分岐/分配器
【課題】 入力用接栓座と複数の出力用接栓座群とを造営材に対して任意の角度で、しかも同一方向へ向けて設置でき、分岐/分配器の取付位置や接栓座に接続する同軸ケーブルの配線プランを自由に選定することができるものを提供しようとするものである。
【解決手段】 内部に分岐/分配回路を納めるようにした収納空間を備えている筒状のケースの周面には、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を夫々筒状ケース2の筒芯に対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせ、入力用接栓座と複数の出力用接栓座とは、筒状ケースの筒芯に平行する方向に一列に並べて備えさせる。
【解決手段】 内部に分岐/分配回路を納めるようにした収納空間を備えている筒状のケースの周面には、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を夫々筒状ケース2の筒芯に対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせ、入力用接栓座と複数の出力用接栓座とは、筒状ケースの筒芯に平行する方向に一列に並べて備えさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を有する分岐/分配器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐/分配器(以下単に分配器ともいう)、例えば特許文献1の第2図に示される分配器は、ケース内の分配回路に接続された複数の入出力用接栓座をケースの上面と下面に分離して突設させ、上記ケースの両側端背面部にケースを壁面等の造営材に対して取付ける為の取付板を突設させていた。
よって、分配器を壁面に取り付けた際、取付板を突設させたので接栓座と壁面との間隔をとることができ、接栓座と接栓との接続作業が容易に行うことができる特長がある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】実開昭58−50724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この分配器では、ケースの厚みを小さくする為に複数の入出力用接栓座がケースの上面と下面とに分かれて突設させてあるので、夫々の接栓座に接続された同軸ケーブルを好みの方向に向けて配設するためには、上面と下面とから夫々同軸ケーブルの最小曲げ半径を考慮しながら曲げて配設しなければならない。従って分配器の周辺には同軸ケーブルを曲げて配線するだけの大きなスペースを用意する必要が生じる問題点があった。
さらに、分配器の取付作業において、入り込んだ場所や薄暗い場所で同軸ケーブルとの接続作業する場合、作業者は複数の入出力用接栓座の中から入力用接栓座を目で見て確認することが困難で、入力用接栓座に接続すべき同軸ケーブルを、誤って出力用接栓座に接続する等誤結線が生じる問題点があった。
さらに、分配器が造営材へ設置された状態では、接栓座に接続された同軸ケーブルは、分配器の上下方向に分かれて配設されるので、ケーブルの配線が雑然とし、美感に欠ける問題点があった。
【0005】
本件出願の目的は、入力用接栓座と複数の出力用接栓座群とを造営材に対して任意の角度で、しかも同一方向へ向けて設置できる分配器を提供しようとするものである。
他の目的は、分配器の取付位置や、接栓座に接続する同軸ケーブルの配線プランを整然と選定することができるものを提供しようとするものである。
他の目的は、分配器における接栓座の突出方向を任意の方向へ調整することができるものを提供しようとするものである。
他の目的は、分配器が造営材へ設置された状態においては、複数の接栓座10に接続された同軸ケーブルは一列に整然と見栄え良く並ぶようにできるものを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
分配器は、内部に分岐/分配回路を納めるようにした収納空間を備えている筒状のケースの周面には、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせている分配器において、上記入力用接栓座と複数の出力用接栓座とは、筒状ケースの筒芯に平行する方向に一列に並べて備えさせたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は、複数の接栓座群10が、筒状ケース2の筒芯2aに対して夫々直交する方向に樹立させた状態でもって、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べてあるから、分配器1を造営材13に対して取付ける場合、対象とする取付場所が入り込んだ狭い場所であっても、入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座群10bとの全ての接栓座群を造営材13に対して任意の角度で、しかも同一方向へ向けて設置できる特長がある。
このことは、多数の同軸ケーブル51を上記接栓座群10から任意の方向へ揃えた状態で引き出す事を可能にし、整然とした配線作業を可能にする作業上の効果がある。
また、ケース2の接栓座群10の向きが全て同一方向に向いていると、構造は単純になり、金型構造が簡単になって製品のコストを安くすることができる。
【0008】
さらに筒状ケース2の端部6に設ける止め杆挿通用の複数の透孔が、相互に軸芯方向の角度を異ならしめてある場合は、ケース2の取付場所が図5に示されるように角部であったり、凹部であっても、複数の接栓座群10の突出角度を同じ角度で、しかも造営材13の取付面に対する接栓座群10の軸芯方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できる特長がある。
このことは、多数の同軸ケーブル51を上記接栓座群10へ接続する作業を単一化できる作業上の効果がある。
【0009】
さらに複数の透孔の夫々を、筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面にまとめて配設してある場合には、筒状ケース2の端部6における軸芯方向の長さ寸法を著しく縮めることができ、ケース2の筒芯2a方向の全体の長さ寸法を短くし、筒状ケース2を小型化できる特長がある。
【0010】
さらに筒状ケース2に化粧ケース35を被せ付けた場合には、
筒状ケース2表面の仕上げが不十分でも外観的に美しく見せることができる。
このことは、複雑な形状で、丈夫なシールド構造に形成する筒状ケース2に対する高価な表面仕上げを省略することができ、コスト低減に役立つ。
【0011】
さらに化粧ケース35の端部に止め杆挿通用の複数の透孔を備えさせる場合には、化粧ケース35に内在する筒状ケース2の端部6に止め杆挿通用の複数の透孔を形成することを省略できる。
このことは、複雑な形状で、丈夫なシールド構造に形成する筒状ケース2に上記の複数の透孔を設ける場合の高額な費用を節約し、コストを低減できる経済上の効果がある。
その上、筒状ケース2の端部6に複数の透孔を設けるための構造部分が省略できることは、そこの構造部分に加重される重量を著しく軽くし、軽量化できる効果がある。
【0012】
さらに上記止着用枠体56におけるケース2の端部存置空間57fの内側の形状と、上記筒状ケース2の端部6における外側の形状とを、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択変更できるように対応多角形に形成した場合には、
対象とする取付場所が、図5に示されるように角部であったり、凹部であったりしても、何れの取付場所に対しても、造営材13の取付面に対する複数の接栓座群10の軸芯方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できる特長がある。
【0013】
さらに造営材13に固着させる為の装着部18を夫々具備している二つの取付部材15aによってケース2の両側を挟持するようにした場合は、
複数の接栓座群10の突出方向がケース2を設置すべき造営材13の面に直交した方向から、ケース2を設置すべき造営材13の面に並行する方向の間の任意の位置に回転自在に固定可能となる(図7〜図10参照)。
このことは、設置作業者が分配器1の取付位置や、複数の接栓座10に接続する同軸ケーブル51の配線プランを自由に選定することができる特長がある。
そして、配線プランを決定した後は、複数の接栓座10の突出方向を要望に応える方向へ自由に調節して分配器1を要望通りに設置することができる作業上の効果がある。
【0014】
さらにケース2又は化粧ケース35の表面であって、一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、指先で触感できる区別用手触り筋部11を設けた場合、分配器1の取付を入り込んだ場所や薄暗い場所で作業する際、作業者は、筋部11を指先で探れば、入力用接栓座10aと出力用接栓座群10bの区別ができ、入力用接栓座10aと出力用接栓座群を視認できなくても相互を区別することができる特長がある。このことは、同軸ケーブル51の接続ミスを防ぎ、誤結線を防止できる作業上の効果がある。
【0015】
さらにケース2又は化粧ケース35の表面であって、一つの入力用接栓座10aの近い位置に発光手段12、38を配設した場合には、入力用接栓座10aに対する同軸ケーブル51の誤結線があった場合、発光手段12、38の発光の有無により誤結線を発見できる特長もある。
なお、その他の効果及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本願発明の実施の形態を示す図面について説明する。図1乃至図18において、1は分岐/分配器の存在を示す。分岐/分配器の説明に当たっては分岐器でもよいが、実施の形態としては同様の分配器を例にして説明する。2は内部の空間7に分配回路等必要な電子回路8(図14参照)を納めるようにした筒状のケースを示す。
