説明

分析システム

【課題】 処理能力が低下するのを抑制するとともに、ユーザにとって必要でない情報の送信を行わないようにすることが可能な分析システムを提供する。
【解決手段】 この分析システムは、分析物を収容した容器を搬送する第1搬送装置および第2搬送装置と、分析物の分析結果を第1コンピュータ(PC)に送信する第1分析装置と、分析が必要か否かを第1PCに問合せその結果に基づいて分析を行う第2分析装置と、第2分析装置の分析結果情報を第1PCに送信する第1送信手段と、第2分析装置におけるメンテナンス情報を第2PCに送信する第2送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分析システムに関し、特に、コンピュータに情報が送信される分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、検査システムや分析システムの複雑化に伴って、検査システムや分析システムからホストコンピュータに送信される情報量が増加してきている。この場合、検査システムや分析システムからホストコンピュータに至る経路にデータが集中するので、その分、検査システムや分析システムとホストコンピュータとの間のデータ処理が遅くなる。これにより、検査システムや分析システムの処理能力が低下するという不都合がある。
【0003】
そこで、従来、検査システムや分析システムの処理能力が低下するのを抑制するために、種々の技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、搬送ラインユニットが機構系制御データ通信を行い、処理ユニットが機構系制御データ通信および検体データ通信を行う臨床検査システムが開示されている。この特許文献1に開示された臨床検査システムでは、処理ユニットに関するデータは、処理ユニットからホストコンピュータに送信され、搬送ラインユニットに関するデータは、搬送ラインユニットからホストコンピュータに送信されるので、ホストコンピュータへの送信が2つの経路に分散される。これにより、ホストコンピュータへの送信が1つの経路で行われる場合に比べて、ホストコンピュータへの送信経路にデータが集中するのが抑制されるので、臨床検査システムの処理能力が低下するのが抑制される。
【0005】
【特許文献1】特開平11−237384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された臨床検査システムでは、処理ユニットまたは搬送ラインユニットが大量のデータを送信するユニットである場合には、処理ユニットまたは搬送ラインユニットからホストコンピュータに至る経路にデータが集中するという不都合がある。このため、たとえば、搬送ラインユニットからホストコンピュータに至る経路にデータが集中した場合に、搬送ユニットからホストコンピュータに問い合わせなどが行われると、ホストコンピュータからの応答がないかまたは応答が遅くなるので、その分、臨床検査システムの処理が遅くなるという不都合が生じる。この場合には、上記特許文献1に開示された臨床検査システムを用いたとしても、臨床検査システムの処理能力の低下を抑制するのは困難であるという問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献1に開示された臨床検査システムでは、処理ユニットおよび搬送ラインユニットからの全ての情報が最終的にホストコンピュータに送信されるため、ホストコンピュータでのデータ処理量が多くなる。この場合にも、上記と同様、搬送ラインユニットからホストコンピュータに問い合わせなどを行うと、ホストコンピュータからの応答がないかまたは応答が遅くなるので、その分、臨床検査システムの処理が遅くなり、その結果、臨床検査システムの処理能力の低下を抑制するのが困難になる。
【0008】
また、上記特許文献1に開示された臨床検査システムでは、処理ユニットまたは搬送ラインユニットからの全ての情報がホストコンピュータに送信されるため、ユーザにとって必ずしも必要でないデータもホストコンピュータに送信されてしまうという問題点もある。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、処理能力が低下するのを抑制するとともに、ユーザにとって必要でない情報の送信を行わないことが可能な分析システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の第1の局面による分析システムは分析物を収容した容器を搬送する第1搬送装置と、前記第1搬送装置によって搬送される前記容器に収容された前記分析物を分析するとともに、前記分析物の分析結果を第1のコンピュータに送信する第1分析装置と、前記第1分析装置に搬送された後の前記分析物を収容した前記容器を前記第1搬送装置から受け取って搬送する第2搬送装置と、前記第2搬送装置によって搬送される前記容器に収容された前記分析物について分析が必要か否かの問い合わせを前記第1コンピュータに行い、前記第1コンピュータから問い合わせの結果に応じて前記分析物の分析を行う第2分析装置と、前記第2分析装置による分析物の分析結果情報を前記第1コンピュータに送信する第1送信手段と、前記第2分析装置で発生した異常の情報を含むメンテナンス情報を前記第1コンピュータとは異なる第2のコンピュータに送信する第2送信手段とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
