説明

処理された金属酸化物粒子およびトナー組成物

少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む処理された金属酸化物粒子。荷電変性剤は以下の式で表される。
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。
また、処理された金属酸化物粒子は、第2の荷電変性剤または疎水性付与剤で処理することもできる。また、トナー粒子および処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理された金属酸化物粒子、ならびにそのような処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成は、バインダー樹脂中に分散された着色剤を含んだトナー組成物で、光受容体上に形成された静電潜像を現像すること、このトナー画像を受容紙に転写し、そして転写されたトナー画像を、例えば熱ロールなどの方法によって固定すること、を含んでいる。この光受容体は、転写工程の後に、次の潜像形成に備えるために洗浄される。
【0003】
処理された金属酸化物粒子が、一般にトナー組成物、ならびに多くの他の用途の中で用いられている。このようなトナー用途の中で、炭化水素鎖シランおよび/またはシロキサンを含めた疎水性付与処理剤が、しばしば金属酸化物粒子を疎水性にさせるために用いられる。この処理された金属酸化物粒子は、流動性、転写性、定着性および洗浄特性を含めたトナー粒子の選択された特性を向上させるために、トナー組成物中のトナー粒子と結合される。更に、これらの金属酸化物粒子は、トナー組成物の帯電性、すなわち摩擦帯電に強い影響を与えることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属酸化物粒子(特にはシリカ)を含むトナー組成物の摩擦帯電は、周囲環境の温度および相対湿度に依存する。シリカ粒子を配合されたトナーの摩擦帯電は、しばしば低湿度条件で高く、そして高湿度条件で低い。このような摩擦帯電性の環境条件への依存性は、正常に機能しない画像の転写性、そして究極的には低減された画像品質をもたらす。対照的に、酸化アルミニウム粒子を配合されたトナーの摩擦帯電は、しばしば高湿度および低湿度条件の両方の下で低過ぎる。金属酸化物粒子を疎水性とするのに用いられる化学処理は、トナーの摩擦帯電に影響し、そして湿度感受性を幾分向上させる傾向にあるとはいえ、更なる改善への必要性が、特にはシリカを配合されたトナーに対しては、存在している。
【0005】
従って、特に向上した耐湿性、および一般に環境条件への低い依存性を有するトナー組成物を与える、処理された金属酸化物粒子への必要性が存在している。また、処理された金属酸化物粒子が、摩擦帯電の絶対値の広い範囲内への、トナー組成物の摩擦帯電の微調整を促進することへの必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、本発明は、トナー粒子、および荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物を含んでいる。この荷電変性剤は、以下の式で表される。
An−Z−Y−Ar(EW)
【0007】
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。このようなトナー組成物は、有利には、特には高湿度条件での、向上した摩擦帯電性を示すことができる。また、例示的なトナー組成物においては、この金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子を疎水性とするために疎水性付与剤で処理されていてもよい。
【0008】
第2の態様では、本発明は、上記の式で表される少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含めた、荷電変性金属酸化物粒子を含んでいる。1つの例示的な態様では、この金属酸化物粒子としては、約500nm未満の平均粒子径を有するアルミナまたはチタニア粒子が挙げられる。代わりに、もしくは加えて、この金属酸化物粒子としては、シリカ粒子を挙げることができる。更なる態様では、金属酸化物粒子は、第1および第2の異なる荷電変性剤で処理されており、それらのそれぞれは独立して上記の式で表される。好ましい態様では、金属酸化物粒子は、疎水性付与剤、および上記の式で表される荷電変性剤の両方で処理されている。
【0009】
更に、本発明は、疎水性の、荷電変性された金属酸化物粒子組成物の調製方法を含んでいる。この方法は、金属酸化物粒子を準備すること、この金属酸化物粒子を、同時もしくは順番に、疎水性付与剤と荷電変性剤とに接触させること、および疎水性の、荷電変性された金属酸化物粒子を回収することを含んでおり、ここで荷電変性剤は、上記の式で表される。
【0010】
前述の事項は、本発明の特徴、種々の態様を、下記の詳細な説明がより良く理解されるように幾分広く概説したものである。本発明の更なる特徴および利点が、これ以降に説明されて、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。前述の一般的な記載および以下の詳細な説明の両方が、例示的なものであり、また説明のためだけのものであり、そして特許請求した本発明の更なる説明を提供することを意図したものであることが理解されるであろう。
【0011】
本発明は、図面中の幾つかの図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の例示的な態様によって用いられる幾つかの荷電変性剤の化学構造を示している(A:3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、B:3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、C:3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、D:ペンタフルオロフェニル−トリエトキシシラン(PFPTES)、またはE:2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES))
【発明を実施するための形態】
【0013】
1つの態様では、本発明は、少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む粒子組成物に関する。この荷電変性剤は、下記の式で表される。
An−Z−Y−Ar(EW)
【0014】
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。また、本発明は、本発明の処理された粒子組成物を含むトナーに関する。このようなトナーは、有利には、向上した摩擦帯電特性、例えば、高湿度条件での向上した摩擦帯電、または高湿度条件および低湿度条件の両方での摩擦帯電の向上した絶対値、を有している。
【0015】
本発明における使用に適切な金属酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化鉄、またはこれらのいずれか2種もしくは3種以上の混合酸化物が挙げられる。好ましくは、金属酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、これらのいずれかの混合物、またはこれらのいずれか2種もしくは3種以上の混合酸化物が挙げられる。1つの例示的な態様では、金属酸化物粒子としては、アルミナ、チタニア、これらの混合物、またはそれらの混合酸化物が挙げられる。他の例示的な態様では、金属酸化物粒子としては、シリカが挙げられる。上記の金属酸化物粒子のいずれかの2種または3種以上の混合物もまた、用いることができる。
【0016】
好ましくは、処理される金属酸化物粒子は、ヒュームド、コヒュームド(co-fumed)、沈降、またはコロイド状金属酸化物粒子である。金属酸化物粒子は、当業者に知られた技術を用いて生成することができる。例えば、KodasおよびHampden-Smith、Aerosol Processing of Materials、1998年、Wiley-VCHを参照。ヒュームド金属酸化物の生成は、文書により十分に裏付けのある方法であり、好適な供給原料蒸気(例えば、ヒュームドアルミナでは塩化アルミニウム、またはヒュームドシリカでは四塩化ケイ素)の、水素および酸素の火炎中での加水分解を含んでいる。概ね球形の溶融粒子が、燃焼プロセスの中で形成され、そして粒子の直径は、プロセスパラメータの制御を通して変えることができる。これらの溶融した球は、一次粒子と称され、それらの接触点で衝突することによって、互いに融合して、枝分かれした3次元の鎖状凝集体を形成する。凝集体の形成は、一次粒子間の融合の結果として不可逆であると考えられる。冷却および収集の間に、凝集体は更に衝突して、このことは何らかの機械的な絡み合いをもたらして、集塊を形成させる。これらの集塊は、ファンデルワールス力によって互いに緩やかに保持されていると考えられ、そして好適な媒体中での適切な分散によって逆戻り、すなわち、解集塊(de-agglomerated)することができる。また、混合された、もしくはコヒュームド金属酸化物粒子は、当業者に知られた、例えばEttlingerらへの独国特許出願公開第2296915号明細書中に記載されている技術を含めた、慣用の技術を用いて生成することができ、その明細書の全てを参照することによって本明細書の内容とする。
【0017】
ヒュームド金属酸化物粒子の限定されない例としては、Cabot Corporationから入手可能なCAB-O-SEL(登録商標)ヒュームドシリカおよびSpectrAL(商標)ヒュームドアルミナ製品、Wacker Chemie AGから入手可能なHDK(登録商標)ヒュームドシリカ製品、およびDegussa Corporationから入手可能なAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカおよびAEROXIDE(登録商標)ニュームドアルミナおよびチタニア製品が挙げられる。また、ヒュームド金属酸化物は、分散された形態でも商業的に入手可能であり、例えば、Cabot Corporationから入手可能なCAB-O-SPERSE(登録商標)製品およびDegussa Corporationから入手可能なAERODISP(登録商標)製品が挙げられる。
