説明

分散液接着剤を用いるプラスチックフィルムの接着のための水性一液型分散液プライマー

本発明は、水性一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)を用いるプラスチックフィルム(KF)の接着のためのプライマーとしての一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)の使用に関する。該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタン(P1)とカルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含み、該ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、ポリウレタン(P2)とカルボジイミド基、およびカルボキシル基を含み、その結果、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)と該ポリウレタン分散液接着剤(DK)とが、50℃以上の温度に加熱したときポリ付加反応によって互いに反応する。本発明は、また、プライマーを塗布したプラスチックフィルム、それから製造された複合体およびそれを製造する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性分散液プライマー組成物および分散液系接着剤を用いるプラスチックフィルムの接着に関する。
【背景技術】
【0002】
水性分散液接着剤は、広範囲にわたって、特に繊維の付着に使用される。
【0003】
分散液接着剤を使用するフィルム、より特定的には装飾用フィルム、の付着のためには、そのフィルムは一般的にはプライマーによる前処理が施される。これらのプライマーは、一般に溶剤系であり、したがって、職業衛生および安全性の観点から不利である。スルホン酸基を含有する水性ポリウレタンプライマーも知られている。しかしながら、これらのプライマーは、気候および熱の負荷のもとで脆弱性を示し、それ故、多くの場合、早い時期に接着層の不具合を引き起こす。
【0004】
水性分散液接着剤の中で、近頃、一液型水性分散液接着剤に向けた傾向が注目されている。例えば、国際公開第2005/113627A1号は、カルボキシル基とカルボジイミド基とを含有するポリウレタンまたはカルボキシル基を含有するポリウレタンおよびカルボジイミドに基づく水性一液型分散液接着剤を開示している。
【0005】
また一方、これらの一液型分散液接着剤についても同様にプライマーの使用が有利であることが明らかとなった。しかし、既知のプライマーシステムは、上記の脆弱性を示す。
【特許文献1】国際公開第2005/113627A1号
【特許文献2】国際公開第00/11060号
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第10000656A1号
【特許文献4】国際公開第01/34559A1号
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第10001777A1号
【特許文献6】欧州特許第1000104B1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、本発明の目的は、従来技術の問題を除去すること、より特定的には水性一液型分散液接着剤を用いるプラスチックフィルムの信頼できる接着のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚いたことに、この目的は、請求項1に従って、プライマーとして水性ポリウレタン分散液組成物を使用して達成できることが見出された。
【0008】
本発明のさらなる態様は、請求項8に従ってのプライマーを塗布したプラスチックフィルムである。このようにして塗布したフィルムは、タックフリーであり、剥離紙インタリーフなしで巻き取ることができ、個々の層が粘着する場面を引き起こすことがなく、それ故「非ブロッキング性」と称することができることが分かった。
【0009】
本発明のさらなる態様は、請求項10に従う複合材料であり、また請求項12に従うそれらを製造する方法である。
【0010】
本発明のさらなる有利な実施形態は、従属する請求項から明らかとなろう。本発明により、複合材料、より特定的には、改良された気候および温度負荷特性を示すフィルムに付着した繊維材料およびプラスチックを得ることが可能であることが分かる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明のいくつかの実施形態
本発明は、一方では、水性一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)を用いるプラスチックフィルム(KF)の接着のためのプライマーとしての一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)の使用に関する。
【0012】
この状況において、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンP1と、カルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含み、該ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、ポリウレタンP2と、カルボジイミド基、および/またはカルボキシル基を含み、その結果、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)と該ポリウレタン分散液接着剤(DK)とは、50℃以上の温度に加熱したときポリ付加反応によって互いに反応する。
【0013】
該カルボジイミド基は、熱の影響を受けてカルボキシル基と反応する。
【0014】
したがって、以下の様々な変形が可能である:
a)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボジイミド基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボキシル基を含有する
