説明

分岐管装置

【課題】分岐管装置の設置工程が簡略化されるとともに、地震等の外力に対して強度を高め、流体管路との離脱防止及び密封性が保持される分岐管装置を提供すること。
【解決手段】地中に埋設される流体管網の一方の流体管である挿口管1と他方の流体管である受口管2とに接続され、両口管1,2に連通する流体路4及び流体路4に連通した分岐路5が内部に形成された管体7と、管体7内に配設され流体路4及び分岐路5の開閉切換を行う弁体6と、を備えた分岐管装置3であって、管体7は、一体の管壁7aで構成されており、管壁7aに、弁体6の挿入口となる開口部12が形成されるとともに、開口部12を密封状に閉塞する蓋部材13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管に接続され、該流体管に連通する流体路及び該流体路に連通した分岐路が内部に形成された管体と、該管体内に配設され前記流体路及び前記分岐路の開閉切換を行う弁体と、を備えた分岐管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐管装置は、T字管(管体)の本管が、受口部本管と挿口部本管との分割構造となっており、この受口部本管と挿口部本管とが接続されることで、同一線状に本管の内部に形成される流水路(流体路)が形成され、流水路と分岐路との交差部(連通箇所)に弁体が設けられて、流水路のみに通水できる状態と、分岐路を境にした一方の流水路を閉止し、他方の流水路と分岐路とに通水できる状態とを選択可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−1881号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように水道管(流体管)に接続されたT字管に対して、流水路若しくは分岐路方向に、不測の場合に地震等の比較的大きな外力が働いたり、あるいは弁体によって流水路および分岐路の開閉が行われる場合に不平均力等の外力が働くようになる。しかしながら、特許文献1にあっては、本管が分割構造となっているため、受口部本管と挿口部本管との接続箇所に対して上記した地震等の外力による応力が集中するようになり、受口部本管と挿口部本管とが離脱される、若しくはこの接続箇所での密封性が保持できない等の問題がある。更に、受口部本管と挿口部本管との接続作業が煩雑であり、設置作業に手間が掛かるという慮がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、分岐管装置の設置工程が簡略化されるとともに、地震等の外力に対して強度を高め、流体管路との離脱防止及び密封性が保持される分岐管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の分岐管装置は、
流体管に接続され、該流体管に連通する流体路及び該流体路に連通した分岐路が内部に形成された管体と、該管体内に配設され前記流体路及び前記分岐路の開閉切換を行う弁体と、を備えた分岐管装置であって、
前記管体は、一体の管壁で構成されており、該管壁に、前記弁体の挿入口となる開口部が形成されるとともに、該開口部を密封状に閉塞する蓋部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、管体が、一体の管壁で構成されていることで、流体路若しくは分岐路方向に作用する地震等の外力に対して構造強度を高めることができるばかりか、管体の構造が簡素化されるため分岐管装置の組立て作業が簡略化される。
【0007】
本発明の分岐管装置は、
前記開口部は、前記流体路と前記分岐路との連通箇所に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、開口部が、流体路と分岐路との連通箇所に形成されていることで、流体路と分岐路とを効率よく開閉できる当該連通箇所に弁体を設置し易い。また開口部が、管体における断面係数の比較的高い連通箇所に形成されているため、構造強度を弱めずに維持できる。
【0008】
本発明の分岐管装置は、
前記管体に、前記弁体と係合し該弁体を前記管体の外方から開閉操作する操作軸が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体と係合する操作軸により、弁体を直接操作せずとも、管体の外方から容易に開閉操作をできるだけでなく、操作軸が管体に設けられているため、管体の開口部を閉塞する蓋部材との干渉を避けることができる。
