分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための、及びアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステム
分類マトリックスの2又はそれ以上の分類領域が非分類領域と重なるユニット位置を再割り当てするための構成を含む方法及びシステムを提供する。また、測定した粒子の値により正確に対応する値によって特徴付けることができる、分類領域を数学的に作り出すための構成を含む方法及びシステムを提供する。方法及びシステムの他の実施形態は、粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得するための、及び分類マトリックス内のデータの少なくとも一部が対応する位置を識別するための構成を含む。このような方法及びシステムは、識別したユニット位置に対応するデータ又は分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間のいずれかを、粒子を特定の粒子カテゴリ又はリジェクトクラスに分類できるという結論に到達するまで事前設定した所定の座標経路の数だけ平行移動させるための構成をさらに含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステムに関し、さらにアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、本節に含まれることにより先行技術であると認められるものではない。
【0003】
化学的及び生物学的アッセイの分析には、分光技術が広く使用されている。ほとんどの場合、これらの技術は、関心材料による電磁放射線の吸収又は放出を測定する。1つのこのような用途が、化学的アッセイ業界と生物学的アッセイ業界の組み合わせを含む数多くの専門分野により利用される技術であるマイクロアレイの分野に存在する。テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションは、様々な色の蛍光粒子の表面からの蛍光発光を検出することにより生物学的アッセイを分析するシステムを開発した。このシステムはまた、粒子により散乱する光のレベル、粒子の電気インピーダンス、及びその他のパラメータを測定することによってアッセイを分析することもできる。
【0004】
場合によっては、アッセイ分析システムにおいて多重化方式を使用することで、単一の試料のための単一の分析処理において複数の検体を評価できるようにする。多重化方式を容易にするために、粒子を区別可能なグループに分けて構成し、異なるグループを使用して、アッセイ中における異なる検体の有無及び/又は量を示すようにする。例えば、異なる蛍光染料及び/又は異なる濃度の染料を粒子内に吸収させ、及び/又は粒子の表面に結合させることができ、及び/又はサイズによって粒子を変えることができる。これらのカテゴリの粒子を使用する従来のシステムは、2次元分類マトリックスを使用するアッセイ内で何十から100を超える異なる検体を試験することができる。粒子カテゴリの数(ひいては検出しようとする検体数)は、染料の数を増やすこと及び/又は異なる染料強度によって増やすことができるが、一般に粒子カテゴリの量が増加すると、分類マトリックスのサイズを増やすことが必要となる。後述するように、分類領域を定めるための分類マトリックスのサイズ及び分類マトリックス内の利用可能な空間には限界があり、従って分類領域を効率的に分布させることが必要であるとともに、これは分類領域の数が増加するにつれてより難しくなる。
【0005】
蛍光発光を利用して粒子を分類するアッセイ分析システムでは、一般にアバランシェ光ダイオードが検出できる染料の最小量により、さらには粒子が保持できる染料の最大量により蛍光値の範囲が制限される。このことを考慮して、特にアッセイに100よりも多くの粒子カテゴリが存在する場合、このようなシステムに関連する分類マトリックスを3以上のパラメータで構成して利用可能な分類空間を増やすようにすることもある。しかしながら、3以上のパラメータで構成された分類マトリックスは、特に利用可能な空間の制限を受けやすくなる。より具体的には、蛍光発光の検出チャネルは一般に垂直でなく、従ってチャネル間にクロストークが存在することがある(すなわち染料を1つ増加及び/又は追加すると、その他のチャネルの1又はそれ以上がある程度影響を受ける可能性がある)。この結果、分類領域に適していない恐れのある分類マトリックスの範囲(すなわちクロストークにより影響を受けた範囲)が存在するようになる可能性がある。このような利用可能な空間の制限は、このようなマトリックスを2次元分類マトリックスに対して容易にするために染料を増加及び/又は追加したことに起因して、3以上のパラメータで構成された分類マトリックスに特に密接に関連し得る。
【0006】
分類マトリックスを構成するパラメータ数に関わらず、分類マトリックス内に分類領域を収めて明確なカテゴリ分けを確実にする1つの方法は、小さくて広く離れた分類領域を構成することである。しかしながら、このような方法では、小さくて広く離れた分類領域内に収まる粒子の割合が比較的低くなるので、分類効率が悪くなることが多い。分類効率が高いほど分析結果も正確になり、従って一般的には、粒子の一部に関して見込まれる測定値の大部分、より具体的には粒子の一部に関して見込まれる測定値の約90%よりも多くを網羅するように分類領域を構成することが有利である。しかしながら、特にアッセイに100よりも多くの粒子カテゴリが存在する場合には、粒子カテゴリの数が増加するにつれて異なる分類領域の構成(すなわち、サイズ、形状及び角度)がより大きく変化する傾向にあり、実施形態によってはこれらが重なることもあるので、一般にこのような高い分類効率を達成することは困難である。重なった分類領域は、粒子を誤って2以上の分類領域に分類する可能性があるため特に望ましくなく、従って通常は回避される。この結果、一般に分類領域は、分類マトリックスを構成するユニットの規模に応じて次に小さなサイズまで縮小され、これが領域のサイズを大きく制限し、高い分類効率を達成するための能力が損なわれる。
【0007】
アッセイ分析システムのさらなる課題は、分類領域の構成パラメータを記憶するために必要な大量のメモリ容量である。特に、分類マトリックスを構成する特定レベルの規模の粒度を考えると、一般に追加の分類領域を記憶するために追加のメモリ容量が必要となる。さらに、分類領域を定めるために使用するパラメータが多くなるほど、より多くのメモリ容量が必要になる。場合によっては、システムメモリ容量の限界により、アッセイの考えられる分類領域の数が抑制され、従って望ましくないことではあるが、多重化方式の幅が制限される可能性がある。いくつかの実施形態では、特にシステムメモリ容量を減少させるために、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模によって分類マトリックスが構成される。例えば、いくつかの実施形態では、測定した粒子パラメータの対数値から算出した整数の規模によって分類マトリックスを構成することができる。しかしながら、このような場合、測定した粒子の値を分類マトリックスの対数規模に適合するように換算することにより値に歪みが生じ、粒子分類の精度が低下する可能性がある。さらに、このような分類マトリックスを使用するシステムには、アッセイの考えられる分類領域の数を抑制するメモリ容量の限界が依然として存在する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、分類マトリックス内に効率的に分布して分類効率を十分に高くする分類領域を構成するための方法及びシステムを開発することが望ましいと思われる。さらに、測定した粒子の値により正確に対応する値を特徴とすることができる分類領域を作り出す方法を開発することが有益と思われる。さらに、システムのメモリ使用量を大幅に増やすことなく粒子を複数の分類領域に分類するための方法及びシステムを開発することが有利と思われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下のアッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステムの様々な実施形態、及びアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムの様々な実施形態についての説明が添付の特許請求の範囲の主題を限定するとは決して解釈すべきではない。
【0010】
方法、記憶媒体及びシステムの実施形態は、アッセイ分析のために構成される粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別するための構成を含む。また、方法、記憶媒体及びシステムは、複数の分類領域のうちの2又はそれ以上に非分類領域として共通して割り当てられた再割り当てユニット位置のための構成を含む。
【0011】
方法、記憶媒体及びシステムの他の実施形態は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換し、第2の値を第1の整数に換算するための構成を含む。方法、記憶媒体及びシステムは、第1の整数を第3の値に数学的に変換し、第3の値を第2の整数に換算し、第2の整数をアッセイ粒子集団カテゴリの内の点の置き換え値として指定するための構成をさらに含む。
【0012】
方法、記憶媒体及びシステムの他の実施形態は、粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、個々の粒子のデータの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するための構成を含む。方法、記憶媒体及びシステムは、識別したユニット位置に対応するデータ、又は分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間のいずれかを、粒子を粒子集団又はリジェクトクラスに分類できるという結論が得られるまで事前に設定した所定の座標経路数だけ平行移動させるための構成をさらに含む。場合によっては、方法、記憶媒体及びシステムは、複数の目標空間を通じたこのようなステップを粒子が分類されるまで繰り返すように構成される。
【0013】
以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照すると、本発明のその他の目的及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図2a〜図12を参照しながら説明する処理を実施するように構成された、プログラム命令を有する記憶媒体を含むシステムの概略図である。
【図2a−b】図4に概説する処理の説明に使用する例示的な分類マトリックス及び分類領域のグラフ表示である。
【図3】図5に概説する処理から得られる例示的な分類マトリックス及び例示的な分類領域の偏移を示す図である。
【図4】アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図5】アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図6】アッセイの粒子を分類するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図7】アッセイの粒子を分類するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図8】図6及び図7に概説する処理の説明に使用する分類マトリックスのグラフ表示である。
【図9】図6及び図7に概説する処理の説明に使用する分類マトリックスのグラフ表示である。
【図10】図11及び図12を参照しながら説明する処理の説明に使用する、互いに重なった複数の分類領域構成を表す例示的な目標空間を示す図である。
【図11】複数の分類領域構成を表す目標空間を、図6及び図7を参照しながら説明する方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成にデータ点又は目標空間を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成のうちのいずれにデータ点又は目標空間を平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。
【図12】複数の分類領域構成を表す目標空間を、図6及び図7を参照しながら説明する方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成にデータ点又は目標空間を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成のうちのいずれにデータ点又は目標空間を平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な修正及び代替の形態が可能であるが、図面には本発明の特定の実施形態を一例として示し、本明細書ではこれらについて詳細に説明する。しかしながら、図面及びこれらの詳細な説明は、開示する特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の思想及び範囲内にある全ての修正、同等物及び代替手段を含むことを意図するものであると理解されたい。
【0016】
図面を参照すると、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法、記憶媒体及びシステムを示している。また、アッセイの粒子を分類するための例示的な方法、記憶媒体及びシステムも示す。具体的には、図4及び図5は、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するためのフロー図である。一方、図6、図7、図11、及び図12は、アッセイの粒子を分類するためのフロー図である。図1には、図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図に概説する処理を実施するように構成された、プログラム命令を含む記憶媒体を有する例示的なシステムを示す。図2a〜図3及び図8〜図10は、フロー図に概説する処理を説明するための分類マトリックス及び/又は目標空間のグラフ表示である。
【0017】
なお、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、物理的な意味において、グラフで示す分類マトリックス及び分類領域に必ずしも依存するとは限らない。むしろ、本明細書で説明する分類マトリックス及び分類領域は、ある意味仮想的に存在することができる。図2a〜図3及び図8〜図10は、主に本明細書で説明する方法、プログラム命令及びシステムの複雑さを説明するのに役立てるために使用するものである。なお、場合によっては、本明細書で説明するシステム、記憶媒体及び方法を、分類領域を構成すること及び/又は粒子を分類することに関連する以外の処理を実施するように構成することもでき、従って本明細書で説明するシステム、記憶媒体及び方法は必ずしも図1〜図12の説明に限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、システム20は、記憶媒体22及びプロセッサ26を含む。システム20は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク家電、インターネット家電、携帯情報端末(PDA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他の装置を含む様々な形をとることができる。いずれの場合にせよ、記憶媒体22は、プロセッサ26を使用して実行可能な、出力信号29を生成して送信するための、特に図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら以下で概説する処理を実施するプログラム命令24を含む。場合によっては、システム20を、入力信号28を受信して、プロセッサ26を通じてプログラム命令24を作動させ、及び/又はプログラム命令24が処理するためのデータを提供するように構成することができる。これに加えて、或いはこれとは別に、記憶媒体22は、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら以下で概説する処理を実施するためにプログラム命令がアクセスできるデータベース及び/又はルックアップテーブルを含むことができる。記憶媒体22に含めることができる例示的なデータベース及び/又はルックアップテーブルについては、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0019】
一般に、本明細書で使用する「記憶媒体」という用語は、以下に限定されるわけではないが、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光ディスク、或いは磁気テープなどの1又はそれ以上のプログラム命令セットを保持するように構成されたあらゆる電子媒体を意味することができる。一般に、「プログラム命令」という用語は、以下でより詳細に説明するようなアッセイ分析システムの分類マトリックス内の分類領域の構成、又はアッセイの粒子を分類することなどの特定の機能を実施するように構成されたプログラム内のコマンドを意味することができる。プログラム命令は、中でもプロシージャベースの技術、構成要素ベースの技術、及び/又はオブジェクト指向型技術を含む様々な方法のいずれかにおいて実行することができる。例えば、プログラム命令は、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、或いはその他の技術又は方法論を使用して望む通りに実行することができる。
【0020】
本明細書で説明する処理の1又はそれ以上を実施するように構成できるシステム(すなわち、システム20を含み又はこれに接続できるシステム)として、以下に限定されるわけではないが、テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションから市販されている、Luminex(登録商標)100(商標)、Luminex(登録商標)HTS、Luminex(登録商標)100E、Luminex(登録商標)200(商標)、及びこの製品群へのあらゆる追加物が挙げられる。しかしながら、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、あらゆるアッセイ測定システムにより取得した粒子データを使用することができ、或いは使用するように構成することができる。測定システムの例としては、フローサイトメータ及び静的蛍光イメージングシステムが挙げられる。また、本明細書では、粒子分類に使用できる様々なパラメータについて説明しているが、本明細書で説明する実施形態は、異なる粒子集団を区別するために使用できるあらゆる測定可能な粒子パラメータを使用することができ、従って必ずしも粒子の蛍光特性に限定すべきではない。さらに、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを、1又はそれ以上の関心検体の有無を判定することが望まれるあらゆる種類のアッセイ、具体的にはあらゆる生物学的、化学的、又は環境的アッセイを分析するためのシステムに適用することができる。
【0021】
上述したように、一般にプログラム命令24は、図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図に概説する処理を実施するように構成することができる。従って、一般に図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図は、ソフトウェアモジュールを使用して実施する方法について説明するものである。より具体的には、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら説明する方法は、1又はそれ以上のアルゴリズムを使用して比較的大量のデータを分析及び計算するステップを含み、従ってコンピュータを通じて最良に実施することができる。従って、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら説明する方法を「コンピュータ実施方法」と呼ぶことができる。
【0022】
本明細書で使用する「分類」という用語は、一般にアッセイの粒子をメンバ粒子が類似の特性を有する集団グループにカテゴリ分けするものとして見なされる。本明細書では、この集団グループを「粒子集団」と呼ぶ。場合によっては、本明細書では、アッセイ分析のために構成された粒子集団を具体的に参照するために「アッセイ粒子集団」という用語を使用することがある。多くの場合、試料を1回のアッセイの実験において複数の異なる粒子集団で(すなわち多重化方式で)分析するので、分類は特に重要である。具体的には、通常、異なる粒子集団は、粒子に結合した物質の種類及び/又は粒子に結合した(単複の)物質の量などの少なくとも1つの異なる特性を有することにより、アッセイ分析システムを1回通すだけで試料内に異なる種類及び/又は量の検体が存在することを検出及び/又は定量できるようになる。測定結果を解明するために、アッセイの個々の粒子の識別又は分類を求めて、測定値を個々の粒子の特性と相関付けることができるようにする。このようにして、異なる粒子集団に関連する測定値を区別して、関心検体にそれぞれ帰属させる。アッセイの粒子を分類するために、測定値を分類マトリックスと相関付けることができ、これを本明細書では、以下でより詳細に説明するように分類に使用する粒子の測定パラメータに対応する(実際の又は仮想的な)一連の値と見なす。粒子をカテゴリ分けするために、分類マトリックス内に複数の分類領域を定めることができ、従って本明細書で使用する「分類領域」という用語は、粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲を意味する。
【0023】
本明細書では、「粒子」という用語を、一般に微粒子、微小球、ポリスチレンビーズ、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビーズ、マイクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子、着色ビーズ、組織、細胞、微生物、有機物、非有機物、又はその他のあらゆる離散物質又は当業で公知の物質を示すために使用する。本明細書では、このような用語のいずれかを同義的に使用することがある。本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを使用して、あらゆる種類の粒子を分類することができる。場合によっては、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを、特に分子反応の媒介物としての機能を果たす粒子に使用することができる。フローサイトメトリに使用する例示的な分子反応粒子として、テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションから市販されているxMAP(登録商標)微小球が挙げられる。
【0024】
アッセイ分析システムのための粒子分類領域を構成する例示的な方法のフロー図を図4に示す。図2a及び図2bは、図4に概説する処理から得られる分類マトリックス及び分類領域のグラフ表示を示しており、従って図4とともに説明する。図4のブロック30に示すように、図4に概説する方法は、アッセイ分析のために構成された粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別するステップを含む。測定可能パラメータは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性を含むことができる。また、粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連し分類マトリックスを構成する値は、粒子の測定規模に等しい規模のものであってもよく、或いはこのような測定規模の値から変換された値の規模のものであってもよい。分類マトリックスが、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模により構成されている場合、特に後者の実施形態を適用することができる。図2a及び図2bには、図示の分類マトリックスを構成する3つのパラメータを示しているが、図4を参照しながら説明する処理及び本明細書で説明するその他の全ての方法は、いずれの数のパラメータにより構成される分類マトリックスにも適用することができる。以下でより詳細に説明するように、図4を参照しながら説明する処理は、特に重なった分類領域を有するあらゆる分類マトリックスに適用することができる。
【0025】
図2a及び図2bに示す分類マトリックスは12個の分類領域を含む。なお、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、以下に限定されるわけではないが、100よりも多くの、場合によっては数百よりも多くの、及び場合によってはそれ以上の分類領域を含むあらゆる数の分離領域を有する分類マトリックスに適用することができる。図2a及び図2bに示す分類領域の数は、図4を参照しながら説明する方法の図を簡略化するために、及び処理ステップを強調するために使用するものにすぎない。なお、図4を参照しながら説明する方法及び本明細書で説明する他の全ての方法は、図2a及び図2bに示すように分類領域をマトリックス内に不均一に配置した例に限定されるものではない。具体的には、図4を参照しながら説明する方法及び本明細書で説明する他の全ての方法は、均一に分布する分類領域を有する分類マトリックスに適用することができる。
【0026】
図2aに示すように、分類領域1〜12のいくつかは重なっている(すなわち、領域1と2、領域4と5、領域3と6と7、及び領域10と11)。より具体的には、図2aでは、分類領域1〜12の一部が、二重平行線模様のマークで示すように重なっている。なお、分離領域によっては、図2aに分類領域8、9、及び12で示すように重ならないものもあるが、他の実施形態では、全ての分類領域がマトリックス内の少なくとも1つの他の分類領域と重なることもある。図4のブロック32に示すように、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、2又はそれ以上の分類領域に共通して割り当てられた分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップを含む。換言すれば、この方法は、分類マトリックス内の2又はそれ以上の分類領域が重なるユニット位置を識別するステップを含むことができる。別の言い方をすれば、この方法は、分類マトリックス内の2以上の分類領域にまたがるユニット位置を識別するステップを含むことができる。本明細書で使用する「ユニット位置」という用語は、分類マトリックス内の固有の座標点を意味することができる。従って、分類領域は、別の分類領域に共通して割り当てられた1又はそれ以上のユニット位置を有することができると考えることができる。
【0027】
場合によっては、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、図4のブロック34に示すように、共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化するステップを含むことができる。本明細書では、このような処理を「衝突計数処理」と呼ぶことができる。共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化した後、ブロック36において、計算した量が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定することができる。計算した量が所定の閾値よりも大きい場合、処理はブロック38へ進み、複数の分類領域の1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整する。次元属性は、サイズ、形状、角度、又は分類領域を特徴付ける他のあらゆるパラメータに対応することができる。図2aに示すように、いくつかの実施形態では、分類領域1〜12を楕円形とすることができる。このような場合、図4のブロック38は、複数の分類領域の1又はそれ以上の主軸、短軸、仰角、及び方位角のうちの少なくとも1つの値を調整するステップを含むことができる。しかしながら、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、必ずしも図示の分類領域の形状に限定されるわけではなく、従ってこれらは、楕円形の分類領域を有する分類マトリックスに適用されることに限定されるものではない。いずれにせよ、一般にブロック38に概説する処理により影響される属性及び分類領域の数、並びに(単複の)調整の大きさは予め決めることができ、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。
【0028】
ブロック38に基づいて分類領域1〜12のうちの1又はそれ以上の次元属性を調整した後、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出されるまでブロック32、34、36、及び38に概説する処理を繰り返すことができる。これが算出されると、図4のブロック40に示すように、ユニット位置が非分類領域として再割り当てされる。或いは、この方法は、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出された場合、最初にブロック36を通過した後にブロック40へ進むことができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。いくつかの実施形態では、ブロック32、34、36、及び38に概説する処理を繰り返す反復数を制限することができる(すなわち、最大反復数を事前に設定することができる)。このような場合、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出されたときに、或いは事前に設定した反復数が満たされた場合に反復処理を終了することができる。後者の場合、一般に所与の分類領域の組では所定の閾値を達成できないと判断することができ、従って図4に概説する方法を終了することができる。このような時点で、異なる分類領域の組を選択して図4に概説する方法を通じて処理するための、及び/又はブロック36に概説する処理に影響する閾値を下げるための是正措置をとることができる。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック32、34、36、及び38を繰り返すことができる反復数に関する制限は示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0029】
代替の実施形態では、方法が、共通して割り当てられたユニット位置の量を所定の閾値と比較するステップ(すなわち、ブロック36を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては図4に示すフロー図からブロック36を省略することができ、従って方法はブロック34からブロック38へ直接進むことができる。このような実施形態では、ブロック32、34、及び38に概説する処理を所定の回数繰り返すことができる。次に、所定の反復数が終了すると、共通して割り当てられたユニット位置の量が最小の分類領域の構成が選択され、ブロック40において、関連する共通して割り当てられたユニット位置が非分類領域として割り当てられる。このような実施形態は、ブロック30を参照しながら最初に説明した特定の閾値に縛られない分類領域の組と比較して、共通して割り当てられたユニット位置の量が少ない分類領域の組を求めるのに有利となり得る。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック36の省略及びブロック32、34、及び38を繰り返すことができる反復数に関する制限を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0030】
