説明

分岐装置

【課題】製品コストを削減しつつ、接地面のレベル管理を容易とすることができる分岐装置を提供する。
【解決手段】可動桁10dは、可動桁10e側の端部が台車装置20dに固定される一方、可動桁10c側の端部が台車装置20cに垂直軸Lまわりに回動可能に連結されている。架台30dに台車レール31dを一本のみ敷設し、その一本の台車レール31dに沿って一列に配置された複数の車輪により台車装置20dを支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐装置に関し、特に、製品コストを削減しつつ、接地面のレベル管理を容易とすることができる分岐装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
線路や軌道を分岐させ、鉄道車両などの車両の進路を選択する分岐装置が特許文献1に開示されている。この分岐装置によれば、桁長さ方向に隣り合い垂直軸Qで連結される可動桁1a,1bを搭載する台車3と、軌道転換時に可動桁1a,1bを水平移動させる流体圧シリンダ5及び引っ張り機構6とを備え、流体圧シリンダ5の伸縮駆動力および引っ張り機構6のチェーン駆動力により、台車3に搭載された可動桁1a,1bを水平移動させ、軌道を転換する。
【0003】
しかしながら、この分岐装置では、軌道を転換する際に可動桁1a,1bから伝達される桁長さ方向の荷重(水平荷重)が流体圧シリンダ5のピストンロッドに曲げ荷重として作用するため、流体圧シリンダ5のシール部が損傷して、流体が漏れる等の故障が発生しやすい。また、引っ張り機構6は、従駆動両スプロケット9、10間に掛け渡されたチェーン8の両端を可動桁1a,1bに取り付け、そのチェーン8を一対のモータ7の正逆回転により駆動するという複雑な構造である。
【0004】
そこで、特許文献2には、台車35にモータ37を搭載し、そのモータ37の回転駆動力により車輪36をレール32A,32AA上で転動させることで、台車35を自走させる技術が開示されている。これにより、台車35を移動させるための構造を簡素化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2939377号公報(図1〜図4など)
【特許文献2】特公平03−015416号公報(図13など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献2に開示される技術では、台車を自立させるために二本のレールを敷設する必要があり、部品点数や敷設工数が嵩むため、その分、製品コストが嵩むという問題点があった。また、駆動輪とレールとの間に隙間が生じると、空転により台車を自走させることができなくなるため、全車輪をレールに均等に接地させる必要があるところ、二本のレールに対して全車輪を接地させることは困難であり、その接地面のレベル管理が煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、製品コストを削減しつつ、接地面のレベル管理を容易とすることができる分岐装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
請求項1記載の分岐装置によれば、長手方向に複数が並べられ車両の走行進路を形成する可動桁と、それら複数の可動桁の相対向する端部を支持する台車装置とを備え、台車装置が移動されると、その台車装置の移動に伴って可動桁が移動され、車両の走行進路が切り替えられる。
【0009】
この場合、複数の可動桁における相対向する端部は、その一方が台車装置に固定されると共に、他方が垂直軸まわりに回動可能に台車装置に連結されているので、台車装置を自立させるために、二本のレールを敷設する必要がない。即ち、レールを一本のみ敷設し、その一本のレールに沿って一列に配置された複数の車輪により台車装置を支持する構成(一本のレールに沿って一列に配置される複数の車輪を台車装置が備える構成)とすることができる。
【0010】
その結果、二本のレールの敷設が必要となる分岐装置と比較して、部品点数や敷設工数を低減することができるので、その分、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、一本のレールに対してのみ、車輪とレールとの間の接地面のレベル管理を行えば良いので、二本のレールに対して接地面のレベル管理を行う必要がある場合と比較して、接地面のレベル管理を容易に行うことができるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の分岐装置によれば、請求項1記載の分岐装置の奏する効果に加え、支承の配設数を低減して、その分、製品コスト及び維持管理コストの削減を図ることができるという効果がある。即ち、台車装置と可動桁との間に支承を介在させ、台車装置に対して可動桁を水平方向に移動可能に支持する構成において、本発明では、相対向する端部の一方は台車装置に固定されているので、相対向する端部の他方と台車装置との間にのみ支承を介在させれば良い。よって、相対向する端部の一方および他方の両者に支承を配設する場合と比較して、支承の配設数を低減することができるので、その分、製品コスト及び維持管理コストの削減を図ることができる。
【0012】
この場合、垂直軸方向視において、相対向する端部の一方側に曲率中心が位置する円弧状にレールが形成されると共に、そのレールに沿って複数の車輪が一列に配置されているので、レールが直線状に形成される場合(即ち、台車装置の移動方向に対して可動桁が傾斜して移動する場合)と比較して、支承上面での水平方向変位量を少なくすることができる。よって、その分、支承の寿命を向上させ、メンテナンス頻度の低減を図ることができるという効果がある。
