分級装置及び分級方法
【課題】分級効率に優れた分級装置を提供すること。
【解決手段】曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする分級装置。目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定することが好ましい。
【解決手段】曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする分級装置。目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分級装置及び分級方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流路を螺旋状とすることで、流体にかかる遠心力を使用し、粒子の分級を行う方法が提案されている(非特許文献1及び2参照)。この方法は、フィルタ型の分級に対して、目詰まりがなく耐久性が高い。
また、触媒を含む反応流体を反応させるための微細な流路を備えたマイクロデバイスであって、前記微細な流路が曲がり部を備えたことを特徴とするマイクロ流路デバイスが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−368491号公報
【非特許文献1】Xu Ji et al, "A CENTRIFUGATION-ENHANCED HIGH-EFFICIENCY MICRO-FILTER WITH SPIRAL CHANNEL", IEEE TRANSDUCERS &EUROSENSORS 2007 (The 14th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems), pp.1865-1868
【非特許文献2】Wei Wang et al, "MICROFLUIDIC CENTRIFUGATIONS IN A SPIRALMICROCHANNEL", The 10th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (μTAS2006), pp.543-545
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れた分級装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>及び<4>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>、<3>及び<5>とともに以下に記載する。
<1> 曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする分級装置、
<2> 目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定する、上記<1>に記載の分級装置、
<3> 前記隔壁が、流路の上面及び底面から遠心力方向に向けて傾きを有する、上記<1>又は上記<2>に記載の分級装置、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする、粒子の分級方法、
<5> 前記微小流路の曲がり部において、ディーン数が8以上となるように送液する、上記<4>に記載の粒子の分級方法。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れる分級装置を提供することができる。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、簡易に作製可能な分級装置を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、流路及び/又は開口の詰まりが抑制された分級装置を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れた分級方法を提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分級効率に優れた分級方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本実施形態の分級装置は、曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする。該曲がり部は、該隔壁により、内側と外側の2つの流路に分けられている。
また、本実施形態の粒子の分級方法は、本実施形態の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする。
以下、適宜図面を参照しながら詳述する。なお、以下の説明において、同一の符号は、特に断りのない限り、同一の対象を表す。
【0008】
<微小流路>
本実施形態の分級装置は、曲がり部を備える微小流路を有する。
微小流路としては、数〜数千μmの幅(円相当流路直径)の流路が好ましく用いられる。本実施形態の分級装置は、マイクロスケールの複数の流路(チャンネル)を有する装置であることが好ましい。
本実施形態の分級装置において、微小流路は、マイクロスケールであるので、寸法及び流速がいずれも小さく、レイノルズ数は2,300以下である。したがって、マイクロスケールの流路を有する分級装置は、通常の反応装置のような乱流支配ではなく層流支配の装置である。
ここで、レイノルズ数(Re)は、下記式で表されるものであり、2,300以下のとき層流支配となる。
Re=uL/ν (u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)
【0009】
本実施形態において、微小流路の等価直径(円相当流路直径)は、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以下であることが特に好ましい。
【0010】
本実施形態において、微小流路は少なくとも1つの曲がり部を有していれば特に限定されない。曲がり部は、湾曲形状であることが好ましいが、非曲線状に屈曲した形状(例えばコ字状)であってもよい。また、曲がり部の形状は、楕円形状又は半円形状の曲がり部でもよい。
なお、曲がり部では遠心力が発生する。遠心力は、回転軸(曲がり部の中心)から遠ざかる向きを有する。本実施形態において、遠心力方向とは、回転軸から遠ざかる方向である。
【0011】
図1、図2及び図3は、本実施形態の分級装置の一例を示す上面図である。
図1では、分級装置1は、半円形状の曲がり部3を備える微小流路2を有している。また、図2では、微小流路2は、半円連結型となっている。また、図3では、微小流路2は、アルキメデスの螺旋形状となっている。なお、図1〜図3において、微小流路は平面曲線であり、紙面の奥方向に流路深さを有する微小流路であり、重力方向(鉛直方向下方)が紙面の奥方向となっている。
微小流路は、隔壁で仕切られた一方の流路が、流路の上流から下流まで、全長に渡り遠心力方向の外側となり、他の一方が流路の上流から下流まで全長に渡り遠心力方向の内側となる形状であることが好ましい。隔壁で仕切られた一方の流路が、流路の全長に渡って、遠心力方向外側となる流路形状としては、半円状、楕円状、渦巻き線状(螺旋状)が好ましく例示でき、渦巻き線状(螺旋状)であることがさらに好ましい。ここで、図1〜図3において、遠心力方向を矢印Rで示している。
図1〜図3を参照すれば、微小流路2は、隔壁4によって、曲がり部で遠心力方向の内側となる微小流路2−1と、曲がり部で遠心力方向の外側となる2−2とが形成されている。
なお、本実施形態において、微小流路は平面曲線であってもよいし、空間曲線であってもよい。平面螺旋状としては、半円連結型、アルキメデスの螺旋形状、放物螺旋形状等が例示でき、空間曲線としては、常螺旋(コイルバネ状)が例示できる。
また、図2及び図3では、紙面中央部にある一端から微粒子分散液を送流して、徐々に大きな曲率半径を有する曲がり部としてもよく、これとは逆に、微小流路の最外の一端から微粒子分散液を送流することもできる。
【0012】
<隔壁>
本実施形態の分級装置は、微小流路の曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備える。該隔壁は、流路の流れ方向と平行に設けられており、流路の一方に微粒子分散液を送流した場合に、ディーン渦による遠心力方向又はその逆方向への粒子の流れと交差するものである。
該隔壁は、微小流路を遠心力方向の内側と外側とに隔てるものであり、該隔壁には、目開きの異なる2種以上の開口が設けられている。
なお、前記隔壁は、少なくとも曲がり部の一部に形成されていればよいが、流路の一方に粒子分散液を送液するという観点から、流路の全長に渡り形成されていることが好ましい。
【0013】
図4は、図1において隔壁4を矢印Aの方向から観察した斜視図である。なお、隔壁4は、曲がり部に形成されているので、湾曲形状であるが、微視的には直線上であるとして記載している。
図4において、隔壁4には、目開きの大きな開口X及び目開きの小さな開口Yが設けられている。ここで、目開きとは、開口を通過可能な粒子の最大径を意味する。図4では、開口Xの目開きはxで表され、開口Yの目開きはyで表されている。
【0014】
隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、底面及び上面近傍の開口の目開きとが異なる大きさを有する。図4において、鉛直方向中央部には、目開きの大きな開口Xが形成され、流路の底面42及び上面41近傍には、目開きの小さな開口Yが形成されている。
なお、図4では、隔壁に設けられた鉛直方向中央部の開口Xの目開きxが大きく、底面及び上面近傍の開口Yの目開きyが小さい(x>y)が、本実施形態はこれに限定されるものではなく、後述するように、鉛直方向中央部の開口の目開きを小さくし、底面及び上面近傍の開口の目開きを大きくすることもできる。
ここで、鉛直方向中央部の開口とは、該鉛直方向中央部の開口の上及び下に、目開きの異なる開口が設けられていれば特に限定されず、鉛直方向の中央(高さ中央)又はその近傍を含む開口であることが好ましい。また、開口が上面及び底面から等位置に設けられていることが好ましい。
また、底面及び上面近傍の開口とは、前記鉛直方向中央部の開口よりも底面又は上面の近くに形成されていれば特に限定されないが、上面近傍の開口と、底面近傍の開口の目開きは同じであることが好ましく、また、上面近傍の開口と上面との距離が、底面近傍の開口と底面との距離と等距離であることが好ましい。
【0015】
また、図4では、隔壁は目開きの異なる2種の開口を備えているが、本実施態様は2種以上の開口を備えるものであれば限定されず、3種の開口を備えるものとすることもできる。これらの中でも隔壁及び分級装置の作製の容易さから、2種の開口を有するものであることが好ましい。
【0016】
図1において、粒子分散液を一方の流路に送液し、該粒子を分級する方法について説明する。
予め微小流路2の全体を粒子分散液の分散媒で満たしておき、隔壁4で隔てられた流路の一方に粒子分散液を送液する。図1では、遠心力方向内側の微小流路2−1に粒子分散液S1を送液する。従来から、曲がり部を有する微小流路に粒子分散液を送流することによって、遠心力によって粒子を流路の遠心力方向外側に移動させ、粒子の分級を行う方法が知られている。しかし、Ookawara et al., Chemical Engineering Journal 101 (2004) pp.171-178に記載されているように、Dean渦と呼ばれる2次流が発生し、一度遠心力によって流路の外側に移動した粒子は、再び2次流(Dean渦、Dean vortices)によって流路の内側に戻ってくるという現象が観察される。