【0018】
沈降金属酸化物粒子は、慣用の技術を用いて作ることができ、そしてしばしば、水性媒体から、高塩濃度、酸または他の凝固剤の影響下で、所望の粒子の凝集によって形成される。この金属酸化物粒子は、当業者に知られている慣用の技術によって、ろ過され、洗浄され、乾燥され、そして他の反応生成物の残りから分離される。沈降粒子は、多くの一次粒子が互いに凝結してある程度球形の凝集したクラスターを形成しているという意味において、しばしば凝集している。当業者は、このような凝集したクラスターは、ヒュームド粒子または熱分解で調製した粒子とは構造的に異なり、後者は凝集した一次粒子の鎖状構造であり、その中で一次粒子が互いに融合していることを容易に理解するであろう。商業的に入手可能な沈降金属酸化物の限定されない例としては、PPG Industries, Inc.のHi-Sil(登録商標)製品、Degussa Corporationから入手可能なSIPERNAT(登録商標)製品が挙げられる。
【0019】
コロイド状金属酸化物粒子は、しばしば非凝集の、個々に分離した(一次)粒子であり、典型的には形状が球状もしくはほぼ球状であるが、しかしながら他の形状(例えば、通常は楕円形、正方形、または長方形の横断面)を有していてもよい。コロイド状金属酸化物粒子は、典型的には、沈降金属酸化物粒子と同様の方法で作られる(すなわち、それらは水性媒体から凝結される)が、しかしながら、液体媒体(しばしば、水単独もしくは共溶媒および/もしくは安定剤を備えた水)中に分散されたままである。例えば、Akitoshi Yoshida、Silica Nucleation, Polymerization, and Growth Preparation of Monodispersed Sols, in Colloidal Silica Fundamentals and Applications、p.47〜56(H. E. Bergna & W. O. Roberts, eds.、2006年)を参照。本発明で用いるのに好適な商業的に入手可能なコロイド状シリカの限定されない例としては、Nissan ChemicalのSNOWTEX(商標)製品、Nyacol Nanotechnologies, Inc.から入手可能なNexSil(商標)およびNexSil A(商標)シリーズの製品、Fusoから入手可能なPL(商標)シリーズの製品、ならびにH.C. Starckから入手可能なLevasil(商標)製品が挙げられる。
【0020】
金属酸化物粒子は、少なくとも1種の荷電変性剤で処理される。この荷電処理剤は、下記の式で表すことができる。
An−Z−Y−Ar(EW)
【0021】
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。bとcが等しく0であり、アンカー基Anが芳香族基に直接に結合している場合が好ましい。
【0022】
芳香族基は、電子求引基で置換されている。当業者には、電子求引基が正のハメット定数を有していることが理解されるであろう。ハメット定数は、25℃での置換された安息香酸のイオン化定数を基に規定されて、σ=log(K/K)であり、ここでσはハメット定数を表し、Kはメタもしくはパラ置換安息香酸のイオン化定数を表し、そしてKは安息香酸のイオン化定数を表している。電子求引基は、安息香酸の酸性を増大させ(すなわち(K>K)、そして従って正のハメット定数を有している。本発明での使用のために好ましい電子求引基は、メタもしくはパラ位のいずれかで、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.3または少なくとも0.5)のハメット定数を有している。更に、電子求引基は、好ましくは荷電していない。好ましい電子求引基としては、ニトロ(−NO)、シアノ(−CN)、アセチル(−COCH)、スルホン酸(−SOH)、メチルスルホニル(−SOCH)、フルオロ(−F)、およびペルフルオロアルキル(−(CF)CF、ここで、nは0または1〜10の整数である)が挙げられる。電子求引基がフッ化物である場合には、aは好ましくは少なくとも2である。ニトロ(−NO)は最も好ましい電子求引基である。
【0023】
スペーサー基Yは、2つの基(bが1の場合に)の間の結合として用いられる。例えば、cが1である場合には、Yはアルキレン基Zを芳香族基Arに結合する。cが0である場合には、Yはアンカー基Anを芳香族基Arに結合する。bが0である場合には、スペーサー基は単純に化学結合であると考えることができる。好適なスペーサー基の例としては、−CO−、−OC−、−CO−、−OSO−、−SO−、−SO−、−SOO−、−SOS−、−SONR、−O−、−S−、−NR−、−NRCO−、−CONR−、−NRCO−、−OCNR−、−NRCONR−、−N(COR)CO−、−CON(COR)−、−NRCOCH(CHCOR)−、−NRCOCHCH(COR)−、−CH(CHCOR)CONR−、−CH(COR)CHCONR−、スルホンアミド基(−SONR−および−NRSO−基を含む)、アリーレン基、アルキレン基などが挙げられるが、これらには限定されない。Rは、同じでも異なっていてもよいが、水素あるいは有機基、例えば置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基、を表す。好ましいスペーサー基としては、アミノ基(−N(R)−)、アミド基(−N(R)C(O)−または−C(O)N(R)−)、エステル基(−OC(O)−または−C(O)O−)、オキソ(−O−)、スルホ(−S−)、イミノ基(−CH=N−または−N=CH−)、アゾ基(−N=N)、あるいはスルホニル基(−S(O)−)が挙げられ、ここでRは水素あるいは有機基、例えば置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す。
【0024】
アルキレン基Zとしては、実質的に、いずれの直鎖もしくは分岐、飽和もしくは不飽和の、C〜C18アルキレン基を挙げることができる。Zが不飽和アルキレン基である場合には、Zは1つもしくは2つ以上の二重または三重結合を有することができるが、好ましくは共役していない。好ましくは、アルキレン基は(CH)であり、ここでeは1〜18の整数である。芳香族基Arは、5員もしくは6員環であることができ、場合によってはヘテロ原子、例えばNまたはSを含んでいる。
【0025】
選択される具体的なアンカー基Anは、少なくとも部分的には、処理される金属酸化物粒子に依存する。例えば、オルガノシラン基は、実質的にいずれの金属酸化物粒子としても、有利に用いることができる。また、オルガノシラン基は、化学分野において、ガラスおよび溶融シリカ基板のために有用であることが知られている。また、カルボン酸基は、実質的にいずれの金属酸化物粒子のために、特にシリカおよびアルミナのための好適なアンカーとして用いることができる。更に、ホスホン酸基(−PO)は、例えばアルミナを含めた粒子に用いることができる。アンカーとしての使用に好適である可能性がある他の官能基としては、ホスホリルおよびホスホン基、ヒドロキシル基、およびアミノ酸基が挙げられる。
【0026】
本発明の好ましい態様では、アンカー基Anは、XSiR(3−d)で表され、ここでXは同じかもしくは異なる加水分解性基またはシロキサン基を表し、Rは水素あるいは有機基、例えば置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基、そしてdは1〜3の整数である。例示的なアンカー基としては、オキシシラン基、例えば−Si(O(CH)CH)が挙げられ、ここでnは0もしくは1〜10の整数である。トリメトキシシランおよびトリエトキシシランは、このようなオキシシラン基の限定されない例を表している。例示的な態様では、Xは、ORから選ばれ、ここでRはC〜C10の分岐もしくは直鎖アルキルまたはハロゲン、好ましくは塩素である。
【0027】
例示的な荷電変性剤としては、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)(図1)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0028】
また、本発明による荷電変性された金属酸化物粒子組成物は、第2の荷電変性剤で処理することができる。このような二重に処理された金属酸化物粒子組成物では、第2の荷電変性剤は独立に、下記の式で表される。
An−Z−Y−Ar(EW)
【0029】
式中、上記のように、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である。好適な、そして好ましい電子求引基、スペーサー基、アルキレン基、およびアンカー基は上述した通りである。
【0030】
特定の限定されない態様では、第1および第2の異なる荷電変性剤の少なくとも1種は、それがその金属酸化物粒子を疎水性にさせるように選択することができる。このような態様では、少なくとも1種の荷電変性剤は、有利には、電子求引基EWが−Fまたは−(CF)CF(ここで、nは0または1〜10の整数である)であるように選択することができる。
【0031】
また、例示的な本発明による処理された金属酸化物粒子は、この粒子を疎水性にするために疎水性付与剤で処理することができる。いずれかの特定の理論に拘束されることは望まないが、疎水性付与基は金属酸化物粒子の表面上の表面ヒドロキシル基と反応して、効果的に親水基を他の、疎水性の化学基に置き換えると信じられる。処理剤の種類および処理の水準は、所望の疎水性の程度および他の特性に応じて変わる。
【0032】
「疎水性」金属酸化物粒子は、ここで用いられる用語としては、疎水性の種々の水準および程度を包含している。金属酸化物粒子に与えられる疎水性の程度は、用いられる処理剤の種類および量に応じて変わる。本発明による疎水性金属酸化物粒子は、例えば、利用可能な金属酸化物表面ヒドロキシル基の約15%〜約85%が反応している、例えば、利用可能な金属酸化物表面ヒドロキシル基の約25%〜約75%、または約40%〜約65%が反応していることができ、あるいは、上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲のパーセントを有することができる。
