搬送されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0066】
搬送部4に搬送された氷は、搬送部4から脱水部102のベルト部103上に落下する。ベルト部103は氷を氷回収タンク26側に搬送するとともに、吸水部材により氷の付着水を吸収する。吸水部材により付着水が取り除かれた氷は、氷回収タンク26に落下する。
【0067】
付着水を吸水した吸水部材は、脱水ドラム105に挟まれることにより、吸水した付着水が搾り出される。搾り出された付着水は循環タンク11に回収される。
氷を氷回収タンク26内に落下させた以後の作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
上記の構成によれば、脱水部102により、氷から排水が含まれる付着水が取り除かれるため、回収部6には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0069】
図6は、図5の脱水ドラムの他の実施例を説明する模式図である。
なお、上述の実施形態のように、脱水ドラム105を一対のローラから構成してもよいし、図6に示すように、ローラ部104と対向する位置に一つのローラを配置して脱水ドラム105Aとしてもよく、特に限定するものではない。
【0070】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図7は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)201の搬送部204の上には、図7に示すように、脱水部202が設けられている。
搬送部204は、第1の実施形態の搬送部4と比較して、水平部23が長く設けられ、水平部23の上には、散水部5と、脱水部202とが設けられている。
【0072】
脱水部202は、搬送部4により搬送されてきた氷に付着した付着水を吸収することにより、氷から取り除くものである。脱水部202には、付着水を吸い取る吸水部203と、円筒状のドラム部206と、吸水部203から吸い取った付着水を搾り出す脱水ドラム205と、が設けられている。
【0073】
図8は、図7の脱水部の構成を説明する部分拡大図である。
吸水部203は、図8に示すように、ドラム部206の円周面に配置され、搬送部204により搬送された氷に押し付けられ、氷の付着水を吸い取るスポンジなどの吸水材料から形成されたものである。
脱水ドラム205は、ドラム部206との間に吸水部203を挟み、吸水部203が吸い取った付着水を搾り出すものである。脱水ドラム205は、吸水部203が氷と接触する領域よりも散水部5側に配置されている。
【0074】
次に、上記の構成からなる排水処理装置201による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0075】
循環タンク11内の氷は、図7に示すように、搬送部204によりすくい上げられる。すくい上げられた氷は水平部23において、上方に配置された散水部5から排水がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後、氷は脱水部202により付着水が取り除かれる。
【0076】
脱水部202の吸水部203はドラム部206により氷に押し付けられ、氷に付着した付着水を吸い取る。付着水を吸い取られた氷は、水平部23から氷回収タンク26に落下する。
付着水を吸い取った吸水部203は、図8に示すように、脱水ドラム205およびドラム部206の間を通過して、吸い取った付着水が搾り出される。搾り出された付着水は、循環タンク11に回収される。
氷を氷回収タンク26内に落下させた以後の作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
上記の構成によれば、脱水部202により、氷から排水が含まれる付着水が取り除かれるため、回収部6には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0078】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図9を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)301の搬送部4と回収部6との間には、図9に示すように、氷を搬送する反転搬送部304と、氷に付着した付着水を洗浄する洗浄部305とが設けられている。
反転搬送部304には、略水平方向に延び、かつ、搬送部4から落下した氷を受ける受け止め部306が設けられ、受け止め部306の上方には洗浄部305が配置されている。反転搬送部304としては、搬送部4と同様にベルトコンベアなどを用いることができる。
【0080】
洗浄部305には、原水ポンプ8から送出された排水が供給されている。
洗浄部305の下方には、氷を洗浄した排水を受ける受けタンク307が配置されている。受けタンク307に溜まった排水等は、散水部5に供給されている。
【0081】
次に、上記の構成からなる排水処理装置301による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0082】
循環タンク11内の氷は、図9に示すように、搬送部4によりすくい上げられる。すくい上げられた氷は水平部23において、受けタンク307から供給された排水がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後、氷は搬送部4から反転搬送部304の受け止め部306上に落下する。
【0083】
氷は受け止め部306に落下する際に上下が反転され、搬送部4では下側だった部分が上側となる。上下が反転された氷は反転搬送部304により搬送され、洗浄部305から排水および回収水の一方または両方がかけられる。氷に付着した付着水は排水および回収水の一方または両方により洗い流され、排水および回収水の一方または両方とともに受けタンク307に落下する。
付着水が洗い流された氷は、さらに反転搬送部304に搬送される間に、付着水を水切りした後に氷回収タンク26内に落とされる。
【0084】
上記の構成によれば、散水部5により排水がかけられた方向とは異なる方向から排水および回収水の一方または両方を氷にかけることができる。そのため、氷に付着した付着水をより確実に洗い流すことができる。
【0085】
なお、上述の実施形態のように、洗浄部305に排水を供給してもよいし、回収部6により得られた回収水を供給してもよく、特に限定するものではない。
このように回収水を洗浄部305に供給することで、氷に付着した排水や濃縮排水をより確実に洗い流すことができ、回収水の水質をより向上させることができる。また、受けタンク307に回収した水を散水部5に供給することで、氷に付着した付着水を洗い流すのに用いる回収水の量を減らすことができる。
【0086】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図10から図12を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図10から図12を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図10は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)401の搬送部404には、図10に示すように、立て板405が設けられ、循環タンク11における濃縮排水の水面下に略水平方向に延びる水平部406と、斜め上方へ延びる傾斜部407と、が設けられている。
立て板405は、搬送部404のベルトに対して突出して設けられた板材であり、搬送部404から氷が滑り落ちることを防止するものである。
【0088】
次に、上記の構成からなる排水処理装置401による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0089】
循環タンク11内の氷は、図10に示すように、水平部406の立て板405により掻き集められ、傾斜部407において濃縮排水からすくい上げられる。すくい上げられた氷は、散水部5により付着水が洗い流され、氷回収タンク26に落下する。
【0090】
上記の構成によれば、搬送部404を駆動することにより、水平部406上の濃縮排水に浮かぶ氷を傾斜部407に集め、氷を傾斜部407の上に載せて濃縮排水から取り出し、氷回収タンク26に搬送することができる。水平部406を設けない場合と比較して、氷を傾斜部407に集めることができることから、多くの氷を傾斜部407の上に載せることができる。
【0091】
