説明

出力システム

【課題】印刷速度の早いカラープリンタを低コストで提供可能とする。
【解決手段】CMYK各色の印刷を行う色別印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kを並列に配置し、それらがホストコンピュータ5から色別印刷データ68C〜68Kを独自で取得できるようにする。ホストコンピュータ5で各色の印刷データを生成でき、それをオーバヘッドなしに受信でき、さらにカラー印刷を並列実行することができるので、簡易な構成で高速にカラーイメージを出力できるプリンタ31および印刷システム30を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープリンタなどのカラー画像を出力可能な出力装置およびその出力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータの機能および処理速度の向上に伴いマルチカラーの画像処理能力が大幅に向上している。それに伴い、周辺装置、たとえば、プリンタやプロジェクタなどにおいても高解像度のカラー画像を高速で出力できることが要求されている。特に、カラー印刷ができるプリンタの普及は著しいが、高品質のカラー画像を高速で印刷できる低コストなカラープリンタはまだ実現されていない。現在、出力速度の速いカラープリンタの1つとして、レーザ光で感光体を走査して印刷を行う光走査型のプリンタであるレーザプリンタがある。しかしながら、現状のレーザプリンタでは、幾つかの要因により、高速で低コストなプリンタを実現することは難しい。
【0003】
図3に、現状のレーザプリンタ2およびレーザプリンタ2とホストコンピュータ5からなる印刷システム1の概要を示してある。デスクトップあるいはノート型などのパーソナルコンピュータ5においては、システムを制御するOS50に加えて周辺装置として利用可能なプリンタに印刷データを供給するためのプリンタドライバ51がインストールされ、アプリケーションから利用できるようになっている。このため、アプリケーションプログラム61においてカラー画像62を印刷する処理が実行されると、そのカラー画像62のデータがドライバ51に入力され、USBインタフェース52などのシリアルあるいはパラレルインタフェースを介してプリンタ2に供給される。
【0004】
プリンタ2は、制御回路20と、その制御下で印刷処理を行う印刷機構3とを備えている。制御回路20は、ドライバ52から送られる赤色R、緑色Gおよび青色Bのデータで表されたカラー画像のデータ21RGBを受信する受信部22と、これらのカラーデータ21RGBを印刷する際の色、すなわち、シアンC、マゼンダM、黄色Yおよび黒色Kに色変換およびその他の画像画質処理、たとえばエッジ強調処理などを施してCMYKにより表されるカラーデータ23CMYKを生成する色変換部24とを備えている。さらに、ページプリンタであるカラーレーザプリンタ2で、このカラーデータ23CMYKを印刷するため、各色毎のデータに分離すると共に、それぞれの色のデータを2値または多値データに変換するデータ変換部25を備えており、たとえば、各色の画像が2値化された各色毎のデータ26C、26M、26Yおよび26Kが生成される。そして、各色毎の印刷データ26C、26M、26Yおよび26Kが1ページ分揃うと、所定の順番でそれぞれの印刷データが露光装置11に供給され、感光ドラム12の上にレーザ光により潜像が形成される。
【0005】
プリンタ2の印刷機構3は、感光ドラム12をチャージするチャージングローラ13と、各色の画像を現像するための回転型のトナードラム18とを備えており、トナードラム18には、各色のトナーカートリッジ18C、18M、18Yおよび18Kが装着されており、所定の角度旋回することにより感光ドラム12に各色のイメージを成形できるようになっている。感光ドラム12に形成された各色のイメージは中間転送ベルト14に転写される。したがって、制御回路20から供給される各色の印刷データにしたがって各色のイメージが感光ドラム12で順番に現像され、すべての色の画像が中間転送ベルト14に転写されると、紙経路16に供給された用紙9に中間転送ベルト4からトランスファーローラ15を介してカラーイメージが転写される。そして、定着ローラ17を通すことによりカラープリントされた用紙が出力される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このレーザプリンタ2における処理を高速化するためには、まず、ホスト5から受信したカラー画像のデータから各色毎に分離された印刷データ26C、26M、26Yおよび26Kを生成するプロセスを高速化する必要がある。たとえば、RGBをCMYKに色変換するプロセスは、ドライバ52で行うことも可能であり、その場合は、画像データ21RGBにCMYKに色変換され、それと共にエッチ強調など画質画像処理がなされたデータがプリンタ2に伝送される。そして、プリンタ2において、色変換されたデータが各色毎に分離される。しかしながら、色分離する処理はプリンタで行う必要がある。
【0007】
近年、カラー画像が高解像度になっており、また、出力されるカラープリントも高解像度のものが要求される。したがって、印刷データを生成するプロセスで取り扱うデータ量は膨大であり、高速なプロセッサ(CPU)が要求されると共に、各色毎の中間状態のデータや印刷データを記憶するために大容量でアクセス速度の速いメモリが必要となる。さらに、レーザプリンタ2はページ単位で印刷を行うので、1ページ分の印刷データを生成し終えてから印刷機構3を駆動させることになる。したがって、毎分数10枚単位で印刷するための印刷データを生成するには非常に高速なプロセッサと大容量のメモリが必要となる。
【0008】
また、中間転送ベルト4に各色毎のイメージをすべて転写してから用紙9に対する印刷が行われる。このため、たとえば、毎分20枚の印刷を行おうとすると、感光ドラム12はCMYK4色を各色毎に毎分20回のデータを現像する必要があるので、単一色の感光ドラムに置き換えて考えると毎分80枚の印刷ができるものである必要がある。したがって、制御系統のハードウェアが十分に高速であり、その速度で印刷速度を速めようとすると、その速度の4倍の速度で印刷ができる感光ドラム12および露光装置11を用意する必要がある。そのような感光ドラムおおび露光装置などを短期間で開発し、さらにそれらをコンパクトに纏め低コストなプリンタとして供給することは困難である。
