説明

分散染料組成物、及び疎水性繊維材料への適用

【課題】 疎水性繊維材料を着色する際の三原色用分散染料として、併用される黄色分散染料や赤色分散染料との染着速度が揃っており、かつ、得られた着色物の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好な青色分散染料組成物の提供。
【解決手段】 化合物(I)の1種以上と化合物(II)の1種以上を含有してなる分散染料組成物。


(I)


(II)
[式中、R、Rはメチル、エチル;Xは塩素、臭素;Tは水素、ヒドロキシル、メトキシ、アルキルカルボニルオキシ;X、Xはアミノ、ヒドロキシル;A、Aは水素、臭素、フェニル基]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性繊維材料を青色に着色する際に有用な分散染料組成物、及び疎水性繊維材料への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
下式(I)で示される化合物はC.I.Disperse Blue 79やC.I.Disperse Blue 79:1として公知である。
また、下式(II)で示される化合物はC.I.Disperse Blue 56やC.I.Disperse Blue 73として公知である。さらに、式(III)で示される化合物はC.I.Disperse Blue 60として公知である。
【0003】
【非特許文献1】新版 染料便覧、772−775頁(昭和45年7月20日 丸善株式会社発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記化合物(I)〜(III)のいずれか一つの化合物を三原色用の青色分散染料として吸尽染色した場合は、以下に述べるような不都合が生じていた。
前記化合物(I)を用いた場合は、高いカラーバリューを有する着色物が得られる反面、着色物の耐光堅牢度が満足できるレベルではなかった。また、前記化合物(II)を用いた場合は鮮明な色相を有する着色物が得られる反面、着色物の昇華堅牢度が満足できるレベルではなかった。さらに、化合物(III)を用いた場合は、耐光堅牢度が優れた着色物が得られる反面、三原色用の黄色分散染料や赤色分散染料と併用した際に上記青色分散染料と黄色分散染料や赤色分散染料との染着速度が揃わず相容性が悪いという問題があった。そして、前記化合物(I)〜(III)のいずれか一つの化合物を用いて吸尽染色する場合は、疎水性繊維材料を均一に染色することが難しく、繰り返して同じ染色をする際の染色再現性が不良になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、疎水性繊維材料を着色する際に、黄色分散染料や赤色分散染料と併用したときの染着速度が揃っており、かつ、得られた着色物の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好な三原色用青色分散染料組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上述した青色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料を着色する方法を提供することにある。
【0006】
すなわち、本発明は、下式(I)で示される化合物の1種以上及び下式(II)で示される化合物の1種以上を含有してなり、式(I)で示される化合物の1種以上と式(II)で示される化合物の1種以上の重量比が(5〜95):(95〜5)であることを特徴とする青色分散染料組成物である。

(I)
[式中、R及びRは、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を表す。Xはヨウ素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。Tは水素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、−CH−CH=CH基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。該アルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルは炭素数1〜3のアルキルである。]

(II)
[式中、X及びXは、一方がアミノ基を表し、他方がヒドロキシル基を表す。A及びAは、それぞれ独立に水素原子、臭素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基における1又は2個の水素原子はヒドロキシル基、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれる1又は2種の置換基で置換されていてもよい。]
【0007】
また、本発明は、上記青色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料を着色する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の青色分散染料組成物は、黄色分散染料及び/又は赤色分散染料と配合して三原色用の分散染料組成物とした際に、疎水性繊維材料に対する染着速度が揃っており、均染性と染色再現性が良好な着色物が得られる。また、本発明の着色方法によれば、耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスに優れた疎水性繊維材料の着色物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
上式(I)におけるR及びRは、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を表す。Xはヨウ素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。Xとしては、臭素原子が好ましい。
は水素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、−CH−CH=CH基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。該アルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルは炭素数1〜3のアルキルである。Tとしては、アルキルカルボニルオキシ基が好ましく、アセチルオキシ基が特に好ましい。
【0010】
式(II)におけるX及びXは、一方がアミノ基を表し、他方がヒドロキシル基を表す。A及びAは、それぞれ独立に水素原子、臭素原子又はフェニル基を表す。該フェニル基における1〜2個の水素原子は、ヒドロキシル基、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれる1〜2種の置換基で置換されていてもよい。
式(II)で示される化合物としては、A及びAの一方が水素原子であり、かつA及びAの他方が臭素原子である化合物、A及びAの双方が臭素原子である化合物や、A及びAの一方が水素原子であり、かつA及びAの他方が上述した1〜2種の置換基で置換されていてもよいフェニル基である化合物が好ましい。
本発明の青色分散染料組成物においては、上式(I)で示される化合物の1種以上と上式(II)で示される化合物の1種以上の重量比が(5〜95):(95〜5)である。
【0011】
本発明の青色分散染料組成物は、上記化合物(I)の1種以上及び化合物(II)の1種以上以外に、下式(III)で示される化合物を含有することが好ましい。
【0012】

