説明

出入口装置

【課題】 回転ドアと同様に風除効果を発揮させながら、通行者の安全性を向上させる。
【解決手段】 建物2の前面に設置されるブース6内に形成された通路10を非連通状態とするように平面パネル14、16が設けられている。平面パネル14、16は、一対のパネル14a、14b、16a、16bでそれぞれ構成されている。これら一対のパネル14a、14b、16a、16bが通路10を閉じた状態で通路10をスライド移動し、通路10の端部開口10bにおいて横スライドして、通路10に隣接するパネル収納部12の端部12aに入り、パネル収容部12内を他方の端部12bまでスライドし、他方の端部12bから通路10の開口端部10aに横スライドする。これを繰り返して、平面パネル14、16が通路10を循環する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物から人が出入りするための出入口装置に関し、特に出入口装置が備えるパネルが自動的に移動するものに関する。
【背景技術】
【0002】
出入口装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている出入口装置は、回転ドア装置と称されるもので、平面形状が長円型に形成されたブースが建物の前面に設けられ、このブース内には、長円リング状の移動空間が形成されている。この移動空間内に配置された複数のパネルが、移動空間に沿って移動する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−285754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この回転ドア装置には、建物の内外を通行者が通行しても、建物内に風が吹き込むことを防止できる風除効果があり、多くの通行者を同時に通行させることができるという効果もある。しかし、複数のパネルが連続的に回転しているので、通行者が回転するパネルの動きを予測することが難しく、接近してくるパネルに通行者が衝突したり、回転するパネルと出入口の方立との間に通行者が挟まれたりする虞があった。
【0005】
本発明は、回転ドアと同様に風除効果を維持し、かつ通行者の安全性を向上させた出入口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の出入り口装置は、建物の前面に設置されるブース内に通路が形成されている。この通路は、その両端部に開口を有している。この通路を移動する複数の平面パネルが設けられている。これら複数の平面パネルは、通路を非連通状態とするように移動する。前記各平面パネルは、一対のパネルでそれぞれ構成され、これら一対のパネルが前記通路を閉じた状態で前記通路を平行スライド移動し、前記通路の開口において横スライド開閉して、前記通路を循環する。例えば通路の一方の端の開口から他方の端まで平行スライドして、他方の端の開口で横スライドする。横スライドした一対のパネルは、通路の一方の側または両側に設けたパネル収納部を通って通路の一方の端の開口まで移動し、そこで通路内に戻る。このようにして平面パネルは循環する。なお、他方の端で一対のパネルが横スライドするとき、別の一対のパネルが通路内にあって通路を非連通状態にする。
【0007】
このように構成すると、1対のパネルからなる平面パネルが、通路の開口で、通行者にとって馴染みのある横スライドするので、通行者が平面パネルの動きにとまどうことなく通行することができるので、安全性が向上する。また、平面パネルが、通路を非連通状態とするように移動しているので、風除効果もある。さらに、通路は、一対の平面パネルが通過可能なように幅の広いものとなるので、多数の通行者が同時に通路を通行することが可能である。
【0008】
前記各平面パネルを両引き分け式の一対のパネルで構成することができる。この場合、これら平面パネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の両側に設置する。例えば、通路の一方の開口で横スライドした1対のパネルは、両側の収納部に1つずつ収納されて、通路の他方の開口に向かって収納部を移動する。
【0009】
このように構成すると、一つのパネルは、一方の開口で、両引き分けのスライド式自動ドアと同じように動作するので、通行者は通行になれている両引き分けのスライド式自動ドアを通過するのと同じ感覚で通過することができ、通行にとまどうことが無く、安全性を確保できる。
【0010】
或いは、各平面パネルを連戸式の複数枚のパネルで構成することもできる。例えば複数枚のパネルが通路においてその幅方向に一直線上に配置することもできる。この場合、これらパネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の一側に設ける。各平面パネルを構成する複数枚のパネルは、一枚ずつパネル収納部に収容される。
