説明

分断可能なチュービングストリング遮断ディスクを有する油井仕上げツール

長い主要通路を規定する管状アセンブリを有する油井仕上げツールが、油井ケーシング内で、複数のセクションから成るチュービングストリングに連結されるように構成される。分断可能なプラグが、この通路を通常は遮断する関係となるように管状アセンブリに設置される。移動可能なシリンダユニットは、プラグの中央セグメント全体を、プラグの残りの周辺部分から切断するように動作可能なプラグ分断エッジを有する。独立ヒンジ構造は、プラグの中央セグメントに連結される、長いU型の脚部分を有する。このヒンジ構造の脚部分は、伸長して、プラグの分断された中央セグメントを、主要通路に保持するように動作可能であり、その際、プラグの中央セグメント全体が、プラグの周辺部分から独立して、かつ、この周辺部分から離れる方向に移動することを可能とする。分断された中央プラグセグメントが主要通路の妨げとならないように、分断された中央セグメントは、管状アセンブリの壁構造の凹部に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年5月4日に提出された米国特許出願11/744、605の一部継続出願であり、この米国特許出願は、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は、油井ケーシング内で、複数のセクションから成るチュービングストリングの間に配置され、最も一般的には、パッカ等の他の油井ツールの上に位置するように構成される油井仕上げツールに関する。この仕上げツールにより、例えば、パッカ等の取り付けを可能にするためにチュービングストリングを遮断することができ、その後、井戸からの生産のためにチュービングストリングを完全に開放することができる。
【背景技術】
【0003】
通常、石油やガスの井戸が、炭化水素産出地層において掘削される時、そのボアホールは、その後、一般的に井戸ケーシングと呼ばれる、比較的大きな直径のパイプセクションが連結されたストリングによって、周囲の地層から隔離される。ケーシングのセクションは、例えば、約5〜約9インチの直径であろう。ケーシングの外側と井戸のボアホールの内側との間に障壁を設けるために、セメントが、ケーシングの周りにその全長にわたって最も頻繁に配置される。セメントは、地下層間での流体やガスの圧力による移動を防止するように作用する。
【0004】
端部同士が連結された小口径の個々のパイプセクションから組み立てられたチュービングストリングが、通常、ケーシング内の井戸に挿入される。ケーシングされた標準的な井戸の仕上げを行う間、ケーシングの内側とチュービングストリングの外側との間のアニュラスと呼ばれる空間を隔離するために、パッカ等のツールが、チュービングストリングの端部に設置されるであろう。機械的に、水圧による膨張によって、又は、ワイヤラインセットの使用により、拡げられて設置される、ケーシングの接触面と係合可能なエラストマのスリーブやブラダを備える、多くのタイプの油井パッカが使用される。機械式のパッカは、一般的にストリングの回転により作動し、この回転により、スリーブが圧迫されて、その外面がケーシングと密着する。
【0005】
水圧パッカは、特に、井戸ケーシングが多数の屈曲を有するゆえに、全長にわたって実質的に直線ではないこと、又は、水平坑井に設置される必要があることが、機械式パッカを実用的でないものにする場合に、設置及び操作において多くの利点をもたらす。水圧パッカの場合、パッカのブラダの設置に必要な水圧に抵抗するために、パッカの下のケーシング内にプラグを装備する必要がある。一旦パッカが設置されると、石油の生産を開始するために、プラグが十分に開かれなければならない。水圧パッカは、加圧された水圧流体を必要として機能するダウンホールツールの単なる1例である。
【0006】
井戸刺激作業において、地層からの岩屑を撤去し、炭化水素の流れを改善するために、地層をサージすることが一般的である。サージングは、チュービングストリング内の圧力を、地層圧よりも少ない圧力まで下げ、この圧力差を急速に均等にすることにより達成される。井戸刺激の他の例は、チュービングストリング内の流圧を、地層圧を実質的に上回る値まで増加させることを含む。チュービングストリング内の圧力が地層圧と比較して急速に解放されると地層に割れ目が形成され、井戸掘削及び仕上げ作業により損傷した岩の間を通らずに炭化水素を生産することができる。
【0007】
これらの例では、他の典型的な仕上処理のように、ツールとして機能し始めた直後か、又は、刺激処理が着手された直後に、プラグが、井戸の流路から完全に取り除かれていることが望ましい。
【0008】
従来技術では、パッカ及び同様な井戸アニュラス分離器具の設置に役立つ典型的なツールが多く用いられている。これらのツールの多くは、パッカ等への水圧がツールへ加えられるように、チュービングストリングを一時的に遮断するためにプラグを利用する。プラグの中には、ワイヤライン上で動作し、所定の位置に設置されているものがある。加圧作業の後、ラインが巻き取られてプラグが地表まで引き上げられる。このタイプの作業は、時間を要することが分かっており、また、井戸干渉に関連するリスクを引き起こす。
【0009】
他の井戸ケーシング分離ツールは、ガラスやセラミック製のプラグなどのチュービングストリング遮断器具を備えている。これらのプラグは、バーを地表から落下させてプラグを破損させることにより、又はプラグを過剰加圧して破損させることにより開放されている。これらのタイプのプラグの使用により、多くの未解決の問題や安全性に対する懸念が生じている。これらのプラグでは、材料が壊れやすいゆえに、井戸表面での雑な取り扱いから生じる微細な割れ、ツールにおける不適切な組立、又は、耐性の問題を受けるので、圧力の定格が大幅に減少し、予測不可能なプラグの破損を招く。
【0010】
油井をサージングするのに特に有効である、米国特許3,779,263号の圧力応答性破裂弁は、圧力応答性管状ピストンにより移動する管状切断スリーブを装備する。その主要弁通路は、ピストンのチャンバと直に連通する。弁通路に導入された流体による、ピストンチャンバの加圧により、ピストンにより作動される切断スリーブが、弁を通る通路を通常は遮断する破裂ディスクの方へ移動する。このディスクは、半径方向に向けられた一連の切り込み線が深く付けられている。切断スリーブの複数角度の刃先がディスクに係合すると、ディスクは、弁の壁構造に向かって外側に折れる、一連の個々の花弁状断片のように壊れる。