【0009】
本発明の分岐管装置は、
前記蓋部材に、前記弁体と係合し該弁体を前記管体の外方から開閉操作する操作軸が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体と係合する操作軸により、弁体を直接操作せずとも、管体の外方から容易に開閉操作をできるだけでなく、操作軸が蓋部材に設けられているため、管体に操作軸用の別段の開口を要さず、管体の構造強度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1における分岐管装置が流体管網に接続された様子を示す側面図である。
【図2】(a)は、分岐管装置を示す側面図であり、(b)は、同じく正面図である。
【図3】(a)は、分岐管装置を示す側断面図であり、(b)は、同じく正面断面図である。
【図4】(a)は、流体路と分岐路の全開状態を示す側断面図であり、(b)は、同じく分岐管装置の平面図及び表示板のパターンAの表示を示す要部拡大図である。
【図5】(a)は、流体路4aの閉塞状態を示す側断面図であり、(b)は、同じく分岐管装置の平面図及び表示板のパターンBの表示を示す要部拡大図である。
【図6】(a)は、分岐路5の閉塞状態を示す側断面図であり、(b)は、同じく分岐管装置の平面図及び表示板のパターンCの表示を示す要部拡大図である。
【図7】(a)は、流体路4bの閉塞状態を示す側断面図であり、(b)は、同じく分岐管装置の平面図及び表示板のパターンDの表示を示す要部拡大図である。
【図8】(a)は、実施例2における分岐管装置の正面図であり、(b)は、同じく正面断面図である。
【図9】(a)は、実施例3における分岐管装置の正面図であり、(b)は、同じく正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る分岐管装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0012】
実施例1に係る分岐管装置につき、図1から図7を参照して説明する。本実施例では、分岐管装置3の分岐側に消火作業等に使用される消火栓9が接続される態様として説明する。
【0013】
本発明の分岐管装置3は、例えば図1に示されるように、地中に埋設される流体管網を構成する挿口管1と受口管2との間に接続される分岐管装置3であって、この両口管1,2と分岐管装置3とは、コンクリート、鉄筋コンクリート、石綿、ダクタイル鋳鉄、その他鋳鉄、鋼、塩化ビニール、ポリエチレン若しくはポリオレフィン製等からなる上水道用の流体管である。分岐管装置3が金属製の場合、分岐管装置3には、流体からの防錆を行う防錆処理として、モルタルや防錆塗料によって図示しないコーティング層が形成されている。尚、本実施例では流体管内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水や下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0014】
図3に示されるように、この分岐管装置3は、内部に両口管1,2に連通した流体路4及びこの流体路4に連通した分岐路5が内部に形成された管体7と、流体路4及び分岐路5内の開閉切換を行う弁体6と、を備えている。流体路4を内部に形成した管体7における挿口管1側の端部には、挿口管1が挿入可能な受口形状の接続部8aが形成されているとともに、受口管2側の端部には、受口管2に挿入可能な挿口形状の接続部8bが形成されている。この接続部8a、8bの継手部において、図示しないボルト・ナット及びシール部材によって管体7と両口管1,2とがそれぞれ密封状に接続されている。尚、接続部は、受口形状のみまたは挿口形状のみで構成されてもよいし、端部にフランジを設けて接続されてもよく、流体管網との接続態様に合わせて適宜設定することができる。
【0015】
更に、分岐路5を内部に形成した管体7の端部には、フランジ部8cが形成されるとともに、このフランジ部8cに接続した埋設深さ調整用のフランジ短管10を介し、消火用ホースが接続される放水口9aと、放水口9aへの通水を遮断する操作弁9bと、で構成された消火栓9が設置されている。管体7とフランジ短管10とは、図示しないボルト・ナット及びシール部材で密封状に接続され、フランジ短管10と消火栓9とも上述と同様に密封状に接続されている
