説明

分配バルブ

【課題】バルブアクチュエータに最小の力を加えるだけでバルブを開放位置に維持することで使用を容易にした液体用分配バルブを提供する。
【解決手段】バルブ本体13のアクチュエータ端には、非線形ばね25の特徴を有する弾性バルブアクチュエータ24が設けられていて、プランジャ21に機能的に接続され、プランジャの反対側の端には弾性バルブシール19が取り付けられている。即時排出口16はアクチュエータ端とバルブシールとの間に配置され、こうした排出口は、バルブが開放位置にあるときにバルブが付着した液体容器の内部を液体が通じるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体分配装置に関し、より特定的には、このような液体のソースから液体を分配するための頑強で比較的単純かつ低コストの、容易に起動可能な分配バルブに関する。このバルブは、バルブの構造または作動の完全さを低下させることなく、5.0MRADまでの照射および高温蒸気を含む滅菌手順と、化学的滅菌処理とに耐えることが可能であり、よって(微生物が存在しない)無菌製品から、滅菌製品、非滅菌製品に及ぶ広範囲の製品を分配するために使用可能である。
【背景技術】
【0002】
液体の容器、システムまたはこのような液体の他のソースから液体を分配するための分配バルブは、米国特許第3,187,965号、第3,263,875号、第3,493,146号、第3,620,425号、第4,440,316号、第4,687,123号および第5,918,779号にて示されている。このようなバルブは、例えば、家庭内で消費者が利用する飲料または他の液体を分配するためのシステムで使用可能である。これらの用途においては、コストが低く、故障がなく、かつ信頼性の高いバルブ作動が重要な事柄である。例えば、バルブを液体充填容器と共に設けて、液体が消費されると容器と共に廃棄するといった、バルブを使い捨てのアイテムとして販売する場合に、低コストはとりわけ重要になってくる。
【0003】
米国特許第3,187,965号には、牛乳容器の一端に接続された、概して一体式であるバルブ本体を有する牛乳容器用の分配バルブが示されている。バルブ本体は、牛乳容器に通じる一方の端に入口開口を定義し、かつ反対側の端に牛乳を容器の外へ排出するための排出口を定義する、内部に形成されたL字形の通路を有する。バルブ本体内のプランジャボアは、プランジャ部材を摺動自在に取り付けるための手段を備える。プランジャ部材の内端に固定されて接続されたバルブシールは、プランジャ部材によって移動して、入口開口を開閉することができる。プランジャ部材の反対側の端または外端は、牛乳容器の外部へと延びている。プランジャ部材の外端には、直径がプランジャ部材よりも実質的に大きい押しボタンが取り付けられ、ユーザが指で掴めるように露出して、バルブ本体内に配置されている。圧縮型ばねは、押しボタンとバルブ本体との間に嵌め込まれている。このように、押しボタンに力を加えてバルブシールを移動させ、牛乳を容器から分配するための入口開口が開放されると、ばねは、押しボタンにバルブシールを閉位置へと戻す実質上の反力を常時与える。圧縮ばねが与える力は、プランジャ部材の内方向への転位に正比例して増加する傾向がある。したがってユーザは、バルブを開放状態に維持するために、押しボタンにかなりの内方向への力を加えなければならない。
【0004】
米国特許第3,263,875号に示す他のバルブは、第‘965号特許のものに類似するプランジャ部材およびバルブ本体を使用している。バルブ本体に嵌合された外周部分を有する弾性ダイアフラムは、戻しばねおよび押しボタンの双方として作動する。残念ながら今までのところ、このような隔壁状のアクチュエータ部材を有する市販のバルブの場合、液体を分配する間にユーザはバルブを開放状態に維持するためにかなりの力を加える必要があった。
【0005】
同様に、使い捨て容器と共に使用する低コストの分配バルブを提供しようとする商業的な試みも行われてきたが、こうした努力はさほど成功していない。例えばWaddington & Duval社は、使い捨て容器(ワインボックス、水ボトル、洗濯用液体洗剤容器等)と共に使用するプレスタップをCOM 4452およびCOM 4458のモデル名で提供している。これらは双方とも、バルブクロージャをバルブシートから離して移動させて液体を分配するようにバルブクロージャに機能的に接続された押しボタン式アクチュエータを備えているが、残念ながらこのバルブ構成では、分配される液体が、使用後にバルブの分配チャンバ内部のバルブシートの裏、および必然的に内部に液体を保存している任意の保冷または断熱容器の外側に留まり、よって各使用後にはバルブ本体内に留まる液体の量が損なわれる危険性が増大するようなものとなっている。また、液体分配用途の多くは、5.0MRADまでの高照射線量での照射と、高温蒸気および化学滅菌処置とを含む、分配装置使用前の強力な滅菌処置を必要とする。Waddington & Duval社製分配バルブの、バルブ本体の薄壁ポリエチレン構造は、このような滅菌処置に耐えられず、実際、このような処置を施すと、脆くなって故障しやすくなるため、食品分配用としてのその使用はかなり限定される。またさらに、Waddington & Duval社製分配バルブ構造の、ポリエチレン製バルブクロージャは、熱伝導率が高く、液体容器の外側と容器の内容物との間では単にこのバルブ構成によって簡単に熱伝導が起こり、内容物が損傷する危険性が同様に高まる可能性がある。