b)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボキシル基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボジイミド基を含有する
c)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボジイミド基およびカルボキシル基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボキシル基を含有する
d)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボジイミド基およびカルボキシル基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボジイミド基を含有する
e)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボジイミド基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボジイミド基およびカルボキシル基を含有する
f)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボキシル基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボジイミド基およびカルボキシル基を含有する
g)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、カルボキシル基およびカルボジイミド基を含有し、水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、カルボジイミド基およびカルボキシル基を含有する。
【0015】
水性ポリウレタン分散液組成物(PD)と水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)の間の50℃以上の温度に加熱したときのポリ付加反応を確保するために、c)、d)、e)、およびf)を選択する場合、すなわち、ポリウレタン分散液組成物(PD)および/または水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)が、カルボジイミド基およびカルボキシル基を同時に含む場合、ポリウレタン分散液組成物(PD)中のみまたは水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)中のみに存在するこれらの官能基の1つが、各場合においてカルボジイミド基およびカルボキシル基の両方が存在するポリウレタン分散液組成物(PD)中および/またはポリウレタン分散液接着剤(DK)中の他の官能基に対して化学量論的に過剰に存在することを確保するように注意しなければならない。
【0016】
したがって、
c)において、ポリウレタン分散液組成物(PD)中でカルボジイミド基は、カルボキシル基より化学量論的に過剰であり、
d)において、ポリウレタン分散液組成物(PD)中でカルボキシル基は、カルボジイミド基より化学量論的に過剰であり、
e)において、ポリウレタン分散液接着剤(DK)中でカルボキシル基は、カルボジイミド基より化学量論的に過剰であり、
f)において、ポリウレタン分散液接着剤(DK)中でカルボジイミド基は、カルボキシル基より化学量論的に過剰である。
【0017】
g)を選択する場合は、官能基の1つ(カルボジイミド基またはカルボキシル基)が、それぞれの場合に、ポリウレタン分散液組成物(PD)中に化学量論的に過剰に存在し、一方この官能基が、ポリウレタン分散液接着剤(DK)中に化学量論的に不足して存在する必要がある。
【0018】
カルボキシル基は、好ましくは、ポリウレタンP1および/またはポリウレタンP2に結合している。
【0019】
カルボジイミド基は、好ましくは、ポリウレタンP1および/またはポリウレタンP2中に組み込まれている。
【0020】
好ましいカルボジイミド基は、式(I)
【0021】
【化1】

を有する。
【0022】
カルボキシル基は、ポリウレタンP1および/またはポリウレタンP2に結合している。
【0023】
1つの好ましい実施形態において、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンP1に組み込まれているカルボジイミド基を含有する。
【0024】
別の好ましい実施形態において、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンP1に結合しているカルボキシル基を含有する。
【0025】
水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)中に位置するポリウレタンP2は、一方では、好ましくはカルボジイミド基およびカルボキシル基の両方を含有するポリウレタン(PUR−COOH−CDI)である。
【0026】
水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)中にあるポリウレタンP2は、他方で、好ましくは、カルボキシル基を含有するポリウレタン(PUR−COOH)である。分散液接着剤(DK)については、この種のポリウレタン(PUR−COOH)およびさらに少なくとも1つのカルボジイミド基を含有する少なくとも1つのカルボジイミド(CDI)を含むことが好ましい。
【0027】
この種のカルボジイミド(CDI)は、少なくとも1つのカルボジイミド基−N=C=N−を含有するが、カルボキシル基は含有しない化合物である。特に適するカルボジイミド(CDI)は、式(I)
【0028】
【化2】

の構造要素を含有するものである。特に適するかかるカルボジイミド(CDI)は、例えば、国際公開第00/11060号に「カルボジイミドIbii」として記載されている。
【0029】
さらなる実施形態において、該ポリウレタン分散液組成物(PD)は、少なくとも1つの上記のカルボジイミド基を含有する少なくとも1つのカルボジイミド(CDI)を含む。
【0030】