【0009】
このため、高速なレーザプリンタを提供するためには、高性能なプロセッサと大容量のメモリに加え、高速な印刷機構が必要となる。したがって、現在では、毎分20枚程度のカラープリントが可能なレーザプリンタはインクジェットなどの他のプリンタに比較すると非常に大きく、高価であり、オフィスや一般家庭に普及する段階にない。今後、プリンタの性能を向上するために高性能なプロセッサを開発したり、高性能なプロセッサを備えた制御回路を開発することも可能であるが、それには膨大な費用が必要となり、価格低下が要望されるプリンタのような周辺機器では経済的に現実的な方法ではない。
【0010】
このため、カラーレーザプリンタなどの普及は思うように進んでおらず、多くのユーザは低速で品質もカラーレーザプリンタと比較するとそれほど高くないインクジェットプリンタでカラー画像を印刷している。したがって、パーソナルコンピュータではカラー画像が高速で表示され一般的に使用されているのに対し、カラー画像を印刷出力する環境は大きく遅れている。このため、カラー画像を含んだ雑誌や新聞などをインターネットを介して配信するプロジェクトは考えられているものの、低コストで高速なカラープリンタが普及しないと実現できず、このようなインターネットビジネスを展開する上でのネックとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、マルチカラーの画像用データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段と、色別出力データを発信する発信手段とを備えたホストコンピュータと、カラー画像を出力する出力装置と、ホストコンピュータの発信手段から出力された色別出力データを出力装置に伝送する伝送手段とを有する出力システムである。出力装置は、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段と、これらの色別出力手段で出力する色別出力データをそれぞれ受信し色別出力手段をそれぞれ制御する複数の色別制御手段と、複数の色別出力手段により形成された各色の画像を合成する手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる印刷システムの概要を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタドライバの処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】従来のレーザプリンタを用いた印刷システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、本発明についてさらに説明する。図1に本発明にかかる印刷システム30を示してある。本例の印刷システム30はホストコンピュータ5と、プリンタ31と、さらに、コンピュータ5とプリンタ31を接続する伝送手段6で構成されている。本例では伝送手段6としてUSBが採用されている。
【0014】
本例のコンピュータ5もプリンタドライバ55がインストールされておりOS50と共に稼動し、アプリケーション61からドライバ55を介してプリンタ31へ印刷用のデータを伝送できるようになっている。本例のプリンタドライバ55は、ハードディスクあるいはRAMなどの適当な記録媒体(メモリ)63に格納された印刷対象となるカラー画像のデータ61をプリンタ31でほぼそのまま印刷できる状態で供給するようにしている。このため、プリンタドライバ55は、アプリケーション61から印刷指示があった画像データ61から、赤色R、緑色Gおよび青色Bにより表されるカラー画像のデータ66RGBを取得する入力部56と、このカラーデータ66RGBを印刷する際の色、すなわち、シアンC、マゼンダM、黄色Yおよび黒色Kに色変換および印刷用にエッジ強調などの画像画質処理を施し、カラーデータ67CMYKを生成する色変換部57とを備えている。
【0015】
さらに、ドライバ55は、このカラーデータ67CMYKを、各色毎のデータに分離すると共に、プリンタで印刷するための2値または多値データに変換するデータ変換部58を備えており、たとえば、各色毎に分離され、それぞれの色の画像が2値化された各色毎のデータ(色別出力データ、色別印刷データ)68C、68M、68Yおよび68Kが生成される。さらに、本例のドライバ55は、これらの色別印刷データ68C、68M、68Yおよび68Kを、各色の印刷を行う印刷ユニット32Yから32Kの制御回路34の各々に設定されているアドレス69C、69M、69Yおよび69Kに宛てたデータ(個別出力データ)として発信する発信部59を備えている。そして、発信部59から各アドレス先に発信された個別出力データ70は、USBインタフェース52でパッケージング化され、それぞれの個別出力データの一部のデータ7bに各アドレス7aが付されたパケットデータ7となり、USBケーブル6を介して各印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kに配信される。
【0016】
本例のプリンタ31は、先に説明したプリンタと同じカラーレーザプリンタであるが、シアンC、マゼンダM、黄色Yおよび黒色Kの各色毎の印刷を行う4つの印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kを備えている。各印刷ユニット32C〜32Kの構成は同じであり、シアンCの画像を生成する印刷ユニット32Cを例にすると、感光ドラム37と、この感光ドラム37をチャージするチャージングローラ38と、感光ドラム37に潜像を形成するためにレーザビームを出射する露光装置36と、潜像を現像するためにシアン色のトナーを付着させるトナーカートリッジ39Cとを備えている。トナーカートリッジは、各印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kで異なっており、マゼンダ色のイメージの印刷を行うユニット32Mはマゼンダ色のトナーカートリッジ39Mを備え、黄色のイメージの印刷を行うユニット32Yは黄色のトナーカートリッジ39Yを備え、黒色のイメージの印刷を行うユニット32Kは黒色のトナーカートリッジ39Kを備えている。
【0017】
