説明

分析装置および方法

側方流動分析装置およびこの作成方法が開示される。この装置は、生体サンプル中の炭水化物抗原を同定するためのもので、a)サンプル受領ゾーンと、b)固定化されたかさもなければ抽出ゾーンに吸収された少なくとも1つまたは複数の反応体および試薬を含み、反応体および試薬は結合した場合に反応して、前記サンプル中に所望の抗原のための抽出試薬を生成する、前記サンプル受領ゾーンからのサンプルを受領するための抽出ゾーンであり、前記サンプル受領ゾーンに加えられる前記サンプルは、前記抽出ゾーンに存在しない場合には、前記抽出試薬を生成するのに必要な残存反応体を場合によっては含んでいる、抽出ゾーンと、c)場合によっては、結果として得られたサンプルのpHを、分析の操作pH範囲内にもって行くことのできる中和剤と、d)検出する前記抗原のため、標識付けした特定結合試薬または捕捉試薬の検出ゾーンとを有する基材を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭水化物抗原、特に例えば、A群およびB群レンサ球菌を含む、レンサ球菌科などの微生物/細菌性生物体に特徴的な抗原の検出のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レンサ球菌科からなどの、生物体検出のための免疫分析は、一般的に特定の炭水化物抗原ン検出に依存している。細菌壁の外面から付加される抗原性高分子(多糖類、ポリペプチド類など)は、細菌の種、群の種類または系統に特異的である。これらの抗原性高分子が、対応する特異的な抗体に触れると、抗体と抗原は一緒に結合して沈降素を形成する。しかしながら、抗原性高分子は、検出される前に先ず生物体の細胞壁から放出されなければならない。例えば、亜硝酸、ProNase B酵素,ホットルムアミド またはホットHCLを使用する、かかる抽出処理を実施する多くの方法が存在する。亜硝酸の場合、亜硝酸が微生物の外壁に接触したとき、群抗原は、この抗体特有の反応性は不変のまま、溶液へと放出される。
【0003】
側方流動技術を使用する免疫分析試験の大部分は、抽出した抗原を含むサンプルを分析装置に接触させる前に、生物体から炭水化物抗原の抽出に、例えば亜硝酸を使用する。しかしながら亜硝酸は、化学的に不安定である。亜硝酸は、溶液だけが知られており、その上、水の存在の下で、急速に硝酸および一酸化窒素を生成する。その結果、多糖類は、従来、前処理ステップにおいて無機硝酸塩と水性酸の間の反応によって、抗原抽出の直前に生成される亜硝酸によって抽出されている。抽出の後、得られた溶液を分析装置に添加する前に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)などの中和剤を加えて中和する。
【0004】
したがって、炭水化物抗原の抽出およびこの後の検出は、一般的に次の通りである。例えば喉の奥からスワブサンプルを採取し、スワブサンプルを亜硝酸ナトリウム水溶液および酢酸の添加によって生成した亜硝酸を含む薬瓶に挿入する。その後スワブサンプルを攪拌して抗原を溶液に放出する。
【0005】
前記溶液は、抗原の抽出の後に側方流動または他の適切な分析装置に加える前に中和しなければならない。側方流動装置の場合、装置は一般的に抗原に結合できる移動可能標識結合試薬および標識結合試薬から下流に備えられた分析物を結合できる固定化した結合試薬を含んでいる。その後、抗原を在来の様式で、結合試薬複合体を間にはさんだ標識固定化粒子を生成することにより検出することもできる。かかる分析装置は、欧州特許第291194号において開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で説明した方法は、他の従来技術の方法も含めて、全てサンプルを前駆亜硝酸塩と酸とに接触させることによる最初の抗原抽出の独立したステップを必要とする。酸と亜硝酸塩の両方を溶液に含ませてもよいし、または代替方法として、前駆反応体の内の1つを乾燥形態で供給し、後で溶液中に含まれる残りの前駆反応体とサンプルと一緒に接触させてもよい。それでもなお、これら方法のそれぞれは、所望の抗原を検出するために、抗原の抽出の後に、側方流動装置を用いてサンプルを接触させるその後のステップを必要とし、この装置はサンプル抽出からは独立して備えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の方法に伴う問題を緩和し、生物体中の抗原または分析物を検出するためのキットおよび分析装置を提供し、ここにおいて処理ステップの数を大幅に低減し、これによって使用が容易なキットおよび分析装置を探求している。本発明による試験装置は、看護士または医師の事務所における、遠隔設置または家庭設置における試験に関して、特に有用であることが見出され、したがって非専門家要員による使用に特に有用であり適している。
【0008】
