説明

凍結表示用標識装置

【目的】 外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できること。
【構成】 路面温度が凍結温度より高いとき、全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは、道路の略水平面に対して略垂直面となり、再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射をドライバーに認識させる。また、路面温度が凍結温度以下となったとき、全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは略90度回動し、道路の略水平面に対して略水平面となり、ハウジング8の裏蓋8bの表面に接着された再帰反射面9による再帰反射をドライバーに認識させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に路面の凍結を警告する凍結表示用標識装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の凍結表示用標識装置としては、実開昭52−142392号公報に掲載の技術がある。
【0003】即ち、路面の凍結する温度を感知する装置を有し、設定された温度を感知したとき、路面凍結を警告する標識が点灯して表示文字が浮き出ると同時に回転警告灯または点滅警告灯が作動するものである。
【0004】一方、再帰反射面によって路側帯の存在を明示する反射標識装置は、実開昭58−10913号公報等で公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述の標識が点灯して表示文字が浮き出ると同時に回転警告灯または点滅警告灯が作動するものでは、外部から電源の供給が必要となり、また、その電源の管理の不備、装置が強風や車輌の衝突等によって転倒すると、爾後、その路面凍結を警告する表示が行なえなくなる。
【0006】また、再帰反射面によって路側帯の存在を明示する反射標識装置においては、白色または黄色によって左右の路肩の存在を知ることができるが、その道路幅の表示に限られるものである。
【0007】そこで、この発明は、外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できる凍結表示用標識装置の提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる凍結表示用標識装置は、支柱に取付け可能なハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備するものである。
【0009】請求項2にかかる凍結表示用標識装置は、ハウジングに対して回動自在に取付けられ、両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面の再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変化させる温度応動駆動手段とを具備するものである。
【0010】請求項3にかかる凍結表示用標識装置は、ハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の垂直面積が変化でき、表面に露出する前記開閉部材の後部に設けられた第2の再帰反射面を有する後部反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備するものである。
【0011】請求項4にかかる凍結表示用標識装置は、ハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の第1の再帰反射面の面積が小さくなったとき、表面に露出される無反射面を有する無反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備するものである。
【0012】請求項5にかかる凍結表示用標識装置は、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記温度応動駆動手段を、形状記憶合金による温度変化における変形により駆動するものである。
【0013】請求項6にかかる凍結表示用標識装置は、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記開閉部材を、複数毎の板部材をその長さ方向に軸支して回動自在としたものである。
【0014】請求項7にかかる凍結表示用標識装置は、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記開閉部材は、複数毎の板部材をその長さ方向に垂直に軸支して回動自在としたものである。
【0015】
【作用】請求項1においては、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材の一方の平面に設けられた再帰反射面によってその表示を替える。
【0016】請求項2においては、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材の両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面によって表示を変更する。
【0017】請求項3においては、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材における第1の再帰反射面と前記開閉部材の後部に設けられた後部反射部材における第2の再帰反射面との表示を切替える。
【0018】請求項4においては、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材における第1の再帰反射面と前記開閉部材の後部に設けられた無反射部材における無反射面との表示を切替える。
