説明

分銅保持具

【課題】分銅を保持する操作が容易で、分銅を移動させる際にも安定して保持され、分銅保持具から分銅を取り外す操作が容易な、分銅保持具を提供する。
【解決手段】分銅ネック部6を嵌め入れるための欠けを有する板状部材1と、該板状部材の外周縁に沿って立設された囲い壁2とを有し;板状部材の欠けは、奥行きおよび幅が分銅頭部5の最大直径より小さく且つ分銅ネック部の最小直径より大きく;板状部材の大きさは囲い壁の内側に分銅頭部を納めることができる大きさであり、囲い壁には欠けの入口と同じ位置に同じ幅の隙間があり、隙間を中心に分銅頭部の最大直径に相当する幅までの範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも低く且つそれ以外の範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも高く、板状部材の欠けに分銅ネック部を嵌め入れ、欠けの内周縁に分銅ネック部を引掛けることによって、分銅4を保持することができる、分銅保持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分銅保持具に関する。より具体的に、本発明は、簡単、確実に分銅を保持することができる分銅保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
上皿天秤用分銅や校正用標準分銅として、1g、10g、100g、1kg、10kg、20kgなどの重さの分銅がある。1g以上のものは、円筒型の形状のものが通常使用されている。円筒型の分銅4は、通常、胴部7、頭部5及びネック部6から構成されている。一方、分銅は、素手で触れると、油脂や汗の塩分が付着したり、錆びたりすることによって質量変化することがある。そのため、通常、ピンセットなどの分銅保持具で取り扱われる。分銅保持具としては、分銅に傷がつかないように木製の保持具や、先端に樹脂やゴムのカバーがついた金属製の把持具が使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、先端部がゴムでカバーされた金属製の分銅把持具が記載されている。特許文献1に記載の分銅把持具では、分銅を把持するために分銅把持具を強く押さえる必要がある。また、分銅のネック部をつまむ場合、分銅を把持具で略2点で保持することになり、分銅を移動させる際に極めて不安定である。
また、特許文献2には、先端に係止凹部を有する係止部材と、一端に前記係止部材に嵌合している連結部を有し、該連結部にヒンジ部を介して可動片部を一体に一対連設し、前記可動片部に切り欠きを設けた可動部材を有し、前記係止部材上の前記両可動片部の間にストッパを設けた分銅把持具が記載されている。特許文献2に記載の分銅把持具では、分銅を移動する間、分銅の落下を防ぐために分銅把持具を握り続ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−5753号公報
【特許文献2】特開2008−188704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、分銅を保持する操作が容易で、分銅を移動させる際にも安定して保持され、分銅保持具から分銅を取り外す操作が容易な、分銅保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために検討した。その結果、分銅ネック部を嵌め入れるための欠けを有する板状部材と、該板状部材の外周縁に沿って立設された囲い壁とで構成され分銅保持具であって、該板状部材が特定の形状および大きさを有しかつ該囲い壁が特定の形状および大きさを有するものを用いることにより、分銅を保持する操作が容易で、分銅を移動させる際にも安定して保持され、分銅保持具から分銅を取り外す操作が容易であることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様のものを包含する。
〔1〕分銅ネック部を嵌め入れるための欠けを有する板状部材と、該板状部材の外周縁に沿って立設された囲い壁とを有し;
該板状部材の欠けは、奥行きおよび幅が分銅頭部の最大直径より小さく且つ分銅ネック部の最小直径より大きく;
該板状部材の大きさは前記囲い壁の内側に分銅頭部を納めることができる大きさであり、
前記囲い壁には前記欠けの入口と同じ位置に同じ幅の隙間があり、該隙間を中心に分銅頭部の最大直径に相当する幅までの範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも低く且つそれ以外の範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも高く、
前記板状部材の欠けに分銅ネック部を嵌め入れ、欠けの内周縁に分銅ネック部を引掛けることによって、分銅を保持することができる、分銅保持具。
〔2〕囲い壁に連結された把持部をさらに有する〔1〕に記載の分銅保持具。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分銅保持具は、分銅を保持する操作が容易で、分銅を移動させる際にも安定して保持され、分銅保持具から分銅を取り外す操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の分銅保持具の一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1に示した分銅保持具の側面図である。
【図3】図1に示した分銅保持具の正面斜視図である。
【図4】図1に示した分銅保持具の側面斜視図である。
【図5】本発明の分銅保持具に分銅を嵌め入れた状態を示す図である。
【図6】本発明の分銅保持具に分銅を嵌め入れる操作の途中の状態を示す側面図である。
【図7】図6に示した状態の上面図である。
【図8】本発明の分銅保持具の別の実施形態を示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の分銅保持具は、板状部材1と囲い壁2とを有するものである。本発明の好適な分銅保持具は把持部10をさらに有するものである。
【0011】
(板状部材)