【0033】
実質的にいずれの疎水性付与剤も、金属酸化物粒子を疎水性にするのに用いることができる。好ましい疎水性付与剤は、シラザン化合物、シロキサン化合物およびシラン化合物である。シラン化合物の例としては、アルキルハロシラン、アルキルシラン、およびアルコキシシランが挙げられる。アルコキシシランとしては、一般式RSi(OR)4−x(ここでRはC〜C30の、分岐および直鎖アルキル、アルケニル、C〜C10シクロアルキル、およびC〜C10アリールであり、RはC〜C10分岐もしくは直鎖アルキルであり、そしてxは1〜3の整数である)を有する化合物が挙げられる。アルキルハロシランとしては、一般式RSiR4−x−y(ここで、RおよびRは上記で規定した通りであり、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、そしてyは1、2もしくは3である)を有する化合物が挙げられる。
【0034】
有用なシリカカップリング剤の限定されない例としては、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−オキシプロピルトリメトキシシランメタクリレート、ビニルトリアセトキシシランなどが挙げられる。有用なシラザン化合物の限定されない例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザンなどが挙げられる。有用なシロキサン化合物の限定されない例としては、ジメチルプロピルシロキサン、メチル水素ポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサンなどが挙げられる。好ましい疎水性付与剤としては、ヘキサメチルジシラザン、イソブチルトリメトキシシラン、およびオクチルトリメトキシシランがある。
【0035】
処理される金属酸化物粒子は、集塊形成していない粒子のいずれかの平均粒子径を有していることができる。この粒子径は、集塊形成していない粒子を取り囲む最も小さい球の直径を指している。集塊形成した粒子(集塊)は、互いに緩やかに、通常はファンデルワールス力によって、結合した、幾つかの一次粒子から構成されている。これは、凝集粒子(凝集体)とは対照的であり、凝集体では一次粒子間の結合は、これらの粒子が焼結される場合のように、より強力である。この結果、集塊では、脱集塊を容易に達成することができる。例えば、処理された金属酸化物粒子の、トナー粒子との分散体(乾燥分散体)、または好適な水性もしくは非水性液体(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の分散体を、高速攪拌もしくは超音波処理を用いて、反集塊(reverse agglomeration)に用いることができる。しかしながら、いずれかの有意な程度の反凝集(reverse aggregation)は、相当により難しく、または不可能でさえある。
【0036】
本発明で用いられる例示的な沈降もしくはコロイド状金属酸化物粒子は、約5nm〜約500nm、約10nm〜約300nm、約20nm〜約200nm、約40nm〜約100nmの範囲、または、上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内の平均一次粒子径を有することができる。粒子径は、動的光散乱法(DLS)を用いて、当業者に知られている機器、例えば、Microtrac, Inc.(Montgomeryville、ペンシルベニア州)(例えば、Microtrac Particle Size Analyzer UPA 150)、およびMalvern Instruments Ltd.(Malvern Worcestershire、英国)から入手可能な粒子径分析計を用いて、測定することができる。
【0037】
本発明で用いられる沈降およびコロイド状金属酸化物粒子は、約5m/g〜約200m/g、約15m/g〜約175m/g、約30m/g〜約150m/g、約40m/g〜100m/gの範囲、または、上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内のBET表面積(S. Brunauer、P. H. EmmetおよびI. Teller、J. Am. Chemical Society、1938年、第60巻、p.309の方法であって、通常はBET法を称される方法によって測定される)を有することができる。
【0038】
本発明で用いられるヒュームドまたはコヒュームド金属酸化物粒子は、沈降もしくはコロイド状金属酸化物粒子について上記で与えられた範囲の1つに入る凝集粒子径を有することができる。また、ヒュームドまたはコヒュームド金属酸化物粒子は、約5nm〜約50nm、約10nm〜約40nm、15nm〜約30nmの範囲、または、上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内の平均一次粒子径を有することができる。また、ヒュームドおよびコヒュームド金属酸化物粒子の凝集体径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。また、ヒュームドまたはコヒュームド金属酸化物粒子は、約35m/g〜約500m/g、約55m/g〜約350m/g、約70m/g〜約200m/gの範囲、または、上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内のBET表面積を有することができる。
【0039】
処理された粒子の炭素含量は、商業的に入手可能な炭素分析器(例えば、Leco C-200)を用いて測定することができる。処理された金属酸化物粒子の炭素含量は、処理された金属酸化物粒子の処理水準の指標、従って、荷電変性の程度の指標、として用いることができる。例えば、同じ処理剤、例えば上記の荷電変性剤(または、類似した数の炭素原子を有する処理剤)、で処理された金属酸化物粒子では、炭素含量は処理水準の信頼できる指標であることができる。しかしながら、測定された炭素含量は、用いられる処理剤(または複数の処理剤)に依存することを、当業者は容易に理解するであろう。従って、多数の炭素原子を有する処理剤で処理された金属酸化物粒子の測定された炭素含量は、比較的に少数の炭素原子を有する処理剤で処理された金属酸化物の炭素含量よりもしばしば大きいであろう。本発明によって調製された処理された金属酸化物粒子は、約0.1質量%〜約8質量%の範囲、または約1質量%〜約4質量%の範囲、または上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内の炭素含量を有することができる。
【0040】
金属酸化物粒子に加えられる荷電変性剤の量は、いずれかの好適な量であることができる。当業者には、金属酸化物粒子に加えられる荷電変性剤の量を、例えば、粒子組成、粒子径および表面積、荷電変性剤の選択、および(存在する場合には)疎水性付与剤、ならびに粒子組成物が組み合わされる最終製品の組成(例えば、トナー組成物)によって容易に最適化することができるであろう。
【0041】
1つの例示的な態様では、荷電変性剤の量は、金属酸化物粒子のBET表面積を基準として、約0.1μモル/m〜約100μモル/m、約0.2μモル/m〜約50μモル/m、約0.5μモル/m〜約20μモル/m、約0.8μモル/m〜約10μモル/m、約1μモル/m〜約5μモル/mの範囲、または上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内のであることができる。
【0042】
上記のように、本発明の態様によっては、金属酸化物粒子はまた、所望により疎水性付与剤で処理されていてもよい。このような疎水性付与剤が用いられる場合には、いずれかの好適な量で金属酸化物粒子に加えることができる。このような任意の態様では、疎水性付与剤の量は、例えば、約0.1μモル/m〜約20μモル/m、約0.5μモル/m〜約15μモル/m、約1μモル/m〜約10μモル/mの範囲、または上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内のであることができる(金属酸化物粒子のBET表面積を基準として)。
【0043】
粒子組成物は、処理された金属酸化物粒子を含む、乾燥粒子組成物として(例えば、乾燥粉末)、または水性もしくは非水性分散体として配合することができる。この分散体は、いずれかの好適な分散剤(水単独もしくは共溶媒を備えた水)、処理剤、または処理された金属酸化物粒子の分散において通常用いられるいずれかの種類の添加剤を含むことができる。
【0044】
処理された金属酸化物粒子は、多くの異なる用途に用いることができ、トナー組成物、ブロッキング防止剤、粘着調整剤、ポリマー添加剤(例えば、エラストマーおよびゴム用、例えばシリコーンゴム用)、耐磨耗被覆およびフィルム、艶消し被覆およびフィルム、レオロジー調節剤(例えば、エポキシもしくは液状ポリマー用)、および機械的/光学的調節剤(例えば、複合材およびプラスチック用)が挙げられるが、これらには限定されない。本発明による処理された金属酸化物粒子は、特にトナー組成物中で有用である。この点に関して、本発明は、トナー粒子、および上記の式で表される荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物を提供する。好ましい態様では、トナー中で用いられる金属酸化物粒子は、荷電変性剤および疎水性付与剤の両方で処理される。処理された金属酸化物粒子の他の全ての態様は、本発明の粒子組成物に関してここに説明したようなものであることができる。
【0045】