【0011】
このように構成すると、通路の一方の端の開口に到達した連戸式のパネルは、1枚ずつパネル収納部に収納され、他方の端の開口に向かってパネル収納部を移動する。パネル収納部が通路の一側だけに配置されているので、この出入り口装置の占有面積を小さくすることができる。
【0012】
或いは、前記各平面パネルを二重引戸式の一対のパネルで構成することもできる。例えば一対のパネルが通路の長さ方向に沿って段違いに配置されている。但し、これら一対のパネルはそれらの互いに隣接する端部で接している。この場合、これら平面パネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の一側に設ける。各平面パネルを構成する一対のパネルは、一枚ずつパネル収納部に収容される。
【0013】
このように構成すると、通路の一方の端の開口に到達した二重引戸式のパネルは、パネル収納部に1枚ずつ収納され、他方の端の開口に向かってパネル収納部を移動する。パネル収納部が通路の一側だけに配置されているので、この出入り口装置の占有面積を小さくすることができる。
【0014】
或いは、前記各平面パネルを、前記通路の開口においてスライド・グライド動作する一対のパネルで構成することもできる。この場合、このパネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の両側に設ける。一対のパネルは、通路からパネル収納部内に入るときに旋回し、その幅方向がパネル収納部の長さ方向に沿う。そして、そのまま他方の端部まで移動し、その端部において旋回して、パネルの幅方向が通路の幅方向に沿う。
【0015】
このように構成すると、各平面パネルがスライド・グライド動作するので、パネル収納部の幅を小さくでき、建物正面における出入り口装置の占有面積を小さくできる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、回転ドアと同様に風除効果を維持することができる上に、通行者がなじみのあるドアと同様に平面パネルが移動するので、通行者がとまどうことなく通行でき、通行者の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態の出入口装置では、図1(a)に示すように、建物2の前面に形成された開口4に、ブース6が取り付けられている。このブース6は、内部が空洞とされた概略直方体状のもので、長手側の側壁6a、6bの中途が開口4に位置している。このブース6の両端部が建物2の内外に位置している。このブース6の内部に仕切り壁8が設けられている。この仕切り壁8は、ブース6の側壁6a、6bに平行で、ブース6内を通路10とパネル収納部12とに区画している。即ち、通路10とパネル収納部12とは、互いに平行に並設されている。通路10の幅をWとすると、パネル収容部12の幅はW/2とされている。通路10の両端部は、それぞれ開口されて、人が通行可能である。
【0018】
通路10の建物2内の端部開口10aから通路10内に入った通行者は、この通路10を通路10の建物2外の端部開口10bに向かって移動することによって建物2から外に出ることができる。
【0019】
ブース6内には、複数、例えば3枚の平面パネル14、16、18が配置されている。これら平面パネル14、16、18は、それぞれ1対のパネル14a、14b、16a、16b、18a、18bから構成されている。これら1対の平面パネル14a、14b、16a、16b、18a、18bは、それぞれW/2の幅を有し、通路10、パネル収納部12の高さ寸法にほぼ等しい高さ寸法を有している。
【0020】
平面パネル14、16、18は、通路10内に位置するときには、その端部開口10a、10b間を非連通状態とするように、すなわち遮蔽するように、側壁6aと仕切り壁8とに跨ってパネル14a、14b、16a、16b、18a、18bが一直線上に位置している。即ち、連戸式である。平面パネル14、16、18はパネル収納部12内に位置するとき、パネル14a、14b、16a、16b、18a、18bが、それぞれ個別に側壁6bと仕切り壁8とに跨って位置している。
【0021】
パネル14a、14b、16a、16b、18a、18bは、通路10内ではそれぞれ一直線上に位置する状態を維持することによって端部開口10a、10bを遮蔽した状態を維持しながら、端部開口10a側から端部開口10b側にスライド移動する。パネル14a、14b、16a、16b、18a、18bは、パネル収納部12内では、1枚ずつ建物2外側の端部開口12a側から建物2内側の端部開口12b側にスライド移動する。これら平面パネル14、16、18は、例えば通路10の端部開口10bに到達すると、入口通路12の端部開口12aに向かって横スライドする。この横スライドは、パネル14a、14b、16a、16b、18a、18bのうち、端部開口10bにおいてパネル収容部12に近いパネル、例えばパネル18bがパネル収容部12内に入り、端部12b側に移動した後、残りのパネル、例えばパネル18aがパネル収容部12内に入る。パネル収納部12の端部12bから通路10の端部10aに平面パネル14、16、18が入るときには、まずパネル収納部12において先行しているパネル、例えばパネル16aが端部10a側に入り、それに続いて後続のパネル、例えばパネル16bが入る。
