説明

出入口装置

【課題】風除効果を有する出入口装置において、風除効果を発揮している状態において安全性を低下させず、建物の屋内と屋外を常時連通させた状態においては、限られたスペースで大量通行が可能となる出入口装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る出入口装置100は、ブース300,950,400が順に配設され、ブース300では、平面パネル200a,〜,200dをその法線方向に移動させ、ブース950の端部近傍では、面方向に移動させ、ブース400では、法線方向に移動させ、ブース950の端部近傍では面方向に移動させることにより、平面パネルをスクエア状に循環移動する制御装置を備えており、この制御装置は、ブース300,400,950のいずれか1つまたは2つに全ての平面パネル200a,〜,200dを移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物から人が出入するための出入口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出入口装置の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている出入口装置は、回転ドア装置と称されるもので、平面形状が長円リング状の移動空間が形成されている。この移動空間内に配置された複数のパネルが、移動空間に沿って移動する。
【0003】
また、出入口装置の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されている出入口装置は、自動回転スライドドア装置であり、3枚の扉が各扉支持フレームと一体に並行移動しながら通路に沿って周回移動し、出入口で扉が引き戸のように平行移動する。
【0004】
さらに、出入口装置の一例が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示されている出入口装置は、入口通路と出口通路とをスクエア状に複数の平面パネルを循環移動させるものである。
【特許文献1】特開2002−285754号公報
【特許文献2】特開平11−36734号公報
【特許文献3】特開平2007−146548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された回転ドア装置および特許文献2に開示された自動回転スライドドア装置には、建物の内外を通行者が通行しても、建物内に風が吹き込むことを防止できる風除効果があり、多くの通行者を同時に通行させることができるという効果がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された回転ドア装置および自動回転スライドドア装置においては、複数のパネル又は扉が無端状チェーンを介して1台の駆動装置に連結された構造からなるため、接近してくるパネル又は扉に通行者が衝突した場合の衝突エネルギーが大きく、通行者に与える影響が高い。
【0007】
また、1台の駆動装置により駆動されるため、出入口近傍にあるパネル又は扉とそれ以外のパネル又は扉の移動速度が等しくなり、通行性の向上と安全性の向上を同時に図ることができないという問題点もある。
【0008】
また、特許文献3に開示された出入口装置においては、回転ドア装置および自動回転スライドドア装置と同様に風除効果を維持しつつ、かつ大量通行を可能としながらも通行者の安全性を向上させることができる。ところで、温暖な時期など、季節によっては、パネル又は扉を折りたたむことにより建物の内外を常時連通させた状態にすることが多い。しかし、移動するパネル又は扉に折りたたみ機構を設けると、構造が複雑となるばかりか、パネル又は扉の重量が増加することになり、通行者に衝突した場合の衝撃エネルギーが増加する結果、通行者に与える影響が増加してしまう。
【0009】
本発明の目的は、風除効果を有する出入口装置において、風除効果を発揮している状態において安全性を低下させることがなく、建物の内外を常時連通させた状態においては、限られたスペースで大量通行が可能となる出入口装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
本発明に係る出入口装置は、建物の内外を連通させる第1通路、第2通路および第3通路を有し、かつ第3通路が、第1通路および第2通路の間に併設され、第1通路および第2通路の間に併設され、第1通路および第2通路には建物の内外を仕切るための複数の平面パネルが配設され、第3通路の両端には扉が配設され、第1通路および第2通路では各平面パネルをその法線方向に移動させるとともに、第1通路又は第2通路の端部において、一方の通路から第3の通路を経由して他方の通路まで各平面パネルを面方向に移動させることにより各平面パネルを循環移動する制御装置を備えた出入口装置において、制御装置は、第1通路、第2通路および第3通路のいずれか1つまたは2つに全ての複数の平面パネルを移動させるように構成されたものである。