さらに、各印刷ユニット(色別印刷ユニット)32は、これらの機構を制御する制御回路(色別制御回路)34と、印刷データなどを記録するためのメモリ(色別メモリ)35を備えている。たとえば,印刷ユニット32Cの色別制御回路34は、印刷ユニット32のアドレス宛のパケットデータ7で受信した印刷データ68Cを受信してデータ化し、メモリ35に一次保管するUSBインタフェースとしての機能を備えた受信部34aと、メモリ35に記録されたデータ68Cを露光装置36に送って印刷を行う印刷制御部34bとを備えている。印刷ユニット32Cは、色別制御回路34あるいはメモリ35に保持された独自のアドレス69Cを備えている。したがって、色別制御回路34の受信部34aは、USB6を介してホストコンピュータ5から自己のアドレス69Cに宛て発信された色別印刷データ68Yを受信してメモリ35に記憶することができる。
【0018】
色別印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kがそれぞれホスト5と交信し、各々の印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kに印刷する1ページ分の印刷データが揃うと、それらから機構制御回路33に信号が発せられる。機構制御回路33は印刷準備が整ったと判断すると、中間ベルト14が起動されて色別印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kで印刷が行われる。したがって、各印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kで印刷された各色の画像は、中間転送ベルト14に転写されてマルチカラー画像となり、それが紙経路16に供給された用紙9にトランスファーローラ15を介して転写される。そして、定着ローラ17を通すことによりカラープリントされた用紙が出力される。
【0019】
本例のプリンタ31は、このように、各色の印刷を行う色別印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kが並列に配置され、これらの色別印刷ユニット32C〜32Kが並列稼動し、色毎の印刷処理が分散して実行できる構成になっている。このため、これらの印刷ユニットで印刷が開始されるタイミングを中間転送ベルト14の動きと同期させることにより中間ベルト14が一回転する1サイクルで4色のトナーを用いたカラー画像を生成することができる。したがって、たとえば、色別印刷ユニッ32C、32M、32Yおよび32Kの出力性能を毎分20枚から毎分30枚に向上すれば、そのスピードで、すなわち毎分30枚の速度でカラープリントを出力することが可能であり、印刷速度を向上しやすい。
【0020】
さらに、各々の印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kは、ホストコンピュータ5のドライバ55から各々の色別印刷データ68C、68M、68Yおよび68Kを独立して個別に受信することが可能であり、これらの印刷データを受信する処理も並列に実行することができる。そして、本例では、色毎に分離され、さらに、2値あるいは多値化されて、露光装置36にほぼそのまま転送できるビットマップ状態の色別印刷データ68C、68M、68Yおよび68Kがホストコンピュータ5から送信されてくる。このため、色別印刷ユニットの色別制御回路34は、これらの色別印刷データ68およびそれに付随するコマンドなどを受信し、色別印刷データ68のデータ処理と、そのデータを露光装置36に転送する処理にほとんど特化した構成で良い。したがって、色別制御回路34は、これらのデータ処理に特化して高速で実行できれば良く、割込みやエラーなどに伴う汎用処理に多くの資源を消費する必要がない。また、そのような汎用処理が発生した場合でも、それをホストコンピュータ側で処理したり、エラー処理だけはプリンタ31の共通のプロセッサ、たとえば機構系の制御に用意されている制御回路33に任せるようにすることも可能である。このため、色別制御回路34の構成を非常に簡易にでき、4ビットあるいは8ビットなどの低コストのCPUをベースとした構成でも十分に高速に色別印刷ユニット32を制御することができる。
【0021】
このように、本例のプリンタ31では、高速性が要求される画像画質処理、色分離処理および2値あるいは多値化処理は全てホストコンピュータ5で高速処理される。このため、各印刷ユニットの制御回路34を構成するプロセッサには、上記のような比較的性能の低い低コストなプロセッサを用いても高速処理が可能であり、また、データ転送などに特化した処理がほとんどになるので、印刷する際に各ユニットの制御回路34の性能が印刷速度に影響を及ぼす機会が少なくなる。したがって、本例のプリンタ31は、制御系、すなわち印刷データを受信して露光装置に送信する制御回路34と、機構系、すなわち印刷データに伴いカラーイメージを作成する露光装置36および感光ドラム37などの系統のいずれもが簡易な構成で高速化できる。このため、パーソナルコンピュータ5が十分な演算資源を備えており、高速で画像処理を行い、色別印刷データ68C、68M、68Yおよび68Kがほとんど連続的に出力できる状態であれば、そのコンピュータ5の処理速度を容易に反映することができる。そして、感光ドラム37などの各印刷ユニット32の機構系の最高の処理速度で印刷でき、さらに、各印刷ユニット32の速度でプリントアウトすることができる。
【0022】
図2に、本例のプリンタドライバ55でプリンタ31のジョブを制御する処理をフローチャートで示してある。新しいジョブが開始されたとき、あるいは、プリンタ31をはじめてホストコンピュータ5が認識したときは、ステップ71で初期処理を行う。この初期処理71では、プリンタ31の各印刷ユニット34C、34M、34Yおよび34Kのアドレス69C、69M、69Yおよび69Kを取得する。さらに、プリンタ31が設置されている環境、セットされている用紙の種類など、ドライバ55で印刷データを作成し、それらを各印刷ユニットに対し個別に送信するために必要な情報を取得する。
【0023】
次に、ステップ72でアプリケーション61が指定した画像のデータを取得する。ディスプレイに表示されるカラー画像はRGBで形成されているので取得したデータも画像データ66RGBである。このため、ステップ73で、RGBで表された画像データ66RGBを、プリンタ31で表現される色空間CMYKで表された画像データに変換する。同時に、他の画像画質処理もこの段階で行われる。そして、CMYKで表された画像データ67CMYKを、ステップ74で色分離して各色毎にビットマップ化されたカラーデータを生成する。そして、ステップ75で、各色毎に分離されたデータを印刷するための2値または多値データに変換して各色毎のデータ(色別印刷データ)68C、68M、68Yおよび68Kを生成する。さらに、ステップ76で、これらの色別印刷データ68C、68M、68Yおよび68Kを、印刷ユニット32C〜32Kのそれぞれの色別制御回路34に宛てて、それぞれのアドレス69C、69M、69Yおよび69Kを付加して発信する。