1つの最も好ましい実施形態において、該水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンポリマーP1としてカルボキシル基を含有するポリウレタンポリマー(PUR−COOH)を含み、該水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、ポリウレタンポリマーP2としてカルボジイミド基を含有するポリウレタンポリマー(PUR−CDI)またはカルボジイミド基およびカルボキシル基の両方を含有するポリウレタンポリマー(PUR−COOH−CDI)を含み、後者の場合、該ポリウレタンポリマー(PUR−COOH−CDI)中の該カルボジイミド基は、該カルボキシル基より化学量論的に過剰に存在する。
【0031】
ポリウレタンポリマーP1およびポリウレタンポリマーP2は、好ましくは、スルホン酸基を含有しない。
【0032】
ポリウレタンポリマーP1およびP2は、水性分散液についての当業者には既知の方法により、一般的にはポリイソシアネート類およびNCO活性の化合物例えばポリオール類から調製される。
【0033】
カルボキシル基を有するポリウレタン、PUR−COOHは、1高分子当り少なくとも1個のカルボキシル基を含有するポリウレタンである。この種の化合物は、長きにわたって知られており、水性ポリウレタン分散液の配合物に使用される。一般的には、それらはポリイソシアネート類とカルボキシル基およびNCO活性基を含有する化合物ならびに必要に応じて通例のポリオール類、より特定的にはジオール類とから調製される。カルボキシル基およびNCO活性基を含有するこの種の化合物は、例えば、アミノカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類、より特定的には、ジヒドロキシアルキルカルボン酸類、例えばジメチロールプロピオン酸など、またはそれと構造的に類似しているジオールカルボン酸類である。カルボキシル基を有する非常に適切なポリウレタンPUR−COOHは、例えば「ポリマー(PII)」として、ドイツ特許出願公開第10000656A1号または国際公開第01/34559A1号に記載されている種類のものであることが明らかになっている。
【0034】
カルボキシル基およびカルボジイミド基を有するポリウレタンPUR−COOH−CDIは、カルボキシル基だけでなくカルボジイミド基−N=C=N−も含有するポリウレタンである。
【0035】
カルボキシル基およびカルボジイミド基を有する特に適するポリウレタンPUR−COOH−CDIは、式(I)
【0036】
【化3】

の構造要素を含有するものである。この種の化合物は、例えば、ドイツ特許出願公開第10001777A1号に、または欧州特許第1000104B1号に「ポリマー(Ia)」として記載されている。
【0037】
一定の状況において、ポリウレタン分散液組成物(PD)および/または分散液接着剤(DK)にとって、同時に少なくとも1つのカルボジイミド(CDI)とカルボキシル基およびカルボジイミド基を有する少なくとも1つのポリウレタン(PUR−COOH−CDI)とを含むことが有利であることが証明されている。
【0038】
水性分散液接着剤にとっては、カルボキシル基およびカルボジイミド基を有する少なくとも1つのポリウレタン(PUR−COOH−CDI)とカルボキシル基を有する少なくとも1つのポリウレタン(PUR−COOH)とを同時に含むこともまた有利でありうる。
【0039】
一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)および一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、さらに水を含む。一般的に、その水の割合は、70重量%と40重量%の間、より特定的には、55重量%と45重量%の間である。
【0040】
水性ポリウレタン分散液組成物(PD)、およびより特定的には、一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、少なくとも1つのコポリマーAをさらに含むことができ、それは、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)またはモノマー類、エチレン、酢酸ビニル、および少なくとも1つの(メタ)アクリレートのコポリマーのいずれかである。
【0041】
その上、一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)および/または一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、さらなる構成成分を有利に含む。さらなる構成成分は、より特定的には、安定剤、増粘剤、老化防止剤、防カビ剤、顔料、染料、湿潤剤、消泡剤、艶消し剤、中和剤、および充填剤を含む群から選択される構成成分である。
【0042】
水性分散液で一般的に使用される種類の安定剤類は、基本的には適合する。しかしながら、安定剤を、湿潤剤、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびそれらの混合物を含む群から選択するとき、その安定剤の使用により非常に保存に安定な分散液接着剤およびポリウレタン分散液組成物がもたらされることが明らかとなった。
【0043】
特別な利点が、有機溶媒を含まない、より特定的には、いわゆるVOC類(揮発性有機化合物類)および/または可塑剤を含まない分散液接着剤およびポリウレタン分散液組成物によって得られる。可塑剤のみならず有機溶媒もまた、環境毒性および職業衛生の観点からは有害である。その上、可塑剤は、表面に移動する可能性があり、接着層の不具合を引き起こすか表面が粘着性になる原因となり、付着ジョイントの汚れを引き起こす。溶媒も、それらは一方では加熱の際および接着剤の塗布の間に付加的な危険の可能性を伴い、他方では、それらはさらに移動して長期間にわたって環境およびその接着剤と接触している材料に放出され、これらの材料に悪影響を与える可能性があり、かつ/または接着層の不具合を引き起こす可能性があるために同様に好ましくない。
【0044】
一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)および/または一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)の調製は、水性分散液および分散液接着剤に関連する当業者には知られている例えば国際公開第2005/113627A1号に開示されているような方法により達成される。
【0045】