【0013】
なお、上述した二本のレールを敷設する分岐装置では、それら二本のレールを本発明のように垂直軸方向視において円弧状に形成すると、内輪と外輪との移動距離が異なるため、その差を吸収するために、内輪と外輪との外径を異ならせる、或いは、内輪と外輪とをそれぞれ別の駆動装置により異なる回転数で駆動制御する必要が生じる。これに対し、本発明では、レールを一本とし、その一本のレールに沿って車輪を一列に配置することができるので、各車輪に移動距離の差を発生させることなく、レールを円弧状に形成することができる。
【0014】
即ち、このように一本のレールに沿って車輪を一列に配置する構成は、従来品では不可能であり、本発明のように、複数の可動桁における相対向する端部の一方を台車装置に固定し、かつ、他方を台車装置に回動可能に連結することで初めて可能となったものであり、これにより、内外輪の外径を異ならせることや内外輪を別の駆動装置により異なる回転数で駆動制御することを不要としつつ、支承のメンテナンス頻度の低減を図ることができる。
【0015】
請求項3記載の分岐装置によれば、請求項1又は2に記載の分岐装置の奏する効果に加え、車輪保持部は、本体部の一側および他側に車輪が一輪ずつ回転可能に軸支され、その本体部は、一側の車輪をレールに近接させる方向または他側の車輪をレールに近接させる方向に揺動可能な状態で保持部により保持されているので、二輪の車輪をレールに確実に接地させることができる。よって、車輪とレールとの間の接地面のレベル管理を容易とすることができるという効果がある。
【0016】
ここで、車輪の数を多くすることで、台車装置の支持を安定して行えると共に各車輪の分担荷重を軽減することができる一方で、車輪とレールとの間の接地面のレベル管理が困難となる。この場合、本発明では、二輪一組の車輪を有する車輪保持部を複数備え、それら各車輪保持部が揺動可能とされているので、車輪の数を多くした場合でも、接地面のレベル管理を容易とすることができる。即ち、台車装置の支持の安定化や各車輪の分担荷重の軽減と、接地面のレベル管理の容易化との両立を図ることができる。
【0017】
請求項4記載の分岐装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の分岐装置の奏する効果に加え、台車装置は、複数の車輪の内の少なくとも一の車輪を回転駆動する駆動装置を備えているので、かかる一の車輪の回転駆動を直接行うことができる。よって、駆動装置を外部に設置する場合のように、その駆動装置の駆動力を台車装置へ伝達するための伝達機構を設ける必要がないので、構造を簡素化でき、その分、部品点数の削減を図ることができるという効果がある。
【0018】
請求項5記載の分岐装置によれば、請求項4記載の分岐装置の奏する効果に加え、複数の車輪の内の少なくとも一の車輪を回転駆動する駆動装置を備えると共に、その駆動装置が複数の車輪保持部のそれぞれに配設され、各車輪保持部の車輪が各駆動装置により回転駆動されるので、駆動輪を複数とすることができる。よって、一の駆動系統が故障した場合でも、他の駆動系統により、台車装置の移動を確保することができるので、車両の走行進路の切り替えを確実に行うことができるという効果がある。
【0019】
この場合、各駆動輪は、それぞれ車輪保持部に軸支されているので、かかる駆動輪をレールに確実に接地させることができる。よって、駆動輪が複数設けられた場合であっても、各駆動輪の回転駆動力をレールへ確実に伝達させることができるという効果がある。
【0020】
請求項6記載の分岐装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の分岐装置の奏する効果に加え、複数の可動桁における相対向する端部の他方を台車装置に回動可能に連結する部位(連結機構)における垂直軸の延長線上にレールが位置するので、そのレール上を車輪が転動することで、台車装置が移動し、その台車装置が可動桁を連結機構を介して押す場合には、台車装置の移動方向視において、車輪から台車装置に作用する力の作用点と、可動桁(連結機構)から台車装置に作用する力の作用点とを一直線状に配置することができる。これにより、台車装置に回転力が作用することを抑制して、台車装置の安定した移動を確保することができるという効果がある。
【0021】
請求項7記載の分岐装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の分岐装置の奏する効果に加え、長手方向に複数が並べられた可動桁の内の後端側に位置する可動桁の後端側端部が固定される後端側台車装置を備えると共に、長手方向に複数が並べられた可動桁の内の始端側に位置する可動桁の始端側端部は、相対向する固定桁に対して垂直軸まわりに回動可能に連結されているので、後端側台車装置および台車装置を移動させることで、後端側に位置する可動桁が第1の走行進路に接続される第1の状態と、後端側に位置する可動桁が第2の走行進路に接続される第2の状態とに、少なくとも車両の走行進路を切り替えることができる。
【0022】
この場合、後端側に位置する可動桁は、後端側端部が台車装置に固定されると共に、後端側端部と反対側の端部(即ち、相対向する端部の他方)が垂直軸まわりに回動可能に台車装置に連結されているので、後端側台車装置を自立させるために、二本のレールを敷設する必要がない。即ち、レールを一本のみ敷設し、その一本のレールに沿って一列に配置された複数の車輪により台車装置を支持する構成(一本のレールに沿って一列に配置される複数の車輪を台車装置が備える構成)とすることができる。
【0023】