図5は、微小流路の曲がり部において、流路断面において生じる二次流速度ベクトルの一例を示す。図5において、流路の遠心力方向外側の内壁52、流路の遠心力方向内側の内壁50、流路上面54、流路底面56によって、流路が形成されている。なお、図5は、隔壁を有していない微小流路に流体を送流した場合の模式図であり、図5に示すように、1対のDean渦が上下に形成される。二次流速度の最も大きな領域は上下のDean渦の中間(流路の鉛直方向中央部)に存在している。曲がり部において、このような二次流速度分布が生じることにより、微粒子分散液を送液する場合には、遠心力により遠心力方向に移動した粒子が、再び遠心力方向の逆方向へ移動する力を受け、遠心力方向の内側に移動するという現象が生じる。
【0017】
本実施形態において、図4に示すような隔壁を有する微小流路を使用し、遠心力方向の内側の流路2−1に粒子分散液を送流すると、遠心力及びDean渦の影響により、微小粒子は流路の鉛直方向中央部で最も遠心力方向の力を受ける。鉛直方向の中央部には目開きの大きな開口Xが設けられており、中央部の目開きよりも小さな粒径の粒子は、遠心力方向に移動する。なお、目開きと同じ大きさの粒子は通過できない。
遠心力方向の外側の流路2−2に移動した粒子は、Dean渦の影響により、流路の上面又は底面へと移動しながら、再び、遠心力方向の内側の流路2−1へと移動する。ここで、隔壁の流路の底面及び上面の近傍には、目開きの小さな開口Yが設けられているため、遠心力方向の外側の流路2−2に移動した粒子のうち、開口Yを通過できない粒子(開口Y以上の粒径の粒子)は、遠心力方向の外側の流路2−2に留まる。
曲がり部の下流で、遠心力方向の内側の流路2−1及び遠心力方向の外側の流路2−2から排出された排出液(T1、T2)をそれぞれ回収すると、遠心力方向内側の流路2−1からの排出液T1には、粗大粒子及び微小粒子が含有されており、遠心力方向外側の流路2−2からの排出液T2には、隔壁の鉛直方向中央部の開口Xの目開きと、隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口Yの目開きとの間の粒径を有する粒子が含有される。
すなわち、鉛直方向中央部の開口が分級する粒子の粒径の上限を規定しており、底面及び上面近傍の開口が分級する粒子の粒径の下限を規定している。
【0018】
図6は、本実施形態に好適に使用される隔壁の他の一実施態様を示す流路断面図及び隔壁平面図である。
図6(A)は流路断面であり、図6(B)は隔壁の平面図である。
図6(A)を参照すれば、微小流路には、流路の上面54及び底面56から遠心力方向(図中、矢印Rで表している。)に傾きθを有する隔壁が設けられている。前記隔壁の傾斜角θは、0°〜60°であることが好ましく、25°〜45°であることがより好ましく、25°〜35°であることがさらに好ましい。
図6(C)を参照すれば、隔壁4が遠心力方向に傾きを有すると、隔壁に沿って粒子が移動するため、粒子による遠心方向中央部の開口の目詰まりが生じにくい。
【0019】
該隔壁の鉛直方向中央部には、目開きの大きな開口Xが設けられており、該隔壁の流路の底面及び上面近傍には、目開きの小さな開口Yが設けられている。図中、それぞれの目開きをx及びyで示している。
【0020】
図6(C)は、図6(A)に示す分級装置の微小流路の一方に粒子分散液を送流した場合の概念図である。微小流路の遠心力方向の内側の微小流路2−1に粒子分散液を送流すると、遠心力により、遠心力方向外側の微小流路に粒子が移動する。このとき、目開きxよりも大きい粒子は開口Xを通過できず、微小流路2−1に留まる。一方、目開きxよりも小さい粒子は開口Xを通過し、遠心力方向外側の微小流路2−2に移動する。Dean渦によって、粒子は上方又は下方から遠心力方向と逆に移動する力を受ける。目開きyよりも小さい粒子は開口Yを通過し、微小流路2−1に移動するが、目開きyよりも大きい粒子は開口Yを通過することができず、微小流路2−2に留まる。
したがって、隔壁に設けられた2種の開口(開口X及び開口Y)のうち、開口Xは分級する粒子の上限を規定しており、他方の開口である開口Yが分級する粒子の下限を規定している。
【0021】
図7は、本実施形態の分級装置に使用される隔壁の他の一実施態様を示す斜視図である。図7において、隔壁は、図1の矢印Aの方向から観察したものである。
図7において、隔壁の鉛直方向中央部には、目開きの小さな開口Xが設けられており、隔壁の流路上面及び底面の近傍には、目開きの大きな開口Yが設けられている。
図7に示す分級装置を使用した分級方法について説明する。
図7に示す分級装置では、遠心力方向の外側の流路に粒子分散液を送液する。2次流であるディーン渦の影響により、流路の上部及び底部の近傍の隔壁に設けられた開口の目開きより大きな粒子は、遠心力方向の内側に移動する。一方、遠心力方向の内側の流路に移動した粒子のうち、流路の遠心力方向の中央部に設けられた開口の目開きよりも小さな粒子は、遠心力により、再び遠心力方向外側の流路に移動する。
したがって、遠心力方向内側の流路に分級される粒子の粒径の上限は、隔壁の流路の上面及び底面の近傍に設けられた開口により規定され、下限は、隔壁の鉛直方向中央部の開口により規定される。
【0022】
本実施態様の分級方法は、微小流路の曲がり部においてディーン数が8以上となるように送液することが好ましい。ここで、ディーン数(De)とは、曲がり管流れなど、遠心力を考慮する際に重要な無次元数であり、下記の式で与えられる。
【0023】
【数1】
D(m):代表長さ
V(m/sec):流速
ρ(kg/m3):粒子の密度
μ(Pa・s):粘性係数
L(m):流路長
R(m):曲率半径
【0024】
ディーン数は、8以上であることが好ましく、10〜300であることがより好ましく、10〜50であることがさらに好ましい。
ディーン数が上記範囲内であると、分級効率に優れるので好ましい。
前記ディーン数となるように、流路径、流速、粒子の密度、流路長、曲率半径等を適宜選択することが好ましい。
【0025】
粒子分散液の微小流路への導入は、マイクロシリンジ、ロータリーポンプ、スクリューポンプ、遠心ポンプ、ピエゾポンプ等で圧入することが好ましい。
粒子分散液の微小流路への送液量は、0.01〜1,000ml/hrであることが好ましく、10〜300ml/hrであることがより好ましい。
【0026】
次に、粒子分散液について説明する。
粒子分散液は、体積平均粒径が0.1μm〜1,000μmの粒子が媒体液体に分散していることが好ましい。
前記粒子としては、体積平均粒径が0.1μm〜1,000μmであれば、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子、セラミック粒子等何れでも好ましく用いられる。
粒子の体積平均粒径は、上述のように0.1μm〜1,000μmであることが好ましく、0.1μm〜500μmであることがより好ましく、0.1μm〜200μmであることがさらに好ましく、1.0μm〜50μmであることが特に好ましい。該粒子の体積平均粒径が1,000μm以下であると、流路及び隔壁の開口の目詰まりを生じにくいので好ましい。また、体積平均粒子径が1.0μm以上であると流路内壁への付着を生じにくいので好ましい。
【0027】
粒子の形状は、特に限定されないが、針状で特に、長軸が流路幅の1/4より大きくなると詰まりの可能性が高くなる場合がある。このような観点から、微粒子の長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)は、1〜50の範囲が好ましく、1〜20の範囲がより好ましい。なお、粒径、粒子形状に合わせて、適宜流路幅、流路径等を選択することが好ましい。
【0028】
分級する粒子の種類は、以下に列挙したものが可能であるが、それらに限定されるものではない。例えば、高分子微粒子、顔料のごとき有機物の結晶あるいは凝集体、無機物の結晶あるいは凝集体、金属微粒子、あるいは金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物のごとき金属化合物の微粒子などである。また、内部の空隙の有無に関わらず、ゴム類、ワックス類(微粒子ワックス)、中空粒子類などの粒子が挙げられる。
【0029】
前記高分子微粒子としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の微粒子が挙げられる。
【0030】
また、前記金属あるいは金属化合物の微粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、あるいはその合金、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO、酸化鉄等の金属酸化物やこれらの化合物、窒化ケイ素などの金属窒化物などやそれらを組合せた微粒子が挙げられる。
【0031】
前記ゴム類の粒子としては、ニトリルゴム、スチレンゴム、イソブチレンゴムなどを微粒子化したものを用いることができる。微粒子化は、乳化重合や冷凍・冷却粉砕などの機械式で行うことができる。
【0032】
前記微粒子ワックスとしては、樹脂を1995年3月高分子学会発行の反応工学研究界レポート−1「乳化・分散技術と高分子微粒子の粒子径制御 第三章」に記載の、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法で微粒子化させたものを用いることができる。また、前記微粒子ワックスは、加温時に相溶し、かつ室温では離型剤を溶解させない適当な溶剤に、離型剤を添加し加熱溶解させた後、室温まで徐々に冷却し、離型剤の微細粒子を析出させる方法(溶解析出法)や、ヘリウムなどの不活性ガス中で離型剤を加熱蒸発させ気相中で粒子を作製した後、この粒子を冷却したフイルム等に付着回収した後に、溶剤に分散させる方法(気相蒸発法)により得られる微粒子ワックス(離型剤)を用いることができる。
上述の微粒子ワックスの作製では、さらにメデイア等を用いた機械的粉砕法と組み合せるとさらに微細化させることが可能である。
【0033】
前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等の他、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタム等の石油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、これらの中でも低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等、カルナバワックス、パラフィンが好ましく用いられる。
【0034】
前記中空粒子としては、無機系、有機系の中空粒子を用いることができる。無機系ではシリカ系、シリカ・アルミナ系、有機系では、樹脂系が好ましい。また、粒子内の空隙は一つでも複数でもよい。空隙率は特に限定されないが、好ましくは、20%〜80%、さらに好ましくは、30%〜70%である。具体的には、例えば、無機系として、日本フィライト社のフィライト、巴工業社のセノライトが挙げられ、有機系としては、日本フィライト社のエクスパンセル、セキスイ社製 ADVAN CELL、JSR社製のSX866(A)、SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055などが挙げられる。前記中空粒子としては、これらの中でも日本フィライト社のエクスパンセルが好ましく用いられる。特に、エクスパンセルDUなどの熱膨張性の微粒子は、適度な加熱により、所望の大きさに膨張させて用いる。
【0035】
これら微粒子の製法は多岐に渉るが、合成により媒体液体中で微粒子を作製し、そのまま微粒子の分級を行う場合が多い。塊状物を機械的に解砕して作製した微粒子を媒体液体中に分散し分級する場合もある。この場合は、媒体液体中で解砕することが多く、この場合はそのまま分級される。