【0024】
これらの各ステップの処理、および各色毎のデータ処理は、シーケンシャルに実行しても良いし、各ステップあるいは各色毎に並列に実行することも可能であり、OS50あるいはコンピュータ5のプロセッサおよびメモリ61を最も有効に利用して高速処理ができるように実際のプログラムを設計することが望ましい。また、色別印刷データ68C〜68Kをネットワークを介して送信する場合は、適当なパケットデータに分割することが可能であり、それらのパケットは適当なプロトコルにしたがった適当なタイミングでプリンタ31の色別印刷ユニット32C〜32Kに宛てて送信される。このようにして1ページ分のデータが生成および送信されるとステップ77で、次ページの有無が確認され、さらに印刷データを作成する必要があるときは上記のプロセスが繰り返される。
【0025】
図2に示した印刷ジョブの制御方法は、上記の各ステップの処理を実行可能な命令を備えたドライバプログラムあるいはプログラム装置としてCD−ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供される。あるいは、インターネットなどのコンピュータ間の通信を介して供給される伝送媒体にドライバプログラムが埋め込まれた形態で提供される。そして、提供されたドライバプログラムあるいはプログラム装置は、コンピュータ5のハードディスクあるいはその他の適当な記録媒体に記録あるいはダウンロードされることによりコンピュータ5にインストールされ、適当なタイミングでソフトウェア全体あるいは適当なプロセスを実行する部分がプロセッサにダウンロードされ、コンピュータ5にプリンタ31の制御装置としての機能が実現される。ドライバプログラムがインストールされたホストコンピュータ5からは、各印刷ユニットのアドレス69と印刷データ68の一部あるいは全部がパケットされたデータ7がUSBなどにより実現された伝送経路6を通る伝送媒体に、その伝送経路をコントロールするプロトコルにしたがってパケット化されて出力される。そして、直に、あるいは、ハブ、ルータあるいは他の中継となるサーバなどを介してパケット7がプリンタ31に供給される。
【0026】
その結果、各色毎の印刷ユニット32では、伝送回路6を伝達する自己のアドレスに宛てられたパケット7があればそれを取得して印刷データ68をデコードし、あるいはパケットに分割されたデータを纏めてメモリ35に蓄積する。これらの印刷データ68を転送する処理は、汎用のインタフェース、たとえば、本例であればUSBインタフェースの機能を用いて実現することが可能であり、ホストコンピュータ5においては、ホストコンピュータ5のOS50あるいはUSBドライバ52に用意されている機能と、コンピュータ5のハードウェアを用いて実現できる。したがって、インタフェースの機能が改善されれば、それに応じてさらに印刷ジョブの速度も向上する。また、色別印刷データ68を個別出力データ70として伝送する処理も分散処理であり、USBドライバ52などの制御に基づいて最も効率的な方法で、ホストコンピュータ5および伝送手段6の資源を最も有効に利用できるように伝送することができる。
【0027】
プリンタ31の側は、自己のアドレス宛に送信された印刷データ68があれば色別印刷ユニット32が受信し、1ページ分あるいはカラー印刷が進められるだけの適当な印刷データ68が揃った段階で印刷を開始する。したがって、ホストコンピュータ5から所定のプロトコルにしたがってプリンタ31の色別印刷ユニット32C〜32Kに色別印刷データ68C〜68Kのいずれかが転送されている限り、ホストコンピュータ5の処理とは独立してプリンタ31では印刷処理が進み、ホストコンピュータ5から発信される印刷データ68C〜68Kに応じたプリントアウトが出力される。
【0028】
伝送される色別印刷データ68C〜68Kのスピードに対し、色別印刷ユニット32C〜32Kにおける処理スピードが低くメモリ35が不足するような状態になれば、ホストコンピュータ5の側で伝送するタイミングを調整する必要が生ずる。しかしながら、本例の印刷システム30では、ホスト側3で色分離および2値化処理し、伝送することにより、プリンタ31の色別印刷ユニット32C〜32Kにおけるソフトウェア処理が印刷処理におけるクリティカルパスになることを防いでいる。したがって、色別印刷ユニット32の機構系がクリティカルパスになる以外のケースでは、USBなどの伝送手段またはホストコンピュータ5のソフトウェア処理がクリティカルパスになるだけである。そして伝送系の性能と、ホストコンピュータ5の性能は日進月歩で改善されており、その結果、本例の印刷システム30においては、伝送系およびホストコンピュータの性能を反映し、プリンタ31における印刷速度の改善を図ることが可能である。
【0029】
すなわち、従来のカラー画像の印刷システムでは、たとえば、カラー化することによりデータ量が増えて伝送系がクリティカルパスになることを防止するためにホストからプリンタに伝送されるデータ量が増加するのを防止したり、カラー化することでプリンタ内におけるデータを変換する処理量が増えてそれがクリティカルパスになるのを防ぐために、プリンタ内の演算資源を強化するようにしている。これに対し、本例においては、カラー化した場合でも、プリンタ内においてデータを変換する処理をほぼ完全に無くすことにより、プリンタにおけるデータ処理がクリティカルパスになることを根本から防止し、それらのクリティカルパスとなる処理を現状でも性能が高く、今後さらに性能がアップすると考えられる汎用のコンピュータおよび伝送手段に負担させるようにしている。したがってプリンタ31は買い換えなくても、ホストコンピュータ5あるいはUSBなどの伝送系6の性能が改善されると印刷速度を早くすることができる。そして、プリンタ31は、伝送する処理がクリティカルパスになったり、データ処理がクリティカルパスになることを防止するための策を施す必要がないので、簡易な構成で低コストにすることが可能となる。
【0030】
