説明

分極曲線測定方法及び電解処理装置

【課題】精度の良い分極曲線を得ることができる分極曲線測定方法及び電解処理装置を提供すること。
【解決手段】めっき槽内10に満たしためっき液Q中にカソード15とアノード13と参照電極21に接続されたルギン管23とを浸す。カソード15とアノード13との間に流れる電流値とルギン管23とカソード15との間の電位差とを求めることでめっき液Qの分極曲線を測定する。測定は、半導体ウエハ等のカソード15を実際にめっき処理するめっき槽10の中で行う。ルギン管23はめっき液Qを攪拌するパドル19とカソード15との間に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解めっき又は電解研磨の際のめっき状態又は研磨状態の解析等に用いる分極曲線を得るのに好適な分極曲線測定方法及び電解処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電解めっき問題、あるいは腐食問題のように、アノード及びカソードが電解質を介して電池を構成し、電解質内に電位場を形成するような系において、系内の電位及び電流密度分布を測定するため、有限要素法、境界要素法、差分法等の数値解析手段を適用し、コンピュータを用いて数値解析を行う試みがなされている。この解析は、電解質内の電位がラプラス方程式に支配されること、アノード及びカソード表面での電位及び電流密度は、アノード及びカソードがその電解質に浸漬したときの反応によって決まる分極曲線(電位と電流密度の関係を示す非線形の関数で、実験的に求められる)という電気化学的特性に支配されること、電流密度は、電位勾配と電解質の電気伝導度の積で表されること、等を利用して行われる。
【0003】
電解めっきにおいては、解析されたカソード電流密度から、ファラデーの法則を用いて、カソード上へ付着する金属のめっき速度(めっきの膜厚)を計算することができる。従って、上記の数値解析によって、めっき槽の構造(遮蔽板、接点位置等)、めっき液の種類や電気伝導度や流れ、アノード及びカソードの材料の種類(分極抵抗等)、カソード(半導体ウエハ)の被めっき面の下地膜の電気伝導度等の条件に応じて、事前にめっき速度分布を予測したり、モニタリングしたりすることができる。
【0004】
図8は従来の分極曲線測定方法を示す概略図である。同図に示すように従来、分極曲線を測定するには、ビーカー500内にめっき液Qを満たし、このめっき液Q中にアノード503とカソード505を浸し、さらにカソード505の被めっき面507近傍に参照電極509に接続されたルギン管511を浸し、ルギン管511の先端を被めっき面507に接近して配置し、アノード503とカソード505間に可変抵抗器513を介して直列に直流電源515をつなぎ、さらにアノード503とカソード505間を流れる電流値を測定する電流計517と、前記ルギン管511の先端とカソード505の被めっき面507との間の電位差を求める電位差計519とを設置する。
【0005】
そして電流計517で測定した電流値がI、電位差計519で測定した電位差がE、カソード505の電位がφM、ルギン管511の先端のめっき液Qの電位がφMS、参照電極509のルギン管511を接続した側の電位がφRS、参照電極509のもう一方の側の電位がφR、とすると、
E=(φM−φMS)+(φMS−φRS)+(φRS−φR
ルギン管511における電圧降下はほとんどないので、(φMS−φRS)=0、
参照電極509における電圧降下α0は一定なので、
α0=φRS−φR、とおくと、
分極曲線φは、
φ=−f(i)=−E=φMS−(φM+α0
但し、i:電流密度(電流値Iをカソード505の被めっき面507の面積で割ったもの)
となる。
【0006】
しかしながら上記従来の測定方法によって求めた分極曲線には以下のような問題点があった。
(1)従来の分極曲線の測定は、実験室でビーカー500を用いて行うなど、実際にめっきする系とは異なる測定装置を用いて行っていたため、測定される分極曲線が実際のめっき槽でめっきする際の分極曲線と異なるものとなっていた。例えば従来の測定装置は、実際のめっき槽では設置されているめっき液攪拌のためのパドルを設置していないため、めっき液流れ等の影響を考慮できなかった。
【0007】
(2)上記問題点(1)を解決するには、実際に使用するメッキ槽において分極曲線を測定すれば良いが、その場合、カソードの被めっき面に接近した位置にパドルが設置されているため、ルギン管がパドルに干渉しないようにするにはルギン管をカソードから離れた位置に設置しなければならず、このため測定される分極曲線に、離れた距離分の余計なIRドロップが含まれてしまい、その測定精度が低下してしまう恐れがある。
【0008】
(3)上記分極曲線測定方法の場合、電位についてはルギン管によってカソードの被めっき面近傍の各位置においてその値を測定できる。しかしながら電流密度については流した総電流値をカソードの被めっき面の面積(試料電極面積)で割った一定値として算出するため、カソードの被めっき面上の電流密度分布は考慮されず、精度が低下していた。
