説明

分岐装置

【課題】搬送経路のレイアウト等の変更にも対応でき、また、メンテナンスが容易な分岐装置を提供する。
【解決手段】搬送経路2を搬送されるトレーTを、搬送経路2と交差して設けられたフローラック11に分岐させる分岐システム1であって、搬送経路2は、トレーTを搬送するコンベヤ3を備えており、コンベヤ3と分離・独立して設けられ、搬送経路2を搬送されるトレーTを選択的に、フローラック11へ押し出す押出装置20を備えるという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫や工場等に設けられて、搬送経路を搬送される搬送物を搬送経路と交差して設けられた第2搬送経路に分岐させる分岐装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫や工場等に設置されるコンベヤ式等の搬送経路上を搬送されるダンボール箱やプラスチックケース等の搬送物を、上記搬送経路と交差する第2搬送経路に分岐させて、仕分ける分岐装置として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の分岐装置(シューソータ)が知られている。
【0003】
上記文献記載の分岐装置は、搬送物を搬送するコンベヤと一体となったシューをコンベヤ経路上の所定の分岐させる位置で、コンベヤの幅方向に移動させて、搬送物の下方側面を押し出すことで搬送物をコンベヤ上から側方の搬送経路に分岐させる構成となっている。
【特許文献1】特開2006−327816号公報
【特許文献2】特許第2887029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の分岐装置は、搬送機構であるコンベヤと搬送物を押し出すシューとが一体になって設けられる構成であるため、例えば、自動倉庫や工場の搬送経路のレイアウトを変更する場合に、シューが移動する分岐位置の変更や、押し出す速度、シューを増設する等の設計変更することが難しく、搬送経路のレイアウトが硬直化するという問題があった。また、シューの一部が破損した場合、コンベヤ全体を停止させて修理しなければならず、メンテナンス時に搬送システムに多大な影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、搬送経路のレイアウト等の変更にも対応でき、また、メンテナンスが容易な分岐装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬送経路を搬送される搬送物を、前記搬送経路と交差して設けられた第2搬送経路に分岐させる分岐装置であって、前記搬送経路は、前記搬送物を搬送する搬送機構を備えており、前記搬送機構と分離・独立して設けられ、前記搬送経路を搬送される前記搬送物を選択的に、前記第2搬送経路へ押し出す押出装置を備えるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、押出装置が搬送機構と一体となっておらず独立・分離しているため、押出装置を設ける位置の変更、増設等が容易に可能となる。また、メンテナンス時においても修理する押出装置を取り外して新たな押出装置と交換すれば、搬送機構を停止させる必要を無くすことができる。
【0007】
また、本発明では、前記押出装置は、前記搬送物と当接する押出部を有しており、前記搬送機構によって搬送される前記搬送物と前記押出部とを当接させて、前記搬送機構による搬送方向において、摺動させながら前記搬送物を押し出すという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、搬送機構による搬送物の搬送を停止させずに搬送物を効率よく分岐させることができる。
【0008】
また、本発明では、前記押出部は、前記搬送物と当接する当接面が含油型の樹脂材で形成されるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、当接面を含油型の樹脂材で形成することにより、搬送方向における押出部と搬送物との摺動を円滑に行わせることができる。
【0009】
また、本発明では、前記押出部は、前記搬送物と当接する当接面に、前記搬送物との摺動する方向に回転自在に設けられた車輪部を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、当接面にフリーローラ等の車輪部を設けることにより、搬送方向における押出部と搬送物との摺動を円滑に行わせることができる。
【0010】