(III)
[式中、Dはエチレン基又はプロピレン基を表し、Tはメチル基又はエチル基を表す。]
式(III)で示される化合物としては、Dがエチレン基であり且つTがエチル基である化合物や、Dがプロピレン基であり且つTがメチル基又はエチル基である化合物が好ましい。
【0013】
本発明の青色分散染料組成物の具体例としては、化合物(I)と化合物(II)を含む分散染料組成物や、化合物(I)と化合物(II)と化合物(III)とを含む分散染料組成物を挙げることができる。本発明の青色分散染料組成物では、化合物(I)の含有量が5〜95重量%の範囲であり、化合物(II)の含有量が95〜5重量%の範囲であり、且つ化合物(III)を化合物(I)〜(III)の合計重量に対して30重量%以下含む組成物が好ましい。
【0014】
本発明の青色分散染料組成物は、1種以上の化合物(I)と1種以上の化合物(II)と、必要に応じて1種以上の化合物(III)とを所定の割合に混合することにより得られる。混合の方法としては特に限定されないが、後述する分散剤でそれぞれ化合物毎に分散処理した後に、分散化された各化合物を所定の割合に混合するか、または上記分散処理により得られた各化合物を染色浴中で所定の割合に混合して調製することが好ましい。
【0015】
上記化合物(I)〜(III)の分散処理は、例えばサンドミルを使用し、分散剤の存在下に水性媒体中で行うことができる。上記の分散剤としては、例えばアニオン界面活性剤、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸やクレゾール・シェーファー酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。
分散処理においては、必要に応じて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等のノニオン界面活性剤を上記のアニオン界面活性剤と併用してもよい。
【0016】
分散処理により得られた分散液は、液体のままで用いてもよいし、上記分散液を噴霧乾燥等により乾燥して得た粉体又は顆粒状として用いてもよい。
【0017】
また、本発明の青色分散染料組成物は、上記化合物(I)〜(III)以外の分散染料化合物と混合して色相の調整を行ってもよい。このような分散染料化合物としては、例えばアゾベンゼン系分散染料やアントラキノン系分散染料等が挙げられる。
【0018】
色相の調整を行う際に好適な染料としては、例えば下記の染料が挙げられる。
[黄色染料]
カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースイエロー54、同イエロー64、同イエロー114、同イエロー116、同イエロー119、同イエロー122、同イエロー149、同イエロー163、同イエロー198、同イエロー211、同イエロー226、同イエロー227、同イエロー23、同イエロー231、同イエロー33、同イエロー42、同イエロー49、同イエロー58、同イエロー60、同イエロー66、同イエロー71、同イエロー79、同イエロー86、同イエロー9、同イエロー90及び同イエロー93。
[橙色染料]
カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースオレンジ118、同オレンジ25、同オレンジ29、同オレンジ30、同オレンジ31、同オレンジ32、同オレンジ37、同オレンジ45、同オレンジ56、同オレンジ61、同オレンジ76、同オレンジ96及び同オレンジ97。
[赤色染料]
カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースレッド146、同レッド188、同レッド60、同レッド92、同レッド283、同レッド188及び同レッド73。
[紫色染料]
カラーインデックス ジェネリックネーム ディスパースバイオレット28、同バイオレット57、同バイオレット77及び同バイオレット27。
【0019】
さらに、本発明の分散染料組成物は、上記の分散剤や色相調整用の分散染料化合物以外に、増量剤、pH調整剤、分散均染剤、ビルダー、染色助剤、沸点が100℃以上である有機溶剤や樹脂バインダー等を含有することができる。
【0020】
本発明の青色分散染料組成物は、ポリエステル、トリアセテート、ジアセテートやポリアミド等の疎水性繊維材料を染色又は捺染する染料として有用である。
【0021】
