説明

分散染料組成物、および疎水性繊維材料への適用

【課題】 疎水性繊維材料を極淡色〜中色の濃度に着色する際に有用な黄色分散染料組成物を提供する。
【解決手段】 1,3−インダンジオン誘導体(1)の10〜85重量%と、該誘導体の臭化物の90〜15重量%と、410〜480nmの範囲に極小反射率を有し且つ下式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料とを含有する組成物であって、上記組成物100重量部当り、1〜40重量部の黄色系分散染料を含むことを特徴とする黄色分散染料組成物。


A/B≦0.3 (a)
[式中、Aは上記黄色分散染料組成物を用いて、同一の疎水性繊維材料を100℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の表面濃度を表し、Bは上記疎水性繊維材料を130℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の表面濃度を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄色分散染料組成物及びそれを用いる疎水性繊維材料の着色方法に関し、詳しくは1,3−インダンジオン誘導体及び該誘導体の臭化物を含む黄色分散染料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体は、カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースイエロー54として公知の化合物である。
【0003】

【0004】
【非特許文献1】新版 染料便覧(728頁)、昭和45年7月20日、丸善株式会社発行
【0005】
また、下式(2)で示される1,3−インダンジオン誘導体のモノ臭化物、下式(3)で示される1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物、及び、下式(4)で示される1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物は、特許文献1に記載された公知化合物である。
【0006】

【0007】

【0008】

【0009】
【特許文献1】特開平2−170861号公報(比較例1、実施例1、実施例3を参照)
【0010】
上記の特許文献1に記載された1,3−インダンジオン誘導体のモノ臭化物(2)、1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物(3)及び1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物(4)は、いずれもインジゴ染料との組成物としてデニム用綿糸を染色するために使用されるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、1,3−インダンジオン誘導体(1)と1,3−インダンジオン誘導体のモノ臭化物(2)と1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物(3)及び/又は1,3−インダンジオン誘導体のジ臭化物(4)とからなる分散染料組成物は、疎水性繊維材料を極淡色〜中色の濃度に着色する際には初期染着量が多く、且つ得られた着色物の昇華堅牢度が不良であるという問題点があった。
【0012】
一方、410〜480nmの範囲に極小反射率を有し、且つ下式(a)を満足し得る黄色系分散染料は初期染着量が少なく、該黄色系分散染料を用いて吸尽染色法により均一な着色物を得るためには染色温度における特別なプログラムが必要であることから、染色工程の合理化を困難にしていた。
【0013】
本発明の目的は、疎水性繊維材料を極淡色〜中色の濃度に着色する際に有用な黄色分散染料組成物、特にカラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースブルー56等の青色分散染料や、カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースレッド60等の赤色分散染料と、同一の染色浴等で染色することができ、得られた着色物の昇華堅牢度が良好な三原色用の黄色分散染料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明は、式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体と、該1,3−インダンジオン誘導体の臭化物と、410〜480nmの範囲に極小反射率を有し且つ下式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料とを含む黄色分散染料組成物であって、上記の式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体と上記の1,3−インダンジオン誘導体の臭化物との比率が(10〜85重量%):(90〜15重量%)であり、且つ、式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料の含有量が上記の1,3−インダンジオン誘導体(1)と該1,3−インダンジオン誘導体の臭化物との合計100重量部当り、1〜40重量部であることを特徴とする黄色分散染料組成物を提供するものである。
【0015】

【0016】
A/B≦0.3 (a)
[式中、Aは上記の黄色分散染料組成物を用いて同一の疎水性繊維材料を100℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の色濃度を表し、Bは上記疎水性繊維材料を130℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の色濃度を表す。]
【0017】
また、本発明は、上記の黄色分散染料組成物を用いることを特徴とする疎水性繊維材料の着色方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の黄色分散染料組成物は、赤色分散染料及び/又は青色分散染料と配合して三原色用の分散染料組成物とした際に、疎水性繊維材料に対する初期の染着性が改良される結果、相容性が向上する。また、本発明の着色方法によれば、昇華堅牢度が良好な疎水性繊維材料の着色物を再現性良く得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の黄色分散染料組成物は、1,3−インダンジオン誘導体(1)と該1,3−インダンジオン誘導体の臭化物とを含み、さらに、この混合物100重量部当り410〜480nmの範囲に極小反射率を有し且つ上式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料の1〜40重量部を含む黄色分散染料である。
本発明の黄色分散染料において、1,3−インダンジオン誘導体(1)と該誘導体の臭化物との重量比は(10〜85):(90〜15)の範囲である。
本発明の黄色分散染料における好ましい1,3−インダンジオン誘導体の臭化物は、モノ臭化物(2)と、ジ臭化物(3)及びジ臭化物(4)のいずれか一つ以上との混合物である。
本発明の黄色分散染料組成物においては、1,3−インダンジオン誘導体(1)の85〜10重量%と、モノ臭化物(2)の14.5〜55重量%と、ジ臭化物(3)及び(4)の一つ以上の0.5〜35重量%とを含む分散染料がより好ましい。
本発明の黄色分散染料においては、1,3−インダンジオン誘導体(1)の70〜15重量%と、モノ臭化物(2)の29.5〜50重量%と、ジ臭化物(3)及び(4)のいずれか一つ以上の0.5〜35重量%とを含む分散染料が特に好ましい。
【0020】
また、本発明の黄色分散染料組成物において、染色布の410〜480nmの範囲に極小反射率を有し且つ上式(a)を満足し得る黄色系分散染料としては、例えば、以下の式番号で示す分散染料が挙げられる。なお、式番号の後に示す波長は、染色布において反射率極小が得られる波長である。
【0021】