この第1の局面による分析システムでは、第1コンピュータにデータが集中することが可能になり、第2分析装置から第1コンピュータに分析の要否の問い合わせを行う場合に、第1コンピュータからの応答がないかまたは応答が遅くなるのを抑制することができるので、分析システムの処理が遅くなるのを抑制することができる。その結果、分析システムの処理能力が低下するのを抑制することができる。また、第2コンピュータでメンテナンス情報を管理できるためサービスエンジニアによるメンテナンス効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による分析システムとユーザ側のホストコンピュータとの関係を説明するためのブロック図であり、図2は、図1に示した第1実施形態による分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【0014】
まず、図1および図2を参照して、第1実施形態の分析システム100の全体構成について説明する。第1実施形態の分析システム100は、図1に示すように、第分析装置110と、第搬送装置120と、第分析装置130と、第搬送装置140とを備えている。また、第1分析装置110は、ユーザ側のホストコンピュータ200および第1搬送装置120と接続されており、第分析装置130は、ユーザ側のホストコンピュータ200および第搬送装置140と接続されている。また、第搬送装置120は、ユーザ側のホストコンピュータ200、第分析装置110および第搬送装置140と接続されている。
【0015】
また、第分析装置110は、ホストコンピュータ200および第搬送装置120と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。また、第搬送装置120は、ホストコンピュータ200、第分析装置110および第搬送装置140と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。また、第分析装置130は、ホストコンピュータ200および第搬送装置140と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでおり、第搬送装置140は、第分析装置130および第搬送装置120と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。
【0016】
また、第分析装置110および第分析装置130は、たとえば、尿分析装置である。この場合、第分析装置110は、図2に示すように、第分析装置130の後段に接続され、第分析装置130の尿検査結果をさらに詳細に分析および検査するために設置されている。第搬送装置120は、第分析装置110に検体を自動的に供給する装置であり、第搬送装置140は、第分析装置130に検体を自動的に供給する装置である。また、第分析装置110は、測定部111と表示部112とを含んでおり、第分析装置130は、測定部131と表示部132とを含んでいる。
【0017】
ここで、第1実施形態では、図1および図2に示すように、第搬送装置120に、第搬送装置120の操作設定を行うとともに、第搬送装置120からのメンテナンス情報をホストコンピュータ200に送信するか否かを設定するための設定部121が設けられている。また、この設定部121は、図2に示すように、複数の設定キーを含むキー入力部121aと、表示部としてのLCDディスプレイ121bとから構成されている。また、第1搬送装置120には、検体が収容された複数本(本実施形態では10本)の検体容器151が収納された検体ラック150を搬送するための搬送部122が設けられている。この搬送部122は、発送部122aと横送り部122bと回収部122cとから構成されている。
【0018】
また、第搬送装置140は、第搬送装置140の操作設定を行うための設定部141と、検体が収容された複数の検体容器151が収納された検体ラック150を搬送するための搬送部142と、通常の検体の測定に割り込んで検査する際に用いる割り込み検体処理部143とを含んでいる。また、設定部141は、複数の設定キーを含むキー入力部141aと、表示部としてのLCDディスプレイ141bとから構成されている。また、搬送部142は、発送部142aと横送り部142bと排出部142cとから構成されている。
【0019】
図3は、図2に示した第1実施形態による分析システムの測定動作を説明するための概略図であり、図4は、図1に示した第1実施形態による分析システムの測定問い合わせ動作を説明するためのフローチャートである。次に、図1〜図4を参照して、第1実施形態による分析システムの測定動作について説明する。
【0020】
