説明

分散安定化された触媒ナノ粒子含有液

【課題】燃料電池電極用触媒中の触媒ナノ粒子として、表面にPtなどを有する金属ナノ粒子を用いる際に、触媒の熱処理による活性表面積の減少を抑制する。
【解決手段】(a)金属元素を有するナノ粒子と、(b)前記ナノ粒子の表面の一部を被覆するPtなどの層と、を有する触媒ナノ粒子が、クエン酸などのカルボン酸化合物により分散安定化されていることを特徴とするコロイド溶液を提供する.また、前記コロイド溶液を用いて作製した燃料電池電極用触媒並びに燃料電池を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散安定化された触媒ナノ粒子含有液、及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池はリチウムイオン二次電池の10倍以上のエネルギー密度を達成できる可能性を有し、また燃料を携帯すれば充電不要でどこでも持ち運びができることから携帯機器の設計思想を大きく変えるものとして期待されている。特にメタノールを燃料とする直接メタノール燃料電池(DMFC)は小型軽量化、低コスト化が見込まれる。また、携帯電話やノートパソコンに代表される携帯機器に対する長時間駆動の要求を満足させることのできる電源として、小型でありながら起動性、負荷応答性、安定性に優れ、燃料を供給する限り発電が可能であるため長時間の使用も可能であるとの特性に注目も集まっている。
現在、燃料電池、特にはDMFC燃料電池の開発において、電極用酸化触媒として高い活性を有する材料を開発することが求められている。
Ptを有する触媒ナノ粒子は、水素やアルコールに対して強い酸化活性を示すことが知られており、代表的な高分子電解質型燃料電池(PEFC)電極用触媒に利用されている。しかしながら、貴金属からなるこれらの触媒は高価であるため、その使用量はできるだけ少なくすることが求められているので、少量でより高活性な触媒とする必要がある。前記触媒ナノ粒子をアルコール酸化触媒として利用する際には、通常、ナノ粒子中にRuなどの金属元素を共存させて、反応中間体として生成する一酸化炭素のPt表面への被毒を抑制する。
【0003】
前記PEFC電極用触媒の作製方法には、溶液中で担持体カーボンの存在下で金属イオンを還元し、担持体カーボン上に触媒ナノ粒子を析出させる方法(析出法:例えば、Physica B 323巻、124頁(2002年)〔非特許文献1〕)と、コロイド溶液中の触媒ナノ粒子を担持体カーボン上に吸着させる方法(コロイド法:例えば、Nano Letter 2巻、235貢(2002年)〔非特許文献2〕)とがある。コロイド法によると、コロイド溶液調製時に触媒ナノ粒子の構造制御が可能であるため、精密な設計に基づいた触媒作製が可能である。一方、コロイド法により作製した触媒ナノ粒子表面には、通常、分散安定化剤が吸着しており、活性表面を露出するために、作製した触媒に熱処理を施す必要がある。
【0004】
コロイド法を用いて作製した触媒中のPt−Ru系ナノ粒子の構造としては、これまでに、
(1)PtとRuとの合金ナノ粒子(例えばJournal of Catalysts 195巻、383貢(2000年)〔非特許文献3〕)と、
(2)表面にPtを有するRuナノ粒子(例えば特開2002−231257〔特許文献1〕)と
が報告されている。特に、表面にPtを有するRuナノ粒子は、触媒活性を有するPtが粒子表面に集中して存在するため、PtとRuとの合金ナノ粒子に比べて、Ptの利用効率が高い。Ptは、高価な貴金属であるため、触媒中のPt量が低減できることは、コスト面、環境面において大きなメリットである。
【0005】
前記の表面にPtを有するRuナノ粒子のコロイド溶液作製技術に関して、特開2002−231257〔特許文献1〕では、ポリビニルピロリドンなどのポリマーで分散安定化したRuナノ粒子の表面に水素を吸着して還元能を付与し、前記Ruナノ粒子の表面上でPtイオンを還元することにより、表面にPtを有するRuナノ粒子を作製する技術を公開している。しかし、前記技術で作製した触媒では、ポリマーが活性表面を被覆しているため、300℃程度の高温熱処理を水素存在下で施し、ポリマーを分解除去する必要がある。従って、熱処理が触媒ナノ粒子の凝集を誘起して活性表面積が減少する問題があった。
【0006】
ところで、クエン酸によるPtイオンの還元に関しては、例えばJournal of Physical Chemistry 99巻、14129頁(1995年)〔非特許文献4〕に記載がある。この論文には、塩化白金(IV)酸をクエン酸で熱還元することにより、Ptナノ粒子を作製できることが記載されている。また、クエン酸がナノ粒子表面に吸着して、前記ナノ粒子を分散安定化することは、例えば化学工学シンポジウムシリーズ 56巻、35頁に記載がある。しかし、ナノ粒子表面に吸着したクエン酸によるPtイオンの還元に関する報告はない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−231257号公報