【0011】
本発明に係る出入口装置においては、第1通路、第3通路、第2通路が順に配設され、複数の平面パネルにより第1通路および第2通路の建物の内外が仕切られ、扉が第3通路の両端に配設される。制御装置により第1通路および第2通路において各平面パネルが法線方向に移動されるとともに、第3の通路において一の通路から他方の通路まで各平面パネルを面方向に移動されることにより各平面パネルが循環移動される。
【0012】
この場合、出入口装置において、制御装置は、第1通路、第2通路および第3通路のいずれか1つまたは2つに全ての複数の平面パネルを移動させて固定させることができるので、風除効果を有する出入口装置において、風除効果を発揮している状態において安全性を低下させることがなく、建物の内外を常時連通させた状態においては、限られたスペースで大量通行が可能となる。
【0013】
(2)
出入口装置は、第3通路と第1通路との間を通行可能にさせる第1の扉と、第3通路と第2通路との間を通行可能にさせる第2の扉とをさらに備え、制御装置は、第1通路の一端側に前記複数の平面パネルの一部を配置させ、一端側と対角位置となる第2通路の他端側に複数の平面パネルの他部を配置させるように構成され、第1の扉および第2の扉は、開かれた状態において第3通路を閉塞し、かつ互いに近接して並行に位置するよう設けられ、第1の扉を開くことにより第1通路と第3通路との間が通行可能になり、第2の扉を開くことにより第2通路と第3通路との間が通行可能になるように設けられてもよい。
【0014】
この場合、第1通路の他端側から第1の扉を介して第3通路の一端側に通行を行うことができ、第2通路の一端側から第2の扉を介して第3通路の他端側に通行を行うことができる。したがって、入口通路および出口通路がL字形状に形成されているので、建物の内外を常時連通させた状態において、いわゆるビル風のような突風が吹いても、建物の外から内へ直線的に風が抜けることがなく、その結果、突風を弱めることができ、建物内部への影響を抑えることができる。
【0015】
(3)
第1の扉は、第3通路の壁面に沿うように開くことができ、第2の扉は、第3通路の壁面に沿うように開くことができてもよい。
【0016】
この場合、必要に応じて第3の通路を閉塞することなく利用することもできるので、車椅子を利用した通行者であっても、L字形状の通路を利用することなく、容易に通行を行うことが可能となる。また、長尺物の搬入出も容易に行うことができる。
【0017】
(4)
第3通路に配設された前記両端の扉の一方は、開かれた状態において第1通路の一端側および第2通路の他端側のいずれか一方を閉塞し、両端の扉の他方は、開かれた状態において第1通路の一端側および第2通路の他端側のいずれか他方を閉塞してもよい。
【0018】
この場合、建物の内外を常時連通させた状態においても、占有スペースが増加することがない。
【0019】
(5)
第1の扉および第2の扉は、片開き構造および両開き構造の少なくとも一方からなってもよい。
【0020】
この場合、片開き構造からなる場合には、扉の開閉操作が両扉構造と比較して半分の操作量で実現することができる。また、両開き構造からなる場合には、第1扉および第2扉の開閉を同時に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る一実施の形態に係る出入口装置100の一例を示す模式的斜視図であり、図2は、図1の出入口装置100の平面模式図である。
【0022】
図1および図2に示すように、出入口装置100は、建物の屋内と屋外とを遮蔽する仕切り壁900の間において建物の屋内と屋外とを連通するように配設される。図1および図2に示す出入口装置100では、建物の屋外から屋内に通行可能なブース300と、建物の屋内から屋外に連通可能なブース400とが並行に形成されている。また、ブース300、400の間にブース950が配設される。これらのブース300、400、950は、内部が空洞とされた概略直方体状からなる。すなわち、当該空洞を通行者が通行可能なように形成される。
【0023】
また、ブース300には、建物の屋外側に開口部300aが配設され、建物の屋内側に開口部300bが配設される。同様に、ブース400には、建物の屋内側に開口部400aが配設され、建物の屋外側に開口部400bが配設される。
【0024】
出入口装置100では、図1に示すように、ブース300内に設けられたスライド機構361、362、ブース400内に設けられたスライド機構381、382、ブース300およびブース400間のブース950の一端側に設けられたスライド機構351、352、ブース300およびブース400間のブース950の他端側に設けられたスライド機構371、372により複数の各平面パネル200a,〜,200dがブース300の開口部300a側からブース300の開口部300b側へ、ブース300側からブース400側へ、ブース400の開口部400a側から開口部400b側へ、ブース400側からブース300側の順序でスクエア状に循環移動される。