図11は、図3の立て板における他の実施形態を説明する部分拡大図である。図12は、図11の立て板における排水等の流れ方向を説明する模式図である。
なお、上述の実施形態のように、立て板405が板材から構成されていてもよいし、図11に示すように櫛歯状に構成されていてもよく、特に限定するものではない。
このように構成することで、氷に付着した濃縮排水等は、排水孔24から流れ落ちるだけでなく、図12に示すように、立て板405Aの隙間から流れ落ちることができ、氷に付着した濃縮排水等の除去効率が向上する。
【0092】
なお、立て板405Aの隙間は、氷が間をすり抜けない程度の幅であることが望ましく、例えば、5mm程度の隙間を挙げることができる。
また、上述のように、立て板405は櫛歯状に構成したものに限定したものに限られず、水を透過する構成、例えばメッシュ状に構成してもよく、特に限定するものではない。
【0093】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図13を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第5の実施形態と同様であるが、第5の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図13を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図13は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第5の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)501の搬送部404と氷回収タンク26との間には、回動部502が設けられている。
回動部502は、搬送部404により搬送された氷を所定時間の間、保持して水切りを行った後、氷を氷回収タンク26に落下させるものである。
回動部502には、氷が載せられる支持台503と、回動可能に支持された支持部504と、バランスをとるウエイト505とが設けられている。
【0095】
支持台503には、氷を支持するとともに、水を透過させる載置面506と、透過した水を循環タンク11に導く受け皿507とが設けられている。受け皿507の下面には支持部504が接続されている。
支持部504は、一方の端部が支持台503に接続され、他方の端部がウエイト505と接続されている。さらに、支持部504の略中央には、支持部504を回動可能に支える回動軸508がもうけられている。
ウエイト505は、支持台503上に所定量の氷が乗ることにより、支持台503が氷回収タンク26側に回動する重さに調整されたものである。
【0096】
次に、上記の構成からなる排水処理装置501による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、氷が搬送部404により搬送されるまでは第5の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0097】
搬送部404により搬送された氷は、搬送部404から支持部504の上に落下する。氷は支持部504の上に落下する際に上下が反転され、搬送部404で除去できなかった付着水が除去される。
氷から除去された付着水は、載置面506を通過し、受け皿507により循環タンク11に回収される。
【0098】
支持部504の上に所定量の氷が乗ると、支持部504は回動軸508を中心に下方へ回動する。支持部504が下方に回動すると、氷は支持部504から滑り落ち、氷回収タンク26内に落下する。
【0099】
上記の構成によれば、氷に付着した付着水の除去率が向上し、回収水の水質を向上させることができる。さらに、搬送部を2段備える方法と比較して、必要とされる動力が少ないため、回収水を得るために要するコストを低減することができる。
【0100】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について図14を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第5の実施形態と同様であるが、第5の実施形態とは、氷生成部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図14を用いて氷生成部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図14は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)601は、図14に示すように、排水供給される排水タンク602と、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部603と、が設けられている。
【0102】
排水タンク602は都市部から排出された排水が供給されるタンクであって、内部で製氷ドラム604により氷が生成されている。
【0103】
氷生成部603は、氷を生成する製氷ドラム604と、製氷ドラム604を回転させる回転駆動部605と、製氷ドラム604を冷却する冷却部606と、製氷ドラムから氷をかき取るスクレーパ(剥ぎ取り部)607と、が設けられている。
【0104】
製氷ドラム604は円柱状の部材であり、中心軸線が排水の水面と略平行に配置されるとともに、円周面の一部が排水と接触するように配置されている。さらに製氷ドラム604は、回転駆動部605により中心軸線周りに回転可能に支持されている。
スクレーパ607は、一方の端部が円周面と接して配置され、他方の端部は氷を搬送部4に導くように配置されている。
【0105】
次に、上記の構成からなる排水処理装置601による排水から回収水を回収する方法について説明する。
都市部から排出された排水は排水タンク602に供給され、氷生成部603により排水から氷が生成される。
【0106】
具体的には、製氷ドラム604は冷却部606により冷却されるとともに、回転駆動部605により回転される。すると、製氷ドラム604の円周面に氷が生成される。製氷ドラム604の円周面に付着した氷は製氷ドラム604とともに回転し、スクレーパ607により製氷ドラム604からかき取られる。かき取られた氷は、スクレーパ607の上を搬送部4側へ押し出され、搬送部4の上に落下する。
【0107】
搬送部4の上に落下した氷には散水部5から排水および回収水の一方または両方がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。濃縮排水が洗い流された氷は、その後しばらく搬送部4により搬送される間に付着水の水切りがなされる。水切りされた氷は、搬送部4から氷回収タンク26に落下する。
【0108】
上記の構成によれば、製氷ドラム604の円筒面上に形成された氷は、スクレーパ607により剥ぎ取られ、搬送部4により氷回収タンク26へ搬送される。そのため、排水を過冷却状態にした後に、過冷却状態を解除して氷を生成する方法と比較して、排水が氷に含まれにくく、回収水の水質の向上を図りやすい。
【0109】
なお、上述の実施形態のように、搬送部4により氷を直接氷回収タンク26へ搬送してもよいし、第2の実施形態の脱水部102や、第3の実施形態の脱水部202などを組み合わせて回収水の水質の向上を図ってもよく、特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る排水処理装置の構成を説明する模式図である。
【図2】図1における冷却部の構成の一部を説明する模式図である。
【図3】図1の搬送部の構成を説明する部分拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図5】図4の脱水ドラムの構成を説明する部分拡大図である。
【図6】図5の脱水ドラムの他の実施例を説明する模式図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図8】図7の脱水部の構成を説明する部分拡大図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図11】図3の立て板における他の実施形態を説明する部分拡大図である。
【図12】図11の立て板における排水等の流れ方向を説明する模式図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図14】本発明の第7の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0111】
1,101,201,301,401,501,601 排水処理装置(凍結型排水処理装置)
3,603 氷生成部
