説明

分包機

【課題】 分包作業と掻き出し装置の清掃作業とを一連の動作で行うことができ、分包作業を迅速化するとともに清掃作業を省力化した分包機を提供する。
【解決手段】 分包機本体Aは、掻き出し爪126の清掃をなすクリーニング装置1を具備している。このクリーニング装置1は、ロータアーム121の回転軸線と平行な軸線を持って分包機Aに回動自在に支持された支持体2と、支持体2に固定され、掻き出し爪126に当接自在である弾性部材からなる清掃部材3と、支持体2と連動するカムプーリ6からなる。このカムプーリ6は、掻き出し装置103がターンテーブル101と離間した際に、ロータ122と連動して回転するロータカム22と当接してロータカム22の回転と連動することにより、清掃部材3を掻き出し爪126と最適に当接させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、散薬を定量分割し分包する分包機に関する。
【0002】
【従来の技術】散薬を少量ずつ定量分割して包装する分包機として、外周部に環状溝を有し回転するターンテーブルと、この環状溝上の散薬をホッパに向けて掻き出す掻き出し装置とを備えた回転式分包機が知られている。
【0003】図8及び図9に、回転式分包機の一例を示す。図8は、散薬を分包機のターンテーブル上に分布させている状態を、図9は、散薬を掻き出し分包している状態をそれぞれ示している。この分包機は、分包機本体Aにターンテーブル101と、ターンテーブル101上に散薬を落下させ供給する散薬供給装置102と、ターンテーブル101上の散薬を掻き出す掻き出し装置103と、掻き出された散薬を受けるホッパ104と、ホッパからの散薬を個々に包装する包装装置105とを設けることにより構成されている。
【0004】ターンテーブル101は、周縁部上面に断面円弧状の環状溝111を有し、分包機本体Aの水平面上で図示しない駆動装置により回転させられるものである。このターンテーブル101は、環状溝111に散薬供給装置102から散薬が投下された際には、この散薬を環状溝111内に周方向均一に分布させるために、一定の高速度で回転する。散薬が周方向均一に分布され掻き出し装置103により掻き出される際には、定量の散薬が掻き出し装置103に送られるために、間欠回転する。
【0005】散薬供給装置102は、回転するターンテーブル101の環状溝111に対して散薬を落下させるもので、分包機本体Aに固定され環状溝111の上部に配置されている。散薬供給装置102に投入された散薬は、連続的に微量ずつ環状溝111上に投下される。
【0006】掻き出し装置103は、ロータアーム121と、ロータ122からなる。ロータアーム121は、ターンテーブル101の径の内外方向に延在し、一端部側において、ターンテーブル101の接線方向に沿う方向の第一の軸線aを持つロータアーム支持軸123によって、分包機本体A上に上下方向回動自在に支持されている。これにより、ロータアーム121の他端部側は、環状溝111に対して接近・離間自在となっている。また、ロータアーム121の他端部側には、第一の軸線aと平行な第二の軸線bを持つロータ支持部124が設けられており、ロータ122が回動自在に支持されている。ロータ122は、軸芯125と、掻き出し爪126と、側板127a、127bからなり、これらは全て一体となって回転する。掻き出し爪126は、第二の軸線bの内外方向に延在するように、軸芯125上に設けられている。掻き出し装置103が環状溝111に対して接近(下方向へ回動)した際に、爪先端部126aが環状溝111上に当接するようになっており、掻き出し面126bで散薬を一定量ずつ掻き出すようになっている。側板127a、127bは、環状溝111上の散薬を一定量掻き出せるように、掻き出し爪126の左右両端部を覆うように各々が設けられている。
【0007】ホッパ104は、ターンテーブル101の外側であって、掻き出し装置103により掻き出された散薬を受ける位置において、下側に向けて開口している漏斗状の部材である。ここで受けた散薬は、包装装置105に送られる。
【0008】包装装置105は、ホッパ104の直下部に設けられており、未封の分包紙115を送り出す紙送り機116と、袋綴じ機117からなる。ホッパ104からの散薬を、未封の分包紙115上で受け、この散薬が載せられた分包紙115を袋綴じ機117で溶着、分包させるようになっている。