【0016】
接続部8a、8bと両口管1,2との継手部は、主に耐震を目的として、例えば図示しない別部材である離脱防止用管継手によって強固に接続される態様や、図示しない別部材である伸縮可撓性を有する管継手によって所定長さの移動を許容されて接続される様態の場合がある。そして、このような態様で両口管1,2に接続された管体7に対し、流体路4若しくは分岐路5方向に、地震等の比較的大きな外力が掛かる状態となる場合がある。また、このように弁体6によって流体路4および分岐路5の開閉が行われる場合、管体7に対して、流体の水圧に起因して流体路4および分岐路5方向に不平均力が働くようになり、更には、上記した接続態様の両口管1,2に接続される弁等の開閉の影響、または管路の延設方向や、管路周辺地盤の経年的な不等沈下などの影響により、両口管1,2に接続された管体7に対し、流体路4および分岐路5方向へ移動させる外力が掛かる状態となる場合がある。
【0017】
図3(a)に示されるように、本実施例における分岐管装置3の接続部8a、8bと両口管1,2との接続態様について、より詳しく説明する。受口形状の接続部8aの内周面には、耐震構造部としての凹部8dが周方向に亘り形成されており、この凹部8dにロックリング40が設けられている。接続部8a内方に挿入された挿口管1の鍔部1aがこのロックリング40を通過して係合することで、分岐管装置3と挿口管1との抜け出しが防止されている。尚、接続部8aと挿口管1とは、ゴム輪42によって密封されており、このゴム輪42は押輪44により抜け止めされている。
【0018】
また、挿口形状の接続部8bの外周面には、耐震構造部としての鍔部8eが周方向に亘り形成されており、この鍔部8eが、接続部8b内方に挿入された受口管2に設けられたロックリング41を通過して係合することで、分岐管装置3と受口管2との抜け出しが防止されている。尚、接続部8bと受口管2とは、ゴム輪43によって密封されており、このゴム輪43は押輪45により抜け止めされている。
【0019】
次に、管体7について説明すると、図1に示されるように、管体7における流体路4は、両口管1,2に略直線状に形成され、且つ地中に略水平方向に埋設されており、管体7における分岐路5は、この略水平方向に埋設された流体路4から分岐して地上に向けて略鉛直方向に突出して延設されている。すなわち、図2及び図3のように管体7の形状は、分岐路5が地上側に位置する略T字形状となっている。尚、この管体は、本実施例に限られず、例えば一本の流体管と連通する流体路が設けられてもよいし、分岐路が2方向以上に形成され、流体路から様々な方向に向けて形成されてもよく、多岐に亘る態様に適用することができる。
【0020】
図3の(a),(b)に示されるように、この管体7は分割構造を有さない、すなわち一体の管壁7aで構成されている。このように、管体7が一体の管壁7aで構成されていることで、流体路4若しくは分岐路5方向に作用する地震等の外力に対して構造強度を高めることができ、両口管1,2からの離脱が防止される。つまり、管体7が一切分割構造を有さないようになることで、管体7の一部に対して前述した外力によって応力集中が発生しないため、構造強度が高まることとなる。更に、管体7の部品点数が少なくなるため、構造が簡素化されるため設置作業が簡略化される。尚、本発明の一体の管壁は、分割構造を有さず連続形成された管壁を意味し、例えば鋳型で成型した管壁や、溶接加工や機械加工等で形成した管壁であってもよい。
【0021】
また、管体7には、流体路4と分岐路5とが連通する連通箇所11に弁体6が配置されるようになり、この連通箇所11は、弁体6が回動可能に設置されるべく管体7の内周面が若干拡径されている。この連通箇所11における管壁7aには、弁体6の挿入口となる開口部12が形成されている。このように、開口部12が、連通箇所11に形成されていることで、流体路4と分岐路5とを効率よく開閉できる連通箇所11に弁体6を設置し易い。また、開口部12が、流体路4方向及び分岐路5方向に略T字状に延設された管壁7aにより、管体7における断面係数の比較的高い流体路4と分岐路5との連通箇所11に形成されているため、開口部12が形成されたとしても管体7全体の構造強度を弱めずに維持できる。