その結果、二本のレールの敷設が必要となる分岐装置と比較して、部品点数や敷設工数を低減することができるので、その分、製品コストの削減を図ることができるという効果がある。また、一本のレールに対してのみ、車輪とレールとの間の接地面のレベル管理を行えば良いので、二本のレールに対して接地面のレベル管理を行う必要がある場合と比較して、接地面のレベル管理を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態における分岐装置の上面図であり、(b)は分岐装置の側面図である。
【図2】分岐装置の上面図である。
【図3】分岐装置の部分拡大上面図である。
【図4】分岐装置の部分拡大側面図である。
【図5】分岐装置の部分拡大側面図である。
【図6】図5のVI−VI線における分岐装置の断面図である。
【図7】図6のVII−VII線における連結機構の断面図である。
【図8】図5のVIII−VIII線における支承機構の断面図である。
【図9】弾性支承として構成される支承機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、分岐装置100の全体構成について説明する。図1(a)及び図1(b)は本発明の一実施の形態における分岐装置100の上面図および側面図であり、可動桁10a〜10fの基準位置への配置により基準進路が形成された状態が図示されている。図2は、分岐装置100の上面図であり、可動桁10a〜10fの分岐位置への配置により分岐進路が形成された状態が図示されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、分岐装置100は、長手方向に複数が並べられ車両(図示せず)の走行進路を形成する可動桁10a〜10fと、それら複数の可動桁10a〜10fの相対向する端部を支持する台車装置20a〜20e及び可動桁10fの後端側端部(図1及び図2右側端部)を支持する後端側台車装置20fと、それら台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fが移動するための軌道が形成される架台30a〜30fと、を備え、台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fが移動することで、車両の走行進路を基準進路と分岐進路とに切り替える。
【0027】
即ち、分岐装置100の始端側(図1及び図2左側)には、基準進路および分岐進路を形成する共通固定桁Aが可動桁10aの始端側端部(図1及び図2左側端部)に相対向して配設されると共に、分岐装置100の後端側(図1及び図2右側)には、基準進路を形成する基準固定桁B1と分岐進路を形成する分岐固定桁B2とが、可動桁10fの後端側端部(図1及び図2右側端部)に相対向可能な位置に、所定間隔を隔てつつ並設されている。
【0028】
そして、台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fが架台30a〜30f上を移動し、可動桁10a〜10fが図1に示す基準位置に移動されると、これら可動桁10a〜10fが共通固定桁A及び基準固定桁B1に接続され、車両の走行進路が基準進路に切り替えられる一方、可動桁10a〜10fが図2に示す分岐位置に移動されると、これら可動桁10a〜10fが共通固定桁A及び分岐固定桁B2に接続され、車両の走行進路が分岐進路に切り替えられる。
【0029】
次いで、図3を参照して、架台30a〜30fについて説明する。図3は、分岐装置100の部分拡大上面図であり、可動桁10d,10eの相対向する端部の図示が部分的に省略されている。なお、図3は、図1(a)の状態(即ち、可動桁10a〜10fの基準位置への配置により基準進路が形成された状態)に対応する。
【0030】
図3に示すように、分岐装置100の下面側であって、可動桁10d,10eの相対向する端部の下面側には、台車装置20d(図1参照)が移動するための軌道を形成するための架台30dが配設されている。架台30dには、台車レール31dと、ガイドレール32dとが一本ずつ敷設されている。
【0031】
台車レール31dは、台車装置20dの車輪221(図5及び図6参照)が転動するレールであり、上面視において、共通固定桁A側に曲率中心が位置し、基準固定桁B1及び分岐固定桁B2側に凸となる円弧状に湾曲して形成されている。この台車レール31dにより、可動桁10d,10e及び台車装置20dの重量(垂直荷重)が支えられる。
【0032】
ガイドレール32dは、可動桁10dの長手方向(桁長さ方向、図3左右方向)への移動を規制するためのレールであり、台車装置20dに配設された一対のガイドローラ231(図5及び図6参照)の外周面の間に狭持されている。このガイドレール32dは、上面視において、台車レール31dに同心の円弧状に湾曲して形成されている。このガイドレール32dにより、可動桁10dがその長手方向へ移動しようとする際の水平方向の荷重(水平荷重)が支えられると共に、台車装置20dの進行方向のガイド(案内)が行われる。
【0033】
なお、分岐装置100の下面側には、架台30dの他にも、可動桁10a〜10fの相対向する端部のそれぞれに、架台30a〜30c,30eが配設されると共に、可動桁10fの後端側端部の下面側には、架台30fが配設されている(図1参照)。これら架台30a〜30c,30e,30fには、台車装置20a〜20c,20e及び後端側台車装置20f(図1参照)が移動するための軌道、即ち、台車レール31a〜31c,31e,31f及びガイドレール32a〜32c,32e,32fがそれぞれ一本ずつ敷設されている。
【0034】