【0009】この回転式分包機は、次のように動作する。先ず、図8に示すように、ターンテーブル101を一定の高速度で回転させながら、散薬供給装置102からターンテーブル101上の環状溝111上に散薬を投入し、環状溝11上に散薬を周方向に均一分布させておく。このとき、掻き出し装置103は、ロータ122を環状溝111に対して離間(上方向へ回動)させておき、ターンテーブル101と当接しないようにしておく。環状溝111上に散薬が周方向均一に分布されたら、図9に示すように、掻き出し装置103を下方向に回動させて、ロータ122を環状溝111と当接させ、ターンテーブル111を間欠運転させるとともにロータ122を内周側から外周側へ間欠回転することにより、散薬の掻き出しを行う。掻き出された散薬は、ホッパ4に掻き落とされ、未封の分包紙115上に投下され、この散薬が載せられた分包紙115は袋綴じ機117に送られ、ここで溶着されて個々に分包され、分包散薬118が製造される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この分包機においては、分包作業を長時間行うと掻き出し装置における分割ロータに散薬が付着して、散薬の分割精度の低下を招いたり、また、別の散薬を分包する際に前の付着していた散薬が混入したりする危険性があった。
【0011】従来、ロータに付着した散薬を除去するための装置としては、図10及び図11に示すクリーニング装置が用いられてきた。図10はクリーニング装置130が設けられた掻き出し装置103の側面図、図11は正面図である。これらの図に示すように、一対のクリーニング装置130は、ロータアーム121及びロータ支持部124に突設され、その先端部にはゴム等の弾性体からなるスクレーパ131が設けられている。これらスクレーパ131は、側板127a、127bの各々の側面に当接され、ロータ122が回転されることによる摩擦力によって、これら側板127a、127bの側面に付着した散薬を除去し清掃するものである。
【0012】しかし、この方法では、ロータの側板に付着した散薬はほぼ除去できるが、軸心や掻き出し爪に付着した散薬を除去することはできず、こうした部分に付着した散薬を除去し清掃するためには、分包機の動作を停止させた後に人手で行うしかなかった。このため、動作している分包機を頻繁に停止させなくてはならず、分包作業を遅延化させていた。また、付着した散薬を除去し清掃する作業においても、多大な労力やコストを要していた。
【0013】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、分包作業と掻き出し装置の清掃作業とを一連の動作で行うことができ、分包作業を迅速化するとともに掻き出し装置の清掃作業を省力化した分包機を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の分包機は、供給される散薬を自身の回転によりその周縁部上面に分布させるターンテーブルと、該ターンテーブルの周縁部近傍に配設され、該周縁部上の散薬を一定量ずつ掻き出す掻き出し装置とを備えてなり、前記掻き出し装置は、前記ターンテーブルの径の内外方向に延在し、一端部側が該ターンテーブルの接線方向に沿う方向の第一の軸線を持って回動自在に支持され、他端部側が前記ターンテーブルの周縁部上面側に対して接近・離間自在とされたロータアームと、該ロータアームの他端部側に前記第一の軸線と平行な第二の軸線をもって回転自在に支持されたロータと、該ロータに設けられた軸芯と、該軸芯から外方向に延在し該軸芯と一体に回転するように設けられた掻き出し爪とを備えてなり、前記掻き出し装置により前記ターンテーブル周縁部上の散薬を掻き出しこれを包装するようにした分包機において、該分包機は、記軸芯及び前記掻き出し爪の清掃をなすクリーニング装置を具備してなることを特徴とする。
【0015】この分包機においては、分包機の動作を停止させることなく、自動的に軸芯及び掻き出し爪に付着した散薬を除去し、清掃が行える。
【0016】請求項2記載の分包機は、請求項1記載の分包機であって、前記クリーニング装置は、前記掻き出し装置に対して移動自在に支持された清掃部材を具備し、かつ、前記掻き出し装置のロータが前記ターンテーブルの周縁部上面側に対し離間して定位置に至ったときに、該掻き出し装置に連動して前記清掃部材を前記軸芯又は前記掻き出し爪に当接する位置に移動させる移動機構を具備してなることを特徴とする。
【0017】この分包機においては、掻き出し装置が散薬の掻き出しを行っている場合には掻き出し爪の清掃を行わず、ターンテーブル上に散薬を分布させている場合にのみ掻き出し爪の清掃を行わせることができる。そのため、掻き出し装置には常に掻き出し動作あるいは清掃動作の何れか一方の動作を行わせることができ、重複した動作を行わせることなく動作効率を向上させることができる。また、掻き出し爪の回転に合わせてクリーニング装置が清掃を行う位置を変位させることができるので、清掃動作時には常に最適な清掃を行うことができる。