【0022】
更に詳しく説明すると、この開口部12は、連通箇所11における管壁7aの下面側に開口形成されており、開口部12を密封状に閉塞する蓋部材13が設けられている。つまり、管体7内を流体路4方向に流れる流体の進行方向を避けて、開口部12及び蓋部材13が設けられているため、流体路4方向に働く外力によって管体7の密封状態が阻害されない。
【0023】
また、連通箇所11における管壁7aの側面側には、略水平方向に内外に貫通し外方に突設した突設部7bが設けられており、この突設部7bを挿入口として設置され、弁体6と係合する操作軸14が設けられている。つまり、操作軸14は、突設部7bを介して連通箇所11と管壁7aの外方とに渡り貫通して設置されている。
【0024】
次に、この操作軸14について説明する、操作軸14の外方側の端部14aは、比較的小径の略円筒状に延設されており、操作軸14の端部14a近傍の周面には、ウォームギア等の変向機構15が噛合して取り付けられている。更にこの変向機構15を介して操作軸14を回動させるスピンドル16が分岐路5と上方に延設されている。また、操作軸14の連通箇所11側の端部14bは、弁体6と係合する略矩形状を有している。
【0025】
操作軸14における端部14a側、すなわち連通箇所11から外方に露出する側は、ケース体17によって密封状に閉塞されるとともに、ボルト23によって突設部7bと接続されている。ケース体17の上面には、3本の表示線17a,17b,17cが形成され、この表示線17aは、図4(a)において連通箇所11を境にした受口形状の接続部8a側の流体路4aとして示され、表示線17bは、分岐路5として示され,表示線17cは、挿口形状の接続部8b側の流体路4bとして示されている。
【0026】
更に操作軸14の端部14aの延長には、流体路4及び分岐路5の開閉状態を表示するための表示板19が取り付けられている。この表示板19の略中央部に形成された貫通孔22に、操作軸14の端部14aが嵌合することで、表示板19が端部14aに軸支され、すなわち表示板19が、操作軸14を介し弁体6と同期して回動するようになっている。更に端部14aにナット18が取り付けられることによって表示板19の落下が防止されている。また、表示板19の周面には、略90度のピッチで流体路4及び分岐路5の開閉状態を示すパターンA,B,C,Dの表示が成されている。表示板19が流体路4及び分岐路5の開閉状態を表示する動作については、後述にて詳しく説明する。
【0027】
次に、弁体6について説明すると、本実施例の弁体6は、いわゆるボールバルブとして用いられる略球形状の弁体であって、両口管1,2にそれぞれ連通される流体路4と分岐路5との三方に通ずる連通孔6aと、弁体6の外周面に形成された凹部6bと、を有し、連通箇所11内において回動することによって流体路4と分岐路5との開閉切換が行われている。
【0028】
弁体6を操作軸14によって操作する場合を説明すると、先ず、弁体6と操作軸14とは、弁体6に穿設された凹部6bに操作軸14の端部14bを嵌合させる。次にスピンドル16を上下方向の軸回りに回転させると、変向機構15によって水平方向の軸回りの回転に変換されて操作軸14が回され、操作軸14の端部14bに嵌合される弁体6が連動することで回転されるようになっている。このように弁体6が回転することで弁体6の連通孔6aの向きが変わることによって流体路4及び分岐路5の開閉が行われている。
【0029】
すなわち、管体7に、弁体6と係合し、弁体6を管体7の外方から開閉操作する操作軸14が設けられていることによって、弁体6を直接操作せずとも、管体7の外方から容易に開閉操作をできるだけでなく、操作軸14が管体7に設けられているため、管体7の開口部12を閉塞する蓋部材13との干渉を避けることができる。尚、変向機能は、例えばかさ歯車等の回転の方向を変更する機構を用いてもよい。また、弁体は、本実施例の三方分岐のボール弁に限らない。
【0030】
上述のように、操作軸14と弁体6とがスピンドル16を回すことで連動して回動される。そのため、操作軸14の端部14aに軸支された表示板19も同様の態様によって連動して回動されるようになる。
【0031】
次に、表示板19が流体路4及び分岐路5の開閉状態を表示する動作について詳しく説明する。
【0032】