また、本発明では、前記第2搬送経路の前記搬送経路に臨む入り口は、前記搬送方向手前側が、前記搬送経路に向かうに従って漸次拡径して設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、摺動しながら押し出される搬送物を第2搬送経路に導入させやすくすることができる。
【0011】
また、本発明では、前記押出部は、前記第2搬送経路に向かって回走する巻回部上に設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、巻回部上に設けられた押出部が回走することによって押し出しが行われる。
【0012】
また、本発明では、前記押出部は、前記巻回部上に複数設けられており、第1押出部が前記搬送物を押し出す分岐動作を完了した時に、前記第1押出部と異なる第2押出部が前記分岐動作の開始位置に位置決めされるように設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、押出部が分岐動作を終了した後
に、別の押出部が次の分岐動作の開始位置に待機することとなり、連続して搬送物を分岐させることができ、分岐動作の効率化を図ることができる。
【0013】
また、本発明では、前記第2搬送経路は、前記搬送経路を挟んだ両側に設けられており、前記巻回部を第1回転方向に回転させて、一方の第2搬送経路に押し出し、前記巻回部を前記回転方向と逆方向の第2回転方向に回転させて、他方の第2搬送経路に押し出す制御装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、同一地点において2方向に搬送物を分岐させることができる。
【0014】
また、本発明では、前記押出装置を複数並設して、前記搬送物を複数の前記押出装置で同期して押し出すという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、複数の押出装置が協働することによって、重量や寸法の大きな搬送物であっても分岐させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送経路を搬送される搬送物を、前記搬送経路と交差して設けられた第2搬送経路に分岐させる分岐装置であって、前記搬送経路は、前記搬送物を搬送する搬送機構を備えており、前記搬送機構と分離・独立して設けられ、前記搬送経路を搬送される前記搬送物を選択的に、前記第2搬送経路へ押し出す押出装置を備えるという構成を採用することによって、押出装置と搬送機構とが一体となっておらず独立・分離しているため、押出装置を設ける位置の変更、増設等が容易に可能となる。また、メンテナンス時においても修理する押出装置を取り外して新たな押出装置と交換すれば、搬送機構を停止させる必要を無くすことができる。
したがって、本発明は、搬送経路のレイアウト等の変更にも対応でき、また、メンテナンスが容易な分岐装置を提供することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
図1は、自動倉庫や工場等に設けられた分岐システム(分岐装置)1の平面図である。また、図2は、図1における分岐システム1の正面図である。
分岐システム1は、図1に示すように、物品を収容した箱形状のトレー(搬送物)Tが搬送される搬送経路2と、搬送経路2と交差して設けられたフローラック(第2搬送経路)11と、搬送経路2を搬送されるトレーTをフローラック11へ分岐させる押出装置20と、当該システム全体を制御する不図示の制御装置とを備える。
【0018】
搬送経路2は、図1において、紙面下方に直線的に延びる搬送路であり、底面がトレーTを搬送するコンベヤ(搬送機構)3によって構成されている。
コンベヤ3は、搬送経路2の幅方向両側に設けられた一対の無端状のチェーン4と、チェーン4間に横架されて、長さ方向に複数平行に配列された板形状のスラット5とから構成された、いわゆるスラットコンベヤである。コンベヤ3は、不図示の駆動機構によって長さ方向(図1において、紙面下方向(搬送方向))に無端回走して、スラット5上に載置されたトレーTを搬送する構成となっている。
なお、搬送されるトレーTにはバーコードやICタグ等の識別情報が付されており、搬送経路2上の所定の位置で、当該識別情報を読み取る不図示のセンサが設けられており、当該センサの読み取り情報が不図示の制御装置へ伝送される構成となっている。
【0019】