【0036】
一方、乾式で作製された粉体(微粒子)を分級する場合には、予め、媒体液体に分散しておく必要がある。媒体液体中に乾燥粉体を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられるが、この際、分散によって1次粒子が粉砕されない条件で行うことが好ましい。
【0037】
本実施態様の分級方法で用いられる媒体液体としては、特に限定なく、例えば、水、あるいは水系媒体、有機溶剤系媒体などが挙げられる。
前記水としては、イオン交換水、蒸留水、電解イオン水などが挙げられる。また、前記有機溶剤系媒体としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなど、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
なお、本実施態様において、前記微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(1μm以下)の場合を除き、精密粒度分布測定装置:コールターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径が1μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LS−200、ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
さらに、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
【0039】
また、本実施態様の分級方法において、前記粒子分散液における粒子の含有率は、0.1〜40体積%であることが好ましく、0.5〜25体積%であることがより好ましい。前記粒子分散液における粒子の割合が0.1体積%以上であると回収が好適に行われ、40体積以下であると流路詰まりが発生しにくい。
【0040】
本実施態様の分級装置に用いられる材質としては、強度が高く、腐食防止性があり、粒子分散液の流動性を高くするものであることが好ましい。例えば、金属(鉄、アルミ、ステンレス鋼、チタン、その他の各種金属)、樹脂(フッ素樹脂、アクリル樹脂等)、セラミックス(シリコン等)、ガラス(石英等)、など一般的に用いられているものが可能であり、送液する媒体液体等により、適宜選択することが好ましい。また、プラズマCVD方などの表面改質処理を行って、SiN4、SiN2、Al2O3などの皮膜を分級装置の構成材料の表面に形成して、耐食性、流動性を向上させることもできる。
【0041】
分級装置を製作するには、微細加工技術が適用される。適用可能な微細加工技術としては、例えば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザ加工法、イオンビーム加工法、及びダイヤモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法等がある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、及び機械的マイクロ切削加工法である。一般的に、マイクロデバイス(微小流路装置)としては、SUS(ステンレス鋼)製の部材を微細放電加工して微細流路を形成することが多いが、使用する材質に応じた加工方法で加工することが好ましい。
【0042】
部材間の接合方法は、高温加熱による材料の変質や変形による流路等の破壊を伴わず、寸法精度を保った精密な方法が望ましく、製作材料との関係から固相接合(例えば圧接接合や拡散接合等)や液相接合(例えば、溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等)を選択することが好ましい。例えば、材料にシリコンを使用する場合にシリコン同士を接合するシリコン直接接合や、ガラス同士を接合する融接、シリコンとガラスを接合する陽極接合、金属同士を接合する拡散接合等が挙げられる。セラミックスの接合については、金属のようなメカニカルなシール技術以外の接合技術が必要であり、アルミナに対してglass solderなる接合剤をスクリーン印刷で、80μm程度の膜厚に印刷し、圧力をかけずに440〜500℃で熱処理する方法がある。また、新しい技術として、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF(フッ化水素)水溶液を用いた接合等がある。
【0043】
例えば、シリコンを用いた分級装置は、次のようにして製造することができる。
先ず、基板の板材として洗浄及び表面処理したシリコンウエハを用い、ドライプラズマエッチングにより、一方の主面に流路用溝を形成する。次いで、シリコンウエハの流路用溝側の面に他のシリコンウエハを直接接合で接合して一体化する。そして、接合一体化された板材をチップ化することにより、マイクロチャンネルチップを得ることができる。
【0044】
また、本実施形態の分級装置を製造する際、接合技術を用いることができる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法としては、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法として挙げられる。
【0045】
さらに、接合に際しては高温加熱による材料の変質や変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましく、その技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接合、拡散接合などが挙げられる。
【0046】
本実施形態の分級装置は、パターン部材(薄膜パターン部材)を積層して形成することが好ましい。なお、パターン部材の厚さは5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
本実施形態の分級装置は、所定の二次元パターンが形成されたパターン部材が積層されて形成された分離装置であることが好ましく、パターン部材の面同士が直接接触して接合された状態で積層されていることがより好ましい。
分級装置の水平方向の各断面形状に対応した複数のパターン部材を積層して分離装置を形成することにより、簡便に分離装置を形成することができるので好ましい。
【0047】
本実施形態の分離装置の好ましい製造方法としては、(i)第1の基板上に目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材を形成する工程(ドナー基板作製工程)、及び、(ii)前記複数のパターン部材が形成された前記第1の基板と第2の基板との接合及び離間を繰り返すことにより前記第1の基板上の前記複数のパターン部材を前記第2の基板上に転写する工程(接合工程)、を含むことを特徴とする分離装置の製造方法が例示でき、例えば、特開2006−187684号公報に記載の製造方法を参照できる。
【0048】
本実施形態の分級装置の製造方法についてさらに詳述する。
〔ドナー基板作製工程〕
本実施形態において、ドナー基板は電鋳法を用いて作製することが好ましい。ここで、ドナー基板とは、第1の基板上に目的とする分級装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材が形成された基板である。第1の基板は、金属、セラミックス又はシリコンから形成されていることが好ましく、ステンレス等の金属が好適に使用できる。
まず、第1の基板を準備し、第1の基板上に厚膜フォトレジストを塗布し、作製する分離装置の各断面形状に対応したフォトマスクにより露光し、フォトレジストを現像して各断面形状のポジネガ反転したレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンを有する基板をめっき浴に浸漬し、フォトレジストに覆われていない金属基板の表面に例えばニッケルめっきを成長させる。パターン部材は電鋳法を用いて、金、銅、又はニッケルにより形成されていることが好ましい。
次に、レジストパターンを除去することにより、第1の基板上に分離装置の各断面形状に対応したパターン部材を形成する。
【0049】
図8は、図1に示す分級装置を形成するための薄膜パターンの概念説明図である。図1に示す分級装置が、図8(A)〜図8(L)の計12枚の薄膜パターンの積層により形成されていることを示す。
薄膜パターン(C)と(D)及び(I)と(K)は、小さな目開きを形成し、薄膜パターン(F)と(G)は、大きな目開きを形成する。
【0050】
〔接合工程〕
接合工程とは、複数のパターン部材が形成された前記第1の基板(ドナー基板)と第2の基板(ターゲット基板)との接合及び離間を繰り返すことにより前記ドナー基板上の前記複数のパターン部材を前記ターゲット基板上に転写する工程である。接合は、常温接合又は表面活性化接合により行われることが好ましい。
図9(a)から(f)は、本実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
図9(a)に示すように、ドナー基板505には、第1の基板上である金属基板500に、目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材(501)が形成されている。上記ドナー基板505を真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板510を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。次に、下部ステージを上部ステージに対して相対的に移動させてターゲット基板510の直下にドナー基板505の1層目のパターン部材501Aを位置させる。次に、ターゲット基板510の表面、及び1層目のパターン部材501Aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
【0051】
次に、図9(b)に示すように、上部ステージを下降させ、所定の荷重力(例えば、10kgf/cm2)でターゲット基板510とドナー基板505とを所定の時間(例えば、5分間)押圧し、ターゲット基板510と1層目のパターン部材501Aとを常温接合(表面活性化接合)する。本実施の形態では、パターン部材501A、501B・・・の順に積層する。
【0052】
次に、図9(c)に示すように、上部ステージを上昇させて、ドナー基板とターゲット基板を離間させると、1層目のパターン部材501Aが金属基板(第1の基板)500から剥離し、ターゲット基板510側に転写される。これは、1層目のパターン部材501Aとターゲット基板510との密着力が1層目のパターン部材501Aと金属基板(第1の基板)500との密着力よりも大きいからである。
【0053】
次に、図9(d)に示すように、下部ステージを移動させ、ターゲット基板510の直下にドナー基板505上の2層目のパターン部材501Bを位置させる。次に、ターゲット基板510側に転写された1層目のパターン部材501Aの表面(金属基板500に接触していた面)、及び2層目のパターン部材501Bの表面を前述したように清浄化する。
【0054】
次に、図9(e)に示すように、上部ステージを下降させ、1層目のパターン部材501Aと2層目のパターン部材501Bを接合させ、図9(f)に示すように、上部ステージを上昇させると、2層目のパターン部材501Bが金属基板(第1の基板)500から剥離し、ターゲット基板510側に転写される。
【0055】
他のパターン部材も同様に、ドナー基板505とターゲット基板510との位置決め、接合及び離間を繰り返すことにより、分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材がターゲット基板上に転写される。ターゲット基板510上に転写された積層体を上部ステージから取り外し、ターゲット基板510を除去すると、分離装置が得られる。