処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物は、いずれかの好適な方法によって配合し、そして現像することができる。例えば、トナー組成物は、好適な量の処理された粒子(例えば、トナーの総質量を基準として、約1〜8質量%の処理された粒子)を、好適な平均直径(例えば、約9μm)を有する微粉状にしたトナー粒子(例えば、スチレンアクリレートまたはポリエステルトナー粒子)と共に、混合機中で混合することによって配合することができる。次いで、現像液を、例えば、2質量%のトナーを98質量%の担体と配合することによって、調製することができる。担体は、例えば、シリコーン樹脂で被覆した70μmのCu−Znフェライトであることができる。この現像液は、例えば、ガラス製広口瓶中で回転させる(例えば、ロールミル上で、185rpmで、30分間回転させる)ことによって、荷電することができる。
【0046】
処理された金属酸化物粒子を含むトナー組成物の摩擦帯電は、下記の例1〜8中に示されるように、しばしば負であるが、しかしながら、本発明はこの点について限定されない。摩擦帯電の測定は、当技術分野で知られている好適な技術および装置(例えば、Vertex T-150摩擦帯電計)を用いて行なうことができる。測定は、現像液を、30℃で、相対湿度80%(HH)および18℃で相対湿度15%(LL)の標準湿度室中で、一晩状態調節した後に行なうことができる。本発明による例示的な処理された金属酸化物粒子と配合されたトナーは、実質的にいずれの好適な摩擦帯電、ならびにHHおよびLL条件でのいずれの好適な摩擦帯電比をも有することができる。背景技術の欄に記載したように、慣用のシリカを配合したトナーの摩擦帯電は、しばしば高湿度条件では低い。対照的に、本発明の処理されたシリカは、しばしば有利には、高湿度(HH)条件で、向上した摩擦帯電性を示す。例えば、本発明の例示的な態様による処理されたシリカを配合したトナーは、有利には、HHおよびLLの両方の条件で、40μC/g超、例えば50μC/g超の絶対値を備えた摩擦帯電を有することができる。更に、HHとLL条件の摩擦帯電値の比は、0.5超、例えば0.6もしくは0.7超であることができる。
【0047】
また、背景技術の欄で上記したように、アルミナを配合したトナーの摩擦帯電は、しばしば低湿度および高湿度条件の両方で低い。本発明のある態様によって処理されたアルミナまたはチタニアを配合した例示的なトナーでは、しばしば有利には、向上した摩擦帯電を示す。例えば、このような処理されたアルミナもしくはチタニアを配合されたトナーは、有利には、HHおよびLLの両方の条件で、10μC/g超、例えば15μC/g超もしくは20μC/g超の絶対値を備えた摩擦帯電を有することができる。
【0048】
当業者に知られているように、トナーは、所望により、例えば、自由流動制御、潤滑、および向上した現像性と運転性能、を与えるために、他の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、無機粉末、例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、またはアンチモン;複合材金属酸化物、例えばチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、またはチタン酸ストロンチウム;金属塩、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、または炭酸アルミニウム;粘土鉱物、例えば、カオリン;リン酸化合物、例えば、リン灰石;ケイ素化合物、例えば、炭化ケイ素または窒化ケイ素;あるいは炭素粉末、例えば、カーボンブラックおよびグラファイト粉末を挙げることができる。また、有機粒子または複合材粒子も加えることができ、例えば樹脂粒子、例えば、ポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、ウレタン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、またはアクリル樹脂粒子;あるいは、金属、金属酸化物か金属塩、もしくはカーボンブラックなどの無機材料の粒子を備えた、ゴム、ワックス、脂肪酸化合物または樹脂のいずれかの複合材粒子、が挙げられる。また、潤滑剤粉末も加えることができ、そして、例えば、フッ素樹脂、例えばテフロン(登録商標)およびポリフッ化ビニリデン;フッ素化合物、例えば、フッ化炭素;脂肪酸金属塩、例えばステアリン酸亜鉛;脂肪酸、もしくは脂肪酸誘導体、例えば脂肪酸エステル;硫化モリブデン;アミノ酸、またはアミノ酸誘導体を挙げることができる。
【0049】
また、本発明による処理された金属酸化物粒子の調製方法が提供される。この方法は、金属酸化物粒子を準備すること、金属酸化物粒子を、同時もしくは順番に、疎水性付与剤および荷電変性剤と接触させること、ならびに疎水性の、荷電変性した金属酸化物粒子を回収することを含んでおり、ここで荷電変性剤は上記の式によって表される。
【0050】
金属酸化物粒子は、粉末形態または好適な液体分散体で供給することができる。本発明はこの点に関して限定されない。例えば、粉末形態の金属酸化物粒子は、流動床反応器中で、疎水性付与剤および荷電変性剤と結合させることができる。更に、疎水性の荷電変性された金属酸化物は、バッチまたは連続法を用いて調製することができ、それらの中で、乾燥金属酸化物は、疎水性付与剤および荷電変性剤(液体もしくは蒸気形態)と、十分な混合を伴って、接触させられる。次いで、この混合物は、一定の時間、金属酸化物の表面特性を変性させるに十分な温度に保持することができる。例えば、約30分間〜約16時間の時間にわたって、約25℃〜200℃の温度範囲が好適である可能性がある。約30分間〜約2時間にわたって、約80℃〜100℃の温度範囲もまた好適である可能性がある。
【0051】
あるいは、金属酸化物粒子は、液体分散体(例えば、水性、非水性もしくは混合液体中に分散した金属酸化物粒子)で供給することができる。金属酸化物の水性分散体は、金属酸化物の分散体を荷電変性剤および/または疎水性付与剤と組み合わせる前に、酸性、塩基性、または中性であることができる。この分散体は、金属酸化物粒子の、いずれかの好適な量、例えば約5〜約50質量%の金属酸化物粒子を含んでいることができる。金属酸化物粒子の好適な分散体は、好ましくはコロイド状に安定である。このようなコロイド状安定性は、粒子のいずれの実質的な部分も、不可逆的な集塊形成またはゲル化、あるいは使用の間の分散体の沈降が起こらないようにする。
【0052】
金属酸化物粒子の分散体は、商業的に入手可能な金属酸化物粒子の分散体(例えば、商業的に入手可能なコロイド状金属酸化物または商業的に入手可能なヒュームド金属酸化物の分散体)によって供給することができ、それらの幾つかの例を、本発明の粒子組成物との関連で上記に開示した。あるいは、金属酸化物粒子の水性分散体は、好適な方法によって調製することができる。例えば、金属酸化物粒子の水性分散体は、金属酸化物粒子を、水性、非水性、もしくは混合液体媒体中に、高せん断混合機を用いて分散することによって調製することができる。あるいは、金属酸化物粒子の分散体は、金属酸化物前駆体から溶液で調整することができる。例えば、シリカ粒子の水性分散体は、ケイ酸アルカリのpHを、約9~約11に調整することによって調製することができ、ここでケイ酸アルカリによって供給されるケイ酸塩アニオンは、重合を経て、水性分散体の形態の、所望の平均粒子径を有する分離したシリカ粒子を生成する。この方法での金属酸化物水性分散体の調製、およびそのような分散体の粒径の調整(例えば、温度、濃度およびpHの調製による)の具体的な手順および技術は、当技術分野において一般的に入手可能である。更に、金属酸化物粒子の分散体を与える他の好適な方法も当技術分野で知られており、そのいずらかを本発明と組み合わせて用いることができる。これらの点に関して、本発明は限定されない。
【0053】
荷電変性剤および/または疎水性付与剤は、金属酸化物粒子の分散体に直接に加えることができる。例えば、金属酸化物粒子が非水性媒体、例えばアルコール、ケトン、エーテル、または芳香族炭化水素(例えば、トルエン)中に分散されている場合には、荷電変性剤および疎水性付与剤は、直接添加される液体媒体中に、しばしば十分な溶解性を有している。あるいは、荷電変性剤および/または疎水性付与剤は、分散体に加えられる前に、最初に、溶媒、例えばアルコール、ケトン、エーテルまたは芳香族炭化水素中に溶解されてもよい。例えば、金属酸化物粒子が、水性媒体中に分散される場合には、金属酸化物粒子は有利には最初に、処理剤を有機共溶媒中に溶解することができる。このような有機溶媒は、好ましくは、水溶性または水混和性であるが、必須ではない。
【0054】
金属酸化物粒子の分散体、ならびに荷電変性剤および疎水性付与剤の少なくとも1種を含む反応混合物は、これらの処理剤が、金属酸化物粒子の分散体と、完全に、もしくは所望のいずれかの程度まで、反応する(例えば、シリカ粒子上のシラノール基と反応する)ことを可能にするいずれかの温度に、一定の時間、維持することができる。反応混合物は、例えば、約50℃〜約130℃の温度に約30分間以上(例えば、約1時間以上)維持することができる。粒子の反応条件(例えば、温度および試薬の濃度)によっては、より長い反応時間(例えば、約3時間以上、約7時間以上、または更に約20時間以上)が必要となる可能性がある。シリカの水性分散体は、有利には、約50℃〜約90℃の反応温度に、少なくとも1時間維持することができ、一方で、アルミナおよび/またはチタニアの非水性分散体は、有利には、約90℃〜約130℃の反応温度に、少なくとも1時間維持することができる。
【0055】
反応混合物は、開放された、または密封された反応器中に収容することができる。反応混合物は、空気の雰囲気中に維持することができる一方で、反応雰囲気から酸素を排除することもでき、この場合には、反応混合物は、窒素、アルゴンもしくはそれらの混合物から本質的になる雰囲気下に維持することができる。
【0056】
荷電変性剤および疎水性付与剤の両方が用いられる場合には、それらは分散体といずれかの好適な方法で組み合わせることができる。例えば、金属酸化物粒子の分散体は、荷電変性剤と組み合わせて第1反応混合物を与えることができ、そしてこの第1反応混合物は、荷電変性が金属酸化物粒子の分散体とここで説明したように反応するのに十分な時間、実質的にいずれかの温度に維持することができる。次いで、疎水性付与剤を第1反応混合物に加えて第2の反応混合物を与え、そしてこの第2の反応混合物は、次いで、疎水性付与剤が金属酸化物粒子と反応するのに十分な時間、実質的にいずれかの温度に維持することができる。
