説明

処理物均し装置

【課題】固液分離装置によって脱液処理された処理物を容器に収容したとき、山状に堆積した処理物を自動的に崩して均すことのできる処理物均し装置を提供する。
【解決手段】処理物OBを収容する容器2に載置されたフレーム10と、そのフレーム10に回転可能に支持されたスクリュー17と、そのスクリュー17を回転駆動する駆動モータ20とを有し、その駆動モータ20によってスクリュー17を回転駆動して、容器2内の処理物を崩して、これを均す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離装置により脱液処理されて、容器に搬入された処理物を均す処理物均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、切削屑を含む切削油、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、食品残渣、おからなどの液体を含む処理物から液体分を分離する固液分離装置は従来より周知である(例えば、特許文献1乃至4参照)。かかる固液分離装置によって液体分を分離された処理物は、容器に入れられ、その容器ごと、例えば廃棄物処理場に運搬され、ここでその処理物が廃棄処分される。
【0003】
図4は固液分離装置から排出される処理物を容器に入れるときの様子を示す概略断面図である。固液分離装置3Aから少量ずつ排出される処理物は、容器2Aの上部開口から容器2A内に落下して、該容器2Aに収容される。図4から明らかなように、容器2Aに落下した処理物OBは、山状に堆積するので、従来はその山状の処理物OBを、人力で崩しながら、これを均して容器2A内に収容していた。ところが、このように人力で処理物を均すには、多大な手間と労力を必要とし、結局、処理物の処理に要するコストが上昇する欠点を免れない。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−19011号公報
【特許文献2】特開平5−228695号公報
【特許文献3】特許第3565841号公報
【特許文献4】特許第3638597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した新規な認識に基づきなされたものであり、その目的とするところは、容器に入れられた処理物を自動的に均すことのできる処理物均し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、固液分離装置により脱液処理されて、容器に入れられた処理物を、回転しながら均すスクリューを具備する処理物均し装置を提案する(請求項1)。
【0007】
また、上記請求項1に記載の処理物均し装置において、前記容器に脱着可能に載置され、前記スクリューを回転可能に支持するフレームと、該フレームを前記容器に脱着すべく、当該フレームを昇降させるフレーム昇降装置とを具備していると有利である(請求項2)。
【0008】
さらに、上記請求項1又は2に記載の処理物均し装置において、前記容器に入れられた処理物の高さを検知するセンサと、該センサにより容器内の処理物の高さが所定値に達したことが検知されたとき、前記スクリューの回転を開始させるスクリュー駆動制御装置とを具備していると有利である(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る処理物均し装置によれば、回転するスクリューによって、容器に入れられた処理物を崩し、その処理物を自動的に均すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0011】
図1は、固液分離装置3から排出される処理物を収容する容器2と、その容器2内の処理物を均す処理物均し装置1を示す斜視図であり、図2はその概略断面図である。これらの図に示した容器2は、底壁4と、その底壁4に一体に連結された4つの側壁5,6,7,8とを有し、当該容器2の上部は開口している。底壁4には、図2に示すように複数のキャスタ9が取り付けられている。かかる容器2の上方に、固液分離装置4の処理物排出口(図示せず)が位置している。
【0012】
図1に示すように、処理物均し装置1は、金属又は硬質樹脂などの高剛性材料により構成されたフレーム10を有し、本例のフレーム10は、平行に延びる一対の縦梁11,12と、これらの縦梁11,12の長手方向各端部が固着された一対の横梁13,14とから構成されている。各横梁13,14の長手方向各端部13A,14Aは、容器2の側壁5,6の上辺に支持され、これによってフレーム10の全体が容器2に脱着可能に載置される。
【0013】
また、フレーム10の各横梁13,14には、軸受板15,16がそれぞれ固着され、その各軸受板15,16に、軸受26,27を介してスクリュー17が回転可能に支持されている。スクリュー17は、軸受板15,16と軸受26,27を介して、フレーム10に回転可能に支持されているのである。
【0014】
ここに示したスクリュー17は、軸部18と、その軸部18に一体に形成されたらせん状の羽根部19とを有し、その軸部18の長手方向各端部が、各軸受板15,16に軸受26,27を介してそれぞれ回転可能に支持されている。スクリュー17は、容器2の底壁4よりも上方であって、当該容器2の上部開口の近傍に位置している。
【0015】
一方、軸受板15には、減速機付きの駆動モータ20が支持され、この駆動モータ20の出力軸がスクリュー17の軸部18に固定連結されている。かかる駆動モータ20が作動することにより、スクリュー17が、その軸部18の軸線まわりに回転駆動される。駆動モータ20は、スクリュー17を回転駆動する駆動装置の一例を構成するものである。
【0016】