【0011】
米国特許4,609,005号の弁は、弁の筺体を通る通路を通常は、遮断するディスクの一部を分断する、管状の切断マンドレルを使用している。この切断マンドレルは、そのエッジを操作するときに細長い隙間により、狭い未切断部分を残す。米国特許4,609,005号の図面の図2から明らかなように、マンドレルは、完全に作動した位置において、一つには、マンドレルと隣接する弁の筺体壁との間の間隔のため、開放された弁を通して、必要なドリフト口径が維持されることを保証できない。
【0012】
抗井アニュラス圧力応答性サージツールが、米国特許4,658,902号に記載されている。ツールの筺体内に装備され、別のパワーマンドレルにより移動可能な管状切断マンドレルは、ツールを通る通路を通常は遮断する壊れ易いディスクのC型セクションと係合して切断するように動作可能である。切断マンドレルは、長手方向に延在する細長い隙間が設けられており、未切断のディスク片を残す。ディスクの分断された部分は、このディスク片と同様にマンドレルにより横方向に曲げられ、マンドレルの外面と筐体の内面との間に保持されると述べられている。パワーマンドレルが、切断マンドレルをディスクの方向へ移動させ得る前に、一つ以上のピンが切断されなければならない。切断マンドレルに、細長い隙間が設けられているため、マンドレルの隙間の長さより著しく長い距離にわたってマンドレルを移動させなければならない。マンドレルを長い距離にわたって移動させるために、2段階のマンドレルの構造が必要となり、その結果、マンドレルの解放を制御するピンと共に、機構が複雑になり、かつ、投入コストが増大し、総合的な信頼性が犠牲となる。
【0013】
PCT出願のPCT/GB97/02043では、石油やガスの井戸のボアホールのためのプラグが、特定のレベルを超えて加圧されるとチュービングストリングを開放するために破裂する、従来の破裂型プラグの代替物として記載されている。これらの初期のプラグの一部が壊れてチュービングストリングから解放され、これが井戸の底で不要な設備の破片となり、後に問題を引き起こす。出願PCT/GB97/02043のプラグは、ネジ式のボックス端部、ネジ式のピン端部、上方管状ボディ部品、及び下方管状ボディ部品から構成されている。下方ボディ部品から加工されたスチール遮断プレートが、チュービングの中心穴を横切って広がる。テーパ状の切断ブレードを有するカッタが、切断ピンにより下方ボディ部品に固定されている。カッタは、固定ドッグ及び隙間付きの固定スリーブにより下方ボディ部品の格納位置に一時的に保持される可動ピストンスリーブによって移動される。チュービング内で圧力を循環させることにより、ピストンスリーブは、スライドボルトが隙間付きのスリーブの所定の位置に入るまで、ばねの動きに対抗して上下動する。これにより、固定ドッグが解放され、スリーブが下方に移動してカッタと係合することができ、切断ピンが切断されてカッタが遮断プレートに衝突する。プレートの一部のみが分断されるため、その切断部分は、カッタにより外側に曲げられてボックス端部の凹型のセクションに入る。このツールは、非常に大きく、大口径のケーシングのみで使用可能である。井戸のボアホールの非常に深い地点に存在する困難な状況において、この非常に複雑で高価な構造の機能的な信頼性は、本質的に問題があり、このユニットを大多数の井戸に適合しないものとする。
【0014】
壊れ易いガラスディスクを使用するチュービングストリング分離ツールが、米国特許RE39,209号に記載されている。ガラスディスクの存在により、井戸流体を、増加された圧力で、地表面からチュービングストリングに流入し、パッカや他の付属器具を、従来の方法で水圧によって設置することを可能にする流体負荷を得ることができる。パッカや他の付属器具が設置され、地層からの生産流体の回収が求められると、チュービングストリング内の井戸の流体圧力を増加させることにより、切断ピン抵抗に打ち勝ち、かつ、ガラスディスクを粉砕するのに十分な力で下方に移動するピストンへ加圧流体の負荷が加えられる。ディスクの破壊により生じる破片は、直径が1/4から1/2インチの大きさのガラス塊を形成する可能性がある。この種の破片は、様々な近接したダウンホール耐性のため、避けるべきである。ガラスディスクの粉砕に金属棒の使用が意図される場合、チュービングストリングの屈曲は、実際に、この棒の下方への移動を妨害するか、又は、この棒がガラスディスクを壊すための十分な衝撃力を持たない程度まで、棒の移動を妨げるであろう。
【0015】
本譲渡人へ譲渡されている米国特許5,996,696号では、チュービングストリングの連結の完全性をテストすることができるように、チュービングストリングの流路を遮断するための破裂ディスクが使用されている。どのチュービングセクションにも漏洩が無いことを確認した後、ストリングを通して所定の過圧をディスクへ加えることにより、ディスクが破裂されるであろう。チュービングストリングの全てのパイプセクションは、特定のパイプ内径に対して必要なドリフト口径を有する。米国特許5,996,696号のチュービングストリングの完全性のテスト装置は、多くの利用形態で満足のいくものであるが、場合によっては、過圧下で破裂するディスクの中央セクションが、完全に開放されず、装置の筐体に対して曲がり損ねることにより、このテスト装置では、必要なドリフト口径を提供できないことが分かっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の油井仕上げツールは、これまで利用可能であったツールにより提起される問題を解消する。このツールは、軸方向に延在する、長い主要通路を規定する管状アセンブリを有し、この軸通路に対して通常は遮断の関係である管状アセンブリに取り付けられる分断可能なプラグを備える。管状アセンブリ内の可動切断シリンダユニットは、この切断シリンダユニットがプラグ分断距離にわたって動かされた時に、プラグの中央セグメント全体を、その残りの周辺部分から分断するように動作可能なプラグ分断エッジを有する。アセンブリ内の独立した長いヒンジ構造は、切断シリンダユニットに面する、プラグの中央セグメントに固定された長い内脚部分と、プラグの周辺部分に連結された環状部品に接合される外脚部分とを有する。ヒンジ構造の長い脚部分は、環状部品に接続されていることにより、プラグの中央セグメントが分断された後に、アセンブリ本体にプラグを保持するように動作可能である。ヒンジ構造により、分断された中央プラグセグメント全体が、プラグの残りの環状周辺部分から離れる方向に、かつ、この環状部分から独立して移動することが可能となる。L型のタブが、ヒンジ構造の反対側の、プラグの中央セクションの周辺部分に設置される。このタブは、切断シリンダのプラグ分断エッジのカットアウトに収容され、切断シリンダのリーディングエッジ部分とプラグの中央セグメントとのアラインメントを維持する。