【0019】請求項5においては、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記温度応動駆動手段を、形状記憶合金による温度変化における変形により駆動するものであるから、略凍結温度になったとき、表示を急変させることができる。
【0020】請求項6においては、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記開閉部材を、複数毎の板部材をその長さ方向に軸支して回動自在としたものであるから、広い面積の表示を行なう場合でも、軸支される部分に加わる加重が少なくなる。
【0021】請求項7においては、請求項1から請求項4の何れか1つに記載の前記開閉部材は、複数毎の板部材をその長さ方向に垂直に軸支して回動自在としたものであるから、軸受の加重を一点で支持できるから、その摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】図1は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態を示す使用斜視図、図2は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の無反射動作状態を示す使用斜視図、図3は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の取付状態を示す使用斜視図である。そして、図4は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態(a)及び無反射動作状態(b)を示す使用説明図である。更に、図5及び図6は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態と無反射動作状態を示す全開閉部材の正面説明図である。
【0024】図1乃至図3において、支柱1には白色または黄色の再帰反射面によって路側帯の存在を明示する反射標識として、デリニェータ2が頂部に取付けられている。また、ハウジング8は支柱1に公知の取付手段4によって取付けられている。本実施例の取付手段4は、レール部材5にサドル6の一端を係合させ、そして、サドル6の他端をレール部材5にボルト・ナット7で螺合し、レール部材5とサドル6間で支柱1を挾持したものである。勿論、本発明を実施する場合の取付手段4は、支柱1の端部に直接取付けることもできる。ハウジング8は不透明な合成樹脂材料或いは金属板、鋳型等で箱状に形成したものであり、因に、本実施例ではアルミニウムの鋳型として形成したものであり、その前面には透明アクリル板または透明ガラス板からなる透明板8aが配設されている。
【0025】なお、本実施例のハウジング8は、透明板8a及び後述するハウジング8の裏側に取付けられる裏蓋8bから構成されている。
【0026】ハウジング8の内部に配設された開閉部材10A,10B,10Cの一方の平面に設けられた再帰反射面11A,11B,11Cは、全体が閉じたとき、図1に示すように、前記透明板8aから透過される露出面となる。
【0027】図4において、ハウジング8の内部に配設される開閉部材10A,10B,10Cは、その片側に形成された支軸12A,12B,12Cを有しており、支軸12A,12B,12Cを中心に回動自在となっている。本実施例における開閉部材10A,10B,10Cは3枚からなり、また、その一方の平面には再帰反射面11A及び再帰反射面11B及び再帰反射面11Cとなる再帰反射材を混入した合成樹脂シートが接着されている。したがって、ハウジング8の内部に配設される開閉部材10A,10B,10Cは、図4(a)のように、全体が略垂直平面になったとき、その全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cが面一になり、全面再帰反射面を形成する。また、図4(b)のように、全体が略90度回動して略水平平面になったとき、その全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは、その光の入射方向に対して全面再帰反射面を形成しなくなる。なお、本実施例の開閉部材10A,10B,10Cは3枚からなるが、本発明を実施する場合には、枚数が拘束されるものではない。しかし、本実施例のように2〜5枚程度で構成すると、接触抵抗等が比較的小さく、また、開閉部材10A,10B,10Cの機械的強度を強く構成することができる。
【0028】即ち、図5の本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態を示す全開閉部材の正面説明図に示すように、再帰反射面11A,11B,11Cが面一となることにより、その全面が入射光の方向に反射光が反射することになる。また、図4(b)のように、全開閉部材10A,10B,10Cの全体が略90度回動して略水平平面になったとき、図6の本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の無反射動作状態を示す全開閉部材の正面説明図のように、再帰反射面11A,11B,11Cに対して側面から入射光が入ることとなり、その再帰反射面11A,11B,11Cによる再帰反射光は、無視できる程度に少なくなる。
【0029】ここで、更に、開閉部材10について詳述する。
【0030】図7は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の構成部品展開図、図8は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の正面図(a)及び中央縦断面図(b)である。