したがって、第1の態様により、本発明は以下を提供する:
a)サンプル受領ゾーンと、
b)固定化されたかさもなければ抽出ゾーンに吸収された少なくとも1つまたは複数の反応体または試薬を含み、反応体または試薬は結合した場合に反応して、サンプル中に所望の抗原のための抽出試薬を生成する、前記サンプル受領ゾーンからのサンプルを受領するための抽出ゾーンであり、
前記サンプル受領ゾーンに加えられる前記サンプルは、前記抽出ゾーンに存在しない場合には、前記抽出試薬を生成するのに必要な残存反応体を場合によっては含んでいる、抽出ゾーンと、
c)場合によっては、結果として得られたサンプルのpHを、分析の操作pH範囲内にもって行くことのできる中和剤、
d)検出する前記抗原に特有の、標識付けした特定結合試薬または捕捉試薬を受領する検出ゾーン
とを有する基材を含む、前記生体サンプル中の炭水化物抗原を同定するための側方流動分析装置である。
【0009】
側方流動分析装置は、当技術分野において公知であり、一般的に試薬含有マトリックスを組み込んだ多孔質材料を含む。サンプルは、サンプル受領ゾーンから、下流側の捕捉試薬を含む反応または検出ゾーンへと、横方向に流れることが可能である。かかる装置の操作において、試験サンプルは、装置上のサンプル受領エリアまたはゾーンに適用され、サンプルは多孔質材料を通って適用場所すなわちサンプル受領ゾーンから、適切な捕捉試薬を含む反応または検出ゾーンへと移動または流れる。
【0010】
抽出ゾーンは、サンプル受領ゾーンにまたはこの下流に備えることもできる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前駆反応体は、両方とも前記抽出ゾーン中に独立して備えられ、サンプルの前記基材を通っての移動によって結合したとき反応して前記抽出試薬を生成する。したがって、サンプルの溶液が、分析装置を通って横方向に移動したとき、サンプルは、反応体とサンプルが結合したとき反応して、サンプルに作用することのできる抽出試薬を生し、存在する所望の抗原のいずれをも抽出するように、連続して各反応体と接触する。したがって、本発明の分析装置は、サンプルを基材に加えるステップだけが必要であり、それ故、必要なステップの数およびサンプルの量および反応体の取扱いを最少化する。
【0012】
前駆反応体、すなわち試薬は、酸および酸生成試薬を含み、この酸生成試薬は、酸と反応して亜硝酸を生成することができる。
【0013】
この酸は、分析装置の抽出ゾーン中に乾燥などによって固定化などされ、サンプルが側方流動分析装置を通って移動したとき、サンプルが各試薬と連続して接触し、これらの両方が結合して亜硝酸を生成し、この亜硝酸が次いで生物体から抗原を抽出して検出できるように、他の試薬から分離して備えられることが好ましい。
【0014】
固定化される酸は、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリリン酸、ポリアクリル酸、およびポリメタクリル酸など、酸生成試薬と反応して亜硝酸を生成できるどの適切な酸であってもよい。このような他の酸は、当業者に知られている。
【0015】
しかしながら、酸は、クエン酸、マロン酸、フェニル酢酸、シュウ酸、グリコール酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アゼライン酸、およびセバシン酸などの、非揮発性有機酸を含むことが好ましい。しかしながら、ポリスルホン酸などのポリマー性酸が特に好ましく、前記分析装置上に樹脂の形態で備えることもできる。適切な樹脂の例は、ポリスチレンである。
【0016】
酸は、ポリマー性酸でよく、粒子に接合することで固定化してもよい。酸を粒子に接合する場合、粒子の寸法は、流動サンプルが多孔質キャリヤーの長さ方向に移動できないよう、側方流動分析の孔の寸法より大きくするように選択することが有利なこともある。
【0017】
代替方法として、酸をサンプル受領ウィック(芯)または多孔質キャリヤー自体などの、流動サンプル運搬マトリックスの部分として形成してもよい。これは、例えば、粒状多孔質マトリックスルを含む材料のスルホン化などにより実現することもできる。
【0018】
アルカリ金属亜硝酸塩など、乾燥状態において安定で、固定化された酸と反応して亜硝酸を生成できるどの適切な酸生成試薬を使用することもできる。
【0019】
酸生成試薬は、亜硝酸を含むことが好ましく、亜硝酸は、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよび銀の亜硝酸塩などの無機亜硝酸塩ならびに、ブチルおよびイソアミルの亜硝酸塩などの有機亜硝酸塩のいずれも含むこともできる。ナトリウムおよび亜硝酸カリウムが好ましいが、亜硝酸ナトリウムがもっとも好ましい。抽出試薬中で結合される亜硝酸および有機酸の濃度は、使用する特定の化合物、これらの溶解性およびテストサンプル中に存在する抗原の予想量に応じて、広範囲に変えることができる。