上記ケース2は、図においては四角筒状体を示すが、夫々任意の金属材料例えばアルミダイカストで任意の多角形に形成される。ケース2は本体3と蓋体4とで構成される。蓋体4は、任意の固着手段、例えばねじ止め、嵌着、圧入等で着脱自在に固着させてある。ケース2はこのようにシールド構造にして外部からの妨害波等の侵入を低減するように構成されている。
10は、上記ケース2の周面5、5、5、5の内の一面5に対して備えさせた周知の接栓座を示し、図1、2、3、4、7等によく示されるように、1つの入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bを夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で、かつ、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べて備えさせてある。
上記分配器1にあって図に示される構成においては、任意多角形の周面の内、複数の接栓座10等を装着した一面以外の多面5、5、5は、造営材13に対向させる対向面9にすることができる。即ち、複数の接栓座10は一面のみに配置し、他面は造営材に対する取付対象の対向面9として選択できる。
なお図1の分配器1は造営材と、ケース2の多面5、5、5の内、任意の当接予定の面(対向予定面9)に面ファスナーや粘着テープ等を貼り付けることによって、造営材に固着するようにするとよい。
【0017】
図2の筒状のケース2の端部6、6には、図1のケース2に係る構造のケースを造営材13の止着面13’に対して装着する為の取付手段40として、透孔41が備えられている。しかも透孔41の配置は、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度(例えば角形筒状ケースの場合は多角数から1面を除いた残りの面隣接相互間の角度)に選択して装着できるように、各止着面13’に対向させる夫々の対向面9に通じる止め杆挿通用の複数の透孔41を備えさせてある。従って、図2では複数の透孔41相互の軸芯方向は、相互に90度異ならしめてあることになる。
これらの複数の透孔41の夫々の内径は、均一であってよい。しかし図14のように上記透孔41の中間部に段部41cが形成されるように、造営材13に対する取付面13’の側を小径41bにし、かつ、ねじ18bを挿入する側を大径41aにしてもよい。
更に上記一つの透孔41(図14(A)の上下方向の第1透孔)の中心軸線に対し、他の透孔41及び透孔41(図14(A)において夫々左右方向に向けて配置されていて、上側に位置する第2透孔と下側の第3透孔)の中心軸線は直交配置され、また上記筒状ケース2の端部6において複数の透孔41(第1、第2、第3透孔)の夫々は、上記筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面に揃えて配設するのが好ましい。
このように前記複数の透孔41を構成することによって、透孔41を形成するのに必要なスペースを最少にすることができ、ケース2の長手方向の寸法を小さくできる。
さらに、上記透孔41の大径部41aにねじ頭を沈めた状態で止め杆18bを取付面13’に螺着すると、前記止め杆18bの寸法を短くできるし、止め杆18bがケース2の周面5から突出しない利点がある。
さらに、三つの透孔41における各中心線の交点を図14の(A)(B)のように配置すると、各段部41cと各段部41cの外側の面(小径41bの外側の面)との間に図示のように肉厚の部材が残り、夫々の耐圧力を大きく維持できる特長がある。
【0018】
図3〜図6は、図1のケース2に係る構成のケースを止着面13’に装着する場合に用いられる取付手段55の例を示す。
ケース2の端部6、6には、取付手段55として夫々止着用枠体56を備える。止着用枠体56における枠部材57は、上側枠部材57aと一方の側枠部材57bと他方の側枠部材57cとの三者で構成され、内側にケース端部存置空間57fが形成される。止着用枠体56の下部には図示のように装着部58が突設されており、装着部58には止め杆18b挿入用の孔59が設けられている。この止着用枠体56は、合成樹脂材で形成され、外側は盲板にされ、内側は端部6に対して着脱自在の凹形状(空間57f)にしてある。
【0019】
次に枠部材57としては、例えば図6(A)に示す如く、ケース2の端部6の端面に、ケース2の筒芯2aから対象位置に凸状の嵌合部28を4等分、6等分等多等分に配設し、止着用枠体56の側板には、前記突起部に対応する間隔で凹状の係止部17を形成した枠部材57を形成し、前記嵌合部28と係止部17とを嵌合させることによって、ケース2を好みの角度に傾斜できるようにする。
また、図6(B)に示す如く、枠部材57の内側の形状とケース2の端部6の外周20とを対応多角形(六角、或いは丸形)にして枢着するように形成すれば、前記ケース2は枢着軸20を回転軸として、任意の角度に配置できる。この場合は、止着用枠体56を所定の弾性を有する合成樹脂材で形成しておけば、ケース2との係合において摺動固着するようにして任意の位置で固着可能となる。
【0020】
次に図5を用いて、複数の接栓座10を同一方向を向かせて配設する為にケース2の造営材13に対する取付方向を変更できることの有効性について説明する。
図5(A)、(B)、(C)には分配器1を平面に配設する場合を示し、図5(D)、(E)、(F)には分配器1を壁面13に配設する場合を示す。
これらの図からもわかるように、接栓座10がケース2の周壁の一面にて、同一方向を向いて配設されているので、分配器1の周辺には同軸ケーブル51を曲げて配線するために必要なスペースは僅かで良い。また図5の(A)、(C)、(D)、(F)に示すように、造営材13の止着面13’に壁面や障害物がある場合でも、該壁面等に分配器1を近接させて配設することができる。
更に図5(B)、(E)に示すように、造営材13の止着面13’が狭くて、壁面や障害物等が両方から近接している場合であっても、図示のように配設できるので、設置場所を選ばない汎用性の高いものとなる。また同軸ケーブル51を無理な曲げ半径で配線することもなく配線が容易に且つ電気的特性に影響の無いように配線できる。
【0021】
次に、図7〜図13に表れている取付手段15において、27は、取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部を示し、上記ケース2の両端部6、6に具備させてある。
28は上記対接部27、27に夫々設けられた嵌合部を示す。上記嵌合部28は、図8〜図10によく示されるように対接部27に対して有底又は貫通孔でもって凹状に形成し、上記ケース2の回動軸心22を中心にして角度45度の等間隔で8個所28a〜28h形成させてある。
なお、上記ケース2の形状について図7〜図13に示されるものは四角柱のものを示したが、多角柱、円柱に構成させたものであってもよい。
【0022】
15a、15aは上記ケース2の両側に配置させた二つの取付部材を示す。
18は、造営材に固着させる為の装着部を示し、造営材に対して取付孔18a、18aを介して周知の固着手段、例えば止め杆18bとして知られている木ねじ、ボルト等で固着するように形成させている。
16は、上記ケース2の対接部27に合着させる為の合着部を示す。
17は、上記合着部16に設けられた係止部を示す。
上記係止部17は、図8〜図10によく示されるように上記合着部16に対して凸状で上記嵌合部28a〜28hに嵌入して係止可能となる形状に形成し、上記ケース2の回動軸心22を中心にして1又は2個所17a、17b(以上)に配設させてある。
なお、上記嵌合部28及び上記係止部17の数と間隔(角度θ)は、上記ケース2の回動の軸心22を中心にして上記ケース2と上記取付部材15aとを相対回動させた場合において、回動方向において任意選択された複数箇所において夫々嵌合固定できるように相対的に決定すればよく、接栓座10の突出方向を変角させたい角度に対応させて任意選択的に増減すればよい。
さらに、上記ケース2における嵌合部28及び取付部材15aにおける係止部17については、嵌合部28を凹状とし、係止部17を凸状としたものについて説明したが、相互に嵌合固定できるように形成させたものであれば良く、嵌合部28を凸状、係止部17を凹状にしても、或は、夫々を鋸歯状に形成して相互に噛みあわせるように構成しても良い。
【0023】
20は、上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部としてのねじを示し、上記ケース2の両側の対接部27と上記取付部材15aの合着部16との間に夫々設けてある。
上記ねじ20は、図8によく示されるように、元部側を上記ケース2における透孔29の内に位置させ、取付部材15aにおける挿通孔19に貫通させ、さらに上記ねじ20が上記透孔29から抜けないように、一端20aを上記ケース2における対接部27側に止め部材20cで固定させてある。
上記ねじ20の頸部の長さは、図8(B)に示されるように、上記ケース2における嵌合部28と、取付部材15aにおける係止部17との嵌合が離れ、ケース2と取付部材15aとが相対回動が可能になるような長さに構成させてある。
【0024】
23は、取付部材15aにおける合着部16をケース2における対接部27方向へ付勢する為の付勢部材としてのばねを示す。
上記ばね23は、図8によく示されるように上記回動軸部20の頸部にあって他端(頭部)20bと、ばねを収容する為の収容穴24における穴底24aの間に配置させてある。
なお、二つの取付部材15a、15aが、造営材に固着されることを考えると付勢部材23は配置させなくても良く、任意選択的にすればよい。
さらに、図7における右側の端部6と、取付部材15aとの構成は、図7、図8に示される左側の構成と対称的に構成させるとよい。しかし、上記ケース2と上記取付部材15aとは相対的に回動自在であればよいので、嵌合部28と係止部17を設けない構成であってもよい。