【特許文献1】特開2001−152397号公報
【非特許文献1】青木繁,天谷賢治,宮坂松甫 共著,「境界要素法による腐食防食問題の解析」,裳華房,1998年6月10日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、精度の良い分極曲線を得ることができる分極曲線測定方法及び電解処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、前記測定を、前記試料極を実際に電解処理する電解処理槽の中で行うことを特徴とする分極曲線測定方法にある。
【0011】
本願請求項2に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルと前記試料極との間に設置した1又は2以上の前記ルギン管によってルギン管と試料極との間の電位差を求めることを特徴とする分極曲線測定方法にある。
【0012】
本願請求項3に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルに取り付けた1又は2以上の前記ルギン管をパドルと一体に移動させてルギン管と試料極との間の電位差を求めることを特徴とする分極曲線測定方法にある。
【0013】
本願請求項4に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、前記ルギン管は、試料極の電解処理面に対して少なくとも前後又は左右又は上下にその位置及び移動速度が制御されて電解処理槽内の任意の場所の電位差を測定することを特徴とする分極曲線測定方法にある。
【0014】
本願請求項5に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、前記ルギン管によって、接近する2箇所以上の位置の前記電位差を測定し、測定したこれら2箇所以上の電位差と既知の電気伝導度から、電流密度を算出し、局所的な分極曲線を求めることを特徴とする分極曲線測定方法にある。
【0015】
本願請求項6に記載の発明は、前記局所的な分極曲線を試料極表面の複数箇所で測定して得た分極曲線群を試料極表面の境界値として、数値解析手段を用いて電解処理槽内全体の電位−電流密度分布を求め、その結果から試料極表面の膜厚分布を算出することを特徴とする請求項5に記載の分極曲線測定方法にある。
【0016】
本願請求項7に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、前記電解処理槽は、前記試料極を実際に電解処理する電解処理槽であることを特徴とする電解処理装置にある。
【0017】
本願請求項8に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルと前記試料極との間に、1又は2以上の前記ルギン管を設置することを特徴とする電解処理装置にある。
【0018】
本願請求項9に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルに、1又は2以上の前記ルギン管を取り付けたことを特徴とする電解処理装置にある。
【0019】
本願請求項10に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、前記ルギン管は1又は2以上であり、前記1又は2以上のルギン管を、試料極の電解処理面に対して少なくとも前後又は左右又は上下の任意の場所に移動させる制御装置を具備することを特徴とする電解処理装置にある。
【0020】
本願請求項11に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、前記分極曲線を試料極表面の複数箇所で測定することで分極曲線群を得、この分極曲線群を試料極表面の境界値として、数値解析手段を用いて電解処理槽内全体の電位−電流密度分布を求め、その結果から試料極表面の膜厚分布を算出してモニタリングする膜厚分布モニタリング手段を搭載したことを特徴とする電解処理装置にある。
【0021】
本願請求項12に記載の発明は、電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の電位を測定する電解処理装置であって、前記ルギン管より電解処理槽内の複数箇所で電位を測定し、場合によっては測定された電位から電流密度を算出し、少なくとも求められた電位または電流密度のどちらか一方に基づいて境界値逆解析を行って試料極表面の電位−電流密度分布を求める試料極表面の電位−電流密度測定手段を搭載したことを特徴とする電解処理装置にある。
【発明の効果】
【0022】
請求項1,請求項7に記載の発明によれば、分極曲線の測定を、試料極を実際に電解処理する電解処理槽の中で行うので、測定される分極曲線が実際の電解処理装置で電解処理する際の分極曲線により近いものとなる。
【0023】