【0025】
ここで、各スライド機構がブース300、またはブース400において複数設けられているが、一のスライド機構を用いて平面パネル200aを一端側から他端側へ移動させた直後に、他のスライド機構を用いて他のパネル200bを移動させることができ、他のスライド機構を用いて他の平面パネル200bを移動させている間に、一のスライド機構を初期位置までもどすことができる。すなわち、平面パネル200a,〜,200dを連続的に移動させることを実現するため、複数のスライド機構を備えている。
【0026】
また、ブース950の屋外側の開口部には、手動で開閉可能な開閉扉950aが設けられ、屋内側の開口部には、手動で開閉可能な開閉扉950bが設けられている。また、矩形筒状からなるブース950の中央部には、手動で開閉可能な開閉扉955a,955bが対向して設けられている。
【0027】
ここで、図2に示すように、ブース300の開口部(入口通路の入口側)300aから進入した通行者が、開口部300b(入口通路の出口側)に向かって移動することによって建物外から建物内へ入ることができる。一方、ブース400の開口部(出口通路の入口側)400aから進入した通行者が、開口部(出口通路の出口側)400bに向かって移動することによって建物内から建物外へ出ることができる。
【0028】
次に、図3は、出入口装置100における制御構造の一例を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように出入口装置100は、制御装置800、複数のスライド機構、複数のエンコーダ回路を含む。以下、具体的に説明する。
【0030】
制御装置800は、中央制御部(以下、CPU(中央演算処理装置)と呼ぶ。)801、制御部811、制御部812、制御部821、制御部822、制御部831、制御部832、制御部841、制御部842、制御部890a、制御部890b、制御部890c、制御部890dを含む。CPU801は、制御部811、812、821、822、831、832、841、842、890a、890b、890c、890dの上位に配設される。なお、CPU801のみならず、制御部811、812、821、822、831、832、841、842、890a、890b、890c、890dの個々においても演算処理装置が組み込まれている。なお、本実施の形態においては、個々に制御部811、812、821、822、831、832、841、842、890a、890b、890c、890dを設けることとしているが、これに限定されず、主の制御装置800のCPU801において並列処理させるよう構築してもよい。
【0031】
制御部811は、スライド機構351を制御可能に配設され、エンコーダ回路611からの信号を受信可能に配設される。制御部812は、スライド機構352を制御可能に配設され、エンコーダ回路612からの信号を受信可能に配設される。制御部821は、スライド機構361を制御可能に配設され、エンコーダ回路621からの信号を受信可能に配設される。
制御部822は、スライド機構362を制御可能に配設され、エンコーダ回路622からの信号を受信可能に配設される。制御部831は、スライド機構371を制御可能に配設され、エンコーダ回路631からの信号を受信可能に配設される。制御部832は、スライド機構372を制御可能に配設され、エンコーダ回路632からの信号を受信可能に配設される。制御部841は、スライド機構381を制御可能に配設され、エンコーダ回路641からの信号を受信可能に配設される。制御部842は、スライド機構382を制御可能に配設され、エンコーダ回路642からの信号を受信可能に配設される。
【0032】
それにより各制御部は、エンコーダ回路611、612、621、622、631、632、641、642からの信号を受信し、スライド機構351、352、361、362、371、372、381、382の位置を把握することが可能となる。なお、図3においては、各スライド機構と各エンコーダ回路とを接続して表示しているが、これに限定されず、別個独立に配置してもよい。図3においては、説明の便宜上接続させて示している。
【0033】
制御部890aは、駆動部390aを制御可能に配設され、制御部890bは、駆動部390bを制御可能に配設され、制御部890cは、駆動部390cを制御可能に配設され、制御部890dは、駆動部390dを制御可能に配設される。ここで、各スライド機構は、台車を有しており、当該台車に牽引部が設けられ、牽引部により平面パネル200a,〜,200dが懸吊される。
【0034】
また、複数の非接触型センサ350aは、CPU801に検出信号を送信可能に配設される。それにより、CPU801は、固設された複数の非接触型センサ350aからの検出信号を受け取り通行者または障害物があるか否かの判定を行うことができる。また、接触型センサ350bはCPU801に検出信号を送信可能に配設される。それにより、CPU801は、個々の平面パネル200a,〜,200dに個々に設けられた接触型センサ350bからの検出信号を受け取り、平面パネル200a,〜,200dに接触する障害物または通行者による接触の有無の判定を行うことができる。