さらに他の実施形態では、方法が、共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化するステップ(すなわち、ブロック34を参照しながら説明した衝突計数処理)、又は分類領域の次元属性を調整するステップ(すなわち、ブロック38を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。具体的には、ブロック34及び38に関連する処理も任意であり、従っていくつかの実施形態では、図4に示すフロー図からこれらを省略することができる。むしろいくつかの実施形態では、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、ブロック32からブロック40へ直接進むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、分類マトリックス内の共通して割り当てられたユニット位置の数を計算し、分類領域の次元属性を調整して、共通した割り当てを最小限にできるようにすることが有利となり得る。具体的には、分類領域の比較的大きな部分を保持して、比較的高い分類効率を達成できることを確実にすることが有利となり得る。
【0031】
いずれにせよ、いくつかの実施形態では、方法が、ブロック42で示すように、再割り当てした非分類領域に隣接するユニット位置(すなわち、以前に共通して割り当てられたものとして区別したユニット位置)を非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。このような処理は、ブロック40に概説した処理の後に、或いはこれと同時に行うことができる。一般に、図42に概説する処理の影響を受けるユニット位置の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック42に示す処理が、ブロック40に基づいて割り当てた非分類領域と直接隣接するユニット位置の組のみを非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。本明細書では、このような実施形態を、ブロック40に基づいて割り当てた分類領域の境界に対して隣接する単層のユニット位置を再割り当てするステップと呼ぶことができる。その他の場合、ブロック42に示す処理は、隣接する多層のユニット位置を再割り当てするステップを含むことができる。換言すれば、ブロック42に示す処理は、ブロック40を参照しながら割り当てた非分類領域に直接隣接するユニット位置の組から横方向に延びる1又はそれ以上のユニット位置の組を非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。さらに他の実施形態では、図4に示す方法が、隣接するユニット位置を再割り当てする処理を含まなくてもよい。具体的には、ブロック42に示す処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、図4に示すフロー図からこの処理を省略することができる。
【0032】
一般に、非分類領域として再割り当てされるユニット位置が多くなるにつれて誤分類の発生は減少するが、非分類領域として再割り当てされる領域が多くなるにつれて分類効率(リジェクトクラスに分類された粒子に対する集団に分類された粒子の比率)は低下する。従って、分類領域間の緩衝領域を最小にすることと、緩衝領域を拡大することとの間にはトレードオフが存在する。一般に、最適化は、使用するシステム及び分析しようとするアッセイに依存する。
【0033】
共通して割り当てられたユニット位置を、及び実施形態によっては隣接するユニット位置を再割り当てする処理を図2bに示す。詳細には、図2bは、非分類領域として再割り当てされた分類領域1〜2、4〜5、3及び6〜7、並びに10〜11の共通して割り当てられたユニット位置を示しており、図4ではこれらを分類マトリックス内の空白部分として示している。ある意味では、分類領域1〜2、4〜5、3及び6〜7、並びに10〜11の共通して割り当てられたユニット位置を「切り出し」て、粒子を2つの異なるカテゴリにカテゴリ分けする可能性及び/又は粒子を誤った集団にカテゴリ分けする可能性が減少又は排除されるようにしている。換言すれば、共通して割り当てられたユニット位置の再割り当てにより、分類領域間に緩衝が導入される。再割り当て技術の利点は、分類領域のサイズを大幅に制限することなく領域を合理的に大きくできる点である。
【0034】
上述したように、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、物理的な意味において、グラフで示す分類マトリックス及び分類領域に必ずしも依存するわけではない。従って、共通して割り当てられたユニット位置を再割り当てする処理は、必ずしも図2a及び図2bに示すような分類マトリックスの表現に依存する必要があるというわけではない。むしろ、処理は仮想的な意味で実施することができ、具体的にはメモリに記憶された個々の分類領域の個々の点(すなわちユニット位置)を走査することができる。このような走査処理中、以前に走査した領域がすでにそのユニット位置(すなわち、共通して割り当てられたユニット位置)を占めている場合、このユニット位置を非分類点として再割り当てすることができる。場合によっては、再割り当て処理は、メモリに記憶されたユニット位置の識別子を変更するステップを含むことができる。例えば、最初にユニット位置に、その割り当てられたカテゴリに関連する(1〜12などの)数字を割り当て、その後このユニット位置を非分類領域の一部として示すために数字「0」を再割り当てすることができる。
【0035】
他の実施形態では、共通して割り当てられていると識別されたユニット位置に、例えば−1などの一意の識別子を再割り当てすることができる。このような一意の識別子は、最初に分類領域として割り当てられていない他の非分類点とこのユニット位置を区別するのに役立つことができ、このことは、図4のブロック42に関する任意の処理として上述したように、一意の識別子に隣接する点を非分類領域として再割り当てできる場合に有用となり得る。具体的には、分類マトリックス全体を検索することができ、−1の識別子に隣接するあらゆる点を−1の識別子に置き換え、従って緩衝を大きくすることができる。或いは、−1の識別子を有する点とともに、この−1の識別子に隣接する点に0識別子を再割り当てして、分類マトリックスのその他の空白部分とともに、より大きな緩衝を空白部分として分類できるようにすることができる。
【0036】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、ブロック40又はブロック42の後に終了することができる。しかしながら、その他の場合、再割り当て技術(すなわち、ブロック32及び40、及び時にはブロック42の処理)とともに組み入れることが望ましい追加の処理に、分類領域の1又はそれ以上の分類効率の判定がある。特に、再割り当て技術を実施した後に1又はそれ以上の分類領域の分類効率を判定して、分類領域が、アッセイ内で使用する粒子集団を表さなくなるほど再割り当て処理によって望ましくないように変化しないことを確実にすることが有利となり得る。これに加えて、或いはこれとは別に、再割り当て技術を実施する前に分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域の分類効率を判定して、アッセイ内で使用する粒子集団を表す分類領域に処理が適用されることを確実にすることも有利となり得る。
【0037】
1又はそれ以上の分類領域の分類効率を計算するための例示的な技術を、図4のブロック44〜48に示す。特に、ブロック44は、複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータの取得に関する。いくつかの実施形態では、アッセイ測定システムによってデータを取得することができ、このデータは、以下に限定されるわけではないが、粒子を分類するために使用するものを含むいくつかの異なるパラメータの測定値を含むことができる。例えば、このデータは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性の測定値を含むことができる。いずれにせよ、処理は、図4のブロック46及び48にそれぞれ示すように、データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップと、複数の分類領域に関する複数の粒子の分類効率を計算するステップとをさらに含むことができる。上述したように及び図4に示すように、分類効率の計算(すなわち、ブロック44〜48に関連する処理)は、再割り当て処理(すなわち、ブロック32及び40、及び時にはブロック42に関連する処理)の前及び/又は後に行うことができる。具体的には、図4には、再割り当て処理前に分類効率を計算する場合のブロック30からブロック44までの連続矢印を示している。また、図4には、再割り当て処理後に分類効率を計算する場合のブロック42(又はブロック40)からブロック44までの連続矢印を示している。
【0038】
場合によっては、より高い分類効率の達成を試みるために、分類効率の計算を使用して分類領域の次元属性を調整すべきかどうかを判定することができる。具体的には、図4に示す方法は判定ブロック50を含むことができ、ここで、計算した分類効率が所定の閾値未満であると判定された場合、方法はブロック52へ進んで複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整する。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。また、次元属性は、分類領域を特徴付けるサイズ、形状、角度、又はその他のあらゆるパラメータに対応することができる。
【0039】
1又はそれ以上の値を調整した後、方法はブロック46へ戻り、ブロック44で取得したデータの少なくとも一部が対応する調整済みの分類領域を有する分類マトリックス内のユニット位置を識別し、その後ブロック48へ進んで新たな分類効率を計算し、これをブロック50の所定の閾値と比較する。いくつかの実施形態では、図4に示すように、所定の閾値を満たす又はこれを超える分類効率が計算されるまで、ブロック46、48、50、及び52に関連する処理を繰り返すことができる。他の実施形態では、反復数を制限することができる(すなわち、最大反復数を事前に設定することができる)。このような場合、所定の閾値以上の分類効率が計算されたときに、或いは事前に設定した反復数が満たされた場合に反復処理を終了することができる。後者の場合、一般に所与の分類領域の組では所定の閾値を達成できないと判断することができ、従って図4に概説する方法を終了することができる。このような時点で、異なる分類領域の組を選択して図4に概説する方法を通じて処理するための、及び/又はブロック50に概説する処理に影響する分類効率閾値を下げるための是正措置をとることができる。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック46、48、50、及び52を繰り返すことができる反復数に関する制限は示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0040】
図4に示すように、所定の閾値以上の分類効率が達成されると方法はブロック32へ戻り、特にブロック52に概説する調整処理を使用する実施形態では再割り当て処理を再び開始することができる。その他の場合、方法はブロック32へ進んで再割り当て処理を初めて開始することができる(すなわち、効率を計算する前に再割り当て処理を行っていない場合)。さらに他の実施形態では、所定の閾値以上の分類効率を達成すると、方法を終了することができる。特に、分類効率のベースになる分類領域の組に再割り当て処理をすでに行っている場合(すなわち、分類領域の次元属性をブロック52に関して変更していない場合)、方法を終了することが有利となり得る。いずれにせよ、図4に概説した方法に当業者にとって既知の対策を組み込んで、再割り当て処理と分類効率の計算との交互の切り替えが、過度に時間のかかる(又は終わりのない)サイクルに巻き込まれないようにすることができる。
【0041】
アッセイ分析システムの分類領域を構成するための別の方法を図5のフロー図に示す。なお、図4及び図5に関して説明する方法は必ずしも互いに相容れないわけではなく、従っていくつかの実施形態では、これらの両方を使用してアッセイ分析システムの分類領域を構成することができる。一般に、図5に関して説明する方法を使用して、測定した粒子の値により正確に対応する値を特徴とする分類領域を作成することができる。より具体的には、図5に関して説明する方法を使用して、粒子集団カテゴリの1又はそれ以上の値を、測定した粒子の値よりも低い精度の分類マトリックス内に収まる際にこれらの対応する分類領域の偏移を担うように調整することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、分類マトリックスは、特にシステムメモリ容量を減少させるために、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模によって構成されることが多い。例えば、いくつかの実施形態では、測定した粒子パラメータの対数値から計算した整数の範囲によって分類マトリックスを構成することができる。しかしながら、場合によっては、測定した粒子の値を分類マトリックスの対数規模に適合するように換算することにより値に歪みが生じ、粒子分類の精度が低下する可能性がある。図3は、図5に概説する処理から得られる分類マトリックス及び分類領域の偏移のグラフ表示であり、従って図3については図5とともに説明する。
【0042】
上述したように、本明細書では、分類マトリックスを、分類に使用する粒子の測定パラメータに対応する(実際の又は仮想的な)一連の値と見なす。また、本明細書で使用する「分類領域」という用語は、粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲を意味する。「粒子集団カテゴリ」という用語は、粒子集団(すなわち、「粒子集団」という用語は、類似の特性を有する粒子の組を意味する)の1又はそれ以上のパラメータの見込まれる測定値のグループ分けを意味するという点で「分類領域」という用語とはわずかに異なる。詳細には、「粒子集団カテゴリ」という用語は、粒子集団の1又はそれ以上のパラメータの測定規模によって特徴付けられる見込まれる値のグループ分けを意味するが、分類領域の値は、これらを配置する分類マトリックスの値及び粒度の範囲に依存する。
【0043】
例えば、中央蛍光強度(MFI)を使用してアッセイの粒子を分類する実施形態では、粒子集団の見込まれるMFI値のグループ分けを粒子集団カテゴリと呼ぶことができる。逆に言えば、このような粒子集団カテゴリに対応する分類マトリックスの分類領域は、分類マトリックスの値及び粒度の範囲によって同じ値を含むこともあれば、又は異なる値を含むこともある。具体的には、分類マトリックスが、粒子の測定に使用するMFI規模と同じ値及び粒度によって構成される場合、分類領域を含む値の範囲は、対応する粒子集団カテゴリの値と同じになる。反対に、分類マトリックスが、粒子の測定に使用するMFI規模と異なる値及び/又は粒度によって構成される場合、分類領域を含む値の範囲は、対応する粒子集団カテゴリの値と異なるようになる。
【0044】
図5に示すように、アッセイ分析システムの分類領域を構成するための方法はブロック60を含むことができ、ここでアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値が新しい値に数学的に変換される。本明細書で使用する「数学的に変換する」という用語は、一般に数式を適用してある値を異なる値に変化させることを意味することができる。あらゆる式を考えることができ、一般にこれらの式は、粒子に関するデータを取得するための測定規模に対する分類マトリックスの所望の粒度に依存することができる。いくつかの例示的な式は、対数ベースの式、指数関数、累乗、2項式、テイラー又はマクローリン級数、パラメータ方程式、座標変換であってもよく、或いは個々の点に定数を乗算又は加算する比較的複雑でない式であってもよい。ブロック60に概説する処理のために他の式を考えることもできる。従って、以下の表1及び表2に関して図5に概説する方法を参照しながら説明する例示的な数学的処理は、このような処理に対数ベースの式を利用するが、図5に示す方法は、必ずしもこのように限定されるわけではない。
【0045】
上述したように、粒子集団は1又はそれ以上の測定パラメータによって特徴付けることができ、従って粒子集団カテゴリ内の点は1又はそれ以上の値によって特徴付けることができる。例えば、以下の表1に関して図5に概説する方法を参照しながら説明する例示的な数学的処理は、分類チャネル「CL1」、「CL2」、及び「CL3」として示す3つのパラメータによって特徴付けられる粒子集団カテゴリについて説明するものである。従って、ブロック60に概説する処理は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値を数学的に変換するステップを含むことができる。
【0046】
一般に、ブロック60に概説する処理に対応するアッセイ粒子集団カテゴリ内の点は、構成されるアッセイ粒子集団カテゴリ内のあらゆる点に対応することができる。いくつかの実施形態では、この点がアッセイ粒子集団カテゴリの中心点になることが有利となり得る。特に、粒子集団は、アッセイ粒子集団カテゴリの中心点を基準とする目標量の染料でこれらを着色することにより生み出されることが多い。しかしながら、場合によっては、特にアッセイ粒子集団カテゴリに含まれる値のグループ分けに関して粒子集団が偏っていることが予想される場合には、この点が非中心点にあることが有利となり得る。このような場合、粒子集団カテゴリの中心点ではなく非中心点を、粒子集団に着色するための基準とすることができる。いずれにせよ、測定した粒子の値を、より低い粒度の分類マトリックスに適合させるように換算することにより、値に歪みが生じる可能性がある。この結果、目標染料量が、分類領域の(中心などの)特定の点と直接相関しなくなる可能性がある。従って、図5に示す方法は、粒子の集団の目標染料量を調整するために特に有益となり得る。その他の場合、ブロック60に概説する処理のために、必ずしも粒子集団に着色することに関連するとは限らない粒子集団カテゴリの点を考慮することができる。このような点の例として、以下に限定されるわけではないが、分類領域の外周沿いの点を挙げることができる。
【0047】
ブロック60に基づいて1又はそれ以上の値を数学的に変換した後、それぞれブロック62、64、及び66に示すように、この1又はそれ以上の数学的に変換された値が、1又はそれ以上の第1の整数にそれぞれ換算され、この1又はそれ以上の第1の整数が数学的に変換され、この結果として得られる1又はそれ以上の値がそれぞれ1又はそれ以上の第2の整数に換算される。第1及び第2の整数への値の換算は、値の四捨五入又は切り捨てを含むことができる。一般に、ブロック64に概説する処理の1又はそれ以上の整数を数学的に変換するために使用する式は、参照ブロック60において1又はそれ以上の値を数学的に変換するために使用する式の逆とすることができる。例えば、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を対数ベースの式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数をベースが同じ逆対数ベースの式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。さらに、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を、特定の正の指数で累乗した式を含む式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数を、その数の負数で累乗した式を含む式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。さらに、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を、ある定数による乗算を含む式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数を、同じ定数による除算を含む式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。
【0048】
いずれにせよ、ブロック66に概説する処理後、方法はブロック68へ進み、ここでブロック60で参照したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の置き換え値として1又はそれ以上の第2の整数がそれぞれ指定される。いくつかの実施形態では、これに加えて、或いはこれとは別に、ブロック70に示すように、方法が、1又はそれ以上の第2の整数を粒子集団に着色するための目標として指定するステップを含む。しかしながら、このような処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、図5からブロック70を省略することができる。具体的には、第2の整数の1又はそれ以上は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の元の値と比較的近く(例えば、差分は粒子を着色できる精度よりも小さい)、従って粒子集団に着色するための目標の変更が必要ない場合がある。いずれにせよ、アッセイ粒子集団カテゴリの1つの点が変更され、従って分類領域の対応するユニット位置が元の位置から歪むと、分類領域内のその他の点が、分類領域の既知の構成(すなわち、サイズ、形状、寸法)を基準にして同じ方向及び大きさに偏移するようになる。複数の分類領域の例示的な偏移効果を図3に示す。
【0049】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、方法が、ブロック68又は70の後にブロック72へ進み、その他の評価すべきアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。判定が肯定的なものであった場合、方法はブロック60へ戻り、異なるアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値を数学的に処理し、ブロック62〜68及び時にはブロック70に概説する処理を異なるアッセイ集団カテゴリに対してさらに実施する。あらゆる数のアッセイ粒子集団カテゴリに対してこのような処理を繰り返すことができ、場合によってはアッセイのために考慮される全てのアッセイ粒子集団カテゴリに対して繰り返すことができる。ブロック72において、評価すべき他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定された場合、処理は終了することができ、或いはブロック74へ進んで、ブロック74〜88を参照しながら以下でより詳細に説明する任意の評価処理を開始することができる。代替の処理では、ブロック60〜68に関して説明する一連の数学的処理を、複数のアッセイ粒子集団カテゴリに対して同時に実施することができる。
【0050】
以下でより詳細に説明するように、複数のアッセイ粒子集団カテゴリに対して複数の置き換え値を指定した後に、図5を参照しながら説明する任意の評価処理(すなわちブロック74〜88)を行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、単一のアッセイ粒子集団カテゴリに対して1又はそれ以上の置き換え値を指定した後に任意の評価処理を行うことができる。後者の実施形態を反映させるために、図5はブロック70と74の間に接続矢印を含み、ブロック70に関連する処理を方法から省略した場合に、代わりにこの矢印がブロック68と74の間の接続矢印として機能することができる。いずれにせよ、任意の評価処理を行った後に追加のアッセイ粒子集団カテゴリを評価することができ(すなわち、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する値を数学的に調整して点の置き換え値を指定することができる)、従って図5には、このような選択肢を示すためにブロック82と72の間に接続矢印が存在する。他の実施形態では、任意の評価処理を先に行うことができ、従って場合によっては図5からブロック74〜88を省略することができる。
【0051】
一般に、任意の評価処理を使用して第2の整数が分類マトリックスの規模にいかに良く適合するかを判定し、結果として生じる分類領域が、測定した粒子集団の値に正確に対応できるようにすることができる。図5に示すように、ブロック74は、ブロック60に基づいて1又はそれ以上の値を数学的に変換するために使用した式を適用することにより、1又はそれ以上の整数を数学的に変換するステップを含む。ブロック74に概説する処理は、ブロック70を参照しながら説明した処理の直後に実施することができ、或いはブロック72において評価すべき他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定された際に実施することができる。いずれにせよ、方法はブロック74の後にブロック76へ進み、ここで(単複の)第2の整数を数学的に変換するにより得られる(単複の)値と、これらに最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分が計算される。その後、評価処理は、後述するようにブロック78において2つの方法の一方へ進む。
【0052】
単一のアッセイ粒子集団カテゴリが評価され、その値の1又はそれ以上が、ブロック66において算出した1又はそれ以上の第2の整数に置き換えられている場合、或いは各個々のアッセイ粒子集団カテゴリに評価処理を実施することが望ましい場合、方法はブロック80へ進み、ブロック76で計算した(単複の)差分が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定することができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図5のブロック82に示すように、計算した(単複の)差分が所定の閾値よりも大きい場合、ブロック68における(単複の)置き換え値としての(単複の)第2の整数の指定は無効になる。具体的には、差分が所定の閾値よりも大きい場合には、対応する第2の整数が、分類領域の測定した粒子集団の値をより良く表していないことを示していることがあり、従ってアッセイ粒子集団カテゴリ内の点をこのような数に調整することは有益でない可能性がある。反対に、計算した(単複の)差分が所定の閾値未満の場合、アッセイ粒子集団カテゴリ内の(単複の)点の置き換え値としての(単複の)第2の整数の指定は残存する。
【0053】
代替の実施形態では、方法が、ブロック76において計算した(単複の)差分を所定の閾値と比較するステップ(すなわち、ブロック80を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては、図5に示すフロー図からブロック80を省略することができる。その代わりに、ブロック60に基づいて実施した数学的変換により得られる(単複の)値と、これらの最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分を計算する処理を行うことができる。このような(単複の)差分が、ブロック76に基づいて計算した(単複の)差分よりも小さいと判定されると、方法はブロック82へ進み、ブロック68において(単複の)置き換え値が破棄されたように(単複の)第2の整数の指定を破棄することができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはブロック80の省略及び前述の処理を表すブロックの置換を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0054】
いずれにせよ、方法はブロック72へ進み、上述した評価処理に続いて評価すべきその他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。異なるアッセイ粒子集団カテゴリ内の点を評価するために、ブロック60〜76に関連する一連のステップ及び上述の評価処理を何度も繰り返すことができる。評価すべきその他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定されると、処理を終了することができる。代替の実施形態では、特に評価処理前に複数のアッセイ粒子集団カテゴリが評価されている場合、方法は、上述の評価処理からブロック76へ進むことができる。さらに他の実施形態では、ブロック60に基づいて行った数学的変換から得られる(単複の)値とこれらに最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分が、ブロック76に基づいて計算した差分よりも大きいと判定された後に、ブロック80において、計算した値が所定の閾値未満であると判定された時点で、或いはブロック82において置き換え値としての第2の整数の指定を破棄した時点で処理は終了することができる。しかしながら、図面を簡略化するために、図5にはこのような終了シナリオはいずれも示していない。
【0055】
任意の評価処理の前に、複数のアッセイ粒子集団カテゴリ内の点が評価され、ブロック66において算出した第2の整数に置き換えられている場合、方法はブロック78からブロック84へ進み、所定の閾値を上回る第2の整数の各々に関して計算した差分の割合を計算することができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよく、またブロック80において参照した所定の閾値と同じであっても又は異なってもよい。その後、方法はブロック86へ進み、割合が事前に設定したレベルよりも大きいかどうかを判定する。事前に設定したレベルは、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図5のブロック88に示すように、割合が事前に設定したレベルよりも大きい場合、ブロック68を参照しながら説明した置き換え値としての第2の整数の指定が破棄される。具体的には、割合が事前に設定したレベルよりも大きい場合には、かなりの数の第2の整数が、これらのそれぞれのアッセイ粒子集団カテゴリの測定した粒子の値をより良く表していないことを示していることがあり、従ってアッセイ粒子集団カテゴリ内の点をこのような数に調整することは有益でない可能性がある。反対に、計算した割合が、所定のレベル未満の場合、分類領域の置き換え値としての第2の整数の指定は残存する。いずれにせよ、図5に示すように、処理はブロック86又は88の後に終了することができる。或いは、処理はブロック72へ戻り、他に評価すべきアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。単に図面を簡略化するために、図5にはこのような選択肢を示していない。
【0056】
