説明

分析装置と分析方法

【課題】制御基板が故障しても、分析作業の停止を回避することが可能な分析装置と分析方法を提供すること。
【解決手段】複数の作動機構6,7,10を各作動機構に設けた制御基板21〜23によって個々に制御しながら作動させ、検体を分析する分析装置と分析方法。分析装置は、制御基板用のバックアップ制御基板24と、制御基板及びバックアップ制御基板と複数の作動機構との間を切り替え自在に接続する複数のスイッチ25〜28と、制御基板が故障した場合に、バックアップ制御基板に制御基板と同じ内容の制御プログラムを書き込み、複数のスイッチの切り替えを指示することによりバックアップ制御基板と残った他の正常な制御基板とによって複数の作動機構を個々に制御して作動させる制御部15とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を分析する分析装置と分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、血液や尿等の検体を試薬と反応させ、その反応液の光学的特性を測定することによって検体の成分濃度等を測定している(例えば、特許文献1参照)。このとき、自動分析装置は、分析に必要な作動を行う複数の作動機構、例えば、第1試薬分注機構、第2試薬分注機構及び検体分注機構等の作動をそれぞれに設けた制御基板によって制御しながら検体を分析している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−214683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動分析装置は、第1及び第2試薬分注機構や検体分注機構をそれぞれに設けた制御基板によって制御しているため、制御基板、例えば、第1試薬分注機構の制御基板が故障すると、第1試薬を分注できなくなる。このため、自動分析装置は、このような制御基板の故障が発生すると、故障した制御基板をサービスマンが新たな制御基板に交換するまで分析作業を停止しなければならず、多数の検体を分析するうえで大きな支障を来たすという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、制御基板が故障しても、分析作業の停止を回避することが可能な分析装置と分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分析装置は、複数の作動機構を各作動機構に設けた作動制御手段によって個々に制御しながら作動させ、検体を分析する分析装置において、前記作動制御手段用のバックアップ制御手段と、前記作動制御手段及び前記バックアップ制御手段と前記複数の作動機構との間を切り替え自在に接続する複数の切替手段と、前記作動制御手段が故障した場合に、前記バックアップ制御手段に当該作動制御手段と同じ内容の制御プログラムを書き込み、前記複数の切替手段の切り替えを指示することにより前記バックアップ制御手段と残った他の正常な前記作動制御手段とによって前記複数の作動機構を個々に制御して作動させる故障制御手段と、を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項2に係る分析方法は、複数の作動機構を各作動機構に設けた作動制御手段によって個々に制御しながら作動させ、検体を分析する分析方法において、前記作動制御手段の故障を検出する工程と、故障を検出した前記作動制御手段と同じ内容の制御プログラムを、バックアップ制御手段に書き込む工程と、前記バックアップ制御手段及び残った他の正常な作動制御手段が出力する制御信号の前記複数の作動機構への出力先の切り替えを指示する工程と、を含み、前記バックアップ制御手段と残った他の正常な作動制御手段とによって前記複数の作動機構を個々に制御しながら作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分析装置は、作動制御手段が故障した場合に、故障制御手段が、バックアップ制御手段に作動制御手段と同じ内容の制御プログラムを書き込み、複数の切替手段の切り替えを指示することにより残った他の正常な作動制御手段とバックアップ制御手段とによって複数の作動機構を作動させ、本発明の分析方法は、作動制御手段の故障を検出する工程と、故障を検出した作動制御手段と同じ制御プログラムを、バックアップ制御手段に書き込む工程と、バックアップ制御手段及び残った他の正常な作動制御手段が出力する制御信号の複数の作動機構への出力先の切り替えを指示する工程と、を含み、バックアップ制御手段と残った他の正常な作動制御手段とによって複数の作動機構を作動させるので、作動制御手段が故障しても、分析作業の停止を回避することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下に、本発明の分析装置と分析方法にかかる実施の形態1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施の形態1の自動分析装置の概略構成図である。図2は、実施の形態1の自動分析装置で使用する複数の分注機構と制御基板との接続関係を示す模式図である。
【0010】
自動分析装置1は、図1及び図2に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構8、検体分注装置10、分析光学系11、洗浄機構12、第一攪拌装置13、第二攪拌装置14、制御部15、主制御基板20、制御基板21〜23及びバックアップ制御基板24を備えている。