【0020】
亜硝酸ナトリウムを、水溶液または乾燥状態のいずれでも装置に加えることもできる。
【0021】
中和剤も、流動サンプルを抽出ゾーンで接触した後に分析の操作pH範囲にすることが必要な場合には使用することもできる。分析のpH範囲は、捕捉試薬性質および種類(例えば、特定の抗体の種類、この抗体が多クローン抗体または単クローン抗体かなど)ならびに測定する抗原に基づき変えることもできる。ある状況においては、得られたサンプル混合物が分析の操作pH範囲内になるのであれば、中和剤が必要とされないこともある。
【0022】
しかしながら、中和剤は、反応混合物のpHを最適化することを可能にする、換言すれば、分析の感度を最適化することを可能にするので好ましい、一般的なpH範囲は、pH6〜9の間でよい。中和剤は、存在する場合、緩衝化されていることが好ましい。多くのかかる中和緩衝剤が当技術分野において知られているが、好ましいのは、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)である。
【0023】
存在する場合、中和剤の位置は、捕捉試薬の操作pH範囲によって決定される。したがって、中和剤は、抽出ゾーンから下流で捕捉試薬からは上流に備えることもできる。代替方法として、中和剤は、第1の捕捉試薬の下流で、第2の捕捉試薬の上流に備えることもできる。中和剤は、装置内において使用する前は乾燥状態であることが好ましい。
【0024】
本発明の一実施形態において、検出ゾーンは、前記検出抗原に特有の標識付けした結合試薬を含むこともでき、この結合試薬は、検出ゾーン内に乾燥状態かさもなければ固定された形態で備えることもできる。代替方法として、標識付けした特定結合試薬は、試験されるサンプルを加える前に、引き続いて検出ゾーンに加えてもよい。したがって、装置は、一般的に捕捉試薬を含んでおり、捕捉試薬は、最初検出ゾーンに固定化され、特定の分析物または対象とする抗原を捕捉できることが好ましい。代替方法として、この装置は、検出ゾーンまたはこの上流に位置し、分析物または対象の抗原を捕捉することのできる移動可能な標識捕捉試薬を含んでいてもよい。
【0025】
移動可能な標識付けした捕捉試薬が、使用前に装置に備えられている状況においては、この試薬は、任意選択の中和剤から下流に位置することが好ましい。移動可能な捕捉試薬は、流体接触するように配置された別個の多孔質キャリヤーの上および/または内部に備えることもでき、ならびに米国特許第6352862号に開示されているように多孔質キャリヤーの上流に備えることもできる。別個の多孔質キャリヤーは、マクロポーラスでもよく、多孔質キャリヤーとは別の材料でもよい。一実施形態によれば、多孔質キャリヤーはニトロセルロースでありマクロポーラスキャリヤーは、ガラス繊維、またはポリプロピレンなどの合成ポリマー材料の1つから選択される。
【0026】
代替方法として、移動可能な捕捉試薬を、サンプル受領ウィックまたは多孔質キャリヤーの領域に備えてもよい。
【0027】
捕捉試薬は、炭水化物抗原と結合ペアーを形成できるどの種族から選択することもでき、例えば、抗体またはこの断片、レクチン、ボロン酸またはボロン酸誘導体であってもよい。捕捉試薬は、特定の捕捉試薬であってもよい。抗体は、多クローン抗体または単クローン抗体のいずれでもよい。
【0028】
サンプル中の分析物の存在または量は、検出ゾーンに存在する標識付けした捕捉試薬の検出によって決定される。標識づけした捕捉試薬は、目視または他の適切な手段によって測定することもできる。
【0029】
標識は、着色したラテックスル球体もしくはビーズ、または染料を吸収したリポソームなど、適切な標識から任意に選択することもできる。特定の標識は、金ゾルなどの金属ゾルを含んでもよい。
【0030】
本発明による装置内に、制御ゾーンを設けることもでき、この制御ゾーンは、検出ゾーンにまたはこの下流に設けることもできる。制御ゾーンは、試験が正確に実施されているかどうかを表示する助けとなる。一般的に、制御ゾーンは、更に標識付けした捕捉試薬を捕捉することのできる固定式捕捉試薬を含む。
【0031】
本発明の装置の一実施形態において、多孔質材料は、多孔質ウィック(芯)を含むことが好ましく、多孔質ウィックは、液体を迅速に吸収できる多孔質または繊維質材料のいずれの吸収剤から作成または取得することができる。材料の気孔率は、一方向性(すなわち、孔または繊維が、全体としてまたは大部分が、メンバーの軸に対して平行に走っている)でも、あるいは多方向性(全方向性、このためメンバーは無定形のスポンジ様構造を有する)であってもよい。ポリプロピレン、ポリエチレン(非常に高い分子量が好ましい)、フッ化ポリビニリデン、エチレン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、およびポリテトラフルオロエチレンなどの多孔質プラスチック材料を使用することができる。