【0056】
上記の実施形態では、ドナー基板を電鋳法を用いて作製したが、半導体プロセスを用いて作製してもよい。例えば、Siウエハからなる基板を準備し、この基板上にポリイミドからなる離型層をスピンコーティング法により着膜し、この離型層の表面に分離装置の構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜し、Al薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、ドナー基板を作製することもできる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図10に、実施例1で使用した分級装置の平面図を示す。図10(a)は分級装置1の上視図であり、図10(b)は流路断面図である。
実施例1で使用した分級装置1は、半円形の微小流路2を有し、隔壁4が設けられている。隔壁には、開口が設けられており、該隔壁は、鉛直方向中央部の開口の目開きが12μmであり、流路の上面及び上面近傍の目開きが5μmである。
【0058】
図10に示す分級装置のI−I断面における速度分布を解析したところ、図11に示すように、ディーン渦の発生が観察され、隔壁を設けた場合であっても、ディーン渦が発生することが確認された。
【0059】
次に、隔壁で仕切られた流路のうち、遠心力方向内側の流路2−1に粒子分散液を送流した。なお、粒子分散液を送流する前に、予め微小流路2を粒子分散液の分散媒である水で満たしておいた。粒子分散液としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル:比重1.08)の3vol%分散液を使用した。
送流した粒子分散液(S1)における粒子の分布、並びに、遠心力方向内側の流路2−1から排出された排出液(T1)及び遠心力方向外側の流路2−2から排出された排出液(T2)の各排出液における粒子の分布を測定した。結果を図12に示す。
【0060】
<比較例1>
比較例1では、隔壁を設けない以外は実施例1と同様の装置を使用して、分級を行った。実施例1及び比較例1において、遠心力方向内側の流路に粒子分散液を送液した。
結果を図12に示す。
【0061】
実施例1及び比較例1にて分級を行い、排出路から得られたサンプル(T1、T2)を対比した。その結果、実施例1の分級装置では、遠心力方向外側の流路から排出されたサンプルT2では、12μmを超える粒径を有する粗粉は完全に除去された。また、遠心力方向内側の流路から排出されたサンプルT2には、隔壁の鉛直方向中央部の開口(目開き12μm)を超える粗粉と、鉛直方向中央部の開口を通過し、Dean渦に隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口(目開き5μm)を通過して戻った、微粉が混在していた。
これに対し、比較例1の分級装置では、ディーン渦による2次流の影響で、分級効果は殆ど認められなかった。
【0062】
<実施例2>
図13に実施例2で使用した分級装置の平面図を示す。図13に示す分級装置の微小流路は、断面が幅200μm、高さ100μmの矩形である。
図14に実施例2で使用した分級装置の曲がり部における遠心力方向の流路断面を示した。実施例で使用した分級装置は、12層のパターン部材を積層することによって製造した。
図13に示す分級装置は、半円連結型となっている。分級装置の特性値を以下の表1に示す。また、各半円の流路の曲率半径R(μm)及びディーン数を表2に示す。図15には、実施例2の分級装置において、遠心力と流路角度の関係を示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
図15に示すように、遠心力の変化とディーン数の変化は、ほぼ同じ傾向となることが確認された。
【0066】
図16に示す粒子分散を有するトナー粒子の水分散液(原液、3vol%)をサンプルとして、前記実施例2の分級装置の最外流路の遠心力方向内側に送液した。なお、粒子分散液の送液前に、予め流路内を分散媒である水で満たした。
最内の微小流路のうち、遠心力方向外側の流路から排出された排出液(T2)を回収し、含まれる粒子径の分散をコールター社マルチサイザー3を用いて測定した。結果を図16に示す。なお、隔壁は鉛直方向中央部の開口の目開きを12μmとし、隔壁の流路底面及び上面近傍の開口の目開きを5μmとした。上記目開きは、(C)及び(D)、(F)及び(G)、並びに、(J)及び(K)のパターンの幅を調整して得た(図4参照)。
また、比較例2として、隔壁を有していない分級装置を使用した以外は実施例2と同様の分級装置を使用して、遠心方向外側の流路から排出された排出液(T2)を回収し、実施例2と同様にして粒度分布曲線を測定した。
また、図16に、実施例2及び比較例2の排出液T2における回収率及び誤率を示す。ここで、回収率とは、回収した5〜12μmの粒径を有する粒子と、原液に含まれる粒径5〜12μmの粒子の比である。また、誤率とは、回収した微粒子内に5〜12μm以外粒子が含まれる割合(個数%)である。
この結果、実施例2の分級装置を用いて分級を行った場合には、比較例2の分級装置で分級を行った場合に比して、5〜12μmの粒子の回収率が高く、また、低い誤率が達成できた。
【0067】
<実施例3>
図17に実施例3で使用した分級装置の平面図を示す。また、図18には、実施例3で使用した分級装置の遠心力方向の流路断面図を示す。実施例3で使用した分級装置は、微小流路の上面及び底面から、遠心力方向に傾きを有する隔壁が形成されており、隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きは30μmであり、隔壁の流路上面及び底面近傍の開口の目開きは、10μmである。また、図18に示すように、20層の薄層パターンを積層することによって形成することができる。なお、実施例3で使用した分級装置は、流路上面及び底面近傍に、10μmの目開きを有する開口が2層形成されている。
図17に示す分級装置は、微小流路がアルキメデスの螺旋形状となっている。分級装置の特性値を以下の表に示す。なお、前記流路は
r[μm]=35θ[rad]+100[μm]
を満たす。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例3における分級装置のディーン数(平均)は、39.2である。
【0070】
図17に示す分級装置の最外層の微小流路の遠心方向内側に、インフルエンザウィルスを含むヒト血液を送流した。なお、本実施例において、全体の構成は図19のようになっている。
本実施例では、悪性のウィルスに犯されたヒトの血液中にTiO2光触媒を投入し、ウィルスの不活性化を行うとともに、その触媒粒子を回収するものである。
血液サンプルとTiO2を十分に撹拌後、ポンプを用いてマイクロミキサーに送液し、マイクロミキサーで混合を行う。血液とTiO2の混合液を、TiO2微粒子が活性であり、血液が凝固しにくい25℃にヒータで保ち、送液を行った。次に、ニードル付きの透明流路を送液すると同時に、照明(蛍光灯)による光照射を行った。これにより、TiO2微粒子の光触媒効果により、血液中のウィルスを不活性化する。
次に、図17に示す分級装置に送液し、TiO2の分離を行うものである。
本実施例においては、最内の微小流路の、隔壁で仕切られた遠心方向内側の流路に血液及びTiO2を含むサンプルS1を送液した。また、最外の流路の遠心方向内側の流路及び遠心方向外側の流路から、それぞれ排出液(T1及びT2)を回収した。
また、比較例3として、隔壁を設けていない分級装置を使用した以外は、実施例3と同様にして分級を行い、排出液T1及びT2を回収した。
【0071】
図20には、分級装置に送液した原液、実施例3及び比較例3において、最外の微小流路の遠心方向外側の微小流路から回収した排出液T2の粒子分散状態の測定結果を示す。
また、実施例3及び比較例3における分離率を以下の表に示す。
なお、分離率とは、分級により除去できた個数の割合(%)である。
【0072】
【表4】
【0073】
実施例3の分級装置は、比較例3の分級装置に比べて、分離率が高く、また、図20の結果から、分離能力は5.4倍に上昇していた。
このように、本実施態様の分離装置によれば、高い分級効率を得ることができた。
また、12時間の連続運転を行っても、目詰まりを生じることなく、連続処理が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態の分級装置の一例を示す上面図である。
【図2】本実施形態の分級装置の他の一例を示す上面図である。
【図3】本実施形態の分級装置の他の一例を示す上面図である。
【図4】図1において隔壁4を矢印Aの方向から観察した平面図である。
【図5】微小流路の曲がり部において、流路断面において生じる二次流速度ベクトルである。
【図6】本実施形態に好適に使用される隔壁の他の一実施態様を示す流路断面図及び隔壁平面図である。
【図7】本実施形態の分級装置に使用される隔壁の他の一実施態様を示す平面図である。
【図8】図1に示す分級装置を形成するための薄膜パターンの概念説明図である
【図9】本実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
【図10】実施例1で使用した分級装置の平面図を示す。
【図11】図10に示す分級装置のI−I断面における速度分布の解析図である。
【図12】実施例1及び比較例1におけるサンプルS1、T1及びT2の粒子の分布の測定結果である。
【図13】実施例2で使用した分級装置の平面図を示す。
【図14】実施例2で使用した分級装置の曲がり部における遠心力方向の流路断面図である。
【図15】実施例2の分級装置において、遠心力と流路角度の関係を示した。
【図16】実施例2の結果である。
【図17】実施例3で使用した分級装置の平面図である。
【図18】実施例3で使用した分級装置の遠心力方向の流路断面図である。
【図19】実施例3の装置の全体の構成図である。
【図20】分級装置に送液した原液、実施例3及び比較例3において、最外の微小流路の遠心方向外側の微小流路から回収した排出液T2の粒子分散状態の測定結果である。
【符号の説明】
【0075】
1 分級装置
2 微小流路
3 曲がり部
4 隔壁
41 上面
42 底面
50 流路の遠心力方向内側の内壁
52 流路の遠心力方向外側の内壁
54 流路上面
56 流路底面
500 金属基板
501A 1層目のパターン部材
501B 2層目のパターン部材
505 ドナー基板
510 ターゲット基板
X、Y 開口
【技術分野】
【0001】
本発明は分級装置及び分級方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流路を螺旋状とすることで、流体にかかる遠心力を使用し、粒子の分級を行う方法が提案されている(非特許文献1及び2参照)。この方法は、フィルタ型の分級に対して、目詰まりがなく耐久性が高い。
また、触媒を含む反応流体を反応させるための微細な流路を備えたマイクロデバイスであって、前記微細な流路が曲がり部を備えたことを特徴とするマイクロ流路デバイスが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−368491号公報
【非特許文献1】Xu Ji et al, "A CENTRIFUGATION-ENHANCED HIGH-EFFICIENCY MICRO-FILTER WITH SPIRAL CHANNEL", IEEE TRANSDUCERS &EUROSENSORS 2007 (The 14th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems), pp.1865-1868