【0057】
あるいは、この分散剤は、荷電変性剤を添加する前に、疎水性付与剤と組み合わせて、第1の反応混合物を与えることができる。この第1の反応混合物は、疎水性付与剤が、金属酸化物粒子の分散体と反応することを可能にするのに十分な時間、実質的にいずれかの温度で維持することができる。本態様によれば、荷電変性剤は、次いで第1の反応混合物に加えられて、第2の反応混合物を与え、次いでこれが、荷電変性剤が金属酸化物粒子と反応することを可能にするのに十分な時間、実質的にいずれかの温度で維持することができる。
【0058】
更なる選択としては、荷電変性剤および疎水性付与剤は、分散剤と、同時に、または実質的に同時に組み合わせて、反応混合物を与えることができる。例えば、個々の処理剤は、同時に混合することができ(例えば溶媒中で)、そして次いで分散体に加えられ、これを次いで処理剤が金属酸化物と反応するのを可能にするのに十分な時間、実質的にいずれかの温度で維持することができる。あるいは、個々の処理剤は、別々に、しかしながら実質的に同時に、分散体中に加えられる。また、処理剤は、金属酸化物粒子の水性分散体がいれられた反応容器へ、段階的に加えることができる。
【0059】
荷電処理剤および所望による疎水性付与剤での処理の後に、処理された金属酸化物粒子は、反応混合物から回収(分離)され、そして乾燥することができる。処理された金属酸化物粒子は、反応混合物から、例えば、遠心分離によって、回収することができる。処理された金属酸化物粒子は、反応混合物からの分離の後に、または反応混合物から直接に、処理された金属酸化物粒子からの反応混合物の揮発性成分の蒸発によって、乾燥することができる。反応混合物の揮発性成分の蒸発は、例えば熱および/または低減した大気圧への暴露を含めた、いずれかの好適な技術を用いて達成することができる。熱が用いられる場合には、処理された金属酸化物粒子は、いずれかの好適な乾燥温度に、例えば、オーブンもしくは他の同様の装置を用いることによって、または噴霧乾燥によって、加熱することができる。
【0060】
噴霧乾燥は、荷電変性金属酸化物粒子を含む反応混合物、またはその一部を、乾燥室中に微細な霧として噴霧することを含んでおり、ここで微細な霧は、熱空気と接触されて、反応混合物の揮発性成分の蒸発をもたらす。
【0061】
選択される乾燥温度は、少なくとも部分的には、蒸発を必要とする反応混合物の具体的な組成に依存する。乾燥温度は、約40℃〜約250℃、約70℃〜約200℃、約90℃〜約150℃の範囲、または上記の端点のいずれかの2つの範囲に入るいずれかの範囲内にあることができる。
【0062】
処理された金属酸化物粒子は、反応混合物からの分離および/または乾燥の前、もしくは後に、洗浄することができる。処理された金属酸化物粒子は、好適な洗浄溶媒、例えば水、水混和性有機溶媒、水不混和性溶媒、またはそれらの混合物を用いて洗浄することができる。洗浄溶媒は、反応混合物に加えて、そして結果として得られた混合物は好適に混合され、続いてろ過、遠心分離もしくは乾燥されて、洗浄された疎水性の金属酸化物粒子が分離される。あるいは、処理された金属酸化物粒子は、洗浄の前に反応混合物から分離することができる(例えば、ろ過または遠心分離によって)。洗浄された処理された金属酸化物粒子は、更に、更なる洗浄工程で洗浄することができ、更にろ過、遠心分離および/または乾燥工程が続くことができる。
【0063】
荷電変性金属酸化物粒子の凝集および/または集塊の程度は、乾燥の後に、当業者に知られている好適な技術、例えば湿式もしくは乾式粉砕、ハンマーミリング、およびジェットミリングを用いて、所望により低減することができる(そのように望むならば)。
【実施例】
【0064】
本発明は、以下の例によって更に明確にされるが、これらは本発明を純粋に例示することを意図したものであり、そしてその範囲を制限するようには決して理解してはならない。
【0065】
<例>
以下の例では、処理された金属酸化物粒子組成物は、商業的に入手可能な金属酸化物粒子の水性もしくは非水性分散体を処理することによって調製した。シリカ、アルミナおよびチタニア粒子を、以下の例において処理した。特に断りのない限り、金属酸化物粒子の処理は、適当な大きさの、オーバーヘッド攪拌モータ、熱電対および凝縮器を備えた3つ口丸底フラスコ中で実施した。Leco C-200を、調製した乾燥試料の炭素含量を測定するために用いた。これらの測定の不確実性は約3%である。全ての測定は、2回もしくは3回実施し、平均値を以下の表中に報告した。
【0066】
4%の処理されたシリカ粒子を、実験室ブレンダー中で、3分間に亘り、96%の微粉状にしたポリエステルトナー(Raven Industries, Inc.(ラトローブ、ペンシルベニア州)から入手可能な0728 Base Toner)と混合することによって、処理されたシリカを含むトナー組成物(例1および2、および比較例1)を調製した。混合は、約20%の時間は、トナーがそのガラス転移温度より上に加熱されないように行なった。
【0067】
1.5%の処理された金属酸化物(アルミナまたはチタニア)粒子を、実験室ブレンダー中で、3分間の間、98.5%の微粉状にしたポリエステルトナー(約10〜12μmの平均直径)と混合することによって、処理されたアルミナまたはチタニアを含むトナー組成物(例3〜7および比較例2)を調製した。混合は、約20%の時間は、トナーがそのガラス転移温度より上に加熱されないように行なった。
【0068】
上記のトナー組成物から、2質量%のトナーを、シリコーン樹脂をコートされた70μmCu−Znフェライト系担体(この担体は、Powdertech Co., Ltd.から得た)98質量%と混合することによって、現像液を調製した。試料は、標準湿度室中で、比較的に高温湿度(30℃および80%相対湿度)(ここでは「HH」と表される)、または比較的に低温湿度(18℃および15%相対湿度)(ここでは「LL」と表される)のいずれかで状態調節した。現像液を、ガラス製広口瓶中に入れ、そしてこの瓶をロールミル上で30分間回転することによって荷電させた。摩擦帯電測定は、Vertex T-150摩擦帯電計を用いて行なった。それぞれの測定は、3回繰り返し、平均値を以下の表中に報告した。
【0069】
例1
5種の金属酸化物粒子組成物(組成物1A〜1E)を、最初にコロイド状シリカをヘキサメチルジシラザン(HMDZ)(Gelest, Inc.、受領したままで用いた)で、そして次いで3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS、CAS番号71783-41-0)で処理することによって調製した。また、対照組成物を、コロイド状シリカを、HMDZ単独で処理することによって調製した。それぞれの組成物は、6.8g(0.042モル)のHMDZを200gのSnowtex-OYL(商標)コロイド状シリカ分散体に加えることによって調製した。Snowtex-OYL(日産化学)は、20質量%のシリカ、2.0〜2.6の範囲のpH、約80nm±10nm(d10=60nm、そしてd90=120nm)、そして34〜42m/gのBET表面積を有するコロイド状シリカの水性分散体である。このシリカ分散体−HMDZ混合物を、70℃に2時間加熱し、そして次いで室温まで冷却させた。この混合物が室温に到達した後に(組成物1A〜1Eについて)、予め定めた量のDNPSを50mLのTHF(Fisher Scientific、精製せずに用いた)中に溶解させ、そして次いでシリカHMDZ混合物へ加えた。また、一定体積のエタノール(70mL)(Fisher Scientific、精製せずに用いた)をこの混合物へ加えた。最終的な混合物を、還流温度に加熱し(約64℃)、そして連続的に5時間攪拌した。室温まで冷却した後に、遠心分離によって黄色固体を分離し、そして135℃で数時間乾燥させた。対照試料および組成物1A〜1Eの炭素含量を、表1中に報告した。
【0070】
対照試料および組成物1A〜1Eを用いて、前記の方法(シリカ組成物についての)で、トナー組成物を調製した。また、これらのトナー組成物の摩擦帯電値を、表1中に報告した。摩擦帯電値の概算した標準偏差を、括弧付きで示した。
【0071】
【表1】

【0072】
組成物1A〜1Eと対照との比較は、DNPS添加量の増加に伴って、摩擦帯電が増加することを示している。このことは、炭素含量と摩擦帯電データの比較によって、更に確認される。また、HH:LL比は、DNPS添加量の増加に伴って増加することが示された。
【0073】
例2
5種の金属酸化物粒子組成物(組成物2A〜2E)を、先ずコロイド状シリカをDNPSで、そして次いでHMDZで処理することによって調製した。それぞれの組成物は、予め定めた量のDNPSを50mLのTHF中に溶解し、これを次いで200gのSnowtex-OYL(商標)コロイド状シリカ分散体に加えることによって調製した。5分間の混合の後に、70mLのエタノールを反応フラスコへ加えて、そしてこの混合物を70℃に加熱した。5時間の加熱の後に、6.8g(0.042モル)のHMDAを、この混合物中に導入した。混合物の温度を、70℃に、更に3時間維持した。室温に冷却した後に、遠心分離によって黄色固体を分離し、そして135℃で数時間乾燥した。組成物2A〜2Eの炭素含量を表2中に報告した。
【0074】
トナー組成物を、組成物2A〜2Eを用いて、前述の方法(シリカ組成物についての)で調製した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を、表2中に報告した。摩擦帯電値の概算の標準偏差を、表2に括弧付きで示した。
【0075】
【表2】

【0076】
組成物2A〜2Eと対照との比較は、DNPS添加量の増加に伴って、摩擦帯電が増加することを示している。このことは、炭素含量と摩擦帯電データの比較によって、更に確認される。また、HH:LL比は、DNPS添加量の増加に伴って増加することが示された。
【0077】
例3