【0032】
しかしながら、代替実施形態において分析装置は、1つまたは複数のミクロ流体チャンネルを含むこともでき、ミクロ流体チャンネルの寸法は、液体サンプルが毛細管作用によって1つまたは複数のチャンネルを通して移動できる寸法である。1つまたは複数の毛細管チャンネルは、追加で備えても、あるいは装置の一部を形成する1つまたは複数の多孔質または吸収剤マトリックスの代わりとしてもよい。
【0033】
キャリヤー材料を製造中に表面活性剤で前処理することは、キャリヤー材料における固有の疎水性を低減でき、これ故湿ったサンプルを迅速および効率的に取り上げて運ぶキャリヤー材料の能力を高めるので、有利である。多孔質サンプル受領メンバーも、紙またはニトロセルロースなどの他のセルロース材料から作成することもできる。
【0034】
所望する場合は、吸収剤「シンク」をキャリヤー材料の遠末端位に備えることもできる。吸収剤シンクは、例えば、Whatman 3MM(登録商標)クロマトグラフィー紙を含むこともでき、非結合の標識付けした捕捉試薬が検出ゾーンから洗い出されることを可能にするように、十分な吸収能力を備えていなければならない。
【0035】
かかるシンクの代替として、検出ゾーンを超える長さの多孔質固相材料を備えることで十分な場合もある。
【0036】
本発明の第2の態様により、生体サンプル中の炭水化物抗原を同定するキットが提供され、このキットは、本明細書において前に説明した装置と、前記サンプルを前記サンプル受領領域に接触させる手段とを含む。
【0037】
本発明の更なる態様により、本発明による分析装置の作成方法も提供される。この方法は、サンプル受領領域を有する側方流動分析装置中で、前記装置の抽出ゾーン中に1つまたは複数の試薬を固定化し、この試薬は結合したとき、前記サンプル受領ゾーンに加えられたサンプル中の特定の炭水化物抗原のための抽出試薬を生成し、前記抗原を前記サンプルから抽出した後で、中和緩衝剤を、前記抽出試薬のpHを中和するように前記抽出ゾーンの下流で、前記分析装置中で固定化された捕捉/検出試薬から上流に備えることを含む。
【0038】
更なる態様において、本発明は、生体サンプル中の炭水化物抗原を同定する方法を含む。この方法は、前記生体サンプルを、本明細書で前に説明した装置のサンプル受領ゾーンに適用して、前記検出ゾーン中の前記抗原の存在を監視することを含む。
【0039】
本発明は、例示のみを目的として提供された以下の例示的な実施形態によって、添付図面を参照してより明瞭に理解することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1から図2で図示したような本発明による装置に、参照番号1によって全般的に表示される側方流動分析装置が備えられている。この装置は、サンプル受領ゾーンから検出ゾーン8の方向に装置1を通って横方向に移動するサンプルを受領するための、サンプル受領ゾーンまたはエリア2および抽出ゾーン4を含む。抽出ゾーン中に、乾燥形態さもなければ抽出ゾーンに固形化された酸生成試薬4aおよび有機酸4bが備えられている。好ましい酸生成試薬は亜硝酸ナトリウムで、一方好ましい酸は、樹脂の形態で備えられているポリスルホン酸である。ポリスルホン酸は、装置を切り取るかまたは食刻した溝またはチャンネル中に備えられる。
【0041】
中和緩衝剤6は、(分析装置中の流れの方向により定義した)酸生成試薬の下流および捕捉または検出ゾーン8中に備えられた捕捉試薬の上流に備えられる。
【0042】
捕捉または検出試薬は、検出する抗原に特有で、検出/捕捉ゾーン中の抗原−抗体複合体によって視覚化できる標識抗体を含む。この抗体は、レンサ球菌A群抗原に特有のものであることが好ましい。
【0043】
(実施例)
概算寸法が幅2mm×深さ3mmである溝を、寸法が長さ48mm×幅7mm×深さ4mmの多孔質サンプル受領ウィック(芯)(米国バージニア州Colonial Heights、Filtrona、Richmond Inc製)の近端部から10mmの距離に作成した。
【0044】
250μlの1Mの亜硝酸ナトリウムを、ウィックの一端に加えてしみこませた。その後、pH8.5の1.6MTRIS200μlをウィックの上端に加えて、図1に示すようにしみこませた。ウィックを、50℃で終夜乾燥させた。約20mgのスルホン酸樹脂(融点70〜90℃、meshNovabiochem製、カタログ番号01−64−0432、1.6mmole/g)を、その後で溝に詰め込んだ。
【0045】
標識付けした結合試薬の移動可能な粒子を含む多孔質解放マトリックスの調製
400mmの青色ラテックス粒子(米国Duke Scientific製)に濃度30μg/ml(固体ラテックス0.5%)で吸収させた、抗レンサ球菌A群炭水化物抗体(Biotech Inc製)を、該抗体で被覆した冷凍乾燥ラテックス粒子を含めて調製した。抗体増感ラテックス粒子を、寸法が20mm×8mm×1.2mmで開放構造のガラス繊維パッド(米国、Sintair製)に注入し、冷凍乾燥した。