データの変換処理を全てホストコンピュータ5により行わせて、色分離された色別印刷データ68C〜68Kをプリンタ31の側では1つのインタフェースで受信し、プリンタ31の内部で各色別印刷データ68C〜68Kを選択して各色別印刷ユニット32C〜32Kに転送するようにしても良い。このようなプリンタは、ホストコンピュータ5と通信するための汎用インタフェース、すなわち、本例であればUSBインタフェースを1つにできるので、インタフェースのコストが高い状態であれば、コストメリットが大きい。したがって、さらに低コストのプリンタにより、上記のような効果を得ることができる。
【0031】
一方、汎用インタフェースのコストが下がると、プリンタの内部で各色別印刷データ68C〜68Kを選択し、色別印刷ユニット32C〜32Kに転送する処理の処理時間がオーバーヘッドとして見える。さらに、プリンタ内部でデータを選択して転送するハードウェアもコスト的にオーバーヘッドになる可能性がある。そこで、本例のプリンタ31においては、各色の印刷を行う印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kが分散処理可能な独立したユニットとして提供され、これらを並列に配置することにより、カラー画像を印刷する処理が並列して実行できるようになっていることに着目し、さらに、各々の印刷ユニット32C〜32Kをホストコンピュータ5と独立して通信できるようにして、プリンタ内でデータを選択して転送する処理時間およびハードウェアのオーバーヘッドを省けるようにしている。したがって、本例のプリンタ31においては、さらに、プリンタ31の内部におけるデータ処理の機会を削減することができ、プリンタ側の処理が印刷処理におけるクリティカルパスとなる可能性を低減することができる。このため、コンピュータ5の性能向上および伝送系6の性能向上をより反映しやすい構成の印刷システム30を構築することができる。
【0032】
また、ホストコンピュータ5から各印刷ユニット32C〜32Kの色別制御回路34にそれぞれダイレクトに色別印刷データ68Cから68Kを発信できるので、ホストコンピュータ5のドライバ55で色別印刷データを纏めたり、送る順番を整えるなどのデータ転送に必要な処理あるいは調整も不要となる。
【0033】
本発明により、高品質なカラープリントを高速で出力できるレーザーカラープリンタ31を低コストで提供できるので、各ユーザの手元に高速で鮮明なカラーイメージが出力できるシステムが構築できる。したがって、インターネットなどを介してグラビア写真と同等の解像度で鮮明なカラーイメージを含んだ雑誌や新聞を配信するサービスも実現することが可能となり、現在、これらのメディアを通して提供している情報をさらに低コストでタイムリーに配信することが可能となる。また、放送中の画面の一部をタイムリーに高速でプリントアウトするビデオキャプチャーとしても利用することが可能であるなど、本格的にカラープリンタを用いたサービスを展開することができる。
【0034】
なお、以上ではレーザプリンタを用いて本発明を説明しているが、インクジェットプリンタなどの他のカラープリンタについても同様に本発明を適用することができる。しかしながら、現状の解像度などを考慮すると高解像度で高品質のカラーイメージを高速出力するためにはレーザプリンタなどの光走査型のプリンタが適しており、レーザに限らず、LED、液晶あるいはその他のライトバルブを用いた固体化光走査プリンタも本発明の実施の形態として適している。
【0035】
また、本例では、中間転送ベルトによりカラー画像を合成した後に用紙9に転写するプリンタを例に説明しているが、紙送り経路16を色別印刷ユニット32C、32M、32Yおよび32Kに対し順番に(もちろん、この順序である必要はないが)用紙9を供給するように構成し、色別印刷ユニット34で直に用紙9に印刷することも可能である。
【0036】
さらに、本例では、色別印刷ユニット34に色毎のデータを直に送信できるように、ホストコンピュータ5にインストールされたプリンタドライバ55で、色分離を行い、さらに2値化などの処理も行って各々の印刷ユニット32で、ビットマップ、ベクトル、ディスプレイリストなどのほぼそのまま印刷できるデータまで生成している。これに対し、色分離までをドライバ55で行って色毎に分離されたデータをプリンタに送信し、2値化あるいは多値化を各印刷ユニットの色別制御回路32において行うことによっても、プリンタ側の処理がクリティカルパスになる可能性を削減できる。しかしながら、ホストコンピュータ5の能力をできるだけ利用し、プリンタ側のデータ変換処理がクリティカルパスとなる可能性を最小限にして印刷処理の速度を向上するためには、2値化あるいは多値化などデータ処理を含めてホスト側で実行し、印刷ユニット32における処理を軽減することが望ましい。
【0037】
また、伝送手段としてUSB(Universal Serial Bus)を用いた例を示してあるが、その他の特定のアドレスを指定してデータを発信できる伝送方式、たとえば、IEEE1394、イーサネットなどを用いることも可能であり、各印刷ユニット32にIPアドレスを割り当てて、インターネットから直に印刷データを送信することも可能である。また、有線に限らず無線で印刷データを転送することも可能であり、Bluetoothなどによりパーソナルコンピュータとプリンタ31あるいは個々の色別印刷ユニットの色別制御回路34をリンクさせることも可能である。また、処理能力が限られる携帯型のパーソナルコンピュータあるいは携帯電話で上記のカラープリンタを使用する場合は、インターネットなどで接続されたサーバを実質的なホストコンピュータとして利用し、そのサーバの能力を利用して色別印刷データを生成すると共に、それらの色別印刷データを携帯端末で中継したり、あるいはサーバから直にインターネットなどを経由してプリンタあるいはその色別印刷ユニット宛てに印刷データを送信して印刷することも可能である。
【0038】
さらに、本例ではカラーイメージを出力する機器としてプリンタを例に説明しているが、写真現像装置、カラーコピーなどの他のカラーイメージを印刷する機器に対しても本発明を適用できる。さらに、カラーイメージを投写するプロジェクタなどの他のタイプの出力装置にも本発明を適用することが可能であるが、ディスプレイに出力するカラーイメージに対し色変換、色分離さらに2値あるいは多値化処理といった処理を高速で行う必要がある記録装置に本発明は特に適しているといえる。
【0039】