分岐装置100は、その始端側に位置する可動桁10aの始端側端部を固定支点とし、後端側に位置する可動桁10fの後端側端部の移動が最大となる状態で移動されるので、台車レール31a〜31f及びガイドレール32a〜32fのレール長さは、基準固定桁B1及び分岐固定桁B2側に近いものほど長くされている。
【0035】
なお、架台30a〜30fは、軌道の長さ(台車レール31a〜31f及びガイドレール32a〜32fのレール長さ)が異なるのみで、他の構成はいずれも同じであるので、架台30dを除く他の架台30a〜30c,30e,30fについての説明は省略する。
【0036】
次いで、図4を参照して、台車装置20a〜20eによる可動桁10a〜10fの支持構造について説明する。図4は、分岐装置100の部分拡大側面図であり、図1(b)の状態(即ち、可動桁10a〜10fの基準位置への配置により基準進路が形成された状態)に対応する。なお、可動桁10a〜10f及び台車装置20a〜20eは共にいずれも同じ構成であり、可動桁10a〜10fの台車装置20a〜20eによる各支持構造もそれぞれ同じ構造であるので、ここでは、台車装置20c,20dによる可動桁10c〜10eの支持構造について説明し、他の支持構造についてはその説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、可動桁10c〜10eは、それらの相対向する端部の一方(共通固定桁A側(図1参照)、図4左側)の端部が台車装置20c,20dに固定されると共に、相対向する端部の他方(基準固定桁B1及び分岐固定桁B2側(図1参照)、図4右側)が、台車装置20c,20dに垂直軸L(図7参照)まわりに回動可能に連結されている。
【0038】
即ち、可動桁10dは、分岐装置100の後端側(図4右側)の端部(即ち、走行進路の切り替え時の移動量が大きな側)が台車装置20dに固定される一方、分岐装置100の始端側(図4左側)の端部(即ち、走行進路の切り替え時の移動量が小さい側)が台車装置20cに垂直軸Lまわりに回動可能に連結されている。なお、この連結構造の詳細構成については後述する。
【0039】
次いで、図5から図8を参照して、台車装置20a〜20eの詳細構成について説明する。図5は、図4に示す分岐装置100の部分拡大側面図であり、図6は、図5のVI−VI線における分岐装置100の断面図である。なお、上述したように、台車装置20a〜20eはいずれも同じ構成であるので、ここでは、台車装置20dについて説明し、他の台車装置20a〜20c,20eについてはその説明を省略する。
【0040】
図5及び図6に示すように、台車装置20dは、台部210と、その台部210の下面側に配設される一対の車輪保持部220と、それら一対の車輪保持部220に並設されつつ台部210の下面側に配設されるガイド部230とを備えている。
【0041】
台部210は、台車装置20dの骨格をなす部材であり、鉄鋼材料から平板状に形成されている。車輪保持部220は、台車装置20dを移動させる駆動部として機能すると共に、可動桁10d,10eの重量(垂直荷重)を支える支持部として機能する部位であり、複数(本実施の形態では2個)が、台部210の下面側であって、可動桁10dの桁幅方向(図6左右方向)一側および他側の端部に配設されている。
【0042】
車輪保持部220は、直列に配置される二輪の車輪221と、それら両車輪221を回転可能に軸支する保持部本体222と、その保持部本体222を揺動可能な状態で台部210に保持する保持部223と、二輪の車輪221の内の一方の車輪221に回転駆動力を付与する駆動装置224とを備えている。
【0043】
二輪の車輪221は、同径に形成されると共に、保持部本体222の一側(図6右側)と他側(図6左側)とにそれぞれ軸支され、転動方向(図6左右方向)に所定間隔を隔てて配置されている。なお、二輪の車輪221は、台車レール31dに沿って一列に配置されている。即ち、各車輪221の回転軸は、円弧状に湾曲した台車レール31d(図3参照)の法線方向に平行とされており、台車レール31d上を転動可能とされている。
【0044】
また、車輪221の両側にフランジは形成されていない。よって、車輪221は、台車レール31dのレール幅方向に移動可能とされている。
【0045】
保持部本体222は、二輪の車輪221を軸支する両位置の中間点が、保持部223により揺動可能に軸支されており、これにより、一側の車輪221を台車レール31dに近接させる方向(図6時計まわり)及び他側の車輪221を台車レール31dに近接させる方向(図6反時計まわり)に揺動可能とされている。
【0046】
その結果、二輪の車輪221をそれぞれ台車レール31dに確実に接地させることができるので、車輪221と台車レール31dとの間の接地面のレベル管理を容易とすることができる。
【0047】
ここで、車輪221の数を多くする(例えば、保持部本体222に三輪以上を軸支した場合や台部210に三輪以上を直接軸支した場合など)と、台車装置20dの支持を安定して行えると共に各車輪221の分担荷重を軽減することができる一方で、車輪221と台車レール31dとの間の接地面のレベル管理が困難となる。この場合、本実施の形態では、二輪一組の車輪221を有する車輪保持部220を2個備え、それら各車輪保持部220が共に揺動可能とされているので、車輪221の数を多くした場合でも、接地面のレベル管理を容易とすることができる。即ち、台車装置20dの支持の安定化や各車輪221の分担荷重の軽減と、接地面のレベル管理の容易化との両立を図ることができる。
【0048】