同様に、Jefferson Smurfitグループでも、VITOPのモデル名で使い捨て容器と共に使用する同類のタップを提供している。この場合もやはり、Jefferson Smurfitグループのタップ構成は、分配される液体が使用後にバルブの分配チャンバ内部のバルブシートの裏、および必然的に内部に液体を保存している任意の保冷または断熱容器の外側に留まり、よって同じく各使用後にはバルブ本体内に留まる液体の量が損なわれる危険性が増大する。同様に、Jefferson Smurfitグループ製分配バルブのバルブ本体の薄壁ポリプロピレン構造も上述の滅菌処置には耐えられず、こうした処置を施すと、やはり脆くなって故障しやすくなるため、食品分配用としてのその使用はかなり限定される。また上述の場合のように、Jefferson Smurfitグループ製分配バルブ構造の、ポリエステルエラストマー製クロージャは、熱伝導率が高く、液体容器の外側と容器の内容物との間では単にこのバルブ構成によって簡単に熱伝導が起こり、同じく内容物が損傷される危険性が高まる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、先行技術では、この普通型の低コストバルブの開発に向けて多大な努力が傾注されてきたが、使用が簡単でありかつバルブを開放しておくためにユーザがさほどに多大な力を掛ける必要のないバルブに対するニーズは未だに満たされていない。この問題は、プランジャ部材が閉止位置にあるときは、ばねまたは他の弾性部材がバルブシールの座位の保証に必要な力を供給しなければならないという事実によって複雑化されている。同様に、強力な滅菌処置に耐え得るほど十分に頑強であって、このようなバルブを介する液体容器内外の熱伝導を低減させ、かつ分配サイクル間に液体を意図された保存容器の外側に取り込むことのない分配バルブに対するニーズも満たされないままである。
【0007】
さらに、分配バルブを使い捨て液体容器の構成要素として備える場合には、このバルブが先に使用または開封されたことがないこと、および液体容器の内容物の完全さが損なわれていないことをユーザに保証する、使用が簡単な分配バルブを提供することが極めて効果的であろう。残念ながら、先行技術による分配バルブは、こうした機能に対するニーズを満たしていない。
【0008】
さらに、製造中に、液体を強いてバルブ本体を通過させるために利用可能な液体速度および液体の圧力、または「ヘッド」等の特定の条件セットに合わせて所望の液体流量を供給するように適合化されることが可能なバルブに対するニーズも存在する。冷たいメープルシロップや濃縮オレンジジュースのような濃く粘性の高い液体を所望の流量で排出するバルブだと、同じ圧力で水やワインのような低粘度の液体を遙かに高流量で排出してしまう。射出成形等の一般的な製造技術を使用して容易に製造可能な、これらの異なる条件に対処する異なる液体流量抵抗を有する一定の構成幅のバルブを提供することが望ましい。バルブの製造に使用される金型および他のツールへの修正を最小にしつつ、これらの異なる構成で製造可能なバルブを提供することが特に望ましい。
【0009】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点のない液体分配バルブを提供することにある。
【0010】
本発明の他方の目的は、バルブを開位置に保持するために最小の力を必要とし、同時に閉位置に座位するときは漏れのない閉止を提供する液体分配バルブを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他方の目的は、バルブの製造に使用する製造装置にほんの僅かな修正を加えるだけで、多様な粘性の液体に対する効果的な用途を可能にすべく様々な構成で製造可能な液体分配バルブを提供することにある。
【0012】
また、本発明のさらに他方の目的は、バルブが以前に作動され、分配される液体の完全さが損なわれている可能性があるかどうかを判断する手段をユーザに提供する液体分配バルブを提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他方の目的は、バルブ構成の性能または完全さを損なうことなく、高レベル照射への暴露および高温蒸気および化学滅菌を含む滅菌処置に耐えるような、強力な構造である液体分配バルブを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他方の目的は、バルブが取り付けられる液体容器の外側から容器の内側への熱伝導を低減させる液体分配バルブを提供することにある。
【0015】
また、本発明のさらに他方の目的は、各分配サイクルの後にバルブクロージャの後側および液体容器の外側に液体が蓄積することを防止する液体分配バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的に従って、バルブアクチュエータに最小の力を加えるだけでバルブを開位置に保持できるようにすることによって使用の容易さを図り、かつ単純で人間工学的な設計および広範な製品を分配する能力を有する強力な機能性を提供する液体用の分配バルブを開示する。第1の実施形態では、バルブ本体およびアクチュエータは、平均の壁厚が約0.0625インチのポリプロピレンコポリマーで形成され、バルブシールは、厚さの平均が約0.032インチの熱可塑性ゴムで形成されている。このような寸法上の特徴および材質は、分配バルブが食品医薬品局(FDA)によって概説された最高の防腐滅菌類別に耐え、かつ国立衛生基金(NSF)のガイドラインによって指定された製品の無菌性を保持することを可能にする。より詳細には、本分配装置は、滅菌処理の第1の段階で、最大線量が5.0 MRAD(50キログレイ)のガンマまたはコバルト照射のいずれかに耐え得る。本分配装置は次いで、充填処理において必要とされる蒸気および化学滅菌処理に付随する高温に耐え得る。本分配装置は、バルブの構成または作動を低下させることなくこれらを組み合わせた滅菌方式に耐え得る。したがって、本発明によるバルブは、乳製品、100%ジュースおよび大豆製品を含むが、これらに限定されない(微生物の存在しない)無菌製品から、保存ジュースおよびコーヒー製品を含むが、これらに限定されない商業上の滅菌製品、および化学的溶剤等の非滅菌液体に至る範囲の製品を分配するのに使用可能である。