【0025】
上記図示された構成の分配器1を造営材に対して設置する方法及び使用状態について説明する。
まず、設置作業者は、テレビ端子の位置、接続しようとする機器(例えばテレビ、ビデオデッキ、DVDレコーダ)の位置やその入力端子の方向などに基づき、分配器1の造営材に対する取付位置や、接栓座10に接続する同軸ケーブル51の配線プランを想定する。
【0026】
次に、想定した配線プランに対応するように、接栓座10の突出方向を調節する。その調節方法は、次のようにすればよい。
まず、図7の場合、ケース2と、二つの取付部材15aの内の一方の取付部材15a(図7の左側)を夫々手で掴み、図8(A)における矢印25方向へ取付部材15aを引張る。
すると、ケース2の対接部27と取付部材15aの合着部16とが図8(B)のように離れ、嵌合部28と係止部17との嵌合も離れる。引続きその状態でケース2と取付部材15aとを相対回動させ、取付部材15aに対する接栓座10の突出方向を好みの(決定した配線プランに対応する)角度になるまで回動させる。
回動完了後は、取付部材15aを図8(A)における矢印25の反対方向へ動かし、ケース2における嵌合部28と取付部材15aにおける係止部17とを嵌合固定させる。
上記嵌合位置としては、例えば、接栓座10の突出方向を図10(A)に示されるように調節したい場合は、嵌合部28d、28hに対して夫々係止部17a、17bを嵌合固定させればよい。
さらに、他方(図7の右側)の取付部材15aについても同様に調節する。
但し、図7における右側の端部6と取付部材15aとの構成が、嵌合部28と係止部17を設けない構成である場合には、他方(図7の右側)の取付部材15aについての調節作業は不要となる。
この調節作業においては、作業者は 何ら工具を用いることなく、簡易な操作のみで変角調節でき、迅速かつ容易に接栓座10の突出方向の角度調整をすることができる。
なお、付勢部材23を配置させた場合は、取付部材15aから手を離すと、図8(B)から明らかなように付勢部材23の付勢力により、取付部材15aは矢印26方向に移動し、図8(A)のように嵌合部28と係止部17とを嵌合固定させる。図3のケース2の場合も同様の考えで行う。
【0027】
次に、図1、2、3の場合も同様であるが、分配器1を造営材に対して固着する。
その固着方法は、接栓座10が取付予定位置にくるように、ケース2を造営材に当て付け、上記装着部18における装着孔18aを用いて造営材に対してねじ止め(ボルト止め)して固着する。
固着作業をする場合、上記装着部18を備える取付部材15aが、上記ケース2に対して上記回動軸部20でもって接続一体化されているので、回動操作等、取扱いが便利で、取付位置の決定は容易である。
次に、同軸ケーブル51をプラグ52を用いて分配器1の接栓座10a〜10bに夫々接続する。
その場合、造営材に固着された分配器1における接栓座10a〜10bの突出方向は配線プランに基づき、好みの方向に向いているから、それらに接続する同軸ケーブル51も配線プランの要望に基づく向きに無理なく伸びることになり、接続作業は容易となり、完成状態は綺麗になる。
【0028】
分配器1が造営材へ設置された状態においては、上記ケース2は、両側の取付部材15a、15aに挟まれ、上記ケース2と取付部材15aとは一体的に合着し、丈夫になる。
さらに、上記分配器1のケース2の軸心方向に向けて複数の接栓座10a〜10bを突出方向を揃えて列設したものであるので、それらに接続された同軸ケーブルは一列に整然と並んでおり、配線プラン通りにスッキリと見栄え良く配線をすることができる。
なお、分配器1を取付ける場所が狭く作業がしにくい場合は、現場状況に応じて、接栓座10の突出方向を好みの方向に調節することと、同軸ケーブルを分配器1の接栓座10a〜10bに夫々接続することを、相前後して行い、その後分配器1を造営材に対して固着させると、接栓座10に対するケーブル接続作業が楽になる。
【0029】
上記構成の分配器1につき、造営材へ設置した後に、接続機器の変更、交換、配置変更によってケーブルの配置が変る場合の接栓座10の突出方向を変更する場合について説明する。
まず、二つの取付部材15a、15aの内、片方の取付部材15a(例えば図7における左側の取付部材15a)の上記装着部18に装着した造営材取付用のねじを取外す。
その取付部材15aを矢印25方向へ引張って、図8(B)のようにケース2と、取付部材15aとを離す。
さらに矢印25方向へ引張って、もう一方の(造営材に固着されたままの)取付部材15aにおける係止部17とケース2における嵌合部28との嵌合も外す。
次に、ケース2を掴んで、接栓座10の突出方向を好みの角度になるように回動させ、その後ケース2の両側の対接部27、27と二つの取付部材の合着部16、16とを夫々合着し、ケース2における嵌合部28と取付部材15aにおける係止部17とを嵌合固定させ、取付部材15aを造営材にねじで固着する。
このように、最初に分配器1を造営材に対して設置した後に、ケーブルの引き延し方向のレイアウトの変更をする場合であっても、接栓座10の突出方向を少ない工数で、迅速かつ容易に変更して、要望に応えることができる。
【0030】
次に、図7〜図10に示される構成のものとは、取付部材15aとケース2の間に設けた回動軸部20の構成の点において異なる例を示す図11について説明する。
20は、上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部としての筒状のホルダーを示し、図11に示されるように取付部材15aと一体的に構成させてある。なお必要に応じて、対接部27と合着部16との間に一対の嵌合部28、係止部17を備えさせ、図7のケース2と同様にケース2を任意の角度に回動固着できるようにするとよい。
【0031】
次に、図7〜図10に示される構成のものとは、取付部材15aにおける長さ(図8における符号L1で示す長さ)を短くした点において異なる例を示す図12、図13について説明する。
15aは取付部材を示し、ケース2の周面5、5、5、5と同じ周面になるように形成させてある。
18aは取付部材15aを造営材に固着させる為の取付孔を示し、造営材に対して周知の固着手段、例えば止め杆として例示する木ねじ、ボルト等で固着できるように形成させている。
上記構成のものにあっては、分配器1を造営材に対して設置した状態において、造営材から突出する寸法はケース2の同じ長さL2で済み、分岐/分配器1を造営材に対してピッタリとフィットさせて設置することができる。
【0032】
次に、上記筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた例を図15〜図17を用いて説明する。
図1に示される筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に、頭部貫通用の複数の透孔36を、さらに必要に応じては透孔41に対応する位置に孔44を夫々図示のように備える化粧ケース35は合成樹脂材(例えばABS樹脂)で軽量に形成される。この化粧ケース35はケース2の蓋が開けられるように、表面となる部材と、底部材とで構成される。表面となる部材は図示のように、ケース2を包皮するように被せ付ける。必要なら底部材を装着する。
このようにすると、全体をシールド構造にしなければならない事情から表面仕上げの難しいケース2の表面を安価、迅速に美しく化粧することができる。
【0033】
次に化粧ケース35は図16、17に図示されるようにしてもよい。即ち、図15の孔44は、図2のケース2の側方に図14の第1〜第3の透孔41を備える例を対象としたが、ケース2が図1に示される構成の場合は、そのケース2の両側6、6に対して、図14に示される取付手段40(第1〜第3の透孔41を備える手段)と同様の構成の取付手段40を、図17で示すように軽量の合成樹脂材で形成される化粧ケース35の本体と一体成形により形成し、付設すればよい。すると図2、14に図示の取付手段と同機能の取付手段を軽量、安価に提供できる。
なお、39は接栓座10の周囲に設けた環状の凹部であり、コネクタの露出部分を少なくする為にプラグ52のナット部分の挿入を許容する大きさに形成したものである。
【0034】
次に図1〜図4、図7、12、14、15、16及び図17に表れるケース2又は化粧ケース35の外面に付されている符号11、37の筋部は、上記一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、指先で触感できるように幅1〜3mm程度の凹溝状に、又は凸状に形成した区別用手触り筋部の存在を示す。
この筋部は図1、3、4のように一部でも良いし、図2、7のように表面、側面の全域でも良い。また、筋部は連続でも、破線状でも暗い場所で手触りで理解できればよい。
この手触り筋部11によれば、設置の場所が暗い場所であっても狭い場所であっても、また、接栓座10の突出方向が取付面に並行配列した状態であっても、取付面に直交配置した状態であっても、常に接栓座群10の最も外側に配設される入力用接栓座10aの位置を、ケース2の外周を指先で撫で、筋部11、37の位置を確認するだけで一瞬に判断できる。従って入力用接栓座10aと出力用接栓座群10bの区別ができ、接続ミスが防止できる。
【0035】
次に、ケース2又は化粧ケース35に図示されている入力用接栓座10aの近い位置に配設されている発光手段12及び発光手段38について説明する。
発光手段12、38は、ケース2又は化粧ケース35の表面の筋部11、37に設けられた孔に透光部材をはめ込み、その下側(ケースの内側)にLEDを配置して構成されている。
上記発光手段12、38を構成するLEDは、入力用接栓座10aの中心導体に接続される。従って周知のように入力用接栓座10aに対してAC電源が重畳された場合、LEDは発光し、入力用接栓座10aに電源が重畳されたことを知らせる。