【0017】
分断可能な遮断プラグは、下部サブと、上部サブに連結される筐体との間の、ツールの管状アセンブリに取り付けられることが望ましい。筐体内の移動可能な切断シリンダユニットは、筐体の一部を形成する、単動式のピストン構造により、プラグ分断距離にわたって移動できる。切断シリンダユニットのテーパ状のプラグ分断エッジは、プラグの中央セグメント全体を、プラグの残りの周辺部分から連続的に分断するように機能する。ヒンジ構造の長い脚部分は、ヒンジ構造が伸びる時、プラグの分断された中央セグメントを、アセンブリの主要通路に保持することによって、中央プラグセグメントが、プラグの残りの周辺部分から離れる方向に、かつこの周辺部分から独立して移動することを可能にする。プラグの中央セグメントから独立しているが、このセグメントに連結しており、かつプラグの中央セグメントが切断シリンダユニットにより分断されて横方向に曲げられる時に伸長することができる長い脚部分を有するヒンジを設けることにより、プラグの分断されたセクションは、ツールの主要通路を縦及び横の両方向に動いてツールの壁構造の凹部に入ることができる。結果として、プラグの分断された部分は、主要通路を遮断しないため、ツール全体にわたる、必要なドリフト口径が確実に維持される。
【0018】
管状アセンブリを通る通路を通常は遮断するプラグに面するピストン面を有し、通常は大気圧であるチャンバを、ツールの管状アセンブリの壁構造と可動切断シリンダユニットは、共同して提供する。チャンバ内の流体が加圧され、これにより、切断シリンダユニットを移動するのに十分な力をピストン面に及ぼすと、切断シリンダユニットのテーパ状プラグ分断エッジのリーディングエンドが、最初にプラグの中央セグメントと接触して、プラグの分断を開始する。この分断は、プラグの中央セグメント全体が、その周辺部分から分離されるまで、プラグの外周にわたって続く。プラグ表面に最初に接触する、切断シリンダユニットのリーディングエンドと位置が合うように、プラグの片面に空洞(窪み)が設けられることが望ましい。この空洞は、その両側の空洞空間よりも深い中央空間を備えていてもよく、切断シリンダユニットによる、プラグの中央セグメントの分断の開始を容易にする。
【0019】
切断シリンダユニットの、プラグ分断距離にわたる移動を制御するために、圧力又は力により作動可能な多数の器具のうちのどれかを設けてもよい。この器具は、破裂ディスク又は、Kobeの落下棒により作動されるノックアウトプラグでもよい。ツールアセンブリの壁構造又は切断シリンダユニットにおいて、ピストンチャンバと連通する破裂ディスクを使用すると、地表から制御可能な大気圧又は差圧によって、切断シリンダユニットを作動させることができる。所定の破裂特性を有する破裂ディスクを選択することにより、圧力応答を選択的に制御することができるため、この目的のためには破裂ディスクを使用することが好ましい。
【0020】
本発明のツールは、垂直な油井ケーシングの他に、地表に延びる垂直な井戸から出る、1つ以上の水平なケーシングのセクションにおいても有用性がある。井戸からの生産を可能にするためにプラグを開放した後に、垂直でも水平でも、穴に破片が残らないため、本発明のツールは、井戸における多くの利用形態で特に有効である。
【0021】
本発明のもう1つの重要な特徴は、プラグの厚さ、構成材料、及びプラグの全体形状を変化させることにより、プラグの完全な開放に悪影響を及ぼすことなく、遮断プラグの耐圧力特性を選択的に変化させることができることである。
【0022】
先行技術のほとんどの仕上げツールは、特定のパラメータや操作手順の下で動作し、井戸の状態や手順の変化に対応するために、ツールの変更や任意の構造を認めない。
【0023】
油井仕上げツールは、ほとんどの一般的な操作において、内部のピストンを受け取る大気圧チャンバが、ピストン及びピストン筐体の周囲のアニュラス圧に対して密封されるように設計されている。従って、大気圧チャンバは、標準的なアニュラス圧では悪影響を受けない。
【0024】
本発明の油井仕上げツールを使用するときに、非常に高圧な井戸の状態に対応する必要がある場合、ツールの筐体やピストン構造に対する過剰加圧によるダメージを防ぐため、圧力差、つまり、アニュラスの圧力とチュービングストリング従ってツール内の圧力との差を十分に補償しなければならない。ツールの選択的な操作の間ずっと完全な制御を保ちながら、このような高圧補償を行わなければならない。過剰な高圧を伴う井戸において、井戸のアニュラス圧と大気圧との差は、ツール筐体やピストンの切断シリンダ壁を、大気圧チャンバの内側方向に破壊するのに十分な大きさであり得る。このような、起こり得るマイナスで破壊的な出来事を防ぐために、ツールの内側と周囲のアニュラスとの間の圧力差を、機械的に許容可能なレベルまで軽減するように、ツールの筐体に一連の穴を設けてもよいし、ピストンに圧力補償用の穴を設けてもよい。
【0025】
ツールを作動させるために必要な圧力の量は制御可能なパラメータなので、必要に応じてツールを作動させるために、アニュラス又はチュービングの圧力よりも十分大きなレベルで、地表からチュービング又はケーシングストリングへ加圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る油井仕上げツールアセンブリが、概略図示されたパッカの下に配置されたチュービングストリングの部分縦断面図である。