代替の実施形態では、方法は、所定の閾値を上回る差分の割合を計算するステップ(すなわち、ブロック84を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては、図5に示すフロー図からブロック84を省略することができる。その代わりに、ブロック60に基づいて実施した数学的変換により得られる値と、これらに最も近い整数との間の(単複の)差分を計算する処理を行うことができる。このような時点で、ブロック76に基づいて計算した差分よりも小さい差分の割合を計算することができる。場合によっては、ブロック86を参照しながら説明したように、このような割合を事前に設定したレベルと比較することができ、その後方法はブロック88へ進んで終了し、或いはブロック72へ戻ることができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはブロック86の省略及び前述の処理の置換を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0057】
評価処理は、どのように使用されるかに関わらず、ブロック60を参照しながら説明したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する比較的大きな値のみに関連することができる。具体的には、図5に概説する方法が、値を最大2、3パーセントポイントしか変化させない場合、比較的小さな値にとっては、このような変化はそれほど重要ではない場合がある。この点、図5に概説する方法に、ブロック60を参照しながら説明したアッセイ粒子集団カテゴリ内の特定の数を上回る点に対応する値にのみ評価処理を実施できるようにするための対策を組み入れることができる。或いは、値の範囲全体に評価処理が適用されるものの、特定の数よりも小さな値に対してはブロック82及び88の破棄処理が無視されるように対策を実施することができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはこのような対策を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0058】
図5に概説する方法に追加できる任意の処理は、異なる数学的変換方程式の組を使用してブロック60〜76に関して説明する処理を繰り返すこと、及びその後粒子集団カテゴリを評価するために使用する個々の数学的変換方程式の組の、ブロック76を参照しながら計算した差分を比較することである。このような時点で、最も小さな差分の分散を生成する数学的変換方程式の組から得られる第2の整数を、ブロック60に概説する処理で参照したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点の最終的置き換え値として指定することができる。具体的には、最も小さな差分の分散を生成する数学的変換方程式の組から得られる第2の整数は、数学的変換方程式の組に基づくパラメータの規模によって構成された分類マトリックス内の測定した粒子の値に最も正確に対応することができる値を表すことができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはこのような任意の処理を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0059】
以下、図5のブロック60〜88に関して説明する処理に使用できる例示的な数学的処理について説明する。また、このような例示的な処理から生成し、使用するデータを表1及び表2に示す。特に、表1及び表2は、3つのアッセイ粒子集団カテゴリに関して生成したデータ、具体的には「CL1」、「CL2」、及び「CL3」として示す個々のアッセイ粒子集団カテゴリの3つの分類チャネルの分類データをリストしている。なお、通常、多重化システムは、3よりも多くのアッセイ粒子集団カテゴリを含むことができる。また、使用するアッセイ分析システムに応じて、3よりも少ない又は多くの分類チャネルを使用して粒子を分類することもできる。従って、図5を参照しながら説明する処理は、表1及び表2に示す例示的なデータに限定されると解釈すべきではない。一般に、分類チャネルCL1〜CL3は、粒子を分類するためのいずれのパラメータに関するものであってもよいが、いくつかの実施形態では、具体的に蛍光測定に関するものとすることができる。このような場合、特に粒子集団に着色する目標量を変更するために図5に概説する方法を適用することができる。表1は、特に図5のブロック60〜70に概説した処理に関し、表2は、特に図5のブロック76〜88に関して説明した評価処理及び評価処理の代替のオプションに関する。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
表1のCL1〜CL3チャネルのデータを示す最初の3列は、それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリのMFI目標を含む。表1に示す例では、目標が1から32,767までのMFI規模に基づいているが、より大きな又はより小さな規模及び/又は異なるパラメータを目標に使用することができる。いくつかの実施形態では、目標が、それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の中心点に対応する値を参照するこ
とができる。しかしながら、その他の場合、目標は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の他の点を参照することもできる。表1の次の3列は、(表1では「変換式」と呼ぶ)対数ベースの式のMFI目標を数学的に変換することによって得られる値を含む。このような数学的処理は、図5のブロック60に関する。使用できる例示的な対数ベースの式は、C=255/log10(32,767)としたときにC*log10(MFITarget+1)である。しかしながら、システム及びアッセイの用途に応じて他の対数ベースの式又は非対数ベースの式を使用することもできる。対数ベースの式から得られる値は、表1の次の3列の第1の整数値に、具体的には表1に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。このような数学的処理は、図5のブロック62に関する。
【0063】
対数ベースの式から得られた値を第1の整数値に換算した後に、この第1の整数が(表1では「逆変換式」と呼ぶ)逆対数ベースの式で数学的に変換される。このような数学的処理は、図5のブロック64に関する。使用できる例示的な逆対数ベースの式は、10[first integer/C]−1である。しかしながら、システム及びアッセイの用途に応じてその他の逆対数ベースの式又は非逆対数ベースの式を使用することもできる。逆対数ベースの式から得られた値は、表1の最後の3列の第2の整数値に、具体的には表1に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。このような数学的処理は、図5のブロック66に関する。図5のブロック68を参照しながら上述したように、この第2の整数は、ブロック60で参照したアッセイ粒子集団カテゴリの点の置き換え値として指定され、表1に示す例ではMFI目標に関する。いくつかの実施形態では、第2の整数を、アッセイ分析の異なる粒子集団を着色するための、具体的には図5のブロック70に対応する目標値としてさらに指定することができる。
【0064】
上述したように、ブロック70に概説する処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、表1に示す例から省くことができる。具体的には、第2の整数の1又はそれ以上は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の元の値と比較的近く(例えば、差分は粒子を着色できる精度よりも小さい)、従って粒子集団に着色するための目標の変更が必要ない場合がある。例えば、表1に関して以下で説明する例示的な数学的処理では、実際には粒子集団に着色するための目標の変更は、約200よりも多くのMFI目標を有する粒子集団カテゴリに関してのみ行うことが賢明であることが判明した。このことは、一般に表1に関して説明する一連の数学的処理により生成される第2の整数が、これらの元のMFI目標の値から最大約2%変化するという推定に起因する。特に、MFI目標の変化が最大2%であるということは、特に大抵の染色技術の精度を考えた場合、小さな目標数にとってはさほど重要ではない。しかしながら、大きなMFI目標にとっては2%の変化が重要となり得る。このことに基づき、図5のブロック70に概説する処理に、例えば、元のMFI目標が200などの所定の閾値よりも大きな粒子集団カテゴリ対してのみ粒子集団に着色するための目標として第2の整数の指定を行うための対策を含めることができる。表1に示す分類領域1は、特に全ての3つのチャネルCL1〜CL3のMFI目標が200未満であるので、このような対策を使用して第2の整数の指定を行わなくてもよい。
【0065】
図5を参照しながらさらに上述したように、いくつかの実施形態では、図5で概説した処理は、分類マトリックスの対数規模に第2の整数がいかに良く適合するかを判定する評価処理含むことができ、これがさらに、結果として得られた分類領域が特定の集団の測定値にいかに正確に対応できるかを反映する。このような評価処理に使用できる数学的処理の例を表2に示す。具体的には、表2の最初の3列は、表1の最後の3列の第2の整数を対数ベースの式で数学的に処理することから得られる値を含む。このような処理は、図5のブロック74に関する。一般に、対数ベースの式は、式中のMFI目標の値が第2の整数に置き換えられることを除き、MFI目標の処理に使用する式と類似することができる。例えば、表1の例に使用できる例示的な対数ベースの式は、C=255/log10(32,767)としたときに、C*log10(second integer+1)である。
【0066】
図5のブロック76に関して上述したように、評価処理で使用する対数ベースの式から得られる値と、これらの最も近い整数との間の差分を計算することができる。従って、表2の最初の3列における対数ベースの式から得られる値は、表3の次の3列の第3の整数値に、具体的には表2に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。表2の次の3列は、表2の第1の組の3列と第2の組の3列との間の差分の絶対値を示す。このような数学的処理は、図5のブロック74に関する。場合によっては、図5のブロック80で示したように、算出した差分を所定の閾値と比較して、アッセイ粒子集団カテゴリの各々に関して計算した第2の整数が分類マトリックスの対数規模にいかに良く適合するかを判定することができる。一般に、システム及びアッセイの用途によって所定の閾値は異なってもよい。例示的な所定の閾値は、例えば約0.25とすることができる。このような閾値を使用して、領域#1のCL1値を除く表2に示す第2の整数は、全て分類マトリックスの対数規模内で良く適合すると見なすことができる。
【0067】
領域#1のCL1値は、算出した0.47という差分を有する。これに基づき、図5のブロック82で示したように、領域#1のCL1値のMFI目標値の19.00という第2の整数値の指定を破棄することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、領域#1のCL1チャネルのMFI目標が200未満なので、指定を破棄することができない。特に、図5を参照しながら上述したように、評価処理に、特定の数字よりも小さな値に関してはブロック82及び88を破棄する処理が無視されるように対策を行うことができる。上述したように、粒子集団の染色目標に関する表1の第2の整数を指定することに関しては、200未満のMFI目標ではこのような染色指定が役に立たないことがある。このことは、一般に表1に関して説明する一連の数学的処理が、これらの元のMFI目標の値から最大約2%変化する第2の整数を生成するという推定に起因する。同じ理由により、表2に概説する例示的な評価処理のブロック82及び88を破棄する処理を無視するための対策を行うレベルは、200未満のMFI目標とすることができる。或いは、表1及び表2に示す例に、200を超えるMFI目標に関してのみ評価処理を実施するための対策を組み入れることができる。
【0068】
評価処理の代替のルートは、図5のブロック84に示すように、所定の閾値を上回る複数のアッセイ粒子集団カテゴリに関して計算した差分の割合を計算すること、及び図5のブロック86に示すように、計算した割合を事前に設定したレベルと比較することである。一般に、所定の閾値及び事前に設定するレベルは、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。計算した差分の例示的な所定の閾値は約0.25とすることができ、計算した割合の例示的な事前に設定したレベルは、例えば約10%とすることができる。このような所定の閾値及び事前に設定したレベルを使用して、表1に示す第2の整数を、領域1〜3の分類チャネルCL1〜CL3のMFI目標の置き換え値として破棄することができる。特に、領域#1のCL1値は0.47という計算した差分を有し、これが値の約11%を占め、その後第2の整数を全て置き換え値として破棄することができる。或いは、MFI目標の値が200未満であるという理由で領域#1のMFI目標の算出した差分を無視するという対策を実施することができ、従ってこのような場合、少なくとも領域#2及び#3のMFI目標の第2の整数の置換を保持することができる。
【0069】
上述したように、図5に関しては、本明細書で説明する評価処理に処理の代替の順序を使用することができる。具体的には、第2の整数及びこれらの最も近い整数の変換に関する計算した差分を所定の閾値と比較するのではなく、評価処理は、この差分を、MFI目標の変換から得られる値及びこれらの最も近い整数に関する差分と比較するステップを含むことができる。このような処理を表2の最後の3列に示す。具体的には、表2の最後の3列は、MFI目標を変換することから得られる値と、表1から得られるこれらの最も近い整数(すなわち、表1の第2及び第3の組の3列の値)との間の差分の絶対値を計算する。表2の計算した差分に関する異なる列の組を比較すると、前の組の3列の差分よりも小さな最後の3列の組のあらゆる差分により、対応するチャネル及び領域の第2の整数の指定がMFI目標の置き換え値として破棄されるようにすることができる。これに基づき、領域#1のCL1値を除く表2に示す第2の整数を、全てこれらのMFI目標の置き換え値として保持することができる。上述したように、このような評価処理に、200を超えるMFI目標に対してのみ評価処理を実施するための対策を行い、従ってこのような場合、CL1チャネル又は領域#1の差分が小さいという表記法は重要ではないことがある。
【0070】
上述したように、図6、図7、図11、及び図12は、アッセイの粒子を分類するための方法を示すフロー図である。図8〜図10は、図6、図7、図11、及び図12に概説する処理の説明に役立てるために使用する分類マトリックス及び目標空間のグラフ表示を示し、従って、図8〜図10についてこのような図とともに説明する。図6に示すように、粒子を分類するための方法は、複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得するブロック90を含むことができる。データは、アッセイ分析システムによって取得することができ、いくつかの実施形態では、以下に限定されるわけではないが、粒子を分類するために使用するものを含むいくつかの異なるパラメータの測定値を含むことができる。例えば、データは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性を含むことができる。
【0071】
処理は、図6のブロック92に示すように、取得した個々の粒子のデータの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップをさらに含むことができる。また、方法は、識別したユニット位置に対応するデータが分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動するブロック94を含むことができる。一般に、所定の座標経路は、分類マトリックスの軸ごとのユニット数により特徴付けることができる。さらに、識別したユニット位置に対応するデータの平行移動は、一般に識別したユニット位置に関して所定数のユニットだけデータ点を移動することを意味することができる。例えば、所定の座標経路が、(1,2,3)である場合、データ点は、分類マトリックスのx軸に沿って1ユニット、分類マトリックスのy軸に沿って2ユニット、及び分類マトリックスのz軸に沿って3ユニットだけ移動する。図8は、分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動する識別したユニット位置(すなわち、識別したユニット位置を星印で示し、座標経路を点線で示す)の例示的なグラフ表示である。図8は、分類マトリックスの起点近くに位置する目標空間(すなわち、平行線楕円領域として示す目標空間)をさらに示している。以下でより詳細に説明するように、目標空間を図6に概説する方法に使用し、データ点がユニット位置から目標空間まで平行移動する座標経路に基づいて粒子を特定の粒子集団に分類する。
【0072】
場合によっては、分類マトリックス内のユニット位置を識別する処理が、ユニット位置を含む分類マトリックスのセグメント又はノードを識別するステップをさらに含むことができる。一般に、分類マトリックスのセグメント又はノードとは、複数のユニット位置を含む分類マトリックスの範囲を意味することができるが、セグメント又はノードが必ずしもアッセイの粒子集団カテゴリに対応しないという点で「分類領域」という用語とは異なる。例示的な分類マトリックスを、例えば四分円などの等面積の部分に分割することができる。しかしながら、分類マトリックスの分割ではあらゆる数、サイズ、及び形状のノードを考慮することができる。いずれにせよ、識別した分類マトリックスのセグメントからデータを平行移動させるステップは、データを識別セグメントに関連する所定の座標経路に沿って移動させるステップを含むことができる。このような技術は、データ点を目標空間に適合させることを考慮された座標経路の数を減少させることができ(ブロック96及び100を参照しながら以下でより詳細に説明する処理)、従って処理時間を節約することができる。しかしながら、ユニット位置を含む分類マトリックスのセグメント又はノードを識別することは、図6を参照しながら説明する方法の任意の処理であり、従っていくつかの実施形態では省略することができる。
【0073】
いずれにせよ、データを平行移動した後、ブロック96において、平行移動したデータが事前設定した分類マトリックスの位置に存在する目標空間内に収まるかどうかに関して判定が行われる。この事前設定した位置は、分類マトリックス内のいずれの位置であってもよい。いくつかの実施形態では、事前設定した位置が、分類マトリックスを構成する軸の起点を含むことができ、特定の例では、この起点を目標空間の中心とすることができる。本明細書で使用する「目標空間」という用語は、一般に、互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を示す周辺部を有する境界範囲を意味することができる。本明細書で使用する場合「分類領域構成」という用語は、形状、サイズなどによって特徴付けられるような分類領域の設定設計を意味する。なお、分類領域構成は、必ずしも分類マトリックス内の単一の分類領域に特有のものではない。詳細には、分類マトリックスの2以上の分類領域が同じ分類領域構成を有することができる。換言すれば、分類マトリックスの異なる分類領域が均一の寸法を有することができる。従って、目標空間が単一の分類領域構成を表すか、それとも複数の分類領域構成を表すかの違いは、目標空間が単一の分類領域を表すか、それとも複数の分類領域を表すかと同等ではない。
【0074】
また、目標空間は、境界範囲が単一の分類領域構成のみを表す場合でも、分類マトリックス内の目標空間の座標位置が必ずしも粒子集団の測定値に対応するわけではないという点で分類領域とは異なる。具体的には、図8に関して以下でより詳細に説明するように、目標空間を使用して座標経路に基づいて粒子を特定の分類領域に分類し、データ点をそのユニット位置に配置された分類領域内に単に適合させるのではなく、データ点をそのユニット位置から目標空間へ平行移動する。
【0075】
一般に、目標空間は、互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を表すいずれの構成(すなわち、サイズ、形状等)のものであってもよい。いくつかの実施形態では、目標空間が単一の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間が単一の分類領域構成の周辺部を含むことができる。或いは、目標空間が、互いに積み重なった複数の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間が、同じ点を中心とする複数の領域構成の周辺部を含むことができる。粒子を分類するための目標空間にデータを平行移動させるという一般的概念を示す図8に関して行う説明に加え、図6で説明する方法を行う際に、このような複数の分類領域構成にデータ点を平行移動させることができるかどうか、及び複数の分類領域構成のいずれに平行移動させることができるかを判定するための例示的な処理について図11及び図12に関して以下で概説し、より詳細に説明する。
【0076】
図6のブロック98に示すように、ブロック94に基づいて平行移動されたデータが、ブロック96で参照する目標空間に所定の座標経路を使用して収まる場合、粒子は、所定の座標経路に関連する粒子集団に分類される。このような関連性は、記憶媒体及び/又は処理を実行するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルから取り出すことができる。図8は、識別した位置から平行移動して目標空間に収まるデータの例示的なグラフ表示である。逆に、ブロック94に基づいて平行移動されたデータが、ブロック96で参照する目標空間に所定の座標経路を使用して収まらない場合、処理はブロック96からブロック100へ進み、ここでデータが事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動したかどうかに関して判定を行う。事前設定する座標経路の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図6に示すように、データが、事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動していない場合、処理はブロック94へ戻って、データを異なる及び新しい座標経路に沿って平行移動させる。2つの決定的行為の一方が行われるまで、このような処理を繰り返すことができる。具体的には、平行移動したデータが目標空間内に収まり、従ってブロック98へ進むまで、或いは事前設定した座標経路の数が、平行移動したデータが目標空間内に収まると判定することなく使い尽くされるまで処理を繰り返すことができる。後者の行為は、図6のブロック100からブロック102へ延びる「yes」の接続矢印に従って示している。
【0077】
図6に示すように、ブロック102において、他のいずれかの目標空間(すなわち異なる構成の目標空間)を評価に利用できるかどうかに関して判定を行う。追加の目標空間を評価に利用できる場合、方法はブロック103へ進み、分類マトリックス内の事前設定した位置に異なる目標空間を設定する。その後、方法はブロック94へ戻り、分類マトリックスの識別したユニット位置に対応するデータを所定の座標経路に沿って平行移動させ、さらにブロック96へ進み、平行移動したデータが異なる目標空間に適合するかどうかを判定する。ブロック94〜102を参照しながら説明した一連の処理を、粒子が粒子集団に分類されるまで、或いは評価に利用できる他の目標空間が無くなるまで繰り返すことができる。ブロック102において、評価に利用できる他の目標空間が無いと判定すると、方法は、ブロック104に示すように粒子をリジェクトクラスに分類するステップを含むことができる。
【0078】
一般に、図6に概説する分類技術には、アッセイ内に含まれる粒子集団の1つからのその数までの間のあらゆる数の目標空間を使用することができる。いくつかの実施形態では、評価に利用できる異なる構成の目標空間を有して、不均一な寸法の分類領域を考慮できるようにすることが有利となり得る。特に、評価に利用できる目標空間が多いほど分類領域構成の変化を大きくすることができ、これがさらにアッセイ内の異なる粒子集団をより良く表して、収集効率をより高くすることができる。評価に利用できる目標空間が多いことの不利点には、個々の目標空間の構成を記憶するために必要なメモリの量がある。従って、いくつかの実施形態では、図6に概説する分類技術の評価に利用できる目標空間の数を制限することが有利となり得る。以下でより詳細に説明するように、図11及び図12に概説する技術は、複数の分類領域構成を表す目標空間を使用する際にメモリ記憶要件を低減させる役に立ち、従って場合によってはこのような技術を使用することがきわめて有利となり得る。図11及び図12を参照しながら説明する技術は図7に概説する方法に使用することもでき、従って図7の説明後に説明する。
【0079】
図7は、粒子を分類するための代替の処理のフロー図である。処理は、ブロック90、92、98、102、103、及び104を参照しながら説明した処理ステップを含むという点で、図6に示す処理と類似している。図6に関して上述したこのような処理ステップの仕様を図7に示す対応する処理ステップに適用することができ、簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。図7の粒子を分類するための処理は、ブロック106、108、及び109を含むこと(すなわち、図6のブロック94、96、及び98の置き換え)により図6に概説した方法とは異なる。特に、ブロック92で識別したユニット位置に対応するデータを平行移動させて、既知の位置にある目標空間に収めようとする代わりに、図7のブロック106、108、及び109は、目標空間を平行移動して、取得した粒子のデータに対応する識別したユニット位置を含もうとすることに向けられる。
【0080】
より具体的には、ブロック106は、分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間を所定の座標経路に沿って平行移動させるステップを含み、ブロック108は、平行移動した目標空間が、取得した粒子のデータに対応する分類マトリックスの識別したユニット位置を含むかどうかを判断する。図6を参照しながら説明したように、所定の座標経路は類似の態様で特徴付けることができ、従って簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。なお、ブロック92が、識別したユニット位置を含む分類マトリックスのセグメントを識別するステップを含む実施形態では、ブロック106が、識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って目標空間を平行移動させるステップを含むことができる。しかしながら、分類マトリックスの対応するセグメントを識別するステップ、及び識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って目標空間を平行移動させるステップは任意である。目標空間の平行移動を例示するために、図9は、識別したユニット位置まで所定の座標経路に沿って平行移動する分類マトリックス内の目標空間の例示的なグラフ表示である(すなわち、目標空間を平行線楕円領域として示し、座標経路を点線で示し、識別したユニット位置を星印で示す)。
【0081】
図7に示すように、平行移動した目標空間が、ブロック108において識別したユニット位置を含むと判定されると、方法はブロック98へ進み、粒子を所定の座標経路に関連する粒子集団に分類する。逆に、平行移動した目標空間が、ブロック108において識別したユニット位置を含まないと判定された場合、処理はブロック109へ進み、ここで目標空間が事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動したかどうかが判定される。事前設定する座標経路の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。ブロック109後の一連の処理ステップは、図6に概説するブロック100後の一連の処理ステップに類似しており、従って簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。
【0082】
図7のブロック106に示すように、目標空間は、分類マトリックス内の既知の位置に存在する。この既知の位置は、分類マトリックス内のいずれの位置であってもよい。いくつかの実施形態では、目標空間が、分類マトリックスを構成する軸の起点を含むことができ、特定の例では、この起点を目標空間の中心とすることができる。一般に、目標空間はいずれの構成(すなわち、サイズ、形状等)のものであってもよい。図6を参照しながら説明する方法のように、目標空間は、互いに積み重なった単一の分類領域構成又は複数の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間は、同じ点を中心とする単一の分類領域構成の周辺部又は複数の分類領域構成の周辺部を含むことができる。このような複数の分類領域に目標空間を平行移動できるかどうか、及びこのような複数の分類領域のいずれに目標空間を平行移動できるかを判断するための例示的な処理を概説し、図11及び図12に関して以下でより詳細に説明する。
【0083】
なお、図6を参照しながら説明した方法と図7を参照しながら説明した方法との違いにより異なる利点が提供され、従ってどちらの方法を使用するかの判断は用途に依存することができる。例えば、図6を参照しながら説明した方法は、目標形状全体を平行移動させることと対比して、識別したユニット位置に関連するデータを平行移動させるために使用する計算が比較的少ないという利点を提供する。これは、平行移動には、平行移動しているアイテムのユニット位置ごとに加算又は減算操作が必要となるからである。通常、目標空間は数十、数百、さらには数千のユニット位置から構成され、従って図6を参照しながら説明したように、目標空間の平行移動は、単一のユニット位置に関連するデータを平行移動させるさらに多くの計算を必要とする。従って、図6に示す方法は計算が少なくて済み、従っていくつかの実施形態では、図7に示す方法よりも大幅に速い処理時間を提供することができる。しかしながら、場合によっては、図7に示す方法は、単一のユニット位置に対応する平行移動データよりも少ない回数だけ目標空間を平行移動させるステップを含むことができるので、図6に示す方法よりも図7に示す方法の方が速い処理時間を提供することができる。具体的には、一般に目標空間は数十、数百、さらには数千のユニット位置に及ぶので、目標空間が特定のユニット位置を含むかどうかを判定するための、分類マトリックスをカバーするためにとることができる座標経路の数は、分類マトリックスにわたって単一のユニット位置に関連するデータを平行移動しようとするよりも、その反復が少なくて済む。
【0084】
上述したように、図11及び図12は、複数の分類領域構成を表す目標空間を図6及び図7を参照しながら説明した方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成情報を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成情報のいずれを平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。具体的には、図11及び図12は、平行移動した情報が目標空間に収まり、或いは分類マトリックスの識別したユニット位置を含むかどうかを判定するための例示的な方法のフロー図である(すなわち、それぞれ図6及び図7のブロック96及び108に関する)。そうである場合、図11及び図12に概説する方法は、目標空間に関連する複数の分類領域構成のいずれが平行移動に使用する所定の座標経路に対応するかをさらに判定する。図10は、4つの異なる分類形状を表す例示的な目標空間を示す。図10については、図11及び図12を参照しながら説明する処理とともに説明する。図10に示す異なる構成形状のことを、それぞれ形状1〜4と呼ぶ。形状1は、比較的小さな円形設計であるが、形状2は、形状1を含む比較的大きな円環である。形状3及び4は、各々形状2の環状体から延びる付属物を含む。一般に、本明細書で使用する「分類形状」という用語は、分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域構成の少なくとも一部を表す構成を有する目標空間の異なる範囲のことを意味する。