【非特許文献1】Physica B 323巻、124頁(2002年)
【非特許文献2】Nano Letter 2巻、235貫(2002年)
【非特許文献3】Journal of Catalysts 195巻、383頁(2000年)
【非特許文献4】Journal of Physical Chemistry 99巻、14129頁(1995年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高い機能を有する触媒ナノ粒子を製造するためには、その製造場である液体媒質中でも安定的にその生成するナノ粒子を保持しておく(分散安定化しておく)必要がある。つまり、凝集などを避けて、ナノ粒子を分散安定化することが不可欠である。したがって、これまで表面にPtなど白金族元素を有する金属ナノ粒子のコロイド溶液を作製する際には、ナノ粒子の分散安定化剤としてポリマーを用いることが不可欠であったが、上記したようにポリマーを用いると、触媒用の金属ナノ粒子を含有しているコロイド溶液から触媒を調製する場合に、ポリマーを分解除去する必要があり、このため折角得られた高機能触媒ナノ粒子を使用しても、ポリマー分解除去のための熱処理などにより、活性表面積の減少などを誘起してしまうなどといった問題があった。こうした問題がなく、しかも安価で且つ簡単、確実な触媒ナノ粒子含有コロイド溶液の取扱い技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を克服するために、鋭意研究調査を行った結果、(a) 金属元素を有するナノ粒子と、(b) 前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆するPt層などの触媒活性金属層と、を有する触媒ナノ粒子が、クエン酸などのカルボン酸化合物によりコロイド溶液で分散安定化されていることを見出し、さらにクエン酸などのカルボン酸化合物で該触媒ナノ粒子を分散安定化してあるコロイド溶液を使用して触媒を作製すると熱処理による触媒ナノ粒子の活性低減を避けることが可能であること、そして、こうして得られた触媒を電極に使用した燃料電池は優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成した。したがって、本発明は、(a) 金属元素を有するナノ粒子と、(b) 前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆するPt層などの触媒活性元素層と、を有する触媒ナノ粒子が、クエン酸などのカルボン酸化合物によりコロイド溶液で分散安定化されていることを特徴とするコロイド溶液を提供する。また、前記コロイド溶液を用いて作製した燃料電池電極用触媒並びに燃料電池を提供する。
かくして、本発明は、次の態様を提供している。
〔1〕 (a)金属元素を有するナノ粒子と、
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ白金族金属から選択された金属からなる層と、
を有する触媒ナノ粒子を含有しているコロイド溶液において、前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されていることを特徴とするコロイド溶液。
〔2〕 上記〔1〕に記載の層(b)が、Pt層であることを特徴とする上記〔1〕に記載のコロイド溶液。
〔3〕 上記〔1〕の(a)に記載の金属元素が、Ru、Mo、W、Co、Fe及びNiからなる群から選択されたものであることを特徴とする上記〔1〕に記載のコロイド溶液。
〔4〕 上記〔1〕の(a)に記載の金属元素が、Ruであることを特徴とする上記〔1〕に記載のコロイド溶液。
〔5〕 上記〔1〕に記載のカルボン酸化合物が、クエン酸であることを特徴とする上記〔1〕に記載のコロイド溶液。
【0010】
〔6〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のコロイド溶液を使用して触媒ナノ粒子を担持体に担持せしめてあることを特徴とするナノ粒子含有触媒。
〔7〕 燃料電池電極用触媒であることを特徴とする上記〔6〕に記載の触媒。
〔8〕 上記〔6〕または〔7〕に記載の触媒を使用してあることを特徴とする電池用電極。
〔9〕 上記〔8〕に記載の電極を備えていることを特徴とする燃料電池。
〔10〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のコロイド溶液を用いて作製した触媒を電極用触媒としていることを特徴とする燃料電池電極。
〔11〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のコロイド溶液を用いて作製した触媒を電極用触媒としていることを特徴とする燃料電池。