【0011】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ周方向に配置される複数の試薬容器2a,3aを保持し、駆動手段によって回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。このとき、試薬テーブル2には、第一試薬を保持した試薬容器2aが配置され、試薬テーブル3には、第二試薬を保持した試薬容器3aが配置されている。複数の試薬容器2a,3aは、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が付されている。ここで、試薬テーブル2,3の外周には、前記情報記録媒体に記録された各試薬容器の試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置が設置されている。
【0012】
キュベットホイール4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬テーブル2,3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段によって回転されて反応容器5を周方向に移動させる。キュベットホイール4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、キュベットホイール4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。
【0013】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた作動機構である試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。
【0014】
ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を矢印で示すように回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a,7aに試薬を分注するノズル6b,7bが設けられ、洗浄水によってノズル6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。また、試薬分注機構6,7は、作動制御手段となる制御基板21,22(図2参照)が正常の場合には、それぞれ制御基板21,22によって作動が個々に制御される。
【0015】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置10によって検体が各反応容器5へ分注される。
【0016】
検体分注機構10は、図1に示すように、それぞれ水平面内を矢印で示すように回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム10aに検体を分注する分注ノズル10bが設けられた作動機構であり、洗浄水によって分注ノズル10bを洗浄する洗浄手段を有している。検体分注装置10は、作動制御手段となる制御基板23(図2参照)が正常の場合には、試薬分注機構6,7とは独立して制御基板23によって作動が制御される。
【0017】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、図1に示すように、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。受光部11cは、主制御基板20と接続されている。
【0018】
洗浄機構12は、ノズル12aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル12aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系11による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0019】
第一攪拌装置13及び第二攪拌装置14は、反応容器5に分注された検体と試薬とを攪拌棒13a,14aによって攪拌し、反応を促進させる。
【0020】
制御部15は、入力部16や表示部17が接続されて自動分析装置1を操作するためのパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、故障制御手段を兼ねている。制御部15は、制御基板21〜23との間が信号線で接続された故障検出のための監視系を有しており、制御基板21〜23の故障を検出した場合には、自動分析装置1の総ての分析作業を一旦停止させる。これと並行して、制御部15は、表示部17にその旨を表示すると共に、オペレータに警報を発し、図示しないネットワークを介して図示しない上位のホストコンピュータに故障発生を自動通知する。
【0021】
制御部15は、制御基板21〜23のいずれかが故障した場合、主制御基板20を介して故障した制御基板と同じ制御プログラムをバックアップ制御基板24の記憶部24aに書き込む。ここで、制御部15は、制御基板21〜23に記憶させた制御プログラム全体をハードディスクに記憶しておき、故障した制御基板と同じ制御プログラムを読み出し、この制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込むか、或いはメモリーカード等の外部記憶素子に保存した制御プログラムを読み出し、この制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込んでもよい。また、制御部15は、前記ネットワークを介した故障発生の通知によって前記ホストコンピュータが自動送信してくる制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込んでもよい。
【0022】
そして、制御部15は、試薬容器2a,3aに付した情報記録媒体の記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットが異なる場合や有効期限外等の場合に分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警報を発する。
【0023】