該一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、水性一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)を用いるプラスチックフィルム(KF)の接着のためのプライマーとして使用される。
【0046】
用語「プライマー」は、当業者により一般的に理解されている定義でこの文書では用いられており、すなわち、それは、プラスチックフィルム(KF)に塗布され、水切り後接着剤と接触され、該接着剤の該プラスチックフィルムへの接着の改良をもたらす一般的には1ミリメートルより薄く、より特定的には1マイクロメートルと200マイクロメートルの間、好ましくは1マイクロメートルと100マイクロメートルの間の薄層を意味する。
【0047】
本文書を通して「水切り」とは、水性ポリウレタン分散液組成物または水性ポリウレタン分散液接着剤をその塗布後に乾燥して、水を全部または少なくとも大部分蒸発させることを意味する。本文書において、このようにして水切りした水性ポリウレタン分散液組成物または水性ポリウレタン分散液接着剤はそれぞれPD’またはDK’と称する。
【0048】
「プラスチックフィルム」とは、より特定的には、巻き取ることができる0.05ミリメートルから5ミリメートルの厚さの柔軟なシート状のプラスチックを意味する。したがって、それは、厳密な意味で、1mm未満の厚さの「フィルム」だけでなく、一般的には1〜3mmの厚さ、またはさらに特別な場合は最大5mmまでの厚さの、トンネル、屋根またはスイミングプールの遮水に一般的に使用される種類の遮水膜も含む。この種のプラスチックフィルム(KF)は、散布、注型、圧延または押出しによって一般的には製造され、一般的には巻物で市販されているか現地で製造される。それらは、単層構造または多層構造のものでありうる。
【0049】
該プラスチックは、好ましくは熱可塑性の、例えば、PVC、より特定的には可塑化PVC、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、または熱可塑性ポリオレフィン類(TPO)、ASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリル酸エステル)、PUR(ポリウレタン)、PA(ポリアミド)、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはそれらのポリマーアロイなどである。PVCおよび熱可塑性ポリオレフィン類(TPO)が、特に好ましいと考えられる。
【0050】
したがって、本発明のさらなる態様は、少なくとも1つのポリウレタンP1ならびにカルボジイミド基および/またはカルボキシル基も含む一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)をプラスチックフィルム(KF)に塗装して水切りすることによって得られるプライマーを塗布したプラスチックフィルムを含む。該一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)および該プラスチックフィルム(KF)については既に説明した。
【0051】
該プライマーを塗布したプラスチックフィルムは、様々な方法によって製造することができる。水性ポリウレタン分散液組成物(PD)の塗装は、例えば、吹付け、散布、ナイフ塗布、スタンピング、ローラー塗装または注型塗装の方法によって達成することができる。接着剤の吹付け塗装(この方法が優先的に用いられる)の場合は、しかしながら、オーバースプレーと呼ばれる問題に注意を払う必要がある。その塗装は、塗装装置を用いて一般的には塗装される。
【0052】
水性ポリウレタン分散液組成物(PD)の塗装に続いて、それは、水切りされた水性ポリウレタン分散液組成物(PD’)を形成するように水切りされて、フィルムが形成される。このフィルムをプライマーと称する。水切りは、水切り手段を用いるかまたは用いない空気中での蒸発によって起こしうる。使用することができる水切り手段としては、例えば、扇風機、より特定的には換気扇が挙げられる。水切り手段を使用するのが好ましい。水切りは室温または高温、より特定的には、150℃より低い温度で行うことができる。水切りは、例えばCarnot法を用いて好ましくは低温で成し遂げる。
【0053】
かくして製造されたプライマーを塗布したプラスチックフィルムは、次に、必要に応じて、所定の長さに裁断し、カットオフし、巻き取り、またはそのままさらに処理することができる。プライマーを塗布したプラスチックフィルムの巻物は、次に、必要に応じて、貯蔵または輸送することができる。長期に及ぶ貯蔵または輸送時間の後でさえも巻き取ったフィルムのブロッキングがないために、剥離紙インタリーフを使用せずにそれを巻き取ることができることは、上記のプライマーを塗布したプラスチックフィルムの重要な利点である。したがって、例えば、プライマーが塗布されたプラスチックフィルムは、フィルムメーカーの施設で塗布し、その後比較的長時間貯蔵し、次にこのプレコートしたフィルムを基材に付着させる工場に供給することができる。塗布と加工の間のこの時間の長いスパンにもかかわらず、欠点のない接着を確保することが可能である。この利点は、産業界、特に車両製造業の内部には、製造において「ラインから離れて供給業者に向かう」明らかな傾向がある事実によって特に重要である。この傾向は、順に、例えば、車のドアの直接供給業者と、その例えば装飾材料の供給業者との間でも同様に続いている。一定の条件下では、離型紙のインタリーフを使用するのが、それにもかかわらず有利であり得ることが当業者には明らかである。
【0054】
製造されたプライマーが塗布されているプラスチックフィルムは、好ましくは、水性分散液接着剤を用いて付着され、複合材料が形成される。
【0055】
したがって、本発明のさらなる態様は、複合材料およびそれを製造する方法に関する。
【0056】
該複合材料は、以下の、
(i)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)を、プラスチックフィルム(KF)に塗布するステップと、
(ii)ポリウレタン分散液組成物(PD)を水切りして水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)を形成するステップと、