フローラック11は、搬送方向と直交する方向においてコンベヤ3と連接されており、当該直交する方向に延びる単位棚として搬送方向に複数列且つ高さ方向に複数段、配置される構成となっている(図1及び図2参照)。フローラック11は、図1に示すように、搬送経路2に臨む入り口15では、搬送方向手前側が、搬送経路2に向かうに従って漸次拡径して設けられている。また、フローラック11は、図2に示すように、入り口15から搬入されるトレーTの搬入方向に所定の角度で傾斜している。
なお、コンベヤ3及び後述する押出装置20についても、図2に示すように、フローラック11の各段に対応するように配設される。
【0020】
また、フローラック11は、図1に示すように、入り口15においてコンベヤトレーTを下方から支持する鉄板15aと、入り口15の後方においてコンベヤトレーTを下方から支持する一対のレール12a及びレール12bとを有する構成となっている。
【0021】
鉄板15aは、入り口15の床面を形成する金属性の板部材であり、拡径した側の一端がコンベヤ3の搬送面と略同一の高さで連接される構成となっている。
レール12a及びレール12bは、板部材15aの他端と接続され、幅方向に所定の間隔で平行に設けられる。また、レール12a及びレール12bには、トレーTの自重による傾斜方向への摺動を補助するローラ14が、幅方向に延びる回転軸回りに回転自在に、長さ方向に所定の間隔で複数設けられる構成となっている。
【0022】
押出装置20は、図1に示すように、各フローラック11の入り口15に対応するように複数設けられ、入り口15の幅と略同一の幅を有し、且つ、コンベヤ3の幅と略同一の長さを有している。また、押出装置20は、図2に示すように、支持部材20aによって、コンベヤ3上の所定の高さに、コンベヤ3と分離・独立して支持される。
なお、支持部材20aは、コンベヤ3内部の不図示のフレームに側方から接続されているが、設置場所は適宜変更可能であり、例えば、自動倉庫や工場の天井から押出装置20を吊り下げて支持する構成であっても良い。また、支持部材20aは、押出装置20を支持する高さを調節する機構を有していても良い。
【0023】
次に、図3を参照して、押出装置20の構成について詳しく説明する。
図3(a)は、押出装置20の平面図を示す。
図3(b)は、図3(a)における線視A−A断面図を示す。
押出装置20は、押出装置20の外装を形成する外装フレーム21と、外装フレーム21内に設けられトレーTをフローラック11へ押し出す押出機構30とから構成される。
なお、以下の説明において、押出装置20の長さ方向をX方向、幅方向をY方向、高さ方向をZ方向として説明することがある。
【0024】
外装フレーム21は、図3(a)に示す平面視で矩形状を有しており、また、図3(b)に示すように、下面が開口する方形の筐体形状を有している。また、外装フレーム21の−X方向側の外側面は、支持部材20aと接続される構成となっている(図2参照)。
【0025】
押出機構30は、図3(a)に示すように、外装フレーム21のY方向両側に平行に設けられたX方向に回走する一対の無端状のチェーン(巻回部)31と、チェーン31間に横架されたフック(押出部)32とを有し、図3(b)に示すように、チェーン31を回走させて、フック32でトレーTの側面を押し出す構成となっている。
【0026】
一対のチェーン31は、外装フレーム21の幅方向両側の内側面に各々設けられており、詳しくは、外装フレーム21の+X方向側において回転軸33に、−X方向側において回転軸34に水平に架設される。
【0027】
回転軸33は、図3(a)に示すように、外装フレーム21の+X方向側端部において幅方向に挿通しており、幅方向に延びる軸線回りに回転自在に支持される構成となっている。また、回転軸33には、+Y方向側のチェーン31と歯合するスプロケット33a及び−Y方向側のチェーン31と歯合するスプロケット33bが一体となって設けられている。
【0028】
回転軸34は、回転軸33と同一の構成となっており、外装フレーム21の−X方向側端部において幅方向に挿通して設けられ、+Y方向側のチェーン31と歯合するスプロケット34a及び−Y方向側のチェーン31と歯合するスプロケット34bを有する。また、回転軸34は、−Y方向側端部が、モータ35と接続されており、モータ35の回転駆動によってY方向に延びる軸線回りに回転して、並設されたチェーン31を同期して回走させる構成となっている。
なお、回転軸33及び回転軸34は、互いに平行に配置される。また、一対のチェーン31は各々、回転軸33及び回転軸34の間において、チェーンガイド36によってガイドされており、撓みが抑制される構成となっている。
【0029】