図4(a)に示されるように、流体路4は、連通箇所11を境にした接続部8a側の流体路4aと、連通箇所11を境にした接続部8b側の流体路4bと、からなる。また、弁体6は、連通孔6aが流体路4a、4bと分岐路5と連通され、流体路4a、4b及び分岐路5が全開状態時において、蓋部材13方向に位置する閉塞部6cが設けられている。このように流体路4a、4b及び分岐路5が全開状態となっている場合には、図4(b)の拡大部に示されるように、表示板19は、流体路4a、4b及び分岐路5全ての全開状態を表示するパターンAが上方を向くようになっている。
【0033】
表示板19がパターンAの状態からスピンドル16を略90度回転させると、図5(a)に示されるように、弁体6が回動されて連通孔6aが分岐路5と流体路4bと蓋部材13との方向に連通するようになる。すなわち、流体路4aが閉塞部6cによって閉塞されている状態となり、この場合には、図5(b)の拡大部に示されるように、表示板19が表示線17aと適合する線を有し、流体路4aがのみ閉塞されている状態を表示するパターンBが上方を向くようになっている。
【0034】
図6(a)は、表示板19がパターンBの状態から更にスピンドル16を略90度回転させ、弁体6が回動されて連通孔6aが流体路4a、4bと蓋部材13との方向に連通された様子を示している。すなわち、分岐路5が閉塞部6cによって閉塞されている状態となり、この場合には、図6(b)の拡大部に示されるように、表示板19が表示線17bと適合する線を有し、分岐路5のみが閉塞されている状態を表示するパターンCが上方を向くようになっている。
【0035】
図7(a)は、表示板19がパターンCの状態から更にスピンドル16を略90度回転させ、弁体6が回動されて連通孔6aが流体路4aと分岐路5と蓋部材13との方向に連通された様子を示している。すなわち、流体路4bが閉塞部6cによって閉塞されている状態となり、この場合には、図7(b)の拡大部に示されるように、表示板19が表示線17cと適合する線を有し、流体路4bのみが閉塞されている状態を表示するパターンDが上方を向くようになっている。
【0036】
このようにスピンドル16を回転させることで操作軸14と弁体6と表示板19とが同時に連動して回動されるため、表示板19のパターンA,B,C,Dの表示と表示線17a,17b,17cとの状態を確認しながら流体路4及び分岐路5の開閉状態を適宜設定することができる。
【0037】
以上のように両口管1,2に接続され、且つ分岐路5の下流側に消火栓9が接続される分岐管装置3が構成されている。次に、この分岐管装置3の組み立てについて説明する。
【0038】
分岐管装置3の組み立ては、先ず、突設部7bから連通箇所11に向けて操作軸14が略水平方向に設置され、連通箇所11内に弁体6をシールするシールパッキン20が配設される。次いで、弁体6が連通箇所11内に配置されるが、その際には、上述した連通箇所11における管壁7aの下面側の開口部12から弁体6が挿入され、弁体6の凹部6bに操作軸14の端部14bを嵌合可能な向きに弁体6が連通箇所11に配置される。これによって、操作軸14の端部14bと凹部6bとを目視により容易に嵌め込むことができるため、容易に弁体6を連通箇所11に設置することができる。
【0039】
次に、開口部12がシールパッキン20を介して蓋部材13によって閉塞される。この際、開口部12は、蓋部材13と管壁7aとが連結ネジ24で強固に緊締されることで閉塞され、弁体6が蓋部材13からの押圧によりそれぞれのシールパッキン20へ押し付けられるようになる。このことにより、一体の管壁7aに開口する開口部12が密封状に閉塞される。更に、蓋部材13が、操作軸14と凹部6bとの嵌合状態に干渉することなく容易に開口部12へ取り付けることができる。
【0040】
次に、操作軸14の端部14aに変向機構15が係合され、更にスピンドル16が分岐路5と平行に変向機構15に係合されて設置される。これによって、前述したように弁体6を操作軸14によって操作することができ、流体路4及び分岐路5の開閉切替が可能となる。次いで、分岐路5が位置する管体7には、分岐路5に内周面が連通するようにフランジ短管10が取り付けられ、その延長に消火栓9が設置される。
【0041】