なお、上記入力用接栓座10aと、出力用接栓座群10bは電子回路8を介して接続されており、例えば出力用接栓座10bに接続される機器から入力用接栓座10aに接続されるブースタに向けて電源が供給されるとLEDは発光する。
このような構成により、配線工事完了後、誤配線があった場合は発光手段12、38が点灯しないので、それを知ることができる。また、後日の保守点検作業においては上記発光手段12、38の点灯状態により、暗い場所にある入出力用接栓座10a、10bの存在の場所を知る上に参考になる。
【0036】
次に分配器1をテレビ受信システムにおいて使用した例を説明する。
図18(A)は本発明の分配器1のケース2を例えばテレビ受信器65の背面に配設した例を示す。
図18(B)は分配器1をAVラック64に収納する場合を示している。この実施例は高さ方向に制限のあるAVラック64に効率よく分配器1を配設する例を示しており、AVラック64の側面を造営材13として、分配器1の接栓座10を取付面13’に直交する方向に対応させて取り付けることにより、狭い場所にも容易に配設することができる例を示すものである。
なお図において、65はテレビ受信機、66は地上ディジタル放送信号入力端子、67はVHF/UHF入力端子、68はBS/CS入力端子、70はVU/BS(CS)分波器、71はテレビ端子、75はVTR、75aはVU入力端子、75bはBS/CS入力端子、80はDVDレコーダー等を夫々示し、図示のように同軸ケーブル51を用いて周知の手段で結線されている。
なお、図1から図18において、夫々前の図において説明されたものと機能、性質又は特徴等が同一又は均等構成と考えられる部分には、前の図と同一の符号を付して重複する説明を省略し、必要な事項のみを補足した。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】分岐/分配器を説明する為の斜視図。
【図2】分岐/分配器と取付手段の関係を説明する為の斜視図。
【図3】分岐/分配器と取付手段の関係を説明する為の斜視図。
【図4】分岐/分配器と取付手段とケーブルの延長方向との関係を説明する為の斜視図。
【図5】分岐/分配器を造営材の構成に対応させて配置出来る状態を説明する為の配置説明図。
【図6】取付手段の異なる例を説明する為の側面図。
【図7】取付手段の異なる分岐/分配器を説明する為の斜視図。
【図8】図7におけるII−II線断面図で一部破断して示す図。
【図9】(A)は図7における符号I方向から取付部材を見た図、(B)は図7における符号I方向からケースを見た図。
【図10】図7における符号I方向から見た接栓座の突出方向の調節を説明する為の図。
【図11】図7〜図10における回動軸部20とは構成の異なる例を説明する為の一部破断して示す断面図。
【図12】図7〜図10における取付部材15aとは構成の異なる例を説明する為の斜視図。
【図13】図12における符号VII方向から見た接栓座の突出方向の調節を説明する為の図。
【図14】(A)は図2におけるB−B線断面図、(B)は図2におけるA方向から見た一部破断図。
【図15】筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた分配器を説明する為の斜視図。
【図16】筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた分配器を説明する為の斜視図。
【図17】図16におけるC−C線断面図。
【図18】分配器を使用したテレビ受信システムのシステム例を説明する為の図。
【符号の説明】
【0038】
1は分岐/分配器、2はケース、5は周面、6は端部、9は対向面、10は接栓座、10aは入力用接栓座、10bは出力用接栓座、11は筋部、13は造営材、13’は止着面、15は取付手段、17は係止部、18は装着部、18aは装着孔、18bは止め杆(ビス、木ねじ、ボルト)、20は回動軸部、23は付勢部材、28は嵌合部、35は化粧ケース、37は筋部、38は発光手段、40は取付手段、51は同軸ケーブル、55は取付手段、56は止着用枠体
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を有する分岐/分配器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐/分配器(以下単に分配器ともいう)、例えば特許文献1の第2図に示される分配器は、ケース内の分配回路に接続された複数の入出力用接栓座をケースの上面と下面に分離して突設させ、上記ケースの両側端背面部にケースを壁面等の造営材に対して取付ける為の取付板を突設させていた。
よって、分配器を壁面に取り付けた際、取付板を突設させたので接栓座と壁面との間隔をとることができ、接栓座と接栓との接続作業が容易に行うことができる特長がある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】実開昭58−50724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この分配器では、ケースの厚みを小さくする為に複数の入出力用接栓座がケースの上面と下面とに分かれて突設させてあるので、夫々の接栓座に接続された同軸ケーブルを好みの方向に向けて配設するためには、上面と下面とから夫々同軸ケーブルの最小曲げ半径を考慮しながら曲げて配設しなければならない。従って分配器の周辺には同軸ケーブルを曲げて配線するだけの大きなスペースを用意する必要が生じる問題点があった。
さらに、分配器の取付作業において、入り込んだ場所や薄暗い場所で同軸ケーブルとの接続作業する場合、作業者は複数の入出力用接栓座の中から入力用接栓座を目で見て確認することが困難で、入力用接栓座に接続すべき同軸ケーブルを、誤って出力用接栓座に接続する等誤結線が生じる問題点があった。
さらに、分配器が造営材へ設置された状態では、接栓座に接続された同軸ケーブルは、分配器の上下方向に分かれて配設されるので、ケーブルの配線が雑然とし、美感に欠ける問題点があった。
【0005】
本件出願の目的は、入力用接栓座と複数の出力用接栓座群とを造営材に対して任意の角度で、しかも同一方向へ向けて設置できる分配器を提供しようとするものである。
他の目的は、分配器の取付位置や、接栓座に接続する同軸ケーブルの配線プランを整然と選定することができるものを提供しようとするものである。
他の目的は、分配器における接栓座の突出方向を任意の方向へ調整することができるものを提供しようとするものである。
他の目的は、分配器が造営材へ設置された状態においては、複数の接栓座10に接続された同軸ケーブルは一列に整然と見栄え良く並ぶようにできるものを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
分配器は、内部に分岐/分配回路を納めるようにした収納空間を備えている筒状のケースの周面には、入力用接栓座と複数の出力用接栓座を夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせている分配器において、上記入力用接栓座と複数の出力用接栓座とは、筒状ケースの筒芯に平行する方向に一列に並べて備えさせたものである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は、複数の接栓座群10が、筒状ケース2の筒芯2aに対して夫々直交する方向に樹立させた状態でもって、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べてあるから、分配器1を造営材13に対して取付ける場合、対象とする取付場所が入り込んだ狭い場所であっても、入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座群10bとの全ての接栓座群を造営材13に対して任意の角度で、しかも同一方向へ向けて設置できる特長がある。
このことは、多数の同軸ケーブル51を上記接栓座群10から任意の方向へ揃えた状態で引き出す事を可能にし、整然とした配線作業を可能にする作業上の効果がある。
また、ケース2の接栓座群10の向きが全て同一方向に向いていると、構造は単純になり、金型構造が簡単になって製品のコストを安くすることができる。
【0008】
さらに筒状ケース2の端部6に設ける止め杆挿通用の複数の透孔が、相互に軸芯方向の角度を異ならしめてある場合は、ケース2の取付場所が図5に示されるように角部であったり、凹部であっても、複数の接栓座群10の突出角度を同じ角度で、しかも造営材13の取付面に対する接栓座群10の軸芯方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できる特長がある。
このことは、多数の同軸ケーブル51を上記接栓座群10へ接続する作業を単一化できる作業上の効果がある。
【0009】
さらに複数の透孔の夫々を、筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面にまとめて配設してある場合には、筒状ケース2の端部6における軸芯方向の長さ寸法を著しく縮めることができ、ケース2の筒芯2a方向の全体の長さ寸法を短くし、筒状ケース2を小型化できる特長がある。
【0010】
さらに筒状ケース2に化粧ケース35を被せ付けた場合には、
筒状ケース2表面の仕上げが不十分でも外観的に美しく見せることができる。
このことは、複雑な形状で、丈夫なシールド構造に形成する筒状ケース2に対する高価な表面仕上げを省略することができ、コスト低減に役立つ。
【0011】
さらに化粧ケース35の端部に止め杆挿通用の複数の透孔を備えさせる場合には、化粧ケース35に内在する筒状ケース2の端部6に止め杆挿通用の複数の透孔を形成することを省略できる。
このことは、複雑な形状で、丈夫なシールド構造に形成する筒状ケース2に上記の複数の透孔を設ける場合の高額な費用を節約し、コストを低減できる経済上の効果がある。