この第1実施形態による分析システム100では、図3に示すように、検体(尿)が収容された複数の検体容器151が収納された検体ラック150が図3中の矢印に沿って自動的に搬送される。具体的には、まず、検体が収容された複数の検体容器151が収納された検体ラック150を第2搬送装置140の発送部142aにセットする。そして、設定部141のスタートキーを押す。これにより、第搬送装置140の発送部142aにセットされた検体ラック150が横送り部142bに搬送される。そして、横送り部142bで検体ラック150が一検体容器151分ずつ横送りされることにより、検体ラック150が第分析装置130の測定部131に搬送される。そして、第分析装置130の測定部131において、検体ラック150に収納された検体容器151内に収容された検体が順次全数測定される。そして、第分析装置130は、検体の測定データをホストコンピュータ200(図1参照)に送信する。また、検体ラック150は、横送り部142bから排出部142cに搬送された後、第搬送装置120の発送部122aに搬送される。そして、第搬送装置120は、発送部122aに検体ラック150が搬送されたことを検知して動作を開始する。
【0021】
そして、第搬送装置120の発送部122aに搬送された検体ラック150は、第搬送装置120の横送り部122bに搬送される。その後、横送り部122bで検体ラック150が一検体容器151分ずつ横送りされることにより、検体ラック150が第分析装置110の測定部111に搬送される。第分析装置110の測定部111では、第分析装置130の尿検査結果に基づいて、第分析装置110による詳細な尿検査が必要と判断された検体のみ測定を行う。
【0022】
ここで、図4を参照して、第分析装置110で検体を測定するか否かの測定問い合わせ動作について説明する。まず、ステップ1(S1)において、第搬送装置120が、その検体について第分析装置110での検査が必要か否かをホストコンピュータ200に問い合わせる。なお、この問い合わせは、第分析装置130の測定部131での測定を終了した検体ラック150の検体容器151が第分析装置110の測定部111に搬送されるまでの間に行う。そして、ステップ2(S2)において、ホストコンピュータ200が、第分析装置130の測定データに基づいてその検体について第分析装置110での検査が必要と判断したか否かが判定される。ホストコンピュータ200がその検体について第分析装置110での検査が必要と判断した場合には、ステップ3(S3)において、ホストコンピュータ200が第搬送装置120に第分析装置110での検査が必要という情報を送信する。そして、ステップ4(S4)において、第搬送装置120が第分析装置110にその検体の測定をするように指示する情報を送信する。この場合には、第分析装置110の測定部111において、その検体の測定が行われる。
【0023】
その一方、ステップ2において、ホストコンピュータ200がその検体について第分析装置110での検査が必要でないと判断した場合には、ステップ5(S5)において、ホストコンピュータ200が第搬送装置120に第分析装置110での検査が不要という情報を送信する。この場合には、第分析装置110の測定部111においてその検体の測定は行われない。
【0024】
上記のようにして、第分析装置110の測定部111では、第分析装置130の尿検査結果に基づいて、第分析装置110による詳細な尿検査が必要と判断された検体のみ測定が行われる。そして、第分析装置110の測定部111で測定された検体の測定データが、図1に示すように、第分析装置110からホストコンピュータ200に送信される。この第分析装置110からホストコンピュータ200に送信される測定データは、データ量の多いスキャッタデータなどのグラフィックデータを含む。
【0025】
この後、検体ラック150は、図3に示すように、横送り部122bから回収部122cに搬送される。回収部122cに到着した検体ラック150の情報は、図1に示すように、収納情報として、第搬送装置120からホストコンピュータ200に送信される。上記のような動作が各検体ラック150について順次行われる。
【0026】
なお、検体ラック150を用いて行う通常の検体の測定に割り込んで測定を行う場合には、図3に示すように、設定部141のストップキーを押すとともに、割り込み検体処理部143に検体が収容された検体容器151aを配置する。そして、第分析装置130の測定部131で検体容器151aに収容された検体の測定を行う。
【0027】
次に、第1実施形態におけるメンテナンス情報の詳細について説明する。第1実施形態におけるメンテナンス情報は、メンテナンス時に用いる情報であり、以下の(1)〜(10)に示すような情報が含まれる。
【0028】
すなわち、メンテナンス情報としては、(1)第分析装置110、第搬送装置120、第分析装置130および第搬送装置140の現在の状態を示す情報(ライン情報)、(2)搬送ライン上の検体ラック150の位置情報(ラック位置情報)、(3)第搬送装置120の設定部121および第搬送装置140の設定部141でのキー入力の内容に関する情報(搬送装置操作情報)、(4)第搬送装置120および第搬送装置140の第分析装置110および第分析装置130に対する測定関連コマンドの送受信履歴に関する情報(対装置送受信情報)、(5)割り込みや検体ラック150の再セット完了の情報(ラック管理情報)、(6)第搬送装置120および第搬送装置140のシステム設定の情報(システム設定情報)、(7)第分析装置110および第分析装置130のエラー情報(分析装置異常情報)、(8)第搬送装置120および第搬送装置140のプログラムのバージョン情報など(プログラム情報)、(9)第分析装置110および第分析装置130の装置IDやプログラム情報(装置プログラム情報)、(10)第搬送装置120および第搬送装置140でのエラーの発生および復旧の情報(エラー情報)などが含まれる。