【0018】請求項3記載の分包機は、請求項2記載の分包機であって、前記クリーニング装置は、前記分包機に前記第一の軸線と平行な第三の軸線をもって回動自在に支持された支持体と、該支持体に固定され、前記軸芯又は前記掻き出し爪に当接自在な前記清掃部材と、前記支持体に連動されたカムフォロアとを具備してなり、前記掻き出し装置は、前記ロータと連動して回転するカムを具備してなり、前記カム及びカムフォロアは、前記移動機構を構成していることを特徴とする。
【0019】この分包機においては、ロータの回転に従動させて清掃部材を回動させることができるので、該清掃部材は、掻き出し爪との当接位置を変位させることができる。そのため、他の駆動装置を必要とせず、また、装置を複雑化させることなく、清掃部材と回転する掻き出し爪とは常に最適に当接できる。
【0020】請求項4記載の分包機は、請求項2又は請求項3に記載の分包機であって、前記ロータは、前記軸芯及び前記掻き出し爪と一体に回転する一対の側板を備えてなり、前記清掃部材は、前記一対の側板と当接することを特徴とする。
【0021】この分包機においては、清掃部材によって、一対の側板の清掃も行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る分包機の実施形態を、図1乃至図9に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、本発明に係る分包機の特徴部分についてのみ記載し、従来例として示した分包機と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。特徴部分とは、分包機が掻き出し爪を清掃できるクリーニング装置を具備している点である。
【0023】図1に、本実施の形態に係る分包機における掻き出し装置103及びクリーニング装置1の側面図を、図2に、図1の掻き出し装置103の正面図を、各々示す。
【0024】先ず、掻き出し装置103について説明する。掻き出し装置103は、ロータアーム121と、ロータアームカムフォロア21と、ロータカム22と、固定カム24と、ロータ122とを具備する。
【0025】ロータアーム121のロータアーム支持軸123とロータ支持部124との間には、ロータアームカムフォロア21が設けられており、分包機本体A側に設けられたアームリフトカム20と当接している。アームリフトカム20は、分包機本体A側に設けられたアームリフトカム支持軸20aに回動自在に支持されており、図示しない駆動装置によりC−D方向に回動される。ロータアームカムフォロア21は、アームリフトカム20の回動に従動されることにより、E−F方向に回動される。これにより、掻き出し装置103は、アームリフトカム20の動きに従動してE−F方向に回動されて、回動の上死点及び下死点の各々の位置において固定されるようになっている。
【0026】ロータアーム支持軸123のロータアーム121に隣接する位置には、ロータカム22が回転自在に支持されている。このロータカム22は、アームリフトカム20の駆動装置とは別の図示しない駆動装置によって、ロータアーム支持軸123を軸として、ロータアーム121とは独立して回転する。このロータカム22とロータ122とは、図示しない無端ベルトにより連結され、これらは同一の駆動装置により連動してR方向に回転するようになっている。このロータカム22は、円板状の部材であって、その円周上の一部から突出するようにカム23が設けられており、他の円周上の部分は円周部22aを形成している。カム23は、頂部23aと、この頂部23aに向かって円周部22aからなだらかに連続する傾斜部22bを有する。このカム23は、カムプーリ6に設けられたカムフォロア8が当接した際に、このカムフォロア8を従動させて変位させるものである。
【0027】ロータアーム121の、ロータアーム支持軸123側の端部の上部には、固定カム24が突出して固定されており、ロータアーム121のE−F方向への回動によって、ロータ122とは逆方向に一定の軌跡をもって回動するようになっている。この固定カム24は、弓型の形状をした平板状の部材であり、頂部24aと、この頂部24aから滑らかな曲線をもって連続する斜面部24bを有している。この固定カム24は、カムプーリ6に設けられた固定カムフォロア7が当接した際に、この固定カムフォロア7を従動させて変位させるものである。
【0028】ロータ122は、軸芯125と、掻き出し爪126と、側板127a、127bとからなる。これら軸芯125、掻き出し爪126、側板127a、127bは、全て一体にR方向へ回転するものである。
【0029】次に、クリーニング装置1について説明する。クリーニング装置1は、支持体2と、清掃部材3と、プーリ4と、ベルト5と、カムプーリ6と、固定カムフォロア7と、カムフォロア8を具備する。