【0035】
また、本実施の形態においては、図示していないが、出入口装置100を障害者またはお年寄りの方が通行される場合の低速スイッチや、平面パネルの巻き込みを防止するゴムスイッチ(ラバースイッチ)、緊急停止スイッチ、その他、人体の進入を感知する人体感知起動センサ等を設け、CPU801に検出信号を送信可能に配設してもよい。
【0036】
以上の構成により制御部811、812、821、822、831、832、841、842は、スライド機構351、352、361、362、371、372、381、382に対して駆動速度を上昇させる信号、駆動速度を低下させる信号、駆動速度を維持させる信号、駆動を停止させる信号等を送信する。例えば、通常の駆動速度が400mm/secであると仮定した場合、駆動速度を上昇させる信号により駆動速度が480mm/secまで上昇され、駆動速度を低下させる信号により駆動速度が320mm/secまで低下され、駆動速度を停止させる信号により駆動速度が0mm/secまで低下される。それにより、スライド機構351、352、361、362、371、372、381、382は所定の速度で平面パネル200a,〜,200dを移動させることができる。
【0037】
以下、図4〜図7を用いて出入口装置100の基本的動作について説明する。図4〜図7は、出入口装置100の基本的動作を説明するための模式的説明図である。図4〜図7においては、通行者の進行方向に沿った方向をY方向と規定して、平面パネル200a,〜,200dが建物の開口部を開閉する方向をX方向と規定する。また、本実施の形態においては、説明のために、例えばX方向の距離が2600mmであり、Y方向の距離が4300mmである。
【0038】
図4に示すように、初期状態においては、平面パネル200aがブース300の入口側の開口部300aに位置し、平面パネル200bがブース300の出口側の開口部300bに位置し、平面パネル200cがブース400の入口側の開口部400aに位置し、平面パネル200dがブース400の出口側の開口部400bに位置する。
【0039】
そして、図5に示すように、スライド機構351、352、371、372は、ブース300およびブース400の出口側を短時間で開放させるため、平面パネル200bおよび平面パネル200dを通常の速度(例えば400mm/sec)よりも速い速度(例えば480mm/sec)で移動させる。また、スライド機構361、362、381、382は、ブース300、400内を移動する平面パネル200aおよび平面パネル200cを通常の速度(例えば400mm/sec)で移動させる。
【0040】
続いて、所定の時間経過後、図6に示すように、平面パネル200a,〜,200dが移動される。図6に示すように、所定の時間経過後においては、平面パネル200aがスライド機構361によりブース300内をY方向に移動され、平面パネル200bがスライド機構371によりブース950の一端側(開閉扉950b側)に移動される。平面パネル200cがスライド機構381によりブース400内を−Y方向に移動され、平面パネル200dがスライド機構351によりブース950の他端側(開閉扉950a側)に移動される。ここで、平面パネル200b、200dは、ブース950の一端(開閉扉950bの内側)および他端(開閉扉950aの内側)において停止した状態となる。
【0041】
さらに、所定の時間経過後、図7に示すように、平面パネル200aがブース300の約1/2の距離(4300mmのうちの2100mm)を走行した場合、スライド機構371により平面パネル200bが通常の速度よりも低速(160mm/sec)でブース400の入口側の開口部400aにスライド移動される。同様に、平面パネル200cがブース400の約1/2の距離(4300mmのうちの2100mm)を走行した場合、スライド機構351により平面パネル200dが通常の速度よりも低速(160mm/sec)でブース300の入口側の開口部300aにスライド移動される。
【0042】
その結果、図4に示す平面パネル200aの位置に平面パネル200bが配置され、平面パネル200bの位置に平面パネル200cが配置され、平面パネル200cの位置に平面パネル200dが配置され、平面パネル200dの位置に平面パネル200aが配置される。以下、この動作が繰り返し行われる。
【0043】
次いで、図1〜図7において説明した出入口装置100において、建物の屋内と屋外とを常時連通させた状態にする場合について説明する。
【0044】
図8〜図13は、制御部811,812,821,822,831,832,841,842を操作させた場合の出入口装置100の動きを説明するための模式的断面図である。
【0045】