駆動装置224は、電動モータや油圧モータなどの回転駆動アクチュエータであり、連結アーム225を介して、保持部本体222に連結固定されている。この駆動装置224は、複数(本実施の形態では2個)の車輪保持部220のそれぞれに配設されているので、駆動輪を複数(本実施の形態では合計二輪)とすることができる。よって、一方の駆動系統が故障した場合でも、他方の駆動系統により、台車装置20dの移動を確保することができるので、分岐装置100による車両の走行進路の切り替えを確実に行うことができる。
【0049】
この場合、各駆動輪は、それぞれ別の車輪保持部220に軸支されているので、車輪221と台車レール31dとの間の接地面のレベル精度が悪い場合であっても、駆動輪をそれぞれ台車レール31dに確実に接地させることができる。よって、駆動輪が複数設けられた場合に、各駆動輪の回転駆動力を台車レール31dへ確実に伝達させることができるので、その伝達効率の向上を図ることができる。
【0050】
なお、駆動装置224は、可動桁10dの桁幅方向(図6左右方向)外側に位置する車輪221に同軸に配設されており、かかる外側に位置する車輪221を駆動輪として回転駆動力を付与する。
【0051】
かかる駆動輪は、台部210の側面(図6左右側面)よりも外側に配置されているので、駆動装置224も台部210の側面よりも外側に配置することができるので、作業スペースを確保して、駆動装置224のメンテナンス作業性の向上を図ることができる。また、このように、一対の車輪保持部220の外側に位置する車輪221をそれぞれ駆動輪とすることで、台車装置20dをいずれの方向へ移動させる場合であっても、一方の駆動輪を、保持部223を介して、台部210を押す車輪とし、他方の駆動輪を、保持部223を介して、台部210を引っ張る車輪とすることができるので、全体として駆動力を安定して発揮させることができる。
【0052】
ガイド部230は、台車装置20dの移動方向を案内する案内部として機能すると共に、可動桁10dを走行する車両の制動などによって、可動桁10dにその長手方向(図5左右方向)への荷重が作用した場合に、その荷重(水平荷重)を支える支持部として機能する部位であり、台部210の下面側であって、車輪保持部220よりも分岐装置100の始端側(図5左側)となる位置において、可動桁10dの桁幅方向(図6左右方向)中央に配設されている。
【0053】
ガイド部230は、ガイドレール32dを両側から挟む二輪一組のガイドローラ231と、それら各ガイドローラ231を回転可能に軸支するガイド本体部232と、そのガイド本体部232を回動可能な状態で台部210に軸支する支持軸233とを備えている。
【0054】
ガイドローラ231は、複数(本実施の形態では合計四輪)がそれぞれ同径に形成され、二輪一組が複数組(本実施の形態では2組)配設されている。
【0055】
即ち、ガイドローラ231は、各組が、図5に示すように、ガイドレール32dの両側面(図5右側面および左側面)に二輪の外周面を当接させつつ(又は、ガイドレール32dの両側面と二輪の外周面との間に所定の隙間を設けつつ)、両組が、図6に示すように、支持軸233から等距離となる位置に間隔を隔てて配設されている。
【0056】
各ガイドローラ231の回転軸および支持軸233の回転軸は、台車装置20dの移動平面に対して垂直方向(図5及び図6上下方向)を向いており、台車装置20dが移動する場合には、ガイドレール32dの側面上を両ガイドローラ231が転動されると共に、その転動により台車装置20dがガイドレール32dに沿って案内される。
【0057】
なお、ガイドローラ231の外周面は、軸方向(図5及び図6上下方向)に沿って同径の平坦面として形成されると共に、ガイドレール32dの両側面(ガイドローラ231の転動面)は、ガイドローラ231の軸方向と平行な平坦面として形成されている。よって、ガイドローラ231は、ガイドレール32dのレール高さ方向(図5及び図6上下方向)に移動可能とされている。
【0058】
次いで、台車装置20dと可動桁10d,10eとの連結構造について説明する。台車装置20dには、可動桁10dの後端側(図5右側)が連結固定部10d1を介して固定される一方、可動桁10eの始端側(図5左側)が連結機構50及び支承機構60を介して回動可能に連結されている。これにより、隣り合う可動桁10d,10e同士が、相対回動可能かつ長手方向(図5左右方向)に相対移動可能に連結される。
【0059】
図5及び図6に示すように、連結機構50は、台車装置20dに可動桁10eを垂直軸L(図7参照)まわりに回動可能に連結する部位であり、台車装置20dの上面側に固着され可動桁10eへ向けて垂設される連結軸部51と、可動桁10eの下面側に固着され連結軸部51が回動可能かつ直進移動可能に貫装される軸保持部52とを備える。
【0060】
なお、連結固定部10d1は、図6に示すように、桁幅方向両側に一対が所定間隔を隔てつつ対向して配設されており、これら一対の連結固定部10d1により、可動桁10dが台車装置20dに固定されると共に、図5に示すように、一対の連結固定部10d1の対向面間に、連結機構50の半分(図5左側部分)が入り込んでいる。また、各可動桁10a〜10c,10e,10fにおける連結固定部は、可動桁10dにおける連結固定部10d1と同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0061】
ここで、図7を参照して、連結機構50の詳細構成について説明する。図7は、図6のVII−VII線における連結機構50の断面図である。連結軸部51は、台車装置20dの移動平面に対して垂直な垂直軸Lを有する断面円形の円柱状体として形成されている。軸保持部52は、可動桁10eの長手方向(図7上下方向)に延設されるスライド溝52aを備えており、このスライド溝52aに連結軸部51が貫装されている。なお、連結軸部51と軸保持部52との間には、一対のスライドプレート53が介設されている。