【非特許文献2】Wei Wang et al, "MICROFLUIDIC CENTRIFUGATIONS IN A SPIRALMICROCHANNEL", The 10th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (μTAS2006), pp.543-545
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れた分級装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、以下の<1>及び<4>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>、<3>及び<5>とともに以下に記載する。
<1> 曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする分級装置、
<2> 目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定する、上記<1>に記載の分級装置、
<3> 前記隔壁が、流路の上面及び底面から遠心力方向に向けて傾きを有する、上記<1>又は上記<2>に記載の分級装置、
<4> 上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする、粒子の分級方法、
<5> 前記微小流路の曲がり部において、ディーン数が8以上となるように送液する、上記<4>に記載の粒子の分級方法。
【発明の効果】
【0006】
上記<1>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れる分級装置を提供することができる。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、簡易に作製可能な分級装置を提供することができる。
上記<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、流路及び/又は開口の詰まりが抑制された分級装置を提供することができる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、分級効率に優れた分級方法を提供することができる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分級効率に優れた分級方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本実施形態の分級装置は、曲がり部を備える微小流路を有し、該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする。該曲がり部は、該隔壁により、内側と外側の2つの流路に分けられている。
また、本実施形態の粒子の分級方法は、本実施形態の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする。
以下、適宜図面を参照しながら詳述する。なお、以下の説明において、同一の符号は、特に断りのない限り、同一の対象を表す。
【0008】
<微小流路>
本実施形態の分級装置は、曲がり部を備える微小流路を有する。
微小流路としては、数〜数千μmの幅(円相当流路直径)の流路が好ましく用いられる。本実施形態の分級装置は、マイクロスケールの複数の流路(チャンネル)を有する装置であることが好ましい。
本実施形態の分級装置において、微小流路は、マイクロスケールであるので、寸法及び流速がいずれも小さく、レイノルズ数は2,300以下である。したがって、マイクロスケールの流路を有する分級装置は、通常の反応装置のような乱流支配ではなく層流支配の装置である。
ここで、レイノルズ数(Re)は、下記式で表されるものであり、2,300以下のとき層流支配となる。
Re=uL/ν (u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)
【0009】
本実施形態において、微小流路の等価直径(円相当流路直径)は、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以下であることが特に好ましい。
【0010】
本実施形態において、微小流路は少なくとも1つの曲がり部を有していれば特に限定されない。曲がり部は、湾曲形状であることが好ましいが、非曲線状に屈曲した形状(例えばコ字状)であってもよい。また、曲がり部の形状は、楕円形状又は半円形状の曲がり部でもよい。
なお、曲がり部では遠心力が発生する。遠心力は、回転軸(曲がり部の中心)から遠ざかる向きを有する。本実施形態において、遠心力方向とは、回転軸から遠ざかる方向である。
【0011】
図1、図2及び図3は、本実施形態の分級装置の一例を示す上面図である。
図1では、分級装置1は、半円形状の曲がり部3を備える微小流路2を有している。また、図2では、微小流路2は、半円連結型となっている。また、図3では、微小流路2は、アルキメデスの螺旋形状となっている。なお、図1〜図3において、微小流路は平面曲線であり、紙面の奥方向に流路深さを有する微小流路であり、重力方向(鉛直方向下方)が紙面の奥方向となっている。
微小流路は、隔壁で仕切られた一方の流路が、流路の上流から下流まで、全長に渡り遠心力方向の外側となり、他の一方が流路の上流から下流まで全長に渡り遠心力方向の内側となる形状であることが好ましい。隔壁で仕切られた一方の流路が、流路の全長に渡って、遠心力方向外側となる流路形状としては、半円状、楕円状、渦巻き線状(螺旋状)が好ましく例示でき、渦巻き線状(螺旋状)であることがさらに好ましい。ここで、図1〜図3において、遠心力方向を矢印Rで示している。
図1〜図3を参照すれば、微小流路2は、隔壁4によって、曲がり部で遠心力方向の内側となる微小流路2−1と、曲がり部で遠心力方向の外側となる2−2とが形成されている。
なお、本実施形態において、微小流路は平面曲線であってもよいし、空間曲線であってもよい。平面螺旋状としては、半円連結型、アルキメデスの螺旋形状、放物螺旋形状等が例示でき、空間曲線としては、常螺旋(コイルバネ状)が例示できる。
また、図2及び図3では、紙面中央部にある一端から微粒子分散液を送流して、徐々に大きな曲率半径を有する曲がり部としてもよく、これとは逆に、微小流路の最外の一端から微粒子分散液を送流することもできる。
【0012】
<隔壁>
本実施形態の分級装置は、微小流路の曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備える。該隔壁は、流路の流れ方向と平行に設けられており、流路の一方に微粒子分散液を送流した場合に、ディーン渦による遠心力方向又はその逆方向への粒子の流れと交差するものである。
該隔壁は、微小流路を遠心力方向の内側と外側とに隔てるものであり、該隔壁には、目開きの異なる2種以上の開口が設けられている。
なお、前記隔壁は、少なくとも曲がり部の一部に形成されていればよいが、流路の一方に粒子分散液を送液するという観点から、流路の全長に渡り形成されていることが好ましい。
【0013】
図4は、図1において隔壁4を矢印Aの方向から観察した斜視図である。なお、隔壁4は、曲がり部に形成されているので、湾曲形状であるが、微視的には直線上であるとして記載している。
図4において、隔壁4には、目開きの大きな開口X及び目開きの小さな開口Yが設けられている。ここで、目開きとは、開口を通過可能な粒子の最大径を意味する。図4では、開口Xの目開きはxで表され、開口Yの目開きはyで表されている。
【0014】
隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、底面及び上面近傍の開口の目開きとが異なる大きさを有する。図4において、鉛直方向中央部には、目開きの大きな開口Xが形成され、流路の底面42及び上面41近傍には、目開きの小さな開口Yが形成されている。
なお、図4では、隔壁に設けられた鉛直方向中央部の開口Xの目開きxが大きく、底面及び上面近傍の開口Yの目開きyが小さい(x>y)が、本実施形態はこれに限定されるものではなく、後述するように、鉛直方向中央部の開口の目開きを小さくし、底面及び上面近傍の開口の目開きを大きくすることもできる。
ここで、鉛直方向中央部の開口とは、該鉛直方向中央部の開口の上及び下に、目開きの異なる開口が設けられていれば特に限定されず、鉛直方向の中央(高さ中央)又はその近傍を含む開口であることが好ましい。また、開口が上面及び底面から等位置に設けられていることが好ましい。
また、底面及び上面近傍の開口とは、前記鉛直方向中央部の開口よりも底面又は上面の近くに形成されていれば特に限定されないが、上面近傍の開口と、底面近傍の開口の目開きは同じであることが好ましく、また、上面近傍の開口と上面との距離が、底面近傍の開口と底面との距離と等距離であることが好ましい。
【0015】
また、図4では、隔壁は目開きの異なる2種の開口を備えているが、本実施態様は2種以上の開口を備えるものであれば限定されず、3種の開口を備えるものとすることもできる。これらの中でも隔壁及び分級装置の作製の容易さから、2種の開口を有するものであることが好ましい。
【0016】
図1において、粒子分散液を一方の流路に送液し、該粒子を分級する方法について説明する。
予め微小流路2の全体を粒子分散液の分散媒で満たしておき、隔壁4で隔てられた流路の一方に粒子分散液を送液する。図1では、遠心力方向内側の微小流路2−1に粒子分散液S1を送液する。従来から、曲がり部を有する微小流路に粒子分散液を送流することによって、遠心力によって粒子を流路の遠心力方向外側に移動させ、粒子の分級を行う方法が知られている。しかし、Ookawara et al., Chemical Engineering Journal 101 (2004) pp.171-178に記載されているように、Dean渦と呼ばれる2次流が発生し、一度遠心力によって流路の外側に移動した粒子は、再び2次流(Dean渦、Dean vortices)によって流路の内側に戻ってくるという現象が観察される。
図5は、微小流路の曲がり部において、流路断面において生じる二次流速度ベクトルの一例を示す。図5において、流路の遠心力方向外側の内壁52、流路の遠心力方向内側の内壁50、流路上面54、流路底面56によって、流路が形成されている。なお、図5は、隔壁を有していない微小流路に流体を送流した場合の模式図であり、図5に示すように、1対のDean渦が上下に形成される。二次流速度の最も大きな領域は上下のDean渦の中間(流路の鉛直方向中央部)に存在している。曲がり部において、このような二次流速度分布が生じることにより、微粒子分散液を送液する場合には、遠心力により遠心力方向に移動した粒子が、再び遠心力方向の逆方向へ移動する力を受け、遠心力方向の内側に移動するという現象が生じる。
【0017】
本実施形態において、図4に示すような隔壁を有する微小流路を使用し、遠心力方向の内側の流路2−1に粒子分散液を送流すると、遠心力及びDean渦の影響により、微小粒子は流路の鉛直方向中央部で最も遠心力方向の力を受ける。鉛直方向の中央部には目開きの大きな開口Xが設けられており、中央部の目開きよりも小さな粒径の粒子は、遠心力方向に移動する。なお、目開きと同じ大きさの粒子は通過できない。
遠心力方向の外側の流路2−2に移動した粒子は、Dean渦の影響により、流路の上面又は底面へと移動しながら、再び、遠心力方向の内側の流路2−1へと移動する。ここで、隔壁の流路の底面及び上面の近傍には、目開きの小さな開口Yが設けられているため、遠心力方向の外側の流路2−2に移動した粒子のうち、開口Yを通過できない粒子(開口Y以上の粒径の粒子)は、遠心力方向の外側の流路2−2に留まる。