まず、図8に示すように、ブース300の一端面(入口通路の入口側)に平面パネル200aが位置し、ブース300の他端面(入口通路の出口側)に平面パネル200bが位置し、ブース400の一端面(出口通路の入口側)に平面パネル200cが位置し、ブース400の他端面(出口通路の出口側)に平面パネル200dが位置している出入口装置100aの状態から開始する。ここで、中央制御部801は、非接触型センサ350a、接触型センサ350bにより検出信号がないこと、すなわち、ブース300およびブース400内に通行者がいないことを確認する。また、安全のため、管理者がロック(図示せず)を解除しない限り、以下の制御が行われないようにしてもよい。
【0046】
次に、ブース300の開口部300aにある平面パネル200aを牽引するスライド機構351,352のいずれか一方を、それに応じた制御部811,812のいずれか一方が稼動を開始させ、ブース300の開口部300bにあるスライド機構351,352のいずれか他方を、それに応じた制御部811,812のいずれか一方が稼動を停止させる。それにより、図9に示す出入口装置100bのように、平面パネル200bに対して平面パネル200aが近接していく。同様に、ブース400の開口部400aにある平面パネル200cを牽引するスライド機構371,372のいずれか一方を、それに応じた制御部831,832のいずれか一方が牽引を開始させ、ブース400の開口部400bにあるスライド機構371,372のいずれか他方を、それに応じた制御部831,832のいずれか一方が稼動を停止させる。それにより、図9に示すように、平面パネル200dに対して平面パネル200cが近接していく。
【0047】
そして、図10に示すように、平面パネル200a,200bが、ブース300の他端側に近接して配置され、平面パネル200c,200dが、ブース400の他端側に近接して配置される。この場合、中央制御部801は、各制御部811,812,821,822,831,832,841,842からのエンコーダ回路611,612,621,622,631,632,641,642からの情報を得ることにより、図10に示す出入口装置100cの配置になっていることを認識する。なお、エンコーダ回路によらず、所定位置に配置されたリミットスイッチからの信号により上記認識を行ってもよい。
【0048】
続いて、管理者が、図10に示す出入口装置100cの配置を確認し、壁面951a,951bに設けられた開閉扉950a,950bを開く。この開閉扉950a,950bには、屋内側にロック機構(図示せず)が設けられており、これらのロック機構を解除することにより開閉扉950a,950bの開閉が可能となる。
【0049】
また、管理者は、ブース950の中央部に設けられた開閉部955aおよび開閉部955bをブース950側に開く。これにより、図11に示す出入口装置100dの配置となる。開閉部955aおよび開閉部955bにもロック機構957a,957bが設けられており、これらのロック機構957a,957bを解除することにより開閉部955a,955bの開閉が可能となる。
【0050】
最後に、図12に示す出入口装置100eのように、開閉扉950aおよび開閉扉950bが180度開かれ、開閉扉950aが、平面パネル200c,200dと並行に固設され、開閉扉950bが、平面パネル200a,200bと並行に固設される。このようにすることにより、建物の屋内と屋外とを常時連通させた状態においても、占有スペースが増加することがないのは図からも明らかである。なお、固設は、開閉扉950a及び開閉扉950bに設けられた図示しないロック機構が、床面に形成された図示しない凹状の穴と係合することにより行われる。
【0051】
また、ブース950を閉塞するように、開閉部955a,955bが並行に固定される。このブース950の床面に凹状の穴が形成されており、ロック機構957a,957bが当該穴に挿入されて固定される。
【0052】
図12および図13に示すように、出入口装置100eにおいては、例えば、ブース300の開口部300a(一端側)から進入し、ブース300の中央部で、ブース950に移動し、ブース950の他端側に出ることができ(図中通路355の方向)、ブース400の開口部400a(一端側)から進入し、ブース400の中央部で、ブース950に移動し、ブース950の一端側に出ることができる(図中通路450の方向)。
【0053】
この場合、通路355および通路455は、L字型に形成された通路からなるので、建物の屋内と屋外とを常時連通させた状態において、いわゆるビル風のような突風が吹いても、屋外から屋内へ直線的に風が抜けることがない。すなわち屋外の風は、ブース300の一端側から侵入し、平面パネル200aに衝突してその風力を弱めたのち、ブース950の一端側から屋内側に抜けるため、いわゆるラビリンス効果により、突風を弱めることができ、屋内への影響を抑えることができる。なお、平面パネル200aと200bとの間及び平面パネル200cと200dとの間をあけずに、各パネルを隣接させることもできるが、図13のようにあけることにより通路を明確することができるようになる。また開閉扉950aや950b又は開閉部955aや開閉部955bを管理者によらず、自動的に開閉するように構成することも可能である。