【0031】図において、ハウジング8はアルミニウムの鋳型として形成したもので、その前面は透明アクリル板からなる透明板8aが接着剤によってその全周を接着している。前記ハウジング8には、その前面側から後部方向に垂直に立設させた起立片13及び起立片14が形成されている。また、起立片14には開閉部材10A,10B,10Cの図示しない嵌合軸に挿通される支軸14A,14B,14C(図示せず)が螺入され、その回動を拘束するように接合されている。起立片13には開閉部材10A,10B,10Cの支軸12A,12B,12Cが支承される切欠部13B(13A,13Cは図示せず)が挿入され、その離脱を防止するように離脱防止板35によって、開閉部材10A,10B,10Cの支軸12A,12B,12C中心の回動のみを許容している。開閉部材10A,10B,10Cは、前記支軸14A,14B,14C(図示せず)が挿入される図示しない嵌合軸から離れた位置に接続孔15A(15B,15Cは図示せず)が設けられていて、それらは各接続ピン16A,16B,16Cによって、連結部材17に回動自在に接続されている。
【0032】一方、ハウジング8に挿着自在な内箱20は、その内側にガイド溝20Aに沿って上下動自在とした連結杆21が配設されている。前記連結杆21の両側にフック部21d,21eが形成されていて、一方のフック部21eには連結杆21を上昇させるべく付勢する圧縮スプリング22が配設されている。また、他方のフック部21dには連結杆21を下降させるべく付勢する形状記憶合金からなる圧縮スプリング23が配設されている。この実施例で使用する形状記憶合金からなる圧縮スプリング23は、1〜2℃以下の温度で各ターン部分がその圧縮密度を粗にするように形状を記憶させたものであり、また、前記温度を越えると各ターン部分がその圧縮密度を密にするように記憶させたものである。
【0033】したがって、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23の温度が略氷点温度以下では、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23が連結杆21を下降させる弾性力は、連結杆21を上昇させるべく付勢する圧縮スプリング22の弾性力よりも弱い。しかし、略氷点温度を越えた高い温度となると、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23が連結杆21を下降させる弾性力は、連結杆21を上昇させるべく付勢する圧縮スプリング22の弾性力よりも強くなる。したがって、略氷点温度以下では連結杆21が上昇しており(内箱20内によって規制される上昇限界内にある)、また、略氷点温度を越える温度状態では連結杆21が下降する(内箱20内によって規制される下降限界内にある)。
【0034】この内箱20及び連結杆21、圧縮スプリング22及び形状記憶合金からなる圧縮スプリング23は、内箱20にビス止めされる規制部材24によって、連結杆21及び圧縮スプリング22及び形状記憶合金からなる圧縮スプリング23が離脱しないようにしている。また、連結杆21には小突起21a及び小突起21bが突設されていて、規制部材24のそれぞれ凹部溝24aまたは凹部溝24bに嵌合しており、連結杆21の上下動を規制している。そして、連結杆21には大突起21cが突設されていて、規制部材24の貫通溝25に挿通され、連結杆21の上下動を大突起21cの上下動としている。
【0035】前記連結杆21の上下動を伝達する大突起21cの端部は、前記連結部材17に連結されていて、前記連結杆21の上下動を連結部材17に伝達する。
【0036】更に、前記ハウジング8の裏側に取付けられる裏蓋8bは、接着剤による接着と共にビス止めし、内部を気密化する。即ち、低湿度状態で封止し、内部が外気温の変化で露結しないようにする。また、裏蓋8bの内側の面には、再帰反射面9となる再帰反射材を混入した合成樹脂シートが接着されている。この再帰反射面9は再帰反射面11A,11B,11Cが白色または橙色であるのに対して青色としている。
【0037】前記ハウジング8の起立片13及び起立片14に対して、再帰反射面11A,11B,11Cを設けた開閉部材10A,10B,10C及び各接続ピン16A,16B,16Cによって回動自在に接続した連結部材17を取付け、そして、前記ハウジング8に内箱20が連結杆21、圧縮スプリング22及び形状記憶合金からなる圧縮スプリング23、内箱20にビス止めされる規制部材24と共に挿着される。その後、前記ハウジング8に裏蓋8bを接着剤による接着と共にビス止めする。これによって、ハウジング8に裏蓋8bを堅固に、しかも、封止状態とする。
【0038】このように構成した本実施例の凍結表示用標識装置は、次のように動作する。ハウジング8に配設されている内箱20は、ハウジング8、内箱20の熱伝導、放射熱等によって、外気温が形状記憶合金からなる圧縮スプリング23の温度となる。例えば、外気温が略氷点温度を越えた温度となると、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23は、連結杆21を上昇させる圧縮スプリング22の弾性力よりも強く、圧縮スプリング22の弾性力によって連結杆21は下降させられる。これによって、全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは図4(a)の状態が図4(b)の状態に略90度回動し、道路の略水平面に対して略水平面となる。このとき、自動車等のヘッドライトの光が到来しても、再帰反射面11A,11B,11Cは自動車等のヘッドライトの光を直接受けないから、そのヘッドライトの光源の方向に反射光を反射させない。しかし、ハウジング8の裏側に取付けられる裏蓋8bの表面に接着された再帰反射面9まで光が到達し、再帰反射面9による反射が発生する。これによって、ドライバーは再帰反射面9の存在を確認することができる。結果的に、ドライバーは再帰反射面9の存在によって道路端部の存在を確認しながら、走行することができる。このとき、全開閉部材10A,10B,10Cの厚みによって遮蔽される部分が生じることから、視認される再帰反射面9による再帰反射光は略水平線の陰影の入った反射面となることもある。