【0011】
〔12〕 カルボン酸化合物を分散安定化剤として含有する金属塩含有液をコロイド形成条件に付して金属元素を有するナノ粒子を形成せしめ、次に白金族金属塩含有液を添加して、還元処理し、触媒ナノ粒子を含有し且つ前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されているコロイド溶液
ここで、触媒ナノ粒子は
(a)金属元素を有するナノ粒子と
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ
白金族金属から選択された金属からなる層と
を有する
を得ることを特徴とするコロイド溶液の製造法。
〔13〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のコロイド溶液を触媒用担持体と混合し、担持体上に触媒ナノ粒子を担持せしめてナノ粒子含有触媒を得ることを特徴とする触媒の製造法。
〔14〕 上記〔13〕の触媒の製造法で、高温加熱処理が施されていないことを特徴とする上記〔13〕に記載の触媒の製造法。
〔15〕 高温加熱処理は、おおよそ250℃以上で施されるものであるが、該加熱処理は適用されていないことを特徴とする上記〔13〕に記載の触媒の製造法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料電池電極用触媒が含有する触媒ナノ粒子の表面に吸着しているクエン酸などのカルボン酸化合物は、前記触媒ナノ粒子表面への吸着力が弱いため、触媒として利用する際に前記触媒ナノ粒子表面から脱離する。従って、触媒ナノ粒子表面を清浄にするための熱処理などは必要なく、活性表面積の減少を誘起せずに、清浄なかつ高い機能を保持したままの触媒ナノ粒子表面を有する触媒を得ることができる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のコロイド溶液は、カルボン酸化合物で安定化された金属ナノ粒子のコロイド溶液中において、共存する白金族遷移金属イオンを還元条件に付すことにより、該金属ナノ粒子の表面の一部または全部に当該白金族遷移金属が担持せしられることにより調製されることができるが、該カルボン酸化合物は前記金属ナノ粒子の表面に吸着して金属ナノ粒子の安定分散に寄与してコロイド溶液を安定化し、さらに還元反応にも好適な作用を及ぼして白金族金属層を該ナノ粒子の表面の一部または全部の上に形成せしめのに有用である。特に、好ましくは、本発明のコロイド溶液は、クエン酸で安定化された金属ナノ粒子のコロイド溶液中において、前記金属ナノ粒子の表面に吸着したクエン酸の還元能を用いてPtイオンを還元し、生成したPt層を前記金属ナノ粒子の表面の一部または全部に担持することにより調製する。白金族遷移金属としては、Pt, Ru, Ir, Pd, Os, Rhから選択されたものが挙げられ、それらのうちの一種又はそれらの混合物であってよい。好ましくは、Ptが挙げられる。該カルボン酸化合物としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸などであってよく、水酸基、ケト基などの官能基を有するものも包含され、炭素原子1〜12個を有するものであってよく、さらに含有される炭素鎖が直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。代表的なものとしては、ヒドロキシカルボン酸化合物が挙げられ、例えば、クエン酸が好ましいものとして挙げられる。
【0014】
前記金属ナノ粒子は、白金族遷移金属層表面(例えば、Pt層表面)への一酸化炭素吸着を抑制する効果のある金属元素、Ru、Mo、W、Co、Fe、Niからなる群から選択された1種類以上の被毒抑制元素から構成されることが好ましい(ただし、白金族遷移金属層を構成する元素とは通常は異なるものが選択される)。当該金属ナノ粒子は、金属塩を含んでいる溶液(例えば、水溶液など)をコロイド形成条件に付して該金属コロイドを析出せしめることでそれを得ることができる。代表的には上記金属塩の水溶液を還元試薬存在下に攪拌するなどの方法で金属ナノ粒子を形成できる。また、前記金属ナノ粒子の粒径は、表面において還元されて担持される白金族遷移金属層(例えば、Pt層)の大きさにより異なるが、1nm〜10nmの範囲が好ましい。1nm以下では、担持される白金族遷移金属層(例えば、Pt層)表面に十分な被毒抑制効果を与えることができないため、好ましくない。また、10nm以上では、白金族遷移金属層(例えば、Pt層)表面の被毒抑制に関与しない金属原子部分が多くなりコストが高くなるため、好ましくない。なお、前記粒径は、電子顕微鏡やX線回折測定により評価することができる。
【0015】