【0062】
一対のスライドプレート53は、その対向面が互いに平行に形成されると共に対向面間隔が連結軸部51の外径とほぼ等しい寸法に設定されており、連結軸部51を、回動可能かつ可動桁10eの長手方向(図7上下方向)のみへ直進移動可能に保持する。これにより、可動桁10eが台車装置20dに対して、垂直軸Lまわりに相対的に回動可能かつ可動桁10eの長手方向に沿って相対的に前進後退(図7矢印F,B方向へ移動)可能に、連結される。
【0063】
図5及び図6に戻って説明する。このように構成された連結機構50を介して、可動桁10eが台車装置20dに連結されているので、台車装置20dを桁幅方向(図6左右方向)へ移動させる場合には、かかる台車装置20dの移動を、連結軸部51を介して軸保持部52に伝達することができ、その結果、連結機構50を関節として、可動桁10eと可動桁10dとを相対的に角折れ変位(傾斜)させつつ、可動桁10eを桁幅方向へ移動させることができる。
【0064】
また、外気温度の影響により、可動桁20eの長手方向(図5左右方向)長さが収縮または伸張する場合でも、連結軸部51が軸保持部52に対してスライド溝52aに沿って相対移動することで、可動桁10eの長手方向長さの収縮または伸長を吸収することができる。これにより、連結機構50や台車装置20dのガイド部230に過大な水平荷重が作用することを抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。また、分岐装置100全体として、複数の可動桁10a〜10fの収縮または伸張が累積せず、一桁分の収縮または伸張のみが発生する構成とすることができるので、その分、可動桁10f(最後端可動桁)と基準固定桁B1及び分岐固定桁B2(後端側固定桁)との間における遊間を小さく設定することができる。その結果、車両が走行する際の段差を小さくすることができるので、段差通過時の車両の衝撃を抑制して、車両のスムーズな走行を達成することができる。
【0065】
ここで、図5に示すように、連結機構50の連結軸部51は、その垂直軸Lの延長線上に台車レール31dが位置する位置に配設されている。これにより、台車レール31上を車輪221が転動することで、台車装置20dが移動して、その台車装置20dが可動桁10eを連結機構50を介して押す場合には、台車装置20dの移動方向視(図5紙面垂直方向視)において、車輪221から台車装置20dの台部210に作用する力の作用点と、連結機構50の連結軸51から台車装置20dの台部210に作用する力の作用点とを一直線状に配置する(即ち、両作用点の図5における左右方向位置を一致させる)ことができる。これにより、台車装置20dの台部210に回転力が作用することを抑制して、台車装置20dの安定した移動を確保することができる。
【0066】
支承機構60は、台車装置20dに対して可動桁10eを水平方向に移動可能に支持する部位であり、可動桁10eの桁幅方向(図6左右方向)両側であって、連結機構50よりも分岐装置100の後端側(図5右側)となる位置において、台車装置20dの上面側と可動桁10eの下面側との対向面間に介設されている。ここで、図8を参照して、支承機構60の構成について説明する。
【0067】
図8は、図5のVIII−VIII線における支承機構60の断面図である。支承機構60は、可動桁10eの下面に固定される金属板部61と、台車装置20dの上面に固定される基部62と、その基部62の上面に固定される弾性部63と、その弾性部63の上面に固定されると共に金属板部61に当接されるスライド部64とを備える。
【0068】
このように構成された支承機構60を介して、可動桁10eを台車装置20dに支持することで、台車装置20dを台車レール31d及びガイドレール32dに沿って桁幅方向(図6左右方向)へ移動させる場合には、金属板部61の下面がスライド部64の上面を摺接するので、可動桁10eを台車装置20dに対して水平方向へ滑らかに移動させることができる。
【0069】
ここで、弾性部63は、図8に示すように、ゴム状弾性体から構成されるゴム基体63aと、そのゴム基体63aに埋設されると共に所定間隔を隔てつつ積層される金属性の積層板63bとを備える。これにより、ゴム基体63aの弾性変形により、可動桁10eの桁たわみ(曲げ変形)を吸収可能としつつ、複数の積層板63bにより弾性部63の剛性を確保して、可動桁10eからの垂直荷重を支持すると共に、台車装置20dに対する可動桁10eの水平方向への移動を安定して行わせることができる。
【0070】
なお、分岐装置100の始端側に位置する可動桁10aの始端側端部は、上述した連結機構50及び支承機構60を介して、共通固定桁Aを支持する基礎部Mに垂直軸Lまわりに回動可能に連結されている(図1(b)参照)。即ち、基礎部Mの上面に連結軸部51が固定されると共に、その連結軸部51が貫装される軸保持部52が可動桁10aの下面側に固定されている(図示せず)。
【0071】
また、分岐装置100の後端側に位置する可動桁10fの後端側端部は、後端側台車装置20fに支持されている(図1(b)参照)。後端側台車装置20fは、上述した台車装置20a〜20eに対して、台部が台部210よりも小さく形成されると共に、連結機構50及び支承機構60が省略されている点が異なるのみで、他の構成は同様であるので、その説明は省略する。
【0072】
以上のように、本実施の形態における分岐装置100によれば、複数の可動桁10a〜10fにおける相対向する端部は、その一方が台車装置20a〜20e又は後端側台車装置20fに固定されると共に、他方が垂直軸Lまわりに回動可能に台車装置20a〜20e又は基礎部Mに連結されているので、台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fを自立させるために、二本の台車レールを架台30a〜30fにそれぞれ敷設する必要がない。