【0039】また、外気温が略氷点温度以下に低下すると、本実施例では1〜2℃の温度で形状を記憶させた形状記憶合金からなる圧縮スプリング23の各ターンの密度を粗にするように作用するから、1〜2℃以下の温度でその圧縮方向の弾性力が減少する。したがって、圧縮スプリング22の圧縮方向の弾性力よりも、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23の圧縮方向の弾性力の方が小さくなり、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23は連結杆21の上昇を許容する。全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは、道路の略水平面に対して略垂直面となり面一状態となる。これによって、再帰反射面11A,11B,11Cは、自動車等のヘッドライトの光を受けると、そのヘッドライトの光源の方向に反射光を反射させ、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cの存在を確認することができる。結果的に、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cの存在によって道路端部の存在を確認しながら、走行することができる。
【0040】この状態で、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射光の色彩と反射面形状を認識することによって、路面の凍結状態を確認することができる。
【0041】なお、本実施例では、路面の凍結温度以下になったとき、全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは、道路の略水平面に対して略垂直面となり、再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射をドライバーに認識させ、また、路面が凍結温度より高くなったとき、全開閉部材10A,10B,10Cの再帰反射面11A,11B,11Cは略90度回動し、道路の略水平面に対して略水平面となり、ハウジング8の裏蓋8bの表面に接着された再帰反射面9による再帰反射をドライバーに認識させるものであるが、本発明を実施する場合には、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23と圧縮スプリング22の取付けを逆にすれば、再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射表示と、再帰反射面9の再帰反射表示を逆にすることもできる。
【0042】また、この種の再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射表示と再帰反射面9の再帰反射表示の違いを使用して、例えば、再帰反射面11A,11B,11Cの再帰反射表示のとき、文字と背景との色彩等により再帰反射面を異にすることもできる。例えば、図10の文字表示の事例を示す参考例のように、『凍結注意』、『スリップ注意』、『凍結道路』の文字を表出し、再帰反射面9の再帰反射表示のとき『走行注意』の文字を表出するように構成することもできる。即ち、本発明を実施する場合、再帰反射面11A,11B,11Cと再帰反射面9の再帰反射表示は、単に、その再帰反射面の着色に限定されるものでなく、その面に文字を形成してもよいし、或いは再帰反射面の形状を凍結を意味する外観形状としてもよい。
【0043】更に、本実施例は、内箱20に対して収容した連結杆21、圧縮スプリング22及び形状記憶合金からなる圧縮スプリング23、内箱20にビス止めされる規制部材24等はハウジング8の側部に挿着するものであるが、本発明を実施する場合には、ハウジング8の下部または上部とすることができる。
【0044】ところで、上記実施例の凍結表示用標識装置は、支柱1に取付け可能なハウジング8と、前記ハウジング8に対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた再帰反射面11A,11B,11Cを有する開閉部材10A,10B,10Cと、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させる形状記憶合金製の圧縮スプリング23からなる温度応動駆動手段とを具備する実施例とすることができる。これは請求項1の実施例に対応する。
【0045】この種の実施例においては、略凍結温度を中心に開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させるものであるから、開閉部材10A,10B,10Cが有する再帰反射面11A,11B,11Cをドライバーに再帰反射光として認識させる場合と、そうでない場合とに区分けできる。したがって、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cの有無によって路面が凍結状態であるか否かを判別できる。なお、上記実施例における支柱1に取付け可能なハウジング8は、開閉部材10A,10B,10Cを封止状態とするものであるが、本発明は必ずしも封止状態を前提とするものではなく、設置箇所及び表出形態によっては開閉部材10A,10B,10Cを封止状態とする必要性はない。しかし、開閉部材10A,10B,10Cを封止状態とするハウジング8を使用することにより、塵埃に対する信頼性を上げることができ、全体装置の小形化も可能となる。
【0046】上記実施例のハウジング8に対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた再帰反射面11A,11B,11Cを有する開閉部材10A,10B,10Cは、90度回動する態様であるが、本発明を実施する場合には、開閉部材10A,10B,10Cの回動を90度の回動に限定するものではない。