【0017】
最小の力でバルブを開位置に保持することを可能にするために、非線形ばねの特徴を有する弾性バルブアクチュエータが、バルブ本体のアクチュエータ側の端に設けられ、プランジャに機能的に接続され、プランジャとは反対の端の上には、弾性バルブシールが取り付けられている。中間排出口は、アクチュエータ側の端とバルブシールとの間に配置され、この排出口は、バルブが開位置にあるときはバルブが取り付けられている液体容器の内部へ液体が行き来するように配置されている。バルブポートウォールは、バルブシールと分配チャンバとの間に配置され、バルブが開位置にあるときにバルブ本体を介して液体の流れを制御するための複数のポートを備える。バルブおよびバルブポートウォールは、バルブが液体容器上に設置されると、バルブ構造によって断熱容器の外側に液体が事実上全く溜まらないように配置されているため、各分配サイクルの後にバルブ内に留まる液体量が損なわれるのを防止する。押しボタンを、分配バルブを起動させるために設けて、分配バルブが取り付けられる液体容器の外側に露出する。本発明の一実施形態においては、押しボタンは離脱式の環状リム内に同軸的に取り付けられている。ユーザは、分配バルブの初回使用時に押しボタンを押して環状リムをボタンから取り外し、これによりバルブが開放されたという証を与え、こうして開封防止機能付きのアクチュエータを提供する。バルブは、多様な粘性の液体の分配に対応するように様々なポート構成で製造可能である。
【0018】
本発明による分配バルブの単純性および機能性は、高キャビティツールによるその製造および自動組立てを可能にし、これが製造コストを低減させ、市場に低コストの分配ソリューションを提供する。また本設計の単純性および機能性は、軟質の袋、軟質バッグまたは半硬質のプラスチック容器等の広範な分配用パッケージに合わせて、分配装置を製造工程において容易に特別製造可能にする。また本発明による分配バルブは、世界中の広範な充填マシンおよび充填条件に容易に適合するよう構成されている。
【発明の効果】
【0019】
いたずら防止機能付き分配バルブの産業用途の場合、ユーザが過剰に大きい力を加えてバルブを開位置に保持する必要がなく、一方で閉位置にあるときは漏れのないバルブの座位を保証する、従来型の分配バルブよりも使用が容易なバルブ構造体を設けることが望ましい。また、射出成形等の一般的な製造技術を使用して、様々な液体粘性および圧力に対応する異なる液体流動抵抗を有する広範な形状で容易に製造されるように適合化され、かつこのバルブが先に使用されていない、もしくはいたずらされていないこと、および液体容器の内容物の完全さは損なわれていないことをユーザに保証するバルブを提供することも望ましい。本明細書には、プランジャに機能的に接続された非線形ばねの特性を有する弾性バルブアクチュエータを設けて、プランジャの反対端には弾性バルブヘッドを取り付けることにより、バルブアクチュエータに最小の力を加えるだけでバルブを開位置に維持することのできる使用の容易さを提供する液体用分配バルブを開示する。アクチュエータ端とバルブヘッドとの間には中間の排出口が配置され、液体は液体容器の内部へと通じる。バルブヘッドと分配チャンバとの間には、バルブが開位置にある場合にバルブ本体を介して液体の流れを制限する複数のポートを設けるバルブポートウォールが配置されている。分配バルブが付着される液体容器の外側に露出される押しボタン式アクチュエータは、分配バルブを起動させるために設けられ、アクチュエータは押しボタンに付着されたいたずら防止用の離脱式リムを備える。
【0020】
本発明の他の目的、特徴および優位点は、好適な実施形態およびその所定の修正に関する以下の詳細な説明を添付の図面と共に理解することによって、より明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】手動で容器から液体を分配する、本発明の一実施形態に係る分配バルブを表面に有する液体容器を示す図。
【図2】図1に示す分配バルブの拡大斜視図。
【図3】図1および図2に示す分配バルブ本体の、アクチュエータ側の端の端面図。
【図4】図1および図2に示す分配バルブ本体の、入口側の端を示す図。
【図5】開封防止機能を付加した、図2に示す分配バルブの拡大断面図。
【図5a】開封防止機能を付加しない、図2に示す分配バルブの拡大断面図。
【図6】図1乃至図5に示す分配バルブの、所定の構成要素の分解図。
【図7】図5および図6に示すバルブシールの立面図。
【図8a】アクチュエータがポリプロピレンコポリマーで製造されている、図1乃至図7のバルブの作動中に作用する所定の力を示すグラフ。
【図8b】アクチュエータがテレフタル酸ポリエチレンで製造されている、図1乃至図7のバルブの作動中に作用する所定の力を示すグラフ。
【図9】図4に類似するが、本発明のさらなる実施形態に係るバルブ本体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照すると、図1は、そこに分配されるジュースまたは他の液体を有する容器またはバット10を示す。本発明の一実施形態に係る分配バルブ12は、容器10内の液体を分配するために接続されている。分配バルブ12を、液体を重力流の下で分配するために示すが、当業者には、これは単なる例示目的であって限定的なものではないことが容易に認識されるであろう。また分配バルブ12は、液体ソースが重力以外のソースで設けた圧力の高度より下にある場合の液体の分配にも適用可能である。
【0023】