【図2】管状アセンブリに取り付けられ、アセンブリの軸路に対して通常は遮断関係にある分断可能なプラグの上側で通常の位置にある切断シリンダユニットを図示する仕上げツールアセンブリの一実施形態の縦断面図である。
【図3】プラグ分断距離にわたって移動した後の、切断シリンダユニットの位置を示す図2の実施形態の縦断面図である。
【図4】仕上げツールアセンブリの可動切断シリンダユニットの斜視図である。
【図5】ツールアセンブリに取り付けられた分断可能なプラグの中央セグメントを分断する前の、切断シリンダユニットの位置を図示する拡大部分縦断面図である。
【図6】プラグの中央セグメントを分断した後の、作動後の位置にある切断シリンダユニットを図示する、図5と類似の拡大部分縦断面図である。
【図7】図6の描写に対して90°の関係にある、図6に示される部位の拡大部分縦断面図である。
【図8】分断可能なプラグの底部を図示する、水平面に沿う管状仕上げアセンブリの拡大断面図である。
【図9】分断可能なプラグとヒンジが取り付けられていない、図8と同じラインに沿う拡大断面図である。
【図10】ヒンジ構造が中央セグメントに取り付けられた、分断可能なプラグの上面斜視図である。
【図11】図10に示す分断可能なプラグの底面斜視図である。
【図12】ヒンジ部品とこれに対応する環状サポート部品とがプラグ本体に取り付けられた、分断可能なプラグの分解底面斜視図である。
【図13】仕上げツールアセンブリの第2の実施形態の縦断面図である。
【図14】ピストンが移動する間、ピストンの一部を往復可能に収容する大気圧チャンバと連通するピストンに任意に穴が設けられた仕上げツールアセンブリの第3の実施形態の縦断面図である。
【図15】実質的に、図14のライン15−15を矢印の方向に見る横断面図である。
【図16】仕上げツールアセンブリの第4の実施形態の縦断面図である。
【図17】仕上げツールアセンブリの第5の実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の1つの好ましい実施形態の油井仕上げツール20が、図面の図1の正面図に示され、油井ケーシング26内の図示されたパッカ24の下の、複数セクションから成るチュービングストリング22に取り付けられるように描かれている。ツール20は、チュービングセクション22aのネジ式端部を受けるように構成された上方のネジ式ボックスサブ30を有する管状アセンブリ28を含む。アセンブリ28の筐体32は、ネジ式にトップサブ30に連結され、サブ30と下方のネジ式ピンサブ34との間に設置される。ピンサブ34は、ネジ式に筐体32に連結され、チュービングストリング22のセクション22bにネジ止めされるように構成される。切断シリンダユニット36は、ツール20の主要通路38の軸方向に動くように、筐体32に移動可能に取り付けられる。分断可能なプラグが40でおおまかに示され、筐体32の隣接する端部と下部サブ34との間に取り付けられる。通常の位置でのプラグ40は、ツール20の主要通路38を遮断する。プラグ40は、インコネル、ステンレススチール、又は同等な金属であることが好ましい。切断シリンダユニット36の最下端のテーパ状プラグ分断エッジ42は、図2に示すユニット36の配置において、プラグ40の隣接面に最も近接するリーディングエッジセグメント42aと、対向するトレイリングエッジセグメント42bとを備え、このトレイリングエッジセグメントは、各々、通路38の長さ方向の軸に対して、約7°から約18°の角度であり、より好ましくは約11°から約16°の角度であり、最も好ましくは約15°の角度である。エッジセグメント42aと42bとが、円形のテーパ状プラグ分断エッジを共同して規定する。この点において、エッジ42が、切断シリンダユニット36の外径から内径へ、約15°の角度で面取りされていることも好ましい。
【0028】
プラグ40は、内側の円状セグメント50a及び外側の円状セグメント50bを有する段付き環状周辺部分50とつながる外側のテーパ状セクション48を備える、中央の平坦面のセクション46を含む硬質な円状体44を有するアセンブリを含む。例えば図5から分かるように、セクション46の反対側のプラグ40の面52は、その周囲で周方向に延在する縁部分54を除き、基本的に平坦である。
【0029】
アセンブリ28内に56でおおまかに示されるヒンジ構造は、プラグ40の、最も外側の段状周辺面50bに固定される環状部品58を含む。ヒンジ構造56の長いL型の部位60は、最も外側の略U型のセクション62と外脚部分64とを有する。U型セクション62は、脚部分66及び68を有し、脚部分68は外脚部分64に接合されている。セクション62の脚部分66は、環状部品58と一体化されている。プラグ40及びヒンジ構造56は、破裂ディスクの製造で従来使用されている多くの金属の内のどれで加工されてもよく、インコネルが好ましいが、単なる例として、316ステンレススチールも使用可能である。
【0030】
プラグの中央セクション46を規定する、基本的に平坦な対向面を有するプラグ40の好ましい実施形態が図に示されているが、分断可能なプラグは、井戸の圧力プロファイルと油井仕上げツール20の用途に応じて、圧力源の上流又は下流のいずれかに面する凹面を有する、凹凸形状に湾曲した中央セクションを有してもよい。
【0031】
下部サブ34は、筐体32の外側にネジ溝がある端部32aを収容するように構成された、内側にネジ溝がある空洞(キャビティ部)34aを有する。筐体32の最下端部32aは、プラグ40の縁部分54を相補的に収容する、最も外側の環状溝70を備える。縁部分54は、本体44への流圧下で、本体44の湾曲を抑える役割を果たす。同様に、図5から分かるように、プラグ40は、筐体32の最下端部分32aと、下部サブ34の周方向に延在する内側の溝部分34bとの間に留められる。筐体32とサブ34との間のネジ式の相互連結の適切な締め付けにより、プラグ40と筐体32とサブ34との間に、漏れを起こさない金属間密閉が提供されるため、経時により劣化するOリングのガスケット等を装備する必要はない。サブ34の円柱状の内部は、ヒンジ構造56のセクション62を収容するための切り取りセグメント34dを有する。
【0032】