(iii)水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)を、基材(S)に塗布するステップと、
(iv)水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)を水切りして水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)を形成するステップと、
(v)その上面に水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)のあるプラスチックフィルム(KF)を加熱するステップと
(vi)水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)を、(ii)によって水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)と接触させるステップと
を含む方法によって製造される。
【0057】
ステップ(iv)および(v)は、この場合、連続して、または同時に行うことができる。この水性ポリウレタン分散液組成物(PD)およびこの水性ポリウレタン分散液接着剤については上で既に説明されている。
【0058】
水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)の塗装は、例えば、吹付け、散布、ナイフ塗布、スタンピング、ローラー塗装または注型塗装の方法によって達成することができる。接着剤の吹付け塗装(この方法が優先的に用いられる)の場合は、しかしながら、オーバースプレーと呼ばれる問題に注意を払う必要がある。この分散液接着剤は、付着が起こる表面に、一般的には湿体の量で30〜200g/m、好ましくは60〜120g/mを塗装する。
【0059】
1つの好ましい実施形態において、接触させるステップ(vi)は、フィルムにかける加圧下で行う。この加圧は、好ましくは、0.1バールと1バールの間、より好ましくは少なくとも0.8バールである。好ましくは、この加圧は、好ましくは水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)と水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)との間の空間から吸引下で空気を引き抜くことにより、フィルムと基材との間に減圧をかけることによって発生させる。
【0060】
ステップ(vi)における接触の際に、水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)は、好ましくは50℃以上の温度、より特定的には、50℃と180℃の間の温度、より好ましくは60℃と80℃の間の温度を有する。
【0061】
50℃以上の温度の影響の結果として、カルボジイミド基は、カルボキシル基とのポリ付加反応を介してN−アシル尿素を形成する。したがって、プライマー、すなわち、水切りしたポリウレタン分散液組成物、および水切りしたポリウレタン分散液接着剤は、互いに化学的に反応する。加熱後、反応した接着剤(K)の層と一体となった反応したプライマー(P)の層が形成される。層の厚さおよび方法によってその反応が完全でありうるか不完全でありうるか当業者には明らかである。多くの場合、組成物および接着剤と、また処理条件の選択された組合せによって、例えば移行によって転移層が生成することが可能であるために、多くの場合、これらの層は互いからはっきりと区分けされないことが当業者にはさらに明らかある。最良の硬化の可能性を得るためには、少なくとも水性分散液接着剤(DK)、および/または水切りした水性分散液接着剤(DK’)、また、妥当な場合は、水性ポリウレタン分散液組成物(PD)、またはプライマーについては、カルボジイミド基およびカルボキシル基の両方を、より特定的には、カルボキシル基およびカルボジイミド基を有するポリウレタンポリマー(PUR−COOH−CDI)の形で、またはカルボキシル基を有するポリウレタンポリマー(PUR−COOH−CDI)およびカルボジイミド(CDI)の形で含有することがそれ故有利である。
【0062】
基材(S)は、しばしば支持体とも呼ばれるが、様々な種類のものでありうる。基材は、例えば、金属、塗装金属製、プラスチック、木材、木製基礎材料または繊維材料製でありうる。基材は、好ましくは頑丈な成形物である。
【0063】
かくして形成された複合材料は、したがって、少なくとも
− 1つのプラスチックフィルム(KF)、
− 1つの反応したプライマー(P)、
− 1つの反応した接着剤(K)
および
− 1つの基材(S)
を有する。
【0064】
反応したプライマーは、この場合、一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)から得られ、反応した接着剤は、一液型水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)から得られる。さらに、反応したプライマー(P)は、プラスチックフィルム(KF)と反応した接着剤(K)の間に配置され、反応した接着剤(K)は、反応したプライマー(P)と基材(S)の間に配置される。既に説明したように、水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンP1と、カルボジイミド基および/またはカルボキシル基も含み、ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、ポリウレタンP2と、カルボジイミド基および/またはカルボキシル基も含む。
【0065】
これらのカルボキシル基とカルボジイミド基は、50℃以上の温度に加熱するとポリ付加反応により互いに反応する。したがって、反応したプライマー(P)と反応した接着剤(k)は、化学反応によって互いに直接接合している。
【0066】
かくして形成された複合材料は、好ましくは工業製品の物品であり、より特定的には、室内装備品のための物品である。好ましくは、それは輸送の手段における装置の部品であるか、または家具部門において使用される。
【0067】