【0073】
即ち、架台30a〜30fに台車レール31a〜31fをそれぞれ一本のみ敷設し、その一本の台車レール31a〜31fに沿って一列に配置された複数の車輪221により台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fを支持する構成(即ち、一本の台車レール31a〜31fに沿って一列に配置される複数の車輪221を台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fが備える構成)とすることができる。
【0074】
その結果、二本の台車レールを架台30a〜30fにそれぞれ敷設する必要がある分岐装置と比較して、部品点数や敷設工数を低減することができるので、その分、分岐装置100全体としての製品コストの削減を図ることができる。また、一本の台車レール31a〜31fに対してのみ、車輪221と台車レール31a〜31fとの間の接地面のレベル管理を行えば良いので、二本の台車レールに対して接地面のレベル管理を行う必要がある場合と比較して、接地面のレベル管理を容易に行うことができる。
【0075】
また、上述のように、基礎部M及び台車装置20a〜20eと可動桁10a〜10fとの間に支承機構60を介在させ、基礎部M及び台車装置20a〜20eに対して可動桁10a〜10fを水平方向に移動可能に支持する構成において、本実施の形態における分岐装置100によれば、相対向する端部の一方は台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fに固定されているので、相対向する端部の他方と基礎部M及び台車装置20a〜20eとの間にのみ支承機構60を介在させれば良い。よって、相対向する端部の一方および他方の両者に支承機構60を配設する場合と比較して、支承機構60の配設数を低減する(半分とする)ことができるので、その分、分岐装置100全体としての製品コスト及び維持管理コストの削減を図ることができる。
【0076】
この場合、台車レール31a〜31f(即ち、ガイドレール32a〜32f)は、垂直軸L方向視において、相対向する端部の一方側に曲率中心が位置する円弧状に形成されているので、台車レール31a〜31fが直線状に形成される場合(即ち、台車装置20a〜20eの移動方向に対して可動桁10b〜10fが傾斜して移動する場合)と比較して、支承機構60の支承上面での水平方向変位量を少なくすることができる。よって、その分、支承機構60の寿命を向上させて、メンテナンス頻度の低減を図ることができる。
【0077】
なお、上述した二本の台車レールを敷設する分岐装置では、それら二本の台車レールを本実施の形態における分岐装置100のように垂直軸L方向視において円弧状に形成すると、内輪と外輪との移動距離が異なるため、その差を吸収するために、内輪と外輪との外径を異ならせる、或いは、内輪と外輪とをそれぞれ別の駆動装置により異なる回転数で駆動制御する必要が生じる。これに対し、本実施の形態における分岐装置100によれば、台車レール31a〜31fを一本とし、その一本の台車レール31a〜31fに沿って車輪221を一列に配置することができるので、各車輪221に移動距離の差を発生させることなく、台車レール31a〜31fを円弧状に形成することができる。
【0078】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0079】
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記実施の形態では、分岐装置100が6個の可動桁10a〜10fを備える場合を説明したが、かかる可動桁の個数は、5個以下であっても良く、7個以上であっても良い。同様に、車輪221やガイドローラ231についても任意の個数を設定することができる。
【0080】
上記実施の形態では、台車レール31a〜31f及びガイドレール32a〜32fを上面視において円弧状に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら台車レール31a〜31f及びガイドレール32a〜32fを直線状に形成することは当然可能である。
【0081】
上記実施の形態では、台車装置20a〜20e及び後端側台車装置20fがガイド部230を備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、かかるガイド部230を省略して構成することは当然可能である。この場合には、車輪保持部220の車輪221の少なくとも一輪または全輪に一対のフランジを設け、かかる一対のフランジの対向間に台車レール31a〜31fが係合されるように構成しても良い。
【0082】
上記実施の形態では、連結軸部51を基礎部M及び台車装置20a〜20eに固定すると共に軸保持部52を可動桁10a〜10fに固定して連結機構50を構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上下を反転して構成することは当然可能である。即ち、連結軸部51を可動桁10a〜10fの下面に固定すると共にその連結軸部51が貫装されるように軸保持部52を基礎部M及び台車装置20a〜20eの上面に固定して連結機構50を構成しても良い。
【0083】