上記の疎水性繊維材料を着色するには、本発明の分散染料組成物を水性媒体中に分散させた染色浴中に、必要に応じて、pH調整剤や分散均染剤等を加えた後、疎水性繊維材料を前記染色浴に浸漬して、疎水性繊維材料が例えばポリエステル繊維である場合は、加圧下で通常100℃以上、好ましくは105〜140℃の範囲で15〜60分間染色する。染色時間は染着の状態により短縮又は延長することができる。
【0022】
また、本発明の青色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料を染色するには、o−フェニルフェノールやメチルナフタレン等のキャリアーの存在下で、例えば水を沸騰させた状態で染色することもできる。さらに、本発明の分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料をパディング染色する場合は、上述した方法で調製した染料分散液を布にパディングした後、100℃以上の温度でスチーミングや乾熱処理を行うこともできる。
【0023】
本発明の青色分散染料組成物を用いて疎水性繊維材料を捺染する場合は、染料分散液を適当な糊剤と共に練り合わせ、練り合わせたものを布に印捺乾燥した後、スチーミング又は乾熱処理を行う。また、インクジェット方式によって捺染することもできる。
【0024】
本発明の着色方法に適用される疎水性繊維材料としては、典型的には、エチレングリコールとテレフタル酸の重縮合により得られるポリエステル繊維が挙げられる。また、本発明の着色方法に適用されるポリエステル繊維としては、エチレングリコール以外のポリオールとテレフタル酸の重縮合により得られるポリエステル繊維も挙げられる。これらのポリエステル繊維としては、ポリブチレンテレフタレートや、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとテレフタル酸との重縮合物等が挙げられる。さらに、本発明の着色方法に適用される疎水性繊維材料としては、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維やポリアミド繊維等も挙げられる。また、ポリアミド繊維と上記ポリエステル繊維との混紡品や混織品、木綿、絹、羊毛等の天然繊維と上記ポリエステル繊維との混紡品や混織品が挙げられる。以上例示した素材の形態としては、糸、織物や編み物等が挙げられる。
【0025】
本発明の着色方法に適用される疎水性繊維材料としては、特にポリエステル繊維材料が好ましい。
【0026】
上記の合繊材料は、0.3デニールよりも大きく、かつ1デニール以下のファインデニールファイバー糸、0.3デニール以下のウルトラマイクロファイバー糸、異型断面糸や異収縮混紡糸等の所謂新合繊が挙げられる。これらの糸はフィラメント状であってもよく、二酸化チタン等で処理した艶消し加工糸等であってもよい。
【0027】
本発明の着色方法に併用される黄色及び/又は赤色分散染料は、例えば、モノアゾ結合、ビスアゾ結合やナフタレンアゾ結合を含むベンゼンアゾ系化合物、チアゾールアゾ系、ベンゾチアゾールアゾ系、ピリジンアゾ系、イミダゾールアゾ系やチオフェンアゾ系等の複素環アゾ系化合物、アントラキノン系化合物等の化合物群から選択することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。例中の部及び%は、それぞれ重量部及び重量%を表す。
【0029】
実施例1〜3及び比較例1〜2
1)青色分散染料組成物の調製
下記化合物(1)の1gを、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンとの縮合反応生成物3gと共に6gの水中で微粒子化した後、スプレー乾燥して青色分散染料を得た。また、下記化合物(2)の1gを、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンとの縮合反応生成物3gと共に6gの水中で微粒子化した後、スプレー乾燥して青色分散染料を得た。さらに、下記化合物(3)の1gを、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンとの縮合反応生成物3gと共に6gの水中で微粒子化した後、スプレー乾燥して青色分散染料を得た。
次いで、これらの青色分散染料を用いて、各青色分散染料組成物における化合物(1)、(2)及び(3)がそれぞれ下表1に記載の比率になるように配合した。
【0030】