4,204,404 搬送部
5 散水部
6 回収部
9 冷却部
10 過冷却解除部
11 循環タンク(氷貯留タンク)
24 排水孔
102,202 脱水部
304 反転搬送部
602 排水タンク
604 製氷ドラム
607 スクレーパ(剥ぎ取り部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、排水から灌漑に利用可能な水を得る、あるいは中水として利用するのに好適な凍結濃縮型排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砂漠地帯を緑化するためには大量の灌漑水を確保することが必要であり、さらに、灌漑水を確保するためにかかる費用を安く抑える必要がある。
【0003】
このような緑化に用いられる灌漑水や比較的清浄な水を確保する方法としては、例えば、都市地域から排出される排水や海水から灌漑水を得る凍結濃縮法や、蒸発濃縮法や、膜濃縮法などが知られている。
これらの方法のうち、凍結濃縮法に関して連続的に灌漑水等を得る方法や、比較的低コストで灌漑水等を得る方法などが提案されている(例えば、特許文献1から3参照。)。
また、凍結濃縮方法に利用可能な氷を連続的に製造する装置の技術が提案されている(例えば、特許文献4および5参照。)。
【特許文献1】特開平11−30413号公報
【特許文献2】特開平6−277655号公報
【特許文献3】特開2002−130879号公報
【特許文献4】実開昭58−114478号公報
【特許文献5】特開平1−95263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、凍結濃縮法を用いて排水等から灌漑水等を得る排水再利用システムでは、生成した氷に付着した排水などの付着水を氷から分離させる分離効率が、得られた灌漑水等の水質向上に大きな影響を与えている。
【0005】
そのため、付着水を氷から分離させる遠心分離法などが知られているが、付着水の分離に用いられるエネルギが大きく、得られた再利用水を灌漑水等として市場投入するにはコスト高になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、再利用水の水質を確保するとともに、コスト低減を図ることができる凍結濃縮型排水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の凍結濃縮型排水処理装置は、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部と、該氷生成部から前記氷を搬送する搬送部と、搬送された前記氷を溶かし回収水を生成する回収部と、前記搬送部に搬送される前記氷に前記排水および前記回収水の一方または両方をかける散水部と、が設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけることにより、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後氷を回収部において溶かすことにより、濃縮排水を洗い流さない場合と比較して、回収水(再利用水)の水質向上を図ることができる。
さらに、遠心分離法等を用いて氷に付着した濃縮排水を取り除く方法と比較して、散水部から排水および回収水の一方または両方を氷にかけるだけなので、回収水の水質を確保するために使用するエネルギの削減を図ることができる。
【0009】
上記発明においては、前記散水部から前記氷にかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方は、前記氷生成部に供給されることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷により冷却される。一方、排水および回収水の一方または両方をかけられたことにより、解けた温度の低い融解水も上述の排水および回収水の一方または両方とともに氷生成部に供給される。そのため、氷生成部において氷を生成するために要するエネルギの削減を図ることができる。
言い換えると、氷に付着した濃縮排水を除去する際に失われた冷熱を、次の氷の生成に用いることができる。
【0011】
上記発明においては、前記搬送部における前記氷を載せる面には、前記散水部からかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方が流入する排水孔が設けられていることが望ましい。
【0012】
本発明によれば、氷にかけられた排水および回収水の一方または両方や、氷から洗い流された濃縮排水や、氷が解けた溶解水などが排水孔に流入し、これら排水等を氷から容易に分離することができる。
【0013】
上記発明においては、前記搬送部により搬送された前記氷を前記回収部に搬送するとともに、前記搬送部から前記氷を受け取る際に前記氷の上下を反転させる反転搬送部と、該反転搬送部に搬送される前記氷に、前記排水および前記回収水の一方または両方をかける洗浄部と、が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明によれば、散水部により排水および回収水の一方または両方がかけられた方向とは異なる方向から排水および回収水の一方または両方を氷にかけることができる。そのため、氷に付着した付着水をより確実に洗い流すことができる。
【0015】
上記発明においては、前記氷が前記回収部に入る前に、前記氷に付着した付着水を取り除く脱水部が設けられていることが望ましい。
【0016】
本発明によれば、排水が含まれる付着水が氷から取り除かれるため、回収部には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0017】
上記発明においては、前記氷生成部には、排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部と、前記排水の過冷却状態を解除して氷と濃縮排水とを生成する過冷却解除部と、前記氷と前記濃縮排水が貯留される氷貯留タンクと、が設けられていることが望ましい。
【0018】
本発明によれば、過冷却状態の排水を冷却部において連続的に生成し、排水の過冷却状態を解除することで、氷を連続的に生成することができる。生成された氷は、同時に生成された濃縮排水とともに氷貯留タンクに貯留された後、搬送部により回収部に搬送されるため、回収水を得ることができる。
ソリッドアイスを生成するスタティック型の氷生成部と比較すると、氷を連続的に生成できるため、低いコストで回収水を得ることができる。
【0019】
上記発明においては、前記搬送部は、少なくとも略水平に延びる水平部と傾斜する傾斜部とを有し、前記水平部は前記氷貯留タンクに貯留された前記濃縮排水の水面下に配置され、前記傾斜部は前記濃縮排水の水面下から前記氷貯留タンク外に向かって延びるように配置されていることが望ましい。
【0020】
本発明によれば、搬送部を駆動することにより、水平部上の濃縮排水に浮かぶ氷を傾斜部に集め、氷を傾斜部の上に載せて濃縮排水から取り出し、回収部に搬送することができる。水平部を設けない場合と比較して、氷を傾斜部に集めることができることから、多くの氷を傾斜部の上に載せることができる。
【0021】
上記発明においては、前記氷生成部には、排水が貯留される排水タンクと、前記排水と接触し、回転しながら円筒面上に氷を形成させる製氷ドラムと、前記円筒面上から氷を剥ぎ取り、剥ぎ取った氷を前記搬送部に載せる剥ぎ取り部と、が設けられていることが望ましい。
【0022】
本発明によれば、製氷ドラムの円筒面上に形成された氷は、剥ぎ取り部により剥ぎ取られ、搬送部により回収部へ搬送される。
排水を過冷却状態にした後に、過冷却状態を解除して氷を生成する方法と比較して、濃縮排水が氷に含まれにくく、回収水の水質の向上を図りやすい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の凍結濃縮型排水処理装置によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけて、氷に付着した濃縮排水を洗い流すことにより、回収水(再利用水)の水質を確保するとともに、コスト低減を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る排水処理装置ついて図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る排水処理装置の構成を説明する模式図である。
排水処理装置(凍結型排水処理装置)1は、図1に示すように、排水が一時的に貯留される原水タンク2と、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部3と、生成された氷を搬送する搬送部4と、氷に付着した付着水を洗い流す散水部5と、氷から回収水を生成する回収部6とが設けられている。