このように組み立てられた分岐管装置3を挿口管1と受口管2とに上述したように接続され、分岐管装置3の配管が終了した後に、消火栓9を囲み、上方にマンホールが設けられた弁筐21が設置され、その周りを埋め戻すことで設置工事は終了する。
【0042】
以上説明したように、本発明の分岐管装置3は、地中に埋設される流体管網を構成する流体管である挿口管1と受口管2とに接続され、両口管1,2に連通する流体路4及び流体路4に連通した分岐路5が内部に形成された管体7と、管体7内に配設され流体路4及び分岐路5の開閉切換を行う弁体6と、を備えた分岐管装置3であって、管体7は、一体の管壁7aで構成されており、管壁7aに、弁体6の挿入口となる開口部12が形成されるとともに、開口部12を密封状に閉塞する蓋部材13が設けられていることを特徴としている。これによれば、管体7が、一体の管壁7aで構成されていることで、流体路4若しくは分岐路5方向に作用する地震等の外力に対して構造強度を高めることができるばかりか、管体7の構造が簡素化されるため分岐管装置3の組立て作業が簡略化される。特に、分岐管装置3は、両口管1,2との接続部8a、8bに、耐震構造部としての上記した凹部8d及び鍔部8eを有しているため、これら耐震構造部により両口管1,2との抜け出しが防止され、したがって分岐管装置3に対し流体路4方向の外力が加わることになるが、高い構造強度を有する一体の管壁7aにより、この外力に抗することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2に係る分岐管装置31につき、図8(a)、(b)を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0044】
図8(a)、(b)に示されるように、連通箇所11における管壁71aの紙面右側に開口部121が穿設されており、この開口部121には、密封状に閉塞される蓋部材131が設けられている。このように、開口部121が、流体路4と分岐路5との連通箇所11に形成されていることで、流体路4と分岐路5とを効率よく開閉できる連通箇所11に弁体6を設置し易いばかりか、開口部121が、管体71における断面係数の比較的高い流体路4と分岐路5との連通箇所11に形成されているため、開口部121が形成されたとしても管体71全体の構造強度を弱めずに維持できる。また、開口部121には、開口部121を閉塞する蓋部材131が、この蓋部材131を開放する方向に不平均力が掛からない箇所に設けられているため、この不平均力によって管体71の密封状態が阻害されない。特に、分岐管装置31は、上記実施例1と同様に、両口管1,2との接続部に、耐震構造部を有しているため、当該耐震構造部により両口管1,2との抜け出しが防止され、したがって分岐管装置31に対し流体路4方向の外力が加わることになるが、高い構造強度を有する一体の管壁71aにより、この外力に抗することができる。
【0045】
更に詳しくは、この開口部121は、前記実施例と同様に設けられた操作軸14と対抗する側に開口して設けられている。このことにより、操作軸14と弁体6の凹部6bとの嵌合方向に蓋部材131を設置するため、この蓋部材131に弁体6がスムーズに押されるようになるため、分岐管装置31の組立て作業が簡略化されるとともに、操作軸14と弁体6の凹部6bとの嵌合状態が強固になる。
【実施例3】
【0046】
次に、実施例3に係る分岐管装置32につき、図9(a)、(b)を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
図9(a)、(b)に示されるように、連通箇所11における管壁72aの紙面左側に開口部122が穿設されており、この開口部122には、密封状に閉塞される蓋部材132が設けられている。このように、開口部122が、流体路4と分岐路5との連通箇所11に形成されていることで、流体路4と分岐路5とを効率よく開閉できる連通箇所11に弁体6を設置し易いばかりか、開口部122が、管体72における断面係数の比較的高い流体路4と分岐路5との連通箇所11に形成されているため、開口部122が形成されたとしても管体72全体の構造強度を弱めずに維持できる。また、開口部122には、開口部122を閉塞する蓋部材132が、この蓋部材132を開放する方向に不平均力が掛からない箇所に設けられているため、この不平均力によって管体72の密封状態が阻害されない。特に、分岐管装置32は、上記実施例1と同様に、両口管1,2との接続部に、耐震構造部を有しているため、当該耐震構造部により両口管1,2との抜け出しが防止され、したがって分岐管装置32に対し流体路4方向の外力が加わることになるが、高い構造強度を有する一体の管壁72aにより、この外力に抗することができる。