3種の金属酸化物粒子組成物(組成物3A〜3C)を、アルミナを、イソブチルトリメトキシシラン(IBTMS)およびDNPSの種々の混合物で処理することによって調製した。また、対照組成物を、アルミナをIBTMS単独で処理することによって調製した。それぞれの組成物は、、15gのヒュームドアルミナ(81m/gのBET表面積を有するCabot CorporationのSpectrA1(登録商標)81ヒュームドアルミナ)を125mLのトルエン中に分散させることによって調製した。アルミナの分散の後に、0.02モルの混合シランを加えた(IBTMS:DNPS比を表3中に示した)。この分散混合物を110℃に加熱し、そしてこの温度に3時間保持した。次いで、この分散液を室温まで冷却し、そして遠心分離して処理されたアルミナ粒子を回収した。
【0078】
処理されたアルミナ粒子を、200mLのメタノール中に再分散させることによって、メタノール中で洗浄した。次いで、このメタノール分散液を遠心分離して、洗浄した処理されたアルミナ粒子を回収した。次いで、メタノール洗浄手順を繰り返した。次いで、更に固体を、真空オーブン中で、110℃で12時間超乾燥した。トナー組成物を、対照組成物および組成物3A〜3Cを用いて、前述した方法(処理したアルミナおよびチタニア組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を、表3中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値も、表3中に報告した。
【0079】
【表3】

【0080】
表3中では、対照試料は、ヒュームドアルミナを、慣用の疎水性付与シラン、イソブチルトリメトキシシラン(IBMS)で処理することによって生成させ、そしてこの処理された粒子の摩擦帯電の水準は(HHおよびLLの両方とも)低かった。試料3Aおよび3Bを、IBMSとDNPSの共処理によって調製した。明らかに、DNPSの使用は、系の摩擦帯電を著しく高めている。より多くのDNPSが組み込まれると、より高い摩擦帯電が示された。DNPSのみで処理されたアルミナ(例3C)は、最も高いLL摩擦帯電(−46.8μC/g)を示したが、HH/LL比は低かった。いずれかの特定の理論には拘束されないが、この場合には疎水性付与剤は用いられていないので、このことは、その疎水性の低下によるものであると考えられる。
【0081】
例4
金属酸化物粒子組成物(組成物4A)を、チタニアをオクチルトリエトキシシラン(OTES)およびDNPSの混合物で処理することによって調製した。また、対照組成物を、チタニアをOTES単独で処理することによって調製した。それぞれの組成物は、15gのヒュームドTiO(Degussa P25(商標))を100mLのトルエン中に分散させることによって調製した。TiOの分散の後に、0.1モルのシランを加えた(OTES:DNPS比を表4中に示した)。この分散混合物を110℃に加熱し、この温度に3時間保持した。次いで、この分散液を室温まで冷却し、そして遠心分離して処理されたチタニア粒子を回収した。
【0082】
処理されたチタニア粒子を、200mLのメタノール中に再分散させることによって、メタノール中で洗浄した。次いで、このメタノール分散液を遠心分離して洗浄した処理されたチタニア粒子を回収した。次いで、メタノール洗浄手順を繰り返した。回収した固体を、真空オーブン中で、110℃で12時間超乾燥した。トナー組成物を、対照組成物および組成物4Aを用いて、前述した方法(処理したアルミナおよびチタニア組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を、表4中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値も、表4中に報告した。
【0083】
【表4】

【0084】
この場合にはHH/LL比は向上しない一方で、TiOの摩擦帯電の水準は、DNPSの使用で著しく向上した。
【0085】
例5
金属酸化物粒子組成物(組成物5A)を、アルミナを(OTES)および3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA、CAS番号60871-86-5)の混合物で処理することによって調製した。また、対照組成物を、アルミナをOTES単独で処理することによって調製した。それぞれの粒子組成物は、OTESおよびTESPNBAシランを用いた以外は、上記の例3で記載したように調製した。トナー組成物を、対照組成物および組成物5Aを用いて、前述の方法(処理されたアルミナおよびチタニア粒子組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を表5中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を表5中に報告した。
【0086】
【表5】

【0087】
対照組成物および組成物5Aの比較によって、TESPNBAの使用で、摩擦帯電の絶対値は増加するか、しかしながらHH/LL比はTESPNBAの使用で向上しないことが示された。
【0088】
例6
2種の金属酸化物粒子組成物(組成物6Aおよび6B)を、アルミナを、(OTES)およびペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES、CAS番号20083-34-5)の混合物で処理することによって調製した。それぞれの粒子組成物は、OTESおよびPFPTESシランを用いた以外は、上記の例3中で記載したように調製した。トナー組成物は、組成物6Aおよび6Bを用いて、前述の方法(処理されたアルミナおよびチタニア粒子組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を表6中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を表6中に報告した。
【0089】
【表6】

【0090】
対照組成物および組成物6Aと6Bの比較によって、PFPTESの使用で、摩擦帯電の絶対値は増加するか、しかしながらこの場合には、HH/LL比はPFPTESの使用で向上しないことが示された。
【0091】
例7
3種の金属酸化物粒子組成物(組成物7A、7Bおよび7C)を、アルミナを、OTESおよび2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)の混合物で処理することによって調製した。それぞれの粒子組成物は、OTESおよびCSPESシランを用いた以外は、上記の例3中に記載したように調製した。トナー組成物を、組成物7A、7Bおよび7Cを用いて、前述の方法(アルミナおよびチタニア粒子組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を、表7中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を、表7中に報告した。
【0092】
【表7】

【0093】
対照組成物ならびに組成物7A、7Bおよび7Cの比較によって、CSPESの使用で、摩擦帯電の絶対値は増加することが示された。
【0094】
例8
単一の金属酸化物粒子組成物(組成物8A)を、アルミナを、DNPSおよびPFPTESの混合物で処理することによって調製した。それぞれの粒子組成物は、DNPSおよびPFPTESシランを用いた以外は、上記の例3中に記載したように調製した。トナー組成物を、組成物8Aを用いて、前述の方法(処理したアルミナおよびチタニア粒子組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を、表8中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を、表8中に報告した。また、表8では、炭素含量と摩擦帯電値を、上記で報告した組成物3Cおよび6Bのものと比較した。
【0095】
【表8】

【0096】
これらの3つの組成物の比較から、2種の荷電変性剤の使用はやはり、DNPS単独の使用に対して、HH条件下で高い摩擦帯電を備え、HH/LL比における顕著な向上を備えた、処理されたアルミナ製品を与えることが示された。
【0097】
比較例1
第1の比較例を、196g(248モル)の2−プロパノールを、600gのSnowtex OL-40分散液にゆっくりと添加することによって調製した。Snowtex OL-40は、40質量%のシリカ、2.0〜2.6の範囲のpH、45nm(d10=20nmそしてd90=90nm)の平均粒子径、そして60〜75m/gのBET表面積を有する、コロイド状シリカの水性分散体である。5分間の攪拌の後に、35.5g(0.130モル)のジフェニルジエトキシシラン(分子量272.4)を反応フラスコに加え、そして温度を75℃に上げた。反応を5.5時間進行させ、その後、この混合物を室温まで冷却し、パイレックス(登録商標)に移し、そしてオーブン中で110℃で乾燥した。
【0098】
トナー組成物を、前述した方法(処理したシリカ組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を、表9中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を表9中に報告した。
【0099】
【表9】

【0100】
比較例2
第2の比較例を、15gのヒュームドアルミナ(Cabot Corporation(登録商標)SpectrAl(登録商標)81)を125mLのトルエン中に分散させることによって調製した。アルミナの分散の後に、0.02モルの4−メチルフェニルトリメトキシシランを加えた。分散混合物を110℃に加熱し、そしてこの温度に3時間保持した。次いで、この分散液を、室温まで冷却し、そして遠心分離して処理されたアルミナ粒子を回収した。
【0101】
処理されたアルミナ粒子を、同じメタノール洗浄を用いて洗浄して分離し、そして上記の例2中で開示した方法で乾燥した。トナー組成物を、前述した方法(アルミナおよびチタニア粒子組成物について)で調製した。粒子組成物の炭素含量を表10中に報告した。また、トナー組成物の摩擦帯電値を表10中に報告した。
【0102】
【表10】

【0103】
例1〜8は、金属酸化物の、強い電子求引基で置換されたアリール基を有する化合物での処理は、高い摩擦帯電および高いHH/LL比を有する処理された粒子をもたらすことを示している。比較例Aは、強い電子求引基で置換されていないアリール基を有する化合物での処理は、比較的に低い摩擦帯電および低いHH/LL比(当技術分野で知られているアルコキシ処理と同様)を備えた処理された粒子もたらすことを示している。