前記金属ナノ粒子のコロイド溶液は、カルボン酸化合物と金属イオンを有する溶液中で前記金属イオンを還元することにより調製することができる。また、前記金属イオンの還元は、普通、溶液を攪拌しながら、還元剤を前記溶液に添加することにより行うことができる。コロイド形成条件は、金属塩含有液を還元条件下に攪拌処理することで金属イオンが徐々に還元されて金属からなる微粒子を形成するものであってよい。還元条件は、例えば、水素雰囲気下に溶媒を保持し、水素雰囲気と溶液が接触する条件を達成することでもよく、あるいは還元試薬を溶液に添加することでもよい。還元試薬としては、当該分野で当業者に知られたものの中から選択してそれを使用できるが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、トリメトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリ-s-ブチルホウ素リチウム、水素化トリ-s-ブチルホウ素カリウム、水素化トリシアミルホウ素リチウム、水素化トリシアミルホウ素カリウム、水素化トリアルコキシホウ素リチウム、水素化トリアルコキシホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素カルシウムなどの水素化ホウ素ナトリウムあるいは水素化ホウ素リチウム並びにその関連化合物、水素化アルムニウムリチウム、そのトリアルコキシ誘導体LiAlH(OR)3及び水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルムニウムナトリウムなどの金属水素錯化合物、ボラン、ジボラン、ボランのTHF、ジメチルスルフィド、アミン類などとの錯体、テキシルボラン、ジシアミルボラン、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、カテコールボラン、イソピノカンフェニルボランなどアルキルボラン、ヒドラジン、チオエタノールアミン、ジチオスレイトール、還元型グルタチオン、システイン等が挙げられる。
【0016】
本発明の好ましい態様では、前記金属ナノ粒子のコロイド溶液は、クエン酸と金属イオンを有する溶液中で前記金属イオンを還元することにより調製することが好ましい。また、前記金属イオンの還元は、溶液を攪拌しながら、還元剤を前記溶液に添加することにより行うことが好ましい。前記還元剤は、前記金属イオンを還元する試薬であれば特に制約はないが、例として、水素、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンなどが挙げられる。前記コロイド溶液に適用する溶媒は、金属塩の溶解性により異なるが、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジグリムなどの極性の高い溶媒が好ましい。特に、水や水を混合したアルコールやケトンのような親水性有機溶剤が好適に用いうる。また、前記金属イオンの濃度は、金属塩を溶解させる溶剤によって異なるが、0.001%〜0.1%の範囲が好ましい。0.001%未満では、形成される金属ナノ粒子の量が十分でなく、また、0.1%を超えると金属ナノ粒子の凝集体が析出するため好ましくない。一方、クエン酸の濃度は、溶媒により異なるが、0.001%〜クエン酸の飽和濃度が好ましい。0.001%未満では、金属ナノ粒子が十分に分散安定化されず、凝集体を形成するため好ましくない。また、クエン酸の飽和濃度以上では、クエン酸の析出があるため好ましくない。
【0017】
かくして、典型的な該コロイド溶液の製造法では、(1)カルボン酸化合物(例えば、クエン酸)を分散安定化剤として含有する金属塩含有液(例えば、Ruイオン含有液)をコロイド形成条件に付して金属元素を有するナノ粒子(例えば、Ruナノ粒子)を形成せしめ、次に(2)白金族金属塩含有液(例えば、Ptイオン含有液)を添加して、還元処理し、触媒ナノ粒子を含有し且つ前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物(例えば、クエン酸)により分散安定化されているコロイド溶液(ここで、触媒ナノ粒子は(a)金属元素を有するナノ粒子(例えば、Ruナノ粒子)と(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ白金族金属から選択された金属からなる層(例えば、Pt層)とを有する)を得る工程を包含するものであってよい。
【0018】