(5)、420nm
【0022】

(6)、440nm
【0023】

(7)、430nm
【0024】

(8)、440nm
【0025】

(9)、420nm
【0026】
本発明の黄色分散染料組成物は、上記の1,3−インダンジオン誘導体(1)と、上述したモノ臭化物やジ臭化物と、上記例示のような式(a)を満足し得る黄色系分散染料とを、所定の割合に混合することにより得られる。
また、本発明の黄色分散染料組成物は、1,3−インダンジオン誘導体(1)と、モノ臭化物やジ臭化物と前記例示のような式(a)を満足し得る黄色系分散染料とを後述する分散剤でそれぞれ個別に分散処理した後に、該分散化された分散染料を所定の割合に混合することにより得られる。
さらに、本発明の黄色分散染料組成物は、上記分散処理で得た染料を染色浴中で所定の割合に混合して調製してもよい。
【0027】
1,3−インダンジオン誘導体(1)、モノ臭化物やジ臭化物、上述した式(a)を満足し得る黄色系分散染料の分散化は、サンドミル等を使用し、アニオン界面活性剤を分散剤として用いて水性媒体中で行うことができる。上記のアニオン界面活性剤としては、例えば、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸やクレゾール・シェーファー酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。前記の分散処理においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等のノニオン界面活性剤を併用してもよい。
得られた分散液は、液状で用いてもよく、液状の分散液を噴霧乾燥等により乾燥し、粉体又は顆粒状で用いてもよい。
【0028】
また、本発明の黄色分散染料組成物は、1,3−インダンジオン誘導体(1)、モノ臭化物、ジ臭化物や上述した黄色系分散染料以外に、他の分散染料を用いて色相の調整を行ってもよい。色相の調整に用いられる分散染料としては、例えば、アゾベンゼン系分散染料やアントラキノン系分散染料等が挙げられる。
さらに、本発明の黄色分散染料組成物には、色相調整用の上記分散染料以外に、ノニオン界面活性剤等の分散剤、増量剤、pH調整剤、分散均染剤、ビルダー、染色助剤、樹脂バインダーや沸点が100℃以上である有機溶剤等を加えてもよい。
【0029】
本発明の黄色分散染料組成物は、ポリエステル、トリアセテート、ジアセテートやポリアミド等の疎水性繊維材料を着色することができる。
上記の疎水性繊維材料を着色するときは、本発明の黄色分散染料組成物を水性媒体中に分散させた染色浴に、必要に応じて、pH調整剤や分散均染剤等を加えた後、前記疎水性繊維材料を上記染色浴に浸漬して、染色することができる。例えば、疎水性繊維材料がポリエステル繊維である場合は、加圧下で、通常100℃以上、好ましくは105〜140℃の範囲で15〜60分間染色される。染色時間は染着の状態に応じて短縮又は延長することができる。
また、本発明の黄色分散染料組成物を用いて前記の疎水性繊維材料を染色する際には、キャリアーの存在下で、例えば水を沸騰させた状態で染色することもできる。上記のキャリアーとしては、例えばo−フェニルフェノールやメチルナフタレン等が挙げられる。
さらに、本発明の黄色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料をパディング染色することもできる。この場合は、上述した方法で調製した染料分散液を布にパディングした後、100℃以上の温度でスチーミングや乾熱処理をすることもできる。
【0030】
本発明の黄色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料を捺染するときは、上述した染料分散液を適当な糊剤と共に練り合わせ、これを布に印捺乾燥した後、スチーミング処理又は乾熱処理を行うことができる。また、上記の疎水性繊維材料をインクジェット方式により捺染することもできる。
【0031】
本発明の着色方法に適用し得る疎水性繊維材料としては、例えばエチレングリコールとテレフタル酸の重縮合により得られるポリエステル繊維が挙げられる。
また、本発明の着色方法に適用し得る他の疎水性繊維材料としては、エチレングリコール以外のポリオールとテレフタル酸との重縮合により得られるポリエステル繊維も挙げられる。さらに、本発明の着色方法に適用される疎水性繊維材料としては、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維やポリアミド繊維等も挙げられる。そして、本発明の着色方法に適用される疎水性繊維材料としては、上記例示の繊維の混紡品又は交織品も挙げられる。この混紡品又は交織品としては、上記例示の繊維同士の混紡品や交織品、前記例示以外のセルロース繊維、羊毛又は絹との混紡品や交織品等が挙げられる。
本発明の染色や捺染等の着色方法は、上述したポリエステル繊維材料に好ましく適用される。
本発明の着色方法に適用し得る他の疎水性繊維材料としては、新合繊材料も挙げられる。上記新合繊材料の素材としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートや、テレフタル酸と1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの重縮合物等のポリエステル繊維類;ナイロン等のポリアミド系繊維と上記ポリエステル繊維類との混紡品や混織品;木綿、絹、羊毛等の天然繊維と上記ポリエステル繊維類との混紡品や混織品が挙げられる。上記例示における素材の形態としては、糸、織物や編み物等が挙げられる。
上記の新合繊材料が糸の形態である場合は、0.3〜1デニールの範囲のファインデニールファイバー糸、0.3デニール未満のウルトラマイクロファイバー糸、異型断面糸や異収縮混紡糸等が挙げられる。これらの糸はフィラメント状であってもよく、各種の加工や改質が施された糸であってもよい。上述した加工や改質が施された糸としては、例えば二酸化チタン等を含む艶消し加工糸等が挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。例中における部及び%は、それぞれ重量部及び重量%である。
【0033】
1)分散染料組成物の調製