【0104】
本発明の好ましい態様の上記の記載は、例証と説明の目的のために与えられている。網羅的であること、または本発明を説明した正確な形態に限定することは意図していない。修正と変更が、上記の教示に照らして可能であり、または本発明の実施により取得できる。これらの態様は、本発明の原理とその実際的な応用を、当業者が、本発明を、想定された具体的な用途に適合するように、種々の態様で、種々の修正を加えながら用いることを確実にするように説明するために、選択され、そして説明されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって規定されることが意図されている。
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子と、少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子とを含んでなるトナー組成物であって、前記荷電変性剤が以下の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式、
によって表される、トナー組成物。
【請求項2】
前記金属酸化物粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、またはそれらの混合物である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項3】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド金属酸化物粒子、コヒュームド金属酸化物粒子、沈降金属酸化物粒子、またはコロイド状金属酸化物粒子である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項4】
EWが、−NO、−CN、−COCH、−SOH、−SOCH、−F、または−(CF)CF、ここで、nは0もしくは1〜10の整数である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項5】
前記電子求引基が、メタまたはパラ位のいずれかの、少なくとも0.2のハメット定数を有する基である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項6】
Yが、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−O−、−S−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−S(O)−であり、ここでRは水素あるいは、置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項7】
Zが、(CH)であり、ここでeは1〜18の整数である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項8】
Anが、XSiR(3−d)で表され、ここでXは同じかもしくは異なる加水分解性基またはシロキサン基を表し、Rは水素あるいは置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表し、そしてdは1〜3の整数である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項9】
前記荷電変性剤が、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)からなる群から選ばれる、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項10】
前記金属酸化物粒子が、疎水性付与剤でも処理される、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項11】
前記疎水性付与剤が、シラザン化合物、シロキサン化合物またはシラン化合物である、請求項10記載のトナー組成物。
【請求項12】
前記疎水性付与剤が、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、イソブチルトリメトキシシラン、またはオクチルトリメトキシシランである、請求項10記載のトナー組成物。
【請求項13】
前記金属酸化物粒子がコロイド状シリカであり、疎水性付与剤がHMDZであり、そして荷電変性剤がDNPSである、請求項10記載のトナー組成物。
【請求項14】
前記金属酸化物粒子が、下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される第2の荷電変性剤で処理されている、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項15】
前記第2の荷電変性剤が、EWが−Fまたは−(CF)CFであり、ここでnが0もしくは1〜10の整数であるように選ばれる、請求項14記載のトナー組成物。
【請求項16】
前記荷電変性剤の、処理された金属酸化物粒子への添加水準が、0.1〜100μモル/mの範囲である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項17】
前記荷電変性剤の、処理された金属酸化物粒子への添加水準が、1〜5μモル/mの範囲である、請求項1記載のトナー組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む荷電変性金属酸化物粒子組成物であって、前記金属酸化物粒子が酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミニウムチタン混合酸化物、またはこれらの粒子のいずれかの混合物であり、そして500nm未満の平均粒子径を有しており、ここで前記荷電変性剤が下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、粒子組成物。
【請求項19】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド粒子、コヒュームド粒子、沈降粒子、またはコロイド状粒子である、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項20】
EWが、−NO、−CN、−COCH、−SOH、−SOCH、−F、または−(CF)CF、ここで、nは0もしくは1〜10の整数である、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項21】
Yが、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−O−、−S−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−S(O)−であり、ここでRは水素あるいは、置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項22】
前記金属酸化物粒子が疎水性である、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項23】
前記荷電変性剤が、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)からなる群から選ばれる、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項24】
EWが−NOであり、そしてYが−NR−であり、ここでRが水素あるいは置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基である、請求項18記載の粒子組成物。
【請求項25】
少なくとも1種の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む荷電変性金属酸化物粒子組成物であって、前記金属酸化物粒子が酸化ケイ素であり、そして500nm未満の平均粒子径を有しており、ここで前記荷電変性剤が下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、粒子組成物。
【請求項26】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド粒子、コヒュームド粒子、沈降粒子、またはコロイド状粒子である、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項27】
EWが、−NO、−CN、−COCH、−SOH、−SOCH、−F、または−(CF)CF、ここで、nは0もしくは1〜10の整数である、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項28】
Yが、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−O−、−S−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−S(O)−であり、ここでRは水素あるいは、置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項29】
前記金属酸化物粒子が疎水性である、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項30】
前記荷電変性剤が、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)からなる群から選ばれる、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項31】
EWが−NOであり、そしてYが−NR−であり、ここでRが水素あるいは置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基である、請求項25記載の粒子組成物。
【請求項32】