【0025】
原水タンク2は、都市部から排出された排水が供給されるタンクであって、排水処理装置1において処理する前に一時的に排水を貯留するものである。
原水タンク2には、排水に含まれる固形物などを取り除く原水フィルタ7が配置され、原水フィルタ7を透過した排水は原水ポンプ8に導かれる。
【0026】
氷生成部3は、排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部9と、排水の過冷却状態を解除する過冷却解除部10と、氷と濃縮排水とが貯留される循環タンク(氷貯留タンク)11と、が設けられている。
【0027】
図2は、図1における冷却部の構成の一部を説明する模式図である。
冷却部9には、図1及び図2に示すように、熱交換部12と、ブライン部13と、が設けられている。
【0028】
熱交換部12は、ブライン部13から供給されたブラインと、原水ポンプ8から供給された排水などとの間で熱交換を行うものである。
熱交換部12には、図1に示すように、原水ポンプ8から排水が供給され、循環ポンプ19から濃縮排水が供給されている。一方、熱交換部12から過冷却解除部10に過冷却状態にまで冷却された排水および濃縮排水が供給されている。
また、熱交換部12には、図2に示すように、ブラインポンプ16からブラインが供給され、熱交換部12からブラインチラー14に排水等と熱交換した後のブラインが供給されている。
【0029】
ブライン部13は、図2に示すように、熱交換部12に冷却されたブラインを供給するものである。
ブライン部13には、ブラインを冷却するブラインチラー14と、ブラインを一時的に貯留するブラインタンク15と、ブラインを送出するブラインポンプ16とが設けられている。
【0030】
ブラインチラー14には、熱交換部12から熱交換後のブラインが供給され、ブラインポンプ16から送出されたブラインの一部が供給されている。ブラインチラー14からブラインタンク15には、冷却後のブラインが供給されている。
ブラインタンク15には冷却後のブラインが一時的に貯留され、ブラインタンク15からブラインポンプ16に冷却されたブラインが導かれている。
ブラインポンプ16は、ブラインタンク15に貯留されている冷却されたブラインを熱交換部12およびブラインチラー14に供給するものである。
【0031】
過冷却解除部10は、熱交換部12から供給された排水等の過冷却状態を解除し、氷と濃縮排水(濃縮された排水)を生成するものである。
過冷却解除部10には、排水等を一時的に貯留する貯留部17と、排水等を攪拌して過冷却状態を解除する攪拌部18と、が設けられている。
【0032】
貯留部17は、熱交換部12から供給された過冷却状態の排水等を受ける容器である。貯留部17の内部には攪拌部18が設けられている。
攪拌部18は、過冷却状態の排水等を攪拌して過冷却状態を解除し、排水等から清浄な水からなる氷を生成するとともに、結果的に塩類などが濃縮された濃縮排水を生成するものである。攪拌部18には、過冷却状態の排水等を攪拌するプロペラ部と、プロペラ部を回転駆動させる駆動部とが設けられている。
【0033】
循環タンク11は、過冷却解除部10の下方に配置され、過冷却解除部10により生成された氷と濃縮排水とが一時的に貯留されるものである。
循環タンク11には、濃縮排水を熱交換部12に供給させる循環ポンプ19が接続されている。循環ポンプ19と熱交換部12との間には、熱交換部12へ流入する氷を捕集する氷核フィルタ20が配置されている。さらに、循環ポンプ19と氷核フィルタ20との間には、一定の濃度以上に濃縮された濃縮排水を排出するドレン部21が設けられている。
【0034】
循環タンク11の内部には、過冷却解除部10から氷および濃縮排水が供給され、氷および濃縮排水が存在する領域(図1の右側領域)と、濃縮排水のみが存在する領域(図1の左側領域)とを形成する仕切り板22が設けられている。仕切り板22は、上端が濃縮排水の水面上に突出し、下端は濃縮排水が流通可能に循環タンク11の底面から離間して配置されている。
【0035】
搬送部4は、図1に示すように、生成された氷を循環タンク11から回収部6に搬送するものである。本実施形態では、搬送部4をベルトコンベアに適用して説明する。なお、搬送部4は、上述のようにベルトコンベアであってもよいし、その他の搬送機器であってもよく、特に限定するものではない。
【0036】
図3は、図1の搬送部の構成を説明する部分拡大図である。
搬送部4の略中央には、図1および図3に示すように、ベルトコンベアが水平方向に延びる水平部23が設けられている。搬送部4のベルトコンベアを構成するベルトには、排水孔24と、が設けられている。
【0037】
排水孔24は、散水部5から氷にかけられた排水および回収水の一方または両方と、氷に付着した付着水と、氷が解けた融解水が流入し、循環タンク11へ流れ落ちる貫通孔である。排水孔24は、千鳥状に配置されていてもよいし、それ以外のパターンに配置されていてもよく、特に限定するものではない。また、排水孔24の径は、氷が落下しない程度の大きさに制限されている。
【0038】
散水部5は、搬送部4により循環タンク11から引上げられた氷に付着する付着水(濃縮排水)を洗い流すものである。散水部5は、搬送部4の水平部23上方に配置されている。散水部5には、原水ポンプ8により送出された排水、または、ポンプ27よりバルブ34を介して送出された回収水の一部が供給されている。
散水部5としては、排水および回収水の一方または両方を散水するシャワーのような構造を採用することができる。
【0039】
回収部6は、搬送部4により搬送されてきた氷を溶かして回収水を得るものである。ここで、回収水とは、排水よりも塩類等の含有率が低く、灌漑水などのいわゆる中水として利用可能な水のことである。
【0040】
回収部6は、図1に示すように、氷回収タンク26と、回収ポンプ27と、ファンコイルユニット28と、が設けられている。
氷回収タンク26は、搬送部4により搬送された氷が貯留される容器である。氷回収タンク26の底には、氷が上に載せられるとともに、氷が溶けた回収水のみが透過する底面29が配置され、底面29の下方には回収水を回収ポンプ27側に集める傾斜面30が設けられている。
【0041】
回収ポンプ27は、氷回収タンク26において得られた回収水を外部またはファンコイルユニット28に向けて送出するものである。
回収ポンプ27とファンコイルユニット28との間には、回収ポンプ27から送出された回収水の流れを制御する三方弁31が配置されている。三方弁31には、氷回収タンク26に溜まった回収水の水位を検出するレベルセンサ32の出力が入力されている。三方弁31は、レベルセンサ32の出力に基づいて、回収水の流出方向を制御している。
【0042】
ファンコイルユニット28は、回収水と外部の空気との間で熱交換し、回収水の温度を上げるとともに、外部空気を冷却するものである。温度が高くなった回収水は、氷回収タンク26に戻され、氷回収タンク26内の氷を溶かすのに用いられる。
【0043】
次に、上記の構成からなる排水処理装置1による排水から回収水を回収する方法について説明する。
都市部などから排出された排水は、図1に示すように、原水タンク2に流入する。原水タンク2に流入した排水は、原水フィルタ7を透過して原水ポンプ8に導かれる。排水は原水フィルタ7を透過することにより、排水に含まれる固形物などが取り除かれる。原水タンク2に流入する排水は、約20℃の温度である。
原水ポンプ8に流入した排水は、熱交換部12および散水部5に向けて送出される。なお、熱交換部12および散水部5への排水の送出は流量制御バルブなどにより制御されている。
【0044】
原水ポンプ8から送出された排水、および、循環タンク11から循環されてきた濃縮排水(以下、排水等と表記する。)は、氷核フィルタ20を通過して熱交換部12に流入する。氷核フィルタ20を配置することにより、透過する排水等に含まれる氷を取り除くことができ、熱交換部12等の内部において氷が付着することを防止することができる。
熱交換部12に流入した排水等は過冷却状態にまで冷却され、過冷却解除部10に向けて流出する。
【0045】
熱交換部12は、図1および図2に示すように、ブラインチラー14により冷却されたブラインが供給され、ブラインと排水等との間で熱交換を行っている。これにより、排水等は過冷却状態にまで冷却される。
一方、熱交換を行った後のブラインは、ブラインチラー14に戻され再び冷却される。
【0046】
過冷却状態に冷却された排水等は、過冷却解除部10の貯留部17に流入する。貯留部17において過冷却状態の排水等は、攪拌部18により攪拌されて過冷却状態が解除される。