フック32は、チェーン31の内側面に設けられた不図示のアタッチメントと接続されて、チェーン31の回走方向と直交するように横架される。また、フック32は、図3(b)に示すように、チェーン31の回走時にトレーTの側面上部と当接する位置まで、チェーン31上の回走面に対して垂直方向に伸長している。さらに、フック32は、トレーTとの当接面32aが、フック32を形成する金属材等よりも摩擦係数が小さい含油型のナイロンやテフロン(登録商標)等の摩擦部材で形成されている。また、フック32は、チェーン31上に2箇所設けられており、互いに所定の間隔で離間している。
【0030】
続いて、トレーTを搬送経路2からフローラック11へ分岐させる分岐システム1の動作について図4を参照して説明する。
図4は、分岐システム1の一部を示す平面図であって、押出装置20の動作を説明する図である。
【0031】
先ず、図1に示すように、トレーTは、搬送経路2を搬送される過程で、ICタグの情報をセンサによって読み取られる。当該センサは読み取った情報を不図示の制御装置に伝送し、制御装置は読み取った情報を基に、複数設けられたフローラック11のいずれか一つにトレーTを収容するかを選択・決定する。そして、制御装置は、決定されたフローラック11に対応する押出装置20を駆動させる。
このとき、押出装置20は、図4(a)に示すように、フック32をコンベヤ3の幅方向のフローラック11が設けられた逆側に待機させている(開始位置)。
【0032】
押出装置20は、制御装置の制御の下、トレーTの情報をセンサによって読み取った位置とコンベヤ3のトレーTを搬送する搬送速度とから、フック32を動作させるタイミングを計ることとなる。押出装置20は、図4(a)に示すように、トレーTがフローラック11の入り口15の拡径した部位に達したタイミングで、モータ35を駆動させることとなる。
【0033】
押出装置20は、図3(b)に示すように、モータ35の駆動によりチェーン31の下面をX方向に回走させることでフック32をトレーTの側面に当接させて、トレーTをコンベヤ3の幅方向(フローラック11が設けられた側の幅方向)に押し出すこととなる。
このとき、トレーTは、図4(b)に示すように、コンベヤ3上を搬送方向に搬送されながら押し出されることとなる。したがって、トレーTは、搬送方向の搬送と、幅方向の押し出しとの力の合成により、入り口15において搬送方向に対して斜め方向に押し出されるが、当接面32aに当接しているためトレーT自体が斜め方向に向くことは無く、押し出された後も搬送中の姿勢を保ったままスムースにフローラック11に到達する。また、トレーTが当該姿勢を保つため、他のトレーTとの搬送ピッチ間隔が小さい場合であっても搬送中にトレーT同士の干渉を避けることができる。
なお、押出装置20は、トレーTをフック32の当接面32aと搬送方向において摺動させながら押し出す分岐動作を行うが、当接面32aが低摩擦部材で形成されているため、搬送方向における摺動を容易にさせて円滑に押し出しを行うこととなる。
【0034】
そして、トレーTは、図4(c)に示すように、フック32がコンベヤ3の幅分移動することによりフローラック11に導入されて、自重によりフローラック11の傾斜方向に搬送されることとなる。
また、トレーTは、図5に示すように、押出装置20による最後の押出時、フック32の先端で押し出される回転軸33に巻回される部位において、フック32の先端の速度が直線運動から回転運動となることで加速し、高速で押し出されることとなる。したがって、トレーTの最後の押し出し時において、勢いよくトレーTを払い出すことができ、鉄板15a上を摺動させて、ローラ14を有するレール12a及びレール12b上に到達させることができる。
【0035】
そして、押出装置20は、上記分岐動作を行うと、チェーン31が略半周分回走するので、次に搬送されてくるトレーTを押し出すために、もう一方のフック32を開始位置に位置するようにチェーン31を僅かな距離だけ回走させて次回の分岐動作に備えることとなる。
【0036】
したがって、上述した本実施形態によれば、搬送経路2を搬送されるトレーTを、搬送経路2と交差して設けられたフローラック11に分岐させる分岐システム1であって、搬送経路2は、トレーTを搬送するコンベヤ3を備えており、コンベヤ3と分離・独立して設けられ、搬送経路2を搬送されるトレーTを選択的に、フローラック11へ押し出す押出装置20を備えるという構成を採用することによって、押出装置20とコンベヤ3とが一体となっておらず独立・分離しているため、押出装置20を設ける位置の変更、増設等が容易に可能となる。また、メンテナンス時においても修理する押出装置20を取り外して新たな押出装置20と交換すれば、コンベヤ3を停止させる必要を無くすことができる。