【0046】
その後乾燥抽出試薬を含むウィックを、調製したカラス繊維パッドの頂部に置いた。
【0047】
固定化した捕捉試薬を含む多孔質キャリヤーの調製
抗レンサ球菌A群多クローン性抗体を、マイクロプロセッサー制御マイクロシリジンを使用して、8mm幅の多孔質ニトロセルロースキャリヤーストリップ(Schleicher and Schuell製、8μ気孔基準)上に、濃度1.9mg/ml、流量0.8μl/mmで堆積させた。
【0048】
抗体を、標識付けした抗体から下流に位置する検出ゾーンにおいて、垂直に方向づけされた縞の形態で液体サンプルの流れに加え、その後抗体を多孔質キャリヤーに対して固定化するために、1%(w/v)ポリビニルアルコール/3%(w/v)蔗糖でブロックした。
装置の構築
側方流動キャリヤー装置を、上記で調製した材料を使用して、図1に示すように構築した。乾燥抽出試薬を含む多孔質サンプル受領ウィックを、抗レンサ球菌A群多クローン性抗体で被覆した、冷凍乾燥した抗体増感ラテックス粒子を含むガラスパッドの頂部に置いた。
【0049】
その後ガラスパッドを、多孔質サンプル受領ウイッグの一端に加えられた液体サンプルが、ガラス繊維に浸透し、ニトロセルロース多孔質キャリヤーに沿って浸透するように、ニトロセルロース多孔質キャリヤーと接触させて置いた。
【0050】
更なる抗マウス抗体を、制御ゾーンとして機能する固定化捕捉試薬から下流の位置で固定化した。最後に、吸収剤シンクパッドを、ニトロセルロースストリップの遠位末端に接して置いた。
【0051】
更なる装置を、坑レンサ球菌A群抗体が坑レンサ球菌C群抗体で置換された場合を除き、上記で説明したレンサ球菌C群の検出のために、同様に構築した。
【0052】
レンサ球菌A群およびC群のサンプルは、それぞれ水中で10e9cfu/mlに希釈した。細菌性懸濁物(100μl)を装置の近端(亜硝酸ナトリウムの端部)に加え、続いて1000μlの水を(液体を、装置を通して移動させるために)加えた。
【0053】
対照として、試験(但し細菌を含まない100μlの水を装置に加える)を繰り返した。試験の結果を図2に示す。図2から分かるように、レンサ球菌A群およびC群炭水化物抗原の存在を表す、青色ラテックス増感抗体の存在が検出ゾーンにおいおいて観察される場合もある。
【0054】
したがって、試験結果は、個々の炭水化物抗原が、装置に含まれる試薬の再水和によって生成された亜硝酸によって、細菌から放出されたこと、次いでこれら抗原は、その後の免疫学的分析において、明確に検定できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による装置の図である。
【図2】レンサ球菌A群およびC群を検出するために、本発明による分析装置を使用して得られた目視結果の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)サンプル受領ゾーンと、
b)固定化されたかさもなければ抽出ゾーンに吸収された少なくとも1つまたは複数の反応体および試薬を含み、反応体および試薬は結合した場合に反応して、サンプル中に所望の抗原のための抽出試薬を生成する、前記サンプル受領ゾーンからのサンプルを受領するための抽出ゾーンであり、
前記サンプル受領ゾーンに加えられる前記サンプルは、前記抽出ゾーンに存在しない場合には、前記抽出試薬を生成するのに必要な残存反応体を場合によっては含んでいる、抽出ゾーンと、
c)場合によっては、結果として得られたサンプルのpHを、分析の操作pH範囲内にもって行くことのできる中和剤と、
d)検出する前記抗原のため、標識付けした特定結合試薬または捕捉試薬の検出ゾーンとを有する基材を含む、生体サンプル中の炭水化物抗原を同定するための側方流動分析装置。
【請求項2】
前記抽出ゾーンが、結合した場合に反応して前記抽出試薬を生成する前記前駆反応体の両方を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出する抗原が、レンサ球菌抗原である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記レンサ球菌抗原が、A群レンサ球菌抗原である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記抽出試薬が亜硝酸であり、前記前駆反応体のそれぞれが酸および亜硝酸塩であり結合した場合亜硝酸を生成する、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記酸が樹脂の形態のスルホン酸であり、前記亜硝酸塩が亜硝酸ナトリウムである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