【0029】
上記(1)のライン情報は、第分析装置110、第搬送装置120、第分析装置130および第搬送装置140に状態変化が発生した時に送信される。上記(2)のラック位置情報は、検体ラック150のラック位置が変化した時に送信される。また、上記(3)の搬送装置操作情報は、第搬送装置120の設定部121および第搬送装置140の設定部141での設定キーの入力時に送信される。また、上記(4)の対装置送受信情報は、第搬送装置120および第搬送装置140の第分析装置110および第分析装置130に対する測定関連コマンドの送信時および測定結果コマンドの受信時に送信される。上記(5)のラック管理情報は、第搬送装置120の設定部121または第搬送装置140の設定部141のストップキーの入力により割り込みが発生した時、または、検体ラック150の再セットの完了時に送信される。
【0030】
また、上記(6)のシステム設定情報は、第搬送装置120または第搬送装置140のシステム設定の変更時、および、第搬送装置120とホストコンピュータ200との通信確立時に送信される。また、上記(7)の分析装置異常情報は、第分析装置110または第分析装置130に異常が発生した時に送信される。また、上記(8)のプログラム情報は、第搬送装置120とホストコンピュータ200との通信確立時に送信される。上記(9)の装置プログラム情報は、第分析装置110および第分析装置130の起動時、または、第搬送装置120とホストコンピュータ200との通信確立時に送信される。また、上記(10)のエラー情報は、第搬送装置120または第搬送装置140に異常(エラー)が発生した時に送信される。
【0031】
上記したように、第1実施形態による分析システム100では、第搬送装置120の設定部121において、第搬送装置120からホストコンピュータ200にメンテナンス情報(1)〜(10)を送信するか否かの設定を行うことが可能である。図5は、図1に示した第1実施形態による分析システムにおけるメンテナンス情報の送信手順を説明するためのフローチャートである。
【0032】
以下、図5を参照して、メンテナンス情報(1)〜(10)の送信手順について説明する。まず、ステップ11(S11)において、上記したメンテナンス情報(1)〜(10)の中で送信すべきメンテナンス情報が発生した場合に、ステップ12(S12)において、メンテナンス情報をホストコンピュータ200に送信する設定がなされているか否かが判断される。ステップ12において、メンテナンス情報をホストコンピュータ200に送信する設定がなされていると判断された場合には、ステップ13(S13)において、第搬送装置120からホストコンピュータ200にメンテナンス情報を送信する。ホストコンピュータ200は、メンテナンス情報の受信時に、メンテナンスログとしての保存のみを行い、特定の動作は行わない。なお、ステップ12において、メンテナンス情報をホストコンピュータ200に送信する設定がされていないと判断された場合には、メンテナンス情報をホストコンピュータ200に送信せずに終了する。
【0033】
第1実施形態による分析システム100では、上記のように、第搬送装置120からホストコンピュータ200に至るメンテナンス情報(1)〜(10)をホストコンピュータ200に送信するか否かを設定するための設定部121を設けることによって、設定部121により、メンテナンス情報(1)〜(10)をホストコンピュータ200に送信しないように設定すれば、第搬送装置120からホストコンピュータ200に至る経路にデータが集中するのを抑制することができるとともに、ホストコンピュータ200のデータ処理量を減少させることができる。これにより、第搬送装置120からホストコンピュータ200に第分析装置110での分析が必要か否かの測定問い合わせを行う場合に、ホストコンピュータ200からの応答がないかまたは応答が遅くなるのを抑制することができる。その結果、第分析装置110での測定処理が遅くなるのを抑制することができるので、分析システム100の処理能力が低下するのを抑制することができる。また、第搬送装置120からユーザ側のホストコンピュータ200にメンテナンス情報を送信するように設定部121により設定すれば、メンテナンス時にユーザ側のホストコンピュータ200に保存されたメンテナンス情報を分析することができるので、異常状態の分析などを容易に行うことができる。
【0034】
また、第1実施形態では、第搬送装置120からホストコンピュータ200にメンテナンス情報を送信するか否かを設定するための設定部121を設けることによって、メンテナンス情報がユーザに必要でない場合には、メンテナンス情報を第搬送装置120からユーザ側のホストコンピュータ200に送信しないように設定することができるとともに、メンテナンス情報がユーザに必要な場合には、メンテナンス情報を第搬送装置120からユーザ側のホストコンピュータ200に送信するように設定することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、第搬送装置120が、第分析装置110での測定が必要か否かをホストコンピュータ200に問い合わせるように構成することによって、容易に、ホストコンピュータ200への問い合わせ結果に基づいて、第分析装置110での分析が必要な検体についてのみ測定を行うことができる。