(1)
【0031】

(2)
【0032】

(3)
【0033】
2)染色条件
i)市販の黄色分散染料(C.I.Disperse Yellow 64)の0.01g、市販の赤色分散染料(C.I.Disperse Red 73)の0.025g、上記1)項で得た青色分散染料0.04g及びイオネットRAP−1170[製品名;三洋化成(株)製]の0.27gを水に均一に分散させた。次いで、得られた分散液に酢酸0.045gと酢酸ソーダ0.18gを添加して、180mlの染浴を調製した。
上述した操作を繰り返して、合計7つの同じ染浴を得た。
【0034】
ii)テトロントロピカル[製品名;東レ(株)製のポリエステル繊維織物]5gを上記で得た60℃の各染浴に投入した後、毎分1℃の速度で60℃〜130℃まで昇温後、130℃で30分間保温して染色を行った。上記の昇温工程において、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃及び130℃の各温度に到達したときに、上記7つの同じ染浴における6つの染浴からテトロントロピカルを抜き取り水洗した(80℃、90℃、100℃、110℃、120℃及び130℃の各温度順に次に示す番号1〜6の染色布になる)。
残り1つの染浴においては、130℃に到達後、更に同温度で30分保温して得たテトロントロピカルを抜き取り、水洗した(次に示す番号7の染色布になる)。
これらの7枚のテトロントロピカルを、それぞれ還元洗浄後、さらに乾燥して、番号1〜7の染色布を得た。
【0035】
3)三原色分散染料における相容性の評価
上述した番号1〜7の染色布を順に並べて、染色布表面の色相の変化を目視し、使用した各色染料の染着速度の一致状態(相容性)を下記の基準で評価した。なお、相容性の評価は、各色染料の混合割合の変化を観察するものであり、色濃度の変化を観察するものではない。
【0036】
○:番号7の染色布とほぼ同色相で、濃度のみが変化している。
△:番号7の染色布と色相が多少異なるが、ほぼ同系統の色相で変化している。
×:番号7の染色布と全く異なる色相の抜き取り布が存在する。
【0037】
4)堅牢度試験
表1記載の青色配合染料を上記の番号7の染色布を得たときと同じ方法で染色して得た布について、耐光堅牢度及び昇華堅牢度の試験を行った。
相容性と昇華堅牢度の試験結果を表1にまとめた。
実施例1〜3の本発明組成物は、表1のようにいずれの場合も相容性が良好であった。また、得られた青色染色布の各堅牢度も実用上問題ないレベルであった。一方、比較例1〜2の組成物は、各色染料の相容性と、青色染色布の昇華堅牢度とが劣っていた。
【0038】
【表1】

【0039】
式(II)の化合物として、表2記載の下記化合物(4)〜(8)のそれぞれ単独を使用して実施例1と同様に染色しても、実施例1と同様の結果が得られる。また、式(II)の化合物として、化合物(4)〜(8)のそれぞれ単独と化合物(2)との混合物を使用して実施例1と同様に染色しても、実施例1と同様の結果が得られる。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例4〜6
1)青色分散染料組成物の調製
ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンの縮合反応生成物3g及び下記化合物(9)の1gを6gの水中で混合して微粒化後、噴霧乾燥して青色分散染料を得た。また、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンの縮合反応生成物3g及び上記化合物(2)の1gを6gの水中で混合して微粒化後、噴霧乾燥して青色分散染料を得た。さらに、ナフタレンスルホン酸ソーダとホルマリンの縮合反応生成物3g及び上記化合物(3)の1gを6gの水中で混合して微粒化後、噴霧乾燥して青色分散染料を得た。これらの3種の青色分散染料を表3記載の比率で配合して、青色分散染料組成物を得た。
【0042】