その上、筒状ケース2の端部6に複数の透孔を設けるための構造部分が省略できることは、そこの構造部分に加重される重量を著しく軽くし、軽量化できる効果がある。
【0012】
さらに上記止着用枠体56におけるケース2の端部存置空間57fの内側の形状と、上記筒状ケース2の端部6における外側の形状とを、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択変更できるように対応多角形に形成した場合には、
対象とする取付場所が、図5に示されるように角部であったり、凹部であったりしても、何れの取付場所に対しても、造営材13の取付面に対する複数の接栓座群10の軸芯方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できる特長がある。
【0013】
さらに造営材13に固着させる為の装着部18を夫々具備している二つの取付部材15aによってケース2の両側を挟持するようにした場合は、
複数の接栓座群10の突出方向がケース2を設置すべき造営材13の面に直交した方向から、ケース2を設置すべき造営材13の面に並行する方向の間の任意の位置に回転自在に固定可能となる(図7〜図10参照)。
このことは、設置作業者が分配器1の取付位置や、複数の接栓座10に接続する同軸ケーブル51の配線プランを自由に選定することができる特長がある。
そして、配線プランを決定した後は、複数の接栓座10の突出方向を要望に応える方向へ自由に調節して分配器1を要望通りに設置することができる作業上の効果がある。
【0014】
さらにケース2又は化粧ケース35の表面であって、一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、指先で触感できる区別用手触り筋部11を設けた場合、分配器1の取付を入り込んだ場所や薄暗い場所で作業する際、作業者は、筋部11を指先で探れば、入力用接栓座10aと出力用接栓座群10bの区別ができ、入力用接栓座10aと出力用接栓座群を視認できなくても相互を区別することができる特長がある。このことは、同軸ケーブル51の接続ミスを防ぎ、誤結線を防止できる作業上の効果がある。
【0015】
さらにケース2又は化粧ケース35の表面であって、一つの入力用接栓座10aの近い位置に発光手段12、38を配設した場合には、入力用接栓座10aに対する同軸ケーブル51の誤結線があった場合、発光手段12、38の発光の有無により誤結線を発見できる特長もある。
なお、その他の効果及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本願発明の実施の形態を示す図面について説明する。図1乃至図18において、1は分岐/分配器の存在を示す。分岐/分配器の説明に当たっては分岐器でもよいが、実施の形態としては同様の分配器を例にして説明する。2は内部の空間7に分配回路等必要な電子回路8(図14参照)を納めるようにした筒状のケースを示す。
上記ケース2は、図においては四角筒状体を示すが、夫々任意の金属材料例えばアルミダイカストで任意の多角形に形成される。ケース2は本体3と蓋体4とで構成される。蓋体4は、任意の固着手段、例えばねじ止め、嵌着、圧入等で着脱自在に固着させてある。ケース2はこのようにシールド構造にして外部からの妨害波等の侵入を低減するように構成されている。
10は、上記ケース2の周面5、5、5、5の内の一面5に対して備えさせた周知の接栓座を示し、図1、2、3、4、7等によく示されるように、1つの入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bを夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で、かつ、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べて備えさせてある。
上記分配器1にあって図に示される構成においては、任意多角形の周面の内、複数の接栓座10等を装着した一面以外の多面5、5、5は、造営材13に対向させる対向面9にすることができる。即ち、複数の接栓座10は一面のみに配置し、他面は造営材に対する取付対象の対向面9として選択できる。
なお図1の分配器1は造営材と、ケース2の多面5、5、5の内、任意の当接予定の面(対向予定面9)に面ファスナーや粘着テープ等を貼り付けることによって、造営材に固着するようにするとよい。
【0017】
図2の筒状のケース2の端部6、6には、図1のケース2に係る構造のケースを造営材13の止着面13’に対して装着する為の取付手段40として、透孔41が備えられている。しかも透孔41の配置は、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度(例えば角形筒状ケースの場合は多角数から1面を除いた残りの面隣接相互間の角度)に選択して装着できるように、各止着面13’に対向させる夫々の対向面9に通じる止め杆挿通用の複数の透孔41を備えさせてある。従って、図2では複数の透孔41相互の軸芯方向は、相互に90度異ならしめてあることになる。
これらの複数の透孔41の夫々の内径は、均一であってよい。しかし図14のように上記透孔41の中間部に段部41cが形成されるように、造営材13に対する取付面13’の側を小径41bにし、かつ、ねじ18bを挿入する側を大径41aにしてもよい。
更に上記一つの透孔41(図14(A)の上下方向の第1透孔)の中心軸線に対し、他の透孔41及び透孔41(図14(A)において夫々左右方向に向けて配置されていて、上側に位置する第2透孔と下側の第3透孔)の中心軸線は直交配置され、また上記筒状ケース2の端部6において複数の透孔41(第1、第2、第3透孔)の夫々は、上記筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面に揃えて配設するのが好ましい。
このように前記複数の透孔41を構成することによって、透孔41を形成するのに必要なスペースを最少にすることができ、ケース2の長手方向の寸法を小さくできる。
さらに、上記透孔41の大径部41aにねじ頭を沈めた状態で止め杆18bを取付面13’に螺着すると、前記止め杆18bの寸法を短くできるし、止め杆18bがケース2の周面5から突出しない利点がある。
さらに、三つの透孔41における各中心線の交点を図14の(A)(B)のように配置すると、各段部41cと各段部41cの外側の面(小径41bの外側の面)との間に図示のように肉厚の部材が残り、夫々の耐圧力を大きく維持できる特長がある。
【0018】
図3〜図6は、図1のケース2に係る構成のケースを止着面13’に装着する場合に用いられる取付手段55の例を示す。
ケース2の端部6、6には、取付手段55として夫々止着用枠体56を備える。止着用枠体56における枠部材57は、上側枠部材57aと一方の側枠部材57bと他方の側枠部材57cとの三者で構成され、内側にケース端部存置空間57fが形成される。止着用枠体56の下部には図示のように装着部58が突設されており、装着部58には止め杆18b挿入用の孔59が設けられている。この止着用枠体56は、合成樹脂材で形成され、外側は盲板にされ、内側は端部6に対して着脱自在の凹形状(空間57f)にしてある。
【0019】
次に枠部材57としては、例えば図6(A)に示す如く、ケース2の端部6の端面に、ケース2の筒芯2aから対象位置に凸状の嵌合部28を4等分、6等分等多等分に配設し、止着用枠体56の側板には、前記突起部に対応する間隔で凹状の係止部17を形成した枠部材57を形成し、前記嵌合部28と係止部17とを嵌合させることによって、ケース2を好みの角度に傾斜できるようにする。
また、図6(B)に示す如く、枠部材57の内側の形状とケース2の端部6の外周20とを対応多角形(六角、或いは丸形)にして枢着するように形成すれば、前記ケース2は枢着軸20を回転軸として、任意の角度に配置できる。この場合は、止着用枠体56を所定の弾性を有する合成樹脂材で形成しておけば、ケース2との係合において摺動固着するようにして任意の位置で固着可能となる。
【0020】
次に図5を用いて、複数の接栓座10を同一方向を向かせて配設する為にケース2の造営材13に対する取付方向を変更できることの有効性について説明する。
図5(A)、(B)、(C)には分配器1を平面に配設する場合を示し、図5(D)、(E)、(F)には分配器1を壁面13に配設する場合を示す。
これらの図からもわかるように、接栓座10がケース2の周壁の一面にて、同一方向を向いて配設されているので、分配器1の周辺には同軸ケーブル51を曲げて配線するために必要なスペースは僅かで良い。また図5の(A)、(C)、(D)、(F)に示すように、造営材13の止着面13’に壁面や障害物がある場合でも、該壁面等に分配器1を近接させて配設することができる。
更に図5(B)、(E)に示すように、造営材13の止着面13’が狭くて、壁面や障害物等が両方から近接している場合であっても、図示のように配設できるので、設置場所を選ばない汎用性の高いものとなる。また同軸ケーブル51を無理な曲げ半径で配線することもなく配線が容易に且つ電気的特性に影響の無いように配線できる。
【0021】
次に、図7〜図13に表れている取付手段15において、27は、取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部を示し、上記ケース2の両端部6、6に具備させてある。
28は上記対接部27、27に夫々設けられた嵌合部を示す。上記嵌合部28は、図8〜図10によく示されるように対接部27に対して有底又は貫通孔でもって凹状に形成し、上記ケース2の回動軸心22を中心にして角度45度の等間隔で8個所28a〜28h形成させてある。
なお、上記ケース2の形状について図7〜図13に示されるものは四角柱のものを示したが、多角柱、円柱に構成させたものであってもよい。
【0022】
15a、15aは上記ケース2の両側に配置させた二つの取付部材を示す。