特段の重要性が、車両の、より特定的には自動車の室内装備品を製造するためのプライマーを施したプラスチックフィルムの使用に置かれる。かかる室内装備品の例は、ドアの側面部分、スイッチパネル、小荷物棚、ルーフパネル内面、スライディングルーフパネル内面、センターコンソール、グローブボックス、サンバイザ、ピラー、ドアハンドル、肘掛け、床アセンブリ、積載床アセンブリ、およびトランクアセンブリ、それから、バンおよびトラックのスリーピングキャブのウォール、背面ウォールなどである。
【0068】
この目的のためにより特定的に使用されるのは、遮水処理における真空成形法または加圧積層法である。
【0069】
真空成形法の場合、分散液接着剤を支持体とも呼ばれる基材Sに塗装する。これに続いて、本発明の場合は、室温で、または好ましくは40℃以下のトンネル乾燥器中で水切りをする。一般的にはプライマーを塗布したフィルム(空気不透過性材料の装飾成分)を枠の中に密閉して固定する。そのフィルムの下には下型があり、その上に支持体が置かれる。下型および支持体は、ドリルホールを有しているか空気透過性である。その装置は、さらにその底部に向かって空気を通さないように密閉されている。空気がこの装置から吸引下で引き抜かれると、装飾材料は、そのとき、その装飾材料の表面にかかっている大気圧のもとで支持体成分に正確に合致する。その装飾材料は、真空または減圧を加える前に加熱する。真空または減圧を生じさせなければならないために、その装飾材料は空気不透過性である。
【0070】
加圧積層法の場合、接着剤は、同じく支持体に、適切な場合はプライマーを塗布したプラスチックフィルム(装飾成分)に、しかし、少なくとも支持体に塗装する。これに続いて、一般的には、室温で、または好ましくは40℃以下のトンネル乾燥器中で水切りをする。支持体の装飾成分への付着は、熱活性化に続く接合および加圧によって達成される。
【0071】
ここで利用されるプライマーを塗布したプラスチックフィルムは、多くの場合装飾用フィルムであり、表層構造を有する。プラスチックフィルム上のこの表層構造は、例えば接着の前または途中または後のエンボス加工によって導入することができる。
【0072】
以下の文章においては、本発明を、図面を参照しながらさらに図式的に説明する。様々な図の中の同一要素は、同じ参照記号が与えられている。移動は、矢印によって示されている。図面によって示されている構造は、次の通りである。
【0073】
図1は、複合材料の製造において可能性のある中間体について説明している。
【0074】
図1aは、一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)が塗装され、それが水切りされる前のプラスチックフィルム(KF)を示す。その一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)が水切りされた後、プライマーと称される水切りされた水性ポリウレタン分散液組成物(PD’)が形成される。
【0075】
図1bは、一液型水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)が塗装され、それが水切りされる前の基材(S)を示す。その一液型水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)が水切りされた後、水切りされた水性ポリウレタン分散液接着剤(DK’)が形成される。
【0076】
そのプライマーを塗布したプラスチックフィルムは、その後水切りした接着剤(DK’)により基材(S)に接合され、加熱によって硬化される。加熱の結果としてプライマーと接着剤が反応し、図1c)に図式的に示されているように、反応したプライマー(P)および反応した接着剤(K)を介して基材(S)と接合しているプラスチックフィルム(KF)を備えた複合材料が形成される。好ましい実施形態において、加熱は、塗布したフィルムが可塑化されて加圧下で基材(S)上に位置する水切りした接着剤(DK’)に付着するように、塗布したフィルム全体に、接触させる前に行う。
【0077】
図2は、プライマーを塗布したプラスチックフィルム1の製造を図式的に示す。ここに示されている実施形態において、一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、塗装装置4を用いてプラスチックフィルム(KF)に塗装する。ここでプラスチックフィルムは、塗装装置4の下を移動する。一般的には、該プラスチックフィルムは、巻物(図示せず)から巻きが解かれる。塗装に続いて、その水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、水抜き手段2(例えば換気扇)を用いて水抜きする。このようにして水抜きされた水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、プラスチックフィルム上にプライマーを形成する。図2は、このプライマーを塗布したプラスチックフィルムが巻き取られることを示している。図2の下部には巻き取られたプライマー塗布プラスチックフィルムの巻物3の拡大した部分の図も示されている。塗布プラスチックフィルムの巻き取りの結果として、プライマー塗布プラスチックフィルム1の個々の層は、互いに直接接触しており、より特定的には、剥離紙インタリーフを有さない。必要な場合には、そのプライマー塗布プラスチックフィルムは、長時間の貯蔵または輸送の後でさえもブロッキングすることなく、巻物3から巻きを解くことができる。
【実施例】
【0078】
以下に展開する実施例は、本発明を説明するために役立つ。
【0079】
プライマー塗布プラスチックフィルム
表1に示すプライマーは、ワイヤードクター(wire doctor)を用いて、約10μの層の厚さでPVCフィルム(層の厚さ1.6mm)に塗装し、50℃(フィルム温度)より低い乾燥オーブン中で水切りした。
【0080】
【表1】

【0081】
発明のプライマーP1を塗布したフィルムは、剥離紙インタリーフなしでブロッキングを起こすことなく貯蔵することができた。
【0082】
一液型水性ポリウレタン分散液接着剤の調製
水性ポリウレタン分散液接着剤を次のようにして調製した。
【0083】