曲がり部の下流で、遠心力方向の内側の流路2−1及び遠心力方向の外側の流路2−2から排出された排出液(T1、T2)をそれぞれ回収すると、遠心力方向内側の流路2−1からの排出液T1には、粗大粒子及び微小粒子が含有されており、遠心力方向外側の流路2−2からの排出液T2には、隔壁の鉛直方向中央部の開口Xの目開きと、隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口Yの目開きとの間の粒径を有する粒子が含有される。
すなわち、鉛直方向中央部の開口が分級する粒子の粒径の上限を規定しており、底面及び上面近傍の開口が分級する粒子の粒径の下限を規定している。
【0018】
図6は、本実施形態に好適に使用される隔壁の他の一実施態様を示す流路断面図及び隔壁平面図である。
図6(A)は流路断面であり、図6(B)は隔壁の平面図である。
図6(A)を参照すれば、微小流路には、流路の上面54及び底面56から遠心力方向(図中、矢印Rで表している。)に傾きθを有する隔壁が設けられている。前記隔壁の傾斜角θは、0°〜60°であることが好ましく、25°〜45°であることがより好ましく、25°〜35°であることがさらに好ましい。
図6(C)を参照すれば、隔壁4が遠心力方向に傾きを有すると、隔壁に沿って粒子が移動するため、粒子による遠心方向中央部の開口の目詰まりが生じにくい。
【0019】
該隔壁の鉛直方向中央部には、目開きの大きな開口Xが設けられており、該隔壁の流路の底面及び上面近傍には、目開きの小さな開口Yが設けられている。図中、それぞれの目開きをx及びyで示している。
【0020】
図6(C)は、図6(A)に示す分級装置の微小流路の一方に粒子分散液を送流した場合の概念図である。微小流路の遠心力方向の内側の微小流路2−1に粒子分散液を送流すると、遠心力により、遠心力方向外側の微小流路に粒子が移動する。このとき、目開きxよりも大きい粒子は開口Xを通過できず、微小流路2−1に留まる。一方、目開きxよりも小さい粒子は開口Xを通過し、遠心力方向外側の微小流路2−2に移動する。Dean渦によって、粒子は上方又は下方から遠心力方向と逆に移動する力を受ける。目開きyよりも小さい粒子は開口Yを通過し、微小流路2−1に移動するが、目開きyよりも大きい粒子は開口Yを通過することができず、微小流路2−2に留まる。
したがって、隔壁に設けられた2種の開口(開口X及び開口Y)のうち、開口Xは分級する粒子の上限を規定しており、他方の開口である開口Yが分級する粒子の下限を規定している。
【0021】
図7は、本実施形態の分級装置に使用される隔壁の他の一実施態様を示す斜視図である。図7において、隔壁は、図1の矢印Aの方向から観察したものである。
図7において、隔壁の鉛直方向中央部には、目開きの小さな開口Xが設けられており、隔壁の流路上面及び底面の近傍には、目開きの大きな開口Yが設けられている。
図7に示す分級装置を使用した分級方法について説明する。
図7に示す分級装置では、遠心力方向の外側の流路に粒子分散液を送液する。2次流であるディーン渦の影響により、流路の上部及び底部の近傍の隔壁に設けられた開口の目開きより大きな粒子は、遠心力方向の内側に移動する。一方、遠心力方向の内側の流路に移動した粒子のうち、流路の遠心力方向の中央部に設けられた開口の目開きよりも小さな粒子は、遠心力により、再び遠心力方向外側の流路に移動する。
したがって、遠心力方向内側の流路に分級される粒子の粒径の上限は、隔壁の流路の上面及び底面の近傍に設けられた開口により規定され、下限は、隔壁の鉛直方向中央部の開口により規定される。
【0022】
本実施態様の分級方法は、微小流路の曲がり部においてディーン数が8以上となるように送液することが好ましい。ここで、ディーン数(De)とは、曲がり管流れなど、遠心力を考慮する際に重要な無次元数であり、下記の式で与えられる。
【0023】
【数1】
D(m):代表長さ
V(m/sec):流速
ρ(kg/m3):粒子の密度
μ(Pa・s):粘性係数
L(m):流路長
R(m):曲率半径
【0024】
ディーン数は、8以上であることが好ましく、10〜300であることがより好ましく、10〜50であることがさらに好ましい。
ディーン数が上記範囲内であると、分級効率に優れるので好ましい。
前記ディーン数となるように、流路径、流速、粒子の密度、流路長、曲率半径等を適宜選択することが好ましい。
【0025】
粒子分散液の微小流路への導入は、マイクロシリンジ、ロータリーポンプ、スクリューポンプ、遠心ポンプ、ピエゾポンプ等で圧入することが好ましい。
粒子分散液の微小流路への送液量は、0.01〜1,000ml/hrであることが好ましく、10〜300ml/hrであることがより好ましい。
【0026】
次に、粒子分散液について説明する。
粒子分散液は、体積平均粒径が0.1μm〜1,000μmの粒子が媒体液体に分散していることが好ましい。
前記粒子としては、体積平均粒径が0.1μm〜1,000μmであれば、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子、セラミック粒子等何れでも好ましく用いられる。
粒子の体積平均粒径は、上述のように0.1μm〜1,000μmであることが好ましく、0.1μm〜500μmであることがより好ましく、0.1μm〜200μmであることがさらに好ましく、1.0μm〜50μmであることが特に好ましい。該粒子の体積平均粒径が1,000μm以下であると、流路及び隔壁の開口の目詰まりを生じにくいので好ましい。また、体積平均粒子径が1.0μm以上であると流路内壁への付着を生じにくいので好ましい。
【0027】
粒子の形状は、特に限定されないが、針状で特に、長軸が流路幅の1/4より大きくなると詰まりの可能性が高くなる場合がある。このような観点から、微粒子の長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)は、1〜50の範囲が好ましく、1〜20の範囲がより好ましい。なお、粒径、粒子形状に合わせて、適宜流路幅、流路径等を選択することが好ましい。
【0028】
分級する粒子の種類は、以下に列挙したものが可能であるが、それらに限定されるものではない。例えば、高分子微粒子、顔料のごとき有機物の結晶あるいは凝集体、無機物の結晶あるいは凝集体、金属微粒子、あるいは金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物のごとき金属化合物の微粒子などである。また、内部の空隙の有無に関わらず、ゴム類、ワックス類(微粒子ワックス)、中空粒子類などの粒子が挙げられる。
【0029】
前記高分子微粒子としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の微粒子が挙げられる。
【0030】
また、前記金属あるいは金属化合物の微粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、あるいはその合金、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO、酸化鉄等の金属酸化物やこれらの化合物、窒化ケイ素などの金属窒化物などやそれらを組合せた微粒子が挙げられる。
【0031】
前記ゴム類の粒子としては、ニトリルゴム、スチレンゴム、イソブチレンゴムなどを微粒子化したものを用いることができる。微粒子化は、乳化重合や冷凍・冷却粉砕などの機械式で行うことができる。
【0032】
前記微粒子ワックスとしては、樹脂を1995年3月高分子学会発行の反応工学研究界レポート−1「乳化・分散技術と高分子微粒子の粒子径制御 第三章」に記載の、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法で微粒子化させたものを用いることができる。また、前記微粒子ワックスは、加温時に相溶し、かつ室温では離型剤を溶解させない適当な溶剤に、離型剤を添加し加熱溶解させた後、室温まで徐々に冷却し、離型剤の微細粒子を析出させる方法(溶解析出法)や、ヘリウムなどの不活性ガス中で離型剤を加熱蒸発させ気相中で粒子を作製した後、この粒子を冷却したフイルム等に付着回収した後に、溶剤に分散させる方法(気相蒸発法)により得られる微粒子ワックス(離型剤)を用いることができる。
上述の微粒子ワックスの作製では、さらにメデイア等を用いた機械的粉砕法と組み合せるとさらに微細化させることが可能である。
【0033】
前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等の他、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタム等の石油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、これらの中でも低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等、カルナバワックス、パラフィンが好ましく用いられる。
【0034】
前記中空粒子としては、無機系、有機系の中空粒子を用いることができる。無機系ではシリカ系、シリカ・アルミナ系、有機系では、樹脂系が好ましい。また、粒子内の空隙は一つでも複数でもよい。空隙率は特に限定されないが、好ましくは、20%〜80%、さらに好ましくは、30%〜70%である。具体的には、例えば、無機系として、日本フィライト社のフィライト、巴工業社のセノライトが挙げられ、有機系としては、日本フィライト社のエクスパンセル、セキスイ社製 ADVAN CELL、JSR社製のSX866(A)、SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055などが挙げられる。前記中空粒子としては、これらの中でも日本フィライト社のエクスパンセルが好ましく用いられる。特に、エクスパンセルDUなどの熱膨張性の微粒子は、適度な加熱により、所望の大きさに膨張させて用いる。
【0035】
これら微粒子の製法は多岐に渉るが、合成により媒体液体中で微粒子を作製し、そのまま微粒子の分級を行う場合が多い。塊状物を機械的に解砕して作製した微粒子を媒体液体中に分散し分級する場合もある。この場合は、媒体液体中で解砕することが多く、この場合はそのまま分級される。
【0036】
一方、乾式で作製された粉体(微粒子)を分級する場合には、予め、媒体液体に分散しておく必要がある。媒体液体中に乾燥粉体を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられるが、この際、分散によって1次粒子が粉砕されない条件で行うことが好ましい。
【0037】
本実施態様の分級方法で用いられる媒体液体としては、特に限定なく、例えば、水、あるいは水系媒体、有機溶剤系媒体などが挙げられる。
前記水としては、イオン交換水、蒸留水、電解イオン水などが挙げられる。また、前記有機溶剤系媒体としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなど、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
なお、本実施態様において、前記微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(1μm以下)の場合を除き、精密粒度分布測定装置:コールターマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径が1μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LS−200、ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。