【0085】
図11に示すように、図で概説する処理は、平行移動処理中に目標空間を含む複数の分類形状の1つを表すコードを検出するブロック110を含むことができる。より具体的には、識別したユニット位置に対応するデータが所定の座標経路に沿って平行移動し、結果として目標空間に収まった場合、目標空間の多様な分類形状の1つを表すコードを検出することができる。或いは、所定の座標経路に沿って平行移動し、識別したユニット位置を結果として含む場合、目標空間の多様な分類形状の1つを表すコードを検出することができる。例えば、図10に示す例示的な目標空間をいずれかの事例に使用する際にコード1〜4のいずれか1つを検出することができる。ブロック112に示すように、方法は、データ又は目標空間がコードを検出するように平行移動した所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するステップをさらに含む。一般に、このような識別処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。分類集団を識別するための例示的なルックアップテーブルを以下の表3に示すが、このような表は例示的なものにすぎず、識別処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、座標経路は、3次元にも、500に限定された粒子集団の数にも限定されない。
【0086】
【表3】
【0087】
分類マトリックスの情報を平行移動させるために使用する座標経路に関連する粒子集団をブロック112において識別した後、方法はブロック114へ進み、ブロック110に概説する処理で検出したコードを、識別した粒子集団に関連する有効な形状コードのリストと比較する。その後、ブロック116に示すように、方法は、検出したコードが有効であるかどうかを判定するステップを含む。ブロック112と同様に、一般にこのような比較処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。具体的には、いくつかの実施形態において、検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する処理(すなわち、図11のブロック114)が、アッセイ内に含まれる粒子集団ごとに有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するステップを含む。このような技術を使用して、検出したコードを検証するための例示的なルックアップテーブルを以下の表4に示すが、このような表は例示的なものにすぎず、検証処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、粒子集団の数及び粒子集団に関連する有効な分類形状の数は、表に示す数に限定されない。
【0088】
【表4】
【0089】
表3及び表4、並びに図10に示す目標空間を図11のブロック110〜116に概説する処理に関して使用し、複数の分類領域構成を表す目標空間の形状を利用して分類処理を検証する処理を説明するためのいくつかの異なるシナリオを描くことができる。例えば、図10に示す目標空間に関して、110に概説する処理で「2」のコードが検出され、平行移動処理で使用する座標経路が(1,1,0)である実施形態では、表3によれば、座標経路に関連する粒子集団は2であり、表4によれば、検出されたコードはこのような粒子集団に対して有効である。反対に、図10で示す目標空間に関して、110に概説する処理で「1」のコードが検出され、平行移動処理で使用する座標経路が(1,1,0)である実施形態では、表3によれば、座標経路に関連する粒子集団は2であり、表4によれば、検出されたコードはこのような粒子集団に対して無効である。
【0090】
ブロック110に概説する処理で検出したコードを有効な形状コードのリストと比較するための代替の処理(すなわち、図11のブロック114)は、図12に示すフロー図に概説する処理ステップを含むことができる。具体的には、検出したコードを図11のブロック114の有効な形状コードのリストと比較する処理は、図12のブロック120に示すように、最初に第1のレジスタ内の識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するステップを含むことができる。また、図12のブロック122に示すように、処理は、第2の異なるレジスタ内の参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するステップを含むことができる。上記の説明と同様に、一般にこのような参照及び識別処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。構成コードの指標を参照するための、及び対応する有効な分類コードのリストを識別するための例示的なルックアップテーブルを以下の表5及び表6にそれぞれ示すが、このような表は例示的なものであり、処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、粒子集団の数、形状コード指標の数、及び有効な形状コードの数は、表に示す数に限定されない。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
図12のブロック120及び122に概説する処理に関して表5及び表6を使用して、図11のブロック110に概説する処理で検出したコードが有効であるかどうかを判断するためのいくつかの異なるシナリオを描くことができる。例えば、図11の110に概説する処理で「2」のコードが検出され、図11の112に概説する処理で識別された粒子集団が2である実施形態では、表5によれば、粒子集団「2」に対して「B」の構成指標が参照され、表6によれば、検出されたコードはこのような構成指標に対して有効である。反対に、図11の110に概説する処理で「4」のコードが検出され、図11の112に概説する処理で識別された粒子集団が2である実施形態では、表5によれば、粒子集団「2」に対して「B」の構成指標が参照され、表6によれば、検出されたコードはこのような構成指標に対して無効である。
【0094】
図12に概説する処理ステップが提供する利点は、特に目標空間内に多くの分類領域構成(例えば、5つよりも多くの分類領域構成)が含まれる場合にメモリのニーズが大幅に削減される可能性である。より具体的には、複数の有効な形状コードの1又はそれ以上を粒子集団ごとに記憶する必要がある場合、システムのメモリ使用量は大幅に増加する。しかしながら、図12で参照した処理ステップ及び添付のデータベースでは、粒子集団ごとに記憶するコードが少なくて済み、従ってこのような機能を実施するためには、メモリがそれほど必要とされない。
【0095】
図11のブロック114に利用する処理に関わらず、方法はブロック116へ進み、検出したコードが識別した粒子集団に対して有効であるかどうかを判定する。検出したコードが識別した粒子集団に対して有効であると判定されると、方法はブロック119へ進み、図6及び図7に対していずれの方法を使用するかに応じて、平行移動したデータが目標空間に収まること、或いは平行移動した目標空間が識別したユニット位置を含むことを宣言する。反対に、検出したコードが識別した粒子集団に対して無効であると判定されると、方法はブロック118へ進み、ここで図6及び図7に対していずれの方法を使用するかに応じて、平行移動したデータが目標空間内に収まらないこと、或いは平行移動した目標空間が識別したユニット位置を含まないことを宣言する。
【0096】
本明細書で使用する用語のいくつかを線引きする助けとするために、以下の定義を定める。
粒子集団−類似の特性を有する粒子の組
粒子集団カテゴリ−粒子集団の1又はそれ以上のパラメータの考えられる測定値のグループ分け
分類マトリックス−分類に使用する粒子の測定したパラメータに対応する(実際の又は仮想的な)多くの値
分類領域−粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲
分類領域構成−形状、サイズなどによって特徴付けられるような分類領域の設定設計
目標空間−互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を示す周辺部を有する境界範囲
ユニット位置−分類マトリックス内の特定の座標点
分類形状−分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域構成の少なくとも一部を表す構成を有する異なる目標空間の範囲
【0097】
本開示の恩恵を受ける当業者には、本発明が、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステム、並びにアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムを提供すると考えられることを理解できよう。当業者には、本説明に照らして本発明の様々な態様のさらなる修正及び代替の実施形態が明らかであろう。従って、本説明は一例にすぎないと解釈すべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的とするものである。本明細書で図示し説明した本発明の形態は、現在のところ好ましい実施形態と受け取るべきであることを理解されたい。要素及び材料は、本明細書で図示し説明したものと置き換えることができ、部品及び処理は反転させることができ、本発明のいくつかの特徴は個別に利用することができ、全ては本発明の説明の恩恵を受けた後に当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書で説明した要素は、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の思想及び範囲から逸脱することなく変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
20 システム; 22 記憶媒体; 24 プログラム命令;
26 プロセッサ; 28 入力; 29 出力。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステムに関し、さらにアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、本節に含まれることにより先行技術であると認められるものではない。
【0003】
化学的及び生物学的アッセイの分析には、分光技術が広く使用されている。ほとんどの場合、これらの技術は、関心材料による電磁放射線の吸収又は放出を測定する。1つのこのような用途が、化学的アッセイ業界と生物学的アッセイ業界の組み合わせを含む数多くの専門分野により利用される技術であるマイクロアレイの分野に存在する。テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションは、様々な色の蛍光粒子の表面からの蛍光発光を検出することにより生物学的アッセイを分析するシステムを開発した。このシステムはまた、粒子により散乱する光のレベル、粒子の電気インピーダンス、及びその他のパラメータを測定することによってアッセイを分析することもできる。
【0004】
場合によっては、アッセイ分析システムにおいて多重化方式を使用することで、単一の試料のための単一の分析処理において複数の検体を評価できるようにする。多重化方式を容易にするために、粒子を区別可能なグループに分けて構成し、異なるグループを使用して、アッセイ中における異なる検体の有無及び/又は量を示すようにする。例えば、異なる蛍光染料及び/又は異なる濃度の染料を粒子内に吸収させ、及び/又は粒子の表面に結合させることができ、及び/又はサイズによって粒子を変えることができる。これらのカテゴリの粒子を使用する従来のシステムは、2次元分類マトリックスを使用するアッセイ内で何十から100を超える異なる検体を試験することができる。粒子カテゴリの数(ひいては検出しようとする検体数)は、染料の数を増やすこと及び/又は異なる染料強度によって増やすことができるが、一般に粒子カテゴリの量が増加すると、分類マトリックスのサイズを増やすことが必要となる。後述するように、分類領域を定めるための分類マトリックスのサイズ及び分類マトリックス内の利用可能な空間には限界があり、従って分類領域を効率的に分布させることが必要であるとともに、これは分類領域の数が増加するにつれてより難しくなる。
【0005】
蛍光発光を利用して粒子を分類するアッセイ分析システムでは、一般にアバランシェ光ダイオードが検出できる染料の最小量により、さらには粒子が保持できる染料の最大量により蛍光値の範囲が制限される。このことを考慮して、特にアッセイに100よりも多くの粒子カテゴリが存在する場合、このようなシステムに関連する分類マトリックスを3以上のパラメータで構成して利用可能な分類空間を増やすようにすることもある。しかしながら、3以上のパラメータで構成された分類マトリックスは、特に利用可能な空間の制限を受けやすくなる。より具体的には、蛍光発光の検出チャネルは一般に垂直でなく、従ってチャネル間にクロストークが存在することがある(すなわち染料を1つ増加及び/又は追加すると、その他のチャネルの1又はそれ以上がある程度影響を受ける可能性がある)。この結果、分類領域に適していない恐れのある分類マトリックスの範囲(すなわちクロストークにより影響を受けた範囲)が存在するようになる可能性がある。このような利用可能な空間の制限は、このようなマトリックスを2次元分類マトリックスに対して容易にするために染料を増加及び/又は追加したことに起因して、3以上のパラメータで構成された分類マトリックスに特に密接に関連し得る。
【0006】
分類マトリックスを構成するパラメータ数に関わらず、分類マトリックス内に分類領域を収めて明確なカテゴリ分けを確実にする1つの方法は、小さくて広く離れた分類領域を構成することである。しかしながら、このような方法では、小さくて広く離れた分類領域内に収まる粒子の割合が比較的低くなるので、分類効率が悪くなることが多い。分類効率が高いほど分析結果も正確になり、従って一般的には、粒子の一部に関して見込まれる測定値の大部分、より具体的には粒子の一部に関して見込まれる測定値の約90%よりも多くを網羅するように分類領域を構成することが有利である。しかしながら、特にアッセイに100よりも多くの粒子カテゴリが存在する場合には、粒子カテゴリの数が増加するにつれて異なる分類領域の構成(すなわち、サイズ、形状及び角度)がより大きく変化する傾向にあり、実施形態によってはこれらが重なることもあるので、一般にこのような高い分類効率を達成することは困難である。重なった分類領域は、粒子を誤って2以上の分類領域に分類する可能性があるため特に望ましくなく、従って通常は回避される。この結果、一般に分類領域は、分類マトリックスを構成するユニットの規模に応じて次に小さなサイズまで縮小され、これが領域のサイズを大きく制限し、高い分類効率を達成するための能力が損なわれる。
【0007】
アッセイ分析システムのさらなる課題は、分類領域の構成パラメータを記憶するために必要な大量のメモリ容量である。特に、分類マトリックスを構成する特定レベルの規模の粒度を考えると、一般に追加の分類領域を記憶するために追加のメモリ容量が必要となる。さらに、分類領域を定めるために使用するパラメータが多くなるほど、より多くのメモリ容量が必要になる。場合によっては、システムメモリ容量の限界により、アッセイの考えられる分類領域の数が抑制され、従って望ましくないことではあるが、多重化方式の幅が制限される可能性がある。いくつかの実施形態では、特にシステムメモリ容量を減少させるために、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模によって分類マトリックスが構成される。例えば、いくつかの実施形態では、測定した粒子パラメータの対数値から算出した整数の規模によって分類マトリックスを構成することができる。しかしながら、このような場合、測定した粒子の値を分類マトリックスの対数規模に適合するように換算することにより値に歪みが生じ、粒子分類の精度が低下する可能性がある。さらに、このような分類マトリックスを使用するシステムには、アッセイの考えられる分類領域の数を抑制するメモリ容量の限界が依然として存在する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、分類マトリックス内に効率的に分布して分類効率を十分に高くする分類領域を構成するための方法及びシステムを開発することが望ましいと思われる。さらに、測定した粒子の値により正確に対応する値を特徴とすることができる分類領域を作り出す方法を開発することが有益と思われる。さらに、システムのメモリ使用量を大幅に増やすことなく粒子を複数の分類領域に分類するための方法及びシステムを開発することが有利と思われる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下のアッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステムの様々な実施形態、及びアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムの様々な実施形態についての説明が添付の特許請求の範囲の主題を限定するとは決して解釈すべきではない。
【0010】
方法、記憶媒体及びシステムの実施形態は、アッセイ分析のために構成される粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別するための構成を含む。また、方法、記憶媒体及びシステムは、複数の分類領域のうちの2又はそれ以上に非分類領域として共通して割り当てられた再割り当てユニット位置のための構成を含む。
【0011】
方法、記憶媒体及びシステムの他の実施形態は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換し、第2の値を第1の整数に換算するための構成を含む。方法、記憶媒体及びシステムは、第1の整数を第3の値に数学的に変換し、第3の値を第2の整数に換算し、第2の整数をアッセイ粒子集団カテゴリの内の点の置き換え値として指定するための構成をさらに含む。
【0012】
方法、記憶媒体及びシステムの他の実施形態は、粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、個々の粒子のデータの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するための構成を含む。方法、記憶媒体及びシステムは、識別したユニット位置に対応するデータ、又は分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間のいずれかを、粒子を粒子集団又はリジェクトクラスに分類できるという結論が得られるまで事前に設定した所定の座標経路数だけ平行移動させるための構成をさらに含む。場合によっては、方法、記憶媒体及びシステムは、複数の目標空間を通じたこのようなステップを粒子が分類されるまで繰り返すように構成される。
【0013】
以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照すると、本発明のその他の目的及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図2a〜図12を参照しながら説明する処理を実施するように構成された、プログラム命令を有する記憶媒体を含むシステムの概略図である。
【図2a−b】図4に概説する処理の説明に使用する例示的な分類マトリックス及び分類領域のグラフ表示である。
【図3】図5に概説する処理から得られる例示的な分類マトリックス及び例示的な分類領域の偏移を示す図である。
【図4】アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図5】アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図6】アッセイの粒子を分類するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図7】アッセイの粒子を分類するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図8】図6及び図7に概説する処理の説明に使用する分類マトリックスのグラフ表示である。
【図9】図6及び図7に概説する処理の説明に使用する分類マトリックスのグラフ表示である。
【図10】図11及び図12を参照しながら説明する処理の説明に使用する、互いに重なった複数の分類領域構成を表す例示的な目標空間を示す図である。
【図11】複数の分類領域構成を表す目標空間を、図6及び図7を参照しながら説明する方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成にデータ点又は目標空間を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成のうちのいずれにデータ点又は目標空間を平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。
【図12】複数の分類領域構成を表す目標空間を、図6及び図7を参照しながら説明する方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成にデータ点又は目標空間を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成のうちのいずれにデータ点又は目標空間を平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な修正及び代替の形態が可能であるが、図面には本発明の特定の実施形態を一例として示し、本明細書ではこれらについて詳細に説明する。しかしながら、図面及びこれらの詳細な説明は、開示する特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の思想及び範囲内にある全ての修正、同等物及び代替手段を含むことを意図するものであると理解されたい。
【0016】
図面を参照すると、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための例示的な方法、記憶媒体及びシステムを示している。また、アッセイの粒子を分類するための例示的な方法、記憶媒体及びシステムも示す。具体的には、図4及び図5は、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するためのフロー図である。一方、図6、図7、図11、及び図12は、アッセイの粒子を分類するためのフロー図である。図1には、図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図に概説する処理を実施するように構成された、プログラム命令を含む記憶媒体を有する例示的なシステムを示す。図2a〜図3及び図8〜図10は、フロー図に概説する処理を説明するための分類マトリックス及び/又は目標空間のグラフ表示である。
【0017】
なお、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、物理的な意味において、グラフで示す分類マトリックス及び分類領域に必ずしも依存するとは限らない。むしろ、本明細書で説明する分類マトリックス及び分類領域は、ある意味仮想的に存在することができる。図2a〜図3及び図8〜図10は、主に本明細書で説明する方法、プログラム命令及びシステムの複雑さを説明するのに役立てるために使用するものである。なお、場合によっては、本明細書で説明するシステム、記憶媒体及び方法を、分類領域を構成すること及び/又は粒子を分類することに関連する以外の処理を実施するように構成することもでき、従って本明細書で説明するシステム、記憶媒体及び方法は必ずしも図1〜図12の説明に限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、システム20は、記憶媒体22及びプロセッサ26を含む。システム20は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク家電、インターネット家電、携帯情報端末(PDA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他の装置を含む様々な形をとることができる。いずれの場合にせよ、記憶媒体22は、プロセッサ26を使用して実行可能な、出力信号29を生成して送信するための、特に図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら以下で概説する処理を実施するプログラム命令24を含む。場合によっては、システム20を、入力信号28を受信して、プロセッサ26を通じてプログラム命令24を作動させ、及び/又はプログラム命令24が処理するためのデータを提供するように構成することができる。これに加えて、或いはこれとは別に、記憶媒体22は、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら以下で概説する処理を実施するためにプログラム命令がアクセスできるデータベース及び/又はルックアップテーブルを含むことができる。記憶媒体22に含めることができる例示的なデータベース及び/又はルックアップテーブルについては、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0019】
一般に、本明細書で使用する「記憶媒体」という用語は、以下に限定されるわけではないが、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光ディスク、或いは磁気テープなどの1又はそれ以上のプログラム命令セットを保持するように構成されたあらゆる電子媒体を意味することができる。一般に、「プログラム命令」という用語は、以下でより詳細に説明するようなアッセイ分析システムの分類マトリックス内の分類領域の構成、又はアッセイの粒子を分類することなどの特定の機能を実施するように構成されたプログラム内のコマンドを意味することができる。プログラム命令は、中でもプロシージャベースの技術、構成要素ベースの技術、及び/又はオブジェクト指向型技術を含む様々な方法のいずれかにおいて実行することができる。例えば、プログラム命令は、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、或いはその他の技術又は方法論を使用して望む通りに実行することができる。
【0020】
本明細書で説明する処理の1又はそれ以上を実施するように構成できるシステム(すなわち、システム20を含み又はこれに接続できるシステム)として、以下に限定されるわけではないが、テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションから市販されている、Luminex(登録商標)100(商標)、Luminex(登録商標)HTS、Luminex(登録商標)100E、Luminex(登録商標)200(商標)、及びこの製品群へのあらゆる追加物が挙げられる。しかしながら、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、あらゆるアッセイ測定システムにより取得した粒子データを使用することができ、或いは使用するように構成することができる。測定システムの例としては、フローサイトメータ及び静的蛍光イメージングシステムが挙げられる。また、本明細書では、粒子分類に使用できる様々なパラメータについて説明しているが、本明細書で説明する実施形態は、異なる粒子集団を区別するために使用できるあらゆる測定可能な粒子パラメータを使用することができ、従って必ずしも粒子の蛍光特性に限定すべきではない。さらに、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを、1又はそれ以上の関心検体の有無を判定することが望まれるあらゆる種類のアッセイ、具体的にはあらゆる生物学的、化学的、又は環境的アッセイを分析するためのシステムに適用することができる。
【0021】
上述したように、一般にプログラム命令24は、図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図に概説する処理を実施するように構成することができる。従って、一般に図4〜図7、図11、及び図12に示すフロー図は、ソフトウェアモジュールを使用して実施する方法について説明するものである。より具体的には、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら説明する方法は、1又はそれ以上のアルゴリズムを使用して比較的大量のデータを分析及び計算するステップを含み、従ってコンピュータを通じて最良に実施することができる。従って、図4〜図7、図11、及び図12を参照しながら説明する方法を「コンピュータ実施方法」と呼ぶことができる。
【0022】
本明細書で使用する「分類」という用語は、一般にアッセイの粒子をメンバ粒子が類似の特性を有する集団グループにカテゴリ分けするものとして見なされる。本明細書では、この集団グループを「粒子集団」と呼ぶ。場合によっては、本明細書では、アッセイ分析のために構成された粒子集団を具体的に参照するために「アッセイ粒子集団」という用語を使用することがある。多くの場合、試料を1回のアッセイの実験において複数の異なる粒子集団で(すなわち多重化方式で)分析するので、分類は特に重要である。具体的には、通常、異なる粒子集団は、粒子に結合した物質の種類及び/又は粒子に結合した(単複の)物質の量などの少なくとも1つの異なる特性を有することにより、アッセイ分析システムを1回通すだけで試料内に異なる種類及び/又は量の検体が存在することを検出及び/又は定量できるようになる。測定結果を解明するために、アッセイの個々の粒子の識別又は分類を求めて、測定値を個々の粒子の特性と相関付けることができるようにする。このようにして、異なる粒子集団に関連する測定値を区別して、関心検体にそれぞれ帰属させる。アッセイの粒子を分類するために、測定値を分類マトリックスと相関付けることができ、これを本明細書では、以下でより詳細に説明するように分類に使用する粒子の測定パラメータに対応する(実際の又は仮想的な)一連の値と見なす。粒子をカテゴリ分けするために、分類マトリックス内に複数の分類領域を定めることができ、従って本明細書で使用する「分類領域」という用語は、粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲を意味する。
【0023】