【0036】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態による分析システムとユーザ側のホストコンピュータおよびメンテナンス用PCとの関係を示したブロック図である。図6を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、メンテナンス情報をメンテナンス用PCに送信する場合について説明する。
【0037】
この第2実施形態による分析システム300は、第分析装置310と、第搬送装置320と、第分析装置330と、第搬送装置340とを備えている。なお、第分析装置310、第搬送装置320、第分析装置330および第搬送装置340は、上記第1実施形態の第分析装置110、第搬送装置120、第分析装置130および第搬送装置140と同様の構成を有する。ただし、この第2実施形態における第搬送装置320の設定部321は、上記第1実施形態と異なり、第搬送装置320の操作設定のみを行うことができ、メンテナンス用PC500へメンテナンス情報を送信するか否かの設定を行うことはできない。なお、第搬送装置340の設定部341は、上記第1実施形態と同様、第搬送装置340の操作設定を行うためのものである。
【0038】
また、第分析装置310は、ユーザ側のホストコンピュータ400および第搬送装置320と接続されており、第分析装置330は、ユーザ側のホストコンピュータ400および第搬送装置340と接続されている。
【0039】
ここで、この第2実施形態では、第搬送装置320は、メンテナンス用PC500、第分析装置310および第搬送装置340と接続されている。
【0040】
また、第2実施形態では、第分析装置310は、ホストコンピュータ400および第搬送装置320と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。また、第搬送装置320は、メンテナンス用PC500、第分析装置310および第搬送装置340と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。また、第分析装置330は、ホストコンピュータ400および第搬送装置340と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでおり、第搬送装置340は、第分析装置330および第搬送装置320と情報の通信を行う回路(図示せず)を含んでいる。
【0041】
また、この第2実施形態では、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に、上記第1実施形態と同様のメンテナンス情報(1)〜(10)が送信される。なお、この第2実施形態では、第分析装置330で測定した検体について第分析装置310による測定が必要か否かの問い合わせは、第分析装置310からホストコンピュータ400に対して行う。また、第分析装置310および第分析装置330から、それぞれ、測定データがホストコンピュータ400に送信される。この場合、第2実施形態では、第分析装置310からホストコンピュータ400に送信される測定データは、上記第1実施形態と異なり、データ量の多いグラフィックデータであるスキャッタデータを含まない。
【0042】
なお、第2実施形態の分析システム300による測定動作は、上記第1実施形態の分析システム100による測定動作と同じである。
【0043】
次に、図6〜図9を参照して、第2実施形態におけるメンテナンス情報の送信について詳細に説明する。第2実施形態によるメンテナンス情報の送信手順としては、上記した第1実施形態と同様の各メンテナンス情報(1)〜(10)を、上記した各メンテナンス情報(1)〜(10)の送信時期に、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に送信する。なお、第2実施形態では、メンテナンス情報(1)〜(10)をメンテナンス用PC500に送信するか否かの設定を行う設定部は設けられていないので、メンテナンス情報(1)〜(10)は、必ず第搬送装置320からメンテナンス用PC500に送信される。
【0044】
たとえば、メンテナンス情報(1)〜(10)のうち、上記(7)の第分析装置310または第分析装置330に異常(エラー)が発生したことを示す分析装置異常情報の送信フローとしては、図7に示すように、ステップ21(S21)において、第分析装置310または第分析装置330に異常が発生したか否かが判断される。ステップ21において、第分析装置310または第分析装置330に異常が発生したと判断された場合には、ステップ22(S22)により、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に上記(7)の分析装置異常情報が送信される。すなわち、第分析装置310に異常が発生したと判断された場合には、第分析装置310から第搬送装置320を介して、第分析装置310に関する分析装置異常情報がメンテナンス用PC500に送信される。また、第分析装置330に異常が発生したと判断された場合には、第分析装置330から第搬送装置340および第搬送装置310を介して、第分析装置330に関する分析装置異常情報がメンテナンス用PC500に送信される。また、ステップ21において、第分析装置310または第分析装置330に異常が発生していないと判断された場合は、再びステップ21が繰り返される。なお、分析装置異常情報を受信したメンテナンス用PC500は、受信時刻とともに、分析装置異常情報を記憶する。