白金(プラチナ)塩としては、Pt2+、Pt3+、又はPt4+を含んでなるものが挙げられ、PtX2、PtX3、PtX4、[PtA6]X2、MI2[PtX4]、MI2[PtX2Y2]、MI[PtX3Y]、MI[PtX2Y2]、MI2[PtX6](X及びYは、いずれもF-、Cl-、Br-、I-、OH-、CN-、NO3-、N3-、CH3COO-、SCN-、アセチルアセトナート、1/2SO42-、1/2CO32-等の陰イオンであり、MIは、K、NaあるいはH等の一価の陽イオンであり、Aは、NH3又はアミン類である)などの形で表すことができる。具体的には、PtCl2、PtBr2、PtI2、Pt(CN)2、Pt(SCN)2、PtCl3、PtBr3、PtI3、PtF4、PtCl4、PtBr4、PtI4、K2[PtCl2(acac)2]、H2PtCl6などが挙げられる。
ルテニウム塩としては、Ru2+、Ru3+又はRu4+を含んでなるもので、RuX2、RuX3、RuX4、[RuX6]MI3、MI[RuX4](Xは、Cl、Br等のハロゲン、NO3-、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、CsあるいはH等の一価の陽イオンである)などの形で表すことができる。具体的には、RuCl3、((NH4)2RuCl6、Ru(SO4)2、RuS2、RuO2、RuO4、Na2RuO4、K2RuO4等が例示される。
【0019】
イリジウム塩としては、Ir+、Ir2+、Ir3+又はIr4+を含んでなるもので、IrX、IrX2、IrX3、IrX4、[IrX6]MI3、MI[IrX4](Xは、Cl、Br等のハロゲン、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、CsあるいはH等の一価の陽イオンである。)などの形で表すことができる。具体的には、KIr(SO4)2、RbIr(SO4)2、CsIr(SO4)2等が例示される。
パラジウム塩としては、Pd2+を含んでなるもので、通常Pd-Z2の形で表すことができる。Zは、Cl、Br、I等のハロゲン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセチルアセトネート、カーボネート、パークロレート、ナイトレート、スルフェート、オキサイド等の塩である。具体的には、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdSO4、Pd(NO3)2、PdO等が例示される。
【0020】
オスミウム塩としては、Os+、Os2+、Os3+又はOs4+を含んでなるもので、OsX、OsX2、OsX3、OsX4、[OsX6]MI3、MI[OsX4](Xは、Cl、Br等のハロゲン、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、Na、Rb、CsあるいはH等の一価の陽イオンである)などの形で表すことができる。具体的には、OsBr4、OsO4、OsCl4、KOs(SO4)2、RbOs(SO4)2、CsOs(SO4)2等が例示される。
ロジウム塩としては、Rh3+を含んでなるもので、RhX3、Rh2X6、[RhA6]X3、MI3[RhX6]、MI[RhX4](Xは、F、Cl等のハロゲン、CN、SO4などの陰イオンであり、MIは、K、NaあるいはH等の一価陽イオンであり、Aは、NH3又はアミン類である。)などの形で表すことができる。具体的には、Rh2O3、RhO2、Rh2(SO4)3、Rh(OH)3 、Rh(NO3)3、RhCl3、RhF3、RhCN3、KRh(SO4)2、Na2RhCl4、NaRh(SO4)2、HRh(SO4)2等が例示される。
Mo、W、Co、Fe、Niなどの金属の塩も、当該分野あるいは無機化学の分野で知られているものから適宜選択して使用でき、好ましくは水溶性の塩を好適に使用できるが、それには限定されない。当該塩は、Cl、Br、I等のハロゲンを含有するもの、硫酸塩、硝酸塩、過酸化ハロゲン酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、種々の複塩等が挙げられる。
【0021】
また、前記金属ナノ粒子の表面に担持されるPt層の被覆割合は、所要の触媒活性を得るために必要なPt表面積が確保できる割合であれば特に制限はないが、前記金属ナノ粒子の表面積の5%以上であることが望ましい。また、前記Pt層の厚さは、前記金属ナノ粒子がPt層表面に存在するPt原子の電子状態に影響を与える厚さであれば制約はないが、1Pt原子層の厚さ〜3nmの範囲が好ましい。3nm以上であると、前記金属ナノ粒子が前記Pt層表面に存在するPt原子の電子状態に影響を与えなくなり、Pt表面の−酸化炭素被毒抑制効果が得られなくなるため、好ましくない。なお、前記粒径は、電子顕微鏡やX繰回折測定により評価することができる。
【0022】
本発明の触媒、特には燃料電池電極用触媒は、前記触媒ナノ粒子含有コロイド溶液を使用して、該触媒ナノ粒子を担持体に担持せしめることで得られる。代表的な方法では、上記コロイド溶液を触媒用担持体と混合し、担持体上に触媒ナノ粒子を担持せしめてナノ粒子含有触媒を得ることで達成される。該触媒の製造法では、高温加熱処理が施されていないという特徴があるものが好ましい。そして、当該高温加熱処理とは、おおよそ250℃以上で施されるようなものを指してよく、例えば、300℃の高温に曝すことをことを包含してよく、さらには水素雰囲気下などの還元条件下でそうした加熱処理をすること、及び/又はポリマーを分解せしめる工程を意味するものであってよい。