【0022】
これらパネル14a、14b、16a、16b、18a、18bは、例えばブース6の上部に設けた図示していない駆動機構によって駆動される。これらパネル14a、14b、16a、16b、18a、18bは、通路10及びパネル収納部12を移動するときは、高速Vhで移動し、通路10の開口端部10bからパネル収納部12の端部12aに横スライドするときも高速Vhで移動する。パネル収納部12の端部12bから通路10の端部10aに横スライドするとき、低速Vlで移動する。Vh>Vlである。
【0023】
例えば図1(a)に示すように、平面パネル14が通路10の端部開口10aに位置し、平面パネル16の平面パネル16aがパネル収納部12内の開口4よりも端部12b側に近い位置に、パネル16bが開口4よりも端部12aに近い位置に位置し、平面パネル18が通路10の開口10bにそれぞれ位置すると仮定する。このときの各パネルの位置を初期位置と称する。
【0024】
この状態から単位時間t後には、図1(b)にそれぞれ示すように平面パネル14は、初期位置からtVhだけ端部開口10b側に移動している。平面パネル16のパネル16a、16bはそれぞれの初期位置からtVhだけ端部12b側に移動している。平面パネル18のパネル18a、18bは、初期位置からtVhだけ端部12aに横スライドしている。
【0025】
この時点から更に単位時間t後には図1(c)に示すように、平面パネル14は、端部初期位置から2tVhだけ端部開口10b側に移動している。平面パネル16のパネル16a、16bは、初期位置からそれぞれ2tVhだけ移動し手いる。平面パネル18のパネル18bも初期位置から2tVh横スライドして、端部開口12aに重なり、パネル18aも初期位置から2tVh横スライドして、パネル18bに接して後続している。
【0026】
この時点から更に単位時間t後には図1(d)に示すように、平面パネル14は、初期位置から3tVhだけ端部開口10b側に移動している。同時に、平面パネル16のパネル16aは、初期位置から3tVhだけ移動し、端部開口12bに到達している。即ち、パネル16aの初期位置から端部開口12bまでの距離は3tVhである。パネル16bは初期位置から3tVhだけ端部開口12b側に移動している。平面パネル18のパネル18bは、端部12aからtVhだけ端部12b側に移動し、パネル18aは、初期位置から3tVhだけ端部開口12a側に横スライドしている。
【0027】
この時点から更に単位時間t後には、図1(e)に示すように、平面パネル14は、初期位置10aから4tVhだけ端部開口10b側に移動している。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側にtVlだけ横スライドしている。パネル16bは初期位置から端部12b側に4tVhだけ移動している。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから2tVhだけ端部12b側に移動しており、パネル18aは、初期位置から4tVhだけ移動して、端部12aに重なっている。図1(e)から明らかなようにパネル収納部12内におけるパネル18a、18bの間隔は2tVhである。他のパネル14a、14b、16a、16bがパネル収納部12を移動する際も、この間隔2tVhを維持する。
【0028】
この時点から更に単位時間t後には、図1(f)に示すように、平面パネル14は、初期位置から5tVhだけ端部開口10b側に移動している。平面パネル16のパネル16aは端部12bから2tVlだけ端部開口10a側に横スライドし、パネル16bは初期位置から端部12b側に5tVhだけ移動している。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから端部12b側に3tVhだけ移動し、パネル18aは端部12aから端部12b側にtVh移動している。
【0029】
この時点から単位時間t後には、図2(a)に示すように、平面パネル14は初期位置10aから端部開口10b側に6tVhだけ移動する。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に3tVlだけ横スライドし、パネル16bは、初期位置から端部12b側に6tVhだけ移動し、端部12bに重なっている。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから端部12b側に4tVhだけ移動し、平面パネル18aは、端部12aから端部12b側に2tVhだけ移動している。