排水等は過冷却状態が解除されると、塩類等を含まない清浄水からなる氷を生成する。それと同時に、氷に含まれなかった塩類等が濃縮された濃縮排水が生成される。
【0047】
過冷却解除部10により生成された氷および濃縮排水は、貯留部17から下方に配置された循環タンク11に流入する。
氷および濃縮排水は、循環タンク11の仕切り板22に仕切られた一方の領域(図1の右側領域)に流入する。氷は仕切り板22により仕切られた一方の領域のみに留まり、濃縮排水は一方の領域から他方の領域(図1の左側領域)にも流入する。
【0048】
循環タンク11に貯留された濃縮排水は、循環ポンプ19により氷核フィルタ20を介して再び熱交換部12に送出される。
循環タンク11内に貯留された濃縮排水の濃度が所定濃度より高くなった場合には、濃縮排水は、循環ポンプ19と氷核フィルタ20との間に配置された三方弁である排出弁33から外部に排出される。
【0049】
循環タンク11内の氷は、搬送部4により濃縮排水からすくい上げられる。搬送部4によりすくい上げられた氷の周りに付着した濃縮排水は、重力により下方に落下し、排水孔24から循環タンク11に落下する。
その後、氷は搬送部4の水平部23に到達し、上方に配置された散水部5から排水および回収水の一方または両方がかけられる。排水および回収水の一方または両方は、氷の周りに付着した濃縮排水を洗い流し、洗い流された濃縮排水とともに排水孔24から循環タンク11に落下する。
一方、散水部5から散水される排水は、熱交換部12により冷却される前の排水であり、氷と比較して温度が高い。そのため、この排水は氷の一部を溶かし、氷に付着した濃縮排水をより確実に洗い流し、濃縮排水の除去率の向上を図ることができる。
【0050】
また、氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷および濃縮排水により冷却され、循環タンク11に流入する。その後、熱交換部12により過冷却状態に冷却される。
【0051】
水平部23において付着した濃縮排水を洗い流された氷は、さらに搬送部4により搬送され、氷に付着した付着水を水切りした後に、氷回収タンク26内に落とされる。
氷は、氷回収タンク26内の底面29上に堆積され、ファンコイルユニット28を通過し、温度の高くなった回収水がかけられる。これにより氷は溶けて回収水となり、底面29を透過して回収水ポンプ27に流入する。
【0052】
回収水ポンプ27は、三方弁31に向けて回収水を送出する。三方弁31は、氷回収タンク26内の回収水の水面が所定位置より下の場合には、回収水をファンコイルユニット28に向けて流す。
ファンコイルユニット28に流入した回収水は外部の空気との間で熱交換を行い、外部の空気を冷却する。冷却された空気は、室内の空調などに用いられる。一方、熱交換後の回収水は、外部の空気の熱により温度が高くなる。温度が高くなった回収水は氷回収タンク26に導かれ、氷を溶かすのに用いられる。
【0053】
一方、氷回収タンク26内の回収水の水面レベルが所定位置に到達すると、三方弁31は、回収水を外部に向けて流す。
【0054】
上記の構成によれば、搬送される氷に排水および回収水の一方または両方をかけることにより、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後氷を回収部6の氷回収タンク26において溶かすことにより、濃縮排水を洗い流さない場合と比較して、回収水の水質向上を図ることができる。
さらに、遠心分離法等を用いて氷に付着した濃縮排水を取り除く方法と比較して、散水部5から排水および回収水の一方または両方を氷にかけるだけなので、回収水の水質を確保するために使用するエネルギの削減を図ることができる。つまり、回収水の水質を確保するとともに、回収水を得るのに要するコストを低減することができる。
氷に付着した濃縮排水を洗い流すことにより、回収水における塩素濃度、化学的酸素要求量(COD)を低くすることができる。
【0055】
過冷却状態の排水等を冷却部9の熱交換部12において連続的に生成し、排水等の過冷却状態を解除することで、氷を連続的に生成することができる。生成された氷は、同時に生成された濃縮排水とともに循環タンク11に貯留された後、搬送部4により回収部6の氷回収タンク26に搬送されるため、回収水を得ることができる。
このように氷を連続的に生成できるため、ソリッドアイスを生成するスタティック型の氷生成部と比較すると、低いコストで回収水を得ることができる。
【0056】
氷に付着した濃縮排水を洗い流した排水および回収水の一方または両方は、氷により冷却される。一方、排水および回収水の一方または両方をかけられたことにより、解けた温度の低い融解水も上述の排水および回収水の一方または両方とともに氷生成部3の熱交換部12に供給される。そのため、氷生成部3において氷を生成するために要するエネルギの削減を図ることができる。
言い換えると、氷に付着した濃縮排水を除去する際に氷から失われた冷熱を、次の氷の生成に用いることができる。
【0057】
搬送部4に排水孔24を設けることにより、氷にかけられた排水および回収水の一方または両方や、氷から洗い流された濃縮排水や、氷が解けた溶解水などが排水孔に流入し、これら排水等を氷から容易に分離することができる。
【0058】
また、上述の実施形態のように、搬送部4を連続して稼動させてもよいし、熱交換部12から流出する排水等の温度に基づいて、搬送部4を制御してもよく、特に限定するものではない。
具体的には、排水等の温度が、氷が急激に生成する条件(例えば、過冷却度が1℃以上の条件)に、搬送部4を稼動させ、それ以外の条件では搬送部4を停止させる制御を行ってもよい。
このような制御を行うことで、搬送部4の無駄な動きを抑制することができ、回収水を得るために要するコストを低減できる。また、氷の生成量が少ない場合に搬送部4を稼動させると、搬送中に氷が溶けてしまいロスが大きくなる。上述のような制御を行うことで、このようなロスを減らすことができる。
【0059】
また、搬送部4と回収部6との間に生成された氷の重量を測定する計量部を設けて、生成された氷の重量に基づいてブライン部13のブライン温度を制御してもよい。
具体的には、氷の生成量が少ない場合には、ブライン温度を下げて氷の生成量を増やし、氷の生成量が多い場合には、ブライン温度を上げて氷の生成量を減らす制御を行う。
このような制御を行うことで、一定の氷生成量を維持しつつ、過冷却解除部10以外の場所で過冷却解除が起こりにくくすることができる。さらに、循環タンク11から循環する濃縮排水の濃縮度が高くなって、凝固点が低くなっても、同じ速度で氷の生成を続けることができる。
【0060】
また、循環タンク11から循環される濃縮排水の流量に基づいて、熱交換部12へ供給されるブラインの流量を制御してもよい。
具体的には、循環される濃縮排水の流量が低下した場合、ブライン部13におけるブラインの循環流量を一気に増やし、循環される濃縮排水の流量が回復したら、ブライン部13から熱交換部12に供給されるブライン流量を元に戻す。
このような制御を行うことにより、熱交換部12内で氷が生成されて循環される濃縮排水の流量が低下しても、ブラインの供給量を減らすことで、熱交換部12内の氷を溶かすことができる。
【0061】
また、回収部6に電気伝導度計(EC計)を設けて、回収水の電気伝導度に基づいて散水部5から氷にかけられる排水および回収水の一方または両方の流量を制御してもよく、特に限定するものではない。具体的には、回収水の電気伝導度が高くなると、氷にかけられる排水および回収水の一方または両方の流量を増やし、氷に付着する濃縮排水の除去率を高め、回収水に含まれる塩類の割合を低下させる。
あるいは、搬送部4による氷の搬送時間を長くし、氷に付着する濃縮排水の除去率を高め、回収水に含まれる塩類の割合を低下させてもよい。
【0062】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図4から図6を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図4から図6を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図4は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
排水処理装置101の搬送部4と回収部6との間には、図4に示すように、脱水部102が設けられている。
脱水部102は、搬送部4により搬送されてきた氷に付着した付着水を吸収することにより、氷から取り除くものである。脱水部102には、スポンジ等の吸水部材が設けられたベルト部103と、ベルト部103が巻かれた一対のローラ部104と、吸水部材に吸い取られた排水等を搾り出す脱水ドラム105と、が設けられている。