【0023】
典型的な場合、本発明の燃料電池電極用触媒は、前記触媒ナノ粒子と担持体カーボンとから構成される。前記担持体カーボンは、導電性を有するカーボンであれば特に制限は無いが、前記触媒ナノ粒子を多く吸着する必要があるため、高表面積であることが好ましい。電極を構成するのに使用されるカ−ボンとしては、粉状のもの、繊維状のもの、粒状のものなど適宜目的に応じて使用できるし、それらの混合物も使用できる。代表的なカ−ボンとしては、カ−ボン粉、球状カ−ボンブラック、鱗片状グラファイト、ピッチ、繊維状炭素、中空の炭素バルーンなどが利用できる。カ−ボンブラックは、様々なものが知られており、粒子径、比表面積、窒素細孔容積、吸油量などで特徴付けることができ、例として、VULCANTM XC72R (Cabot 製)、BLACK PEARLSTM 2000 (Cabot製)、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、活性炭などが挙げられる。繊維状炭素としては、例えば、等方性ピッチ系のもの、液晶ピッチ系のもの、PNA 系のものなどが挙げられ、市販されたものの中から選択して使用できる。また、本発明の燃料電極用触媒は、熱処理を施さずに、所望の本発明の効果を得ることができるが、前記触媒ナノ粒子表面の不純物を除去するために、必要に応じて熱処理を施すことも可能である。その際に、クエン酸はポリマーより低温で熱分解が進むため、分散安定化剤としてポリマーを用いたときよりも低温の熱処理で済む。従って、熱処理による触媒の活性表面積の減少は、ポリマーを用いたときより少ない。
【0024】
本発明で得られた触媒は、常法に従い、パーフルオロスルホン酸(Perfluorosulfonic Acid)/PTFE コボリマー (H+)型など、パーフルオロカーボン膜などの高分子電解質膜の基材と配合し、つぎにカ−ボンペーパーなどに塗布することで電極を構成できる。電極用高分子電解質膜としては当該分野で当業者に知られたものの中から選択してそれを使用できるが、例えば、NafionTM(ナフィオンTMはデュポン社の登録商標)などの商品名で販売されているものを好適に使用できる。かくして得られた成形体などは、PEFC燃料電池の電極、例えば、アノードとして好適に使用できる。特には、次世代モバイル電子機器などのためのメタノール型燃料電池(DMFC)などに搭載できる。当該分野で公知の燃料電池の既存のアノードに置き換えて本発明の電極を使用することで新たな高性能の燃料電池を構成できる。したがって、当該分野で知られている構造を有する電池であっても、本発明の触媒を使用しているものはすべて包含される。
【0025】
以下に実施例及び比較例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのもので、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
【実施例1】
【0026】
図1は、Ruナノ粒子表面にPt層を担持したクエン酸安定化触媒ナノ粒子コロイド溶液を用いて作製した触媒の模式図である。図1に示した触媒(触媒A)は、下記の方法により作製した。
まず、クエン酸(和光純薬製) 38 mg、塩化ルテニウム(III) n水和物(和光純薬製)24 mg、水酸化ナトリウム(和光純薬製)40 mgを溶解した水溶液(496 mL)に、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬製)38 mgを溶解した水溶液(4 mL)を加え、1日攪拌して、クエン酸で安定化したRuナノ粒子コロイド溶液を調製した。その後、塩化白金(IV)酸六水和物(和光純薬製)47 mgを含む水溶液(2.5 mL)を加え、窒素バブリングを施した。その後、コロイド溶液を前記コロイド溶液の沸点で5時間還流して、Pt層を担持したRuナノ粒子のコロイド溶液を得た。
【0027】
このコロイド溶液中に、BLACK PEARL 2000(Cabot製)27 mgの分散水溶液(10 mL)を加えて5時間超音波照射し、遠心分離/乾操して触媒Aを得た。触媒Aを透過型電子顕微鏡で観察し、Ruナノ粒子上にPt層が担持されていることを確認した。Ruナノ粒子の粒径は5nm程度であり、Pt層の厚さは2nm程度であった。また、触媒A中のRuの重量分率は15wt%であり、Ptの重量分率は31wt%であった。
【0028】