請求項2,請求項8に記載の発明によれば、パドルと試料極との間にルギン管を設置するので、ルギン管を試料極の電解処理面近傍に設置でき、測定される分極曲線の測定精度が良くなる。
【0024】
請求項3,請求項9に記載の発明によれば、ルギン管をパドルに取り付けたので、より容易にルギン管を試料極の電解処理面の直前に接近して設置できる。
【0025】
請求項4,請求項10に記載の発明によれば、ルギン管によって電解処理槽内の任意の場所の電位差を測定できるので、多点の電位差を求めることができ、精度の良い分極曲線群を求めることができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、ルギン管によって接近する2箇所以上の位置の電位差を測定して電流密度を算出するので、局所的な分極曲線を求めることができる。
【0027】
請求項6,請求項11に記載の発明によれば、正確に試料極表面の膜厚分布を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第一実施形態にかかる分極曲線測定方法を用いた電解処理装置(以下「めっき装置」という)1−1を示す概略図、図2は電解処理槽(以下「めっき槽」という)10内の各部品の設置状態を上方から見た概略平面図である。めっき装置1−1は、めっき槽10内に電解液(以下「めっき液」という)Qを満たし、このめっき液Q中に試料極(以下「カソード」という)15と対極(以下「アノード」という)13とを浸し、カソード15の電解処理面(以下「被めっき面」という)17近傍にめっき液Qを攪拌するパドル19を設置し、さらにパドル19とカソード15(被めっき面17)との間のめっき液Q中に参照電極21に接続された1本のルギン管23を設置して浸し、アノード13とカソード15間を可変抵抗器25を介して直列に直流電源27につなぎ、さらにアノード13とカソード15間を流れる電流値Iを測定する電流計29と、前記ルギン管23の先端とカソード15の被めっき面17との間の電位差Eを求める電位差計31とを設置して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0029】
カソード15はこの実施形態では半導体ウエハであり、その被めっき面17上に形成される半導体集積回路の配線に銅をめっきするものである。具体的には半導体ウエハ上のSiO2等の絶縁層表面に形成された微細な溝内に配線材料である銅を電解めっきによって埋め込む。なおめっきする金属が銅に限定されないことは言うまでもない。アノード13はこの実施形態では銅を用いている。
【0030】
パドル19は棒状であって、カソード15の被めっき面17の直前に上下方向(垂直方向)を向く状態で複数本(この実施形態では3本)平行に設置されている。これらパドル19はパドル駆動機構33によって同時に、図2に矢印で示す左右方向(水平方向)に往復移動する。
【0031】
参照電極21は、飽和甘こう電極(SCE:Saturated Calomel Electrode)等によって構成され、所定の液体中に電極を浸したものであり、電極そのものの電位φRと、電極と液体の接触した所の電位φRSの間の電圧降下α0=φRS−φRが、一定の既知の値となる。そして参照電極21の電極側に電位差計31を接続し、他方側にルギン管23を接続している。
【0032】
ルギン管23は細い管の内部に寒天などを封入したもので、ルギン管23内における電圧降下はほとんどない。そしてルギン管23は中央のパドル19とカソード15(被めっき面17)との間に設置される。カソード15の被めっき面17とパドル19の間の隙間は狭い(例えば10〜20mm程度)ので、ルギン管23には極細のもの(例えば外径2mm程度以下のもの)を使用する。これによってルギン管23はカソード15のめっき処理を行う被めっき面17近傍に設置されることとなる。
【0033】
そしてアノード13とカソード15間に直流電源27を接続して電流を流せば、カソード15の被めっき面17に所望のめっきが行われる。アノード13とカソード15間を流れる電流の電流値Iは可変抵抗器25によって調整され、電流計29によって測定される。このとき必要に応じてパドル19をパドル駆動機構33によって動作させ、カソード15の被めっき面17近傍のめっき液Qを攪拌し、被めっき面17各部のめっき膜厚を均一にする。同時に電位差計31によってルギン管23の先端とカソード15の被めっき面17との間の電位差を求める。
【0034】
そして電流計29で測定した電流値がI、電位差計31で測定した電位差がE、カソード15の電位がφM、ルギン管23先端のめっき液Qの電位がφMS、参照電極21のルギン管23を接続した側の電位がφRS、参照電極21のもう一方の側の電位がφR、とすると、前述のように、分極曲線φは、
φ=−f(i)=−E=φMS−(φM+α0
但し、α0=φRS−φR
i:電流密度(電流値Iをカソード15の被めっき面17の面積で割ったもの)
となる。
【0035】