本発明の分銅保持具を構成する板状部材1は、分銅ネック部を嵌め入れるための欠け3を有する。また、該板状部材は囲い壁の内側に分銅頭部を納めることができる大きさである。板状部材がこのような大きさであると分銅頭部が後述する囲い壁によって囲まれるので分銅の保持安定性が得られる。該板状部材の形状は、特に限定されないが、多角形の板、円形の板などを挙げることができる。これらのうち円形の板が好ましい。板状部材の強度を増すためにリブ等を設けてもよい。
【0012】
該板状部材の欠け3は、奥行きおよび幅が分銅頭部5の最大直径より小さく且つ分銅ネック部6の最小直径より大きい。該板状部材の欠けの奥行きおよび幅を上記のようなサイズにすることで、該板状部材の欠けに分銅ネック部を嵌め入れることができ、嵌め入れた後に分銅保持具を持ち上げると欠けの内周縁に分銅ネック部が引掛かり分銅を持ち上げることができる。欠けの形状は前記条件を満たすものであれば特に限定されない。
本発明に用いられる板状部材の材料は分銅を持ち上げたときに変形しない程度の強度を持つものであれば特に限定されない。例えば、鋼材、鋼材にニッケルメッキ等を施したもの、黄銅、ステンレス鋼、ニッケル、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。中でも、分銅を傷つけず、耐薬品性等に優れている点で、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などが好ましい。
【0013】
(囲い壁)
本発明の分銅保持具を構成する囲い壁2は、前記板状部材の外周縁に沿って立設される壁である。また、該囲い壁には前記板状部材の欠けの入口と同じ位置に同じ幅の隙間があり、該隙間を中心に分銅頭部の最大直径に相当する幅までの範囲に在る囲い壁8の高さが分銅ネック部の長さよりも低く且つそれ以外の範囲に在る囲い壁9の高さが分銅ネック部の長さよりも高い(図1、2、7参照)。具体的に、囲い壁は、図2に示すように欠けの入り口から奥に向かってテーパー状や段階状に高くなっているものを挙げることができる。これらの中、分銅保持具に分銅をスムーズに嵌め入れることができるので、テーパー状であることが好ましい。
ここで、分銅ネック部の長さは、分銅胴部と分銅頭部との間で、欠けの幅よりも小さい直径を有する部分の長さである。
【0014】
欠けの入り口に分銅を嵌め入れる際には、分銅保持具を欠け入り口側が低くなるように傾ける。このようにすると、囲い壁のうちの低い高さ部分の上を越えて分銅頭部が通過し、分銅ネック部を欠けの奥の方に嵌め入れることができる。分銅を欠けに嵌め入れた後、分銅保持具を持ち上げると、分銅頭部が囲い壁の内側に納まるので、分銅が分銅保持具から外れにくい(図5参照)。分銅保持具から分銅を外す場合には、上記の操作を逆に行えばよい。
【0015】
囲い壁は、曲板状であっても、棒状の集合体のような隙間のある檻状であってもよいが、剛性の点で、曲板状であることが好ましい。また、立設は、外傾、垂直、内傾であってもよいが、分銅を嵌め入れる操作の容易性や嵌め入れた後の分銅の安定性の点から、垂直またはやや外傾であることが好ましい。囲い壁の強度を増すためにリブ等を設けてもよい。
前記板状部材に囲い壁を立設させる手段は特に限定されない。例えば、接着、溶着、一体成形等を挙げることができる。中でも分銅保持具の機械強度の点で、一体成形が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる囲い壁の材料は特に限定されない。例えば、板状部材の材料として例示したものを挙げることができる。これらの中でも、分銅を傷つけず、耐薬品性等に優れている点で、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などが好ましい。板状部材および囲い壁の材料は、同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
図8は本発明の分銅保持具の別の実施形態を示す正面斜視図である。
本発明の別の実施形態である分銅保持具は、囲い壁に連結された把持部10をさらに有するものである。把持部を手で掴んで分銅保持部を操作することができる。把持部の形状は特に限定されない。例えば、図10に示すような手で掴み上げ分銅保持具を吊り下げることができる弦状のものを挙げることができる。
把持部の材料は特に限定されない。例えば、鋼材、鋼材にニッケルメッキ等を施したもの、黄銅、ステンレス鋼、ニッケル、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。中でも、耐薬品性等に優れている点で、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂などが好ましく、剛性の点で塩化ビニール樹脂がより好ましい。把持部は、接着、溶着、一体成形、ねじ等によって固定される。
【符号の説明】
【0018】
1・・板状部材
3・・・欠け
2・・囲い壁
8・・・ネック部の長さよりも低い高さの部分
9・・・ネック部の長さよりも高い高さの部分
4・・分銅
5・・・分銅頭部
6・・・分銅ネック部
7・・・分銅胴部
10・・把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分銅ネック部を嵌め入れるための欠けを有する板状部材と、該板状部材の外周縁に沿って立設された囲い壁とを有し;
該板状部材の欠けは、奥行きおよび幅が分銅頭部の最大直径より小さく且つ分銅ネック部の最小直径より大きく;
該板状部材の大きさは前記囲い壁の内側に分銅頭部を納めることができる大きさであり、
前記囲い壁には前記欠けの入口と同じ位置に同じ幅の隙間があり、該隙間を中心に分銅頭部の最大直径に相当する幅までの範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも低く且つそれ以外の範囲に在る囲い壁の高さが分銅ネック部の長さよりも高く、
前記板状部材の欠けに分銅ネック部を嵌め入れ、欠けの内周縁に分銅ネック部を引掛けることによって、分銅を保持することができる、分銅保持具。
【請求項2】
囲い壁に連結された把持部をさらに有する請求項1に記載の分銅保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185056(P2012−185056A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48832(P2011−48832)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)