切断シリンダユニット36は、サブ30の壁構造76内の周方向に延在する長い凹部74及び筐体32の壁構造80内の長い環状凹部78に収容される、長い環状本体部分72を有する。筐体32の凹部78は、段状で、凹部74より直径が大きいものである。切断シリンダユニット36の柱状壁36aから外方向へ延在する周縁部のピストン突起部82は、凹部78の表面と接触し、軸方向に空間を持ち、かつ、周方向に延在するチャンバ84及び86を、各々、上記表面と共同して規定する。チャンバ86は、チャンバ84より空間が広く、図2及び3の実施形態において、通常は、ほぼ大気圧である。
【0033】
プラグ40の面52の周辺部に取り付けられたL型タブ88は、切断シリンダユニット36の最下端部と係合する。タブ88は、プラグ40の面52に取り付けられた脚部分88aと、切断シリンダユニット36の最下端部36b内のカットアウト89に収容される、外方向に向けられた脚部分88bとを有する。図11から分かるように、タブ88の脚部分88bは、カットアウト89の斜面36cに相補的に係合するように、横方向に曲げられる。タブ88の脚部分88bは、カットアウト89の切断面の幅と等しい幅であり、これにより、脚部分88bの側端は、カットアウト89の対向する側と係合する。切断シリンダユニット36の最下端36bの壁セクション36cは、図2,3及び5に図示されるように、外側の端部伸長部88bを収容するためにタブ88と位置合わせされる部分で厚みが減少されている。
【0034】
油井仕上げツール20の組み立ての際、切断シリンダユニット36が筐体32に挿入され、タブ88の脚部分88bは、切断シリンダユニット36の下端36bの厚みが減少された切り取り壁セクション36cの外面と、筐体32の内面との間に収容される。タブ88の脚部分88bの断面の屈曲は、切断シリンダユニット36の最外端36bの横方向の斜面36cの構造に略適合する。管状アセンブリ28に切断シリンダユニット36を挿入する間、タブ88の脚部分88bの側端と、対向するカットアウト89の縁89aとの係合は、上方のボックスサブ30が定位置にネジ留めされる際にピストンへ加えられるトルクの結果として起こる、通路38内での切断シリンダユニット36の回転を防ぐ。従って、切断シリンダユニット36のリーディングエッジセグメント42aは、取り付けの間だけでなく、切断シリンダユニット36の操作中の移動の間も、プラグ40の部分40aと正しいアラインメントを維持する。
【0035】
石油仕上げツール20が、10,000psi以上となり得る高いダウンホール圧力を受けると、プラグ40の中央セクション46は、プラグ40に対して加えられた圧力の方向へいくぶん湾曲する。中央セクション46が、井戸内の高圧流体によってある程度湾曲されたときでも、タブ88の脚部分88bの対向する側端は、カットアウト89の対向する縁89aとの係合を維持する。従って、切断シリンダユニット36が筐体32内で回転し、エッジ42のエッジセグメント42aが、プラグ40のセクション46に対して所定の正しい整合位置から動かされることはない。
【0036】
突起部82の上方のピストンショルダ90は、チャンバ84に面する一方、突起部82の下方のショルダ92は、チャンバ86に面する関係にある。チャンバ84と位置を合わせて、切断シリンダユニット36の壁36aの対向する側面にネジ止めされる一対の管状器具94は、好ましくは、管状アセンブリ28の通路38と連通する、圧力増加により作動する破裂ディスクを含む破裂可能な部位96を各々有する。管状アセンブリ28の通路38内の流圧が、ディスク96を破裂させるのに十分な程度に増加すると、ピストンショルダ90に作用する、チャンバ84内の流圧により、切断シリンダユニット36がプラグ40の方へ移動する。チャンバ86は大気圧であるため、チャンバ86は、ディスク96の破裂の際、ショルダ90へ加えられる圧力に対して、なんら有意な抵抗を示さない。
【0037】
破裂ディスク96は、井戸の状態や操作に応じて、適切な破裂ディスクが選択できるように、200psiの増加間隔の広い加圧範囲で提供されることが好ましい。一般的には、ディスク96を破裂させるために、少なくとも約3500psi位の流圧をかける必要がある破裂ディスクが選ばれるが、特定の井戸の操作パラメータに応じて、10,000psiもの高いディスクの破裂値を採用してもよい。さらに、ディスク96の破裂の際に開放される器具94の開口の直径は、切断シリンダユニット36がプラグ40の方へ向かう所望の速さに応じて変えてもよい。管状アセンブリ28の内部通路38と周囲のアニュラスとの間で、非常に高い圧力差を調整しなければならない場合、切断シリンダユニット36が、過度に速い移動速度でプラグ40の方向へ向かうことを防ぐために、チャンバ84への加圧流体の流量が確実に制御されるように器具94を通る穴の直径を選択してもよい。
【0038】
切断シリンダユニット36のエッジ42のリーディングエッジセグメント42aは、プラグ40の周辺部分50から、プラグ40の中央セグメント46(図8の点線46aにより図示される)の連続的な分断を開始するために、プラグの本体44の面52に接触するように動かされる。図2、5、及び10から分かるように、プラグ40の面52には、ヒンジ構造56の反対側のプラグ40の周辺部分50に、長い空洞98が設けられている。空洞98は、その長手方向に曲線形状であり、切断シリンダ36のリーディングエッジセグメント42aが最初に接触するプラグ40の領域内の縁54の内側の適所に配置される。空洞98は、中心領域100を有し、領域100はその両側の領域102及び104よりも深い。部品58は、部品58の最も外側の円周縁から外側に延在する、少なくとも3つの一体型の突起部58a、b、及びcを備えることが好ましい。突起部58aと58bとの間隔は、突起部58bから突起部58cまでの間隔よりも狭い。よって、突起部58a−cは、サブ34内の突起部のための各凹部58dに相補的に収容され(図9)、切断シリンダユニット36のリーディングエッジセグメント42aが、プラグ40の空洞98の中心領域100に直接一致するような向きに、プラグ40がサブ34に対して確実に配置される。突起部58a、b、及びcは、筐体32がサブ34に取り付けられる時、プラグ40が、切断シリンダ36のリーディングエッジセグメント42aに対して、所定の決定された向きから回転することを防ぐのに十分なサイズ、形状、質量のものである。