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)(エチレン/酢酸ビニル=17%/83%、粘度(ブルックフィールドRVT 3/20(ISO 2555))=3800±1000mPas、pH=4〜5、含水量:40±1%)の水性分散液50gを、撹拌容器に仕込んだ。水酸化ナトリウム水溶液(水中25%NaOHの0.2g)を加えて、7.5と8.5のpHのレベルにpHを調整した後、カルボキシル基およびカルボジイミド基を含むポリウレタン分散液(粘度(23℃、DIN ISO 976に従って250s−1)=50〜300mPas、粒径=約0.1mm、フィケンチャー法によるK値=約30〜60、フィルムの引裂強度=約30N/mm、フィルムの破断点伸び=約800%、含水量:約60%)の50gを、撹拌しながら導入した。続いて、オリゴカルボジイミド(カルボジイミド含量(ポリマーに対して)=約12%、約3mol/kg、粘度(23℃、DIN ISO 3219に従って250s−1)=10〜500mPas、pH=8〜10、含水量:80%)の5gを、撹拌しながら導入した。およそ20分間さらに撹拌した後、その分散液接着剤の粘度を、0.2gの増粘剤(Borchi(登録商標) Gel L 75 N、Borchers GmbH)を用いて、5000mPasと6000mPasの間の粘度に調整した。その粘度は、3/5rpmスピンドルのブルックフィールドRVT粘度計を用いて20℃で測定する。その分散液接着剤は、およそ50重量%の水分率を有する。
【0084】
複合材料の製造
上記の水性ポリウレタン分散液接着剤を、PVCフィルム(層の厚さ1.6mm)にほぼ150μmのウェットフィルム厚で塗装し、室温で水切りし、ヒートシール法(シール温度70℃)でプライマーを塗布したプラスチックフィルムに付着させた。
【0085】
接着は、加熱されたプレート式圧搾機(100℃のプレート温度)により、付着接合部で70℃の温度を生じる15秒以内で行った。
【0086】
試験方法
− 剥離安定性試験における耐熱性(繰返し測定)
この目的のため、2.5cm幅の試験片に加熱オーブン中で300gの加重下の負荷をかけた。
【0087】
80℃の温度で始まる予熱したオーブン中で、その試験片を1時間放置し、その後、それぞれさらに1時間後に、オーブン中の温度をさらに10度ずつ上げた。
【0088】
この負荷のもとで、付着接合部は、時間と温度に応じて開く。付着接合部のこの開きの間隔(「d」)を測定し、d(80℃)、d(90℃)、d(100℃)、d(110℃)、およびd(120℃)として記録した。破断が起きた場合は、これが起こるまでに要した時間を測定した。その開きの間隔およびその時間は、接着層の品質についての情報を提供する。
【0089】
− 気候周期試験における耐性(繰返し測定)
試験片の作製は、耐熱性試験用と同じとした。試験それ自体は、同じく300gの負荷により、BMW 3.08試験に従って行った。このための指定試験プロフィールは、以下の通りである:
90℃で4時間保存(80%相対湿度)
2時間で−30℃まで冷却(80%相対湿度)
−30℃で4時間保存(80%相対湿度)
2時間で90℃まで加熱(80%相対湿度)。
【0090】
1つの試験サイクルを実施した後、開きの間隔(「d」)を測定した。ここでも同様に、この間隔は、気候周期暴露後の付着の安定性についての情報を提供する。
【0091】
結果: 結果を表2および表3にまとめる。
【0092】
【表2】

【0093】
【表3】

【0094】
耐熱性および気候周期耐性の点で大きく改良された挙動を示す複合材料についての結果は、本発明の利点をはっきりと示している。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1a】複合材料および中間体の構造を示す図である。一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)が塗装されているプラスチックフィルム(KF)の断面図である。
【図1b】複合材料および中間体の構造を示す図である。一液型水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)が塗装されている基材(S)の断面図である。
【図1c】複合材料および中間体の構造を示す図である。接着して加熱した後の複合材料の断面図である。
【図2】プライマーを塗布したプラスチックフィルムの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 プライマーを塗布したプラスチックフィルム
2 水切り手段
3 巻き取ったプライマー塗布プラスチックフィルムの巻物
4 塗装装置
KF プラスチックフィルム
PD ポリウレタン分散液組成物
PD’ 水切りしたポリウレタン分散液組成物
DK 水性ポリウレタン分散液接着剤
DK’ 水切りした水性ポリウレタン分散液接着剤
P 反応したプライマー
K 反応した接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性一液型ポリウレタン分散液接着剤(DK)を用いるプラスチックフィルム(KF)の接着のためのプライマーとしての一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)の使用であって、
前記水性ポリウレタン分散液組成物(PD)は、ポリウレタンP1とカルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含有し、
前記ポリウレタン分散液接着剤(DK)は、ポリウレタンP2とカルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含み、
その結果、前記水性ポリウレタン分散液組成物(PD)と前記水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)とが、50℃以上の温度に加熱したときポリ付加反応によって互いに反応する使用。
【請求項2】
カルボジイミド基が、式(I)
【化1】

を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリウレタン分散液組成物(PD)が、ポリウレタンP1中に組み込まれた形で存在するカルボジイミド基を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ポリウレタン分散液組成物(PD)が、ポリウレタンP1に結合しているカルボキシル基を含有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)中に存在するポリウレタンP2が、カルボキシル基およびカルボジイミド基の両方を含有するポリウレタン(PUR−COOH−CDI)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)が、ポリウレタンP2としてカルボキシル基を含有するポリウレタン(PUR−COOH)を含み、