【0030】支持体2は、第一の軸線aと平行な第三の軸線cをもつ支持体支持軸11によって、分包機本体A上にX−Y方向に回動自在に支持されている。この支持体2は、ロータアーム121の長手方向に延在する長尺状の部材であって、ロータ122側の端部には清掃部材3が設けられている。また、支持体2は、清掃部材3により掻き落とされた散薬をすぐに吸引できるノズル構造となっている(図示省略)。
【0031】清掃部材3は、ゴムを含む弾性体からなる矩形平板状の部材であり、支持体2のロータ122側の端部から突出するように固定されている。この清掃部材3は、掻き出し装置103がF方向に回動して上死点で固定された際には、先端部3aがロータ122の軸芯125又は掻き出し爪126に当接するように、また、側部3bの各々が側板127a、127bの各々の軸芯側の面と当接するようになっている。
【0032】プーリ4は、支持体2と一体に設けられており、支持体2と同様に支持体支持軸11にX−Y方向に回動自在に支持されている。そのため、プーリ4と支持体2とは一体となって回動する。プーリ4と支持体支持軸11との間には図示しないバネが設けられており、このバネによりプーリ4及び支持体2は、Y方向(回動の上死点方向)に回動するように付勢されている。
【0033】プーリ4と、カムプーリ6のプーリ部6aとの間には無端であるベルト5が掛け渡されている。これにより、カムプーリ6と支持体2とは、連動して回動するようになっている。
【0034】カムプーリ6は、円板状のプーリ部6aと、プーリ部6aから下方に向けて突出するカムフォロアアーム部6bからなる。このカムプーリ6は、プーリ部6aにおいて、前記第三の軸線cと平行な第四の軸線dをもつカムプーリ支持軸12によって、分包機本体A上にG−H方向に回動自在に支持されている。プーリ部6bは、カムプーリ6とプーリ4とを、ベルト5を介して連動させるためのものである。カムフォロアアーム部6bの先端部には、カムフォロア8が設けられている。このカムフォロア8は、G方向にに付勢されてロータカム22と当接した際に、ロータカム22に従動して変位し、これによりカムプーリ6全体をG−H方向へ回動させるためのものである。
【0035】プーリ部6aの掻き出し装置103側の面には、固定カムフォロア7が設けられている。この固定カムフォロア7は、回動する固定カム24と当接した際に、固定カム24に従動して変位することにより、カムプーリ6全体をH方向に回動させてG方向への動きを規制し、カムプーリ6をその位置で保持させるためのものである。このとき、ロータカム22とカムフォロア8とは全く当接しなくなり、クリーニング装置1は、ロータカム22及びロータ122の回転とは無関係に停止されるようになっている。
【0036】次に、本実施形態に係る分包機の動作について、図3乃至図9を用いて説明する。先ず、図8に示すように、ターンテーブル101を一定の高速度で回転させながら、散薬供給装置102からターンテーブル101の環状溝111上に散薬を投入し、環状溝111上に散薬を周方向に均一分布させる。このとき、掻き出し装置103は上方向(F方向)に回動させ、上死点に固定させておき、ターンテーブル101と当接しないようにしておく。環状溝111上に散薬が周方向に均一分布されたら、掻き出し装置103を下方向(E方向)に回動させ、下死点においてロータ122と環状溝111とを当接させ、ターンテーブル101を間欠運転させるとともにロータ122を内周側から外周側へ間欠回転することにより、ホッパ104に向けて散薬の掻き出しを行う。
【0037】図1に示すように、掻き出し装置103を下方向(E方向)に回動させると、固定カムフォロア7は、先ず、固定カム24の頂部24aと当接し、固定カム24の回動に従動して押し上げられる。これにより、カムプーリ6はH方向へ回動し始める。固定カム24がある一定の位置まで回動し、固定カムフォロア7が頂部24aにより一定の位置まで押し上げられたら、カムプーリ6のH方向への回動によって固定カムフォロア7は頂部24aの回動軌跡から外れ、次に側部24bと当接し、また更に押し上げられる。
【0038】掻き出し装置103のロータ122が環状溝111に当接し、回動下死点に至ったとき、固定カム24はその回動の上死点に位置することになる。このとき、固定カムフォロア7は、最も押し上げられた状態となり、カムプーリ6は、その回動可能範囲のうち最もH方向へ回動されており、それに伴い、プーリ4及び支持体2も回動可能範囲のうち最もX方向へ回動されている。ここで、プーリ4と支持体支持軸11との間に設けられたバネによって、プーリ4にはY方向への付勢力が常時働いており、この付勢力はベルト5を介してカムプーリ6に伝えられるため、カムプーリ6にはG方向へ回動しようとする付勢力が常時働いている。しかし、カムプーリ6は、固定カム24によりG方向への回動を規制されているので、何れの方向にも回動できず、この位置で保持されている。そのため、プーリ4及び支持体2も回動できず、動きを停止される。