本明細書では、「粒子」という用語を、一般に微粒子、微小球、ポリスチレンビーズ、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビーズ、マイクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子、着色ビーズ、組織、細胞、微生物、有機物、非有機物、又はその他のあらゆる離散物質又は当業で公知の物質を示すために使用する。本明細書では、このような用語のいずれかを同義的に使用することがある。本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを使用して、あらゆる種類の粒子を分類することができる。場合によっては、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムを、特に分子反応の媒介物としての機能を果たす粒子に使用することができる。フローサイトメトリに使用する例示的な分子反応粒子として、テキサス州オースティンのルミネックス・コーポレーションから市販されているxMAP(登録商標)微小球が挙げられる。
【0024】
アッセイ分析システムのための粒子分類領域を構成する例示的な方法のフロー図を図4に示す。図2a及び図2bは、図4に概説する処理から得られる分類マトリックス及び分類領域のグラフ表示を示しており、従って図4とともに説明する。図4のブロック30に示すように、図4に概説する方法は、アッセイ分析のために構成された粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別するステップを含む。測定可能パラメータは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性を含むことができる。また、粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連し分類マトリックスを構成する値は、粒子の測定規模に等しい規模のものであってもよく、或いはこのような測定規模の値から変換された値の規模のものであってもよい。分類マトリックスが、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模により構成されている場合、特に後者の実施形態を適用することができる。図2a及び図2bには、図示の分類マトリックスを構成する3つのパラメータを示しているが、図4を参照しながら説明する処理及び本明細書で説明するその他の全ての方法は、いずれの数のパラメータにより構成される分類マトリックスにも適用することができる。以下でより詳細に説明するように、図4を参照しながら説明する処理は、特に重なった分類領域を有するあらゆる分類マトリックスに適用することができる。
【0025】
図2a及び図2bに示す分類マトリックスは12個の分類領域を含む。なお、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、以下に限定されるわけではないが、100よりも多くの、場合によっては数百よりも多くの、及び場合によってはそれ以上の分類領域を含むあらゆる数の分離領域を有する分類マトリックスに適用することができる。図2a及び図2bに示す分類領域の数は、図4を参照しながら説明する方法の図を簡略化するために、及び処理ステップを強調するために使用するものにすぎない。なお、図4を参照しながら説明する方法及び本明細書で説明する他の全ての方法は、図2a及び図2bに示すように分類領域をマトリックス内に不均一に配置した例に限定されるものではない。具体的には、図4を参照しながら説明する方法及び本明細書で説明する他の全ての方法は、均一に分布する分類領域を有する分類マトリックスに適用することができる。
【0026】
図2aに示すように、分類領域1〜12のいくつかは重なっている(すなわち、領域1と2、領域4と5、領域3と6と7、及び領域10と11)。より具体的には、図2aでは、分類領域1〜12の一部が、二重平行線模様のマークで示すように重なっている。なお、分離領域によっては、図2aに分類領域8、9、及び12で示すように重ならないものもあるが、他の実施形態では、全ての分類領域がマトリックス内の少なくとも1つの他の分類領域と重なることもある。図4のブロック32に示すように、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、2又はそれ以上の分類領域に共通して割り当てられた分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップを含む。換言すれば、この方法は、分類マトリックス内の2又はそれ以上の分類領域が重なるユニット位置を識別するステップを含むことができる。別の言い方をすれば、この方法は、分類マトリックス内の2以上の分類領域にまたがるユニット位置を識別するステップを含むことができる。本明細書で使用する「ユニット位置」という用語は、分類マトリックス内の固有の座標点を意味することができる。従って、分類領域は、別の分類領域に共通して割り当てられた1又はそれ以上のユニット位置を有することができると考えることができる。
【0027】
場合によっては、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、図4のブロック34に示すように、共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化するステップを含むことができる。本明細書では、このような処理を「衝突計数処理」と呼ぶことができる。共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化した後、ブロック36において、計算した量が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定することができる。計算した量が所定の閾値よりも大きい場合、処理はブロック38へ進み、複数の分類領域の1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整する。次元属性は、サイズ、形状、角度、又は分類領域を特徴付ける他のあらゆるパラメータに対応することができる。図2aに示すように、いくつかの実施形態では、分類領域1〜12を楕円形とすることができる。このような場合、図4のブロック38は、複数の分類領域の1又はそれ以上の主軸、短軸、仰角、及び方位角のうちの少なくとも1つの値を調整するステップを含むことができる。しかしながら、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、必ずしも図示の分類領域の形状に限定されるわけではなく、従ってこれらは、楕円形の分類領域を有する分類マトリックスに適用されることに限定されるものではない。いずれにせよ、一般にブロック38に概説する処理により影響される属性及び分類領域の数、並びに(単複の)調整の大きさは予め決めることができ、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。
【0028】
ブロック38に基づいて分類領域1〜12のうちの1又はそれ以上の次元属性を調整した後、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出されるまでブロック32、34、36、及び38に概説する処理を繰り返すことができる。これが算出されると、図4のブロック40に示すように、ユニット位置が非分類領域として再割り当てされる。或いは、この方法は、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出された場合、最初にブロック36を通過した後にブロック40へ進むことができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。いくつかの実施形態では、ブロック32、34、36、及び38に概説する処理を繰り返す反復数を制限することができる(すなわち、最大反復数を事前に設定することができる)。このような場合、所定の閾値以下の共通して割り当てられたユニット位置の量が算出されたときに、或いは事前に設定した反復数が満たされた場合に反復処理を終了することができる。後者の場合、一般に所与の分類領域の組では所定の閾値を達成できないと判断することができ、従って図4に概説する方法を終了することができる。このような時点で、異なる分類領域の組を選択して図4に概説する方法を通じて処理するための、及び/又はブロック36に概説する処理に影響する閾値を下げるための是正措置をとることができる。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック32、34、36、及び38を繰り返すことができる反復数に関する制限は示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0029】
代替の実施形態では、方法が、共通して割り当てられたユニット位置の量を所定の閾値と比較するステップ(すなわち、ブロック36を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては図4に示すフロー図からブロック36を省略することができ、従って方法はブロック34からブロック38へ直接進むことができる。このような実施形態では、ブロック32、34、及び38に概説する処理を所定の回数繰り返すことができる。次に、所定の反復数が終了すると、共通して割り当てられたユニット位置の量が最小の分類領域の構成が選択され、ブロック40において、関連する共通して割り当てられたユニット位置が非分類領域として割り当てられる。このような実施形態は、ブロック30を参照しながら最初に説明した特定の閾値に縛られない分類領域の組と比較して、共通して割り当てられたユニット位置の量が少ない分類領域の組を求めるのに有利となり得る。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック36の省略及びブロック32、34、及び38を繰り返すことができる反復数に関する制限を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0030】
さらに他の実施形態では、方法が、共通して割り当てられたユニット位置の数を定量化するステップ(すなわち、ブロック34を参照しながら説明した衝突計数処理)、又は分類領域の次元属性を調整するステップ(すなわち、ブロック38を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。具体的には、ブロック34及び38に関連する処理も任意であり、従っていくつかの実施形態では、図4に示すフロー図からこれらを省略することができる。むしろいくつかの実施形態では、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、ブロック32からブロック40へ直接進むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、分類マトリックス内の共通して割り当てられたユニット位置の数を計算し、分類領域の次元属性を調整して、共通した割り当てを最小限にできるようにすることが有利となり得る。具体的には、分類領域の比較的大きな部分を保持して、比較的高い分類効率を達成できることを確実にすることが有利となり得る。
【0031】
いずれにせよ、いくつかの実施形態では、方法が、ブロック42で示すように、再割り当てした非分類領域に隣接するユニット位置(すなわち、以前に共通して割り当てられたものとして区別したユニット位置)を非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。このような処理は、ブロック40に概説した処理の後に、或いはこれと同時に行うことができる。一般に、図42に概説する処理の影響を受けるユニット位置の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブロック42に示す処理が、ブロック40に基づいて割り当てた非分類領域と直接隣接するユニット位置の組のみを非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。本明細書では、このような実施形態を、ブロック40に基づいて割り当てた分類領域の境界に対して隣接する単層のユニット位置を再割り当てするステップと呼ぶことができる。その他の場合、ブロック42に示す処理は、隣接する多層のユニット位置を再割り当てするステップを含むことができる。換言すれば、ブロック42に示す処理は、ブロック40を参照しながら割り当てた非分類領域に直接隣接するユニット位置の組から横方向に延びる1又はそれ以上のユニット位置の組を非分類領域として再割り当てするステップを含むことができる。さらに他の実施形態では、図4に示す方法が、隣接するユニット位置を再割り当てする処理を含まなくてもよい。具体的には、ブロック42に示す処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、図4に示すフロー図からこの処理を省略することができる。
【0032】
一般に、非分類領域として再割り当てされるユニット位置が多くなるにつれて誤分類の発生は減少するが、非分類領域として再割り当てされる領域が多くなるにつれて分類効率(リジェクトクラスに分類された粒子に対する集団に分類された粒子の比率)は低下する。従って、分類領域間の緩衝領域を最小にすることと、緩衝領域を拡大することとの間にはトレードオフが存在する。一般に、最適化は、使用するシステム及び分析しようとするアッセイに依存する。
【0033】
共通して割り当てられたユニット位置を、及び実施形態によっては隣接するユニット位置を再割り当てする処理を図2bに示す。詳細には、図2bは、非分類領域として再割り当てされた分類領域1〜2、4〜5、3及び6〜7、並びに10〜11の共通して割り当てられたユニット位置を示しており、図4ではこれらを分類マトリックス内の空白部分として示している。ある意味では、分類領域1〜2、4〜5、3及び6〜7、並びに10〜11の共通して割り当てられたユニット位置を「切り出し」て、粒子を2つの異なるカテゴリにカテゴリ分けする可能性及び/又は粒子を誤った集団にカテゴリ分けする可能性が減少又は排除されるようにしている。換言すれば、共通して割り当てられたユニット位置の再割り当てにより、分類領域間に緩衝が導入される。再割り当て技術の利点は、分類領域のサイズを大幅に制限することなく領域を合理的に大きくできる点である。
【0034】
上述したように、本明細書で説明する方法、記憶媒体及びシステムは、物理的な意味において、グラフで示す分類マトリックス及び分類領域に必ずしも依存するわけではない。従って、共通して割り当てられたユニット位置を再割り当てする処理は、必ずしも図2a及び図2bに示すような分類マトリックスの表現に依存する必要があるというわけではない。むしろ、処理は仮想的な意味で実施することができ、具体的にはメモリに記憶された個々の分類領域の個々の点(すなわちユニット位置)を走査することができる。このような走査処理中、以前に走査した領域がすでにそのユニット位置(すなわち、共通して割り当てられたユニット位置)を占めている場合、このユニット位置を非分類点として再割り当てすることができる。場合によっては、再割り当て処理は、メモリに記憶されたユニット位置の識別子を変更するステップを含むことができる。例えば、最初にユニット位置に、その割り当てられたカテゴリに関連する(1〜12などの)数字を割り当て、その後このユニット位置を非分類領域の一部として示すために数字「0」を再割り当てすることができる。
【0035】
他の実施形態では、共通して割り当てられていると識別されたユニット位置に、例えば−1などの一意の識別子を再割り当てすることができる。このような一意の識別子は、最初に分類領域として割り当てられていない他の非分類点とこのユニット位置を区別するのに役立つことができ、このことは、図4のブロック42に関する任意の処理として上述したように、一意の識別子に隣接する点を非分類領域として再割り当てできる場合に有用となり得る。具体的には、分類マトリックス全体を検索することができ、−1の識別子に隣接するあらゆる点を−1の識別子に置き換え、従って緩衝を大きくすることができる。或いは、−1の識別子を有する点とともに、この−1の識別子に隣接する点に0識別子を再割り当てして、分類マトリックスのその他の空白部分とともに、より大きな緩衝を空白部分として分類できるようにすることができる。
【0036】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、アッセイ分析システムの粒子分類領域を構成するための方法は、ブロック40又はブロック42の後に終了することができる。しかしながら、その他の場合、再割り当て技術(すなわち、ブロック32及び40、及び時にはブロック42の処理)とともに組み入れることが望ましい追加の処理に、分類領域の1又はそれ以上の分類効率の判定がある。特に、再割り当て技術を実施した後に1又はそれ以上の分類領域の分類効率を判定して、分類領域が、アッセイ内で使用する粒子集団を表さなくなるほど再割り当て処理によって望ましくないように変化しないことを確実にすることが有利となり得る。これに加えて、或いはこれとは別に、再割り当て技術を実施する前に分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域の分類効率を判定して、アッセイ内で使用する粒子集団を表す分類領域に処理が適用されることを確実にすることも有利となり得る。
【0037】
1又はそれ以上の分類領域の分類効率を計算するための例示的な技術を、図4のブロック44〜48に示す。特に、ブロック44は、複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータの取得に関する。いくつかの実施形態では、アッセイ測定システムによってデータを取得することができ、このデータは、以下に限定されるわけではないが、粒子を分類するために使用するものを含むいくつかの異なるパラメータの測定値を含むことができる。例えば、このデータは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性の測定値を含むことができる。いずれにせよ、処理は、図4のブロック46及び48にそれぞれ示すように、データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップと、複数の分類領域に関する複数の粒子の分類効率を計算するステップとをさらに含むことができる。上述したように及び図4に示すように、分類効率の計算(すなわち、ブロック44〜48に関連する処理)は、再割り当て処理(すなわち、ブロック32及び40、及び時にはブロック42に関連する処理)の前及び/又は後に行うことができる。具体的には、図4には、再割り当て処理前に分類効率を計算する場合のブロック30からブロック44までの連続矢印を示している。また、図4には、再割り当て処理後に分類効率を計算する場合のブロック42(又はブロック40)からブロック44までの連続矢印を示している。
【0038】
場合によっては、より高い分類効率の達成を試みるために、分類効率の計算を使用して分類領域の次元属性を調整すべきかどうかを判定することができる。具体的には、図4に示す方法は判定ブロック50を含むことができ、ここで、計算した分類効率が所定の閾値未満であると判定された場合、方法はブロック52へ進んで複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整する。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。また、次元属性は、分類領域を特徴付けるサイズ、形状、角度、又はその他のあらゆるパラメータに対応することができる。
【0039】
1又はそれ以上の値を調整した後、方法はブロック46へ戻り、ブロック44で取得したデータの少なくとも一部が対応する調整済みの分類領域を有する分類マトリックス内のユニット位置を識別し、その後ブロック48へ進んで新たな分類効率を計算し、これをブロック50の所定の閾値と比較する。いくつかの実施形態では、図4に示すように、所定の閾値を満たす又はこれを超える分類効率が計算されるまで、ブロック46、48、50、及び52に関連する処理を繰り返すことができる。他の実施形態では、反復数を制限することができる(すなわち、最大反復数を事前に設定することができる)。このような場合、所定の閾値以上の分類効率が計算されたときに、或いは事前に設定した反復数が満たされた場合に反復処理を終了することができる。後者の場合、一般に所与の分類領域の組では所定の閾値を達成できないと判断することができ、従って図4に概説する方法を終了することができる。このような時点で、異なる分類領域の組を選択して図4に概説する方法を通じて処理するための、及び/又はブロック50に概説する処理に影響する分類効率閾値を下げるための是正措置をとることができる。なお、図面を簡略化するために、図4にはブロック46、48、50、及び52を繰り返すことができる反復数に関する制限は示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0040】
図4に示すように、所定の閾値以上の分類効率が達成されると方法はブロック32へ戻り、特にブロック52に概説する調整処理を使用する実施形態では再割り当て処理を再び開始することができる。その他の場合、方法はブロック32へ進んで再割り当て処理を初めて開始することができる(すなわち、効率を計算する前に再割り当て処理を行っていない場合)。さらに他の実施形態では、所定の閾値以上の分類効率を達成すると、方法を終了することができる。特に、分類効率のベースになる分類領域の組に再割り当て処理をすでに行っている場合(すなわち、分類領域の次元属性をブロック52に関して変更していない場合)、方法を終了することが有利となり得る。いずれにせよ、図4に概説した方法に当業者にとって既知の対策を組み込んで、再割り当て処理と分類効率の計算との交互の切り替えが、過度に時間のかかる(又は終わりのない)サイクルに巻き込まれないようにすることができる。
【0041】
アッセイ分析システムの分類領域を構成するための別の方法を図5のフロー図に示す。なお、図4及び図5に関して説明する方法は必ずしも互いに相容れないわけではなく、従っていくつかの実施形態では、これらの両方を使用してアッセイ分析システムの分類領域を構成することができる。一般に、図5に関して説明する方法を使用して、測定した粒子の値により正確に対応する値を特徴とする分類領域を作成することができる。より具体的には、図5に関して説明する方法を使用して、粒子集団カテゴリの1又はそれ以上の値を、測定した粒子の値よりも低い精度の分類マトリックス内に収まる際にこれらの対応する分類領域の偏移を担うように調整することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、分類マトリックスは、特にシステムメモリ容量を減少させるために、粒子から測定できる値の規模よりも大きな粒度の規模によって構成されることが多い。例えば、いくつかの実施形態では、測定した粒子パラメータの対数値から計算した整数の範囲によって分類マトリックスを構成することができる。しかしながら、場合によっては、測定した粒子の値を分類マトリックスの対数規模に適合するように換算することにより値に歪みが生じ、粒子分類の精度が低下する可能性がある。図3は、図5に概説する処理から得られる分類マトリックス及び分類領域の偏移のグラフ表示であり、従って図3については図5とともに説明する。
【0042】
上述したように、本明細書では、分類マトリックスを、分類に使用する粒子の測定パラメータに対応する(実際の又は仮想的な)一連の値と見なす。また、本明細書で使用する「分類領域」という用語は、粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲を意味する。「粒子集団カテゴリ」という用語は、粒子集団(すなわち、「粒子集団」という用語は、類似の特性を有する粒子の組を意味する)の1又はそれ以上のパラメータの見込まれる測定値のグループ分けを意味するという点で「分類領域」という用語とはわずかに異なる。詳細には、「粒子集団カテゴリ」という用語は、粒子集団の1又はそれ以上のパラメータの測定規模によって特徴付けられる見込まれる値のグループ分けを意味するが、分類領域の値は、これらを配置する分類マトリックスの値及び粒度の範囲に依存する。
【0043】
例えば、中央蛍光強度(MFI)を使用してアッセイの粒子を分類する実施形態では、粒子集団の見込まれるMFI値のグループ分けを粒子集団カテゴリと呼ぶことができる。逆に言えば、このような粒子集団カテゴリに対応する分類マトリックスの分類領域は、分類マトリックスの値及び粒度の範囲によって同じ値を含むこともあれば、又は異なる値を含むこともある。具体的には、分類マトリックスが、粒子の測定に使用するMFI規模と同じ値及び粒度によって構成される場合、分類領域を含む値の範囲は、対応する粒子集団カテゴリの値と同じになる。反対に、分類マトリックスが、粒子の測定に使用するMFI規模と異なる値及び/又は粒度によって構成される場合、分類領域を含む値の範囲は、対応する粒子集団カテゴリの値と異なるようになる。
【0044】
図5に示すように、アッセイ分析システムの分類領域を構成するための方法はブロック60を含むことができ、ここでアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値が新しい値に数学的に変換される。本明細書で使用する「数学的に変換する」という用語は、一般に数式を適用してある値を異なる値に変化させることを意味することができる。あらゆる式を考えることができ、一般にこれらの式は、粒子に関するデータを取得するための測定規模に対する分類マトリックスの所望の粒度に依存することができる。いくつかの例示的な式は、対数ベースの式、指数関数、累乗、2項式、テイラー又はマクローリン級数、パラメータ方程式、座標変換であってもよく、或いは個々の点に定数を乗算又は加算する比較的複雑でない式であってもよい。ブロック60に概説する処理のために他の式を考えることもできる。従って、以下の表1及び表2に関して図5に概説する方法を参照しながら説明する例示的な数学的処理は、このような処理に対数ベースの式を利用するが、図5に示す方法は、必ずしもこのように限定されるわけではない。
【0045】
上述したように、粒子集団は1又はそれ以上の測定パラメータによって特徴付けることができ、従って粒子集団カテゴリ内の点は1又はそれ以上の値によって特徴付けることができる。例えば、以下の表1に関して図5に概説する方法を参照しながら説明する例示的な数学的処理は、分類チャネル「CL1」、「CL2」、及び「CL3」として示す3つのパラメータによって特徴付けられる粒子集団カテゴリについて説明するものである。従って、ブロック60に概説する処理は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値を数学的に変換するステップを含むことができる。
【0046】
一般に、ブロック60に概説する処理に対応するアッセイ粒子集団カテゴリ内の点は、構成されるアッセイ粒子集団カテゴリ内のあらゆる点に対応することができる。いくつかの実施形態では、この点がアッセイ粒子集団カテゴリの中心点になることが有利となり得る。特に、粒子集団は、アッセイ粒子集団カテゴリの中心点を基準とする目標量の染料でこれらを着色することにより生み出されることが多い。しかしながら、場合によっては、特にアッセイ粒子集団カテゴリに含まれる値のグループ分けに関して粒子集団が偏っていることが予想される場合には、この点が非中心点にあることが有利となり得る。このような場合、粒子集団カテゴリの中心点ではなく非中心点を、粒子集団に着色するための基準とすることができる。いずれにせよ、測定した粒子の値を、より低い粒度の分類マトリックスに適合させるように換算することにより、値に歪みが生じる可能性がある。この結果、目標染料量が、分類領域の(中心などの)特定の点と直接相関しなくなる可能性がある。従って、図5に示す方法は、粒子の集団の目標染料量を調整するために特に有益となり得る。その他の場合、ブロック60に概説する処理のために、必ずしも粒子集団に着色することに関連するとは限らない粒子集団カテゴリの点を考慮することができる。このような点の例として、以下に限定されるわけではないが、分類領域の外周沿いの点を挙げることができる。
【0047】
ブロック60に基づいて1又はそれ以上の値を数学的に変換した後、それぞれブロック62、64、及び66に示すように、この1又はそれ以上の数学的に変換された値が、1又はそれ以上の第1の整数にそれぞれ換算され、この1又はそれ以上の第1の整数が数学的に変換され、この結果として得られる1又はそれ以上の値がそれぞれ1又はそれ以上の第2の整数に換算される。第1及び第2の整数への値の換算は、値の四捨五入又は切り捨てを含むことができる。一般に、ブロック64に概説する処理の1又はそれ以上の整数を数学的に変換するために使用する式は、参照ブロック60において1又はそれ以上の値を数学的に変換するために使用する式の逆とすることができる。例えば、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を対数ベースの式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数をベースが同じ逆対数ベースの式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。さらに、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を、特定の正の指数で累乗した式を含む式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数を、その数の負数で累乗した式を含む式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。さらに、ブロック60に概説する処理の1又はそれ以上の値を、ある定数による乗算を含む式を使用して数学的に変換する場合、ブロック64に基づく1又はそれ以上の第1の整数を、同じ定数による除算を含む式を使用して数学的に変換することができ、或いは逆もまた同様である。
【0048】
いずれにせよ、ブロック66に概説する処理後、方法はブロック68へ進み、ここでブロック60で参照したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の置き換え値として1又はそれ以上の第2の整数がそれぞれ指定される。いくつかの実施形態では、これに加えて、或いはこれとは別に、ブロック70に示すように、方法が、1又はそれ以上の第2の整数を粒子集団に着色するための目標として指定するステップを含む。しかしながら、このような処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、図5からブロック70を省略することができる。具体的には、第2の整数の1又はそれ以上は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の元の値と比較的近く(例えば、差分は粒子を着色できる精度よりも小さい)、従って粒子集団に着色するための目標の変更が必要ない場合がある。いずれにせよ、アッセイ粒子集団カテゴリの1つの点が変更され、従って分類領域の対応するユニット位置が元の位置から歪むと、分類領域内のその他の点が、分類領域の既知の構成(すなわち、サイズ、形状、寸法)を基準にして同じ方向及び大きさに偏移するようになる。複数の分類領域の例示的な偏移効果を図3に示す。