18は、造営材に固着させる為の装着部を示し、造営材に対して取付孔18a、18aを介して周知の固着手段、例えば止め杆18bとして知られている木ねじ、ボルト等で固着するように形成させている。
16は、上記ケース2の対接部27に合着させる為の合着部を示す。
17は、上記合着部16に設けられた係止部を示す。
上記係止部17は、図8〜図10によく示されるように上記合着部16に対して凸状で上記嵌合部28a〜28hに嵌入して係止可能となる形状に形成し、上記ケース2の回動軸心22を中心にして1又は2個所17a、17b(以上)に配設させてある。
なお、上記嵌合部28及び上記係止部17の数と間隔(角度θ)は、上記ケース2の回動の軸心22を中心にして上記ケース2と上記取付部材15aとを相対回動させた場合において、回動方向において任意選択された複数箇所において夫々嵌合固定できるように相対的に決定すればよく、接栓座10の突出方向を変角させたい角度に対応させて任意選択的に増減すればよい。
さらに、上記ケース2における嵌合部28及び取付部材15aにおける係止部17については、嵌合部28を凹状とし、係止部17を凸状としたものについて説明したが、相互に嵌合固定できるように形成させたものであれば良く、嵌合部28を凸状、係止部17を凹状にしても、或は、夫々を鋸歯状に形成して相互に噛みあわせるように構成しても良い。
【0023】
20は、上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部としてのねじを示し、上記ケース2の両側の対接部27と上記取付部材15aの合着部16との間に夫々設けてある。
上記ねじ20は、図8によく示されるように、元部側を上記ケース2における透孔29の内に位置させ、取付部材15aにおける挿通孔19に貫通させ、さらに上記ねじ20が上記透孔29から抜けないように、一端20aを上記ケース2における対接部27側に止め部材20cで固定させてある。
上記ねじ20の頸部の長さは、図8(B)に示されるように、上記ケース2における嵌合部28と、取付部材15aにおける係止部17との嵌合が離れ、ケース2と取付部材15aとが相対回動が可能になるような長さに構成させてある。
【0024】
23は、取付部材15aにおける合着部16をケース2における対接部27方向へ付勢する為の付勢部材としてのばねを示す。
上記ばね23は、図8によく示されるように上記回動軸部20の頸部にあって他端(頭部)20bと、ばねを収容する為の収容穴24における穴底24aの間に配置させてある。
なお、二つの取付部材15a、15aが、造営材に固着されることを考えると付勢部材23は配置させなくても良く、任意選択的にすればよい。
さらに、図7における右側の端部6と、取付部材15aとの構成は、図7、図8に示される左側の構成と対称的に構成させるとよい。しかし、上記ケース2と上記取付部材15aとは相対的に回動自在であればよいので、嵌合部28と係止部17を設けない構成であってもよい。
【0025】
上記図示された構成の分配器1を造営材に対して設置する方法及び使用状態について説明する。
まず、設置作業者は、テレビ端子の位置、接続しようとする機器(例えばテレビ、ビデオデッキ、DVDレコーダ)の位置やその入力端子の方向などに基づき、分配器1の造営材に対する取付位置や、接栓座10に接続する同軸ケーブル51の配線プランを想定する。
【0026】
次に、想定した配線プランに対応するように、接栓座10の突出方向を調節する。その調節方法は、次のようにすればよい。
まず、図7の場合、ケース2と、二つの取付部材15aの内の一方の取付部材15a(図7の左側)を夫々手で掴み、図8(A)における矢印25方向へ取付部材15aを引張る。
すると、ケース2の対接部27と取付部材15aの合着部16とが図8(B)のように離れ、嵌合部28と係止部17との嵌合も離れる。引続きその状態でケース2と取付部材15aとを相対回動させ、取付部材15aに対する接栓座10の突出方向を好みの(決定した配線プランに対応する)角度になるまで回動させる。
回動完了後は、取付部材15aを図8(A)における矢印25の反対方向へ動かし、ケース2における嵌合部28と取付部材15aにおける係止部17とを嵌合固定させる。
上記嵌合位置としては、例えば、接栓座10の突出方向を図10(A)に示されるように調節したい場合は、嵌合部28d、28hに対して夫々係止部17a、17bを嵌合固定させればよい。
さらに、他方(図7の右側)の取付部材15aについても同様に調節する。
但し、図7における右側の端部6と取付部材15aとの構成が、嵌合部28と係止部17を設けない構成である場合には、他方(図7の右側)の取付部材15aについての調節作業は不要となる。
この調節作業においては、作業者は 何ら工具を用いることなく、簡易な操作のみで変角調節でき、迅速かつ容易に接栓座10の突出方向の角度調整をすることができる。
なお、付勢部材23を配置させた場合は、取付部材15aから手を離すと、図8(B)から明らかなように付勢部材23の付勢力により、取付部材15aは矢印26方向に移動し、図8(A)のように嵌合部28と係止部17とを嵌合固定させる。図3のケース2の場合も同様の考えで行う。
【0027】
次に、図1、2、3の場合も同様であるが、分配器1を造営材に対して固着する。
その固着方法は、接栓座10が取付予定位置にくるように、ケース2を造営材に当て付け、上記装着部18における装着孔18aを用いて造営材に対してねじ止め(ボルト止め)して固着する。
固着作業をする場合、上記装着部18を備える取付部材15aが、上記ケース2に対して上記回動軸部20でもって接続一体化されているので、回動操作等、取扱いが便利で、取付位置の決定は容易である。
次に、同軸ケーブル51をプラグ52を用いて分配器1の接栓座10a〜10bに夫々接続する。
その場合、造営材に固着された分配器1における接栓座10a〜10bの突出方向は配線プランに基づき、好みの方向に向いているから、それらに接続する同軸ケーブル51も配線プランの要望に基づく向きに無理なく伸びることになり、接続作業は容易となり、完成状態は綺麗になる。
【0028】
分配器1が造営材へ設置された状態においては、上記ケース2は、両側の取付部材15a、15aに挟まれ、上記ケース2と取付部材15aとは一体的に合着し、丈夫になる。
さらに、上記分配器1のケース2の軸心方向に向けて複数の接栓座10a〜10bを突出方向を揃えて列設したものであるので、それらに接続された同軸ケーブルは一列に整然と並んでおり、配線プラン通りにスッキリと見栄え良く配線をすることができる。
なお、分配器1を取付ける場所が狭く作業がしにくい場合は、現場状況に応じて、接栓座10の突出方向を好みの方向に調節することと、同軸ケーブルを分配器1の接栓座10a〜10bに夫々接続することを、相前後して行い、その後分配器1を造営材に対して固着させると、接栓座10に対するケーブル接続作業が楽になる。
【0029】
上記構成の分配器1につき、造営材へ設置した後に、接続機器の変更、交換、配置変更によってケーブルの配置が変る場合の接栓座10の突出方向を変更する場合について説明する。
まず、二つの取付部材15a、15aの内、片方の取付部材15a(例えば図7における左側の取付部材15a)の上記装着部18に装着した造営材取付用のねじを取外す。
その取付部材15aを矢印25方向へ引張って、図8(B)のようにケース2と、取付部材15aとを離す。
さらに矢印25方向へ引張って、もう一方の(造営材に固着されたままの)取付部材15aにおける係止部17とケース2における嵌合部28との嵌合も外す。
次に、ケース2を掴んで、接栓座10の突出方向を好みの角度になるように回動させ、その後ケース2の両側の対接部27、27と二つの取付部材の合着部16、16とを夫々合着し、ケース2における嵌合部28と取付部材15aにおける係止部17とを嵌合固定させ、取付部材15aを造営材にねじで固着する。
このように、最初に分配器1を造営材に対して設置した後に、ケーブルの引き延し方向のレイアウトの変更をする場合であっても、接栓座10の突出方向を少ない工数で、迅速かつ容易に変更して、要望に応えることができる。
【0030】
次に、図7〜図10に示される構成のものとは、取付部材15aとケース2の間に設けた回動軸部20の構成の点において異なる例を示す図11について説明する。
20は、上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部としての筒状のホルダーを示し、図11に示されるように取付部材15aと一体的に構成させてある。なお必要に応じて、対接部27と合着部16との間に一対の嵌合部28、係止部17を備えさせ、図7のケース2と同様にケース2を任意の角度に回動固着できるようにするとよい。
【0031】
次に、図7〜図10に示される構成のものとは、取付部材15aにおける長さ(図8における符号L1で示す長さ)を短くした点において異なる例を示す図12、図13について説明する。
15aは取付部材を示し、ケース2の周面5、5、5、5と同じ周面になるように形成させてある。
18aは取付部材15aを造営材に固着させる為の取付孔を示し、造営材に対して周知の固着手段、例えば止め杆として例示する木ねじ、ボルト等で固着できるように形成させている。
上記構成のものにあっては、分配器1を造営材に対して設置した状態において、造営材から突出する寸法はケース2の同じ長さL2で済み、分岐/分配器1を造営材に対してピッタリとフィットさせて設置することができる。
【0032】
次に、上記筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた例を図15〜図17を用いて説明する。
図1に示される筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に、頭部貫通用の複数の透孔36を、さらに必要に応じては透孔41に対応する位置に孔44を夫々図示のように備える化粧ケース35は合成樹脂材(例えばABS樹脂)で軽量に形成される。この化粧ケース35はケース2の蓋が開けられるように、表面となる部材と、底部材とで構成される。表面となる部材は図示のように、ケース2を包皮するように被せ付ける。必要なら底部材を装着する。