第1および第2の荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む荷電変性金属酸化物粒子組成物であって、前記荷電変性剤のそれぞれが独立して下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、粒子組成物。
【請求項33】
前記金属酸化物粒子が疎水性である、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項34】
前記金属酸化物粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、またはこれらの混合物である、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項35】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド金属酸化物粒子、コヒュームド金属酸化物粒子、沈降金属酸化物粒子、またはコロイド状金属酸化物粒子である、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項36】
EWが、−NO、−CN、−COCH、−SOH、−SOCH、−F、または−(CF)CF、ここで、nは0もしくは1〜10の整数である、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項37】
Yが、−N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−O−、−S−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−S(O)−であり、ここでRは水素あるいは、置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項38】
前記第1の荷電変性剤が、EWが、−Fまたは−(CF)CFであり、ここでnが0もしくは1〜10の整数であるように選ばれる、請求項32記載の粒子組成物。
【請求項39】
疎水性付与剤および荷電変性剤で処理された金属酸化物粒子を含む荷電変性金属酸化物粒子組成物であって、前記荷電変性剤が下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、粒子組成物。
【請求項40】
前記金属酸化物粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、またはこれらの混合物である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項41】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド金属酸化物粒子、コヒュームド金属酸化物粒子、沈降金属酸化物粒子、またはコロイド状金属酸化物粒子である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項42】
EWが、−NO、−CN、−COCH、−SOH、−SOCH、−F、または−(CF)CF、ここで、nは0もしくは1〜10の整数である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項43】
前記電子求引基が、メタまたはパラ位のいずれかの、少なくとも0.2のハメット定数を有する基である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項44】
Yが、−NR−、−N(R)C(O)−、−OC(O)−、−O−、−S−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−S(O)−であり、ここでRは水素あるいは、置換もしくは非置換アリールまたはアルキル基を表す、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項45】
前記疎水性付与剤が、シラザン化合物、シロキサン化合物、またはシラン化合物である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項46】
前記疎水性付与剤が、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、イソブチルトリメトキシシラン、またはオクチルトリメトキシシランである、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項47】
前記荷電変性剤が、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、および2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)からなる群から選ばれる、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項48】
前記金属酸化物粒子がコロイド状シリカであり、疎水性付与剤がHMDZであり、そして荷電変性剤がDNPSである、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項49】
前記荷電変性剤の添加水準が、0.1〜100μモル/mの範囲である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項50】
前記荷電変性剤の添加水準が、1〜5μモル/mの範囲である、請求項39記載の粒子組成物。
【請求項51】
疎水性の荷電変性金属酸化物粒子組成物の調製方法であって、
金属酸化物粒子を準備する工程、
前記金属酸化物粒子を、疎水性付与剤と接触させる工程、
前記金属酸化物粒子を、荷電変性剤と接触させる工程、ならびに、
前記荷電変性金属酸化物粒子を回収する工程を含み、
ここで、前記荷電変性剤が下記の、
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、方法。
【請求項52】
準備する工程が、粉末の形態の金属酸化物粒子を準備する工程を含み;
前記金属酸化物粒子を前記疎水性付与剤と接触させる工程が、前記疎水性付与剤を前記金属酸化物粒子と、流動床中で結合させる工程を含み;そして、
前記金属酸化物粒子を前記荷電変性剤と接触させる工程が、前記荷電変性剤を前記金属酸化物粒子と、流動床中で結合させる工程を含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記金属酸化物粒子が、ヒュームド金属酸化物粒子または沈降金属酸化物粒子を含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
準備する工程が、金属酸化物粒子の分散体を準備する工程を含み、そして回収する工程が、前記反応混合物を乾燥して、前記荷電変性金属酸化物粒子を得る工程を含む、請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記分散体が、水性分散体、非水性分散体、またはそれらの混合物である、請求項50記載の方法。
【請求項56】
前記金属酸化物粒子を前記疎水性付与剤と接触させる工程が、前記疎水性付与剤を金属酸化物粒子の前記分散体と結合させて第1の反応混合物を得る工程を含み;
前記金属酸化物粒子を前記荷電変性剤と接触させる工程が、前記荷電変性剤を前記第1の反応混合物と結合させて第2の反応混合物を得る工程を含み;ならびに、
前記反応混合物を乾燥する工程が、前記第2の反応混合物を乾燥させて、前記荷電変性金属酸化物粒子を得る工程を含む、請求項50記載の方法。
【請求項57】
前記金属酸化物粒子を前記荷電変性剤と接触させる工程が、前記荷電変性剤を金属酸化物粒子の前記分散体と接触させて、第1の反応混合物を得る工程を含み;
前記金属酸化物粒子を前記疎水性付与剤と接触させる工程が、前記疎水性付与剤を前記第1の反応混合物と結合させて、第2の反応混合物を得る工程を含み;ならびに、
前記反応混合物を乾燥する工程が、前記第2の反応混合物を乾燥させて、前記荷電変性金属酸化物粒子を得る工程を含む、請求項50記載の方法。
【請求項58】
前記金属酸化物粒子を前記荷電変性剤と接触させる工程、および前記金属酸化物粒子を前記疎水性付与剤と接触させる工程が、実質的に同時に行なわれる、請求項50記載の方法。
【請求項59】
前記疎水性付与剤が、下記の
An−Z−Y−Ar(EW)
式中、Arは芳香族基を表し、EWは電子求引基を表し、Yはスペーサー基を表し、Zはアルキレン基を表し、Anはアンカー基を表し、aは1〜5の整数であり、bは0もしくは1であり、そしてcは0もしくは1である式で表される、請求項51記載の方法。
【請求項60】
前記疎水性付与剤が、EWが、−Fまたは−(CF)CFであり、ここでnが0もしくは1〜10の整数であるように選ばれる、請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記疎水性付与剤が、ヘキサメチルジシラザン、イソブチルトリメトキシシラン、またはオクチルトリメトキシシランであり;そして前記荷電変性剤が、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン(DNPS)、3,5−ジニトロベンズアミド−n−プロピルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド(TESPNBA)、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(PFPTES)、または2−(4−クロロスルホニルフェニル)エチルトリメトキシシラン(CSPES)である、請求項51記載の方法。

【公表番号】特表2011−527765(P2011−527765A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517403(P2011−517403)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/003802
【国際公開番号】WO2010/005492
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】