【0049】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、方法が、ブロック68又は70の後にブロック72へ進み、その他の評価すべきアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。判定が肯定的なものであった場合、方法はブロック60へ戻り、異なるアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する1又はそれ以上の値を数学的に処理し、ブロック62〜68及び時にはブロック70に概説する処理を異なるアッセイ集団カテゴリに対してさらに実施する。あらゆる数のアッセイ粒子集団カテゴリに対してこのような処理を繰り返すことができ、場合によってはアッセイのために考慮される全てのアッセイ粒子集団カテゴリに対して繰り返すことができる。ブロック72において、評価すべき他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定された場合、処理は終了することができ、或いはブロック74へ進んで、ブロック74〜88を参照しながら以下でより詳細に説明する任意の評価処理を開始することができる。代替の処理では、ブロック60〜68に関して説明する一連の数学的処理を、複数のアッセイ粒子集団カテゴリに対して同時に実施することができる。
【0050】
以下でより詳細に説明するように、複数のアッセイ粒子集団カテゴリに対して複数の置き換え値を指定した後に、図5を参照しながら説明する任意の評価処理(すなわちブロック74〜88)を行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、単一のアッセイ粒子集団カテゴリに対して1又はそれ以上の置き換え値を指定した後に任意の評価処理を行うことができる。後者の実施形態を反映させるために、図5はブロック70と74の間に接続矢印を含み、ブロック70に関連する処理を方法から省略した場合に、代わりにこの矢印がブロック68と74の間の接続矢印として機能することができる。いずれにせよ、任意の評価処理を行った後に追加のアッセイ粒子集団カテゴリを評価することができ(すなわち、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する値を数学的に調整して点の置き換え値を指定することができる)、従って図5には、このような選択肢を示すためにブロック82と72の間に接続矢印が存在する。他の実施形態では、任意の評価処理を先に行うことができ、従って場合によっては図5からブロック74〜88を省略することができる。
【0051】
一般に、任意の評価処理を使用して第2の整数が分類マトリックスの規模にいかに良く適合するかを判定し、結果として生じる分類領域が、測定した粒子集団の値に正確に対応できるようにすることができる。図5に示すように、ブロック74は、ブロック60に基づいて1又はそれ以上の値を数学的に変換するために使用した式を適用することにより、1又はそれ以上の整数を数学的に変換するステップを含む。ブロック74に概説する処理は、ブロック70を参照しながら説明した処理の直後に実施することができ、或いはブロック72において評価すべき他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定された際に実施することができる。いずれにせよ、方法はブロック74の後にブロック76へ進み、ここで(単複の)第2の整数を数学的に変換するにより得られる(単複の)値と、これらに最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分が計算される。その後、評価処理は、後述するようにブロック78において2つの方法の一方へ進む。
【0052】
単一のアッセイ粒子集団カテゴリが評価され、その値の1又はそれ以上が、ブロック66において算出した1又はそれ以上の第2の整数に置き換えられている場合、或いは各個々のアッセイ粒子集団カテゴリに評価処理を実施することが望ましい場合、方法はブロック80へ進み、ブロック76で計算した(単複の)差分が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定することができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図5のブロック82に示すように、計算した(単複の)差分が所定の閾値よりも大きい場合、ブロック68における(単複の)置き換え値としての(単複の)第2の整数の指定は無効になる。具体的には、差分が所定の閾値よりも大きい場合には、対応する第2の整数が、分類領域の測定した粒子集団の値をより良く表していないことを示していることがあり、従ってアッセイ粒子集団カテゴリ内の点をこのような数に調整することは有益でない可能性がある。反対に、計算した(単複の)差分が所定の閾値未満の場合、アッセイ粒子集団カテゴリ内の(単複の)点の置き換え値としての(単複の)第2の整数の指定は残存する。
【0053】
代替の実施形態では、方法が、ブロック76において計算した(単複の)差分を所定の閾値と比較するステップ(すなわち、ブロック80を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては、図5に示すフロー図からブロック80を省略することができる。その代わりに、ブロック60に基づいて実施した数学的変換により得られる(単複の)値と、これらの最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分を計算する処理を行うことができる。このような(単複の)差分が、ブロック76に基づいて計算した(単複の)差分よりも小さいと判定されると、方法はブロック82へ進み、ブロック68において(単複の)置き換え値が破棄されたように(単複の)第2の整数の指定を破棄することができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはブロック80の省略及び前述の処理を表すブロックの置換を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0054】
いずれにせよ、方法はブロック72へ進み、上述した評価処理に続いて評価すべきその他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。異なるアッセイ粒子集団カテゴリ内の点を評価するために、ブロック60〜76に関連する一連のステップ及び上述の評価処理を何度も繰り返すことができる。評価すべきその他のアッセイ粒子集団カテゴリが存在しないと判定されると、処理を終了することができる。代替の実施形態では、特に評価処理前に複数のアッセイ粒子集団カテゴリが評価されている場合、方法は、上述の評価処理からブロック76へ進むことができる。さらに他の実施形態では、ブロック60に基づいて行った数学的変換から得られる(単複の)値とこれらに最も近い(単複の)整数との間の(単複の)差分が、ブロック76に基づいて計算した差分よりも大きいと判定された後に、ブロック80において、計算した値が所定の閾値未満であると判定された時点で、或いはブロック82において置き換え値としての第2の整数の指定を破棄した時点で処理は終了することができる。しかしながら、図面を簡略化するために、図5にはこのような終了シナリオはいずれも示していない。
【0055】
任意の評価処理の前に、複数のアッセイ粒子集団カテゴリ内の点が評価され、ブロック66において算出した第2の整数に置き換えられている場合、方法はブロック78からブロック84へ進み、所定の閾値を上回る第2の整数の各々に関して計算した差分の割合を計算することができる。所定の閾値は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよく、またブロック80において参照した所定の閾値と同じであっても又は異なってもよい。その後、方法はブロック86へ進み、割合が事前に設定したレベルよりも大きいかどうかを判定する。事前に設定したレベルは、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図5のブロック88に示すように、割合が事前に設定したレベルよりも大きい場合、ブロック68を参照しながら説明した置き換え値としての第2の整数の指定が破棄される。具体的には、割合が事前に設定したレベルよりも大きい場合には、かなりの数の第2の整数が、これらのそれぞれのアッセイ粒子集団カテゴリの測定した粒子の値をより良く表していないことを示していることがあり、従ってアッセイ粒子集団カテゴリ内の点をこのような数に調整することは有益でない可能性がある。反対に、計算した割合が、所定のレベル未満の場合、分類領域の置き換え値としての第2の整数の指定は残存する。いずれにせよ、図5に示すように、処理はブロック86又は88の後に終了することができる。或いは、処理はブロック72へ戻り、他に評価すべきアッセイ粒子集団カテゴリが存在するかどうかを判定することができる。単に図面を簡略化するために、図5にはこのような選択肢を示していない。
【0056】
代替の実施形態では、方法は、所定の閾値を上回る差分の割合を計算するステップ(すなわち、ブロック84を参照しながら説明した処理)を含まなくてもよい。むしろ、場合によっては、図5に示すフロー図からブロック84を省略することができる。その代わりに、ブロック60に基づいて実施した数学的変換により得られる値と、これらに最も近い整数との間の(単複の)差分を計算する処理を行うことができる。このような時点で、ブロック76に基づいて計算した差分よりも小さい差分の割合を計算することができる。場合によっては、ブロック86を参照しながら説明したように、このような割合を事前に設定したレベルと比較することができ、その後方法はブロック88へ進んで終了し、或いはブロック72へ戻ることができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはブロック86の省略及び前述の処理の置換を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0057】
評価処理は、どのように使用されるかに関わらず、ブロック60を参照しながら説明したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する比較的大きな値のみに関連することができる。具体的には、図5に概説する方法が、値を最大2、3パーセントポイントしか変化させない場合、比較的小さな値にとっては、このような変化はそれほど重要ではない場合がある。この点、図5に概説する方法に、ブロック60を参照しながら説明したアッセイ粒子集団カテゴリ内の特定の数を上回る点に対応する値にのみ評価処理を実施できるようにするための対策を組み入れることができる。或いは、値の範囲全体に評価処理が適用されるものの、特定の数よりも小さな値に対してはブロック82及び88の破棄処理が無視されるように対策を実施することができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはこのような対策を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0058】
図5に概説する方法に追加できる任意の処理は、異なる数学的変換方程式の組を使用してブロック60〜76に関して説明する処理を繰り返すこと、及びその後粒子集団カテゴリを評価するために使用する個々の数学的変換方程式の組の、ブロック76を参照しながら計算した差分を比較することである。このような時点で、最も小さな差分の分散を生成する数学的変換方程式の組から得られる第2の整数を、ブロック60に概説する処理で参照したアッセイ粒子集団カテゴリ内の点の最終的置き換え値として指定することができる。具体的には、最も小さな差分の分散を生成する数学的変換方程式の組から得られる第2の整数は、数学的変換方程式の組に基づくパラメータの規模によって構成された分類マトリックス内の測定した粒子の値に最も正確に対応することができる値を表すことができる。なお、図面を簡略化するために、図5にはこのような任意の処理を示していないが、当業者であれば、前述の説明に基づいてこのような制限の組み入れ方を知っているであろうと断言する。
【0059】
以下、図5のブロック60〜88に関して説明する処理に使用できる例示的な数学的処理について説明する。また、このような例示的な処理から生成し、使用するデータを表1及び表2に示す。特に、表1及び表2は、3つのアッセイ粒子集団カテゴリに関して生成したデータ、具体的には「CL1」、「CL2」、及び「CL3」として示す個々のアッセイ粒子集団カテゴリの3つの分類チャネルの分類データをリストしている。なお、通常、多重化システムは、3よりも多くのアッセイ粒子集団カテゴリを含むことができる。また、使用するアッセイ分析システムに応じて、3よりも少ない又は多くの分類チャネルを使用して粒子を分類することもできる。従って、図5を参照しながら説明する処理は、表1及び表2に示す例示的なデータに限定されると解釈すべきではない。一般に、分類チャネルCL1〜CL3は、粒子を分類するためのいずれのパラメータに関するものであってもよいが、いくつかの実施形態では、具体的に蛍光測定に関するものとすることができる。このような場合、特に粒子集団に着色する目標量を変更するために図5に概説する方法を適用することができる。表1は、特に図5のブロック60〜70に概説した処理に関し、表2は、特に図5のブロック76〜88に関して説明した評価処理及び評価処理の代替のオプションに関する。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
表1のCL1〜CL3チャネルのデータを示す最初の3列は、それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリのMFI目標を含む。表1に示す例では、目標が1から32,767までのMFI規模に基づいているが、より大きな又はより小さな規模及び/又は異なるパラメータを目標に使用することができる。いくつかの実施形態では、目標が、それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の中心点に対応する値を参照するこ
とができる。しかしながら、その他の場合、目標は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の他の点を参照することもできる。表1の次の3列は、(表1では「変換式」と呼ぶ)対数ベースの式のMFI目標を数学的に変換することによって得られる値を含む。このような数学的処理は、図5のブロック60に関する。使用できる例示的な対数ベースの式は、C=255/log10(32,767)としたときにC*log10(MFITarget+1)である。しかしながら、システム及びアッセイの用途に応じて他の対数ベースの式又は非対数ベースの式を使用することもできる。対数ベースの式から得られる値は、表1の次の3列の第1の整数値に、具体的には表1に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。このような数学的処理は、図5のブロック62に関する。
【0063】
対数ベースの式から得られた値を第1の整数値に換算した後に、この第1の整数が(表1では「逆変換式」と呼ぶ)逆対数ベースの式で数学的に変換される。このような数学的処理は、図5のブロック64に関する。使用できる例示的な逆対数ベースの式は、10[first integer/C]−1である。しかしながら、システム及びアッセイの用途に応じてその他の逆対数ベースの式又は非逆対数ベースの式を使用することもできる。逆対数ベースの式から得られた値は、表1の最後の3列の第2の整数値に、具体的には表1に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。このような数学的処理は、図5のブロック66に関する。図5のブロック68を参照しながら上述したように、この第2の整数は、ブロック60で参照したアッセイ粒子集団カテゴリの点の置き換え値として指定され、表1に示す例ではMFI目標に関する。いくつかの実施形態では、第2の整数を、アッセイ分析の異なる粒子集団を着色するための、具体的には図5のブロック70に対応する目標値としてさらに指定することができる。
【0064】
上述したように、ブロック70に概説する処理は任意であり、従っていくつかの実施形態では、表1に示す例から省くことができる。具体的には、第2の整数の1又はそれ以上は、アッセイ粒子集団カテゴリ内の点の1又はそれ以上の元の値と比較的近く(例えば、差分は粒子を着色できる精度よりも小さい)、従って粒子集団に着色するための目標の変更が必要ない場合がある。例えば、表1に関して以下で説明する例示的な数学的処理では、実際には粒子集団に着色するための目標の変更は、約200よりも多くのMFI目標を有する粒子集団カテゴリに関してのみ行うことが賢明であることが判明した。このことは、一般に表1に関して説明する一連の数学的処理により生成される第2の整数が、これらの元のMFI目標の値から最大約2%変化するという推定に起因する。特に、MFI目標の変化が最大2%であるということは、特に大抵の染色技術の精度を考えた場合、小さな目標数にとってはさほど重要ではない。しかしながら、大きなMFI目標にとっては2%の変化が重要となり得る。このことに基づき、図5のブロック70に概説する処理に、例えば、元のMFI目標が200などの所定の閾値よりも大きな粒子集団カテゴリ対してのみ粒子集団に着色するための目標として第2の整数の指定を行うための対策を含めることができる。表1に示す分類領域1は、特に全ての3つのチャネルCL1〜CL3のMFI目標が200未満であるので、このような対策を使用して第2の整数の指定を行わなくてもよい。
【0065】
図5を参照しながらさらに上述したように、いくつかの実施形態では、図5で概説した処理は、分類マトリックスの対数規模に第2の整数がいかに良く適合するかを判定する評価処理含むことができ、これがさらに、結果として得られた分類領域が特定の集団の測定値にいかに正確に対応できるかを反映する。このような評価処理に使用できる数学的処理の例を表2に示す。具体的には、表2の最初の3列は、表1の最後の3列の第2の整数を対数ベースの式で数学的に処理することから得られる値を含む。このような処理は、図5のブロック74に関する。一般に、対数ベースの式は、式中のMFI目標の値が第2の整数に置き換えられることを除き、MFI目標の処理に使用する式と類似することができる。例えば、表1の例に使用できる例示的な対数ベースの式は、C=255/log10(32,767)としたときに、C*log10(second integer+1)である。
【0066】
図5のブロック76に関して上述したように、評価処理で使用する対数ベースの式から得られる値と、これらの最も近い整数との間の差分を計算することができる。従って、表2の最初の3列における対数ベースの式から得られる値は、表3の次の3列の第3の整数値に、具体的には表2に示す例の値を四捨五入することにより換算される。代替の実施形態では、値を切り捨てることができる。表2の次の3列は、表2の第1の組の3列と第2の組の3列との間の差分の絶対値を示す。このような数学的処理は、図5のブロック74に関する。場合によっては、図5のブロック80で示したように、算出した差分を所定の閾値と比較して、アッセイ粒子集団カテゴリの各々に関して計算した第2の整数が分類マトリックスの対数規模にいかに良く適合するかを判定することができる。一般に、システム及びアッセイの用途によって所定の閾値は異なってもよい。例示的な所定の閾値は、例えば約0.25とすることができる。このような閾値を使用して、領域#1のCL1値を除く表2に示す第2の整数は、全て分類マトリックスの対数規模内で良く適合すると見なすことができる。
【0067】
領域#1のCL1値は、算出した0.47という差分を有する。これに基づき、図5のブロック82で示したように、領域#1のCL1値のMFI目標値の19.00という第2の整数値の指定を破棄することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、領域#1のCL1チャネルのMFI目標が200未満なので、指定を破棄することができない。特に、図5を参照しながら上述したように、評価処理に、特定の数字よりも小さな値に関してはブロック82及び88を破棄する処理が無視されるように対策を行うことができる。上述したように、粒子集団の染色目標に関する表1の第2の整数を指定することに関しては、200未満のMFI目標ではこのような染色指定が役に立たないことがある。このことは、一般に表1に関して説明する一連の数学的処理が、これらの元のMFI目標の値から最大約2%変化する第2の整数を生成するという推定に起因する。同じ理由により、表2に概説する例示的な評価処理のブロック82及び88を破棄する処理を無視するための対策を行うレベルは、200未満のMFI目標とすることができる。或いは、表1及び表2に示す例に、200を超えるMFI目標に関してのみ評価処理を実施するための対策を組み入れることができる。
【0068】
評価処理の代替のルートは、図5のブロック84に示すように、所定の閾値を上回る複数のアッセイ粒子集団カテゴリに関して計算した差分の割合を計算すること、及び図5のブロック86に示すように、計算した割合を事前に設定したレベルと比較することである。一般に、所定の閾値及び事前に設定するレベルは、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。計算した差分の例示的な所定の閾値は約0.25とすることができ、計算した割合の例示的な事前に設定したレベルは、例えば約10%とすることができる。このような所定の閾値及び事前に設定したレベルを使用して、表1に示す第2の整数を、領域1〜3の分類チャネルCL1〜CL3のMFI目標の置き換え値として破棄することができる。特に、領域#1のCL1値は0.47という計算した差分を有し、これが値の約11%を占め、その後第2の整数を全て置き換え値として破棄することができる。或いは、MFI目標の値が200未満であるという理由で領域#1のMFI目標の算出した差分を無視するという対策を実施することができ、従ってこのような場合、少なくとも領域#2及び#3のMFI目標の第2の整数の置換を保持することができる。
【0069】
上述したように、図5に関しては、本明細書で説明する評価処理に処理の代替の順序を使用することができる。具体的には、第2の整数及びこれらの最も近い整数の変換に関する計算した差分を所定の閾値と比較するのではなく、評価処理は、この差分を、MFI目標の変換から得られる値及びこれらの最も近い整数に関する差分と比較するステップを含むことができる。このような処理を表2の最後の3列に示す。具体的には、表2の最後の3列は、MFI目標を変換することから得られる値と、表1から得られるこれらの最も近い整数(すなわち、表1の第2及び第3の組の3列の値)との間の差分の絶対値を計算する。表2の計算した差分に関する異なる列の組を比較すると、前の組の3列の差分よりも小さな最後の3列の組のあらゆる差分により、対応するチャネル及び領域の第2の整数の指定がMFI目標の置き換え値として破棄されるようにすることができる。これに基づき、領域#1のCL1値を除く表2に示す第2の整数を、全てこれらのMFI目標の置き換え値として保持することができる。上述したように、このような評価処理に、200を超えるMFI目標に対してのみ評価処理を実施するための対策を行い、従ってこのような場合、CL1チャネル又は領域#1の差分が小さいという表記法は重要ではないことがある。
【0070】
上述したように、図6、図7、図11、及び図12は、アッセイの粒子を分類するための方法を示すフロー図である。図8〜図10は、図6、図7、図11、及び図12に概説する処理の説明に役立てるために使用する分類マトリックス及び目標空間のグラフ表示を示し、従って、図8〜図10についてこのような図とともに説明する。図6に示すように、粒子を分類するための方法は、複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得するブロック90を含むことができる。データは、アッセイ分析システムによって取得することができ、いくつかの実施形態では、以下に限定されるわけではないが、粒子を分類するために使用するものを含むいくつかの異なるパラメータの測定値を含むことができる。例えば、データは、粒子の蛍光性、光散乱、電気インピーダンス、又はその他のあらゆる測定可能な特性を含むことができる。
【0071】
処理は、図6のブロック92に示すように、取得した個々の粒子のデータの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップをさらに含むことができる。また、方法は、識別したユニット位置に対応するデータが分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動するブロック94を含むことができる。一般に、所定の座標経路は、分類マトリックスの軸ごとのユニット数により特徴付けることができる。さらに、識別したユニット位置に対応するデータの平行移動は、一般に識別したユニット位置に関して所定数のユニットだけデータ点を移動することを意味することができる。例えば、所定の座標経路が、(1,2,3)である場合、データ点は、分類マトリックスのx軸に沿って1ユニット、分類マトリックスのy軸に沿って2ユニット、及び分類マトリックスのz軸に沿って3ユニットだけ移動する。図8は、分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動する識別したユニット位置(すなわち、識別したユニット位置を星印で示し、座標経路を点線で示す)の例示的なグラフ表示である。図8は、分類マトリックスの起点近くに位置する目標空間(すなわち、平行線楕円領域として示す目標空間)をさらに示している。以下でより詳細に説明するように、目標空間を図6に概説する方法に使用し、データ点がユニット位置から目標空間まで平行移動する座標経路に基づいて粒子を特定の粒子集団に分類する。
【0072】
場合によっては、分類マトリックス内のユニット位置を識別する処理が、ユニット位置を含む分類マトリックスのセグメント又はノードを識別するステップをさらに含むことができる。一般に、分類マトリックスのセグメント又はノードとは、複数のユニット位置を含む分類マトリックスの範囲を意味することができるが、セグメント又はノードが必ずしもアッセイの粒子集団カテゴリに対応しないという点で「分類領域」という用語とは異なる。例示的な分類マトリックスを、例えば四分円などの等面積の部分に分割することができる。しかしながら、分類マトリックスの分割ではあらゆる数、サイズ、及び形状のノードを考慮することができる。いずれにせよ、識別した分類マトリックスのセグメントからデータを平行移動させるステップは、データを識別セグメントに関連する所定の座標経路に沿って移動させるステップを含むことができる。このような技術は、データ点を目標空間に適合させることを考慮された座標経路の数を減少させることができ(ブロック96及び100を参照しながら以下でより詳細に説明する処理)、従って処理時間を節約することができる。しかしながら、ユニット位置を含む分類マトリックスのセグメント又はノードを識別することは、図6を参照しながら説明する方法の任意の処理であり、従っていくつかの実施形態では省略することができる。
【0073】
いずれにせよ、データを平行移動した後、ブロック96において、平行移動したデータが事前設定した分類マトリックスの位置に存在する目標空間内に収まるかどうかに関して判定が行われる。この事前設定した位置は、分類マトリックス内のいずれの位置であってもよい。いくつかの実施形態では、事前設定した位置が、分類マトリックスを構成する軸の起点を含むことができ、特定の例では、この起点を目標空間の中心とすることができる。本明細書で使用する「目標空間」という用語は、一般に、互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を示す周辺部を有する境界範囲を意味することができる。本明細書で使用する場合「分類領域構成」という用語は、形状、サイズなどによって特徴付けられるような分類領域の設定設計を意味する。なお、分類領域構成は、必ずしも分類マトリックス内の単一の分類領域に特有のものではない。詳細には、分類マトリックスの2以上の分類領域が同じ分類領域構成を有することができる。換言すれば、分類マトリックスの異なる分類領域が均一の寸法を有することができる。従って、目標空間が単一の分類領域構成を表すか、それとも複数の分類領域構成を表すかの違いは、目標空間が単一の分類領域を表すか、それとも複数の分類領域を表すかと同等ではない。
【0074】
また、目標空間は、境界範囲が単一の分類領域構成のみを表す場合でも、分類マトリックス内の目標空間の座標位置が必ずしも粒子集団の測定値に対応するわけではないという点で分類領域とは異なる。具体的には、図8に関して以下でより詳細に説明するように、目標空間を使用して座標経路に基づいて粒子を特定の分類領域に分類し、データ点をそのユニット位置に配置された分類領域内に単に適合させるのではなく、データ点をそのユニット位置から目標空間へ平行移動する。
【0075】
一般に、目標空間は、互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を表すいずれの構成(すなわち、サイズ、形状等)のものであってもよい。いくつかの実施形態では、目標空間が単一の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間が単一の分類領域構成の周辺部を含むことができる。或いは、目標空間が、互いに積み重なった複数の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間が、同じ点を中心とする複数の領域構成の周辺部を含むことができる。粒子を分類するための目標空間にデータを平行移動させるという一般的概念を示す図8に関して行う説明に加え、図6で説明する方法を行う際に、このような複数の分類領域構成にデータ点を平行移動させることができるかどうか、及び複数の分類領域構成のいずれに平行移動させることができるかを判定するための例示的な処理について図11及び図12に関して以下で概説し、より詳細に説明する。
【0076】
図6のブロック98に示すように、ブロック94に基づいて平行移動されたデータが、ブロック96で参照する目標空間に所定の座標経路を使用して収まる場合、粒子は、所定の座標経路に関連する粒子集団に分類される。このような関連性は、記憶媒体及び/又は処理を実行するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルから取り出すことができる。図8は、識別した位置から平行移動して目標空間に収まるデータの例示的なグラフ表示である。逆に、ブロック94に基づいて平行移動されたデータが、ブロック96で参照する目標空間に所定の座標経路を使用して収まらない場合、処理はブロック96からブロック100へ進み、ここでデータが事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動したかどうかに関して判定を行う。事前設定する座標経路の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。図6に示すように、データが、事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動していない場合、処理はブロック94へ戻って、データを異なる及び新しい座標経路に沿って平行移動させる。2つの決定的行為の一方が行われるまで、このような処理を繰り返すことができる。具体的には、平行移動したデータが目標空間内に収まり、従ってブロック98へ進むまで、或いは事前設定した座標経路の数が、平行移動したデータが目標空間内に収まると判定することなく使い尽くされるまで処理を繰り返すことができる。後者の行為は、図6のブロック100からブロック102へ延びる「yes」の接続矢印に従って示している。
【0077】
図6に示すように、ブロック102において、他のいずれかの目標空間(すなわち異なる構成の目標空間)を評価に利用できるかどうかに関して判定を行う。追加の目標空間を評価に利用できる場合、方法はブロック103へ進み、分類マトリックス内の事前設定した位置に異なる目標空間を設定する。その後、方法はブロック94へ戻り、分類マトリックスの識別したユニット位置に対応するデータを所定の座標経路に沿って平行移動させ、さらにブロック96へ進み、平行移動したデータが異なる目標空間に適合するかどうかを判定する。ブロック94〜102を参照しながら説明した一連の処理を、粒子が粒子集団に分類されるまで、或いは評価に利用できる他の目標空間が無くなるまで繰り返すことができる。ブロック102において、評価に利用できる他の目標空間が無いと判定すると、方法は、ブロック104に示すように粒子をリジェクトクラスに分類するステップを含むことができる。