このようにすると、全体をシールド構造にしなければならない事情から表面仕上げの難しいケース2の表面を安価、迅速に美しく化粧することができる。
【0033】
次に化粧ケース35は図16、17に図示されるようにしてもよい。即ち、図15の孔44は、図2のケース2の側方に図14の第1〜第3の透孔41を備える例を対象としたが、ケース2が図1に示される構成の場合は、そのケース2の両側6、6に対して、図14に示される取付手段40(第1〜第3の透孔41を備える手段)と同様の構成の取付手段40を、図17で示すように軽量の合成樹脂材で形成される化粧ケース35の本体と一体成形により形成し、付設すればよい。すると図2、14に図示の取付手段と同機能の取付手段を軽量、安価に提供できる。
なお、39は接栓座10の周囲に設けた環状の凹部であり、コネクタの露出部分を少なくする為にプラグ52のナット部分の挿入を許容する大きさに形成したものである。
【0034】
次に図1〜図4、図7、12、14、15、16及び図17に表れるケース2又は化粧ケース35の外面に付されている符号11、37の筋部は、上記一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、指先で触感できるように幅1〜3mm程度の凹溝状に、又は凸状に形成した区別用手触り筋部の存在を示す。
この筋部は図1、3、4のように一部でも良いし、図2、7のように表面、側面の全域でも良い。また、筋部は連続でも、破線状でも暗い場所で手触りで理解できればよい。
この手触り筋部11によれば、設置の場所が暗い場所であっても狭い場所であっても、また、接栓座10の突出方向が取付面に並行配列した状態であっても、取付面に直交配置した状態であっても、常に接栓座群10の最も外側に配設される入力用接栓座10aの位置を、ケース2の外周を指先で撫で、筋部11、37の位置を確認するだけで一瞬に判断できる。従って入力用接栓座10aと出力用接栓座群10bの区別ができ、接続ミスが防止できる。
【0035】
次に、ケース2又は化粧ケース35に図示されている入力用接栓座10aの近い位置に配設されている発光手段12及び発光手段38について説明する。
発光手段12、38は、ケース2又は化粧ケース35の表面の筋部11、37に設けられた孔に透光部材をはめ込み、その下側(ケースの内側)にLEDを配置して構成されている。
上記発光手段12、38を構成するLEDは、入力用接栓座10aの中心導体に接続される。従って周知のように入力用接栓座10aに対してAC電源が重畳された場合、LEDは発光し、入力用接栓座10aに電源が重畳されたことを知らせる。
なお、上記入力用接栓座10aと、出力用接栓座群10bは電子回路8を介して接続されており、例えば出力用接栓座10bに接続される機器から入力用接栓座10aに接続されるブースタに向けて電源が供給されるとLEDは発光する。
このような構成により、配線工事完了後、誤配線があった場合は発光手段12、38が点灯しないので、それを知ることができる。また、後日の保守点検作業においては上記発光手段12、38の点灯状態により、暗い場所にある入出力用接栓座10a、10bの存在の場所を知る上に参考になる。
【0036】
次に分配器1をテレビ受信システムにおいて使用した例を説明する。
図18(A)は本発明の分配器1のケース2を例えばテレビ受信器65の背面に配設した例を示す。
図18(B)は分配器1をAVラック64に収納する場合を示している。この実施例は高さ方向に制限のあるAVラック64に効率よく分配器1を配設する例を示しており、AVラック64の側面を造営材13として、分配器1の接栓座10を取付面13’に直交する方向に対応させて取り付けることにより、狭い場所にも容易に配設することができる例を示すものである。
なお図において、65はテレビ受信機、66は地上ディジタル放送信号入力端子、67はVHF/UHF入力端子、68はBS/CS入力端子、70はVU/BS(CS)分波器、71はテレビ端子、75はVTR、75aはVU入力端子、75bはBS/CS入力端子、80はDVDレコーダー等を夫々示し、図示のように同軸ケーブル51を用いて周知の手段で結線されている。
なお、図1から図18において、夫々前の図において説明されたものと機能、性質又は特徴等が同一又は均等構成と考えられる部分には、前の図と同一の符号を付して重複する説明を省略し、必要な事項のみを補足した。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】分岐/分配器を説明する為の斜視図。
【図2】分岐/分配器と取付手段の関係を説明する為の斜視図。
【図3】分岐/分配器と取付手段の関係を説明する為の斜視図。
【図4】分岐/分配器と取付手段とケーブルの延長方向との関係を説明する為の斜視図。
【図5】分岐/分配器を造営材の構成に対応させて配置出来る状態を説明する為の配置説明図。
【図6】取付手段の異なる例を説明する為の側面図。
【図7】取付手段の異なる分岐/分配器を説明する為の斜視図。
【図8】図7におけるII−II線断面図で一部破断して示す図。
【図9】(A)は図7における符号I方向から取付部材を見た図、(B)は図7における符号I方向からケースを見た図。
【図10】図7における符号I方向から見た接栓座の突出方向の調節を説明する為の図。
【図11】図7〜図10における回動軸部20とは構成の異なる例を説明する為の一部破断して示す断面図。
【図12】図7〜図10における取付部材15aとは構成の異なる例を説明する為の斜視図。
【図13】図12における符号VII方向から見た接栓座の突出方向の調節を説明する為の図。
【図14】(A)は図2におけるB−B線断面図、(B)は図2におけるA方向から見た一部破断図。
【図15】筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた分配器を説明する為の斜視図。
【図16】筒状ケース2に対して化粧ケース35を被せ付けた分配器を説明する為の斜視図。
【図17】図16におけるC−C線断面図。
【図18】分配器を使用したテレビ受信システムのシステム例を説明する為の図。
【符号の説明】
【0038】
1は分岐/分配器、2はケース、5は周面、6は端部、9は対向面、10は接栓座、10aは入力用接栓座、10bは出力用接栓座、11は筋部、13は造営材、13’は止着面、15は取付手段、17は係止部、18は装着部、18aは装着孔、18bは止め杆(ビス、木ねじ、ボルト)、20は回動軸部、23は付勢部材、28は嵌合部、35は化粧ケース、37は筋部、38は発光手段、40は取付手段、51は同軸ケーブル、55は取付手段、56は止着用枠体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面5には、入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bを夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせている分岐/分配器において、
上記入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bとは、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べて備えさせてあることを特徴とする分岐/分配器。
【請求項2】
上記筒状のケース2の端部6には、装着すべき造営材13の止着面13’に対する上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できるように、
止め杆挿通用の複数の透孔41を備えさせ、かつ、複数の透孔41相互の軸芯方向は、相互に角度を異ならしめて備えさせてあることを特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項3】
上記止め杆挿通用の複数の透孔41の夫々の内径は、上記透孔41の中間部に段部41cが形成されるように造営材13に対する面側を小径41bにし、かつ、
止め杆18bを挿入する側は大径41aにしてあることを特徴とする請求項2記載の分岐/分配器。
【請求項4】
上記筒状ケース2の端部6における上記止め杆挿通用の複数の透孔41の夫々は、上記筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面に配設してあることを特徴とする請求項2記載の分岐/分配器。
【請求項5】
上記筒状ケース2には、
筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に頭部貫通用の複数の透孔36を備える化粧ケース35を、ケース2を包皮するように被せ付けたことを特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項6】
上記筒状ケース2には、
筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に頭部貫通用の複数の透孔36を備え、かつ、
上記止め杆挿通用の複数の透孔41位置に対応する位置にも止め杆を挿通する為の複数の透孔44を備える化粧ケース35を、
ケース2を包皮するように被せ付けたことを特徴とする請求項2に記載の分岐/分配器。
【請求項7】
上記化粧ケース35の端部35e、35fには、
装着すべき造営材13の止着面に対する上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できるように、
止め杆挿通用の複数の透孔47を備えさせたことを特徴とする請求項5に記載の分岐/分配器。
【請求項8】