【0047】例えば、図9の本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態(a)及び他の再帰反射動作状態(b)を示す使用斜視図に示すように、ハウジング8に対して180度回動自在に取付けられ、両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩または模様またはそれら両者により形成された面の再帰反射面11A,11B,11Cと他の再帰反射面31A,31B,31Cを有する開閉部材10A,10B,10Cとすることにより、略凍結温度を中心に開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させるものであるから、開閉部材10A,10B,10Cが有する再帰反射面11A,11B,11Cまたは他の再帰反射面31A,31B,31Cによってドライバーに異なった温度条件下における再帰反射光として認識させることができる。したがって、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cまたは他の再帰反射面31A,31B,31Cの有無によって路面が凍結状態であるか否かを判別できる。なお、本実施例においては、開閉部材10A,10B,10Cの支軸12A,12B,12Cは、特に、回動に伴なってその位置を変化させないから、回動する開閉部材10A,10B,10Cの中心位置に設定することが好ましい。
【0048】即ち、上記実施例の凍結表示用標識装置は、支柱1に取付け可能なハウジング8と、前記ハウジング8に対して回動自在に取付けられ、両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面の再帰反射面11A,11B,11Cを有する開閉部材10A,10B,10Cと、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させる温度応動駆動手段とを具備する実施例とすることができる。これは請求項2の実施例に対応する。
【0049】そして、上記実施例の凍結表示用標識装置は、支柱1に取付け可能なハウジング8と、前記ハウジング8に対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面11A,11B,11Cを有する開閉部材10A,10B,10Cと、前面から見て前記開閉部材10A,10B,10Cの垂直面積が変化でき、表面に露出する前記開閉部材10A,10B,10Cの後部に設けられた第2の再帰反射面9を有するハウジング8の裏蓋8bからなる後部反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させる形状記憶合金製の圧縮スプリング23からなる温度応動駆動手段とを具備する実施例とすることができる。これは請求項3の実施例に対応する。
【0050】この種の実施例は上記実施例の効果を奏する。ここで、上記実施例の後部反射部材は第2の再帰反射面9を有するハウジング8の裏蓋8bであるが、本発明を実施する場合には、ハウジング8の裏蓋8bを直接再帰反射面としてもよいし、或いは裏蓋8bとは別に特別に用意した部材に再帰反射面を形成してもよいし、或いは裏蓋8bとは別に用意した部材に再帰反射面を付与してもよい。
【0051】そして、第2の再帰反射面9を積極的に無反射面とすることができる。
【0052】即ち、上記実施例の凍結表示用標識装置は、支柱1に取付け可能なハウジング8と、前記ハウジング8に対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面11A,11B,11Cを有する開閉部材10A,10B,10Cと、前面から見て前記開閉部材10A,10B,10Cの第1の再帰反射面11A,11B,11Cの面積が小さくなったとき、表面に露出される無反射面を有するハウジング8の裏蓋8bからなる無反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材10A,10B,10Cを回動変位させる形状記憶合金製の圧縮スプリング23からなる温度応動駆動手段とを具備する実施例とすることができる。これは請求項4の実施例に対応する。
【0053】この種の実施例では、第1の再帰反射面11A,11B,11Cの面積と無反射面との面積の変化、その形状の変化を表出し、その形状の変化によって、ドライバーは再帰反射面11A,11B,11Cの形状によって路面が凍結状態であるか否かを判別できる。
【0054】更に、前記請求項1から請求項4の何れか1つに対応する実施例の凍結表示用標識装置における温度応動駆動手段は、圧縮スプリング23からなる形状記憶合金による温度変化における変形により駆動するものを前提に説明したが、本発明を実施する場合には、圧縮スプリングの形状に限定されるものではなく、螺旋状或いは板バネ状とすることもできる。勿論、形状記憶合金を形状記憶プラスチック、バイメタル等の熱応動手段とすることもできる。また、圧縮スプリング22を省略し、形状記憶合金からなる圧縮スプリング23のみとすることもできる。しかし、上記実施例のように、形状記憶合金を使用すれば、道路の凍結温度付近でその表示内容の急速切替を行なうことができる。
【0055】また、前記請求項1から請求項4の何れか1つに対応する実施例の凍結表示用標識装置における開閉部材10A,10B,10Cは、複数毎の板部材をその長さ方向に、かつ、水平に軸支して回動自在としたものである。したがって、各開閉部材10A,10B,10Cの加重は2分されるから、水平に軸支した箇所での磨耗を少なくすることができ、特に、各開閉部材10A,10B,10Cが大型のものに好適となる。