【0045】
また、メンテナンス情報のうち、上記(10)の第搬送装置320および第搬送装置340でのエラーの発生および復旧の情報であるエラー情報は、第搬送装置320または第搬送装置340にエラー(異常)が発生した時に送信される。この場合の送信フローとしては、図8に示すように、ステップ31(S31)において、第搬送装置320または第搬送装置340にエラー(異常)が発生したか否かが判断される。ステップ31において、第搬送装置320または第搬送装置340にエラーが発生したと判断された場合には、ステップ32(S32)により、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に、上記(10)のエラーの発生および復旧の情報であるエラー情報が送信される。すなわち、第搬送装置320にエラーが発生したと判断された場合には、第搬送装置320のエラーの発生および復旧に関する情報が第搬送装置320からメンテナンスPC500に送信される。また、第搬送装置340にエラーが発生したと判断された場合には、第搬送装置340から第搬送装置320を介して、第搬送装置340のエラーの発生および復旧に関する情報がメンテナンスPC500に送信される。また、ステップ31において、第搬送装置320または第搬送装置340にエラーが発生していないと判断された場合は、再びステップ31が繰り返される。なお、上記エラー情報を受信したメンテナンス用PC500は、受信時刻とともに、上記エラー情報を記憶する。
【0046】
また、メンテナンス情報のうち、上記(3)の第搬送装置320の設定部321および第搬送装置340の設定部341でのキー入力の内容に関する搬送装置操作情報の送信フローとしては、図9に示すように、ステップ41(S41)において、第搬送装置320の設定部321または第搬送装置340の設定部341でキー入力が発生したか否かが判断される。そして、ステップ41において、キー入力が発生したと判断された場合には、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に搬送装置操作情報が送信される。すなわち、第搬送装置320の設定部321でキー入力が発生したと判断された場合には、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に、第搬送装置320に関する搬送装置操作情報が送信される。また、第搬送装置340の設定部341でキー入力が発生したと判断された場合には、第搬送装置340から第搬送装置320を介してメンテナンス用PC500に、第搬送装置340に関する搬送装置操作情報が送信される。また、ステップ41において、第搬送装置320の設定部321および第搬送装置340の設定部341でキー入力が発生していないと判断された場合は、再びステップ41が繰り返される。なお、搬送装置操作情報を受信したメンテナンス用PC500は、受信時刻とともに、搬送装置操作情報を記憶する。
【0047】
第2実施形態では、上記のように、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に、第分析装置310、第分析装置330、第搬送装置320および第搬送装置340で発生した異常の情報(分析装置異常情報およびエラー情報)を含むメンテナンス情報を送信することによって、第分析装置310、第分析装置330、第搬送装置320および第搬送装置340に関する異常の情報をメンテナンス用PC500により容易に管理することができる。これにより、メンテナンス時に、メンテナンス用PC500に保存された異常の情報(分析装置異常情報およびエラー情報)を分析することができるので、メンテナンス効率を向上させることができる。
【0048】
また、第2実施形態では、異常の情報(分析装置異常情報およびエラー情報)を、第分析装置310、第分析装置330、第搬送装置320および第搬送装置340に異常が発生した時に第搬送装置320からメンテナンス用PC500に送信するように構成することによって、異常の情報をリアルタイムでメンテナンス用PC500により管理することができる。
【0049】
また、第2実施形態では、第搬送装置320からメンテナンス用PC500に送信されるメンテナンス情報として、第搬送装置320および第搬送装置340の操作履歴を示す上記(3)の搬送装置操作情報を含むように構成することによって、サービスエンジニアがメンテナンス用PC500を分析することにより、第搬送装置320または第搬送装置340をどのように操作した時に異常が発生したかを正確に知ることができるので、これによっても、メンテナンス効率を向上させることができる。
【0050】