したがって、本実施形態では、搬送経路のレイアウト等の変更にも対応でき、また、メンテナンスが容易な分岐システム1を提供することができる。
【0037】
また、本実施形態では、押出装置20は、トレーTと当接するフック32を有しており、コンベヤ3によって搬送されるトレーTとフック32とを当接させて、コンベヤ3による搬送方向において、摺動させながらトレーTを押し出すという構成を採用することによって、コンベヤ3によるトレーTの搬送を停止させずにトレーTを効率よく分岐させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、フック32は、トレーTと当接する当接面32aが含油型の樹脂材で形成されるという構成を採用することによって、搬送方向におけるフック32とトレーTとの摺動を円滑に行わせることができる。
【0039】
また、本実施形態では、フローラック11の搬送経路2に臨む入り口15は、搬送方向手前側が、搬送経路2に向かうに従って漸次拡径して設けられているという構成を採用することによって、摺動しながら押し出されるトレーTをフローラック11に導入させやすくすることができる。
【0040】
また、本実施形態では、フック32は、フローラック11に向かって回走するチェーン31上に設けられるという構成を採用することによって、チェーン31上に設けられたフック32が回走することによって押し出しが行われる。また、フック32がチェーン31上に設けられることで、トレーTの最後の押出時、フック32の先端が直線運動から回転運動となることを利用して、高速でトレーTを押し出すことが可能となる。したがって、鉄板15a等の摩擦が大きい底面におけるトレーTの荷詰まりを抑制することもできる。
また、鉄板15aの代わりにフリーローラが配設された底面を有する入り口15においても、フリーローラが停止しているタイミングでトレーTが押し出されるとフリーローラを回転させるためにトレーTの払い出し速度が若干下がることがあるが、トレーTの最後の押出時のトレーTの増速効果により、次に押し出されるトレーTとの干渉を回避することができるという効果も奏する。
【0041】
また、本実施形態では、フック32は、チェーン31上に複数設けられており、第1のフック32がトレーTを押し出す分岐動作を完了した時に、第1のフック32と異なる第2のフック32が分岐動作の開始位置に位置決めされるように設けられるという構成を採用することによって、連続してトレーTを分岐させることができ、分岐動作の効率化を図ることができる。
【0042】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、本実施形態では、当接面32aを含油型の樹脂材で形成して搬送方向の摺動を円滑にすると説明した。しかしながら、本発明は、当接面32aに、トレーTとの摺動する方向に回転自在に設けられたフリーローラ等の車輪部を有して、摺動を円滑にするという構成であっても良い。さらに、含油型の樹脂材と併用しても良い。
【0044】
また、本発明は、図6に示すように、フローラック11が、搬送経路2を挟んだ両側に設けられており、不図示の制御装置によって、チェーン31を第1回転方向(図6(b)において紙面左方向)に回転させて、一方のフローラック11に押し出し、チェーン31を第1回転方向と逆方向の第2回転方向(図6(b)において紙面右方向)に回転させて、他方のフローラック11に押し出す構成であっても良い。このような構成を採用することによって、同一地点において2方向にトレーTを分岐させることができる。なお、この場合、フック32の両面に含油型の樹脂材から形成される当接面32aを設けるのが好ましい。
【0045】
また、本発明は、図7に示すように、押出装置20を複数並設して、トレーTを複数の押出装置20で同期して押し出すという構成であっても良い。このような構成を採用することによって、複数の押出装置20が協働することによって、重量や寸法の大きなトレーTであっても分岐させることができる。
【0046】
また、本発明では、上記最後の押出時のトレーTの増速効果をさらに高めるために、フック32の長さをより長く設計する、または、スプロケット33bの半径を大きいもの交換する、あるいは、モータ35のインバータ周波数を変更して回転速度を上げるといった手段を用いても良い。
【0047】