入力部16は、制御部15へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部17は、分析内容,分析結果或いは警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0024】
主制御基板20は、演算機能,記憶機能,制御機能及び計時機能等を備えたCPU等が使用され、記試薬テーブル2,3、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、攪拌装置13,14等と接続されてこれらの作動を制御する。主制御基板20は、図2に示すように、制御基板21〜23,バックアップ制御基板24と制御部15との間に配置され、制御基板21〜23及びバックアップ制御基板24の制御プログラムを書き込む記憶部20aを有している。また、主制御基板20は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。
【0025】
制御基板21〜23は、図2に示すように、記憶部21a〜23aを有し、作動タイミングを含めて全体が主制御基板20によって制御される。制御基板21は、試薬分注機構6との間にスイッチ25が配置され、制御基板22は、試薬分注機構7との間にスイッチ26が配置されている。また、制御基板23は、検体分注機構10との間にスイッチ27が配置されている。
【0026】
バックアップ制御基板24は、制御基板21〜23の故障に対処するためのバックアップ制御手段であり、制御基板21〜23と同一種類の基板が使用される。ここで、スイッチ25〜27とバックアップ制御基板24との間には、スイッチ25〜27を介してバックアップ制御基板24を試薬分注機構6、試薬分注機構7又は検体分注機構10に切り替え接続するスイッチ28が設けられている。
【0027】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6が試薬容器2aから第一試薬を順次分注する。第一試薬が分注された反応容器5は、検体分注装置10によってラック9に保持された複数の検体容器9aから検体が順次分注される。検体が分注された反応容器5は、キュベットホイール4が停止する都度、第一攪拌装置13によって攪拌されて第一試薬と検体が反応する。第一試薬と検体が攪拌された反応容器5は、試薬分注機構7によって試薬容器3aから第二試薬が順次分注された後、キュベットホイール4の停止時に第二攪拌装置14によって攪拌され、更なる反応が促進される。
【0028】
次いで、キュベットホイール4が再び回転すると、キュベットホイール4は、反応容器5が光源11aに対して順次相対移動し、反応容器5が分析光学系11を通過する。これにより、受光部11cが主制御基板20に光量信号を出力する。主制御基板20は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。このとき、制御部15は、分析した検体の成分濃度等の分析結果を記憶し、分析結果を表示部17に表示する。このようにして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構12によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0029】
ここで、自動分析装置1は、図2に示すように、試薬分注機構6,7及び検体分注機構10と作動制御手段である制御基板21〜23との間がスイッチ25〜27によって接続されると共に、バックアップ制御基板24とスイッチ25〜27との間がスイッチ28によって接続されている。制御基板21〜23は、作動が同じで作動タイミングが異なる試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の機能を考慮して同じ種類の基板が使用され、記憶部21a〜23aには試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の作動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。但し、バックアップ制御基板24の記憶部24aには、予め何も書き込んでいない。
【0030】
このとき、制御基板21〜23及びバックアップ制御基板24は、記憶部21a〜24aとしてROMやフラッシュメモリを使用する。また、バックアップ制御基板24に制御プログラムを書き込むには、書き込み用ソフトウエアを使用して自動的に行うことができる。
【0031】
一方、スイッチ25〜28は、図3に示すように、接触子25a〜28aを有している。ここで、スイッチ25〜28は、接触子25a〜28aを適宜切り替えることにより、バックアップ制御基板24を試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の総てに切り替え接続することができる。なお、スイッチ25〜28を切り替える制御信号は、制御部15が直接送信する。
【0032】
従って、制御基板21〜23が正常な場合には、スイッチ25〜27は、図3に示すように、それぞれ試薬分注機構6,7及び検体分注機構10と制御基板21〜23とを接続している。このとき、スイッチ28は、図3に示すように、オフされている。これにより、自動分析装置1は、制御基板21〜23によって試薬分注機構6、試薬分注機構7及び検体分注機構10が、それぞれ個々に制御され、所定の作動タイミングの下に駆動されて、上述の分析作動を行う。
【0033】
このとき、自動分析装置1において、制御基板21〜23の一つ、例えば、試薬分注機構7の作動を制御する制御基板22が故障したとする。すると、制御基板22の故障を検出した制御部15は、制御基板22と同じ制御プログラムをバックアップ制御基板24の記憶部24aに書き込む。このとき、制御部15による制御基板22の故障の検出から制御プログラムを書き込んだバックアップ制御基板24を用いた分析作業に至る一連の分析方法を図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0034】