【0039】
切断シリンダユニット36が、ピストン突起部82のショルダ90に対して加えられた流圧により、プラグ40の中央セグメント46全体を分断する距離にわたって移動する間、プラグ40の空洞98により、リーディングエッジセグメント42aがプラグ40の面52に最初に加える変形力が、プラグ40の特定の領域に確実に集中される。この特定の領域は、周辺部分50の残部よりも断面的に狭くて薄い領域である。切断シリンダユニット36のエッジ42のリーディングエッジ42aは、空洞98の中心領域100で最初にプラグ40に接触する。このように、切断シリンダユニット36によりプラグ40へ加えられる有効な力は、プラグ40の切断の開始を保証する、プラグ40の特定の領域へ直接集中する。
【0040】
切断シリンダ36のテーパ状エッジ42によって、プラグ40の周辺部分50から中央セグメント46が完全に分断されると、その後、切断シリンダユニット36の柱状の最外端36bが下方へ移動することによって、図6及び7に示すように、分断された中央セグメント46が、その位置に対して外側に曲がる。サブ34の側壁は、プラグ40の曲げられた中央セグメント46とヒンジ構造56の部位とを収容するように配置された空洞108を有する。
【0041】
図3、6、及び7から最も明らかなように、中央セグメント46が、切断シリンダユニット36によってプラグ40の周辺部分50から分断される時、ヒンジ構造56のU型セクション62は伸長し、これにより、分断された中央セグメント46が横方向に曲げられるだけでなく、この中央セグメント全体が、プラグ40の周辺部分50から独立して、かつ、この周辺部分から離れる方向に移動することが可能となる。切断シリンダユニット36の最下端36b内のカットアウト89は、切断シリンダユニット36が、プラグ40の中央セクション46を分断して曲げる時、ヒンジ構造56のセクション62を無事に通過する。切断シリンダユニット36により、プラグ40の中央セグメント46が軸方向に移動して完全に屈曲されることによって、プラグ40の分断された中央セクション46が確実に空洞108に完全に移動し、その結果、中央セクション46は、管状アセンブリ28のドリフト口径の妨げとならない。タブ88の脚部分88bは、この脚部分88bが、切断シリンダユニット36の壁厚が薄くされたセクション36cと、筐体32の最内面との間の空間内を横方向に移動する時、脚部分88aとほぼ平行な関係に伸ばされる。脚部分88aの側端と、空洞89の対向する各面とが継続的に係合することにより、切断シリンダユニット36のリーディングエッジによってプラグ40の中央セクション46が分断される距離にわたって切断シリンダユニット36が移動する時、切断シリンダユニット36の回転が防止される。
【0042】
プラグ40の空洞98は、総合的なプラグ圧お定格に悪影響を及ぼすことなく、機械的負荷が最大となる位置でプラグ40の分断を進行させるように機能する。管状アセンブリ28の通路38の軸方向へのプラグ40の分断セクション46全体の移動範囲は、ヒンジ構造56のU型セクション62の脚部分66及び68の長さを増減することにより、必要に応じて変化させてもよい。
【0043】
切断シリンダユニット36の端部106の下方部分112は、切断シリンダ36がプラグ分断距離にわたって移動する時に端部106に隙間を与えるために、ユニット36の上方部分より小口径に機械加工される。カットアウト89と同じ側にある、端部106の縦方向に延在する切り取り面のセクション36cも、プラグ40の分断された中央セクション46が空洞108へ曲げられている時、プラグ40の分断された中央セクション46の面52のための隙間を提供する。
【0044】
図13の油井仕上げツール120は、破裂ディスク196などの破裂可能な部位を備える器具194が、管状アセンブリ128の側壁構造180に取り付けられている点でツール20と異なる。さらに、図13に示すように、切断シリンダユニット136は、ピストン122と切断シリンダ124とを含むアセンブリから構成されてもよい。この例では、管状アセンブリ128を通る主要通路138に連結されるチュービングストリングは、基本的に大気圧であり、ピストン122の先端部を受けるチャンバ186も同様である。流圧が、図1のケーシング26などの井戸ケーシングと管状アセンブリ128の外面との間のアニュラスに下方へ向けて加えられ、アニュラスと管状アセンブリ128の内部通路との間に、ディスク196を破裂させるのに十分な圧力差が発生されることにより、ピストン突起部182のピストンショルダ190に対して作用する、ピストンチャンバ184に導入された圧力が、管状アセンブリ28の動作に関して述べたのと同様にして、切断シリンダアセンブリ136をプラグ分断距離にわたって移動させる。
【0045】
図14の油井仕上げツール220は、この例では、チュービングストリングとそれに連結された管状アセンブリ228の主要通路238とが、チュービングストリング内の液体の重量と同等の所定の流圧の下にあること以外は、ツール120と構造的に同じである。切断シリンダユニット236を作動させるために、管状アセンブリ228の側壁構造288にある器具294のディスク296を破裂するのに十分な流圧が、管状アセンブリ228の周囲のアニュラスに加えられる。ディスク296が破裂すると、ピストン突起部282のショルダ290への流圧により、ツール20及び120に関して述べたように、切断シリンダユニット236がプラグ分断距離にわたって移動する。
【0046】
油井仕上げツール220は、任意に、例えば、切断シリンダピストンユニット236において、ピストンの周囲に60°の間隔で6つの直径0.25インチの穴298を設けてもよい。穴298の目的は、ツールの筐体232、特に、大気圧チャンバ286の一部やピストン236を取り囲んで形成する側壁構造288に破壊力をかけずに、井戸の通常のアニュラス圧より高い圧力を補償することである。ツール220を作動させるために、ツール220を囲うケーシング内のアニュラス圧を、チュービングストリング内及び管状アセンブリ228の主要通路238内の圧力より大きい値まで増加させることにより、ディスク296は破裂し、ピストン236は、プラグ240と分断する関係になるよう移動する。
【0047】