図2乃至図7にさらに示すように、分配バルブ12は、外壁13aと内壁13bとを有する概して管状バルブ本体13を有する。バルブ本体は、内端または入口端7と、反対側の外端またはアクチュエータ端9とを有し、軸方向はこれらの両端の間を伸長している。バルブ本体は、概して丸形の円筒チューブの形で示すが、バルブ本体は、分配バルブ12が適用される用途に適合化した丸形、方形、八面体または他の形状であってもよい。バルブ本体13には、バルブ本体を容器10または分配される液体の他のソースに接続するための機構14が設けられ、バルブ本体13に形成された入口開口15(図5)は分配される液体と通じる。図示する、特別の接続機構14は、入口端7の近くでバルブ本体の外側を取り巻くリブを含む。これらのリブは、バルブ本体の外部と容器に設けた出口との間に、液体漏れのないプレス嵌め式接続を形成するように配置されている。他の適正な接続および密封機構は、リブに加えて、もしくはリブの代わりに使用してもよい。例えば、バルブ本体は、容器の機構と嵌合する、ねじ山またはバヨネット式の固定機構を備えることができる。また、弾性Oリングまたは他のガスケット等、補助の密封エレメントを容器またはバルブ本体に設けて、バルブ本体と容器とを嵌合させることも可能である。
【0024】
排出口16は、バルブ本体において、バルブ本体の入口端7とアクチュエータ端9との間の位置に形成される。排出口16は、バルブ本体が容器と嵌合すると、容器または他の液体ソースの外側に配置される。排出口16は概して短い管状部材の形であって、バルブ本体の軸方向に対して垂直の方向に伸長し、バルブ本体の内部に通じている。
【0025】
さらに、上記接続機構14の真上に、位置決めリング14aを、バルブ本体に外接して備える。本発明の分配バルブを液体容器に設置すると、位置決めリング14aは容器の外壁に当接する。以下でより詳細に説明するように、排出口16はバルブ本体内側のポートウォールから伸長し、このポートウォールは通常、バルブシールで閉止されている。バルブシールは、その閉位置(ポートウォールに当たって座位している)においては、位置決めリング14aから軸方向に僅かに距離を置いて、好ましくは約0.25インチ以下の距離に配置され、バルブの液体容器より外側の部分に含まれる液体の量を、バルブの入口端内部の位置決めリング14aとバルブシールとの間の容積に限定する。分配サイクル後にバルブ構造内部に含まれる可能性のある液体量を制限することにより、分配サイクル後にバルブ内部に保持される液体量を温度の変動に曝す危険性が低減され、さらに、次の分配サイクルの開始時に損なわれた液体量を分配する危険性が低減される。
【0026】
図4および図5により特定的に示すように、バルブポートウォール17は、入口開口15と排出口16との間でバルブ本体13を横切って伸長している。バルブポートウォールは、一組の孔またはバルブポート17a、並びに、バルブポート17aを取り巻いて入口開口15に対面するバルブシート18を定義する。また、バルブポートウォールは、バルブ本体の中心軸に隣接するプランジャガイド開口17bを定義する。図5に最も良く示しているように、プランジャガイド支持壁5は、排出口16のすぐ外側でバルブ本体を横切って伸長し、このプランジャガイド支持壁5は、排出開口とバルブ本体のアクチュエータ端との間に存在している。管状プランジャガイド20は、プランジャガイド支持壁からバルブ本体のアクチュエータ端9へと外向きに伸長している。プランジャガイド20は、バルブポートウォールのプランジャガイド開口17bに整合されている。またバルブ本体は、アクチュエータ端9でバルブ本体の残留部分から外向きに突出する一対のグリップウィング30および31を有する。グリップウィング30および31は、概してバルブ本体の軸方向に対して垂直の方向に、かつ排出口16の方向に対して垂直に伸長している。バルブ本体13は、例えばポリプロピレンまたは他のポリオレフィン等の熱可塑性物質のような、分配される液体に適合する高分子材料で形成することが望ましい。好適な実施形態において、バルブ本体13はポリプロピレンコポリマーで形成される。
【0027】
プランジャ部材21は、プランジャガイド20に、摺動自在に取り付けられる。また、プランジャ部材21は、ポリプロピレンまたは他のプラスチック材料で製造することが望ましい。好適な実施形態において、プランジャ部材21は同様にポリプロピレンコポリマーで形成される。
【0028】
プランジャ部材21は、プランジャガイド支持壁5を介し、排出口16を介し、さらにバルブポートウォール17のプランジャガイド開口17bを介して入口開口15へと伸長する内端22を有する。
【0029】
浅型の円錐部材の形である弾性バルブシール19は、例えばバルブシール19における同サイズの開口19aと圧力嵌めされることが可能な結合エレメント22aにより、バルブシール19およびプランジャ21が製造されている材料の持つ弾性的性質に起因してプランジャ部材の内端22に固定的に接続されている。バルブシール19は、分配される液体と反応しない、もしくはこれを汚染しない、かつ使用に際して遭遇される条件の下で融解しない、もしくは減成しないものであれば、本質的にいかなる弾性材料からも形成可能である。例えば、典型的な飲料分配用途において、典型的には約30乃至約80の範囲のショアA押込硬度、より好ましくは約50乃至約80の範囲のショアA押込硬度である熱可塑性または熱硬化性のエラストマーまたは他の軟質材料を使用することができる。好適な実施形態において、バルブシール19は熱可塑性ゴムから形成される。バルブシール19の外周は、バルブシート18の上に重なり、バルブが図5に示す閉位置にあるときはバルブシートを密封する。
【0030】
バルブシールの厚さは、材料および作動条件に依存する。単なる例示として、重力高度下(例えば、1平方インチ当たりの圧力が約0.5乃至1ポンド)で飲料を分配するバルブでは、バルブシールは直径が約1インチ、厚さが約0.020乃至0.040インチ、最も好ましくはその外周において厚さが約0.032インチである。