次に、触媒A 50 mgと5% NafionTM 117溶液(和光純薬製)600mgとを混合してスラリーを作製した。その後、触媒AとNafionTM 117との混合物の乾燥重量が16mgとなるように、前記スラリーをカーボンペーパー(TGP-H-060:東レ製)に塗布して、電極を作製した。電極の表面積は3cm2とした。この電極のメタノール酸化電流を評価したところ、0.7 V(vs.NHE)において、108 mAの電流値が得られた。
【0029】
従って、クエン酸の触媒表面からの脱離効果により、活性表面積の減少を誘起する熱処理を施すことなく、清浄な表面を有する、Ruナノ粒子表面にPt層を担持した触媒ナノ粒子、を有する触媒を得ることができた。
〔比較例1〕
【0030】
図2はRuナノ粒子表面にPt層を担持したポリマー安定化触媒ナノ粒子コロイド溶液を用いて作製した触媒の模式図である。ポリマーで広範に触媒表面(触媒ナノ粒子表面)が覆われて活性発現が妨げられている様子がわかる。図2に示した触媒(触媒B)は、下記の方法により作製した。
ポリマーであるポリビニルピロリドン(PVP:和光純薬製)38 mgと、塩化ルテニウム(III) n水和物(和光純薬製)24 mgと、を溶解したエタノール-水の混合溶液(496 mL)に、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬製)38 mgを溶解した水溶液(4 mL)を加え、1日攪拌して、PVPで安定化したRuコロイド溶液を調製した。限外濾過器により濾別したRuコロイド粒子を洗浄し、水-エチレングリコール-エタノールの等容積混合液に分散させた。このRuコロイド溶液に水素をバブリングしてRuコロイド粒子に水素を吸着させた後、窒素で脱気した塩化白金(IV)酸六水和物(和光純薬製)47 mgを含む水溶液(2.5 mL)を滴下し、Ruナノ粒子表面にPt層を担持したPVP安定化触媒ナノ粒子コロイド溶液を調製した。
【0031】
このコロイド溶液中に、BLACK PEARL 2000(Cabot製)27mgの分散水溶液(10 mL)を加えて5時間超音波照射し、遠心分離/乾燥して触媒Bを得た。触媒Bを透過型電子顕微鏡で観察し、Ruナノ粒子上にPt層が担持されていることを確認した。Ruナノ粒子の粒径は5nm程度であり、Pt層の厚さは2nm程度であった。また、触媒B中のRuの重量分率は24wt%であり、Ptの重量分率は20wt%であった。
【0032】
次に、触媒B 50mgと5% NafionTM 117溶液(和光純薬製)600mgとを混合してスラリーを作製した。その後、触媒BとNafionTM 117との混合物の乾燥重量が16mgとなるように、前記スラリーをカーボンペーパー(TGP−H−060:東レ製)に塗布して、電極を作製した。電極の表面積は3cm2とした。この電極のメタノール酸化電流を評価したところ、どの電位においても、ほとんど電流は観測されなかった(0.7V(vs.NHE))において、10 mA以下)。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、高い活性を維持しているナノ粒子で構成された高機能な触媒が提供できるので、機能が優れているにもかかわらず安価な燃料電池用電極などが提供できる。該高活性且つ高機能なナノ粒子触媒を使用することで、ナノ粒子に特有な凝集などの不安定性の問題の解決が図られる一方で、高い活性を保持したままでそのナノ粒子を利用できるので、その応用分野を拡大することができる。特には携帯用電源などの分野で、安価且つ安定的な高容量の電池を提供することが可能となる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】触媒A(実施例1)の模式図である。
【図2】触媒B(比較例1)の模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 Ruナノ粒子
2 クエン酸分子
3 Pt層
4 担持体カーボン
11 Pt層
12 ポリビニルピロリドン分子
13 Ruナノ粒子
14 担持体カーボン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属元素を有するナノ粒子と、
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ白金族金属から選択された金属からなる層と、
を有する触媒ナノ粒子を含有しているコロイド溶液において、前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されていることを特徴とするコロイド溶液。
【請求項2】
請求項1に記載の層(b)が、Pt層であることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項3】
請求項1の(a)に記載の金属元素が、Ru、Mo、W、Co、Fe及びNiからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項4】