図16の油井仕上げツール320は、Kobeの落下棒により作動するプラグ330が、ツール20の破裂ディスク部位94に置換されたこと以外、ツール20と同じである。よって、従来の落下棒が、管状アセンブリ328の上部サブ376に連結されたチュービングストリング内を落下すると、Kobeプラグの管状突起部332が破壊されることにより、管状アセンブリ328の主要通路338内の加圧流体がチャンバ384内へ導かれる。チャンバ384に導入された加圧流体が、切断シリンダユニット336のピストン突起部382のピストンショルダ390へ流入すると、ツール20、120、及び220に関して前述したように、アセンブリが、大気圧チャンバ341に対応するプラグ分断距離にわたって移動する。
【0048】
図17の油井仕上げツール420は、筐体432の側壁構造480に一連の開口426が設けられていること以外は、ツール20と同じである。この場合も先と同様に、直径0.25インチの6つの穴426が、60度の間隔で側壁構造480の周囲に設けられることが好ましい。この例では、チャンバ486は、大気圧ではなく、管状アセンブリ428とその周囲の油井ケーシングとの間のアニュラス内の流体の圧力と等しい圧力である。よって、管状アセンブリ428の主要通路438内の流圧を、管状アセンブリ428を取り囲むアニュラス内及びチャンバ486内の流体の圧力と比べて、圧力差がディスク496を破裂するのに十分なレベルまで増加させることによって、ピストン突起部482のピストンショルダ490に作用する、チャンバ486に導入された流体により、切断シリンダユニット436が、プラグ440を分断する距離にわたって移動する。チャンバ486内の流圧は、穴426の設置により、管状アセンブリ428を取り囲むアニュラスの圧力と等しいので、主要通路438内の圧力が増加した状態で切断シリンダユニット436が移動すると、チャンバ486の流体が、穴426を通過して、管状アセンブリ428の周りのアニュラスの空間へ移動する。
【0049】
筐体432の側壁に一連の穴426を持つ、油井仕上げツール420の構造は、非常に深い井戸で起こり得る非常に高い圧力など、変化する井戸の状態に対して特に有用である。このような井戸が高圧の状態では、圧力差を使用して油井仕上げツール420を操作することが必要となる場合がある。圧力差は、この例では、アニュラス内の圧力とチュービングストリング22内の圧力との間の差として定義される。圧力差は、井戸の構造や形状寸法から生じることがあり、地表からチュービング又はアニュラスを加圧することによって発生されることもある。
【0050】
過度に高圧な井戸において、井戸の圧力と大気圧チャンバ486の圧力との差により、筐体432が崩壊する場合や、ピストン壁436が、大気圧チャンバ486の方向に破裂する場合がある。仕上げツール420を作動させるために圧力がいくら必要なのかは明らかにされているので、ツール420を適切に作動させるために、アニュラスの圧力より高い圧力で、地表からチュービングストリング22へ加圧することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油井ケーシング内で、複数のセクションから成るチュービングストリングに連結される油井仕上げツールであって、
軸方向に延在する長い主要通路を規定する壁構造を有し、かつ、両端部の少なくとも一方が、前記チュービングストリングのセクションに連結された管状アセンブリと、
前記軸方向の通路に対して通常は遮断関係となるように前記管状アセンブリに取り付けられた分断可能なプラグと、
前記アセンブリの前記通路に設けられ、前記プラグの周辺部分から、通常は離れた関係にあるプラグ分断エッジを備え、かつ、前記エッジが、前記プラグの中央セグメント全体を、該プラグの残りの周辺部分から分断するプラグ分断距離にわたって移動可能な可動切断シリンダユニットと、
前記アセンブリ内に設けられ、前記プラグの前記中央セグメントに連結され、前記プラグの前記中央セグメント全体が、前記プラグの前記周辺部分から独立して、かつ、この周辺部分から離れる方向に移動することを可能にするとともに、前記プラグの前記分断された中央セグメントを、前記アセンブリの前記主要通路に保持するように動作可能な、独立した長いヒンジ構造とを有する油井仕上げツール。
【請求項2】
前記ヒンジ構造は、前記プラグの前記中央セグメントが、該プラグの前記周辺部分から切断されると、伸長することができるように構成される請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項3】
前記ヒンジ構造は、前記プラグの前記周辺部分に連結される請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項4】
前記壁構造が、前記プラグの前記分断された中央セグメントを収容するための凹部を備えることによって、前記プラグの前記分断された中央セグメントが、前記アセンブリを通る前記主要通路を妨げることを防止するものである請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項5】
前記切断シリンダユニットは、管状ピストンと、柱状のプラグ切断器具とを有し、前記ピストンが、前記切断シリンダの切断器具を、前記プラグの方へ移動させることができるような配置で、前記アセンブリの前記通路に取り付けられている、請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項6】
前記プラグの前記周辺部分には縁部が設けられ、前記アセンブリの前記壁構造は、前記プラグの前記縁部と係合可能な、周方向に延在するショルダを有する請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項7】
前記プラグの前記中央セグメントの円状部分が、前記プラグの環状周辺部分よりも厚みがあるものである請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項8】
前記壁構造及び前記切断シリンダユニットは、前記切断シリンダユニットの前記プラグ分断エッジと対向するピストンショルダと、前記切断シリンダユニットが前記中央セグメントの分断距離にわたって移動するように、作動流体がチャンバ内に前記ピストンショルダに対して流入することを可能にする作動手段とともに、共同して前記チャンバを形成する請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項9】