1,3−インダンジオン誘導体(1)、上述したモノ臭化物やジ臭化物及び上式(5)〜(9)で示される黄色系分散染料の各1部を、それぞれ個別に、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンとの縮合物3部と共に6部の水中で微粒子化して水性組成物を各々得た。こられの水性組成物を用いて表1記載の配合割合に調整した後、水で10倍に希釈して組成物の母液を調製した。この組成物の母液を適宜希釈して、疎水性繊維材料の染色に供した。
2)ストライク性試験
i)上述した組成物の母液50部及び母液1000部をそれぞれの染色容器に分取して、それぞれイオネットRAP−1170(商品名;三洋化成(株)製)3部を加え、水に均一に分散させた。次いで、この分散液に酢酸1.2部及び酢酸ソーダ4.8部を添加して、総量3000部の染色浴とした。この染色浴を2セット用意した。
ii)上記染色浴にテトロンスパン布(商品名;帝人(株)製のポリエステル繊維織物)100部を投入して、60〜90℃まで10分間かけて昇温後、90℃に到達した時点で第一の染色布(布A−0.5及び布A−10;段落番号0034参照)を取り出した。残りのセットは引き続き100℃まで10分間かけて昇温後、100℃に到達した時点で染色布(布B−0.5及び布B−10)を取り出した。
染色終了後、布A−0.5、布A−10、布B−0.5及び布B−10をそれぞれ半分に切断し、次いで、それぞれ以下の処理を行った。
【0034】
水洗処理:該処理は水洗後、脱水乾燥した。
還元洗浄処理:該処理は水洗及び還元洗浄の順で行い、さらに水洗、脱水及び乾燥処理した。
このようにして、布A−0.5(上記水洗処理を行った布)、布A−0.5(上記還元洗浄処理を行った布)、布A−10(上記水洗処理を行った布)、布A−10(上記還元洗浄処理を行った布)、布B−0.5(上記水洗処理を行った布)、布B−0.5(上記還元洗浄処理を行った布)、布B−10(上記水洗処理を行った布)及び布B−10(上記還元洗浄処理を行った布)の合計8枚の染色布を得た。
【0035】
3)ストライクの評価
得られた8枚の染色布のそれぞれを90%ジメチルホルムアミド水溶液に浸漬し、繊維表面に付着している染料を抽出した。得られた染料抽出液を分光光度計UV−160A[商品名;株式会社 島津製作所製]を用いて定量分析し、繊維表面に吸着した染料分を下式(10)により算出した。
ストライク=(水洗処理の染色布上の染料分)−(還元洗浄処理の染色布上の染料分)
(10)
【0036】
上記のストライクは、次の基準により5段階で評価した。
a:非常に大きいストライク性を示す。
b:大きいストライク性を示す。
c:中程度のストライク性を示す。
d:小さいストライク性を示す。
e:かなり小さいストライク性を示す。
【0037】
4)相容性試験
i)スミカロン レッドE−FBL(住友化学(株)製の赤色分散染料;ディスパース レッド60)の3部及びスミカロン ブルーE−FBL(住友化学(株)製の青色分散染料;ディスパース ブルー56)の3部に水94部を加えて、混合母液を調製した。
ii)上記1)項で得た分散染料組成物の混合母液20部と、上記i)項で得た混合母液の20部と、イオネットRAP−1170[製品名;三洋化成(株)製]の2部とを、水に均一に分散させた後、得られた分散液に酢酸0.8部と酢酸ソーダ3.2部を添加して総量2000部の染色浴を調製した。この操作を繰り返して合計7つの同じ染色浴を調製した。
【0038】
iii)上記の各染色浴にテトロントロピカル[製品名;東レ(株)製のポリエステル繊維織物]の100部を投入後、60〜130℃まで毎分1℃の速度で昇温した後、130℃で30分間保温して染色を行った。上記の昇温工程において、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃及び130℃の各温度に到達したときに、上記7つの同じ染浴における6つの染浴からテトロントロピカルを抜き取り水洗した(80℃、90℃、100℃、110℃、120℃及び130℃の各温度順に、次に示す番号1〜6の染色布になる)。残り1つの染浴においては、130℃に到達後、さらに同温度で30分間保温して得たテトロントロピカルを抜き取り、水洗した(次に示す番号7の染色布になる)。
これらの7枚のテトロントロピカルをそれぞれ還元洗浄後、さらに乾燥して、番号1〜7の染色布を得た。
【0039】
5)相容性の評価
上述した番号1〜7の染色布を順に並べて、染色布表面の色相の変化を目視し、使用した黄色染料、赤色染料及び青色染料の染着速度の一致状態(相容性)を下記の基準で評価した。なお、上記の相容性は、黄色染料、赤色染料及び青色染料における各色染料の混合割合の変化を観察するものであり、色濃度の変化を観察するものではない。
○・・番号7の染色布とほぼ同色相で、濃度のみが変化している
△・・番号7の染色布と色相が多少異なるが、ほぼ同系統の色相で変化している
×・・番号7の染色布と全く異なる色相の抜き取り布が存在する
【0040】
6)昇華堅牢度試験
上記の1)項で得た分散染料組成物の母液50部を用いて、上記4)項記載の番号7の染色布を得たときと同様の方法により黄色の染色布を得、該黄色の染色布を用いて、JIS L0879(乾熱処理に対する染色堅牢度試験方法)に準じて試験した。処理温度は180℃、処理時間は30秒とした。試験終了後、添付した白色ポリエステル布の汚染度をグレースケール(汚染)を用いて評価した。
下表に、上記の染着速度及び相容性の試験結果をまとめた。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の黄色分散染料組成物は、ポリエステル等の疎水性繊維材料を着色する際の三原色用分散染料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体と、該1,3−インダンジオン誘導体の臭化物と、410〜480nmの範囲に極小反射率を有し且つ下式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料とを含む黄色分散染料組成物であって、上記の式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体と上記の1,3−インダンジオン誘導体の臭化物との比率が(10〜85重量%):(90〜15重量%)であり、且つ、式(a)を満足し得る黄色系分散染料から選ばれる少なくとも一種の染料の含有量が、上記の1,3−インダンジオン誘導体(1)と該1,3−インダンジオン誘導体の臭化物との合計100重量部当り、1〜40重量部であることを特徴とする黄色分散染料組成物。