【0056】そして、前記請求項1から請求項4の何れか1つに対応する実施例の凍結表示用標識装置における開閉部材10A,10B,10Cは、複数毎の板部材をその長さ方向に、かつ、垂直に軸支して回動自在としたものである。したがって、各開閉部材10A,10B,10Cの加重は、垂直に軸支した一点に集中し、その接触抵抗を小さくすることができるから、特に、各開閉部材10A,10B,10Cが小型のものに好適となる。
【0057】ところで、上記実施例の温度応動駆動手段としての形状記憶合金からなる圧縮スプリング23は、温度変化によって変化する形状記憶合金としたものであるが、本発明を実施する場合には、バイメタル等の温度の変化によって物理的な変量を期待することができる熱応動手段が使用できる。特に、路面の凍結温度を境界として急変させる場合には、形状記憶合金、バイメタル、トリメタル等のスナップ機能を持つ熱応動手段の使用が好適である。
【0058】また、上記各実施例の温度応動駆動手段は0℃以下の温度を検出するものでないが、路面から0.8〜1m程度上部に設置される凍結表示用標識装置は、その温度検出箇所と地表の温度差との関係で地表の凍結温度よりも若干高い温度とすることで良好な凍結温度検出効果が得られた。しかし、交通量、山間部等の地域、路面の種類等の設置環境、タイムラグによっては、0℃に設定することもできるし、或いは0℃以下とすることもできる。また、形状記憶合金のヒステリシス温度については3〜4℃程度のもの、即ち、4〜5℃で復帰するものを使用したが、このヒステリシス温度については、一旦、路面が凍結すると、外気温が上昇しても、路面温度がすぐに上昇しないでタイムラグが存在することから、それをこのヒステリシス温度で補正するものである。例えば、夜間凍結し、凍結が解除される路面温度と午前中の外気温との温度上昇に、ヒステリシス温度を対応させて使用するのが望ましい。そして、ハウジング8における温度応動駆動手段の配置は何れにおいてもよく、好ましくは、外気温をタイムラグを少なくして検出できる個所として下部、側部、背部、上部とすることができる。
【0059】そして、路面の凍結温度付近で変化する表出形態は、文字或いは図形の何れであってもよい。
【0060】更に、本発明を実施する場合の再帰反射面は、小球体、プリズム面等として形成できるし、反射光に対する着色は反射面の着色、透明体を有色透過性部材とすることによって実施できる。また、上記実施例の再帰反射は、透明球体のように入射角と反射角が平行するものを前提としているものの、本発明を実施する場合には、狭義の再帰反射を意味するものでなく、鏡面のように、入射角と反射角が平行するものにも置換できることは自明であり、また、厳密に入射角と反射角が平行する必要性がないことから、基本的に、入射光の多くが反射光として反射する場合を包含するものである。
【0061】なお、本実施例では、支柱1に取付け可能なハウジング8の事例で説明したが、本発明を実施する場合、デリニェータ2を取付ける支柱1に取付けをしなければならないという限定はなく、デリニェータ2自体または他の取付具または橋の欄干等に直接的または間接的に取付けてもよい。
【0062】また、上記実施例では、ハウジング8の内部を封止する構成を前提に説明したが、本発明を実施する場合には、ハウジング8の内部を封止するものに限定されるものではない。しかし、ハウジング8の内部を封止するものにおいては、その寿命を長くすることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の凍結表示用標識装置は、支柱に取付け可能なハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備し、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材の一方の平面に設けられた再帰反射面によってその表示を替えることができる。したがって、外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できる。
【0064】請求項2の発明の凍結表示用標識装置は、支柱に取付け可能なハウジングに対して回動自在に取付けられ、両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面の再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備し、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材の両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面によって表示を変更することができる。したがって、外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できる。
【0065】請求項3の発明の凍結表示用標識装置は、支柱に取付け可能なハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の垂直面積が変化でき、表面に露出する前記開閉部材の後部に設けられた第2の再帰反射面を有する後部反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備し、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材における第1の再帰反射面と前記開閉部材の後部に設けられた後部反射部材における第2の再帰反射面との表示を切替えることができる。したがって、外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できる。