前記アセンブリの前記壁構造に破裂可能な部位が設けられ、この破裂可能な部位は、前記ピストンを移動させるために該ピストンに流圧を加えるように動作可能であり、前記破裂可能な部位の破裂により、前記切断シリンダの切断器具が、前記中央セグメントの分断距離にわたって移動する請求項5に記載の油井仕上げツール。
【請求項10】
前記プラグの前記中央セグメントは、前記切断シリンダの前記エッジにより、前記プラグの前記中央セグメントの分断を開始するために、前記プラグの前記周辺部分の付近に空洞が設けられている請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項11】
前記空洞は、前記ヒンジ構造と前記アセンブリとの連結領域の反対側に配置される請求項10に記載の油井仕上げツール。
【請求項12】
前記空洞は、該空洞の残部の深さよりも深い空間を含む請求項11に記載の油井仕上げツール。
【請求項13】
前記空洞は、前記空間の両側に深さの浅い部分を有する請求項12に記載の油井仕上げツール。
【請求項14】
前記空洞は、細長い形状であり、この空洞の特定の空間が、該空洞の残部よりも深く、前記特定の空間が、前記空洞の両端の中間に位置する請求項10に記載の油井仕上げツール。
【請求項15】
前記空洞が、前記プラグの前記中央セグメントの、前記ヒンジ構造の反対側にある請求項10に記載の油井仕上げツール。
【請求項16】
前記空洞は、前記縁部の内側に、かつ、この縁部に隣接して配置される請求項6に記載の油井仕上げツール。
【請求項17】
前記切断シリンダユニットの前記プラグ分断エッジはテーパ状であり、リーディングエッジセグメントと、該リーディングエッジセグメントから相対する方向に特定の角度で延在するトレイリングエッジセグメントとを有する請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項18】
前記トレイリングエッジセグメントは、各々、前記通路の長手方向の軸に対して、約7°から約18°の角度で延在する請求項17に記載の油井仕上げツール。
【請求項19】
前記プラグの前記中央セグメントには、前記プラグの前記周辺部分に隣接するように空洞が設けられ、前記切断シリンダユニットの前記リーディングエッジセグメントは、該リーディングエッジセグメントにより、前記プラグの前記中央セグメントの分断を前記空洞で開始するために、前記空洞の位置と略一致している請求項17に記載の油井仕上げツール。
【請求項20】
前記リーディングエッジセグメントと前記トレイリングエッジセグメントは、面取りされている請求項17に記載の油井仕上げツール。
【請求項21】
前記リーディングエッジセグメントと前記トレイリングエッジセグメントは、約15°の角度で面取りされている請求項19に記載の油井仕上げツール。
【請求項22】
前記ヒンジ構造は、前記プラグの前記周辺部分に取り付けられた環状部品と、略U型の脚部分及び外脚部分を有する略L型の長い部位とを含み、前記U型の脚部分は、前記環状部品と結合している一方の脚部分と前記外脚部分に連結している他方の脚部分との相互連結された脚部分により規定され、前記外脚部分は、前記プラグの前記中央セグメントに取り付けられる請求項1に記載の油井仕上げツール。
【請求項23】
前記ヒンジ構造の前記U型の脚部分は、前記プラグの前記中央セグメントが、前記プラグの前記周辺部分から分断された時点で、少なくとも部分的に直線状になるように形成され、これにより、前記中央セグメント全体が、前記プラグの前記周辺部分から独立して、かつ、この周辺部分から離れる方向に移動することを可能にする請求項22に記載の油井仕上げツール。
【請求項24】
前記作動手段は、前記主要通路まで延在し、かつ、該作動手段を作動させるために、ドロップロッドによって連動する作動装置を有する請求項8に記載の油井仕上げツール。
【請求項25】
油井ケーシング内で、複数のセクションから成るチュービングストリングに連結される油井仕上げツールであって、
軸方向に延在する長い主要通路を規定する壁構造を有し、かつ、両端部の少なくとも一方が、前記チュービングストリングのセクションに連結された管状アセンブリと、
前記軸方向の通路に対して通常は遮断関係となるように前記管状アセンブリに取り付けられた分断可能なプラグと、
前記アセンブリの前記通路に設けられ、前記プラグの周辺部分から、通常は離れた関係にあるプラグ分断エッジを備える可動切断シリンダユニットとを有し、
前記切断シリンダユニットの前記プラグ分断エッジはテーパ状であり、リーディングエッジセグメントと、該リーディングエッジセグメントから相対する方向に特定の角度で延在するトレイリングエッジセグメントとを有し、
前記プラグの前記中央セグメントには、前記プラグの前記周辺部分に隣接し、かつ、前記切断シリンダユニットの前記リーディングエッジセグメントの位置と略一致する空洞が設けられ、
前記切断シリンダユニットは、プラグ分断距離にわたって移動可能であり、前記リーディングエッジセグメントが、前記プラグの前記中央セグメントの分断を開始して、前記切断シリンダユニットの前記リーディングエッジセグメントと前記トレイリングエッジセグメントが、前記プラグの中央セグメント全体を、前記プラグの残りの周辺部分から共同して分断する油井仕上げツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−540797(P2010−540797A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504904(P2010−504904)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001432
【国際公開番号】WO2008/135858
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(593224670)ファイク・コーポレーション (18)
【氏名又は名称原語表記】FIKE CORPORATION