このようにこの実施形態においては、実際のめっきに使用するめっき装置1−1を用いて直接分極曲線を測定するので、測定される分極曲線が実際のめっき装置1−1でめっきされる際の分極曲線と同一になる。即ち測定される分極曲線は、パドル19によるメッキ液Qの流れや拡散等を考慮した実際のめっき時における分極曲線に近いものとなる。またルギン管23をパドル19とカソード15との間に設置することで、ルギン管23(その先端)をカソード15の被めっき面17近傍に設置したので、ルギン管23をカソードから遠く離れた位置に設置した場合に生じる離れた距離分の余計なIRドロップが生じず、測定される分極曲線の測定精度が良くなる。これらのことから、この分極曲線を用いて行われるめっき速度分布などの各種めっき解析が精度の良いものとなる。
【0036】
〔第2実施形態〕
図3は本発明の第2実施形態にかかる分極曲線測定方法を用いためっき装置1−2を示す概略図、図4はめっき槽10内の各部品の設置状態を上方から見た概略平面図である。両図に示すめっき装置1−2において、前記図1,図2に示すめっき装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1,図2に示す実施形態と同じである。
【0037】
同図に示すめっき装置1−2においても、前記めっき装置1−1と同様に、めっき槽10内にめっき液Qを満たし、このめっき液Q中にカソード15とアノード13とを浸し、カソード15の被めっき面17近傍にめっき液Qを攪拌するパドル19を設置し、アノード13とカソード15間に可変抵抗器25を介して直列に直流電源27をつなぎ、アノード13とカソード15間を流れる電流値Iを測定する電流計29を設置している。一方このめっき装置1−2において、前記めっき装置1−1と相違する点は、パドル19と試料極15(被めっき面17)との間のめっき液Q中に2つの第1,第2参照電極21−1,21−2にそれぞれ接続された2本の第1,第2ルギン管23−1,23−2を設置して浸し、第1,第2ルギン管23−1,23−2の先端とカソード15の被めっき面17との間の電位差E1,E2をそれぞれ求める第1,第2電位差計31−1,31−2を設置している点である。
【0038】
さらにこの実施形態の場合、第1,第2ルギン管23−1,23−2を被めっき面17に沿うように水平方向に平行移動させる駆動機構24を設置し、また前記電流計29、第1,第2電位差計31−1,31−2の出力を入力し、前記パドル駆動機構33と駆動機構24に制御信号を出力するコンピュータを用いた制御装置40を具備している。制御装置40にはモニタ41が接続されている。
【0039】
第1,第2ルギン管23−1,23−2も極細で、図4に示すように、カソード15とパドル19を結ぶ方向(被めっき面17に垂直な方向)に並列に並べて接近して束ねて設置されている。
【0040】
そしてアノード13とカソード15間に直流電源27を接続して電流を流せば、カソード15の被めっき面17に所望のめっきが行われる。アノード13とカソード15間を流れる電流の電流値Iは電流計29によって測定される。同時に第1,第2電位差計31−1,32−2によって第1,第2ルギン管23−1,23−2の先端とカソード15の被めっき面17との間の電位差E1,E2をそれぞれ求める。
【0041】
そしてこの実施形態の場合、被めっき面17から離れる方向に向かう接近した2点において電位差E1,E2を求めているので、この点における局所的な電流密度iを直接求めることができる。即ち第1ルギン管23−1の先端の電位をφ1、第2ルギン管23−2の先端の電位をφ2とすると、両者は極めて接近しているのでこれら2点での電流密度iは一定とみなすことができ、また2点での電気伝導度κはめっき液Qによって決まった一定値なので、
φ2−φ1=E2−E1=iκ
より第1,第2ルギン管23−1,23−2の先端における局所的な電流密度iを求めることができる。
【0042】
即ち電流密度iを、流した総電流値Iをカソード15の被めっき面17の面積で割った一定値として算出するのではなく、カソード15の被めっき面17上の局所的な電流密度iを直接求めることができるので、この点からさらに精度の良い分極曲線が得られる。
【0043】
そして図3に示す駆動機構24によって第1,第2ルギン管23−1,23−2を水平方向に平行移動させれば、多点の電位差(φ2−φ1)を求めることができ、被めっき面17近傍の局所的な多数の点の電流密度iを求めることができ、制御装置40において、差分法等により、電流の方向(被めっき面17に垂直な方向に対する傾き)も含めたさらに精度の良い複数の分極曲線(分極曲線群)を求めることができる。そして各場所で測定された分極曲線群をカソード15表面(被めっき面17)の境界値(境界条件)として、制御装置40において、有限要素法、境界要素法、差分法等の数値解析手段を用いてめっき槽10内全体の電位−電流密度分布を求め、その結果からカソード15表面のめっき膜厚分布を算出し、モニタ41に表示してこれを監視できる。すなわちこのめっき装置1−2は、膜厚分布を監視する膜厚分布モニタリング手段を搭載している。