以上に示したシステムにおいては、マルチカラーの画像を周辺装置で出力する際に、ホストコンピュータで各色毎のデータに分離する処理を行い、色別出力データにしてプリンタなどの出力装置に供給するようにしている。したがって、クリティカルパスとなる可能性のあるデータ変換処理およびデータ伝送処理の全てを、性能が向上し、さらに今後も性能が向上することが見込まれる汎用のコンピュータおよび伝送手段で行うことが可能となる。このため、出力装置の負荷を大幅に軽減することにより低コスト化し、同時に、出力処理全体としては大幅に処理速度を向上できるカラー画像の出力システムを提供することができる。
【0040】
以上には、簡単に低コストで高品質のカラー印刷を高速化することができる出力システムおよびプリンタなどの出力装置、さらには、出力装置にデータを送るプリンタドライバなどの制御装置および制御プログラムを提供することを目的とした技術が含まれる。そして、高品質のカラープリントが短時間で得られる出力システムを提供することにより、インターネットを介してグラビアなどを含めた雑誌あるいは新聞を配信するサービスなどを展開することを実現可能にすることを目的とする技術が含まれる。
【0041】
このため、以上には、マルチカラーの画像用データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段と、前記色別出力データを発信可能な発信手段とを備えたホストコンピュータと、カラー画像を出力可能な出力装置であって、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段と、これらの色別出力手段で出力する前記色別出力データをそれぞれ受信し前記色別出力手段をそれぞれ制御する複数の色別制御手段と、前記複数の色別出力手段により形成された各色の画像を合成する手段とを備えた出力装置と、前記ホストコンピュータの発信手段から出力された前記色別出力データを前記出力装置に伝送可能な伝送手段とを有する出力システムが開示されている。
【0042】
前記生成手段は、前記色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信可能な個別出力データとして生成し、前記発信手段は、それら個別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信可能であり、前記出力装置の色別制御手段は個別にアドレスを備えており、前記個別出力データをそれぞれ受信し、前記伝送手段は、前記個別出力データをそれぞれのアドレス宛に伝送可能であってもよい。前記色別出力データの一例は、用紙に印刷する各色毎の印刷データであり、前記出力装置の一例は、カラー画像を用紙に記録可能な記録装置である。
【0043】
また、上記には、カラー画像を出力可能な装置であって、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段と、これら色別出力手段で出力可能なように各色毎に分離された色別出力データをそれぞれ受信し、該色別出力手段をそれぞれ制御する複数の色別制御手段と、前記複数の色別出力手段により形成された各色の画像を合成する手段とを有する出力装置が開示されている。前記色別制御手段は、ホストコンピュータより前記色別出力データを受信可能なインタフェースをそれぞれ備えていることが望ましい。また、前記色別制御手段は、独立したアドレスを備えており、ホストコンピュータより各々のアドレス宛に発信される前記色別出力データを含む個別出力データを受信可能なインタフェースをそれぞれ備えていることが望ましい。
【0044】
さらに、前記色別出力手段は、各色毎の画像を用紙に印刷可能なように出力する手段であり、前記色別制御手段は、これら各色毎の出力手段で印刷する各色毎の印刷データを前記色別出力データとしてそれぞれ受信し、前記合成する手段は、前記複数の色別出力手段により形成された各色の画像を用紙の上に合成するものであってもよい。また、前記色別出力手段は単色の光走査型印刷手段であり、前記合成する手段は、これら各色毎の光走査型印刷手段の画像を合成する中間転写手段、または、これら各色毎の光走査型印刷手段に順番に用紙を供給する紙供給手段であってもよい。
【0045】
また、上記には、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段を有する制御装置が開示されている。前記生成手段は、前記色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信可能な個別出力データとして出力することが望ましい。前記色別出力データは、用紙にカラー画像を印刷するための各色毎の印刷データであってもよい。また、制御装置はホストコンピュータに搭載またはインストールされる。
【0046】
また、上記には、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する工程を有する出力ジョブの制御方法が開示されている。この制御方法は、それらの色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信する工程を有していてもよい。前記色別出力データは、用紙にカラー画像を印刷するための各色毎の印刷データであってもよい。
【0047】
また、上記には、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する工程を実行可能な命令を有する出力ジョブの制御プログラム製品(制御プログラム)が開示されている。この制御プログラムは、前記色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信する工程をさらに実行可能な命令を有していてもよい。制御プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよく、コンピュータ間の通信により伝送される伝送媒体に埋め込まれていてもよい。
【0048】