【0039】このとき、カムフォロア8はロータカム22の回転軌道上から外れており、これらは互いに当接しないようにされる。散薬を掻き出すためにロータ122を図中R方向に回転させるとき、ロータカム22も同期して回転するが、ロータカム22の回転軌道上には当接するものがなく、回転する駆動力はロータ122にのみ伝わり、クリーニング装置1に駆動力は伝わらない。このように、掻き出し装置103が散薬掻き出し動作を行っている間は、クリーニング装置1は、清掃時の回動下死点よりも下に回動した位置で固定され、動作を行わないようにされる。
【0040】散薬掻き出し動作を終了したら、次の散薬を分包させるために、ターンテーブル101上に散薬を分布させる作業を行う。このとき、掻き出し装置103は上方向へ回動させ、回動上死点にて固定されて、ターンテーブル101と当接しないようにする。アームリフトカム20を図中D方向へ回動させると、ロータアームカムフォロア21は上方向へ押し上げられて、ロータアーム121は上方向へ回動され、回動上死点にて固定される。
【0041】図3は、ロータアーム121がF方向(上方向)へ回動し、回動上死点にて固定された状態を示している。この図に示すように、ロータアーム121がF方向へ回動すると、固定カム24は逆方向へ回動する。固定カム24の頂部24aが固定カムフォロア7の下部に位置するまで回動すると、固定カム24と固定カムフォロア7とは当接しなくなり、固定カム24を上方向へ押し上げる力は働かなくなる。これにより、カムプーリ6は、回動可能となる。プーリ4はバネによりY方向に付勢されているので、この付勢力はベルト5を介してカムプーリ6に伝えられ、カムプーリ6にはG方向へ回動しようとする付勢力が働く。カムプーリ6がG方向へ回動することにより、カムフォロア8はロータカム22側へ付勢され、ロータカム22とカムフォロア21は当接するようになる。このとき、支持体2も同時にY方向(上方向)に回動するように付勢されるので、回動の上死点まで回動し、清掃部材3の先端部3aは、ロータ122の軸芯125又は掻き出し爪126と当接するようになる。この状態で、ロータカム22及びロータ122をR方向に回転させて、軸芯125、掻き出し爪126及び側板127a、127bの清掃を行う。
【0042】図3乃至図7を用いて、ロータ122とクリーニング装置1の動作状態を説明する。図3は、クリーニング装置1が軸芯125の清掃を行っている状態を示している。このとき、カムフォロア8はロータカム22の円周部22aと当接しており、カム23とは当接していない。そのため、支持体は上死点に付勢された状態を維持しており、清掃部材3の先端部3aは軸芯125と当接することにより、軸芯125の清掃を行う。
【0043】図4乃至図6は、クリーニング装置1が掻き出し爪126の清掃を行っている状態を示している。先ず、図4は、クリーニング装置1が掻き出し爪126のクリーニングを行い始めている状態を示している。この図に示すように、ロータ122とロータカム22とが回転し、ロータカム22のカム23の側部23bがカムフォロア8に当接するとき、清掃部材3の先端部3aは掻き出し面126bの根元部分に当接する。このとき、カムフォロア8はまだH方向へ押されておらず、カムプーリ6はH方向へ回動していない。ここから、掻き出し爪126及びロータカム22のカム23との回転に従動して、カムプーリ6はH方向へ回動し、支持体2はX方向(下方向)に回動するように動作する。
【0044】図5は、クリーニング装置1が掻き出し爪126の清掃を行っている途中の状態を示す図である。このとき、カムフォロア8は、ロータカム22のカム23の側部23bと当接しており、カム23の回転によってカムフォロア8は徐々にH方向へ押され、カムプーリ6はH方向へ回動する。これにより、ベルト5を介してプーリ4も回動し、支持体2はX方向へ回動する。掻き出し爪126は、支持体2を従動させるように回転しているので、清掃部材3の先端部3aと掻き出し面126bとは常に最適に当接でき、掻き出し面126bに付着した散薬をほぼ完全に清掃できる。