さらには、制御装置40において、前記ルギン管23−1,23−2よりめっき槽(電解処理槽)10内の複数箇所で電位を測定し、場合によっては測定された電位から前記の手法により電流密度を算出し、求められた電位及び電流密度のどちらか、または両方に基づいて、例えば前記非特許文献1に記載されている方法により試料極表面の電位−電流密度を逆解析により同定してもよい。即ちこのめっき装置1−2は、電位−電流密度測定手段を搭載しても良い。これより前記ルギン管23−1,23−2を装置の制約等で試料極15から離れた箇所に設置せざるを得ない場合でも、試料極15から離れた箇所の電位、電流密度の測定値から試料極15表面の値を推定できる。ここで、非特許文献1では溶液内の電位および境界の電位・電流密度の関係式を境界要素法により導出しているが本発明はこれに限らず有限要素法や偏微分方程式を解析的に取り扱う手法によってもこの関係式を導出することができる。
【0044】
ところでこの実施形態の場合、2本の第1,第2ルギン管23−1,23−2を用いて接近した2点の電位差E1,E2を求めたが、その代りに、図1に示すめっき装置1−1において1本のルギン管23に駆動機構(図1には図示せず)を設けてこのルギン管23を微小距離被めっき面17に垂直な方向に移動(平行移動)することで2点における電位差E1,E2を求めても良い。さらに1本のルギン管23を被めっき面17に沿うように水平(左右)に平行移動させることで多点の電位差を求めることができ、上記と同様、電流の方向(被めっき面27に垂直な方向に対する傾き)も含めた精度の良い複数の分極曲線(分極曲線群)を求めることができる。
【0045】
さらにルギン管23の設置本数は3本以上に増やしてもよいし、1本又は2本以上のルギン管23の駆動機構24による移動方向をさらに種々の方向(被めっき面17に対して少なくとも前後又は左右又は上下又は斜め上下左右方向)とすることで、さらに多点における電位差を求めれば、さらに被めっき面17近傍の局所的な多数の点の電流密度を求めることができ、さらに精度の良い複数の分極曲線(分極曲線群)を求めることができる。
【0046】
なお第1,第2ルギン管23−1,23−2の間の電位差を求める方法として、図5に示すように、第1,第2参照電極21−1,21−2間の電位差(φ2−φ1)を電位差計31´によって直接測定しても良い。
【0047】
〔第3実施形態〕
図6は本発明の第3実施形態にかかる分極曲線測定方法を用いためっき装置1−3を示す概略図である。同図に示すめっき装置1−3において、前記図1〜図5に示すめっき装置1−1,1−2と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図5に示す実施形態と同じである。
【0048】
同図に示すめっき装置1−3において、前記めっき装置1−2と相違する点は、パドル19とカソード15との間のめっき液Q中に2つの第1,第2参照電極21−1,21−2にそれぞれ接続された2本の第1,第2ルギン管23−1,23−2を設置する代わりに、これら2本の第1,第2ルギン管23−1,23−2をパドル19に取り付けて、パドル19と一体に移動させるように構成した点である。この実施形態においても第1,第2ルギン管23−1,23−2はカソード15とパドル19を結ぶ方向(被めっき面17に垂直な方向)に並列に並べて接近して設置されている。このように構成すれば、第1,第2ルギン管23−1,23−2を被めっき面17とパドル19の間の狭い隙間に設置することなく、容易に被めっき面17に接近して設置することができる。この実施形態の場合、第1,第2ルギン管23−1,23−2を極細に構成する必要はなく、例えば外径3〜5mm程度としても良い。また第1,第2ルギン管23−1,23−2にこれらの駆動機構を設ける必要はなく、パドル19のパドル駆動機構33に前記駆動機構を兼用させこれらを移動することができる。言い換えれば、パドル19に攪拌機能だけでなく、分極曲線測定機能も兼ねさせている。その際パドル19による攪拌動作と、パドル19による分極曲線測定動作とをパドル19の同一動作の中で行わせても良いし、別々の動作、即ち攪拌時のパドル動作と分極曲線測定時のパドル動作とを別々に独立して行わせても良い。例えば攪拌時のパドル動作はその速度を速くし、分極曲線測定時のパドル動作はその速度を遅くしても良い。
【0049】
このように構成しても、前記第2実施形態の場合と同様、第1,第2ルギン管23−1,23−2の先端における局所的な電流密度iを直接求めることができ、精度の良い分極曲線が得られる。またこの実施形態の場合、既存のパドル19に第1,第2ルギン管23−1,23−2を搭載できるため、従来からあるめっき装置の構造を大きく変える必要がなくなる。さらにカソード15とパドル19の間に第1,第2ルギン管23−1,23−2が位置しないので、実際のめっき時の状態により近い状態での測定が行え、分極曲線の精度がより良くなる。
【0050】