上記実施の形態では、支承機構60において、弾性部63が弾性変形可能に構成される、即ち、ゴム基体63aを備えて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ゴム基体63aを省略して支承機構60を構成しても良い。即ち、弾性部63に相当する部材全体を金属材料から構成し、この金属材料から構成される部材にスライド部64を固定しても良い。
【0084】
また、支承機構60において、必ずしも滑り機構を備える必要はなく、弾性変形にて基礎部M及び台車装置20a〜20eに対する水平方向への可動桁10a〜10fの移動に対応させても良い。即ち、支承機構を弾性支承にて構成しても良い。ここで、この弾性支承の一例について図9を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。図9は、弾性支承として構成される支承機構1060の断面図である。
【0085】
図9に示すように、支承機構1060は、可動桁10eの下面および基部62の上面にそれぞれ固定される一対の連結板部1064と、それら一対の連結板部1064の間に固定される弾性部1063とを備え、弾性部1063の弾性変形によって、可動桁10eを台車装置20dに対して水平方向に移動可能に支持する。
【0086】
なお、弾性部1063は、ゴム状弾性体から円板状に形成される複数枚のゴム基体1063aと、金属材料から円板状に形成される複数枚の積層板1063bとを備え、これらゴム基体1063aと積層板1063bとが交互に積層されている。
【0087】
上記実施の形態では、ガイドレール32dの一方側および他方側にそれぞれ一輪ずつガイドローラ231を配設し、これら二輪のガイドローラ231でガイドレール32dを両側から挟む場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、合計三輪以上のガイドローラ231でガイドレール32dを両側から挟む構成とすることは当然可能である。例えば、ガイドレール32dの一方側に一輪のガイドローラ231を、ガイドレール32dの他方側に二輪のガイドローラ231を、それぞれ配設し、これら合計三輪のガイドローラ231でガイドレール32dを両側から挟む構成としても良い。
【符号の説明】
【0088】
100 分岐装置
10a 可動桁(始端側に位置する可動桁)
10b〜10e 可動桁
10f 可動桁(後端側に位置する可動桁)
20a〜20e 台車装置
20f 後端側台車装置
220 車輪保持部
221 車輪
222 保持部本体(本体部)
223 保持部
224 駆動装置
31a〜31f 台車レール(レール)
60,1060 支承機構(支承)
A 共通固定桁(固定桁)
L 垂直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に複数が並べられ車両の走行進路を形成する可動桁と、それら複数の可動桁の相対向する端部を支持する台車装置と、を備え、前記台車装置が移動することで、前記車両の走行進路が切り替えられる分岐装置であって、
前記複数の可動桁は、前記相対向する端部の一方が前記台車装置に固定されると共に、前記相対向する端部の他方が垂直軸まわりに回動可能に前記台車装置に連結され、
前記台車装置は、敷設された一本のレールに沿って一列に配置される複数の車輪を備えていることを特徴とする分岐装置。
【請求項2】
前記台車装置と前記相対向する端部の他方との間に介在され、前記台車装置に対して前記相対向する端部の他方を水平方向に移動可能に支持する支承を備え、
前記垂直軸方向視において、前記相対向する端部の一方側に曲率中心が位置する円弧状に前記レールが形成されると共に前記円弧状のレールに沿って前記複数の車輪が一列に配置されていることを特徴とする請求項1記載の分岐装置。
【請求項3】
前記台車装置は、前記車輪が一側および他側に一輪ずつ回転可能に軸支される本体部と、その本体部の一側の車輪を前記レールに近接させる方向および前記他側の車輪を前記レールに近接させる方向に揺動可能な状態で前記本体部を保持する保持部とを有する車輪保持部を複数備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐装置。
【請求項4】
前記台車装置は、前記複数の車輪の内の少なくとも一の車輪を回転駆動する駆動装置を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分岐装置。
【請求項5】
前記台車装置は、前記複数の車輪の内の少なくとも一の車輪を回転駆動する駆動装置を複数備えると共に、前記複数の車輪保持部のそれぞれに前記駆動装置が配設され、各車輪保持部の車輪が各駆動装置により回転駆動されることを特徴とする請求項3記載の分岐装置。
【請求項6】
前記垂直軸の延長線上に前記レールが位置することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分岐装置。
【請求項7】
前記長手方向に複数が並べられた可動桁の内の後端側に位置する可動桁の後端側端部が固定される後端側台車装置を備えると共に、
前記長手方向に複数が並べられた可動桁の内の始端側に位置する可動桁の始端側端部は、相対向する固定桁に対して垂直軸まわりに回動可能に連結され、
前記後端側台車装置は、敷設された一本のレールに沿って一列に配置される複数の車輪と、それら複数の車輪の内の少なくとも一の車輪を駆動する駆動装置とを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−107455(P2012−107455A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258283(P2010−258283)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)