記基材が、側方流動多孔質キャリヤーを含む、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記基材が、液体サンプルが毛細管作用によって進むことができる寸法であるミクロ流体チャンネルを含む、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記標識付けした特定結合試薬が、前記検出ゾーンにまたはこの上流で固定化される、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記標識付けした特定結合試薬が、前記基材に、前記サンプルの添加と一緒にまたはこの後に加えられる請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記基材が、移動可能な標識付けした特定の捕捉試薬を含み、任意選択の中和剤から下流の位置に備えられる、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記移動可能な捕捉試薬が、流体接触であるように独立した多孔質キャリヤーの上および/または内部にならびに多孔質キャリヤーから上流に備えられた請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記独立した多孔質キャリヤーが、マクロポーラスであり、多孔質キャリヤーの材料とは異なる材料であることもできる請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記標識付けした特定結合試薬が、標識付けした抗体である、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記標識が、酵素標識または特定染料である、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記サンプル受領ゾーンが、液体サンプルを吸収することができる任意の吸収性、多孔質または繊維性材料でできているサンプル受領ウィックを含む、請求項1から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記多孔質キャリヤーが、ニトロセルロースキャリャーである、請求項1から16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記多孔質キャリヤーがニトロセルロースであり、前記マクロポーラスキャリヤーが、ポリプロピレンなど任意の合成ポリマー材料のガラス繊維から選択される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記基材が、吸収剤シンクを基材の遠位末端に含む、請求項1から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記検出ゾーンにまたはこの下流における制御ゾーンを更に含み、標識付けした捕捉試薬を捕捉することができる固定化した捕捉試薬を更に含む、請求項1から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の装置およびサンプルを前記サンプルの受領エリアに接触させる手段を含む、生体サンプル中の炭水化物抗原を識別するためのキット。
【請求項22】
サンプル受領エリアを有する側方流動分析装置中で、前記装置の抽出ゾーン中に1つまたは複数の試薬を固定化し、これらの試薬が結合した場合、前記サンプル受領ゾーンに加えられたサンプル中に炭化水素抗原のための抽出試薬を生成し、前記抗原/分析物を前記サンプルから抽出した後で、中和緩衝剤を、前記抽出試薬のpHを中和するように前記抽出ゾーンの下流で前記分析装置中で固定化された捕捉/検出試薬から上流に備えることを含む、請求項1から20のいずれかに記載の分析装置を作成する方法。
【請求項23】
前記基材の表面活性剤による前処理を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
生体サンプルを、請求項1から20のいずれかに記載の装置のサンプル受領ゾーンに加え、前記検出ゾーン中の前記抗原の存在を監視することを含む、生体サンプル中の炭水化物抗原を同定する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−509384(P2008−509384A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524387(P2007−524387)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002927
【国際公開番号】WO2006/013329
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】