また、フレーム10の一方の縦梁11に固着された支持台21上には、例えばフォトセンサより成るセンサ22が固定支持されている。このセンサ22は、後述するように、容器2に入れられた処理物の高さを検知する用をなす。
【0017】
多量の液体を含む処理物が固液分離装置3に投入されて、その処理物中の液体分が分離される。このようにして液体分の減少した処理物は、固液分離装置3の処理物排出口から少量ずつ排出されて、図2に示すように容器2内に落下する。このとき、先にも説明したように、容器2内に入れられた処理物OBは山状に堆積していくが、その処理物OBが図2に実線で示した状態では、当該処理物OBの頂部が、スクリュー17よりも大きく下方に位置しているので、スクリュー17は回転しない。
【0018】
容器2内の処理物OBが、図2に二点鎖線で示すようにスクリュー17に届くか、又は処理物OBの高さがスクリュー17よりもわずかに高くなったことが、センサ22により検知されると、その検知信号が図示していない制御装置に取り込まれ、その制御装置からの指令によって、前述の駆動モータ20が作動を開始し、スクリュー17が回転し始める。容器内の処理物OBの高さが所定値に達したことをセンサ22が検知したとき、スクリュー17が回転を開始するのである。このようにスクリュー17が回転することによって、図2に矢印Aで示すように、山状となった処理物OBが崩され、処理物OBが容器2の全体に亘って広げられる。このようにして、容器2内に入れられた処理物OBは、自動的に均されるので、従来のように人力で山状の処理物を崩す必要はない。
【0019】
上述のようにして、図3に示す如く、容器2内に多量の処理物OBが収容されたとき、フレーム昇降装置23によって、フレーム10を駆動モータ20とスクリュー17ごと上昇させる。次いで、キャスタ9を転動させながら、容器2を図3に矢印Bで示すように移動させ、これを自動車などによって例えば廃棄場まで運搬して、その容器2内の処理物を廃棄する。
【0020】
一方、容器2を矢印B方向に移動させた後、新たな空の容器を、図示した容器2と同じ位置に移動させ、次いでフレーム昇降装置23によってフレーム10を下降させて、その空の容器上に当該フレーム10を載置する。このようにして、前述したところと全く同様にして、新たな容器内に処理物を収容することができる。
【0021】
本例のフレーム昇降装置23は、図1に示すように、フック24と、そのフック24を昇降させる図示していない駆動装置と、当該フック24に掛止されたチェーン25とを有し、チェーン25の各先端部は、フレーム10にそれぞれ掛止されている。上述の駆動装置が作動すると、フック24が昇降し、これによってフレーム10が上昇又は下降する。なお、図にはチェーン25を簡略化して示してある。
【0022】
以上のように、本例の処理物均し装置1は、固液分離装置3により脱液処理されて、容器2に入れられた処理物OBを、回転しながら均すスクリュー17を有し、かかるスクリュー17によって、処理物OBを効率よく均すことができる。しかも、本例の処理物均し装置1は、容器2に入れられた処理物OBの高さを検知するセンサ22と、そのセンサ22により容器2内の処理物OBの高さが所定値に達したことが検知されたとき、スクリュー17の回転を開始させるスクリュー駆動制御装置を有している。図示した例では、前述の駆動モータ20と制御装置とによって駆動制御装置が構成されている。かかる構成により、容器2内の処理物OBの高さが低く、これを均す必要のないときは、スクリュー20を停止させておくことができ、処理物OBを均す必要が生じたとき、自動的にスクリュー17の回転を開始させることができる。
【0023】
また、本例の処理物均し装置1は、容器2に脱着可能に載置され、スクリュー17を回転可能に支持するフレーム10を有していると共に、そのフレーム10を容器2に脱着すべく、当該フレーム10を昇降させるフレーム昇降装置23を有している。これにより簡単に、多量の処理物が収容された容器を運び出し、空の別の容器を搬入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】容器と処理物均し装置と固液分離装置を示す斜視図である。
【図2】容器と処理物均し装置の概略断面図である。
【図3】スクリューとフレームと駆動モータ等を上昇させたときの様子を示す概略断面図である。
【図4】従来の不具合を明らかにした、容器の概略断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 処理物均し装置
2 容器
3 固液分離装置
10 フレーム
17 スクリュー
22 センサ
23 フレーム昇降装置
OB 処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固液分離装置により脱液処理されて、容器に入れられた処理物を、回転しながら均すスクリューを具備する処理物均し装置。
【請求項2】
前記容器に脱着可能に載置され、前記スクリューを回転可能に支持するフレームと、該フレームを前記容器に脱着すべく、当該フレームを昇降させるフレーム昇降装置とを具備する請求項1に記載の処理物均し装置。
【請求項3】
前記容器に入れられた処理物の高さを検知するセンサと、該センサにより容器内の処理物の高さが所定値に達したことが検知されたとき、前記スクリューの回転を開始させるスクリュー駆動制御装置とを具備する請求項1又は2に記載の処理物均し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−117990(P2007−117990A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−217790(P2006−217790)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】