【0078】
一般に、図6に概説する分類技術には、アッセイ内に含まれる粒子集団の1つからのその数までの間のあらゆる数の目標空間を使用することができる。いくつかの実施形態では、評価に利用できる異なる構成の目標空間を有して、不均一な寸法の分類領域を考慮できるようにすることが有利となり得る。特に、評価に利用できる目標空間が多いほど分類領域構成の変化を大きくすることができ、これがさらにアッセイ内の異なる粒子集団をより良く表して、収集効率をより高くすることができる。評価に利用できる目標空間が多いことの不利点には、個々の目標空間の構成を記憶するために必要なメモリの量がある。従って、いくつかの実施形態では、図6に概説する分類技術の評価に利用できる目標空間の数を制限することが有利となり得る。以下でより詳細に説明するように、図11及び図12に概説する技術は、複数の分類領域構成を表す目標空間を使用する際にメモリ記憶要件を低減させる役に立ち、従って場合によってはこのような技術を使用することがきわめて有利となり得る。図11及び図12を参照しながら説明する技術は図7に概説する方法に使用することもでき、従って図7の説明後に説明する。
【0079】
図7は、粒子を分類するための代替の処理のフロー図である。処理は、ブロック90、92、98、102、103、及び104を参照しながら説明した処理ステップを含むという点で、図6に示す処理と類似している。図6に関して上述したこのような処理ステップの仕様を図7に示す対応する処理ステップに適用することができ、簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。図7の粒子を分類するための処理は、ブロック106、108、及び109を含むこと(すなわち、図6のブロック94、96、及び98の置き換え)により図6に概説した方法とは異なる。特に、ブロック92で識別したユニット位置に対応するデータを平行移動させて、既知の位置にある目標空間に収めようとする代わりに、図7のブロック106、108、及び109は、目標空間を平行移動して、取得した粒子のデータに対応する識別したユニット位置を含もうとすることに向けられる。
【0080】
より具体的には、ブロック106は、分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間を所定の座標経路に沿って平行移動させるステップを含み、ブロック108は、平行移動した目標空間が、取得した粒子のデータに対応する分類マトリックスの識別したユニット位置を含むかどうかを判断する。図6を参照しながら説明したように、所定の座標経路は類似の態様で特徴付けることができ、従って簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。なお、ブロック92が、識別したユニット位置を含む分類マトリックスのセグメントを識別するステップを含む実施形態では、ブロック106が、識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って目標空間を平行移動させるステップを含むことができる。しかしながら、分類マトリックスの対応するセグメントを識別するステップ、及び識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って目標空間を平行移動させるステップは任意である。目標空間の平行移動を例示するために、図9は、識別したユニット位置まで所定の座標経路に沿って平行移動する分類マトリックス内の目標空間の例示的なグラフ表示である(すなわち、目標空間を平行線楕円領域として示し、座標経路を点線で示し、識別したユニット位置を星印で示す)。
【0081】
図7に示すように、平行移動した目標空間が、ブロック108において識別したユニット位置を含むと判定されると、方法はブロック98へ進み、粒子を所定の座標経路に関連する粒子集団に分類する。逆に、平行移動した目標空間が、ブロック108において識別したユニット位置を含まないと判定された場合、処理はブロック109へ進み、ここで目標空間が事前設定した異なる座標経路の数だけ平行移動したかどうかが判定される。事前設定する座標経路の数は、システム及びアッセイの用途によって異なってもよい。ブロック109後の一連の処理ステップは、図6に概説するブロック100後の一連の処理ステップに類似しており、従って簡潔にするために繰り返しの説明は行わない。
【0082】
図7のブロック106に示すように、目標空間は、分類マトリックス内の既知の位置に存在する。この既知の位置は、分類マトリックス内のいずれの位置であってもよい。いくつかの実施形態では、目標空間が、分類マトリックスを構成する軸の起点を含むことができ、特定の例では、この起点を目標空間の中心とすることができる。一般に、目標空間はいずれの構成(すなわち、サイズ、形状等)のものであってもよい。図6を参照しながら説明する方法のように、目標空間は、互いに積み重なった単一の分類領域構成又は複数の分類領域構成を表すことができる。換言すれば、目標空間は、同じ点を中心とする単一の分類領域構成の周辺部又は複数の分類領域構成の周辺部を含むことができる。このような複数の分類領域に目標空間を平行移動できるかどうか、及びこのような複数の分類領域のいずれに目標空間を平行移動できるかを判断するための例示的な処理を概説し、図11及び図12に関して以下でより詳細に説明する。
【0083】
なお、図6を参照しながら説明した方法と図7を参照しながら説明した方法との違いにより異なる利点が提供され、従ってどちらの方法を使用するかの判断は用途に依存することができる。例えば、図6を参照しながら説明した方法は、目標形状全体を平行移動させることと対比して、識別したユニット位置に関連するデータを平行移動させるために使用する計算が比較的少ないという利点を提供する。これは、平行移動には、平行移動しているアイテムのユニット位置ごとに加算又は減算操作が必要となるからである。通常、目標空間は数十、数百、さらには数千のユニット位置から構成され、従って図6を参照しながら説明したように、目標空間の平行移動は、単一のユニット位置に関連するデータを平行移動させるさらに多くの計算を必要とする。従って、図6に示す方法は計算が少なくて済み、従っていくつかの実施形態では、図7に示す方法よりも大幅に速い処理時間を提供することができる。しかしながら、場合によっては、図7に示す方法は、単一のユニット位置に対応する平行移動データよりも少ない回数だけ目標空間を平行移動させるステップを含むことができるので、図6に示す方法よりも図7に示す方法の方が速い処理時間を提供することができる。具体的には、一般に目標空間は数十、数百、さらには数千のユニット位置に及ぶので、目標空間が特定のユニット位置を含むかどうかを判定するための、分類マトリックスをカバーするためにとることができる座標経路の数は、分類マトリックスにわたって単一のユニット位置に関連するデータを平行移動しようとするよりも、その反復が少なくて済む。
【0084】
上述したように、図11及び図12は、複数の分類領域構成を表す目標空間を図6及び図7を参照しながら説明した方法のいずれかに使用する際に、複数の分類領域構成情報を平行移動できるかどうか、及び複数の分類領域構成情報のいずれを平行移動できるかを判定するための例示的な技術のフロー図である。具体的には、図11及び図12は、平行移動した情報が目標空間に収まり、或いは分類マトリックスの識別したユニット位置を含むかどうかを判定するための例示的な方法のフロー図である(すなわち、それぞれ図6及び図7のブロック96及び108に関する)。そうである場合、図11及び図12に概説する方法は、目標空間に関連する複数の分類領域構成のいずれが平行移動に使用する所定の座標経路に対応するかをさらに判定する。図10は、4つの異なる分類形状を表す例示的な目標空間を示す。図10については、図11及び図12を参照しながら説明する処理とともに説明する。図10に示す異なる構成形状のことを、それぞれ形状1〜4と呼ぶ。形状1は、比較的小さな円形設計であるが、形状2は、形状1を含む比較的大きな円環である。形状3及び4は、各々形状2の環状体から延びる付属物を含む。一般に、本明細書で使用する「分類形状」という用語は、分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域構成の少なくとも一部を表す構成を有する目標空間の異なる範囲のことを意味する。
【0085】
図11に示すように、図で概説する処理は、平行移動処理中に目標空間を含む複数の分類形状の1つを表すコードを検出するブロック110を含むことができる。より具体的には、識別したユニット位置に対応するデータが所定の座標経路に沿って平行移動し、結果として目標空間に収まった場合、目標空間の多様な分類形状の1つを表すコードを検出することができる。或いは、所定の座標経路に沿って平行移動し、識別したユニット位置を結果として含む場合、目標空間の多様な分類形状の1つを表すコードを検出することができる。例えば、図10に示す例示的な目標空間をいずれかの事例に使用する際にコード1〜4のいずれか1つを検出することができる。ブロック112に示すように、方法は、データ又は目標空間がコードを検出するように平行移動した所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するステップをさらに含む。一般に、このような識別処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。分類集団を識別するための例示的なルックアップテーブルを以下の表3に示すが、このような表は例示的なものにすぎず、識別処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、座標経路は、3次元にも、500に限定された粒子集団の数にも限定されない。
【0086】
【表3】
【0087】
分類マトリックスの情報を平行移動させるために使用する座標経路に関連する粒子集団をブロック112において識別した後、方法はブロック114へ進み、ブロック110に概説する処理で検出したコードを、識別した粒子集団に関連する有効な形状コードのリストと比較する。その後、ブロック116に示すように、方法は、検出したコードが有効であるかどうかを判定するステップを含む。ブロック112と同様に、一般にこのような比較処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。具体的には、いくつかの実施形態において、検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する処理(すなわち、図11のブロック114)が、アッセイ内に含まれる粒子集団ごとに有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するステップを含む。このような技術を使用して、検出したコードを検証するための例示的なルックアップテーブルを以下の表4に示すが、このような表は例示的なものにすぎず、検証処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、粒子集団の数及び粒子集団に関連する有効な分類形状の数は、表に示す数に限定されない。
【0088】
【表4】
【0089】
表3及び表4、並びに図10に示す目標空間を図11のブロック110〜116に概説する処理に関して使用し、複数の分類領域構成を表す目標空間の形状を利用して分類処理を検証する処理を説明するためのいくつかの異なるシナリオを描くことができる。例えば、図10に示す目標空間に関して、110に概説する処理で「2」のコードが検出され、平行移動処理で使用する座標経路が(1,1,0)である実施形態では、表3によれば、座標経路に関連する粒子集団は2であり、表4によれば、検出されたコードはこのような粒子集団に対して有効である。反対に、図10で示す目標空間に関して、110に概説する処理で「1」のコードが検出され、平行移動処理で使用する座標経路が(1,1,0)である実施形態では、表3によれば、座標経路に関連する粒子集団は2であり、表4によれば、検出されたコードはこのような粒子集団に対して無効である。
【0090】
ブロック110に概説する処理で検出したコードを有効な形状コードのリストと比較するための代替の処理(すなわち、図11のブロック114)は、図12に示すフロー図に概説する処理ステップを含むことができる。具体的には、検出したコードを図11のブロック114の有効な形状コードのリストと比較する処理は、図12のブロック120に示すように、最初に第1のレジスタ内の識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するステップを含むことができる。また、図12のブロック122に示すように、処理は、第2の異なるレジスタ内の参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するステップを含むことができる。上記の説明と同様に、一般にこのような参照及び識別処理は、記憶媒体及び/又は処理を実施するシステムによりアクセス可能な、場合によってはこれらに記憶されたデータベース又はルックアップテーブルを参照するステップを含むことができる。構成コードの指標を参照するための、及び対応する有効な分類コードのリストを識別するための例示的なルックアップテーブルを以下の表5及び表6にそれぞれ示すが、このような表は例示的なものであり、処理の範囲を限定すると解釈すべきではない。例えば、粒子集団の数、形状コード指標の数、及び有効な形状コードの数は、表に示す数に限定されない。
【0091】
【表5】
【0092】
【表6】
【0093】
図12のブロック120及び122に概説する処理に関して表5及び表6を使用して、図11のブロック110に概説する処理で検出したコードが有効であるかどうかを判断するためのいくつかの異なるシナリオを描くことができる。例えば、図11の110に概説する処理で「2」のコードが検出され、図11の112に概説する処理で識別された粒子集団が2である実施形態では、表5によれば、粒子集団「2」に対して「B」の構成指標が参照され、表6によれば、検出されたコードはこのような構成指標に対して有効である。反対に、図11の110に概説する処理で「4」のコードが検出され、図11の112に概説する処理で識別された粒子集団が2である実施形態では、表5によれば、粒子集団「2」に対して「B」の構成指標が参照され、表6によれば、検出されたコードはこのような構成指標に対して無効である。
【0094】
図12に概説する処理ステップが提供する利点は、特に目標空間内に多くの分類領域構成(例えば、5つよりも多くの分類領域構成)が含まれる場合にメモリのニーズが大幅に削減される可能性である。より具体的には、複数の有効な形状コードの1又はそれ以上を粒子集団ごとに記憶する必要がある場合、システムのメモリ使用量は大幅に増加する。しかしながら、図12で参照した処理ステップ及び添付のデータベースでは、粒子集団ごとに記憶するコードが少なくて済み、従ってこのような機能を実施するためには、メモリがそれほど必要とされない。
【0095】
図11のブロック114に利用する処理に関わらず、方法はブロック116へ進み、検出したコードが識別した粒子集団に対して有効であるかどうかを判定する。検出したコードが識別した粒子集団に対して有効であると判定されると、方法はブロック119へ進み、図6及び図7に対していずれの方法を使用するかに応じて、平行移動したデータが目標空間に収まること、或いは平行移動した目標空間が識別したユニット位置を含むことを宣言する。反対に、検出したコードが識別した粒子集団に対して無効であると判定されると、方法はブロック118へ進み、ここで図6及び図7に対していずれの方法を使用するかに応じて、平行移動したデータが目標空間内に収まらないこと、或いは平行移動した目標空間が識別したユニット位置を含まないことを宣言する。
【0096】
本明細書で使用する用語のいくつかを線引きする助けとするために、以下の定義を定める。
粒子集団−類似の特性を有する粒子の組
粒子集団カテゴリ−粒子集団の1又はそれ以上のパラメータの考えられる測定値のグループ分け
分類マトリックス−分類に使用する粒子の測定したパラメータに対応する(実際の又は仮想的な)多くの値
分類領域−粒子の集団を分類できる分類マトリックスの範囲
分類領域構成−形状、サイズなどによって特徴付けられるような分類領域の設定設計
目標空間−互いに積み重なった1又はそれ以上の分類領域構成を示す周辺部を有する境界範囲
ユニット位置−分類マトリックス内の特定の座標点
分類形状−分類マトリックスの1又はそれ以上の分類領域構成の少なくとも一部を表す構成を有する異なる目標空間の範囲
【0097】
本開示の恩恵を受ける当業者には、本発明が、アッセイ分析システムの分類マトリックス内に分類領域を構成するための方法、記憶媒体及びシステム、並びにアッセイの粒子を分類するための方法、記憶媒体及びシステムを提供すると考えられることを理解できよう。当業者には、本説明に照らして本発明の様々な態様のさらなる修正及び代替の実施形態が明らかであろう。従って、本説明は一例にすぎないと解釈すべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的とするものである。本明細書で図示し説明した本発明の形態は、現在のところ好ましい実施形態と受け取るべきであることを理解されたい。要素及び材料は、本明細書で図示し説明したものと置き換えることができ、部品及び処理は反転させることができ、本発明のいくつかの特徴は個別に利用することができ、全ては本発明の説明の恩恵を受けた後に当業者にとって明らかとなるであろう。本明細書で説明した要素は、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の思想及び範囲から逸脱することなく変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
20 システム; 22 記憶媒体; 24 プログラム命令;
26 プロセッサ; 28 入力; 29 出力。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム命令を含む記憶媒体であって、該プログラム命令が、プロセッサにより、
アッセイ分析のために構成された粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別し、
複数の分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てする、
ように実行可能である、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項2】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記共通して割り当てられたユニット位置に隣接するユニット位置を非分類領域としてさらに再割り当てするようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てする前に、前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出し、
共通して割り当てられたユニット位置の所定の閾値を超える量の算出時に、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
前記分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整した後に、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出するステップと、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップと、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップとを、前記分類マトリックス内の共通して割り当てられたユニット位置の量が前記所定の閾値以下になるように計算されるまで反復する、
ようにさらに実行可能であり、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするための前記プログラム命令が、前記共通して割り当てられたユニット位置の量が前記所定の閾値以下になるように計算された前記分類領域に関連する前記共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てするためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項4】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てする前に、前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出し、
前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
前記分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整した後に、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出するステップと、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップと、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップとを所定の回数反復する、
ようにさらに実行可能であり、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするための前記プログラム命令が、前記共通して割り当てられたユニット位置の量が最も少ない前記分類領域に関連する前記共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てするためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項5】
前記複数の分類領域が楕円形であり、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するための前記プログラム命令が、前記複数の分類領域の1又はそれ以上の主軸、短軸、仰角、及び方位角のうちの少なくとも1つの値を調整するステップを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の記憶媒体。
【請求項6】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、
前記分類マトリックス内の、前記データの少なくとも一部が対応するユニット位置を識別し、
前記複数の分類領域に関する前記複数の粒子の分類効率を計算し、
所定の閾値を下回る分類効率の算出時に、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
分類効率を計算するステップと、所定の閾値を下回る分類効率の算出時に1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを、前記所定の閾値以上の分類効率が算出されるまで繰り返す、
ようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項7】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするステップの前に、分類効率を計算するステップと、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを繰り返すようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の記憶媒体。
【請求項8】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするステップの後に、分類効率を計算するステップと、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを繰り返すようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の記憶媒体。
【請求項9】
プロセッサと、プログラム命令を含む記憶媒体と、を備え、前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換し、
前記第2の値を第1の整数に換算し、
前記第1の値を数学的に変換するために使用した変換式とは逆の変換式を前記第1の整数に適用することにより、前記第1の整数を第3の値に数学的に変換し、
前記第3の値を第2の整数に換算し、
前記第2の整数を前記アッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点の置き換え値として指定する、
ように実行可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記アッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点に対応する前記第1の値を数学的に変換するための前記プログラム命令が、前記アッセイ粒子集団カテゴリの中心となる点に対応する値を数学的に変換するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の整数を、アッセイ分析に向けて粒子集団に着色するための目標として指定するためのプログラム命令をさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の値を数学的に変換するための前記プログラム命令が、前記第1の値を、対数ベースの式、指数関数を含む式、累乗を含む式、2項式を含む式、テイラー又はマクローリン級数を含む式、パラメータ方程式を含む式、座標変換を含む式、又は前記第1の値に定数を乗算する又は定数を加算する式で数学的に処理するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の値を数学的に変換するために使用する前記変換式を前記第2の整数に適用することにより前記第2の整数を第4の値に数学的に変換するためのプログラム命令と、
前記第4の値とこれに最も近い整数との間の差分を計算するためのプログラム命令と、
所定の閾値よりも大きな差分の算出時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄するためのプログラム命令と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の値を数学的に変換するために使用する前記変換式を前記第2の整数に適用することにより前記第2の整数を第4の値に数学的に変換するためのプログラム命令と、
前記第4の値とこれに最も近い整数との間の第1の差分を計算するためのプログラム命令と、
前記第2の値とこれに最も近い整数との間の第2の差分を計算するためのプログラム命令と、
前記第2の差分が前記第1の差分よりも小さいと判定されると同時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄するためのプログラム命令と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換するステップと、前記第2の値を第1の整数に換算するステップと、前記第1の値を数学的に変換するために使用した変換式とは逆の変換式を前記第1の整数に適用することにより、前記第1の整数を第3の値に数学的に変換するステップと、前記第3の値を第2の整数に換算するステップと、前記第2の整数を前記それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点に対応する置き換え値として指定するステップとを、複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリごとに繰り返し、
前記複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリの各々における前記点に対応する前記第1の値を数学的に変換するために使用した前記変換式を前記第2の整数に適用することにより、前記複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリごとに計算した個々の前記第2の整数を第4の値に数学的に変換し、
前記第4の値とこれらにそれぞれ最も近い整数との間の第1の差分を計算し、
所定の閾値を上回る前記差分の割合を計算し、
事前に設定したレベルよりも大きな割合の算出時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄する、
ようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得するステップと、
前記測定可能パラメータの少なくとも1つに関連する値により構成される、個々の粒子の前記データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップと、
前記識別したユニット位置に対応する前記データを前記分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動させるステップと、
前記平行移動したデータが、前記分類マトリックス内の事前設定した位置に存在する目標空間に収まるかどうかを判定するステップと、
前記データを平行移動させるステップと、前記平行移動したデータが前記分類マトリックス内の異なる所定の座標経路の前記目標空間に収まるかどうかを判定するステップとを、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することと、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することなく前記データを事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動させることとを含む2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すステップと、
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定される、前記粒子を、前記データが前記目標空間に収まるように平行移動させた前記所定の座標経路に関連する粒子集団に分類するステップと、
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することなく、前記データを前記事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動をさせると、
他の目標空間を評価に利用できない場合、前記粒子をリジェクトクラスに分類することと、
前記データを平行移動させるステップと、前記平行移動したデータが前記所定の座標経路を介して異なる目標空間に収まるかどうかを判定するステップとを、前記2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すことと、
を含む2つのアクションアイテムの一方を行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