さらに、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。
【0039】
また、本実施態様の分級方法において、前記粒子分散液における粒子の含有率は、0.1〜40体積%であることが好ましく、0.5〜25体積%であることがより好ましい。前記粒子分散液における粒子の割合が0.1体積%以上であると回収が好適に行われ、40体積以下であると流路詰まりが発生しにくい。
【0040】
本実施態様の分級装置に用いられる材質としては、強度が高く、腐食防止性があり、粒子分散液の流動性を高くするものであることが好ましい。例えば、金属(鉄、アルミ、ステンレス鋼、チタン、その他の各種金属)、樹脂(フッ素樹脂、アクリル樹脂等)、セラミックス(シリコン等)、ガラス(石英等)、など一般的に用いられているものが可能であり、送液する媒体液体等により、適宜選択することが好ましい。また、プラズマCVD方などの表面改質処理を行って、SiN4、SiN2、Al2O3などの皮膜を分級装置の構成材料の表面に形成して、耐食性、流動性を向上させることもできる。
【0041】
分級装置を製作するには、微細加工技術が適用される。適用可能な微細加工技術としては、例えば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザ加工法、イオンビーム加工法、及びダイヤモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法等がある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、及び機械的マイクロ切削加工法である。一般的に、マイクロデバイス(微小流路装置)としては、SUS(ステンレス鋼)製の部材を微細放電加工して微細流路を形成することが多いが、使用する材質に応じた加工方法で加工することが好ましい。
【0042】
部材間の接合方法は、高温加熱による材料の変質や変形による流路等の破壊を伴わず、寸法精度を保った精密な方法が望ましく、製作材料との関係から固相接合(例えば圧接接合や拡散接合等)や液相接合(例えば、溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等)を選択することが好ましい。例えば、材料にシリコンを使用する場合にシリコン同士を接合するシリコン直接接合や、ガラス同士を接合する融接、シリコンとガラスを接合する陽極接合、金属同士を接合する拡散接合等が挙げられる。セラミックスの接合については、金属のようなメカニカルなシール技術以外の接合技術が必要であり、アルミナに対してglass solderなる接合剤をスクリーン印刷で、80μm程度の膜厚に印刷し、圧力をかけずに440〜500℃で熱処理する方法がある。また、新しい技術として、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF(フッ化水素)水溶液を用いた接合等がある。
【0043】
例えば、シリコンを用いた分級装置は、次のようにして製造することができる。
先ず、基板の板材として洗浄及び表面処理したシリコンウエハを用い、ドライプラズマエッチングにより、一方の主面に流路用溝を形成する。次いで、シリコンウエハの流路用溝側の面に他のシリコンウエハを直接接合で接合して一体化する。そして、接合一体化された板材をチップ化することにより、マイクロチャンネルチップを得ることができる。
【0044】
また、本実施形態の分級装置を製造する際、接合技術を用いることができる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法としては、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法として挙げられる。
【0045】
さらに、接合に際しては高温加熱による材料の変質や変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましく、その技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接合、拡散接合などが挙げられる。
【0046】
本実施形態の分級装置は、パターン部材(薄膜パターン部材)を積層して形成することが好ましい。なお、パターン部材の厚さは5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
本実施形態の分級装置は、所定の二次元パターンが形成されたパターン部材が積層されて形成された分離装置であることが好ましく、パターン部材の面同士が直接接触して接合された状態で積層されていることがより好ましい。
分級装置の水平方向の各断面形状に対応した複数のパターン部材を積層して分離装置を形成することにより、簡便に分離装置を形成することができるので好ましい。
【0047】
本実施形態の分離装置の好ましい製造方法としては、(i)第1の基板上に目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材を形成する工程(ドナー基板作製工程)、及び、(ii)前記複数のパターン部材が形成された前記第1の基板と第2の基板との接合及び離間を繰り返すことにより前記第1の基板上の前記複数のパターン部材を前記第2の基板上に転写する工程(接合工程)、を含むことを特徴とする分離装置の製造方法が例示でき、例えば、特開2006−187684号公報に記載の製造方法を参照できる。
【0048】
本実施形態の分級装置の製造方法についてさらに詳述する。
〔ドナー基板作製工程〕
本実施形態において、ドナー基板は電鋳法を用いて作製することが好ましい。ここで、ドナー基板とは、第1の基板上に目的とする分級装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材が形成された基板である。第1の基板は、金属、セラミックス又はシリコンから形成されていることが好ましく、ステンレス等の金属が好適に使用できる。
まず、第1の基板を準備し、第1の基板上に厚膜フォトレジストを塗布し、作製する分離装置の各断面形状に対応したフォトマスクにより露光し、フォトレジストを現像して各断面形状のポジネガ反転したレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンを有する基板をめっき浴に浸漬し、フォトレジストに覆われていない金属基板の表面に例えばニッケルめっきを成長させる。パターン部材は電鋳法を用いて、金、銅、又はニッケルにより形成されていることが好ましい。
次に、レジストパターンを除去することにより、第1の基板上に分離装置の各断面形状に対応したパターン部材を形成する。
【0049】
図8は、図1に示す分級装置を形成するための薄膜パターンの概念説明図である。図1に示す分級装置が、図8(A)〜図8(L)の計12枚の薄膜パターンの積層により形成されていることを示す。
薄膜パターン(C)と(D)及び(I)と(K)は、小さな目開きを形成し、薄膜パターン(F)と(G)は、大きな目開きを形成する。
【0050】
〔接合工程〕
接合工程とは、複数のパターン部材が形成された前記第1の基板(ドナー基板)と第2の基板(ターゲット基板)との接合及び離間を繰り返すことにより前記ドナー基板上の前記複数のパターン部材を前記ターゲット基板上に転写する工程である。接合は、常温接合又は表面活性化接合により行われることが好ましい。
図9(a)から(f)は、本実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
図9(a)に示すように、ドナー基板505には、第1の基板上である金属基板500に、目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材(501)が形成されている。上記ドナー基板505を真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板510を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。次に、下部ステージを上部ステージに対して相対的に移動させてターゲット基板510の直下にドナー基板505の1層目のパターン部材501Aを位置させる。次に、ターゲット基板510の表面、及び1層目のパターン部材501Aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
【0051】
次に、図9(b)に示すように、上部ステージを下降させ、所定の荷重力(例えば、10kgf/cm2)でターゲット基板510とドナー基板505とを所定の時間(例えば、5分間)押圧し、ターゲット基板510と1層目のパターン部材501Aとを常温接合(表面活性化接合)する。本実施の形態では、パターン部材501A、501B・・・の順に積層する。
【0052】
次に、図9(c)に示すように、上部ステージを上昇させて、ドナー基板とターゲット基板を離間させると、1層目のパターン部材501Aが金属基板(第1の基板)500から剥離し、ターゲット基板510側に転写される。これは、1層目のパターン部材501Aとターゲット基板510との密着力が1層目のパターン部材501Aと金属基板(第1の基板)500との密着力よりも大きいからである。
【0053】
次に、図9(d)に示すように、下部ステージを移動させ、ターゲット基板510の直下にドナー基板505上の2層目のパターン部材501Bを位置させる。次に、ターゲット基板510側に転写された1層目のパターン部材501Aの表面(金属基板500に接触していた面)、及び2層目のパターン部材501Bの表面を前述したように清浄化する。
【0054】
次に、図9(e)に示すように、上部ステージを下降させ、1層目のパターン部材501Aと2層目のパターン部材501Bを接合させ、図9(f)に示すように、上部ステージを上昇させると、2層目のパターン部材501Bが金属基板(第1の基板)500から剥離し、ターゲット基板510側に転写される。
【0055】
他のパターン部材も同様に、ドナー基板505とターゲット基板510との位置決め、接合及び離間を繰り返すことにより、分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材がターゲット基板上に転写される。ターゲット基板510上に転写された積層体を上部ステージから取り外し、ターゲット基板510を除去すると、分離装置が得られる。
【0056】
上記の実施形態では、ドナー基板を電鋳法を用いて作製したが、半導体プロセスを用いて作製してもよい。例えば、Siウエハからなる基板を準備し、この基板上にポリイミドからなる離型層をスピンコーティング法により着膜し、この離型層の表面に分離装置の構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜し、Al薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、ドナー基板を作製することもできる。
【実施例】
【0057】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図10に、実施例1で使用した分級装置の平面図を示す。図10(a)は分級装置1の上視図であり、図10(b)は流路断面図である。
実施例1で使用した分級装置1は、半円形の微小流路2を有し、隔壁4が設けられている。隔壁には、開口が設けられており、該隔壁は、鉛直方向中央部の開口の目開きが12μmであり、流路の上面及び上面近傍の目開きが5μmである。
【0058】
図10に示す分級装置のI−I断面における速度分布を解析したところ、図11に示すように、ディーン渦の発生が観察され、隔壁を設けた場合であっても、ディーン渦が発生することが確認された。