A/B≦0.3 (a)
[式中、Aは上記の黄色分散染料組成物を用いて同一の疎水性繊維材料を100℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の色濃度を表し、Bは上記疎水性繊維材料を130℃の染色浴中で染色したときに得られる染色布の色濃度を表す。]
【請求項2】
式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体の臭化物が、下式(2)で示されるモノ臭化物と、下式(3)示されるジ臭化物及び下式(4)で示されるジ臭化物のいずれか一つ以上との混合物である請求項1に記載の黄色分散染料組成物。





【請求項3】
式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体の85〜10重量%と、式(2)で示されるモノ臭化物の14.5〜55重量%と、式(3)で示されるジ臭化物及び式(4)で示されるジ臭化物の一つ以上の0.5〜35重量%とを含む請求項1又は2に記載の黄色分散染料組成物。
【請求項4】
式(1)で示される1,3−インダンジオン誘導体の70〜15重量%と、式(2)で示されるモノ臭化物の29.5〜50重量%と、式(3)で示されるジ臭化物及び式(4)で示されるジ臭化物のいずれか一つ以上の0.5〜35重量%とを含む請求項1又は2に記載の黄色分散染料組成物。
【請求項5】
さらに、分散剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の黄色分散染料組成物。
【請求項6】
分散剤が、アニオン系界面活性剤である請求項5に記載の黄色分散染料組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の黄色分散染料組成物を用いることを特徴とする疎水性繊維材料の着色方法。

【公開番号】特開2006−188595(P2006−188595A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1181(P2005−1181)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】