【0030】
この時点から単位時間t後には、図2(b)に示すように、平面パネル14は初期位置から7tVhだけ端部開口10b側に移動している。平面パネル16のパネル16aは端部12bから端部開口10a側に4tVlだけ横スライドし、パネル16bは端部12bからtVlだけ端部開口10a側に横スライドしている。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから端部12b側に5tVhだけ移動し、平面パネル18aは、端部12aから端部12b側に3tVhだけ移動している。
【0031】
この時点から単位時間t後には、図2(c)に示すように平面パネル14は、8tVhだけ初期位置から移動し、端部開口10bに到達している。従って、通路10の長さは、8tVhである。平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に5tVlだけ横スライドし、端部開口10aの端まで到達している。パネル16bは端部12bから2tVlだけ端部開口10a側に横スライドしている。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから端部12b側に6tVhだけ移動し、平面パネル18aは、端部12aから端部12b側に4tVhだけ移動している。
【0032】
この時点から単位時間t後には、図2(d)に示すように、平面パネル14は、待機したままで、端部開口10bに位置している。平面パネル16のパネル16aは、待機したままで、パネル16bが端部12bから3tVlだけ端部開口10a側に横スライドし、パネル16aと協働して端部開口10aを閉じている。平面パネル18のパネル18bは、端部12aから端部12b側に7tVhだけ移動し、平面パネル18aは、端部12aから端部12b側に5tVhだけ移動している。
【0033】
図2(d)では、図1(a)の初期状態において平面パネル14が位置した初期位置に平面パネル16が位置し、平面パネル16のパネル16a、16bが位置した初期位置に平面パネル18のパネル18a、18bが位置し、平面パネル18が位置した初期位置に平面パネル14が位置している。以下、上述したパネル14と同じ動作をパネル16が行い、上述したパネル16と同じ動作をパネル18が行い、上述した平面パネル18と同じ動作をパネル14が行う。その結果、図1(a)の初期状態において平面パネル14が位置した初期位置に平面パネル18が位置し、平面パネル16のパネル16a、16bが位置した初期位置に平面パネル14のパネル14a、14bが位置し、平面パネル18が位置した初期位置に平面パネル16が位置する。以下、上述したパネル14と同じ動作をパネル18が行い、上述したパネル16と同じ動作をパネル14が行い、上述した平面パネル18と同じ動作をパネル16が行い、図1(a)に示す状態に戻り、図1(a)乃至(f)及び図2(a)乃至(d)に示した動作を再び行う。
【0034】
この出入り口装置では、図1(a)乃至(d)に示すように、ある平面パネル、例えば平面パネル18の各パネル、例えばパネル18a、18bがパネル収容部12内に収容されていく間、他の平面パネル、例えば平面パネル14が通路10内に位置し、端部開口10a、10bを遮断しているので、風除効果を維持できる。しかも、端部開口10bが平面パネルの横スライドによって開かれるとき、その平面パネルの移動速度はVhと高速であるので、速やかに端部開口10bが開かれ、円滑に通行者が通行することができる。逆に、端部開口10aを横スライドする平面パネルが速度Vlと低速で閉じるので、閉じつつある平面パネルに通行者が接触しにくい。さらに、端部開口10a、10bの開閉は、通行者が通常の自動ドア等でよくなれているスライド式であるので、通行者がとまどうことなく通過することができる。しかも、各パネルはパネル収納部12内を1枚ずつスライドするので、パネル収納部12は1枚のパネルを収納するW/2の幅を有するものでよく、設置スペースを小さくできる。
【0035】
第2の実施形態の出入り口装置を図3及び図4に示す。この出入り口装置では、平面パネルが、通路10内において二重引戸式に、即ち、通路10の長さ方向にパネルの厚さ分だけずれて、段違いに位置させられてスライドする。また、各平面パネルは、通路10内では、高速Vhでスライドし、通路10の端部10bからパネル収納部12内に超高速Vsで横スライドし、パネル収納部12内でも超高速Vsでスライドし、パネル収納部12の端部12bにおいて、端部12bに近い側が中速Vmで、端部12bから遠い側が低速Vlで横スライドする。他の構成は、第1の実施の形態の出入り口装置と同様である。同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