少なくとも1つのカルボジイミド基を含有する少なくとも1つのカルボジイミド(CDI)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
水性ポリウレタン分散液組成物(PD)が、少なくとも1つのカルボジイミド基を含有する少なくとも1つのカルボジイミド(CDI)を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)を、プラスチックフィルム(KF)に塗布し、水切りすることにより得られるプライマーを塗布したプラスチックフィルムであって、前記ポリウレタン分散液組成物(PD)が、少なくとも1つのポリウレタンP1と、カルボジイミド基および/またはカルボキシル基とを含むプライマーを塗布したプラスチックフィルム。
【請求項9】
カルボジイミド基が、式(I)
【化2】

を有することを特徴とする、請求項8に記載のプライマーを塗布したプラスチックフィルム。
【請求項10】
プラスチックフィルム(KF)、
一液型水性ポリウレタン分散液組成物(PD)から得られた反応したプライマー(P)、
一液型水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)から得られた反応した接着剤(K)、および
基材(S)
を含む複合材料であって、
前記反応したプライマー(P)が、プラスチックフィルム(KF)と反応した接着剤(K)との間に配置されており、前記反応した接着剤(K)が、反応したプライマー(P)と基材(S)との間に配置されており、
前記水性ポリウレタン分散液組成物(PD)が、ポリウレタンP1とカルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含み、
前記ポリウレタン分散液接着剤(DK)が、ポリウレタンP2とカルボジイミド基および/またはカルボキシル基を含み、
その結果、カルボキシル基とカルボジイミド基とが50℃の温度に加熱したときポリ付加反応によって互いに反応する複合材料。
【請求項11】
工業製品の物品であり、より特定的には、室内装備品のための物品、好ましくは輸送の手段における装置の部品であるか、または家具部門において使用されることを特徴とする、請求項10に記載の複合材料。
【請求項12】
請求項10または11に記載の複合材料を製造する方法であって、
(i)水性ポリウレタン分散液組成物(PD)を、プラスチックフィルム(KF)に塗布するステップと、
(ii)ポリウレタン分散液組成物(PD)を水切りして水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)を形成するステップと、
(iii)水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)を、基材(S)に塗布するステップと、
(iv)水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)を水切りして水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)を形成するステップと、
(v)水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)を上面に有するプラスチックフィルム(KF)を加熱するステップと、
(vi)水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)を、(ii)によって水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)と接触させるステップと
を含み、ステップ(iv)および(v)は、連続して、または同時に行うことが可能であり、
前記水性ポリウレタン分散液組成物(PD)および前記水性ポリウレタン分散液接着剤(DK)を、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用において記載されているように選択する方法。
【請求項13】
接触させるステップを、加圧下、より特定的には、0.1バールと1バールの間、好ましくは少なくとも0.8バールで行うことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
加圧を、水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)と水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)との間の空間に減圧をかけることによって発生させることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(vi)における接触の際に、水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)が、50℃以上の温度、より特定的には、50℃と180℃の間の温度、好ましくは60℃と80℃の間の温度を有することを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
水切りしたポリウレタン分散液接着剤(DK’)と水切りしたポリウレタン分散液組成物(PD’)とが、温度の影響を受けて互いに化学的に反応することを特徴とする、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−527617(P2009−527617A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555806(P2008−555806)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053001
【国際公開番号】WO2007/113193
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】