【0045】図6は、クリーニング装置1が掻き出し爪126のクリーニングをし終えた状態を示す図である。このとき、カムフォロア8は、ロータカム22のカム23における頂部23aと当接しており、カムフォロア8は、清掃時の回動範囲において最もH方向へと押されている。これにより、カムプーリ6は清掃時の回動範囲において最もH方向へ回動されており、ベルト5を介してプーリ4も回動し、支持体2はX方向へ回動し、清掃時の回動下死点に至る。清掃部材3の先端部3aは、掻き出し爪126の先端部126aのクリーニングを終了しており、清掃部材3と掻き出し爪126とは当接しておらず、掻き出し爪126は清掃部材3の上部の位置まで回転している。
【0046】図7は、クリーニング装置1が再び軸芯125の清掃を行い始めた状態を示す図である。このとき、ロータカム22のカム23は、カムフォロア8と当接する位置を通過しており、カムフォロア8にはH方向へ押す力は働かなくなっている。そのため、プーリ4のバネの付勢力によって、カムフォロア8はG方向へと付勢され、ロータカム22の円周部22aとカムフォロア8とは再び当接するようになる。また同時に、支持体2はY方向へと付勢され、回動の上死点に至り、清掃部材3の先端部3aは再び軸芯125と当接する。
【0047】ロータカム22及びロータ122が一回転する毎に、これら図3から図7に示す動作は繰り返される。なお、これら一連の動作により清掃されて掻き落とされた散薬は、ノズル構造となっている支持体2によってすぐに吸引され、分包機本体上には落下しないようにされる。
【0048】ターンテーブル101上への散薬分布作業が完了し、アームリフトカム20をC方向へ回動させて掻き出し装置103を再び下方向に回動させると、上記説明したように図1の状態となり、支持体2は、清掃時の回動下死点よりも下に回動した位置で固定され、クリーニング装置1は動作を行わなくなる。
【0049】本実施形態に係る分包機においては、ロータカム22とカムフォロア8によるカム機構によって、ロータカム22の回転に従動してカムフォロア8はその位置を変位させるようになっている。これにより、ロータ122の回転に従動してクリーニング装置1の支持体2を回動させることができる。
【0050】これにより、従来は不可能であった、分包機動作中における掻き出し爪の清掃作業が行える。また、クリーニング装置1は、他の駆動装置を必要とせず、ロータカム22及びロータ122の回転に従動して回動し、回転するロータ122の軸芯125又は掻き出し爪126と常に最適に当接できるため、ロータカム22及びロータ122が回転していれば、軸芯125及び掻き出し爪126の清掃作業が行える。
【0051】また、本実施形態に係る分包機においては、掻き出し装置103が回動の下死点に位置しているときにはクリーニング装置1は動作を行わず、掻き出し装置103が上死点に位置しているときのみクリーニング装置1が動作を行うようにされている。
【0052】これにより、掻き出し装置103が散薬の掻き出しを行っている場合には掻き出し爪126の清掃を行わせず、ターンテーブル101上に散薬を分布させている場合にのみ軸芯125又は掻き出し爪126の清掃を行わせることができる。そのため、ロータカム22及びロータ122を常時回転させておくだけで、掻き出し装置103には常に掻き出し動作あるいは清掃動作の何れか一方の動作を行わせることができ、重複した動作を行わせることなく動作効率を向上させることができる。
【0053】更に、本実施形態に係る分包機においては、クリーニング装置1の清掃部材3は弾性変形可能とされている。これにより、軸芯125及び掻き出し爪126にこびりつき固化した散薬であっても簡易に除去でき、清掃の効率を高めることができる。
【0054】なお、上記実施の形態においては、クリーニング装置はロータカムとのカム機構により機械的に従動する場合についてのみ記載しているが、これに限定されるものではなく、電気的な手段等により従動するものであってもよい。また、クリーニング装置や掻き出し装置の機構、形状、取付位置等も、上記実施の形態に限定されるものではない。更に、上記実施の形態においては記載していないが、従来例で記載したクリーニング装置が、分包機本体上あるいは掻き出し装置に設けられていてもよい。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る分包機においては、分包機に軸芯及び掻き出し爪の清掃をなすクリーニング装置が具備されているので、分包作業と掻き出し装置の清掃作業とを一連の動作で行うことができ、分包作業を迅速化するとともに掻き出し装置の清掃作業を省力化することができ、散薬除去作業に要する労力やコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る分包機の掻き出し装置及びクリーニング装置の側面図である。
【図2】 図1における掻き出し装置の正面図である。
【図3】 図1における掻き出し装置とクリーニング装置の動作状態を示す側面図であって、クリーニング装置が掻き出し装置の軸芯の清掃を行っている状態を示す図である。