また、第2実施形態では、メンテナンス情報をメンテナンス用PC500に送信することによって、送信される情報がメンテナンス用PC500およびホストコンピュータ400に分散されるので、ホストコンピュータ400に、メンテナンス情報、測定データおよび問い合わせが送信される場合と異なり、ホストコンピュータ400にデータが集中するのを抑制することができる。これにより、ホストコンピュータ400のデータ処理量を減少させることができるので、第分析装置310からホストコンピュータ400に第分析装置310での分析が必要か否かの問い合わせなどを行った場合にも、ホストコンピュータ400からの応答がないかまたは応答が遅くなるのを抑制することができる。その結果、第分析装置310での測定処理が遅くなるのを抑制することができるので、分析システム300の処理能力が低下するのを抑制することができる。
【0051】
また、第2実施形態では、第分析装置310からホストコンピュータ400にスキャッタデータを含まない測定データを送信することによって、第分析装置310からホストコンピュータ400に至る経路のデータ量が多くなるのを抑制することができる。これにより、第分析装置310からホストコンピュータ400に第分析装置310での測定が必要か否かの測定問い合わせを行った場合にも、ホストコンピュータ400からの応答がないかまたは応答が遅くなるのを抑制することができる。これによっても、第分析装置310での測定処理が遅れるのを抑制することができるので、分析システム300の処理能力が低下するのを抑制することができる。
【0052】
また、第2実施形態では、メンテナンス情報を専用に管理するメンテナンス用PC500を設けることによって、ユーザ側のホストコンピュータ400を用いることなく、メンテナンス情報を管理することができるので、サービスエンジニアのメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、第分析装置310および第1分析装置330の測定データをユーザ側のホストコンピュータ400に送信することによって、検体の分析結果をユーザ側で容易に管理することができる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明を尿分析装置と搬送装置とを含む分析システムに適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、血液分析装置などの他の分析装置と搬送装置とを含む分析システムなどにも適用可能である。
【0056】
また、上記第1実施形態では、第搬送装置からホストコンピュータにメンテナンス情報を送信するか否かの設定を第搬送装置に設けた設定部により行うようにしたが、本発明はこれに限らず、そのような設定を第分析装置で行うようにしてもよい。
【0057】
また、上記第1実施形態では、第搬送装置に設けた設定部により、全てのメンテナンス情報をホストコンピュータに送信するか否かの設定を行うようにしたが、本発明はこれに限らず、メンテナンス情報をグループ分けして、各グループ毎にホストコンピュータに送信するか否かの設定を行うようにしてもよい。たとえば、第1分析装置および第2分析装置に関する情報と、第1搬送装置および第2搬送装置に関する情報とをグループ分けして、各グループ毎に第搬送装置からホストコンピュータに送信するか否かの設定を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記第1実施形態では、メンテナンス情報のみを第搬送装置からホストコンピュータに送信するか否かの設定を行うことができるようにしたが、本発明はこれに限らず、メンテナンス情報に加えて、収納情報や測定問い合わせについても、ホストコンピュータに送信するか否かの設定を行うことができるようにしてもよい。なお、収納情報とは、回収部122c(図2)に、どの検体容器151が回収されているかを示す情報である。
【0059】
また、上記第2実施形態では、メンテナンス用PC500へメンテナンス情報を送信するか否かの設定を行うことができない例を示したが、本発明はこれに限らず、メンテナンス用PC500へメンテナンス情報を送信するか否かの設定を行うことができるようにしてもよい。このようにすれば、装置の異常が多発している場合など、必要な場合にのみメンテナンス情報をメンテナンス用PC500へ送信することができるので、処理能力の低下を必要最小限に抑えることができる。
【0060】
また、上記第2実施形態では、第1分析装置、第2分析装置、第1搬送装置および第2搬送装置の異常が発生した時点で、第搬送装置から分析装置異常情報およびエラー情報をメンテナンス用PCに送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、第1分析装置、第2分析装置、第1搬送装置および第2搬送装置の異常が発生した時点では異常の情報を送信せずに、第1分析装置、第2分析装置、第1搬送装置および第2搬送装置側で異常の発生履歴に関するログファイルを作成するとともに、所定の時期に、そのログファイルを第搬送装置からメンテナンス用PCに送信するようにしてもよい。このようにすれば、サービスエンジニアが分析システムにどのような異常がどの時点で発生したかを正確に知ることができるので、メンテナンス効率をより向上させることができる。また、第搬送装置とメンテナンス用PCとの通信回数を減少させることができるので、第搬送装置の処理能力の低下を抑制することができる。
【0061】