【0054】
次に図14は、図12および図13に示した出入口装置100eの他の例を示す模式的断面図である。
【0055】
図14に示す出入口装置100fは、ブース300の開口部300aに、平面パネル200a,200bを固設させ、ブース400の開口部400aに平面パネル200c,200dを固設させる。また、開閉扉950c,950dを180度開き、開閉部955c,955dを壁面951a,951bから90度開閉させて固定する。ここで、開閉扉950c,950dは、開閉扉950a,950bの蝶番を逆方向に設けたものであり、開閉部955c,955dは、開閉部955a,955bの蝶番を逆方向に設けたものである。
【0056】
図14に示すように、出入口装置100fにおいては、例えば、ブース950の一端側から進入し、ブース950の中央部で、ブース300に移動し、ブース300の開口部300b側に出ることができ(図中矢印356の方向)、ブース950の他端側から進入し、ブース950の中央部で、ブース400に移動し、ブース400の開口部400aに出ることができる(図中矢印456の方向)。
【0057】
この場合、通路356および通路456は、L字形状に形成された通路からなるので、建物の屋内と屋外とを常時連通させた状態において、いわゆるビル風のような突風が吹いても、屋外から屋内へ直線的に風が抜けることがなく、いわゆるラビリンス効果により、突風を弱めることができ、屋内への影響を抑えることができる。
【0058】
また、図15および図16は、図13に示す開閉部955a,955bを壁面951a,951bから180度開閉させた場合を示す模式的断面図である。
【0059】
図15および図16に示す出入口装置100gのように、開閉部955a,955bを180度開いて、ロック機構957a,957bによりブース950の床面に固定させる。この場合、図16に示すように、出入口装置100gにおいては、ブース950の一端側から進入し、ブース950の他端側に移動することができ(図中通路980の方向)、ブース950の他端側から進入し、ブース950の一端側に移動することができる(図中矢印970の方向)。
【0060】
この場合、必要な場合、一時的に、通路970および通路980を設けることにより、車椅子の通行者は、L字形状の通路を利用することなく、容易に通行することができる。また、長尺物の搬入出も容易に行うことができる。
【0061】
図17は、図13に示す開閉部955a,955bが両開き構造からなる場合を示す模式的断面図である。
【0062】
図17に示す出入口装置100fは、開閉部955a,955bが両開きの開閉部958a,958bで形成された場合を示す。この場合、開閉部958a又は開閉部958bの一方が、ブース950を閉鎖する位置にある場合でも、開閉部958a,958bの他方をブース950の建物外部側及び内部側のいずれの側からも操作できるようになるため、開閉作業が容易となる。また開閉部958a及び958bを180度開閉させることにより先に示した例と同様に、車椅子の通行者は、L字形状の通路を利用することなく、容易に通行することができる。また、長尺物の搬入出も容易に行うことができる。
【0063】
以上のように、本発明の実施例に係る出入口装置100においては、通路355,356および通路455,456がL字形状に形成されているので、風除効果を有する出入口装置において、風除効果を発揮している状態において安全性を低下させることがなく、建物の屋内と屋外とを常時連通させた状態においては、限られたスペースで大量通行が可能となり、いわゆるビル風のような突風が吹いても、建物の外から内へ直線的に風が抜けることがなく、いわゆるラビリンス効果により、突風を弱めることができ、屋内への影響を抑えることが簡単な構成できる。さらに必要時には、一時的に、開閉扉955a,955bを180度開くことにより、車椅子を利用した通行者であっても、L字形状の通路を利用することなく、容易に通行を行うことが可能となる。また、長尺物の搬入出も容易に行うことができる。
【0064】
本発明の実施例に係る出入口装置100は、ブース300,400の一方が第1通路に相当し、ブース300,400の他方が第2通路に相当し、ブース950が第3通路に相当し、平面パネル200a,〜,200dが複数の平面パネルに相当し、開閉扉955a,955bのいずれか一方が第1の扉に相当し、開閉扉955a,955bのいずれか他方が第2の扉に相当し、壁面951a,951bのいずれか一方が第3通路の壁面に相当し、壁面951a,951bのいずれか他方が第3通路の壁面に相当し、開閉扉950a,950bが第3通路の両端に設けられた扉に相当する。
【0065】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る一実施の形態に係る出入口装置の一例を示す模式的斜視図
【図2】図1の出入口装置の平面模式図
【図3】出入口装置における制御構造の一例を示すブロック図