【0031】
円筒形の停止部材28およびアクチュエータ24は、内端22から遠隔位置にあるプランジャ部材21の外端23において、プランジャ部材21と一体式に形成される。アクチュエータ24はドーム形の弾性区域25を有し、弾性区域25は、このドーム形区域の外周26がバルブ本体13のアクチュエータ端のちょうど内側に設置され、もしくはバルブ13の内壁13b上に配置されたレッジまたは溝27によって逸脱しないように保持され得るように寸法取りされている。アクチュエータの寸法は、以下に説明するような所望の弾性作用および力/たわみ特性をもたらすように選択される。一例示的な実施形態において、プランジャと、停止部材と、弾性エレメント25を含むアクチュエータとは、ポリプロピレンで一体式に成形される。弾性エレメント25は概して、約160゜の内抱角を有する直径約1インチの円錐形である。すなわち、円錐形の弾性区域の壁面は、プランジャ部材の軸方向に垂直な平面に対して10゜の角度A(図6)で配置されている。弾性エレメント25は、厚さは、その外周においては約0.012インチ、その停止部材28との接合部においては約0.018インチである。停止部材28の直径は、約0.292インチである。したがって、円錐形の弾性区域の軸方向範囲xと弾性区域の平均厚さとの割合は約4である。
停止部材28は、プランジャガイド20の外端によって形成される停止ショルダ29と共働する。したがって、アクチュエータ24においてプランジャ部材上に力が加わる際にプランジャ21が移動可能な距離は、停止部材28が停止ショルダ29と接触するまでに移行可能な距離によって判断される。
【0032】
作動に際しては、バルブは、図1に示すように容器に取り付けられる。排出開口は、容器の外側で下を向き、フィンガーグリップウィング30および31は水平に突出している。バルブは、通常は図5に示す完全な閉位置の状態にある。この位置においては、アクチュエータ24の弾性は、プランジャ18を外向きに、ハウジングのアクチュエータ端9の方向へと推進してバルブシール19をバルブシート18との嵌合状態に保持するため、ヘッドは入口開口15からポート17aおよび排出開口16への流れを阻止する。こうした状況においては、容器内の液体11の圧力はヘッドをシート18に押しやる傾向があり、これによってバルブはより強力に閉鎖される。バルブポートウォール17においてポート17aを直接取り囲む部分である17cは、バルブシールを支持し、バルブシールが排出開口16へと捲れこまないように防止する。これは、例えば容器10が揺らされる、または落とされた場合に発生し得るように極めて多大な液体圧力が加わったとしても、シールが破損されないことの保証に貢献している。言い替えれば、ヘッド19は、バルブポートウォールの支持部分17cが存在しなければこうした捲れこみを生じやすいくらいに柔らかく、軟質である可能性がある。過酷な条件下でも漏れる恐れのない柔らかい軟質ヘッドを使用できるこの能力は、次いでシート18における効果的なシールの形成を容易にする。また、バルブポートウォールは、プランジャ21の追加的なガイドを設けて、これによりプランジャの摺動運動が促進され、プランジャが拘束される任意の傾向が低減され、かつヘッド19がシート18と同軸的に維持される。
【0033】
ユーザは、指でフィンガーグリップウィング30および31を掴み、ボタン61の中央部分を親指で押して、バルブ本体の中心軸に整合されかつバルブポートウォール17を横断するアクチュエータ24、プランジャ部材21およびバルブシール19を故意に開放方向へと移動させることにより、バルブを開放することができる。こうした運動は、プランジャ部材およびバルブシールを通常の閉位置から開位置へと移動させ、その間にプランジャ上の停止部材28はバルブ本体のプランジャボア上の停止ウォール29に噛み合う。この開位置において、バルブシールはバルブポートウォール17およびシート18から遠隔位置にあるため、バルブシールはポート17aを塞がず、よって液体は容器10から排出開口16へと流れることができる。
【0034】
ユーザがプランジャを開位置へと内側に押すと、弾性エレメント25は変形する。プランジャの転位に伴って、弾性エレメント25によって加えられる閉止する力、または外向きの力が発生する可能性がある。しかし、閉止する力は、開位置に向かう内向きの転位に伴って線形的には増大しない。図8aにグラフの形で概略的に示すように、上記のようなバルブの閉止力曲線46は、閉位置40aからの開放転位に伴ってまずは上昇するが、その後、開放転位単位当たりの閉止力の増大は低減してプランジャ部材およびバルブシールが中間位置42aで閉止力の最大ポイントに至り、このポイントからは、開放転位の増大に伴って外向きの力または閉止力が降下し始める。バルブは、好ましくは、中間位置42aにおいて2乃至2.5ポンドの最大閉止力を発揮する。次いで、弾性区域25によって加えられる外向きの力または閉止力は、さらなる開放転位に伴ってさらに低減する。しかしながらプランジャは、停止部材28が停止ウォール29(図5)に嵌合した時点で完全な開放位置44aに到達し、外向きの力または閉止力がゼロに降下する前に開放転位を停止する。こうした完全な開放位置44aでは、バルブは、好ましくは僅か0.75ポンドの保持力を必要とするに過ぎない。言い替えれば、ドーム形または円錐形の弾性区域25は、上昇区域および降下区域を有する非線形的なばね特性を提供する。停止部材28および停止ウォール29によって設定される行程距離は、完全な開位置が特徴曲線の力の降下区域にあり、開放する力は行程の間に達成される最大値を下回るように選択される。上記例示的な実施形態において、完全な閉位置から完全な開位置までの合計行程は、約0.25インチ乃至0.75インチである。