例えば図3(a)に示すように、平面パネル14が通路10の端部開口10aに位置し、平面パネル16の平面パネル16a、16bそれらの面をほぼ接触させた状態で、パネル収納部12内の開口4付近に位置し、平面パネル18が通路10の開口10bにそれぞれ位置すると、仮定する。これら位置を初期位置と称する。
【0037】
この状態から単位時間t後には、図3(b)にそれぞれ示すように平面パネル14は、tVhだけ初期位置から端部開口10b側に移動し、平面パネル16のパネル16a、16bは初期位置からtVsだけ端部12b側に移動し、平面パネル18の平面パネル18a、18bは、tVbだけ初期位置から端部12aに横スライドしている。
【0038】
この時点から更に単位時間t後には図3(c)に示すように、平面パネル14は、初期位置から2tVhだけ端部開口10b側に移動し、平面パネル16のパネル16a、16bは、初期位置からそれぞれ2tVhだけ端部12b側に移動し、先行するパネル16aが端部12bに重なっている。平面パネル18のパネル18bも初期位置から2tVs横スライドして、端部12aに重なり、パネル18bも初期位置から2tVs横スライドして、パネル18aに一部が重なって位置している。
【0039】
この時点から更に単位時間t後には図3(d)に示すように、平面パネル14は、初期位置から3tVhだけ端部開口10b側に移動している。同時に、平面パネル16のパネル16a、16bは、待機状態であり、図3(c)と同じ位置に位置している。平面パネル18のパネル18bは、待機状態であり、パネル18aは、初期位置から3tVsだけ端部12a側に横スライドして、パネル18bの前方側でパネル18bに完全に重なっている。
【0040】
この時点から更に単位時間t後には、図3(e)に示すように、平面パネル14は、初期位置から4tVhだけ端部開口10b側に移動している。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に中速Vmで横スライドし、端部12bからtVmだけ端部開口10a側の位置にある。パネル16bは端部12b側から端部開口10a側に低速Vlで横スライドし、端部12bから端部開口10a側にtVlだけ移動している。平面パネル18のパネル18a、18bは、端部12aから一緒にtVsだけ端部12b側に移動している。
【0041】
この時点から更に単位時間t後には、図3(f)に示すように、平面パネル14は、初期位置から5tVhだけ端部開口10b側に移動している。平面パネル16のパネル16aは端部12bから端部開口10a側に2tVmだけ横スライドし、パネル16bは端部12bから端部開口10a側に2tVlだけ移動している。平面パネル18のパネル18a、18bは、端部12aから端部12b側に2tVsだけ一緒に移動している。
【0042】
この時点から単位時間t後には、図4(a)に示すように、平面パネル14は初期位置から端部開口10b側に6tVhだけ移動している。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に3tVmだけ横スライドし、パネル16bは端部12bから端部開口10a側に3tVlだけ移動している。平面パネル18のパネル18あ、18bは、端部12aから端部12b側に3tVsだけ一緒に移動している。
【0043】
この時点から単位時間t後には、図4(b)に示すように、平面パネル14は初期位置から端部開口10b側に7tVhだけ移動している。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に4tVmだけ横スライドし、パネル16bは端部12bから端部開口10a側に4tVlだけ移動している。平面パネル18のパネル18a、18bは、端部12aから端部12b側に4tVsだけ一緒に移動している。
【0044】
この時点から単位時間t後には、図4(c)に示すように平面パネル14は、初期位置から端部開口10b側に7tVhだけ移動して、端部開口10bに重なっている。同時に平面パネル16のパネル16aは、端部12bから端部開口10a側に5tVmだけ横スライドし、端部開口10aの幅方向の端に到達し、パネル16bは端部12bから端部開口10a側に5tVlだけ移動し、パネル16aに接して後続している。これによって、平面パネル16が端部開口10aを閉じている。平面パネル18のパネル18a、18bは、端部12aから端部12b側に5tVsだけ一緒に移動して、開口4付近に位置している。
【0045】