また、本実施形態では、第2搬送経路は、フローラック11であると説明したが、本発明は、当該構成に限定されるものではなく、フローラック11の代わりにローラーコンベヤやベルトコンベヤ等を配設する構成であっても良い。このような構成を採用することによって、勾配のない水平の搬送経路や、より勾配のある搬送経路を設計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態における分岐システムの平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における分岐システムの正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における押出装置の平面図及びA−A断面である。
【図4】本発明の実施の形態における押出装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態における押出装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の別実施形態における分岐システムの平面図及び正面図である。
【図7】本発明の別実施形態における分岐システムの平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…分岐システム(分岐装置)、2…搬送経路、3…コンベヤ(搬送機構)、11…フローラック(第2搬送経路)、15…入り口、20…押出装置、31…チェーン(巻回部)、32…フック(押出部)、32a…当接面、T…トレー(搬送物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を搬送される搬送物を、前記搬送経路と交差して設けられた第2搬送経路に分岐させる分岐装置であって、
前記搬送経路は、前記搬送物を搬送する搬送機構を備えており、
前記搬送機構と分離・独立して設けられ、前記搬送経路を搬送される前記搬送物を選択的に、前記第2搬送経路へ押し出す押出装置を備えることを特徴とする分岐装置。
【請求項2】
前記押出装置は、前記搬送物と当接する押出部を有しており、
前記搬送機構によって搬送される前記搬送物と前記押出部とを当接させて、前記搬送機構による搬送方向において、摺動させながら前記搬送物を押し出すことを特徴とする請求項1に記載の分岐装置。
【請求項3】
前記押出部は、前記搬送物と当接する当接面が含油型の樹脂材で形成されることを特徴とする請求項2に記載の分岐装置。
【請求項4】
前記押出部は、前記搬送物と当接する当接面に、前記搬送物との摺動する方向に回転自在に設けられた車輪部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の分岐装置。
【請求項5】
前記第2搬送経路の前記搬送経路に臨む入り口は、前記搬送方向手前側が、前記搬送経路に向かうに従って漸次拡径して設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の分岐装置。
【請求項6】
前記押出部は、前記第2搬送経路に向かって回走する巻回部上に設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の分岐装置。
【請求項7】
前記押出部は、前記巻回部上に複数設けられており、第1押出部が前記搬送物を押し出す分岐動作を完了した時に、前記第1押出部と異なる第2押出部が前記分岐動作の開始位置に位置決めされるように設けられることを特徴とする請求項6に記載の分岐装置。
【請求項8】
前記第2搬送経路は、前記搬送経路を挟んだ両側に設けられており、前記巻回部を第1回転方向に回転させて、一方の第2搬送経路に押し出し、前記巻回部を前記回転方向と逆方向の第2回転方向に回転させて、他方の第2搬送経路に押し出す制御装置を有することを特徴とする請求項6または7に記載の分岐装置。
【請求項9】
前記押出装置を複数並設して、前記搬送物を複数の前記押出装置で同期して押し出すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の分岐装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−137753(P2009−137753A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318933(P2007−318933)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】