また、上記第2実施形態では、第分析装置310からホストコンピュータ400にスキャッタデータを含まない測定データを送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、第分析装置310からホストコンピュータ400にスキャッタデータを含む測定データを送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、分析システムの処理能力が低下するのを抑制することができるとともに、ユーザにとって必要でない情報の送信を行わないことが可能な分析システムを提供することができる。また、メンテナンス効率が向上された分析システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態による分析システムとユーザ側のホストコンピュータとの関係を示したブロック図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による分析システムの全体構成を示した斜視図である。
【図3】図2に示した第1実施形態による分析システムの動作を説明するための概略図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による分析システムにおける測定問い合わせ動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示した第1実施形態による分析システムにおけるメンテナンス情報の送信手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による分析システムとユーザ側のホストコンピュータおよびメンテナンス用PCとの関係を示したブロック図である。
【図7】図6に示した第2実施形態による分析システムの分析装置異常情報の送信フローを説明するためのフローチャートである。
【図8】図6に示した第2実施形態による分析システムのエラー情報の送信フローを説明するためのフローチャートである。
【図9】図6に示した第2実施形態による分析システムの搬送装置操作情報の送信フローを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
100、300 分析システム
110、310 第1分析装置
120、320 第1搬送装置
121 設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物を収容した容器を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置によって搬送される前記容器に収容された前記分析物を分析するとともに、前記分析物の分析結果を第1のコンピュータに送信する第1分析装置と、
前記第1分析装置に搬送された後の前記分析物を収容した前記容器を前記第1搬送装置から受け取って搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置によって搬送される前記容器に収容された前記分析物について分析が必要か否かの問い合わせを前記第1コンピュータに行い、前記第1コンピュータから問い合わせの結果に応じて前記分析物の分析を行う第2分析装置と、
前記第2分析装置による分析物の分析結果情報を前記第1コンピュータに送信する第1送信手段と、
前記第2分析装置で発生した異常の情報を含むメンテナンス情報を前記第1コンピュータとは異なる第2のコンピュータに送信する第2送信手段と、を備えた分析システム
【請求項2】
前記第1コンピュータはホストコンピュータであり、前記第2コンピュータはメンテナンス用コンピュータである、請求項1記載の分析システム。
【請求項3】
前記メンテナンス情報は前記第2分析装置で発生した異常の履歴を示す情報を含む、請求項1または請求項2に記載の分析システム。
【請求項4】
前記第2送信手段は、前記第2分析装置で異常が発生した時に第2コンピュータにメンテナンス情報を送信する、請求項1〜3の何れか1項に記載の分析システム。
【請求項5】
前記第1分析装置と前記第1搬送装置は情報の通信が可能であり、前記第1搬送装置と前記第2搬送装置は情報の通信が可能である、請求項1〜4の何れか1項に記載の分析システム。
【請求項6】
前記第2送信手段は、前記第2搬送装置で発生した異常の情報を含むメンテナンス情報を前記第2コンピュータに送信する、請求項1〜5の何れか1項に記載の分析システム。
【請求項7】
前記メンテナンス情報は前記第2搬送装置で発生した異常の履歴を示す情報を含む、請求項6に記載の分析システム。
【請求項8】
前記第2送信手段は、前記第1搬送装置および/または第1分析装置で発生した異常の情報を含むメンテナンス情報を前記第2コンピュータに送信する、請求項5に記載の分析システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−63599(P2009−63599A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330074(P2008−330074)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2003−196907(P2003−196907)の分割
【原出願日】平成15年7月15日(2003.7.15)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】