【図4】 図1における掻き出し装置とクリーニング装置の動作状態を示す側面図であって、クリーニング装置が掻き出し装置の掻き出し爪の清掃を行い始めている状態を示す図である。
【図5】 図1における掻き出し装置とクリーニング装置の動作状態を示す側面図であって、クリーニング装置が掻き出し装置の掻き出し爪の清掃を行っている状態を示す図である。
【図6】 図1における掻き出し装置とクリーニング装置の動作状態を示す側面図であって、クリーニング装置が掻き出し装置の掻き出し爪の清掃を終了した状態を示す図である。
【図7】 図1における掻き出し装置とクリーニング装置の動作状態を示す側面図であって、クリーニング装置が掻き出し装置の軸芯の清掃を再び行い始めている状態を示す図である。
【図8】 回転式分包機の構成を説明するための側断面図であって、散薬を分包機のターンテーブル上に分布させている状態を示す図である。
【図9】 回転式分包機の構成を説明するための側断面図であって、散薬を分包している状態を示している。
【図10】 従来の分包機における掻き出し装置を示す側面図である。
【図11】 図10の掻き出し装置の正面図である。
【符号の説明】
1 クリーニング装置
2 支持体
3 清掃部材
8 カムフォロア(移動機構)
23 カム(移動機構)
101 ターンテーブル
103 掻き出し装置
121 ロータアーム
122 ロータ
125 軸芯
126 掻き出し爪
127a、127b 側板(一対の側板)
a 第一の軸線
b 第二の軸線
c 第三の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 供給される散薬を自身の回転によりその周縁部上面に分布させるターンテーブルと、該ターンテーブルの周縁部近傍に配設され、該周縁部上の散薬を一定量ずつ掻き出す掻き出し装置とを備えてなり、前記掻き出し装置は、前記ターンテーブルの径の内外方向に延在し、一端部側が該ターンテーブルの接線方向に沿う方向の第一の軸線を持って回動自在に支持され、他端部側が前記ターンテーブルの周縁部上面側に対して接近・離間自在とされたロータアームと、該ロータアームの他端部側に前記第一の軸線と平行な第二の軸線をもって回転自在に支持されたロータと、該ロータに設けられた軸芯と、該軸芯から外方向に延在し該軸芯と一体に回転するように設けられた掻き出し爪とを備えてなり、前記掻き出し装置により前記ターンテーブル周縁部上の散薬を掻き出しこれを包装するようにした分包機において、該分包機は、前記軸芯及び前記掻き出し爪の清掃をなすクリーニング装置を具備してなることを特徴とする分包機。
【請求項2】 前記クリーニング装置は、前記掻き出し装置に対して移動自在に支持された清掃部材を具備し、かつ、前記掻き出し装置のロータが前記ターンテーブルの周縁部上面側に対し離間して定位置に至ったときに、該掻き出し装置に連動して前記清掃部材を前記軸芯又は前記掻き出し爪に当接する位置に移動させる移動機構を具備してなることを特徴とする請求項1記載の分包機。
【請求項3】 前記クリーニング装置は、前記分包機に前記第一の軸線と平行な第三の軸線をもって回動自在に支持された支持体と、該支持体に固定され、前記軸芯又は前記掻き出し爪に当接自在な前記清掃部材と、前記支持体に連動されたカムフォロアとを具備してなり、前記掻き出し装置は、前記ロータと連動して回転するカムを具備してなり、前記カム及びカムフォロアは、前記移動機構を構成していることを特徴とする請求項2記載の分包機。
【請求項4】 前記ロータは、前記軸芯及び前記掻き出し爪と一体に回転する一対の側板を備えてなり、前記清掃部材は、前記一対の側板と当接することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の分包機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】特許第3098742号(P3098742)
【登録日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【発行日】平成12年10月16日(2000.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−158799
【出願日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【審査請求日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【出願人】(390010582)ウエダアヴァンセ株式会社 (33)
【参考文献】
【文献】特開 平5−213301(JP,A)