【0035】
力の曲線47aで示す第1の代替実施形態において、弾性エレメント25は、平均厚さがより大きく、約0.0155インチであり、よって中間位置42a’ではより大きな約3乃至3.5ポンドの閉止力を必要とし、その後は閉止力の降下が呈示されて、約0.75ポンドの最低値に至り、バルブが開位置に保持される。こうした中間閉止力の増大は、バルブを完全な開位置から開放する際により大きなスナップ式の閉止効果を提供することを示すものであり、これにより、バルブの偶発的な作動の危険性が低減される。
【0036】
図8bの力の曲線46bで示す第2の代替実施形態において、弾性エレメント25はテレフタル酸ポリエチレン(PET−C)から形成され、平均厚さが0.015インチである上記のような寸法取りがされている。弾性エレメント25のこうした構造は、中間位置42bにおいてさらに大きな約4乃至4.5ポンドの閉止力を必要とし、その後は閉止力の降下を呈示して、この場合もやはり約0.75ポンドの最小値に至り、バルブが開位置に保持される。
【0037】
またさらに、図8bの力の曲線47bで示す、さらなる第3の代替実施形態において、弾性エレメント25はやはりPET−Cから形成され、平均厚さが0.0155インチで寸法取りされ、よって中間位置42b’ではより大きな約5乃至5.5ポンドの閉止力を必要とし、その後は閉止力の降下が呈示されて、この場合もやはり約0.75ポンドの最低値に至り、バルブが開位置に保持される。
【0038】
したがって、アクチュエータ24の代替ポリマーおよび厚さを使用することにより、力対転位曲線は図8aおよび図8bの様々な力の曲線で示すように修正可能であるため、完全な閉位置40から完全な開位置44までの、内向きの転位の間に、中間位置42はより大きな閉止力を発揮し、よってバルブアクチュエータ開放時のスナップ式の閉止効果が増大する。
さらに、各バルブエレメントを上記のように構成することにより、すなわち、バルブ本体を、最小の平均壁厚が0.0625インチのポリプロピレンコポリマーから形成し、かつバルブシールを、平均厚さが約0.032インチの熱可塑性ゴムから形成することにより、バルブ構造は、バルブ構造が脆弱になることなく、もしくはその他バルブの構造または作動の完全さを危うくすることなく、構造体を5.0MRAD以下で照射すること、および構造体を高温の化学的および蒸気滅菌処理に曝すことを含む、バルブを食品用途において使用するために必要な強力な滅菌処理を受けることが可能である。
【0039】
非線形的なばね特性は、幾つかの重要な優位点を提供する。これは、完全な閉位置において、かなりの閉止力を提供することが可能であり、よって完全な開位置において低い保持力を有する効果的なシールを提供することが可能である。ユーザは、液体が流れている間、ほんの適度の努力によってバルブを開状態に維持することができる。閉位置から開位置に至る行程の間に最高の起動力に遭遇するのはほんの僅かな間であり、疲労するほどのものではない。これに対して従来の線形的なばねを有するバルブにおいては、完全な開位置で最高の閉止力に遭遇するため、ユーザは、液体が流れている間中、こうした強い力に対抗していなければならない。さらに、非線形的なばねの作用は、所望の「感触」または触覚上の手応えを提供し、これによってユーザは、ユーザが液体の流れを見ることができない、もしくは流れを見ていない場合でもバルブが開いていることを確認できる。
【0040】
フィンガーグリップ部材30および31は、排出口16に対して概して横断的に伸長し、かつバルブ使用中は概して水平に伸長するため、ユーザの指は、開口から排出される液体の流れから離れて排出開口の底端上で支持されることになる。したがって、熱い液体が分配される場合でも、ユーザに危害が及ぶことはない。
【0041】
図5に示す本発明の実施形態において、分配バルブの作動に際してユーザが手で押さえるための独立した押しボタンエレメント60を備える。押しボタン60は、好ましくは、概して平面である頂面61と、頂面61とは反対側の底面62とを有する円板として形成される。嵌合ピン63は、底面62から下向きに伸長し、底面62の中心に配置している。図5に示す本発明の実施形態において、アクチュエータ24のドーム形弾性区域25は、それに嵌合ピン63を受容し、かつこのピンを摩擦嵌合によって所定の位置に保持するような大きさに作られた中央開口64を備える。したがって、押しボタンエレメント60を下に管状バルブ本体13内へと押しこむと、プランジャ部材21およびバルブシール19は同様に開放方向へと、上記の場合と正確に一致してバルブ本体の中心軸に整合され、かつバルブポートウォール17に対して横断的に移動する。好ましくは、嵌合ピン63は、ピン63が底面62に付着するポイントに隣接してピン63の周りに配置された外周リング63aを備える。リング63aは、概して底面62に平行であるレッジ63bを定義する。アクチュエータ24へと挿入されると、ピン63はアクチュエータ24の中央開口64内にぴたりと嵌り、レッジ63bはアクチュエータ24の頂面と同一平面上に載る。したがって、押しボタンエレメント60が下へ押されると、レッジ63bのみがアクチュエータ24と接触するに至り、こうしてドーム形の弾性区域は、ボタンが起動されてもその形状もしくはその非線形的なばね特性を失わないことが保証される。
【0042】