図4(c)では、図3(a)の初期状態において平面パネル14が位置した初期位置に平面パネル16が位置し、平面パネル16のパネル16a、16bが位置した初期位置に平面パネル18のパネル18a、18bが位置し、平面パネル18が位置した初期位置に平面パネル14が位置している。以下、上述したパネル14と同じ動作をパネル16が行い、上述したパネル16と同じ動作をパネル18が行い、上述した平面パネル18と同じ動作をパネル14が行う。その結果、図3(a)の初期状態において平面パネル14が位置した初期位置に平面パネル18が位置し、平面パネル16のパネル16a、16bが位置した初期位置に平面パネル14のパネル14a、14bが位置し、平面パネル18が位置した初期位置に平面パネル16が位置する。以下、上述したパネル14と同じ動作をパネル18が行い、上述したパネル16と同じ動作をパネル14が行い、上述した平面パネル18と同じ動作をパネル16が行い、図3(a)に示す状態に戻り、図3(a)乃至(f)及び図4(a)乃至(c)に示した動作を再び行う。
【0046】
この出入り口装置では、図3(a)乃至(d)に示すように、ある平面パネル、例えば平面パネル18の各パネル、例えばパネル18a、18bがパネル収容部12内に収容されていく間、他の平面パネル、例えば平面パネル14が通路10内に位置し、端部開口10a、10bを遮断しているので、風除効果を維持できる。しかも、端部開口10bが平面パネルの横スライドによって開かれるとき、その平面パネルの移動速度はVsと超高速であるので、速やかに端部開口10bが開かれ、円滑に通行者が通行することができる。逆に、端部開口10aを横スライドして閉じる平面パネルは、先行するものが中速度Vm、後続するものが低速度Vlで閉じるので、閉じつつある平面パネルに通行者が接触しにくく、かつ二重引戸の状態で端部開口10aを閉じる。さらに、端部開口10a、10bの開閉は、通行者が通常の自動ドア等でよくなれているスライド式であるので、通行者がとまどうことなく通過することができる。しかも、各パネルはパネル収納部12内を1枚ずつスライドするので、パネル収納部12は1枚のパネルを収納するW/2の幅を有するものでよく、設置スペースを小さくできる。
【0047】
本発明の第3の実施形態の出入り口装置は、図5(a)乃至(d)、図6(a)乃至(c)に示すように通路10の両側にパネル収容部120、220が通路10と平行にかつ隣接して設けられている。平面パネルは、平面パネル14、16の2枚である。パネル収容部120、220の幅は、各平面パネル14、16のパネル14a、14b、16a、16bの幅W/2に等しい。各平面パネル14、16は、通路10内を、端部開口10a側から端部開口10b側に、通路10の両端部開口10a、10bを遮蔽した状態で、中速Vmでスライド移動し、端部開口10bに到達すると、両側のパネル収容部120、220に高速Vhで横スライドし、パネル収容部120、220内を端部120a、220a側から端部120b、220b側に超高速Vsで移動し、端部120b、220bに到達すると、低速Vlで端部開口10a内に横スライドするように構成されている。
【0048】
例えば図5(a)に示すように、平面パネル14のパネル14a、14bが開口4付近に端部開口10a、10bに平行に一直線状に位置し、平面パネル16のパネル16aがパネル収容部120の端部120bに、パネル16bがパネル収容部220の端部220bに位置すると仮定する。このときの各パネルの位置を初期位置と称する。
【0049】
この初期状態から単位時間t経過すると、同図(b)に示すように平面パネル14は、初期位置から端部開口10b側にtVm移動している。平面パネル16のパネル16a、16bは初期位置からVlだけ通路10の端部開口10a側に横スライドしている。
【0050】
さらに単位時間tが経過すると、同図(c)に示すように平面パネル14は、初期位置から2tVm移動して、端部開口10bに到達し、これを遮蔽している。一方、平面パネル16の各パネル16a、16bは、それぞれ2tVlだけ初期位置から端部開口10a側に横スライドし、両パネル16a、16bが接して、端部開口10aを閉じている。
【0051】
さらに単位時間tが経過すると、同図(d)に示すように平面パネル14のパネル14aは、端部開口10bから端部120a側に、パネル14bは、端部開口10bから端部220a側に、それぞれVhだけ移動している。一方、平面パネル16は、端部開口10aからVmだけ移動している。
【0052】
さらに単位時間tが経過すると、図6(a)に示すように平面パネル14のパネル14a、14bはそれぞれ端部開口10bから2tVhだけ横スライドし、端部120a、220aに重なっている。一方、平面パネル16は、端部開口10aから2tVmだけ端部開口10b側に移動している。
【0053】
さらに単位時間tが経過すると、同図(b)に示すように、平面パネル14a、14bは端部120a、220a側から端部120b、220b側にtVsだけ移動している。一方、平面パネル16は、端部開口10a側から端部開口10b側に2tVmだけ移動している。