【0059】
次に、隔壁で仕切られた流路のうち、遠心力方向内側の流路2−1に粒子分散液を送流した。なお、粒子分散液を送流する前に、予め微小流路2を粒子分散液の分散媒である水で満たしておいた。粒子分散液としては、PMMA(ポリメタクリル酸メチル:比重1.08)の3vol%分散液を使用した。
送流した粒子分散液(S1)における粒子の分布、並びに、遠心力方向内側の流路2−1から排出された排出液(T1)及び遠心力方向外側の流路2−2から排出された排出液(T2)の各排出液における粒子の分布を測定した。結果を図12に示す。
【0060】
<比較例1>
比較例1では、隔壁を設けない以外は実施例1と同様の装置を使用して、分級を行った。実施例1及び比較例1において、遠心力方向内側の流路に粒子分散液を送液した。
結果を図12に示す。
【0061】
実施例1及び比較例1にて分級を行い、排出路から得られたサンプル(T1、T2)を対比した。その結果、実施例1の分級装置では、遠心力方向外側の流路から排出されたサンプルT2では、12μmを超える粒径を有する粗粉は完全に除去された。また、遠心力方向内側の流路から排出されたサンプルT2には、隔壁の鉛直方向中央部の開口(目開き12μm)を超える粗粉と、鉛直方向中央部の開口を通過し、Dean渦に隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口(目開き5μm)を通過して戻った、微粉が混在していた。
これに対し、比較例1の分級装置では、ディーン渦による2次流の影響で、分級効果は殆ど認められなかった。
【0062】
<実施例2>
図13に実施例2で使用した分級装置の平面図を示す。図13に示す分級装置の微小流路は、断面が幅200μm、高さ100μmの矩形である。
図14に実施例2で使用した分級装置の曲がり部における遠心力方向の流路断面を示した。実施例で使用した分級装置は、12層のパターン部材を積層することによって製造した。
図13に示す分級装置は、半円連結型となっている。分級装置の特性値を以下の表1に示す。また、各半円の流路の曲率半径R(μm)及びディーン数を表2に示す。図15には、実施例2の分級装置において、遠心力と流路角度の関係を示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
図15に示すように、遠心力の変化とディーン数の変化は、ほぼ同じ傾向となることが確認された。
【0066】
図16に示す粒子分散を有するトナー粒子の水分散液(原液、3vol%)をサンプルとして、前記実施例2の分級装置の最外流路の遠心力方向内側に送液した。なお、粒子分散液の送液前に、予め流路内を分散媒である水で満たした。
最内の微小流路のうち、遠心力方向外側の流路から排出された排出液(T2)を回収し、含まれる粒子径の分散をコールター社マルチサイザー3を用いて測定した。結果を図16に示す。なお、隔壁は鉛直方向中央部の開口の目開きを12μmとし、隔壁の流路底面及び上面近傍の開口の目開きを5μmとした。上記目開きは、(C)及び(D)、(F)及び(G)、並びに、(J)及び(K)のパターンの幅を調整して得た(図4参照)。
また、比較例2として、隔壁を有していない分級装置を使用した以外は実施例2と同様の分級装置を使用して、遠心方向外側の流路から排出された排出液(T2)を回収し、実施例2と同様にして粒度分布曲線を測定した。
また、図16に、実施例2及び比較例2の排出液T2における回収率及び誤率を示す。ここで、回収率とは、回収した5〜12μmの粒径を有する粒子と、原液に含まれる粒径5〜12μmの粒子の比である。また、誤率とは、回収した微粒子内に5〜12μm以外粒子が含まれる割合(個数%)である。
この結果、実施例2の分級装置を用いて分級を行った場合には、比較例2の分級装置で分級を行った場合に比して、5〜12μmの粒子の回収率が高く、また、低い誤率が達成できた。
【0067】
<実施例3>
図17に実施例3で使用した分級装置の平面図を示す。また、図18には、実施例3で使用した分級装置の遠心力方向の流路断面図を示す。実施例3で使用した分級装置は、微小流路の上面及び底面から、遠心力方向に傾きを有する隔壁が形成されており、隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きは30μmであり、隔壁の流路上面及び底面近傍の開口の目開きは、10μmである。また、図18に示すように、20層の薄層パターンを積層することによって形成することができる。なお、実施例3で使用した分級装置は、流路上面及び底面近傍に、10μmの目開きを有する開口が2層形成されている。
図17に示す分級装置は、微小流路がアルキメデスの螺旋形状となっている。分級装置の特性値を以下の表に示す。なお、前記流路は
r[μm]=35θ[rad]+100[μm]
を満たす。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例3における分級装置のディーン数(平均)は、39.2である。
【0070】
図17に示す分級装置の最外層の微小流路の遠心方向内側に、インフルエンザウィルスを含むヒト血液を送流した。なお、本実施例において、全体の構成は図19のようになっている。
本実施例では、悪性のウィルスに犯されたヒトの血液中にTiO2光触媒を投入し、ウィルスの不活性化を行うとともに、その触媒粒子を回収するものである。
血液サンプルとTiO2を十分に撹拌後、ポンプを用いてマイクロミキサーに送液し、マイクロミキサーで混合を行う。血液とTiO2の混合液を、TiO2微粒子が活性であり、血液が凝固しにくい25℃にヒータで保ち、送液を行った。次に、ニードル付きの透明流路を送液すると同時に、照明(蛍光灯)による光照射を行った。これにより、TiO2微粒子の光触媒効果により、血液中のウィルスを不活性化する。
次に、図17に示す分級装置に送液し、TiO2の分離を行うものである。
本実施例においては、最内の微小流路の、隔壁で仕切られた遠心方向内側の流路に血液及びTiO2を含むサンプルS1を送液した。また、最外の流路の遠心方向内側の流路及び遠心方向外側の流路から、それぞれ排出液(T1及びT2)を回収した。
また、比較例3として、隔壁を設けていない分級装置を使用した以外は、実施例3と同様にして分級を行い、排出液T1及びT2を回収した。
【0071】
図20には、分級装置に送液した原液、実施例3及び比較例3において、最外の微小流路の遠心方向外側の微小流路から回収した排出液T2の粒子分散状態の測定結果を示す。
また、実施例3及び比較例3における分離率を以下の表に示す。
なお、分離率とは、分級により除去できた個数の割合(%)である。
【0072】
【表4】
【0073】
実施例3の分級装置は、比較例3の分級装置に比べて、分離率が高く、また、図20の結果から、分離能力は5.4倍に上昇していた。
このように、本実施態様の分離装置によれば、高い分級効率を得ることができた。
また、12時間の連続運転を行っても、目詰まりを生じることなく、連続処理が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態の分級装置の一例を示す上面図である。
【図2】本実施形態の分級装置の他の一例を示す上面図である。
【図3】本実施形態の分級装置の他の一例を示す上面図である。
【図4】図1において隔壁4を矢印Aの方向から観察した平面図である。
【図5】微小流路の曲がり部において、流路断面において生じる二次流速度ベクトルである。
【図6】本実施形態に好適に使用される隔壁の他の一実施態様を示す流路断面図及び隔壁平面図である。
【図7】本実施形態の分級装置に使用される隔壁の他の一実施態様を示す平面図である。
【図8】図1に示す分級装置を形成するための薄膜パターンの概念説明図である
【図9】本実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
【図10】実施例1で使用した分級装置の平面図を示す。
【図11】図10に示す分級装置のI−I断面における速度分布の解析図である。
【図12】実施例1及び比較例1におけるサンプルS1、T1及びT2の粒子の分布の測定結果である。
【図13】実施例2で使用した分級装置の平面図を示す。
【図14】実施例2で使用した分級装置の曲がり部における遠心力方向の流路断面図である。
【図15】実施例2の分級装置において、遠心力と流路角度の関係を示した。
【図16】実施例2の結果である。
【図17】実施例3で使用した分級装置の平面図である。
【図18】実施例3で使用した分級装置の遠心力方向の流路断面図である。
【図19】実施例3の装置の全体の構成図である。
【図20】分級装置に送液した原液、実施例3及び比較例3において、最外の微小流路の遠心方向外側の微小流路から回収した排出液T2の粒子分散状態の測定結果である。
【符号の説明】
【0075】
1 分級装置
2 微小流路
3 曲がり部
4 隔壁
41 上面
42 底面
50 流路の遠心力方向内側の内壁
52 流路の遠心力方向外側の内壁
54 流路上面
56 流路底面
500 金属基板
501A 1層目のパターン部材
501B 2層目のパターン部材
505 ドナー基板
510 ターゲット基板
X、Y 開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がり部を備える微小流路を有し、
該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、
該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする
分級装置。
【請求項2】
目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項3】
前記隔壁が、流路の上面及び底面から遠心力方向に向けて傾きを有する、請求項1又は2に記載の分級装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする、粒子の分級方法。
【請求項5】
前記微小流路の曲がり部において、ディーン数が8以上となるように送液する、請求項4に記載の粒子の分級方法。
【請求項1】
曲がり部を備える微小流路を有し、
該曲がり部が、遠心力方向に目開きの異なる2種以上の開口を有する隔壁を備え、
該隔壁の鉛直方向中央部の開口の目開きと、該隔壁の流路の底面及び上面近傍の開口の目開きとが、異なる大きさを有することを特徴とする
分級装置。
【請求項2】
目開きの異なる2種の開口を有し、一方の開口が分級する粒子の上限を規定し、他方の開口が分級する粒子の下限を規定する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項3】
前記隔壁が、流路の上面及び底面から遠心力方向に向けて傾きを有する、請求項1又は2に記載の分級装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1つに記載の分級装置の隔壁で仕切られた一方の流路に粒子分散液を送液する工程を有することを特徴とする、粒子の分級方法。
【請求項5】
前記微小流路の曲がり部において、ディーン数が8以上となるように送液する、請求項4に記載の粒子の分級方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−75843(P2010−75843A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246973(P2008−246973)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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