このため、本発明においては、まず、ホスト側でマルチカラーの画像用データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成し、それをプリンタなどの出力装置に供給するようにしている。すなわち、ホストコンピュータにインストールされるドライバなどの本発明に係る制御装置は、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段を有することを特徴としている。この制御装置では、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する工程を有する出力ジョブの制御方法を提供でき、マルチカラーの画像データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する工程を実行可能な命令を有するドライバープログラムなどの制御プログラム製品または制御プログラム装置として、その制御プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な記録媒体に記録して、あるいはインターネットなどのコンピュータ間の通信により伝送可能な媒体に埋め込んで提供することができる。
【0049】
プリンタなどの出力装置にカラー出力用のデータを送信するときは、色変換などの画像画質処理まではパーソナルコンピュータで処理したとしても、色分離する処理はプリンタで行われている。色分離した各色毎のデータを形成してプリンタに転送すると、転送するデータ量が増加し転送速度が印刷速度に影響を与えることが考慮され、また、インクジェットプリンタなどのシリアルあるいはラインプリンタでは、走査線単位などの極めて限られた量の色分離されたデータが必要になるだけなので色分離はプリンタ内で行う方が効率的であると判断されているためである。しかしながら、カラー画像が多階調および高分解能になり画像データのデータ量が膨大になってくると、画像分離にかかるプリンタ側の処理時間および処理負担に対し、データの転送および色分離にかかる処理をホストコンピュータのCPUおよびメモリなどの高性能な演算資源と、汎用で高速伝送が可能なイーサネットやデジタルシリアルバスとを用いて処理することにより、処理速度および経済的なメリットが得られる。
【0050】
すなわち、色分離の処理をホストコンピュータ側の高性能で豊富な演算資源を用いて高速に実行することにより、データの伝送時間が多少余分にかかったとしても、プリンタ側で同等の処理を実行するのと遜色のない時間で色分離したデータを用意することができる。そして、色分離する処理をホストコンピュータ側で実行することにより、プリンタなどの出力装置の演算資源の負荷をさらに低減できるので、出力装置をさらに低コスト化できる。そして、ホストコンピュータのCPUなどの演算資源は、日々向上しており、その処理速度は向上する一方である。また、シリアルバスなどの汎用の伝送手段の性能も常に向上しており、これらホスト側の性能の向上をそのままプリンタなどにおける印刷処理時間の向上に結びつけることが可能であり、低コストで高性能の出力装置を提供することができる。
【0051】
さらに、出力装置においては、印刷手段などの出力手段を各色毎に設け、これらの色別出力手段に対し、ホスト側で各色毎に生成した色別出力データを供給可能とすることにより出力処理をさらに分散化し、プリンタなどの出力装置のハードウェアを簡略化すると共に、出力速度を簡単に向上できるようにしている。すなわち、上記の出力システムは、マルチカラーの画像用データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段と、それらの色別出力データを発信可能な発信手段とを備えたホストコンピュータと、カラー画像を出力可能な出力装置であって、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段と、これらの色別出力手段で出力する色別出力データをそれぞれ受信し該色別出力手段をそれぞれ制御する複数の色別制御手段と、複数の色別出力手段により形成された各色の画像を合成する手段とを備えた出力装置と、ホストコンピュータの発信手段から出力された色別出力データを出力装置に伝送可能な伝送手段とを有する。
【0052】
この出力システムにおいては、上述したように、ホストコンピュータで各色毎のデータに分離し、2値化あるいは多値化する処理の全てをホストコンピュータ側で行うことができ、カラープリント処理の内、速度を上げるために高性能なプロセッサと大容量のメモリが要求される処理を、性能が急速に向上しつつあるホストコンピュータの資源を用いて実行することができる。このため、出力装置側の資源の能力は同じでも、ホストコンピュータ側の能力が向上するのに追従して出力装置の出力速度を向上する出力システムを提供することができる。
【0053】
また、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段に対応する色別制御手段を設け、それらがそれぞれの各色別出力データを受信し、色別出力手段を制御することにより、個別には単色のプリンタと同様の構成が採用することが可能となる。したがって、色の切替に伴う処理および時間が不要あるいは最小限に止めることが可能となり、印刷時間を短縮できる。さらに、シンプルで実績がある単色プリンタの構成を主としてカラープリンタを構成できるので、メンテナンスが容易で、さらに信頼性の高く、処理速度も速い出力装置および出力システムを提供できる。
【0054】
さらに、出力装置内で色別出力データを各々の出力制御手段に分離および転送する代わりに、色別制御手段に、ホストコンピュータより色別出力データを受信可能なインタフェースをそれぞれ設けることにより、ホストコンピュータから直に各々の色別制御手段が色別出力データを受信することが可能となり、さらに出力装置の構成をシンプルでメンテナンスが容易なものにできる。また、ホストコンピュータから直に色別出力データを受信することにより、出力装置内で色別出力データを選択して色別制御手段に転送するハードウェアおよび処理時間を、オーバーヘッドなハードウェアおよび処理時間として削除することが可能となる。このため、さらに低コストで印刷時間などの出力時間が短く、ホストコンピュータの能力を活かすことができる出力装置を提供できる。
【0055】
色別制御手段に個別に色別出力データを転送する容易な方法の1つは、色別制御手段に独立したアドレスを設け、ホストコンピュータより各々のアドレス宛てに発信される色別出力データを含む個別出力データを受信可能なインタフェースをそれぞれ設けることである。したがって、ドライバとなる制御装置の生成手段は、色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信可能な個別出力データとして出力可能であることが望ましい。また、ソフトウェアとしては、色別出力データをそれぞれのアドレス宛に発信する工程を実行可能な命令をさらに備えていることが望ましい。