【0048】
更に詳しくは、この蓋部材132は、略水平方向に内外に貫通し外方に突設した突設部132aが設けられており、この突設部132aから操作軸141が挿入されている。つまり、蓋部材132に、弁体6と係合し弁体6を管体72の外方から開閉操作する操作軸141が設けられている。
【0049】
このことにより、連通箇所11に弁体6が設置される際には、先ず操作軸141の端部141aに弁体6の凹部6bに嵌合させ、その後弁体6と蓋部材132と操作軸141とを一体的に設置することでスピンドル16の回転によって調整させながら容易に連通箇所11に設置することができ、分岐管装置32の組立て作業が簡略化される。更に、弁体6と係合する操作軸141により、弁体6を直接操作せずとも、管体72の外方から容易に開閉操作をできるだけでなく、操作軸141が蓋部材132に設けられているため、操作軸141用の別段の貫通開口を有した突設部を管体72に要さず、管体の構造強度を維持できるとともに、管体72内の密封性も向上される。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0051】
例えば、前記実施例では、管体は一体の管壁となっているが、本実施例に限らず管壁が少なくとも流体路及び分岐路方向に一体になっていれば、前記した方向を除く方向に分割可能になっていてもよい。
【0052】
尚、本実施例においては、弁体に凹部が形成されて操作軸とが嵌合され連動するようになっているが、例えば、弁体と操作軸とがそれぞれ螺合可能に形成されて連動するようになってもよく、弁体と操作軸との形状は、相互に係合して連動するものであればよい。
【0053】
尚、よりスムーズに弁体を設置するために弁体の凹部の深さは、操作軸が連通箇所内に延びる長さより長寸に設定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
3 分岐管装置
4 流体路
5 分岐路
6 弁体
7 管体
7a 管壁
8d 凹部(耐震構造部)
8e 鍔部(耐震構造部)
11 連通箇所
12 開口部
13 蓋部材
14 操作軸
19 表示板
31,32 分岐管装置
71 管体
71a 管壁
72 管体
72a 管壁
121、122 開口部
131、132 蓋部材
141 操作軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管に接続され、該流体管に連通する流体路及び該流体路に連通した分岐路が内部に形成された管体と、該管体内に配設され前記流体路及び前記分岐路の開閉切換を行う弁体と、を備えた分岐管装置であって、
前記管体は、一体の管壁で構成されており、該管壁に、前記弁体の挿入口となる開口部が形成されるとともに、該開口部を密封状に閉塞する蓋部材が設けられていることを特徴とする分岐管装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記流体路と前記分岐路との連通箇所に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分岐管装置。
【請求項3】
前記管体に、前記弁体と係合し該弁体を前記管体の外方から開閉操作する操作軸が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の分岐管装置。
【請求項4】
前記蓋部材に、前記弁体と係合し該弁体を前記管体の外方から開閉操作する操作軸が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の分岐管装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−91993(P2013−91993A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235231(P2011−235231)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)