本発明の代替実施形態において、押しボタンエレメント60はさらに、押しボタンエレメント60を取り巻く着脱自在ないたずら防止用リング70を備える。いたずら防止用リング70は、垂直な外壁71と、頂壁72と、垂直寸法が外壁71よりも小さい垂直の短い内壁73とによって定義される。垂直な外壁71は厚さ71aを有し、よって垂直な外壁71の底は、アクチュエータ24を取り巻いて管状バルブ本体13の起動端9に座するような大きさに作られた平坦な表面を定義する。垂直の内壁73は、いたずら防止用リング7の内側へと伸長する複数のタブ74を備え、各タブ74はその底端に幅の狭い末端区域75を有し、この末端区域75は押しボタンエレメント60の上側の外端に付着される。タブ74は、好ましくは、押しボタンエレメント60を実質的に頂壁72の最上部の広がりによって定義される平面の下に位置づけるように構成され、よって押しボタンエレメント60が分配バルブ12内でアクチュエータ24と組み合わされると、起動端9の最上ポイントは頂壁72になる。このようにして、押しボタンエレメント60を分配バルブ12の構造内および頂壁72の下に引っ込めることにより、(表面との衝突等による)バルブの偶発的または不慮の起動は回避されることが可能である。
【0043】
使用に際して、新しい分配バルブ12は、押しボタンエレメント60が、損なわれていないいたずら防止リングとともにアクチュエータ24に設置されている状態で、未使用の容器に設けられる。押しボタン60の押し込みを介するバルブの初回起動時に、いたずら防止用リング70の移動は、管状バルブ本体13の上端によって阻止され、よってバルブ本体13内部への押しボタンエレメント60の移動は、いたずら防止用リング70を押しボタンエレメント60から分離させ、分配バルブ12から脱落させる。したがって、バルブ12の先行起動は、押しボタンエレメント60にいたずら防止用リング70が付いているかいないかによって、ユーザには容易に明白となることが可能である。
開位置におけるバルブの液体流動抵抗は、大部分がポート17aの流動抵抗によって制御される。したがって、バルブの液体流動抵抗は、ポートの数および寸法を選択することにより、用途に合わせて選択可能である。ポート17aの数および寸法は、射出成形装置のほんの僅かな修正(このような金型構造内の可動ピンの配置を変える等)によって変更可能である。このため製造業者は、ほんの僅かなツーリング費用でほとんどあらゆる用途向けのバルブを製造することができる。ポート17aは円形である必要はなく、適正で互換的な射出成形構成要素の使用により、一部はバルブ本体の中心の周りを伸長しかつ一部はプランジャガイド開口17b’の周りを伸長する弓形のポート17a’(図9)を含む他の形状を製造可能である。
【0044】
上記分配バルブ12は、従来の単純な成形技術によって形成されたごく少数の部品で製造されているため、操作は比較的簡単で製造費は安い。これは、本質的に信頼性が高く、製造に際して極端な精度を要求しない。
【0045】
ばね設計の当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、アクチュエータの弾性エレメント25には長方形、十字形および八角形等の他の形状も使用可能であることが容易に認識されるであろう。また上述のように、弾性エレメント25はプランジャの露出端またはアクチュエータ端に配置されることが可能であり、よってこの弾性区域は押しボタンの一部として機能し、ハウジングのアクチュエータ端を閉止する。しかし、これは必須事項ではなく、弾性エレメントはバルブ本体内部の、先に詳述したように押しボタンエレメント60の使用を介してもユーザがアクセスし得ない位置に配置可能である。また、弾性エレメントをプランジャ部材と一体式に形成することは極めて効果的ではあるが、必須ではない。逆にバルブシール19は、上述のようにプランジャ部材と組み合わせるのではなく、プランジャ部材と一体式に形成して、その後、弾性弾性エレメントを付着させることも可能である。さらに、弾性エレメントは選択的に、プラスチックまたは金属から形成可能である。
【0046】
これまで、本発明の好適な実施形態および本発明の根底にある概念の所定の修正について詳細に述べてきたが、上記根底概念を十分に理解すれば、当業者には本明細書において示され説明された実施形態より他の様々な実施形態およびその所定の改変および修正が明確に浮かび上がるであろう。したがって、本発明は本明細書において特定的に述べた方法以外でも実施され得ることは理解されなければならない。
【符号の説明】
【0047】
5 プランジャガイド支持壁
9 アクチュエータ端
12 分配バルブ
13 管状バルブ本体
13a 外壁
13b 内壁
14 接続機構
15 入口開口
16 排出口
17 バルブポートウォール
17a バルブポート
17b プランジャガイド開口
17c 支持部分
18 シート
19 ヘッド
20 管状プランジャガイド
21 プランジャ部材
22 内端
22a 結合エレメント
23 外端
24 アクチュエータ
25 弾性エレメント
27 溝
28 停止部材
29 停止ウォール
30 グリップウイング
31 グリップウイング
60 押しボタンエレメント
61 ボタン
62 底面
63 嵌合ピン
63a 外周リング
63b レッジ
64 中央開口
70 いたずら防止用リング
71 垂直な外壁
71a 厚さ
72 頂壁
73 垂直の短い内壁
74 タブ
75 末端区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体用分配バルブであって、
入口および排出口を有するバルブ本体と、
前記入口および前記排出口の中間にある少なくとも1つのバルブポートと、
前記バルブポートを塞いでいる閉位置から、前記バルブポートを塞いでいない開位置へと移動自在な弾性バルブシールと、
前記バルブ本体内部に往復移動可能に取り付けられ、かつ外端と内端とを有し、前記外端は前記弾性アクチュエータに取り付けられる、プランジャ部材と、
前記弾性アクチュエータは、前記弾性アクチュエータが前記弾性バルブシールに閉止力を加えると前記弾性バルブシールが前記閉位置の方向へ付勢されるように、前記弾性バルブシールに機能的に接続されかつ前記バルブ本体に機能的に係合しており、