先ず、制御部15は、監視系からの信号により制御基板22の故障を検出する(ステップS102)。
【0035】
次に、制御部15は、自動分析装置1による分析作業の停止を試薬分注機構6,7及び検体分注機構10を含む各作動機構へ指示する(ステップS104)。また、制御部15は、故障の発生と非常用制御プログラムへの書き換え開始を表示部17に表示すると共に、アラームを発してユーザに告知する(ステップS106)。
【0036】
次いで、制御部15は、前記ネットワークを介してホストコンピュータに故障発生を通知する(ステップS108)。その後、制御部15は、バックアップ制御基板24に制御基板22と同じ制御プログラムを書き込む。(ステップS110)。
【0037】
制御プログラムを書き込んだ後、制御部15は、スイッチ26,28を切り替え制御する(ステップS112)。その後、制御部15は、制御基板21,23とバックアップ制御基板24に分析作業の開始を指示する(ステップS114)。これにより、制御基板21,23とバックアップ制御基板24とによって試薬分注機構6,7及び検体分注機構10を作動させて、自動分析装置1に分析作業を実行させる。
【0038】
その後、制御部15は、分析終了の指示の有無を判定する(ステップS116)。分析終了の指示がない場合(ステップS116,No)、制御部15は、再度ステップS112に戻って分析作業を続行する。一方、分析終了の指示があった場合(ステップS116,Yes)、制御部15は、分析作業が終了か否かを判定する(ステップS118)。この判定は、入力部16から入力された検体の分析情報をもとに、分析すべき検体の有無によって行い、分析すべき検体が無い場合には分析作業が終了と判定し、分析すべき検体が有る場合には分析作業が終了でないと判定する。
【0039】
この結果、分析作業が終了でない場合(ステップS118,No)、制御部15は、再度ステップS112に戻り分析作業を続行する。一方、分析作業が終了の場合(ステップS118,Yes)には、制御部15は、制御基板21,23とバックアップ制御基板24とによる分析作業を終了する。ここで、分析作業を終了する前にサービスマンが到着した場合には、適当な時機を見計らって分析作業を中断し、新たな制御基板22に交換する。但し、残検体数が少ない場合には、分析作業を中断することなく最後まで分析作業を行った後、新たな制御基板22に交換してもよい。
【0040】
なお、制御基板22が故障した場合、制御部15は、制御基板22を制御系から切り離すため、図5に示すように、接触子26aをバックアップ制御基板24側に切り替え、スイッチ28の接触子28aをスイッチ26側に切り替える。これにより、故障した制御基板22が試薬分注機構7から切り離され、試薬分注機構7は、スイッチ26,28を介してバックアップ制御基板24と接続され、バックアップ制御基板24に書き込まれた制御プログラムによって駆動が制御される。
【0041】
このとき、図5に示すように、スイッチ25,27は切り替えないので、試薬分注機構6は制御基板21によって駆動が制御され、検体分注機構10は制御基板23によって駆動が制御される。
【0042】
このように、自動分析装置1は、試薬分注機構7の駆動を制御する制御基板22が故障した場合に、制御基板22の制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込み、バックアップ制御基板24によって試薬分注機構7の駆動を制御する。このため、自動分析装置1は、サービスマンが到着するまでの間も分析作業を継続することができるので、制御基板22の故障による影響を最小限に抑えることができる。しかも、自動分析装置1は、故障した制御基板の制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込み、バックアップ制御基板24によって試薬分注機構7の駆動を制御するため、試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の作動状態は変化しない。
【0043】
(実施の形態2)
次に、本発明の分析装置にかかる実施の形態2を図面に基づいて詳細に説明する。実施の形態1の自動分析装置は、制御基板21〜23によって作動が制御される試薬分注機構6,7及び検体分注機構10が一組であった。これに対し、実施の形態2の自動分析装置は、実施の形態1の自動分析装置を1ユニットとして3ユニット組み合わせたものである。図6は、実施の形態2の自動分析装置で使用する複数の分注機構と制御基板との接続関係を示す模式図である。以下の説明において、自動分析装置1と同一の構成部分には同一の符号を使用している。
【0044】
自動分析装置30は、図6に示すように、自動分析装置1からなる分析ユニット31〜33を有しており、検体容器移送機構8に替えて各ユニットにラック9を供給するサンプラー34を備えている。また、自動分析装置30は、自動分析装置1の制御部15を制御基板21〜23を含めて複数のユニットを制御する中央制御部として使用している。
【0045】
ここで、制御部15は、1つのユニット内において制御基板21〜23が故障した場合に、故障した制御基板と同一の制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込む。
【0046】
具体的には、例えば、分析ユニット33の制御基板22が故障した場合、制御部15は、主制御基板20を介して分析ユニット33の制御基板22と同じ制御プログラムをバックアップ制御基板24に書き込む。これと並行して、制御部15は、制御基板22を制御系から切り離すため、スイッチ26をスイッチ28側に切り替え、スイッチ28をスイッチ26側に切り替える。これにより、制御部15は、故障した制御基板22を試薬分注機構7から切り離し、試薬分注機構7とバックアップ制御基板24とをスイッチ26,28を介して接続し、バックアップ制御基板24に書き込まれた制御プログラムによって試薬分注機構7の駆動を制御する。