【0064】
図5は、図4の脱水ドラムの構成を説明する部分拡大図である。
ローラ部104は、搬送部4と氷回収タンク26との間に略水平に離れて配置され、ベルト部103が巻かれている。脱水ドラム105は、ローラ部104に巻かれたベルト部103のうち、下側のベルト部103に配置されている。脱水ドラム105は、図5に示すように、一対のローラから構成され、一対のローラの間にベルト部103を通すことにより、ベルト部103の吸水部材を絞るように配置されている。
【0065】
次に、上記の構成からなる排水処理装置101による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において生成された氷が搬送部4により搬送されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0066】
搬送部4に搬送された氷は、搬送部4から脱水部102のベルト部103上に落下する。ベルト部103は氷を氷回収タンク26側に搬送するとともに、吸水部材により氷の付着水を吸収する。吸水部材により付着水が取り除かれた氷は、氷回収タンク26に落下する。
【0067】
付着水を吸水した吸水部材は、脱水ドラム105に挟まれることにより、吸水した付着水が搾り出される。搾り出された付着水は循環タンク11に回収される。
氷を氷回収タンク26内に落下させた以後の作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
上記の構成によれば、脱水部102により、氷から排水が含まれる付着水が取り除かれるため、回収部6には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0069】
図6は、図5の脱水ドラムの他の実施例を説明する模式図である。
なお、上述の実施形態のように、脱水ドラム105を一対のローラから構成してもよいし、図6に示すように、ローラ部104と対向する位置に一つのローラを配置して脱水ドラム105Aとしてもよく、特に限定するものではない。
【0070】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について図7および図8を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図7および図8を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図7は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)201の搬送部204の上には、図7に示すように、脱水部202が設けられている。
搬送部204は、第1の実施形態の搬送部4と比較して、水平部23が長く設けられ、水平部23の上には、散水部5と、脱水部202とが設けられている。
【0072】
脱水部202は、搬送部4により搬送されてきた氷に付着した付着水を吸収することにより、氷から取り除くものである。脱水部202には、付着水を吸い取る吸水部203と、円筒状のドラム部206と、吸水部203から吸い取った付着水を搾り出す脱水ドラム205と、が設けられている。
【0073】
図8は、図7の脱水部の構成を説明する部分拡大図である。
吸水部203は、図8に示すように、ドラム部206の円周面に配置され、搬送部204により搬送された氷に押し付けられ、氷の付着水を吸い取るスポンジなどの吸水材料から形成されたものである。
脱水ドラム205は、ドラム部206との間に吸水部203を挟み、吸水部203が吸い取った付着水を搾り出すものである。脱水ドラム205は、吸水部203が氷と接触する領域よりも散水部5側に配置されている。
【0074】
次に、上記の構成からなる排水処理装置201による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0075】
循環タンク11内の氷は、図7に示すように、搬送部204によりすくい上げられる。すくい上げられた氷は水平部23において、上方に配置された散水部5から排水がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後、氷は脱水部202により付着水が取り除かれる。
【0076】
脱水部202の吸水部203はドラム部206により氷に押し付けられ、氷に付着した付着水を吸い取る。付着水を吸い取られた氷は、水平部23から氷回収タンク26に落下する。
付着水を吸い取った吸水部203は、図8に示すように、脱水ドラム205およびドラム部206の間を通過して、吸い取った付着水が搾り出される。搾り出された付着水は、循環タンク11に回収される。
氷を氷回収タンク26内に落下させた以後の作用は、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
上記の構成によれば、脱水部202により、氷から排水が含まれる付着水が取り除かれるため、回収部6には氷のみを供給することができ、回収水の水質向上を図ることができる。
【0078】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図9を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図9は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)301の搬送部4と回収部6との間には、図9に示すように、氷を搬送する反転搬送部304と、氷に付着した付着水を洗浄する洗浄部305とが設けられている。
反転搬送部304には、略水平方向に延び、かつ、搬送部4から落下した氷を受ける受け止め部306が設けられ、受け止め部306の上方には洗浄部305が配置されている。反転搬送部304としては、搬送部4と同様にベルトコンベアなどを用いることができる。
【0080】
洗浄部305には、原水ポンプ8から送出された排水が供給されている。
洗浄部305の下方には、氷を洗浄した排水を受ける受けタンク307が配置されている。受けタンク307に溜まった排水等は、散水部5に供給されている。
【0081】
次に、上記の構成からなる排水処理装置301による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0082】
循環タンク11内の氷は、図9に示すように、搬送部4によりすくい上げられる。すくい上げられた氷は水平部23において、受けタンク307から供給された排水がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。その後、氷は搬送部4から反転搬送部304の受け止め部306上に落下する。
【0083】
氷は受け止め部306に落下する際に上下が反転され、搬送部4では下側だった部分が上側となる。上下が反転された氷は反転搬送部304により搬送され、洗浄部305から排水および回収水の一方または両方がかけられる。氷に付着した付着水は排水および回収水の一方または両方により洗い流され、排水および回収水の一方または両方とともに受けタンク307に落下する。
付着水が洗い流された氷は、さらに反転搬送部304に搬送される間に、付着水を水切りした後に氷回収タンク26内に落とされる。
【0084】
上記の構成によれば、散水部5により排水がかけられた方向とは異なる方向から排水および回収水の一方または両方を氷にかけることができる。そのため、氷に付着した付着水をより確実に洗い流すことができる。
【0085】
なお、上述の実施形態のように、洗浄部305に排水を供給してもよいし、回収部6により得られた回収水を供給してもよく、特に限定するものではない。
このように回収水を洗浄部305に供給することで、氷に付着した排水や濃縮排水をより確実に洗い流すことができ、回収水の水質をより向上させることができる。また、受けタンク307に回収した水を散水部5に供給することで、氷に付着した付着水を洗い流すのに用いる回収水の量を減らすことができる。
【0086】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について図10から図12を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図10から図12を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図10は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)401の搬送部404には、図10に示すように、立て板405が設けられ、循環タンク11における濃縮排水の水面下に略水平方向に延びる水平部406と、斜め上方へ延びる傾斜部407と、が設けられている。