前記弾性アクチュエータは、前記閉止力と、前記閉位置からの前記弾性バルブシールの変位との間に非線形的関係を発揮し、
前記弾性アクチュエータはさらに、前記弾性バルブシールが前記開位置、前記閉位置および両位置間の任意の位置にあると、前記弾性バルブシールに少なくとも幾分かの閉止力が加えられるよう構成されており、
前記弾性アクチュエータは、前記弾性バルブシールの中間位置から前記開位置への転位に際して、前記非線形的関係が前記閉止力を前記開位置と前記閉位置との間で低下させるように構成されており、
前記弾性アクチュエータは、円錐形状の弾性部材を有しており、
前記プランジャ部材の前記外端は前記バルブシールに取り付けられており、
前記分配バルブは、前記プランジャ部材および前記弾性バルブシールが前記開位置に到達すると、前記プランジャ部材および前記弾性バルブシールの開放運動を停止させる手段をさらに備える、
分配バルブ。
【請求項2】
前記弾性アクチュエータはさらに、前記閉位置から前記中間位置への変位に際して、前記弾性バルブシールの前記閉止力が増大するよう構成されている請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項3】
前記プランジャ部材上の停止エレメントと、前記バルブ本体上の停止エレメントとをさらに備え、
前記両停止エレメントは、前記プランジャ部材および前記弾性バルブシールが前記開位置に到達すると、前記プランジャ部材および前記弾性バルブシールの開放運動を停止させるよう互いに係合する、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項4】
前記弾性アクチュエータは前記プランジャ部材と一体形成されている、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項5】
前記プランジャ部材の前記外端は、ユーザが前記分配バルブを開放するために手で掴むように露出されており、
前記弾性アクチュエータは、ユーザが手で掴むための押しボタンの少なくとも一部を形成している、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体は、前記入口から遠隔位置にある起動端と、前記起動端におけるアクチュエータ開口とを有し、前記押しボタンは実質的に前記アクチュエータ開口を塞いでいる、請求項5に記載の分配バルブ。
【請求項7】
前記弾性アクチュエータは、前記プランジャ部材に接続された中央部分と、前記バルブ本体と嵌合された周辺部分とを有する、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項8】
前記分配バルブを開放するためにユーザが手で掴むように露出された押しボタンエレメントをさらに備え、
前記押しボタンエレメントは、前記弾性アクチュエータによって摩擦式に保持される、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項9】
前記押しボタンエレメントは、頂面および底面を有する概して平面である円板と、前記底面から外向きに伸長する嵌合ピンと、前記底面に隣接して前記嵌合ピンの一部を取り巻き、かつ概して前記底面に平行なレッジを形成するリングとをさらに備える、請求項8に記載の分配バルブ。
【請求項10】
前記ピンは、前記弾性アクチュエータの頂面における開口内に摩擦式に保持され、前記レッジは、前記開口に隣接する前記弾性アクチュエータの前記頂面に当接する、請求項9に記載の分配バルブ。
【請求項11】
前記押しボタンエレメントは、前記押しボタンエレメントを取り囲み、かつこれに着脱自在に付着されたいたずら防止用リングをさらに備える、請求項8に記載の分配バルブ。
【請求項12】
前記いたずら防止用リングは、垂直の外壁と、頂壁と、底壁と、垂直の内壁とを有し、前記垂直の内壁上の複数のタブは、前記押しボタンエレメントを着脱自在に保持する弱められた部分を有する、請求項11に記載の分配バルブ。
【請求項13】
前記複数のタブは、前記押しボタンの頂面を、前記いたずら防止用リングの前記頂壁下の垂直位置に着脱自在に保持する、請求項12に記載の分配バルブ。
【請求項14】
前記入口および前記排出口の間に配置されたバルブポートウォールをさらに備え、
前記少なくとも1つのバルブポートは、前記バルブポートウォールを貫通しており、
前記バルブポートウォールは、前記少なくとも1つのバルブポートを取り巻くバルブシールシートを形成し、
前記バルブポートシートは、前記バルブシールが前記閉位置にあるときに、前記入口で加わる液体圧力の影響下での前記バルブシールの捲れこみを支持する、請求項1に記載の分配バルブ。
【請求項15】
前記バルブ本体と、前記バルブポートと、前記弾性バルブシールと、前記弾性アクチュエータとは、それらの能力に合わせて少なくとも5.0MRADのガンマおよびコバルト照射への被曝に耐えるように選択された材料から形成されている、請求項1〜14のいずれかに記載の分配バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−91873(P2012−91873A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−17137(P2012−17137)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2001−574465(P2001−574465)の分割
【原出願日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願人】(501471426)インターナショナル ディスペンシング コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】