なおこの実施形態の場合も、2本の第1,第2ルギン管23−1,23−2を設置する代わりに、1本のルギン管23をパドル19に取り付けても良い。その場合、パドル19を駆動することで1本のルギン管23を微小距離だけ被めっき面17に垂直な方向に移動(平行移動)して2点における電位差E1,E2を求めても良い。また3本以上のルギン管23をパドル19に取り付けても良い。また1本又は2本以上のルギン管23をパドル駆動機構33によってパドル19と共に種々の方向に移動する(移動方向は被めっき面17に対して少なくとも前後又は左右又は上下又は斜め上下左右方向である)ことで、さらに多点における電位差を求めれば、さらに被めっき面17近傍の局所的な多数の点の電流密度を求めることができ、差分法等により電流の方向(被めっき面27に垂直な方向に対する傾き)も含めたさらに精度の良い分極曲線を求めることができる。またこの実施形態においても、第1,第2ルギン管23−1,23−2の間の電位差を求める方法として、図5に示すように、第1,第2参照電極21−1,21−2間の電位差(φ2−φ1)を電位差計31´によって直接測定しても良い。
【0051】
〔第4実施形態〕
図7は本発明の第4実施形態にかかる分極曲線測定方法を用いためっき装置1−4を示す概略図である。なお同図に示すめっき槽10はこれをその上方から見た状態を示している。同図に示すめっき装置1−4において、前記図1〜図2に示すめっき装置1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図2に示す実施形態と同じである。
【0052】
同図に示すめっき装置1−4において、めっき装置1−1と相違する点は、パドル19と試料極15との間のめっき液Q中に参照電極21に接続されたルギン管23を設置する代わりに、ルギン管23をカソード15の側部近傍に設置した点である。
【0053】
このように構成した場合、ルギン管23をカソード15の被めっき面17の直前に設置しないので、検出する電位差Eに、上記各実施形態に比べてより遠く離れた距離分の余計なIRドロップが含まれてしまう。しかしながらこの実施形態においても、パドル19等を設置した実際にめっきに使用するめっき装置1−4を直接使用して分極曲線を測定できるので、この点については上記各実施形態と同様に、測定される分極曲線が実際のめっき装置1−4でめっきされる際の分極曲線とほぼ同一になる。即ち測定される分極曲線は、パドル19によるメッキ液Qの流れや拡散等を考慮した実際のめっき時における分極曲線に近いものとなる。
【0054】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では、本発明を半導体ウエハの微細な溝内に金属を埋め込むめっきに利用した場合を説明したが、本発明は半導体ウエハの他の各種めっきにも利用でき、さらに半導体ウエハ以外の他の各種部材のめっきに利用しても良い。またパドル19の形状や、ルギン管23の形状や、めっき装置1−1〜1−4のその他の各部材の形状・構造に種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば上記各実施形態ではルギン管23の先端の向きを下向きにしたが、この先端は被めっき面17側に向けても良く、また場合によってはそれ以外の向きに向けても良い。また上記各実施形態では試料極をカソード15、対極をアノード13としてめっきに用いたが、試料極をアノード15、対極をカソード13として電解研磨に用いても良い。また腐食問題の解析に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】めっき装置1−1を示す概略図である。
【図2】めっき槽10内の各部品の設置状態を示す概略平面図である。
【図3】めっき装置1−2を示す概略図である。
【図4】めっき槽10内の各部品の設置状態を示す概略平面図である。
【図5】電位差計31´の他の接続方法を示す図である。
【図6】めっき装置1−3を示す概略図である。
【図7】めっき装置1−4を示す概略図である。
【図8】従来の分極曲線測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
1−1 めっき装置(電解処理装置)
10 めっき槽(電解処理槽)
Q めっき液(電解液)
13 アノード(対極)
15 カソード(試料極)
17 被めっき面(電解処理面)
19 パドル
21 参照電極
23 ルギン管
25 可変抵抗器
27 直流電源
29 電流計
31 電位差計
33 パドル駆動機構
1−2 めっき装置(電解処理装置)
21−1 第1参照電極
21−2 第2参照電極
23−1 第1ルギン管
23−2 第2ルギン管
24 駆動機構
31−1 第1電位差計
31−2 第2電位差計
40 制御装置(膜厚分布モニタリング手段)
41 モニタ(膜厚分布モニタリング手段)
1−3 めっき装置
1−4 めっき装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、