【0054】
さらに単位時間tが経過すると、同図(c)に示すように、平面パネル14a、14bは端部120a、220aから端部120b、220b側に2tVsだけ移動し、端部120b、220bに到達している。一方、平面パネル16は、端部開口10aから2tVmだけ移動している。
【0055】
このとき、パネル14a、14bは初期状態においてパネル16a、16bが位置した初期位置にあり、パネル16a、16bは初期状態においてパネル14a、14bが位置した初期位置にある。以下、上述した平面パネル14と同じ動作を平面パネル16が行い、上述した平面パネル16と同じ動作を平面パネル14が行う。その結果、図5(a)に示す状態に戻り、図5(a)乃至(d)及び図6(a)乃至(c)に示した動作を再び行う。
【0056】
この出入り口装置では、図5(c)、(d)、図6(a)に示すように、ある平面パネル、例えば平面パネル14の各パネル、例えばパネル14a、14bがパネル収容部120、220内に収容されていく間、他の平面パネル、例えば平面パネル16が通路10内に位置し、端部開口10a、10bを遮断しているので、風除効果を維持できる。しかも、端部開口10bが平面パネルの横スライドによって開かれるとき、その平面パネルの移動速度はVhと高速であるので、速やかに端部開口10bが開かれ、円滑に通行者が通行することができる。逆に、図5(a)乃至(c)に示すように横スライドする平面パネルが速度Vlと低速で端部開口10aを閉じるので、閉じつつある平面パネルに通行者が接触しにくい。さらに、端部開口10a、10bの開閉は、通行者が通常の自動ドア等でよくなれているスライド式であるので、通行者がとまどうことなく通過することができる。
【0057】
本発明の第4実施形態の出入り口装置でも、図7(a)乃至(e)に示すように通路10の両側にパネル収容部121、221が設けられている。但し、その幅は、第3の実施形態のパネル収容部120、220の幅W/2よりも狭い。各平面パネル14、16は、通路10内を、端部開口10a側から端部開口10b側に、通路10の両端部開口10a、10bを遮蔽した状態で、即ち、各平面パネルの幅方向を端部開口10a、10bに平行にして中速Vmでスライド移動し、端部開口10bに到達すると、両側のパネル収容部121、221に高速Vhで旋回し、その幅方向がパネル収容部121、221の長さ方向に沿うようにして、パネル収容部121、221内を端部121a、221a側から端部121b、221b側に高速Vhで移動し、端部121b、221bに到達すると、低速Vlで端部開口10a内に旋回して、その幅方向が端部開口10a、10bの幅方向と平行にするように構成されている。即ち、各平面パネルはグライドスライドする。
【0058】
例えば図7(a)に示すように、平面パネル14のパネル14a、14bが端部開口10aに位置し、平面パネル16が端部開口10bに位置すると仮定する。
【0059】
この初期状態から単位時間t経過すると、同図(b)に示すように平面パネル14のパネル14a、14bは、初期位置からパネル収容部121、221内に高速Vhで旋回しつつあり、平面パネル16は端部開口10aからVmだけ端部開口10b側にスライドしている。
【0060】
さらに単位時間tが経過すると、同図(c)に示すように平面パネル14のパネル14a、14bは、パネル収納部121、221内にその幅方向をパネル収納部121、221の長さ方向に沿わせて位置している。一方、平面パネル16は、それぞれ2tVmだけ端部開口10aから端部開口10b側にスライドしている。
【0061】
さらに単位時間tが経過すると、同図(d)に示すように平面パネル14のパネル14a、14bは、端部121、221bから端部開口10a側に、それぞれVlで旋回している。一方、平面パネル16は、端部開口10aから3tVmだけ移動している。
【0062】
さらに単位時間tが経過すると、同図(e)に示すように平面パネル14のパネル14a、14bは、その幅方向を端部開口10aの幅方向に一致させ、かつ互いに接して、端部開口10aを閉じている。一方、平面パネル16は、端部開口10aから4tVmだけ端部開口10b側に移動し、端部開口10bを閉じてている。
【0063】
このとき、パネル14a、14bは初期状態においてパネル16a、16bが位置した位置にあり、パネル16a、16bは初期状態においてパネル14a、14bが位置した位置にある。以下、上述した平面パネル14と同じ動作を平面パネル16が行い、上述した平面パネル16と同じ動作を平面パネル14が行う。その結果、図7(a)に示す状態に戻り、図7(a)乃至(e)に示した動作を再び行う。
【0064】