【0056】
さらに、色別制御手段のアドレスに色別出力データを伝送する手段として、アドレス毎にデータを伝送可能なUSB、IEEE1394あるいはイーサネットなどの汎用インタフェースが使用可能となる。したがって、この出力システムにおいては、これらの汎用インタフェースの性能が向上すれば、その性能を活かし、さらに高速処理が可能になり、印刷スピードなどをさらに改善することができる。また、これらの汎用の伝送手段では、その規格に応じ、ホストコンピュータのインタフェースと色別制御手段とをディージーチェーンのように接続しても良く、また、適当なハブあるいはトランシーバを出力装置に用意して、それを中継ターミナルとしてホストコンピュータと接続するなどことも可能である。
【0057】
さらに、出力装置が光走査型のプリンタである場合は、色別出力手段として単色の光走査型印刷手段を採用し、合成する手段としてこれら各色毎の光走査型手段の画像を合成する中間転写手段、または、これら各色毎の光走査型手段に順番に用紙を供給する紙供給手段を採用することにより、各々の光走査型印刷手段の感光ドラムの処理速度で印刷できる。このため、感光ドラムを出力速度の数倍で回転させる必要はなくなり、印刷速度を簡単に向上することができる。複数の単色の光走査型印刷手段を設けることにより、感光ドラムなどの部品が増加するというデメリットはあるが、各色のトナーカートリッジを回転させたりする機構は不要となり、全体の構成は簡素化できる。さらに、この出力装置では、色変換および色分離を高速で行うために必要なプロセッサやメモリが不要となり、さらに、それぞれの出力手段が出力データを個別に受信するので、構成を簡素化し、低価格で供給可能な出力装置を提供できる。
【0058】
このように、カラー画像を出力できるカラープリンタなどの出力装置では、カラープリンタ内で受信した画像データを分離あるいは処理をなくし、ホストコンピュータの能力を最も反映することができる出力装置および出力システムを提供できる。このため、高速なプロセッサや大容量のメモリをプリンタに搭載しなくてもカラー画像の処理時間を短縮することが可能であり、さらに、ホストコンピュータにその処理を移すことにより、プロセッサやそれを搭載した制御回路の開発にかかる時間やコストも削減できる。
【0059】
このような制御系の高速化に合わせて、本例の出力装置では、各色毎の出力手段を設け、これらを並列配置あるいは並列実行できるようにすることにより、従来のカラーレーザプリンタのような機構的に処理速度を向上することが難しいという問題も回避できる。さらに、機構系を色毎に分散し、それらにアドレスを設定して通信することにより、出力装置内でホストコンピュータの処理結果を受信して色別制御手段に分配するのにオーバーヘッドとなる処理および構成を省くことが可能となる。したがって、色別に制御系と機構系がホストコンピュータと直にアクセス可能なようにすることにより、それらのいずれもが簡易な構成で高速化できる構成となり、低コストで高速処理できる出力装置を提供することができる。
【0060】
上記の技術はカラープロジェクタなどの他のカラー画像を出力する周辺装置にも適用できるが、特に、カラー印刷を行うプリンタなどの記録装置に有効である。すなわち、色別出力手段は、各色毎の画像を用紙に印刷可能なように出力する手段であり、色別制御手段は、これら色別出力手段で印刷する各色毎の印刷データを色別出力データとしてそれぞれ受信し、合成する手段は、複数の色別出力手段により形成された各色の画像を用紙の上に合成する出力装置において特に有効である。
【0061】
出力ジョブの制御プログラムはドライバソフトとして、ハードディスク、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な適当な形態の記録媒体に記録して提供することができ、また、そのような記録媒体に記録して保持し、適当な機会にロードしてコンピュータを制御することができる。さらに、インターネットなどのコンピュータ間の通信により伝送される伝送媒体に制御プログラムを埋め込んで提供することも可能である。また、この制御プログラム装置から出力装置に提供されるデータパッケージは、マルチカラーの画像データから生成された各色毎の複数の色別出力データの内のある色の色別出力データの少なくとも一部と、そのある色の色別出力データの転送先のアドレスとを有するデータパッケージとなり、そのデータパッケージがUSBなどのバスや無線を介したコンピュータ間の通信により伝送可能な伝送媒体に埋め込まれて出力装置に伝送される。
【符号の説明】
【0062】
1、30 印刷システム
2、31 プリンタ
5 ホストコンピュータ
6 伝送回路
7 パケットデータ
32C〜32K 色別印刷ユニット
34 制御回路(色別制御回路)
35 メモリ
36 露光装置
37 感光ドラム
38 チャージローラ
39 トナーカートリッジ
50 OS
51、55 プリンタドライバ
52 USBインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチカラーの画像用データから各色毎に分離された複数の色別出力データを生成する生成手段と、前記色別出力データを発信可能な発信手段とを備えたホストコンピュータと、
カラー画像を出力可能な出力装置であって、各色毎の画像を出力する複数の色別出力手段と、これらの色別出力手段で出力する前記色別出力データをそれぞれ受信し前記色別出力手段をそれぞれ制御する複数の色別制御手段と、前記複数の色別出力手段により形成された各色の画像を合成する手段とを備えた出力装置と、
前記ホストコンピュータの発信手段から出力された前記色別出力データを前記出力装置に伝送可能な伝送手段とを有する出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11550(P2011−11550A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177625(P2010−177625)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2000−263053(P2000−263053)の分割
【原出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.Bluetooth
【出願人】(399063013)ナルテック株式会社 (30)
【Fターム(参考)】