【図4】出入口装置の基本的動作を説明するための模式的説明図
【図5】出入口装置の基本的動作を説明するための模式的説明図
【図6】出入口装置の基本的動作を説明するための模式的説明図
【図7】出入口装置の基本的動作を説明するための模式的説明図
【図8】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図9】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図10】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図11】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図12】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図13】制御部を操作させた場合の出入口装置の動きを説明するための模式的断面図
【図14】図12および図13の出入口装置の他の例を示す模式的断面図
【図15】図13に示す開閉部を180度開閉させた場合を示す模式的断面図
【図16】図13に示す開閉部を180度開閉させた場合を示す模式的断面図
【図17】図13に示す開閉部が両開きの場合を示す模式的断面図
【符号の説明】
【0067】
100,100a,100b,100c 出入口装置
100e,100f,100g 出入口装置
200a,〜,200d 平面パネル
300a,300b 開口部
300,400 ブース
350a 非接触型センサ
350b 接触型センサ
351、352、361、362 スライド機構,
371,372,381,382 スライド機構
390a,〜,390d 駆動部
400a,400b 開口部
611、612、621、622 エンコーダ回路、
631、632、641、642 エンコーダ回路
801 中央制御部
811、812、821、822,831,832 制御部
841、842,890a、〜、890d 制御部
900 仕切り壁
950a,〜,950d,955a,〜,955d 開閉扉
957a,957b,958a,958b 開閉部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内外を連通させる第1通路、第2通路および第3通路を有し、かつ前記第3通路が、前記第1通路および前記第2通路の間に併設され、前記第1通路および前記第2通路には建物の内外を仕切るための複数の平面パネルが配設され、前記第3通路の両端には扉が配設され、前記第1通路および前記第2通路では前記各平面パネルをその法線方向に移動させるとともに、前記第1通路又は前記第2通路の端部において、一方の前記通路から前記第3の通路を経由して他方の前記通路まで前記各平面パネルを面方向に移動させることにより前記各平面パネルを循環移動する制御装置を備えた出入口装置において、
前記制御装置は、前記第1通路、前記第2通路および前記第3通路のいずれか1つまたは2つに全ての前記複数の平面パネルを移動させるように構成されたことを特徴とする出入口装置。
【請求項2】
前記第3通路と前記第1通路との間を通行可能にさせる第1の扉と、
前記第3通路と前記第2通路との間を通行可能にさせる第2の扉とをさらに備え、
前記制御装置は、
前記第1通路の一端側に前記複数の平面パネルの一部を配置させ、
前記一端側と対角位置となる前記第2通路の他端側に前記複数の平面パネルの他部を配置させるように構成され、
前記第1の扉および前記第2の扉は、開かれた状態において前記第3通路を閉塞し、かつ互いに近接して並行に位置するよう設けられ、前記第1の扉を開くことにより前記第1通路と前記第3通路との間が通行可能になり、前記第2の扉を開くことにより前記第2通路と前記第3通路との間が通行可能になるように設けられることを特徴とする請求項1記載の出入口装置。
【請求項3】
前記第1の扉は、前記第3通路の壁面に沿うように開くことができ、前記第2の扉は、前記第3通路の壁面に沿うように開くことができることを特徴とする請求項2記載の出入口装置。
【請求項4】
前記第3通路に配設された前記両端の扉の一方は、開かれた状態において前記第1通路の一端側および前記第2通路の他端側のいずれか一方を閉塞し、
前記両端の扉の他方は、開かれた状態において前記第1通路の一端側および前記第2通路の他端側のいずれか他方を閉塞することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の出入口装置。
【請求項5】
前記第1の扉および前記第2の扉は、片開き構造および両開き構造の少なくとも一方からなることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の出入口装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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