この出入り口装置では、図7(a)乃至(c)に示すように、ある平面パネル、例えば平面パネル14の各パネル、例えばパネル14a、14bがパネル収容部120、220内に収容されていく間、他の平面パネル、例えば平面パネル16が通路10内に位置し、端部開口10a、10bを遮断しているので、風除効果を維持できる。しかも、端部開口10bが平面パネル14、16の旋回によって開かれるとき、その平面パネルの移動速度はVhと高速であるので、速やかに端部開口10bが開かれ、円滑に通行者が通行することができる。逆に、図5(d)、(e)に示すように旋回する平面パネルが速度Vlと低速で端部開口10aを閉じるので、閉じつつある平面パネルに通行者が接触しにくい。さらに、端部開口10a、10bの開閉は、通行者が通常の自動ドア等でよくなれているスライド式であるので、通行者がとまどうことなく通過することができる。また、各パネル14a、14b、16a、16bは、パネル収納部121、221内では、その幅方向をパネル収納部121、221の長さ方向に沿わせてスライドするので、パネル収納部121、221の幅を各パネルの幅よりも小さくすることができ、この出入り口装置の設置スペースを小さくすることができる。
【0065】
上記の各実施形態では、建物2から通行者が出る場合の出入り口装置を示したが、建物2内に通行者が入る場合の出入り口装置とすることもできる。その場合、上記の各実施形態の出入り口装置を180度回転させて、端部開口10aが建物2外に、端部開口10bが建物2内に位置するように配置すればよい。
【0066】
上記の両実施形態では、2枚または3枚の平面パネルを使用したが、これに限ったものではなく、2枚以上であれば、更に多くの平面パネルを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態の出入り口装置の初期状態から5t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図2】図1の出入り口装置の6t時間から11t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の出入り口装置の初期状態から5t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図4】図3の出入り口装置の6t時間から8t時間までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の出入り口装置の初期状態から3t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図6】図5の出入り口装置の4t時間から6t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の出入り口装置の初期状態から4t時間後までの平面パネルの動作を示す平面図である。
【符号の説明】
【0068】
2 建物
6 ブース
10 通路
12 パネル収納部
14 16 平面パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の前面に設置されるブース内に形成された通路を非連通状態とするように移動する複数の平面パネルを備え、前記各平面パネルが、一対のパネルでそれぞれ構成され、これら一対のパネルが前記通路を閉じた状態で前記通路を平行スライド移動し、前記通路の開口において横スライド開閉して、前記通路を循環するように構成されている出入口装置。
【請求項2】
請求項1記載の出入口装置において、前記各平面パネルを両引き分け式の一対のパネルで構成し、これら平面パネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の両側に設けた出入口装置。
【請求項3】
請求項1記載の出入口装置において、前記各平面パネルを連戸式の複数枚のパネルで構成し、これらパネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の一側に設けた出入口装置。
【請求項4】
請求項1記載の出入口装置において、前記各平面パネルを二重引戸式の一対のパネルで構成し、これら平面パネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の一側に設けた出入口装置。
【請求項5】
請求項1記載の出入口装置において、前記各平面パネルを前記通路の開口においてスライド・グライド動作する一対のパネルで構成し、このパネルを循環移動させるパネル収納部を前記通路の両側に設けた出入口装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−332622(P2007−332622A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164482(P2006−164482)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】