前記測定を、前記試料極を実際に電解処理する電解処理槽の中で行うことを特徴とする分極曲線測定方法。
【請求項2】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、
前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルと前記試料極との間に設置した1又は2以上の前記ルギン管によってルギン管と試料極との間の電位差を求めることを特徴とする分極曲線測定方法。
【請求項3】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、
前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルに取り付けた1又は2以上の前記ルギン管をパドルと一体に移動させてルギン管と試料極との間の電位差を求めることを特徴とする分極曲線測定方法。
【請求項4】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、
前記ルギン管は、試料極の電解処理面に対して少なくとも前後又は左右又は上下にその位置及び移動速度が制御されて電解処理槽内の任意の場所の電位差を測定することを特徴とする分極曲線測定方法。
【請求項5】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する分極曲線測定方法であって、
前記ルギン管によって、接近する2箇所以上の位置の前記電位差を測定し、測定したこれら2箇所以上の電位差と既知の電気伝導度から、電流密度を算出し、局所的な分極曲線を求めることを特徴とする分極曲線測定方法。
【請求項6】
前記局所的な分極曲線を試料極表面の複数箇所で測定して得た分極曲線群を試料極表面の境界値として、数値解析手段を用いて電解処理槽内全体の電位−電流密度分布を求め、その結果から試料極表面の膜厚分布を算出することを特徴とする請求項5に記載の分極曲線測定方法。
【請求項7】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、
前記電解処理槽は、前記試料極を実際に電解処理する電解処理槽であることを特徴とする電解処理装置。
【請求項8】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、
前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルと前記試料極との間に、1又は2以上の前記ルギン管を設置することを特徴とする電解処理装置。
【請求項9】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、
前記試料極の電解処理面近傍に設置されて電解液を攪拌するパドルに、1又は2以上の前記ルギン管を取り付けたことを特徴とする電解処理装置。
【請求項10】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、
前記ルギン管は1又は2以上であり、
前記1又は2以上のルギン管を、試料極の電解処理面に対して少なくとも前後又は左右又は上下の任意の場所に移動させる制御装置を具備することを特徴とする電解処理装置。
【請求項11】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の分極曲線を測定する電解処理装置であって、
前記分極曲線を試料極表面の複数箇所で測定することで分極曲線群を得、この分極曲線群を試料極表面の境界値として、数値解析手段を用いて電解処理槽内全体の電位−電流密度分布を求め、その結果から試料極表面の膜厚分布を算出してモニタリングする膜厚分布モニタリング手段を搭載したことを特徴とする電解処理装置。
【請求項12】
電解処理槽内に満たした電解液中に試料極と対極と参照電極に接続されたルギン管とを浸し、前記試料極と対極の間に電解液を介して電流を流すことで試料極表面の電解処理を行うとともに、これら試料極と対極との間に流れる電流値と前記ルギン管と試料極との間の電位差とを求めることで電解液の電位を測定する電解処理装置であって、
前記ルギン管より電解処理槽内の複数箇所で電位を測定し、場合によっては測定された電位から電流密度を算出し、少なくとも求められた電位または電流密度のどちらか一方に基づいて境界値逆解析を行って試料極表面の電位−電流密度分布を求める試料極表面の電位−電流密度測定手段を搭載したことを特徴とする電解処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−270320(P2007−270320A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100521(P2006−100521)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(504253256)