【0066】請求項4の発明の凍結表示用標識装置は、支柱に取付け可能なハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の第1の再帰反射面の面積が小さくなったとき、表面に露出される無反射面を有する無反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備し、温度応動駆動手段が略凍結温度によって開閉部材を回動変位させるから、略凍結温度になると、前記開閉部材における第1の再帰反射面と前記開閉部材の後部に設けられた無反射部材における無反射面との表示を切替えることができる。したがって、外部電源に頼ることなく、冬期に発生する道路表面の凍結をドライバー或いは道路管理者等に報知できる。
【0067】請求項5の発明の凍結表示用標識装置は、前記請求項1から請求項4の何れか1つに記載の温度応動駆動手段を、形状記憶合金による温度変化における変形により駆動するものであるから、略凍結温度になったとき、表示を急変させることができる。
【0068】請求項6の発明の凍結表示用標識装置は、前記請求項1から請求項4の何れか1つに記載の開閉部材を、複数毎の板部材をその長さ方向に、水平に軸支して回動自在としたものであるから、広い面積の表示を行なう場合でも、軸支される部分に加わる加重が少なくなる。
【0069】請求項7の発明の凍結表示用標識装置は、前記請求項1から請求項4の何れか1つに記載の開閉部材を、複数毎の板部材をその長さ方向に垂直に軸支して回動自在としたものであるから、軸受の加重を一点で支持できるから、その摩擦抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態を示す使用斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の無反射動作状態を示す使用斜視図である。
【図3】図3は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の取付状態を示す使用斜視図である。
【図4】図4は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態(a)及び無反射動作状態(b)を示す使用斜視図である。
【図5】図5は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態を示す全開閉部材の正面説明図である。
【図6】図6は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の無反射動作状態を示す全開閉部材の正面説明図である。
【図7】図7は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の構成部品展開図である。
【図8】図8は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の正面図(a)及び中央縦断面図(b)である。
【図9】図9は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の再帰反射動作状態(a)及び他の再帰反射動作状態(b)を示す使用斜視図である。
【図10】図10は本発明の一実施例である凍結表示用標識装置の文字表示の事例を示す説明図である。
【符号の説明】
8 ハウジング
8b 裏蓋
9 再帰反射面
23 形状記憶合金からなる圧縮スプリング
21 連結杆
22 圧縮スプリング
10A,10B,10C 開閉部材
11A,11B,11C 再帰反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付け可能なハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備することを特徴とする凍結表示用標識装置。
【請求項2】 取付け可能なハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に取付けられ、両方の平面に設けられ、互いに異なる色彩及び/または模様面の再帰反射面を有する開閉部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備することを特徴とする凍結表示用標識装置。
【請求項3】 取付け可能なハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の垂直面積が変化でき、表面に露出する前記開閉部材の後部に設けられた第2の再帰反射面を有する後部反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備することを特徴とする凍結表示用標識装置。
【請求項4】 取付け可能なハウジングと、前記ハウジングに対して回動自在に取付けられ、一方の平面に設けられた第1の再帰反射面を有する開閉部材と、前面から見て前記開閉部材の第1の再帰反射面の面積が小さくなったとき、表面に露出される無反射面を有する無反射部材と、略凍結温度を中心に温度によって前記開閉部材を回動変位させる温度応動駆動手段とを具備することを特徴とする凍結表示用標識装置。
【請求項5】 前記温度応動駆動手段は、形状記憶合金による温度変化における変化により駆動することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の凍結表示用標識装置。
【請求項6】 前記開閉部材は、複数毎の板部材をその長さ方向に、水平に軸支して回動自在としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の凍結表示用標識装置。
【請求項7】 前記開閉部材は、複数毎の板部材をその長さ方向に、垂直に軸支して回動自在としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の凍結表示用標識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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