(9)
【0043】
2)染色条件
i)C.I.Disperse Orange 30の0.03gと、C.I.Disperse Red 167:1の0.05gと、上記の1)項で得たそれぞれの青色分散染料組成物の0.04gと、三洋化成(株)製のイオネットRAP−1170の0.27gとを、水に均一に分散させた後、得られた分散液に酢酸0.045gと酢酸ソーダ0.18gを添加して180mlの染浴とした。この操作を繰り返して、合計7つの同じ染浴を調製した。
【0044】
各色染料の相容性試験と、得られた青色染色布の堅牢度試験の結果とを、下表3にまとめた。表3に示されるように実施例4〜6の本発明組成物はいずれも各色染料の相容性が良好であり、得られた青色染色布の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスも良好であった。一方、比較例3〜4では、いずれも各色染料の相容性が劣る結果であった。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例7
表4記載の下記化合物(10)と上記化合物(1)と上記化合物(9)との混合物を使用して、実施例1と同様の条件で染色しても、染色時の各色染料の相容性が良好であり、得られる青色染色布の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好である。また、下記化合物(11)と上記化合物(1)と上記化合物(9)との混合物を使用して、実施例1と同様の条件で染色しても、染色時の各色染料の相容性が良好であり、得られる青色染色布の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好である。そして、下記化合物(12)と上記化合物(1)と上記化合物(9)との混合物を使用して、実施例1と同様の条件で染色しても、各色染料の染色時の相容性が良好であり、得られる青色染色布の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好である。さらに、下記化合物(13)と上記化合物(1)と上記化合物(9)との混合物を使用して、実施例1と同様の条件で染色しても、染色時の各色染料の相容性が良好であり、得られる青色染色布の耐光堅牢度と昇華堅牢度のバランスが良好である。
【0047】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の青色分散染料組成物は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の着色に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)で示される化合物の1種以上及び下式(II)で示される化合物の1種以上を含有してなり、式(I)で示される化合物の1種以上と式(II)で示される化合物の1種以上の重量比が(5〜95):(95〜5)であることを特徴とする青色分散染料組成物。

(I)
(式中、R及びRは、それぞれ独立にメチル基又はエチル基を表す。Xはヨウ素原子、塩素原子又は臭素原子を表す。Tは水素原子、ヒドロキシル基、メトキシ基、−CH−CH=CH基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。該アルキルカルボニルオキシ基におけるアルキルは炭素数1〜3のアルキルである。)

(II)
[式中、X及びXは、一方がアミノ基を表し、他方がヒドロキシル基を表す。A及びAは、それぞれ独立に水素原子、臭素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基における1又は2個の水素原子はヒドロキシル基、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれる1又は2種の置換基で置換されていてもよい。]
【請求項2】
さらに、下式(III)で示される化合物を式(I)、(II)及び(III)で示される化合物の合計重量に対して30重量%以下含有する請求項1記載の青色分散染料組成物。

(III)
[式中、Dはエチレン基又はプロピレン基を表す。Tはメチル基又はエチル基を表す。]
【請求項3】
式(II)で示される化合物が、下式(IV)で示される化合物である請求項1又は2に記載の分散染料組成物。

(IV)
[式(IV)中におけるX及びXは前記の意味を表す。また、式(IV)中における両端ベンゼン環の炭素原子の1〜2個には1〜2個の臭素原子が結合している。]
【請求項4】
式(II)で示される化合物が、下式(V)で示される化合物である請求項1又は2に記載の分散染料組成物。

(V)
[式中、X及びXは前記の意味を表す。Aで示されるフェニル基は右端のベンゼン環上における2個の炭素原子のいずれかに結合している。また、Aで示されるフェニル基における水素原子の1又は2個は、ヒドロキシル基、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれる1又は2種の置換基で置換されていてもよい。]
【請求項5】
請求項1〜4に記載の分散染料組成物を用いることを特徴とする疎水性繊維材料の着色方法。


【公開番号】特開2006−193574(P2006−193574A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4960(P2005−4960)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】