分類マトリックス内のユニット位置を識別する前記ステップが、前記ユニット位置を含む前記分類マトリックスのセグメントを識別するステップをさらに含み、前記データを平行移動させる前記ステップが、前記識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って前記データを平行移動させるステップを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、単一の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、前記同じ点を中心とする複数の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まるかどうかを判定する前記ステップが、
前記データを平行移動させる前記ステップ中に、前記目標空間を含む多様な分類形状の1つを表すコードを検出するステップと、
前記コードが検出されるように前記データを平行移動した前記所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するステップと、
前記検出したコードを、前記識別した粒子集団に関連する有効な形状コードと比較するステップと、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされると判定すると同時に、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定するステップと、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされないと判定すると同時に、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まらないと判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する前記ステップが、前記分類マトリックスに含まれる粒子集団ごとの有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するステップを含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する前記ステップが、
第1のレジスタ内の前記識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するステップと、
第2の異なるレジスタ内の前記参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するステップと、
を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
プログラム命令を含む記憶媒体であって、該プログラム命令が、プロセッサにより、
粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、
前記測定可能パラメータの少なくとも1つに関連する値により構成される、個々の粒子の前記データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間を前記分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動させ、
前記平行移動した目標空間が、前記分類マトリックスの前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定し、
前記目標空間を平行移動させるステップと、前記平行移動した目標空間が前記分類マトリックス内の異なる所定の座標経路の前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するステップとを、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することと、前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することなく前記目標空間を事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動させることとを含む2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返し、
前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定されると、前記粒子を、前記目標空間を前記識別したユニット位置を含むように平行移動させた前記所定の座標経路に関連する粒子集団に分類し、
前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することなく、前記目標空間を前記事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動をさせると、
他の目標空間を評価に利用できない場合、前記粒子をリジェクトクラスに分類することと、
異なる目標空間を平行移動させるステップと、前記異なる平行移動した目標空間が前記所定の座標経路を介して前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するステップとを、前記2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すことと、
を含む2つのアクションアイテムの一方を行う、
ように実行可能である、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項24】
分類マトリックス内のユニット位置を識別するためのプログラム命令が、前記分類マトリックスの前記ユニット位置を含むセグメントを識別するためのプログラム命令をさらに含み、前記目標空間を平行移動させるための前記プログラム命令が、前記識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って前記目標空間を平行移動させるためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項25】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、単一の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項26】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、前記同じ点を中心とする複数の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項27】
前記平行移動した目標空間が、前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するためのプログラム命令が、
前記目標空間を平行移動させる前記ステップ中に、前記目標空間を含む多様な分類形状の1つを表すコードを検出するためのプログラム命令と、
前記目標空間が検出されるように前記目標空間を平行移動した前記所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するためのプログラム命令と、
前記検出したコードを、前記識別した粒子集団に関連する有効な形状コードと比較するためのプログラム命令と、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされると判定すると同時に、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定するためのプログラム命令と、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされないと判定すると同時に、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含まないと判定するためのプログラム命令と、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の記憶媒体。
【請求項28】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較するための前記プログラム命令が、前記分類マトリックスに含まれる粒子集団ごとの有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の記憶媒体。
【請求項29】
前記検出したコードを有効な分類コードのリストと比較するための前記プログラム命令が、
第1のレジスタ内の前記識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するためのプログラム命令と、
第2の異なるレジスタ内の前記参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するためのプログラム命令と、
を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項1】
プログラム命令を含む記憶媒体であって、該プログラム命令が、プロセッサにより、
アッセイ分析のために構成された粒子の1又はそれ以上の測定可能パラメータに関連する値の範囲により構成される分類マトリックス内の複数の分類領域を識別し、
複数の分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てする、
ように実行可能である、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項2】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記共通して割り当てられたユニット位置に隣接するユニット位置を非分類領域としてさらに再割り当てするようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項3】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てする前に、前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出し、
共通して割り当てられたユニット位置の所定の閾値を超える量の算出時に、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
前記分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整した後に、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出するステップと、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップと、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップとを、前記分類マトリックス内の共通して割り当てられたユニット位置の量が前記所定の閾値以下になるように計算されるまで反復する、
ようにさらに実行可能であり、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするための前記プログラム命令が、前記共通して割り当てられたユニット位置の量が前記所定の閾値以下になるように計算された前記分類領域に関連する前記共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てするためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項4】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てする前に、前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出し、
前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
前記分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整した後に、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の前記共通して割り当てられたユニット位置の量を算出するステップと、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップと、前記分類領域の2又はそれ以上に共通して割り当てられた前記分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップとを所定の回数反復する、
ようにさらに実行可能であり、
前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするための前記プログラム命令が、前記共通して割り当てられたユニット位置の量が最も少ない前記分類領域に関連する前記共通して割り当てられたユニット位置を非分類領域として再割り当てするためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項5】
前記複数の分類領域が楕円形であり、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するための前記プログラム命令が、前記複数の分類領域の1又はそれ以上の主軸、短軸、仰角、及び方位角のうちの少なくとも1つの値を調整するステップを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の記憶媒体。
【請求項6】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
複数の粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、
前記分類マトリックス内の、前記データの少なくとも一部が対応するユニット位置を識別し、
前記複数の分類領域に関する前記複数の粒子の分類効率を計算し、
所定の閾値を下回る分類効率の算出時に、前記複数の分類領域のうちの1又はそれ以上の1又はそれ以上の次元属性値を調整し、
分類効率を計算するステップと、所定の閾値を下回る分類効率の算出時に1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを、前記所定の閾値以上の分類効率が算出されるまで繰り返す、
ようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の記憶媒体。
【請求項7】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするステップの前に、分類効率を計算するステップと、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを繰り返すようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の記憶媒体。
【請求項8】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、前記分類マトリックスのユニット位置を非分類領域として再割り当てするステップの後に、分類効率を計算するステップと、前記1又はそれ以上の次元属性値を調整するステップとを繰り返すようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項6に記載の記憶媒体。
【請求項9】
プロセッサと、プログラム命令を含む記憶媒体と、を備え、前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
アッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換し、
前記第2の値を第1の整数に換算し、
前記第1の値を数学的に変換するために使用した変換式とは逆の変換式を前記第1の整数に適用することにより、前記第1の整数を第3の値に数学的に変換し、
前記第3の値を第2の整数に換算し、
前記第2の整数を前記アッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点の置き換え値として指定する、
ように実行可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記アッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点に対応する前記第1の値を数学的に変換するための前記プログラム命令が、前記アッセイ粒子集団カテゴリの中心となる点に対応する値を数学的に変換するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の整数を、アッセイ分析に向けて粒子集団に着色するための目標として指定するためのプログラム命令をさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の値を数学的に変換するための前記プログラム命令が、前記第1の値を、対数ベースの式、指数関数を含む式、累乗を含む式、2項式を含む式、テイラー又はマクローリン級数を含む式、パラメータ方程式を含む式、座標変換を含む式、又は前記第1の値に定数を乗算する又は定数を加算する式で数学的に処理するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の値を数学的に変換するために使用する前記変換式を前記第2の整数に適用することにより前記第2の整数を第4の値に数学的に変換するためのプログラム命令と、
前記第4の値とこれに最も近い整数との間の差分を計算するためのプログラム命令と、
所定の閾値よりも大きな差分の算出時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄するためのプログラム命令と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の値を数学的に変換するために使用する前記変換式を前記第2の整数に適用することにより前記第2の整数を第4の値に数学的に変換するためのプログラム命令と、
前記第4の値とこれに最も近い整数との間の第1の差分を計算するためのプログラム命令と、
前記第2の値とこれに最も近い整数との間の第2の差分を計算するためのプログラム命令と、
前記第2の差分が前記第1の差分よりも小さいと判定されると同時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄するためのプログラム命令と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記プログラム命令が、前記プロセッサにより、
それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の点に対応する第1の値を第2の値に数学的に変換するステップと、前記第2の値を第1の整数に換算するステップと、前記第1の値を数学的に変換するために使用した変換式とは逆の変換式を前記第1の整数に適用することにより、前記第1の整数を第3の値に数学的に変換するステップと、前記第3の値を第2の整数に換算するステップと、前記第2の整数を前記それぞれのアッセイ粒子集団カテゴリ内の前記点に対応する置き換え値として指定するステップとを、複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリごとに繰り返し、
前記複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリの各々における前記点に対応する前記第1の値を数学的に変換するために使用した前記変換式を前記第2の整数に適用することにより、前記複数の異なるアッセイ粒子集団カテゴリごとに計算した個々の前記第2の整数を第4の値に数学的に変換し、
前記第4の値とこれらにそれぞれ最も近い整数との間の第1の差分を計算し、
所定の閾値を上回る前記差分の割合を計算し、
事前に設定したレベルよりも大きな割合の算出時に、前記第2の整数の前記置き換え値としての前記指定を破棄する、
ようにさらに実行可能である、
ことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得するステップと、
前記測定可能パラメータの少なくとも1つに関連する値により構成される、個々の粒子の前記データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別するステップと、
前記識別したユニット位置に対応する前記データを前記分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動させるステップと、
前記平行移動したデータが、前記分類マトリックス内の事前設定した位置に存在する目標空間に収まるかどうかを判定するステップと、
前記データを平行移動させるステップと、前記平行移動したデータが前記分類マトリックス内の異なる所定の座標経路の前記目標空間に収まるかどうかを判定するステップとを、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することと、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することなく前記データを事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動させることとを含む2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すステップと、
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定される、前記粒子を、前記データが前記目標空間に収まるように平行移動させた前記所定の座標経路に関連する粒子集団に分類するステップと、
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定することなく、前記データを前記事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動をさせると、
他の目標空間を評価に利用できない場合、前記粒子をリジェクトクラスに分類することと、
前記データを平行移動させるステップと、前記平行移動したデータが前記所定の座標経路を介して異なる目標空間に収まるかどうかを判定するステップとを、前記2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すことと、
を含む2つのアクションアイテムの一方を行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
分類マトリックス内のユニット位置を識別する前記ステップが、前記ユニット位置を含む前記分類マトリックスのセグメントを識別するステップをさらに含み、前記データを平行移動させる前記ステップが、前記識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って前記データを平行移動させるステップを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、単一の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、前記同じ点を中心とする複数の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記平行移動したデータが前記目標空間に収まるかどうかを判定する前記ステップが、
前記データを平行移動させる前記ステップ中に、前記目標空間を含む多様な分類形状の1つを表すコードを検出するステップと、
前記コードが検出されるように前記データを平行移動した前記所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するステップと、
前記検出したコードを、前記識別した粒子集団に関連する有効な形状コードと比較するステップと、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされると判定すると同時に、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まると判定するステップと、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされないと判定すると同時に、前記平行移動したデータが前記目標空間に収まらないと判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する前記ステップが、前記分類マトリックスに含まれる粒子集団ごとの有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するステップを含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較する前記ステップが、
第1のレジスタ内の前記識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するステップと、
第2の異なるレジスタ内の前記参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するステップと、
を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
プログラム命令を含む記憶媒体であって、該プログラム命令が、プロセッサにより、
粒子の測定可能パラメータに対応するデータを取得し、
前記測定可能パラメータの少なくとも1つに関連する値により構成される、個々の粒子の前記データの少なくとも一部が対応する分類マトリックス内のユニット位置を識別し、
前記分類マトリックス内の既知の位置に存在する目標空間を前記分類マトリックス内の所定の座標経路に沿って平行移動させ、
前記平行移動した目標空間が、前記分類マトリックスの前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定し、
前記目標空間を平行移動させるステップと、前記平行移動した目標空間が前記分類マトリックス内の異なる所定の座標経路の前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するステップとを、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することと、前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することなく前記目標空間を事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動させることとを含む2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返し、
前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定されると、前記粒子を、前記目標空間を前記識別したユニット位置を含むように平行移動させた前記所定の座標経路に関連する粒子集団に分類し、
前記目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定することなく、前記目標空間を前記事前設定した所定の座標経路数だけ平行移動をさせると、
他の目標空間を評価に利用できない場合、前記粒子をリジェクトクラスに分類することと、
異なる目標空間を平行移動させるステップと、前記異なる平行移動した目標空間が前記所定の座標経路を介して前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するステップとを、前記2つの決定的行為の一方が行われるまで繰り返すことと、
を含む2つのアクションアイテムの一方を行う、
ように実行可能である、
ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項24】
分類マトリックス内のユニット位置を識別するためのプログラム命令が、前記分類マトリックスの前記ユニット位置を含むセグメントを識別するためのプログラム命令をさらに含み、前記目標空間を平行移動させるための前記プログラム命令が、前記識別したセグメントに関連する所定の座標経路に沿って前記目標空間を平行移動させるためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項25】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、単一の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項26】
前記目標空間及び前記異なる目標空間の少なくとも一方が、前記同じ点を中心とする複数の分類領域構成の周辺部を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の記憶媒体。
【請求項27】
前記平行移動した目標空間が、前記識別したユニット位置を含むかどうかを判定するためのプログラム命令が、
前記目標空間を平行移動させる前記ステップ中に、前記目標空間を含む多様な分類形状の1つを表すコードを検出するためのプログラム命令と、
前記目標空間が検出されるように前記目標空間を平行移動した前記所定の座標経路に関連する粒子集団を識別するためのプログラム命令と、
前記検出したコードを、前記識別した粒子集団に関連する有効な形状コードと比較するためのプログラム命令と、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされると判定すると同時に、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含むと判定するためのプログラム命令と、
前記検出したコードが前記識別した粒子集団の有効な形状コードとしてリストされないと判定すると同時に、前記平行移動した目標空間が前記識別したユニット位置を含まないと判定するためのプログラム命令と、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の記憶媒体。
【請求項28】
前記検出したコードを有効な形状コードのリストと比較するための前記プログラム命令が、前記分類マトリックスに含まれる粒子集団ごとの有効な形状コードをリストするレジスタ内の有効な形状コードのリストを識別するためのプログラム命令を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の記憶媒体。
【請求項29】
前記検出したコードを有効な分類コードのリストと比較するための前記プログラム命令が、
第1のレジスタ内の前記識別した粒子集団に関連する形状コードの塊を表す指標を参照するためのプログラム命令と、
第2の異なるレジスタ内の前記参照した指標に関連する有効な形状コードのリストを識別するためのプログラム命令と、
を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−528443(P2011−528443A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518943(P2011−518943)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/051039
【国際公開番号】WO2010/009424
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/051039
【国際公開番号】WO2010/009424
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
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