請求項1の(a)に記載の金属元素が、Ruであることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項5】
請求項1に記載のカルボン酸化合物が、クエン酸であることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載のコロイド溶液を使用して触媒ナノ粒子を担持体に担持せしめてあることを特徴とするナノ粒子含有触媒。
【請求項7】
請求項6に記載の触媒を使用してあることを特徴とする電池用電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極を備えていることを特徴とする燃料電池。
【請求項9】
カルボン酸化合物を分散安定化剤として含有する金属塩含有液をコロイド形成条件に付して金属元素を有するナノ粒子を形成せしめ、次に白金族金属塩含有液を添加して、還元処理し、触媒ナノ粒子を含有し且つ前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されているコロイド溶液
ここで、触媒ナノ粒子は
(a)金属元素を有するナノ粒子と
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ
白金族金属から選択された金属からなる層と
を有する
を得ることを特徴とするコロイド溶液の製造法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一に記載のコロイド溶液を触媒用担持体と混合し、担持体上に触媒ナノ粒子を担持せしめてナノ粒子含有触媒を得ることを特徴とする触媒の製造法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) Ru、Mo、W、Co、Fe及びNiからなる群から選択された金属元素からなり且つ1 nm〜10 nmの粒径のナノ粒子と、
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ白金族金属から選択された金属か
らなる層と、
を有する触媒ナノ粒子(ただし、(a)に記載の金属元素は白金族金属から選択された金属
からなる層を構成する元素とは異なるものが選択される)を含有しているコロイド溶液において、前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されていることを特徴とするコロイド溶液。
【請求項2】
請求項1に記載の層(b)が、Pt層であることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項3】
請求項1の(a)に記載の金属元素が、Ruであることを特徴とする請求項1に記載のコロイド
溶液。
【請求項4】
請求項1に記載のカルボン酸化合物が、クエン酸であることを特徴とする請求項1に記載のコロイド溶液。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一に記載のコロイド溶液を使用して触媒ナノ粒子を担持体に担持
せしめてあることを特徴とするナノ粒子含有触媒。
【請求項6】
請求項に記載の触媒を使用してあることを特徴とする電池用電極。
【請求項7】
請求項に記載の電極を備えていることを特徴とする燃料電池。
【請求項8】
カルボン酸化合物を分散安定化剤として含有する金属塩含有液をコロイド形成条件に付して、Ru、Mo、W、Co、Fe及びNiからなる群から選択された金属元素からなるナノ粒子を形
成せしめ、次に白金族金属塩含有液を添加して、還元処理し、触媒ナノ粒子を含有し且つ前記触媒ナノ粒子がカルボン酸化合物により分散安定化されているコロイド溶液
ここで、触媒ナノ粒子は
(a)金属元素からなり且つ1 nm〜10 nmの粒径のナノ粒子と
(b)前記ナノ粒子の表面の一部または全部を被覆し且つ
白金族金属から選択された金属からなる層と
を有する(ただし、(a)に記載の金属元素は白金族金属から選択された
金属からなる層を構成する元素とは異なるものが選択される)
を得ることを特徴とするコロイド溶液の製造法。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一に記載のコロイド溶液を触媒用担持体と混合し、担持体上に触
媒ナノ粒子を担持せしめてナノ粒子含有触媒を得ることを特徴とする触媒の製造法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−231266(P2006−231266A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52574(P2005−52574)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】