【0047】
このように、本発明の分析装置と分析方法によれば、制御基板が故障しても、残った制御基板の制御プログラムを非常用プログラムに書き換えて複数の作動機構を作動させるので、分析作業の停止を回避することができる。
【0048】
ここで、実施の形態1,2は作動機構として試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の場合について説明したが、作動機構は、試薬分注機構6,7及び検体分注機構10の他、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、洗浄機構12或いは攪拌装置13,14であってもよい。
【0049】
また、実施の形態1,2は、バックアップ制御基板24が1つであり、制御基板21〜23のいずれかが故障した場合に、故障した制御基板と同じ制御プログラムを制御部15がバックアップ制御基板24の記憶部24aに書き込んだ。但し、バックアップ制御基板24は、制御基板21〜23総ての制御プログラムを書き込み、故障した制御基板と同じ制御プログラムを制御部15が選択して故障した制御基板が担当していた作動機構を作動させてもよい。更に、バックアップ制御基板24は、制御基板21〜23と同じ数だけ設け、故障した制御基板と同じ制御プログラムを書き込むようにしてもよい。
【0050】
また、スイッチ25〜28は、制御基板21〜23やバックアップ制御基板24に制御信号を出力する機能を持たせ、制御部15からの制御信号を受けて制御基板21〜23やバックアップ制御基板24がスイッチ25〜28に制御信号を送信して切り替えても良い。また、実施の形態1,2は切替手段として接触子を有するスイッチ25〜28を用いた場合について説明したが、切替手段は、リレーのような機械的な素子や、FETのような電気的な素子を使用してもよい。
【0051】
更に、実施の形態1,2は試薬テーブル2,3を有し、第一試薬と第二試薬とを使用する分析装置の場合について説明したが、試薬テーブルは一つで第一試薬のみを使用する分析装置であってもよい。
【0052】
また、実施の形態1,2において、制御部15は、主制御基板20を介してバックアップ制御基板24に制御信号を出力し制御プログラムを書き込んだが、バックアップ制御基板24に直接制御信号を出力して制御プログラムを書き込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態1の自動分析装置の概略構成図である。
【図2】実施の形態1の自動分析装置で使用する複数の分注機構と制御基板との接続関係を示す模式図である。
【図3】複数の切替手段であるスイッチの構造と、制御基板が正常な場合における複数のスイッチの切り替え接続状態を示す模式図である。
【図4】制御部による制御基板の故障の検出から非常用プログラムによる分析作業に至る一連の分析方法を説明するフローチャートである。
【図5】制御基板に故障が発生した場合における複数のスイッチの切り替え接続状態を示す図である。
【図6】実施の形態2の自動分析装置で使用する複数の分注機構と制御基板との接続関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
5 反応容器
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 ラック
10 検体分注装置
11 分析光学系
12 洗浄機構
13 第一攪拌装置
14 第二攪拌装置
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 主制御基板
21〜23 制御基板
24 バックアップ制御基板
25〜28 スイッチ
30 自動分析装置
31〜33 分析ユニット
34 サンプラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作動機構を各作動機構に設けた作動制御手段によって個々に制御しながら作動させ、検体を分析する分析装置において、
前記作動制御手段用のバックアップ制御手段と、
前記作動制御手段及び前記バックアップ制御手段と前記複数の作動機構との間を切り替え自在に接続する複数の切替手段と、
前記作動制御手段が故障した場合に、前記バックアップ制御手段に当該作動制御手段と同じ内容の制御プログラムを書き込み、前記複数の切替手段の切り替えを指示することにより前記バックアップ制御手段と残った他の正常な前記作動制御手段とによって前記複数の作動機構を個々に制御して作動させる故障制御手段と、
を設けたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
複数の作動機構を各作動機構に設けた作動制御手段によって個々に制御しながら作動させ、検体を分析する分析方法において、
前記作動制御手段の故障を検出する工程と、
故障を検出した前記作動制御手段と同じ内容の制御プログラムを、バックアップ制御手段に書き込む工程と、
前記バックアップ制御手段及び残った他の正常な作動制御手段が出力する制御信号の前記複数の作動機構への出力先の切り替えを指示する工程と、
を含み、前記バックアップ制御手段と残った他の正常な作動制御手段とによって前記複数の作動機構を個々に制御しながら作動させることを特徴とする分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−46042(P2008−46042A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223362(P2006−223362)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】