立て板405は、搬送部404のベルトに対して突出して設けられた板材であり、搬送部404から氷が滑り落ちることを防止するものである。
【0088】
次に、上記の構成からなる排水処理装置401による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、過冷却解除部10において氷が生成されるまでは第1の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0089】
循環タンク11内の氷は、図10に示すように、水平部406の立て板405により掻き集められ、傾斜部407において濃縮排水からすくい上げられる。すくい上げられた氷は、散水部5により付着水が洗い流され、氷回収タンク26に落下する。
【0090】
上記の構成によれば、搬送部404を駆動することにより、水平部406上の濃縮排水に浮かぶ氷を傾斜部407に集め、氷を傾斜部407の上に載せて濃縮排水から取り出し、氷回収タンク26に搬送することができる。水平部406を設けない場合と比較して、氷を傾斜部407に集めることができることから、多くの氷を傾斜部407の上に載せることができる。
【0091】
図11は、図3の立て板における他の実施形態を説明する部分拡大図である。図12は、図11の立て板における排水等の流れ方向を説明する模式図である。
なお、上述の実施形態のように、立て板405が板材から構成されていてもよいし、図11に示すように櫛歯状に構成されていてもよく、特に限定するものではない。
このように構成することで、氷に付着した濃縮排水等は、排水孔24から流れ落ちるだけでなく、図12に示すように、立て板405Aの隙間から流れ落ちることができ、氷に付着した濃縮排水等の除去効率が向上する。
【0092】
なお、立て板405Aの隙間は、氷が間をすり抜けない程度の幅であることが望ましく、例えば、5mm程度の隙間を挙げることができる。
また、上述のように、立て板405は櫛歯状に構成したものに限定したものに限られず、水を透過する構成、例えばメッシュ状に構成してもよく、特に限定するものではない。
【0093】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について図13を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第5の実施形態と同様であるが、第5の実施形態とは、搬送部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図13を用いて搬送部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図13は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第5の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)501の搬送部404と氷回収タンク26との間には、回動部502が設けられている。
回動部502は、搬送部404により搬送された氷を所定時間の間、保持して水切りを行った後、氷を氷回収タンク26に落下させるものである。
回動部502には、氷が載せられる支持台503と、回動可能に支持された支持部504と、バランスをとるウエイト505とが設けられている。
【0095】
支持台503には、氷を支持するとともに、水を透過させる載置面506と、透過した水を循環タンク11に導く受け皿507とが設けられている。受け皿507の下面には支持部504が接続されている。
支持部504は、一方の端部が支持台503に接続され、他方の端部がウエイト505と接続されている。さらに、支持部504の略中央には、支持部504を回動可能に支える回動軸508がもうけられている。
ウエイト505は、支持台503上に所定量の氷が乗ることにより、支持台503が氷回収タンク26側に回動する重さに調整されたものである。
【0096】
次に、上記の構成からなる排水処理装置501による排水から回収水を回収する方法について説明する。
排水が原水タンク2に供給され、氷が搬送部404により搬送されるまでは第5の実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0097】
搬送部404により搬送された氷は、搬送部404から支持部504の上に落下する。氷は支持部504の上に落下する際に上下が反転され、搬送部404で除去できなかった付着水が除去される。
氷から除去された付着水は、載置面506を通過し、受け皿507により循環タンク11に回収される。
【0098】
支持部504の上に所定量の氷が乗ると、支持部504は回動軸508を中心に下方へ回動する。支持部504が下方に回動すると、氷は支持部504から滑り落ち、氷回収タンク26内に落下する。
【0099】
上記の構成によれば、氷に付着した付着水の除去率が向上し、回収水の水質を向上させることができる。さらに、搬送部を2段備える方法と比較して、必要とされる動力が少ないため、回収水を得るために要するコストを低減することができる。
【0100】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について図14を参照して説明する。
本実施形態の排水処理装置の基本構成は、第5の実施形態と同様であるが、第5の実施形態とは、氷生成部周辺の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図14を用いて氷生成部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図14は、本実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
排水処理装置(凍結型排水処理装置)601は、図14に示すように、排水供給される排水タンク602と、排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部603と、が設けられている。
【0102】
排水タンク602は都市部から排出された排水が供給されるタンクであって、内部で製氷ドラム604により氷が生成されている。
【0103】
氷生成部603は、氷を生成する製氷ドラム604と、製氷ドラム604を回転させる回転駆動部605と、製氷ドラム604を冷却する冷却部606と、製氷ドラムから氷をかき取るスクレーパ(剥ぎ取り部)607と、が設けられている。
【0104】
製氷ドラム604は円柱状の部材であり、中心軸線が排水の水面と略平行に配置されるとともに、円周面の一部が排水と接触するように配置されている。さらに製氷ドラム604は、回転駆動部605により中心軸線周りに回転可能に支持されている。
スクレーパ607は、一方の端部が円周面と接して配置され、他方の端部は氷を搬送部4に導くように配置されている。
【0105】
次に、上記の構成からなる排水処理装置601による排水から回収水を回収する方法について説明する。
都市部から排出された排水は排水タンク602に供給され、氷生成部603により排水から氷が生成される。
【0106】
具体的には、製氷ドラム604は冷却部606により冷却されるとともに、回転駆動部605により回転される。すると、製氷ドラム604の円周面に氷が生成される。製氷ドラム604の円周面に付着した氷は製氷ドラム604とともに回転し、スクレーパ607により製氷ドラム604からかき取られる。かき取られた氷は、スクレーパ607の上を搬送部4側へ押し出され、搬送部4の上に落下する。
【0107】
搬送部4の上に落下した氷には散水部5から排水および回収水の一方または両方がかけられ、氷に付着した濃縮排水が洗い流される。濃縮排水が洗い流された氷は、その後しばらく搬送部4により搬送される間に付着水の水切りがなされる。水切りされた氷は、搬送部4から氷回収タンク26に落下する。
【0108】
上記の構成によれば、製氷ドラム604の円筒面上に形成された氷は、スクレーパ607により剥ぎ取られ、搬送部4により氷回収タンク26へ搬送される。そのため、排水を過冷却状態にした後に、過冷却状態を解除して氷を生成する方法と比較して、排水が氷に含まれにくく、回収水の水質の向上を図りやすい。
【0109】