上側枠部材57aと一方の側枠部材57bと他方の側枠部材57cとの三者で内側にケース端部存置空間57fが形成されるように構成されている止着用枠体56を備え、
この止着用枠体56を用いて、上記筒状のケース2の端部6が上記ケース端部存置空間57fに位置する状態で造営材13に止着するようにし、
しかも上記ケース端部存置空間57fの内側の形状と、上記筒状のケース2の端部6における外側の形状とは、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択変更できるように対応多角形に形成してあること特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項9】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面5には、上記ケース2の筒芯2a方向に向けて複数の接栓座10を突出方向を揃えて列設し、
上記ケース2の両端部6、6には取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部27を具備させ、
一方、造営材13に固着させる為の装着部18を夫々具備している二つの取付部材15aには、上記ケースの両端部に備えさせる対接部27に夫々合着させる為の合着部16を具備させ、
さらに、上記取付部材15aと上記ケース2とは、上記接栓座10の突出方向が上記ケース2を設置すべき造営材13の面に直交した方向から、上記ケース2を設置すべき造営材13の面に並行する方向の間の任意の位置に回転自在に固定可能としたことを特徴とする分岐/分配器。
【請求項10】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面には、上記ケース2の筒芯2a方向に向けて複数の接栓座10を突出方向を揃えて列設し、
上記ケース2の両端部6、6には取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部27を具備させ、
一方、造営材13に固着させる為の装着部を夫々具備している二つの取付部材15a、15aには、上記ケース2の両端部6、6に備えさせる対接部27、27に夫々合着させる為の合着部16、16を具備させ、
さらに、上記ケース2の両側の対接部27、27と上記取付部材の合着部16、16との間には、夫々上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部20を設け、
上記ケースの対接部27と上記取付部材の合着部16には、上記ケースの回動の軸心22を中心にして上記ケースと上記取付部材とを相対回動させた場合において、回動方向において任意選択された複数箇所において夫々嵌合固定できるようにした嵌合部28、係止部17を夫々設けることを特徴とする分岐/分配器。
【請求項11】
上記回動軸部20には、付勢部材23を具備させ、常態においては上記取付部材における合着部を上記ケースにおける対接部方向へ付勢させるようにしたことを特徴とする請求項10記載の分岐/分配器。
【請求項12】
上記一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、
指先で触感できる区別用手触り筋部11を設けたことを特徴とする請求項1、2、5、6、7、8及び9記載の分岐/分配器。
【請求項13】
上記入力用接栓座10aの近い位置に発光手段38を配設したことを特徴とする請求項12記載の分岐/分配器。
【請求項1】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面5には、入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bを夫々筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する方向に樹立させる状態で備えさせている分岐/分配器において、
上記入力用接栓座10aと複数の出力用接栓座10bとは、筒状ケース2の筒芯2aに平行する方向に一列に並べて備えさせてあることを特徴とする分岐/分配器。
【請求項2】
上記筒状のケース2の端部6には、装着すべき造営材13の止着面13’に対する上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できるように、
止め杆挿通用の複数の透孔41を備えさせ、かつ、複数の透孔41相互の軸芯方向は、相互に角度を異ならしめて備えさせてあることを特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項3】
上記止め杆挿通用の複数の透孔41の夫々の内径は、上記透孔41の中間部に段部41cが形成されるように造営材13に対する面側を小径41bにし、かつ、
止め杆18bを挿入する側は大径41aにしてあることを特徴とする請求項2記載の分岐/分配器。
【請求項4】
上記筒状ケース2の端部6における上記止め杆挿通用の複数の透孔41の夫々は、上記筒状ケース2の筒芯2aに対して直交する1つの面に配設してあることを特徴とする請求項2記載の分岐/分配器。
【請求項5】
上記筒状ケース2には、
筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に頭部貫通用の複数の透孔36を備える化粧ケース35を、ケース2を包皮するように被せ付けたことを特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項6】
上記筒状ケース2には、
筒状ケース2に備えさせてある上記複数の接栓座10に対応する位置に頭部貫通用の複数の透孔36を備え、かつ、
上記止め杆挿通用の複数の透孔41位置に対応する位置にも止め杆を挿通する為の複数の透孔44を備える化粧ケース35を、
ケース2を包皮するように被せ付けたことを特徴とする請求項2に記載の分岐/分配器。
【請求項7】
上記化粧ケース35の端部35e、35fには、
装着すべき造営材13の止着面に対する上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択して装着できるように、
止め杆挿通用の複数の透孔47を備えさせたことを特徴とする請求項5に記載の分岐/分配器。
【請求項8】
上側枠部材57aと一方の側枠部材57bと他方の側枠部材57cとの三者で内側にケース端部存置空間57fが形成されるように構成されている止着用枠体56を備え、
この止着用枠体56を用いて、上記筒状のケース2の端部6が上記ケース端部存置空間57fに位置する状態で造営材13に止着するようにし、
しかも上記ケース端部存置空間57fの内側の形状と、上記筒状のケース2の端部6における外側の形状とは、上記複数の接栓座10a、10bの軸心方向の傾斜角を所定角度に選択変更できるように対応多角形に形成してあること特徴とする請求項1記載の分岐/分配器。
【請求項9】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面5には、上記ケース2の筒芯2a方向に向けて複数の接栓座10を突出方向を揃えて列設し、
上記ケース2の両端部6、6には取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部27を具備させ、
一方、造営材13に固着させる為の装着部18を夫々具備している二つの取付部材15aには、上記ケースの両端部に備えさせる対接部27に夫々合着させる為の合着部16を具備させ、
さらに、上記取付部材15aと上記ケース2とは、上記接栓座10の突出方向が上記ケース2を設置すべき造営材13の面に直交した方向から、上記ケース2を設置すべき造営材13の面に並行する方向の間の任意の位置に回転自在に固定可能としたことを特徴とする分岐/分配器。
【請求項10】
内部に分岐/分配回路8を納めるようにした収納空間7を備えている筒状のケース2の周面には、上記ケース2の筒芯2a方向に向けて複数の接栓座10を突出方向を揃えて列設し、
上記ケース2の両端部6、6には取付部材15aの合着部16を対接させる為の対接部27を具備させ、
一方、造営材13に固着させる為の装着部を夫々具備している二つの取付部材15a、15aには、上記ケース2の両端部6、6に備えさせる対接部27、27に夫々合着させる為の合着部16、16を具備させ、
さらに、上記ケース2の両側の対接部27、27と上記取付部材の合着部16、16との間には、夫々上記ケース2と上記取付部材15aとの相対的な回動を可能にする為の回動軸部20を設け、
上記ケースの対接部27と上記取付部材の合着部16には、上記ケースの回動の軸心22を中心にして上記ケースと上記取付部材とを相対回動させた場合において、回動方向において任意選択された複数箇所において夫々嵌合固定できるようにした嵌合部28、係止部17を夫々設けることを特徴とする分岐/分配器。
【請求項11】
上記回動軸部20には、付勢部材23を具備させ、常態においては上記取付部材における合着部を上記ケースにおける対接部方向へ付勢させるようにしたことを特徴とする請求項10記載の分岐/分配器。
【請求項12】
上記一つの入力用接栓座10aと、複数の出力用接栓座群10bとの間に、
指先で触感できる区別用手触り筋部11を設けたことを特徴とする請求項1、2、5、6、7、8及び9記載の分岐/分配器。
【請求項13】
上記入力用接栓座10aの近い位置に発光手段38を配設したことを特徴とする請求項12記載の分岐/分配器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−18818(P2007−18818A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197764(P2005−197764)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
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