なお、上述の実施形態のように、搬送部4により氷を直接氷回収タンク26へ搬送してもよいし、第2の実施形態の脱水部102や、第3の実施形態の脱水部202などを組み合わせて回収水の水質の向上を図ってもよく、特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る排水処理装置の構成を説明する模式図である。
【図2】図1における冷却部の構成の一部を説明する模式図である。
【図3】図1の搬送部の構成を説明する部分拡大図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図5】図4の脱水ドラムの構成を説明する部分拡大図である。
【図6】図5の脱水ドラムの他の実施例を説明する模式図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図8】図7の脱水部の構成を説明する部分拡大図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図11】図3の立て板における他の実施形態を説明する部分拡大図である。
【図12】図11の立て板における排水等の流れ方向を説明する模式図である。
【図13】本発明の第6の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【図14】本発明の第7の実施形態の排水処理装置における搬送部の周辺構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0111】
1,101,201,301,401,501,601 排水処理装置(凍結型排水処理装置)
3,603 氷生成部
4,204,404 搬送部
5 散水部
6 回収部
9 冷却部
10 過冷却解除部
11 循環タンク(氷貯留タンク)
24 排水孔
102,202 脱水部
304 反転搬送部
602 排水タンク
604 製氷ドラム
607 スクレーパ(剥ぎ取り部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部と、
該氷生成部から前記氷を搬送する搬送部と、
搬送された前記氷を溶かし回収水を生成する回収部と、
前記搬送部に搬送される前記氷に前記排水および前記回収水の一方または両方をかける散水部と、
が設けられたことを特徴とする凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項2】
前記散水部から前記氷にかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方は、前記氷生成部に供給されることを特徴とする請求項1記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項3】
前記搬送部における前記氷を載せる面には、前記散水部からかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方が流入する排水孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項4】
前記搬送部により搬送された前記氷を前記回収部に搬送するとともに、前記搬送部から前記氷を受け取る際に前記氷の上下を反転させる反転搬送部と、
該反転搬送部に搬送される前記氷に、前記排水および前記回収水の一方または両方をかける洗浄部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項5】
前記氷が前記回収部に入る前に、
前記氷に付着した付着水を取り除く脱水部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項6】
前記氷生成部には、
排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部と、
前記排水の過冷却状態を解除して氷と濃縮排水とを生成する過冷却解除部と、
前記氷と前記濃縮排水が貯留される氷貯留タンクと、
が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項7】
前記搬送部は、少なくとも略水平に延びる水平部と傾斜する傾斜部とを有し、
前記水平部は前記氷貯留タンクに貯留された前記濃縮排水の水面下に配置され、前記傾斜部は前記濃縮排水の水面下から前記氷貯留タンク外に向かって延びるように配置されていることを特徴とする請求項6記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項8】
前記氷生成部には、
排水が貯留される排水タンクと、
前記排水と接触し、回転しながら円筒面上に氷を形成させる製氷ドラムと、
前記円筒面上から氷を剥ぎ取り、剥ぎ取った氷を前記搬送部に載せる剥ぎ取り部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項1】
排水から氷と濃縮排水とを生成する氷生成部と、
該氷生成部から前記氷を搬送する搬送部と、
搬送された前記氷を溶かし回収水を生成する回収部と、
前記搬送部に搬送される前記氷に前記排水および前記回収水の一方または両方をかける散水部と、
が設けられたことを特徴とする凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項2】
前記散水部から前記氷にかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方は、前記氷生成部に供給されることを特徴とする請求項1記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項3】
前記搬送部における前記氷を載せる面には、前記散水部からかけられた前記排水および前記回収水の一方または両方が流入する排水孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項4】
前記搬送部により搬送された前記氷を前記回収部に搬送するとともに、前記搬送部から前記氷を受け取る際に前記氷の上下を反転させる反転搬送部と、
該反転搬送部に搬送される前記氷に、前記排水および前記回収水の一方または両方をかける洗浄部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項5】
前記氷が前記回収部に入る前に、
前記氷に付着した付着水を取り除く脱水部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項6】
前記氷生成部には、
排水を過冷却状態にまで冷却する冷却部と、
前記排水の過冷却状態を解除して氷と濃縮排水とを生成する過冷却解除部と、
前記氷と前記濃縮排水が貯留される氷貯留タンクと、
が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項7】
前記搬送部は、少なくとも略水平に延びる水平部と傾斜する傾斜部とを有し、
前記水平部は前記氷貯留タンクに貯留された前記濃縮排水の水面下に配置され、前記傾斜部は前記濃縮排水の水面下から前記氷貯留タンク外に向かって延びるように配置されていることを特徴とする請求項6記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【請求項8】
前記氷生成部には、
排水が貯留される排水タンクと、
前記排水と接触し、回転しながら円筒面上に氷を形成させる製氷ドラムと、
前記円筒面上から氷を剥ぎ取り、剥ぎ取った氷を前記搬送部に載せる剥ぎ取り部と、
が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の凍結濃縮型廃水処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−212774(P2008−212774A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50015(P2007−50015)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究成果に係る特許出願(平成18年度文部科学省科学技術試験研究委託業務「広域水循環予測及び対策技術の高度化」、産業活力再生特別措置法第30条の適用をうけるもの)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究成果に係る特許出願(平成18年度文部科学省科学技術試験研究委託業務「広域水循環予測及び対策技術の高度化」、産業活力再生特別措置法第30条の適用をうけるもの)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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